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技術 焼酎廃水を培地として使用するスクワレン産生藻類の培養方法

出願人 国立大学法人筑波大学JFEエンジニアリング株式会社
発明者 渡邉信彼谷邦光米澤夏岐辻猛志
出願日 2013年7月5日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2013-142143
公開日 2015年1月22日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 2015-012842
状態 特許登録済
技術分野 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 生物学的処理一般 嫌気,嫌気・好気又は生物に特徴ある処理
主要キーワード 埋蔵資源 特定気体 生廃棄物 弱極性溶媒 食品廃液 還元カラム ミクロキスティス Cガラス
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

焼酎排水の有効利用が図るとともに、スクワレン産生藻類増殖速度を増大させることでスクワレン製造の効率化を図る方法の提供。

解決手段

適切に調整した焼酎排水を培地として使用する、スクワレン産生藻類の培養方法、適切に調整した焼酎排水を培地として使用する、スクワレン産生藻類によるスクワレン製造方法、並びにスクワレン産生藻類を利用した焼酎排水の浄化方法であって、適切に調整した焼酎排水中でスクワレン産生藻類を増殖させることにより、焼酎排水の栄養分を減少させることを特徴とする、焼酎排水の浄化方法を提供する。

概要

背景

生物細胞が産生する産物からバイオマス、特にバイオ燃料を取得する技術は、近年、地球温暖化又は埋蔵資源枯渇等の問題に対する取組みとして注目を集めている。このバイオマスの中でも、微細藻類が産生する炭化水素トリアシルグリセロールオイル又は多糖類は、食料競合せず、大量培養が可能であることから、工業的利用の期待が高く、微細藻類からのバイオ燃料やその他の有用成分の獲得が有望視されている。しかしながら、工業的規模藻類の大量培養を行うには、運転コスト培地に用いる大量の水資源および栄養塩の確保等の経済的な問題点を解決せねばならない。

例えば、バイオマス生産に利用される従属栄養微生物であるオーラチオキトリウム(Aurantiochytrium)属の藻類の増殖には、栄養分に富んだ培地を必要とする。かかる藻類の培養に通常利用されるGTY培地(グルコース2%、トリプトン1%、酵母抽出物0.5%、人工海水8.5‰)は高価であり、コスト面から見ても工業的大量調製には向かない。

一方で、人口増加産業発展に伴い年々産業廃水の排出量は増加しており、水不足が深刻化している今、これらの産業廃水を資源として再利用しようと様々な取り組みが成されている。藻類は廃水中に含まれる栄養塩を吸収して増殖することが可能であるため、藻類培養に廃水を用いることで、低コスト省エネルギー、そして二酸化炭素排出量の削減を実現した藻類バイオマス生産が可能と考えられる。

概要

焼酎排水の有効利用がるとともに、スクワレン産生藻類の増殖速度を増大させることでスクワレン製造の効率化をる方法の提供。適切に調整した焼酎排水を培地として使用する、スクワレン産生藻類の培養方法、適切に調整した焼酎排水を培地として使用する、スクワレン産生藻類によるスクワレン製造方法、並びにスクワレン産生藻類を利用した焼酎排水の浄化方法であって、適切に調整した焼酎排水中でスクワレン産生藻類を増殖させることにより、焼酎排水の栄養分を減少させることを特徴とする、焼酎排水の浄化方法を提供する。

目的

本発明は、焼酎廃水を培地として使用する、スクワレン産生藻類、特にオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属の藻類であるスクワレン産生藻類の培養方法、焼酎廃水を培地としたスクワレン産生藻類によるスクワレン製造方法、さらにはスクワレン産生藻類を利用した焼酎廃水の浄化方法、を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
0件

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請求項1

焼酎廃水培地として使用する、スクワレン産生藻類培養方法

請求項2

前記スクワレン産生藻類が従属栄養性藻類である、請求項1に記載の培養方法。

請求項3

前記スクワレン産生藻類が、オーラチオキトリウム(Aurantiochytrium)属の株である、請求項1又は2のいずれかに記載の培養方法。

請求項4

前記スクワレン産生藻類が、オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W-13aである、請求項3に記載の培養方法。

請求項5

前記焼酎廃水が、遠心分離及び/又は濾過により清澄される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の培養方法。

請求項6

前記焼酎廃水に、糖質有機酸無機酸、有機塩基無機塩基ビタミンアミノ酸ペプチドタンパク質ミネラルのいずれか1つ以上が添加される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養方法。

請求項7

前記焼酎廃水に、NaCl、KCl、CaCl2・H2O、MgSO4・7H2O及びMgCl2・6H2Oの1つ以上の塩類が、合計で5〜34‰(g/培地L)の量で添加される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の培養方法。

請求項8

前記塩類の添加量が合計で7〜10‰(g/培地L)である、請求項7に記載の培養方法。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載の培養方法で培養したスクワレン産生藻類を回収し、当該回収されたスクワレン産生藻類からスクワレンを抽出する、スクワレン製造方法。

請求項10

焼酎排水を請求項1〜8のいずれか1項に記載の培養方法で藻類の培地として使用することによる、焼酎排水を浄化する方法。

技術分野

0001

本発明は、焼酎廃水培地として使用する、スクワレン産生藻類、特にオーラチオキトリウム(Aurantiochytrium)属の藻類であるスクワレン産生藻類の培養方法、焼酎廃水を培地としたスクワレン産生藻類によるスクワレン製造方法、さらにはスクワレン産生藻類を利用した焼酎廃水の浄化方法、を提供する。

背景技術

0002

生物細胞が産生する産物からバイオマス、特にバイオ燃料を取得する技術は、近年、地球温暖化又は埋蔵資源枯渇等の問題に対する取組みとして注目を集めている。このバイオマスの中でも、微細藻類が産生する炭化水素トリアシルグリセロールオイル又は多糖類は、食料競合せず、大量培養が可能であることから、工業的利用の期待が高く、微細藻類からのバイオ燃料やその他の有用成分の獲得が有望視されている。しかしながら、工業的規模で藻類の大量培養を行うには、運転コストや培地に用いる大量の水資源および栄養塩の確保等の経済的な問題点を解決せねばならない。

0003

例えば、バイオマス生産に利用される従属栄養微生物であるオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属の藻類の増殖には、栄養分に富んだ培地を必要とする。かかる藻類の培養に通常利用されるGTY培地(グルコース2%、トリプトン1%、酵母抽出物0.5%、人工海水8.5‰)は高価であり、コスト面から見ても工業的大量調製には向かない。

0004

一方で、人口増加産業発展に伴い年々産業廃水の排出量は増加しており、水不足が深刻化している今、これらの産業廃水を資源として再利用しようと様々な取り組みが成されている。藻類は廃水中に含まれる栄養塩を吸収して増殖することが可能であるため、藻類培養に廃水を用いることで、低コスト省エネルギー、そして二酸化炭素排出量の削減を実現した藻類バイオマス生産が可能と考えられる。

0005

:特開2007−274980号公報
:特開2009−100740号公報
:特開2007−002637号公報
:特開2007−181457号公報

先行技術

0006

: Journal of Bioscience and Bioengineering Vol. 102, No.4, 323−327. 2006
:BioScience, Biotechnology, and Biochemistry 75, 2246−2248

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の目的は、バイオマス産生藻類の大量培養のための新たな手段の提供にある。

0008

バイオマス産生藻類の大量培養が可能な栄養に富む産業廃水として、例えば食品廃水が考えられる。食品廃液の水分を濾過蒸留等により除去して残留した固形物動物飼料の材料とする(例えば特許文献1:特開2007−274980、特許文献2:特開2009−100740等)ことや、土木資材に利用する(例えば特許文献3:特開2007−002637、特許文献4:特開2007−181457等)ことは既に試みられている。しかしながら、廃液の大部分を占める水分は、これらの方法では利用されることなく廃棄される。また、食品廃水といっても、飲料製品清涼飲料アルコール飲料)廃水、油脂製品廃水、牛乳乳製品廃水、農作物加工品廃水、惣菜廃水及び製菓廃水等、様々なものがあり、それぞれの廃水を構成する成分も様々である。

0009

焼酎廃水を含む食品廃水は、従来海洋投棄が行われていたが、上発生廃棄物の海洋投棄を規制するロンドン条約の1996年の議定書において、食品廃水の海洋投棄が原則として禁止となった。故に、かかる食品廃水の処理手段、あるいはこれを有効利用する手段の開発が切望されている。焼酎廃水をバイオマス産生藻類の培養に活用することができれば、廃水処理の効率化、及び低コストでのバイオマス生産を、同時に達成することができる。焼酎廃水をバイオマス産生藻類の培養に適用する研究は、Yamasakiらにより報告されている(非特許文献1; Journal of Bioscience and Bioengineering Vol. 102, No.4, 323−327. 2006)。この文献において、麦焼酎廃水中で培養したシゾキトリウム(Schizochytrium)属の微細藻類から、DHA及びEPAが回収されたことが報告されている。

0010

本発明者らは、スクワレンを高効率で産生する藻類を発見し(非特許文献2;BioScience, Biotechnology, and Biochemistry 75, 2246−2248)、かかる藻類を培養する培地として利用することでスクワレンを効率よく産生することを可能にする産業廃水を見出すべく、様々な廃水について鋭意研究した結果、驚くべきことに、焼酎廃水を培地として利用してスクワレン産生を培養すると、極めて高い効率でスクワレンの産生が達成されること見出し、本発明を完成するに至った。

課題を解決するための手段

0011

従って、本願は、以下の発明を提供する。
(1)焼酎廃水を培地として使用する、スクワレン産生藻類の培養方法。
(2)前記スクワレン産生藻類が従属栄養性藻類である、(1)に記載の培養方法。
(3)前記スクワレン産生藻類が、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属の株である、(1)又は(2)のいずれかに記載の培養方法。
(4)前記スクワレン産生藻類が、オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aである、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の培養方法。
(5)前記焼酎廃水が、遠心分離した焼酎粕を濾過することにより取得される、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の培養方法。
(6)前記焼酎廃水に、糖質有機酸無機酸、有機塩基無機塩基ビタミンアミノ酸ペプチドタンパク質ミネラルのいずれか1つ以上が添加される、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の培養方法。
(7)前記焼酎廃水に、NaCl、KCl、CaCl2・H2O、MgSO4・7H2O及びMgCl2・6H2Oの1つ以上の塩類が、合計で5〜34‰(g/培地L)の量で添加される、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の培養方法。
(8)前記塩類の添加量が合計で7〜10‰(g/培地L)である、(7)に記載の培養方法。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の培養方法で培養したスクワレン産生藻類を回収し、当該回収されたスクワレン産生藻類からスクワレンを抽出する、スクワレン製造方法。
(10)焼酎廃水を(1)〜(8)に記載の培養方法で培地として使用することによる、焼酎廃水を浄化する方法。

発明の効果

0012

本発明により、焼酎廃水の有効利用が図れるとともに、スクワレン産生藻類の増殖速度を増大させることでスクワレン製造の効率化をも図ることができる。しかも、焼酎廃水の効率的な浄化も達成される。

0013

焼酎廃水は、驚くべきことに、対照微生物培養用培地であるGTY培地と同様の効率で、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aによるスクワレン生産を達成した。同様に試験された大豆廃水及びオイルパーム廃液では同株によるスクワレン生産が殆ど認められなかったことを鑑みて、かかる焼酎廃水培地の高度なスクワレン生産支持は、驚異的な結果といえる。

図面の簡単な説明

0014

図1は、GTY培地、又は焼酎廃水の濾液若しくはその希釈物に塩類を添加したものを培地とした場合の、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aの密度経時変化を示す(OD660)。
図2は、GTY培地、又は大豆廃水の濾液若しくはその希釈物に塩類を添加したものを培地とした場合の、オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aの密度の経時変化を示す(OD660)。
図3は、GTY培地、又はオイルパームの濾液若しくはその希釈物に塩類を添加したものを培地とした場合の、オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aの密度の経時変化を示す(OD660)。
図4は、焼酎廃水浄化作用の評価実験における、GTY培地、又は焼酎廃水培地を培地とした場合の、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aの密度の経時変化を示す(OD660)。
図5は、オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aを培養している培地中のDOCの経時変化を示す。
図6は、オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aを培養している培地中のDTNの経時変化を示す。
図7は、オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aを培養している培地中のDTPの経時変化を示す。

0015

一般に、焼酎は、穀物等の原材料麹菌及び酵母によりアルコール発酵させた発酵液からエタノールを蒸留することにより製造される。本発明における焼酎廃水とは、この焼酎の製造過程において生じる、発酵液から蒸留によりアルコールを抽出した後の残留発酵液をいう。焼酎廃水は、原材料、麹菌及び酵母に由来する、糖質、有機酸、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質及びミネラル等を豊富に含有する。

0016

焼酎廃水は、原材料、麹菌及び酵母由来の様々な固形物を含有する。スクワレン産生藻類の培養に際して、焼酎廃水中の固形物は、遠心分離や濾過等、公知の手段により除去され、清澄水溶液が培地として使用される。

0017

本発明において、上記清澄な焼酎廃水は、濾過滅菌オートクレーブ滅菌煮沸滅菌、及び放射線滅菌等、公知の手段で滅菌されてもよい。

0018

本発明において、上記清澄な焼酎廃水に様々な添加物を添加することにより、当該廃水が、スクワレン産生藻類の培養に適した組成となるように調整されてもよい。当該添加物として、糖質、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ミネラル等が挙げられる。更に、必要であれば適当な酸又は塩基を加えることにより適宜pHを調整できる。培地の好適なpHは培養するスクワレン産生藻類の種類に依存するであろう。

0019

好ましくは、前記焼酎廃水に、NaCl、KCl、CaCl2・H2O、MgSO4・7H2O及びMgCl2・6H2Oの1つ以上の塩類が添加される。好ましくは、前記塩類は、合計で5〜34‰(g/培地L)の量で添加される。より好ましくは、前記塩類は、合計で5〜12‰(g/培地L)の量で添加される。特に好ましくは、前記塩類の添加量は、合計で7〜10‰(g/培地L)となる。

0020

本明細書で使用される「藻類」には、藍藻類原核緑藻類紅藻類、灰色藻類、クリプト藻類、渦鞭毛藻類黄金色藻類、珪藻類褐藻類、ラビンリンチュラ類、黄緑藻類、ハプト藻類、ラフィド藻類、真正眼点藻類、クロララクオン藻類、ユーグレナ藻類、プラシノ藻類、緑藻類、車軸藻類などがあり、好ましくは、微細藻類とよばれる、藍藻類、珪藻類、ラビンチュラ類、真正眼点藻類、クリプト藻類、渦鞭毛藻類、黄金色藻類、ハプト藻類、ラフィド藻類、ユーグレナ藻類、プラシノ藻類や緑藻類がある。好ましくは、本発明に適する藻類は従属栄養藻類である。また、本発明に適する藻類としては、好ましくは、ユーグレナボトリオコッカススピルリナミクロキスティスエルギノーサ、スピルリナ、オーランチオキトリウム、シゾキトリウムがある。特に好ましいのはオーランチオキトリウム属の藻類であり、より好ましいのはオーランチオキトリウムsp.、最も好ましいのはオーランチオキトリウムsp. 18W−13aである。

0021

本発明におけるスクワレン産生藻類の培養又は焼酎廃水の浄化は、当該株を上記のように調整された焼酎廃水に播種し、定法にしたがって培養することにより行われる。培養条件は培養するスクワレン産生藻類の種類に依存し、温度は5〜40℃、好ましくは10〜35℃、より好ましくは10〜30℃にて、通常1〜10日間、好ましくは3〜7日間培養を行い、通気又は嫌気攪拌培養振とう培養又は静置培養で行うことができる。

0022

本発明に使用するスクワレン産生藻類は、適当な細胞培養手段を有する培養装置で培養してよい。「細胞培養手段」とは、細胞を培養するためのあらゆる機能を有する手段を意味し、例えば、培養槽であり、当該培養槽は、攪拌装置振動装置温度制御装置pH調節装置、濁度測定装置、光制御装置、CO2等の特定気体濃度測定装置及び圧力測定装置から選択される1又は複数の装置を有してもよい。当該培養槽は濃縮分離槽と同一の槽であっても、濃縮・分離槽とは別の槽であってもよい。濃縮・分離槽と別の槽である場合、適切な手段、例えば流路等により連結されていてもよい。

0023

一般的に細胞の培養工程には、細胞数が時間に対して対数的に増殖する対数増殖期と、対数増殖期後の定常期がある。例えば藻類の場合、光合成及び増殖用培地栄養素により対数的に増殖する増殖期と、スクワレンを産生するスクワレン産生期に分けることができる。好ましくは増殖期とスクワレン産生期で培地を交換することが望ましい。

0024

本発明はさらに、焼酎廃水を培地とした上記培養方法で培養したスクワレン産生藻類を回収し、当該回収されたスクワレン産生藻類からスクワレンを抽出する、スクワレン製造方法を提供する。本発明のスクワレン製造方法は、調整された焼酎廃水を培地としてスクワレン産生藻類を培養することにより、当該スクワレン産生藻類にスクワレンを産生させることを特徴とする。

0025

本明細書でいう「バイオマス」とは、細胞が産生するあらゆるバイオマスのことを言い、具体的には、例えば、燃料、食料、医療品、及びその他の工業用品又は生活用品として必要なバイオマスやその原料のことを言う。当該バイオマスには、樹脂、燃料又は界面活性剤糖のもととなる炭化水素、糖類、タンパク質、アミノ酸等がある。例えばバイオマス産生藻類の産生するバイオマスとしては、有機炭素源を利用して産生した炭化水素などのオイルや多糖類がある。具体的には、オイルとして、アルカンエポキシアルカンアルカデイエンアルカトリエントリテルペノイド、テトレテルペノイドなどの炭化水素、グリセリン分子脂肪酸3分子が結合したトリアシルグリセロールなどがあり、より具体的には、バイオマス産生藻類がユーグレナ・グラリスIES−48の場合、トリアシルグリセロールなどの脂質や嫌気的条件下で産生されるワックスエステル等がある。また、バイオマス産生藻類がオーランチオキトリウムsp. 18W−13aの場合、スクワレンが産生され得る。多糖類としては、フコースを含む多糖類等があり、また天然色素としてカロチノイドがある。

0026

本発明のスクワレン産生藻類が産生するスクワレンは、当業者既知の方法で抽出及び分析することができる。例えば、上記の通りスクワレン産生藻類を培養して増殖させ、得られた培養液から遠心分離又は濾過等により回収したスクワレン産生藻類のペレットを、凍結乾燥又は加温による乾燥等により乾燥させる。または、培養後の培地をそのままスクワレンの抽出ステップに用いてもよい。

0027

得られた細胞乾燥物、又は培養後の細胞を含有する培地から、有機溶媒を用いて脂質たるスクワレンを抽出できる。抽出は、異なる有機溶媒を用いて2度以上行ってもよい。有機溶媒としては、例えばクロロホルムメタノール混合溶媒(例えば、1:1、1:2)、又はエタノール・ジエチルエーテル混合溶媒等の極性溶媒弱極性溶媒混合液を用いることができる。上記抽出後に、例えば窒素気流下で濃縮乾固したサンプルから、n−ヘキサンを用いて抽出する。得られた抽出液を、当業者に既知の方法で精製する。例えば、シリカゲル酸性白土を用い、極性脂質吸着させて精製することができる。また、精製したスクワレンを、HPLC、NMR,IR、ガスクロマトグラフィーGC/MS等により分析する。

0028

前記スクワレン産生藻類は、その乾燥重量当たり、少なくとも10%、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%のスクワレンを含有することができる。

0029

本発明はさらにスクワレン産生藻類を利用した焼酎廃水の浄化方法を提供する。この方法は、上記のように調整した焼酎廃水中でスクワレン産生藻類を培養及び増殖させることにより、焼酎廃水中の有機炭素窒素及びリン酸等の栄養分を当該スクワレン産生藻類に同化させて、それらの濃度を低下させることを特徴とする。

0030

以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。

0031

実験に用いたスクワレン産生藻類と焼酎廃水
本実験ではスクワレン産生藻類としてオーランチオキトリウムsp. 18W−13aを用いた。当該株は、焼酎廃水中の栄養分を同化してスクワレンを産生する。焼酎廃水は、霧島酒造から提供されたものを用いた。

0032

実験1焼酎廃水の希釈系列を用いたオーランチオキトリウムsp. 18W−13aの増殖及びスクワレン産生能力の評価
霧島酒造から提供された焼酎廃水を、5000rpm、15分で遠心分離後、No.2の濾紙で濾過して、清澄な焼酎廃水を得た。当該廃水を、蒸留水で25%、50%、75%に希釈した。当該希釈廃水及び希釈をしていない廃水に、主要塩類を25%海水相当の塩分(8.5‰)となるように添加した(NaCl 5.85 g/L, KCl 0.19 g/L, CaCl2・H2O 0.37 g/L, MgSO4・7H2O 1.23 g/L, MgCl2・6H2O 1.02 g/L)。これらを、焼酎廃水の希釈系列とした。

0033

対照培地として、GTY培地(グルコース2%、トリプトン1%、酵母抽出物0.5%)に、上記焼酎廃水に添加したのと同量の主要塩類を添加し、更に、1N HCl及び10N NaOHを添加して、pHを7.3に調整したものを用意した。

0034

上記各培地を、300ml容積の三角フラスコに180ml注ぎ、これらにオーランチオキトリウムsp. 18W−13aを播種した。フラスコの口をシリコ栓で封じ、25℃で往復振盪培養した(100ストローク/分)。

0035

培養中の培養液1mlを所定のタイムポイントで回収し、紫外可視吸光度計により660nmの光学濁度計測することで、増殖曲線を得た。培養は、全ての培養で増殖がプラトーに達するまで、最長で110時間実施された。

0036

培養終了後の培養液を50〜100 mL回収し、高速冷却遠心分離機で3900 rpm、15 分遠心分離した。その後、上清を捨て、ペレットを蒸留水で洗浄し、再度遠心分離を行った。その後、試料を−80℃で凍結し、これらを凍結乾燥機で乾燥させることで、乾燥藻体を得た。乾燥藻体重量を微量天秤により計量し、培養液1L当たりの藻体量を算出した。

0037

上記培養液10 mLに、クロロホルム/メタノール体積比2:1)混合溶液20mLを添加後、内部標準物質としてオクタデシルベンゼン100μgを添加し、よく混合した。2600rpm、20分で遠心分離した後、クロロホルム層をNo2.のろ紙でろ過した。当該濾液をエバポレーターにより濃縮乾固した。当該試料に0.5 M KOH溶液1mLを添加し、90℃、1時間でけん化反応を行った。その後、当該試料に蒸留水1mLとヘキサン6mLを加えてよく混合した後、ヘキサン層を回収した。当該ヘキサン層を濃縮乾固後、アセトニトリルテトラヒドロフラン(体積比9:1)混合溶液 1mLを添加し、これを100倍希釈した。このように調製した試料を、HPLC分析に供して、スクワレン含有量を測定した。

0038

以上の結果を下記表1及び図1に示す。図1は、GTY培地、又は調整した焼酎廃水の希釈系列を培地とした場合の、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aの密度の経時変化を示す(OD660)。表1は、各培地における、スクワレン産生藻類の比増殖速度ダブリングタイム、培養後の乾燥重量及びスクワレン濃度(mg/l)を示す。希釈していない焼酎廃水(SDW100%)は、対照培地(GTY)と同等の効率で、藻類の増殖を支持し、かつスクワレンを製造することが出来た。

0039

実験2大豆廃水の希釈系列を用いたオーランチオキトリウムsp. 18W−13aの増殖及びスクワレン産生能力の評価
焼酎廃水以外に、大豆廃水を培地とした場合のオーランチオキトリウムsp. 18W−13aの増殖及びスクワレン産生能力の評価を行った。大豆廃水は日本全国またはアジアで広く入手しやすく、炭素源窒素源が豊富に含まれるため、培地源として適当であると思われた。また、焼酎廃水同様、これを有効利用する方法及び効率的に処理する方法の開発が求められている。

0040

株式会社信濃から提供された大豆廃水を、上記焼酎廃水と同一の手順を経て希釈系列とした。そして、上記焼酎廃水について行ったのと同様に、オーランチオキトリウムsp. 18W−13aの増殖及びスクワレン産生能力を評価した。

0041

その結果を、以下の表2及び図2に示す。図2は、GTY培地、又は調整した大豆廃水の希釈系列を培地とした場合の、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aの密度の経時変化を示す(OD660)。表2は、各培地における、スクワレン産生藻類の比増殖速度、ダブリングタイム、培養後の乾燥重量及びスクワレン濃度(mg/l)を示す。大豆廃水の希釈系列(SCW100%、75%、50%、25%)のいずれも、対照培地(GTY)と比較して、スクワレンの製造効率は顕著に低かった。しかしながら、希釈していない大豆廃水(SCW100%)において、藻類の乾燥重量は、実験1における希釈していない焼酎廃水を培地とした場合と同等であった。

0042

希釈していない焼酎廃水と、希釈していない大豆廃水との間で、回収された藻類の乾燥重量は同等であったが、焼酎廃水のスクワレン含有量は、大豆廃水の40倍以上であった。この結果は、スクワレン産生藻類がスクワレンを産生するには、増殖を支持する要素以外に、大豆廃水が有していない何らかの要素が要求されること、及び希釈していない焼酎廃水とGTY培地は、スクワレン産生藻類の増殖を支持する要素、及びスクワレン産生藻類がスクワレンを産生するのに要求される要素を両方とも備えていることを示唆している。

0043

実験3オイルパーム廃液の希釈系列を用いたオーランチオキトリウムsp. 18W−13aの増殖及びスクワレン産生能力の評価
焼酎廃水以外に、オイルパーム廃液を培地とした場合のオーランチオキトリウムsp. 18W−13aの増殖及びスクワレン産生能力の評価を行った。オイルパーム廃液は日本では入手困難だが、東アジア圏においてその処理が大問題となっている食品廃水であるため、これを有効利用する方法及び効率的に処理する方法の開発が求められている。

0044

凍結されたオイルパームを100℃で解凍し、種子をとり、皮と実にしたもの535gをジューサー粉砕し、トータルで5Lとなるように超純水を加え、オートクレーブ滅菌した。オイルを分離した液をNo.5、No.2、GF/Cフィルター吸引濾過した。得られた濾液を、焼酎廃水と同様の手順を経て希釈系列とした。そして、上記焼酎廃水について行ったのと同様に、オーランチオキトリウムsp. 18W−13aの増殖(OD660測定のみ)及びスクワレン産生能力を評価した。

0045

その結果を、下記表3及び図3に示す。図3は、GTY培地、又は調整したオイルパーム廃液の希釈系列を培地とした場合の、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.(Aurantiochytrium sp.)18W−13aの密度の経時変化を示す(OD660)。表3は、GTY培地及び希釈していないオイルパーム廃液培地における、スクワレン濃度(mg/l)を示す。オイルパーム廃液の希釈系列(Oil palm 100%、75%、50%、25%)のいずれも、対照培地(GTY)と比較して、藻類の増殖効率が有意に低かった。そして、希釈していないオイルパーム廃液の3回の試行のいずれも(Oil palm 100%−1、2、3)、対照培地の3回の試行(GTY−1、2、3)と比較して、増殖効率の低下だけでは説明できない程に劇的なスクワレンの製造効率の低下を示した。この結果は、実験2で大豆廃水を使用した場合と同様である。

0046

上記の試験で検討したように、様々な食品廃水の内、対照培地と同等の藻類の増殖効率及びスクワレン産生効率を示したのは、焼酎廃水のみであった。このことから、微生物の培養には、食品の主原料に由来する成分に加えて、酵母や麹菌等の細菌由来の成分が重要な役割を果たすことが示唆される。

0047

実験4オーランチオキトリウムsp. 18W−13aの焼酎廃水浄化作用の評価
スクワレン産生株は、焼酎廃水中で増殖し、スクワレンを産生する過程で、焼酎廃水中の有機物を同化する。本実験において、スクワレン産生株オーランチオキトリウムsp. 18W−13aの培養の過程における、DOC(Dissolved organic carbon、溶存態有機炭素)、DTN(Dissolved total nitrogen、溶存態全窒素)及びDTP(Dissolved total phosphorus、溶存態全リン)を測定して、当該培養による焼酎廃水中の有機物除去作用の評価を行った。

0048

霧島酒造から提供された焼酎廃水を、5000rpm、15分で遠心分離後、No.2の濾紙で濾過して、清澄な焼酎廃水を得た。当該廃水に、人工海水(Red sea salt, Red sea)を25%海水相当の塩分(8.5‰)となるように添加した。これを焼酎廃水培地とした。

0049

対照培地として、GTY培地(グルコース2%、トリプトン1%、酵母抽出物0.5%)に、上記焼酎廃水に添加したのと同量の人工海水を添加し、更に、1N HCl及び10N NaOHを添加して、pHを7.3に調整したものを用意した。

0050

上記各培地を、300ml容積の三角フラスコに180ml注ぎ、これらにオーランチオキトリウムsp. 18W−13aを播種した。フラスコの口をシリコ栓で封じ、25℃で往復振盪培養した(100ストローク/分)。

0051

培養中の培養液1mlを、所定のタイムポイントで回収し、紫外可視吸光度計により660nmの光学濁度を計測することで、増殖曲線を得た。図4は、GTY培地、又は調整した焼酎廃水を培地とした場合の、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.18W−13aの密度の経時変化を示す(OD660)。

0052

培養前、72時間、96時間、123時間で培養液を回収し、これらを遠心分離し(3900rpm、15分、4℃)、上清を回収した後、GF/Cガラスフィルターでろ過した。これらの試料を、分析に供するまで、−20℃で冷凍保存した。

0053

上記試料中の溶存態有機炭素(DOC)は、前有機体炭素計(TOCVCSH、Shimadzu)を用いて、燃焼触媒酸化方式により測定された。溶存態全窒素(DTN)及び溶存態全リン(DTP)は、フローインジェクション分析ステム(Aqualab)を用いて、それぞれペルオキソ二硫酸カリウムアルカリ分解カドミウム・銅還元カラム法及びペルオキソ二硫酸カリウム分解‐モリブデン青吸光光度法により測定した。

0054

図5は、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.18W−13aを培養したGTY及び焼酎廃水培地(SDW)中のDOCの経時変化を示す。培養期間中のDOC除去量(mg/L)及び除去率(%)は、最終的に123時間で最大となり、GTYでは9602.5mg/L(57.9%)、SDWでは5385.8mg/L(33.7%)であった。

0055

図6は、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.18W−13aを培養したGTY及び焼酎廃水培地(SDW)中のDTNの経時変化を示す。培養期間中のDTN除去量(mg/L)及び除去率(%)は、72時間までに急激に除去され、最終的には、GTYでは478.4mg/L(42.8%)、SDWでは334.2mg/L(60.3%)であった。

実施例

0056

図7は、スクワレン産生藻類オーランチオキトリウムsp.18W−13aを培養したGTY及び焼酎廃水培地(SDW)中のDTPの経時変化を示す。培養期間中のDTP除去量(mg/L)及び除去率(%)は、96時間までに急激に除去され、最終的には、GTYでは133.2mg/L(77.5%)、SDWでは116.3mg/L(40.6%)であった。

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