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※この項目の情報は公開日時点(2015年1月8日)のものです。
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課題
解決手段
概要
背景
米粉は従来、団子、餅、煎餅などの和菓子の原料として用いられてきた。さらに近年では、米粉は、パンや洋菓子などの従来小麦粉から製造されていた食品の原料粉としても使用されている。米粉を原料に含むパンや洋菓子は、小麦粉を主原料とするものと比べて生地に弾力や粘りが強く、モチモチした食感を有するという特徴があり、この独特の食感が消費者に好まれている。
とはいえ、単に原料粉に米粉を配合するだけでは、充分にモチモチした食感を有するパンや洋菓子を得ることは難しい。従来の米粉を原料に含むパンや洋菓子は、微粉砕米粉などの粘度の高い種類の米粉を選んで使用するか、または原料に増粘剤やα化澱粉を添加することによって生地にモチモチ感が付与されているのが実情である。
小麦粉と米粉を含む焼成食品用の穀粉原料として、特許文献1には、澱粉30〜80質量部、米粉10〜60質量部、小麦粉10〜60質量部を含む混合物を焙煎することを特徴とする焼き物用穀粉組成物が記載されている。特許文献2には、米粒または米粉に圧縮、衝撃、摩擦、せん断等を施して製造された膨潤度4.5以上、アミノグラフ糊化最高粘度500BU以下を有する改質米粉と、他の穀粉類や澱粉類と、膨張剤と、糖類とを含有する、ホットケーキ、パンケーキ等の焼き饅類用のミックス粉が記載されている。しかし、これらの穀粉組成物やミックス粉は、クリスピーで歯切れの良い食感の焼成食品を提供するためのものであって、弾力や粘りがある食感の食品を得るためのものではない。
さらに、小麦粉と米粉を含有する食品の問題点として、米粉生地と小麦粉生地の相性の悪さがある。すなわち、生地中で米粉と小麦粉が十分になじまず、米粉生地と小麦粉生地が粒状または層状に分離し、その結果、生地の膨らみが悪くなったり、食品の口当たりが悪くなったりすることがあった。
概要
生地が均質で口当たりが良く、かつ弾力や粘りのあるモチモチした食感を有する米粉含有食品の提供。小麦粉と米粉を過熱水蒸気で湿熱処理、造粒して得られた穀粉組成物。当該穀粉組成物を含有する米粉含有食品用プレミックス。当該穀粉組成物を用いる米粉含有食品の製造方法を提供。なし
目的
しかし、これらの穀粉組成物やミックス粉は、クリスピーで歯切れの良い食感の焼成食品を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
米粉は従来、団子、餅、煎餅などの和菓子の原料として用いられてきた。さらに近年では、米粉は、パンや洋菓子などの従来小麦粉から製造されていた食品の原料粉としても使用されている。米粉を原料に含むパンや洋菓子は、小麦粉を主原料とするものと比べて生地に弾力や粘りが強く、モチモチした食感を有するという特徴があり、この独特の食感が消費者に好まれている。
0003
とはいえ、単に原料粉に米粉を配合するだけでは、充分にモチモチした食感を有するパンや洋菓子を得ることは難しい。従来の米粉を原料に含むパンや洋菓子は、微粉砕米粉などの粘度の高い種類の米粉を選んで使用するか、または原料に増粘剤やα化澱粉を添加することによって生地にモチモチ感が付与されているのが実情である。
0004
小麦粉と米粉を含む焼成食品用の穀粉原料として、特許文献1には、澱粉30〜80質量部、米粉10〜60質量部、小麦粉10〜60質量部を含む混合物を焙煎することを特徴とする焼き物用穀粉組成物が記載されている。特許文献2には、米粒または米粉に圧縮、衝撃、摩擦、せん断等を施して製造された膨潤度4.5以上、アミノグラフ糊化最高粘度500BU以下を有する改質米粉と、他の穀粉類や澱粉類と、膨張剤と、糖類とを含有する、ホットケーキ、パンケーキ等の焼き饅類用のミックス粉が記載されている。しかし、これらの穀粉組成物やミックス粉は、クリスピーで歯切れの良い食感の焼成食品を提供するためのものであって、弾力や粘りがある食感の食品を得るためのものではない。
0005
さらに、小麦粉と米粉を含有する食品の問題点として、米粉生地と小麦粉生地の相性の悪さがある。すなわち、生地中で米粉と小麦粉が十分になじまず、米粉生地と小麦粉生地が粒状または層状に分離し、その結果、生地の膨らみが悪くなったり、食品の口当たりが悪くなったりすることがあった。
先行技術
0006
特開2012−039936号公報
特開2010−104245号公報
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段
0009
すなわち本発明は、小麦粉と米粉とを湿熱処理により造粒して得られた穀粉組成物を提供する。
また本発明は、上記穀粉組成物を含有する米粉含有食品用プレミックスを提供する。
また本発明は、上記穀粉組成物を用いる米粉含有食品の製造方法を提供する。
発明の効果
0010
本発明の穀粉組成物を用いれば、米粉を含む食品に特有の弾力や粘りがあるモチモチした食感を充分に有しており、かつ生地がふっくらとして、口当たりが滑らかな米粉含有食品を製造することができる。
0012
本発明の穀粉組成物の原料となる小麦粉としては、食品に通常用いられる小麦粉であればよく、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、それらの混合物等が挙げられ、これらを適宜選択して用いることができる。
0013
本発明の穀粉組成物の原料となる米粉としては、うるち米粉、もち米粉、およびそれらの混合物が挙げられるが、うるち米粉が好ましい。また本発明の穀粉組成物の原料となる米粉としては、澱粉損傷度が10%以下のものが好ましく使用される。本明細書における粉体や造粒物の澱粉損傷度は、AACC法 76−31に基づいて測定された値である。澱粉損傷度は、市販の測定キット、例えばSTARCH DAMAGE ASSAYKIT(Megazyme社製)等を用いて、製品添付のプロトコールに従って測定することができる。
0014
上記小麦粉と米粉とを湿熱処理により造粒することにより、本発明の穀粉組成物を調製することができる。上記湿熱処理の方法としては、小麦粉と米粉との混合物に水や水蒸気を加え加熱処理する方法であればよい。例えば、湿熱処理の方法としては、密閉型容器内に加水した小麦粉と米粉を充填した後、必要に応じて攪拌しながら、飽和水蒸気を用いて加圧状態で加熱処理する方法、一軸または二軸型エクストルーダーを用いて小麦粉と米粉とを加水・加熱しつつ混練する方法、特開2009−34038号公報に記載の装置を用いて飽和水蒸気雰囲気下で小麦粉と米粉とを加熱処理する方法、などが挙げられる。
0015
好ましい湿熱処理の方法としては、過熱水蒸気処理、例えば、小麦粉と米粉に適宜加水した後、密閉型容器に封入密閉し、これを加圧下で加熱する方法が挙げられる。このような処理は、例えば上述した特開2009−34038号公報に記載の装置を用いて行うことができる。上記過熱水蒸気処理において、加水量は、小麦粉と米粉との合計量に対して0〜30質量%であればよいが5〜10質量%が好ましく、加熱の条件は、圧力0〜200kPa(特開2009−34038号公報に記載の装置におけるゲージ圧0〜200kPa)、温度100〜134℃で10秒〜3分間であればよく、圧力50〜120kPa、温度112〜123℃で30秒間が好ましい。
0016
上記湿熱処理に供される小麦粉と米粉との質量比は、好ましくは90:10〜10:90、より好ましくは70:30〜30:70である。米粉の質量比が多いまたは少ないと、得られた穀粉組成物から製造された米粉含有食品の食感が充分に向上しない場合がある。
0019
上記の手順で小麦粉と米粉とを湿熱処理することにより、小麦粉や米粉に含まれる澱粉が糊化することで小麦粉と米粉が結着されて、造粒物となる。得られた造粒物は、乾燥させて用いるのが好ましい。乾燥の方法としては、棚乾燥、熱風乾燥、流動層乾燥などの方法が挙げられ、湿熱処理の方法に応じて適宜採用すればよい。必要に応じて、乾燥後の造粒物を粉砕や篩などにかけ、粒径を調整してもよい。造粒物の粒径を中位径50〜400μm程度に調整しておくと、調理に使用する際に取り扱い易く、また他の材料と混合し易くなる。本明細書における紛体や造粒物の中位径とは、メジアン径とも称される「粒度の累積分布による中位径(D50)」であり、紛体や造粒物の累積質量%を縦軸、粒径を横軸とした累積分布のグラフにおける、縦軸の累積値が50質量%であるときの横軸の粒径で表される値である。中位径(D50)は、レーザ回折・散乱法により測定された粒度分布に基づいて算出することができ、例えば市販の測定装置(日機装株式会社製マイクロトラックMT3300II等)を用いて測定することができる。
0020
斯くして得られた造粒物が、本発明の穀粉組成物である。本発明の穀粉組成物は、米粉含有食品の原料粉として有用である。本発明の穀粉組成物を原料粉として食品の材料に添加してバッターを調製し、加熱調理することで、米粉含有食品を製造することができる。本発明の穀粉組成物を使用して製造することができる米粉含有食品の好適な例としては、パン、パウンドケーキ、スポンジケーキ、マフィン等のベーカリー食品、ホットケーキ、パンケーキ、クレープ、ワッフル、どら焼き、鯛焼き、大判焼き、人形焼、カステラ、焼き饅頭等の焼き菓子、および蒸しパン、饅頭等の蒸し物が挙げられる。
0021
さらに、本発明の穀粉組成物は、その他の粉体と混合されて米粉含有食品用プレミックスとして提供されてもよい。当該その他の粉体としては、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉等の小麦粉や、ライ麦粉、米粉、コーンフラワー、大麦粉、豆粉等の穀粉類;糖類;卵粉、卵白粉;油脂類;乳化剤;賦形剤;膨張剤;流動化剤;調味料、香辛料等;活性グルテン;酵素剤;および必要に応じて澱粉類や増粘剤などが挙げられる。上記プレミックス中における本発明の穀粉組成物の含有量は、当該プレミックスの用途によって異なるが、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜80質量%である。
0022
本発明の穀粉組成物を用いて製造された食品は、材料に澱粉や増粘剤を添加しなくとも、米粉含有食品に特有の弾力や粘りがあるモチモチとした食感を充分に有している。また本発明の穀粉組成物を用いて製造された食品は、生地中で小麦粉生地部分と米粉生地部分が分離することがなく、生地が均質かつふっくらとしており、滑らかな口当たりを有している。
0023
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
0024
製造例1〜9
小麦粉(薄力粉)と米粉(損傷デンプン3%、D50=60μm)を表1記載の量で特開2009−34038号公報に記載の装置に投入し、小麦粉と米粉の合計量に対して5〜10質量%の水を加え、ゲージ圧100±10kPa、温度120±5℃の条件で、4〜6秒間湿熱処理を行った後、乾燥、冷却して造粒物を得た。
0025
製造例10
湿熱処理していない小麦粉(薄力粉)と米粉(損傷デンプン3%、D50=60μm)とを表1記載の量で混合した。
0027
製造例14〜19
小麦粉(薄力粉)を製造例1と同様の手順で湿熱処理した。同様に、米粉(損傷デンプン3%、D50=60μm)を製造例1と同様の手順で湿熱処理した。得られた湿熱処理小麦粉と湿熱処理米粉を表1記載の量で混合した。
0028
製造例1〜19のいずれかの粉100質量部に、砂糖20質量部、食塩0.2質量部、膨張剤2.0質量部を混合してミックス粉を得た。このミックス粉200gに、卵50gと牛乳150gを混合して調製した卵乳液200gを加えて混合し、生地を調製した。得られた生地を、170℃に予熱した鉄板上に、約12〜13cmの直径の円形に流し入れて2分間焼成した後、反転してさらに4分間焼成してホットケーキを製造した。
0029
試験例1
得られたホットケーキを切断し、断面を観察して生地の外観を評価した。さらに、ホットケーキ食感および口当たりを10名のパネラーにより評価し、平均点を求めた。評価は、以下の基準に従って行った。
(生地の外観)
5: 生地全体が均質で、膨らみが非常に良好。
4: 生地が全体的にほぼ均質で、膨らみが良好。
3: 部分的に米粉生地が分離した膨らみの悪い部分がある。
2: 米粉生地の分離した膨らみが悪い部分が多くみられる。
1:小麦粉生地と米粉生地が完全に分離して生地が二層になっている、膨らみが悪い。
(食感)
5: 弾力と粘りがあり、モチモチした食感が充分にある。
4: 弾力と粘りがあり、モチモチした食感がある。
3: やや弾力と粘りがあり、ややモチモチした食感。
2: 弾力や粘り、モチモチした食感に欠ける。
1: 弾力や粘り、モチモチした食感がほとんど感じられない。
(口当たり)
5: 全体的に非常に滑らかで非常に良好な口当たり。
4: 全体的に滑らかで良好な口当たり
3: ややざらつきを感じる。
2: 粒状の感触があり、ざらついている。
1: 粒状の感触を多く感じる。
0030
結果を表1に示す。小麦粉と米粉の混合物を湿熱処理して得られた本発明の穀粉組成物(製造例1〜9)から得られた食品は、未湿熱処理粉(製造例10)、および小麦粉と澱粉の湿熱処理物(製造例11〜13)から得られた食品と比べて、米粉特有のモチモチとした食感に優れ、また生地の分離がなく口当たりが良好であった。単独で湿熱処理した米粉を含む組成物(製造例14〜19)から得られた食品は、食感は良いものの、生地が分離して外観が悪く、また口当たりが悪い場合があった。
実施例
0031