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技術 天然酸性色素中のタンパク質の分析方法

出願人 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
発明者 箕川剛相沢亮介阪谷圭祐下吹越雅人張慧利中島光一伊藤澄夫
出願日 2014年2月24日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2014-033239
公開日 2015年1月22日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2015-014589
状態 特許登録済
技術分野 クロマトグラフィによる材料の調査、分析 サンプリング、試料調製
主要キーワード 消費生活 紫キャベツ エンジムシ 砂漠地帯 研究情報 成果報告書 酸性色素 カルタミン
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図面 (3)

課題

本発明は、天然酸性色素中のタンパク質の精密な分析方法を提供することを課題とする。

解決手段

天然酸性色素中のタンパク質の分析方法であって、(1)タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類架橋物を用い、かつ移動相として5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液を用いるゲル濾過に付し、タンパク質を含有する可能性がある溶離液回収することを含む天然酸性色素試料の前処理段階A、及び(2)前記前処理段階Aを経た前記天然酸性色素試料を分析する段階を含む分析方法。

概要

背景

従来、医薬品、化粧品、及び食品着色料として、様々な色素が用いられている。
近代合成色素発達により天然色素の使用は減少する傾向にあったが、近年では、自然志向の高まりと共に、再び、天然色素が好まれるようになっている。
しかし、天然色素は、動植物等の天然物から抽出及び精製を行って得られるものであるので、天然物に含まれるタンパク質等の残存が問題になることがある。

従来から医薬品や食品等の着色料として広く用いられている天然酸性色素であるコチニール色素は、メキシコ、中央アメリカ及び米国の砂漠地帯に産するサボテン科のベニコイジク(Nopalea coccinellifera)等に寄生するカイガラムシエンジムシ(Coccus cacti L.)の雌の体内に含まれる赤色色素由来する。このため、コチニール色素は、前記エンジムシを原料としてその乾燥体を水又はアルコールで抽出して調製されている。コチニール色素の主要な色素成分は、カルミン酸である。

前記の如く昆虫を原料として調製されるコチニール色素には、夾雑タンパク質が含まれており、これがアレルゲンとして、アレルギーを引き起こす可能性がある、という報告がなされている(非特許文献1)。
そして、コチニール色素が含有するアレルゲンとして、23kD、28kD、38kD及び50kDのタンパク質が報告されている。(非特許文献1〜4)

本願出願人は、この点に鑑み、アレルギーの原因となるエンジムシ由来の特定のタンパク質(分子量6,000以上のタンパク質)を除去する方法を開発し、これを開示した(特許文献1、特許文献2)。

ところで、コチニール色素中のタンパク質の量は、食品添加物公定書第8版(厚生労働省)において、セミミクロケルダール法での測定値として、2.2%以下でなければならないと定められている。
従来、このようなコチニール色素は、アレルギー症状の原因とはならないと考えられている。

しかし、2012年に、消費者は、これまで独立行政法人国民生活センター地方自治体消費生活センター等にはコチニール色素を原因とするアレルギー症状の事例は寄せられていないとしながらも、コチニール色素を含む飲料と急性アレルギー反応に関する国内の研究情報が消費者庁に提供されたことを受けて、コチニール色素に関する注意喚起を行った。

従来から飲料等の着色料として広く用いられている天然酸性色素であるアントシアニン色素は、例えば、アブラナ科の赤キャベツ紫キャベツ)(Brassica oleracea L.var. capitata DC)の主に葉部、又はツツジ科ブルーベリー類(Vaccinium sp.)の主に果皮部に由来する。
従来から飲料等の着色料として広く用いられている天然酸性色素であるベニバナ色素は、フラボノイド色素であり、キク科ベニバナ(Carthamus tinctorius L.)の主に花部に由来する。
アントシアニン色素、及びベニバナ色素を飲料等の着色料として用いた場合、これらが含有する夾雑タンパク質に起因して、飲料中沈殿が生じる場合がある。
アントシアニン色素中、及びベニバナ色素中の夾雑タンパク質の量は、従来、例えば、タンニン酸濁度法によって測定されている。
しかし、タンニン酸濁度法によって夾雑タンパク質の量が低いと判断された色素を用いた場合であっても、飲料中に沈殿が生じてしまう場合がある。

概要

本発明は、天然酸性色素中のタンパク質の精密な分析方法を提供することを課題とする。天然酸性色素中のタンパク質の分析方法であって、(1)タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類架橋物を用い、かつ移動相として5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液を用いるゲル濾過に付し、タンパク質を含有する可能性がある溶離液回収することを含む天然酸性色素試料の前処理段階A、及び(2)前記前処理段階Aを経た前記天然酸性色素試料を分析する段階を含む分析方法。なし

目的

本発明は、天然酸性色素中に含有されるタンパク質(特に、アレルゲンタンパク質)の精密な分析が可能な分析方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

天然酸性色素中のタンパク質分析方法であって、(1)タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類架橋物を用い、かつ移動相として5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液を用いるゲル濾過に付し、タンパク質を含有する可能性がある溶離液回収することを含む天然酸性色素試料の前処理段階A、及び(2)前記前処理段階Aを経た前記天然酸性色素試料を分析する段階を含む分析方法。

請求項2

前記水性溶液のpHが7〜9の範囲内である請求項1に記載の分析方法。

請求項3

前記水性溶液のpHが7.5〜8.5の範囲内である請求項2に記載の分析方法。

請求項4

前記水性溶液の塩濃度が5〜55mMの範囲内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項5

前記水性溶液の塩濃度が10〜50mMの範囲内である請求項4に記載の分析方法。

請求項6

前記水性溶液がリン酸緩衝液である請求項1〜5のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項7

前処理段階Aの前に、更に、前記天然酸性色素試料を分画分子量3kD以上の限外濾過に付して、色素成分の少なくとも一部を除去する前処理段階Bを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項8

前記天然酸性色素試料が高い色価を有する場合に前処理段階Bを実施する請求項7に記載の分析方法。

請求項9

前記天然酸性色素試料が、コチニール色素試料、アントシアニン色素試料、又はベニバナ色素試料である請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析方法。

技術分野

0001

本発明は、天然酸性色素中のタンパク質分析方法に関する。

背景技術

0002

従来、医薬品、化粧品、及び食品着色料として、様々な色素が用いられている。
近代合成色素発達により天然色素の使用は減少する傾向にあったが、近年では、自然志向の高まりと共に、再び、天然色素が好まれるようになっている。
しかし、天然色素は、動植物等の天然物から抽出及び精製を行って得られるものであるので、天然物に含まれるタンパク質等の残存が問題になることがある。

0003

従来から医薬品や食品等の着色料として広く用いられている天然酸性色素であるコチニール色素は、メキシコ、中央アメリカ及び米国の砂漠地帯に産するサボテン科のベニコイジク(Nopalea coccinellifera)等に寄生するカイガラムシエンジムシ(Coccus cacti L.)の雌の体内に含まれる赤色色素由来する。このため、コチニール色素は、前記エンジムシを原料としてその乾燥体を水又はアルコールで抽出して調製されている。コチニール色素の主要な色素成分は、カルミン酸である。

0004

前記の如く昆虫を原料として調製されるコチニール色素には、夾雑タンパク質が含まれており、これがアレルゲンとして、アレルギーを引き起こす可能性がある、という報告がなされている(非特許文献1)。
そして、コチニール色素が含有するアレルゲンとして、23kD、28kD、38kD及び50kDのタンパク質が報告されている。(非特許文献1〜4)

0005

本願出願人は、この点に鑑み、アレルギーの原因となるエンジムシ由来の特定のタンパク質(分子量6,000以上のタンパク質)を除去する方法を開発し、これを開示した(特許文献1、特許文献2)。

0006

ところで、コチニール色素中のタンパク質の量は、食品添加物公定書第8版(厚生労働省)において、セミミクロケルダール法での測定値として、2.2%以下でなければならないと定められている。
従来、このようなコチニール色素は、アレルギー症状の原因とはならないと考えられている。

0007

しかし、2012年に、消費者は、これまで独立行政法人国民生活センター地方自治体消費生活センター等にはコチニール色素を原因とするアレルギー症状の事例は寄せられていないとしながらも、コチニール色素を含む飲料と急性アレルギー反応に関する国内の研究情報が消費者庁に提供されたことを受けて、コチニール色素に関する注意喚起を行った。

0008

従来から飲料等の着色料として広く用いられている天然酸性色素であるアントシアニン色素は、例えば、アブラナ科の赤キャベツ紫キャベツ)(Brassica oleracea L.var. capitata DC)の主に葉部、又はツツジ科ブルーベリー類(Vaccinium sp.)の主に果皮部に由来する。
従来から飲料等の着色料として広く用いられている天然酸性色素であるベニバナ色素は、フラボノイド色素であり、キク科ベニバナ(Carthamus tinctorius L.)の主に花部に由来する。
アントシアニン色素、及びベニバナ色素を飲料等の着色料として用いた場合、これらが含有する夾雑タンパク質に起因して、飲料中沈殿が生じる場合がある。
アントシアニン色素中、及びベニバナ色素中の夾雑タンパク質の量は、従来、例えば、タンニン酸濁度法によって測定されている。
しかし、タンニン酸濁度法によって夾雑タンパク質の量が低いと判断された色素を用いた場合であっても、飲料中に沈殿が生じてしまう場合がある。

0009

特許第4129577号公報
特許第4184148号公報

先行技術

0010

Lizaso, M. T. et al., Ann. Allergy Asthma Immunol., 84 (5), 549-552 (2000)
Chung K. et al., Allergy, 56, 73-77 (2001)
日本食品化学研究復興財団 第15回研究成果報告書, 95-99 (2009)
日本食品化学研究復興財団 第16回研究成果報告書, 46-52 (2010)

発明が解決しようとする課題

0011

前述の背景から、天然酸性色素中のタンパク質(特に、アレルゲンタンパク質、及び沈殿の原因となる夾雑タンパク質)の精密な分析(本明細書中、用語「分析」は、検出、及び定量を包含する。)が必要とされている。
前述のセミミクロケルダール法は、タンパク質そのものの量ではなく窒素の量の測定に基づく方法なので、その測定値としてのタンパク質の量は、実際のアレルゲンタンパク質の量に比べて極めて大きい。従って、コチニール色素中のタンパク質を所定量以下に制限すれば、アレルゲンタンパク質の量は、それよりも著しく少量になる。このことは、コチニール色素中に含有されるアレルゲンタンパク質の量を低く抑える目的に合致している。
しかし、このことから同時に理解されるように、セミミクロケルダール法は、アレルゲンタンパク質の定量、及び個々のアレルゲンタンパク質の検出のようなタンパク質の精密な分析を行うことには適さない。
一般に、タンパク質の精密な分析法においては、高精度の定量法であるブラッドフォード法(Bradford法)、及びタンパク質を分子量によって分離できるSDS−Page法が利用されている。
しかし、コチニール色素の主要な色素成分であるカルミン酸は、当該ブラッドフォード法及びSDS−Page法に原理的に干渉するので、従来、コチニール色素中に含有されるアレルゲンタンパク質の分析にこれらの方法を利用することはできなかった。従って、この問題は、色価が高いコチニール色素において顕著である。
一方、酵素免疫定量(ELISA)法によれば、ブラッドフォード法及びSDS−Page法等の方法を利用しなくても、単一又は複数のアレルゲンの精密な分析を行うことは可能であるが、当該方法は、各アレルゲンに特異的な抗体を用いる方法なので、複数の種類のアレルゲンタンパク質を総合的又は網羅的に簡便に分析することには適さない。

0012

また、タンニン酸濁度法は色素中の夾雑タンパク質の量を正確に測定できる方法でない。このことが、タンニン酸濁度法によって夾雑タンパク質の量が低いと判断された色素を用いた場合であっても、飲料中に沈殿が生じてしまう場合があることの一因であると考えられる。

0013

従って、本発明は、天然酸性色素中に含有されるタンパク質(特に、アレルゲンタンパク質)の精密な分析が可能な分析方法を提供することを目的とする。また、本発明は、天然酸性色素中に含有されるタンパク質(特に、コチニール色素中に含有されるアレルゲンタンパク質、並びにアントシアニン色素、及びベニバナ色素中に含有される、沈殿の原因となる夾雑タンパク質)の総合的又は網羅的かつ簡便な分析が可能な分析方法を提供することを更なる目的とする。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らは、鋭意検討の結果、天然酸性色素(例、コチニール色素、アントシアニン色素、及びベニバナ色素)試料を所定のゲル濾過処理に付すこと(前処理段階A)によって、コチニール色素中に含有されるタンパク質を天然酸性色素の色素成分から分離できることを見出し、及びこのことにより、天然酸性色素試料から、当該タンパク質の分析に干渉する色素成分を、当該タンパク質の精密な分析が可能になる程度まで除去できること、言い方を換えれば、分析の対象であるタンパク質を選択的に集められることを見出した。
ここで、本発明者らの検討により、天然酸性色素の色価が高い場合は、前処理段階Aのみでは当該分離が不充分である問題が明らかになったが、本発明者らは、更に、このように特に色価が高い天然酸性色素試料の場合でも、前処理段階Aに先立ち、所定の限外濾過処理(前処理段階B)によって、前記分離が可能になることを見出した。
本発明者らは、かかる知見に基づき、更なる研究の結果本発明を完成するに至った。

0015

本発明は、次の態様を含む。

0016

項1.天然酸性色素試料中のタンパク質の分析方法であって、
(1)タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類架橋物を用い、かつ移動相として5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液を用いるゲル濾過に付し、タンパク質を含有する可能性がある溶離液回収することを含む天然酸性色素試料の前処理段階A、及び
(2)前記前処理段階Aを経た前記天然酸性色素試料を分析する段階
を含む分析方法。
項2. 前記水性溶液のpHが7〜9の範囲内である項1に記載の分析方法。
項3.
前記水性溶液のpHが7.5〜8.5の範囲内である項2に記載の分析方法。
項4. 前記水性溶液の塩濃度が5〜55mMの範囲内である項1〜3のいずれか1項に記載の分析方法。
項5. 前記水性溶液の塩濃度が10〜50mMの範囲内である項4に記載の分析方法。
項6. 前記水性溶液がリン酸緩衝液である項1〜5のいずれか1項に記載の分析方法。
項7. 前処理段階Aの前に、更に、前記天然酸性色素試料を分画分子量3kD以上の限外濾過に付して、色素成分の少なくとも一部を除去する前処理段階Bを含む
項1〜6のいずれか1項に記載の分析方法。
項8. 前記天然酸性色素試料が高い色価を有する場合に前処理段階Bを実施する
項7に記載の分析方法。
項9. 前記天然酸性色素試料が、コチニール色素試料、アントシアニン色素試料、又はベニバナ色素試料である項1〜8のいずれか1項に記載の分析方法。
項10.タンパク質分析用の天然酸性色素試料の調製方法であって、
タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類の架橋物を用い、かつ移動相として5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液を用いるゲル濾過に付し、タンパク質を含有する可能性がある溶離液を回収するゲル濾過段階
を含む調製方法。
項11. 前記水性溶液のpHが7〜9の範囲内である項10に記載の調製方法。
項12. 前記水性溶液のpHが7.5〜8.5の範囲内である項11に記載の調製方法。
項13. 前記水性溶液の塩濃度が5〜55mMの範囲内である項10〜12のいずれか1項に記載の調製方法。
項14. 前記水性溶液の塩濃度が10〜50mMの範囲内である項13に記載の調製方法。
項15. 前記水性溶液がリン酸緩衝液である項10〜14のいずれか1項に記載の調製方法。
項16. 前記ゲル濾過段階の前に、更に、前記天然酸性色素試料を分画分子量3kD以上の限外濾過に付して、天然酸性色素を除去する限外濾過段階を含む
項10〜15のいずれか1項に記載の調製方法。
項17. 前記天然酸性色素試料が高い色価を有する場合に前記限外濾過段階を実施する
項16に記載の調製方法。
項18. 項10〜17のいずれか1項に記載の調製方法で得られたタンパク質分析用の天然酸性色素試料を分析することを含む
天然酸性色素試料中のタンパク質の調製方法。
項19.前記天然酸性色素試料が、コチニール色素試料、アントシアニン色素試料、又はベニバナ色素試料である項10〜18のいずれか1項に記載の調製方法。
項20.
天然酸性色素中のタンパク質の分析のための天然酸性色素試料の前処理方法であって、
タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類の架橋物を用い、かつ移動相として5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液を用いるゲル濾過に付し、タンパク質を含有する可能性がある溶離液を回収するゲル濾過段階
を含む前処理方法。
項21. 前記水性溶液のpHが7〜9の範囲内である項20に記載の前処理方法。
項22. 前記水性溶液のpHが7.5〜8.5の範囲内である項21に記載の前処理方法。
項23. 前記水性溶液の塩濃度が5〜55mMの範囲内である項20〜22のいずれか1項に記載の前処理方法。
項24. 前記水性溶液の塩濃度が10〜50mMの範囲内である項23に記載の前処理方法。
項25. 前記水性溶液がリン酸緩衝液である項20〜24のいずれか1項に記載の前処理方法。
項26. 前記ゲル濾過段階の前に、更に、前記天然酸性色素試料を分画分子量3kD以上の限外濾過に付して、天然酸性色素を除去する限外濾過段階を含む
項20〜25のいずれか1項に記載の前処理方法。
項27. 前記天然酸性色素試料が高い色価を有する場合に前記限外濾過段階を実施する
項24に記載の前処理方法。
項28. 項20〜26のいずれか1項に記載の調製方法で得られたタンパク質分析用の天然酸性色素試料を分析することを含む
天然酸性色素試料中のタンパク質の前処理方法。

発明の効果

0017

本発明によれば、天然酸性色素中のタンパク質(特に、アレルゲンタンパク質)の精密な分析方法が提供される。更に、本発明によれば、天然酸性色素中のタンパク質(特に、アレルゲンタンパク質)の総合的又は網羅的かつ簡便な分析が可能な分析方法が提供される。

図面の簡単な説明

0018

コチニール色素試料のSDS−PAGEのゲル写真である。
アントシアニン色素試料(赤キャベツ色素試料)のSDS−PAGEのゲルの写真である。
ベニバナ色素試料のSDS−PAGEのゲルの写真である。

0019

本明細書中、「天然酸性色素」とは、色素成分を含有する動植物試料及びその破砕物粉砕物、もしくは乾燥物に適量の水を加え、得られる水抽出液のpHが7未満(好ましくは、6以下、より好ましくは、4以下)である色素である。当該pHの下限は、限定されないが、通常1である。ここで、適量の水とは、例えば、「動植物試料及びその破砕物、粉砕物、もしくは乾燥物」の重量の10倍量(重量)の水であることができる。
「天然酸性色素」としては、例えば、「コチニール色素」、「アントシアニン色素」、及び「ベニバナ色素」が挙げられる。
本明細書中、「コチニール色素」は、カイガラムシ科エンジムシ(Coccus cacti L.)から得られた色素である。
コチニール色素の主要な色素成分は、カルミン酸である。
本明細書中、「アントシアニン色素」としては、例えば、アブラナ科の赤キャベツ(紫キャベツ)(Brassica oleracea L. var. capitata DC)から得られた色素、及びツツジ科のブルーベリー類(Vaccinium sp)が挙げられる。
アントシアニン色素(例、赤キャベツ色素、ブルーベリー色素)の主要な色素成分は、シアニジンアシグルコシドである。
本明細書中、「ベニバナ色素」は、キク科のベニバナ(Carthamus tinctorius L.)に由来するフラボノイド色素である。
「ベニバナ色素」としては、例えば、ベニバナ黄色素、及びベニバナ赤色素が挙げられる。
ベニバナ黄色素の主要な色素成分は、フラボノイドであるサフロミン(例、サフロミン−A)である。
ベニバナ赤色素の主要な色素成分は、フラボノイドであるカルタミンである。
本明細書中、「天然酸性色素試料」、並びに「コチニール色素試料」、「アントシアニン色素試料」、及び「ベニバナ色素試料」とは、本発明の分析方法に供される当該色素の試料の他に、本発明の分析方法における各段階を経た試料を意味する場合がある。これらの意味は、その前後の文脈によって理解される。

0020

天然酸性色素試料中のタンパク質の分析方法
本発明の天然酸性色素試料中のタンパク質の分析方法は、
(1)タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類の架橋物を用い、かつ移動相として5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液を用いるゲル濾過に付し、タンパク質を含有する可能性がある溶離液を回収することを含む天然酸性色素試料の前処理段階A、及び
(2)前記前処理段階Aを経た前記天然酸性色素試料を分析する段階(分析段階
を含む。

0021

前処理段階A
前処理段階Aでは、タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類の架橋物を用い、かつ移動相として5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液を用いるゲル濾過に付し、タンパク質を含有する可能性がある溶離液を回収する。

0022

本発明の分析方法の分析対象は、天然酸性色素試料中のタンパク質である。
当該分析対象であるタンパク質は、好ましくは、前記天然酸性色素に共有結合していないタンパク質である。
本発明の分析方法の分析対象がコチニール色素中のタンパク質である場合、当該タンパク質は、通常、エンジムシ(Coccus cacti L.)由来のタンパク質である。
本発明の分析方法の分析対象がアントシアニン色素試料中のタンパク質である場合、当該タンパク質は、例えば、赤キャベツ(Brassica oleracea L. var. capitata DC)の主に葉部由来のタンパク質、及び/又はブルーベリー類(Vaccinium sp.)の主に果皮部由来のタンパク質である。
本発明の分析方法の分析対象がベニバナ色素試料中のタンパク質である場合、当該タンパク質は、通常、ベニバナ(Carthamus tinctorius L.)の主に花部に由来するタンパク質である。
本発明の分析方法に供される試料は、通常、タンパク質を含有する天然酸性色素試料(例、コチニール色素試料、アントシアニン色素試料、及びベニバナ色素試料)であるが、本発明の分析方法は、天然酸性色素試料がタンパク質を含有しないこと(又は、タンパク質の含有量検出限界以下であること)を確認する目的でも利用できる。
従って、本発明の分析方法は、タンパク質を含有する可能性がある、あらゆる天然酸性色素試料に適用できる。

0023

前処理段階Aのゲル濾過においては、固定相としてデキストラン及びその誘導体、並びにアガロース及びその誘導体から選択される1種以上の多糖類の架橋物が用いられる。すなわち、当該ゲル濾過におけるゲルは、当該架橋物のゲルである。
当該架橋物の好ましい例は、1−クロロ−2,3−エポキシプロパン架橋デキストランゲルを包含する。

0024

前処理段階Aのゲル濾過においては、移動相として、5mM以上の塩濃度及び1.5〜9の範囲内のpHを有する水性溶液が用いられる。
当該移動相としての水性溶液のpHは、好ましくは7〜9の範囲内であり、より好ましくは7.5〜8.5の範囲内である。
当該pHがこのような範囲内であることにより、前処理段階Aのゲル濾過において、天然酸性色素試料中の色素成分とタンパク質とが充分に分離される。
pHの調整は、酸性物質塩基性物質、及び緩衝剤(例、リン酸緩衝剤)等の添加のような慣用の用法により行えばよい。これらの物質は、1種単独で、又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
当該移動相としての水性溶液の塩濃度は、好ましくは5〜55mMの範囲内であり、より好ましくは10〜50mMの範囲内である。
当該塩濃度がこのような範囲内であることにより、前処理段階Aのゲル濾過において、天然酸性色素試料中の色素成分とタンパク質とが充分に分離される。
塩濃度の調整は、塩の添加のような慣用の用法により行えばよい。当該塩の例は、NaCl、及び緩衝剤(例、リン酸緩衝剤)を含む。これらの物質は、1種単独で、又は2種以上の組み合わせで用いることができる。

0025

前記水性溶液は、好ましくは、リン酸緩衝液である。これにより、塩濃度とpHとを同時に好適な範囲内に調整できる。リン酸緩衝液は、リン酸緩衝剤を含有する。リン酸緩衝液は、塩濃度の調整のため、更に塩(例、塩化ナトリウム)を含有してもよい。

0026

前処理段階Aのゲル濾過は、一般的なゲル濾過の方法と同様に実施すればよい。
具体的には、天然酸性色素試料を固定相であるゲルに負荷し、当該ゲルに移動相を通して、溶出液を回収する。
前記固定相は、好ましくは、天然酸性色素の負荷の前に、前記移動相に用いられる水性溶液と同じ組成の水性溶液を用いて平衡化される。

0027

通常、天然酸性色素は、粉末、塊、液体又はペースト状である。天然酸性色素試料は、例えば、これらの形態、その水溶液の形態、又はその懸濁液の形態でゲルに負荷できるが、好ましくは、その水溶液の形態、又はその懸濁液の形態で、前処理段階Aに付される。すなわち、天然酸性色素試料は、水性溶液中に溶かされ、または懸濁されて、前処理段階Aに付される。当該水性溶液の好適な例は、前記で説明した移動相としての水性溶液を含む。

0028

当該ゲル濾過において、天然酸性色素に含有されるタンパク質は、天然酸性色素の色素成分よりも先に溶出する傾向がある。
この傾向に基づき、タンパク質を含有する画分(又はタンパク質を含有する可能性がある画分)を選択して集めることにより、天然酸性色素試料から、当該タンパク質の分析に干渉する色素成分を、当該タンパク質の精密な分析が可能になる程度まで除去できる。
すなわち、前処理段階Aを経た天然酸性色素試料は、元の天然酸性色素試料に比べて、タンパク質含有量に対する色素成分含有量が減少している。

0029

前処理段階B
天然酸性色素試料の色価が高い場合、前処理段階Aのみでは、天然酸性色素試料から、天然酸性色素中のタンパク質の分析に干渉する色素成分を、当該タンパク質の精密な分析が可能になる程度まで除去できない場合がある。
ここで、「天然酸性色素試料の色価が高い場合」とは、例えば、色価が20以上の場合、又は色価が40以上の場合であることができる。
「天然酸性色素試料の色価が高い場合」は、色素の種類に応じて設定できる。
例えば、天然酸性色素試料がコチニール色素である場合、「天然酸性色素試料の色価が高い場合」とは、色価が40以上の場合であることができる。
また、例えば、天然酸性色素試料が、アントシアニン色素である場合、色価が20以上の場合であることができる。
また、例えば、天然酸性色素試料が、ベニバナ色素である場合、色価が20以上の場合であることができる。
この場合、天然酸性色素試料を分画分子量3kD以上の限外濾過に付して、天然酸性色素試料中の色素成分の少なくとも一部(言い換えると、一部又は全部)を除去できる。すなわち、前処理段階Bを経た天然酸性色素試料は、元の天然酸性色素試料に比べて、タンパク質含有量に対する色素成分含有量が減少している。これにより、その後の前処理段階Aで、天然酸性色素中のタンパク質の分析に干渉する色素成分を、当該タンパク質の精密な分析が可能になる程度まで除去できるようになる。なお、前処理段階Bにおいて天然酸性色素の色素成分の全部が除去された場合、前処理段階Aを行う必要は無いが、その場合でも、前処理段階Aを行う場合は、本発明の範囲内である。
当該限外濾過は、限外濾過膜を用いて実施できる。
当該限外濾過においては、遠心等により、天然酸性色素を含有する液の限外濾過膜の通過を促進させられる。当該遠心の条件は、技術常識により適当に設定できるが、例えば、4000×g、40分間程度である。
天然酸性色素が含有するタンパク質は、限外濾過膜を通過せずに、当該限外濾過膜の上の天然酸性色素試料中に残る。
好ましくは、天然酸性色素試料にリン酸緩衝液を加えて限外濾過を繰り返すことにより、天然酸性色素試料を洗浄すること、言い換えれば、色素成分を更に除去することができる。当該洗浄は、例えば、色価が高くなくなるまで(すなわち、例えば、色価が40未満になるまで、又は色価が20未満になるまで)繰り返すことが好ましく、具体的には、例えば、4〜5回繰り返される。
当該限外濾過は、例えば、限外濾過膜を備え、限外濾過に使用できる市販の遠心式ろ過ユニット(例、Amicon−15(商品名、ミリポア社))を用いて、その説明書の記載に従って実施できる。

0030

前処理段階Bは、例えば、天然酸性色素試料の色価が高い場合(例、色価が40以上である場合、色価が20以上である場合)に実施するように分析のスキームを定めてもよいが、天然酸性色素試料の色価に限らず実施してもよい。
なお、本明細書中、色価とは、着色料溶液可視部での極大吸収波長における吸光度を測定し、10w/v%溶液の吸光度に換算した数値であり、色価は、好適には、第8版食品添加物公定書に記載の方法に従って、測定される。

0031

タンパク質の分析段階
必要に応じて、所望により、タンパク質の分析段階の前の適当な段階、好ましくは、前処理段階Aの後に、タンパク質を含有する可能性がある天然酸性色素試料を濃縮してもよい。当該濃縮は、限外濾過等の慣用の方法により実施すればよい。当該限外濾過は、例えば、限外濾過に使用できる市販の遠心式ろ過ユニット(例、Amicon−4(商品名、ミリポア社))を用いて、その説明書の記載に従って実施できる。

0032

タンパク質の分析は、その目的に応じて、適当な方法を選択して実施すればよい。例えば、前記前処理A後(又は、前記前処理B及びA後)の天然酸性色素試料は、高精度の定量法であるブラッドフォード法(Bradford法)、及びタンパク質を分子量によって分離できるSDS−Page法に干渉する色素成分が低減されているので、これら方法を包含する、タンパク質の分析に利用される任意の方法の1種以上を用いて、天然酸性色素中のタンパク質の高精度の分析が可能である。本発明の分析方法には、好ましくは、ブラッドフォード法(Bradford法)、SDS−Page法、又はその両方が用いられる。

0033

タンパク質分析用の天然酸性色素試料の調製方法、及び天然酸性色素中のタンパク質の分析のための天然酸性色素試料の前処理方法
本発明は、別の側面では、タンパク質分析用の天然酸性色素試料の調製方法、又は天然酸性色素中のタンパク質の分析のための天然酸性色素試料の前処理方法であることができる。これらの方法は、前記分析方法において説明した前処理方法と同様に実施できる。

0034

以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0035

1)天然酸性色素抽出液の調製および色価の測定
カイガラムシ科エンジムシ(Coccus cacti L.)の虫体乾燥粉末10gに対し、水100mLを加え、室温下で60分間攪拌抽出し、ろ紙(ADVANTEC 5A(110mm)、東洋濾紙株式会社)でろ過した抽出液をコチニール色素抽出液とした。
本抽出液の主色素成分はアントラキノン系カルミン酸である。
アントシアニン色素(赤キャベツ色素):アブラナ科の赤キャベツ(Brassica oleracea L. var. capitata DC)の葉部10gに対し、水100 mLを加え、室温下で60分間撹拌抽出し、ろ紙でろ過した抽出液をアントシアニン色素抽出液とした。本抽出液の主色素成分はシアニジンアシルグリコシドである。
ベニバナ色素(ベニバナ黄色素):キク科のベニバナ(Carthamus tinctorius L.)の花部乾燥物10gに対し、水100mLを加え、室温下で60分間撹拌抽出し、ろ紙でろ過した抽出液をベニバナ色素抽出液とした。
本抽出液の主色素成分はフラボノイドであるサフロミンである。
色素抽出液を0.1N塩酸水で適度に希釈し、可視部での最大吸収波長(410nm)における吸光度を測定した。当該吸光度を10w/v%溶液の吸光度に換算した値を色価とした。

0036

様々な色価(0.31、0.63、1.25、2.5、5、10、20、又は40)のコチニール色素抽出液を用いた予備的検討により、コチニール色素抽出液の色価が2.5を超える場合、その色素成分によってタンパク定量(Bradford法)が干渉を受けることを確認した(表1参照)。更に、アントシアニン色素、及びベニバナ色素についても、色価が2.5を超える場合、その色素成分によってタンパク定量(Bradford法)が干渉を受けることを確認した。

0037

2.5を超える様々な色価(色価:10、20、30、40、50、60、70、80)のコチニール色素抽出液について、以下に示す前処理段階Aを実施した。

0038

2)前処理段階A
ゲル濾過カラムとして、1−クロロ−2,3−エポキシ−プロパン架橋デキストランゲル8.3mLをカラム1.45×5.0cmに充填した市販のゲルろ過クロマトグラフィーカラム(PD−10カラム/GEヘルスケア社、商品名)を用いた。
同カラムを予め50mMリン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化し、コチニール色素抽出液1mLを負荷した。
次いで、50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を当該カラムに注入し、溶出液を1mLずつ13画分、分取した。
各タンパク溶出画分を、それぞれ、分子量3kDでの分画性能をもつ再生セルロースメンブレン限外ろ過ユニット(Amicon Ultra/Merck社、商品名を用いて1mLに濃縮した。
当該濃縮溶液の一部をBradford法によるタンパク質定量に供し、各画分におけるタンパク質の有無を評価した。その結果、タンパク質溶出画分はNo.4〜8の画分であった。一方、タンパク質定量を妨害する色素成分の溶出は、No.9以降の画分であった。色素成分の溶出は、吸光度(620nm)(有効数字2桁)によって検出した(吸光度測定ブランクとしては、50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を用いた)。
表1中、色価について、表中の記号は、以下のことを示す。
− :吸光度が0.00
± :吸光度が0.01以上0.10未満
+ :吸光度が0.10以上0.40未満
++:吸光度が0.40以上
ここで、画分の吸光度が0.01以上0.10未満の場合、当該画分はコチニールを含有するが、この程度の小量であれば、タンパク質の分析へのコチニール色素の干渉は無視できる。
すなわち、表1から理解されるように、コチニール色素抽出液の色価の上限が10〜40の場合、当該前処理により、コチニール色素抽出液中のタンパク質を、その分析に干渉する色素成分から分離できること、及び、このことにより、当該タンパク質の分析に干渉する色素成分を、当該タンパク質の精密な分析が可能になる程度まで除去できること、が確認された。
このことは、逆に言えば、当該処理でコチニール色素成分からタンパク質を分離可能なコチニール色素抽出液の色価の上限は40であったことを意味する。

0039

0040

アントシアニン色素、及びベニバナ色素についても、同様の試験を行った結果、タンパク質を分離可能な色素抽出液の色価の上限は、いずれも20であった。

0041

色価が40を超えるコチニール色素抽出液について、以下の前処理段階Bを実施した。
3)前処理段階B
分画分子量3kDの限外ろ過ユニット(商品名:Amicon−15、ミリポア社)を用いて、色価が40を超えるコチニール色素抽出液を、色価が40以下となるように限外濾過(4,000×g、40分間を4〜5回)し、前処理段階Aに供した。

0042

なお、前処理段階Aと、前処理段階B及びAと、において、市販の標準タンパク混合品(Precision Plus Protein Standards/BioRad社:商標)を用いて、添加回収試験を行なった結果、当該タンパク質の回収率は84%以上であり、充分に高かった。(前処理段階Aのみで90%、前処理段階B及びAで84%)

0043

一方、アントシアニン色素、及びベニバナ色素について、それぞれ、色価が20を超え色素抽出液について、コチニール色素抽出液と同様に、前処理段階Bを実施した。

0044

3)タンパク質の定量
前記前処理段階Aを経た試料(前処理段階B及びAを経なかった試料)、又は前処理段階B及びAを経た試料を、50mMリン酸緩衝液(pH8.0)で適度に希釈し、Bradford法(Anal. Biochem., 72, 248 (1976).)に従い、タンパク質の定量を行った。検量線作成には、標準タンパクに牛血清アルブミン水溶液を用いた。
その結果、コチニール色素抽出液中のタンパク質の量は、110μg/mLであった。
当該定量を繰り返した結果、このように前処理段階B及びAを経た試料をBradford法により分析した場合、コチニール色素抽出液(前処理段階BもAも経ていない試料)を従来のタンパク定量法(食品添加物公定書第8版(厚生労働省)に記載の方法に従って分析した場合に比べて、再現性がより高かった。

0045

また、アントシアニン色素、及びベニバナ色素について、それぞれ、同様にタンパク質の定量を行った結果、アントシアニン色素抽出液中のタンパク質の量は、250g/mLであり、及びベニバナ色素抽出液中のタンパク質の量は、100μg/mLであった。

0046

4)タンパク質の検出
前処理段階B及びAを経た試料、及びコチニール色素抽出液(前処理段階BもAも経ていない試料)について、次のようにSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を実施した。
試料100μlに、Laemmliサンプルバッファー(BioRad社、商品名)95μl、及び2−メルカプトエタノール5μlを加え、及び5分間煮沸して、SDS−ポリアクリルアミドゲルに負荷する試料を得た。電気泳動の条件はLaemmli法(Nature,227,680(1970))に従った(当該条件を後記した。)。電気泳動後のゲルの染色は、慣用の方法であるCBB染色法によって実施した。
泳動ゲルのCBB染色法結果を図1に示す(図1左:前処理段階Bも前処理段階Aも行わなかった試料。図1右:前処理段階B及び前処理段階Aを行った試料)。前処理段階B及び前処理段階Aを行った試料の場合、アレルゲンとして報告されている17、23、28、38、及び50kDの各タンパク質のバンドが明瞭に観察されたが、前処理段階Bも前処理段階Aも行わなかった試料の場合、バンドがスメアになり、各タンパク質の検出が行えなかった。
電気泳動条件
・ゲル:10〜20%ポリアクリルアミドゲル(TEFCO社、商品名)
泳動条件:200V定圧、約40分
電気泳動用緩衝液:10×Tris/Glycine/SDSプレミックスバッファー(BioRad社、商品名)を超純水で10倍希釈した。
分子量マーカー:Precision Plus Protein Standards(BioRad社、商品名)
試料負荷量: 3μg protein/10μl/well

実施例

0047

また、アントシアニン色素、及びベニバナ色素についても、それぞれ、前処理段階B及びAを経た試料、及び色素抽出液(前処理段階BもAも経ていない試料)について、同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を実施した。
アントシアニン色素についての泳動ゲルのCBB染色法結果を図2に示す(図2左:前処理段階Bも前処理段階Aも行わなかった試料。図2右:前処理段階B及び前処理段階Aを行った試料)。前処理段階B及び前処理段階Aを行った試料の場合、タンパク質のバンドが明瞭に観察されたが、前処理段階Bも前処理段階Aも行わなかった試料の場合、バンドがスメアになり、各タンパク質の検出が行えなかった。
ベニバナ色素についての泳動ゲルのCBB染色法結果を図3に示す(図3左:前処理段階Bも前処理段階Aも行わなかった試料。図3右:前処理段階B及び前処理段階Aを行った試料)。前処理段階B及び前処理段階Aを行った試料の場合、タンパク質のバンドが明瞭に観察されたが、前処理段階Bも前処理段階Aも行わなかった試料の場合、バンドがスメアになり、特定のタンパク質としての検出が行えなかった。

0048

本発明は、天然酸性色素中のタンパク質の分析に利用できる。

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