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図面 (7)

課題・解決手段

細胞(3)が支持体面(2)と基板(5)の凹凸面(6)との間に拘束され、前記凹凸面(6)が、繰返し軸(X)に従って繰り返す繰返しパターンを有する異方性3次元構造体(8)を有し、前記繰返しパターンが、繰返し軸(X)に従って互いに隣接する一連誘導空間(15)を有し、前記誘導空間(15)のそれぞれが、異方性の方向(A1)に細胞(3)の移動を誘導するために、細胞(3)のうちの1個の少なくとも一部分を受け入れることができると共に、異方性の方向(A1)に一致して向けられている、誘導デバイス(1)。

概要

背景

細胞遊走は、器官形成または創傷治癒などの多くの生理学的プロセスに不可欠である。これらの自然環境では、細胞遊走の方向および速度は多くのシグナルによって導かれ、このシグナルは、化学的なもの(ケモカイン)であることも物理的なもの(微小環境)であることもある。

これらの現象は、インビトロで、例えば化学誘引物質もしくは電界を使用することによって、または細胞機械的環境を調節することによって再現させて、または向きを変えて、ある方向の遊走を細胞に強制することができる。

例えば、欧州特許出願公開第1199354号には、細胞遊走を化学的に制御することにより面上で細胞のパターンを形成することが開示されている。欧州特許出願公開第1199354号では、この面が処理されて、細胞成長を促進する化合物、および細胞成長を促進しない他の化合物から成る事前作成パターンが得られる。次に、細胞培養がこの事前作成パターン上で開始される。しかし、このようなシステムによる細胞遊走の制御の有効性は主に、培養細胞性質に応じて細胞成長を促進または阻止する化合物の選択によって決まる。

米国特許出願公開第2007/0009572号には、幅が10μmから160μmまで変化することができ、筋肉細胞堆積されるチャネルを備える、マイクロまたはナノスケール凹凸付き(micro- or nanotextured)生分解性フィルムを調製する方法が記載されている。試験では、筋肉細胞が互いにチャネルに沿って整列され、その形態が細長い形を呈するように変化することが示される。この方法の目的は、好ましい方向に細胞を遊走させることではなく、細胞が互いに整列することを助長して規則的な細胞スタックを得ることである。

米国特許出願公開第2009/02481445号にもまた、1つまたは一連マイクロチャネルを備える面を使用して3次元構造体の形に細胞の向きを誘導する方法が記載されているが、これらのマイクロチャネルは互いに平行であり、細胞が中に入ることができるように幅が細胞よりも大きく、また任意の断面を有する。前の文書と同様に、この方法の目的は、好ましい方向に細胞を遊走させることではなく、細胞が互いに整列しやすくすることである。

Mahmudらは(Nature Physics、2009年、4、606頁)、細胞遊走を誘導するための接着性ラチェット形パターンを提案している。観察される効果は、チャネルの接着性部分と基板非接着性部分との間の接着性の差に基づいており、そのため、接着性領域非接着性領域の間の差の特性が時間と共に劣化すると、細胞遊走の誘導はもはや観察されなくなる。加えて、チャネル内の直線形またはラチェット形の接着物は、これらの接着性パターン上で(すなわち3次元空間内の単一次元で)細胞を保持しているだけであり、例えば、2次元面での組織構成を可能にするものではない。最後に、Mahmudらの文書に記載されたパターンは、細胞を乗せる面が形成する平面に対し常に直角である。

細胞遊走の自然現象の方向を変えるためのこれらの方法にはまた、インビボの用途がありうる。

米国特許出願公開第2009/0093879号には、マイクロメートルまたはナノメートルの3次元パターンを表面に有する移植片が提案されている。これらのパターンにより、移植片が生物体に入れられたときに、微生物または線維芽細胞の付着を移植片の表面に制限することが可能になり、それによって創傷治癒を改善することができる。米国特許出願公開第2009/0093879号には、表面のマイクロまたはナノ構造体により、治癒過程を開始する細胞を誘導することができ、それによって、これらの細胞が移植片の表面に規則正しく組織化することが可能になると示唆されている。

しかし、所与の方向に細胞遊走を制御することにはまた、傷の表面に向けて細胞が導かれる遊走、または組織工学における人工臓器の生成などの、移植片周辺の細胞の強制組織化を伴わない医療用途もありうる。

概要

細胞(3)が支持体面(2)と基板(5)の凹凸面(6)との間に拘束され、前記凹凸面(6)が、繰返し軸(X)に従って繰り返す繰返しパターンを有する異方性3次元構造体(8)を有し、前記繰返しパターンが、繰返し軸(X)に従って互いに隣接する一連の誘導空間(15)を有し、前記誘導空間(15)のそれぞれが、異方性の方向(A1)に細胞(3)の移動を誘導するために、細胞(3)のうちの1個の少なくとも一部分を受け入れることができると共に、異方性の方向(A1)に一致して向けられている、誘導デバイス(1)。

目的

前の文書と同様に、この方法の目的は、好ましい方向に細胞を遊走させることではなく、細胞が互いに整列しやすくすることである

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
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請求項1

細胞遊走の誘導デバイス(1)であって、細胞(3)が供給される支持体面(2)、および基板(5)を備え、前記基板(5)が、前記細胞(3)が前記支持体面(2)と凹凸面(6、6'、6")との間で拘束されるように、前記支持体面(2)と向かい合わせにして、かつ前記支持体面(2)上に配置された前記細胞(3)と接して設置された前記凹凸面(6、6'、6")を有し、前記凹凸面(6、6'、6")が、繰返し軸(X)に沿って繰返しパターン提示する異方性3次元構造体(8、8'、8")を有し、前記繰返しパターンが、互いに隣接する一連誘導空間(15、25、35)を前記繰返し軸(x)に沿って有し、前記誘導空間(15、25、35)のそれぞれが、異方性の方向(A1、A2、A3a、A3b)に前記細胞(3)の移動を誘導するために、前記細胞(3)のうちの1個の少なくとも一部分を受け入れることができると共に前記異方性の方向(A1、A2、A3a、A3b)に向けられている、誘導デバイス。

請求項2

前記凹凸面(6、6'、6")がベース面(7)を有し、前記異方性3次元構造体(8、8'、8")が誘導面の複数の対を含み、前記誘導面の対が、前記繰返し軸(X)に沿って互いに隣接し、前記繰返しパターンを画定し、各対が、前記ベース面(7)から互いに向かい合って延びる第1の誘導面(14、24、34)および第2の誘導面(16、26、36)を含み、これらの面の間に前記誘導空間(15、25、35)の1つが画定される、請求項1に記載の誘導デバイス(1)。

請求項3

前記異方性3次元構造体(8、8'、8")が、前記ベース面(7)から突き出る複数の誘導要素(10、20、30)を含み、前記誘導要素(10、20、30)が前記繰返し軸(X)に沿って互いに隣接し、それぞれが前記第1の誘導面(14、24、34)のうちの1つ、および前記第2の誘導面(16、26、36)のうちの1つを保持し、前記誘導要素(10、20、30)のうちの1つの要素の前記第1の誘導面(14、24、34)が、前記隣接する誘導要素(10、20、30)の前記第2の誘導面(16、26、36)と向かい合う、請求項2に記載の誘導デバイス(1)。

請求項4

前記第1の誘導面(14、24)と第2の誘導面(16、26)の各対が、前記繰返し軸(X)に沿って前記異方性の方向(A1、A2)が延びるように適合される、請求項2または3に記載の誘導デバイス(1)。

請求項5

誘導面の各対において、前記異方性の方向(A1、A2)が前記第1の誘導面(14、24)から前記第2の誘導面(16、26)への向きになるように、前記第1の誘導面(14、24)が、前記第2の誘導面(16、26)と反対の方向に前記細胞(3)が移動することを阻止するように適合され、前記第2の誘導面(16、26)が、前記第1の誘導面(14、24)と反対の方向に前記細胞(3)が移動することを可能にするように適合される、請求項4に記載の誘導デバイス(1)。

請求項6

前記第1の誘導面(14、24)が前記繰返し軸(X)と直角であり、前記第2の誘導面(16、26)が前記第1の誘導面(14、24)から遠くへ前記繰返し軸(X)に沿って延びる、請求項5に記載の誘導デバイス(1)。

請求項7

前記第2の誘導面(16)が前記ベース面(7)と直角であり、前記第1の誘導面 (14)の方に向けられた凹面を有する、請求項6に記載の誘導デバイス(1)。

請求項8

前記異方性3次元構造体(8)が、前記繰返し軸(X)に沿って隣接する三角形突起の複数の列(10)を含み、前記列(10)のそれぞれが、前記繰返し軸(X)と直角の横軸(Y)に沿って整合した少なくとも2つの突起(11)を含み、誘導空間のそれぞれが、三角形突起の前記列(10)のうちの1つの列の前記第1の誘導面(14)に形成される底辺(17)と、三角形突起の隣接する列(10)の第2の誘導面(16)に形成される頂点(18)とを有する実質的に三角形の空洞(15)を含む、請求項7に記載の誘導デバイス(1)。

請求項9

前記第1の誘導面(24)が前記繰返し軸と直角であり、前記第2の誘導面(26)が前記ベース面(7)と直角の平面に対し傾斜している、請求項6に記載の誘導デバイス(1)。

請求項10

前記第1の誘導面(34)と前記第2の誘導面(36)の各対が、前記繰返し軸(X)と直角の横軸(Y)に沿って前記異方性の方向(A3a、A3b)が延びるように適合される、請求項2または3に記載の誘導デバイス(1)。

請求項11

誘導面の各対において、前記第1の誘導面(34)および前記第2の誘導面(36)が、前記繰返し軸(X)のどちらかの方向に前記細胞(3)が移動することを阻止するように適合される、請求項10に記載の誘導デバイス(1)。

請求項12

前記異方性3次元構造体(8'')が、前記繰返し軸(X)に沿って隣接する複数の細長い突起(30)を含み、前記細長い突起(30)のそれぞれが前記横軸(Y)に沿って延び、それぞれの誘導空間が、前記細長い突起(30)のうちの1つの突起の前記第1の誘導面(34)と、前記隣接する細長い突起(30)の前記第2の誘導面(36)との間に溝(35)を含む、請求項11に記載の誘導デバイス(1)。

請求項13

前記誘導空間(15、25、35)が、最大寸法が前記第1の誘導面(14、24、34)と前記第2の誘導面(16、26、36)の間で測定して200μm未満であり、好ましくは100μm未満であり、具体的には、前記細胞(3)のサイズに実質的に相当し、例えば5μmから60μmの間であり、好ましくは15μmから30μmの間である、請求項2から12のいずれか一項に記載の誘導デバイス(1)。

請求項14

前記誘導空間(15、25、35)が、深さが200μm未満であり、好ましくは100μm未満であり、具体的には前記細胞(3)のサイズ未満であり、例えば6μm未満である、請求項2から13のいずれか一項に記載の誘導デバイス(1)。

請求項15

前記基板(5)が非接着性である、請求項1から14のいずれか一項に記載の誘導デバイス(1)。

請求項16

前記非接着性基板(5)が、フルオロポリマーなどの非接着性材料、またはポリエチレングリコール(PEG)分子を結合させるなどの化学処理によって非接着性にした材料から構成される、請求項15に記載の誘導デバイス(1)。

請求項17

前記基板(5)が接着性である、請求項1から14のいずれか一項に記載の誘導デバイス(1)。

請求項18

前記細胞(3)がその上を移動する前記支持体面(2)が、細胞培養表面(例えばゲル)、ガラススライド微小流体チャネルの内側などの人工表面、または前記細胞の、生体組織の表面または傷の表面などの自然環境表面である、請求項1から17のいずれか一項に記載の誘導デバイス(1)。

請求項19

前記支持体面(2)と前記凹凸面(6、6'、6")とが、0μmから10μmの間の間隔をあけて、好ましくは3μmから6μmの間の間隔をあけて配置される、請求項1から18のいずれか一項に記載の誘導デバイス(1)。

請求項20

前記支持体面(2)および前記凹凸面(6、6'、6")から選ばれた面のうちの少なくとも1つが、前記支持体面(2)と前記凹凸面(6、6'、6")との間の距離を制限するための少なくとも1つの追加突起を備える、請求項19に記載の誘導デバイス(1)。

請求項21

前記追加突起が、直径が100μmから500μmの間、高さが10μm未満で好ましくは3μmから6μmの間の柱の形をしている、請求項20に記載の誘導デバイス(1)。

請求項22

包帯材移植片人工器官人工組織支持体、微小流体チャネル、内蔵チャネルを有するラボオンチップの形で提供され、前記誘導デバイス(1)が好ましくは包帯材である、請求項1から21のいずれか一項に記載の誘導デバイス(1)。

請求項23

請求項1から22のいずれか一項に記載の誘導デバイス(1)を使用する、細胞遊走を誘導する方法であって、前記細胞(3)が前記支持体面(2)と前記凹凸面(6、6'、6")との間に拘束されるように、前記支持体面(2)上に置かれた前記細胞(3)を前記基板(5)の前記凹凸面(6、6'、6")と接触させ、前記細胞(3)が異方性の方向(Al、A2、A3a、A3b)に移動する、方法。

技術分野

0001

本発明は、細胞遊走を誘導するためのデバイス、およびこのようなデバイスを使用して細胞遊走を誘導する方法に関する。

0002

詳細には、本発明は、細胞遊走を誘導するための、細胞が供給される支持体面基板とを備えるデバイスに関し、前記基板は、支持体面と向かい合わせにして、かつ支持体面に置かれた細胞と接触して配置された凹凸面(textured surface)を有する。

背景技術

0003

細胞遊走は、器官形成または創傷治癒などの多くの生理学的プロセスに不可欠である。これらの自然環境では、細胞遊走の方向および速度は多くのシグナルによって導かれ、このシグナルは、化学的なもの(ケモカイン)であることも物理的なもの(微小環境)であることもある。

0004

これらの現象は、インビトロで、例えば化学誘引物質もしくは電界を使用することによって、または細胞の機械的環境を調節することによって再現させて、または向きを変えて、ある方向の遊走を細胞に強制することができる。

0005

例えば、欧州特許出願公開第1199354号には、細胞遊走を化学的に制御することにより面上で細胞のパターンを形成することが開示されている。欧州特許出願公開第1199354号では、この面が処理されて、細胞成長を促進する化合物、および細胞成長を促進しない他の化合物から成る事前作成パターンが得られる。次に、細胞培養がこの事前作成パターン上で開始される。しかし、このようなシステムによる細胞遊走の制御の有効性は主に、培養細胞性質に応じて細胞成長を促進または阻止する化合物の選択によって決まる。

0006

米国特許出願公開第2007/0009572号には、幅が10μmから160μmまで変化することができ、筋肉細胞堆積されるチャネルを備える、マイクロまたはナノスケール凹凸付き(micro- or nanotextured)生分解性フィルムを調製する方法が記載されている。試験では、筋肉細胞が互いにチャネルに沿って整列され、その形態が細長い形を呈するように変化することが示される。この方法の目的は、好ましい方向に細胞を遊走させることではなく、細胞が互いに整列することを助長して規則的な細胞スタックを得ることである。

0007

米国特許出願公開第2009/02481445号にもまた、1つまたは一連マイクロチャネルを備える面を使用して3次元構造体の形に細胞の向きを誘導する方法が記載されているが、これらのマイクロチャネルは互いに平行であり、細胞が中に入ることができるように幅が細胞よりも大きく、また任意の断面を有する。前の文書と同様に、この方法の目的は、好ましい方向に細胞を遊走させることではなく、細胞が互いに整列しやすくすることである。

0008

Mahmudらは(Nature Physics、2009年、4、606頁)、細胞遊走を誘導するための接着性ラチェット形パターンを提案している。観察される効果は、チャネルの接着性部分と基板の非接着性部分との間の接着性の差に基づいており、そのため、接着性領域非接着性領域の間の差の特性が時間と共に劣化すると、細胞遊走の誘導はもはや観察されなくなる。加えて、チャネル内の直線形またはラチェット形の接着物は、これらの接着性パターン上で(すなわち3次元空間内の単一次元で)細胞を保持しているだけであり、例えば、2次元面での組織構成を可能にするものではない。最後に、Mahmudらの文書に記載されたパターンは、細胞を乗せる面が形成する平面に対し常に直角である。

0009

細胞遊走の自然現象の方向を変えるためのこれらの方法にはまた、インビボの用途がありうる。

0010

米国特許出願公開第2009/0093879号には、マイクロメートルまたはナノメートルの3次元パターンを表面に有する移植片が提案されている。これらのパターンにより、移植片が生物体に入れられたときに、微生物または線維芽細胞の付着を移植片の表面に制限することが可能になり、それによって創傷治癒を改善することができる。米国特許出願公開第2009/0093879号には、表面のマイクロまたはナノ構造体により、治癒過程を開始する細胞を誘導することができ、それによって、これらの細胞が移植片の表面に規則正しく組織化することが可能になると示唆されている。

0011

しかし、所与の方向に細胞遊走を制御することにはまた、傷の表面に向けて細胞が導かれる遊走、または組織工学における人工臓器の生成などの、移植片周辺の細胞の強制組織化を伴わない医療用途もありうる。

0012

欧州特許出願公開第1199354号
米国特許出願公開第2007/0009572号
米国特許出願公開第2009/02481445号
米国特許出願公開第2009/0093879号

先行技術

0013

Mahmudら、Nature Physics、2009年、4、606頁

発明が解決しようとする課題

0014

したがって、検討される移動細胞の種類に有効性が依存せず、実施するのに簡単で、組織に対する侵襲性が最小限で、かつ長期にわたり堅牢なままである、細胞遊走を選択された方向に誘導するためのデバイスが必要とされている。

0015

細胞遊走の誘導とは、本願の意味では、細胞が他のどの方向でもなく1つの方向に遊走するように助長されることを言うと理解される。言い換えると、遊走を誘導することにより、検討される方向における遊走対称性破壊される。細胞遊走を「誘導すること」は細胞遊走を「方向づけること」とは異なり、後者では、細胞が反対の2つの方向に優先的に、これらの方向の一方が他方よりも好まれることなく遊走する。

課題を解決するための手段

0016

この目的のために、本発明は、細胞が供給される支持体面と基板とを備える、細胞遊走を誘導するためのデバイスを提案する。前記基板は、細胞が支持体面と凹凸面との間で拘束されるように、支持体面と向かい合わせにして、かつ支持体面上に配置された細胞と接して配置された凹凸面を有し、前記凹凸面は、繰返し軸に沿って繰返しパターン提示する異方性3次元構造体を有し、前記繰返しパターンは、互いに隣接する一連の誘導空間を繰返し軸に沿って有し、前記誘導空間のそれぞれは、異方性の方向に細胞の移動を誘導するために、細胞のうちの1個の少なくとも一部分を受け入れることができると共に異方性の方向に向けられている。

0017

したがって、本発明による誘導デバイスでは、拘束された細胞が受け入れられると共に、使用される細胞の種類にかかわらず好ましい方向に細胞が移動する特定の構造体を用いて、細胞遊走を制御することができる。この誘導デバイスは、凹凸面を支持体面に当てることに依拠しているので、侵襲性が最小限になる。最後に、誘導デバイスは、成形によって量産時に実施できる、単純に表面に凹凸を付けるということによって簡単に得ることができる。

0018

さらに、細胞を強制的に整列させるチャネルまたはマイクロチャネルを記載する従来技術の文書とは異なり、本発明では細胞を異方性の方向に誘導し、それによって、所与の面による組織構成に適合した平面にネットワークが形成される。

0019

本発明による誘導デバイスには、皮膚科学移植、または組織工学の分野に用途がある。

0020

「異方性構造体」または「異方性形状を有する構造体」という語は、本願の目的に関しては、その形状に所与の軸に沿った異方性の確定された方向がある構造体のことを意味すると理解される。本発明において、異方性構造体の異方性の方向とは、具体的には細胞遊走の好ましい方向のことである。

0021

凹凸面はベース面を含むことができ、異方性3次元構造体は誘導面の複数の対を含むことができ、前記誘導面の対は、繰返し軸に沿って互いに隣接し、繰返しパターンを画定し、各対は、ベース面から互いに向かい合って延びる第1の誘導面および第2の誘導面を含み、これらの面の間に誘導空間の1つが画定される。

0022

具体的には、異方性3次元構造体は、ベース面から突き出る複数の誘導要素を含むことができ、前記誘導要素は繰返し軸に沿って互いに隣接し、それぞれが第1の誘導面のうちの1つ、および第2の誘導面のうちの1つを保持し、誘導要素のうちの1つの要素の第1の誘導面は、隣接する誘導要素の第2の誘導面と向かい合う。

0023

一実施形態では、第1の誘導面と第2の誘導面の各対が、繰返し軸に沿って異方性の方向が延びるように適合される。誘導面の各対において、異方性の方向が第1の面から第2の面への向きになるように、第1の誘導面は、この場合、第2の誘導面と反対の方向に細胞が移動することを阻止するように適合させることができ、第2の誘導面は、第1の誘導面と反対の方向に細胞が移動することを可能にするように適合させることができる。これを実現するために、第1の誘導面は、繰返し軸に対して直角にすることができ、第2の誘導面は、第1の誘導面から遠くへ繰返し軸に沿って延びることができる。

0024

具体的には、第1の変形形態では、第2の誘導面は、ベース面に対して直角にすることができ、また第1の誘導デバイスの方に向けられた凹面を有することができる。例えば、異方性3次元構造体は、繰返し軸に沿って隣接する三角形突起の複数の列を含むことができ、前記列のそれぞれが、繰返し軸と直角の横軸に沿って整合した少なくとも2つの突起を含み、誘導空間のそれぞれが、三角形突起の列のうちの1つの列の第1の誘導面に形成される底辺と、三角形突起の隣接する列の第2の誘導面に形成される頂点とを有する実質的に三角形の複数の空洞を含む。

0025

第2の変形形態では、第1の誘導面は繰返し軸に対して直角にすることができ、第2の誘導面はベース面と直角の平面に対し傾斜させることができる。

0026

別の実施形態では、第1の誘導面と第2の誘導面の各対は、繰返し軸と直角の横軸に沿って異方性の方向が延びるように適合される。誘導面の対のそれぞれにおいて、第1の誘導面および第2の誘導面は、この場合、繰返し軸の1つの方向またはもう1つの方向に細胞移動を阻止するように適合させることができる。具体的には、異方性3次元構造体は、繰返し軸に沿って隣接する複数の細長い突起を含むことができ、前記細長い突起のそれぞれが横軸に沿って延び、それぞれの誘導空間は、細長い突起のうちの1つの突起の第1の誘導面と、隣接する細長い突起の第2の誘導面との間に溝を含む。

0027

さらに、誘導空間は、最大寸法が第1の誘導面と第2の誘導面の間で測定して200μm未満であり、好ましくは100μm未満であり、具体的には、細胞のサイズに実質的に相当し、例えば5μmから60μmの間であり、好ましくは15μmから30μmの間であるものでよい。誘導空間はまた、深さが200μm未満であり、好ましくは100μm未満であり、具体的には細胞のサイズ未満であるものでよく、例えば6μmでよい。

0028

基板は非接着性とすることができる。この場合、非接着性基板は、フルオロポリマーなどの非接着性材料、またはポリエチレングリコール(PEG)分子を結合させるなどの化学処理によって非接着性にした材料から構成することができる。非接着性凹凸面、すなわち細胞が接着できない面は、したがって、細胞を破壊する危険を伴わずに取り外すことができる。

0029

変形形態として、基板は接着性とすることができる。

0030

加えて、細胞がその上を移動する支持体面は、細胞培養表面(例えばゲル)、ガラススライド微小流体チャネルの内側などの人工表面、または前記細胞の、生体組織の表面または傷の表面などの自然環境表面とすることができる。

0031

支持体面と凹凸面とは、0μmから10μmの間の間隔をあけて、好ましくは3μmから6μmの間の間隔をあけて配置することができる。

0032

支持体面および凹凸面から選ばれた面のうちの少なくとも1つは、支持体面と凹凸面との間の距離を制限するための少なくとも1つの追加突起を備えることができる。具体的には、追加突起は、直径が100μmから500μmの間、高さが10μm未満で好ましくは3μmから6μmの間の柱の形とすることができる。

0033

個別の用途に応じて、誘導デバイスは、包帯材、移植片、人工器官人工組織支持体、微小流体チャネル、内蔵チャネルを有するラボオンチップの形で提供することができ、前記誘導デバイスは、好ましくは包帯材である。

0034

別の実施形態では、本発明は、上で定義された誘導デバイスを使用する、細胞遊走を誘導する方法を提案し、前記誘導方法では、細胞が支持体面と凹凸面との間に拘束されるように、支持体面上に置かれた細胞を基板の凹凸面と接触させ、細胞が異方性の方向に移動する。

0035

本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例を用いて示される本発明の具体的な諸実施形態について添付の図面を参照して行われる、以下の説明から明らかになろう。

図面の簡単な説明

0036

細胞遊走誘導デバイスの基板の第1の実施形態の斜視図であり、基板は、繰返し軸に沿って隣接する一連の三角形誘導空洞を画定する三角形突起の複数の列を備えた凹凸面を有し、その誘導空洞は、支持体面に乗せられた細胞の動きを繰返し軸の一方向に誘導するように適合されている。
凹凸面が誘導デバイスの支持体面と向かい合わせに配置されている、図1の基板の上面図であり、支持体面と基板の凹凸面との間の細胞の移動を示す。
図2にIIIと表された細部の、細胞移動の方向に沿った斜視図である。
図4Aは、三角形突起の下で拘束された細胞の位相差像であり、図4Bは、細胞遊走の方向に誘発された偏りを示すヒストグラムである。
図1の第1の実施形態の変形形態による基板を備える誘導デバイスの断面図であり、基板は、繰返し軸に沿って隣接する一連の誘導溝を画定する複数の細長い突起を備えた凹凸面を有し、誘導溝は、支持体面によって運ばれる細胞の移動を繰返し軸の方向のうちの一方に誘導する。
細胞遊走誘導デバイスの基板の第2の実施形態の斜視図であり、基板は、繰返し軸に沿って隣接する一連の誘導溝を画定する複数の細長い突起が付いた凹凸面を有し、誘導溝は、支持体面によって運ばれる細胞の移動を繰返し軸に対し直角の軸の方向のうちの一方に誘導する。
凹凸面が誘導デバイスの支持体面と向かい合う、図1の基板の上面図であり、支持体面と基板の凹凸面との間の細胞の移動を示す。

実施例

0037

図では、同一または類似の要素を表わすのに同じ参照符号が使用されている。

0038

各図は、細胞3が供給される支持体面2と、細胞の移動を1つの軸に沿って、好ましい軸の2つの方向のうちの一方に誘導するのに適した基板5とを備える、細胞遊走誘導デバイス1を示す。

0039

好ましい一実施形態によれば、基板5は、以下の説明から明らかになるように、細胞を損傷せずに基板5を支持体面2から取り外すことができるように接着性ではない(すなわち細胞は基板5に付着できない)。このような非接着性基板5は汚損防止基板とも呼ばれる。

0040

基板5の非接着性は、タンパク質吸収能力が低く細胞接着能力が低い、概して炎症反応を制限する基板5に対応する。

0041

非接着性基板5に適した非接着性材料は、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))の場合のように超疎水性でも、ポリアクリルアミド(PAM)またはポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)などのゲルでもよい。

0042

あるいは、非接着性基板5は、化学処理によって非接着性にした材料から構成されてもよい。

0043

基板5を非接着性にする化学処理には、例えば、基板上にゲル(例えばポリエチレングリコール(PEG))の単分子層接合することが含まれてよく、例えばシラン化されたPEGを酸化物上に、またはチオール化されたPEGを金属上に、または静電相互作用による永続する吸着能力を与えるために高分子電解質と結合したPEGを基板5上に、接合ポリリシン-PEG(PLL-PEG)の場合のように接合することが含まれてよい。

0044

非接着性材料は、フルオロポリマーであること、または分子(例えばポリエチレングリコール(PEG)分子)を結合させるなどの化学処理によって非接着性にした材料であることが好ましい。

0045

しかし、基板5は、誘導デバイス1が使用される特定の用途に応じて接着性とすることもできる。

0046

接着性基板5に適した接着性材料は、場合により細胞接着促進剤で処理された親水性または疎水性材料とし、以下から選択することができる。
-生体適合性プラスチック:例えば、細胞培養で一般に使用されるポリスチレン(PS)、ラボオンチップに使用されるポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーンポリマー、包帯材の製造に使用されるスチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)などのブロックコポリマーのゲル、または生分解性で移植片もしくは人工組織の支持体として使用できる乳酸グリコール酸共重合体およびポリ乳酸(PLGA、PLA:親水性)。これらのプラスチックの中には、有利に酸素プラズマ励起してその親水性を増大させ、細胞接着を促進できるものもある。
- 概して親水性の、金属酸化物または金属窒化物などのセラミック(例えば、ガラス(SiO2)、窒化ケイ素(Si3O4)、二酸化チタン(TiO2)その他)。これらの材料は細胞培養、ラボオンチップまたは移植片で使用される。これらの材料は、有利に酸素プラズマ励起によって活性化してその親水性を増大させ、細胞接着を促進することができる。
- 金、白金パラジウムなどの不活性金属、または移植片で使用されるクロムもしくはチタンなどの酸化表面もしくは窒化表面が安定である金属。有利なことに、これらの金属は、チオール類の分子で処理して、その細胞接着の能力を増大させることも低減させることもできる。

0047

支持材料を化学的に処理して細胞接着を促進することもまた可能である。以下を使用することができる。
-静電相互作用によって酸化面(自然酸化によるもの(例えば酸化物)、または表面の酸素プラズマ活性化により人為的に形成したもの)に強く吸着する荷電ポリマー(高分子電解質):例としてポリリジン(PLL)またはポリオルニチン(PORN)が含まれる。または、
-細胞接着タンパク質(インテグリン)もしくは細胞外マトリックスタンパク質(フィブロネクチンラミニンコラーゲン)、またはこれらのタンパク質を模したRGDパターン(アルギニン-グリシン-アスパラギン酸)などのペプチド

0048

本発明の範囲内で、細胞運動性を最適化するように基板5との細胞接着性を調整することもまた可能である。基板5との細胞接着のレベルは、接着性分子と非接着性分子のレシオメトリック合物で基板を処理することによって調整することができる。例えば、pLL-PEGとpLL-PEG-RGDの混合物、またはpLL-PEGとフィブロネクチンの混合物を使用することができる。

0049

基板5は、ベース面7と、図1には見えるが図2および図3ではベース面7に想像線で示されている、異方性3次元構造体8とを有する凹凸面6を提示する。異方性3次元構造体8は、ベース面7と直角の垂直軸Zに沿ってベース面7から突き出る複数の誘導要素を備える。誘導要素は、垂直軸Zと直角の繰返し軸Xに沿って互いに隣接するようにベース面7に配列される。各図で、基板5は、基板5の各要素の向きおよび相対的位置付けを明確にするために、対応する軸の描写と共に平坦に表されている。上記から明らかなように、また以下の、特に誘導デバイス1の適用例についての説明から明らかになるように、基板5は変形可能であり、表された平坦な構成以外の任意の構成を有することができる。

0050

図1〜図3に示された第1の実施形態では、それぞれの誘導要素は三角形突起の列10の形である。それぞれの列10は、繰返し軸Xおよび垂直軸Zと直角の横軸Yに沿って並べられた5つの三角形突起11を含む。他の実施形態では、各列10は、2つ、3つ、4つ、または5つより多い三角形突起11を含むことができる。

0051

各三角形突起11は、底辺12および頂点13を有する。各列10において、底辺12は、ベース面7および繰返し軸Xと直角の第1の誘導面14を形成し、頂点13は、ベース面7と直角であると共に、連続した凹面を提示して一列の歯を作る第2の誘導面16を形成する。

0052

三角形突起の列10のうちの1つの第1の誘導面14は、三角形突起の隣接する列10の第2の誘導面16と向かい合う。さらに、隣接する2つの列10の各三角形突起11は、整合した底辺12と頂点13を有する。したがって、三角形突起の各列10は、繰返し軸Xに沿って隣接する誘導面の複数の対を形成し、この繰返し軸Xに沿って繰返しパターンを画定する。

0053

誘導面の対のそれぞれは、第1の誘導面14の1つと、それと向かい合う第2の誘導面16とを含み、それによってこれらの面の間に誘導空間が形成される。第1の実施形態では、誘導部は実質的に三角形の複数の空洞15を含み、それぞれが、三角形突起の列10のうちの1つの第1の誘導面14に形成される底辺17と、隣接する三角形突起の列10の第2の誘導面16に形成される頂点18とを有する。具体的には、それぞれの空洞15ごとに、底辺17は、列10のうちの1列の2つの三角形突起11の底辺12の部分によって形成され、頂点18は、隣接する列10の2つの三角形突起11の、互いに集まる2つの横壁によって形成される。その場合繰返しパターンは、繰返し軸Xに沿って一連の空洞15を提示する。

0054

各空洞15は、細胞3のうちの1個の少なくとも一部分を受け入れるように適合される。空洞15は最大寸法が、第1の誘導面14と第2の誘導面16の間で測定して200μm未満であり、好ましくは100μm未満である。有利には、空洞15は、最大寸法が実質的に細胞3のサイズに相当し、例えば5μmから60μmの間であり、好ましくは15μmから30μmの間である。さらに、空洞15は、深さがベース面7に対し直角に測定して200μm未満であり、好ましくは100μm未満である。有利には、空洞15は、深さが細胞3のサイズ未満であり、例えば20μm未満、さらには6μm未満である。例えば、各空洞15は2μmの深さを有し、辺Bが32μmある正三角形の形状であり、これより、27.71μmが第1の誘導面14と第2の誘導面16の間の最大距離になる。

0055

図示の実施形態では、各三角形突起11は同じ列10内で、また隣接する2つの列10の間で互いに接触しているように表されている。しかし、空洞15のサイズを調整するために各三角形突起11の間に空隙を設けてもよい。加えて、各列10は複数の空洞15を備えて表されているが、各列10が1つの空洞15を備えるだけでもよい。

0056

このような3次元構造体は、例えばフォトリソグラフィによって、任意選択エッチングステップを後に続けて、または任意の微細加工法によって実現することができる。

0057

上述の基板5が使用される細胞遊走を誘導する方法を次に、図2および図3との関係で説明する。

0058

基板5の凹凸面6は、細胞3が支持体面2と凹凸面6との間で拘束されるように、支持体面2と向かい合わせにして、かつ支持体面2上に配置された細胞3と接して設置される。細胞3が拘束されることにより、細胞の誘導が、特に細胞3を運ぶ基板5が接着性ではない場合にさらに強化される。

0059

支持体面2と凹凸面6とは、0μmから10μmの間の間隔をあけて配置されるが、好ましくは、細胞の遊走を可能にするために拘束後の細胞3の厚さが少なくとも3μmから6μmになるように、3μmから6μmの間の間隔をあけて配置される。基板5のベース面7は、支持体面2から距離D(例えば5μm)のところに配置され、三角形突起11は支持体面2から、ベース面7と支持体面2の間の距離Dよりも小さい距離(例えば3μm)のところに配置される。

0060

細胞3が上に存在する支持体面2は、細胞培養表面(例えばゲル)、ガラススライド、微小流体チャネルの内側などの人工表面でも、前記細胞の、生体組織の表面または傷の表面などの自然環境表面でもよい。

0061

細胞が、支持体面2を持ち約20kPaより大きい剛性を有する支持体で運ばれる場合、本発明においては、支持体面2および凹凸面6から選ばれた面の少なくとも1つが、支持体面2と凹凸面6との間の距離を制限するための少なくとも1つの追加突起を備え、それによって細胞3の損傷を回避することが望ましい。これらの突起の高さは、それが配置される面から測定される。追加突起は、直径が100μmから500μmの間であり、高さが10μm未満で好ましくは3μmから6μmの間の、いずれにしても拘束後の細胞3の厚さが少なくとも3から6μmの間になるような高さである、1つまたは複数の柱の形とすることができる。

0062

逆に、支持体面2を持つ「柔らかい」支持体によって細胞が運ばれる場合、すなわち支持体の剛性が約20kPa未満である、具体的には100Paから20kPaの間である、好ましくは500Paから10kPaの間である場合、支持体面2が、細胞3を基板によって破壊しないようにするのに十分なだけ「柔らかい」ので、支持体面2は追加突起を有する必要がない。すなわち細胞3が、支持体面2を変形することによってその拘束空間を画定する。これらの「柔らかい」支持体は、剛性が低いゲルまたは細胞層である。使用されるゲルは、ポリアクリルアミド(PAM)またはポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)などの人工起源のゲルでも、コラーゲン、マトリゲル、またはヒアルロン酸(HA)などの自然発生のゲルでもよい。これらのゲルの剛性は、ゲルの組成および架橋結合条件によって調整することができる。

0063

各空洞15は、その第2の誘導面16が繰返し軸Xに沿って第1の誘導面14から遠くへ延びるが、繰返し軸Xに平行であると共に第1の誘導面14から第2の面16に一方向に伸びる異方性の方向A1に沿った向きになっている。

0064

各空洞15において、第1の誘導面14は、第2の誘導面16と反対の方向に細胞3が移動することを阻止するように適合され、第2の誘導面16は、第1の誘導面14と反対の方向に細胞3が移動することを可能にするように適合されている。

0065

その場合空洞15は、支持体面2によって運ばれる細胞3の移動を異方性の方向A1に、底辺17から空洞15の頂点18に向かう繰返し軸Xの方向に沿って誘導する。

0066

図4Aは、三角形突起11の下で拘束された細胞の位相差像である。図4Aの明るい三角形は空洞15を表し、三角形突起11は暗い三角形で示されている。図4Bは、遊走の24時間後の、上述の構造体の下に拘束された167個の細胞の遊走の方向において誘発した偏りを示すヒストグラムである。図4Aおよび4Bで、矢印は三角形空洞15の各点の方向を示す。

0067

ヒストグラムは、空洞15が向けられている方向と一致する遊走の好ましい方向を示す。

0068

説明したばかりの誘導方法では凹凸面6を利用するが、この凹凸面は、3次元構造体8すなわち凹凸が、細胞3が一方の方向(ここでは、第2の誘導面16向け)に圧力をかけることが、もう一方の方向(ここでは、第1の誘導面14向き)にかけるよりも容易にできるように、または細胞3が一方の方向(ここでは、第1の誘導面14向け)に密着することが、もう一方の方向(ここでは、第2の誘導面16向き)に密着するよりも容易にできるように、または細胞3が一方の方向(ここでは、第2の誘導面16向け)に変形することが、もう一方の方向(ここでは、第1の誘導面14向き)に変形するよりも容易にできるように、異方性の方向A1と呼ばれる方向に偏っている。細胞3と基板5の間の相互作用のこのような異方性が、ブラウンラチェットと呼ばれる構造体上でモデル化される上述の好ましい遊走方向を誘発する。

0069

上述の実施形態では、異方性の方向A1は、第1の誘導面14と向かい合うと共に互いに集まる2つのまっすぐな側壁によって形成される凹面によって確定される。しかし、誘導空間に他の形状を与えて、第1の誘導面14と向かい合う凹面を形成し、したがって、第1の誘導面14から第2の誘導面16へ伸びる繰返し軸Xに平行な異方性の方向A1を画定することもできる。例えば、この凹面は、丸みをつけることができ、具体的には互いに集まる2つの湾曲する側壁によって、または単一の湾曲する側壁によって形成することができる。

0070

本発明は、凹面を作り出して、繰返し軸Xに平行な異方性の方向A1を第1の誘導面14から第2の誘導面16へ向けることに限定されない。

0071

例えば、図5に表された変形形態では、誘導要素は、繰返し軸Xと直角の横軸Yに沿ってそれぞれが延びる細長い突起20として実施される。それぞれの細長い突起20は、繰返し軸Xと直角の第1の誘導面24と、ベース面7と直角の平面に対して傾斜する第2の誘導面26とを持つ。

0072

この変形形態では、基板5の凹凸面6'だけが、上述の凹凸面と異なる。したがって、基板5および他の類似の要素についての詳細な説明は繰り返さないが、さらなる細部については、すでに提示された説明を参照することができる。

0073

上述のように、細長い突起20のうちの1つの突起の第1の誘導面24は、隣接する細長い突起20の第2の誘導面26と向かい合わせに配置される。したがって、細長い突起20は、隣接する誘導面の複数の対を繰返し軸Xに沿って形成すると共に、この繰返し軸Xに沿って繰返しパターンを画定する。

0074

誘導面の対のそれぞれは、第1の誘導面24のうちの1つと、それと向かい合う第2の誘導面26とを含み、それによってこれらの面の間に誘導空間が画定される。

0075

第1の実施形態のこの変形形態では、誘導空間は、横軸Yに沿って延びる溝25を含む。その場合繰返しパターンは、一連の溝25を繰返し軸Xに沿って有する。各溝25は、細胞3のうちの1個の少なくとも一部分を受け入れるように適合されている。溝25は、最大寸法が、第1の誘導面24と第2の誘導面26の間の溝25の底面で測定して200μm未満であり、好ましくは100μm未満である。有利には、溝25の最大寸法は実質的に細胞3のサイズに相当し、例えば5μmから60μmの間であり、好ましくは15μmから30μmの間である。溝25は、深さがベース面7に対し直角に測定して200μm未満であり、好ましくは100μm未満である。有利には、溝25は、深さが細胞3のサイズ未満であり、例えば20μm未満、さらには6μm未満である。

0076

このような3次元構造体は、例えば、傾斜面を得るためにフォトリソグラフィまたはエッチング時に試料を傾けながら、RIE、ICPまたはDRIEなどの異方性エッチングのステップが任意選択で後に続くフォトリソグラフィによって、またはグレートーンリソグラフィによって実現することができる。

0077

図5に表されているように、それぞれの溝25は、その第2の誘導面26がその第1の誘導面24から繰返し軸Xに沿って開いており、またその向きが、繰返し軸Xに平行であり第1の誘導面24から第2の誘導面26の方へ一方向である異方性の方向A2になっている。各溝25内で、第1の誘導面24は、第2の誘導面26と反対の方向に細胞3が移動することを阻止し、第2の誘導面26は、第1の誘導面24と反対の方向に細胞3が移動することを可能にする。その場合溝25は、支持体面2によって運ばれる細胞3の移動を異方性の方向A2に、すなわち繰返し軸Xの方向で、第1の誘導面24から第2の誘導面26へ向けて誘導する。

0078

図6および図7は、本発明の第2の実施形態を示し、ここでは誘導空間35が、繰返し軸Xに対し直角の横軸Yに沿って延びる異方性の方向A3a、A3bに、横軸Yに沿って細胞3の移動を誘導するようにして、向けられている。

0079

この第2の実施形態では、基板5の凹凸面6''だけが、上述の第1の実施形態のものと異なる。したがって、基板5および他の類似の要素についての詳細な説明は繰り返さないが、さらなる細部については、第1の実施形態に関してすでに提示された説明を参照することができる。

0080

誘導要素は、横軸Yに沿ってそれぞれ延びる細長い突起30として実装される。それぞれの細長い突起30は、繰返し軸Xと直角の第1の誘導面34および第2の誘導面36を有する。

0081

上述のように、細長い突起30のうちの1つの突起の第1の誘導面34は、隣接する細長い突起30の第2の誘導面36と向かい合わせに配置される。したがって、これら細長い突起30は突起間に、互いに隣接する誘導面の複数の対を繰返し軸Xに沿って形成すると共に、この繰返し軸Xに沿って繰返しパターンを画定する。

0082

誘導面の対のそれぞれは、第1の誘導面34の1つと、それと向かい合う第2の誘導面36とを含み、それによってこれらの面の間に誘導空間を形成する。

0083

この第2の実施形態では、誘導空間は、横軸Yに沿って延びる溝35を含む。その場合繰返しパターンは、一連の溝35を繰返し軸Xに沿って有する。それぞれの溝35は、細胞3のうちの1個の少なくとも一部分を受け入れるように適合される。溝35は、最大寸法が第1の誘導面34と第2の誘導面36の間で測定して200μm未満であり、好ましくは100μm未満である。有利には、溝35の最大寸法は実質的に細胞3のサイズに相当し、例えば5μmから60μmの間であり、好ましくは15μmから30μmの間である。さらに、溝35は、深さがベース面7に対し直角に測定して200μm未満であり、好ましくは100μm未満である。有利には、溝35は、深さが細胞3のサイズ未満であり、例えば20μm未満、さらには6μm未満である。

0084

第1の誘導面34および第2の誘導面36が横軸Yに沿って延びる各溝35は、横軸Yに平行な異方性の方向A3a、A3bのうちの1つに沿った向きにすることが、適切な任意の手段によって、例えば、第1の誘導面34および第2の誘導面36に配置された、または溝35の底面に配置された切欠きまたはラチェットによって、可能である。各溝35内で、第1の誘導面34および第2の誘導面36により、細胞3が繰返し軸Xのどちらかの方向に移動することが阻止される。したがって溝35は、支持体面2によって運ばれる細胞3の移動を異方性の方向A3a、A3bのうちの1つに誘導する。

0085

本発明による誘導デバイス1には、インビボまたはインビトロで細胞の遊走を誘導することに関して多くの用途がある。

0086

インビトロで細胞遊走を誘導するとは、完全に人工的な培地での培養において細胞の遊走を誘導することを意味すると理解される。細胞は、例えば、細胞培養皿などの人工支持体面で成長させることができ、その場合、細胞を拘束するために支持体面に凹凸面が当てられる。別の実施形態では、凹凸面は微小流体チャネルの面の1つに、細胞遊走を前記微小流体チャネル内に誘導するために組み込むことができる。本発明によるデバイスの凹凸面は、培養における細胞遊走および細胞増殖生物学的および物理学的プロセスを研究するため、あるいは、細胞の遊走特性に応じて細胞を分離することによって細胞を選別するために使用することができる。あるいは、人工臓器を作る(組織工学)ために本発明のデバイスを使用して、凹凸誘導面によって少なくとも部分的に覆われた2次元または3次元基板上で細胞を誘導することもできる。本発明によるデバイスには、細胞を人工的に、かつその走化性挙動にかかわらずに誘導することが必要なあらゆる分野に用途を見出すことができる。

0087

インビボで細胞遊走を誘導するとは、生物(例えばヒト)の内部で細胞の増殖および遊走を誘導することを意味すると理解される。この場合、凹凸面が当てられる支持体面は、細胞の天然生理培地から構成される。インビボで細胞遊走を誘導する好ましい実施形態では、傷の上の細胞分散を助長するために、凹凸面を使用して傷の表面に存在する細胞を誘導することができる。その場合、デバイスは、微小構造体が表面にある包帯材になる。インビボで細胞遊走を誘導する別の実施形態では、人工器官のまわりに細胞が分散しやすいようにするために、凹凸面を使用して細胞を人工器官のまわりに誘導することができる。インビボで細胞遊走を誘導するさらに別の実施形態によれば、臓器内またはまわりに細胞が分散することを助長するために、凹凸面を使用して、生物の体の内部に入れられた体内の包帯材またはフィルムのまわりに細胞を誘導することができる。

0088

特定の1つの用途では、誘導デバイスは、創傷治癒を促進する包帯材として、インビボで有利に使用することができる。創傷包帯材としての特に有利な用途とは別に、本発明による誘導デバイスには、移植片、人工器官、人工組織の支持体、微小流体チャネル、または内蔵チャネルを有するラボオンチップとしての用途がある。

0089

1誘導デバイス
2支持体面
3細胞
5基板
6凹凸面
6' 凹凸面
6'' 凹凸面
7ベース面
8 異方性異方性構造体
8' 異方性3次元構造体
8'' 異方性3次元構造体
10突起の列
11三角形突起
12底辺
13頂点
14 第1の誘導面
15誘導空間
16 第2の誘導面
17 底辺
18 頂点
20細長い突起
24 第1の誘導面
25 誘導空間
26 第2の誘導面
30 細長い突起
34 第1の誘導面
35 誘導空間
36 第2の誘導面
A1 異方性の方向
A2 異方性の方向
A3a 異方性の方向
A3b 異方性の方向
X 繰返し軸

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