図面 (/)
課題
解決手段
本発明のコンベア装置の制動能力診断方法は、人員を運搬するコンベアと、該コンベアを駆動する駆動装置25及びコンベアを制動する制動装置26とを具え、前記駆動装置の回転をパルスにより出力するコンベア装置の制動能力診断方法であって、前記駆動装置が作動中に、前記駆動装置を停止させると共に前記制動装置を作動させる制動開始ステップと、前記駆動装置により出力されるパルスを取得し、予め定める時間Δt毎のパルス数の変化Δnを算出するパルス数変化算出ステップと、前記パルス数変化算出ステップにより算出されたパルス数の変化Δnを、予め設定された閾値と比較することにより、前記制動装置の制動能力が正常であるかどうかを判定する判定ステップと、を具える。
概要
背景
エスカレータや動く歩道などの如き人員を運搬するコンベア装置においては、異物の挟み込みなどの異常を検知した場合、安全装置が作動して、非常停止するようになっている。その際の制動(ブレーキ)能力は、エスカレータの場合には踏み段の制動距離、動く歩道の場合には歩道の制動距離として法令で定められている。制動距離は、エスカレータの定格速度が30m/minの場合、無負荷(乗員が無い)の状態で0.1〜0.6mであり、多くのメーカは、0.2〜0.5mとなるように設定している。制動距離は、たとえば駆動軸に取付けられたエンコーダのパルス数などから換算することができる。
コンベア装置の制動能力は、たとえば特許文献1では、エンコーダのパルスを、コンベア装置の停止指令を入力、すなわち、管理者がキースイッチで停止開始操作を行なったときから、完全にコンベアが停止するまでカウントし、そのパルス数に基づいて制動距離を算出し、所定の閾値内であるかどうかを判定することで診断を行なっている。その診断の結果、制動距離に異常がある場合には、監視盤に異常発報、たとえばランプを点灯するなどして、管理者に報知する。制動能力の異常の原因として、制動装置が作動していないことや、作動していても、ブレーキディスクに摺接されるブレーキパッドの摩耗などで制動距離が延びていることが挙げられる。
概要
制動装置の診断を正確に行なうことができるコンベア装置およびその制動能力診断方法を提供する。本発明のコンベア装置の制動能力診断方法は、人員を運搬するコンベアと、該コンベアを駆動する駆動装置25及びコンベアを制動する制動装置26とを具え、前記駆動装置の回転をパルスにより出力するコンベア装置の制動能力診断方法であって、前記駆動装置が作動中に、前記駆動装置を停止させると共に前記制動装置を作動させる制動開始ステップと、前記駆動装置により出力されるパルスを取得し、予め定める時間Δt毎のパルス数の変化Δnを算出するパルス数変化算出ステップと、前記パルス数変化算出ステップにより算出されたパルス数の変化Δnを、予め設定された閾値と比較することにより、前記制動装置の制動能力が正常であるかどうかを判定する判定ステップと、を具える。
目的
本発明の目的は、制動装置の診断を正確に行なうことができるコンベア装置およびその制動能力診断方法を提供する
効果
実績
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請求項1
人員を運搬するコンベアと、該コンベアを駆動する駆動装置及びコンベアを制動する制動装置とを具え、前記駆動装置の回転をパルスにより出力するコンベア装置の制動能力診断方法であって、前記駆動装置が作動中に、前記駆動装置を停止させると共に前記制動装置を作動させる制動開始ステップと、前記駆動装置により出力されるパルスを取得し、予め定める時間Δt毎のパルス数の変化Δnを算出するパルス数変化算出ステップと、前記パルス数変化算出ステップにより算出されたパルス数の変化Δnを、予め設定された閾値と比較することにより、前記制動装置の制動能力が正常であるかどうかを判定する判定ステップと、を具えることを特徴とするコンベア装置の制動能力診断方法。
請求項2
前記判定ステップは、前記パルス数の変化Δnを、予め設定されたコンベア装置の慣性のデータに基づいてブレーキトルクに換算し、予め設定されたブレーキトルクの閾値と比較することにより判定を行なう、請求項1に記載のコンベア装置の制動能力診断方法。
請求項3
人員を運搬するコンベアと、該コンベアを駆動する駆動装置及びコンベアを制動する制動装置とを具え、前記駆動装置の回転をパルスにより制御装置に出力するコンベア装置において、前記制御手段は、前記駆動装置が作動中に、前記駆動装置を停止させると共に前記制動装置を作動させる制御部と、前記駆動装置により出力されるパルスを取得し、予め定める時間Δt毎のパルス数の変化Δnを算出するパルス数変化算出部と、前記パルス数変化算出部により算出されたパルス数の変化Δnを、予め設定された閾値と比較することにより、前記制動装置の制動能力が正常であるかどうかを判定する判定部と、を具えることを特徴とするコンベア装置。
請求項4
前記判定部は、前記パルス数の変化Δnを、予め設定されたコンベア装置の慣性のデータに基づいてブレーキトルクに換算し、予め設定されたブレーキトルクの閾値と比較することにより判定を行なう、請求項3に記載のコンベア装置。
技術分野
背景技術
0002
エスカレータや動く歩道などの如き人員を運搬するコンベア装置においては、異物の挟み込みなどの異常を検知した場合、安全装置が作動して、非常停止するようになっている。その際の制動(ブレーキ)能力は、エスカレータの場合には踏み段の制動距離、動く歩道の場合には歩道の制動距離として法令で定められている。制動距離は、エスカレータの定格速度が30m/minの場合、無負荷(乗員が無い)の状態で0.1〜0.6mであり、多くのメーカは、0.2〜0.5mとなるように設定している。制動距離は、たとえば駆動軸に取付けられたエンコーダのパルス数などから換算することができる。
0003
コンベア装置の制動能力は、たとえば特許文献1では、エンコーダのパルスを、コンベア装置の停止指令を入力、すなわち、管理者がキースイッチで停止開始操作を行なったときから、完全にコンベアが停止するまでカウントし、そのパルス数に基づいて制動距離を算出し、所定の閾値内であるかどうかを判定することで診断を行なっている。その診断の結果、制動距離に異常がある場合には、監視盤に異常発報、たとえばランプを点灯するなどして、管理者に報知する。制動能力の異常の原因として、制動装置が作動していないことや、作動していても、ブレーキディスクに摺接されるブレーキパッドの摩耗などで制動距離が延びていることが挙げられる。
先行技術
0004
特開平2−282189号公報
発明が解決しようとする課題
0005
しかしながら、上記診断には、コンベア装置にキースイッチの操作による停止開始操作から、実際に制動装置に信号が伝達され、制動装置の制動力がコンベア装置に作用して、ブレーキトルクが発生する前の空走時間が含まれる。
空走時間は、エスカレータの長さや構造、制動装置の構造や性能等によりバラツキがあるから、診断結果に空走時間が含まれることで誤差が生じ、算出される制動距離にも誤差が生じてしまう問題がある。
0006
本発明の目的は、制動装置の診断を正確に行なうことができるコンベア装置およびその制動能力診断方法を提供することである。
課題を解決するための手段
0007
本発明のコンベア装置の制動能力診断方法は、
人員を運搬するコンベアと、該コンベアを駆動する駆動装置及びコンベアを制動する制動装置とを具え、前記駆動装置の回転をパルスにより出力するコンベア装置の制動能力診断方法であって、
前記駆動装置が作動中に、前記駆動装置を停止させると共に前記制動装置を作動させる制動開始ステップと、
前記駆動装置により出力されるパルスを取得し、予め定める時間Δt毎のパルス数の変化Δnを算出するパルス数変化算出ステップと、
前記パルス数変化算出ステップにより算出されたパルス数の変化Δnを、予め設定された閾値と比較することにより、前記制動装置の制動能力が正常であるかどうかを判定する判定ステップと、
を具える。
0008
また、本発明に係るコンベア装置は、
人員を運搬するコンベアと、該コンベアを駆動する駆動装置及びコンベアを制動する制動装置とを具え、前記駆動装置の回転をパルスにより制御装置に出力するコンベア装置において、
前記制御手段は、
前記駆動装置が作動中に、前記駆動装置を停止させると共に前記制動装置を作動させる制御部と、
前記駆動装置により出力されるパルスを取得し、予め定める時間Δt毎のパルス数の変化Δnを算出するパルス数変化算出部と、
前記パルス数変化算出部により算出されたパルス数の変化Δnを、予め設定された閾値と比較することにより、前記制動装置の制動能力が正常であるかどうかを判定する判定部と、
を具える。
発明の効果
0009
本発明に係るコンベア装置およびその制動能力診断方法によれば、所定時間Δt毎のパルス数の変化Δnに基づいて制動装置の制動能力を判定するから、パルス数の変化のない空走時間は判定に含まれない。従って、正確な制動能力診断を行なうことができる。
図面の簡単な説明
0010
図1は、本発明の一実施形態に係るコンベア装置であるエスカレータのブロック図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る制動能力診断度を説明するフローチャートである。
図3(a)は、エスカレータ本体の速度、図3(b)は、時間Δt毎のパルス数、図3(c)は、時間Δt毎のパルス数の変化Δnを示すグラフである。
実施例
0011
図1は、本発明の一実施形態に係るコンベア装置であるエスカレータ(10)のブロック図である。以下では、コンベア装置としてエスカレータを例示するが、人員を運搬するコンベア装置であれば、動く歩道などにも適用することができる。
0012
エスカレータ(10)は、エスカレータ本体(20)と、駆動装置(モータ(25))と、制動装置(26)、制御装置(40)を具える。
0013
より詳細には、エスカレータ本体(20)は、コンベアとなる踏み板(21)が取り付けられたチェーン(22)やハンドレール(23)を具え、駆動装置からの動力伝達を受けて踏み板(21)やハンドレール(23)が循環走行する。
0014
駆動装置は、モータ(25)を例示することができ、モータ(25)の出力は、ギア等から構成することのできる減速機(24)を介してエスカレータ本体(20)に伝達される。モータ(25)の制御は、モータ(25)の駆動回路を構成する駆動制御部(30)により行なうことができる。
0015
また、制動装置(26)は、モータ(25)の出力軸等に設けられたブレーキディスクに、ブレーキパッドを摺接させる構造を例示できる。
0016
モータ(25)の出力軸には、エンコーダ(27)が配備されている。エンコーダ(27)は、たとえばモータ(25)の出力軸に取付けられたスリット板が回転することで、固定位置に設けられた一対の受発光素子間の光路が導通/遮断され、その導通/遮断を受光素子が検出することでエンコーダパルスを生成する。生成されたエンコーダパルスは、制御装置(40)に送信される。
0017
エスカレータ本体(20)の乗降口には、キースイッチや非常停止釦を含む操作部(28)が設けられている。図1の例では、図面の簡略化のために、操作部(28)を上階側に設けている。操作部(28)は、制御装置(40)に電気的に接続されており、キースイッチのON、OFF操作によって、駆動装置や制動装置(26)の運転の開始、終了を制御する。
0018
制御装置(40)は、エスカレータ(10)のすべての制御を実行する。より詳細には、制御装置(40)は、CPU、記憶部(メモリ)、記憶部に記憶された各種プログラム等によって実現されるが、図1では、これらの連繋によって実現される代表的な機能に関する機能ブロックのうち、本発明に関連する機能ブロックのみを描いている。これら機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウエアのみ又はこれらの組合せによって実現可能であることは当然理解されるべきである。
0019
制御装置(40)は、その中核となる制御部(41)を具える。制御部(41)には、前述した操作部(28)や駆動制御部(30)が電気的に接続されている。また、制動装置(26)を制御する制動部(42)と双方向に信号の送受信が可能となっている。
0020
通常の運転においては、制御部(41)は、操作部(28)への管理者のキースイッチのON操作に応答して、駆動制御部(30)を作動させて、駆動装置であるモータ(25)を駆動させると共に、制動部(42)を介して制動装置(26)を解除し、エスカレータ本体(20)を予め定められた運行プログラムに基づいて作動させる。エスカレータ本体(20)の運行状況は、エンコーダパルスを参照することで取得することができる。なお、エンコーダパルスの異常や、非常停止釦の操作、その他の異常が検知されると、制動部(42)は、モータ(25)を停止すると共に、制動装置(26)を作動させ、監視盤(50)に異常発報等を行なう。
0021
また、制動部(42)は、操作部(28)へのキースイッチのOFF操作に応答して、駆動装置であるモータ(25)を停止させると共に、制動装置(26)を作動させる。この運転停止の際に制動装置(26)の制動能力を診断する。
0022
制動能力の診断は、上述のとおり、操作部(28)へのキースイッチのOFF操作に応答して実施される。制御装置(40)には、前述した制動部(42)と、エンコーダパルスを取得して、パルス数の変化Δnを算出するパルス数変化算出部(43)と、算出されたパルス数の変化Δnに基づいて、ブレーキトルクを算出するトルク算出部(44)と、算出されたブレーキトルクに基づいて制動装置(26)の制動能力が正常であるかどうかを判定する判定部(45)とを具える。
0023
上記制御装置(40)による本発明の制動能力の診断について、フローチャート図2及びグラフ図3に沿って説明を行なう。なお、図3(a)は、エスカレータ本体(20)の速度を表わすグラフであり、図3(b)は、予め定めた時間Δt毎のパルス数、図3(c)は、時間Δt毎のパルス数の変化Δnを表わすグラフである。
0024
エスカレータ(10)の通常運転中に、操作部(28)へのキースイッチのOFF操作が行なわれると(ステップS1のYes)、制御部(41)は、駆動制御部(30)の出力をOFFとして、モータ(25)を停止させると共に、制動部(42)によって制動装置(26)を作動させる(ステップS2及び図3(a)参照)。
0025
また、パルス数変化算出部(43)は、エンコーダ(27)からのパルスを取得し(ステップS3及び図3(b)参照)、予め定める時間Δt毎のパルス数の変化Δnを算出する(ステップ4及び図3(c)参照)。予め定める時間Δtは、例えば、ブレーキトルク発生中の時間をおよそ10等分するものとすると、停止距離の設計にもよるが、5msec〜200msecとすることができる。
0026
通常運転時や制動装置(26)が実際にブレーキトルクを作用させていない空走期間においては、図3(c)に示すように、予め定めた時間Δt間に出力されるパルス数は一定であるから、パルス数の変化Δnは実質的に0である。一方、制動装置(26)によりブレーキトルクが実際に作用すると、時間Δt間に出力されるパルス数が減少するから、時間Δt毎のパルス数の変化Δnを参照することで、空走期間を除いた制動装置(26)によりブレーキトルクが実際に作用した始期を判定することができる。この場合、制動装置(26)によりエスカレータ本体(20)のの走行が停止又は停止する直前には、パルス数の変化Δnも可及的に0に近づくから、パルス数の変化Δnを参照することにより、制動装置(26)がブレーキトルクを実際に発生している期間が判定できる。
0027
上記ステップS3により算出された制動装置(26)がブレーキトルクを発生している期間におけるパルス数の変化Δnに基づいて、トルク算出部(44)にて制動装置(26)のブレーキトルクを算出する(ステップS5)。ブレーキトルクは、予め設定されたエスカレータ(10)の慣性のデータに基づいて算出できる。慣性のデータは、記憶部(図示せず)に保存しておけばよい。
0028
算出されたブレーキトルクは、判定部(45)に送信され、予め設定されたブレーキトルクの閾値と比較され(ステップS6)、所定の閾値内にそのブレーキトルクが入っていれば正常(異常なし)と判定されて(ステップS7のYes)、制動能力の診断が終了する。
0029
算出されたブレーキトルクが、所定の閾値内に入っていない場合には、異常と判定されて(ステップS7のNo)、監視盤(50)へ異常発報等し(ステップS8)、制動能力の診断が終了する。
0030
上記のように、パルス数の変化Δnに基づいて制動装置(26)の診断を行なうことで、エスカレータの長さや構造、制動装置の構造や性能等のバラツキよりにより誤差を有する空走期間を排除した実制動期間のみのブレーキトルクを算出して判定できるから、正確な診断を行なうことができる。
0031
なお、本実施形態では、制御装置(40)にパルス数の変化Δnに基づいてブレーキトルクを算出し、そのブレーキトルクが所定の閾値内にあるかどうかで制動装置(26)の制動能力を判定しているが、パルス数の変化Δnから直接判定を行なうこともできる。この場合、上記したトルク算出部(44)やステップS5は不要である。
0033
さらには、パルス数の変化Δnの算出の始期及び終期は、時間Δt間のパルス数の積算値を参照することで判定することもできる。この場合、たとえば、通常運転におけるパルス数の積算値の90%〜95%となったときをパルス数の変化Δnの算出の始期とし、通常運転におけるパル数の積算値の5%〜10%となったときをパルス数の変化Δnの算出の終期とすることができる。
0034
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
0035
たとえば、パルス数変化算出部(43)は、制動部(42)によって制動装置(26)を作動させてからエンコーダ(27)からのパルスを取得しているが、通常運転中もパルスを取得し、そのパルス数の変化Δtを制御部(41)等に出力して、通常運転中におけるエスカレータ(10)の異常の有無を監視するようにしてもよい。
0036
(10)エスカレータ
(20) エスカレータ本体
(25)モータ(駆動装置)
(26)制動装置
(27)エンコーダ
(30)駆動制御部
(40)制御装置
(41) 制御部
(42)制動部
(43)パルス数変化算出部
(44)トルク算出部
(45) 判定部