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技術 不均一系(ばらつき)におけるタンパク質分解酵素活性の空間分布および時間分布を求めるための方法、これを実現するための装置、不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の空間分布および時間分布の変化をもとに、止血系の欠陥を診断するための方法

出願人 オブシェストヴォエスオグラニチェノイオトヴェトストヴェノスチュ“ゲマトロジチェスカヤコーポラティシヤ”
発明者 アタウルカノフファゾイルイノヤトビッチダシュケビッチナタリヤミハイロフナオバネゾフミハイルブラディミロビッチサルバシュバシリーイワノビッチパンテリーブミハイルアレクサンドロビッチカラムジンセルゲイセルゲビッチコンドラトビッチアンドレイユルジェビッチ
出願日 2012年7月16日 (8年7ヶ月経過) 出願番号 2014-522787
公開日 2014年8月28日 (6年5ヶ月経過) 公開番号 2014-521952
状態 拒絶査定
技術分野 化学反応による材料の光学的調査・分析 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 空間状況 接触相 液体運動 結合度合い 時空間データ 制限成分 特許分類 圧力制御ユニット
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題・解決手段

この方法は、医学および生物学に関し、特に、診断目的や研究調査目的で、血液凝固系およびその成分のパラメーターを求めるために使用可能である。 この方法の目的は、いくつかの疾患を診断し、血液凝固パラメータに影響する医薬品の効率を評価するための可能性を与えつつ、フィブリン血栓成長過程における凝固因子空間分布を調べることのみならず、不均一系における血液凝固プロセスの異なる相における凝固因子の役割を評価することである。 この目的は、被検媒体試料中に分散された、血漿全血、水、リンパ液コロイド溶液、晶質液またはゲルタンパク質分解酵素またはそのチモーゲンのうちの1つからなる群から選択される被検媒体の試料を含有するin vitro系を提供するステップと、タンパク質分解酵素による蛍光発生基質の切断時に、標識をさらに放出しつつ上述した基質をin vitro系に浸漬するステップと、あらかじめ定められた時点で、被検媒体試料を照明して、標識の蛍光シグナル励起させるステップと、あらかじめ定められた時点で、照明と同時に、試料中における標識の蛍光シグナルの空間分布を記録するステップと、媒体の成分に対する媒体中での標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散対流」タイプの逆問題解くことによって、標識の蛍光強度の一組の空間分布から、タンパク質分解酵素活性時空間分布を求めるステップと、を含む、不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める手段を作ることで、解決される。発色基質または発光基質を基質として加えてもよい。この方法を実現するための装置も提供される。

概要

背景

現在、複雑な生命ステムの研究と、これらの生命システムで生じる空間的異質性のあるプロセスのダイナミクスの研究に、大きな課題が存在する。このようなプロセスとしては、特に、血液凝固補体アポトーシス消化線溶があり、そこではタンパク質分解酵素プロテアーゼ)が重要な役割を果たしている。

タンパク質分解酵素の濃度は、その値が経時的に変化せず分析対象となる試料のすべての箇所で同一であれば、特異的蛍光基質または発色基質を用いて測定可能である。現在、濃度の経時的変化を測定する方法がある。この方法は、基礎研究や、相応の生命システムにおける機能不全診断法に用いられている。血液凝固障害の特定には、今のところ、血漿中のトロンビン生成を調べる試験が用いられている。そのことが、Hemker HC, Wielders S., Kessels H., Beguin S., Continuous registration of thrombin generation in plasma, its use for the determination of the thrombin potential, J Thromb Haemost. 1993, Oct. 18, 70 (4):617-24の基本論文に開示されていた。この試験は、それまでの凝固試験に比して多くの利点を実証したが、空間的には均一である。すなわち、均一な環境を研究している。これは、後述する、生物における状況には対応していない。

血液凝固調節の空間概念を、図1に概略的に示す。凝固は、膜貫通タンパク質組織因子凝固因子(左)である非酵素補因子)を発現する細胞によって活性化され、血漿の奥深くまで伝播する。トロンビンの生成は、プロトロンビナーゼ制限成分である活性化X因子(第Xa因子セリンプロテアーゼ)によって調節される。活性化因子初期相付近での凝固は、第VIIa因子のセリンプロテアーゼと組織因子との複合体である外因性テナーゼによる第Xa因子の産生だけによって決まる。しかしながら、第Xa因子は急速に阻害されてしまい、活性化因子から遠く離れて拡散することができない。このため、第Xa因子は、凝固伝播相では内因性テナーゼによって形成される。一方、内因性テナーゼの制限成分である凝固因子IXaは、外因性テナーゼによって産生される。第Xa因子とは対照的に、凝固因子IXaは阻害速度が遅いため、遠くまで拡散する。血栓がさらに増えると、第XIa因子によって第IXa因子が追加で産生され、これによって、ポジティブフィードバックループでトロンビンが産生される。血栓の形成は、トロンボモジュリンの作用によって停止する。すなわち、ネガティブフィードバックループプロテインCが活性化され、これによって第Va因子および第VIIIa因子が機能しなくなり、トロンビンの伝播が停止する(Panteleev M.A., Ovanesov M.V., Kireev D.A., Shibeko A.M, Sinauridze E.I., Ananyeva N.M., Butylin A.A., Saenko E. L., and Ataullakhanov F.I., Spatial Propagation and Localization of Blood Coagulation Are Regulated by Intrinsic and Protein C Pathways, Respectively, Biophys J. 2006 Mar 1; 90(5):1489-500を参照のこと)。この概念については、細かい部分をいくつか修正できるのは事実であるが、拡散プロセスの重要な役割と、凝固の空間的異質性については議論の余地がない(Hoffman M., MonroeDM3rd, A cell based model of hemostasis, Thromb Haemost. 2001 Jun; 85(6):958-65)。

トロンビンは、血液凝固系の重要な酵素である。これは、主な反応すなわち、フィブリノーゲンからフィブリンへの変換を触媒する。また、凝固因子V、VIII、VII、XI、XIII、プロテインC、血小板トロンビン活性化線溶阻害因子を活性化するのも、トロンビンである。凝固時、産生されるトロンビンの量は、他のプロテアーゼの産生量と比べると10〜100倍であるため、その検出が容易になる。

トロンビンによって触媒される反応では、フィブリノーゲンがフィブリンに変換される。これは、血漿を重合させ、ひいてはゲル化する反応である。

血液凝固についての研究は、実用面で、非常に興味深い。なぜなら、こうした研究は特定の疾患の診断を可能にするだけでなく、血液凝固パラメーターに影響する薬剤の活性を評価することも、できるようにするからである。

発色基質が登場し、その後、蛍光発生基質が登場したことで、凝固に関する研究が加速した。このような合成基質は、タンパク質分解酵素によって認識され、切断される分子である。切断によって、「標識」とも呼ばれるシグナリング分子の基質からの切り離しが起こる。この標識は、溶液吸光度を変化させる(発色(chromogenic)基質または発色(coloring)基質)か、光線照射時に蛍光を発することができる(蛍光発生基質)か、外部からの励起がなくても自然発光できる(化学発光標識)。トロンビンの基質を血漿に直接添加し、凝固時に現れるシグナル(吸光度または光強度)を記録することが可能である。シグナルの増加率は、トロンビンの濃度に比例する。時間に対するトロンビン依存性は、濃度がわかっているトロンビンまたは別の検量用試料(たとえば、トロンビンとα2−マクログロブリンとの複合体など)の分析下にて、緩衝液または血漿に添加して得られる検量線を使用して、基質の切断速度からトロンビン濃度を単純に微分および計算し、時間に対するシグナルの実験での関係から得られる。

血液凝固パラメーターをin vitroで決定するためのさまざまな方法および装置が、背景技術から知られている。しかしながら、既知の方法および装置はいずれも、通常は、血液または血漿の試料が活性化因子と均一に混合された均一な系で作業するよう設計されている。その点において、これらの系と、複雑かつ不均一な環境であるin vivoの系とは実質的に区別される。

周知のモデルでは、凝固プロセスのin vitro系での条件は、生きた生物で血栓が形成される条件とは基本的に異なっている。人間や動物循環系において、血栓は血漿全体で形成されるのではなく、非常に局所的すなわち、損傷した血管壁付近の狭いエリアで形成されることが知られている。体内での凝固は、均一ではない。血栓の形成は、空間内で起こる。これは、損傷した血管壁で外因性テナーゼによって誘発され、血漿の大部分で活性化された血小板上のプロトロンビナーゼが関わることで伝播し、健康な血管内皮のトロンボモジュリンが関与する反応によって阻害される。この場合、凝固因子は少量の血漿中に自然に分散され、その中で血栓が形成される。これは、外傷部位血餅を形成することで血流完全性を保つという、止血系の基本的な防御機構を反映している。これらのプロセスを、均一な媒体で実施される方法を使って適切に研究することはできない。

このように、現時点では、in vitroでの血液凝固の実験モデリングの問題がある。というのは、血管内で血餅が直接凝集する空間状況を一層完全にシミュレートすると望ましいからである。血栓症および止血に関する基礎研究と、特定用途向けの診断および薬理学上のタスクの両方に、課題が存在する。

ある時間および空間内すなわち、一定量の被検試料の異なる点におけるタンパク質分解酵素の濃度の変化を求める上での課題は、依然として未解決のままである。

最近では、凝固因子の拡散と空間的異質性を考慮できる装置が用いられている。このような装置では、再石灰化血漿を入れたキュベットで、凝固が起こる。活性化因子は、凝固活性化因子(たとえば、組織因子など)が固定化された表面である。凝固は、活性化因子と血漿との接触時に開始された後、血漿の奥へと伝播する。これは、成長していく血栓からの光の散乱で観察できる。

背景技術から、本発明者等は、血液およびその成分の凝固特性を調べるための装置を知っている(ロシア特許第2395812号、特許分類G01N33/49、2010年7月27日公開)。この装置は、キュベットを収容する、サーモスタット制御されたチャンバと、キュベットの内容物と活性化因子付近にできる血栓とに光をあてるためのLEDと、成長していく血栓を記録するためのデジタルカメラと、得られたデータを処理するためのコンピューターと、を備える。このキュベットには、トロンボプラスチン凝固組織因子)などの被検血漿試料および凝固活性化因子が、当該キュベットに装着されるインサートに塗布された状態で含まれる。

この装置を用いることで、凝固系最終産物であるフィブリン血栓の形成過程だけを記録する方法を実施できる。

また、本発明者は、空間フィブリン血栓形成監視するための方法および装置も知っている(国際出願第PCT/CH2007/000543号、特許分類G01N33/49、2009年5月7日公開、公開番号WO 2009/055940)。

この装置は、測光分析に用いられるキュベット(チャンバを含む)と、インサートおよび活性化因子と、前記キュベットが配置されるサーモスタットと、を備える。凝固活性化因子は、インサートの底縁に位置している。凝固活性化因子は、組織因子などの生理的活性化因子であるか、ガラスなどの非生理的活性化因子である。キュベットは、透光性ポリスチレンで作製される。

この装置は、フィブリン血栓の形成および/または溶解をin vitroで監視できるようにするものであり、以下のステップを含む。
キュベット内に、ウェルの数に応じて1つまたは2つ以上の血漿試料を入れ、
インサートを活性化因子とともにキュベットに挿入し、血漿を凝固活性化因子と接触させ(血栓形成の場合)、
フィブリン血栓の成長を時間と距離の関数として記録するか、あるいは、
キュベット内に、1つまたは2つ以上のフィブリン血栓を含む1つまたは2つ以上の血漿試料を入れ、
血漿を線溶活性化因子と接触させ(血栓溶解の場合)、
フィブリン血栓の溶解を時間と距離の関数として記録する。
空間フィブリン血栓形成を監視するための方法および装置の主な利点としては、少量の血漿しか必要ないということがあげられる。(300μlから最大で1500μlではない、すなわち、過去に報告のある同様の他の系を用いる場合の75分の1かつ標準的な凝固アッセイに必要な最小血漿量の5分の1である)わずか20μlという少ない量で、信頼できる高分解能の結果を得ることが可能である。この装置を用いることで、凝固系の最終産物であるフィブリン血栓の形成過程だけを記録する方法を実施できる。

上述した装置および方法の欠点は、被検試料が加熱されると、対応領域内でキュベット内に気泡が形成されることである。これによって、フィブリン血栓からの光散乱シグナルが歪んでしまう。

赤色光線など、波長が1つしかない光源では、蛍光物質時空間分布を研究できない。

さらに、上述した装置および方法では、空間フィブリン血栓の成長過程を調節する、IIa、Xa、VIIa、XIaなどの別々の凝固因子の空間分布と形成過程を記録できる可能性は得られない。

本方法および装置と最も密接に関連しているのは、Kondratovich A.Y., Pohilko A.V. and Ataullahanov F.I., Spatiotemporal Dynamics of Contact Activation Factors of Blood Coagulation, Biochim Biophys Acta. 2002 Jan 15; 1569 (1-3):86-104)の文献に開示されている装置および方法である。

上述した方法を実施するために、乏血小板血漿を使用する。研究対象となる血漿試料の第XIa因子およびカリクレインの分布を、これらの因子に特異的な蛍光発生基質の切断産物である7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)のインジゴ発光を記録することで求める。

測定前に、各被検血漿試料に基質を加え、37℃で試料を攪拌した。媒体のpHについては、この温度で7.4に維持した。

図2は、この方法を実施するのに用いられる装置を概略的に示している。この装置は、研究対象となる血漿試料2の入ったポリスチレンディッシュ1を有する。血漿2に、基質を加える。ガラス毛細管の先端5を、凝固活性化因子として使用した。また、この装置は、水銀ランプである光源6と、サーモスタット7と、ガラスフィルター8と、半透鏡9と、デジタルカメラ10と、蛍光を発するプラスチックラベル12も含む。この装置を、コンピューター11にプラグ接続した。

次元の(平らな)媒体すなわち、攪拌していない血漿の薄層において、凝固因子の活性化を研究した。ディッシュ1を37℃のサーモスタット7に移し、毛細管の端5が血漿中に浸るように、活性化因子をすみやかに下げた。

ガラスとの接触によって活性化される凝固因子は、AMCを形成しつつ、基質を切断した。AMCの蛍光を、以下のようにして記録した。血漿試料に、光源6から出て半透鏡9で反射した光を照射した。フィルター8が、光源スペクトル可視部分遮断した。半透鏡の後ろに装着されたデジタルカメラ10で、AMC蛍光を記録した。記録された視野測定値は、9.0×6.5mmであった。カメラRGB出力信号の青色チャネルが、AMC蛍光の全範囲におよんでいた。画像データを連続的にコンピューター11に送り、そのモニター上に表示し、指定の間隔で保存した。蛍光を発するプラスチック片12を、その画像が常にカメラの視野に入るようにしてサーモスタット7の下に固定した。これを、較正目的ならびに、光のばらつきを考慮に入れる目的で使用した。

画像を分析する際、活性化因子の中心から始まる放射状の線を選択した。この線に沿ったAMC濃度の時空間分布を、専用のソフトウェアで求め(図3)、これに基づいて、凝固因子濃度の時空間分布を再現した。

この方法の欠点として、接触している活性化因子(特に第XIa因子、第XIIa因子、カリクレイン)しか測定できず、かつ、これらの因子がシグナルにどのように影響するかの度合いを区別しにくく、凝固プロセスすなわちフィブリン血栓の形成の空間的動態を測定できないことがあげられる。

この装置の欠点としては、高効率の研究を行う際に用いられるディッシュが不便である、水銀ランプでの不安定な照明を使用するが、これでは厳密な測定を行うことができない、被検試料の加熱時に、プロセスを記録するエリアで気泡が形成される、蛍光シグナルが歪むことがあげられる。

この方法では、生理的な特性がin vivo系と似ているin vitro系をモデリングすることはできず、血液凝固系における障害の一層正確な診断をすることもできない。

さらに、上記の方法を用いると、フィブリン血栓が成長する過程で凝固因子(まず第一にトロンビン)の空間的動態の適切に調べることができず、不均一系における血液凝固プロセスの異なる相で凝固因子の役割を評価する機会が得られない。

概要

この方法は、医学および生物学に関し、特に、診断目的や研究調査目的で、血液凝固系およびその成分のパラメーターを求めるために使用可能である。 この方法の目的は、いくつかの疾患を診断し、血液凝固パラメータに影響する医薬品の効率を評価するための可能性を与えつつ、フィブリン血栓成長の過程における凝固因子の空間分布を調べることのみならず、不均一系における血液凝固プロセスの異なる相における凝固因子の役割を評価することである。 この目的は、被検媒体試料中に分散された、血漿、全血、水、リンパ液コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンのうちの1つからなる群から選択される被検媒体の試料を含有するin vitro系を提供するステップと、タンパク質分解酵素による蛍光発生基質の切断時に、標識をさらに放出しつつ上述した基質をin vitro系に浸漬するステップと、あらかじめ定められた時点で、被検媒体試料を照明して、標識の蛍光シグナルを励起させるステップと、あらかじめ定められた時点で、照明と同時に、試料中における標識の蛍光シグナルの空間分布を記録するステップと、媒体の成分に対する媒体中での標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題解くことによって、標識の蛍光強度の一組の空間分布から、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるステップと、を含む、不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める手段を作ることで、解決される。発色基質または発光基質を基質として加えてもよい。この方法を実現するための装置も提供される。

目的

本発明の目的は、フィブリン血栓が成長する過程における凝固因子の空間的動態を調べ、不均一系における血液凝固プロセスの異なる相での凝固因子の役割を評価することにある

効果

実績

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請求項1

不均一系におけるタンパク質分解酵素活性時空間分布を求めるための方法であって、被検媒体試料中に分散された、血漿全血、水、リンパ液コロイド溶液、晶質液またはゲルタンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料を含有するin vitro系を提供するステップと、前記タンパク質分解酵素による蛍光発生基質の切断時に、標識をさらに放出しつつ前記基質を前記in vitro系に浸漬するステップと、あらかじめ定められた時点で、前記被検媒体試料を照明して、前記標識の蛍光励起させるステップと、あらかじめ定められた時点で、前記照明と同時に、前記試料中における前記標識の蛍光シグナル空間分布を記録するステップと、前記媒体の成分に対する前記媒体中における前記標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散対流」タイプの逆問題解くことによって、前記標識の前記蛍光シグナルの一組の分布から、前記タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるステップと、を含む方法。

請求項2

不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための方法であって、被検媒体試料中に分散された、血漿、全血、水、リンパ液、コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料を含有するin vitro系を提供するステップと、前記タンパク質分解酵素による発色基質の切断時に、標識をさらに放出しつつ前記基質を前記in vitro系に浸漬するステップと、あらかじめ定められた時点で、前記被検媒体試料に、前記標識による相当量の吸収に対応する波長の光を照射するステップと、あらかじめ定められた時点で、前記試料中での前記標識の光吸収の空間分布を記録するステップと、前記媒体の成分に対する前記媒体中における前記標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、前記標識の前記蛍光シグナルの一組の分布から、前記タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める(規定または計算する)ステップと、を含む方法。

請求項3

不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための方法であって、被検媒体試料中に分散された、血漿、全血、水、リンパ液、コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料を含有するin vitro系を提供するステップと、前記タンパク質分解酵素による発光基質の切断時に、標識をさらに放出しつつ前記基質を前記in vitro系に浸漬するステップと、あらかじめ定められた時点で、前記試料中での前記標識の発光シグナルの空間分布を記録するステップと、前記媒体の成分に対する前記媒体中における前記標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、前記標識の前記蛍光シグナルの一組の分布から、前記タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める(規定または計算する)ステップと、を含む方法。

請求項4

前記活性化剤は、前記タンパク質分解酵素活性の時空間分布の変化を引き起こすために、前記in vitro系に加えられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記活性化剤は、表面に固定化された組織因子、可溶性の組織因子、組織型プラスミノーゲン活性化因子、組織因子発現能のある細胞体組織の試料、ガラスまたはプラスチックからなる群から選択される作用剤である、請求項4に記載の方法。

請求項6

あらかじめ定められた時点で、前記被検試料媒体にさらに光を照射し、光散乱の空間分布、前記試料中での光透過の空間分布またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記被検試料の空間パラメーターを記録する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記基質は、溶液として前記被検媒体試料に加えられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

前記基質は、前記被検媒体試料を入れる前に前記in vitro系の壁面にフリーズドライ状で適用される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

前記被検媒体は、多血小板血漿無血小板血漿乏血小板血漿からなる群から選択される血漿である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

照明と前記標識の蛍光シグナルの変化の記録は、1分間に1〜1800回の頻度で行われる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

前記方法のステップはすべて、約37℃に制御された温度で行われる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項12

前記方法のステップはすべて、気圧より高い安定した圧力で行われる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項13

前記被検試料のpHを、7.2〜7.4の範囲内に安定させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項14

不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための装置であって、被検媒体試料中に分散された、血漿、全血、水、リンパ液、コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料と、蛍光発生基質または発色基質または発光基質と、を入れるためのキュベットを含むin vitro系と、決められた時間内に、前記被検媒体試料を照明するための手段と、決められた時間内に、タンパク質分解酵素による前記基質の切断による標識シグナルの空間分布を記録する手段と、照明手段および記録手段を制御する手段と、からなることを特徴とする、装置。

請求項15

プロセス活性化因子を前記キュベットに配置および挿入するための活性化手段を含み、タンパク質分解酵素活性の時空間分布の変化を開始させる、請求項14に記載の装置。

請求項16

前記被検媒体試料中の温度を、好ましくは37℃で安定させる手段を含む、請求項14に記載の装置。

請求項17

前記被検試料の全量の中を、好ましくは大気圧に対して上昇される安定した圧力にする手段を含む、請求項14に記載の装置。

請求項18

暗視野法によって、可視光線で、前記被検媒体試料を照明する手段を含む、請求項14に記載の装置。

請求項19

照明手段および記録手段を制御する前記手段は、オンオフ時間、照明強度、照明手段と、その間の登録との同期を調節する可能性を与える、請求項14に記載の装置。

請求項20

経時的なタンパク質分解酵素活性の空間分布を計算する可能性を与えるコンピューター計算装置に接続されるか、そのようなコンピューター計算装置をオンにする、請求項14に記載の装置。

請求項21

in vitroでの不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布の変化をもとに、止血系の障害診断するための方法であって、試料として、全血、無血小板血漿、乏血小板血漿、多血小板血漿、抗凝血薬を加えた血液、抗凝血薬を加えた血漿からなる群から選択される血液成分を使用するステップと、被検試料を、表面に固定化された血液凝固活性因子と接触させること、研究対象となるタンパク質分解酵素によって切断される基質を添加すること、カルシウム塩を添加すること、凝固の接触活性化の阻害因子を添加することからなる群から選択される少なくとも1つの操作を実行することによって、被検試料中にてタンパク質分解酵素を形成する、その観察のための条件を与えるステップと、決定された瞬間に、前記基質から切断された前記試料中の標識シグナルの空間分布を記録するステップと、前記媒体の成分に対する前記媒体中での前記標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、前記標識シグナルの一組の空間分布から、決められた時間に対するタンパク質分解酵素(凝固因子)活性の時空間分布を求めるステップと、前記タンパク質分解酵素の前記時空間分布のずれによって、止血系の状態を推定するステップと、を含む方法。

請求項22

明確に規定された瞬間に、前記被検試料をさらに照明し、暗視野法によって、前記被検媒体試料中にて形成されるフィブリン血栓からの光散乱の空間分布を記録する、請求項21に記載の方法。

請求項23

調べる対象となる凝固因子は、トロンビン、第Xa因子、第VIIa因子、第IXa因子、第XIIa因子、第XIa因子、プラスミンからなる群から選択されるタンパク質分解酵素である、請求項21に記載の方法。

請求項24

前記試料中における凝固系の状態を評価し、診断を行うために、トロンビンまたはフィブリンの時空間分布の少なくとも1つのパラメーターを使用し、前記パラメーターは、トロンビン波の空間伝播速度、前記試料中におけるトロンビンの最大濃度、前記波の動いている部分におけるトロンビンの最大濃度、トロンビン濃度増加率、空間に従ったトロンビン濃度の積分、時間および空間に従ったトロンビン濃度の積分、フィブリンフロントの空間伝播速度(光散乱)、前記試料中における最大フィブリン濃度(光散乱量)からなる群から群から選択されるものとする、請求項21に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、医学および生物学に関し、特に、診断目的や研究調査目的で、血液およびその成分の凝固特性を求めるために使用可能であるだけでなく、バイオテクノロジー薬理学ならびに基本的な生物学的研究調査においても使用可能である。

背景技術

0002

現在、複雑な生命ステムの研究と、これらの生命システムで生じる空間的異質性のあるプロセスのダイナミクスの研究に、大きな課題が存在する。このようなプロセスとしては、特に、血液凝固補体アポトーシス消化線溶があり、そこではタンパク質分解酵素プロテアーゼ)が重要な役割を果たしている。

0003

タンパク質分解酵素の濃度は、その値が経時的に変化せず分析対象となる試料のすべての箇所で同一であれば、特異的蛍光基質または発色基質を用いて測定可能である。現在、濃度の経時的変化を測定する方法がある。この方法は、基礎研究や、相応の生命システムにおける機能不全診断法に用いられている。血液凝固障害の特定には、今のところ、血漿中のトロンビン生成を調べる試験が用いられている。そのことが、Hemker HC, Wielders S., Kessels H., Beguin S., Continuous registration of thrombin generation in plasma, its use for the determination of the thrombin potential, J Thromb Haemost. 1993, Oct. 18, 70 (4):617-24の基本論文に開示されていた。この試験は、それまでの凝固試験に比して多くの利点を実証したが、空間的には均一である。すなわち、均一な環境を研究している。これは、後述する、生物における状況には対応していない。

0004

血液凝固調節の空間概念を、図1に概略的に示す。凝固は、膜貫通タンパク質組織因子凝固因子(左)である非酵素補因子)を発現する細胞によって活性化され、血漿の奥深くまで伝播する。トロンビンの生成は、プロトロンビナーゼ制限成分である活性化X因子(第Xa因子セリンプロテアーゼ)によって調節される。活性化因子初期相付近での凝固は、第VIIa因子のセリンプロテアーゼと組織因子との複合体である外因性テナーゼによる第Xa因子の産生だけによって決まる。しかしながら、第Xa因子は急速に阻害されてしまい、活性化因子から遠く離れて拡散することができない。このため、第Xa因子は、凝固伝播相では内因性テナーゼによって形成される。一方、内因性テナーゼの制限成分である凝固因子IXaは、外因性テナーゼによって産生される。第Xa因子とは対照的に、凝固因子IXaは阻害速度が遅いため、遠くまで拡散する。血栓がさらに増えると、第XIa因子によって第IXa因子が追加で産生され、これによって、ポジティブフィードバックループでトロンビンが産生される。血栓の形成は、トロンボモジュリンの作用によって停止する。すなわち、ネガティブフィードバックループプロテインCが活性化され、これによって第Va因子および第VIIIa因子が機能しなくなり、トロンビンの伝播が停止する(Panteleev M.A., Ovanesov M.V., Kireev D.A., Shibeko A.M, Sinauridze E.I., Ananyeva N.M., Butylin A.A., Saenko E. L., and Ataullakhanov F.I., Spatial Propagation and Localization of Blood Coagulation Are Regulated by Intrinsic and Protein C Pathways, Respectively, Biophys J. 2006 Mar 1; 90(5):1489-500を参照のこと)。この概念については、細かい部分をいくつか修正できるのは事実であるが、拡散プロセスの重要な役割と、凝固の空間的異質性については議論の余地がない(Hoffman M., MonroeDM3rd, A cell based model of hemostasis, Thromb Haemost. 2001 Jun; 85(6):958-65)。

0005

トロンビンは、血液凝固系の重要な酵素である。これは、主な反応すなわち、フィブリノーゲンからフィブリンへの変換を触媒する。また、凝固因子V、VIII、VII、XI、XIII、プロテインC、血小板トロンビン活性化線溶阻害因子を活性化するのも、トロンビンである。凝固時、産生されるトロンビンの量は、他のプロテアーゼの産生量と比べると10〜100倍であるため、その検出が容易になる。

0006

トロンビンによって触媒される反応では、フィブリノーゲンがフィブリンに変換される。これは、血漿を重合させ、ひいてはゲル化する反応である。

0007

血液凝固についての研究は、実用面で、非常に興味深い。なぜなら、こうした研究は特定の疾患の診断を可能にするだけでなく、血液凝固パラメーターに影響する薬剤の活性を評価することも、できるようにするからである。

0008

発色基質が登場し、その後、蛍光発生基質が登場したことで、凝固に関する研究が加速した。このような合成基質は、タンパク質分解酵素によって認識され、切断される分子である。切断によって、「標識」とも呼ばれるシグナリング分子の基質からの切り離しが起こる。この標識は、溶液吸光度を変化させる(発色(chromogenic)基質または発色(coloring)基質)か、光線照射時に蛍光を発することができる(蛍光発生基質)か、外部からの励起がなくても自然発光できる(化学発光標識)。トロンビンの基質を血漿に直接添加し、凝固時に現れるシグナル(吸光度または光強度)を記録することが可能である。シグナルの増加率は、トロンビンの濃度に比例する。時間に対するトロンビン依存性は、濃度がわかっているトロンビンまたは別の検量用試料(たとえば、トロンビンとα2−マクログロブリンとの複合体など)の分析下にて、緩衝液または血漿に添加して得られる検量線を使用して、基質の切断速度からトロンビン濃度を単純に微分および計算し、時間に対するシグナルの実験での関係から得られる。

0009

血液凝固パラメーターをin vitroで決定するためのさまざまな方法および装置が、背景技術から知られている。しかしながら、既知の方法および装置はいずれも、通常は、血液または血漿の試料が活性化因子と均一に混合された均一な系で作業するよう設計されている。その点において、これらの系と、複雑かつ不均一な環境であるin vivoの系とは実質的に区別される。

0010

周知のモデルでは、凝固プロセスのin vitro系での条件は、生きた生物で血栓が形成される条件とは基本的に異なっている。人間や動物循環系において、血栓は血漿全体で形成されるのではなく、非常に局所的すなわち、損傷した血管壁付近の狭いエリアで形成されることが知られている。体内での凝固は、均一ではない。血栓の形成は、空間内で起こる。これは、損傷した血管壁で外因性テナーゼによって誘発され、血漿の大部分で活性化された血小板上のプロトロンビナーゼが関わることで伝播し、健康な血管内皮のトロンボモジュリンが関与する反応によって阻害される。この場合、凝固因子は少量の血漿中に自然に分散され、その中で血栓が形成される。これは、外傷部位血餅を形成することで血流完全性を保つという、止血系の基本的な防御機構を反映している。これらのプロセスを、均一な媒体で実施される方法を使って適切に研究することはできない。

0011

このように、現時点では、in vitroでの血液凝固の実験モデリングの問題がある。というのは、血管内で血餅が直接凝集する空間状況を一層完全にシミュレートすると望ましいからである。血栓症および止血に関する基礎研究と、特定用途向けの診断および薬理学上のタスクの両方に、課題が存在する。

0012

ある時間および空間内すなわち、一定量の被検試料の異なる点におけるタンパク質分解酵素の濃度の変化を求める上での課題は、依然として未解決のままである。

0013

最近では、凝固因子の拡散と空間的異質性を考慮できる装置が用いられている。このような装置では、再石灰化血漿を入れたキュベットで、凝固が起こる。活性化因子は、凝固活性化因子(たとえば、組織因子など)が固定化された表面である。凝固は、活性化因子と血漿との接触時に開始された後、血漿の奥へと伝播する。これは、成長していく血栓からの光の散乱で観察できる。

0014

背景技術から、本発明者等は、血液およびその成分の凝固特性を調べるための装置を知っている(ロシア特許第2395812号、特許分類G01N33/49、2010年7月27日公開)。この装置は、キュベットを収容する、サーモスタット制御されたチャンバと、キュベットの内容物と活性化因子付近にできる血栓とに光をあてるためのLEDと、成長していく血栓を記録するためのデジタルカメラと、得られたデータを処理するためのコンピューターと、を備える。このキュベットには、トロンボプラスチン凝固組織因子)などの被検血漿試料および凝固活性化因子が、当該キュベットに装着されるインサートに塗布された状態で含まれる。

0015

この装置を用いることで、凝固系最終産物であるフィブリン血栓の形成過程だけを記録する方法を実施できる。

0016

また、本発明者は、空間フィブリン血栓形成監視するための方法および装置も知っている(国際出願第PCT/CH2007/000543号、特許分類G01N33/49、2009年5月7日公開、公開番号WO 2009/055940)。

0017

この装置は、測光分析に用いられるキュベット(チャンバを含む)と、インサートおよび活性化因子と、前記キュベットが配置されるサーモスタットと、を備える。凝固活性化因子は、インサートの底縁に位置している。凝固活性化因子は、組織因子などの生理的活性化因子であるか、ガラスなどの非生理的活性化因子である。キュベットは、透光性ポリスチレンで作製される。

0018

この装置は、フィブリン血栓の形成および/または溶解をin vitroで監視できるようにするものであり、以下のステップを含む。
キュベット内に、ウェルの数に応じて1つまたは2つ以上の血漿試料を入れ、
インサートを活性化因子とともにキュベットに挿入し、血漿を凝固活性化因子と接触させ(血栓形成の場合)、
フィブリン血栓の成長を時間と距離の関数として記録するか、あるいは、
キュベット内に、1つまたは2つ以上のフィブリン血栓を含む1つまたは2つ以上の血漿試料を入れ、
血漿を線溶活性化因子と接触させ(血栓溶解の場合)、
フィブリン血栓の溶解を時間と距離の関数として記録する。
空間フィブリン血栓形成を監視するための方法および装置の主な利点としては、少量の血漿しか必要ないということがあげられる。(300μlから最大で1500μlではない、すなわち、過去に報告のある同様の他の系を用いる場合の75分の1かつ標準的な凝固アッセイに必要な最小血漿量の5分の1である)わずか20μlという少ない量で、信頼できる高分解能の結果を得ることが可能である。この装置を用いることで、凝固系の最終産物であるフィブリン血栓の形成過程だけを記録する方法を実施できる。

0019

上述した装置および方法の欠点は、被検試料が加熱されると、対応領域内でキュベット内に気泡が形成されることである。これによって、フィブリン血栓からの光散乱シグナルが歪んでしまう。

0020

赤色光線など、波長が1つしかない光源では、蛍光物質時空間分布を研究できない。

0021

さらに、上述した装置および方法では、空間フィブリン血栓の成長過程を調節する、IIa、Xa、VIIa、XIaなどの別々の凝固因子の空間分布と形成過程を記録できる可能性は得られない。

0022

本方法および装置と最も密接に関連しているのは、Kondratovich A.Y., Pohilko A.V. and Ataullahanov F.I., Spatiotemporal Dynamics of Contact Activation Factors of Blood Coagulation, Biochim Biophys Acta. 2002 Jan 15; 1569 (1-3):86-104)の文献に開示されている装置および方法である。

0023

上述した方法を実施するために、乏血小板血漿を使用する。研究対象となる血漿試料の第XIa因子およびカリクレインの分布を、これらの因子に特異的な蛍光発生基質の切断産物である7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)のインジゴ発光を記録することで求める。

0024

測定前に、各被検血漿試料に基質を加え、37℃で試料を攪拌した。媒体のpHについては、この温度で7.4に維持した。

0025

図2は、この方法を実施するのに用いられる装置を概略的に示している。この装置は、研究対象となる血漿試料2の入ったポリスチレンディッシュ1を有する。血漿2に、基質を加える。ガラス毛細管の先端5を、凝固活性化因子として使用した。また、この装置は、水銀ランプである光源6と、サーモスタット7と、ガラスフィルター8と、半透鏡9と、デジタルカメラ10と、蛍光を発するプラスチックラベル12も含む。この装置を、コンピューター11にプラグ接続した。

0026

次元の(平らな)媒体すなわち、攪拌していない血漿の薄層において、凝固因子の活性化を研究した。ディッシュ1を37℃のサーモスタット7に移し、毛細管の端5が血漿中に浸るように、活性化因子をすみやかに下げた。

0027

ガラスとの接触によって活性化される凝固因子は、AMCを形成しつつ、基質を切断した。AMCの蛍光を、以下のようにして記録した。血漿試料に、光源6から出て半透鏡9で反射した光を照射した。フィルター8が、光源スペクトル可視部分遮断した。半透鏡の後ろに装着されたデジタルカメラ10で、AMC蛍光を記録した。記録された視野測定値は、9.0×6.5mmであった。カメラRGB出力信号の青色チャネルが、AMC蛍光の全範囲におよんでいた。画像データを連続的にコンピューター11に送り、そのモニター上に表示し、指定の間隔で保存した。蛍光を発するプラスチック片12を、その画像が常にカメラの視野に入るようにしてサーモスタット7の下に固定した。これを、較正目的ならびに、光のばらつきを考慮に入れる目的で使用した。

0028

画像を分析する際、活性化因子の中心から始まる放射状の線を選択した。この線に沿ったAMC濃度の時空間分布を、専用のソフトウェアで求め(図3)、これに基づいて、凝固因子濃度の時空間分布を再現した。

0029

この方法の欠点として、接触している活性化因子(特に第XIa因子、第XIIa因子、カリクレイン)しか測定できず、かつ、これらの因子がシグナルにどのように影響するかの度合いを区別しにくく、凝固プロセスすなわちフィブリン血栓の形成の空間的動態を測定できないことがあげられる。

0030

この装置の欠点としては、高効率の研究を行う際に用いられるディッシュが不便である、水銀ランプでの不安定な照明を使用するが、これでは厳密な測定を行うことができない、被検試料の加熱時に、プロセスを記録するエリアで気泡が形成される、蛍光シグナルが歪むことがあげられる。

0031

この方法では、生理的な特性がin vivo系と似ているin vitro系をモデリングすることはできず、血液凝固系における障害の一層正確な診断をすることもできない。

0032

さらに、上記の方法を用いると、フィブリン血栓が成長する過程で凝固因子(まず第一にトロンビン)の空間的動態の適切に調べることができず、不均一系における血液凝固プロセスの異なる相で凝固因子の役割を評価する機会が得られない。

発明が解決しようとする課題

0033

よって、血液および血液成分の凝固特性を、さらに良く求めるための既存の方法および装置を改善することには、明らかに需要がある。

課題を解決するための手段

0034

本発明の目的は、フィブリン血栓が成長する過程における凝固因子の空間的動態を調べ、不均一系における血液凝固プロセスの異なる相での凝固因子の役割を評価することにある。これは、いくつかの疾患を診断し、血液凝固パラメーターに影響する薬剤の活性を評価するのに利用できる。

0035

本明細書にて提案する解決策を実現することで得られる技術的な成果は、血液凝固における血漿部分および血小板部分の障害に対する、方法の感受性を高めることである。
この目的は、不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための方法であって、
被検媒体試料中に分散された、血漿、全血、水、リンパ液コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料を含有するin vitro系を提供するステップと、
タンパク質分解酵素による蛍光発生基質の切断時に、標識をさらに放出しつつ前記基質をin vitro系に浸漬するステップと、
あらかじめ定められた時点で、被検媒体試料を照明して標識の蛍光を励起させるステップと、
あらかじめ定められた時点で、前記照明と同時に、試料中における標識の蛍光の空間分布を記録するステップと、
研究対象となる媒体の成分に対する標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題解くことによって、特定の瞬間に対する標識蛍光の一組の空間分布から、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を得るステップと、を含む方法を提供することによって達成される。

0036

また、この目的は、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための第2変形例の方法であって、
被検媒体試料中に分散された、血漿、全血、水、リンパ液、コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料を含有するin vitro系を提供するステップと、
タンパク質分解酵素による発色基質の切断時に、標識をさらに放出しつつ前記基質をin vitro系に浸漬するステップと、
あらかじめ定められた時点で、前記被検媒体試料に、標識による光の吸収が相当量になるような波長の光を照射するステップと、
あらかじめ定められた時点で、媒体中での標識による光吸収の空間分布を記録するステップと、
媒体の成分に対する媒体中での標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、特定の瞬間に対する標識による光吸収の一組の空間分布から、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める(規定または計算する)ステップと、を含む方法を提供することによって達成される。

0037

また、この目的は、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための第3変形例の方法であって、
被検媒体試料中に分散された、血漿、全血、水、リンパ液、コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料を含有するin vitro系を提供するステップと、
タンパク質分解酵素による発光基質の切断時に、標識をさらに放出しつつ前記基質をin vitro系に浸漬するステップと、
あらかじめ定められた時点で、試料中における標識の発光シグナルの空間分布を記録するステップと、
媒体の成分に対する媒体中での標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、特定の瞬間に対する標識発光の一組の空間分布から、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める(規定または計算する)ステップと、を含む方法を提供することによって達成される。

0038

また、これは、タンパク質分解酵素活性の時空間分布の変化を引き起こす活性化剤を、in vitro系にさらに加えることによっても達成される。

0039

また、これは、表面に固定化された組織因子、可溶性の組織因子、組織型プラスミノーゲン活性化因子、組織因子発現能のある細胞、体組織の試料、ガラスまたはプラスチックからなる群から選択される活性化剤を選択することによっても達成される。

0040

また、これは、特定の瞬間に、調べる対象となる被検媒体試料をさらに照明し、光散乱の空間分布、試料中での光透過の空間分布またはこれらの組み合わせからなる群から選択される被検試料の空間パラメーター登録することによっても達成される。

0041

また、これは、被検媒体試料に溶液状で基質を添加することによっても達成される。

0042

また、被検媒体試料を加える前にin vitro系の壁面にフリーズドライ状で基質を適用することも達成される。

0043

また、前記照明と標識蛍光の変化の記録を、1分間に1〜1800回の頻度で実施することも達成される。

0044

また、前記試料が、全血あるいは、多血小板血漿無血小板血漿、乏血小板血漿からなる群から選択される血漿であることも達成される。

0045

また、この方法のすべてのステップを、好ましくは約37℃に制御された、被検試料全量に対して安定する温度で実施することも達成される。

0046

また、この方法が、好ましくは、大気圧に対して上昇される被検試料全量で安定した圧力を必要とすることも達成される。

0047

好ましくは、試料のpHを7.2〜7.4の範囲で安定させる。

0048

被検媒体中の研究対象となるタンパク質分解酵素は、生化学的プロセスの結果としてチモーゲンから得られるものであってもよい。また、これは、系内の生化学的プロセスの結果として、被検媒体中で徐々に分解されるものであってもよい。

0049

標識および形成される血栓の空間分布は、特定の瞬間に可視化される。

0050

被検媒体試料からの光散乱は、暗視野法を用いて登録される。

0051

標識蛍光は、蛍光顕微鏡法を用いて登録される。

0052

特定の瞬間に、光学系の焦点を定め直し、照明/照射処理系の焦点も定め直す共焦点顕微鏡法も使用して、被検媒体における光散乱の分布と標識蛍光の分布を実行する。

0053

目的は、不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための装置であって、
媒体の試料中に分散された、血漿、全血、水、リンパ液、コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料と、蛍光発生基質または発色基質または発光基質と、を入れるためのキュベットを含むin vitro系と、
あらかじめ定められた時点で、被検媒体の試料を照明するための手段と、
あらかじめ定められた時点で、タンパク質分解酵素による上述した基質の切断時に形成される標識のシグナルの空間分布を記録するための手段と、
前記照明手段/記録手段を制御するための手段と、を備える装置を提供することによっても達成される。

0054

これは、活性化因子をキュベットに配置および挿入し、タンパク質分解酵素活性の時空間分布の変化を開始させる手段を含んでいることは、もちろんである。

0055

これは、被検媒体試料中を、好ましくは37℃の安定した温度にする手段を含んでいることは、もちろんである。

0056

これは、被検媒体試料全量の中を、好ましくは大気圧に対して上昇される安定した圧力にする手段を含んでいることは、もちろんである。

0057

これは、暗視野法に従って、被検媒体試料に、可視光線を照射する手段を含んでいることは、もちろんである。

0058

照明手段および記録手段を制御する手段は、オンオフする瞬間、照明強度、照明手段と記録手段との同期を調節する可能性を与えることは、もちろんである。

0059

これは、経時的なタンパク質分解酵素活性の空間分布を計算する可能性を与えるコンピューター計算装置に接続されるか、前記装置をオンにすることは、もちろんである。

0060

この目的は、in vitroでの不均一系におけるタンパク質分解酵素(凝固因子)の活性の時空間分布の記録をもとに、止血系における障害を診断するための方法であって、
試料として、全血、無血小板血漿、乏血小板血漿、多血小板血漿、抗凝血薬を加えた血液、抗凝血薬を加えた血漿からなる群から選択される血液成分を使用するステップと、
被検試料を、表面に固定化された血液凝固活性化因子と接触させること、研究対象となるタンパク質分解酵素によって切断される基質を添加すること、カルシウム塩を添加すること、接触凝固活性化の阻害因子を添加することからなる群から選択される少なくとも1つの操作を実行することによって、被検試料中にてタンパク質分解酵素を形成し、これを観察できる条件を与えるステップと、
決定された瞬間に、試料中にて基質から切断された標識のシグナルの空間分布を記録するステップと、
媒体の成分に対する媒体中での標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、特定の瞬間に対する標識シグナルの一組の空間分布から、タンパク質分解酵素(凝固因子)の活性の時空間分布を求めるステップと、
タンパク質分解酵素の時空間分布のずれによって、止血系の状態を推定するステップと、を含む方法を提供することで、さらに達成される。

0061

明確に限定された瞬間に、被検試料をさらに照明し、暗視野法を用いて被検媒体試料中にて形成されるフィブリン血栓からの光散乱の空間分布を記録することにもよる。

0062

凝固因子として、トロンビン、第Xa因子、第VIIa因子、第IXa因子、第XIIa因子、第XIa因子、プラスミンからなる群から選択されるタンパク質分解酵素を調べることにもよる。

0063

試料中における凝固系の状態を評価し、診断を行うために、トロンビンまたはフィブリンの時空間分布の少なくとも1つのパラメーターを使用することにもよる。このパラメーターは、トロンビン波の空間伝播速度、試料中におけるトロンビンの最大濃度、波の動いている部分におけるトロンビンの最大濃度、トロンビン濃度の増加率、空間に従ったトロンビン濃度の積分、時間および空間に従ったトロンビン濃度の積分、フィブリンフロントの空間伝播速度(光散乱)、試料中における最大フィブリン濃度(光散乱量)からなる群から選択されるものでなければならない。

0064

本明細書にて提案される方法を用いると、生理的特性がin vivo系に近いin vitro系でのモデリングができるようになるだけでなく、血液凝固系の障害を一層正確に診断できるようになる。

0065

得られる時空間データアレイすなわち、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を使用し、各点において、空間および時間内のタンパク質分解酵素活性の変化率をコンピューターで計算する。これに従うと、以下のことが可能になる。
試料中における血液凝固系の状態について判断すること
健常なドナーと比較することで、患者の凝固系の状態についての結論を出すこと
治療効率を推定すること
医薬品個々の最適用量を選択すること
医薬品の作用機序を求めること
医薬品の開発過程化学物質スクリーニングすること
血液凝固系の動作のメカニズムに関する情報を取得すること
血液系障害病原および病因について研究すること
フィブリン血栓が成長する過程における凝固因子の空間的動態を研究すること
不均一系における異なる血液凝固相における凝固因子の役割についての評価を可能にすること。

0066

本方法は、初期段階において、本方法以外のすべての試験で明らかにできない場合に、凝固亢進状態の信頼できる診断を保証するものである。医療実務では初めて、さまざまな病因の凝固亢進症候群出血、血栓症、心臓麻痺および心発作を含む広範囲にわたる病態に対して患者の素因を高精度で検出し、疾患の病原を研究し、昔からある医薬品や新世代の医薬品(抗血友病薬を含む)をモニタリングすることを可能にしている。

0067

本装置を用いると、本発明による方法を実現し、不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を一層正確に求めることができる。

0068

添付の図面を参照した本発明の好ましい実施形態の説明によって、についてさらに示す。

図面の簡単な説明

0069

血液凝固調節の空間概念を概略的に示す。
凝固因子の空間的動態を求めるための既知の装置の概略図である。
凝固している第XIa因子の時空間分布の研究で得られた、距離および時間に対するAMC濃度の典型的な依存性を示す。凝固活性化因子は、座標原点に位置している。
本発明による、不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための装置の概略図である。
フルオロフォアを用いる場合の、フィブリン血栓形成の空間的動態を可視化したものである。
本発明による、フィブリン血栓形成の空間的動態を可視化したものである。
本発明による装置の補助で得られたin vitro系における、フィブリン血栓形成の時空間動態の例を示す。凝固活性化因子は、座標原点に位置している。
本発明による装置の補助で得られたin vitro系における、タンパク質分解酵素(トロンビン)の濃度を示す。凝固活性化因子は、座標原点に位置している。

0070

方法の第1の実施形態
本発明によれば、不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求めるための方法が提供される。この方法は、以下のようにして実現される。

0071

被検媒体試料中に分散された、in vitro系を使用して、血漿、全血、水、リンパ液、コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料を入れる。

0072

このin vitro系に蛍光発生基質を浸漬する。

0073

タンパク質分解酵素と蛍光発生基質との反応時、基質が切断され、標識すなわちフルオロフォアがそこから放出される。

0074

あらかじめ定められた時点で、励起光を被検媒体試料に照射して、標識の蛍光を励起させる。あらかじめ定められた時点で、照明と同時に、試料中における標識蛍光の空間分布を記録する。

0075

試料中における標識シグナルの空間分布の記録だけでなく、あらかじめ定められた時点で、被検媒体試料を照明し、光散乱の空間分布、試料中での光透過の空間分布またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、試料の光学特性を記録することが可能である。これと一緒に、フィブリンの空間分布を記録する。

0076

媒体の成分に対する標識の結合度合いを考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、標識蛍光の一組の空間分布から、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める。

0077

標識(フルオロフォア)の励起スペクトルに応じて励起波長を選択する。照明波長については、信号対雑音比が最大になるよう選択する。特に凝固系の研究では、信号はフィブリン血栓からの光散乱であり、雑音はin vitro系の血漿および他の要素の光散乱である。

0078

実験では、タンパク質分解酵素活性の時空間分布の変化を引き起こすために、in vitro系に活性化剤を加えてもよい。活性化剤は、表面に固定化された組織因子、可溶性の組織因子、組織型プラスミノーゲン活性化因子、組織因子発現能のある細胞、体組織の試料、ガラスまたはプラスチックからなる群から選択される作用剤であってもよい。

0079

一実施形態では、分析下のタンパク質分解酵素は、生化学的プロセスの結果として、そのチモーゲンから、被検媒体で直接形成される。別の実施形態では、分析対象となるタンパク質分解酵素は、媒体中で生じる生化学的プロセスによって、被検媒体中で徐々に分解される。

0080

試料中における標識の蛍光と光散乱の空間分布については、あらかじめ定められた時点で、光学系の焦点を定め直し、照明/照射処理系の焦点も定め直す共焦点顕微鏡法によって記録してもよいし、蛍光顕微鏡によって記録してもよい。

0081

標識および得られる血栓の空間分布を、あらかじめ定められた時点で、さらに可視化する。

0082

暗視野技術を使用して、被検媒体試料からの光散乱を記録する。

0083

方法の第2の実施形態
第2の実施形態は、基質が発色基質であるという点で、第1の実施形態とは異なる。

0084

タンパク質分解酵素と発色基質との反応時、基質が切断され、標識すなわち発色団がそこから放出される。この系に、光が発色団によって実質的に吸収される波長の光をあてる。被検媒体の色の変化の空間分布を、あらかじめ定められた時点で記録する。試料の色の変化の空間分布から、試料中における発色団の空間分布を求める。媒体の成分に対する媒体中での発色団の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、発色団の分布から、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める。

0085

あらかじめ定められた時点で、被検媒体の試料に光をあて、光散乱の空間分布、試料中での光透過の空間分布またはこれらの組み合わせからなる群から選択される試料の光学特性を、写真用カメラによって記録する。

0086

方法の第3の実施形態
この方法の第3の実施形態は、基質が、タンパク質分解酵素によって反応時に切断されて化学発光産物を放出する基質であるという点で、第1の実施形態とは異なる。あらかじめ定められた時点で、試料中における発光強度の空間分布を記録する。媒体の成分に対する媒体中での化学発光産物の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、発光分布から、タンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める。

0087

あらかじめ定められた時点で、被検媒体試料に光をあて、光散乱の空間分布、試料中での光透過の空間分布またはこれらの組み合わせからなる群から選択される被検試料の光学特性を、写真用カメラによって記録する。

0088

この方法のすべての実施形態において、in vitro系の全量において、好ましくは約37℃の均一な温度を維持する。この目的で、系を熱的に調節する。被検試料中での気泡の形成を避けるために、in vitro系の圧力を、好ましくは大気圧よりも高いレベルに維持する。試料のpHを、7.2〜7.4の範囲に安定させる。

0089

基質は、溶液状で被検媒体の試料に加えてもよい。また、被検媒体試料を入れる前にin vitro系の壁面にフリーズドライ状で基質を適用することも可能である。

0090

照明と標識シグナルの記録は、1分間に1〜1800回の頻度で実施する。試料の温度を安定させた後で、照明を実施する。

0091

被検血漿試料、接触相阻害因子、塩化カルシウム、被検凝固因子に特異的な基質の混合物を調製する。この混合物を、研究のすべてのバリエーションで使用する。

0092

試料は、特に、全血あるいは、多血小板血漿、無血小板血漿、乏血小板血漿からなる群から選択される血漿である。

0093

分析される凝固因子は、特に、トロンビンである。

0094

本発明によれば、in vitroでの不均一系におけるタンパク質分解酵素(凝固因子)活性の時空間分布の変化に基づいて、止血系における障害を診断するための方法であって、試料として、全血、無血小板血漿、乏血小板血漿、多血小板血漿、抗凝血薬を加えた血液、抗凝血薬を加えた血漿からなる群から選択される血液成分を使用する必要のある方法が、提供される。

0095

被検試料を、表面に固定化された血液凝固活性化因子と接触させること、研究対象となるタンパク質分解酵素によって切断される基質を添加すること、カルシウム塩を添加すること、接触凝固活性化の阻害因子を添加することからなる群から選択される少なくとも1つの操作を実行することによって、被検試料においてタンパク質分解酵素を形成し、これを観察するための条件が与えられる。

0096

決められた瞬間に、基質から切断された試料中の標識のシグナルの空間分布を記録する。

0097

試料の温度を、25〜45℃の範囲で、1℃の精度で安定して維持する。試料のpHを、7.2〜7.4の範囲に安定させる。

0098

媒体の成分に対する媒体中での標識の結合を考慮しつつ、「反応−拡散−対流」タイプの逆問題を解くことによって、決められた時間に対する標識シグナルの一組の空間分布から、タンパク質分解酵素(凝固因子)の活性の時空間分布を求める。これに基づいて、経時的な凝固因子分布の時空間分布を計算する。

0099

タンパク質分解酵素の時空間分布のずれによって、止血系の状態を推定する。

0100

また、明確に限定された瞬間に、被検試料を照明し、暗視野法を用いて被検媒体試料中にて形成されるフィブリン血栓からの光散乱の空間分布を記録して、形成されたフィブリン血栓を可視化する。

0101

調べる対象となる凝固因子は、トロンビン、第Xa因子、第VIIa因子、第IXa因子、第XIIa因子、第XIa因子、プラスミンからなる群から選択されるタンパク質分解酵素である。

0102

試料中における凝固系の状態を評価し、診断を行うために、トロンビンまたはフィブリンの時空間分布の少なくとも1つのパラメーターを使用する。このパラメーターは、トロンビン波の空間伝播速度、試料中におけるトロンビンの最大濃度、波の動いている部分におけるトロンビンの最大濃度、トロンビン濃度の増加率、空間に従ったトロンビン濃度の積分、時間および空間に従ったトロンビン濃度の積分、フィブリンフロントの空間伝播速度(光散乱)、試料中における最大フィブリン濃度(光散乱量)からなる群から選択されるものでなければならない。

0103

不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布を求める前記方法(その実行のバリエーション)を実現するための装置(device)(装置(apparatus))は、被検媒体試料中に分散された、血漿、全血、水、ゲルおよびリンパ液、コロイド溶液、晶質液またはゲル、タンパク質分解酵素またはそのチモーゲンからなる群から選択される被検媒体の試料21を入れるためのキュベット20(図4)を含むin vitro系を備える。キュベット20は、特定の幾何学的寸法と形状を有し、断面は矩形で、プラスチック製である。

0104

対流を減らし(層が薄くなればなるほど、液体運動減衰が速まる)、高速加熱を保証するには、試料層の厚さを最小にする必要がある。シグナル強度を増すには、試料層の厚さを最大にする必要がある。最適な厚さは、0.1〜1.5mmの間である。

0105

この装置は、タンパク質分解酵素活性の時空間分布の変化を開始させるプロセス活性化因子23をキュベットに配置および挿入するよう設計された活性化手段22をさらに含む。

0106

この装置(device)(装置(apparatus))は、in vitro系において均一な温度を保証するための手段24をさらに含む。この装置では、水温制御および気温制御を含む異なるタイプの温度制御が可能であり、ゲルを温度制御にも利用できるが、この場合、媒体が光線に対して透明でなければならないことを考慮すべきである。本明細書に記載の実施形態では、水温制御を用いる。温度制御時、温度を1℃の精度で25〜45℃の範囲内に維持する。また、この装置は、in vitro系の圧力を維持するための手段(図示せず)も含む。前記手段は、被検試料媒体を囲む空間において一定の空気圧を維持するよう設計される(これは、均一な温度を維持するための手段24と一緒に、温度・圧力制御ユニット25を形成する)。この手段は、0.2から0.5atmの過剰圧力を維持する。これによって、分析下の試料中における気泡の形成が防止される。泡の形成は、試料に含まれる溶存気体溶解性低下が原因である。通常、この現象は、試料の加熱と関連している。泡は、媒体を泡がない場合より生理的でなくする、すなわち、シミュレートしている条件からのずれと、酵素分布の計算という両方の観点で、局所的な歪みを引き起こす。

0107

この装置は、あらかじめ定められた時点で、試料に蛍光発生基質を加える場合は標識の蛍光を励起するための励起光線を被検媒体試料21に照射し、試料に発色基質を加える場合は標識によってかなり吸収される波長の光を照射するための手段26を含む。手段26は、サーモスタット24に設けられた窓を通して、キュベット20の壁に垂直に光線を印加する。照明手段26は、たとえばUVLEDなどのUV源を含む。可視光を被検媒体試料にあてるための手段27は、キュベット20の壁との間に角度をなす光を与える。この装置は、光線をキュベットに送るためのミラー28のみならず、蛍光シグナルを抽出するための励起フィルター29および放射フィルター30を含む。光学素子の放射は、試料の局所的な加熱を引き起こすべきではない。手段26〜30の組み合わせで、照明/光照射ユニット31が形成される。

0108

この装置は、あらかじめ定められた時点で、被検媒体試料における標識蛍光強度/光散乱(または発色団標識による吸収)の空間分布を記録するためのユニット32をさらに含む。記録ユニット32は、試料の異なる深度から画像を得るための手段を含む。この手段は、光学素子の焦点を合わせるための光学系33と、アパチャー(図示せず)とを含む。蛍光強度は、分析下にあるタンパク質分解酵素の活性に左右される。基質からの蛍光は、キュベット20の壁に垂直に伝播し、この放射スペクトルに対しては透明なミラー28を通過した後、放射フィルター30を通過し、光学系33を介して、デジタル写真用カメラであってもよい記録装置34に入射する。

0109

この装置は、オン/オフ時間、照明/光照射の強度と時間、照明手段/光照射手段と記録手段(図示せず)の動作の同期を制御するプロセッサ(図示せず)などの照明/光照射オン/オフ制御手段を備える。

0110

コンピューター計算装置(図示せず)が、経時的なタンパク質分解酵素活性の空間分布を計算する。

0111

暗視野技術によって、形成されている/溶解されている血栓を可視化するための手段ならびに、標識(フルオロフォア/発色団)(図示せず)の形成/分解の空間画像を可視化するための手段も、制御手段に接続される。

0112

以下、装置の機能と不均一系におけるタンパク質分解酵素活性の時空間分布の定義方法について、網羅的ではない実施例で検討する。

0113

材料
以下の作用剤を使用した。ホスファチジルセリンおよびホスファチジルコリン、7−アミノ−4−メチル−クマリン(AMC)、Z−Gly−Gly−Arg−AMC、トウモロコシトリプシン阻害因子、第VIII因子、第VIII因子試験、第VIII因子欠乏血漿、糖タンパク質IIb−IIIaアンタゴニスト

0114

採血および血漿調製
健常なドナーの新鮮ヒト血液から、正常な血漿の試料を得た。血液は、3.8%クエン酸ナトリウム(pH5.5)中に、容量比9:1で採取した。血液を1600gで15分間遠心処理した後、上清を10000gで5分間さらに遠心処理して、無血小板血漿を得た。次に、上清を凍結させ、−70℃で保管した。各実験の前に、試料を水浴中にて解凍した。

0115

多血小板血漿を調製するために、血液を100gで8分間遠心処理した。無血小板血漿とともに溶解することで、血小板の濃度を細胞250,000個/μlにした。pHを安定させるために、血漿に28mMのHepesを加えた(pH7.4)。

0116

多血小板血漿で実施したようにして、何種類かの凝固因子が欠乏した市販の血漿を解凍し、Hepesで処理してpHを安定させた。

0117

活性化因子の調製
上述したように、活性化因子すなわち、プラスチック表面に固定化された組織因子(TF)の単層を用いて、凝固を活性化した。活性化因子を+4から+8℃で保管した。

0118

実験
異なる被検媒体試料における空間血栓成長について検討する。

0119

A)無血小板血漿における血栓の空間成長
上述したようにして調製した血漿に、たとえばトウモロコシトリプシン阻害因子などの阻害因子(0.2mg/ml)、0.1μMの脂質ベシクルモル比20/80のホスファチジルセリン/ホスファチジルコリン)を補った。トロンビンの形成を観察するために、基質Z−GGR−AMC(800μM)を加えた。試料を37℃で10分間インキュベートした後、カルシウム塩、特にCaCl2(20mM)を加えた。調べる対象となる試料を実験用のキュベットに入れ、調製した血漿試料と接触させることで表面を組織因子で覆った活性化因子によって血栓の形成を開始した。

0120

実験は、特別に設計したビデオ顕微鏡系を用いて行った。顕微鏡系では、空間分布またはフィブリン血栓の成長とタンパク質分解酵素、特に、トロンビンを、同時に観察できた。チャンバ内の温度を37℃に維持し、赤(625nm)と紫外線(365nm)のLEDで光を照射した。赤色の光(図5a)を照射したときに、試料の光散乱から血栓の成長を検出し、紫外線LED(図5b)によって、AMC蛍光を励起させた。マルチレーン放射フィルターを使用して、赤色の光散乱、AMC放射、励起放射を分離した。マクロレンズを通過する赤色光の散乱と蛍光を、デジタルCCDカメラで検出した。赤色光と青色光の画像を、通常は1分あたり1〜4回、順次取得した。AMCおnバーンアウトを防止するために、LEDをカメラと同期させ、露光時すなわち、約0.5秒間のみスイッチを入れた。

0121

B)多血小板血漿における血栓の空間成長
血栓の退縮を防止するために、25μg/mlの糖タンパク質阻害因子IIb/IIIaを使用した。また、実験は、0.5%低融点アガロースゲルで行った。これは、場合によっては高濃度アンタゴニストでも退縮を完全には阻害しないかったからである。

0122

無血小板血漿に代えて多血小板血漿を用いたこと以外は、上述したようにして試料を調製した。カルシウム再沈着後、血漿を2分間で42℃まで予熱した。アガロース溶液を加え、実験用のチャンバで混合物を3分間インキュベートして、ゲルを形成した。その後、上述したようにして実験を開始した。

0123

データ処理
画像処理
まず、赤色光および紫外光の画像を同じようにして処理した。光散乱(図6a)またはAMC蛍光のプロファイルを得るために、活性化因子の表面に垂直なラインに沿って、それぞれの範囲におけるフレームごとに光強度を測定した。これらの値を平均して、ライン150〜300本にした。

0124

光散乱プロファイル上の最大強度点の半分の動きから、血栓成長速度を計算した。初期成長速度は、血栓成長の最初の10分間における血栓サイズ時間依存性図の直線部分の勾配として求めた。血栓の成長に対する影響が些細になるほど、血栓の境界が活性化因子から遠い場合、血栓成長の40分後に、同じようにして定常速度を計算した。

0125

AMC蛍光強度のプロファイルを、較正によってその濃度のプロファイルに変換した。強度較正プロファイルについては、同じ血漿における既知のAMC濃度を用いて、均一な分布内で計算した。各点のAMC濃度(Ci)は、以下のようにして計算した。



式中、Iiは蛍光強度、Ibgrは背景強度、Icalは、AMC濃度がわかっている場合の蛍光強度(いずれもフレームの同一点でのもの)であり、CcalはAMCの較正濃度である。

0126

トロンビン濃度の計算
以下の反応−拡散式に対する逆問題を解くことで、AMCの一次元分布から、トロンビン濃度(図6b)を計算した。



式中、AMC、SおよびIIaは、それぞれ、AMC、蛍光発生基質、トロンビンの濃度であり、DAMCはAMC拡散係数であり、Km、kcatは、ミカエリス定数すなわち、トロンビンによる基質切断の反応定数である。

0127

AMC拡散係数については、実験の拡散プロファイル理論的な拡散プロファイルにフィットさせることによって、実験的に測定した。

0128

トロンビン濃度分布の逆問題は悪い状態のため、実験ノイズはもとより、AMCプロファイルの小さな歪みですらも、それがあると解が得られなくなる。これを解決するために、数値アルゴリズムを使用して、AMCシグナルのノイズと歪みのレベルを小さくした。

0129

AMCシグナルの歪みは、フィブリン血栓での光散乱の励起によるものである。蛍光強度は、血栓内部で増加する。この増加は、AMC濃度および血栓密度に比例する。これを解決し、実際のAMC濃度を計算するために、以下の式を用いた。



式中、AMCvisibleは較正によるAMC濃度であり、AMCrealは実際のAMC濃度であり、Clotはフィブリンによる光強度の散乱であり、係数ki、k2、k3は、実験的に測定された。

実施例

0130

ノイズを抑えるために、以下の微分係数計算のアルゴリズムを用いた。



式中、Δtはフレーム間の時間、一般に1分間であり、Δxは画素サイズ(4.3μm)であり、IおよびJの値は、最小限のシグナル歪みでノイズを最小にするのに最適なように選択される。典型的には、J=3およびI=40を選択し、この場合、単位数より大きいI値とJ値から総計を開始してもよい。

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