図面 (/)

技術 インスリン抵抗性に関連するバイオマーカーおよびそれを使用する方法

出願人 メタボロン,インコーポレイテッド
発明者 ゴール、ウォルターロウトン、カイ、エイ.
出願日 2012年9月11日 (8年2ヶ月経過) 出願番号 2014-530734
公開日 2014年12月4日 (5年11ヶ月経過) 公開番号 2014-532168
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 非環式または炭素環式化合物含有医薬 酵素、微生物を含む測定、試験 その他の電気的手段による材料の調査、分析 微生物、その培養処理 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 弱溶媒 負相関 確率曲線 加重線 キログラム単位 逆勾配 非活動的 確定可能
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年12月4日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題・解決手段

膵ベータ細胞機能、膵ベータ細胞グルコース感受性インスリン抵抗性、および/または膵ベータ細胞関連障害に関するバイオマーカーが提供される。同じバイオマーカーに基づいた方法も提供される。

概要

背景

糖尿病は、1型早期発症)または2型成人発症)のいずれかに分類され、2型は、糖尿病の症例の90〜95%を構成する。糖尿病は、疾患プロセスにおける最終段階であり、糖尿病の診断がなされるかなり前から個体に影響を及ぼし始める。2型糖尿病は、10〜20年をかけて発症し、インスリンに対する感受性障害インスリン抵抗性)によるグルコース利用能力(グルコース利用末梢組織へのグルコース取込み)の障害に起因する。

さらに、インスリン抵抗性は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、心臓血管病代謝症候群、および高血圧症等の多くの異なる疾患および状態の発症に中心的役割を果たす。

前糖尿病において、インスリンが、組織グルコースを代謝するのを助ける効果を
低下させる。前糖尿病は、糖尿病の症候が明らかになる20年も前に検出可能であり得る。研究は、患者が明らかな症候をほとんど示さなくても、長期的な生理的損傷がこの段階で既に発生していることを示している。これらの個体の60%までが、10年以内に2型糖尿病に進行する。

米国糖尿病学会(ADA)は、前糖尿病を有する患者を検出するためのルーチンスクリーニング推奨してきた。前糖尿病に対する現行スクリーニング法としては、空腹時血漿グルコースFPG)試験、経口グルコース負荷試験(OGTT)、空腹時インスリン試験、および高インスリン正常血糖クランプ(HIクランプ)が挙げられる。最初の2つの試験は臨床的に使用されているのに対して、後者の2つの試験は、研究で広く使用されているが、臨床ではほとんど使用されていない。さらに、空腹時グルコースベルおよびインスリンレベルをともに考慮する数学的手段(例えば、HOMA、QUICKI)が提案されている。しかしながら、正常な血漿インスリン濃度は、個体間でかなり変化するとともに、個体の中で1日を通じて大きく変動する。さらに、これらの方法は、実験室間でばらつきおよび手法の差異があり、HIクランプ試験と厳密には相関していない。

世界中で、推定1億9400万人の成人が2型糖尿病を有しており、この数は、主として欧化社会における肥満蔓延により、2025年までに3億3300万人にまで増大することが予測される。米国では、5400万人を超える成人が前糖尿病であることが予測される。米国では2型糖尿病の新たな症例が1年間に約150万件ある。糖尿病のための年間の米国の医療費は、1740億ドルと推定される。この数字は、2002年から32%を超える割合で上昇している。米国等の工業国では、医療保険支出の約25%が血糖コントロールに向けられ、50%が糖尿病に関連する全般的医療に関連し、費用の残りの25%が長期的な併発症の治療、主として心臓血管病の治療に回される。医療費の分配、ならびにインスリン抵抗性が心臓血管病および糖尿病の進行における直接的な原因であるという事実を考慮すれば、心臓血管病が糖尿病患者に認められる死亡の70〜80%を占めることは、意外なことではない。2型糖尿病の検出および予防は、健康管理の主要な優先事項である。

糖尿病は、他の疾患もしくは状態の発症をも招き得る、あるいは代謝症候群および心臓血管病等の状態の発症におけるリスク因子である。代謝症候群は、個体における一群のリスク因子の集合である。米国心臓学会によれば、これらのリスク因子としては、腹部肥満、グルコースを適正に処理する能力の低下(インスリン抵抗性またはグルコース不耐性)、異脂肪血症(高トリグリセリド、高LDL、低HDLコレステロール)、高血圧症、血栓形成促進状態(血液中の高フィブリノーゲンまたはプラスミノーゲン活性阻害剤−1)および炎症誘発状態(血液中のC反応性タンパク質の増加)が挙げられる。代謝症候群はまた、X症候群インスリン抵抗性症候群肥満症候群、代謝異常症候群、およびリーベン症候群としても知られる。代謝症候群と診断された患者は、糖尿病、心臓病、および血管病を発症させるリスクが高い。米国では、成人の20%(>5000万人)が代謝症候群を有すると推定される。これは、あらゆる年齢のあらゆる個人に影響を及ぼし得るが、その発生率は、年齢の増加とともに、また非活動的であり、特に腹部脂肪過度の有意に過体重である個体において高くなる。

2型糖尿病が米国における糖尿病の最も一般的な形態である。米国糖尿病基金によれば、米国糖尿病患者の90%を超える患者が2型糖尿病を患っている。2型糖尿病を有する個体は、インスリン抵抗性の増加およびインスリン分泌の減少が併発し、一緒になって高血糖症を引き起こす。2型糖尿病に罹患しているほとんどの個人が、代謝症候群を有する。

代謝症候群の診断は、個体における3つ以上のリスク因子の集合に基づく。様々な医療機関が代謝症候群に対する定義を有している。現行では、若干の改正を伴う、米国コレステロール教育プログラムNCEP)成人治療ガイドIII(ATPIII)によって提案された基準が推奨され、米国で広く使用されている。

アメリカ心臓協会および国立心肺血液研究所は、代謝症候群を、腹囲の増加(男性−40インチ(102cm)以上、女性−35インチ(88cm)以上、トリグリセリドの増加(150mg/dL以上)、HDL(「良性」)コレステロールの減少(男性−40mg/dL未満、女性−50mg/dL未満)、血圧の上昇(130/85mmHg以上)、空腹時グルコースの増加(100mg/dL以上)の要素のうちの3つ以上の要素の存在で特定することを推奨している。

2型糖尿病は徐々に発症し、人は、別の状態に対して、または日常的な検査の一部として実施された血液検査を通じて、2型糖尿病に罹患していることを初めて知ることが多い。場合によっては、目、腎臓、または他の器官に対する損傷が発生するまで、2型糖尿病を検出することができない。代謝症候群または2型糖尿病を発症するリスクがある個体を特定するために、一次医療提供者によって実施することができる客観的生化学的評価(例えば実験室での検査)の必要性が存在する。

前糖尿病および糖尿病の罹患率が世界的な流行率で増大しているため、機能的ベータ細胞集団を評価し、監視することを含む、前糖尿病および糖尿病への病態生理的進行のメカニズムを反映する、より新しく、より進歩的分子診断が必要とされる。肥満の蔓延を反映して、前糖尿病および糖尿病は概ね予防可能であるが、臨床的疾患への進行の無症候性性質により、診断されないか、または診断されるのが遅すぎることが多い。疾患が進行するにつれて、ベータ細胞機能は、減退する。

インスリン抵抗性は、多くの疾患の発症に中心的な役割を果たすが、前糖尿病状態に対する臨床的測定の多くを用いても容易に検出可能ではない。インスリン抵抗性は、高血糖症の発症の前に発症し、インスリンの生成の増加に関連する。長期間(数10年間)にわたってインスリンに応答する細胞の能力が低下し、対象は、インスリンの作用に対して抵抗性(即ち、インスリン抵抗性、IR)を持つようになる。結局、膵臓のベータ細胞は、インスリン感受性の低下を補償するのに十分なインスリンを生成することができず、ベータ細胞は機能を失い始めて、アポトーシスが誘発される。前糖尿病の対象では、ベータ細胞機能が80%も低下し得る。ベータ細胞機能障害が大きくなると、インスリンの生成量が減少して、糖尿病の対象におけるインスリン値の低下およびグルコース値の増加がもたらされる。血管損傷は、インスリン抵抗の増大および2型糖尿病の発症に関連する。(ベータ細胞増殖および分化活性化し、ベータ細胞アポトーシスを阻害することによって)インスリン要求にベータ細胞集団を適合させるための、膵ベータ細胞の能力の低下、そして最終的に不全は、結局、機能的ベータ細胞集団の減少につながる。ベータ細胞機能の減少の早期検出は、疾患の進行を遅延させるであろうより早い治療的介入(薬物、生活様式の変化等)を促進することができ、十分早期から介入される場合、機能的ベータ細胞集団を回復させることができる。

現行の方法は、定常状態のベータ細胞機能を正常な基準集団パーセンテージとして推定する。しかしながら、これらの測定は良好に対応するが、高インスリン血症クランプ、高血圧症クランプ、静脈内グルコース負荷試験、または経口グルコース負荷試験等の刺激モデルから生じるベータ細胞機能の非定常状態と同等ではない。HOMA(恒常性評価モデル)等のベータ細胞機能を推定する数学的モデルを用いる他の方法が開発されている。この等式は、広く使用されてはいるが、現在利用可能なインスリンアッセイと共に使用するには適切ではない。次いで、迅速かつ容易なHOMA計算機利用可能となった。HOMA計算機は、ベータ細胞機能のモデル由来推定値を用いることを望む研究者に迅速かつ容易な方法を提供する一方、これは、依然として、ベータ細胞機能を評価し、監視するのに十分でない間接的な推定値である。さらに、機能的ベータ細胞集団の維持を促進する治療剤の開発が、2型糖尿病および関連疾患を予防し、管理するために必要である。

したがって、膵ベータ細胞機能障害を特定し、膵ベータ細胞集団の機能障害を有する対象における疾患進行のリスクを決定することができる診断的バイオマーカーおよび試験に対する必要性が満たされていない。ベータ細胞機能のバイオマーカーおよび診断試験は、前糖尿病の対象における糖尿病の発症のリスクをより良好に特定および決定することができ、疾患の発症ならびに進行および/または退行を監視することができ、新たな治療処置を開発することを可能にし、機能的膵ベータ細胞集団を維持し、それによって、2型糖尿病の予防もしくは逆転および/または関連疾患の予防に関する効力について治療剤を試験するために使用することができる。さらに、前糖尿病および糖尿病の治療的候補の効力および安全性をより有効に評価するための診断的バイオマーカーに対する必要性がある。

概要

膵ベータ細胞機能、膵ベータ細胞グルコース感受性、インスリン抵抗性、および/または膵ベータ細胞関連障害に関するバイオマーカーが提供される。同じバイオマーカーに基づいた方法も提供される。

目的

HOMA計算機は、ベータ細胞機能のモデル由来の推定値を用いることを望む研究者に迅速かつ容易な方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

対象における膵ベータ細胞機能を評価するための方法であって、前記対象からの生体サンプル分析して、表4から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル複数可)を決定することと、前記1つ以上のバイオマーカーのレベルを決定することと、前記対象における膵ベータ細胞機能を評価するために、前記サンプル中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの機能的膵ベータ細胞の基準レベルと比較することと、を含む、方法。

請求項2

前記1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩およびリノレオイルリゾホスファチジルコリン(L−GPC)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩および/またはリノレオイルリゾホスファチジルコリンを含む、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記対象は、正常な膵ベータ細胞機能を有するものか、または障害のある膵ベータ細胞機能を有するものとして分類することができる、請求項1に記載の方法。

請求項5

膵ベータ細胞機能障害の進行または退行監視する方法であって、対象からの生体サンプルを分析して、表4から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、前記1つ以上のバイオマーカーのレベルを決定することと、前記対象における膵ベータ細胞機能障害の進行または退行を監視するために、前記サンプル中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの膵ベータ細胞機能障害の進行および/または膵ベータ細胞機能障害の退行の基準レベルと比較することと、を含む、方法。

請求項6

前記1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩およびリノレオイルリゾホスファチジルコリン(L−LPC)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。

請求項7

前記1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩および/またはリノレオイルリゾホスファチジルコリンを含む、請求項5に記載の方法。

請求項8

前記対象におけるベータ細胞機能の評価に基づいて臨床試験および/または治療のために対象を特定する方法であって、対象からの生体サンプルを分析して、表4から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、前記1つ以上のバイオマーカーのレベルを決定することと、ベータ細胞機能の評価に基づいて臨床試験および/または治療のために対象を特定するために、前記サンプル中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの膵ベータ細胞機能障害陽性および/または膵ベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと比較することと、を含む、方法。

請求項9

ベータ細胞機能障害に対するバイオマーカーを調節することにおける活性に関して、組成物スクリーニングする方法であって、1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、前記1つ以上の細胞の少なくとも一部、または前記1つ以上の細胞と関連する生体サンプルを分析して、表4に提供されるバイオマーカーから選択されるベータ細胞機能障害の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害陽性およびベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと比較して、前記組成物が前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を調節したかどうかを決定することと、を含む、方法。

請求項10

前記1つ以上のバイオマーカーは、2−HBおよび/またはL−LPCを含む、請求項9に記載の方法。

請求項11

ベータ細胞機能障害のための治療剤としてL−LPC/L−GPCを使用する方法であって、ベータ細胞機能障害を有する対象に、有効量のL−LPCを投与することを含む、方法。

請求項12

L−LPCに加えて、ベータ細胞機能障害を有しない対象と比較して、ベータ細胞機能障害を有する対象において減少する表4からの1つ以上のさらなるバイオマーカーを投与することをさらに含む、請求項9に記載の方法。

請求項13

対象が障害のある膵ベータ細胞機能を有する確率を決定するための方法が提供され、対象からの生体サンプルを得ることと、前記対象からの前記生体サンプルを分析して、表4から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、前記サンプル中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの膵ベータ細胞基準レベルと比較することによって、前記対象における前記膵ベータ細胞機能を予測することと、前記予測された膵ベータ細胞機能を、前記1つ以上のマーカーに基づく膵ベータ細胞機能に対するアルゴリズムと比較することと、前記対象が膵ベータ細胞機能を含む確率を決定し、それによって、膵ベータ細胞機能スコアを生成することと、を含む、方法。

請求項14

前記1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩、リノレオイルリゾホスファチジルコリン、デカノイルカルニチンオクタノイルカルニチン、3−ヒドロキシ酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸アルギニンベタインクレアチンドコサテトラエン酸グルタミン酸グリシンリノール酸リノレン酸マルガリン酸オレイン酸オレオイルリゾホスファチジルコリン、パルミテートパルミトレイン酸パルミトイルリゾホスファチジルコリン、セリンステアレートトレオニントリプトファンガンマグルタミルロイシン、グルタミル−バリンステアロイルリゾ−GPC、10−ヘプタデセン酸、および1,5−アンヒドログルシトールからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩および/またはリノレオイルリゾホスファチジルコリンを含む、請求項13に記載の方法。

請求項16

治療的介入応答した膵ベータ細胞機能障害の進行または退行を監視する方法であって、対象からの生体サンプルを分析して、表4から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、前記1つ以上のバイオマーカーのレベルを決定することと、前記対象に治療処置を施すことと、治療的介入に応答した前記対象における膵ベータ細胞機能障害の進行または退行を監視するために、前記サンプル中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの膵ベータ細胞機能障害の進行および/または膵ベータ細胞機能障害の退行の基準レベルと比較することと、を含む、方法。

請求項17

前記1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩および/またはリノレオイルリゾホスファチジルコリンを含む、請求項16に記載の方法。

請求項18

前記治療的介入は、外科的介入薬物治療介入、およびライフスタイルの介入からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、一般には、膵ベータ細胞機能、2型糖尿病、およびインスリン抵抗性関連疾患に関連するバイオマーカー、ならびにそのバイオマーカーに基づく方法に関する。

背景技術

0002

糖尿病は、1型早期発症)または2型(成人発症)のいずれかに分類され、2型は、糖尿病の症例の90〜95%を構成する。糖尿病は、疾患プロセスにおける最終段階であり、糖尿病の診断がなされるかなり前から個体に影響を及ぼし始める。2型糖尿病は、10〜20年をかけて発症し、インスリンに対する感受性障害(インスリン抵抗性)によるグルコース利用能力(グルコース利用末梢組織へのグルコース取込み)の障害に起因する。

0003

さらに、インスリン抵抗性は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、心臓血管病代謝症候群、および高血圧症等の多くの異なる疾患および状態の発症に中心的役割を果たす。

0004

前糖尿病において、インスリンが、組織グルコースを代謝するのを助ける効果を
低下させる。前糖尿病は、糖尿病の症候が明らかになる20年も前に検出可能であり得る。研究は、患者が明らかな症候をほとんど示さなくても、長期的な生理的損傷がこの段階で既に発生していることを示している。これらの個体の60%までが、10年以内に2型糖尿病に進行する。

0005

米国糖尿病学会(ADA)は、前糖尿病を有する患者を検出するためのルーチンスクリーニング推奨してきた。前糖尿病に対する現行スクリーニング法としては、空腹時血漿グルコースFPG)試験、経口グルコース負荷試験(OGTT)、空腹時インスリン試験、および高インスリン正常血糖クランプ(HIクランプ)が挙げられる。最初の2つの試験は臨床的に使用されているのに対して、後者の2つの試験は、研究で広く使用されているが、臨床ではほとんど使用されていない。さらに、空腹時グルコースベルおよびインスリンレベルをともに考慮する数学的手段(例えば、HOMA、QUICKI)が提案されている。しかしながら、正常な血漿インスリン濃度は、個体間でかなり変化するとともに、個体の中で1日を通じて大きく変動する。さらに、これらの方法は、実験室間でばらつきおよび手法の差異があり、HIクランプ試験と厳密には相関していない。

0006

世界中で、推定1億9400万人の成人が2型糖尿病を有しており、この数は、主として欧化社会における肥満蔓延により、2025年までに3億3300万人にまで増大することが予測される。米国では、5400万人を超える成人が前糖尿病であることが予測される。米国では2型糖尿病の新たな症例が1年間に約150万件ある。糖尿病のための年間の米国の医療費は、1740億ドルと推定される。この数字は、2002年から32%を超える割合で上昇している。米国等の工業国では、医療保険支出の約25%が血糖コントロールに向けられ、50%が糖尿病に関連する全般的医療に関連し、費用の残りの25%が長期的な併発症の治療、主として心臓血管病の治療に回される。医療費の分配、ならびにインスリン抵抗性が心臓血管病および糖尿病の進行における直接的な原因であるという事実を考慮すれば、心臓血管病が糖尿病患者に認められる死亡の70〜80%を占めることは、意外なことではない。2型糖尿病の検出および予防は、健康管理の主要な優先事項である。

0007

糖尿病は、他の疾患もしくは状態の発症をも招き得る、あるいは代謝症候群および心臓血管病等の状態の発症におけるリスク因子である。代謝症候群は、個体における一群のリスク因子の集合である。米国心臓学会によれば、これらのリスク因子としては、腹部肥満、グルコースを適正に処理する能力の低下(インスリン抵抗性またはグルコース不耐性)、異脂肪血症(高トリグリセリド、高LDL、低HDLコレステロール)、高血圧症、血栓形成促進状態(血液中の高フィブリノーゲンまたはプラスミノーゲン活性阻害剤−1)および炎症誘発状態(血液中のC反応性タンパク質の増加)が挙げられる。代謝症候群はまた、X症候群インスリン抵抗性症候群肥満症候群、代謝異常症候群、およびリーベン症候群としても知られる。代謝症候群と診断された患者は、糖尿病、心臓病、および血管病を発症させるリスクが高い。米国では、成人の20%(>5000万人)が代謝症候群を有すると推定される。これは、あらゆる年齢のあらゆる個人に影響を及ぼし得るが、その発生率は、年齢の増加とともに、また非活動的であり、特に腹部脂肪過度の有意に過体重である個体において高くなる。

0008

2型糖尿病が米国における糖尿病の最も一般的な形態である。米国糖尿病基金によれば、米国糖尿病患者の90%を超える患者が2型糖尿病を患っている。2型糖尿病を有する個体は、インスリン抵抗性の増加およびインスリン分泌の減少が併発し、一緒になって高血糖症を引き起こす。2型糖尿病に罹患しているほとんどの個人が、代謝症候群を有する。

0009

代謝症候群の診断は、個体における3つ以上のリスク因子の集合に基づく。様々な医療機関が代謝症候群に対する定義を有している。現行では、若干の改正を伴う、米国コレステロール教育プログラムNCEP)成人治療ガイドIII(ATPIII)によって提案された基準が推奨され、米国で広く使用されている。

0010

アメリカ心臓協会および国立心肺血液研究所は、代謝症候群を、腹囲の増加(男性−40インチ(102cm)以上、女性−35インチ(88cm)以上、トリグリセリドの増加(150mg/dL以上)、HDL(「良性」)コレステロールの減少(男性−40mg/dL未満、女性−50mg/dL未満)、血圧の上昇(130/85mmHg以上)、空腹時グルコースの増加(100mg/dL以上)の要素のうちの3つ以上の要素の存在で特定することを推奨している。

0011

2型糖尿病は徐々に発症し、人は、別の状態に対して、または日常的な検査の一部として実施された血液検査を通じて、2型糖尿病に罹患していることを初めて知ることが多い。場合によっては、目、腎臓、または他の器官に対する損傷が発生するまで、2型糖尿病を検出することができない。代謝症候群または2型糖尿病を発症するリスクがある個体を特定するために、一次医療提供者によって実施することができる客観的生化学的評価(例えば実験室での検査)の必要性が存在する。

0012

前糖尿病および糖尿病の罹患率が世界的な流行率で増大しているため、機能的ベータ細胞集団を評価し、監視することを含む、前糖尿病および糖尿病への病態生理的進行のメカニズムを反映する、より新しく、より進歩的分子診断が必要とされる。肥満の蔓延を反映して、前糖尿病および糖尿病は概ね予防可能であるが、臨床的疾患への進行の無症候性性質により、診断されないか、または診断されるのが遅すぎることが多い。疾患が進行するにつれて、ベータ細胞機能は、減退する。

0013

インスリン抵抗性は、多くの疾患の発症に中心的な役割を果たすが、前糖尿病状態に対する臨床的測定の多くを用いても容易に検出可能ではない。インスリン抵抗性は、高血糖症の発症の前に発症し、インスリンの生成の増加に関連する。長期間(数10年間)にわたってインスリンに応答する細胞の能力が低下し、対象は、インスリンの作用に対して抵抗性(即ち、インスリン抵抗性、IR)を持つようになる。結局、膵臓のベータ細胞は、インスリン感受性の低下を補償するのに十分なインスリンを生成することができず、ベータ細胞は機能を失い始めて、アポトーシスが誘発される。前糖尿病の対象では、ベータ細胞機能が80%も低下し得る。ベータ細胞機能障害が大きくなると、インスリンの生成量が減少して、糖尿病の対象におけるインスリン値の低下およびグルコース値の増加がもたらされる。血管損傷は、インスリン抵抗の増大および2型糖尿病の発症に関連する。(ベータ細胞増殖および分化活性化し、ベータ細胞アポトーシスを阻害することによって)インスリン要求にベータ細胞集団を適合させるための、膵ベータ細胞の能力の低下、そして最終的に不全は、結局、機能的ベータ細胞集団の減少につながる。ベータ細胞機能の減少の早期検出は、疾患の進行を遅延させるであろうより早い治療的介入(薬物、生活様式の変化等)を促進することができ、十分早期から介入される場合、機能的ベータ細胞集団を回復させることができる。

0014

現行の方法は、定常状態のベータ細胞機能を正常な基準集団パーセンテージとして推定する。しかしながら、これらの測定は良好に対応するが、高インスリン血症クランプ、高血圧症クランプ、静脈内グルコース負荷試験、または経口グルコース負荷試験等の刺激モデルから生じるベータ細胞機能の非定常状態と同等ではない。HOMA(恒常性評価モデル)等のベータ細胞機能を推定する数学的モデルを用いる他の方法が開発されている。この等式は、広く使用されてはいるが、現在利用可能なインスリンアッセイと共に使用するには適切ではない。次いで、迅速かつ容易なHOMA計算機利用可能となった。HOMA計算機は、ベータ細胞機能のモデル由来推定値を用いることを望む研究者に迅速かつ容易な方法を提供する一方、これは、依然として、ベータ細胞機能を評価し、監視するのに十分でない間接的な推定値である。さらに、機能的ベータ細胞集団の維持を促進する治療剤の開発が、2型糖尿病および関連疾患を予防し、管理するために必要である。

0015

したがって、膵ベータ細胞機能障害を特定し、膵ベータ細胞集団の機能障害を有する対象における疾患進行のリスクを決定することができる診断的バイオマーカーおよび試験に対する必要性が満たされていない。ベータ細胞機能のバイオマーカーおよび診断試験は、前糖尿病の対象における糖尿病の発症のリスクをより良好に特定および決定することができ、疾患の発症ならびに進行および/または退行を監視することができ、新たな治療処置を開発することを可能にし、機能的膵ベータ細胞集団を維持し、それによって、2型糖尿病の予防もしくは逆転および/または関連疾患の予防に関する効力について治療剤を試験するために使用することができる。さらに、前糖尿病および糖尿病の治療的候補の効力および安全性をより有効に評価するための診断的バイオマーカーに対する必要性がある。

0016

一実施形態において、対象における膵ベータ細胞機能を評価するための方法が提供され、対象からの生体サンプルを得ることと、対象からの生体サンプルを分析して、2−ヒドロキシ酪酸塩(本明細書では、α−ヒドロキシ酪酸塩、α−OH−酪酸塩、α−ヒドロキシ酪酸塩、AHB、2−HB、α−HBとも称される)、リノレオイルリゾホスファチジルコリン(本明細書では、リノレオイルグリセロリン酸コリン、リノレオイル−リゾ−GPC、リノレオイル−LPC、リノレオイルLPC、LGPC、L−GPC、L−LPCとも称される)、デカノイルカルニチンオクタノイルカルニチン、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸アルギニンベタインクレアチンドコサテトラエン酸グルタミン酸グリシンリノール酸リノレン酸マルガリン酸オレイン酸オレオイルリゾホスファチジルコリン、パルミテートパルミトレイン酸パルミトイルリゾホスファチジルコリン、セリンステアレートトレオニントリプトファンガンマグルタミルロイシン、グルタミル−バリンステアロイル−リゾ−GPC、10−ヘプタデセン酸、および1,5−アンヒドログルシトールからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象が十分な膵ベータ細胞機能を有するかどうかを評価するために、サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの機能的膵ベータ細胞基準レベルと比較することと、を含む。本発明の一態様において、1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩およびリノレオイルリゾホスファチジルコリンからなる群から選択される。この態様において、正常なベータ細胞レベルと比較して2−ヒドロキシ酪酸塩のより高いまたは上昇レベルは、ベータ細胞機能障害を示し、正常なベータ細胞レベルと比較してリノレオイルリゾホスファチジルコリンのより低いまたは減少レベルは、ベータ細胞機能障害を示す。

0017

さらに別の実施形態において、膵臓の進行または退行を監視する方法。別の実施形態において、正常な膵ベータ細胞機能を有するものか、または障害のある膵ベータ細胞機能を有するものとして対象を分類する方法が提供され、対象からの生体サンプルを分析して、2−ヒドロキシ酪酸塩、リノレオイルリゾホスファチジルコリン、デカノイルカルニチン、オクタノイルカルニチン、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸、アルギニン、ベタイン、クレアチン、ドコサテトラエン酸、グルタミン酸、グリシン、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、オレイン酸、オレオイルリゾホスファチジルコリン、パルミテート、パルミトレイン酸、パルミトイルリゾホスファチジルコリン、セリン、ステアレート、トレオニン、トリプトファン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、グルタミル−バリン、ステアロイル−リゾ−GPC、10−ヘプタデセン酸、および1,5−アンヒドログルシトールからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、膵ベータ細胞機能を有するものか、または障害のある膵ベータ細胞機能を有するものとして対象を分類するために、サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能の基準レベルと比較することと、を含む。本発明の一態様において、1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩およびリノレオイルリゾホスファチジルコリンからなる群から選択される。この態様において、正常なベータ細胞レベルと比較して2−ヒドロキシ酪酸塩のより高いまたは上昇したレベルは、ベータ細胞機能障害を示し、正常なベータ細胞レベルと比較してリノレオイルリゾホスファチジルコリンのより低いまたは減少したレベルは、障害のあるベータ細胞機能を示し、正常なベータ細胞レベルと比較して2−ヒドロキシ酪酸塩の同様のレベルは、正常な膵ベータ細胞機能を示し、正常なベータ細胞レベルと比較してリノレオイルリゾホスファチジルコリンの同様のレベルは、正常な膵ベータ細胞機能を示す。

0018

さらに別の実施形態において、対象における膵ベータ細胞機能の進行または退行を監視する方法が提供され、対象からの生体サンプルを分析して、2−ヒドロキシ酪酸塩、リノレオイルリゾホスファチジルコリン、デカノイルカルニチン、オクタノイルカルニチン、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸、アルギニン、ベタイン、クレアチン、ドコサテトラエン酸、グルタミン酸、グリシン、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、オレイン酸、オレオイルリゾホスファチジルコリン、パルミテート、パルミトレイン酸、パルミトイルリゾホスファチジルコリン、セリン、ステアレート、トレオニン、トリプトファン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、グルタミル−バリン、ステアロイル−リゾ−GPC、10−ヘプタデセン酸、および1,5−アンヒドログルシトールからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象における膵ベータ細胞機能の進行または退行を監視するために、サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膵ベータ細胞機能の進行および/または膵ベータ細胞の退行の基準レベルと比較することと、を含む。本発明の一態様において、1つ以上のバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩およびリノレオイルリゾホスファチジルコリンからなる群から選択される。

0019

さらに別の実施形態において、膵ベータ細胞機能におけるインスリン抵抗性治療の効力を監視する方法が提供され、対象からの生体サンプルを分析して、2−ヒドロキシ酪酸塩、リノレオイルリゾホスファチジルコリン、デカノイルカルニチン、オクタノイルカルニチン、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸、アルギニン、ベタイン、クレアチン、ドコサテトラエン酸、グルタミン酸、グリシン、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、オレイン酸、オレオイルリゾホスファチジルコリン、パルミテート、パルミトレイン酸、パルミトイルリゾホスファチジルコリン、セリン、ステアレート、トレオニン、トリプトファン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、グルタミル−バリン、ステアロイル−リゾ−GPC、10−ヘプタデセン酸、および1,5−アンヒドログルシトールからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、インスリン抵抗性に対して対象を治療することと、対象からの第2の生体サンプルを分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することであって、第2のサンプルを治療後の第2の時点で対象から得る、決定することと、第1のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較して、膵ベータ細胞機能におけるインスリン抵抗性を治療するための治療の効力を評価することと、を含む。

0020

別の実施形態において、対象が障害のある膵ベータ細胞機能を有する確率を決定するための方法が提供され、対象からの生体サンプルを得ることと、対象からの生体サンプルを分析して、2−ヒドロキシ酪酸塩、リノレオイルリゾホスファチジルコリン、デカノイルカルニチン、オクタノイルカルニチン、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸、アルギニン、ベタイン、クレアチン、ドコサテトラエン酸、グルタミン酸、グリシン、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、オレイン酸、オレオイルリゾホスファチジルコリン、パルミテート、パルミトレイン酸、パルミトイルリゾホスファチジルコリン、セリン、ステアレート、トレオニン、トリプトファン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、グルタミル−バリン、ステアロイル−リゾ−GPC、10−ヘプタデセン酸、および1,5−アンヒドログルシトールからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの膵ベータ細胞の基準レベルと比較することによって、対象における膵ベータ細胞機能を予測することと、1つ以上のマーカーに基づいて予測された膵ベータ細胞機能を膵ベータ細胞機能に対するアルゴリズムと比較することと、対象が膵ベータ細胞機能を含む確率を決定し、それによって、膵ベータ細胞機能スコアを生成することと、を含む。

0021

さらに別の実施形態において、2−ヒドロキシ酪酸塩および/またはリノレオイルグリセロホスホコリンのレベルを調節することが可能な薬剤を特定する方法が提供され、第1の時点で対象からの膵ベータ細胞株を分析して、2−ヒドロキシ酪酸塩およびリノレオイルリゾホスファチジルコリンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、ベータ細胞株を試験薬剤と接触させることと、試験薬剤と接触させた後の時点である第2の時点で細胞株を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、第1の時点での細胞株中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の時点での細胞株中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較して、1つ以上のバイオマーカーのレベルを調節することが可能な薬剤を特定することと、を含む。

0022

さらなる実施形態において、インスリン抵抗性に対する一連の治療への対象の応答を監視するための方法が提供され、対象からの第1の生体サンプルを分析して、第1の時点で対象から得られた第1のサンプル中の2−ヒドロキシ酪酸塩、リノレオイルリゾホスファチジルコリンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、インスリン抵抗性に対して対象を治療することと、対象からの第2の生体サンプルを分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することであって、第2のサンプルを治療後の第2の時点で対象から得る、決定することと、1つ以上のバイオマーカーおよび1つ以上のバイオマーカーに基づく参照モデルのレベル(複数可)の決定されたレベルを用いて、インスリン抵抗性を治療するための治療の効力を評価することと、を含む。

0023

さらに別の実施形態において、機能的ベータ細胞集団を調節することが可能な薬剤を特定する方法が提供され、第1の時点での対象からの細胞株を分析して、2−ヒドロキシ酪酸塩、リノレオイルリゾホスファチジルコリン、デカノイルカルニチン、オクタノイルカルニチン、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸、アルギニン、ベタイン、クレアチン、ドコサテトラエン酸、グルタミン酸、グリシン、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、オレイン酸、オレオイルリゾホスファチジルコリン、パルミテート、パルミトレイン酸、パルミトイルリゾホスファチジルコリン、セリン、ステアレート、トレオニン、トリプトファン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、グルタミル−バリン、ステアロイル−リゾ−GPC、10−ヘプタデセン酸、および1,5−アンヒドログルシトールからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカー、ならびに/または1つ以上のバイオマーカーに関連する経路における1つ以上の生化学物質および/または代謝産物のレベル(複数可)を決定することと、細胞株を試験薬剤と接触させることと、第2の時点での細胞株を分析して、1つ以上のバイオマーカーならびに/または1つ以上のバイオマーカーに関連する経路における1つ以上の生化学物質および/または代謝産物のレベル(複数可)を決定することであって、第2の時点が試験薬剤と接触させた後の時間である、決定することと、第1の時点での細胞株中の1つ以上のバイオマーカーおよび/または生化学物質および/または代謝産物のレベル(複数可)を、第2の時点での細胞株中の1つ以上のバイオマーカーおよび/または生化学物質および/または代謝産物のレベル(複数可)と比較して、機能的ベータ細胞集団を調節することが可能な薬剤を特定することと、を含む。

0024

さらなる実施形態において、障害のあるベータ細胞機能を有する対象を治療する方法が提供され、対象に、2−ヒドロキシ酪酸塩、リノレオイルリゾホスファチジルコリン、デカノイルカルニチン、オクタノイルカルニチン、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸、アルギニン、ベタイン、クレアチン、ドコサテトラエン酸、グルタミン酸、グリシン、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、オレイン酸、オレオイルリゾホスファチジルコリン、パルミテート、パルミトレイン酸、パルミトイルリゾホスファチジルコリン、セリン、ステアレート、トレオニン、トリプトファン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、グルタミル−バリン、ステアロイル−リゾ−GPC、10−ヘプタデセン酸、および1,5−アンヒドログルシトールからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカー、ならびに/または1つ以上のバイオマーカーに関連する経路における1つ以上の生化学物質および/または代謝産物のレベル(複数可)を調節することが可能な治療剤を投与することを含む。

図面の簡単な説明

0025

ベースラインおよび治療的手術後の2つの時点でのバイオマーカー2−HBおよびL−GPCのレベル。
ラット膵ベータ細胞中のグルコース刺激インスリン放出における種々の量のリノレオイルGPC(上パネル)または2−ヒドロキシ酪酸塩(下パネル)の添加の効果。リノレオイルGPCの添加は、刺激性作用を有するが、一方、2−ヒドロキシ酪酸塩はインスリン放出に対する阻害作用を有する。

実施例

0026

本発明は、膵ベータ細胞機能と相関があるバイオマーカー、膵ベータ細胞障害の診断および/または診断を支援するための方法、膵ベータ細胞機能の進行/退行を監視する方法、膵ベータ細胞機能障害を治療するための治療および組成物の効力を評価する方法、膵ベータ細胞機能のバイオマーカーを調節する際の活性について組成物をスクリーニングする方法、膵ベータ細胞機能障害を治療する方法、膵ベータ細胞療法による治療のための対象を特定する方法、膵ベータ細胞療法の臨床試験に含めるための対象を特定する方法、ならびに膵ベータ細胞機能のバイオマーカーに基づく他の方法に関する。

0027

膵ベータ細胞機能を評価するための現行の血液検査は、機能的膵ベータ細胞集団の評価が不十分に行われるか、またはかなりの医学的手順を必要とする。

0028

一実施形態において、機能的ベータ細胞集団を評価するための単純な体液(例えば、血液、尿等)の検査に使用することができる代謝産物は、メタボローム解析を使用して特定される。そのようなバイオマーカーは、経口グルコース負荷試験(OGTT)を用いてベータ細胞グルコース感受性を判定することに基づく現行の方法と同様の、またはより良好なレベルで膵ベータ細胞機能と相関する。

0029

対象における膵ベータ細胞機能の変化の早期の検出を可能にするバイオマーカー(複数可)を特定するために独立した研究が行われた。本開示のバイオマーカーを使用して、対象におけるベータ細胞機能障害(「ベータ細胞スコア」)の進行、退行、または状態を示すスコアを提供することができる。このスコアは、バイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせに対する臨床的に有意に変化した基準レベルに基づくことができる。基準レベルは、アルゴリズムから算出するか、またはベータ細胞機能の障害に対する指数から計算することができ、報告書に示すことができる。ベータ細胞スコアは、対象を正常(グルコース感受性)から障害のある(グルコース非感受性)までの膵ベータ細胞機能の範囲内に据える、および/または対象が障害のある膵ベータ細胞機能を有する確率を決定するために使用することができる。疾患の進行または緩解を定期的な測定およびベータ細胞スコアの監視によって監視することができる。治療的介入に対する応答は、ベータ細胞スコアを監視することによって決定することができる。また、ベータ細胞スコアを使用して、薬物の効力を評価する、および/またはインスリン増感剤等のインスリン抵抗性療法により治療されるべき対象を特定する、あるいは臨床試験に含めるための対象を特定することもできる。

0030

しかしながら、本発明をさらに詳細に説明する前に、まず、以下の用語を定義する。

0031

定義:
「バイオマーカー」は、第2の表現型を有する(例えば、疾患を有しない)対象または対象の群からの生体サンプルと比較して、第1の表現型を有する(例えば、疾患を有する)対象または対象の群からの生体サンプルに差次的に存在する(即ち、増加または減少する)化合物、好ましくは代謝産物を指す。バイオマーカーは、あらゆるレベルで差次的に存在してもよいが、一般には、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、または少なくとも150%またはそれ以上高いレベルで存在するか、あるいは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%少なく存在し、または少なくとも100%(即ち存在しない)低いレベルで一般的に存在する。バイオマーカーは、好ましくは、統計的に有意であるレベル(例えば、ウェルシュのT検定またはウィルコクソン順位和検定を使用して判定された場合の0.05未満のp値および/または0.10未満のq値)で差次的に存在する。あるいは、バイオマーカーは、インスリン抵抗性、またはインスリン抵抗性の特定のレベルもしくは段階との相関を示す。可能な相関の範囲は、負(−)1と正(+)1の間である。負(−)1の結果は完全な負相関を指し、正(+)1は完全な正相関を指し、0は相関がないことを指す。「実質的な正相関」は、障害または臨床測定値(例えば、M、Rd)との+0.25から+1.0の相関を有するバイオマーカーを指し、一方、「実質的な負相関」は、所定の障害または臨床測定値との−0.25から−1.0の相関を指す。「有意な正相関」は、所定の障害または臨床測定値(例えば、M、Rd)との+0.5から+1.0の相関を有するバイオマーカーを指し、一方、「有意な負相関」は、所定の障害または臨床測定値との−0.5から−1.0の障害に対する相関を指す。

0032

1つ以上のバイオマーカーの「レベル」は、サンプル中のバイオマーカーの絶対もしくは相対量または濃度を指す。

0033

「ベータ細胞」、「β細胞」、または「膵ベータ細胞」は、膵臓中のランゲルハンス小島に位置する細胞型を生成するインスリンを指す。

0034

「サンプル」または「生体サンプル」または「標本」は、対象から単離された生体材料を意味する。生体サンプルは、所望のバイオマーカーを検出するのに好適な任意の生体材料を含むことができ、対象からの細胞および/または非細胞材料を含むことができる。サンプルを、例えば、脂肪組織大動脈組織、肝臓組織、血液、血漿唾液血清髄液胆嚢液、浸出液、または尿等の任意の好適な生体組織または体液から単離することができる。

0035

「対象」は、任意の動物を意味するが、好ましくは、例えば、ヒト、サル非ヒト霊長類、ラット、マウスウシイヌネコブタウマ、またはウサギ等の哺乳動物である。

0036

バイオマーカーの「基準レベル」は、特定の疾患状態、表現型、またはその欠如、ならびに疾患状態、表現型、またはその欠如の組み合わせを示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「陽性」基準レベルは、特定の疾患状態または表現型を示すレベルを意味する。バイオマーカーの「陰性」基準レベルは、特定の疾患状態または表現型の欠如を示すレベルを意味する。例えば、バイオマーカーの「ベータ細胞機能障害−陽性基準レベル」は、対象における膵ベータ細胞機能障害の陽性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味し、バイオマーカーの「ベータ細胞機能障害−陰性基準レベル」は、対象における障害のある膵ベータ細胞機能の陰性診断(即ち、ベータ細胞機能が正常であるか、または障害がない)を示すバイオマーカーのレベルを指す。別の例として、バイオマーカーの「ベータ細胞機能障害−進行−陽性基準レベル」は、対象における膵ベータ細胞機能障害の進行(即ち、ベータ細胞機能障害の悪化)を示すバイオマーカーのレベルを意味し、バイオマーカーの「ベータ細胞機能障害−退行−陽性基準レベル」は、膵ベータ細胞機能障害の退行(例えば、機能的ベータ細胞集団の再生)を示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「基準レベル」は、バイオマーカーの絶対もしくは相対量または濃度、バイオマーカーの存在または不在、バイオマーカーの量または濃度の範囲、バイオマーカーの最小および/もしくは最大量または濃度、バイオマーカーの平均量または濃度、および/またはバイオマーカーの中央値量もしくは濃度であり得、さらに、バイオマーカーの組み合わせの「基準レベル」は、2つ以上のバイオマーカーの、互いに対する絶対もしくは相対量または濃度の比であり得る。「基準レベル」は、集団から測定された1つ以上のバイオマーカーのレベルに基づき、基準曲線(例えば標準確率曲線)を作成するために適切な軸の上にプロットされた「標準曲線基準レベル」であってもよい。1つ以上の適切な対象における所望のバイオマーカーのレベルを測定することによって、特定の疾患状態、表現型、またはその欠如に対するバイオマーカーの適切な陽性および陰性基準レベルを決定することができ、そのような基準レベルを特定の対象の集団に合わせて調整することができる(例えば、ある特定の年齢の対象からのサンプル中のバイオマーカーレベルと、ある特定の年齢群における特定の疾患状態、表現型、またはその欠如に対する基準レベルとを比較することができるように基準レベルを同年齢化することができる)。標準曲線基準レベルを、特定の疾患状態、表現型、またはその欠如を有する対象の群の基準レベル(例えば既知のグルコース処理率)から、当該群からのサンプル中のそのようなバイオマーカーのレベルの一変量または多変量回帰分析、ロジスティック回帰分析、および線形回帰分析等の統計的分析を用いて決定することができる。そのような基準レベルを、生体サンプル中のバイオマーカーのレベルを測定するために使用される特定の技術(例えば、LC−MS、GC−MS、NMR酵素アッセイ等)に合わせて調整することもでき、バイオマーカーのレベルは、使用される特定の技術に応じて異なっていてもよい。

0037

「非バイオマーカー化合物」は、第2の表現型を有する(例えば、第1の疾患を有しない)対象または対象の群からの生体サンプルと比較して、第1の表現型を有する(例えば、第1の疾患を有する)対象または対象の群からの生体サンプルに差次的に存在しない化合物を意味する。しかしながら、そのような非バイオマーカー化合物は、第1の表現型(例えば、第1の疾患を有する)または第2の表現型(例えば、第1の疾患を有しない)と比較して、第3の表現型を有する(例えば、第2の疾患を有する)対象または対象の群からの生体サンプル中のバイオマーカーであってもよい。

0038

「代謝産物」または「小分子」は、細胞に存在する有機および無機分子を意味する。この用語は、大きなタンパク質(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、または10,000を超える分子量を有するタンパク質)、大きな核酸(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、または10,000を超える分子量を有する核酸)、または大きな多糖(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、または10,000を超える分子量を有する多糖)等の大きな巨大分子を含まない。細胞の小分子は、一般には、細胞質、またはミトコンドリア等の他の細胞小器官内溶液中に遊離した形で見出され、そこで、さらに代謝することができるか、または巨大分子と呼ばれる大分子を生成するために使用することができる中間体プールを形成する。「小分子」という用語は、食物由来エネルギー使用可能な形に変換する化学反応におけるシグナル伝達分子および中間体を含む。小分子の例としては、糖、脂肪酸アミノ酸ヌクレオチド細胞プロセスを通じて形成された中間体、および細胞内に見出される他の小分子が挙げられる。

0039

代謝プロファイル」または「小分子プロファイル」は、標的細胞、組織、器官、有機体、またはその断片(例えば細胞区画)内の小分子の完全または部分的目録を意味する。目録は、存在する小分子の量および/またはタイプを含むことができる。単一の技術または複数の異なる技術を使用して、「小分子プロファイル」を決定することができる。

0040

メタボローム」は、所定の生物体に存在するすべての小分子を意味する。

0041

「糖尿病」は、インスリン分泌もしくは作用、またはその両方の不良に起因する高血糖(グルコース)レベルによって特徴付けられる代謝疾患群を指す。

0042

「2型糖尿病」は、2つの主要タイプの糖尿病のうちの1つ、即ち膵臓のベータ細胞が、疾患の少なくとも早期においてインスリンを生成するが、身体の細胞がインスリンの作用に対して抵抗性であるため、身体がそれを効果的に使用できないタイプを指す。疾患の後期において、ベータ細胞は、インスリンの生成を停止し得る。2型糖尿病は、インスリン抵抗性糖尿病、非インスリン依存性糖尿病、および成人発症糖尿病としても知られている。

0043

「前糖尿病」は、グルコース利用の障害、空腹時グルコースレベルの異常または障害、耐糖能異常、インスリン感受性異常、およびインスリン抵抗性を含む、1つ以上の早期糖尿病関連状態を指す。

0044

「ベータ細胞機能障害」または「ベータ細胞機能不全(impairment)」または「ベータ細胞機能の障害」は、膵ベータ細胞が機能を失い、十分な量のインスリンを生成することができない状態を指す。ベータ細胞は、インスリンを貯蔵し、放出し、貯蔵されたインスリンを迅速に放出しつつ、血糖中でのスパイクに応答してさらにインスリンを同時に生成することによって、ベースラインのグルコースレベルを維持するときに肝臓を支援する機能を果たす。

0045

「グルコース感受性」は、貯蔵されたインスリンを放出し、さらにインスリンを生成することによって上昇した血中グルコースレベルに応答するベータ細胞の能力を指す。

0046

「インスリン抵抗性」は、細胞がインスリン(細胞へのグルコースの取込みを調節するホルモン)の作用に対して抵抗性を持つようになった場合、または生成されるインスリンの量が正常なグルコースレベルを維持するのに不十分である場合の状態を指す。細胞は、血液から筋肉および他の組織への糖グルコースの輸送を促進する際のインスリンの作用に応答する能力が低下する(即ち、インスリンに対する感受性が減少する)。結局、膵臓は、通常よりはるかに多いインスリンを生成し、細胞は抵抗性であり続ける。この抵抗性を克服するのに十分なインスリンが生成される限り、血中グルコースレベルは正常に保たれる。膵臓が持続できなくなると、血糖が上昇し始めて、糖尿病を招く。インスリン抵抗性は、正常(インスリン感受性)からインスリン抵抗性(IR)の範囲に及ぶ。

0047

「インスリン感受性」は、インスリンの作用に応答して、グルコースの取込みおよび利用を調節する細胞の能力を指す。インスリン感受性は、正常(インスリン感受性)からインスリン抵抗性(IR)の範囲に及ぶ。

0048

「膵ベータ細胞スコア」または「ベータ細胞スコア」は、対象が障害のある膵ベータ細胞機能を有する確率を医師が決定することを可能にする膵ベータ細胞のバイオマーカー(例えば、モデルおよび/またはアルゴリズムと共に)を用いて計算された予測されたグルコース感受性に基づいて、対象における障害のある膵ベータ細胞機能の進行の尺度である。

0049

「グルコース利用」は、筋肉および脂肪細胞による血液からのグルコースの吸収、ならびに細胞代謝のための糖の利用を指す。細胞へのグルコースの取込みは、インスリンによって刺激される。

0050

「Rd」は、グルコース利用の計量値であるグルコース処理率(グルコースの消滅の速度)を指す。グルコースが血液から消滅する速度(処理率)は、インスリンに応答する身体の能力(即ちインスリン感受性)の指標である。Rdを決定するためのいくつかの方法が存在し、高インスリン性正常血糖クランプは、「至適基準(gold standard)」の方法と見なされる。この技術では、一定量のインスリンを注入しながら、血糖を可変速度のグルコース注入の滴定によって所定のレベルに「クランプ」する。基本原理は、定常状態に達すると、当然、グルコース処理がグルコース出現と等しくなる。高インスリン血症時では、グルコース処理(Rd)は、主として、骨格筋へのグルコース取込みに起因し、グルコースの出現は、外来のグルコース注入速度と、肝臓グルコース出力の速度(HGO)との合計に等しい。試験の最後の30分間にわたるグルコース注入の速度がインスリン感受性を決定付ける。高レベルのグルコース(Rd=7.5mg/kg/分以上)が必要である場合は、患者はインスリン感受性である。必要なグルコースのレベルが非常に低いこと(Rd=4.0mg/kg/分以下)は、身体がインスリン作用に対して抵抗性であることを示す。必要なグルコースが4.0〜7.5mg/kg/分のレベルであること(Rd値が4.0mg/kg/分〜7.5mg/kg/分であること)は、決定的でなく、インスリンに対する感受性に障害があり、対象が、時にはインスリン抵抗性の徴候になり得る「耐糖能異常」を有し得ることを示唆する。

0051

「Mffm」および「Mwbm」は、クランプ試験の過去60分の間(定常状態)の平均グルコース注入速度として計算され、除脂肪体重(ffm)または全身体重(wbm)の1kg当たり毎分ミリグラムで表されるグルコース処理率(M)である。45umol/分/kg ffm未満のMffmを有する対象は、一般に、インスリン抵抗性であると見なされる。5.6mg/kg/分未満のMwbmを有する対象は、一般にインスリン抵抗性であると見なされる。

0052

「ジスグリセミア」は、血糖(即ちグルコース)調節の障害を指し、疾患に寄与する何らかの原因から異常な血中グルコースレベルをもたらす。正常値より高い血糖値を有する対象は、「高血糖症」と見なされ、正常値より低い血糖値を有する対象は、「低血糖症」と見なされる。

0053

「空腹時グルコース障害(IFG)」および「耐糖能異常(IGT)」は、「前糖尿病」の2つの臨床的定義である。IFGは、100〜125mg/dLの空腹時血中グルコース濃度で定義される。IGTは、140〜199mg/dLの摂食後(食後)血中グルコース濃度と定義される。IFGおよびIGTは、同じ前糖尿病集団を常に検出するわけではないことが知られている。それら2つの集団の間に約60%の重複が認められる。空腹時血漿グルコースレベルは、患者の膵ベータ細胞機能またはインスリン分泌を推定するより効率的な手段であるのに対して、摂食後グルコースレベルは、インスリン感受性または抵抗性のレベルの推定とより頻繁に関連付けられる。IGTは、IFGと比較して、より高比率の前糖尿病集団を特定することが知られている。IFG状態は、より低いインスリン分泌に関連するのに対して、IGT状態は、インスリン抵抗性とより強く関連付けられることが知られている。正常なFPG値を有するIGTの個体は心臓血管病のリスクが大きいことを実証する多くの研究が実施された。正常なFPG値を有する患者は、異常な食後グルコース値を有することがあり、前糖尿病、糖尿病、および心臓血管病のリスクがあることを認識していないことが多い。

0054

「空腹時血漿グルコース(FPG)試験」は、8時間の絶食後の血中グルコースレベルを測定する単純な試験である。ADAによれば、100〜125mg/dLの血中グルコース濃度は、IFGと見なされ、前糖尿病を確定するのに対して、126mg/dL以上の血中グルコース濃度は、糖尿病を確定する。ADAによって提示されているように、FPGは、使いやすく、患者に受け入れられやすく、費用が少なく、比較的再現性があるため、糖尿病および前糖尿病を診断するための好適な試験である。FPG試験の弱みは、空腹時グルコースレベルが変化する前に患者が2型糖尿病に向かってかなり進行することである。

0055

グルコースの動的測定である「経口グルコース負荷試験(OGTT)」は、75gのグルコース飲料の経口摂取後の患者の血中グルコースレベルの摂食後測定である。従来の測定は、試験の開始時における空腹時血液サンプル、1時間の時点の血液サンプル、および2時間の時点の血液サンプルを含む。2時間の時点における患者の血中グルコース濃度が耐糖能のレベル、即ち正常な耐糖能(NGT)≦140mg/dLの血中グルコース;耐糖能異常(IGT)=140〜199mg/dLの血中グルコース;糖尿病≧200mg/dLの血中グルコースを確定する。ADAによって提示されているように、OGTTは、前糖尿病および糖尿病の診断に際してより感度が高く、特異度が高いことが知られるが、再現性に劣り、実用的に実施するのが困難であるため、日常の臨床用途に対しては推奨されない。OGTTは、ベータ細胞グルコース感受性の尺度を提供する。

0056

「空腹時インスリン試験」は、血漿中の循環成熟型のインスリンを測定する。高インスリン血漿の現在の定義は、インスリン免疫アッセイ標準化の欠如、プロインスリン型に対する交叉反応性、およびアッセイのための分析の必要性に関するコンセンサスの不在により困難である。アッセイ内では、CVは3.7%〜39%の範囲であり、アッセイ間では、CVは12%〜66%の範囲である。したがって、空腹時インスリンは、臨床設定ではあまり測定されず、研究設定に限定される。

0057

「高インスリン性正常血糖クランプ(HIクランプ)」は、世界的に、患者におけるインスリン抵抗性を判定するための「至適基準」と見なされている。それは、研究設定で実施され、2つのカテーテルを患者に挿入することを必要とし、6時間までの時間にわたって患者を固定したままにしなければならない。HIクランプは、正常血糖(血液中のグルコースの正常濃度;正常血糖(normoglycemia)とも呼ばれる)を維持するために必要なグルコースの量を定量するために、並行的なグルコース注入と共にインスリン注入によって定常状態の高インスリン血症を生成することを含む。その結果は、(主として)筋肉および脂肪組織によるグルコースの周囲の取り込みを測定するインスリン依存性グルコース処理率(Rd)の尺度である。このグルコース取り込み率は、定常状態の条件下でのインスリン作用による全身グルコース代謝であるMによって記録される。したがって、高いMは高いインスリン感受性を示し、より低いM値はインスリン感受性の減少、即ち、インスリン抵抗性を示す。HIクランプは、訓練を受けた3人の専門家が、2〜4時間にわたるインスリンおよびグルコースの同時注入、ならびにインスリンおよびグルコースレベルの分析のための5分毎の高頻度血液サンプリングを含む手順を実施することを必要とする。高費用、複雑さ、およびHIクランプに要する時間により、この手順は、臨床研究設定に厳密に限定される。

0058

「肥満」は、過度の量の体脂肪によって定義される慢性の状態を指す。(体重に対する百分率で表される)体脂肪の正常量は、女性において25〜30%であり、男性において18〜23%である。30%を超える体脂肪を有する女性および25%を超える体脂肪を有する男性は、肥満と見なされる。

0059

体重指数(またはBMI)」は、個体の身長および体重を用いて、個体の体脂肪量を推定する計算を指す。過多の体脂肪(例えば肥満)は、病気および他の健康問題を招き得る。BMIは、肥満を研究している多くの医師および研究者にとって最適な測定値である。BMIは、個体の身長および体重の両方を考慮に入れた数式を使用して計算される。BMIは、キログラム単位の人間の体重をメートル単位の身長の二乗で割った値に等しい。(BMI=kg/m2)。19未満のBMIを有する対象は低体重であると見なされ、19〜25のBMIを有する対象は正常体重であると見なされ、25〜29のBMIは、一般に過体重であると見なされ、30以上のBMIを有する個体は、一般に肥満と見なされる。病的な肥満は、40以上のBMIを有する対象を指す。

0060

「インスリン抵抗性関連障害」は、インスリン抵抗性である対象に付随する(例えば同時罹患する)か、または罹患率が高くなる疾患、障害、または状態を指す。例えば、アテローム硬化症冠状動脈疾患心筋梗塞心筋虚血、血糖代謝異常、高血圧症、代謝症候群、多嚢胞性卵巣症候群、神経障害腎障害慢性腎臓病、および肝脂肪疾患等。

0061

I.バイオマーカー
本明細書に記載されるバイオマーカーは、メタボロームプロファイリング技術を使用して発見された。そのようなメタボロームプロファイリング技術は、以下に示される実施例において、ならびに米国特許第7,005,255号および第7,329,489号および米国特許第7,635,556号、米国特許第7,682,783号、米国特許第7,682,784号、および米国特許第7,550,258号により詳細に記載され、それらのすべての全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。

0062

一般に、代謝プロファイルは、障害のあるベータ細胞機能を有するもの等の状態であると診断されたヒト対象、ならびに1つ以上の他のヒト対象群(例えば、正常なベータ細胞機能および正常な耐糖能を有する健常な対照対象、ベータ細胞機能の障害および耐糖能異常を有する対象、インスリン抵抗性を有する対象、または2型糖尿病を有する対象)からの生体サンプルに対して決定され得る。次いで、ベータ細胞機能の障害に対する代謝プロファイルは、1つ以上の他の対象群からの生体サンプルに対する代謝プロファイルと比較され得る。本明細書に記載されているもの等のモデルまたはアルゴリズムを使用して比較は実行され得る。インスリン抵抗性であるか、または関連障害を有する対象からのサンプルの代謝プロファイルにおいて、別の群(例えば、インスリン感受性である健常な対照対象)と比較して統計的に有意であるレベルで差次的に存在する分子を含む、差次的に存在する分子は、それらの群を区別するためのバイオマーカーとして特定され得る。

0063

一実施形態において、ベータ細胞機能の障害を有する対象とベータ細胞機能の障害を有しない対象間を区別する、または区別するのを支援するために使用されるバイオマーカーは、表4に記載されるもののうちの1つ以上を含む。別の態様において、対象がインスリン抵抗性である場合、対象を診断するまたは診断するのを支援するために使用されるバイオマーカーは、表4に記載されるもののうちの1つ以上を含む。別例において、ベータ細胞機能の障害を有するものとして対象を分類する、または分類するのを支援するために使用されるバイオマーカーは、表4に記載されるもののうちの1つ以上を含む。別例において、インスリン抵抗性治療薬またはベータ細胞機能の治療薬を投与することによる治療のための対象を特定するために使用されるバイオマーカーは、表4に記載されるもののうちの1つ以上を含む。さらに別の例において、ベータ細胞機能またはインスリン抵抗性または関連状態を治療する際の効力についての試験組成物の投与のための臨床試験に受け入れる対象を特定するために使用されるバイオマーカーは、表4に記載されるもののうちの1つ以上を含む。

0064

本明細書に開示される方法で使用されるさらなるバイオマーカーは、表4に記載されるバイオマーカーに関連する代謝産物を含む。さらに、そのようなさらなるバイオマーカーはまた、例えば、バイオマーカーとさらなるバイオマーカーの比率とする表4中のバイオマーカーとの組み合わせにも有用であり得る。そのような代謝産物は、所定の経路もしくは関連経路で近接により関連するか、または関連経路と関連付けられ得る。表4に記載される1つ以上のバイオマーカーに関連する生化学経路は、そのようなバイオマーカーの形成に関与する経路、そのようなバイオマーカーの分解に関与する経路、および/またはバイオマーカーが関与する経路を含む。例えば、表4に記載されている1つのバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩である。2−ヒドロキシ酪酸塩に関連する本発明の方法に使用されるさらなるバイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩の形成、代謝、または利用に関与する酵素補因子、または遺伝子等のいずれかを含む。例えば、2−ヒドロキシ酪酸塩形成経路からの見込まれるバイオマーカーは、乳酸デヒドロゲナーゼヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼアラニントランスアミナーゼ、ガンマ−シスタチオナーゼ、および分枝鎖アルファケト酸デヒドロゲナーゼ等を含む。この経路および関連経路における基質、中間体、および酵素をグルコース処理に対するバイオマーカーとして使用することもできる。例えば、2−ヒドロキシ酪酸塩に関連するさらなるバイオマーカーは、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、またはヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBDH)もしくは分枝鎖アルファ−ケト酸デヒドロゲナーゼ(BCKDH)の活性化を含む。別の実施形態において、2−ヒドロキシ酪酸塩が関与する経路は、クエン酸経路(TCA回路)である。TCA回路への流入量が減少するとき、一般に2−ヒドロキシ酪酸塩の溢流が生じる。したがって、TCA回路に関与する酵素、補因子、および遺伝子等のいずれかが、グルコース処理、インスリン抵抗性、および関連障害に対するバイオマーカーであってもよい。さらに、バイオマーカーのリノレオイル−LPC、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸、アルギニン、ベタイン、クレアチン、デカノイルカルニチン、ドコサテトラエン酸、グルタミン酸、グリシン、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、オクタノイルカルニチン、オレイン酸、オレオイル−LPC、パルミテート、パルミトレイン酸、パルミトイル−LPC、セリン、ステアレート、トレオニン、トリプトファン、1,5−アンヒドログルシトール、ステアロイル−LPC、グルタミルバリン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、ヘプタデセン酸、アルファ−ケト酪酸塩、システインと共に関与するそのような酵素、補因子、および遺伝子等の比率はまた、本明細書に開示される方法に使用を見出し得る。

0065

さらに、表4に記載されるバイオマーカーに関連する代謝産物および経路は、ベータ細胞機能に対するさらなるバイオマーカーの源として有用であり得る。例えば、2−ヒドロキシ酪酸塩に関連する代謝産物および経路もまた、アルファ−ケト酸、3−メチル−2−オキソ酪酸塩、および3−メチル−2−オキソ吉草酸塩等のベータ細胞機能のバイオマーカーであり得る。さらに、分枝鎖アルファ−ケト酸生合成、代謝、および利用に関与する他の代謝産物および薬剤もまた、ベータ細胞機能のバイオマーカーとして有用であり得る。

0066

任意の数のバイオマーカーは、本明細書に開示される方法に使用してもよい。つまり、開示される方法は、表4中のすべてのバイオマーカーの組み合わせを含む、1つのバイオマーカー、2つ以上のバイオマーカー、3つ以上のバイオマーカー、4つ以上のバイオマーカー、5つ以上のバイオマーカー、6つ以上のバイオマーカー、7つ以上のバイオマーカー、8つ以上のバイオマーカー、9つ以上のバイオマーカー、10以上のバイオマーカー、15以上のバイオマーカー等のレベル(複数可)の測定を含んでよい。別の態様において、開示される方法に使用されるバイオマーカーの数は、約25以下のバイオマーカー、20以下、15以下、10以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、または5つ以下のバイオマーカーのレベルを含む。別の態様において、開示される方法に使用されるバイオマーカーの数は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、20、または25のバイオマーカーのレベルを含む。本明細書に開示される方法のいずれかに使用することができるバイオマーカー(および場合によってはさらなる可変要素)の特定の組み合わせの例は、実施例に開示されている(例えば、実施例で論じられるモデルは、バイオマーカーの特定の組み合わせを含む)。一実施例において、バイオマーカーAHBおよびLGPCが使用される。バイオマーカーは、特定のモデルに示されるさらなる可変要素を用いて、またはそれらを用いることなく使用してもよい。

0067

本明細書に開示されるバイオマーカーを使用して、開示される方法のいずれかに使用される、対象の機能的ベータ細胞集団の予測子もしくは指標として、またはベータ細胞機能障害のないもの(正常な細胞機能)からベータ細胞アポトーシスまでの範囲におけるベータ細胞機能障害の進行の指標として、ベータ細胞に機能的集団スコア(「ベータ細胞スコア」)を生成してもよい。任意の方法およびアルゴリズムは、本開示の方法に使用される表4中のバイオマーカーに基づいて、ベータ細胞スコアを生成することができる。

0068

バイオマーカー、パネル、およびアルゴリズムは、経口グルコース負荷試験、空腹時血漿グルコース試験、ヘモグロビンA1C(および推定平均グルコース、eAG)、空腹時血漿インスリン、空腹時プロインスリン、アディポネクチン、およびHOMA−IR等の従来の方法より高い、ベータ細胞機能の障害を検出または予測するための感度レベルを提供し得る。

0069

他の実施形態において、本明細書に開示されるバイオマーカーおよびアルゴリズムは、経口グルコース負荷試験、空腹時血漿グルコース試験、およびアディポネクチン等の従来の方法より高い、対象におけるベータ細胞機能の障害を検出または予測するための特異性レベルを提供することができる。

0070

さらに、表中に記載されるバイオマーカーおよびモデルを用いる本明細書に開示される方法は、それぞれの状態の臨床診断手段と組み合わせて使用することができる。臨床診断(経口グルコース負荷試験、空腹時血漿グルコース試験、遊離脂肪酸測定、ヘモグロビンA1C(および推定平均グルコース、eAG)測定、空腹時血漿インスリン測定、空腹時プロインスリン測定、空腹時C−ペプチド測定、グルコース感受性(ベータ細胞指数)測定、アディポネクチン測定、尿酸測定、収縮期および弛緩期血圧測定、トリグリセリド測定、トリグリセリド/HDL比、コレステロール(HDL、LDL)測定、LDL/HDL比、臀部比、年齢、糖尿病(T1Dおよび/またはT2D)の家族歴、心臓血管病の家族歴等)との組み合わせは、開示されている方法を促進させるか、または開示されている方法の結果を確認することができる(例えば、診断の促進もしくは確認、進行もしくは退行の監視、および/または前糖尿病に対する素因の測定を行うことができる)。

0071

1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を使用して、生体サンプル中のバイオマーカーを検出することができる。好適な方法には、クロマトグラフィー(例えば、HPLCガスクロマトグラフィー液体クロマトグラフィー)、質量分光測定(例えば、MS、MS−MS)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、抗体結合、他の免疫化学技術、およびそれらの組み合わせ(例えばLC−MS−MS)が挙げられる。さらに、例えば、測定することが所望されるバイオマーカー(複数可)のレベルと相関する化合物(複数可)のレベルを測定するアッセイを使用することによって、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を間接的に検出することができる。

0072

いくつかの実施形態において、バイオマーカーの検出に使用される生体サンプルを、レベルの分析またはサンプル中のバイオマーカーの検出前分析サンプルに変換する。例えば、いくつかの実施形態において、例えば、液体クロマトグラフィー(LC)もしくはタンデム型質量分光測定(MS−MS)、またはそれらの組み合わせによって、分析前にタンパク質抽出を実施してサンプルを変換することができる。他の実施形態において、例えばタンデム型質量分光測定法によって、分析中にサンプルを変換することができる。

0073

II.診断方法
本明細書に記載されるバイオマーカーを使用して、対象がベータ細胞機能障害を有するかどうかを診断するか、または診断するのを支援することができる。例えば、対象におけるベータ細胞機能に障害があるかどうかを診断するのに用いる、または診断するのを支援するためのバイオマーカーは、表4の特定されたバイオマーカーのうちの1つ以上を含む。一実施形態において、バイオマーカーは、表4に特定されたもののうちの1つ以上を含む。表4に記載される任意のバイオマーカー、ならびに表4に記載されるバイオマーカーの任意の組み合わせを診断方法に使用することができる。一実施形態において、バイオマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩またはリノレオイルLPCを含む。別の例において、バイオマーカーは、例えば、3−ヒドロキシ−酪酸塩、3−メチル−2−オキソ−酪酸、アルギニン、ベタイン、クレアチン、ドコサテトラエン酸、グルタミン酸、グリシン、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、オレイン酸、オレオイル−LPC、パルミテート、パルミトレイン酸、パルミトイル−LPC、セリン、ステアレート、トレオニン、トリプトファン、1,5−アンヒドログルシトール、ステアロイル−LPC、グルタミルバリン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、ヘプタデセン酸、アルファ−ケト酪酸塩、システイン、またはそれらの組み合わせ等の任意の他のバイオマーカーと組み合わせた、2−ヒドロキシ酪酸塩および/またはリノレオイルLPCを含む。

0074

対象がベータ細胞機能障害を有すること等の疾患または状態を有するかどうかを診断する、または診断するのを支援するための方法は、表4に特定されるバイオマーカーのうちの1つ以上を使用して実施することができる。対象がベータ細胞機能障害を有すること等の疾患または状態を有するかどうかを診断する(または診断するのを支援する)方法は、(1)対象からの生体サンプルを分析して、サンプル中の表4に記載されるベータ細胞機能の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、ベータ細胞機能障害−陽性および/またはベータ細胞機能障害−陰性の基準レベルと比較して、対象がベータ細胞機能の障害があるかどうかを診断する(または診断するのを支援する)ことと、を含む。そのような方法が、ベータ細胞機能障害等の疾患または状態の診断を支援するために使用される場合は、方法の結果を、対象が所与の疾患または状態を有するかどうかの臨床的判断に有用な他の方法(またはその結果)と共に使用することができる。対象がベータ細胞機能障害等の疾患または状態を有するかどうかの臨床的判断に有用な方法は、当技術分野で既知である。例えば、対象がベータ細胞機能の障害があるかどうか、またはベータ細胞機能の障害になるリスクを有するかどうかの臨床的判断に有用な方法としては、例えば、グルコース処理率(Rd、M−wbm、M−ffm)、体重測定、腹囲測定、BMI測定、腰/臀部比、トリグリセリド測定、コレステロール(HDL、LDL)測定、LDL/HDL比、トリグリセリド/HDL比、年齢、糖尿病(T1Dおよび/またはT2D)の家族歴、心臓血管病の家族歴、ペプチドYY測定、C−ペプチド測定、ヘモグロビンA1C測定および推定平均グルコース(eAG)、アディポネクチン測定、空腹時血漿グルコース測定(例えば、経口グルコース負荷試験、空腹時血漿グルコース試験)、遊離脂肪酸測定、空腹時血漿インスリンおよびプロインスリン測定、収縮期および弛緩期血圧測定、ならびにウレート測定等が挙げられる。対象がベータ細胞機能障害を有するかどうかの臨床的判断に有用な方法としては、高インスリン性正常血糖クランプ(HIクランプ)が挙げられる。

0075

対象におけるベータ細胞機能の変化の早期検出を可能にする多項式アルゴリズムと共に使用される場合の一連のバイオマーカーを特定するために独立した研究が行われた。一態様において、本明細書に提供されるバイオマーカーを使用して、医師に、対象におけるベータ細胞機能不全の進行を示すベータ細胞スコアを提供することができる。このスコアは、バイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせに対する臨床的に有意に変化した基準レベル(複数可)に基づく。基準レベルをアルゴリズムから導くか、またはベータ細胞グルコース感受性の障害に対する指数から計算することができる。ベータ細胞スコアは、正常(即ち、グルコース感受性のベータ細胞)から障害のあるベータ細胞機能、そして高度に障害のある/障害のあるベータ細胞機能までのベータ細胞機能の範囲に対象を据える。ベータ細胞スコアは、複数の方法で使用することができる、例えば、ベータ細胞機能障害の進行または退行を定期的測定およびベータ細胞スコアの監視によって監視することができ、ベータ細胞スコアを監視することによって治療的介入に対する応答を決定することができ、ベータ細胞スコアを用いて、薬物の効力を評価することができる。

0076

したがって、本開示はまた、サンプル中の、表4に特定されるバイオマーカーのうちの1つ以上を用いて実施され得る対象のベータ細胞スコアを決定するための方法、および(2)対象のベータ細胞スコアを決定するために、サンプル中のベータ細胞機能障害の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害の基準レベルと比較するための方法も提供する。表4からの例示的なマーカーは、2−ヒドロキシ酪酸塩およびリノレオイルグリセロホスホコリン(L−LPC、LGPC)を含む。本方法は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれ以上のマーカーを含む、表4に記載されるものから選択される任意の数のマーカーを採用することができる。回帰分析等の統計的方法を含む任意の方法によって、複数のバイオマーカーを、ベータ細胞機能障害を有する、またはインスリン抵抗性であること等の所与の状態と相関させることができる。

0077

サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を使用して、生体サンプルを分析することができる。好適な方法には、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、質量分光測定(例えば、MS、MS−MS)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、抗体結合、他の免疫化学技術、およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、例えば、測定することが所望されるバイオマーカー(複数可)のレベルと相関する化合物(複数可)のレベルを測定するアッセイを使用することによって、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を間接的に測定することができる。

0078

1つ以上のバイオマーカー(複数可)のレベル(複数可)が決定された後、レベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカー(複数可)のベータ細胞機能障害の基準レベル(複数可)または基準曲線と比較して、サンプル中の1つ以上のバイオマーカー(複数可)のそれぞれに対して等級を決定することができる。任意のアルゴリズムを使用して等級(複数可)を集計して、対象に対するベータ細胞スコアを作成することができる。アルゴリズムは、バイオマーカーの数、バイオマーカーの疾患または状態に対する相関性等を含めて、ベータ細胞機能不全を有すること等の疾患または状態に関するあらゆる要因を考慮に入れることができる。

0079

一例において、対象の予測される機能的ベータ細胞レベルを使用して、対象がベータ細胞機能不全である確率を決定する(即ち、対象のベータ細胞スコアを決定する)ことができる。例えば、表4に記載される1つ以上のバイオマーカーを用いて生成された標準化曲線を使用すると、9のベータ細胞機能レベルを有することが予測される対象は、ベータ細胞機能不全である10%の確率を有し得る。あるいは、別の例において、3のベータ細胞機能レベルを有することが予測される対象は、ベータ細胞機能不全である90%の確率を有し得る。

0080

表4の1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象がベータ細胞機能不全を有するかどうかを診断する方法および診断するのを支援する方法において、決定され得る。例えば、表4のすべてのバイオマーカーの組み合わせおよびそれらの組み合わせを含む、1つのバイオマーカー、2つ以上のバイオマーカー、3つ以上のバイオマーカー、4つ以上のバイオマーカー、5つ以上のバイオマーカー、6つ以上のバイオマーカー、7つ以上のバイオマーカー、8つ以上のバイオマーカー、9つ以上のバイオマーカー、10以上のバイオマーカー等のレベル(複数可)を決定し、そのような方法において使用してよい。バイオマーカーの組み合わせのレベルの決定は、より大きな感受性および特異性がベータ細胞機能不全を診断するおよびベータ細胞機能不全の診断を支援することを可能にし得る。例えば、生体サンプル中のある特定のバイオマーカー(および非バイオマーカー化合物)のレベルの比率は、より大きな感受性および特異性がベータ細胞機能不全を診断するおよびベータ細胞機能不全の診断を支援することを可能にし得る。

0081

サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が決定された後、レベル(複数可)を、ベータ細胞機能障害陽性および/またはベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと比較して、対象がベータ細胞機能不全を有するかどうかを診断するのを支援するまたは診断する。ベータ細胞機能障害陽性の基準レベルと一致するサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同じ、実質的には、基準レベルと同じ、基準レベルの最小値および/もしくは最大値を上回るおよび/もしくは下回る、ならびに/または基準レベルの範囲内である、レベル)は、対象におけるベータ細胞機能不全の診断を示す。膵ベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと一致するサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同じ、実質的には、基準レベルと同じ、基準レベルの最小値および/もしくは最大値を上回るおよび/もしくは下回る、ならびに/または基準レベルの範囲内である、レベル)は、対象におけるベータ細胞機能不全ではないという診断を示す。さらに、ベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと比較して、サンプル中の(特に、統計的に有意なレベルで)差次的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象におけるベータ細胞機能不全の診断を示す。ベータ細胞機能障害陽性の基準レベルと比較して、サンプル中の(特に、統計的に有意なレベルで)差次的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象におけるベータ細胞機能不全ではないという診断を示す。

0082

1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)は、生体サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)のベータ細胞機能障害陽性および/またはベータ細胞機能障害陰性の基準レベルとの単純な比較(例えば、手動比較)を含む、様々な技法を使用して、ベータ細胞機能障害陽性および/またはベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと比較し得る。生体サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)はまた、1つ以上の統計的分析(例えば、T−スコア、Z−スコア)を使用して、または数学的モデル(例えば、アルゴリズム)を使用して、ベータ細胞機能障害陽性および/またはベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと比較し得る。

0083

III.ベータ細胞機能不全の進行/退行の監視
本明細書におけるバイオマーカーの特定は、対象におけるベータ細胞機能不全または関連状態の進行/退行を監視することを可能にする。対象におけるベータ細胞機能不全または関連状態の進行/退行を監視する方法は、(1)対象からの第1の生体サンプルを分析して、第1の時点で対象から得られた第1のサンプル中の、表4に記載されるベータ細胞機能に対する1つ以上のバイオマーカーおよびそれらの組み合わせのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象からの第2の生体サンプルを分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することであって、第2のサンプルを第2の時点で対象から得る、決定することと、(3)対象における疾患または状態の進行/退行を監視するために、第1のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を第2のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。この方法の結果は、対象におけるベータ細胞機能不全の経過(即ち、なんらかの変化があれば、進行(悪化する機能、機能的集団の減少)または退行(改善する機能、機能的集団の増加))を示す。経時的に1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)の変化(もしあれば)は、対象におけるベータ細胞機能不全の進行または退行を示し得る。対象におけるベータ細胞機能不全の経過を特徴付けるために、第1のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、第2のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、ならびに/または第1および第2のサンプル中のバイオマーカーのレベルの比較の結果を、ベータ細胞機能障害陽性およびベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと比較することができる。1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が(例えば、第1のサンプルと比較して第2のサンプル中で)経時的に増加または減少して、ベータ細胞機能障害陽性の基準レベルとより同等になる(またはベータ細胞機能障害陰性の基準レベルとはあまり同等にならない)ことを比較が示す場合、これらの結果は、ベータ細胞機能障害の進行を示す。1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が経時的に増加または減少して、ベータ細胞機能障害陰性の基準レベルとより同等になる(またはベータ細胞機能障害陽性の基準レベルとはあまり同等にならない)ことを比較が示す場合、これらの結果は、ベータ細胞機能障害の退行を示す。

0084

一実施形態において、この方法の結果は、対象におけるベータ細胞機能不全の確率を表す、および経時的に監視することができるベータ細胞スコアに基づくことができる。第1の時点のサンプルからのベータ細胞スコアを、少なくとも第2の時点のサンプルからのベータ細胞スコアと比較することによって、ベータ細胞機能の進行または退行を決定することができる。対象におけるベータ細胞機能の障害の進行/退行を監視するような方法は、(1)対象からの第1の生体サンプルを分析して、第1の時点で対象から得られた第1のサンプルに対するベータ細胞スコアを決定することと、(2)対象からの第2の生体サンプルを分析して、第2のベータ細胞スコアを決定することであって、第2のサンプルを第2の時点で対象から得る、決定することと、(3)対象におけるベータ細胞機能の障害の進行/退行を監視するために、第1のサンプル中のベータ細胞スコアを第2のサンプル中のベータ細胞スコアと比較することと、を含む。第1の時点から第2の時点までのベータ細胞機能の障害の確率の増加は、対象におけるベータ細胞機能の障害の進行を示し、一方、第1の時点から第2の時点までの確率の減少は、対象におけるベータ細胞機能の障害の退行を示す。

0085

進行監視のために本発明のバイオマーカーおよびアルゴリズムの使用により、食事制限運動、および/または早期薬物治療等の予防的処置を講じる医師の判断を誘導または支援することができる。

0086

IV.治療の効力の監視:
提供されるバイオマーカーはまた、ベータ細胞機能の障害を治療するための組成物の効力の評価を可能にする。例えば、ベータ細胞機能に対するバイオマーカーの特定はまた、ベータ細胞機能不全を治療するための組成物の効力の評価、ならびにベータ細胞機能の障害を治療するための2つ以上の組成物の相対的効力の評価を可能にする。そのような評価は、例えば、効力の研究、ならびに疾患または状態を治療するための組成物のリード選択に使用することができる。さらに、そのような評価を使用して、対象におけるインスリン抵抗性に対する外科的手術処置および/またはライフスタイルの介入の効力を監視することができる。外科的手術処置は、肥満外科手術を含み、ライフスタイルの介入は、食生活の改善または減量および運動計画等を含む。

0087

したがって、1つのそのような実施形態において、ベータ細胞機能の障害または関連状態等の疾患または状態を治療するための組成物の効力を評価する方法であって、(1)ベータ細胞機能の障害または関連状態等の疾患または状態を有し、組成物により現在または以前に治療された対象(または対象群)からの、生体サンプル(または一連のサンプル)を分析して、表4に記載されるバイオマーカーから選択されるベータ細胞機能に対する1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(a)組成物により治療される前に対象から得た、対象から既に採取された生体サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、(b)1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害陽性の基準レベル、(c)1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害陰性の基準レベル、(d)1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害進行陽性の基準レベル、および/または(e)1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害退行陽性の基準レベルと比較することと、を含む、方法が提供される。比較の結果は、それぞれの疾患または状態を治療するための組成物の効力を示す。

0088

別の実施形態において、ベータ細胞機能の障害または関連状態等の疾患または状態を治療するための外科的手術処置の効力を評価する方法であって、(1)ベータ細胞機能の障害または関連状態を有し、以前に外科的手術処置が施された対象(または対象群)からの、生体サンプル(または一連のサンプル)を分析して、表4に記載されるバイオマーカーから選択されるベータ細胞機能に対する1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(a)外科的手術処置が施される前に対象から得た、または外科的手術処置が施された直後に採取した、対象から既に採取された生体サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、(b)1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害陽性の基準レベル、(c)1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害陰性の基準レベル、(d)1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害進行陽性の基準レベル、および/または(e)1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害退行陽性の基準レベルと比較することと、を含む、方法。比較の結果は、それぞれの疾患または状態を治療するための外科的手術処置の効力を示す。一実施形態において、外科的手術処置は、肥満外科手術等の胃腸外科手術処置である。

0089

経時的に1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)の変化(もしあれば)は、対象におけるベータ細胞機能障害の進行または退行を示し得る。対象における所与の疾患または状態の経過を特徴付けるために、第1のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、第2のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、ならびに/または第1および第2のサンプル中のバイオマーカーのレベルの比較の結果を、1つ以上のバイオマーカーのそれぞれの疾患もしくは状態陽性および/または疾患もしくは状態陰性の基準レベルと比較することができる。1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が経時的に(例えば、第1のサンプルと比較して第2のサンプル中で)増加または減少して、疾患もしくは状態陽性の基準レベルとより同等になる(または疾患もしくは状態陰性の基準レベルとはあまり同等にならない)ことを比較が示す場合、これらの結果は、疾患または状態の進行を示す。1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が経時的に増加または減少して、疾患もしくは状態陰性の基準レベルとより同等になる(または疾患もしくは状態陽性の基準レベルとはあまり同等にならない)ことを比較が示す場合、これらの結果は、疾患または状態の退行を示す。

0090

例えば、対象におけるベータ細胞機能障害の経過を特徴付けるために、第1のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、第2のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、ならびに/または第1および第2のサンプル中のバイオマーカーのレベルの比較の結果を、1つ以上のバイオマーカーのベータ細胞機能障害陽性および/またはベータ細胞機能障害陰性の基準レベルと比較することができる。1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が経時的に(例えば、第1のサンプルと比較して第2のサンプル中で)増加または減少して、ベータ細胞機能障害陽性の基準レベルとより同等になる(またはベータ細胞機能障害陰性の基準レベルとはあまり同等にならない)ことを比較が示す場合、これらの結果は、ベータ細胞機能障害進行(即ち、ベータ細胞機能の悪化)を示す。1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が経時的に増加または減少して、ベータ細胞機能障害陰性の基準レベルとより同等になる(またはベータ細胞機能障害陽性の基準レベルとはあまり同等にならない)ことを比較が示す場合、これらの結果は、ベータ細胞機能障害退行(即ち、ベータ細胞機能の改善)を示す。

0091

第2のサンプルは、第1のサンプルを得た後のあらゆる時間に、対象から得ることができる。一態様において、第2のサンプルは、第1のサンプル、または組成物の投与の開始、外科的手術処置、もしくはライフスタイルの介入から1、2、3、4、5、6日、またはそれ以上後に得られる。別の態様において、第2のサンプルは、第1のサンプル、または組成物の投与の開始、外科的手術処置、もしくはライフスタイルの介入から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日、またはそれ以上後に得られる。別の態様において、第2のサンプルは、第1のサンプル、または組成物の投与の開始、外科的手術処置、もしくはライフスタイルの介入から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月、またはそれ以上後に得ることができる。

0092

対象におけるベータ細胞機能障害等の疾患または状態の経過はまた、第1のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、第2のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、ならびに/または第1および第2のサンプル中のバイオマーカーのレベルの比較の結果を、疾患もしくは状態進行陽性および/または疾患もしくは状態対抗陽性の基準レベルと比較することができる。1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が(例えば、第1のサンプルと比較して第2のサンプル中で)経時的に増加または減少して、疾患もしくは状態進行陽性の基準レベルとより同等になる(または疾患もしくは状態退行陽性の基準レベルとはあまり同等にならない)ことを比較が示す場合、これらの結果は、疾患または状態の進行を示す。1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が経時的に増加または減少して、疾患もしくは状態退行陽性の基準レベルとより同等になる(または疾患もしくは状態進行陽性の基準レベルとはあまり同等にならない)ことを比較が示す場合、これらの結果は、疾患または状態の退行を示す。

0093

本明細書に記載の他の方法と同様に、対象におけるベータ細胞機能障害等の疾患または状態の進行/退行を監視する方法において行われる比較を、単純な比較、1つ以上の統計的分析、およびそれらの組み合わせを含む様々な技法を使用して実施することができる。

0094

その方法の結果を、対象における疾患または状態の進行/退行の臨床的監視に有用な他の方法(またはその結果)と共に使用することができる。

0095

ベータ細胞機能障害等の疾患または状態を診断する(または診断を支援する)方法に関連して上述されているように、サンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を使用して、生体サンプルを分析することができる。さらに、表4のバイオマーカーのすべて、またはそれらの任意の部分の組み合わせを含む1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定し、対象におけるそれぞれの疾患または状態の進行/退行を監視する方法に使用することができる。

0096

V.バイオマーカーを調節することにおける活性に関して、組成物をスクリーニングする方法
本明細書に提供されるバイオマーカーはまた、疾患または状態を治療するのに有用であり得る、ベータ細胞機能不全等の疾患または状態と関連するバイオマーカーを調節することにおける活性に関して、組成物のスクリーニングも可能にする。例示的な方法は、表4に記載される1つ以上のバイオマーカーのレベルを調節することにおける活性に関する試験化合物をアッセイすることを含む。スクリーニングアッセイは、インビトロ(例えば、ベータ細胞アッセイ)、および/またはインビボで実施してもよく、試験組成物の存在下でのそのようなバイオマーカーの調節をアッセイするのに有用な当技術分野で知られている任意の形態でもよい。例示的なアッセイ方法は、例えば、細胞培養アッセイ、器官培養アッセイ、およびインビボアッセイ(例えば、動物モデルを必要とするアッセイ)を含む。別の例示的な方法は、2−ヒドロキシ酪酸塩またはリノレオイル−LPCのレベルを調節することにおける活性に関して、試験化合物をアッセイすることを含む。

0097

例えば、この方法に関しては、ベータ細胞機能に対するバイオマーカーの特定はまた、ベータ細胞機能不全を治療するのに有用であり得る、ベータ細胞機能と関連する特定されたバイオマーカーを調節することにおける活性に関する組成物のスクリーニングを可能にする。

0098

ベータ細胞機能の障害または関連障害等の疾患または状態の1つ以上のバイオマーカーを調節することにおける活性に関する組成物をスクリーニングするための方法は、(1)1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、(2)1つ以上の細胞の少なくとも一部、または細胞と関連する生体サンプルを分析して、表4に提供されるバイオマーカーから選択される疾患または状態の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーに関する所定の標準レベルと比較して、組成物が1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を調節したかどうかを決定することと、を含む。一実施形態において、ベータ細胞機能の1つ以上のバイオマーカーを調節することにおける活性に関する組成物をスクリーニングするための方法は、(1)1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、(2)1つ以上の細胞の少なくとも一部、または細胞と関連する生体サンプルを分析して、表4に記載されるバイオマーカーから選択されるベータ細胞機能の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーに関する所定の標準レベルと比較して、組成物が1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を調節したかどうかを決定することと、を含む。1つ以上のバイオマーカーは、AHBおよびL−LPCからなる群から選択され得る。上で論じたように、細胞は、インビトロおよび/またはインビボで組成物と接触し得る。1つ以上のバイオマーカーに関する所定の標準レベルは、組成物の不在下での1つ以上の細胞中の1つ以上のバイオマーカーのレベルでもよい。1つ以上のバイオマーカーに関する所定の標準レベルはまた、組成物と接触しない対照細胞中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)でもよい。

0099

さらに、本方法は、1つ以上の細胞の少なくとも一部、または細胞と関連する生体サンプルを分析して、ベータ細胞機能の障害等の疾患または状態の1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含むことができる。次いで、非バイオマーカー化合物のレベルを、1つ以上の非バイオマーカー化合物の所定の標準レベルと比較することができる。

0100

1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)(または非バイオマーカー化合物のレベル)を決定するために、任意の好適な方法を使用して、1つ以上の細胞の少なくとも一部、または細胞と関連する生体サンプルを分析することができる。好適な方法には、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、質量分光測定(例えば、MS、MS−MS)、ELISA、抗体結合、他の免疫化学技術、生化学または酵素反応またはアッセイ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、例えば、測定することが所望されるバイオマーカー(複数可)(または非バイオマーカー化合物)のレベルと相関する化合物(複数可)のレベルを測定するアッセイを使用することによって、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)(または非バイオマーカー化合物のレベル)を間接的に測定することができる。

0101

VI.治療方法
別の態様において、ベータ細胞機能障害等の疾患または状態を治療するための方法が提供される。本方法は、概ね、有効量のL−LPC、または疾患または状態を有しない健常な対象と比較して、疾患または状態を有する対象において低下する1つ以上のバイオマーカー(複数可)を用いて、ベータ細胞機能障害等の疾患または状態を有する対象を治療することを含む。投与され得るバイオマーカーは、L−LPC、またはL−LPC、およびその疾患または状態を有しない対象と比較して、疾患または状態の状況において減少する表4の1つ以上のバイオマーカーを含み得る。そのようなバイオマーカーを、バイオマーカー化合物の識別(即ち、化合物名)に基づいて単離することが可能である。

0102

VII.他の方法
本明細書で論じられるバイオマーカーを用いる他の方法もまた、企図される。例えば、米国特許第7,005,255号、第7,329,489号、第7,550,258号、第7,550,260号、第7,553,616号、第7,635,556号、第7,682,782号、および第7,682,784号に記載される方法は、本明細書に開示されるバイオマーカーのうちの1つ以上を含む小分子プロファイルを用いて実施することができる。
実施例

0103

I.一般的方法
A.代謝プロファイルの特定
それぞれのサンプルを分析して、数百の代謝産物の濃度を測定した。GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分光測定)およびLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分光測定)等の分析技術を使用して、代謝産物を分析した。複数のアリコートを同時に、かつ並行に分析し、適切な品質管理QC)の後、それぞれの分析から導かれた情報を再統合した。最終的には数百の化学種になる数千の特性に応じてすべてのサンプルを特徴付けた。使用される技術は、新規化学名称のない化合物を特定することが可能であった。

0104

B.統計的分析:
いくつかの統計的手法を使用してデータを解析して、確定可能な集団間(例えば、インスリン抵抗性および対照、インスリン抵抗性およびインスリン感受性、インスリン抵抗性および2型糖尿病)で区別するのに有用である、確定可能な集団または小集団(例えば、対照生体サンプルまたはインスリン感受性患者と比較したインスリン抵抗性生体サンプルに対するバイオマーカー)に異なるレベルで存在する分子(既知の名前付き代謝産物または無名の代謝産物)を特定した。確定可能な集団または小集団における他の分子(既知の名前付き代謝産物または無名の代謝産物)も特定した。

0105

サンプルを群(例えば、疾患または健常な、インスリン抵抗性、または正常なインスリン感受性)に分類するために、ランダムフォレスト分析が使用された。ランダムフォレストは、2つの集団の未知平均値が異なるかどうかを試験するt検定とは対照的に、新しいデータセットにおける個体をそれぞれの群にどれくらい正確に分類することができるかについての推定値を与える。ランダムフォレストは、実験単位および化合物の連続的なサンプリングに基づいて分類木のセットを作成する。次いで、すべての分類木からの多数決に基づいてそれぞれの観察値を分類する。

0106

疾患または疾患指標(例えばRd)に関連するバイオマーカー化合物を特定し、次いで個体を例えばグルコース利用のレベルに応じて正常、インスリン機能障害、またはインスリン抵抗性に分類するのに有用なバイオマーカー化合物を特定するのに有用であるモデルを構築するためのランダムフォレスト回帰法および一変量相関/線形回帰法を使用して、回帰分析を実施した。疾患または疾患の尺度(例えばRd)を予測するのに有用であり、疾患または疾患の尺度(例えばRd)と正または負に相関するバイオマーカー化合物をこれらの分析で特定した。これらの分析で特定されたバイオマーカー化合物のすべてが統計的に有意であった(p<0.05、q<0.1)。

0107

再帰的分割は、わかりにくい関係を明確にするために、または単純に理解するために「従属」変数(Y)を独立(「予測」)変数(X)の集合に関連付ける(Y=f(X))。JMPプログラムSAS)を用いて分析を実施して、決定木を生成した。ランダム事象に対して相対的なスプリットの質を識別するp値を計算することによって、データの「スプリット」の統計的有意性をより定量的な基礎に置くことができる。木の節または枝へのデータのそれぞれの「スプリット」の有意性レベルを、ランダム事象に対して相対的なスピリットの質を識別するp値として計算した。それは、生のp値の負のlog10であるLogWorthとして示された。

0108

ワールドワイドウェブ上のウェブサイトcran.r−project.orgおよびJMP6.0.2(SAS(登録商標)Institute,Cary,NC)で利用可能なプログラム「R」を用いて統計的分析を実施した。

0109

実施例2:ベータ細胞機能のバイオマーカーの特定
ベータ細胞機能は、正常な耐糖能(NGT)を有する対象において最も高く、耐糖能異常(IGT)を有する対象においてより低く(即ち、障害を来たす)、2型糖尿病(T2D)を有する対象において最も低い。ベータ細胞機能のバイオマーカーは、NGT、IGT、およびT2Dの対象からの血漿サンプルの分析から特定された。対象は、2つの研究群のうちの1つの群の参加者から選択された。第1の対象群(群1)は、以下の試験対象患者基準(性別、30〜60齢、臨床的に健常である)に従って、ヨーロッパ13カ国にある19の施設で採用された予想される観察コホートから選択され(Hills et al.Diabetologia(2004))、10群に従って性別および年齢別階層化した。初期除外基準は、肥満、高血圧、脂質障害もしくは糖尿病、妊娠心臓血管疾患もしくは慢性肺疾患、先月内で5kg以上の体重変化、癌(過去5年間)、および腎不全の治療であった。スクリーニング後の除外基準は、動脈圧≧140/90mmHg、空腹時血漿グルコース>7.0mmol/L、2時間血漿グルコース(標準75gの経口グルコース負荷試験[OGTT]において)≧11.0mmol/L、血清総コレステロール≧7.8mmol/L、血清トリグリセリド≧4.6mmol/L、およびECG異常であった。これらの群1の対象のベースライン試験は、2002年に開始し、2005年に完了した。3年間のフォローアップ検査は、2005年に開始し、2008年に終了した。

0110

第2の対象群(群2)は、プロスペクティブ研究(家族歴T2Dコホート)から選択された。群2の対象のベースライン試験は、1990年に開始し、日常のフォローアップ検査は、現在継続中である。

0111

OGTT測定は、ベースラインおよび3年間のフォローアップで群1および群2の両方の参加者に実施された。群1に関しては、1050人の参加者が、ベースラインと3年の両方でOGTT測定を受けた。群2に関しては、2585人の参加者が、ベースラインと3年の両方でOGTTを受けた。フォローアップでのOGTT測定に基づいて、群1および群2の対象を、ベースラインおよびフォローアップで糖代謝異常(IFGおよびIGTに対する前述のFPGおよび2時間グルコースの測定範囲に基づいたIGR)、またはT2D(空腹時血漿グルコースが>7.0mmol/Lおよび2時間グルコースが>11.1mmol/Lである場合)に進行した対象(即ち、「進行者」)に対して、安定したNGT、即ち、ベースラインおよびフォローアップで空腹時血漿グルコースが<5.6mmol/Lおよび2時間グルコースが<7.8mmol/L)、耐糖能異常(IGT、即ち、2時間グルコースが7.8〜11.1mmol/L)、および空腹時血糖異常(IFG、即ち、空腹時グルコースが5.6〜7.0mmol/L)の両方を含むグルコース調節異常(IGRとして分類した。アルファ−ヒドロキシ酪酸塩(2−HB)およびリノレオイル−GPC(L−GPC)のレベルを、以下の実施例5に記載されるように、これらの群1および群2の参加者からベースラインおよび3年で収集された空腹時血漿サンプルにおいて測定した。

0112

統計的分析
データは、中央値および[四分位範囲]および平均値および標準偏差として与えられる(表1〜3)。多重線形回帰、相関、およびロジスティック回帰分析を、未変換データおよび対数変換データにおいて実行した。多重線形回帰は、空腹時血漿グルコースおよび食後2時間のOGTTグルコース結果によって定義されるように、糖代謝異常(グルコース調節異常、IGR、または2型糖尿病、T2D)への進行を有する代謝産物の独立した関連性を試験した。結果を、オッズ比および95%信頼区間(C.I.)として示す。統計的分析を、JMP(JMP、バージョン8.SASInstitute Inc.,Cary,NC,1989−2009)を用いて実施した。

0113

群1の参加者のベースラインの身体計測および代謝データを、1,115人の正常な耐糖能(NGT)の対象、146人のグルコース調節異常(IGR)および47人の2型糖尿病(T2DM)の対象に関して、表1Aに示す。空腹時血漿グルコースレベル、2時間血漿グルコース濃度(OGTTに基づく)、および空腹時血漿インスリン濃度は、NGTの対象においてよりも、IGR、およびT2DMにおいて漸次的に高くなり、一方、ベータ細胞グルコース感受性は、漸次的に低くなった。これらの群にわたって、2−HBの血漿レベルは、漸次的に高くなり、一方、血漿LGPC濃度は、逆勾配を示し、それぞれの最高および最低レベルは、T2DMの対象において見られた。さらに、ベータ細胞機能の尺度であるβ細胞グルコース感受性は、血漿2−HB濃度に相互に関連があった。

0114

群2の参加者のベースラインの身体計測および代謝データを、1,811人のNGTの対象および642人のIGRの対象に関して、表1Bに示す。群1コホートと同様に、空腹時血漿グルコースレベル、2時間血漿グルコース濃度(OGTTに基づく)、および空腹時血漿インスリン濃度は、IGRにおいて高く、一方、インスリン/グルコース比(I/G、OGTTから)は、IGRの対象において低かった。2−HBの血漿レベルは、IGRの対象において高く、一方、血漿LGPCレベルは、低かった。

0115

フォローアップでの血漿サンプルの分析
試験を行った群1の参加者間で、ベースライン測定から3年後、経口グルコース負荷は、依然として、779人の対象(安定したNGT)において正常であり、123人の対象(進行者)において悪化した。ベースラインで、進行した対象は、ベータ細胞グルコースの感受性がさらに低くなり、血漿2−HBがより高く、LGPC濃度がより低くなった(表2A)。フォローアップ後、2−HBレベルは、安定したNGTの対象において減少し(0.38[2.01]μg/mL)、進行者において増加し(0.42[2.12]μg/mL)、差異は、p=0.0003のレベルで有意であった。対照的に、LGPCレベルは、安定したNGTにおいて増加し(0.83[6.4]μg/mL)、進行者において減少し(0.2[4.8]μg/mL)、この差異は、統計的に有意であった(p<0.05)(表2A)。

0116

2,580人の群2の参加者間で、表2Bに示されるように、151人の対象が、9.5年のフォローアップ訪問で糖尿病を発症していた。これらの進行者、即ち、群2の非進行者のベースラインの臨床的および代謝的特徴付けは、群1の進行者のものと非常に類似した。ベータ細胞グルコース感受性は減少し、血漿2−HBレベルは高く、血漿LGPCレベルは進行した対象において低かった。




入力数#は、平均値±標準偏差または中央値[IQR]、NGT=正常な耐糖能、IGR=グルコース調節異常、β−GS=ベータ細胞グルコース感受性(OGTTから)、α−HB=α−ヒドロキシ酪酸塩、L−GPC=リノレオイルグリセロリン酸コリンである。
°p<0.0001、NGTの四分位については、クラスカルリス検定による、+p<0.05またはそれ以下、IGRとNGTとの間の差異については、マンホイットニー検定による




入力数#は、平均値±標準偏差または中央値[IQR]、NGT=正常な耐糖能、IG指数=インスリン分泌指数(OGTTから)、α−HB=α−ヒドロキシ酪酸塩、L−GPC=リノレオイルグリセロリン酸コリンである。
°p<0.0001、NGTの四分位についてはクラスカルワリス検定による
+p<0.0001、IGRとNGTとの間の差異については、マンホイットニー検定による





入力数#は、平均値±標準偏差または中央値[IQR]、安定したNGT=耐糖能がベースラインとフォローアップの両方で正常であった対象、進行者=糖代謝異常に進行した対象、β−GS=β細胞グルコース感受性(OGTTから)、α−HB=α−ヒドロキシ酪酸塩、L−GPC=リノレオイルグリセロリン酸コリンである。
°p<0.0001、マンホイットニー検定による




入力数#は、平均値±標準偏差または中央値[IQR]、進行者=2型糖尿病に進行した対象、IG指数=インスリン分泌指数(OGTTから)、α−HB=α−ヒドロキシ酪酸塩、L−GPC=リノレオイルグリセロリン酸コリンである。
°p<0.0001、マンホイットニー検定による

0117

実施例3:ベータ細胞機能のバイオマーカーのベータ細胞機能の指数との相関関係
研究は、実施例1および2に記載される3つの独立したコホートにおいて実施され、ベータ細胞機能と関連するバイオマーカーが現在使用されるベータ細胞機能指数に対してサロゲートを提供することができるかどうかを判定した。これらの研究において、バイオマーカーAHBおよびLGPCは、現在利用可能なベータ細胞指数:ベータ細胞グルコース感受性測定(pmol.min−1.m−2.mM−1)、インスリン分泌指数(0〜30分および0〜120分でのインスリン濃度の変化(ΔI)(AUC)をグルコース濃度の変化(ΔG)(AUC)で割ったものとして計算される)、またはIS/IRの処分指数(OGTT時、インスリン分泌/インスリン抵抗性(処分)指数(ΔI0−120/ΔG0−120×Matsuda指数)(MI)として計算される、ΔISR0−120/ΔG0−120×MI)によって測定されるベータ細胞機能と相関することを示す。

0118

ベータ細胞機能のバイオマーカーは、これらの指数のそれぞれによって測定されるように、ベータ細胞機能と相関した。ベータ細胞グルコース測定については、AHBの部分相関は−0.11(p=0.0002)であった。インスリン分泌指数については、LGPCの相関は、AHBに対して−0.178(p<0.005)であり、LGPCに対して0.127(p=0.009)であった。IS/IRの処置指数(ΔISR0−120/ΔG0−120×MI)については、AHBおよびLGPCがAHB、LGPC、オレエート、およびインスリンからなるアルゴリズムにおいて使用された場合、AHBの相関は、−0.224(p<0.005)であり、LGPCの相関は、0.244(p<0.005)およびr=0.830(p=2.9282e−111)であった。

0119

実施例4:治療的介入に応答したベータ細胞機能の監視
ベータ細胞バイオマーカーを用いた肥満手術後のベータ細胞機能の変化の監視
治療的介入後のベータ細胞機能の変化を監視するためのベータ細胞機能のバイオマーカーの有用性を示すために、バイオマーカーレベルを、2型糖尿病の治療のために治療的肥満外科手術を受けた対象において測定した。

0120

この第1の研究群は、26人の病的肥満対象(21人の女性および5人の男性、47±8歳、BMI=50.8±7.1kg/m2)を含み、彼らのベータ細胞機能は、Roux−en−Y胃バイパス手術前および手術の1年後、OGTTに基づく指数を用いて決定された。これらの対象においてベータ細胞機能は増加すると、2−ヒドロキシ酪酸塩レベルが減少した。多くの対象では、ベータ細胞機能は体重減少前に向上し、2−ヒドロキシ酪酸塩レベルは肥満手術後に減少し、この減少は、体重減少後とともにより顕著であった。

0121

第2の研究において、バイオマーカーおよびベータ細胞機能が、Roux−en−Y胃バイパス手術または胆転換(BPD)手術を受けている対象において判定された。結果を図1に示し、これは、AHB(上)とL−GPC(下)との関係を示し、そして、2つの技法である、Roux en YバイパスまたはBPD技法のいずれか1つによって肥満手術を受けた個体において、どのようにこれらのバイオマーカーが変化するかを示す。両方のタイプの治療的外科手術は、ベータ細胞グルコース感受性指数によって評価されるように、ベータ細胞機能の増加をもたらす。結果を図1、上パネルに示す。手術後のベータ細胞機能の改善と一致して、2−HBのレベルは、図1、中パネルに示されるように、治療的外科手術後に減少した。さらに、L−GPCのレベルは、図1、下パネルに示されるように、治療的外科手術後に増加した。

0122

ベータ細胞バイオマーカーを用いたピオグリタゾン(PIO)療法に応答したベータ細胞の変化の監視
別の研究では、薬物療法後のIS/IRの処分指数の変化とベータ細胞機能バイオマーカーAHBおよびLGPCのレベルの変化との間の関係が判定された。研究コホートは、ピオグリタゾン(45mg/日)またはプラセボ無作為化され、2.4年間追跡された431人のIGTの対象(FPG=105、2時間PG[OGTT]=168、HbA1C=5.5%)から成った。AHB、LGPC、インスリン、HbA1c、およびMatsuda指数に対して、ベースラインおよび研究終了時に、空腹時血漿サンプルを分析した。AHBレベルの変化は、薬物療法に応答した患者に対してPIOに応答して減少し、応答せず、2型糖尿病になった対象において増加した。L−GPCのレベルは、薬物療法に応答した患者に対してPIOに応答して増加し、応答せず、2型糖尿病になった対象において減少した。データを表3に示す。Matsuda指数との相関は、AHBに対して−0.178(p<0.005)であり、LGPCに対して0.127(p=0.009)であった。

0123

実施例5:LC−MS−MSによるヒト血漿中のバイオマーカーのレベルの測定のための標的アッセイ
EDTAヒト血漿中の、表4に記載されるバイオマーカーのそれぞれを測定するための方法を展開した。ヒト血漿サンプルを内部標準でスパイクし、以下に記載されるようにタンパク質沈殿させた。遠心分離後、上清を除去し、4つの異なるクロマトグラフィーシステムカラム移動相の組み合わせ)を使用してWaters Acquity/Thermo Quantum Ultra LC−MS−MSシステムに注入した。

0124

それぞれの親イオンまたは生成物イオンピーク面積をそれぞれの内部標準親イオンまたは生成物イオンのピーク面積に対して測定した。それぞれの実行の直前に調製された補強較正標準から生成された加重線最小二乗回帰分析を使用して定量を実施した。

0125

96ウェルプレートの個々のウェルに研究サンプルを加えることによってサンプルを調製した。さらに、較正、空のサンプル、空のISサンプル、および品質管理サンプルも96ウェルプレートに含めた。混合較正スパイキング溶液を水に加えることによって較正標準を調製した。様々な化合物に対する較正標準標的濃度を表5Bに示す。次いで、アセトニトリル/水/エタノール(1:1:2)をウェルのそれぞれに加え、混合内部標準希釈標準溶液を研究サンプルのそれぞれ、ならびに対照、較正標準、および空のISサンプルに加えた。メタノールをそれぞれのサンプルに加え、少なくとも2分間激しく振り、数回にわたって逆さにして、適切な混合物を確保した。次いで、サンプルを、透明な上層が生成されるまで室温で5分間、3000rpmで遠心分離した。透明な有機性の上清を清浄オートサンプラーバイアルに移し、以下に与えられるようにLC−MS−MSによる分析に使用した。
LC−MS−MSの計器条件:
化合物セット1(パルミテート(16:0)、ドコサテトラエン酸、オレエート(18:1(n−9))+1359、ステアレート(18:0)、マルガレート(17:0)、リノレエート(18:2(n−6))、リノレネート(18:2(n−6))、パミトレン酸、シス−10−ヘプタデセン酸):




標的ニードル洗浄手順
溶媒洗浄には0.500mLの標的洗浄量イソプロパノールを使用し、弱溶媒洗浄後洗浄には水を使用する。
化合物セット2(2−ヒドロキシ酪酸塩、3−メチル−2−オキソ酪酸塩、3−ヒドロキシ酪酸塩):




標的ニードル洗浄手順
強溶媒洗浄には0.500mLの標的洗浄量のイソプロパノールを使用し、弱溶媒洗浄後洗浄には水を使用する。
化合物セット3(リノレオイル−リゾ−GPC、オレオイル−リゾ−GPC、パルミトイル−リゾ−GPC、ステアロイル−リゾ−GPC、オクタノイルカルニチン、デカノイルカルニチン、クレアチン、セリン、アルギニン、グリシン、ベタイン、グルタミン酸、トレオニン、トリプトファン、ガンマ−グルタミル−ロイシン、グルタミル−バリン):




標的ニードル洗浄手順
強溶媒洗浄には0.500mLの標的洗浄量のイソプロパノールを使用し、弱溶媒洗浄後洗浄には水を使用する。




標的ニードル洗浄手順
強溶媒洗浄には0.500mLの標的洗浄量のイソプロパノールを使用し、弱溶媒洗浄後洗浄には水を使用する。

0126

実施例6:ベータ細胞機能(グルコース感受性)におけるAHBおよびLGPCの効果
細胞培養
親ラットインスリノーマINS−1細胞株(University of Geneva,Geneva,Switzerland)から由来し、選択されるクローンINS−1e細胞を、11.1mMのグルコースを含有するRPMI1640培地中の単層培養において増殖した。培養培地に、10%の加熱不活性化ウシ胎仔血清、1mMのピルビン酸ナトリウム、10mMのHEES、2mMのグルタミン、50μmol/リットルのβ−メルカプトエタノール、100U/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンを添加した。細胞を、加湿した95%空気−5%CO2雰囲気下で、37℃で培養した。インスリン分泌実験において使用する少なくとも96時間前に、細胞を、1.5×105細胞/ウェルの密度でウェルに播種した。組織培養試薬は、Life Technologies,Inc.Invitrogen(Basel,Switzerland)から得た。

0127

グルコースに対するインスリン分泌応答を、INS−1e細胞において試験した。細胞が約80%のコンフルエンスに達したとき、異なる生理学的濃度の代謝産物のアルファ−ヒドロキシ酪酸塩(2−HB)(Sigma−Aldrich)およびリノレオイルグリセロリン酸コリン(L−GPC)(Avanti Polar Lipids)の存在または不在下で、細胞を、11.1mMのグルコースを含有する新たなRPMI1640培地内で48時間インキュベートした。次に、細胞を、135mmのNaCl、3.6mmのKCl、5mmのNaHCO3、0.5mmのNaH2PO4、0.5mmのMgCl2、1.5mmのCaCl2、10mmのHEPES、およびBSA0.1%を含有する無グルコースKrebs−Ringer重炭酸塩HEPES緩衝液(無グルコース、pH7.4、飢餓期間)中で、1時間維持し、次いで、無グルコースKrebs−Ringer重炭酸塩HEPES緩衝液で洗浄し、続いて、3.3、11、20mMのグルコース、または20mMのグルコース+10mMのアルギニンを含有するKrebs−Ringer重炭酸塩HEPES緩衝液で、60分間インキュベートした。インキュベートの終了時に、上清を採取して、インスリン濃度(Linco Research,St.Charles,MO)を測定した。細胞インスリン量を、酸エタノール抽出法において測定した。グルコースに対するインスリン分泌応答は、細胞インスリン量に対する上清中のインスリン濃度の比として表された。これらの実験の結果は、AHBの添加が、特に、AHBのより高いレベルで、ベータ細胞からのグルコース刺激インスリン放出を抑制したことを示した。対照的に、LGPCの添加は、ベータ細胞からのグルコース刺激によるインスリン放出を刺激し、この刺激効果は、LGPCの最高レベルで、最も明白であった。分析の結果のグラフ表示図2に示す。

0128

また、ヒトベータ細胞株を用いて記載されるように、これらの実験を実施し、最高濃度のAHBを用いて同様の結果を得た。

0129

本発明を詳細に、かつその具体的な実施形態を参照しながら説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を加えることがなされ得ることが当業者には明白であろう。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ