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図面 (13)

課題

抗Desmoglein3(DSG3)抗体とその用途の提供。

解決手段

肺癌において、非常に高頻度でDSG3が遺伝子レベルおよびタンパク質レベル発現亢進していることが見いだされたことに基づく、DSG3タンパク質を認識する抗体を用いてDSG3タンパク質を検出することを特徴とする癌の診断方法。また、DSG3に結合する抗体を有効成分として含有する医薬組成物細胞増殖抑制剤および抗癌剤、さらに、DSG3発現細胞とDSG3に結合する抗体とを接触させることにより、DSG3発現細胞に細胞障害を引き起こす方法およびDSG3発現細胞の増殖を抑制する方法。

概要

背景

Desmoglein3(以下、本明細書中ではDSG3と称される。)分子は、皮膚及び粘膜自己免疫水泡形成疾患である尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris、以下本明細書中ではPVと称される。)を羅患した患者血清から得られた自己抗体を用いたケラチノサイト角化細胞抽出物に対する免疫沈降によって、分子量130kDaの糖タンパク質として初めて同定され、PV Antigen(以下、本明細書中ではPVAと称される。)と名付けられた(非特許文献1及びJ.Clin.Invest. 74, 313-320, 1984)。その後、PV患者の血清から上記130kDaのタンパク質と反応する抗体分子アフィニティ精製によって単離された。次にヒトケラチノサイトから単離されたpolyA RNAを用いて構築された発現ライブラリーが該単離抗体を使用してスクリーニングされ、PVAをコードするcDNAが単離された。単離されたcDNAについての塩基配列解析に基づき、PVA分子は細胞間接着因子をコードする一群カドヘリンスーパーファミリー遺伝子に属する分子群の配列に対して高い相同性を有することが明らかとなった(非特許文献2)。

広範な組織発現して生体内における細胞接着に係る分子であるカドヘリン分子群の内、細胞膜にある細胞同士の接着部位であるdesmosome(細胞)において発現している該分子群の集団がデスモゾーマルカドヘリン又はdesmoglein(デスモグレイン)と命名された。Desmogleinファミリーの一つであるDSG3分子の単離及びクローニングに使用されたケラチノサイトは表皮の大部分を占める細胞である。隣接する細胞とはdesmosomeにより密接に接着されており、係る接着にDSG3分子が関与していると考えられている。PV患者血清に存在する抗DSG3自己抗体はDSG3分子に結合することにより、DSG3分子を通じた細胞間の接着を阻害しPV病変を引き起こすと考えられている。

上記に記載したようにPV患者血清中にポリクローナルに存在する抗DSG3自己抗体によりPV病変が誘起されるが、ハイブリドーママウス移植したときにPV様病変を誘起する能力を有する抗DSG3モノクローナル抗体も既に単離されている(非特許文献3)。該モノクローナル抗体は試験管内においてもケラチノサイトの細胞接着を阻害する細胞崩壊活性を有していることが示されている(非特許文献4)。上記に記載したように、抗DSG3抗体により試験管内で観察される細胞崩壊活性が、生体内においてはPV病変を誘起する活性であることが示唆されている。

上記に示したように、DSG3タンパク質がケラチノサイトの接着において重要な機能を有しており、PV病変の発生に抗DSG3抗体が関与していることは知られていた。一方で、DSG3タンパク質の他の疾患への関与、又は、抗DSG3抗体の細胞崩壊活性以外の機能は明らかにされていなかった。特に、DSG3分子の哺乳動物、特にヒトにおける癌、特に肺癌の発生、肺癌細胞の増殖、浸潤転移、又は形質転換との関連性はこれまで明らかにされていなかった。

各種の癌の中で、肺癌はともに最も死亡率の高い癌であり、我が国における肺癌の死亡率は、1950年以降増加した結果、1998年では肺癌死亡数が50,871人で全悪性腫瘍死の約18%、1993年以降は男性では胃癌を抜いて死亡数では悪性腫瘍中の第1位となっている(厚生統計協会.国民衛生の動向・厚生の指標, 47, 52-53,2000)。また、世界的にみても年間300万人ほどが肺癌で死亡している。肺癌の基本的な組織型は、腺癌(adenocarcinoma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)、大細胞癌(large cell carcinoma)、小細胞癌(small cell carcinoma)からなる。前者4つは、予後や治療方針に大きな差異はみられないため、非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer)と一括されている。

非小細胞肺癌の症例数は、全肺癌の症例数のうち80から85%を占める。非小細胞肺癌の特徴として、小細胞癌と比べると進行が遅く、化学療法放射線療法に対する反応が不十分であることが挙げられる。したがって、腫瘍限局している時期では、外科切除第一選択肢となるが、治療成績TNM分類で同じ病期に相当する胃癌など他の癌腫に比べると大きく劣っており、最近では集学的治療によってこれを向上させようという試みが盛んに行われているものの、完全寛解に至る効果的な治療方法確立されていない。非小細胞肺癌では、stageIIIa期までは手術療法が検討される一方で、それ以降の臨床病期では手術適応となることは乏しく、化学療法、放射線療法が治療の主体となる。血清診断マーカーとしてはSCC(squamous cell carcinoma related antigen)、Cyfra(cytokeratin 19 fragment)、CEA(carcinoembryonic antigen)、SLX(sialyl Lewisx-i antigen)などが選択されて、単独で又は組み合わせて使用されているが、ステージ初期の癌に対する陽性率が依然として低く、ステージ初期における非小細胞肺癌の血清診断の診断を確実ならしめる診断用マーカーの開発が望まれている(腫瘍マーカー読み方の実際;肺癌.臨牀と研究 78, 35-40, 2001)。

小細胞肺癌は、我が国では肺癌全体の約15から20%を占める腫瘍であり、他の肺癌と比較して、腫瘍の増殖速度が速い反面、抗癌剤放射線治療に対する感受性が高く、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌などとは著しく異なる臨床上の特徴を有している。小細胞癌では、stageIa期(腫瘍径が20mm以下で、リンパ節、周囲臓器への浸潤及び転移が認められない)に限っては手術療法が検討されるが、基本的には化学療法、放射線療法が主に採用される治療法である。診断マーカーとして、NSE(neuron-specific enolase)とproGRP(pro gastrin-releasing peptide)が、小細胞癌に対する特異性が比較的高い腫瘍マーカーとして用いられており、その陽性率はそれぞれ約60%、70%と報告されている。

肺癌における臨床現場での応用例はまだないが、乳癌あるいはリンフォーマなどに対しては癌特異的な腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体による標的療法が従来の化学療法剤治療とは異なる作用機作を発揮することから、治療奏効率が上昇している。上記の抗体医薬品を使用する標的療法を行う場合に、該抗体が機能して効果を発揮する活性としては、エフェクター細胞を介した抗体依存性細胞障害ADCC)活性、補体を介した補体依存性細胞障害(CDC)活性又は化学療法剤、毒性ペプチド或いは放射性化学物質とのコンジュゲート分子として構築されることにより発揮される細胞障害活性などが挙げられる。該活性として上記の他に抗体自身が抗原分子に対してアゴニスティック作用を触媒するアゴニスティック活性、又は細胞活性化若しくは増殖等に対するシグナル遮断する中和活性等が挙げられる。依然として診断の陽性率及び疾患の治癒率が低く、完全寛解に余地が残されている肺癌治療に対して、上記のような活性を発揮する抗体を用いた分子標的療法を応用するために、肺癌細胞における腫瘍特異的発現分子を同定し、該分子を標的として望ましい活性を発揮する抗体を作出することが強く望まれている。

本発明に関連する先行技術文献情報としては以下のものがある。

概要

抗Desmoglein3(DSG3)抗体とその用途の提供。肺癌において、非常に高頻度でDSG3が遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで発現亢進していることが見いだされたことに基づく、DSG3タンパク質を認識する抗体を用いてDSG3タンパク質を検出することを特徴とする癌の診断方法。また、DSG3に結合する抗体を有効成分として含有する医薬組成物細胞増殖抑制剤および抗癌剤、さらに、DSG3発現細胞とDSG3に結合する抗体とを接触させることにより、DSG3発現細胞に細胞障害を引き起こす方法およびDSG3発現細胞の増殖を抑制する方法。

目的

血清診断のマーカーとしてはSCC(squamous cell carcinoma related antigen)、Cyfra(cytokeratin 19 fragment)、CEA(carcinoembryonic antigen)、SLX(sialyl Lewisx-i antigen)などが選択されて、単独で又は組み合わせて使用されているが、ステージ初期の癌に対する陽性率が依然として低く、ステージ初期における非小細胞肺癌の血清診断の診断を確実ならしめる診断用マーカーの開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する医薬組成物

請求項2

DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤

請求項3

DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する抗癌剤

請求項4

DSG3タンパク質に結合する抗体が細胞障害活性を有する抗体である、請求項3に記載の抗癌剤。

請求項5

DSG3タンパク質に結合する抗体が、以下(1)から(47)のいずれかに記載の抗体である、請求項3または4に記載の抗癌剤;(1)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(2)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(3)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(4)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(5)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(6)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(7)(1)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、(8)(2)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、(9)(3)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、(10)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(11)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(12)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(13)CDR1として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:32に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:34に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(14)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(15)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(16)(10)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、(17)(11)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、(18)(12)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、(19)(1)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を有する抗体、(20)(2)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を有する抗体、(21)(3)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を有する抗体、(22)(10)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を有する抗体、(23)(11)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を有する抗体、(24)(12)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を有する抗体、(25)CDR1として配列番号:81に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:83に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:85に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(26)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(27)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(28)CDR1として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:89に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(29)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(30)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(31)(25)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を含む抗体、(32)(26)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体、(33)(27)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を含む抗体、(34)(1)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、(35)(2)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、(36)(3)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、(37)(10)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、(38)(11)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、(39)(12)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、(40)(25)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、(41)(26)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、(42)(27)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、(43)(25)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、(44)(26)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、(45)(27)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、(46)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸置換欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(45)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体、(47)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体が結合するDSG3タンパク質のエピトープと同じエピトープに結合する抗体。

請求項6

癌が肺癌大腸癌食道癌胃癌膵癌皮膚癌又は子宮癌である、請求項3から5のいずれかに記載の抗癌剤。

請求項7

肺癌が非小細胞肺癌である請求項6に記載の抗癌剤。

請求項8

DSG3タンパク質を発現する細胞とDSG3タンパク質に結合する抗体とを接触させることにより該DSG3発現細胞細胞障害を引き起こす方法。

請求項9

DSG3タンパク質を発現する細胞とDSG3タンパク質に結合する抗体とを接触させることにより該DSG3発現細胞の増殖を抑制する方法。

請求項10

DSG3タンパク質に結合する抗体が細胞障害活性を有する抗体である、請求項8または9に記載の方法。

請求項11

DSG3タンパク質に結合する抗体が、以下(1)から(47)のいずれかに記載の抗体である、請求項8から10のいずれかに記載の方法;(1)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(2)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(3)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(4)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(5)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(6)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(7)(1)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、(8)(2)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、(9)(3)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、(10)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(11)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(12)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(13)CDR1として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:32に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:34に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(14)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(15)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(16)(10)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、(17)(11)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、(18)(12)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、(19)(1)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を有する抗体、(20)(2)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を有する抗体、(21)(3)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を有する抗体、(22)(10)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を有する抗体、(23)(11)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を有する抗体、(24)(12)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を有する抗体、(25)CDR1として配列番号:81に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:83に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:85に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(26)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(27)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(28)CDR1として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:89に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(29)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(30)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(31)(25)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を含む抗体、(32)(26)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体、(33)(27)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を含む抗体、(34)(1)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、(35)(2)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、(36)(3)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、(37)(10)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、(38)(11)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、(39)(12)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、(40)(25)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、(41)(26)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、(42)(27)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、(43)(25)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、(44)(26)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、(45)(27)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、(46)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(45)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体、(47)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体が結合するDSG3タンパク質のエピトープと同じエピトープに結合する抗体。

請求項12

DSG3タンパク質を発現する細胞が癌細胞である、請求項8から11のいずれかに記載の方法。

請求項13

DSG3タンパク質に結合し、かつDSG3タンパク質を発現する細胞に対して細胞障害活性を有する抗体。

請求項14

細胞障害活性がADCC活性である請求項13に記載の抗体。

請求項15

細胞障害活性がCDC活性である請求項13に記載の抗体。

請求項16

分子化学療法剤、または、毒性ペプチドを結合した請求項13から15のいずれかに記載の抗体。

請求項17

DSG3タンパク質に結合する抗体であって、低分子の化学療法剤、または、毒性ペプチドが結合された抗体。

請求項18

以下(1)から(47)のいずれかに記載の抗体である、請求項13から17のいずれかに記載の抗体;(1)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(2)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(3)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(4)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(5)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(6)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(7)(1)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、(8)(2)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、(9)(3)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、(10)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(11)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(12)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(13)CDR1として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:32に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:34に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(14)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(15)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(16)(10)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、(17)(11)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、(18)(12)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、(19)(1)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を有する抗体、(20)(2)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を有する抗体、(21)(3)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を有する抗体、(22)(10)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を有する抗体、(23)(11)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を有する抗体、(24)(12)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を有する抗体、(25)CDR1として配列番号:81に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:83に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:85に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(26)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(27)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、(28)CDR1として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:89に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(29)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(30)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、(31)(25)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を含む抗体、(32)(26)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体、(33)(27)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を含む抗体、(34)(1)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、(35)(2)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、(36)(3)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、(37)(10)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、(38)(11)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、(39)(12)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、(40)(25)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、(41)(26)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、(42)(27)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、(43)(25)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、(44)(26)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、(45)(27)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、(46)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(45)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体、(47)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体が結合するDSG3タンパク質のエピトープと同じエピトープに結合する抗体。

請求項19

癌診断マーカーとしてのDSG3タンパク質の使用。

請求項20

DSG3タンパク質に結合する抗体を用いてDSG3タンパク質を検出することを特徴とする癌の診断方法

請求項21

以下の工程:(a)被験者から試料採取する工程;(b)採取された試料に含まれるDSG3タンパク質を、DSG3タンパク質に結合する抗体を用いて検出する工程を含む癌の診断方法。

請求項22

DSG3タンパク質に結合する抗体が、陽電子放出核種により標識された抗体である請求項20または21に記載の診断方法。

請求項23

陽電子放出核種が11C、13N、15O、18F、45Ti、55Co、64Cu、66Ga、68Ga、76Br、89Zr、124Iのいずれかから選択される核種である請求項22に記載の診断方法。

請求項24

DSG3タンパク質をコードする遺伝子の発現を検出することを特徴とする癌の診断方法。

請求項25

癌が肺癌、大腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、皮膚癌又は子宮癌である請求項20から24のいずれかに記載の診断方法。

請求項26

肺癌が非小細胞肺癌である請求項25に記載の診断方法。

請求項27

請求項20から26のいずれかに記載の診断方法に用いるための診断薬

請求項28

請求項20から26のいずれかに記載の診断方法に用いるためのキット

請求項29

細胞増殖抑制剤の製造におけるDSG3タンパク質に結合する抗体の使用。

請求項30

抗癌剤の製造におけるDSG3タンパク質に結合する抗体の使用。

請求項31

DSG3タンパク質に結合する抗体を対象に投与する工程を含む細胞増殖を抑制する方法。

請求項32

DSG3タンパク質に結合する抗体を対象に投与する工程を含む癌を予防または治療する方法。

技術分野

0001

本発明は、癌の診断および治療方法、ならびに細胞増殖抑制剤および抗癌剤に関する。

背景技術

0002

Desmoglein3(以下、本明細書中ではDSG3と称される。)分子は、皮膚及び粘膜自己免疫水泡形成疾患である尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris、以下本明細書中ではPVと称される。)を羅患した患者血清から得られた自己抗体を用いたケラチノサイト角化細胞抽出物に対する免疫沈降によって、分子量130kDaの糖タンパク質として初めて同定され、PV Antigen(以下、本明細書中ではPVAと称される。)と名付けられた(非特許文献1及びJ.Clin.Invest. 74, 313-320, 1984)。その後、PV患者の血清から上記130kDaのタンパク質と反応する抗体分子アフィニティ精製によって単離された。次にヒトケラチノサイトから単離されたpolyA RNAを用いて構築された発現ライブラリーが該単離抗体を使用してスクリーニングされ、PVAをコードするcDNAが単離された。単離されたcDNAについての塩基配列解析に基づき、PVA分子は細胞間接着因子をコードする一群カドヘリンスーパーファミリー遺伝子に属する分子群の配列に対して高い相同性を有することが明らかとなった(非特許文献2)。

0003

広範な組織発現して生体内における細胞接着に係る分子であるカドヘリン分子群の内、細胞膜にある細胞同士の接着部位であるdesmosome(細胞)において発現している該分子群の集団がデスモゾーマルカドヘリン又はdesmoglein(デスモグレイン)と命名された。Desmogleinファミリーの一つであるDSG3分子の単離及びクローニングに使用されたケラチノサイトは表皮の大部分を占める細胞である。隣接する細胞とはdesmosomeにより密接に接着されており、係る接着にDSG3分子が関与していると考えられている。PV患者血清に存在する抗DSG3自己抗体はDSG3分子に結合することにより、DSG3分子を通じた細胞間の接着を阻害しPV病変を引き起こすと考えられている。

0004

上記に記載したようにPV患者血清中にポリクローナルに存在する抗DSG3自己抗体によりPV病変が誘起されるが、ハイブリドーママウス移植したときにPV様病変を誘起する能力を有する抗DSG3モノクローナル抗体も既に単離されている(非特許文献3)。該モノクローナル抗体は試験管内においてもケラチノサイトの細胞接着を阻害する細胞崩壊活性を有していることが示されている(非特許文献4)。上記に記載したように、抗DSG3抗体により試験管内で観察される細胞崩壊活性が、生体内においてはPV病変を誘起する活性であることが示唆されている。

0005

上記に示したように、DSG3タンパク質がケラチノサイトの接着において重要な機能を有しており、PV病変の発生に抗DSG3抗体が関与していることは知られていた。一方で、DSG3タンパク質の他の疾患への関与、又は、抗DSG3抗体の細胞崩壊活性以外の機能は明らかにされていなかった。特に、DSG3分子の哺乳動物、特にヒトにおける癌、特に肺癌の発生、肺癌細胞の増殖、浸潤転移、又は形質転換との関連性はこれまで明らかにされていなかった。

0006

各種の癌の中で、肺癌はともに最も死亡率の高い癌であり、我が国における肺癌の死亡率は、1950年以降増加した結果、1998年では肺癌死亡数が50,871人で全悪性腫瘍死の約18%、1993年以降は男性では胃癌を抜いて死亡数では悪性腫瘍中の第1位となっている(厚生統計協会.国民衛生の動向・厚生の指標, 47, 52-53,2000)。また、世界的にみても年間300万人ほどが肺癌で死亡している。肺癌の基本的な組織型は、腺癌(adenocarcinoma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)、大細胞癌(large cell carcinoma)、小細胞癌(small cell carcinoma)からなる。前者4つは、予後や治療方針に大きな差異はみられないため、非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer)と一括されている。

0007

非小細胞肺癌の症例数は、全肺癌の症例数のうち80から85%を占める。非小細胞肺癌の特徴として、小細胞癌と比べると進行が遅く、化学療法放射線療法に対する反応が不十分であることが挙げられる。したがって、腫瘍限局している時期では、外科切除第一選択肢となるが、治療成績TNM分類で同じ病期に相当する胃癌など他の癌腫に比べると大きく劣っており、最近では集学的治療によってこれを向上させようという試みが盛んに行われているものの、完全寛解に至る効果的な治療方法は確立されていない。非小細胞肺癌では、stageIIIa期までは手術療法が検討される一方で、それ以降の臨床病期では手術適応となることは乏しく、化学療法、放射線療法が治療の主体となる。血清診断マーカーとしてはSCC(squamous cell carcinoma related antigen)、Cyfra(cytokeratin 19 fragment)、CEA(carcinoembryonic antigen)、SLX(sialyl Lewisx-i antigen)などが選択されて、単独で又は組み合わせて使用されているが、ステージ初期の癌に対する陽性率が依然として低く、ステージ初期における非小細胞肺癌の血清診断の診断を確実ならしめる診断用マーカーの開発が望まれている(腫瘍マーカー読み方の実際;肺癌.臨牀と研究 78, 35-40, 2001)。

0008

小細胞肺癌は、我が国では肺癌全体の約15から20%を占める腫瘍であり、他の肺癌と比較して、腫瘍の増殖速度が速い反面、抗癌剤、放射線治療に対する感受性が高く、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌などとは著しく異なる臨床上の特徴を有している。小細胞癌では、stageIa期(腫瘍径が20mm以下で、リンパ節、周囲臓器への浸潤及び転移が認められない)に限っては手術療法が検討されるが、基本的には化学療法、放射線療法が主に採用される治療法である。診断マーカーとして、NSE(neuron-specific enolase)とproGRP(pro gastrin-releasing peptide)が、小細胞癌に対する特異性が比較的高い腫瘍マーカーとして用いられており、その陽性率はそれぞれ約60%、70%と報告されている。

0009

肺癌における臨床現場での応用例はまだないが、乳癌あるいはリンフォーマなどに対しては癌特異的な腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体による標的療法が従来の化学療法剤治療とは異なる作用機作を発揮することから、治療奏効率が上昇している。上記の抗体医薬品を使用する標的療法を行う場合に、該抗体が機能して効果を発揮する活性としては、エフェクター細胞を介した抗体依存性細胞障害ADCC)活性、補体を介した補体依存性細胞障害(CDC)活性又は化学療法剤、毒性ペプチド或いは放射性化学物質とのコンジュゲート分子として構築されることにより発揮される細胞障害活性などが挙げられる。該活性として上記の他に抗体自身が抗原分子に対してアゴニスティック作用を触媒するアゴニスティック活性、又は細胞活性化若しくは増殖等に対するシグナル遮断する中和活性等が挙げられる。依然として診断の陽性率及び疾患の治癒率が低く、完全寛解に余地が残されている肺癌治療に対して、上記のような活性を発揮する抗体を用いた分子標的療法を応用するために、肺癌細胞における腫瘍特異的発現分子を同定し、該分子を標的として望ましい活性を発揮する抗体を作出することが強く望まれている。

0010

本発明に関連する先行技術文献情報としては以下のものがある。

0011

WO99/57149
WO02/86443
WO03/20769

先行技術

0012

J.Clin.Invest. 70, 281-288, 1982
Cell 67, 869-877, 1991
J.Immunology170, 2170-2178, 2003
J.Invest.Dermatol., 124, 939-946, 2005

発明が解決しようとする課題

0013

本発明は、抗DSG3抗体とその用途を提供することを課題とする。より詳細には、抗DSG3抗体を用いた癌を診断および治療する新規方法、抗DSG3抗体を含む新規な細胞増殖抑制剤および抗癌剤、ならびに新規な抗DSG3抗体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らはDSG3が肺癌などの癌細胞で高発現していることを見出した。さらに、抗DSG3抗体の補体依存性細胞障害(CDC)活性、更に抗体依存性細胞障害(ADCC)活性を測定したところ、抗DSG3抗体はDSG3発現細胞に対してCDC活性及びADCC活性を有することを見出した。更には以上の知見により、本発明者らは、抗DSG3抗体が肺癌をはじめとしたDSG3が発現亢進する癌の診断、予防および治療に有効であることを見出して、本発明を完成させた。

0015

本発明は、DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。本発明はまた、DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤を提供する。本発明はまた、DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する抗癌剤を提供する。好ましくは、DSG3タンパク質に結合する抗体は細胞障害活性を有する抗体である。また好ましくは、癌は肺癌である。更に好ましくは、癌は非小細胞肺癌である。

0016

別の態様においては、本発明は、DSG3発現細胞とDSG3タンパク質に結合する抗体とを接触させることによりDSG3タンパク質を発現する細胞に細胞障害を引き起こす方法を提供する。本発明はまた、DSG3タンパク質を発現する細胞とDSG3タンパク質に結合する抗体とを接触させることによりDSG3タンパク質を発現する細胞の増殖を抑制する方法を提供する。好ましくは、DSG3タンパク質に結合する抗体は細胞障害活性を有する抗体である。また好ましくは、DSG3タンパク質を発現する細胞は癌細胞である。

0017

更に別の態様においては、本発明は、DSG3タンパク質に結合し、かつ、DSG3タンパク質を発現する細胞に対して細胞障害活性を有する抗体を提供する。好ましくは、該細胞障害活性はADCC活性である。好ましくは、該細胞障害活性はCDC活性である。本発明はまた、低分子の化学療法剤、または、毒性ペプチドを結合した抗体、または、低分子の化学療法剤、または、毒性ペプチドを結合した細胞障害活性を有する抗体を提供する。
本発明は更に、DSG3タンパク質に結合し、かつ、DSG3タンパク質を発現する細胞に対して細胞障害活性を有し、かつ細胞崩壊活性を有しない抗体を提供する。
別の態様においては、本発明は、癌診断マーカーとしてのDSG3タンパク質の使用を提供する。

0018

さらに別の態様においては、本発明は、DSG3タンパク質に結合する抗体を用いてDSG3タンパク質を検出することを特徴とする癌の診断方法を提供する。本発明の方法においては、好ましくは、DSG3タンパク質の細胞外領域が検出される。また好ましくは、本発明の方法はDSG3タンパク質を認識する抗体を用いて行われる。好ましくは、本発明の方法においては、血液中血清中、または血漿中のDSG3タンパク質、あるいは細胞から分離したDSG3タンパク質が検出される。

0019

別の態様においては、本発明は、以下の工程:
(a)被験者から試料採取する工程;
(b) 採取された試料に含まれるDSG3タンパク質を、DSG3タンパク質に結合する抗体を用いて検出する工程
を含む癌の診断方法を提供する。本発明において上記該試料は被験者から採取できるものであればいかなるものでも使用でき、一の態様においては被験者から採取した血清が使用され、また別の態様では被験者から生検バイオプシー)により採取された試料も使用される。該診断方法に係る癌は、対象とする癌細胞がDSG3タンパク質を発現する癌であればいずれの癌でもよいが、好ましくは肺癌であり、さらに好ましくは非小細胞肺癌である。本発明においては、被験者から試料を採取する工程は被験者から採取された試料を提供する工程と表現することもできる。

0020

さらに別の態様においては、本発明は、DSG3タンパク質に結合する抗体が、11C、13N、15O、18F、45Ti、55Co、64Cu、66Ga、68Ga、76Br、89Zr、124Iのいずれかから選択される核種により標識された抗体である癌の診断方法を提供する。
また別の態様においては、本発明は、DSG3タンパク質をコードする遺伝子の発現を検出することを特徴とする癌の診断方法を提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、本発明の診断方法に用いるための診断薬キットを提供する。

0021

すなわち、本願は、以下の〔1〕〜〔32〕を提供するものである。
〔1〕DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する医薬組成物。
〔2〕DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤。
〔3〕DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する抗癌剤。
〔4〕DSG3タンパク質に結合する抗体が細胞障害活性を有する抗体である、〔3〕に記載の抗癌剤。
〔5〕DSG3タンパク質に結合する抗体が、以下(1)から(47)のいずれかに記載の抗体である、〔3〕または〔4〕に記載の抗癌剤;
(1)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(5)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(6)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(7)(1)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、
(8)(2)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、
(9)(3)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、
(10)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(11)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(12)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(13)CDR1として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:32に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:34に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(14)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(15)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(16)(10)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、
(17)(11)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、
(18)(12)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、
(19)(1)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を有する抗体、
(20)(2)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を有する抗体、
(21)(3)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を有する抗体、
(22)(10)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を有する抗体、
(23)(11)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を有する抗体、
(24)(12)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を有する抗体、
(25)CDR1として配列番号:81に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:83に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:85に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(26)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(27)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(28)CDR1として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:89に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(29)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(30)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(31)(25)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を含む抗体、
(32)(26)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体、
(33)(27)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を含む抗体、
(34)(1)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、
(35)(2)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、
(36)(3)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、
(37)(10)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、
(38)(11)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、
(39)(12)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、
(40)(25)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、
(41)(26)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、
(42)(27)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、
(43)(25)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、
(44)(26)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、
(45)(27)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、
(46)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸置換欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(45)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体、
(47)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体が結合するDSG3タンパク質のエピトープと同じエピトープに結合する抗体。
〔6〕癌が肺癌、大腸癌食道癌、胃癌、膵癌皮膚癌又は子宮癌である、〔3〕から〔5〕のいずれかに記載の抗癌剤。
〔7〕肺癌が非小細胞肺癌である〔6〕に記載の抗癌剤。
〔8〕DSG3タンパク質を発現する細胞とDSG3タンパク質に結合する抗体とを接触させることにより該DSG3発現細胞に細胞障害を引き起こす方法。
〔9〕DSG3タンパク質を発現する細胞とDSG3タンパク質に結合する抗体とを接触させることにより該DSG3発現細胞の増殖を抑制する方法。
〔10〕DSG3タンパク質に結合する抗体が細胞障害活性を有する抗体である、〔8〕または〔9〕に記載の方法。
〔11〕DSG3タンパク質に結合する抗体が、以下(1)から(47)のいずれかに記載の抗体である、〔8〕から〔10〕のいずれかに記載の方法;
(1)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(5)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(6)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(7)(1)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、
(8)(2)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、
(9)(3)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、
(10)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(11)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(12)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(13)CDR1として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:32に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:34に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(14)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(15)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(16)(10)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、
(17)(11)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、
(18)(12)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、
(19)(1)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を有する抗体、
(20)(2)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を有する抗体、
(21)(3)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を有する抗体、
(22)(10)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を有する抗体、
(23)(11)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を有する抗体、
(24)(12)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を有する抗体、
(25)CDR1として配列番号:81に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:83に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:85に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(26)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(27)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(28)CDR1として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:89に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(29)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(30)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(31)(25)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を含む抗体、
(32)(26)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体、
(33)(27)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を含む抗体、
(34)(1)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、
(35)(2)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、
(36)(3)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、
(37)(10)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、
(38)(11)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、
(39)(12)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、
(40)(25)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、
(41)(26)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、
(42)(27)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、
(43)(25)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、
(44)(26)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、
(45)(27)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、
(46)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(45)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体、
(47)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体が結合するDSG3タンパク質のエピトープと同じエピトープに結合する抗体。
〔12〕DSG3タンパク質を発現する細胞が癌細胞である、〔8〕から〔11〕のいずれかに記載の方法。
〔13〕DSG3タンパク質に結合し、かつDSG3タンパク質を発現する細胞に対して細胞障害活性を有する抗体。
〔14〕細胞障害活性がADCC活性である〔13〕に記載の抗体。
〔15〕細胞障害活性がCDC活性である〔13〕に記載の抗体。
〔16〕低分子の化学療法剤、または、毒性ペプチドを結合した〔13〕から〔15〕のいずれかに記載の抗体。
〔17〕DSG3タンパク質に結合する抗体であって、低分子の化学療法剤、または、毒性ペプチドが結合された抗体。
〔18〕以下(1)から(47)のいずれかに記載の抗体である、〔13〕から〔17〕のいずれかに記載の抗体;
(1)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:8に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(3)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(5)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(6)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(7)(1)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、
(8)(2)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、
(9)(3)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、
(10)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(11)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(12)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(13)CDR1として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:32に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:34に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(14)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(15)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(16)(10)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、
(17)(11)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、
(18)(12)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、
(19)(1)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を有する抗体、
(20)(2)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を有する抗体、
(21)(3)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を有する抗体、
(22)(10)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を有する抗体、
(23)(11)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を有する抗体、
(24)(12)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を有する抗体、
(25)CDR1として配列番号:81に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:83に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:85に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(26)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(27)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(28)CDR1として配列番号:87に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:89に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:91に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(29)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(30)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、
(31)(25)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を含む抗体、
(32)(26)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体、
(33)(27)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を含む抗体、
(34)(1)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、
(35)(2)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、
(36)(3)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、
(37)(10)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、
(38)(11)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、
(39)(12)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、
(40)(25)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、
(41)(26)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、
(42)(27)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、
(43)(25)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、
(44)(26)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、
(45)(27)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、
(46)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(45)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体、
(47)(1)から(45)のいずれかに記載の抗体が結合するDSG3タンパク質のエピトープと同じエピトープに結合する抗体。
〔19〕癌診断マーカーとしてのDSG3タンパク質の使用。
〔20〕DSG3タンパク質に結合する抗体を用いてDSG3タンパク質を検出することを特徴とする癌の診断方法。
〔21〕以下の工程:
(a)被験者から試料を採取する工程;
(b) 採取された試料に含まれるDSG3タンパク質を、DSG3タンパク質に結合する抗体を用いて検出する工程
を含む癌の診断方法。
〔22〕DSG3タンパク質に結合する抗体が、陽電子放出核種により標識された抗体である〔20〕または〔21〕に記載の診断方法。
〔23〕陽電子放出核種が11C、13N、15O、18F、45Ti、55Co、64Cu、66Ga、68Ga、76Br、89Zr、124Iのいずれかから選択される核種である〔22〕に記載の診断方法。
〔24〕DSG3タンパク質をコードする遺伝子の発現を検出することを特徴とする癌の診断方法。
〔25〕癌が肺癌、大腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、皮膚癌又は子宮癌である〔20〕から〔24〕のいずれかに記載の診断方法。
〔26〕肺癌が非小細胞肺癌である〔25〕に記載の診断方法。
〔27〕〔20〕から〔26〕のいずれかに記載の診断方法に用いるための診断薬。
〔28〕〔20〕から〔26〕のいずれかに記載の診断方法に用いるためのキット。
〔29〕細胞増殖抑制剤の製造におけるDSG3タンパク質に結合する抗体の使用。
〔30〕抗癌剤の製造におけるDSG3タンパク質に結合する抗体の使用。
〔31〕DSG3タンパク質に結合する抗体を対象に投与する工程を含む細胞増殖を抑制する方法。
〔32〕DSG3タンパク質に結合する抗体を対象に投与する工程を含む癌を予防または治療する方法。

図面の簡単な説明

0022

GeneChipU133を用いた、正常組織及び癌組織におけるDSG3遺伝子の発現解析の結果を示す図である。
GeneChipU133を用いた、癌細胞株におけるDSG3遺伝子の発現解析の結果を示す図である。
DSG3タンパク質の扁平上皮癌における発現が免疫染色によって可視化された免疫組織染色の結果を示す写真である。5例中全ての臨床検体においてDSG3タンパク質の発現亢進が示される。
抗DSG3モノクローナル抗体DF120、DF122、DF148、DF151、DF153、DF168、DF331、DF364、DF366が全て全長DSG3を定常的に発現するCHO細胞株への結合を示すFlowcytometry解析の結果を示す図である。
抗DSG3モノクローナル抗体DF120、DF122、DF148、DF151、DF153、DF168、DF331による、全長DSG3を定常的に発現するCHO細胞株に対するCDC活性を示す図である。
抗DSG3モノクローナル抗体DF151による、ヒト皮膚上皮癌細胞株であるA431、及びDSG3を定常的に発現するヒト肺上皮癌細胞株であるDSG3-A549細胞株に対するCDC活性を示す図である。
抗DSG3モノクローナル抗体DF151, DF364及びDF366による、DSG3を定常的に発現するヒト肺上皮癌細胞株であるDSG3-A549細胞株に対するADCC活性を示す図である。図7Aはマウス骨髄由来のエフェクター細胞を用いた解析結果を示し、図7Bはマウス脾臓由来のエフェクター細胞を用いた解析結果を示す。
抗DSG3マウス−ヒトキメラ抗体DF151c, DF364c及びDF366cによる、DSG3を定常的に発現するBa/F3細胞株であるDSG3-Ba/F3細胞株に対するCDC活性を示す図である。
抗DSG3マウス−ヒトキメラ抗体DF364c及びDF366c、低フコース型抗DSG3マウス−ヒトキメラ抗体YB-DF364c及びYB-DF366cによる、DSG3を定常的に発現するBa/F3細胞株であるDSG3-Ba/F3細胞株に対するADCC活性を示す図である。
抗DSG3抗体であるDF366m(マウスIgG2aキメラ抗体)、低フコースDF366m(低フコース型マウスIgG2aキメラ抗体)、DF366c(マウス−ヒトキメラ抗体)及びYB-DF366c(低フコース型マウス−ヒトキメラ抗体)による、DSG3を定常的に発現するBa/F3細胞株であるDSG3-Ba/F3細胞株に対するADCC活性を示す図である。エフェクター細胞にはinterleukin-2を添加したマウス脾臓細胞を用いた。
抗DSG3抗体であるDF366m(マウスIgG2aキメラ抗体)、低フコースDF366m(低フコース型マウスIgG2aキメラ抗体)、DF366c(マウス−ヒトキメラ抗体)及びYB-DF366c(低フコース型マウス−ヒトキメラ抗体)による、DSG3を定常的に発現するBa/F3細胞株であるDSG3-Ba/F3細胞株に対するADCC活性を示す図である。エフェクター細胞にはマウス脾臓細胞をinterleukin-2存在下で4日間培養した細胞を用いた。
抗DSG3抗体であるDF366m(マウスIgG2aキメラ抗体)及び低フコースDF366m(低フコース型マウスIgG2aキメラ抗体)の抗腫瘍活性を示す図である。

0023

〔発明の実施の形態〕
DSG3(Desmoglein3)は、軸索誘導受容体蛋白質であり、そのアミノ酸配列およびこれをコードする遺伝子配列は、それぞれGenBank登録番号NP_001935(配列番号:40)及びNM_001944(配列番号:39)に開示されている。本発明において、DSG3タンパク質とは、全長タンパク質およびその断片の両方を含むことを意味する。断片とは、DSG3タンパク質の任意の領域を含むポリペプチドであり、天然のDSG3タンパク質の機能を有していなくてもよい。断片の例としては、限定されないが、DSG3タンパク質の細胞外領域を含む断片が挙げられる。DSG3タンパク質の細胞外領域は配列番号:40のアミノ酸配列において1−616番目が相当する。又、膜貫通領域は配列番号:40のアミノ酸配列において617−641番目が相当する。

0024

本発明においては、肺癌組織において、非常に高頻度でDSG3が遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで発現亢進していることが見いだされた。また他癌種の臨床検体および癌細胞株の解析から、肺癌のみならず、大腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、皮膚癌又は子宮癌などにおいても発現亢進していることが示された。また、DSG3タンパク質に特異的なモノクローナル抗体を用いることにより、免疫組織診断が可能となることが示された。すなわち、DSG3タンパク質は癌の診断マーカーとして有用である。

0025

DSG3遺伝子発現の検出
本発明の方法は、DSG3遺伝子発現を検出することを特徴とする。本発明の方法の1つの態様においては、DSG3タンパク質の発現を検出する。
本発明において検出とは、定量的または定性的な検出を含み、例えば、定性的な検出としては、単にDSG3タンパク質が存在するか否かの測定、DSG3タンパク質が一定の量以上存在するか否かの測定、DSG3タンパク質の量を他の試料(例えば、コントロール試料など)と比較する測定などを挙げることができる。一方、定量的な検出とは、DSG3タンパク質の濃度の測定、DSG3タンパク質の量の測定などを挙げることができる。

0026

被検試料としては、DSG3タンパク質が含まれる可能性のある試料であれば特に制限されないが、哺乳類などの生物の体から採取された試料が好ましく、さらに好ましくはヒトから採取された試料である。被検試料の具体的な例としては、例えば、血液、間質液、血漿、血管外液脳脊髄液滑液胸膜液、血清、リンパ液唾液、尿などが例示できるが、好ましいのは血液、血清、または血漿である。又、生物の体から採取された組織若しくは細胞が固定化された標本又は細胞の培養液などの、被検試料から得られる試料も本発明の被検試料に含まれる。

0027

診断される癌は、特に制限されることはなく如何なる癌でもよいが、具体的には、肺癌、大腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、皮膚癌又は子宮癌などを挙げることができる。好ましいものは肺癌であり、特に好ましいものは非小細胞肺癌である。
本発明においては、被検試料中にDSG3タンパク質が検出された場合、陰性コントロールまたは健常者と比較して被検試料中に検出されるDSG3タンパク質の量が多いと判断される場合に、被験者が癌である、または将来癌を羅患する可能性が高いと判定できる。

0028

本発明における被験者としてはDSG3タンパク質を遺伝的に有する動物種であればよく、係る動物種としてサルウシヒツジ、マウス、イヌネコハムスター等ヒト以外の多くの哺乳類が知られている。特に好適に用いられる被験者はヒトであるが、これに制限されるものではない。

0029

本発明の診断方法の好ましい態様としては、上記の癌に羅患した患者から取得した組織若しくは細胞を固定化した切片上でDSG3タンパク質を検出することを特徴とする診断方法を挙げることができる。更に本発明の別の態様では細胞から遊離し、血中に存在するDSG3タンパク質を検出することを特徴とする診断方法を挙げることができる。特に好ましくは、本発明は血中に存在するDSG3タンパク質の細胞外領域を含む断片を検出する診断方法である。

0030

被検試料に含まれるDSG3タンパク質の検出方法は特に限定されないが、抗DSG3抗体を用いた免疫学的方法により検出することが好ましい。免疫学的方法としては、例えば、ラジオイムノアッセイRIA)、エンザイムイムノアッセイEIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、発光イムノアッセイ(LIA)、免疫沈降法(IP)、免疫比濁法(TIA)、ウエスタンブロット(WB)、免疫組織染色(IHC)、免疫拡散法(SRID)などを挙げることができるが、好ましくはエンザイムイムノアッセイであり、特に好ましくは酵素結合免疫吸着定量法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)であり、その一態様としては、例えば、sandwich ELISA(サンドウィッチELISA)が挙げられる。ELISAなどの上述した免疫学的方法は当業者に公知の方法により行うことが可能である。

0031

抗DSG3抗体を用いた一般的な検出方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。抗DSG3抗体を支持体に固定した後に、タンパク質の支持体に対する非特異的な結合を防ぐため、例えば仔牛血清アルブミンBSA)、ゼラチン、アルブミンなどで支持体がブロッキングされる。次に、支持体に被検試料を加えたインキュベーションによって、既に支持体に結合した抗DSG3抗体とDSG3タンパク質を結合させる。その後支持体に結合した抗DSG3抗体とDSG3タンパク質との複合体に対する洗浄液による洗浄により、支持体上の抗DSG3抗体に結合したDSG3タンパク質以外で、非特異的に該支持体に結合したDSG3タンパク質が除去される。支持体上の抗DSG3抗体に結合したDSG3タンパク質を定性的に又は定量的に検出することにより被検試料中のDSG3タンパク質の検出を行う方法を、抗DSG3抗体を用いる検出方法として挙げることができるが、更に以下において幾つかの具体例が説明される。

0032

本発明において抗DSG3抗体を固定するために用いられる支持体としては、例えば、アガロースセルロースなどの不溶性多糖類シリコン樹脂ポリスチレン樹脂ポリアクリルアミド樹脂ナイロン樹脂ポリカーボネイト樹脂などの合成樹脂や、ガラスなどの不溶性の支持体を挙げることができる。これらの支持体は、ビーズプレートなどの形状で用いられる。ビーズの場合、これらが充填されたカラムなどが使用できる。プレートの場合、マルチウェルプレート96穴マルチウェルプレート等)、やバイオセンサーチップなどが使用できる。抗DSG3抗体と支持体との結合においては、化学結合物理的な吸着などの通常用いられる方法により抗DSG3抗体が支持体に結合できる。これらの支持体はすべて市販のものが好適に使用できる。

0033

抗DSG3抗体とDSG3タンパク質との結合は、通常、緩衝液中で行われる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、クエン酸緩衝液ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液、などが使用される。また、インキュベーションの条件としては、すでによく用いられている条件、例えば、4℃から室温の間の温度にて1時間から24時間までの時間でインキュベーションが好適に実施できる。インキュベーションの後の洗浄は、DSG3タンパク質と抗DSG3抗体の結合を妨げないものであれば何でもよく、例えば、Tween20等の界面活性剤を含む緩衝液などが好適に使用できる。

0034

本発明のDSG3タンパク質検出方法においては、そのDSG3タンパク質含有量を検出する被検試料の他に、対照試料が適切に調製できる。対照試料としては、DSG3タンパク質を含まない陰性対照試料やDSG3タンパク質を含む陽性対照試料などが挙げられる。この場合、DSG3タンパク質を含まない陰性対照試料で得られた結果と、DSG3タンパク質を含む陽性対照試料で得られた結果とを比較することにより、被検試料中のDSG3タンパク質の存在又は非存在の確認ができる。また、濃度を段階的に変化させた一連の対照試料を調製し、各対照試料に対する検出結果を数値として得た後に、DSG3タンパク質の濃度値と対応する測定値に基づいて作成される標準曲線に基づいて、被検試料に含まれるDSG3タンパク質が定量的に検出できる。

0035

抗DSG3抗体を介して支持体に結合したDSG3タンパク質の検出の好ましい態様として、標識物質で標識された抗DSG3抗体を用いる方法が挙げられる。例えば、支持体に固定された抗DSG3抗体に被検試料を接触させ、洗浄後に、該抗DSG3抗体に結合したDSG3タンパク質を特異的に認識する標識抗体を用いることによって該DSG3タンパク質が検出できる。

0036

抗DSG3抗体の標識は通常知られている方法により行うことが可能である。標識物質としては、蛍光色素酵素補酵素化学発光物質放射性物質などの当業者に公知の標識物質を用いることが可能であり、具体的な例としては、ラジオアイソトープ(32P、14C、125I、3H、131Iなど)、フルオレセインローダミンダンシルクロリドウンベリフェロンルシフェラーゼペルオキシダーゼアルカリホスファターゼβ-ガラクトシダーゼβ-グルコシダーゼホースラディッシュパーオキシダーゼグルコアミラーゼリゾチームサッカリドオキシダーゼマイクロペルオキシダーゼ、ビオチンなどを挙げることができる。標識物質としてビオチンを用いる場合には、ビオチン標識抗体を添加後に、アルカリホスファターゼなどの酵素を結合させたアビジンをさらに添加することが好ましい。標識物質と抗DSG3抗体との結合のためには、グルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、過ヨウ素酸法、などの公知の方法が使用できる。

0037

具体的には、抗DSG3抗体を含む溶液をプレートなどの支持体に加えることにより、抗DSG3抗体が支持体に固定される。プレートの洗浄後、タンパク質の非特異的な結合を防ぐため、例えば仔牛血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、アルブミンなどで該プレートがブロッキングされる。再びプレートが洗浄された後に、被検試料をプレートに加えることによりインキュベーションが行われる。インキュベーションの後に、該プレートが洗浄され、標識抗DSG3抗体が加えられる。適度なインキュベーションの後、該プレートが洗浄され、該プレート上に残存する標識された抗DSG3抗体が検出できる。検出は当業者に公知の方法により行うことができ、例えば、放射性物質により標識された抗DSG3抗体を検出する場合には、該標識抗DSG3抗体が液体シンチレーションやRIA法により検出できる。酵素により標識された抗DSG3抗体を検出する場合には、該標識抗DSG3抗体に基質を加えた後に、基質の酵素的変化、例えば発色を吸光度計により検出することができる。基質の具体的な例としては、2,2-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸ジアンモニウム塩(ABTS)、1,2-フェニレンジアミンオルソ-フェニレンジアミン)、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)などを挙げることができる。基質が蛍光発光物質の場合には基質の酵素的変化が蛍光光度計を用いて検出できる。

0038

本発明のDSG3タンパク質の検出方法の特に好ましい態様として、ビオチンで標識された抗DSG3抗体およびアビジンを用いる方法を挙げることができる。具体的には、抗DSG3抗体を含む溶液をプレートなどの支持体に加えることにより、抗DSG3抗体が該プレートに固定できる。該プレートが洗浄された後に、タンパク質の非特異的な結合を防ぐため、該プレートが例えばBSAなどでブロッキングされる。再び該プレートが洗浄され、被検試料が該プレートに加えられる。インキュベーションの後、該プレートは洗浄され、ビオチン標識抗DSG3抗体が該プレートに加えられる。適度なインキュベーションの後、該プレートが洗浄され、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼなどの酵素と結合したアビジンが該プレートに加えられる。インキュベーション後、該プレートは洗浄され、アビジンに結合している酵素が作用する基質を加え、基質の酵素的変化などを指標にDSG3タンパク質が検出できる。

0039

本発明のDSG3タンパク質を検出する方法の他の態様として、DSG3タンパク質を特異的に認識する一次抗体一種類以上、および該一次抗体を特異的に認識する二次抗体を一種類以上用いる方法を挙げることができる。

0040

例えばプレート等の支持体に抗DSG3抗体を固定した後に、タンパク質の支持体に対する非特異的な結合を防ぐため、例えば仔牛血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、アルブミンなどで該プレートがブロッキングされる。次に、該プレートに被検試料を加えた後にインキュベーションを行い、既に該プレートに結合した抗DSG3抗体とDSG3タンパク質を結合させる。その後該プレートを洗浄液によって洗浄することにより、抗DSG3抗体に対する特異的な結合でなく、非特異的に該支持体に結合したDSG3タンパク質が該プレートから除去される。支持体に結合した抗体とは別種の抗DSG3抗体を該DSG3タンパク質に結合させた後に、支持体に対してではなくDSG3タンパク質に対して結合した抗DSG3抗体のみに結合することの出来る二次抗体を該DSG3タンパク質と抗DSG3抗体の複合体に対して反応させる。上記操作の結果、結合した二次抗体を定性的に又は定量的に検出することにより、被検試料中のDSG3タンパク質の検出を行う方法を挙げることができる。この場合、二次抗体が標識物質により好適に標識できる。

0041

本発明のDSG3タンパク質の検出方法の他の態様としては、凝集反応を利用した検出方法を挙げることができる。該方法においては、抗DSG3抗体を吸着した担体を用いてDSG3タンパク質が検出できる。抗体を吸着する担体としては、不溶性で、非特異的な反応を起こさず、かつ安定である限り、いかなる担体を使用してもよい。例えば、ラテックス粒子ベントナイトコロジオンカオリン、固定羊赤血球等を使用することができるが、ラテックス粒子を使用するのが好ましい。ラテックス粒子としては、例えば、ポリスチレンラテックス粒子スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス粒子、ポリビニルトルエンラテックス粒子等を使用することができるが、ポリスチレンラテックス粒子を使用するのが好ましい。感作した粒子を試料と混合させ、一定時間攪拌させる。試料中にDSG3タンパク質が高濃度で含まれるほど粒子の凝集度が大きくなるので、該凝集度を肉眼見積もることによりDSG3タンパク質が検出できる。また、凝集による濁度の増加を分光光度計等により測定することによってもDSG3タンパク質が検出できる。

0042

本発明のDSG3タンパク質の検出方法の他の態様としては、例えば、表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを用いた方法を挙げることができる。表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを使用することによって、タンパク質とタンパク質間相互作用表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに該タンパク質を標識することなく観察できる。例えば、BIAcore(ビアコア社製)等のバイオセンサーを用いることによりDSG3タンパク質と抗DSG3抗体の結合が検出できる。具体的には、抗DSG3抗体を固定化したセンサーチップに、被検試料を接触させ、抗DSG3抗体に結合するDSG3タンパク質が共鳴シグナルの変化として検出できる。

0043

上に挙げた標識の他に、18F、55Co、64Cu、66Ga、68Ga、76Br、89Zr及び124Iのような陽電子放出核種を用いて通常の方法(Acta Oncol. 32, 825-830, 1993)によって抗DSG3抗体が標識できる。上記陽電子放出核種で標識された抗DSG3抗体がヒトや動物に投与された後に、薬物の体内挙動に関するデータを非侵襲的に得るための装置であるPET(ポジトロン断層撮影装置)を使用することにより、その放射性核種放射する放射線が体外から計測され、コンピュータートモグラフィーの手法で定量画像に変換される。上記のようにPETを使用することによって、患者から試料を採取することなく特定の癌で高発現する抗原分子が検出できる。抗DSG3抗体は、上記の核種の他に11C、13N、15O、18F、45Ti等の陽電子放出核種を用いた短寿命RIによっても放射標識できる。

0044

現在、医療用サイクロトロンによる上記核種を用いた短寿命核種の生産、短寿命RI標識化合物の製造技術等に関する研究開発が進められており、該技術により抗DSG3抗体が標識できる。抗DSG3抗体を上記陽電子放出核種で標識した後に患者に投与することによって、生体内に所在するDSG3タンパク質を認識する該標識抗DSG3抗体が、各部位の病理組織に対する抗DSG3抗体の特異性に従って原発巣及び転移巣集約するため、その放射活性を検出することにより該原発巣及び転移巣の存在が診断できる。該診断用途に用いる場合には25-4000 keVのガンマ粒子又は陽電子放射量活性値が適切に使用できる。また、適切な核種を選択して、さらに大量に投与すれば治療効果も期待できるが、その場合は70-700 keVのガンマ粒子又は陽電子放射量値が適切に使用できる。

0045

本発明の方法の別の態様においては、DSG3のmRNAの発現を検出する。本発明において検出とは、定量的または定性的な検出を含み、例えば、定性的な検出としては、単にDSG3のmRNAが存在するか否かの測定、DSG3のmRNAが一定の量以上存在するか否かの測定、DSG3のmRNAの量を他の試料(例えば、コントロール試料など)と比較する測定などを挙げることができる。一方、定量的な検出とは、DSG3のmRNAの濃度の測定、DSG3のmRNAの量の測定などを挙げることができる。

0046

被検試料としては、DSG3のmRNAが含まれる可能性のある試料であれば特に制限されないが、哺乳類などの生物の体から採取された試料が好ましく、さらに好ましくはヒトから採取された試料である。被検試料の具体的な例としては、例えば、血液、間質液、血漿、血管外液、脳脊髄液、滑液、胸膜液、血清、リンパ液、唾液、尿などが例示できるが、好ましいのは血液、血清、または血漿である。又、生物の体から採取された組織若しくは細胞が固定化された標本又は細胞の培養液などの、被検試料から得られる試料も本発明の被検試料に含まれる。

0047

診断される癌は、特に制限されることはなく如何なる癌でもよいが、具体的には、肺癌、大腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、皮膚癌又は子宮癌などを挙げることができる。好ましいものは肺癌であり、特に好ましいものは非小細胞肺癌である。
本発明における被験者としてはDSG3タンパク質を遺伝的に有する動物種であればよく、係る動物種としてサル、ウシ、ヒツジ、マウス、イヌ、ネコ、ハムスター等ヒト以外の多くの哺乳類が知られている。特に好適に用いられる被験者はヒトであるが、これに制限されるものではない。

0048

以下に検出方法の具体的な態様を記載するが、本発明の方法は、それらの方法に限定されるものではない。まず、被験者から試料を調製する。次いで、該試料に含まれるDSG3のmRNAを検出する。本発明においては、mRNAから合成したcDNAの検出を行ってもよい。本発明においては、被検試料中にDSG3のmRNAやDSG3をコードするcDNAが検出された場合、陰性コントロールまたは健常者と比較して被検試料中に検出されるDSG3のmRNAやDSG3をコードするcDNAの量が多いと判断される場合に、被験者が癌である、または将来癌を羅患する可能性が高いと判定できる。
これらのような方法としては、当業者らに周知の方法、例えばノーザンブロッティング法、RT-PCR法DNAアレイ法等を挙げることができる。
上記した本発明の検出方法は、種々の自動検査装置を用いて自動化することもでき、一度に大量の試料について検査を行うことも可能である。

0049

本発明は、癌の診断のための被検試料中のDSG3タンパク質を検出するための診断薬またはキットの提供をも目的とするが、該診断薬またはキットは少なくとも抗DSG3抗体を含む。該診断薬またはキットがELISA法等のEIA法に基づく場合は、抗体を固相化する担体を含んでいてもよく、抗体があらかじめ担体に結合していてもよい。該診断薬またはキットがラテックス等の担体を用いた凝集法に基づく場合は抗体が吸着した担体を含んでいてもよい。

0050

また、本発明は、癌の診断のための被検試料中のDSG3のmRNA、またはDSG3をコードするcDNAを検出するための診断薬またはキットの提供をも目的とするが、該診断薬またはキットは少なくともDSG3をコードするDNA(配列番号:39に記載の塩基配列からなるDNA)またはその相補鎖相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含む。

0051

ここで「相補鎖」とは、A:T(ただしRNAの場合はU)、G:Cの塩基対からなる2本鎖核酸の一方の鎖に対する他方の鎖を指す。また、「相補的」とは、少なくとも15個の連続したヌクレオチド領域で完全に相補配列である場合に限られず、少なくとも70% 、好ましくは少なくとも80% 、より好ましくは90% 、さらに好ましくは95% 以上の塩基配列上の相同性を有すればよい。相同性を決定するためのアルゴリズムは本明細書に記載したものを使用すればよい。

0052

本発明のオリゴヌクレオチドは、DSG3をコードするDNAの検出や増幅に用いるプローブプライマー、該DNAの発現を検出するためのプローブやプライマーとして使用することができる。また、本発明のオリゴヌクレオチドは、DNAアレイの基板の形態で使用することができる。

0053

該オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる場合、その長さは、通常15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、DSG3をコードするDNAまたはその相補鎖の少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。また、プライマーとして用いる場合、3'側の領域は相補的とし、5'側には制限酵素認識配列やタグなどを付加することができる。

0054

また、上記オリゴヌクレオチドをプローブとして使用する場合、該プローブは、DSG3をコードするDNAまたはその相補鎖の少なくとも一部に特異的にハイブリダイズするものであれば、特に制限されない。該プローブは、合成オリゴヌクレオチドであってもよく、通常少なくとも15bp以上の鎖長を有する。

0055

本発明のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、適宜標識して用いることが好ましい。標識する方法としては、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、オリゴヌクレオチドの5'端を32Pでリン酸化することにより標識する方法、およびクレノウ酵素等のDNAポリメラーゼを用い、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチド等をプライマーとして32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を取り込ませる方法(ランダムプライム法等)を例示することができる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば市販のオリゴヌクレオチド合成機により作製することができる。プローブは、制限酵素処理等によって取得される二本鎖DNA断片として作製することもできる。

0056

上記の診断薬やキットにおいては、有効成分であるオリゴヌクレオチドや抗体以外に、例えば、滅菌水生理食塩水植物油、界面活性剤、脂質、溶解補助剤緩衝剤、タンパク質安定剤(BSAやゼラチンなど)、保存剤ブロッキング溶液反応溶液反応停止液、試料を処理するための試薬等が必要に応じて混合されていてもよい。
本発明の診断方法はin vitro又はin vivoのどちらでも行なうことが可能であるが、in vitroで行なわれることが好ましい。
本発明の癌の診断方法の好ましい態様として以下の工程を含む方法を挙げることができる。
(a)被験者から採取された試料を提供する工程;
(b) (a)の試料に含まれるDSG3タンパク質を検出する工程。
さらに、本発明の癌の診断方法の好ましい態様として以下の工程を含む方法を挙げることができる。
(a) 被験者から採取された試料を提供する工程;
(b) (a)の試料に含まれるDSG3遺伝子を検出する工程。

0057

抗DSG3抗体の作製
本発明で用いられる抗DSG3抗体はDSG3タンパク質に特異的に結合すればよく、その由来、種類(モノクローナル、ポリクローナル)および形状は問われない。具体的には、動物抗体(例えば、マウス抗体ラット抗体ラクダ抗体)、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などの公知の抗体が使用できる。抗体はポリクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体であることが好ましい。

0058

本発明で使用される抗DSG3抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として取得できる。本発明で使用される抗DSG3抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主により産生されるもの等を含む。

0059

モノクローナル抗体産生ハイブリドーマが、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、DSG3タンパク質を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって抗DSG3抗体を産生するハイブリドーマが選択できる。

0060

具体的には、モノクローナル抗体の作製は例えば以下に示すように行われる。まず、GenBank登録番号NM_001944(配列番号:39)にそのヌクレオチド配列が開示されたDSG3遺伝子を発現することによって、抗体取得の感作抗原として使用されるDSG3タンパク質が取得できる。すなわち、DSG3をコードする遺伝子配列を公知の発現ベクターに挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後、その宿主細胞中または培養上清中から目的のヒトDSG3タンパク質が公知の方法で精製できる。また、精製した天然のDSG3タンパク質もまた同様に使用できる。

0061

哺乳動物に対する免疫に使用する感作抗原として該精製DSG3タンパク質が使用できる。DSG3の部分ペプチドもまた感作抗原として使用できる。この際、該部分ペプチドはヒトDSG3のアミノ酸配列より化学合成によっても取得でき、DSG3遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで発現させることによっても取得でき、さらにはDSG3タンパク質をタンパク質分解酵素により分解することによっても取得できるが、部分ペプチドとして用いるDSG3の領域および大きさは限定されるものではない。
該感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、あるいはウサギ、サル等が使用される。

0062

公知の方法にしたがって上記の動物が感作抗原により免疫できる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または皮下に注射することにより免疫が実施できる。具体的には、PBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当な希釈倍率希釈された感作抗原が、所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントと混合され、乳化された後に、該感作抗原が哺乳動物に4から21日毎に数回投与される。また、感作抗原の免疫時には適当な担体が使用できる。特に分子量の小さい部分ペプチドが感作抗原として用いられる場合には、該感作抗原ペプチドをアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン等の担体タンパク質と結合させて免疫することが望ましい。
このように哺乳動物が免疫され、血清中における所望の抗体量の上昇が確認された後に、哺乳動物から免疫細胞が採取され、細胞融合に付される。好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が使用できる。

0063

前記免疫細胞と融合される細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞が用いられる。該ミエローマ細胞としては、公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J. Immunol.(1979)123, 1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81, 1-7)、NS-1 (Kohler. G. and Milstein, C. Eur. J. Immunol.(1976)6, 511-519)、MPC-11(Margulies. D.H. et al., Cell(1976)8, 405-415)、SP2/0 (Shulman, M. et al., Nature(1978)276, 269-270)、FO(de St. Groth, S. F. etal., J. Immunol. Methods(1980)35, 1-21)、S194(Trowbridge, I. S. J. Exp. Med.(1978)148, 313-323)、R210(Galfre, G. et al., Nature(1979)277, 131-133)等が好適に使用できる。

0064

基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C.、MethodsEnzymol.(1981)73, 3-46)等に準じて、前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合が行われる。

0065

より具体的には、例えば細胞融合促進剤の存在下で通常の栄養培養液中で、前記細胞融合が実施できる。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルスHVJ)等が使用され、更に融合効率を高めるために所望によりジメチルスルホキシド等の補助剤が添加されて使用される。

0066

免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定できる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1から10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用でき、さらに、牛胎児血清FCS)等の血清補液が好適に添加され併用される。

0067

細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液(例えば平均分子量1000から6000程度)を通常30から60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。続いて、上記に挙げた適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等が除去できる。

0068

このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチンアミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択できる。目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、係る十分な時間は数日から数週間である)上記HAT培養液を用いた培養が継続できる。ついで、通常の限界希釈法を実施することによって、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施できる。

0069

又、DSG3を認識する抗体の作製は国際公開WO03/104453に記載された方法を用いて作製してもよい。

0070

目的とする抗体のスクリーニングおよび単一クローニングが、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法によって好適に実施できる。例えば、ポリスチレン等でできたビーズや市販の96ウェルマイクロタイタープレート等の担体に抗原を結合させ、ハイブリドーマの培養上清と反応させ、担体を洗浄した後に酵素で標識した二次抗体等を反応させることにより、培養上清中に感作抗原と反応する目的とする抗体が含まれるかどうかが決定できる。抗原に対する結合能を有する所望の抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等によりクローニングすることが可能となる。この際、抗原としては免疫に用いたものを始め、実施的に同質なDSG3タンパク質が好適に使用できる。

0071

また、ヒト以外の動物に抗原を免疫することによって上記ハイブリドーマを得る方法以外に、ヒトリンパ球をin vitroにおいてDSG3タンパク質で感作し、感作されたリンパ球ヒト由来であって永久分裂能を有するミエローマ細胞と融合させることによっても、DSG3タンパク質への結合活性を有する所望のヒト抗体が取得できる(特公平1-59878号公報参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物に対して抗原となるDSG3タンパク質を投与することによって得られる抗DSG3抗体産生細胞を不死化させた後に、該不死化細胞からDSG3タンパク質に対するヒト抗体を単離することによっても所望のヒト抗体が取得できる(国際公開WO 94/25585、WO93/12227、WO 92/03918、WO 94/02602参照)。

0072

このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは通常の培養液中での継代培養が可能であり、また、該ハイブリドーマの液体窒素中での長期保存もまた同様に実施できる。

0073

当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが好適に実施できる。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。

0074

本発明では、ハイブリドーマから抗体遺伝子をクローニングした後に、該遺伝子を適当なベクターに組み込んで宿主に導入する遺伝子組換え技術を用いて作出した組換え細胞により産生させた組換え型の抗体をモノクローナル抗体として用いることができる(例えば、Vandamme, A. M. et al., Eur.J. Biochem.(1990)192, 767-775参照)。具体的には、該遺伝子が抗DSG3抗体を産生するハイブリドーマ細胞から、抗DSG3抗体の可変領域(V領域)をコードするmRNAを単離することによって取得できる。即ち、全RNAを公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. et al., Biochemistry(1979)18, 5294-5299)、AGPC法(Chomczynski, P.et al., Anal. Biochem.(1987)162, 156-159)等によって該ハイブリドーマ細胞から調製した後に、mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)等を使用して目的のmRNAが調製できる。また、QuickPrep mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)を用いることによりmRNAが該ハイブリドーマから直接調製できる。

0075

得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域のcDNAが合成できる。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等を用いて実施できる。また、cDNAの合成および増幅のために、5'-Ampli FINDERRACE Kit(Clontech製)およびPCRを用いた5’−RACE法(Frohman, M. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1988)85, 8998-9002、Belyavsky, A.et al., Nucleic AcidsRes.(1989)17, 2919-2932)等もまた好適に使用でき、こうしたcDNAの合成の過程においてcDNAの両末端に後述する適切な制限酵素サイトが導入できる。

0076

得られたPCR産物から目的とするcDNA断片が精製され、次いでベクターDNAと連結される。このように組換えベクターが作製され、大腸菌等に導入されコロニーが選択された後に、該コロニーを形成した大腸菌から所望の組換えベクターが調製できる。そして、該組換えベクターが目的とするcDNAの塩基配列を有しているか否かについて、公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認できる。目的とする抗DSG3抗体のV領域をコードするcDNAが得られた後に、該cDNAの両末端に挿入した制限酵素サイトを認識する酵素によって該cDNAが消化される。上記のように消化された抗DSG3抗体のV領域をコードするcDNAが、同じ組み合わせの酵素で消化することにより所望の抗体定常領域C領域)をコードするDNAとインフレームで融合させることができるように該C領域を含んでなる発現ベクターへライゲートすることによって組み込まれる。

0077

本発明で使用される抗DSG3抗体を製造するには、抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサープロモーターによる制御の下で発現するように発現ベクターに組み込む方法が好適に使用できる。次いで、この発現ベクターを用いて好適に宿主細胞を形質転換することによって、抗DSG3抗体をコードするDNAを発現する組換え細胞が取得できる。

0078

抗体遺伝子の発現は、抗体重鎖(H鎖)または軽鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を同時形質転換させてもよいし、あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換させてもよい(国際公開WO 94/11523参照)。

0079

抗体遺伝子を一旦単離し、適当な宿主に導入して抗体を作製する場合には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせが好適に使用できる。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞植物細胞真菌細胞が使用できる。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例えば、CHO、COS、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney )、Hela、Vero、(2)両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、又は(3)昆虫細胞、例えば、sf9、sf21、Tn5などが知られている。植物細胞としては、ニコティアナ(Nicotiana)属、例えばニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、例えばアススギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが知られている。原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系が好適に使用できる。細菌細胞としては、大腸菌(E. coli)、枯草菌が知られている。これらの細胞中に、目的とする抗体遺伝子を含んでなる発現ベクターを形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより所望の抗体が、該形質転換細胞培養物から取得できる。

0080

また、組換え型抗体の産生には上記宿主細胞だけではなく、トランスジェニック動物も好適に使用できる。例えば、抗体遺伝子は、乳汁中固有に産生されるタンパク質(ヤギβカゼインなど)をコードする遺伝子の内部にインフレームで挿入することによって融合遺伝子として構築できる。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片はヤギの注入され、該注入胚が雌のヤギへ導入できる。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁から所望の抗体が取得できる。また、トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、ホルモンがトランスジェニックヤギに適宜使用できる(Ebert, K.M. et al., Bio/Technology(1994)12, 699-702)。

0081

本発明の組換え抗体のC領域として、動物抗体由来のC領域を使用できる。例えばマウス抗体のH鎖C領域としては、Cγ1、Cγ2a、Cγ2b、Cγ3、Cμ、Cδ、Cα1、Cα2、Cεが、L鎖C領域としてはCκ、Cλが使用できる。また、マウス抗体以外の動物抗体としてラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ラクダ、サル等の動物抗体が使用できる。これらの配列は公知である。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、C領域を修飾することができる。

0082

本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体などが使用できる。これらの改変抗体は、公知の方法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、ヒト以外の動物、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体であり、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結させ、これを発現ベクターに組み込むことによって該DNAを発現する組換えベクターが作製できる。該ベクターにより形質転換された組換え細胞を培養し、組み込まれたDNAを発現させることによって、培養中に生産される該キメラ抗体が取得できる。

0083

キメラ抗体およびヒト化抗体のC領域には、ヒト抗体のものが使用され、例えばH鎖としては、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、Cμ、Cδ、Cα1、Cα2、Cεが、L鎖としてはCκ、Cλが使用できる。これらの配列は公知である。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾することができる。

0084

キメラ抗体は、ヒト以外の動物由来抗体のV領域とヒト抗体由来のC領域とから構成される。一方、ヒト化抗体は、ヒト以外の動物由来抗体の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)と、ヒト抗体由来のフレームワーク領域(FR;framework region)およびヒト抗体由来のC領域とから構成される。ヒト化抗体はヒト体内における抗原性が低下されているため、本発明の治療剤の有効成分として有用である。

0085

ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の動物、たとえばマウス抗体のCDRをヒト抗体のCDRに換えて移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のFRをインフレームで融合するように設計されたDNA配列が、末端部オーバーラップする部分を有するように設計された数個のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いたPCR法により合成される。上記のように得られたDNAとヒト抗体C領域をコードするDNAとをインフレームで融合するように発現ベクター中に挿入することによって組込みベクターが作成できる。該組込みベクターを宿主に導入して組換え細胞を樹立した後に、該組換え細胞を培養し、該ヒト化抗体をコードするDNAを発現させることによって、該ヒト化抗体が該培養細胞の培養物中に産生される(欧州特許公開EP 239400 、国際公開WO 96/02576参照)。

0086

上記のように作製されたヒト化抗体の抗原への結合活性を定性的又は定量的に測定し、評価することによって、CDRを介して連結されたときに該CDRが良好な抗原結合部位を形成するようなヒト抗体のFRが好適に選択できる。必要に応じ、再構成ヒト抗体のCDRが適切な抗原結合部位を形成するようにFRのアミノ酸が置換されてもよい。上記のアミノ酸置換はマウスCDRとヒトFRとの融合の際に用いたPCR法を適宜使用して導入することができ、アミノ酸を置換した変異型抗体の抗原への結合活性を上記の方法で測定し評価することによって所望の性質を有する変異FR配列が選択できる(Sato, K.et al., Cancer Res, 1993, 53, 851-856)。

0087

また、ヒト抗体の取得方法も知られている。例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球ヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させることによって、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体が取得できる(特公平1-59878参照)。また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を所望の抗原で免疫することにより所望のヒト抗体が取得できる(国際公開WO 93/12227, WO 92/03918,WO 94/02602, WO 94/25585,WO 96/34096, WO 96/33735参照)。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体のV領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析することにより、抗原に結合するヒト抗体のV領域をコードするDNA配列が決定できる。抗原に結合するscFvのDNA配列を決定した後、当該V領域配列を所望のヒト抗体C領域の配列とインフレームで融合させた後に適当な発現ベクターに挿入することによって発現ベクターが作製できる。該発現ベクターを上記に挙げたような好適な発現細胞中に導入し、該ヒト抗体をコードする遺伝子を発現させることにより該ヒト抗体が取得できる。これらの方法は既に公知であり、国際公開WO 92/01047, WO 92/20791, WO 93/06213, WO 93/11236, WO 93/19172, WO 95/01438, WO 95/15388を参考にすることができる。

0088

本発明で使用される抗体には、DSG3タンパク質に結合する限り、IgGに代表される二価抗体だけでなく、一価抗体、若しくはIgMに代表される多価抗体も含まれる。本発明の多価抗体には、全て同じ抗原結合部位を有する多価抗体、または、一部もしくは全て異なる抗原結合部位を有する多価抗体が含まれる。

0089

本発明で使用される抗体は、抗体の全長分子に限られず、DSG3タンパク質に結合する限り、低分子化抗体またはその修飾物であってもよい。

0090

低分子化抗体は、全長抗体(whole antibody、例えばwholeIgG等)の一部分が欠損している抗体断片を含み、抗原への結合能を有していれば特に限定されない。本発明の抗体断片は、全長抗体の一部分であれば特に限定されないが、重鎖可変領域(VH)又は/及び軽鎖可変領域(VL)を含んでいることが好ましい。VHまたはVLのアミノ酸配列は、置換、欠失、付加及び/又は挿入がされていてもよい。さらに抗原への結合能を有する限り、VH又は/及びVLの一部を欠損させてもよい。又、可変領域はキメラ化やヒト化されていてもよい。抗体断片の具体例としては、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvなどを挙げることができる。また、低分子化抗体の具体例としては、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv(single chain Fv)、Diabody、sc(Fv)2(single chain (Fv)2)などを挙げることができる。これら抗体の多量体(例えば、ダイマートリマーテトラマーポリマー)も、本発明の低分子化抗体に含まれる。

0091

抗体の断片は、抗体を酵素、例えばパパインペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、または、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現できる(例えば、Co, M.S. et al., J. Immunol.(1994)152, 2968-2976、Better, M. & Horwitz, A. H. Methodsin Enzymology(1989)178, 476-496、Plueckthun, A. & Skerra, A. Methods in Enzymology(1989)178, 476-496、Lamoyi, E., Methods in Enzymology(1989)121, 652-663、Rousseaux, J. et al., Methods in Enzymology(1989)121, 663-669、Bird, R. E. et al., TIBTECH(1991)9, 132-137参照)。

0092

Diabodyは、遺伝子融合により構築された二価(bivalent)の抗体断片を指す(Holliger P et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90: 6444-6448 (1993)、EP404,097号、WO93/11161号等)。Diabodyは、2本のポリペプチド鎖から構成されるダイマーであり、通常、ポリペプチド鎖は各々、同じ鎖中でVL及びVHが、互いに結合できない位に短い、例えば、5残基程度のリンカーにより結合されている。同一ポリペプチド鎖上にコードされるVLとVHとは、その間のリンカーが短いため単鎖可変領域フラグメントを形成することが出来ず二量体を形成するため、Diabodyは2つの抗原結合部位を有することとなる。

0093

scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域とを連結することにより得られる。このscFvにおいて、H鎖V領域とL鎖V領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結される(Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 1988, 85, 5879-5883.)。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域は、本明細書に抗体として記載されたもののいずれの抗体由来であってもよい。V領域を連結するペプチドリンカーとしては、特に制限はないが、例えば3から25残基程度からなる任意の一本鎖ペプチド、また、後述のペプチドリンカー等を用いることができる。V領域の連結方法としては上記のようなPCR法が利用できる。前記抗体のH鎖またはH鎖V領域をコードするDNA配列、およびL鎖またはL鎖V領域をコードするDNA配列のうち、全部又は所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型として、及び、その両端の配列に対応する配列を有するプライマーの一対を用いたPCR法によってscFvをコードするDNAが増幅できる。次いで、ペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端が各々H鎖、L鎖と連結されるように設計された配列を有するプライマーの一対を組み合わせてPCR反応を行うことによって、所望の配列を有するDNAが取得できる。また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された組換え細胞が常法に従って取得でき、また、その結果得られる組換え細胞を培養して該scFvをコードするDNAを発現させることにより、該scFvが取得できる。

0094

sc(Fv)2は、2つのVH及び2つのVLをリンカー等で結合して一本鎖にした低分子化抗体である(Hudson et al、J Immunol. Methods 1999;231:177-189)。sc(Fv)2は、例えば、scFvをリンカーで結ぶことによって作製できる。

0095

また2つのVH及び2つのVLが、一本鎖ポリペプチドN末端側を基点としてVH、VL、VH、VL([VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL])の順に並んでいることを特徴とする抗体が好ましい。

0096

2つのVHと2つのVLの順序は特に上記配置に限定されず、どのような順序で並べられていてもよい。例えば以下のような配置も挙げることができる。
[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]
[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]
[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]

0097

抗体の可変領域を結合するリンカーとしては、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカー(例えば、Protein Engineering, 9(3), 299-305, 1996参照)に開示されるリンカー等を用いることができるが、本発明においてはペプチドリンカーが好ましい。ペプチドリンカーの長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能であるが、通常、1から100アミノ酸、好ましくは3から50アミノ酸、更に好ましくは5から30アミノ酸、特に好ましくは12から18アミノ酸(例えば、15アミノ酸)である。

0098

例えば、ペプチドリンカーの場合:
Ser
Gly・Ser
Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:72)
Ser・Gly・Gly・Gly(配列番号:73)
Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:74)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:75)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:76)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:77)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:78)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:79)
(Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:74))n
(Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:75))n
[nは1以上の整数である]等を挙げることができる。但し、ペプチドリンカーの長さや配列は目的に応じて当業者が適宜選択することができる。

0099

よって本発明において特に好ましいsc(Fv)2の態様としては、例えば、以下のsc(Fv)2を挙げることができる。
[VH]ペプチドリンカー(15アミノ酸)[VL]ペプチドリンカー(15アミノ酸)[VH]ペプチドリンカー(15アミノ酸)[VL]

0100

合成化学物リンカー(化学架橋剤)は、ペプチドの架橋に通常用いられている架橋剤、例えばN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビススルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(スルホ−EGS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホ−DST)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシエチルスルホンBSOCOES)、ビス[2-(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(スルホ-BSOCOES)などであり、これらの架橋剤は市販されている。

0101

4つの抗体可変領域を結合する場合には、通常、3つのリンカーが必要となるが、全て同じリンカーを用いてもよいし、異なるリンカーを用いてもよい。本発明において好ましい低分子化抗体はDiabody又はsc(Fv)2である。このような低分子化抗体を得るには、抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンなどで処理し、抗体断片を生成させるか、又はこれら抗体断片をコードするDNAを構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させればよい(例えば、Co, M. S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976 ; Better, M. and Horwitz, A. H., MethodsEnzymol. (1989) 178, 476-496 ; Pluckthun, A. and Skerra, A., Methods Enzymol. (1989) 178, 497-515 ; Lamoyi, E., Methods Enzymol. (1986) 121, 652-663 ; Rousseaux, J. et al., Methods Enzymol. (1986) 121, 663-669 ; Bird, R. E. and Walker, B. W., Trends Biotechnol. (1991) 9, 132-137参照)。

0102

本発明の抗体としては、以下(1)から(62)に記載の抗体が例示できるが、これらに限定されるものではない。また、以下(1)から(62)に記載の抗体としては、例えば、全長抗体、低分子化抗体、動物抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体等が挙げられる。
(1)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖を含む抗体、
(2)(1)に記載のH鎖であって、CH(H鎖定常領域)として配列番号:8に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(3)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列(DF151マウス−ヒトキメラ抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(4)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖を含む抗体、
(5)(4)に記載のL鎖であって、CL(L鎖定常領域)として配列番号:18に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(6)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列(DF151マウス−ヒトキメラ抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(7)(1)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、
(8)(2)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、
(9)(3)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、
(10)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖を含む抗体、
(11)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(12)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列(DF364マウス−ヒトキメラ抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(13)CDR1として配列番号:30に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:32に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:34に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖を含む抗体、
(14)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(15)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列(DF364マウス−ヒトキメラ抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(16)(10)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、
(17)(11)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、
(18)(12)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、
(19)(1)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を有する抗体、
(20)(2)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を有する抗体、
(21)(3)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を有する抗体、
(22)(10)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を有する抗体、
(23)(11)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を有する抗体、
(24)(12)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を有する抗体、
(25)CDR1として配列番号:81に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:83に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のH鎖CDR2の配列)、CDR3として配列番号:85に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖を含む抗体、
(26)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:28に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(27)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列(DF366マウス−ヒトキメラ抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(28)CDR1として配列番号:87に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:89に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のL鎖CDR2の配列)、CDR3として配列番号:91に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖を含む抗体、
(29)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:36に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(30)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:20に記載のアミノ酸配列(DF366マウス−ヒトキメラ抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(31)(25)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を含む抗体、
(32)(26)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体、
(33)(27)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を含む抗体、
(34)(1)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、
(35)(2)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、
(36)(3)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、
(37)(10)に記載のH鎖、および(28)に記載のL鎖を有する抗体、
(38)(11)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を有する抗体、
(39)(12)に記載のH鎖、および(30)に記載のL鎖を有する抗体、
(40)(25)に記載のH鎖、および(4)に記載のL鎖を含む抗体、
(41)(26)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体、
(42)(27)に記載のH鎖、および(6)に記載のL鎖を含む抗体、
(43)(25)に記載のH鎖、および(13)に記載のL鎖を含む抗体、
(44)(26)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体、
(45)(27)に記載のH鎖、および(15)に記載のL鎖を含む抗体、
(46)(1)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:108に記載のアミノ酸配列(マウスIgG2a抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(47)(4)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:112に記載のアミノ酸配列(マウスIgG2a抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(48)(10)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:108に記載のアミノ酸配列(マウスIgG2a抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(49)(13)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:112に記載のアミノ酸配列(マウスIgG2a抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(50)(25)に記載のH鎖であって、CHとして配列番号:108に記載のアミノ酸配列(マウスIgG2a抗体のCHの配列)を有するH鎖を含む抗体、
(51)(28)に記載のL鎖であって、CLとして配列番号:112に記載のアミノ酸配列(マウスIgG2a抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体、
(52)(46)に記載のH鎖、および(47)に記載のL鎖を含む抗体、
(53)(48)に記載のH鎖、および(49)に記載のL鎖を含む抗体、
(54)(50)に記載のH鎖、および(51)に記載のL鎖を含む抗体、
(55)(46)に記載のH鎖、および(49)に記載のL鎖を含む抗体、
(56)(48)に記載のH鎖、および(51)に記載のL鎖を含む抗体、
(57)(50)に記載のH鎖、および(47)に記載のL鎖を含む抗体、
(58)(46)に記載のH鎖、および(51)に記載のL鎖を含む抗体、
(59)(48)に記載のH鎖、および(47)に記載のL鎖を含む抗体、
(60)(50)に記載のH鎖、および(49)に記載のL鎖を含む抗体、
(61)(1)から(60)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(60)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体、
(62)(1)から(60)のいずれかに記載の抗体が結合するDSG3タンパク質のエピトープと同じエピトープに結合する抗体。

0103

上記(1)に記載の「CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:46に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のVHの配列)を有するVHが例示できる。

0104

また、上記(4)に記載の「CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:48に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のVLの配列)を有するVLが例示できる。

0105

また、上記(10)に記載の「CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:50に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のVHの配列)を有するVHが例示できる。

0106

また、上記(13)に記載の「CDR1として配列番号:30に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:32に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:34に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:52に記載のアミノ酸配列(DF364抗体のVLの配列)を有するVLが例示できる。
また、上記(25)に記載の「CDR1として配列番号:81に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:83に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のH鎖CDR2の配列)、CDR3として配列番号:85に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:93に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のVHの配列)を有するVHが例示できる。
また、上記(28)に記載の「CDR1として配列番号:87に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:89に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のL鎖CDR2の配列)、CDR3として配列番号:91に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:95に記載のアミノ酸配列(DF366抗体のVLの配列)を有するVLが例示できる。

0107

上記(61)に記載の抗体の好ましい態様は、CDRに改変が生じていない抗体である。一例として、上記(61)に記載の抗体のうち、「(1)に記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)に記載の抗体と同等の活性を有する抗体」の好ましい態様は、「(1)に記載の抗体と同等の活性を有し、(1)に記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体」である。上記(61)に記載の抗体のうち、その他の抗体の好ましい態様も同様に表現することができる。

0108

あるポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを調製するための、当業者によく知られた方法としては、ポリペプチドに変異を導入する方法が知られている。例えば、当業者であれば、部位特異的変異誘発法(Hashimoto-Gotoh, T. et al. (1995) Gene 152, 271-275、Zoller, MJ, and Smith, M.(1983) MethodsEnzymol. 100, 468-500、Kramer, W. et al. (1984) Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456、Kramer W, and Fritz HJ(1987) Methods. Enzymol. 154, 350-367、Kunkel,TA(1985) Proc Natl Acad Sci USA. 82, 488-492、Kunkel (1988) Methods Enzymol. 85, 2763-2766)などを用いて、本発明の抗体に適宜変異を導入することにより、該抗体と機能的に同等な抗体を調製することができる。また、アミノ酸の変異は自然界においても生じうる。このように、本発明の抗体のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が変異したアミノ酸配列を有し、該抗体と機能的に同等な抗体もまた本発明の抗体に含まれる。このような変異体における、変異するアミノ酸数は、通常、50アミノ酸以内であり、好ましくは30アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内(例えば、5アミノ酸以内)であると考えられる。

0109

変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。

0110

あるアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている(Mark, D. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1984) 81, 5662-5666 、Zoller, M. J. and Smith, M., Nucleic AcidsResearch (1982) 10, 6487-6500 、Wang, A. et al., Science 224, 1431-1433 、Dalbadie-McFarland, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1982) 79, 6409-6413 )。

0111

また、本願発明で開示された抗DSG3抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合する抗体もまた提供する。このような抗体は、例えば、以下の方法により得ることができる。
被検抗体が、本願発明で開示された抗DSG3抗体が結合したエピトープと同じエピトープへの結合に対して競合可能であるか否かを決定するために、交叉ブロッキングアッセイ、例えば競合ELISAアッセイを実施することができる。例えば、競合ELISAアッセイにおいては、マイクロタイタープレートのウェル上にコートしたDSG3タンパク質を候補の競合抗体の存在下又は非存在下でプレインキュベートした後に、ビオチン標識された本発明の抗DSG3抗体が添加される。ウェル中のDSG3タンパク質に結合した表紙機構DSG3抗体の量は、アビジンペルオキシダーゼコンジュゲートと適切な基質を使用することにより測定できる。抗体は放射標識又は蛍光標識など検出及び測定が可能な他の標識で標識することができる。DSG3タンパク質に結合した標識抗DSG3抗体の量は、同じエピトープへの結合に対して競合する候補競合抗体(被検抗体)の結合能に間接的に相関している。すなわち同一エピトープに対する被検抗体の親和性が大きくなればなる程、標識抗DSG3抗体のDSG3タンパク質をコートしたウェルへの結合活性は低下する。候補の競合抗体非存在下で実施されるコントロール試験において得られる結合活性と比較して、候補抗体が、少なくとも20%、好ましくは少なくとも20-50%、さらに好ましくは少なくとも50%、抗DSG3抗体の結合をブロックできるならば、該候補競合抗体は本発明の抗DSG3抗体と実質的に同じエピトープに結合するか、又は同じエピトープへの結合に対して競合する抗体であると考えられる。

0112

抗DSG3抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合する抗体としては、例えば、上記(62)に記載の抗体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、上記(1)から(62)に記載の抗体には、上述の通り、一価抗体だけでなく、二価以上の多価抗体も含まれる。本発明の多価抗体には、全て同じ抗原結合部位を有する多価抗体、または、一部もしくは全て異なる抗原結合部位を有する多価抗体が含まれる。

0113

異なる抗原結合部位を有する多価抗体として、以下の抗体が例示できるが、本発明の抗体は、これら抗体に限定されるものではない。
(7)、(16)、(19)、(22)、(31)、(34)、(37)、(40)および(43)に記載のH鎖とL鎖の対(以下、HL対と称する)から選択される、少なくとも2つのHL対を含む抗体。
(8)、(17)、(20)、(23)、(32)、(35)、(38)、(41)および(44)に記載のHL対から選択される、少なくとも2つのHL対を含む抗体。
(9)、(18)、(21)、(24)、(33)、(36)、(39)、(42)および(45)に記載のHL対から選択される、少なくとも2つのHL対を含む抗体。
(52)から(60)に記載のHL対から選択される、少なくとも2つのHL対を含む抗体。

0114

抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。又、抗体に化学療法剤、毒性ペプチド或いは放射性化学物質などを結合することも可能である。このような抗体修飾物(以下、抗体コンジュゲートと称する)は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。尚、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。また後に述べるように、DSG3タンパク質のみならず、化学療法剤、毒性ペプチド或いは放射性化学物質などを認識するように遺伝子組換え技術を用いて設計した二重特異性抗体(bispecific antibody)のような分子型として取得することもできる。本発明における「抗体」にはこれらの抗体も包含される。

0115

抗DSG3抗体に結合させて細胞障害活性を機能させる化学療法剤(生体内で酵素的に、又は非酵素的に該化学療法剤に変換されるプロドラッグを含むものとする)としてはazaribine、anastrozole、azacytidine、bleomycin、bortezomib、bryostatin-1、busulfan、camptothecin、10-hydroxycamptothecin、carmustine、celebrex、chlorambucil、cisplatin、irinotecan、carboplatin、cladribine、cyclophosphamide、cytarabine、dacarbazine、docetaxel、dactinomycin、daunomycin glucuronide、daunorubicin、dexamethasone、diethylstilbestrol、doxorubicin、doxorubicin glucuronide、epirubicin、ethinyl estradiol、estramustine、etoposide、etoposide glucuronide、floxuridine、fludarabine、flutamide、fluorouracil、fluoxymesterone、gemcitabine、hydroxyprogesterone caproate、hydroxyurea、idarubicin、ifosfamide、leucovorin、lomustine、mechlorethamine、medroxyprogesterone acetate、megestrol acetate、melphalan、mercaptopurine、methotrexate、mitoxantrone、mithramycin、mitomycin、mitotane、phenylbutyrate、prednisone、procarbazine、paclitaxel、pentostatin、semustine streptozocin、tamoxifen、taxanes、taxol、testosterone propionate、thalidomide、thioguanine、thiotepa, teniposide、topotecan、uracil mustard、vinblastine、vinorelbine、vincristineなどの低分子の化学療法剤が好適に使用できる。また、ricin、abrin、ribonuclease、onconase、DNase I、Staphylococcal enterotoxin-A、pokeweed antiviral protein、gelonin、diphtheria toxin、Pseudomonas exotoxin、Pseudomonas endotoxin、L-asparaginase、PEG L-Asparaginaseなどの毒性ペプチドが好適に使用できる。また別の態様では、一又は二以上の低分子化療法剤と毒性ペプチドをそれぞれ好適に組み合わせて使用できる。また、抗DSG3抗体と上記の低分子化学療法剤との結合は共有結合又は非共有結合が好適に選択でき、該化学療法剤を結合した抗体の作製方法は公知である。

0116

更に、タンパク質性薬剤又は毒素との結合には遺伝子組換え法により、上記毒性ペプチドをコードするDNAと抗DSG3抗体をコードするDNAをインフレームで融合させて発現ベクター中に組み込んだ組換えベクターが構築できる。該ベクターによって適切な宿主細胞に導入することにより得られる形質転換細胞を培養し、組み込んだDNAを発現させることにより、該組換えタンパク質が調製できる。

0117

さらに、本発明で使用される抗体は二重特異性抗体(bispecific antibody)であってもよい。二重特異性抗体はDSG3分子上の異なるエピトープを認識する抗原結合部位を有する二重特性抗体であってもよいし、一方の抗原結合部位がDSG3を認識し、他方の抗原結合部位が化学療法剤、毒性ペプチド或いは放射性化学物質等の細胞障害性物質を認識してもよい。この場合、DSG3を発現している細胞に直接細胞障害性物質を作用させ腫瘍細胞に特異的に障害を与え、腫瘍細胞の増殖を抑制することが可能である。また、該他方の抗原結合部位が、DSG3と同様に標的とする癌細胞の細胞表面に特異的に発現する抗原であって、DSG3とは異なる抗原を認識するような二重特異性抗体を作製してもよい。二重特異性抗体は2種類の抗体のHL対を結合させて作製することもできるし、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて、二重特異性抗体産生融合細胞を作製することもできる。さらに、遺伝子工学的手法により二重特異性抗体が作製できる。

0118

前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により発現させ、取得することができる。哺乳類細胞の場合、常用される有用なプロモーター、発現させる抗体遺伝子、その3’側下流にポリAシグナルを機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウイルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer)を挙げることができる。

0119

また、その他に本発明で使用される抗体発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウイルスポリオーマウイルスアデノウイルスシミアンウイルス40SV40)等のウイルスプロモーター/エンハンサー、あるいはヒトエロンゲーションファクター1α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサー等が挙げられる。

0120

SV40プロモーター/エンハンサーを使用する場合はMulliganらの方法(Nature(1979)277, 108)により、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合はMizushimaらの方法(Nucleic AcidsRes.(1990)18, 5322)により、容易に遺伝子発現を行うことができる。

0121

大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列および発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させて当該遺伝子が発現できる。プロモーターとしては、例えばlacZプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。lacZプロモーターを使用する場合はWardらの方法(Nature(1098)341, 544-546 ;FASEBJ.(1992)6, 2422-2427)により、あるいはaraBプロモーターを使用する場合はBetterらの方法(Science(1988)240, 1041-1043)により当該遺伝子が発現できる。

0122

抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei, S. P. et al., J. Bacteriol.(1987)169, 4379)を使用すればよい。そして、ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、尿素グアニジン塩酸塩の様なタンパク質変性剤を使用することによって所望の結合活性を有するように、抗体の構造が組み直される(refolded)。

0123

発現ベクターに挿入される複製起源としては、SV40、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス(BPV)等の由来のものを用いることができ、さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクター中に、選択マーカーとしてアミノグリコシドトランスフェラーゼAPH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等が挿入できる。

0124

本発明で使用される抗体の製造のために、任意の発現系、例えば真核細胞または原核細胞系が使用できる。真核細胞としては、例えば樹立された哺乳類細胞系、昆虫細胞系、真糸状菌細胞および酵母細胞などの動物細胞等が挙げられ、原核細胞としては、例えば大腸菌細胞等の細菌細胞が挙げられる。好ましくは、本発明で使用される抗体は、哺乳類細胞、例えばCHO、COS、ミエローマ、BHK、Vero、Hela細胞を用いて発現される。

0125

次に、形質転換された宿主細胞をin vitroまたはin vivoで培養して目的とする抗体を産生させる。宿主細胞の培養は公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使用することができ、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。

0126

前記のように発現、産生された抗体は、通常のタンパク質の精製で使用されている公知の方法を単独で使用することによって又は適宜組み合わせることによって精製できる。例えば、プロテインAカラムなどのアフィニティーカラムクロマトグラフィーカラムフィルター限外濾過塩析透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual. Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。

0127

抗体の抗原結合活性(Antibodies A Laboratory Manual. Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)の測定には公知の手段を使用することができる。例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)あるいは蛍光免疫法などを用いることができる。

0128

本発明で使用される抗体は糖鎖が改変された抗体であってもよい。抗体の糖鎖を改変することにより抗体の細胞障害活性を増強できることが知られている。糖鎖が改変された抗体としては、例えば、グリコシル化が修飾された抗体(WO99/54342など)、糖鎖に付加するフコースが欠損した抗体(WO00/61739、WO02/31140など))、バイクティングGlcNAcを有する糖鎖を有する抗体(WO02/79255など)などが知られている。

0129

本発明で使用される抗体は、好ましくは細胞障害活性を有する抗体である。
本発明における細胞障害活性としては、例えば抗体依存性細胞介在性細胞障害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity:ADCC)活性、補体依存性細胞障害(complement-dependent cytotoxicity:CDC)活性などを挙げることができる。本発明において、CDC活性とは補体系による細胞障害活性を意味し、ADCC活性とは標的細胞細胞表面抗原特異的抗体が付着した際、そのFc部分にFcγ受容体保有細胞(免疫細胞等)がFcγ受容体を介して結合し、標的細胞に障害を与える活性を意味する。

0130

抗DSG3抗体がADCC活性を有するか否か、又はCDC活性を有するか否かは公知の方法により測定することができる(例えば、Current protocols in Immunology, Chapter7. Immunologic studies in humans, Editor, John E, Coligan et al., John Wiley & Sons, Inc.,(1993)等)。

0131

具体的には、まず、エフェクター細胞、補体溶液、標的細胞の調製が実施される。
(1)エフェクター細胞の調製
CBA/Nマウスなどから脾臓を摘出し、RPMI1640培地(Invitrogen社製)中で脾臓細胞が分離される。10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone社製)を含む同培地で洗浄後、細胞濃度を5×106/mlに調製することによって、エフェクター細胞が調製できる。
(2)補体溶液の調製
Baby Rabbit Complement(CEDARLANE社製)を10% FBS含有培地(Invitrogen社製)にて10倍希釈し、補体溶液が調製できる。
(3)標的細胞の調製
DSG3タンパク質を発現する細胞(DSG3タンパク質をコードする遺伝子で形質転換された細胞、肺癌細胞、大腸癌細胞食道癌細胞胃癌細胞膵癌細胞皮膚癌細胞又は子宮癌細胞等)を0.2 mCiの51Cr-クロム酸ナトリウム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)とともに、10% FBS含有DMEM培地中で37℃にて1時間培養することにより該標的細胞を放射性標識できる。放射性標識後、細胞を10% FBS含有RPMI1640培地にて3回洗浄し、細胞濃度を2×105/mlに調製することによって、該標的細胞が調製できる。

0132

ADCC活性、又はCDC活性は下記に述べる方法により測定できる。ADCC活性の測定の場合は、96ウェルU底プレート(Becton Dickinson社製)に、標的細胞と、抗DSG3抗体を50 μlずつ加え、上にて15分間反応させる。その後、エフェクター細胞100 μlを加え、炭酸ガスインキュベーター内で4時間培養する。抗体の終濃度は0または10μg/mlとする。培養後、100μlの上清を回収し、ガンマカウンターCOBRAII AUTO-GAMMA、MODEL D5005、Packard Instrument Company社製)で放射活性を測定する。細胞障害活性(%)は得られた値を使用して(A-C) / (B-C) x 100の計算式に基づいて計算できる。Aは各試料における放射活性(cpm)、Bは1% NP-40(nacalai tesque社製)を加えた試料における放射活性(cpm)、Cは標的細胞のみを含む試料の放射活性(cpm)を示す。

0133

一方、CDC活性の測定の場合は、96ウェル平底プレート(Becton Dickinson社製)に、標的細胞と、抗DSG3抗体を50 μlずつ加え、氷上にて15分間反応させる。その後、補体溶液100 μlを加え、炭酸ガスインキュベーター内で4時間培養する。抗体の終濃度は0または3 μg/mlとする。培養後、100 μlの上清を回収し、ガンマカウンターで放射活性を測定する。細胞障害活性はADCC活性の測定と同様にして計算できる。

0134

一方、抗体コンジュゲートによる細胞障害活性の測定の場合は、96ウェル平底プレート(Becton Dickinson社製)に、標的細胞と、抗DSG3抗体コンジュゲートを50 μlずつ加え、氷上にて15分間反応させる。炭酸ガスインキュベーター内で1から4時間培養する。抗体の終濃度は0または3 μg/mlとする。培養後、100 μlの上清を回収し、ガンマカウンターで放射活性を測定する。細胞障害活性はADCC活性の測定と同様にして計算できる。

0135

本発明の細胞障害活性を有する抗体は、さらに好ましくは細胞崩壊活性を有しない抗体である。該抗体は、試験管内においてもケラチノサイトの細胞接着を阻害する細胞崩壊活性を測定することにより該細胞崩壊活性を有しない抗体として好適に選択し、取得できる。該細胞崩壊活性を測定する方法は、例えばJ.Invest.Dermatol., 124, 939-946, 2005に記載された方法により試験管内で測定できる。更には該細胞活性を生体内で観察する方法として、該細胞崩壊活性の生体内における表現型であるPV病変の誘起活性として該活性が評価できる。PV病変の誘起活性はJ.Immunology170, 2170-2178, 2003に記載された方法により評価できる。

0136

抗DSG3抗体が増殖を抑制する細胞は、DSG3タンパク質が発現している細胞であれば特に限定されないが、好ましくは癌細胞であり、より好ましくは肺癌細胞、大腸癌細胞、食道癌細胞、胃癌細胞、膵癌細胞、皮膚癌細胞又は子宮癌細胞である。さらに好ましくは非小細胞肺癌である。従って、抗DSG3抗体は、細胞増殖に起因する疾患、例えば肺癌、大腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、皮膚癌又は子宮癌などの治療、予防を目的として使用できる。より好ましくは非小細胞肺癌、さらに好ましくは肺扁平上皮癌、腺癌、腺扁平上皮癌、大細胞癌である。

0137

また本発明は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ本発明の抗体と同等の活性を有する抗体をコードするポリヌクレオチドを提供する。また、本発明は、これらポリヌクレオチドを含むベクター、該ベクターを含む形質転換体(形質転換細胞を含む)を提供する。 本発明のポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコードする限り、特に限定されず、複数のデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)等の塩基または塩基対からなる重合体である。天然以外の塩基を含んでいてよい。本発明のポリヌクレオチドは、抗体を遺伝子工学的な手法により発現させる際に使用することができる。また本発明の抗体と同等な機能を有する抗体をスクリーニングする際に、プローブとして用いることもできる。即ち本発明の抗体をコードするポリヌクレオチド、またはその一部をプローブとして用い、ハイブリダイゼーション遺伝子増幅技術(例えばPCR)等の技術により、該ポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ本発明の抗体と同等の活性を有する抗体をコードするDNAを得ることができる。このようなDNAも本発明のポリヌクレオチドに含まれる。ハイブリダイゼーション技術(Sambrook,J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab. press, 1989)は当業者によく知られた技術である。ハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、低ストリンジェントな条件が挙げられる。低ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、例えば42℃、0.1×SSC、0.1%SDSの条件であり、好ましくは50℃、0.1×SSC 、0.1%SDSの条件である。より好ましいハイブリダイゼーションの条件としては、高ストリンジェントな条件が挙げられる。高ストリンジェントな条件とは、例えば65℃、5×SSC及び0.1%SDSの条件である。これらの条件において、温度を上げる程に高い相同性を有するポリヌクレオチドが効率的に得られることが期待できる。但し、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。

0138

これらハイブリダイゼーション技術や遺伝子増幅技術により得られるポリヌクレオチドがコードする、本発明の抗体と機能的に同等な抗体は、通常、これら抗体とアミノ酸配列において高い相同性を有する。本発明の抗体には、本発明の抗体と機能的に同等であり、かつ該抗体のアミノ酸配列と高い相同性を有する抗体も含まれる。高い相同性とは、アミノ酸レベルにおいて、通常、少なくとも50%以上の同一性、好ましくは75%以上の同一性、さらに好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは95%以上の同一性を指す。ポリペプチドの相同性を決定するには、文献(Wilbur, W. J. and Lipman, D. J. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983) 80, 726-730)に記載のアルゴリズムにしたがえばよい。

0139

医薬組成物
別の観点においては、本発明は、DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する医薬組成物を特徴とする。又、本発明はDSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤、特に抗癌剤を特徴とする。本発明の細胞増殖抑制剤および抗癌剤は、癌を罹患している対象または罹患している可能性がある対象に投与されることが好ましい。本発明における対象としては、DSG3タンパク質を遺伝的に有する動物種であって、癌を罹患している動物種、または罹患している可能性がある動物種であればよく、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、マウス、イヌ、ネコ、ハムスター等の哺乳類が挙げられるが、これらに制限されるものではない。

0140

本発明において、DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤は、DSG3タンパク質に結合する抗体を対象に投与する工程を含む細胞増殖を抑制する方法、または、細胞増殖抑制剤の製造におけるDSG3タンパク質に結合する抗体の使用と表現することもできる。

0141

また、本発明において、DSG3タンパク質に結合する抗体を有効成分として含有する抗癌剤は、DSG3タンパク質に結合する抗体を対象に投与する工程を含む癌を予防または治療する方法、または、抗癌剤の製造におけるDSG3タンパク質に結合する抗体の使用と表現することもできる。

0142

本発明において、「DSG3に結合する抗体を有効成分として含有する」とは、抗DSG3抗体を主要な活性成分として含むという意味であり、抗DSG3抗体の含有率を制限するものではない。

0143

本発明の医薬組成物(例えば、細胞増殖抑制剤、抗癌剤。以下同様)に含有される抗体はDSG3タンパク質と結合する限り特に制限はなく、本明細書中に記載された抗体が例示できる。

0144

本発明の医薬組成物の投与方法は、経口、非経口投与のいずれかによって実施できる。特に好ましくは非経口投与による投与方法であり、係る投与方法としては具体的には、注射投与経鼻投与経肺投与経皮投与などが挙げられる。注射投与の例としては、例えば、静脈内注射筋肉内注射腹腔内注射皮下注射などによって本発明の医薬組成物が全身または局部的に投与できる。また、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。投与量としては、例えば、一回の投与につき体重1 kgあたり0.0001 mgから1000 mgの範囲で投与量が選択できる。あるいは、例えば、患者あたり0.001 mgから100000 mg/bodyの範囲で投与量が選択できる。しかしながら、本発明の医薬組成物はこれらの投与量に制限されるものではない。

0145

本発明の医薬組成物は、常法に従って製剤化することができ(例えば、Remington's Pharmaceutical Science, latest edition, Mark Publishing Company, Easton, U.S.A)、医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。例えば界面活性剤、賦形剤着色料着香料保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤等張化剤結合剤崩壊剤滑沢剤流動性促進剤、矯味剤等が挙げられるが、これらに制限されず、その他常用の担体が適宜使用できる。具体的には、軽質無水ケイ酸乳糖結晶セルロースマンニトールデンプンカルメロースカルシウムカルメロースナトリウムヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライドポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖カルボキシメチルセルロースコーンスターチ無機塩類等を挙げることができる。

0146

また、本発明は、DSG3発現細胞とDSG3タンパク質に結合する抗体とを接触させることによりDSG3発現細胞に障害を引き起こす方法又は細胞の増殖を抑制する方法を提供する。DSG3タンパク質に結合する抗体は、本発明の細胞増殖抑制剤に含有されるDSG3タンパク質に結合する抗体として上述したとおりである。抗DSG3抗体が結合する細胞はDSG3が発現している細胞であれば特に限定されないが、好ましくは癌細胞であり、より好ましくは肺癌細胞、大腸癌細胞、食道癌細胞、胃癌細胞、膵癌細胞、皮膚癌細胞又は子宮癌細胞であり、さらに好ましくは非小細胞肺癌である。

0147

本発明において「接触」は、例えば、試験管内で培養しているDSG3発現細胞の培養液に抗体を添加することにより行われる。この場合において、添加される抗体の形状としては、溶液又は凍結乾燥等により得られる固体等の形状が適宜使用できる。水溶液として添加される場合にあっては純粋に抗体のみを含有する水溶液であってもよいし、例えば上記記載の界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等を含む溶液であってもよい。添加する濃度は特に限定されないが、培養液中の最終濃度として、好ましくは1 pg/mlから1 g/mlの範囲であり、より好ましくは1 ng/mlから1 mg/mlであり、更に好ましくは1 μg/mlから1 mg/mlが好適に使用されうる。

0148

また本発明において「接触」は更に、別の態様では、DSG3発現細胞を体内に移植した非ヒト動物内在的にDSG3を発現する癌細胞を有する動物に投与することによっても行われる。投与方法は経口、非経口投与のいずれかによって実施できる。特に好ましくは非経口投与による投与方法であり、係る投与方法としては具体的には、注射投与、経鼻投与、経肺投与、経皮投与などが挙げられる。注射投与の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などによって本発明の医薬組成物細胞増殖阻害剤および抗癌剤が全身または局部的に投与できる。また、被験動物の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。水溶液として投与される場合にあっては純粋に抗体のみを含有する水溶液であってもよいし、例えば上記記載の界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等を含む溶液であってもよい。投与量としては、例えば、一回の投与につき体重1 kgあたり0.0001 mgから1000 mgの範囲で投与量が選択できる。あるいは、例えば、患者あたり0.001 mgから100000 mg/bodyの範囲で投与量が選択できる。しかしながら、本発明の抗体投与量はこれらの投与量に制限されるものではない。

0149

抗DSG3抗体の接触によってDSG3発現細胞に引き起こされた細胞障害を評価又は測定する方法として、以下の方法が好適に使用される。試験管内において該細胞障害活性を評価又は測定する方法としては、上記に記載の抗体依存性細胞介在性細胞障害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity:ADCC)活性、補体依存性細胞障害(complement-dependent cytotoxicity:CDC)活性などの測定法を挙げることができる。抗DSG3抗体がADCC活性を有するか否か、又はCDC活性を有するか否かは公知の方法により測定することができる(例えば、Current protocols in Immunology, Chapter7. Immunologic studies in humans, Editor, John E, Coligan et al., John Wiley & Sons, Inc.,(1993)等)。活性の測定に際しては、対照抗体として抗DSG3抗体と同一のアイソタイプを有する抗体で該細胞障害活性を有しない結合抗体を、抗DSG3抗体と同様に使用して、抗DSG3抗体が対照抗体よりも強い細胞傷害活性を示すことにより活性を判定することができる。

0150

抗体のアイソタイプはその抗体のアミノ酸配列のH鎖定常領域の配列で規定されるが、抗体産生B細胞成熟化の際に起こる染色体上の遺伝子組換えにより生じるクラススイッチの結果決定される。アイソタイプの相違が抗体の生理的・病理的機能の相違に反映され、例えば、細胞障害活性の強度は抗原の発現量と共に、抗体のアイソタイプによっても影響されることが知られている。従って、上記記載の細胞障害活性の測定に際しては、対照として用いられる抗体は被検抗体と同一のアイソタイプを用いることが好ましい。

0151

また、生体内で細胞障害活性を評価又は測定する方法としては、例えばDSG3発現癌細胞を非ヒト被検動物の皮内又は皮下に移植後、当日又は翌日から毎日又は数日間隔で被検抗体を静脈又は腹腔内に投与する。腫瘍の大きさを経日的に測定することにより細胞障害活性と規定することができる。試験管内での評価と同様に同一のアイソタイプを有する対照抗体を投与し、抗DSG3抗体投与群における腫瘍の大きさが対照抗体投与群における腫瘍の大きさよりも有意に小さいことにより細胞傷害活性を判定することができる。非ヒト被検動物としてマウスを用いる場合には、胸腺を遺伝的に欠損してそのTリンパ球の機能を欠失したヌード(nu/nu)マウスを好適に用いることができる。当該マウスを使用することにより、投与された抗体による細胞障害活性の評価・測定に当たって被検動物中のTリンパ球の関与を除くことができる。

0152

抗DSG3抗体の接触によるDSG3発現細胞の増殖に対する抑制効果を評価又は測定する方法として、以下の方法が好適に使用される。試験管内において該細胞増殖抑制活性を評価又は測定する方法としては、培地中に添加した[3H]ラベルしたチミジンの生細胞による取り込みをDNA複製能力の指標として測定する方法が用いられる。より簡便な方法としてトリパンブルー等の色素細胞外に排除する能力を顕微鏡下で計測する色素排除法や、MTT法が用いられる。後者は、生細胞がテトラゾリウム塩であるMTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromide)を青色のホルマザン産物へ転換する能力を有することを利用している。より具体的には、被検細胞の培養液に被検抗体を添加して一定時間を経過した後に、MTT溶液を培養液に加えて一定時間静置することによりMTTを細胞に取り込ませる。その結果、黄色の化合物であるMTTが細胞内のミトコンドリア内コハク酸脱水素酵素により青色の化合物に変換される。この青色生成物を溶解し呈色させた後にその吸光度を測定することにより生細胞数の指標とするものである。MTT以外に、MTS、XTT、WST−1、WST−8等の試薬も市販されており(nacalai tesqueなど)好適に使用することができる。活性の測定に際しては、対照抗体として抗DSG3抗体と同一のアイソタイプを有する抗体で該細胞増殖抑制活性を有しない結合抗体を、抗DSG3抗体と同様に使用して、抗DSG3抗体が対照抗体よりも強い細胞増殖抑制活性を示すことにより活性を判定することができる。
また、生体内で細胞増殖抑制活性を評価又は測定する方法として、上記記載の生体内において細胞障害活性を評価又は測定する方法と同じ方法を好適に用いることができる。
なお本明細書において引用されたすべての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。

0153

以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔実施例1〕各癌種におけるDSG3のmRNA発現解析
DSG3遺伝子発現解析を行うためにGene chipが用いられた。癌細胞において発現が亢進する遺伝子を探索するために、表1、2に示す各種RNA及び各種摘出組織よりISOGEN(ニッポンジーン社製)を用い常法により調製した全RNAが用いられた。より具体的には、全RNAを各10 μgずつ用いて、GeneChip U-133A(アフィメトリクス社製)に供しExpression Analysis Technical Manual(アフィメトリクス社製)に準じて遺伝子発解析が実施された。なお、肺腺癌及び肝細胞癌の解析に際しては、肺腺癌12症例と肝細胞癌3症例の全RNAを合わせて合計10 μgとし、解析を実施した(表1)。



DSG3遺伝子発現解析に用いた組織



DSG3遺伝子発現解析に使用した癌細胞株と培養条件
全遺伝子の発現スコア平均値を100と設定し、各遺伝子の相対的な発現量を比較することによって、癌組織あるいは癌細胞において発現が亢進する遺伝子の探索を行った。その結果、DSG3mRNA(プローブID:205595_at HG-U133A)の発現が、正常組織においては皮膚に限局する一方で、癌組織においては肺癌(肺扁平上皮癌)や大腸癌、また、癌細胞株においてはTE2(食道癌)、2M(胃癌)及びPK-1(膵癌)において亢進していた(図1図2)。
上より、DSG3遺伝子(プローブID:205595_at HG-U133A)は皮膚以外の正常組織でその発現が非常に低いのに対し、肺癌、大腸癌、食道癌、胃癌及び膵癌と広範な癌種でその発現が亢進していることが明らかとなった。以上の結果から、DSG3の発現を指標にすることによって、上記の癌の発生が診断できる可能性が高いことが示唆された。

0154

〔実施例2〕肺扁平上皮癌におけるDSG3の免疫組織染色
DSG3遺伝子の転写が癌細胞、特に肺扁平上皮癌細胞で亢進していることから、DSG3タンパク質の発現の確認をするために免疫組織染色解析が実施された。
検体は固定パラフィン包埋標本として調製され、4 μmに薄切されたその切片がスライドガラス張り付けられた後に、37℃で16時間程度静置され充分乾燥させられた。該切片は100%キシレンに5分間漬けることを3回繰り返すことによって脱パラフィン化され、100%エタノールに5分間漬けることを3回繰り返し、更に70%エタノールで5分間漬けることにより親水化された。その後、50 mM TBS緩衝液を用いて5分間の洗浄を3回繰り返した後に、該切片をクエン酸バッファー(10 mM, pH 7.0)中で120℃、10分間で処理することによって、切片中の抗原が賦活化された。抗原が賦活化処理された該切片はTBS緩衝液による5分間の洗浄が3回実施された後に、最終濃度50 μg/mlに希釈された抗DSG3抗体(5G11)(ザイメッド社)を含むTBS緩衝液中で室温にて1時間処理された。内在性のペルオキシダーゼを失活させるために、抗DSG3抗体を結合させた切片が0.3%の過酸化水素で室温にて15分間処理された。さらにTBS緩衝液による3回の洗浄の後、二次抗体であるENVISION+キット/HRP(DAKO社)により上記切片が室温にて1時間処理された。TBS緩衝液による5分間の洗浄を3回実施した後、発色基質としてDAB(3, 3’-ジアミノベンザミドテトラハイドロクロライド)を加えることにより切片が染色された。また、核の対比染色にはヘマトキシリン染色剤として用いられた。
その結果、5例の肺扁平上皮癌に羅患したがん患者由来組織切片中、5例全てが抗DSG3抗体(5G11)によって染色される陽性反応を示した(図3)。肺癌特異的な染色像が得られたことにより、DSG3が肺癌においてタンパクレベルにおいても発現亢進することが明らかとなった。抗DSG3抗体を使用することにより、肺癌の発生が検出できることが示された。

0155

〔実施例3〕抗DSG3抗体の作製
3−1)ヒトDSG3をコードする全長cDNAのクローニング
ヒトDSG3をコードする全長cDNAが、Human Small Intestine Marathon-Ready cDNA(CLONTECH社)を鋳型としたPCR増幅により取得された。すなわち、2 μlのcDNA、1 μlのセンスプライマー(配列番号:37)、1 μlのアンチセンスプライマー(配列番号:38)、5 μlの10 x KOD-Plus buffer、5 μlの2 mM dNTPs、2 μlの25 mM MgSO4、1 μlのKOD-Plusを含む50 μlの反応液中で、94 ℃にて15秒、70℃にて2分の反応からなる反応サイクルを5回、94 ℃にて15秒、68℃にて2分の反応からなる反応サイクルを5回、94 ℃にて15秒、66℃にて2分の反応からなる反応サイクル28回を続けて行うPCR反応が実施された。上記のPCR反応により得られた増幅産物がpGEM‐T Easy Vector System I(Promega社)を用いてpGEM-T easyに挿入された。ABI3730DNAシーケンサーを用いたシークエンシングによって、ヒトDSG3をコードするcDNA配列成功裏のクローニングが確認された。配列番号:39で表される配列はヒトDSG3遺伝子の塩基配列を、配列番号:40で表される配列はヒトDSG3タンパク質のアミノ酸配列を示す。

0156

3−2)全長ヒトDSG3定常発現細胞の樹立
全長ヒトDSG3cDNAを哺乳細胞発現用ベクター(pMCN)にクローニングした(pMCN/hDSG3)。pMCNは、mouse CMVプロモータACCESSION No. U68299)による制御下で誘導発現が可能で、ネオマイシン耐性遺伝子が組み込まれたベクターである。pMCN/hDSG3をCHO細胞DG44株(Invitrogen社)へエレクトロポレーションにより導入し、500 μg/mlのGeneticin での選抜により、全長ヒトDSG3を定常的に発現するCHO細胞株が樹立された。同様に、DSG3を発現していないヒト肺上皮癌細胞株であるA549細胞へpMCN/hDSG3を導入し、1000 μg/mlのGeneticin での選抜により、全長ヒトDSG3を定常的に発現するA549細胞株が樹立された。

0157

3−3)可溶型ヒトDSG3/マウスIgG2aFc融合タンパク質の作製
抗DSG3抗体作製のための免疫抗原として可溶型ヒトDSG3/マウスIgG2a Fc融合タンパク質(以下、shDSG3_mIgG2aFc)が作製された。発現ベクターpMCNにDHFR遺伝子を組み込んだpMCDNベクターに、ヒトDSG3細胞外領域(Met1-Leu616)とマウスIgG2a定常領域をヒンジ部位のCpoI認識配列で連結したshDSG3_mIgG2aFcがクローニングされた(pMCDN/shDSG3_mIgG2aFc)。配列番号:41で表される配列はshDSG3_mIgG2aFc遺伝子の塩基配列を、配列番号:42で表される配列はshDSG3_mIgG2aFcのアミノ酸配列を示す。pMCDN/shDSG3_mIgG2aFcをDG44細胞へエレクトロポレーションにより導入し、500 μg/ml Geneticin で選抜することにより、shDSG3_mIgG2aFcを定常的に発現するCHO細胞株が樹立された。次に樹立された該shDSG3_mIgG2aFc発現CHO細胞株の培養上清よりshDSG3_mIgG2aFcの精製が実施された。培養上清がHi Trap ProteinG HP(GEヘルスケアバイオサイエンス社)カラムにアプライされ、結合バッファー(20mMリン酸ナトリウム(pH 7.0))にて洗浄後、溶出バッファー(0.1Mグリシン-HCl (pH 2.7))で溶出された。溶出液中和バッファー(1M Tris-HCl (pH 9.0))を加えたチューブに溶出することにより直ちに中和された。該溶出液はSuperdex 200 HR 10/30(GEヘルスケアバイオサイエンス社)によるゲルろ過に供されることにより、所望の抗体を含有する溶液の溶媒がPBSバッファーに置換された。精製タンパク質はDC protein assay kit(BIO-RAD社)を用いて、該キットに添付されたウシIgGを標準試料とした濃度に換算され定量された。

0158

3−4)抗DSG3抗体の作製
Balb/cマウス、もしくはMRL/MpJUmmCrj-lpr/lprマウス(以下、MRL/lprマウス、日本チャールズリバーより購入)が免疫動物として用いられた。7週齢、又は8週齢より免疫が開始され、初回免疫に際してはshDSG3_mIgG2aFcを一頭当たり100 μg含むようにPBSバッファーを用いて調製され、フロイント完全アジュバント(ベクトンディッキンソン社)を用いてエマルジョン化された抗原が皮下に投与された。2週間後に一頭当たり50 μg含むようにPBSバッファーを用いて調製されたものをフロイント不完全アジュバント(ベクトンディッキンソン社)でエマルジョン化された抗原が皮下に投与された。以降1週間間隔で追加免疫が2から4回行われて、最終免疫として一頭当たり50 μgとなるようにPBSで希釈され尾静脈内に投与された。最終免疫の4日後、脾臓細胞を摘出し、マウスミエローマ細胞P3-X63Ag8U1(P3U1、ATCCより購入)と2:1になるように混合し、PEG1500(ロシュダイアグスティックス社)を徐々に加える事により細胞融合が実施された。続いて慎重にRPMI1640培地(Invitrogen社)を加えることによりPEG1500が希釈された後に、遠心分離で上清を除くことによりPEG1500が除去された。10%FBS入りRPMI1640にて懸濁した融合細胞群が100 μl/wellとなるように96穴培養プレート中に播種された。翌日、100 μl/wellとなるように10%FBS、1 xHAT media supplement (SIGMA社)、0.5 x BM-Condimed H1 Hybridoma cloning supplement (ロシュ・ダイアグノスティックス社)を含むRPMI1640(以下、HAT培地と称する。)を添加した。2、3日後に培養液の半分がHAT培地に置き換えられ、7日後の培養上清を用いてDSG3分子に対する結合活性を指標としたスクリーニングが実施された。該スクリーニングは全長ヒトDSG3を定常的に発現するCHO細胞への結合を検出するFlowcytometry解析によって実施された。該解析で得られた陽性クローンが限界希釈法によりモノクローン化された。即ち、DSG3に特異的に結合する抗体として、DF120、DF122、DF148、DF151、DF153、DF168、DF331、DF364、DF366が樹立された。
FBS(Ultra low IgG)(Invitrogen社)を血清として用いたHAT培地にて培養したハイブリドーマの培養上清から、該モノクローナル抗体の精製がshDSG3_mIgG2aFc と同様にHi Trap ProteinG HPカラムを用いて実施された。溶出画分は、PD-10カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いてその溶液の溶媒をPBSに置換した後に、4℃にて保管された。精製抗体はDC protein assay kit(BIO-RAD社)を用いて、該キットに添付のウシIgGを標準試料とした濃度に換算されることによって定量された。

0159

3−5)Flowcytometryによる結合活性の評価
取得した抗体を用い、全長ヒトDSG3を定常的に発現するCHO細胞に対するその結合がFlowcytometryにより評価された。5 x 105 cells/mlになるようにFACSBuffer(1% FBS/PBS)に懸濁しMultiscreen -HVFilter Plates(ミリポア社)に分注した細胞懸濁液から、遠心分離によって上清が除去された。上清が除去された細胞に対してFACS Bufferによって適当な濃度(3 μg/ml)に希釈された抗DSG3モノクローナル抗体を含むFACS Bufferを添加した後に氷上に30分間静置させることによって、該細胞を該モノクローナル抗体と反応させた。遠心分離によって該反応液から上清を除去した後に細胞はFACS Bufferによって一回洗浄された。次に、二次抗体としてFITC標識抗マウスIgG抗体を含むFACS Bufferによって細胞を懸濁させることによって、細胞を該二次抗体と氷上にて30分間反応させた。反応終了後、遠心分離により上清が除去された細胞はFACS Buffer 100 μlに懸濁後、フローサイトメトリー解析に供された。フローサイトメーターはFACS Calibur(ベクトンディッキンソン社)が用いられた。前方散乱光(forward scatter)及び側方散乱光(side scatter)のヒストグラムにて生細胞集団にゲートが設定された。図4に示すように3 μg/mlの抗DSG3モノクローナル抗体(DF120, DF122, DF148, DF151, DF153, DF168, DF331, DF364, DF366)がDSG3を発現したCHO細胞に強く結合し、親株であるCHO細胞には結合しなかった事から、該抗DSG3モノクローナル抗体が細胞膜上に提示されたDSG3に特異的に結合する事が判明した。

0160

〔実施例4〕抗DSG3抗体が有する細胞障害活性の測定
4−1)抗DSG3抗体のcomplement-dependent cytotoxicity(CDC)活性の測定
標的細胞として全長ヒトDSG3を定常的に発現するCHO(DSG3-CHO、実施例3−2)に記載されている)細胞株を用いた。DSG3-CHO細胞株の培養には500 μg/ml Geneticin(Invitrogen社)、HTsupplement (Invitrogen社)、penicillin/streptomycin(Invitrogen社)を含むCHO-S-SFM II培地(Invitrogen社)(以下、「培地」と称する)を用いた。DSG3-CHO細胞株5 x 105細胞を4℃にて5分間遠心分離(1000 rpm)することにより得られた細胞ペレットは3.7 MBqのChromium-51 (GEヘルスケアバイオサイエンス社)を含有する約200 μlの培地に懸濁された後に、5%炭酸ガスインキュベーター中で37℃にて1時間培養された。この細胞を培地で3回洗浄した後、培地にて細胞密度が1 x 105 cells/mlに調製された後に、96ウェル平底プレートに100 μlずつ分注された。次に、培地にて希釈した抗DSG3抗体及びコントロールマウスIgG2a抗体(BD Biosciences Pharmingen社)が各ウェルに50 μlずつ添加された。抗体は終濃度10 μg/mlになるように調製された。続いて、培地にて5倍希釈した幼令ウサギ補体(Cederlane社)が各ウェルに50μlずつ添加された後に、プレートは5%炭酸ガスインキュベーター中で37℃にて1.5時間静置された。静置後4℃にて5分間、遠心(1000 rpm)したプレートの各ウェルから上清が100 μlずつ回収され、ガンマカウンター(1480 WIZARD 3"、Wallac社)にて放射活性が測定された。下式に基づいて特異的クロム遊離率が決定された。
特異的クロム遊離率(%) = (A-C)×100/(B-C)
Aは各ウェルにおける放射活性(cpm)、Bは100 μlの細胞と100 μlの2% Nonidet P-40溶液(ナカライテスク社)を添加したウェルにおける放射活性(cpm)の平均値、Cは100 μlの細胞と100 μlの培地を添加したウェルにおける放射活性(cpm)の平均値を示す。測定はduplicateにて行われ、特異的クロム遊離率の平均値及び標準偏差が算出された。
実験に用いた全ての抗DSG3抗体がCDC活性を有することが確認された(図5)。一方コントロールマウスIgG2a抗体は同濃度でCDC活性を示さなかった。
次に、ヒト皮膚上皮癌細胞株A431(ATCCより購入)、ヒト肺上皮癌細胞株A549(ATCCより購入)、および全長ヒトDSG3を定常発現させたA549細胞株(DSG3-A549、実施例3−2)に記載されている)が標的細胞として用いられ該抗体のCDC活性の有無が検討された。A431及びDSG3-A549は細胞膜上にDSG3を発現する。A431、A549の培養には10% fetal bovine serum(Invitrogen社)、penicillin/streptomycinを含むDulbecco’s Modified Eagle Medium培地(Invitrogen社)(以下、DMEM培地と称する)を用いた。DSG3-A549細胞株の培養には1 mg/ml Geneticinを含むDMEM培地が使用された。A431、A549、DSG3-A549細胞が96ウェル平底プレートの各ウエルに2 x 103細胞(A549、DSG3-A549)または4 x 103細胞(A431)ずつ添加され、5%炭酸ガスインキュベーター中で37℃にて3日間培養された。培養後Chromium-51が終濃度1.85 MBq/mlにて添加され、さらに1時間培養が継続された。各ウェルが300 μlのDMEM培地で洗浄された後、100 μlのDMEM培地が添加された。次に抗DSG3抗体および幼令ウサギ補体がDSG3-CHO細胞株を用いた試験で用いられた条件と同様に添加されることにより特異的クロム遊離率が決定された。
抗DSG3抗体DF151はDSG3を発現するA431およびDSG3-A549細胞株に対して濃度依存的にCDCを誘導したが、DSG3を発現しないA549細胞株に対してはCDC活性を示さなかった(図6)。以上の結果より、抗DSG3抗体が抗原特異的にCDC活性を発揮することが示された。

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