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技術 皮膚との電気的接触を確立するための電極センサキット、電極アセンブリ、及び局所用調合剤、これらの使用、並びにこれらを使用した電気インピーダンス断層撮影法(EIT)による撮像方法

出願人 スイストム・アーゲー
発明者 ブルナー,ジョセフ・エックスベーム,シュテファン
出願日 2012年6月7日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2014-513875
公開日 2014年8月7日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2014-518740
状態 特許登録済
技術分野 生体の電気現象及び電気的特性の測定・記録
主要キーワード 構造的寸法 電気的値 各接触要素 電極接触領域 各接触領域 最短寸法 電極表面領域 閉塞層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題・解決手段

皮膚(2)との電気的接触確立するための電極センサキットは、少なくとも1つの接触要素(3)、及び接触要素(3)と皮膚(2)との間の電気的接触特性を増強するための、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含む調合剤(4)を備え、ここで上記混合物は、3mS/cm(ミリシーメンスセンチメートル)未満、好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1mS/cm未満の導電率を有するエマルジョン、特に油中水エマルジョン又は水中油エマルジョンを形成する。上記キットを備える電気インピーダンス断層撮影法のための電極アセンブリ(1)は、(a)上記少なくとも1つの接触要素(3)は電極又はセンサプレートを形成すること、及び(b)上記少なくとも1つの接触要素(3)は上記調合剤(4)の層を備えること、を特徴とする。電気インピーダンス断層撮影法(EIT)において、生体信号測定を実施するために上述の電極センサキット又は電極アセンブリが使用され、上記調合剤(4)及び上記少なくとも1つの接触要素(3)を試験対象のヒトの皮膚(2)に適用して、調合剤(4)が皮膚(2)と少なくとも1つの接触要素(3)との間に介在するようにする。皮膚の電気的接触特性を増強及び安定化するための局所用調合剤は、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含み、上記混合物は油中水又は水中油エマルジョンを形成する。少なくとも1つの電圧若しくは電流値又は皮膚上の電圧若しくは電流分布を決定する方法は、所定の位置における電流若しくは電圧の印加及び/又は電気的値の測定の前に、水と少なくとも1つの脂質との混合物から形成された水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンを含む局所用調合剤を、上記所定の位置において皮膚に塗布することを特徴とする。

概要

背景

集中治療専門医医師呼吸器科医理学療法士及び高いパフォーマンスを要求されるアスリートにとって、電気インピーダンス断層撮影法(EIT)は、部位的肺換気及び灌流(血液の流れ又は脈動)に関するリアルタイムの情報を提供する撮像方法である。従来の方法とは対照的に、EITは、患者センサを通して呼吸する必要がなく、イオン性X線適用せず、例えば24時間又はそれ以上の長期間使用できる。従ってEITは継続的に使用でき、従ってリアルタイムで及び時間に沿って治療効果及びトレーニング効果監視するのに適している。1983年に初めてEITを用いて呼吸機能の監視が行われ、EITは、肺容量局所的変化を継続的及び非侵襲的に測定できる唯一の臨床方法であり続けている。EIT技術の詳細は、非特許文献1又は非特許文献2に見ることができる。

EITでは、電流胸部の皮膚に適用して胸部内に電場確立する。典型的には胸部の周囲に8、16又は32ケの電極を配置し、これらを用いて電場からの電位を測定する。測定した電圧を用いて、特に不良設定非線形逆問題のために開発されたアルゴリズムを用いて胸部内の電気インピーダンス分布推定する。インピーダンス推定の不良設定性を克服するために、大半のEIT撮像アルゴリズムは、胸腔内インピーダンス分布平滑度、インピーダンスコントラスト、又は形状及び内部構造についての演繹的情報等、正規化として知られる追加の仮定を利用する。これらの正規化は、競合する解決法間での決定を行うための数学的アルゴリズムを補助する役割を果たし、空間分解能の低下又は最大摂動減衰犠牲にして、胸部内の真のインピーダンス分布の合理的な推定である画像を生成する。画像生成ソフトウェアは典型的には異なる方法による正規化を実装し、このようなソフトウェアは当該技術分野において公知である。

最後に、算出したインピーダンス分布を、気体の存在、不在又は変化及び必要に応じて血液量を示す画像に変換する。これらの画像を動画のように順序どおりに迅速にプロットすることにより、これらの画像はの各領域へ及び肺の各領域から内外へ流れる気体及び血液の流れの描写を生成し、これにより、医師又はアスリートは肺の機能をリアルタイムで評価できる。画像をプロットする代わりに、画像から特性を抽出して数字又は指標として表示できる。左:右換気又は背部腹部換気が例として挙げられ、ここではこれらの数字は例えば全換気に対する百分率を表す。

胸壁の形状及び構造もまた、胸部内インピーダンスに対してと同等に、胸壁表面において測定される電圧に対して影響を及ぼす。その結果、真のインピーダンス分布の再構成は、実行可能ではあるものの、胸部の形状並びに電極と皮膚との間のインピーダンスに関する知識を必要とする。

しかしながら、Barber及びBrownによって初めて説明されたように、胸部の構造に関する事前知識なしに様々な画像を生成できる。これらの画像は、ベースライン又は基準状態に対するインピーダンスの変化から生成されるが、これは、胸部の形状及び接触インピーダンスの両方がこれらの状態の間で有意に変化しないと仮定した上でのものである。この相対的又は差分アプローチは、理論的にだけでなく、患者に対する診療においても、胸部の形状、電極の位置、身体の構造及び接触インピーダンスに関する殆どの誤差を相殺するが、これはこの同一の誤差が同様に両画像に適用されるためである。最新のEITデバイス及び当該技術分野における殆どの刊行物では、この相対的アプローチを利用している。よって、これらはインピーダンスの変化を表示するものであり、インピーダンスの絶対値を表示するものではない。しかしながら、拍動する心臓及び呼吸する肺等の臓器の機能の動態が監視できる場合、認識されているこのような制限は実際には問題にならない。

しかしながら、診療における相対EITの使用は、電極と身体の皮膚との間の接触インピーダンスが予想通りに経時的に安定しない限り不可能である。接触インピーダンスのいずれの有意な変化は、対象となっている臓器内での変化として誤って認識されることになる。よって、各電極の部位における接触インピーダンスの正確な絶対値がわかる必要はないものの、画像生成ソフトウェアが意義のあるEIT画像を生成する場合は、これらの値が経時的に安定した状態でなければならないという条件が満たされていない。

更に、生物への注入が許されている電流の制限量(10mA)を最大限使用するために、安定なだけでなくかなり低い接触インピーダンスを達成することが大いに望ましい。このような電流でなければ、最大SN比を達成できない。画像を再構成する際、従来のEITアルゴリズムは、(通常8、16又は32の)電極が胸部の周り別個物理的位置に、大半の場合等間隔になるように配置されているものと仮定する。このようなEITアルゴリズムは、これらの電極間クロストークを考慮していない。クロストーク及びクロストークの変化は、画像生成ソフトウェアによって、内臓及びこれらの臓器の機能に由来する信号として解釈され得る。よって、電極間のクロストークは低くかつ一定なままであるべきである。

いずれのデバイス又は構造を生物の皮膚と直接接触して配置するように設計する際に考慮するべき更に別の態様は、このような皮膚への物理的衝撃であり、これは、物理的不快感又は更には皮膚の破損、そればかりか筋肉又は骨等の下部組織の破損(褥瘡)まで引き起こし得る。このような破損の発生における主要な寄与因子は以下の通りである:1)患者の急性重篤疾患又は慢性疾患内因子);2)微小血管及び毛細血管圧迫する局所絶対圧(通常>30mmHg)(これは通常骨が身体の表面に近接して位置する領域において最も高い)並びに/又は組織還流する圧力に対する圧力;3)このような圧力を印加する時間;及び4)時間−圧力の積(短い期間には極めて高い圧力でさえ許容可能である)。更に、代謝要求の上昇によって5)上昇する湿度及び6)上昇する温度レベルにより、組織は損傷を受けやすくなる。更に、7)剪断応力組織表面に対して接線方向の力)は、主に毛細血管の領域に負の影響を及ぼし、この領域においてこの負の影響によってこのような欠陥ねじれが発生し、このねじれは、酸素及び栄養素豊富に含む血液が、それを利用する部位に流れるのを阻止する(局所貧血)。

上記の説明において、生体である対象の脆性の皮膚に適用される電極等のいずれの物理的構造は、好ましくはこれら対象の個々の必要、特にこれら対象の皮膚の個々の必要に応えるものであるべきであることが明らかとなる。このような必要は、導電性シリコーン、金属、若しくはその他の導電性材料製の電極を支持するシリコーンゴム若しくはプラスチック製のベルト、又は皮膚が「自然に呼吸する」こと並びに数日若しくは数週間等の長期間にわたって(本質的に経皮水分喪失量(TEWL)ゼロで)湿気及び熱を交換することを防ぐいずれのゲル若しくは粘着性テープ等、非透過性かつ閉塞性の物理的構造の使用を排除する。

従来のEITシステム接着性ゲル電極を使用し、これは患者の暖かく湿った皮膚に接触すると、その電気的特性を大幅に変化させ得る。ゲルは、少なくとも1つのスポンジ固相及び1つの液相(典型的には90重量%以上の水)を含む、微細分散系である。固相内の細孔は液体充填され、この液体は時間が経つと蒸発して、皮膚内で補充されない限り水分の損失を引き起こす。したがってゲル電極は既にかなり乾燥した皮膚カバー層内における水分の損失を促進でき、これによって電流に対する抵抗が増大することになる。このような抵抗の増大を補償する試みとして、ゲル電極は典型的には導電性イオンとして銀/塩化銀を含有する。これらのイオン浸透圧を発生させることができ、これは、皮膚内からの更なる水分の損失を招く、これらのイオンへの水の正味フラックスを発生させる。更に、典型的なゲル電極は、ゲルの丁度中心において、ケーブルが取り付けられた典型的な押しボタンへと繋がる電線との接触が確立されるように設計される。電極の完全導電性の金属部分と、導電性が低いゲルとの間の電気的接触表面がこのように最小となることにより、電気的に有効な電極領域が極めて制限される。よって、ゲルパッド構造的寸法が大きく見えても、その電気的に活性である表面は通常大きくなく、これによって必然的に電気的抵抗が大きくなる。通常は室温で保管される電極を暖かい皮膚に適用した後、その抵抗は温度が上昇する毎に更に有意に増大する。

代替として、特にEITでの応用のために、ゲル電極の代わりにベルト様固定物が現在使用されている。これら完全閉塞性の電極の構成は、幅広シリコーンストリップからなり、このストリップはその内壁に、炭素含浸シリコーン等の導電性材料製の電極領域を8、16又は32個含む。個々の電極と対象の皮膚との間の十分な物理的接触を達成するために、このベルトは身体の周りにしっかりと巻き付けて固定しなければならない。このようなベルト上には湿気又は自由流体がないため、患者の皮膚との初期の電気的接触は最適ではないが、これは時間とともに、及び湿気が集積するにつれて改善される。開始直後から十分な接触状態を得るために、接触ゲルを塗布できる。電気的な観点からすると、完全閉塞性の設計が有利となり得るが、圧力、湿気、熱、及びゲルを使用する場合はゲルの成分によって必然的に皮膚が膨張して破壊されるため、上記の設計は長期間にわたって使用することはできない。これらの理由から、4時間を超えてこのようなベルトを使用することは推奨できない。したがって、このような設計は、皮膚に優しいEIT電極構成という本質的な要件を満たさない。これと同様の制限は、いずれのタイプの乾燥した金属電極に当てはまる

理論的かつ実際的な観点から、いずれのEITの応用について、天然外皮即ち「表皮」、特に、乾燥した、死んだかつての上皮細胞からなるその最外層即ち「上皮角質層」によって付与される電気的バリアを克服することによって、身体の内部流体区画への直接的なアクセスを得ることが極めて望ましい。身体からの過剰な水分の損失を防ぎ、機械的応力及び張力から身体を保護するよう生物学的に設計されたこの天然のバリアを克服するための考えられる2つの明らかな方法は、例えば:1)電極を配置することになる場所における計画的な研磨による、皮膚の少なくとも最外層の物理的な除去;又は2)針様の導電体を皮膚に突き刺すことによる皮膚の貫通である。理由は明らかであろうが、これらの破壊的な方法を病気の患者に対して臨床的に使用することは考えられない。

装着者の皮膚と、走者心拍数モニタ等の電子デバイスとの間の電気的接触を確立するために、乾燥織物電極が使用されてきたが、これらの電極は、電極を適用した領域において個人が有意に発汗し始めない限り作動しない。この界面が再び乾燥すれば、電気的接触は直ちに失われ得る。これら編物又は織物を用いる解決法は、装着に便利かつ快適であり、蒸発を可能とするが、その電気的に活性である表面領域は通常、使用する織り糸の導電性が低いこと、並びに織り糸の寸法が大きいこと及び使用される典型的な織物製造プロセスによって皮膚との接触点の量が制限されることにより、物理的な電極表面領域全体に対して極めて小さい。このような電極が高い接触圧力を必要とするか又はかなり大きなものである必要があるのはこのためであり、従って、胸壁等の限定された周囲に8、16又は32の電極を配置する必要があるEIT等の分野での応用には役に立たない。

上述の理由から、生物の皮膚とEITシステムの電極との間の、より信頼性が高くより安定な電気的接触を達成するための方法及び手段に対する明白な需要が存在する。同時に、このような手段及び方法は、皮膚の脆弱性を考慮しなければならない。その上、可能ないずれの解決法は、特に典型的な単一患者に使用される使い捨て物品として設計される場合、低コスト大量生産可能でなければならない。

電極と皮膚との間の「接触」インピーダンスは、下部組織のインピーダンスの正確な測定を困難にすることがわかっている(非特許文献3参照)。最適な電気的接触を保証するために、電極ゲルを使用してよい。このようなゲルはいわゆる「湿潤」ゲルとヒドロゲルとに分類できる。標準的なゲルは通常、水、増稠剤、殺バクテリア剤、殺菌剤イオン性塩及び界面活性剤からなる。ここでイオン性塩は、ゲルの導電性を保証する役割を果たす。しかしながら、ヒトの組織は生理学的レベルから大きく離れた塩濃度への長期間の曝露には耐えられないため、NaCl濃度が>5%であるいわゆる侵食性ゲルは使用するべきではない。

ヒドロゲルは、天然(例えばカラヤゴム)又は合成(例えばポリビニルピロリドン親水コロイドを含む「固体」ゲルである。また、ヒドロゲルは親水性であり、皮膚を水和する性質に乏しく、表面の湿気を吸収しさえし得る。これらは標準的な「湿潤」電極よりも抵抗性となる傾向がある。ヒドロゲルの典型的な固有抵抗800〜8000Ωcm-1と比較すると、「湿潤」電極の典型的な固有抵抗は5〜500Ωcm-1となる傾向がある。

皮膚のバリア特性を低減するために、いわゆる「透過増強剤」の使用が提案されている。透過増強剤が機能する機序は十分にはわかっていないが、いくつかの場合においては、透過増強剤は上皮角質層の水和性を変化させるか、又は細胞チャネル内の規則的な脂質の充填構造を変化させ得る(非特許文献4参照)。

電解質ゲルにしばしば使用される透過増強剤の種類としては、界面活性剤がある。これら界面活性剤は、その親水性(又は極性)基及び親油性非極性)基の結果として、水−油界面に吸収される。水−油界面における配向により、界面活性剤の分子極性相非極性相との間での遷移を促進する。飽和又は不飽和脂肪酸エステル並びに天然油のエステルの使用も報告されている。ラウリル硫酸塩の0.2%溶液は、上皮角質層の電気抵抗を95%低減できた。しかしながら、所定の透過増強剤の使用は特定の薬剤の皮膚への透過性を増大させ得るが、これによって皮膚の電気インピーダンスが必ずしも減少するわけではないこともまた、T.McAdamsらにより報告されている。

特許文献1は、使い捨て医療デバイスのための電気的インタフェースとして使用するのに適した、導電性粘着性ヒドロゲルを提供する組成物に関する。上記ヒドロゲルは皮膚への不快感が低減されており、対象の皮膚を水和して対象の表面の体毛の周囲を直ちに湿らせる。ヒドロゲルの組成物は、モノマー、第1の濃縮の第1の開始剤、第2の濃縮の第2の開始剤、及び架橋剤を含む。ヒドロゲルは任意に、塩化カリウム塩化ナトリウム等の無機塩又はクエン酸ナトリウム及び酢酸マグネシウムのような弱有機酸の塩の形態の導電性増強剤を含むことができる。導電性増強剤は、ヒドロゲル前駆体の0〜15重量%の量で存在することになる。

特許文献2は、安息香酸サリチル酸酒石酸クエン酸乳酸及びリンゴ酸並びにこれらのナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選択される導電性材料に関する。エマルジョンタイプのある例示的な組成物は、酒石酸ナトリウム(3.5%)、脂肪酸基(6.5%)、天然又は合成油(4.0%)、トリエタノールアミン(3.0%)、グリセリン(4.0%)及び水(79%)を含む。

特許文献3は、神経頭蓋刺激のための電極アセンブリを開示している。これは電極、導電性ゲル、及び電極を位置決めするためかつ導電性ゲルを保持するためのアダプタを含む。ゲルは好ましくは:1)支持特性を有するポリマー;2)透過性を増大させる及び/又は皮膚の固有を変化させるよう皮膚に作用する機能を有する界面活性剤;3)ゲルの水和を維持する機能を有する湿潤剤;4)導電性を増大させる機能を有する塩;5)水;及び6)防腐剤又はその他の化学物質を含む。好ましい界面活性剤は、油可溶特性を有し、ヘキサメタリン酸ナトリウムのようなイオン及び非イオン界面活性剤であり得る。適切な塩はイオン化可能な塩、酸若しくは塩基の塩又は緩衝溶液である。無機塩の例としては、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、及びクエン酸カリウム若しくは酢酸カリウム等の有機酸又は塩が挙げられる。添加剤には、ココナツ油又はヒマシ油のような天然油、アロエベラ、合成蜜蝋等がある。これらの添加剤は、皮膚を保護又は修復する作用を有する。

概要

皮膚(2)との電気的接触を確立するための電極センサキットは、少なくとも1つの接触要素(3)、及び接触要素(3)と皮膚(2)との間の電気的接触特性を増強するための、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含む調合剤(4)を備え、ここで上記混合物は、3mS/cm(ミリシーメンスセンチメートル)未満、好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1mS/cm未満の導電率を有するエマルジョン、特に油中水エマルジョン又は水中油エマルジョンを形成する。上記キットを備える電気インピーダンス断層撮影法のための電極アセンブリ(1)は、(a)上記少なくとも1つの接触要素(3)は電極又はセンサプレートを形成すること、及び(b)上記少なくとも1つの接触要素(3)は上記調合剤(4)の層を備えること、を特徴とする。電気インピーダンス断層撮影法(EIT)において、生体信号測定を実施するために上述の電極センサキット又は電極アセンブリが使用され、上記調合剤(4)及び上記少なくとも1つの接触要素(3)を試験対象のヒトの皮膚(2)に適用して、調合剤(4)が皮膚(2)と少なくとも1つの接触要素(3)との間に介在するようにする。皮膚の電気的接触特性を増強及び安定化するための局所用調合剤は、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含み、上記混合物は油中水又は水中油エマルジョンを形成する。少なくとも1つの電圧若しくは電流値又は皮膚上の電圧若しくは電流分布を決定する方法は、所定の位置における電流若しくは電圧の印加及び/又は電気的値の測定の前に、水と少なくとも1つの脂質との混合物から形成された水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンを含む局所用調合剤を、上記所定の位置において皮膚に塗布することを特徴とする。

目的

本発明は、上述のキットと共に提供されて皮膚に塗布される及び/又は同時に電気的接触を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

皮膚(2)との電気的接触確立するための電極センサキットであって、前記電極センサキットは:−分析機器接続可能な少なくとも1つの接触要素(3)と、−前記接触要素(3)と前記皮膚(2)との間の電気的接触特性を増強するための、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含む調合剤(4)とを有し、−前記混合物は、エマルジョン、特に油中水エマルジョン又は水中油エマルジョンを形成し、3mS/cm(ミリシーメンスセンチメートル)未満、好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1μS/cm未満の導電率を有することを特徴とする、電極センサキット。

請求項2

前記調合剤は、本質的に塩を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の電極センサキット。

請求項3

前記調合剤は、本質的に洗浄剤を含まないこと、特にイオン性洗浄剤を含まないこと、特に好ましくは本質的に界面活性剤を含まないこと、特にイオン性界面活性剤を含まないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電極センサキット。

請求項4

前記調合剤は、本質的にラウリル硫酸塩含まないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項5

前記調合剤(4)は、吸湿性物質親水性物質、糖類又は多糖類ポリアクリル酸塩パンテノール又はD−パンテノール、アラントインアロエベラグリコサミノグリカン陰イオン性硫酸化グリコサミノグリカン藻類又はアルギン酸アミノ酸又はタンパク質、及びヒアルロン酸又は塩からなる群から選択される少なくとも1つの活性成分を含むことを特徴とし、ここでヒアルロン酸が好ましい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項6

前記調合剤(4)は、少なくとも1つのアルコール、好ましくは一価二価三価及び多価アルコールグリセロールソルビトールプロピレングリコール並びにこれらの組合せからなる群から選択されるアルコールを更に含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項7

前記少なくとも1つの脂質は、油、好ましくは植物油リン脂質、好ましくはジアシルリン脂質;フォスファチジルコリンフォスファチジルエタノールアミンフォスファチジルグリセロール、フォスファチジルセリンフォスファチジルイノシトール、及びこれらのモノアシル誘導体コレステロール天然レシチン、好ましくは牛乳大豆、ひまわり及び/又は燕麦由来の天然レシチン;酵素加水分解レシチン、好ましくは酵素加水分解大豆レシチン;モノアシルリン脂質とジアシルリン脂質との混合物(好ましくは10〜90重量%のモノアシルリン脂質を含む);並びにこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項8

前記少なくとも1つの脂質及び/又は活性成分は、リポソーム又は微粒子の形態であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項9

前記調合剤(4)は、流体ゲル又はクリームの形態であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項10

前記調合剤(4)中の前記少なくとも1つの脂質の量は、5重量%以上50重量%未満、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項11

前記調合剤(4)中の前記水の量は50〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは50〜80重量%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項12

前記少なくとも1つの接触要素(3)は、金属、導電性ポリマー織物及び導電性織物、又はこれらの組合せからなる群から選択される材料を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電極センサキット。

請求項13

前記調合剤(4)及び前記少なくとも1つの接触要素(3)を試験対象のヒトの皮膚(2)に適用して、EIT測定中に前記調合剤(4)が前記皮膚(2)と前記少なくとも1つの接触要素(3)との間に介在するようにすることを特徴とする、生体信号測定を実施するための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電極センサキットの使用。

請求項14

前記複数の電極要素(3)を、隣接する各電極が両隣の電極から0.5〜10cm、好ましくは1〜5cm離間するように連続して並べることを特徴とする、請求項13に記載の使用。

請求項15

前記皮膚(2)と前記接触要素(3)との間の導電特性は、好ましくは電気泳動によって発汗の制御を誘導することにより調整されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の使用。

請求項16

例えば前記調合剤(4)と共に又は前記調合剤(4)とは別に、発汗誘導局所薬剤を前記皮膚(2)に塗布することを特徴とし、ここで前記発汗誘導薬剤は、好ましくは少なくとも副交感神経刺激剤、最も好ましくはピロカルピンを含む、請求項15に記載の使用。

請求項17

前記生体信号測定は好ましくは、EIT測定、心拍数測定及びECG測定からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか1項に記載の使用。

請求項18

特にEIT撮像方法を行うための、生物の皮膚との電気的接触を確立する方法であって、前記方法は、電気的エネルギを供給するため及び/又は電気信号を測定するための皮膚表面(2)への接触要素(3)の適用を含み、−前記接触要素を適用する位置において前記皮膚(2)に調合剤(4)を塗布すること;及び−前記調合剤(4)は、前記接触要素(3)と前記皮膚(2)との間の電気的接触特性を増強するために、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含み、前記調合剤(4)は、3mS/cm未満(ミリシーメンス/センチメートル)、好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1μS/cm未満の導電率を有することを特徴とする方法。

請求項19

請求項1〜12のいずれか1項に記載の電極センサキットを使用することを特徴とする、請求項18に記載の方法。

請求項20

皮膚の電気的接触特性を増強及び安定化するための局所用調合剤であって、前記局所用調合剤は、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含み、前記混合物は、3mS/cm未満(ミリシーメンス/センチメートル)、好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1μS/cm未満の導電率を有する、水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンを形成する、局所用調合剤。

請求項21

前記局所用調合剤は、更に界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項20に記載の局所用調合剤。

請求項22

前記局所用調合剤は、本質的に塩を含まないことを特徴とする、請求項20又は21に記載の局所用調合剤。

請求項23

前記局所用調合剤は、ヒアルロン酸又は塩、吸湿性物質、親水性物質、糖類又は多糖類、ポリアクリル酸塩、パンテノール又はD−パンテノール、アラントイン、アロエベラ、グリコサミノグリカン、陰イオン性非硫酸化グリコサミノグリカン、藻類又はアルギン酸、アミノ酸又はタンパク質、及びヒアルロン酸又は塩からなる機能性添加剤の群から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことを特徴とし、ここでヒアルロン酸が好ましい、請求項20〜22のいずれか1項に記載の局所用調合剤。

請求項24

少なくとも1つのアルコール、好ましくは一価、二価、三価及び多価アルコール、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール並びにこれらの組合せからなる群から選択されるアルコールを含む、請求項20〜23のいずれか1項に記載の局所用調合剤。

請求項25

前記少なくとも1つの脂質は、油、好ましくは植物油;リン脂質、好ましくはジアシルリン脂質;フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルグリセロール、フォスファチジルセリン、フォスファチジルイノシトール、及びこれらのモノアシル誘導体;コレステロール;天然レシチン、好ましくは卵、牛乳、大豆、ひまわり及び/又は燕麦由来の天然レシチン;酵素加水分解レシチン、好ましくは酵素加水分解大豆レシチン;モノアシルリン脂質とジアシルリン脂質との混合物(好ましくは10〜90重量%のモノアシルリン脂質を含有する);並びにこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項20〜24のいずれか1項に記載の局所用調合剤。

請求項26

前記局所用調合剤は流体、ゲル又はクリームの形態であることを特徴とする、請求項20〜25のいずれか1項に記載の局所用調合剤。

請求項27

前記局所用調合剤を、皮膚の電気的接触特性を増強するため、特に前記皮膚の導電性を増強するための薬剤として使用する、請求項20〜26のいずれか1項に記載の局所用調合剤。

請求項28

電気的診断方法において使用し、前記電気的診断方法は、前記皮膚に電気的エネルギを供給する及び/又は前記皮膚上の電気信号を測定するステップを含む、請求項20〜27のいずれか1項に記載の局所用調合剤。

請求項29

前記電気的診断方法において使用し、前記電気的診断方法は、電気インピーダンス断層撮影法(EIT)、心拍数決定、及び心電図(ECG)測定からなる群から選択される測定方法によって実行されるステップを含む請求項20〜28のいずれか1項に記載の局所用調合剤。

請求項30

皮膚(2)との電気的接触を確立するための電極センサキットであって、−少なくとも1つの接触要素(3)、−前記1つ又は複数の接触要素(3)と前記皮膚(2)との間の電気的接触特性を増強するための請求項20〜30に記載の局所用調合剤(4)を備える電極センサキット。

請求項31

少なくとも1つの電圧若しくは電流値又は皮膚上の電圧若しくは電流分布を決定する方法であって、所定の位置における電流若しくは電圧の印加及び/又は電気的値の測定の前に、水と少なくとも1つの脂質との混合物から形成された水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンを含む局所用調合剤を、前記所定の位置において前記皮膚に塗布することを特徴とする、方法。

請求項32

前記局所用調合剤及び少なくとも1つの接触要素を生物の皮膚に適用して、測定中に前記局所用調合剤が前記皮膚と前記少なくとも1つの接触要素との間に介在するようにすることを特徴とする、請求項31に記載の方法。

請求項33

電気インピーダンス断層撮影法(EIT)、心拍数測定、及び心電図(ECG)測定からなる群から選択される少なくとも1つの測定によって前記値を決定することを特徴とする、請求項31又は32に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、分析機器接続可能な少なくとも1つの接触要素を備える、皮膚との電気的接触確立するための電極センサキットに関する。更に本発明は、接触表面を形成するための少なくとも1つの接触要素を備える、皮膚との電気的接触を確立するための電極アセンブリに関する。更に本発明は、生体信号測定を実施するための上記電極センサキット又は上記電極アセンブリの使用に関して記載する。本発明はまた、電気エネルギを供給する及び/又は電気信号を測定するために、皮膚表面に接触要素を適用するステップを含む、電気インピーダンス断層撮影法(EIT)による撮像方法にも関する。更に本発明は、上述のキットと共に提供されて皮膚に塗布される及び/又は同時に電気的接触を提供する局所用調合剤にも関する。更に本発明は、生物の皮膚との電気的接触を確立する方法、並びに少なくとも1つの電圧若しくは電流値又は皮膚上の電圧若しくは電流分布を決定する方法に関する。

背景技術

0002

集中治療専門医医師呼吸器科医理学療法士及び高いパフォーマンスを要求されるアスリートにとって、電気インピーダンス断層撮影法(EIT)は、部位的肺換気及び灌流(血液の流れ又は脈動)に関するリアルタイムの情報を提供する撮像方法である。従来の方法とは対照的に、EITは、患者センサを通して呼吸する必要がなく、イオン性X線適用せず、例えば24時間又はそれ以上の長期間使用できる。従ってEITは継続的に使用でき、従ってリアルタイムで及び時間に沿って治療効果及びトレーニング効果監視するのに適している。1983年に初めてEITを用いて呼吸機能の監視が行われ、EITは、肺容量局所的変化を継続的及び非侵襲的に測定できる唯一の臨床方法であり続けている。EIT技術の詳細は、非特許文献1又は非特許文献2に見ることができる。

0003

EITでは、電流胸部の皮膚に適用して胸部内に電場を確立する。典型的には胸部の周囲に8、16又は32ケの電極を配置し、これらを用いて電場からの電位を測定する。測定した電圧を用いて、特に不良設定非線形逆問題のために開発されたアルゴリズムを用いて胸部内の電気インピーダンス分布推定する。インピーダンス推定の不良設定性を克服するために、大半のEIT撮像アルゴリズムは、胸腔内インピーダンス分布平滑度、インピーダンスコントラスト、又は形状及び内部構造についての演繹的情報等、正規化として知られる追加の仮定を利用する。これらの正規化は、競合する解決法間での決定を行うための数学的アルゴリズムを補助する役割を果たし、空間分解能の低下又は最大摂動減衰犠牲にして、胸部内の真のインピーダンス分布の合理的な推定である画像を生成する。画像生成ソフトウェアは典型的には異なる方法による正規化を実装し、このようなソフトウェアは当該技術分野において公知である。

0004

最後に、算出したインピーダンス分布を、気体の存在、不在又は変化及び必要に応じて血液量を示す画像に変換する。これらの画像を動画のように順序どおりに迅速にプロットすることにより、これらの画像はの各領域へ及び肺の各領域から内外へ流れる気体及び血液の流れの描写を生成し、これにより、医師又はアスリートは肺の機能をリアルタイムで評価できる。画像をプロットする代わりに、画像から特性を抽出して数字又は指標として表示できる。左:右換気又は背部腹部換気が例として挙げられ、ここではこれらの数字は例えば全換気に対する百分率を表す。

0005

胸壁の形状及び構造もまた、胸部内インピーダンスに対してと同等に、胸壁表面において測定される電圧に対して影響を及ぼす。その結果、真のインピーダンス分布の再構成は、実行可能ではあるものの、胸部の形状並びに電極と皮膚との間のインピーダンスに関する知識を必要とする。

0006

しかしながら、Barber及びBrownによって初めて説明されたように、胸部の構造に関する事前知識なしに様々な画像を生成できる。これらの画像は、ベースライン又は基準状態に対するインピーダンスの変化から生成されるが、これは、胸部の形状及び接触インピーダンスの両方がこれらの状態の間で有意に変化しないと仮定した上でのものである。この相対的又は差分アプローチは、理論的にだけでなく、患者に対する診療においても、胸部の形状、電極の位置、身体の構造及び接触インピーダンスに関する殆どの誤差を相殺するが、これはこの同一の誤差が同様に両画像に適用されるためである。最新のEITデバイス及び当該技術分野における殆どの刊行物では、この相対的アプローチを利用している。よって、これらはインピーダンスの変化を表示するものであり、インピーダンスの絶対値を表示するものではない。しかしながら、拍動する心臓及び呼吸する肺等の臓器の機能の動態が監視できる場合、認識されているこのような制限は実際には問題にならない。

0007

しかしながら、診療における相対EITの使用は、電極と身体の皮膚との間の接触インピーダンスが予想通りに経時的に安定しない限り不可能である。接触インピーダンスのいずれの有意な変化は、対象となっている臓器内での変化として誤って認識されることになる。よって、各電極の部位における接触インピーダンスの正確な絶対値がわかる必要はないものの、画像生成ソフトウェアが意義のあるEIT画像を生成する場合は、これらの値が経時的に安定した状態でなければならないという条件が満たされていない。

0008

更に、生物への注入が許されている電流の制限量(10mA)を最大限使用するために、安定なだけでなくかなり低い接触インピーダンスを達成することが大いに望ましい。このような電流でなければ、最大SN比を達成できない。画像を再構成する際、従来のEITアルゴリズムは、(通常8、16又は32の)電極が胸部の周り別個物理的位置に、大半の場合等間隔になるように配置されているものと仮定する。このようなEITアルゴリズムは、これらの電極間クロストークを考慮していない。クロストーク及びクロストークの変化は、画像生成ソフトウェアによって、内臓及びこれらの臓器の機能に由来する信号として解釈され得る。よって、電極間のクロストークは低くかつ一定なままであるべきである。

0009

いずれのデバイス又は構造を生物の皮膚と直接接触して配置するように設計する際に考慮するべき更に別の態様は、このような皮膚への物理的衝撃であり、これは、物理的不快感又は更には皮膚の破損、そればかりか筋肉又は骨等の下部組織の破損(褥瘡)まで引き起こし得る。このような破損の発生における主要な寄与因子は以下の通りである:1)患者の急性重篤疾患又は慢性疾患内因子);2)微小血管及び毛細血管圧迫する局所絶対圧(通常>30mmHg)(これは通常骨が身体の表面に近接して位置する領域において最も高い)並びに/又は組織還流する圧力に対する圧力;3)このような圧力を印加する時間;及び4)時間−圧力の積(短い期間には極めて高い圧力でさえ許容可能である)。更に、代謝要求の上昇によって5)上昇する湿度及び6)上昇する温度レベルにより、組織は損傷を受けやすくなる。更に、7)剪断応力組織表面に対して接線方向の力)は、主に毛細血管の領域に負の影響を及ぼし、この領域においてこの負の影響によってこのような欠陥ねじれが発生し、このねじれは、酸素及び栄養素豊富に含む血液が、それを利用する部位に流れるのを阻止する(局所貧血)。

0010

上記の説明において、生体である対象の脆性の皮膚に適用される電極等のいずれの物理的構造は、好ましくはこれら対象の個々の必要、特にこれら対象の皮膚の個々の必要に応えるものであるべきであることが明らかとなる。このような必要は、導電性シリコーン、金属、若しくはその他の導電性材料製の電極を支持するシリコーンゴム若しくはプラスチック製のベルト、又は皮膚が「自然に呼吸する」こと並びに数日若しくは数週間等の長期間にわたって(本質的に経皮水分喪失量(TEWL)ゼロで)湿気及び熱を交換することを防ぐいずれのゲル若しくは粘着性テープ等、非透過性かつ閉塞性の物理的構造の使用を排除する。

0011

従来のEITシステム接着性ゲル電極を使用し、これは患者の暖かく湿った皮膚に接触すると、その電気的特性を大幅に変化させ得る。ゲルは、少なくとも1つのスポンジ固相及び1つの液相(典型的には90重量%以上の水)を含む、微細分散系である。固相内の細孔は液体充填され、この液体は時間が経つと蒸発して、皮膚内で補充されない限り水分の損失を引き起こす。したがってゲル電極は既にかなり乾燥した皮膚カバー層内における水分の損失を促進でき、これによって電流に対する抵抗が増大することになる。このような抵抗の増大を補償する試みとして、ゲル電極は典型的には導電性イオンとして銀/塩化銀を含有する。これらのイオン浸透圧を発生させることができ、これは、皮膚内からの更なる水分の損失を招く、これらのイオンへの水の正味フラックスを発生させる。更に、典型的なゲル電極は、ゲルの丁度中心において、ケーブルが取り付けられた典型的な押しボタンへと繋がる電線との接触が確立されるように設計される。電極の完全導電性の金属部分と、導電性が低いゲルとの間の電気的接触表面がこのように最小となることにより、電気的に有効な電極領域が極めて制限される。よって、ゲルパッド構造的寸法が大きく見えても、その電気的に活性である表面は通常大きくなく、これによって必然的に電気的抵抗が大きくなる。通常は室温で保管される電極を暖かい皮膚に適用した後、その抵抗は温度が上昇する毎に更に有意に増大する。

0012

代替として、特にEITでの応用のために、ゲル電極の代わりにベルト様固定物が現在使用されている。これら完全閉塞性の電極の構成は、幅広シリコーンストリップからなり、このストリップはその内壁に、炭素含浸シリコーン等の導電性材料製の電極領域を8、16又は32個含む。個々の電極と対象の皮膚との間の十分な物理的接触を達成するために、このベルトは身体の周りにしっかりと巻き付けて固定しなければならない。このようなベルト上には湿気又は自由流体がないため、患者の皮膚との初期の電気的接触は最適ではないが、これは時間とともに、及び湿気が集積するにつれて改善される。開始直後から十分な接触状態を得るために、接触ゲルを塗布できる。電気的な観点からすると、完全閉塞性の設計が有利となり得るが、圧力、湿気、熱、及びゲルを使用する場合はゲルの成分によって必然的に皮膚が膨張して破壊されるため、上記の設計は長期間にわたって使用することはできない。これらの理由から、4時間を超えてこのようなベルトを使用することは推奨できない。したがって、このような設計は、皮膚に優しいEIT電極構成という本質的な要件を満たさない。これと同様の制限は、いずれのタイプの乾燥した金属電極に当てはまる

0013

理論的かつ実際的な観点から、いずれのEITの応用について、天然外皮即ち「表皮」、特に、乾燥した、死んだかつての上皮細胞からなるその最外層即ち「上皮角質層」によって付与される電気的バリアを克服することによって、身体の内部流体区画への直接的なアクセスを得ることが極めて望ましい。身体からの過剰な水分の損失を防ぎ、機械的応力及び張力から身体を保護するよう生物学的に設計されたこの天然のバリアを克服するための考えられる2つの明らかな方法は、例えば:1)電極を配置することになる場所における計画的な研磨による、皮膚の少なくとも最外層の物理的な除去;又は2)針様の導電体を皮膚に突き刺すことによる皮膚の貫通である。理由は明らかであろうが、これらの破壊的な方法を病気の患者に対して臨床的に使用することは考えられない。

0014

装着者の皮膚と、走者心拍数モニタ等の電子デバイスとの間の電気的接触を確立するために、乾燥織物電極が使用されてきたが、これらの電極は、電極を適用した領域において個人が有意に発汗し始めない限り作動しない。この界面が再び乾燥すれば、電気的接触は直ちに失われ得る。これら編物又は織物を用いる解決法は、装着に便利かつ快適であり、蒸発を可能とするが、その電気的に活性である表面領域は通常、使用する織り糸の導電性が低いこと、並びに織り糸の寸法が大きいこと及び使用される典型的な織物製造プロセスによって皮膚との接触点の量が制限されることにより、物理的な電極表面領域全体に対して極めて小さい。このような電極が高い接触圧力を必要とするか又はかなり大きなものである必要があるのはこのためであり、従って、胸壁等の限定された周囲に8、16又は32の電極を配置する必要があるEIT等の分野での応用には役に立たない。

0015

上述の理由から、生物の皮膚とEITシステムの電極との間の、より信頼性が高くより安定な電気的接触を達成するための方法及び手段に対する明白な需要が存在する。同時に、このような手段及び方法は、皮膚の脆弱性を考慮しなければならない。その上、可能ないずれの解決法は、特に典型的な単一患者に使用される使い捨て物品として設計される場合、低コスト大量生産可能でなければならない。

0016

電極と皮膚との間の「接触」インピーダンスは、下部組織のインピーダンスの正確な測定を困難にすることがわかっている(非特許文献3参照)。最適な電気的接触を保証するために、電極ゲルを使用してよい。このようなゲルはいわゆる「湿潤」ゲルとヒドロゲルとに分類できる。標準的なゲルは通常、水、増稠剤、殺バクテリア剤、殺菌剤イオン性塩及び界面活性剤からなる。ここでイオン性塩は、ゲルの導電性を保証する役割を果たす。しかしながら、ヒトの組織は生理学的レベルから大きく離れた塩濃度への長期間の曝露には耐えられないため、NaCl濃度が>5%であるいわゆる侵食性ゲルは使用するべきではない。

0017

ヒドロゲルは、天然(例えばカラヤゴム)又は合成(例えばポリビニルピロリドン親水コロイドを含む「固体」ゲルである。また、ヒドロゲルは親水性であり、皮膚を水和する性質に乏しく、表面の湿気を吸収しさえし得る。これらは標準的な「湿潤」電極よりも抵抗性となる傾向がある。ヒドロゲルの典型的な固有抵抗800〜8000Ωcm-1と比較すると、「湿潤」電極の典型的な固有抵抗は5〜500Ωcm-1となる傾向がある。

0018

皮膚のバリア特性を低減するために、いわゆる「透過増強剤」の使用が提案されている。透過増強剤が機能する機序は十分にはわかっていないが、いくつかの場合においては、透過増強剤は上皮角質層の水和性を変化させるか、又は細胞チャネル内の規則的な脂質の充填構造を変化させ得る(非特許文献4参照)。

0019

電解質ゲルにしばしば使用される透過増強剤の種類としては、界面活性剤がある。これら界面活性剤は、その親水性(又は極性)基及び親油性非極性)基の結果として、水−油界面に吸収される。水−油界面における配向により、界面活性剤の分子極性相非極性相との間での遷移を促進する。飽和又は不飽和脂肪酸エステル並びに天然油のエステルの使用も報告されている。ラウリル硫酸塩の0.2%溶液は、上皮角質層の電気抵抗を95%低減できた。しかしながら、所定の透過増強剤の使用は特定の薬剤の皮膚への透過性を増大させ得るが、これによって皮膚の電気インピーダンスが必ずしも減少するわけではないこともまた、T.McAdamsらにより報告されている。

0020

特許文献1は、使い捨て医療デバイスのための電気的インタフェースとして使用するのに適した、導電性粘着性ヒドロゲルを提供する組成物に関する。上記ヒドロゲルは皮膚への不快感が低減されており、対象の皮膚を水和して対象の表面の体毛の周囲を直ちに湿らせる。ヒドロゲルの組成物は、モノマー、第1の濃縮の第1の開始剤、第2の濃縮の第2の開始剤、及び架橋剤を含む。ヒドロゲルは任意に、塩化カリウム塩化ナトリウム等の無機塩又はクエン酸ナトリウム及び酢酸マグネシウムのような弱有機酸の塩の形態の導電性増強剤を含むことができる。導電性増強剤は、ヒドロゲル前駆体の0〜15重量%の量で存在することになる。

0021

特許文献2は、安息香酸サリチル酸酒石酸クエン酸乳酸及びリンゴ酸並びにこれらのナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選択される導電性材料に関する。エマルジョンタイプのある例示的な組成物は、酒石酸ナトリウム(3.5%)、脂肪酸基(6.5%)、天然又は合成油(4.0%)、トリエタノールアミン(3.0%)、グリセリン(4.0%)及び水(79%)を含む。

0022

特許文献3は、神経頭蓋刺激のための電極アセンブリを開示している。これは電極、導電性ゲル、及び電極を位置決めするためかつ導電性ゲルを保持するためのアダプタを含む。ゲルは好ましくは:1)支持特性を有するポリマー;2)透過性を増大させる及び/又は皮膚の固有を変化させるよう皮膚に作用する機能を有する界面活性剤;3)ゲルの水和を維持する機能を有する湿潤剤;4)導電性を増大させる機能を有する塩;5)水;及び6)防腐剤又はその他の化学物質を含む。好ましい界面活性剤は、油可溶特性を有し、ヘキサメタリン酸ナトリウムのようなイオン及び非イオン界面活性剤であり得る。適切な塩はイオン化可能な塩、酸若しくは塩基の塩又は緩衝溶液である。無機塩の例としては、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、及びクエン酸カリウム若しくは酢酸カリウム等の有機酸又は塩が挙げられる。添加剤には、ココナツ油又はヒマシ油のような天然油、アロエベラ、合成蜜蝋等がある。これらの添加剤は、皮膚を保護又は修復する作用を有する。

0023

米国特許出願公開第2005/0136077号
米国特許第3567657号
国際公開特許第2010/078441号

先行技術

0024

Costa EL、Lima RG、Amato MB「電気インピーダンス断層撮影法(Electrical impedance tomography)」(Curr Opin,Crit.Care.2009年2月;15(1):18−24)
Bodenstein M、David M、Markstaller K「電気インピーダンス断層撮影法の原理及びその臨床的応用(Principles of electrical impedance tomography and its clinical application)」(Crit Care Med.2009年2月;37(2):713−24)
E.T.McAdamsら「電気インピーダンス断層撮影法における電極−ゲル−皮膚界面に影響を及ぼす因子(Factors affecting electrode−gel−skin interface impedance in electrical impedance tomography」(Medical&BilolgicalEngineering&Computing(1996年11月)397〜408ページ
Kneppら「(Transdermal drug delivery: problems and possibilities inCRC)」(Crit.Rev.TherapeuticDrugCarrierSyst.1987年,4(1)、13〜37ページ)

発明が解決しようとする課題

0025

本発明の目的は、電気的測定設備、特に電気インピーダンス断層撮影デバイスの電気的部品と、例えば試験対象のヒト又は患者等の生物の皮膚との間の、信頼性が高く安定な電気的接触を提供することである。更に本発明の目的は、皮膚とEITデバイスの電極との間の電気的接触インピーダンスを最小化及び安定化させる、電気インピーダンス断層撮影法のための新規の、かつ改善された患者との電気的インタフェースである。更なる目的は、皮膚の破壊及び/又は電極との間のクロストークを回避しながら、同時に信頼性が高い皮膚との電気的接触を提供することである。更なる目的は、好ましくはEIT技術での使用のための、皮膚との多数の電気的接触を提供することである。更なる目的は、特に単一患者に使用される製品のための、低コストで生産可能な皮膚接触デバイスを得ることである。

課題を解決するための手段

0026

上述の目的は、本発明による電極センサキット、本発明による電極アセンブリ、上記電極センサキット又は上記電極アセンブリの使用、電気インピーダンス断層撮影法による撮像方法、これと共に使用される本発明による局所用調合剤、生物の皮膚との電気的接触を確立する方法、並びに、皮膚上の電圧若しくは電流値及び/又は皮膚上の電圧若しくは電流分布を決定する方法によって達成される。

0027

皮膚との電気的接触を確立するための本発明の電極センサキットは、以下の構成要素を備える:
−分析機器に接続可能な少なくとも1つの接触要素(例えば電極又はセンサプレート等);
−上記接触要素と皮膚との間の電気的接触特性を増強するための、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含む調合剤;及び
エマルジョン(例えば水中油エマルジョン又は油中水エマルジョン)を形成する上記混合物。
接続可能な接触要素は例えば、分析機器との通信を確立するための導電性プラグ若しくはソケット位置、ワイヤ及び/又はケーブルを備えてよい。

0028

このキットは電極アセンブリのための構成要素を提供する。本発明によるこのキットを用いて、活性界面を電極と皮膚との接触表面間に介在させることにより、皮膚−電極インピーダンスの電気的特性は最適化される。ここでこの活性界面は上記調合剤、即ち皮膚への塗布のための局所用調合剤からなる。よって、装着者の皮膚のインピーダンスは上記調合剤の塗布によって最適化され、この調合剤は、例えば液体、クリーム、ゲル又は軟膏の形態で使用可能としてよい。

0029

好ましい実施形態では、本発明による電極センサキットは、特に複数の電極センサプレートアセンブリを形成するための、複数の接触要素を備える。

0030

本発明によると有利には、電極センサキットは、上記調合剤が本質的に非導電性であることを特徴とする。特にこの調合剤は、調合剤にかなり高い導電性を付与し得る塩等の電解質を含まない。

0031

したがって、電極センサキットは本質的に塩を含まない調合剤を含む。ここでは「本質的に塩を含まない」とは、塩の含有量が、調合剤の導電率が所定の値未満となるようなものであることを意味する。好ましくは電極センサキットは、調合剤の導電率が10mS/cm(ミリシーメンスセンチメートル)未満、好ましくは3mS/cm未満、より好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1mS/cm未満であることを特徴とする。

0032

電極センサキットにとって好ましい上記調合剤は、吸湿性物質親水性物質、糖類又は多糖類ポリアクリル酸塩パンテノール又はD−パンテノール、アラントイン、アロエベラ、グリコサミノグリカン陰イオン性硫酸化グリコサミノグリカン藻類又はアルギン酸アミノ酸又はタンパク質、及びヒアルロン酸又は塩からなる群から選択される少なくとも1つの活性成分を含むことを特徴とし、特にヒアルロン酸が好ましい。

0033

調合剤は好ましくは、少なくとも1つのアルコール、好ましくは一価二価三価及び多価アルコールグリセロールソルビトールプロピレングリコール並びにこれらの組合せからなる群から選択されるアルコールを含む。

0034

上記少なくとも1つの脂質は有利には、油、好ましくは植物油リン脂質、好ましくはジアシルリン脂質;フォスファチジルコリンフォスファチジルエタノールアミンフォスファチジルグリセロール、フォスファチジルセリンフォスファチジルイノシトール、及びこれらのモノアシル誘導体コレステロール天然レシチン、好ましくは牛乳大豆、ひまわり及び/又は燕麦由来の天然レシチン;酵素加水分解レシチン、好ましくは酵素加水分解大豆レシチン;モノアシルリン脂質とジアシルリン脂質との混合物(好ましくは10〜90重量%のモノアシルリン脂質を含む);並びにこれらの組合せからなる群から選択される。

0035

好ましくは、上記少なくとも1つの脂質及び/又は活性成分は、リポソーム又は微粒子の形態で存在する。

0036

また、微粒子の外殻は、膜の構成要素としての脂質、及び任意に、例えばリノール酸等の必須脂肪酸を含む。

0037

本発明による調合剤は、流体、ゲル又はクリームの形態で存在してよい。

0038

乳化剤注意深くかつ可能な限り低濃度で用いてよいが、乳化剤は皮膚構造の完全な状態を破壊して親油性構成要素流失を引き起こし得るため、なるべく使用を回避するべきである。

0039

本発明による応用を目的として、ゲルを、3次元骨格を形成して連続した液相を取り囲む連続した固相を含む物質であると考えることができる。この定義は「ゾル・ゲル科学(Sol−Gel Science)」(1990年)8ページにおける、C.J.Brinker及びG.W.Schererによるものに基づく。剛性骨格は例えばポリマー及び/又は微粒子材料で形成され得、ここでゲル内の結合は、共有結合(例えばポリマーゲルを形成する)、ファンデルワールス力(例えば微粒子ゲル)又はこれらの組合せによって確立され得る。これら構成要素の重量により、ゲルは通常ほぼ液体であるが、液体中の3次元ネットワークにより固体のような挙動を示す。上述の文脈において、用語「連続的な」は、他の相に入る必要なしに、1つの相を通して試料の一方の側から他方の側まで移動できることを意味する。ゲルを形成するために、上述の調合剤の例えば水及び脂質を骨格生成物質と結合させる。

0040

本発明によれば、クリームを、油と水との混合物である半固体エマルジョンであると考えることができる。その組成に応じて、連続した水性相中に分散した油の小滴からなる水中油(O/W)クリーム、及び連続した油相中に分散した水の小滴からなる油中水(W/O)クリームの2つのタイプにクリームを分けることができる。水中油クリームは、脂肪分が少なく水でより容易に洗い落とせる。油中水クリームは、皮膚の最外層からの水の損失を低減する油のバリアを提供するため、より保湿性が高い。

0041

特に、水と少なくとも1つの脂質との混合物はエマルジョン、特に水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンを形成する。

0042

クリーム及びゲルは、薬学的製品(即ち軟膏)と見做してよい。

0043

フィンガーチップユニット(FTU)コンセプトの使用は、例えば電極接触要素に対する領域等の様々な領域を覆うために必要な局所的なクリームの量の基準となる。医学において、フィンガーチップユニット(FTU)は軟膏、クリーム又はその他の半固体剤形を、直径5mmのノズルを有するチューブから絞り出して、個々の成人患者人差し指の第1関節のしわから先端までの長さだけ塗布した量として定義される。1FTUは成人患者の手のひら及び指全体を合わせた平面、即ち「手形」のサイズの2倍の面積の皮膚を処置するのに十分である。手形1つ分は全身表面積の0.8%(即ち約1%)であり、1FTUは手形約2つ分を賄う。2FTUは局所的塗布1g分にほぼ等しいため、上記の「手の法則」は、「手の面積の4倍=2FTU=1g」ということを表している(Finlay AY,EdwardsPH,Harding KG「皮膚病学における『フィンガーチップユニット』(“Fingertip unit” in dermatology)」Lancet 1989年;II、155及びLong CC, Finlay AY,Averill RWArchによる手の法則:手の面積の4倍=2FTU=1g(Dermatol 1992年;128:1130−1131)を一部修正)。

0044

電極を適用することになる胸部領域を効果的に覆うには、通常1〜3フィンガーチップユニット(約0.5〜1.5gに等しい)のクリーム又はゲルが必要となる。成人においては、この量は約300〜900平方センチメートルの面積の皮膚を覆う。

0045

調合剤中の少なくとも1つの脂質の量を10〜90重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは50〜80重量%とすると好都合である。調合剤中の水の量を5〜95重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜40重量%とすると好都合である。

0046

しかしながら、達成可能な導電率の値に関して、最も有利な調合剤は水中油調合剤である。このような水中油調合剤は、例えば5重量%以上50重量%未満、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%の少なくとも1つの脂質を含む。ここで水の量は好ましくは50〜90重量%、より好ましくは50〜85重量%、更に好ましくは50〜80重量%である。上記のそれぞれについて更に好ましい水の量の下限は、55重量%、より好ましくは60重量%である。

0047

上記少なくとも1つの接触要素は、金属、導電性ポリマー、織物及び導電性織物、又はこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。

0048

電気インピーダンス断層撮影法に使用できる本発明による電極アセンブリは、キットの構成要素を含み、ここで(a)上記少なくとも1つの接触要素は電極又はセンサプレートを形成し、(b)上記少なくとも1つの接触要素は上記調合剤の層を備える。

0049

よって、電気インピーダンス断層撮影法に使用できる、皮膚との電気的接触を確立するための本発明による電極アセンブリは:
−電極又はセンサプレートを形成する、分析機器に接続可能な少なくとも1つの接触要素;及び
−上記接触要素と皮膚との間の電気的接触特性を増強するための、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含む調合剤であって、上記混合物はエマルジョン、特に油中水又は水中油エマルジョンを形成する、調合剤
を備え、ここで上記少なくとも1つの接触要素は上記調合剤の層を備える。

0050

好ましくは、上記電極アセンブリは更に
−調合剤は流体、ゲル又はクリームであること;
−調合剤は導電性織物に組込まれるか又は塗布されること;
−調合剤は生物の皮膚との界面層を形成すること;及び
−調合剤の導電率は10mS/cm未満、好ましくは3mS/cm未満、より好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1mS/cm未満であること
を特徴とする。

0051

上記電極アセンブリは、少なくとも1つの接触要素が皮膚と接触するための表面を備え、電気的接触特性を増強するために上記表面が調合剤で覆われるか又は含浸されることを特徴とする。

0052

上記電極アセンブリは更に、ベルト様の構造に複数の接触要素が配設されるか又は一体化されることを特徴としてよい。典型的には、接触要素は順列に並べられ、アレイを形成する。

0053

また、皮膚との電気的接触を確立するための本発明による電極アセンブリは、少なくとも1つの接触要素及び水と少なくとも1つの脂質との混合物を含む調合剤を特徴とし、また、少なくとも1つの接触要素が皮膚と接触するための表面を備え、上記接触要素と皮膚との間の電気的接触特性を増強するために上記表面が調合剤で覆われるか又は含浸されることを更に特徴とする。電極アセンブリは好ましくは、上述の電極センサキットの少なくとも1つの接触要素及び調合剤を含む。

0054

電極アセンブリは好ましくは、皮膚と接触するための上記表面が構造化されていることを特徴とする。構造化された表面は不均一である、ポケットが形成される、及び/又は多孔性である。

0055

本発明の特に望ましい実施形態は、
−電極又はセンサプレート;及び
−生物の皮膚との界面を形成する、本質的に非導電性の調合剤の層;
を備える電気インピーダンス断層撮影法のための電極アセンブリであり、ここで:
−上記本質的に非導電性の調合剤は流体、ゲル又はクリームであり;
−本質的に非導電性の調合剤の上記層は、導電性織物に組込まれるか又は塗布され;
−調合剤の導電率は10mS/cm(ミリシーメンス/センチメートル)未満、好ましくは3mS/cm未満、より好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1mS/cm未満であり;
−本質的に非導電性の調合剤の上記層は、水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンを形成する少なくとも水及び脂質からなる。また上記織物は、生物の皮膚と接触する役割を果たす。

0056

生体信号測定を実施するための、本発明による電極センサキット又は電極アセンブリの使用は、上記調合剤及び上記少なくとも1つの接触要素を試験対象のヒトに適用して、EIT測定中に調合剤が皮膚と少なくとも1つの接触要素との間に介在するようにすることを特徴とする。

0057

有利には、測定を実施するために、特にEIT測定を実施する際に、複数の電極要素を使用する。好ましくは複数の電極要素を、隣接する各電極が両隣の電極から0.5〜10cm、好ましくは1〜5cm離間するように連続して並べる。このような電極間の距離の選択により、例えば患者の胸部周囲に配設された電極を用いて測定を行う際に、十分なデータ点密度を可能としながら、クロストークを本質的に排除した正確な測定を保証する。

0058

好ましくは、皮膚と電極センサパッドとの間の導電特性は、以下の3つの一般的な群:
1.例えばアセチルコリンカルバコールカルバミルコリン)、ベタネコールカルバミルメチルコリン)、若しくはメタコリン等のコリンエステル(コリンのエステル);
2.例えばピロカルピン等の副交感神経刺激アルカロイド;及び/又は
3.例えばフィゾスソスチグミン(エゼリン)、ネオスチグミンピリドスチグミンジスチグミン、若しくはデメカリウム等の可逆的コリンエステラーゼ阻害剤(「アンチコリンエステラーゼ」とも呼ばれる)
のうちの1つに属する適当な副交感神経刺激薬剤によって発汗の制御を誘導することにより調整される。

0059

電極センサキット又は電極アセンブリの使用に関して、例えば調合剤と共に又は調合剤とは別に発汗誘導局所薬剤を皮膚に塗布するが、ここで上記発汗誘導局所薬剤は、好ましくは非選択的ムスカリン受容体アゴニストであるピロカルピンを含み、代替として又はこれに加えて、コリンエステラーゼ阻害剤であるフィゾスチグミン及びネオスチグミンも使用できる。

0060

後者の局所薬剤は単独で、汗腺の活性を更に増強するアドレナリンと共に、又はピロカルピン及びフィゾスチグミンの典型的な組合せ等、これらの薬剤の変更可能な組合せで適用できる。

0061

調合剤は、電気泳動によって汗腺を通って皮膚内へと送達される、例えば局所塗布発汗誘導薬剤であるピロカルピン等の発汗増強剤を含む。電気泳動は、皮膚を通して薬剤又は他の化学物質を送達するために電荷を利用する技術である。電荷は局所的に印加され、通常は皮膚を損傷しないように比較的低く、しかし薬剤又は化学物質を輸送するために十分高い。

0062

生体信号測定は好ましくは、EIT測定、心拍数測定及びECG測定からなる群から選択される。

0063

電気的エネルギを供給するため及び/又は電気信号を測定するための皮膚表面への接触要素の適用を含む、生物の皮膚との電気的接触を確立する方法は:
−接触要素を適用する位置において皮膚に調合剤を塗布すること;及び
−調合剤は、上記接触要素と皮膚との間の電気的接触特性を増強するために、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含むこと
を特徴とする。

0064

皮膚との電気的接触を確立する上記方法は有利には、上述の電極センサキット、特に上述の電極アセンブリを使用する。

0065

電気的エネルギを(電流の形態で)供給するため及び/又は電気信号を(表面電位の形態で)測定するための皮膚表面への接触要素の適用を含むEIT撮像方法は:
−接触要素を適用する位置において皮膚に調合剤を塗布すること;
−調合剤は、上記接触要素と皮膚との間の電気的接触特性を増強するために、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含むこと;及び
−調合剤は任意に、上記接触要素と皮膚との間の電気的接触特性を増強するために、発汗誘導薬剤を含むこと
を特徴とする。

0066

EIT撮像方法は有利には、上述の電極センサキット、特に上述の電極アセンブリを利用する。

0067

本発明による局所用調合剤は、皮膚の電気的接触特性を増強及び安定化する役割を果たす。本発明による局所用調合剤は、水と少なくとも1つの脂質との混合物を含み、上記混合物は水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンを形成する。

0068

局所用調合剤は、ヒアルロン酸又は塩、吸湿性物質、親水性物質、糖類又は多糖類、ポリアクリル酸塩、パンテノール又はD−パンテノール、アラントイン、アロエベラ、グリコサミノグリカン、陰イオン性非硫酸化グリコサミノグリカン、藻類又はアルギン酸、アミノ酸又はタンパク質、及びヒアルロン酸又は塩からなる機能性添加剤の群から選択される少なくとも1つの添加剤を含んでよく、ここでヒアルロン酸が好ましい。

0069

有利には、局所用調合剤は本質的に非導電性である。これは、局所用調合剤の導電率が10mS/cm(ミリシーメンス/センチメートル)未満、好ましくは3mS/cm未満、より好ましくは2mS/cm未満、最も好ましくは1mS/cm未満であることを意味する。

0070

局所用調合剤は好ましくは、少なくとも1つのアルコール、好ましくは一価、二価、三価及び多価アルコール、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール並びにこれらの組合せからなる群から選択されるアルコールを含む。

0071

局所用調合剤は任意に添加剤を含んでよい。このような添加剤は、皮膚適合性界面活性剤、湿潤剤、着臭剤及び/又は着色剤等を含む。

0072

しかしながら、局所用調合剤は、潜在的に患者の皮膚を損傷し得るラウリル硫酸塩又は他の洗浄剤若しくは界面活性剤を本質的に含まないことが好ましい。これは特に、測定を反復して及び/又は例えば数時間若しくは数日等の長期間にわたって実施する場合に関連する。局所用調合剤の導電性を上述の限度未満、即ち本質的に非導電性である範囲に維持するために、局所用調合剤はイオン性洗浄剤又はイオン性界面活性剤を含まないことが特に好ましいが、局所用調合剤は任意に非イオン性洗浄剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含んでよい。

0073

局所用調合剤は好ましくは、少なくとも1つの脂質が、油、好ましくは植物油;リン脂質、好ましくはジアシルリン脂質;フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルグリセロール、フォスファチジルセリン、フォスファチジルイノシトール、及びこれらのモノアシル誘導体;コレステロール;天然レシチン、好ましくは卵、牛乳、大豆、ひまわり及び/又は燕麦由来の天然レシチン;酵素加水分解レシチン、好ましくは酵素加水分解大豆レシチン;モノアシルリン脂質とジアシルリン脂質との混合物(好ましくは10〜90重量%のモノアシルリン脂質を含有する);並びにこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする。

0074

局所用調合剤は流体、ゲル又はクリームの形態であってよい。

0075

局所用調合剤を、皮膚の電気的接触特性を増強するため、特に皮膚の導電性を増強するための薬剤として使用してよい。

0076

電気的診断方法において局所用調合剤を使用してよく、この電気的診断方法は、皮膚に電気的エネルギを供給する及び/又は皮膚上の電気信号を測定するステップを含む。

0077

更に、電気的診断方法において局所用調合剤を使用してよく、この電気的診断方法は、電気インピーダンス断層撮影法(EIT)、心拍数決定、及び心電図(ECG)測定からなる群から選択される測定方法によって実行されるステップを含む。

0078

別の実施形態によると、皮膚との電気的接触を確立するために使用できる本発明の電極センサキットは:
−少なくとも1つの接触要素、好ましくは複数の接触要素;及び
−上記1つ又は複数の接触要素と皮膚との間の電気的接触特性を増強するための上述のような局所用調合剤
を備える。

0079

少なくとも1つの電圧若しくは電流値又は皮膚上の電圧若しくは電流分布を決定する、本発明による方法は、所定の位置における電流若しくは電圧の印加及び/又は電気的値の測定の前に、水と少なくとも1つの脂質との混合物から形成された水中油エマルジョン又は油中水エマルジョンを含む局所用調合剤を、上記所定の位置において皮膚に塗布することを特徴とする。

0080

上記方法は好ましくは、上記局所用調合剤及び少なくとも1つの接触要素を生物の皮膚に適用して、測定中に局所用調合剤が皮膚と少なくとも1つの接触要素との間に介在するようにすることを特徴とする。

0081

上記方法は、電気インピーダンス断層撮影法(EIT)、心拍数測定、及び心電図(ECG)測定からなる群から選択される少なくとも1つの測定によって上記値を決定することを特徴としてよい。
[発明を実施するための形態]

0082

皮膚−電極接触領域の電気的特性は、患者又は試験対象のヒトの皮膚表面に塗布された介在調合剤を備える、本発明による新規の患者との界面によって最適化される。調合剤は有利には流体、クリーム又はゲルを含む。調合剤は好ましくは、例えば発汗誘導薬剤又は創傷治療薬剤等の薬剤を更に含んでよい。よって、介在調合剤は例えば軟膏を含んでよい。皮膚と電子装置(例えばEIT機器等)との間の接触を確立する、電気回路の接触表面、即ち電極表面を、上記のように準備した皮膚表面と物理的に接触させて配置する。

0083

好ましくは調合剤を、その導電性が最小となるか、又は非導電性でさえある(即ち調合剤媒体の固有抵抗が100Ω*cm超、好ましくは1000Ω*cm超でさえある)ように構成する。調合剤は、天然の皮膚自体から供給される電解質、即ち塩の溶媒として使用される。特にEIT等の電極のアレイを使用する適用領域に関しては、低い導電性が特に好ましい。これは、皮膚の導電率より高い導電率、即ち10mS/cmより高い導電率等の、調合剤固有の高い導電性は、隣接する電極間のクロストークの増強及びそれに伴う誤ったEITデータにつながり得るためである。

0084

本発明による調合剤は、水及び脂質の両方を含む。よってこれはエマルジョンの一種である。いずれの理論によって束縛されるものではないが、このような調合剤中の水は、患者の皮膚上又は皮膚内に存在する電解質を溶解することにより、電極と皮膚との間の即時的かつ信頼性の高い電気的接触を確立するために使用され、その一方で脂質は防護層(ここでは閉塞閉塞層又は閉塞性防護とも呼ぶ)を確立するために使用されると考えられ、この防護層は身体の水分が皮膚を通って出て行くのを低減又は防止し、従って経皮水分喪失量(TEWL)を低く維持する。更に、閉塞層は身体の中からの水分の損失を防止するだけでなく、更に重要な事には、湿潤な皮膚区画と乾燥した皮膚区画との間の遷移領域を外側へ、理想的には皮膚表面まで移動させる。

0085

よって、皮膚を研磨したり、又は皮膚を伝導経路で貫通したりする代わりに、脂質層即ち閉塞によって、外皮の電気的特性を、体内環境(EIT測定の真の標的)と同様又は同一にさえなるように活発に変化させ、これによって乾燥した外皮層によって生成された天然のバリアを除去すると考えられる。エマルジョンが供給する水は時間が経つと蒸発するため、エマルジョンの脂質構成要素は、処置対象の皮膚表面を覆うものと仮定される。閉塞は皮膚表面において身体の中から水分が殆ど失われないようにし、上皮層への水分の分散を促進でき、この上皮層において、閉塞は、局所的な湿度レベルを完全飽和状態にまで変化させるだけでなく、特に細胞の死によって能動イオン輸送が止まる最上部領域内にある莫大な量かつ高い濃度の遊離イオンを溶解させる。よって、閉塞された皮膚は身体の中から水分を引き寄せるだけでなく、恐らく残留イオンが溶解するにつれて導電性が高くなる。

0086

好ましい実施形態では、調合剤は、塗布時に最大90重量%の水及び最大90重量%の脂質を含むエマルジョンである。非導電性脂質の画分が過剰であると、電気絶縁性が発生し、これに伴って接触インピーダンスが低くなり、エマルジョンが水を含み過ぎると、水が蒸発によって失われるため、エマルジョンは時間が経つと不安定となり、これにより再び接触インピーダンスが上昇する。よって、適切な混合物は約10〜90重量%の脂質及び10〜90重量%の水である。

0087

ある実施形態では、皮膚と電極との間の電気的接触は、副交感神経刺激薬剤又はアセチルコリン様薬剤(例えば非選択的ムスカリン受容体アゴニストであるピロカルピン等)のような適切な薬剤を皮膚上に塗布することにより、能動的に局所的な発汗を誘導することによって改善される。ピロカルピンは非選択的ムスカリン受容体アゴニストであり、これは汗腺のものを含むムスカリン性アセチルコリン受容体において薬学的に作用する。しかしながら、高度に分極した分子は、局所的に塗布した場合、皮膚を通って作用部位、即ち汗腺の根部まで容易に拡散しない。したがって好ましくは、ピロカルピン等の薬剤を、この薬剤を牽引する直流電流(DC)を印加することによって所望の位置に能動的に送達するが、この技法は「電気泳動」と呼ばれる。薬剤は汗腺の受容体に付着すると、アセチルコリンエステラーゼ、他の酵素又はホフマン脱離等の非酵素機構中和されるまで汗の発生を誘導する。発汗誘導作用の典型的な半減期は約1時間である。

0088

最長1時間の短い実験に関して、皮膚の低く安定した抵抗、従って再現性のあるインピーダンス値を有する皮膚の状態を達成するために、ピロカルピンの塗布は有用であることがわかった。1時間以上の実験においては、汗の生成、即ち湿度に関してピロカルピンのみに依存する場合、インピーダンスの大きな変動が見られた。以上から、ピロカルピン又はいずれの同様に作用する副交感神経刺激アルカロイドを添加するのが、短期間即ち1時間までのEIT測定において最も有利であると結論することができる。しかしながら、特に本発明による調合剤と組合せてピロカルピンを使用すると、1時間を超える長期間の測定にも有利となり得る。ここでピロカルピンは、皮膚の状態の早期安定化、即ち皮膚の十分な導電性を達成する助けとなり、これにより、ピロカルピンを含む本発明による調合剤の塗布の直後(即ち5分未満)に、再現性のある測定データを受信でき、その後に脂質成分が閉塞安定化効果を発生させる。

0089

更なる実施形態では、好ましくは電気泳動期間の反復によって、ピロカルピン又は同様の発汗誘導薬剤を反復して塗布し、皮膚表面において一定の導電性レベルを達成する。

0090

本発明の更なる実施形態では、電極の下及び直近において局所的発汗を能動的に誘導することにより、皮膚と電極との間の導電性を更に改善する。この目的のために、外皮の、電極を配置することになる領域に、発汗誘導薬剤を塗布してよい。更に、有利には、電極対を通してDC電流を処置対象の皮膚に印加し、これによって薬剤を作用部位に輸送する。これによって薬剤は恐らく、薬剤又は薬剤を含む調合剤を皮膚表面上に単純に塗り広げるよりも、皮膚により深く入り込む。好ましくは、全く同じ電極、即ち皮膚に対する電気的接触が改善された電極を、身体のいずれの部位に取り付けた別の電極、即ち対電極と共に使用して、処理対象皮膚表面領域にわたってDC電流を印加できる。典型的には、EITアレイには8、16又は32でさえある電極が使用され、従って、上述のDC電気泳動を目的として、電極をEIT電極として使用する前又は使用する間に、これらのEIT電極の逐次的かつ適切な組合せを使用でき、これによって皮膚−電極間の電気的接触特性を最適化する。

0091

皮膚の脆性構造を物理的に破壊することなく、天然皮膚の電気的バリアをDC電気泳動によって克服するが、このような干渉は、皮膚と電極との間全体にわたる最適かつ安定な電気的接触を達成するには不十分である。更なる手段が必要である。

0092

皮膚−電極間接触領域の電気的特性は、このような接触の電気的に活性である表面領域を増大させる界面層を皮膚と電極との間に介在させることによって更に最適化できる。

0093

よって、別の実施形態では、本発明は、皮膚と電極との間の電気的に活性である表面領域の計画的な増大に関する。この課題は、大きな表面領域を有する吸湿性及び/又は親水性材料の層を皮膚と電極との間に介在させることによって、本発明による調合剤を皮膚に塗布した後に形成される電解質含有水性流体を保持することにより解決される。泡、固体ゲル、織物、不織布又は水及び体液に対して十分に不活性であるいずれの多孔性材料等、様々な材料を使用できる。この介在層の厚さに応じて、この材料は導電性又は非導電性であってよい。非導電性材料の極めて薄い層(即ち1mm未満又は更に有利には0.1mm未満若しくは0.05mm未満でさえある層)は上述の体液で十分に含浸されることになり、こうして電極表面との完全な電気的接触を確立するが、導電性材料の場合は、皮膚と接触する表面のみを湿潤状態とし、残りの材料が実際の電極への電気的経路を確立しなければならないため、より厚い層を作製する必要がある。

0094

このような電気的特性は使用する層の材料に依存するため、実際の電極との電気的結合も最適化すると有利である。このような接触は、これらの電気的経路を通って流れる電流の主方向が、Z方向において表面領域に対して垂直である場合に最適化される。電極表面領域はそのx及びy方向寸法によって画定されるため、界面層の導電性が銅の導電性より有意に低い場合、X及びYベクトルに沿って流れる電流は最小とするべきである。よって本発明は、各接触領域の寸法と、実際の相互嵌合とを考え得る限り適合させることによって、電極と導電性の低い材料製の界面層との間の接触インピーダンスの電気的特性を最適化する。このようにして、銅、金、パラジウム白金又は同種の他の材料等の高導電性材料製の電極の電気的に活性である表面は、その全表面領域にわたって電流を広げ、一方で平坦かつ薄い界面層はこの電流をその最短寸法を通して装着者の皮膚に直接配向する。このようにして、電極−皮膚界面の全体的な性能が最適化される。

0095

更に、上述の界面層は、蒸発による皮膚表面からの水分の過剰な損失を防ぎ、これによって電気的接触特性の長期間にわたる安定を保証するよう設計される。よって界面層は「第2の皮膚」又はより正確には乾燥した皮膚の最外層のように機能する。このようなアプローチを用いることにより、体内環境は、今や電気的に容易にアクセス可能である人工構造へと外向きに移動する。

0096

添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例として説明する。

図面の簡単な説明

0097

図1は、電極センサキットの概略断面図である。
図2は、電極アセンブリの典型的な部分の概略正面図である。
図3は、実験用の構成である。

0098

図1では、本発明による電極センサアセンブリ1の断面図の展開図を、生物の皮膚2に対して概略的に示す。電極センサアセンブリ1は接触要素3を備える。上記接触要素3は導電性材料を含む。接触要素3の皮膚2に面する側(即ち接触要素3の表面5)において、接触要素3は調合剤4と接触する。接触要素3及び調合剤4は上記センサアセンブリ1を形成する。接触要素3は、少なくとも1つの表面5上に多孔性構造及び/又は層を備えてよい。例として、上記多孔性構造は織物、好ましくは導電性織物を含む。調合剤は上記孔、即ち上記織物に入り込むことができる。更に、接触要素3は分析機器(図示せず)に接続可能である。

0099

図2では、電気インピーダンス断層撮影法のための電極アセンブリ1の正面図を示す。電極アセンブリ1は複数のプレート様接触要素3を備え、これらは例えばストリップ、特に布地のストリップ、ベルト、又はバンド等のベルト様ストラップ6に取り付けられるか、又はこれと一体化される。接触要素3は互いに離間して配設される。有利には上記配置は、ストリップの長手方向に延在する。典型的には、接触要素3は細長いプレート様形状を備え、有利には接触要素3は、その長手方向がストラップ6の長さ方向を横断するように配設される(図2参照)。本発明によると、各接触要素3は好ましくは、網点領域で示すように調合剤4で湿潤される。

0100

図3に示すような実験用の構成を用いて、局所用調合剤の抵抗測定を行ってよい。この実験用の構成は基本的には、非導電性材料の容器(7)からなる。上記容器内に、所定の表面領域を有する電極(8、8’)を所定の距離(9)だけ離間した相互位置で配設する。電極は好ましくは平坦であり、平行に配設され、この面で互いに対面する。更に、流体、ゲル又はクリームの抵抗及び導電性を測定するために、上記物質を容器(7)に満たし、電極を電源に接続して電気回路を形成し、適切な測定機器をこの回路に接続する。

0101

本明細書で説明した発明は、1つ又は複数の電極、典型的には電極のアレイと、生物、特にヒトの皮膚との間の接触の電気的特性を最適化するために有用である。

0102

本発明は多くの異なる形態の実施形態を許容するものであるが、ここでは本発明の好ましい実施形態を詳細に説明している。本開示は本発明の原理の例示であり、本発明の広範な態様をここに示す実施形態に制限することを意図したものではないことを理解されたい。

0103

以下に示す実験用の構成は、例えば流体、ゲル又はクリーム等の材料の導電性(又は抵抗)を決定するための一般的枠組を含む。

0104

1cm3又は2cm3の小型のプラスチック製立方体立方骨(7)(図3参照)を、本発明による調合剤で充填した。1cm2の銅電極(8、8’)を、電極の距離(9)が1cm又は2cmの場合に、電極間にそれぞれ1cm3又は2cm3の容積が形成されるように配設した。プログラマブルLCRであるBridgeHM8118(Hameg Instruments GmbH(ドイツ、マインハウゼン、インドゥストリシュトラーセ6、D−63533)製)を用いて、周波数200kHz、100kHz又は50kHzにおいて抵抗を測定した。

0105

試験した本発明による調合剤は、以下の例1の範囲内の組成を有する(表1参照)。最も好ましい組成は、表1の第3列に示す、より狭い範囲内の値を有する。

0106

添加剤は、皮膚適合性界面活性剤、任意には更に湿潤剤、着臭剤及び/又は着色剤等を含む。

0107

市販の電極クリーム及び電極スプレーから、比較例を調製した:
−比較例1:Sigmaから提供、電極クリームREF17−05、Parker Laboratories, Inc.製
−比較例2:DispoContact、EKG−ElektrodeSpray、Pharmacode2817886

0108

本発明による調合剤に関して測定した例示的な値を表2に示す。試験した例1の調合剤はEITベルトへの応用に特に適している。使用した異なる周波数はごく僅かな影響しか示していない。

実施例

0109

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