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技術 蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 加岳井敦
出願日 2013年6月17日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2013-127020
公開日 2015年1月5日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2015-001482
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析
主要キーワード 全量ピペット 液体重量 操作習熟度 測定内容 Cu溶 プラスチック薄膜 計算内容 定量分析結果
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図面 (2)

課題

被測定溶液中の所望の含有成分の含有量を、ばらつきを小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定する方法を提供する。

解決手段

被測定対象溶液中に含有される所定成分の濃度を、蛍光X線分析装置を用いて定量分析する方法であって、前記被測定対象の溶液の密度を測定する操作と、前記被測定対象の溶液を量する操作と、前記秤量された被測定対象の溶液へ、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分として添加して混合溶液とし、当該内部標準成分の添加量を秤量する操作と、前記混合溶液をそのまま、または、所望の割合で希釈した後、蛍光X線分析装置へ装填する操作と、前記蛍光X線分析装置を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との強度比を求め、予め作成した、前記所定成分と前記内部標準成分との強度比と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比との検量線を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との濃度比を求める操作と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度(体積分率)を求めることを特徴とする蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法を提供する。

概要

背景

含有成分およびその濃度が未知である被測定溶液において、その溶液中のある特定成分の濃度を正確に測定しようとする場合、まずは、当該被測定溶液中の含有成分を特定し、おおよその濃度を測定する分析操作(本発明において「定性分析」と記載する場合がある。)を行う。
当該定性分析の手段として、ICP発光分光分析装置(本発明において「ICP/OES」と記載する場合がある。)やXRFによる定性分析が一般的に行われる。そして、両装置を用いた定性分析操作自体は、一試料当り数分間から数10分間程度で実施することができる。

しかし、定性分析を行う被測定溶液の前処理においては、例えばICP/OES用試料調製であれば、被測定溶液の試料を全量ピペットを使用して全量フラスコに移し入れ、適当な酸を添加して純水で一定量に定容する操作(本発明において「希釈操作」と記載する場合がある。)が必要である。当該希釈操作は、30分間から1時間程度の時間を要する手間のかかる操作である。
一方、XRFは、前述のような希釈操作を必要とせず、プラスチック薄膜を張ったプラスチック容器に被測定溶液の試料を入れるだけで前処理が終了する。その為、当該前処理に要する時間は数分間から数10分間程度であって、非常に簡便である(非文献特許1参照)。

以上、説明した定性分析が完了して、被測定溶液中の含有成分、および、当該含有成分のおおよその濃度が判明したら、次に、当該被測定溶液中における所望の特定成分の濃度を正確に測定する操作(本発明において「定量分析」と記載する場合がある。)を行う。
当該定量分析の手段としても、ICP/OESやXRFを用いた定量分析が一般的に行われる。そして両装置共に、多元素の定量分析を、一測定試料当り数分間程度の短時間で実施できる。

しかし、定量分析を行う被測定溶液の前処理においては、例えばICP/OES用試料調製であれば、前述した定性分析の場合と同様に複雑な希釈操作が必要である。この為、当該希釈操作に、やはり30分間から1時間程度の時間を要する。
一方、XRFで定量分析を実施しようとする場合、被測定溶液中における所望成分の濃度が低いと、前述のようなプラスチック薄膜を張ったプラスチック容器に被測定溶液を入れて測定しようとしても、XRFの測定感度が低いために正確な定量分析が行えない可能性がある。
このような事態に対応する為、被測定溶液中における所望の含有成分を濃縮することが可能な媒体に、被測定溶液を滴下して測定する前処理操作手法がある。そして、当該前処理操作に要する時間は、数分間から数10分間程度なので非常に簡便である(非文献特許1参照)。

概要

被測定溶液中の所望の含有成分の含有量を、ばらつきを小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定する方法を提供する。被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を、蛍光X線分析装置を用いて定量分析する方法であって、前記被測定対象の溶液の密度を測定する操作と、前記被測定対象の溶液を量する操作と、前記秤量された被測定対象の溶液へ、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分として添加して混合溶液とし、当該内部標準成分の添加量を秤量する操作と、前記混合溶液をそのまま、または、所望の割合で希釈した後、蛍光X線分析装置へ装填する操作と、前記蛍光X線分析装置を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との強度比を求め、予め作成した、前記所定成分と前記内部標準成分との強度比と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比との検量線を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との濃度比を求める操作と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度(体積分率)を求めることを特徴とする蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法を提供する。なし

目的

本発明はこのような状況を解決するためになされたものであり、被測定溶液中の所望の含有成分の含有量を、ばらつきを小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定する方法の提供を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

被測定対象溶液中に含有される所定成分の濃度を、蛍光X線分析装置を用いて定量分析する方法であって、前記被測定対象の溶液の密度を測定する操作と、前記被測定対象の溶液を量する操作と、前記秤量された被測定対象の溶液へ、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分として添加して混合溶液とし、当該内部標準成分の添加量を秤量する操作と、前記混合溶液をそのまま、または、所望の割合で希釈した後、蛍光X線分析装置へ装填する操作と、前記蛍光X線分析装置を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との強度比を求め、予め作成した、前記所定成分と前記内部標準成分との強度比と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比との検量線を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との濃度比を求める操作と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を求めることを特徴とする蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法

請求項2

前記所定成分がNi、Co、Mnから選択される1種以上の成分であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法。

請求項3

前記内部標準成分がCuであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法。

請求項4

前記混合溶液をそのまま、または、所望の割合で希釈した後、蛍光X線分析装置へ装填する際、当該混合溶液の定量を媒体中にて乾燥した後、当該媒体と伴に蛍光X線分析装置へ装填することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法。

請求項5

前記混合溶液の定量を乾燥させる媒体として、ろ紙を用いることを特徴とする請求項4に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法。

技術分野

0001

本発明は、蛍光X線分析装置(本発明において「XRF」と記載する場合がある。)を用いた、被測定溶液中の含有成分の濃度を定量的に分析する方法に関するものである。さらに詳しくは、被測定溶液中の含有成分の濃度を、小さなばらつきをもって且つ高精度に分析する方法に関する。

背景技術

0002

含有成分およびその濃度が未知である被測定溶液において、その溶液中のある特定成分の濃度を正確に測定しようとする場合、まずは、当該被測定溶液中の含有成分を特定し、おおよその濃度を測定する分析操作(本発明において「定性分析」と記載する場合がある。)を行う。
当該定性分析の手段として、ICP発光分光分析装置(本発明において「ICP/OES」と記載する場合がある。)やXRFによる定性分析が一般的に行われる。そして、両装置を用いた定性分析操作自体は、一試料当り数分間から数10分間程度で実施することができる。

0003

しかし、定性分析を行う被測定溶液の前処理においては、例えばICP/OES用試料調製であれば、被測定溶液の試料を全量ピペットを使用して全量フラスコに移し入れ、適当な酸を添加して純水で一定量に定容する操作(本発明において「希釈操作」と記載する場合がある。)が必要である。当該希釈操作は、30分間から1時間程度の時間を要する手間のかかる操作である。
一方、XRFは、前述のような希釈操作を必要とせず、プラスチック薄膜を張ったプラスチック容器に被測定溶液の試料を入れるだけで前処理が終了する。その為、当該前処理に要する時間は数分間から数10分間程度であって、非常に簡便である(非文献特許1参照)。

0004

以上、説明した定性分析が完了して、被測定溶液中の含有成分、および、当該含有成分のおおよその濃度が判明したら、次に、当該被測定溶液中における所望の特定成分の濃度を正確に測定する操作(本発明において「定量分析」と記載する場合がある。)を行う。
当該定量分析の手段としても、ICP/OESやXRFを用いた定量分析が一般的に行われる。そして両装置共に、多元素の定量分析を、一測定試料当り数分間程度の短時間で実施できる。

0005

しかし、定量分析を行う被測定溶液の前処理においては、例えばICP/OES用試料調製であれば、前述した定性分析の場合と同様に複雑な希釈操作が必要である。この為、当該希釈操作に、やはり30分間から1時間程度の時間を要する。
一方、XRFで定量分析を実施しようとする場合、被測定溶液中における所望成分の濃度が低いと、前述のようなプラスチック薄膜を張ったプラスチック容器に被測定溶液を入れて測定しようとしても、XRFの測定感度が低いために正確な定量分析が行えない可能性がある。
このような事態に対応する為、被測定溶液中における所望の含有成分を濃縮することが可能な媒体に、被測定溶液を滴下して測定する前処理操作手法がある。そして、当該前処理操作に要する時間は、数分間から数10分間程度なので非常に簡便である(非文献特許1参照)。

先行技術

0006

中井編集、「蛍光X線分析の実際」、書店発行初版第7刷、2011年1月30日、p.72−74

発明が解決しようとする課題

0007

前述した、被測定溶液中における所望の含有成分を濃縮することが可能な媒体に、被測定溶液を滴下して測定する前処理操作手法について、本発明者は詳細な検討を行った。
その結果、媒体に被測定溶液を滴下する量は、数十μL程度の少量しか滴下することができないので、一般的にプッシュボタン式液体用量体積計(本発明において「マイクロピペット」と記載する場合がある。)を使用して被測定溶液の一定容量分取することとなる。しかし、作業者のマイクロピペットの操作習熟度未熟な場合には、分取誤差が大きくなり、結果として正確な測定が行えない可能性があることを知見した。
そして例えば、被測定溶液がそのまま最終製品であるような、厳密な濃度管理が必要となる場合は、前述のような分取誤差が原因となって正確な測定が行えず、厳密な品質管理が行えない可能性があることを知見したものである。

0008

一方、近年のエレクトロニクス技術等の進歩により、これらの業界において素材原料として用いられる各種溶液への品質要求は高度化、厳密化している。その一方で、生産グローバル化に伴い、当該各種溶液への生産コストダウンの要求も厳しいものがある。
当該状況の下で、被測定溶液中の所望の含有成分の含有量を、ばらつきが小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定する方法の開発の必要がある。
本発明はこのような状況を解決するためになされたものであり、被測定溶液中の所望の含有成分の含有量を、ばらつきを小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定する方法の提供を課題とするものである。

課題を解決するための手段

0009

上述の課題を解決する為、本発明者は鋭意研究を行った。
そして、XRFによる被測定溶液中の含有成分の測定方法と、被測定溶液中に含有されない成分であってその添加量が正確に測定されている成分(本発明において「内部標準成分」と記載する場合がある。)を当該被測定溶液中に添加して混合溶液とし、XRFにより当該混合溶液中における含有成分および内部標準成分の濃度を測定する方法とを、組み合わせる構成に想到し本発明を完成した。

0010

即ち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を、蛍光X線分析装置を用いて定量分析する方法であって、
前記被測定対象の溶液の密度を測定する操作と、
前記被測定対象の溶液を量する操作と、
前記秤量された被測定対象の溶液へ、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分として添加して混合溶液とし、当該内部標準成分の添加量を秤量する操作と、
前記混合溶液をそのまま、または、所望の割合で希釈した後、蛍光X線分析装置へ装填する操作と、
前記蛍光X線分析装置を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との強度比を求め、予め作成した、前記所定成分と前記内部標準成分との強度比と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比との検量線を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との濃度比を求める操作と、
前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を求めることを特徴とする蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法である。
第2の発明は、
前記所定成分がNi、Co、Mnから選択される1種以上の成分であることを特徴とする第1の発明に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法である。
第3の発明は、
前記内部標準成分がCuであることを特徴とする第2の発明に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法である。
第4の発明は、
前記混合溶液をそのまま、または、所望の割合で希釈した後、蛍光X線分析装置へ装填する際、
当該混合溶液の定量を媒体中にて乾燥した後、当該媒体と伴に蛍光X線分析装置へ装填することを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法である。
第5の発明は、
前記混合溶液の定量を乾燥させる媒体として、ろ紙を用いることを特徴とする第4の発明に記載の蛍光X線分析装置を用いた定量分析方法である。

発明の効果

0011

本発明によれば、被測定溶液中の所定の含有成分の含有量を、ばらつきが小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定することができる。

図面の簡単な説明

0012

実施例1に係る検量線の一例である。
比較例1に係る検量線の一例である。

0013

本発明は、被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度を、XRFを用いて定量分析する方法である。
具体的には、被測定対象の溶液へ、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分として添加して混合溶液とし、前記混合溶液をXRFへ装填する。そして、当該XRFを用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との強度比を求め、予め作成した、前記所定成分と前記内部標準成分との強度比と、前記所定成分と前記内部標準成分との濃度比との検量線を用いて、前記所定成分と、前記内部標準成分との濃度比を求める。そして、当該濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度(体積分率)を求める定量分析方法である。
以下、(1)被測定対象の溶液中に含有される所定成分、(2)内部標準成分、(3)混合溶液の調製、(4)混合溶液のXRFへの装填、(5)検量線とその作成、(6)所定成分の濃度測定、(7)本発明の効果確認試験の順に説明する。

0014

(1)被測定対象の溶液中に含有される所定成分
被測定対象の溶液中に含有される所定成分としては、実用的にはNa(Z=11)以上の原子番号を持つ元素であれば良い。
勿論、本発明は、被測定溶液中に含有される所定成分が、それぞれのXRFによる測定強度が同じような挙動でばらつき、かつ、十分な測定感度が得られるものであれば、Ni,Co,Mn以外の成分へ適用可能である。

0015

(2)内部標準成分
内部標準成分としては、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を選択する。例えば所定成分として、Ni、Co、Mn含有する被測定溶液に対する内部標準成分であれば、例えばCuを選択することができる。勿論、Cu以外の成分を内部標準成分として測定することも可能である。

0016

(3)混合溶液の調製
そして、秤量された前記被測定対象の溶液へ、前記被測定対象の溶液中に含有されない成分を内部標準成分として添加して混合溶液を得る。ここで、本発明においては、当該混合溶液を得るまでの操作において、液体容量測定操作を行わず、液体重量粉体重量を秤量操作で行うものである。
これは、上述したように、被測定溶液の一定容量を分取するような操作において、作業者のマイクロピペットの操作習熟度が未熟な場合には、分取誤差が大きくなり、結果として正確な測定が行えない可能性があるからである。これに対し、液体重量、粉体重量を秤量する操作であれば、誤差が小さく厳密な管理が、容易に可能になることを知見したことによる。

0017

さらに、本発明においては、上記混合溶液の段階において、被測定対象の溶液中に含有される所定成分と内部標準成分との比率が、厳密に決定出来ている。そこで、当該混合溶液を、液体容量の測定操作等の方法で取り扱ったとしても、所定成分と内部標準成分との比率自体は保持されるので、測定精度を低下させることなく、液体容量の測定操作等の方法をもって当該混合溶液を取り扱うことが出来る。

0018

(4)混合溶液のXRFへの装填
そこで、当該混合溶液をXRFに装填する際、当該混合溶液の所定容量をそのまま、または、所望の割合で希釈した後、適宜な媒体中へ注ぎ、乾燥させて、当該媒体と伴にXRFへ装填することが出来る。当該XRFに装填された媒体中においても、前記所定成分と内部標準成分との比率自体は厳密に保たれているからである。尚、当該媒体としては、コストや操作性の観点から、ろ紙が好ましい。
前記希釈の比率は、混合溶液中に含有される所定成分と内部標準成分との濃度の値から、適宜、決定すれば良い。
前記XRFより、混合溶液中に含有される所定成分と内部標準成分とのX線の強度比が測定される。

0019

(5)検量線とその作成
一方、予め、混合溶液中に含有される所定成分と内部標準成分とにおける、濃度比とX線の強度比との検量線を作成しておく。
勿論、当該検量線を作成する為の標準試料調製操作においても、液体容量の測定操作を行わず、液体重量、粉体重量を秤量操作で行って、調製することが好ましい。
以上の操作により、精度の高い検量線を作成することが出来る。

0020

(6)所定成分の濃度測定
前記XRFより測定された、混合溶液中に含有される所定成分と内部標準成分とのX線の強度比と、前記予め作成された検量線とから、所定成分と内部標準成分との濃度比を求める。
ここで、内部標準成分の濃度は既知量であることから、当該所定成分と前記内部標準成分との濃度比と、前記被測定対象の溶液の密度とから、前記被測定対象の溶液中に含有される所定成分の濃度(体積分率)を求めることが出来る。

0021

(7)本発明の効果確認試験
Ni,Co,Mnを含有している被測定溶液の一定量を秤量することで、正確な重量で秤取った。次に、内部標準成分として、Cu溶液の一定量を秤量することで、正確な重量で秤取った。次に、純水の一定量容量を加え混合溶液を得た。
当該混合溶液を、5枚のろ紙にそれぞれ一定量滴下し、当該ろ紙を乾燥させた。当該5枚のろ紙をそれぞれXRFに装填し、Ni,Co,MnおよびCuの強度を測定した。
表1にNiとCu、表2にCoとCu、表3にMnとCuのXRFによる測定結果を示す。

0022

0023

表1〜3の結果より、Ni,Co,MnおよびCuの、それぞれの蛍光X線強度相対標準偏差(以下、「RSD」と記載する場合がある。)は、2.2〜2.3%程度と大きなばらつきが見られた。しかし、前記4成分の蛍光X線強度は、同様の挙動をもって変動している。この結果、NiとCu、CoとCu、MnとCuにおける、それぞれの蛍光X線強度比のRSDは0.1〜0.5%程度と、ばらつきが大幅に小さくなった。

0024

以上の結果から、XRFによる被測定溶液中の含有成分の測定において、被測定溶液へ内部標準成分を添加して測定溶液を調製し、その被測定溶液中の含有成分および内部標準成分の強度を測定して強度比を計算することと、含有成分を測定する被測定溶液および内部標準成分を重量として正確にはかり取ることにより、被測定溶液中の含有成分の含有量を、ばらつきが小さく高精度かつ、正確に低コストで測定することが出来ることが判明し、本発明の効果を確認することが出来た。

0025

つまり、本発明に係る構成によれば、
1)XRFで分析する、所望の含有成分を含む被測定溶液へ、その添加量が正確に測定されている内部標準成分を添加して混合溶液を調製し、当該混合溶液中における所望の含有成分と、内部標準成分との強度を測定、
2)所望の含有成分の測定強度と、内部標準成分の測定強度との比(本発明において「強度比」と記載する場合がある。)を計算、という手順をとる。
当該手順により、例え、XRFの測定環境等の変化に伴い、XRFの測定強度がばらついたとしても、含有成分と内部標準成分とは同様の挙動をもって、ばらつくことになる。従って、当該XRFの測定強度ばらつきに拘わらず、強度比は常に一定となる。この結果、ばらつきが小さく高精度かつ、正確な測定が可能となった。

0026

さらに、所定の含有成分を含む被測定溶液および内部標準成分を、容量ではなく、重量として秤量し、秤取ることにより、マイクロピペット等により被測定溶液を一定容量を分取する時に懸念される、作業者の操作習熟度が未熟であるために発生する可能性がある分取誤差の発生を防ぐことができた。
この結果、ばらつきが小さく高精度かつ、正確な測定が低コストで実施可能となった。

0027

以下、実施例および比較例を参照しながら、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。尚、使用したXRFはパナリティカル社製のアクオス密度計アントンパール社製のDMA4500である。
但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0028

[実施例1]
ポリスチレン製試験管へ、所定成分としてNi,Co,Mnを含有する被測定溶液0.5mLを精密天秤で0.1mgの桁まで正確に秤量して秤取った。
内部標準成分としてCuを選択し、前記ポリスチレン製試験管へ、Cu濃度が20g/Lの内部標準溶液1mLを精密天秤で0.1mgの桁まで正確に秤量して秤取った。
さらに、前記ポリスチレン製試験管へ、純水1mLをマイクロピペットで添加して密栓攪拌し混合溶液を得た。

0029

前記ポリスチレン製試験管内の混合溶液を、マイクロピペットで分取し5枚のろ紙へ、それぞれ20μLずつ滴下し、当該ろ紙を乾燥させた。
前記乾燥させたろ紙をXRFに装填し、Ni,Co,MnおよびCuのX線強度を測定した。そして、NiとCu、CoとCu、MnとCu、のそれぞれのX線強度比を計算した。

0030

前記NiとCu、CoとCu、MnとCuのそれぞれのX線強度比と、予め作成しておいた、NiとCuとにおけるX線強度比と濃度比との検量線、CoとCuとにおけるX線強度比と濃度比との検量線、MnとCuとにおけるX線強度比と濃度比との検量線と、別途に密度計により測定したNi,Co,Mnを含有する被測定溶液の密度値より、前記被測定溶液におけるNi,Co,Mnの各濃度(容量分率)を求めた。当該結果を表4に示す。

0031

上述した定量分析結果を検討する為、実施例1にて説明した被測定溶液に対し、従来の方法に係るICP/OESを用いて定量分析を行った。分析結果を表4に示す。

0032

0033

表4の結果より、本発明に係るXRFによる定量分析結果は、Ni,Co,Mn各濃度のRSDにおいて0.1%から0.5%程度とばらつきが小さく、且つ、従来の方法であるICP/OESによる分析値とよく一致した。
これは、被測定溶液中の含有成分であるNi,Co,Mnと、内部標準成分であるCuとの強度をXRFで測定する際、Ni,Co,MnおよびCuの各強度が、ばらつくことがあったとしても、前記4成分が同様の挙動をもってばらつくので、NiとCu、CoとCu、MnとCuとのそれぞれの強度比は、一定の値を保つからであると考えられる。
この結果、ばらつきが小さくかつ、従来の方法による分析値とよく一致する測定結果が得られた。
以上の結果より、本発明によれば、被測定溶液中の所定の含有成分の含有量を、ばらつきが小さく高精度かつ、正確に、低コストで測定出来ることが確認出来た。

0034

ここで、XRFにて測定された強度比から、各成分濃度(g/L)を求める計算の手順について、表4に示したろ紙1枚目Ni濃度(50.48g/L)を例に挙げて、以下に説明する(表4において*を付した。)。
まず、実施例1に係る測定内容と結果、計算内容と結果、および、略記号を表5に示す。

0035

0036

ここで、表5に示した濃度比CR1(Ni/Cu)=0.023863は、XRF測定用の検量線標準試料溶液を調製し、これをXRFにて測定して作成した検量線から求めたものである。
まず、濃度比CR1(Ni/Cu)の求め方を説明する。
予め、値付けされたXRF検量線用の標準溶液を、当該標準溶液中のNi濃度が段階的になるよう濃度を調整して、複数(本実施例においては、5点)のXRF測定用の検量線標準試料溶液を調製した。
XRFを用いて、当該XRF測定用の検量線標準試料溶液のNiおよびCuの強度を測定し、その強度比(Ni/Cu)を計算してその値をxとした。一方、予め、計算で求めたXRF測定用の検量線標準試料溶液中の濃度比(Ni/Cu)の値をyとした。
得られた複数のx、yの値をグラフプロットして検量線を作成し、y=ax+bの関係式を得た。得られた検量線の一例を図1に示す。

0037

ここで、表5に示した強度比IR1(Ni/Cu)をxとして、上記関係式(y=ax+b)に代入すると、y=a×IR1+bとなる。yは、濃度比CR1(Ni/Cu)に相当するので、これより濃度比CR1(Ni/Cu)=0.023863を計算で求めることができる。

0038

そして、
Ni濃度=CR1×IS1×(D1×1000)/S1
であることから、各数値を代入すると、
0.023863×1.0474×(1.3711×1000)/0.6789=
50.48
を求めることが出来る。
以下、同様に、各成分の濃度を計算することが出来る。

0039

尚、XRF測定用の検量線標準試料溶液の濃度比(Ni/Cu)は、以下の式より予め求めた。
(Ni/Cu)=(C2×S2)/(D2×1000)×(1/IS2)
但し、C2:標準試料溶液のNi濃度(g/L)
S2:標準試料溶液のはかり取り量(g)
IS2:内部標準溶液(Cu濃度:20g/L)のはかり取り量(g)
D2:標準試料溶液の密度(g/cm3)

0040

[比較例1]
実施例1と同様の被測定溶液へ内部標準成分を加えることなく、マイクロピペットで分定量採取し、ろ紙へ20μL滴下し、当該ろ紙を乾燥させた。
前記乾燥させたろ紙をXRFに装填し、Ni,Co,MnのX線強度を測定した。
そして、当該X線強度の測定値と、予め作成した検量線、および、別途、密度計により測定した被測定溶液の密度値より、Ni,Co,Mnの各濃度(容量分率)の定量分析を行った。分析結果を表6に示す。
さらに、表6にも、実施例1にて説明した従来の方法に係るICP/OESを用いて定量分析結果を記載した。

0041

0042

表6の結果より、Ni,Co,Mnそれぞれの濃度のRSDは2.8%から3.0%程度とばらつきが大きかった。また、従来の方法であるICP/OESによる分析値よりも低い測定値を示した。
これは、被測定溶液をマイクロピペットにより分取する際の、ばらつきや偏りによるものと考えられる。また、被測定溶液中に含有されるNi,Co,Mnの強度をXRFで測定した際における、強度のばらつきが、そのまま濃度のばらつきに反映された結果であると考えられる。

0043

ここで、XRFにて測定された強度(kcps)から、各成分濃度(g/L)を求める計算の手順について、表6に示したろ紙1枚目のNi濃度(49.96g/L)を例に挙げて、以下に説明する(表6において*を付した。)。
まず、比較例1に係る測定内容と結果、計算内容と結果、および、略記号を表7に示す。

0044

0045

まず、予め、値付けされたXRF検量線用の標準溶液を、当該標準溶液中のNi濃度が段階的になるよう濃度を調整して、複数(本比較例においては、5点)のXRF測定用の検量線標準試料溶液を調製した。
XRFを用いて、当該XRF測定用の検量線標準試料溶液のNi強度を測定し、得られた強度をxとした。一方、予め、計算で求めたXRF測定用の検量線標準試料溶液中のNi濃度の値をyとした。
得られた複数のx、yの値をグラフにプロットして検量線を作成し、y=ax+bの関係式を得た。得られた検量線の一例を図2に示す。

0046

ここで、表7に示したNiの測定強度I3をxとして前述の式(y=ax+b)に代入すると、y=a×I3+bとなる。一方、yはNiの濃度C3に相当するので、これよりNiの濃度C3=0.024737を計算で求めることができる。

0047

そして、
Ni濃度=C3×(D3×1000)/S3
であることから、各数値を代入すると、
0.024737×(1.3711×1000)/0.6789=49.96
を求めることが出来る。
以下、同様に、各成分の濃度を計算することが出来る。

実施例

0048

尚、XRF測定用の検量線標準試料溶液のNi濃度は、以下の式より予め求めた。
Ni濃度(g)=(C4×S4)/(D4×1000)
但し、C4:標準試料溶液のNi濃度(g/L)
S4:標準試料溶液のはかり取り量(g)
D4:標準試料溶液の密度(g/cm3)

0049

本発明は、被測定溶液の含有成分の濃度を、複雑な前処理をすることなく、迅速で、ばらつきが小さく高精度かつ、低コストで測定することができ、品質管理の向上に有益である。

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