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技術 オートロガス生殖細胞系ミトコンドリアエネルギー移動のための組成物及び方法

出願人 ザジェネラルホスピタルコーポレーション
発明者 ティリー,ジョナサンリーウッズ,ドリシー.
出願日 2012年4月13日 (7年10ヶ月経過) 出願番号 2014-505369
公開日 2014年6月26日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2014-514928
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 駆動イベント マイクロツール 電磁分離 部分的組合せ 往復行程 両パート フラッシング後 選別ステップ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

無核細胞質又は単離されたミトコンドリアなどの幹細胞(OSC)由来組成物、及びオートロガス受胎能増大の手法におけるOSC由来組成物の使用が記載される。

概要

背景

この数十年で、文化及び社会的変化により、先進国の女性は、出産時期がかなり遅くなっている。例えば、米国における35〜44初産率は、この40年間で8倍超増加した(Ventura Vital Health Stat 47:1−27,1989 MatthewsNCHS Data Brief 2009 21:1−8)。年齢が35歳以上の女性の妊娠率が、自然妊娠及び生殖補助医療による妊娠のいずれも、有意に低下していることは周知である。出産率の低下は、卵巣刺激法に対する応答の低下、の質及び妊娠率の低下、並びに流産及び胎児異数性発生率増加を反映している。さらに、卵子における加齢に関連する染色体及び減数分裂紡錘体異常が、高出産年齢の女性における不妊胎児喪失(流産)並びに先天異常(最も顕著には、21−トリソミー又はダウン症候群)につながる受胎の発生増加の原因であると考えられる(Henderson et al.,Nature 1968 218:22−28,Hassold et al.,Hum Genet 1985 70:11−17,Battaglia et al.,Hum Reprod 1996 11:2217−2222,Hunt et al.,TrendsGenet 2008 24:86−93)。

現在のところ、高齢女性患者の妊娠結果を改善するための公知の介入はない。動物試験では、幼若期間中及び成体生殖期全体にわたる、薬理学的用量の抗酸化剤長期投与が、高齢雌マウスにおいて卵母細胞の質を改善することが報告されている(Tarin et al.,Mol Reprod Dev 2002 61:385−397)。しかし、この手法は、卵巣及び子宮の機能に有意な長期のマイナスの作用をもたらし、治療した動物において、胎児死亡及び吸収の増加、並びに同腹子頻度及び大きさの減少を招く(Tarin et al.,Theriogenology 2002 57:1539−1550)。従って、高齢女性において卵母細胞の質を維持又は改善するための長期抗酸化剤治療の臨床移行(clinical translation)は実際的ではない。

老化及び加齢関連疾病は、多くの場合、ミトコンドリア数(生合成)の減少、ミトコンドリア活性細胞の主要エネルギー源である、ATP生産)の低減、及び/又はミトコンドリアDNAmtDNA突然変異及び欠失蓄積による、ミトコンドリア機能の喪失と関連している。卵母細胞が老化し、卵母細胞のミトコンドリアエネルギー生産が減少するにつれて、コンピテント卵子を産生するのに必要な、卵母細胞成熟の重要なプロセス(特に、核紡錘活性及び染色体分離)の多くが損なわれる(Bartmann et al.,J Assist Reprod Genet 2004 21:79−83,Wilding et al.,Zygote 2005 13:317−23)。

若いドナー卵母細胞(異なる女性から取得したもの)由来細胞質抽出物の、生殖障害病歴を持つ高齢女性の卵母細胞への異種移入は、卵細胞質移植又は卵細胞質移入として知られる方法であるが、この方法によって、胎児胚形成及び生存子孫分娩の改善が明らかにされた。しかし、残念なことに、この方法に従って生まれた子供は、ミトコンドリアヘテロプラスミー又は2つの異なる由来のミトコンドリアの存在を呈示する(Cohen et al.,Mol Hum Reprod 1998 4:269−80,Barritt et al.,Hum Reprod 2001 16:513−6,Muggleton−Harris et al.,Nature 1982 299:460−2,Harvey et al.,Curr Top Dev Biol 2007 77:229−49。このことは、精子からの親由来のミトコンドリアが受精から間もなく破壊されるため、卵子に存在する母親由来のミトコンドリアが、胚にミトコンドリアを「接種」するのに用いられる事実と一致している(Sutovsky et al.,Biol Reprod 2000 63:5820590)。上記の方法は、ドナー卵子からの精製若しくは単離ミトコンドリアの移入ではなく、細胞質の移入を含むものであるが、移入された細胞質におけるドナーミトコンドリアの存在は、子孫への「外来」ミトコンドリアの継代によって確認されており、これが、異種卵細胞質移入が受胎能利益をもたらす理由であると考えられる。それにもかかわらず、これらの子供における誘導ミトコンドリアヘテロプラスミーの健康への影響はまだ未知である;しかし、ミトコンドリアヘテロプラスミーのマウスモデルは、代謝症候群と一致する表現型を生成することが明らかにされている(Acton et al.,Biol Reprod 2007 77:569−76)。おそらく、異種卵細胞質移入に関する最も重要な課題は、ミトコンドリアも、生物学的母親及び生物学的父親が寄与する核遺伝子とは異なる遺伝子材料を含む事実と関連している。

従って、この方法に従って受胎された子供には、3人の遺伝上の親(生物学的母親、生物学的父親、卵子ドナー)がいることから、胚の形成のためのヒト生殖細胞系遺伝子操作の例を代表するものとなる。従って、ミトコンドリアヘテロプラスミーを招く卵細胞質移植方法は、現在、規制され、FDAによって広範に禁止されている。詳細については、CBER2002 Meeting Documents,Biological Response Modifiers Advisory Committee minutes from May 9,2002(FDAから一般に閲覧可能)、並びに“Letter to Sponsors/Researchers − Human Cells Used in Therapy Involving the Transfer of Genetic Material By Means Other Than the Union of Gamete Nuclei”(やはりFDAから一般に閲覧可能:http://www.fda.gov/BiologicsBloodVaccines/SafetyAvailability/ucm105852.htm)を参照されたい。

体細胞からのオートロガスミトコンドリアの使用は、ミトコンドリアヘテロプラスミーを回避しうるが、体細胞のミトコンドリアもまた、ミトコンドリア数(生合成)の減少、ミトコンドリア活性(細胞の主要エネルギー源である、ATPの生産)の低減、及び/又はミトコンドリアmtDNA突然変異及び欠失の蓄積による、ミトコンドリア機能の加齢に関連する喪失を被る。従って、母体年齢が高い女性の場合、オートロガス体細胞由来のミトコンドリアを卵母細胞に移入することから有意な利益は期待されていない。さらに、様々な幹細胞が、低いミトコンドリア活性を有することがわかっている(Ramalho−Santos et al.,Hum Reprod Update.2009(5):553−72)ため、成体幹細胞は、高い活性のミトコンドリアの生存性供給源であると考えられていなかった。

概要

無核細胞質又は単離されたミトコンドリアなどの原幹細胞(OSC)由来の組成物、及びオートロガス受胎能増大の手法におけるOSC由来組成物の使用が記載される。

目的

本発明は、体外受精(IVF)又は人工受精のための卵母細胞を作製する方法を提供する

効果

実績

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請求項1

体外受精(IVF)又は人工授精のための卵母細胞を作製する方法であって、i)幹細胞(OSC)ミトコンドリア、又はii)OSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物オートロガス卵母細胞に移入することにより、IVF又は人工授精のための卵母細胞を作製するステップを含む、方法。

請求項2

前記OSCが、有糸分裂能が高く、かつ、Vasa、Oct−4、Dazl、Stella及び任意選択ステージ特異的胎児抗原発現する、単離された非胚性幹細胞である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記OSCが、卵巣組織から得られる、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記OSCが、非卵巣組織から得られる、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記非卵巣組織が、血液である、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記非卵巣組織が、骨髄である、請求項4に記載の方法。

請求項7

OSCミトコンドリア、又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む前記組成物が、核を含まない細胞細胞質である、請求項1に記載の方法。

請求項8

i)OSCミトコンドリア、又はii)OSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物が、ミトコンドリアの精製調製物である、請求項1に記載の方法。

請求項9

単離されたOSCミトコンドリア又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む、組成物。

請求項10

前記組成物が、細胞又は非機能性ミトコンドリアを少なくとも約85%、90%、95%含まない、請求項9に記載の組成物。

請求項11

OSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られる少なくとも1つの単離されたミトコンドリアを含む、組成物。

請求項12

請求項1に記載の方法に従って作製される卵母細胞。

請求項13

外性のオートロガスOSCミトコンドリア又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む、卵母細胞。

請求項14

a)OSC由来のミトコンドリア、又はii)OSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物を取得するステップ;b)単離されたオートロガス卵母細胞に前記組成物を移入するステップ;及びc)前記オートロガス卵母細胞をinvitroで受精させることにより、受精卵を形成するステップを含む、体外受精の方法。

請求項15

前記受精卵、又は前記受精卵から得られる着床前期雌性被検者子宮又は卵管に移入するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。

請求項16

少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫から機能性ミトコンドリアの集団を単離する方法であって、前記機能性ミトコンドリアにプローブを結合するのに十分な条件下で、非酸化依存性プローブ、蓄積依存性プローブ及び低酸化状態プローブからなる群から選択される、蛍光ミトコンドリア追跡用プローブと一緒に、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫を含有する組成物をインキュベートするステップ、並びに蛍光活性細胞選別を用いて、前記機能性ミトコンドリアを選別することにより、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫から前記機能性ミトコンドリアの集団を単離するステップを含む、方法。

請求項17

非機能性ミトコンドリアが、前記機能性ミトコンドリアの集団から排除される、請求項16に記載の方法。

請求項18

少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られる機能性ミトコンドリアの集団を識別する方法であって、a)前記組成物中の機能性ミトコンドリアに、蛍光低酸化状態プローブを結合すると共に、前記組成物中の全ミトコンドリアに、蛍光蓄積依存性プローブを結合するのに十分な条件下で、蛍光低酸化状態プローブ及び蛍光蓄積依存性プローブと一緒に、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫を含有する組成物をインキュベートするステップ;b)蛍光活性化細胞選別を用いて、前記機能性ミトコンドリアを含む組成物を取得するが、ここで、前記組成物から、非機能性ミトコンドリアを排除するステップ;c)前記機能性ミトコンドリアの量及び前記全ミトコンドリアの量を決定するステップ;d)全ミトコンドリアの量に対する機能性ミトコンドリアの比率を計算するステップ;並びにe)前記比率が、約0.02を上回るか否かを決定することにより、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られる機能性ミトコンドリアの集団を識別するステップを含む、方法。

請求項19

前記蛍光蓄積依存性プローブが、緑色スペクトルに蛍光を放出する、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記蛍光低酸化状態プローブが、赤色スペクトルに蛍光を放出する、請求項18に記載の方法。

請求項21

請求項18に記載のステップa)及びb)に従って得られる機能性ミトコンドリアを含む組成物。

請求項22

請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物及び使用説明書を含む、キット

請求項23

卵母細胞のATP生産能を増大する方法であって、a)前記卵母細胞にオートロガスである少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物を取得するステップ;及びb)ミトコンドリアの前記組成物を前記卵母細胞に注入するステップを含む、方法。

請求項24

前記組成物が、1×103〜5×104個のミトコンドリアを含む、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項25

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも5倍多いATPを生産する、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項26

前記卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が、オートロガスである、請求項25に記載の方法。

請求項27

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも10倍多いATPを生産する、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項28

前記卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が、オートロガスである、請求項27に記載の方法。

請求項29

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも50倍多いATPを生産する、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項30

前記卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が、オートロガスである、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも100倍多いATPを生産する、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項32

前記卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が、オートロガスである、請求項31に記載の方法。

請求項33

前記卵母細胞が、母体年齢の高い女性から得られる、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項34

前記卵母細胞が、卵巣予備能の低い女性から得られる、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項35

前記組成物が、遠心分離によって単離されたミトコンドリアを含む、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項36

前記組成物が、ミトコンドリア膜電位差依存性細胞選別によって単離されたミトコンドリアを含む、請求項1、14又は23のいずれか一項に記載の方法。

請求項37

前記少なくとも1つのOSCが、卵巣組織から得られる、請求項23に記載の方法。

請求項38

前記少なくとも1つのOSCが、非卵巣組織から得られる、請求項23に記載の方法。

請求項39

前記非卵巣組織が、血液である、請求項38に記載の方法。

請求項40

前記非卵巣組織が、骨髄である、請求項38に記載の方法。

請求項41

少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む前記組成物が、核を含まない前記細胞の細胞質である、請求項23に記載の方法。

請求項42

少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む前記組成物が、ミトコンドリアの精製調製物である、請求項23に記載の方法。

請求項43

前記組成物が、1×103〜5×104個のミトコンドリアを含む、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項44

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも5倍多いATPを生産する、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項45

前記卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が、オートロガスである、請求項44に記載の組成物。

請求項46

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも10倍多いATPを生産する、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項47

前記卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が、オートロガスである、請求項46に記載の組成物。

請求項48

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも50倍多いATPを生産する、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項49

前記卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が、オートロガスである、請求項48に記載の組成物。

請求項50

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも100倍多いATPを生産する、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項51

前記卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が、オートロガスである、請求項50に記載の組成物。

請求項52

前記OSC又はOSCの子孫が、母体年齢の高い女性から得られる、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項53

前記OSC又はOSCの子孫が、卵巣予備能の低い女性から得られる、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項54

前記組成物が、遠心分離によって単離されたミトコンドリアを含む、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項55

前記組成物が、ミトコンドリア膜電位差依存性細胞選別によって単離されたミトコンドリアを含む、請求項9又は11に記載の組成物。

請求項56

請求項23の方法に従って作製される卵母細胞。

請求項57

少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアの組成物であって、前記組成物は、前記ミトコンドリアの約75%、85%、90%、又は約99%が、高ATP産生能ミトコンドリアであるミトコンドリアの集団を含む、組成物。

技術分野

0001

関連出願
本願は、35U.S.C.§119(e)に従い、2011年4月14日に出願された米国仮特許出願第61/475,561号明細書及び2012年2月17日に出願された米国仮特許出願第61/600,505号明細書の利益を請求する。尚、これらの文献の全開示内容は、参照として本明細書に組み込むものとする。

0002

連邦政府による支援の下で達成された本発明に対する権利についての声明
この研究は、国立老化研究所助成金(National Institutes on Aging Grant)第NIHR37−AG012279号及び国立衛生研究所研究サービス賞(National Institutes on Health Research Service Award)(F32−AG034809)によって一部資金援助を受けた。政府は、本発明に所定の権利を有する。

0003

配列表
本発明は、EFS−WebによりASCII形式提出された配列表を含み、その全内容を参照として本明細書に組み込むものとする。2012年6月25日に作成された前記ASCIIのコピーは、88511WO5.txtと称し、サイズは15,448バイトである。

背景技術

0004

この数十年で、文化及び社会的変化により、先進国の女性は、出産時期がかなり遅くなっている。例えば、米国における35〜44初産率は、この40年間で8倍超増加した(Ventura Vital Health Stat 47:1−27,1989 MatthewsNCHS Data Brief 2009 21:1−8)。年齢が35歳以上の女性の妊娠率が、自然妊娠及び生殖補助医療による妊娠のいずれも、有意に低下していることは周知である。出産率の低下は、卵巣刺激法に対する応答の低下、の質及び妊娠率の低下、並びに流産及び胎児異数性発生率増加を反映している。さらに、卵子における加齢に関連する染色体及び減数分裂紡錘体異常が、高出産年齢の女性における不妊胎児喪失(流産)並びに先天異常(最も顕著には、21−トリソミー又はダウン症候群)につながる受胎の発生増加の原因であると考えられる(Henderson et al.,Nature 1968 218:22−28,Hassold et al.,Hum Genet 1985 70:11−17,Battaglia et al.,Hum Reprod 1996 11:2217−2222,Hunt et al.,TrendsGenet 2008 24:86−93)。

0005

現在のところ、高齢女性患者の妊娠結果を改善するための公知の介入はない。動物試験では、幼若期間中及び成体生殖期全体にわたる、薬理学的用量の抗酸化剤長期投与が、高齢雌マウスにおいて卵母細胞の質を改善することが報告されている(Tarin et al.,Mol Reprod Dev 2002 61:385−397)。しかし、この手法は、卵巣及び子宮の機能に有意な長期のマイナスの作用をもたらし、治療した動物において、胎児死亡及び吸収の増加、並びに同腹子頻度及び大きさの減少を招く(Tarin et al.,Theriogenology 2002 57:1539−1550)。従って、高齢女性において卵母細胞の質を維持又は改善するための長期抗酸化剤治療の臨床移行(clinical translation)は実際的ではない。

0006

老化及び加齢関連疾病は、多くの場合、ミトコンドリア数(生合成)の減少、ミトコンドリア活性細胞の主要エネルギー源である、ATP生産)の低減、及び/又はミトコンドリアDNAmtDNA突然変異及び欠失蓄積による、ミトコンドリア機能の喪失と関連している。卵母細胞が老化し、卵母細胞のミトコンドリアエネルギー生産が減少するにつれて、コンピテント卵子を産生するのに必要な、卵母細胞成熟の重要なプロセス(特に、核紡錘活性及び染色体分離)の多くが損なわれる(Bartmann et al.,J Assist Reprod Genet 2004 21:79−83,Wilding et al.,Zygote 2005 13:317−23)。

0007

若いドナー卵母細胞(異なる女性から取得したもの)由来細胞質抽出物の、生殖障害病歴を持つ高齢女性の卵母細胞への異種移入は、卵細胞質移植又は卵細胞質移入として知られる方法であるが、この方法によって、胎児胚形成及び生存子孫分娩の改善が明らかにされた。しかし、残念なことに、この方法に従って生まれた子供は、ミトコンドリアヘテロプラスミー又は2つの異なる由来のミトコンドリアの存在を呈示する(Cohen et al.,Mol Hum Reprod 1998 4:269−80,Barritt et al.,Hum Reprod 2001 16:513−6,Muggleton−Harris et al.,Nature 1982 299:460−2,Harvey et al.,Curr Top Dev Biol 2007 77:229−49。このことは、精子からの親由来のミトコンドリアが受精から間もなく破壊されるため、卵子に存在する母親由来のミトコンドリアが、胚にミトコンドリアを「接種」するのに用いられる事実と一致している(Sutovsky et al.,Biol Reprod 2000 63:5820590)。上記の方法は、ドナー卵子からの精製若しくは単離ミトコンドリアの移入ではなく、細胞質の移入を含むものであるが、移入された細胞質におけるドナーミトコンドリアの存在は、子孫への「外来」ミトコンドリアの継代によって確認されており、これが、異種卵細胞質移入が受胎能利益をもたらす理由であると考えられる。それにもかかわらず、これらの子供における誘導ミトコンドリアヘテロプラスミーの健康への影響はまだ未知である;しかし、ミトコンドリアヘテロプラスミーのマウスモデルは、代謝症候群と一致する表現型を生成することが明らかにされている(Acton et al.,Biol Reprod 2007 77:569−76)。おそらく、異種卵細胞質移入に関する最も重要な課題は、ミトコンドリアも、生物学的母親及び生物学的父親が寄与する核遺伝子とは異なる遺伝子材料を含む事実と関連している。

0008

従って、この方法に従って受胎された子供には、3人の遺伝上の親(生物学的母親、生物学的父親、卵子ドナー)がいることから、胚の形成のためのヒト生殖細胞系遺伝子操作の例を代表するものとなる。従って、ミトコンドリアヘテロプラスミーを招く卵細胞質移植方法は、現在、規制され、FDAによって広範に禁止されている。詳細については、CBER2002 Meeting Documents,Biological Response Modifiers Advisory Committee minutes from May 9,2002(FDAから一般に閲覧可能)、並びに“Letter to Sponsors/Researchers − Human Cells Used in Therapy Involving the Transfer of Genetic Material By Means Other Than the Union of Gamete Nuclei”(やはりFDAから一般に閲覧可能:http://www.fda.gov/BiologicsBloodVaccines/SafetyAvailability/ucm105852.htm)を参照されたい。

0009

体細胞からのオートロガスミトコンドリアの使用は、ミトコンドリアヘテロプラスミーを回避しうるが、体細胞のミトコンドリアもまた、ミトコンドリア数(生合成)の減少、ミトコンドリア活性(細胞の主要エネルギー源である、ATPの生産)の低減、及び/又はミトコンドリアmtDNA突然変異及び欠失の蓄積による、ミトコンドリア機能の加齢に関連する喪失を被る。従って、母体年齢が高い女性の場合、オートロガス体細胞由来のミトコンドリアを卵母細胞に移入することから有意な利益は期待されていない。さらに、様々な幹細胞が、低いミトコンドリア活性を有することがわかっている(Ramalho−Santos et al.,Hum Reprod Update.2009(5):553−72)ため、成体幹細胞は、高い活性のミトコンドリアの生存性供給源であると考えられていなかった。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、部分的に、卵巣の体細胞組織に存在する、哺乳動物雌性生殖系幹細胞若しくは原幹細胞(OSC)が、評価したあらゆる幹細胞型の最も高い既知ATP生産能力を有し、しかも、蓄積突然変異の量が低い(例えば、場合によっては、体細胞に加齢と共に蓄積することがわかっている一般的mtDNAのレベル検出限界以下である)mtDNAを含有する、ミトコンドリアを含むという意外な発見に基づく。

0011

一態様では、本発明は、体外受精(IVF)又は人工受精のための卵母細胞を作製する方法を提供する。本方法は、OSCミトコンドリア、又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物をオートロガス卵母細胞に移入することにより、体外受精又は人工受精のための卵母細胞を作製することを含む。

0012

いくつかの実施形態では、OSCは、有糸分裂能が高く、かつ、Vasa、Oct−4、Dazl、Stella及び任意選択ステージ特異的胎児抗原SSEA)(例えば、SSEA−1、−2、−3、及び−4)を発現する、単離された非胚性幹細胞である。OSCは、卵巣組織、又は非卵巣組織/供給源、例えば、骨髄若しくは血液、例えば、末梢血及び臍帯血から得ることができる。

0013

別の実施形態では、OSCミトコンドリア、又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物は、核を含まない細胞の細胞質である。

0014

また別の実施形態では、OSCミトコンドリア、又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物は、精製調製物である。特定の実施形態では、精製調製物は、OSC、OSC子孫及び/又は非機能性ミトコンドリアを含まないか、又はこれらを少なくとも約85%、90%、95%含まない。

0015

いくつかの実施形態では、組成物は、1×103〜5×104個のミトコンドリアを含む。

0016

別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも5倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0017

さらに別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも10倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0018

さらにまた別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも50倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0019

別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも100倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0020

いくつかの実施形態では、卵母細胞は、母体年齢の高い女性から得られる。他の実施形態では、卵母細胞は、卵巣予備能の低い女性から得られる。

0021

いくつかの実施形態では、組成物は、遠心分離によって単離されたミトコンドリアを含む。別の実施形態では、組成物は、ミトコンドリア膜電位差依存性細胞選別によって単離されたミトコンドリアを含む。

0022

いくつかの実施形態では、少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物は、核を含まない細胞の細胞質である。別の実施形態では、少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物は、ミトコンドリアの精製調製物である。

0023

別の態様では、本発明は、単離されたOSCミトコンドリア、又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む、組成物を提供する。

0024

いくつかの実施形態では、本組成物は、細胞又は非機能性ミトコンドリアを少なくとも約85%、90%、95%を含まない。

0025

いくつかの実施形態では、本組成物は、1×103〜5×104個のミトコンドリアを含む。

0026

別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも5倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0027

いくつかの実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも10倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0028

別の態様では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも50倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0029

別の態様では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも100倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0030

いくつかの実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、母体年齢の高い女性から得られる。他の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣予備能の低い女性から得られる。

0031

いくつかの実施形態では、組成物は、遠心分離によって単離されたミトコンドリアを含む。別の実施形態では、組成物は、ミトコンドリア膜電位差依存性細胞選別によって単離されたミトコンドリアを含む。

0032

別の態様では、本発明は、OSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られる少なくとも1個の単離されたミトコンドリアを含む、組成物を提供する。

0033

いくつかの実施形態では、本組成物は、1×103〜5×104個のミトコンドリアを含む。

0034

別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも5倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0035

いくつかの実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも10倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0036

別の態様では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも50倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0037

いくつかの態様では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも100倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0038

いくつかの実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、母体年齢の高い女性から得られる。他の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣予備能の低い女性から得られる。

0039

いくつかの実施形態では、本組成物は、遠心分離によって単離されたミトコンドリアを含む。別の実施形態では、本組成物は、ミトコンドリア膜電位差依存性細胞選別によって単離されたミトコンドリアを含む。

0040

別の態様では、本発明は、前述した方法のいずれかに従って作製された卵母細胞を提供する。

0041

別の態様では、本発明は、外性、オートロガスOSCミトコンドリア、又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含む、卵母細胞を提供する。

0042

また別の態様では、本発明は、体外受精の方法を提供する。この方法は、a)i)OSCから得られるミトコンドリア、又はii)OSCの子孫から得られるミトコンドリアを含有する組成物を取得するステップ;b)この組成物を、単離されたオートロガス卵母細胞に移入するステップ;及びc)このオートロガス卵母細胞を体外受精させることによって、受精卵を形成するステップを含む。一実施形態では、本方法は、受精卵、又は受精卵から得られた着床前期胚を女性被検者の子宮又は卵管に移入することを含む。

0043

いくつかの実施形態では、本組成物は、1×103〜5×104個のミトコンドリアを含む。

0044

別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも5倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0045

また別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも10倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0046

さらに別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも50倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0047

別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも100倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0048

いくつかの実施形態では、卵母細胞は、母体年齢の高い女性から得られる。他の実施形態では、卵母細胞は、卵巣予備能の低い女性から得られる。

0049

いくつかの実施形態では、本組成物は、遠心分離によって単離されたミトコンドリアを含む。別の実施形態では、本組成物は、ミトコンドリア膜電位差依存性細胞選別によって単離されたミトコンドリアを含む。

0050

いくつかの実施形態では、少なくとも1つのOSCは、卵巣組織から得られる。別の実施形態では、少なくとも1つのOSCは、非卵巣組織から得られる。

0051

いくつかの実施形態では、非卵巣組織は、血液である。別の実施形態では、非卵巣組織は、骨髄である。

0052

いくつかの実施形態では、少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物は、核を含まない細胞の細胞質である。別の実施形態では、少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物は、ミトコンドリアの精製調製物である。

0053

また別の態様では、本発明は、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫から機能性ミトコンドリアの集団を単離する方法を提供する。この方法は、機能性ミトコンドリアにプローブを結合するのに十分な条件下で、ミトコンドリア追跡用プローブと一緒に、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫を含有する組成物をインキュベートするステップ、並びに非機能性ミトコンドリアから機能性ミトコンドリアを選別することにより、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫から機能性ミトコンドリアの集団を単離するステップを含む。いくつかの実施形態では、非機能性ミトコンドリアを機能性ミトコンドリアの集団から排除する。

0054

いくつかの実施形態では、ミトコンドリア追跡用プローブは、非酸化依存性プローブである。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア追跡用プローブは、蓄積依存性プローブである。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア追跡用プローブは、低酸化状態プローブである。いくつかの実施形態では、選別ステップは、蛍光活性細胞選別を含む。

0055

また別の態様では、本発明は、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られる機能性ミトコンドリアの集団を識別する方法を提供する。この方法は、a)組成物中の機能性ミトコンドリアに、蛍光低酸化状態プローブを結合すると共に、組成物中の全ミトコンドリアに、蛍光蓄積依存性プローブを結合するのに十分な条件下で、蛍光低酸化状態プローブ及び蛍光蓄積依存性プローブと一緒に、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫を含有する組成物をインキュベートするステップ;b)蛍光活性化細胞選別を用いて、機能性ミトコンドリアを含む組成物を取得するステップであって、ここで、組成物から、非機能性ミトコンドリアは排除されているステップ;c)機能性ミトコンドリアの量及び全ミトコンドリアの量を決定するステップ;d)全ミトコンドリアに対する機能性ミトコンドリアの比率を計算するステップ;並びにe)この比率が約0.02を上回るか否かを決定することにより、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られる機能性ミトコンドリアの集団を識別するステップを含む。

0056

いくつかの実施形態では、蛍光蓄積依存性プローブは、スペクトルの一部(例えば、緑色)に蛍光を放出することができる。別の実施形態では、蛍光低酸化状態プローブは、スペクトルの異なる部分(例えば、赤色)に蛍光を放出することができる。

0057

別の態様では、本発明は、以下:a)組成物中の機能性ミトコンドリアに、蛍光低酸化状態プローブを結合すると共に、組成物中の全ミトコンドリアに、蛍光蓄積依存性プローブを結合するのに十分な条件下で、蛍光低酸化状態プローブ及び蛍光蓄積依存性プローブと一緒に、少なくとも1つのOSC、又はOSCの少なくとも1つの子孫を含有する組成物をインキュベートするステップ;b)蛍光活性化細胞選別を用いて、機能性ミトコンドリアを含む組成物を取得するステップを含み、ここで、組成物から、非機能性ミトコンドリアは排除されている、方法によって、得られる機能性ミトコンドリアを含む組成物を提供する。

0058

別の態様では、本発明は、単離されたOSCミトコンドリア又はOSCの子孫から得られるミトコンドリアを含有する組成物と、使用説明書とを含むキットを提供する。一実施形態では、本組成物は、細胞又は非機能性ミトコンドリアを少なくとも約85%、90%、95%含まない。

0059

本発明のまた別の態様は、OSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られる少なくとも1つの単離されたミトコンドリアと、使用説明書とを含むキットを提供する。

0060

本発明の別の態様は、卵母細胞のATP生産能を増大する方法を提供する。この方法は、以下:a)卵母細胞にオートロガスである少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物を取得するステップ;及びb)ミトコンドリアの組成物を卵母細胞に注入するステップを含む。

0061

いくつかの実施形態では、本組成物は、1×103〜5×104個のミトコンドリアを含む。

0062

別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも5倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0063

また別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも10倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0064

さらに別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも50倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0065

別の実施形態では、OSC又はOSCの子孫は、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当たり少なくとも100倍多いATPを生産する。特定の実施形態では、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞は、オートロガスである。

0066

いくつかの実施形態では、卵母細胞は、母体年齢の高い女性から得られる。他の実施形態では、卵母細胞は、卵巣予備能の低い女性から得られる。

0067

いくつかの実施形態では、本組成物は、遠心分離によって単離されたミトコンドリアを含む。別の実施形態では、本組成物は、ミトコンドリア膜電位差依存性細胞選別によって単離されたミトコンドリアを含む。

0068

いくつかの実施形態では、少なくとも1つのOSCは、卵巣組織から得られる。別の実施形態では、少なくとも1つのOSCは、非卵巣組織から得られる。

0069

いくつかの実施形態では、非卵巣組織は、血液である。別の実施形態では、非卵巣組織は、骨髄である。

0070

いくつかの実施形態では、少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物は、核を含まない細胞の細胞質である。別の実施形態では、少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物は、ミトコンドリアの精製調製物である。

0071

別の態様では、本発明は、以下:a)卵母細胞にオートロガスである少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアを含む組成物を取得するステップ;及びb)ミトコンドリアの組成物を卵母細胞に注入するステップを含む方法によって調製される卵母細胞を提供する。

0072

本発明のまた別の態様は、少なくとも1つのOSC又はOSCの少なくとも1つの子孫から得られるミトコンドリアの組成物を提供し、この組成物は、約75%、85%、90%、若しくは約99%超のミトコンドリアが、高ATP生産能ミトコンドリアである、ミトコンドリアの集団を含む。

0073

さらに別の態様では、本発明は、約5%〜約25%未満のmtDNAが、ミトコンドリアゲノムヌクレオチド8470〜13447内に欠失突然変異を有する、ミトコンドリアの集団を含む組成物と、このような組成物に関する方法を提供する。

0074

本発明の他の特徴及び利点は、詳細な説明、及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。従って、本発明の他の態様を以下の開示内容に記載するが、これらは本発明の範囲に含まれる。

0075

以下の詳細な説明は、例として記載するが、記載される特定の実施形態に本発明を限定する意図はなく、参照として本明細書に組み込む添付の図面と一緒に理解されるであろう。

図面の簡単な説明

0076

OSC単離のための蛍光活性化細胞選別(FACS)に基づくプロトコルの実証を示す。図1aには、VASA発現(DAP対比染色)の免疫蛍光分析を、VASAのNH2又はCOOH末端に対する抗体を用いた成体マウス卵巣において示す(スケールバー、50μm)。図1bには、分散マウス卵又は単離卵母細胞の免疫磁気分離を、VASAのNH2又はCOOH末端に対する抗体を用いて示す。画分1は、分離前の細胞とビーズを含み、画分2は、洗浄若しくは通過画分(非免疫反応性)であり、また、画分3は、ビーズ画分(VASA陽性細胞)である。図1cには、VASAのNH2又はCOOH末端に対する抗体を用いた分散マウス卵巣からの生存細胞若しくは透過処理細胞のFACS分析を示す。生存VASA陽性細胞は、COOH抗体でしか検出されない(点線四角)が、透過処理によって、NH2抗体を用いたVASA陽性細胞の単離が可能になる(点線の四角)。図1dでは、COOH抗体で得られた生存VASA陽性細胞の透過処理(点線の四角)によって、NH2抗体を用いたFACSによる同じ細胞の再単離が可能になる(点線の四角)。図1eには、生存OSCの単離のためにVASA−COOH抗体を用いたFACSプロトコルの概略図を示す。図1fは、VASA−COOH抗体を用いたOSCのFACSによる単離用の細胞を得るための卵巣分散工程中に調製された各細胞画分における、生殖細胞系マーカ[Blimp1(ZNFドメインと共に1を含むPRドメイン、若しくはPrdm1とも呼ばれる)、Stella、Fragilis(インターフェロン誘導貫膜タンパク質3若しくはIfitm3とも呼ばれる)、Tert(テロメラーゼ逆転写酵素)、Vasa、Dazl(無精子症などで欠失する)]及び卵母細胞マーカ[Nobox(卵胞特異的ホメオボックス)、Zp3(透明帯糖タンパク質3)、Gdf9(増殖分化因子9)]の遺伝子発現分析を表す(+ve、FACS後のVASA陽性生存細胞画分;−ve、FACS後のVASA陰性生存細胞画分;RTなし、すなわち、逆転写なしのRNAサンプルPCR;βアクチンサンプルをロードした対照)。
混入卵母細胞を含む免疫磁気ビーズ分離による成体マウス卵巣から単離したOSC画分を表す。遺伝子発現分析の生殖細胞系マーカ(Blimp1、Stella、Fragilis、Tert、Vasa、Dazl)及び卵母細胞特異的マーカ(Nobox、Zp3、Gdf9)が、若い成体マウス卵巣(陽性対照)又は分散した若い成体マウス卵巣のVASA−COOH抗体に基づく免疫磁気ビーズ分離によって得られた最終細胞画分においてみとめられる(RTなし、すなわち、逆転写なしの選別細胞RNAサンプルのPCR;βアクチン、サンプルをロードした対照)。
FACSを用いた、成体マウス及びヒト卵巣からのVASA陽性細胞の単離を表す。図3a及びbには、ヒト(a)及びマウス(b)OSC単離のために用いた成体卵巣組織の典型的組織学出現を示す。スケールバー、100μm。図3c及びdには、VASAの細胞表面発現に基づくFACSによって単離した生存細胞の形態を示す。スケールバー、10μm。図3eは、出発卵巣材料及び新しく単離したOSCの遺伝子発現プロフィールを提供し、ヒト組織分析のための例として3人の患者の評価を示す(RTなし:逆転写なしのRNAサンプルのPCR;βアクチン、サンプルをロードした対照)。図3f〜図3kには、マウス胚性幹細胞(ECS)の注射から3週間後のマウスにおける腫瘍の発生と比較した、マウスOSCの注射から24週間後のマウスにおける腫瘍の非存在(3f)を呈示する、奇形腫形成アッセイを、実験結果のまとめ(3k)と一緒に示す(図3g〜図3j;パネル3h〜3jは、3つ全ての胚葉由来の細胞の例を示し、パネル3hに神経前駆細胞強調表示する(挿入))。
卵巣内移植後のマウスOSCから得られた機能性卵を表す。図4a及びbでは、5〜6ヵ月早くGFP発現OSCを注射した野生型マウスの卵巣において、GFP陰性及びGFP陽性(ヘマトキシリン対比染色)卵母細胞を含む成長卵胞の例を示す。図4cには、5〜6ヵ月早くGFP発現OSCの卵巣内移植を受けた野生型雌マウスの誘導排卵後に、排卵したGFP陰性卵(卵丘−卵母細胞複合体中の)、並びにその結果、IVFによって発生した胚[例として2細胞、4細胞、充桑実胚(CM)及び初期胚盤胞(EB)期を示す]の例を示す。図4d及び4eには、5〜6ヵ月早くGFP発現OSCの卵巣内移植を受けた野生型雌マウスの誘導排卵後に、卵管から得られたGFP陽性卵(卵丘−卵母細胞複合体中の)を示す。これらの卵を、野生型精子を用いて、体外受精させると、着床前発生によって進行した2細胞胚が得られ[GEP陽性胚の例として2細胞、4細胞、8細胞、充桑実胚(CM)、拡張桑実胚(EM)、胚盤胞(B)及び孵化胚盤胞(HB)期を示す]、受精から5〜6日後に孵化中胚盤胞を形成した。
in vitroでのマウス及びヒトOSCによる生殖細胞コロニー形成を表す。VASA発現の免疫蛍光に基づく分析を図5b及び5dに;(DAPI対比染色を用いて)in vitroでのマウス胚線維芽細胞(MEF)上に樹立後のマウス(5a、5b)及びヒト(5c、5d)OSCによって形成された典型的生殖細胞コロニーにおいて示す(典型的コロニーを白い点線で強調表示する)。
規定培地におけるマウス及びヒト卵巣由来のVASA陽性細胞の評価を表す。図6a〜6dは、MEF非含有培地中に維持したマウス(6a、6b)及びヒト(6c、6d)OSCにおけるVASA発現及びBrdU組込みの二重検出によるOSC増殖の評価を示す。図6eは、継代、並びに24ウェル培養プレートにおけるウェル当たり2.5×104細胞の接種後のマウスOSCのMEF非含有培養についての典型的増殖曲線を示す。図6fは、数か月後の増殖後(図示する例では、継代45)のマウスOSCにおけるVASAの細胞表面発現を検出するために、COOH抗体を用いたFACS分析を示す。図6gは、出発卵巣材料、並びにin vitroでの4か月以上の増殖後の培養マウス及びヒトOSCの遺伝子発現プロフィールを示す(RTなし、すなわち、逆転写なしのRNAサンプルのPCR;βアクチン、サンプルをロードした対照)。2人の患者から樹立した2つの異なるヒトOSC系(OSC1及びOSC2)を例として示す。図6h及び6iは、MEF非含有培地中のマウス(h)及びヒト(i)OSCにおけるBLIMP1、STELLA及びFRAGILIS発現の典型的免疫蛍光分析を示す。細胞は、核DNA及び細胞質F−アクチンをそれぞれ視覚化するために、DAPI及びローダミンファロイジンで対比染色した。
培養したマウス及びヒトOSCからの自然卵形成を表す。図7a〜7cは、培養中のマウスOSCによって形成された未成熟卵母細胞の例を提供する図であり、形態学的評価(7a)、卵母細胞マーカタンパク質VASA及びKIT(7b;VASAの細胞質局在化注意)、並びに卵母細胞マーカ遺伝子Vasa、Kit、Msy2(Yボックスタンパク質2若しくはYbx2とも呼ばれる)、Nobox、Lhx8、Gdf9、Zp1、Zp2及びZp3をコードするmRNAの存在(7c;RTなし、すなわち、逆転写なしのRNAサンプルのPCR;βアクチン、サンプルをロードした対照)を示す。スケールバー、25μm。図7dは、継代、並びに24ウェル培養プレートにおけるウェル当たり2.5×104細胞の接種から24、48及び72時間後のマウスOSCによって形成された未成熟卵母細胞の数を示す(決定のために各時点で、培養上澄み回収した。従って、これらの値は、各々24時間のブロックにわたって産生された数を表し、卵丘の数ではない;平均±SEM、n=3つの独立した培養物)。図7e〜7gは、ヒトOSCからのin vitro卵形成を示し、培養中のヒトOSCによって形成された未成熟卵母細胞の例(7f、形態学;7g、卵母細胞マーカタンパク質VASA、KIT、MSY2及びLHX8の発現)並びに継代、及び24ウェル培養プレートにおけるウェル当たり2.5×104細胞の接種後に形成された数(7e;平均±SEM、n=3つの独立した培養物)を示す。マウスOSC由来の卵母細胞についての結果と共に、ヒトOSC由来の卵母細胞における卵母細胞マーカ遺伝子(Vasa、Kit、Msy2、Nobox、Lhx8、Gdf9、Zp1、Zp2及びZp3)をコードするmRNAの存在をパネルcに示す。スケールバー、25μm。図7hには、免疫蛍光検出の減数分裂組換えマーカ、DMC1(mck1相同体の用量サプレッサー)及びSYCP3(シナプトネマ構造タンパク質3)(DAPI対比染色)を、培養したヒトOSCの核において示す:ヒト卵巣間質細胞を負の対照として用いた。図7iには、継代から72時間後の培養ヒトOSCのFACSによる倍数性分析を示す。培養ヒト線維芽細胞(負の対照)及び培養マウスOSCの倍数性分析の結果を図9に示す。
成人卵巣における卵母細胞特異的マーカの検出を表す。成人卵巣皮質細胞における卵母細胞でのVASA(8a)、KIT(8b)、MSY2(8c)及びLHX8(8d)発現の免疫蛍光分析を示す(図10hも参照)。核の視覚化のために、切片をDAPIで対比染色した。スケールバー、25μm。
培養中のヒト線維芽細胞及びマウスOSCの倍数性分析を表す。図9a及び9bは、活発分裂するヒト胎児腎線維芽細胞の培養物(9a)及び継代から48時間後に回収したマウスOSC(9b)における倍数性状態の典型的なFACS評価を示す。半数体(1n)細胞は、in vitroで維持したヒトOSCの分析の結果(図7i)と一致して、生殖細胞系培養物中にしか検出されなかったが、全ての培養物が、細胞の二倍体(2n)及び四倍体集団(4n)を含んでいた。
ヒト卵巣組織におけるヒトOSCからの卵母細胞の産生を表す。分散、GFP−hOSCとの再凝集(10a)及び24〜72時間にわたるin vitro培養(10b、10c)後のヒト卵巣皮質組織の直接(生存細胞)GFP蛍光分析を示す。卵胞に類似する緊密な構造で、より小さなGFP陰性細胞に取り囲まれる大きなGFP陽性単細胞の形成に注意されたい(図10b及び10c;スケールバー、50μm)。GFP−hOSCを注射して、NOD/SCID雌マウスに異種移植した成人卵巣皮質組織におけるGFP陽性卵母細胞(黒い矢印で示す;ヘマトキシリン対比染色に対して)を含む未成熟卵胞の例を示す(図10d、移植から1週間後;図10f、移植から2週間後)。同じ移植片におけるGFP陰性卵母細胞を含む同等の卵胞に注意されたい。負の対照として、GFP−hOSC注射及び異種移植の前のヒト卵巣皮質組織(10e)又は異種移植の前にビヒクル注射(GFP−hOSCなし)を受けたもの(10g)における未成熟卵胞は、全て、上に示したサンプルと並行して行ったGFP検出のための処理の後、GFP陰性卵母細胞を含んでいた。図10hは、GFP発現の二重免疫蛍光分析、並びにGFP−hOSC注射を受けた異種移植片における複糸期卵母細胞特異的マーカMSY2又は卵母細胞転写因子LHX8のいずれかを示す。GFPは、GFP−hOSC注射前の移植片に検出されなかったが、MSY2及びLHX8が、全ての卵母細胞に検出されたことに注意されたい。核の視覚化のために、切片をDAPIで対比染色した。スケールバー、25μm。
GFP−hOSC移植後のヒト卵巣異種移植片における卵母細胞形成の形態計測に基づく評価を表す。3つのランダムに選択したヒト卵巣皮質組織サンプル(標識1、2及び3)における原始及び一次卵胞総数を示すが、これらは、GFP−hOSCの注射及びNOD/SCIDマウスへの異種移植から7日後であり、GFP陰性(宿主由来)又はGFP陽性(OSC由来)卵母細胞を含む(例えば、図10d〜10gを参照)。
ヒト卵巣皮質組織及び新しく単離したヒトOSCの低温保存及び解凍を表す。図12a及び12bは、ガラス化前後の成人卵巣皮質組織の組織学的外観を示し、組織統合性の維持及び凍結−解凍処置に耐えて生存する多数の卵母細胞を強調表示する(黒の矢印)。図12cでは、新しく単離したヒトOSCの凍結−解凍後細胞喪失パーセントを示す(2人の患者から得られた結果)。
オートロガス生殖細胞系ミトコンドリアエネルギー移動(AUGMNT)方法の概要を表す図である。エネルギー移動のためのミトコンドリアの供給源として用いられるOSC、並びにOSCミトコンドリアを受ける、受精させようとする卵は、同じ被検者から得られることに注意されたい。
同じ患者から得られた培養ヒト卵巣体細胞及び培養ヒトOSCにおけるMito Tracker GreenFM(Invitrogen M7514,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)によるミトコンドリア染色を表す。
培養OSC及び患者一致卵巣体細胞由来のmtDNAの4977bp欠失のPCR分析を示す。
ATPアッセイの結果を表す。
細胞を単離するためにVasaの細胞表面発現を用いた、雌生殖周期発情期中の成体雌マウスの骨髄調製物からのFACSによる生殖細胞精製又は単離を表す。
細胞を単離するためにVasaの細胞表面発現を用いた、雌生殖周期の発情期中の成体雌マウスの末梢血調製物からのFACSによる生殖細胞精製又は単離を表す。
mitotrackerM7514による染色及び細胞溶解後のミトコンドリアを表す。ヒトOSCをM7514と一緒にインキュベートした後、溶解することにより、浸透圧衝撃を用いて、染色したミトコンドリアを放出させた。集団全体溶解細胞及び残る非溶解染色細胞からのミトコンドリア)をFACSによって分析した。左のパネルは、溶解細胞からのミトコンドリアを示すが、これらは、大きさに基づいて、残りの非溶解細胞に含まれるミトコンドリアから容易に識別することができる(前方散乱FSC−A)。蛍光強度FITC−A)によって、溶解細胞由来のミトコンドリアの2つの異なる集団が明らかにされ、1つは高い強度(Mito Mt高)を、もう1つは低い強度(Mito Mt低)を有していた。機能性ミトコンドリアは、より高い取込み及び色素の保持を有することがわかっており、従って、より高い強度で蛍光を放出する(Invitrogen technical staff,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)。
異なるヒト細胞型から単離したミトコンドリアによるATP産生能の動態を表す。
異なるヒト細胞型から単離したミトコンドリアによる10分間のATP産生能の動態を表す。
ヒト間葉系幹細胞及びヒト卵巣体細胞におけるmtDNA欠失分析を示す。

0077

定義
別途定義されていない限り、本明細書で用いる技術及び科学用語は全て、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。不一致が生じる場合には、定義を含む本願が優先されるものとする。

0078

雌性生殖系幹細胞としても知られる「卵原幹細胞」(OSC)は、出生後の供給源から得られるものであり、Vasa、Oct−4、Dazl、Stella、並びに場合によってはSSEAなどのマーカを発現する。OSCは、有糸分裂能があり(すなわち、有糸分裂することができる)、増殖/分化因子9(「GDF−9」)などの卵母細胞マーカ、及び透明帯糖タンパク質(例えば、透明帯糖タンパク質3、「ZP3」)、又はシナプトネマ構造タンパク質3(「SYCP3」若しくは「SCP3」)などの減数分裂組換えのマーカを発現しない。OSCは、出生後の卵巣から得ることができる。OSCは当分野では公知であり、米国特許第7,955,846号明細書に記載されており、この文献の全内容は、参照として本明細書に組み込むものとする。さらに、OSCは、以下:Johnson et al.,Nature 428:145−150;Johnson et al.,Cell 2005 122:303−315;Wang et al.,Cell Cycle 2010 9:339−349;Niikura et al.,Aging 2010 2:999−1003;Tilly et al.,Biol Reprod 2009 80:2−12,Tilly et al.,Mol Hum Reprod 2009 15:393−398;Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636;Pacchiarotti et al.,Differentiation 2010 79:159−170)にも記載されており、これらの文献の内容は、参照として本明細書に組み込むものとする。好ましくは、本発明のOSCは、ヒトOSCである。

0079

本明細書で用いる場合、「OSCの子孫」は、本発明のOSCに由来する全ての娘細胞を指し、卵形成能力(すなわち、卵母細胞を形成する能力)及び機能性ミトコンドリアを維持若しくは達成する始原細胞及び分化細胞が含まれる。好ましくは、本発明のOSC子孫は、ヒトOSC子孫である。

0080

本明細書で用いる場合、「機能性ミトコンドリア」という用語は、ATPを生産するミトコンドリアを指し、用語「呼吸するミトコンドリア」と置換え可能に用いることができる。

0081

OSCは、また、骨髄、末梢血又は臍帯血からも得ることができる。本発明の骨髄由来OSCは、身体全体循環させてもよく、最も好ましくは、骨髄、臍帯血及び卵巣に局在化させてよい。骨髄由来のOSCは、Oct4、Vasa、Dazl、Stella、Fragilis、並びに場合によってはNobox、Kit及びSca−1などのマーカを発現する。骨髄由来のOSCは、有糸分裂能があり(すなわち、有糸分裂することができる)、かつ、GDF−9、透明帯糖タンパク質(例えば、ZP3)又はSCP3を発現しない。骨髄由来のOSCについて、さらに詳しくは、米国特許第20060010509号明細書を参照されたい。尚、この文献の全内容は、骨髄におけるOSCの説明のために、参照として本明細書に組み込むものとする。末梢血及び臍帯血由来のOSCについて、さらに詳しくは、米国特許第20060015961号明細書を参照されたい。尚、この文献の全内容は、末梢血におけるOSCの説明のために、参照として本明細書に組み込むものとする。

0082

Oct−4は、POUドメインクラス5転写因子1若しくはPou5f1とも呼ばれ、雌性生殖系幹細胞及びその始原細胞に発現する遺伝子である。Oct−4遺伝子は、哺乳動物生殖細胞系の樹立に関与する転写因子をコードし、初期生殖細胞分化決定に有意な役割を果たす(Scholer,TrendsGenet.1991 7(10):323−329を参照)。発生中の哺乳動物胚において、Oct−4は、胚盤葉上層分化中に下方制御され、その結果、生殖細胞系に閉じ込められることになる。生殖細胞系では、Oct−4発現は、胚盤葉上層発現とは別に調節される。Oct−4の発現は、全能性の表現型マーカである(Yeom et al.,Development 1996 122:881−888)。

0083

Stellaは、一般に、発生多分化能関連3若しくはDppa3とも呼ばれ、雌性生殖系幹細胞及びそれらの始原細胞に発現する遺伝子である。Stellaは、始原生殖細胞及びその子孫(卵母細胞など)に特異的に発現する新しい遺伝子である(Bortvin et al.,BMCDevelopmental Biology 2004 4(2):1−5)。Stellaは、SAP様ドメイン及びスプライシング因子モチーフ様構造を有するタンパク質をコードする。Stella発現が欠損した胚は、着床前発生が損なわれ、稀にしか芽細胞期に到達しない。従って、Stellaは、初期胚発生に関与する母性因子である。

0084

Dazlは、雌性生殖系幹細胞及びその始原細胞に発現する遺伝子である。常染色体遺伝子Dazlは、共通RNA結合ドメインを含む遺伝子のファミリーメンバーであり、生殖細胞に発現する。マウスにおいてインタクトなDazlタンパク質の発現の欠失は、生殖細胞が減数分裂前期を完了できないことに関連する。特に、Dazlが欠損した雌マウスでは、減数分裂前期を通した生殖細胞の進行と同時期の胎児期の間に生殖細胞の喪失が起こる。Dazlが欠損した雄マウスでは、生殖細胞は、減数分裂前期Iのレプトテン期を越えて進行することができない。従って、Dazlの非存在下では、有糸分裂前期を通した進行が中断する(Saunders et al.,Reproduction 2003 126:589−597)。

0085

Vasaは、DEADボックスポリペプチド4(配列番号1として開示される「DEAD」)又はDdx4とも呼ばれ、雌性生殖系幹細胞及びその始原細胞に発現する遺伝子である。Vasaは、DEADファミリー(配列番号1として開示される「DEAD」)ATP依存性RNAヘリカーゼをコードする生殖質の成分である(Liang et al.,Development 1994 120:1201−1211;Lasko et al.,Nature 1988 335;611−167)。Vasaの分子機能は、生殖細胞樹立(例えば、Oskar及びNanos)、卵形成、(例えば、Gruken)、及び翻訳開始(Gravis et al.,Development 1996 110:521−528)に関与する標的mRNAに結合することに向けられる。Vasaは、極細胞形成に必要であり、発生全体を通して専ら生殖細胞系に制限される。従って、Vasaは、ほとんどの動物種における生殖細胞系の分子マーカである(Toshiaki et al.,Cell Structure and Function 2001 26:131−136)。

0086

ステージ特異的胎児抗原は、任意選択で雌の生殖細胞系幹細胞に発現させ、また、本発明の雌の生殖細胞系幹細胞に発現させる。ステージ特異的胎児抗原−1(SSEA−1)は、細胞表面胎児抗原であり、その機能は、細胞接着遊走及び分化に関連している。胚盤葉下層形成中に、SSEA−1陽性細胞は、胞胚腔及び胚盤葉下層に、また後に生殖三日月環にみいだすことができる。SSEA−1は、初期生殖細胞及び神経細胞発生において機能する(D’Costa et al.,Int J.Dev.Biol.1999 43(4):349−356;Henderson et al.,Stem Cells 2002 20:329−337)。特定の実施形態では、雌性生殖系幹細胞におけるSSEAの発現は、細胞が分化するにつれて起こりうる。本発明で有用なSSEAとして、SSEA−1、SSEA−2、SSEA−3、及びSSEA−4がある。

0087

本明細書で用いる場合、「オートロガス」という用語は、同じ被検者から得られる生物学的組成物を指す。一実施形態では、生物学的組成物は、OSC、OSC由来の組成物及び卵母細胞(すなわち、成熟卵母細胞)を含む。従って、本発明の方法を実施する上で、移入に用いる雌性生殖細胞の細胞質又はミトコンドリア、並びに前述の組成物を移入するレシピエント卵母細胞は、同じ被検者から得られる。

0088

本明細書で用いる場合、「単離された」という用語は、その天然生物学的環境から物理的に分離された、又は取り出された、OSC、OSC由来のミトコンドリア又は組成物(例えば、細胞質、ミトコンドリア調製物)を指す。単離されたOSC、ミトコンドリア又は組成物を精製する必要はない。

0089

本明細書で用いる場合、「外性」という用語は、1つの細胞から取り出され、別の細胞に移入される、移入細胞材料(例えば、ミトコンドリア)を指す。例えば、卵母細胞に移入されたOSC由来のミトコンドリアは、たとえ両者が同じ被検者に由来する場合でも、外性である。

0090

「被検者」とは、哺乳類のあらゆる胎生メンバーであり、このような動物として、ヒト、飼育及び農場動物、及び動物園競技又はペット動物、例えば、マウス、ウサギブタヒツジヤギ畜牛及び高等霊長類が挙げられる。

0091

本明細書で用いる用語「高い母体年齢」は、ヒトに関する場合、34歳以上の女性を指す。本明細書で用いる用語「卵母細胞に関連する不妊症」は、ヒトに関する場合、解剖学的異常(例えば、卵管閉塞)又は疾病状態(例えば、子宮筋腫重度子宮内膜症II型糖尿病多嚢胞性卵巣)が原因ではなく、1年間の避妊なしの性交後に受精することができないことを指す。

0092

本明細書で用いる用語「低い卵巣予備能」は、ヒトに関する場合、Scott et al.,Fertility and Sterility,1989 51:651−4に記載されているように、「Day3FSH試験」で、15miu/mlを超える循環卵胞刺激ホルモン(FSH)、又は0.6ng/ml未満の循環抗ミュラー管ホルモン(AMH)、又は7未満の胞状卵胞数(超音波によって測定される)を示す女性を指す。

0093

本明細書において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、及び「有する(having)」などは、米国特許法で定義される意味を有し、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味すると考えてよく;同様に、「〜からほぼ構成される」又は「ほぼ構成する」は、米国特許法で定義される意味を有し、この用語には制限がなく、記載されるものより多い存在によって記載されるものの基本的若しくは新規の特徴が変化しない限り、記載されるものより多い存在を許容するが、従来技術の実施形態は除外する。

0094

本明細書で用いる場合、「低下(低減)した」又は「低下(低減)する」又は「減少する」という用語は、一般に、この用語が本明細書において定義されているように、また、統計学有意性(p<0.05)を達成する方法によって決定されるように、基準レベルと比較して、少なくとも5%の減少、例えば、少なくとも約10%の減少、又は少なくとも約20%の減少、又は少なくとも約30%の減少、又は少なくとも約40%の減少、又は少なくとも約50%の減少、又は少なくとも約60%の減少、又は少なくとも約70%の減少、又は少なくとも約80%の減少、又は少なくとも約90%の減少、又は100%以下の減少(すなわち、実質的に存在しないか、若しくは検出レベルに満たない)、あるいは、5〜100%のいずれかの減少を意味する。

0095

本明細書で用いる場合、「増加する」という用語は、一般に、この用語が本明細書で定義されているように、また、統計学的有意性(p<0.05)を達成する方法によって決定されるように、基準レベルと比較して、少なくとも5%の増加、例えば、少なくとも約10%の増加、又は少なくとも約20%の増加、又は少なくとも約30%の増加、又は少なくとも約40%の増加、又は少なくとも約50%の増加、又は少なくとも約60%の増加、又は少なくとも約70%の増加、又は少なくとも約80%の増加、又は少なくとも約90%の増加、又は100%以下の増加(すなわち、検出レベルを実質的に超える)、あるいは、5〜100%のいずれかの増加を意味する。

0096

本明細書で用いる場合、「ATP産生又は生産の増加」とは、この用語が本明細書で定義されているように、基準レベルでのATP生産の量と比較して、少なくとも約1倍(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、1000、10,000倍以上)多いATP生産の量を指す。ATP生産は、当分野では公知の標準的方法によって測定することができる。

0097

本明細書で用いる場合、「高ATP産生能ミトコンドリア」とは、高及び低(又は高及び中/低)膜電位を識別することができるプローブによって決定される、高いミトコンドリア膜電位を有するミトコンドリアを指す。高いミトコンドリア膜電位を有するミトコンドリアを識別する1つの方法は、蛍光プローブ5,5’,6,6’−テトラクロロ−1,1’,3,3’−テトラエチルベンズイミダゾリルカルボシアニンヨウ化物(JC−1、Invitrogen T3168、Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)を使用するものであり、このプローブは、質の高いミトコンドリアでは、赤−オレンジ色(590nm)の蛍光を発するが、質が中程度及び/又は低いミトコンドリアでは緑色(510〜520nm)の蛍光を発する。(例えば、以下を参照:Garner et al.,Bio.Reprod.1997 57:1401−1406;Reers et al.,Biochemistry 1991 30:4480−4486;Cossariza et al,Biochem Biophys Res Commun 1993 197:40−45;Smiley et al.,Proc Natl Acad Sci USA 1991 88:3671−3675)。

0098

本明細書で用いる場合、「標準」又は「基準(参照)」という用語は、測定された生物学的パラメータを指し、限定するものではないが、別のサンプルと比較する既知のサンプルにおける、異数性、突然変異、染色体のミスアラインメント、減数分裂紡錘体異常、及び/又はミトコンドリア機能不全(凝集、ATP生産の障害)などの欠陥、又は、このような欠陥の低減若しくは排除を含み;あるいは、標準は、単純に、比較のためのベースライン画定する、測定された生物学的パラメータの量を表す基準数である場合もある。基準数は、個体から採取したサンプル、又は個体の集団若しくはそこから得られた細胞(例えば、卵母細胞、OSC)のいずれからも得ることができる。すなわち、「標準」は、試験するサンプルである必要はなく、許容される基準数又は値であってもよい。個体の状態(例えば、年齢、性別、体重、身長民族的背景など)を考慮に入れた一連の標準を作成することができる。標準レベルは、例えば、異なる個体(例えば、試験しようとする個体以外の)由来の既知サンプルから得ることができる。既知サンプルは、平均化集団に対する標準を得るために、複数の個体(又はそこから得られた細胞)由来のサンプルをプールすることにより取得することもできる。さらに、標準は、一連の標準を用いて、個体のサンプルにおける生物学的パラメータを定量するように、標準を合成することもできる。試験しようとする個体由来のサンプルは、早期の時点(おそらく治療の開始前)で取得することができ、治療の開始後に同じ個体から採取したサンプルと比較される標準若しくは基準として役立つ。こうした例では、標準は、治療の効果の測度を提供することができる。特定の実施形態では、「標準」若しくは「基準」は、卵巣体細胞(例えば、機能性生殖系を有する女性被検者から得られる年齢相応の卵巣体細胞)又は年齢相応の間葉系幹細胞である。

0099

本明細書に記載する範囲は、その範囲に含まれる値の全てを意味すると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、若しくは50からなる群からの、あらゆる数、数の組合せ、又は小範囲を含むと理解される。

0100

その他の定義は、本明細書全体を通して本文に記載される。

0101

本発明の組成物及び方法
OSCの単離
小さな(例えば、3×3×1mm)卵巣皮質生検を採取するための、当分野では公知の小規模腹腔鏡手術を用いて、成体卵巣皮質組織を得ることができ、次に、これをOSC単離のために処理する。Gook et al.,Human Reproduction,2004 20(1):72−78を参照。

0102

成体卵巣皮質組織からのヒトOSCの単離は、実施例1、図1又は当分野で既述のように、あるいは、同等の技術を用いて、実施することができる。例えば、米国特許第20060010508号明細書の段落0116、及びZou et al.,Nature Cell Biology 2009 5:631−6.Epub 2009 Apr 12を参照されたい。OSCはまた、骨髄又は末梢血などの非卵巣供給源から得ることもできる。骨髄又は末梢血由来のOSCは、例えば、骨髄又は血液から幹細胞を分離するための当分野では公知の標準的手段(例えば、細胞選別)によって単離することができる。任意選択で、単離プロトコルは、造血細胞を除去したkit+/lin−画分の作製を含む。OSCにおける遺伝子発現(例えば、Vasa、Oct−4、Dazl、Stella、Fragilis)の特有プロフィールに基づく別の選択手段を用いて、所望の細胞集団をさらに精製若しくは単離し、これらを取得した生体サンプル(例えば、骨髄、末梢血)から他の細胞及び物質を低減若しくは排除することができる。例えば、実施例1、図1bに記載する方法は、非卵巣供給源から、精製若しくは単離したOSCを取得するために、血液細胞及び骨髄細胞単核画分に適用されている。手短には、ウサギ抗VASA抗体(ab13840;Abcam,Cambridge,MA)と一緒に細胞を20分間インキュベートした後、洗浄し、アロフィコシアニンAPC)に結合させたヤギ抗−ウサギIgGと一緒に20分間インキュベートした後、再度洗浄した。負の(非染色で、一次抗体なし)対照に対してゲーティングした、BD BiosciencesFACSAria IIサイトメーター(Harvard Stem Cell Institute,Boston,MA)を用いて、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって、溶出液中の標識細胞を単離した。死滅細胞を排除するための選別の直前に、ヨウ化プロピジウムを細胞懸濁液に添加した。非卵巣供給源からOSCを単離するために、Vasaの細胞表面発現を用いて得られた結果を図17及び18に示すが、これらの図面には、雌性生殖周期の発情期中の成体雌マウスに由来する骨髄及び末梢血調製物のFACSによる生殖細胞精製を示す。

0103

OSC由来の組成物の作製及び移入方法
ミトコンドリアの作製及び移入方法は、当分野では公知であり、当分野で既述されているように、又は同等の技術を用いて、実施することができる。例えば、Perez et al.,Cell Death and Differentiation 2007 3:524−33.Epub 2006 Oct 13、及びPerez et al.,Nature 2000,403:500−1(これらの各内容は、参照として本明細書に組み込む)を参照されたい。手短には、前述したように、OSCを単離した後、培養することができる。一方法では、OSC培養物が、80%培養飽和密度に達したら、2mlのミトコンドリア溶解バッファー(0.3Mショ糖、1mMEDTA、5mM MOPS、5mM KH2PO4、0.1%BSA)を各プレートに添加し、セルスクレーパーを用いて、細胞を回収する。細胞懸濁液を小ガラス製組ダウンサーに移して、滑らかになるまで均質化(約10往復行程)した後、溶解物を4℃にて30分間600gで遠心分離する。上澄みを回収し、4℃にて12分間10,000gでスピンした後、得られた粗ミトコンドリアペレットを0.2mlの0.25Mショ糖中に再懸濁させる。次に、このサンプルを0.25Mショ糖で希釈した25〜60%パーコール(Percoll)密度勾配で積層する。界面バンド勾配から抽出して、2容量の0.25Mショ糖で洗浄した後、4℃にて10分間14,000gでの最終遠心分離にかけることにより、ミトコンドリアペレットを得る。

0104

ミトコンドリアペレットはまた、Frezza et al.,Nature Protocols 2007 2:287−295(この内容は、参照として本明細書に組み込む)に記載されているように、調製することもできる。本発明の特定の実施形態では、ミトコンドリア膜電位(MMP)に非依存的様式で、ミトコンドリアに特異的に結合する蛍光プローブを含むFACSによる方法を用いて、組織、細胞、溶解細胞、又はその画分中の全OSC由来ミトコンドリア集団を単離、特性決定及び/又は列挙することができる。MMP非依存的様式で、ミトコンドリアに特異的に結合する蛍光プローブとしては、限定するものではないが、蓄積依存性プローブ(例えば、JC−1(赤色スペクトル;Invitrogen T3168,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)、MitoTracker Deep RedFM(Invitrogen M22426,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)及びJC−1(緑色スペクトル;Invitrogen T3168,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)が挙げられる。機能性(例えば、呼吸)ミトコンドリアは、限定するものではないが、非酸化依存性プローブ(例えば、MitoTracker Green FM(Invitrogen M7514,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)など、ミトコンドリア塊を示すミトコンドリア追跡用プローブを用いて、大きさ及び蛍光強度に基づいて、選別及び収集することができ、好ましくは、残留する非溶解細胞及び非機能性ミトコンドリアは排除する。非酸化依存性プローブを用いて、FACSを実施するプロトコル例の詳細については、以下の実施例9に記載する。任意選択で、FACSによる方法は、MMP依存的様式でミトコンドリアに特異的に結合するミトコンドリア膜蛍光プローブを用いて、機能性(例えば、呼吸)ミトコンドリアの実質的に純粋な集団を選択的に得るために使用することもできる。MMP依存的様式でミトコンドリアに特異的に結合する蛍光プローブとしては、限定するものではないが、低酸化状態ミトトラッカー(mitotracker)プローブ(例えば、MitoTracker Red CM−H2XRos(Invitrogen M7513,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)及びMitoTracker Orange CM−H2TMRos(Invitrogen M7511,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)がある。さらに、MMP依存性及びMMP非依存性プローブを用いた二重標識を実施して、組織、細胞、溶解細胞又はこれらに由来する画分中の全ミトコンドリアに対する機能性ミトコンドリアの比率を定量することができる。特定の実施形態では、この比率は、約0.02、0.025、0.033、0.04、0.05、0.1、又は約0.2を超える。MMPに基づく示差スクリーニングのためのプローブを用いる場合、スペクトルの色が、機能性ミトコンドリアを示す主要な決定因子であり、残留する非溶解細胞に依然として含まれるものから、溶解細胞から放出される蛍光ミトコンドリアを識別するのに、前方散乱を用いることができる。

0105

ミトコンドリアペレットはまた、Taylorらにより、Nat. Biotechnol.2003 21(3):239−40;Hanson et al.,Electrophoresis. 2001 22(5):950−9;及びHanson et al.,J.Biol.Chem.2001 276(19):16296−301に記載されているように、調製することができる。本発明の特定の実施形態では、実施例10に記載するような示差遠心分離方法を用いて、又は本明細書の実施例11に記載するようなショ糖密度勾配分離方法を用いて、組織、細胞、溶解細胞又はこれらの画分中の全OSC由来ミトコンドリア集団を単離、特性決定及び/又は列挙することができる。

0106

単離後、ミトコンドリア機能又はmtDNA統合性(例えば、突然変異及び欠失)の評価を当分野では公知の方法に従って実施することができる(Duran et al.,Fertility and Sterility 2011 96(2):384−388;Aral et al.,Genetics and Molecular Biology 2010 33:1−4;Chan et al.,Molecular Human Reproduction 2005 11(12):843−846;Chen et al.,BMCMedical Genetics 2011 12:8及び実施例8)。機能性パラメータ(例えば、MMP依存性/活性若しくはMMP非依存性/活性及び非活性)に従って選別したミトコンドリア又はあまり好ましくないOSC供給源(大きさが限定されたサンプルなど)からのミトコンドリアの集団を本発明の方法に従って取得することができる。本発明のミトコンドリア組成物は、例えば、mtDNAfg当たり約1pモルのATP〜mtDNAfg当たり約6pモルのATP(例えば、mtDNAfg当たり約1、2、3、4、5、若しくは6pモルのATP)を生産することができる。特定の実施形態では、mtDNAfg当たり約1.0pモル〜1.4pモルのATPが、約10分〜約15分内に生産される。

0107

ミトコンドリアの集団中の突然変異のパーセンテージは、まず、生体サンプル中に存在するミトコンドリアの数を決定し、次に、サンプル中に存在するミトコンドリアDNAのコピー数を決定することによって、評価することができる。標準突然変異分析を用いて、ミトコンドリアの数及びミトコンドリアDNAのコピー数と比較することにより、ミトコンドリアの集団における突然変異のパーセンテージを計算することができる。例えば、本発明の組成物及び方法は、ミトコンドリアDNAの約5%〜約25%未満(例えば、約5%、10%、15%、20%〜約25%)が、ミトコンドリアゲノムのヌクレオチド8470〜13447内に欠失突然変異を含む、ミトコンドリアの集団を提供することができる。

0108

当分野では公知の方法に従い、注射しようとする物質(例えば、ミトコンドリア懸濁液)をマイクロインジェクション用針に移す。マイクロインジェクション用針及びホールディングピペットは、Sutter puller(Sutter Instruments,Novato,CA,USA)及びDe Fonbrune Microforge(EB Sciences,East Granby,CT,USA)を用いて、達成することができる。マイクロインジェクション用針は、内径が5μmで、先端が丸い。注射しようとする物質は、吸引圧によって針に吸引される。約1×103〜約5×104個のOSC又はその子孫由来のミトコンドリアを注射することができる(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8〜9×103;約1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9〜約5×104個のミトコンドリア)。ピエゾ(Piezo)マイクロマニピュレータを用いて、ショ糖中のミトコンドリア懸濁液(例えば、約1×103〜約5×104個のOSC又はその子孫由来のミトコンドリアを含む5〜7pl)を卵母細胞に注射することができる。マイクロインジェクション工程に耐えて生存する卵母細胞を、体外受精若しくは子宮内人工授精の前に、培養、並びに任意選択で、評価若しくは低温保存するために回収する。卵母細胞の低温保存の方法は、当分野では公知である。詳細については、例えば、Porcu et al.,Molecular and Cellular Endocrinology 2000 169:33−37;Mandelbaum, Human Reproduction 2000 15:43‐47;及びFabbri et al.,Molecular and Cellular Endocrinology 2000 169:39−42(これらの内容は、参照として本明細書に組み込む)を参照されたい。

0109

無核細胞質画分の調製及び移動方法は、当分野では公知であり、既述されているように実施することができる。例えば、Cohen et al.,Mol Hum Reprod 1998 4:269〜80(これらの内容は、参照として本明細書に組み込む)を参照されたい。手短には、一方法では、採卵から約4時間後に、レシピエント卵を0.1%ヒアルロニダーゼ暴露し、注射用成熟卵を選択する。放線冠細胞を微細ピペットで全て除去する。卵細胞質の移入は、OSC卵細胞質とインタクトなMII卵母細胞の電気細胞融合によって実施することができる。0.1%ヒアルロニダーゼに暴露後、マイクロスピア(microspear)を用いて、帯層機械的に切開する。OSCを、サイトカラシンB(CCB;Sigma Chemical Co.,St Louis,MO,USA)含有のhHT培地に37℃で10分間暴露する。ヒトMII卵母細胞の分割には、その感受性に応じた様々なサイトカラシンB濃度(約2.5mg/ml)を必要とする。原形質膜に囲まれている卵細胞質の1部分を取り出すことによって、様々な大きさの卵母細胞をOSCから分離する。極体を除去したレシピエント卵の囲卵腔中にOSC由来の卵細胞質を挿入後に、マンニトール溶液中でのアラインメント及び電気細胞融合を実施する。これは、直径が約30〜40μmの大孔研磨マイクロツールを用いて、実施することができる。卵細胞質をマイクロツールに吸引し、囲卵腔の深部にツールを導入したら、放出する。電気細胞融合工程に耐えて生存する卵母細胞を、体外受精若しくは子宮内人工授精の前に、培養、並びに任意選択で、評価若しくは低温保存するために回収する。

0110

あるいは、無核細胞質画分又は単離ミトコンドリアの移入に関して、従来の卵細胞質内精子注入(ICSI)法を用いることもできる。例えば、Cohen et al.,Mol Hum Reprod 1998 4:269−80(これらの内容は、参照として本明細書に組み込む)を参照されたい。一例として、マイクロスピアを用いて、レシピエント卵の帯層を極体にわたって機械的に切開する。閉じたマイクロスピアで帯層を解剖することができるように、卵母細胞をホールディングピペット上に移した後、極体を除去する。同じ位置を用いて、極体が入っていた領域の約90°左側に卵細胞質を挿入する。同じツールを用いて、帯層を密閉する。電気融合した細胞を洗浄し、mHTF中に40〜90分間インキュベートした後、ICSIを実施する。ICSIのために10%ポリビニルピロリドンPVP)中に精子を固定化する。この手順は、hHTF中で実施するが、その間、アパーチャの短辺は約3時である。標準ICSIの間に、帯層の孔形成時に卵細胞質が押し出されるのを回避するために、ICSIツールは人工の隙間から動かす。体外受精の方法は、当分野では公知である。カップル夫婦)は、一般に、まず、その具体的不妊の問題を診断するために、評価される。これらは、両パートナーの不明な不妊症から、女性(例えば、生理不順又は多嚢胞性卵巣疾患を伴う非開存性卵管を引き起こす子宮内膜症)又は男性(例えば、形態異常を伴う低精子数、又は通常、脊髄病変を伴う射精不能、逆行性射精、又は精管切断術逆転)の深刻な問題まで、多岐にわたりうる。これらの評価の結果によっても、各カップルについて実施すべき具体的方法を決定する。

0111

施術は、多くの場合、視床下部下垂体系を下方制御する薬剤GnRHアゴニスト)の投与で開始する。この方法は、ゴナドトロピン血清濃度を低下させ、発生する卵胞が退化するため、発生の初期に一群の新しい卵胞がもたらされる。これにより、視床下部下垂体軸による影響の非存在下で、外性ゴナドトロピンの投与によるこれら新しい卵胞の成熟をより正確に制御することが可能になる。超音波を用いた毎日の観察及び血清エストラジオールの決定により、成熟の進行及び増殖する卵胞(通常、卵巣当たり4〜10個を刺激する)の数をモニターする。卵胞が排卵前期の大きさ(18〜21mm)に達し、エストラジオール濃度が線形に増加し続ける場合、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の外性投与により、排卵応答を開始させる。

0112

移植手順に続いて、個々の卵母細胞を形態学的に評価した後、培地及び熱不活性化血清を含むペトリ皿に移すことができる。精液サンプルが男性パートナーから提供されると、これを「スイムアップ」法を用いて処理し、これによって、最も活性の運動精子授精のために取得する。女性の卵管が存在すれば、この時点で、GIFT(配偶子卵管内移植)と呼ばれる方法を実施することができる。この手法によって、精子が取り囲む卵母細胞−卵丘複合体を腹腔鏡検査法によって卵管に直接導入する。この方法は、通常の一連のイベントを最もよく刺激し、卵管内で受精が起こるようにすることができる。当然のことながら、GIFTは、1990年に採卵を受けた3,750人の患者のうち、22%が出産するという最も高い成功率を有する。別の方法ZIFT(接合子卵管内移植)によって、採卵の翌日に、卵管に移植する体外受精卵の選択が可能である。余剰の受精卵は、将来の移植のために、又は雌性配偶子のないカップルへの供与のために、この時点で低温保存することができる。しかし、さらに重症の不妊障害を有するほとんどの患者は、子宮若しくは卵管への移植のために、初期卵割状態の着床前胚を選択することができるように、さらに1〜2日の培地中でのインキュベーションを必要とする。このIVF−UT(体外受精子宮移植)法は、複数、すなわち2〜6個の細胞(第2日)又は8〜16(第3日)個の着床前胚の子宮底への頸管経由移植を必要とする(4〜5個の着床前胚が、最適な成功をもたらす)。

0113

体外受精の方法は、以下:米国特許第6,610,543号明細書、同第6,585,982号明細書、同第6,544,166号明細書、同第6,352,997号明細書、同第6,281,013号明細書、同第6,196,965号明細書、同第6,130,086号明細書、同第6,110,741号明細書、同第6,040,340号明細書、同第6,011,015号明細書、同第6,010,448号明細書、同第5,961,444号明細書、同第5,882,928号明細書、同第5,827,174号明細書、同第5,760,024号明細書、同第5,744,366号明細書、同第5,635,366号明細書、同第5,691,194号明細書、同第5,627,066号明細書、同第5,563,059号明細書、同第5,541,081号明細書、同第5,538,948号明細書、同第5,532,155号明細書、同第5,512,476号明細書、同第5,360,389号明細書、同第5,296,375号明細書、同第5,160,312号明細書、同第5,147,315号明細書、同第5,084,004号明細書、同第4,902,286号明細書、同第4,865,589号明細書、同第4,846,785号明細書、同第4,845,077号明細書、同第4,832,681号明細書、同第4,790,814号明細書、同第4,725,579号明細書、同第4,701,161号明細書、同第4,654,025号明細書、同第4,642,094号明細書、同第4,589,402号明細書、同第4,339,434号明細書、同第4,326,505号明細書、同第4,193,392号明細書、同第4,062,942号明細書、及び同第3,854,470号明細書(これらの内容は、上記の方法の説明のために、参照として本明細書に明示的に組み込む)にも記載されている。

0114

あるいは、患者は、外性の、オートロガスOSCミトコンドリアを含む卵母細胞を、子宮内人工授精(IUI)を用いて、再移植及び体外受精させるように選択することもできる。IUIは、高度に濃縮された量の活性運動精子を調製し、これを頸管から子宮に直接送達することを含む、公知の方法である。IUIのための精子を調製するのに利用可能な複数の方法がある。第1に、精子を精液から分離する。精子分離の一方法は、「密度勾配分離」として公知である。この方法では、粘性溶液を用いて、運動精子を死滅精子及び他の細胞から分離する。調製後、薄く、柔軟なカテーテルを用いて、精子濃縮物を頸管から子宮に導入すると、再移植した卵母細胞の受精が起こる。

0115

本発明及びその多くの利点をさらに明瞭な理解を促す以下の例示的、非制限的実施例によって、本発明をさらに説明する。

0116

ここでは、承認されたプロトコルを用いて、OSCを健康な若い女性の組織から単離して、後の臨床処置に用いるためにin vitroで増殖することができることを証明する。以下の実施例は、例示を目的として記載するに過ぎず、本発明者らがその発明と考えるものの範囲を限定することを意図するわけではない。

0117

実施例1:OSC単離のためのFACSによるプロトコル
免疫磁気分離によってマウスOSCを単離するために、Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636によって用いられるVASA抗体は、ヒトVASAのCOOH−末端の最後の25アミノ酸に対するウサギポリクローナルである(DDX4)(ab13840;Abcam,Cambridge,MA)。この領域は、マウスVASA(MVH)の対応領域と96%の全体相同性共有する。比較研究のために、ヒトVASAのNH2−末端の最初の145アミノ酸に対するヤギポリクローナル抗体AF2030;R&D Systems,Minneapolis,MN)を用いたが、これは、マウスVASAの対応領域と91%の全体相同性を共有する。

0118

いずれの抗体を用いた若い成体(生後2ヶ月)マウス卵巣の免疫蛍光分析も、予想通り、卵母細胞に制限されたVASA発現の同じパターンを示した(図1a)。次いで、分散した若い成体マウス卵巣組織の免疫磁気分離のために、各抗体を用いた(Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636)。細胞の各調製のために、4匹のマウスからの卵巣をプールして、細かく刻んだ後、800U/mlコラゲナーゼIV型カルシウム及びマグネシウムを除いたハンクス平衡塩類溶液中で調製される(HBSS)]と一緒に15分のインキュベーション、続いて、0.05%トリプシン−EDTAと一緒に10分のインキュベーションを含む2ステップ酵素消化により解離させた。消化は、細胞調製物における粘着性を最小限にするために、1μg/mlDNase−I(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)の存在下で実施し、10%ウシ胎児血清(FBS;Hyclone,ThermoFisher Scientific,Inc.,Waltham,MA)の添加により、トリプシンを中和した。卵巣分散質を、70μmナイロンメッシュを介して濾過した後、HBSS中に、1%正常ヤギ血清(EMD Milipore,Billerica,MA;VASA−COOHに対するab13840を用いた後の反応のために)又は1%正常ロバ血清(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO;VASA−NH2に対するAF2030を用いた後の反応のために)のいずれかを含む1%脂肪酸遊離ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)から構成される溶液中で、上で20分間ブロックした。次に、COOH末端(ab13840)又はNH2末端(AF2030)のいずれかを認識するVASA抗体の1:10希釈物と細胞を氷上で20分間反応させた。その後、細胞をHBSSで2回洗浄した後、ヤギ抗ウサギIgG結合マイクロビーズ(Miltenyi,Gladbach,Germany;ab13840検出)又はビオチン結合ロバ抗ヤギIgG(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz、CA;AF2030検出)のいずれかの1:10希釈物と一緒に氷上で20分間インキュベートし、続いて、ストレプトアビジン結合マイクロビーズ(Miltenyi;Gladbach,Germany)と一緒にインキュベーションを行った。HBSS中でもう1回洗浄した後、製造業者指定事項(Miltenyi,Gladbach,Germany)に従って、細胞調製物をMACSカラムにロードし、分離した。個々の卵母細胞と起こりうる抗体−ビーズ相互作用を視覚化する実験のために、妊馬血清ゴナドトロピンPMSG、10IU;Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)の注射、それから46〜48時間後のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG、10IU;Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)の注射により、成体雌マウスを過排卵させた。hCG注射から15〜16時間後、卵管から卵母細胞を採取し、ヒアルロニダーゼ(Irvine Scientific,Santa Ana,CA)を用いて、卵丘細胞を除去してから、BSAを添加したヒト卵管液(HTF;Irvine Scientific,Santa Ana,CA)で洗浄した。前述したように、分散した卵巣細胞又は単離した卵母細胞をブロックし、VASAに対して一次抗体と一緒にインキュベートした。HBSSで洗浄した後、2.5μmDynabeads(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)に結合した、種適性二次抗体と反応させた。DynalMPC登録商標)−S Magnetic Particle Concentrator(Dynal Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)を用いた分離のために、懸濁液を1.5mlエッペンドルフチューブに導入した。

0119

VASA−NH2抗体を用いた場合には、ビーズ画分中に細胞は全く得られなかった;しかし、VASA−COOH抗体を用いた場合、磁気ビーズに結合した5〜8μmの細胞が観察された(図1b)。これらの細胞の分析から、免疫磁気分離を用いて、Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636により以前単離されたOSCについて報告されたものと一致する生殖系遺伝子発現が明らかになった(図2)。VASA−COOH抗体を用いて同時に評価した単離卵母細胞は、非免疫反応性洗浄液画分に常に検出された(図1b)が、免疫磁気分離によって得られたVASA陽性細胞画分の別のマーカ分析から、Nobox、Zp3及びGdf9などの複数の卵母細胞特異的mRNAが明らかになった(図2)。これらの知見から、卵母細胞は、個別の実体として分析すると、VASAの細胞表面発現を呈示しない(図1b)が、卵母細胞は、分散卵巣組織からOSCを免疫磁気分離すると、やはり混入細胞型であることがわかる。この結果は、恐らく、ビーズの遠心分離ステップ中の卵母細胞の非特異的な物理的キャリーオーバー(carry−over)、又は原形質膜損傷(破損)卵母細胞中の細胞質VASAとCOOH抗体の反応性のいずれかを表していると考えられる。いずれの場合も、FACSの使用により緩和される。

0120

次に、各抗体と分散マウス卵巣細胞の反応性をFACSによって評価した。各実験のために、前述したように、卵巣組織(マウス:4つの卵巣をプール;ヒト:10×10×1mm厚さ、皮質のみ)を解離し、ブロックした後、一次抗体(VASA−COOHに対するab13840、又はVASA−NH2に対するAF2030)と反応させた。HBSSで洗浄した後、Alexa Fluor 488(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA;ab13840検出)に結合したヤギ抗ウサギIgG又はAlexa Fluor 488(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA;AF2030)に結合したロバ抗ヤギIgGの1:500希釈物と一緒に、細胞を氷上で20分間インキュベートした後、HBSSで洗浄した。次に、標識細胞を再度濾過(35μm孔径)し、負の(非染色で、一次抗体なし)対照に対してゲーティングした、FACSAria IIサイトメーター(BD Biosciences,Becton Dickinson and Company,Franklin Lakes,NJ;Harvard Stem Cell Institute)を用いて、FACSによって単離した。死滅細胞排除のための選別の直前に、ヨウ化プロピジウムを細胞懸濁液に添加した。新しく単離したVASA陽性生存細胞を、遺伝子発現プロファイリング、奇形腫形成能の評価又はin vitro培養のために収集した。実験によっては、2%中性緩衝パラホルムアルデヒド(PFA)中に細胞を固定し、0.1%トリトン−X100で透過処理した後、VASA(AF2030)のNH2末端に対する一次抗体と反応させ、Alexa Fluor 488に結合したロバ抗ヤギIgGとの反応後にFACSによる検出を行った。再選別実験の場合には、生存細胞をVASA−COOH抗体(ab13840)と反応させ、アロフィコシアニン(APC)(Jackson Immunoresearch Laboratories,Inc.,West Grove PA)に結合したヤギ抗ウサギIgGとの反応後、FACSによって選別した。得られたAPC陽性(VASA−COOH陽性)生存細胞をインタクトのままにしておくか、又は、固定及び透過処理した後、VASA−NH2抗体(AF2030)とのインキュベーション、続いて、Alexa Fluor 488に結合したロバ抗ヤギIgGとのインキュベーションを行ってから、FACS分析を実施した。

0121

磁気ビーズ分離結果と一致して、生存VASA陽性細胞は、COOH抗体を用いた場合にしか得られなかった(図1c)。しかし、FACSの前に卵巣細胞を透過処理すると、NH2抗体を用いても、VASA陽性細胞集団が得られた(図1c)。さらに、COOH抗体を用いたFACSによって単離した生存VASA陽性細胞を透過処理し、再選別した場合には、同じ細胞集団が、VASA−NH2抗体によって認識された(図1d)。このOSC単離方法妥当性を確認する最後の手段として、プロトコルの各ステップでの細胞の画分を、生殖細胞についてのマーカ(Blimp1/Prdm1、Stella/Dppa3、Fragilis/Ifitm3、Tert、Vasa、Dazl)及び卵母細胞についてのマーカ(Nobox、Zp3、Gdf9)の組合せを用いた遺伝子発現分析によって評価した。FACSのための細胞を取得するために、卵巣組織を細かく刻み、コラゲナーゼ及びトリプシンで酵素的に消化し、70μmフィルターで濾過することにより、大きな組織凝集塊を除去した後、35μmフィルターで濾過することにより、細胞の最終画分を取得した。FACSによって得られたVASA陽性生存細胞画分を除いて、プロトコルの各ステップから得られた細胞の全ての画分が、全ての生殖細胞系及び卵母細胞マーカを発現した(図1f)。FACSで選別したVASA陽性細胞画分は、全ての生殖細胞系マーカを発現したが、卵母細胞マーカは一切検出されなかった(図1f)。従って、VASA−COOH抗体を用いた免疫磁気分離によってOSCを単離したときに観察された卵母細胞混入(図2参照)とは異なり、FACSでこの同じ抗体を使用すれば、卵母細胞を含まない成体卵巣由来OSC画分を取得する優れた方法が提供される。

0122

実施例2:ヒト卵巣からのOSCの単離
書面でのインフォームドコンセントと共に、埼玉医療センター(Saitama Medical Center)で、性同一性障害を持つ年齢22〜33(28.5±4.0)歳の6人の女性患者から卵巣を外科手術摘出した。外側の皮質層を注意深く取り出し、ガラス化した後、低温保存した(Kagawa et al.,Reprod.Biomed.2009 Online 18:568−577;図12)。手短には、厚さ1mmの皮質断片を100mm2(10×10mm)の切片に切断し、7.5%エチレングリコール(EG)及び7.5%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む平衡溶液中、26℃で25分間インキュベートし、20%EG、20%DMSO及び0.5Mショ糖を含むガラス化溶液中で、26℃で15分間インキュベートした後、液体窒素に浸漬した。実験分析のために、低温保存した卵巣組織を、Cryotissue Thawing Kit(Kitazato Biopharma、静岡県富士市、日本国)を用いて解凍してから、組織学、異種移植又はOSC単離のために直ちに処理した。COOH抗体を用いて、年齢が22〜33歳の全患者のヒト卵巣皮質組織生検から、直径5〜8μmの生存VASA陽性細胞もFACSにより一貫して単離したが、その収率(%)(選別した全生存細胞に対して1.7%±0.6%VASA陽性;平均±SEM、n=6)は、並行して処理した若い成体マウス卵巣からのOSCの収率(選別した全生存細胞に対して1.5%±0.2%VASA陽性;平均±SEM、n=15)と同等であった。この収率(%)は、FACSによって選別した生存単細胞の最終プール中のこれら細胞の出現率であり、これは、処理前の卵巣中に存在する細胞の総数の小部分を表している。卵巣当たりのOSCの出現率を推定するために、生後1.5〜2ヶ月のマウスの卵巣当たりのゲノムDNA量を決定し(1,7744.44±426.15μg;平均±SEM、n=10)、卵巣毎に選別した生存細胞の画分当たりのゲノムDNA量に分割した(16.41±4.01μg;平均±SEM、n=10)。細胞当たりのゲノムDNA量が同等であると想定して、全卵巣細胞プールのどれくらいが、処理後に得られた全生存選別細胞画分によって表されるかを決定した。この相関係数を用いて、卵巣当たりのOSCの出現率を0.014%±0.002%[0.00926X(1.5%±0.2%)]であると推定した。OSC収率に関して、この数は、複製によって変動したが、4つの卵巣のプールから最初に調製した分散質のFACS後に、成体卵巣当たり250〜わずかに1,000を超える生存VASA陽性細胞が、一貫して得られた。

0123

マウス及びヒト卵巣からの新たに単離したVASA陽性細胞の分析(図3a、3b)により、類似した大きさ及び形態(図3c、3d)、並びに初期生殖細胞のマーカが豊富マッチした遺伝子発現プロフィールが明らかになった(Saitou et al.,Nature 2002 418:293−300;Ohinata et al.,Nature 2005 436:207−213;Dolci et al.,Cell Sci.2002 115:1643−1649)(Blimp1、Stella、Fragilis及びTert;図3e)。これらの結果は、科学文献(Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636;Pacchiarotti et al.,Differentiation 2010 79:159−170)に報告されているマウスOSCの形態学及び遺伝子プロフィールと一致している。

0124

成体卵巣から得られたVASA陽性細胞に特有の特徴をさらに決定するために、in vivo奇形腫形成アッセイを用いて、マウスOSCを試験した。これは、近年の研究で、胚性幹細胞ESC)及び人工多能性幹細胞(iPSC)の奇形腫形成能を有する成体マウスからのOct3/4−陽性幹細胞の単離が報告されている(Gong et al.,Fertil.Steril.2010 93:2594−2601)ことから、重要である。前述のように、合計100匹の若い成体雌マウスから卵巣を採取し、解離させた後、VASA−COOH陽性生存細胞の単離のためにFACSに付した。新しく単離したマウスOSCを、NOD/SCID雌マウスの後ろ臀部付近皮下注射した(マウス当たり1×105細胞を注射)。対照として、マウス胚性幹細胞(mESCv6.5)を並行して対応齢の雌マウスに注射した(レシピエントマウス当たり1×105細胞を注射)。腫瘍形成について、6ヵ月までの間マウスをモニターした。

0125

予想通り、正の対照として用いたマウスESCを移植したマウスの100%が、3週間以内に奇形腫を形成した;しかし、成体マウス卵巣から単離したVASA陽性細胞を並行して移植したマウスには、移植から24週間後であっても奇形腫は観察されなかった(図3f〜k)。従って、OSCは、多数の幹細胞及び原始胚細胞マーカを発現する(Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636;Pacchiarotti et al.,Differentiation 2010 79:159−170;また、図1f及び図3eも参照のこと)が、これらの細胞は、これまで記載されている他のタイプの多能性幹細胞とは明らかに異なる。

0126

実施例3:FACS精製マウスOSCからの卵母細胞の産生
レトロウイルス形質導入によりGFPを発現するように操作されたFACS精製マウスOSC(in vitroで活発に分裂する生殖細胞だけの培養物として樹立後)が、成体雌マウスの卵巣への移植後に卵母細胞を産生する能力を評価した。得られる結果が、卵巣への移植細胞の安定な組込みを表すものであり、また、移植前に誘導された生殖腺への損傷によって複雑化しないことを確実にするために、1×104GFP発現マウスOSCを、月齢2ヶ月の非化学療法条件付け野生型レシピエントの卵巣に注射し、分析まで5〜6ヵ月間マウスを維持した。月齢7〜8ヶ月の、移植マウスを、外性ゴナドトロピン(PMSG(10IU)の単回腹腔内注射、その46〜48時間後hCG(10IU))で排卵を誘導した後、それらの卵巣と、卵管に放出された全ての卵母細胞を採取した。排卵された卵丘−卵母細胞複合体を、0.4%BSA添加HTFに移して、GFP発現について直接蛍光顕微鏡検査によって評価した。最初にFACSにより精製したGFP発現マウスOSCを受けた雌の卵巣において、GFP陰性卵母細胞を含む卵胞と一緒に、GFP陽性卵母細胞を含む発生中の卵胞が容易に検出可能であった(図4a)。

0127

卵管のフラッシング後、の中央に位置する卵母細胞を取り囲む拡張した卵丘細胞を含む複合体が観察され、これらは、GFP欠失及びGFP発現の両方を含んだ。これらの複合体と野生型雄由来の精子を混合すると、受精が起こり、着床前胚が発生した。体外受精(IVF)のために、精巣上体尾及び精管を成体野生型C57BL/6雄マウスから摘出し、BSA添加HTF培地に導入した。ピンセットで組織を穏やかに絞ることによって精子を取得し、37℃で1時間にわたり受精能を獲得させた後、卵丘−卵母細胞複合体(BSA添加HTF培地中1〜2×106精子/ml)と4〜5時間にわたって混合した。次に、授精した卵母細胞を洗浄して精子を洗い流してから、新鮮な培地に移した。授精から4〜5時間後、卵母細胞(受精及び非受精)を50μl液滴のKSOM−AA培地(Irvine Scientific,Santa Ana,CA)に移し、液滴を鉱油被覆することにより、着床前胚発生をさらに支持した。合計144時間にわたり、24時間毎光学及び蛍光顕微鏡検査を実施して、孵化胚盤胞期まで胚発生をモニターした(Selesniemi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2011 108:12319〜12324)。卵管からの排卵した卵母細胞の回収時に採取した卵巣組織を固定し、既に詳述されている(Lee et al.,J.Clin.Oncol.2007 25:3198−3204)ように、MOM(商標)キット(Vector Laboratories, Burlingame,CA)と共に、GFPに対するマウスモノクローナル抗体(sc9996;Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz、CA)を用いて、GFP発現の免疫組織化学的検出のために、処理した。非移植野生型雌マウス及びTgOG2トランスジーン雌マウスからの卵巣を、それぞれ、GFP検出のための負及び正の対照として用いた。

0128

受精GFP陽性卵から得られた着床前胚は、孵化胚盤胞期までGFP発現を保持した(図4b〜d)。5〜6ヵ月早くGFP発現OSCを移植した5匹の成体野生型雌マウスから、合計31個の卵丘−卵母細胞複合体を卵管から採取したが、そのうちの23個は、受精に成功し、胚を発生した。各卵母細胞の周りに卵丘細胞が存在するために、排卵したGFP陽性卵母細胞に対するGFP陰性細胞の数を正確に決定することができなかった。しかし、体外受精(IVF)後に発生した23の胚の評価により、8つがGFP陽性であり、試験した5匹の全てが、受精して、GFP陽性胚を発生する少なくとも1つの卵を放出したことがわかった。これらの知見から、VASA−COOH抗体に基づくFACSによって単離若しくは精製されたOSCが、既に報告されている免疫電磁分離によって単離されたそれらの対応物(Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636)と同様に、in vivoで機能性卵母細胞を産生することがわかる。しかし、本発明者らのデータは、以前報告されている(Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636)ように、OSCが成体卵巣組織に移植されて、機能性卵母細胞を産生するのに、移植前の化学療法条件付けは必要ないことも示している。

0129

実施例4:候補ヒトOSCのin vitroでの特性決定
マウスOSCのin vitro増殖のために以前記載された(Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636)パラメータを用いて、支持細胞として有糸分裂不活性マウス胎児性線維芽細胞(MEF)を含む規定培地に、成体マウス及びヒト卵巣由来VASA陽性細胞を導入した。手短には、以下:10%FBS(Hyclone,ThermoFisher Scientific,Inc.,Waltham,MA)、1mMピルビン酸ナトリウム、1mM非必須アミノ酸、1X濃縮ペニシリンストレプトマイシングルタミン(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)、0.1m Mβ−メルカプトエタノール(Sigma,St.Louis,MO)、1X濃縮N−2補充物(R&D Systems,Minneapolis,MN)、白血病阻害因子(LIF;103単位/ml;EMD Millipore,Inc.,Billerica,MA)、10ng/ml組換えヒト上皮増殖因子(rhEGF;Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)、1ng/ml塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF;Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)、及び40ng/ml神経膠細胞由来の神経栄養因子(GDNF;R&D Systems,Minneapolis,MN)を添加したMEMα(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)において細胞を培養した。培養物は、隔日40〜80μlの新しい培地を添加することにより新しくし、2週間毎に細胞を新鮮なMEFSに移しかえた。増殖を評価するために、MEFを含まないOSC培養物を10μM BrdU(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)で48時間処理した後、記載されている(Zou et al.,Nat Cell Biol 2009 11:631−636)ように、BrdU組込み(有糸分裂活性細胞)及びVASA発現(生殖細胞)の二重免疫蛍光による検出のために、2%PFA中に固定した。一次抗体が省かれるか、又は正常ウサギ血清の同等希釈物で置換された場合、シグナルは全く検出されなかった(示していない)。

0130

新しく単離したOSCをクローン系として樹立することができ、MEFに接種していないヒトOSCのコロニー形成効率は、0.18%〜0.40%の範囲であった。コロニー形成効率の正確な評価は、初期支持細胞としてMEFを用いて実施することはできなかったが、これは、マウス及びヒトOSCのin vitroでの樹立を非常に容易にする。10〜12週(マウス)又は4〜8週(ヒト)の培養後、活発に分裂する生殖細胞コロニーが容易に明らかになった(図5)。いったん樹立して、増殖すると、細胞は、増殖能力を喪失することなく、MEFの非存在下で生殖細胞だけの培養物として再樹立させることができた。MEF非含有培地でのVASA発現及びブロモデオキシウリジン(BrdU)組込みの二重分析によって、多数の二重陽性細胞が明らかになり(図6a〜d)、成体マウス及びヒト卵巣由来のVASA陽性細胞が活発に分裂していることを証明している。この段階で、マウス細胞は、培養物分割比1:6〜1:8で、4〜5日毎に、培養飽和密度での継代を必要とした(推定倍加時間14時間;図6e)。マウスOSC増殖の速度は、並行して維持したヒト生殖細胞の速度より約2〜3倍高く、ヒト細胞の場合、培養物分割比1:3〜1:4で、7日毎に、培養飽和密度での継代を必要とした。VASAの細胞表面発現は、数ヵ月の増殖後も、95%を超える細胞の表面で検出可能であった(図6f)。VASA−COOH抗体を用いたFACSによって検出されなかった残りの細胞は、マウス及びヒトOSCによって自然に産生された大きな(直径35〜50μm)球形の細胞であり、これらは、VASAの細胞質発現を呈示しており、実施例5に詳しく説明する。

0131

培養した細胞の遺伝子発現分析により、初期生殖細胞系マーカの維持が証明された(図6g)。複数の卵母細胞特異的マーカもこれらの培養物中に検出された。SuperScript(登録商標)VILO(商標)cDNA合成キット(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)及びPlatinumTaqポリメラーゼ(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)を用いて、RT−PCRにより、mRNAのレベルを評価した。同一性を確認するために、全ての産物を配列決定した。対応する遺伝子のGenBankアクセッション番号と共に、フォワード及びリバースプライマーの配列を表1(マウス)及び表2(ヒト)に記載する。

0132

0133

0134

Blimp1、Stella及びFragilisのmRNA分析を拡張するために、これら3つの伝統的原始生殖細胞系マーカの免疫蛍光分析を実施した(Saitou et al.,Nature 2002 418:293−300;Ohinata et al.,Nature 2005 436:207−213)。培養したOSCの分析のために、細胞を1X濃縮リン酸緩衝食塩水PBS)で洗浄し、20℃にて45分間2%PFA中で固定し、PBS−T(0.01%トリトン−X100を含むPBS)で3回洗浄した後、ブロッキングバッファー(2%正常ヤギ血清及び2%BSAを含むPBS)中で、20℃にて1時間インキュベートした。次に、細胞を以下の一次抗体のうち1つの1:100希釈物と一緒に20℃で1時間インキュベートした:BLIMP1に対するビオチン化マウスモノクローナル(ab81961、Abcam,Cambridge,MA)、STELLAに対するウサギポリクローナル(ab19878、Abcam,Cambridge,MA)又はFRAGILSに対するウサギポリクローナル(マウス:ab15592、ヒト:ab74699、Abcam,Cambridge,MA)。細胞を洗浄して、ローダミン−ファロイジン(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)の存在下で、ストレプトアビジン結合Alexa Fluor 488(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA;BLIMP1検出)、又はAlexa Fluor 488(STELLA and FRAGILIS検出)に結合したヤギ抗ウサギIgGの1:500希釈物と一緒に20℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄して、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI;Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)と一緒にインキュベートし、さらに3回洗浄した後、画像化した。一次抗体を省くか、又は代わりに正常血清を用いた場合、シグナルは全く検出されなかった(図示していない)。

0135

マウス及びヒトOSCによりin vitroで産生される卵母細胞の評価のために、個々の卵母細胞を培養物上澄みから収集して、洗浄し、37℃にて0.5%BSA含有の2%PFAで45分間固定し、洗浄した後、0.5%BSAと、5%正常ヤギ血清(VASA若しくはLHX8検出)又は1%正常ロバ血清(c−KIT検出)のいずれかを含むPBS中で、20℃にて1時間ブロックした。ブロック後、卵母細胞を以下の一次抗体のうち1つの1:100希釈物(0.5%BSA含有PBS中)と一緒に20℃で2時間インキュベートした:c−KITに対するヤギポリクローナル(sc1494、Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz、CA)、VASAに対するラビットポリクローナル(ab13840、Abcam,Cambridge,MA)又はLHX8に対するウサギポリクローナル(ab41519、Abcam,Cambridge,MA)。次に、細胞を洗浄して、Alexa Fluor 568(Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA;VASA検出)若しくはAlexa Fluor 488(LHX8検出)に結合したヤギ抗ウサギIgGの1:250希釈物、又はAlexa Fluor 488に結合したロバ抗ヤギIgGの1:250希釈物(c−KIT検出)と一緒にインキュベートした。細胞を洗浄して、DAPIと一緒にインキュベートし、さらに3回洗浄した後、画像化した。一次抗体を省くか、又は代わりに正常の血清を用いた場合、シグナルは全く検出されなかった。

0136

これら後出の実験では、VASA、c−KITの卵母細胞特異的発現、また、ヒト卵巣については、卵巣組織切片中におけるLHX8の発現の検出を正の対照として用いた。マウス及びヒト卵巣組織を4%PFA中に固定し、パラフィン包埋して、スライス(6μm)した後、0.01Mクエン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)を用いて、高温抗原賦活化処理を実施した。冷却後、切片を洗浄して、1%正常ヤギ血清(VASA−COOH若しくはLHX8検出)又は1%正常ロバ血清(VASA−NH2若しくはc−KIT検出)のいずれかを含むTNKバッファー(リン酸緩衝食塩水中の0.1Mトリス−HCl、0.55M NaCl、0.1 mM KCL、0.5%BSA、及び0.1%トリトン−X100)を用いて、20℃で1時間ブロックした。次いで、切片を一次抗体の1:100希釈物(1%正常血清含有のTNKバッファー)と一緒に4℃で一晩インキュベートし、PBSで洗浄した後、Alexa Fluor 568に結合したヤギ抗ウサギIgG(ヒト卵巣におけるVASA−COOH検出)、Alexa Fluor 488に結合したヤギ抗ウサギIgG(マウス卵巣におけるVASA−COOH若しくはLHX8の検出)又はAlexa Fluor 488に結合したロバ抗ヤギIgG(c−KIT又はVASA−NH2検出)の1:500希釈物と一緒に、20℃で30分間インキュベートした。PBSで洗浄した後、DAPIを含むVectashield(Vector Labs)を用いて、切片をカバーガラスで覆った。一次抗体を省くか、又は代わりに正常の血清を用いた場合、シグナルは全く検出されなかった。

0137

3つのタンパク質は全て、in vitroで維持するマウス(図6h)及びヒト(図6i)OSCにおいて容易に、かつ均質に検出された。特に、これらの細胞でのFRAGILISの検出は、このタンパク質を用いて、免疫磁気ビーズ分離によりマウス卵巣からOSCを単離することもできると報告する近年の研究と一致している(Zou et al.,Stem Cells Dev. 2011 doi:10.1089/scd.2011.0091)。

0138

実施例5:候補ヒトOSCのin vitroでの卵形成能
他者(Pacchiarotti et al.,Differentiation 2010 79:159−170)の結果と一致して、in vitroで培養したマウスOSCは、大きな(直径35〜50μm)球形の細胞を自然に産生したが、これは、形態学(図7a)及び遺伝子発現分析(図7b、c)によって、卵母細胞に類似していた。マウスOSCからのin vitro卵形成のピークレベルは、各継代から24〜48時間以内に観察され(図7d)、その後、次第に減少して、OSCが培養飽和密度に達する毎に、ほぼ検出不能レベルまで降下する。成体ヒト卵巣から単離して、in vitroで維持したVASA陽性細胞の並行分析から、これらの細胞は、マウスOSCと同様に、形態学(図7f)及び遺伝子発現(図7c、g)分析の両方から推定されるように、卵母細胞を自然に産生したことが明らかになった。ヒトOSCからのin vitro卵形成の動態は、卵母細胞形成のピークレベルが各継代から72時間後に観察された点で、マウスOSCとはやや異なっていた(図7e)。広く認められている多数の卵母細胞マーカ(Vasa、c−Kit、Nobox、Lhx8、Gdf9、Zp1、Zp2、Zp3;(Suzumori et al.,Mech.Dev.2002 111:137−141;Rajkovic et al.,Science 2004 305:1157−1159;Pangas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2006 103:8090−8095;Elvin et al.,Mol.Endocrinol.1999 13:1035−1048;Zheng et al.,Semin.Reprod.Med.2007 25:243−251)の検出に加えて、マウス及びヒトOSC由来の卵母細胞は、複糸期特異的マーカMsy2も発現した(図7c)。MSY2は、アフリカツメガエル(Xenopus)FRGY2の哺乳動物相同体であり、これは、両性において減数分裂進行及び配偶子形成に必須の生殖細胞特異的核酸結合Yボックスタンパク質である(Gu et al.,Biol.Reprod.1998 59:1266−1274;Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005 102:5755−5760)。正の対照として成体ヒト卵巣皮質組織を用いた、市販の抗体の実証試験から、成体ヒト卵巣に存在する未熟の卵母細胞と特異的に反応する卵母細胞マーカ(VASA、c−KIT、MSY2、LHX8;図8)に対する4つの抗体をみいだしたが;これらのタンパク質の4つ全ても、ヒトOSCによってin vitroで産生される卵母細胞に検出された(図7g)。

0139

ヒトOSCからin vitroで新しく形成された卵母細胞における、減数分裂マーカMSY2をコードするmRNAの存在によって、本発明者らは、これらの培養物における減数分裂開始の見込みについて探ることにした。継代から72時間後の結合(非卵母細胞生殖系)細胞の免疫蛍光分析によって、減数分裂特異的DNAリコンビナーゼの点状核局在を含む細胞、DMC1と、減数分裂組換えタンパク質である、シナプトネマ構造タンパク質3(SYCP3)をみいだした(図7h)。いずれのタンパク質も、生殖細胞に特異的であり、減数分裂組換えのために必要である(Page et al.,Annu.Rev.Cell Dev.Biol.2004 20:525−558;Yuan et al.,Science 2002 296:1115−1118;Kagawa et al.,FEBSJ.2010 277:590−598)。

0140

継代から72時間後のヒトOSC培養物の染色体DNA量解析を決定した。培養したマウス(継代から48時間後)又はヒト(継代から72時間後)OSCをトリプシン処理によって収集して、洗浄し、氷冷PBS中に再懸濁させてから、血球計計数した。氷冷の70%エタノール中で1時間の固定後、細胞を氷冷PBSで洗浄して、0.2mg/mlRNase−Aと一緒に37℃で1時間インキュベートした。次に、ヨウ化プロピジウムを添加(10μg/ml最終)し、BD BiosciencesFACSAria IIサイトメーターを用いて、倍数性状態を決定した。対照体細胞系として、ヒト胎児腎線維芽細胞(HEK293、Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)を用いて、上記の実験を繰り返した。この分析によって、予想した二倍体(2n)細胞集団の存在が明らかになった;しかし、細胞の4n及び1n集団に一致するピークが検出され、後者は、半数体状態に達した生殖細胞を示している(West et al.,Stem Cells Dev. 2011 20:1079−1088)(図7i)。対照として同時に分析した胎児腎線維芽細胞の活発に分裂する培養物では、細胞の2n及び4n集団(図9a)しか検出されなかった。マウスOSC培養物のFACSによる染色体分析でも、同等の結果が観察された(図9b)。

0141

実施例6:ヒトOSCは、in vivoでヒト卵巣皮質組織に卵母細胞を産生する
候補ヒトOSCからの推定卵形成のin vitro観察を確認し、拡張するために、2つの最終実験において、成体ヒト卵巣から単離したVASA陽性細胞に、GFP発現ベクター(GFP−hOSC)で安定に形質導入することにより、細胞追跡を容易にした。細胞追跡実験のために、レトロウイルスを用いて、ヒトOSCに形質導入して、GFP(GFP−hOSC)の安定な発現を有する細胞を取得した。手短には、1μgのpBabe−GfpベクターDNA(Addgeneプラスミドリポジトリ#10668)を、製造業者のプロトコル(Lipofectamine、Invitrogen,Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)に従い、Platinum−Aレトロウイルスパッケージング細胞系(Cell Biolabs,Inc.,San Diego,CA)にトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後にウイルス上澄みを回収した。ヒトOSCの形質導入は、新鮮なウイルス上澄みを用いて実施したが、これは、ポリブレン(5μg/ml;Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)の存在によって促進した。48時間後、ウイルスを除去し、新鮮なOSC培地と交換した。最初の1週間の増殖後、GFPの発現を有するヒトOSCを精製又は単離し、精製又は単離した細胞をさらに2週間増殖させた後、2回目のFACS精製又は選別を行うことにより、ヒト卵巣組織再凝集又は異種移植実験のためのGFP−hOSCを取得した。

0142

最初の実験では、次に、分散させた成体ヒト卵巣皮質組織と一緒に、約1×105GFP−hOSCを再凝集させた。前述のように、ヒト卵巣皮質を解離して、洗浄した後、35μg/mlフィトヘマグルチニンPHA;Sigma,St.Louis,MO)及び1×105GFP−hOSCと一緒に37℃で10分間インキュベートした。細胞混合物を遠心分離(9,300xg、20℃で1分間)によりペレット化して、組織凝集体を形成し、これを、1mlのOSC培地を含む6ウェル培養皿内のMillicell 0.4μm培養プレートインサート(EMD Millipore,Inc.,Billerica,MA)に塗布した。37℃の5%CO2−95%空気中で凝集体をインキュベートし、24、48及び72時間後、生存細胞GFP画像化を実施した。

0143

予想通り、再凝集した組織全体に、多数のGFP陽性細胞が観察された(図10a)。次に、凝集体を培養物に導入し、直接(生存細胞)GFP蛍光によって24〜72時間後に評価した。24時間以内に、複数の非常に大きな(≧50μm)単細胞が凝集体中に観察され、それらの多くは、卵胞に似た緊密な構造で、より小さなGFP陰性細胞によって囲まれており;これらの構造は、72時間を通じて検出可能であった(図10b、c)。これらの知見から、GFPを発現するヒトOSCは、卵母細胞を自然に産生し、これらは、成体ヒト卵巣分散質中に存在する体細胞(前顆粒膜/顆粒膜)によって取り囲まれることがわかった。

0144

次に、GFP−hOSCを成体ヒト卵巣皮質組織生検に注射した後、これをNOD/SCID雌マウスに異種移植した(n=合計40移植片)。35ゲージ斜端針を備える10μl NanoFil注射器(World Precision Instruments,Sarasota,FL)を用いて、卵巣皮質組織切片(2×2×1mm)に個別に約1.3×103個のGFP−hOSCを注射した。レシピエントNOD/SCID雌マウスを麻酔し、ほぼ記載されている(Weissman et al.,Biol.Reprod.1999 60:1462−1467;Matikainen et al.,Nature Genet.2001 28:355−360)通りに、ヒト卵巣皮質組織の皮下挿入のために背側脇腹に沿って小さな切開を施した。移植から7又は14日後に異種移植片を取り出し、4%PFA中に固定し、パラフィン包埋した後、GFPに対するマウスモノクローナル抗体(sc9996;Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz、CA)を用いた免疫組織化学的分析のために、順次切断した(6μm)(Lee et al.,J.Clin.Oncol.2007 25:3198−3204)。手短には、0.01Mクエン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)を用いて、高温抗原賦活化処理を実施した。冷却後、メタノール中の3%過酸化水素と一緒に切片を10分間インキュベートすることにより、内生ペルオキシダーゼ活性をブロックし、洗浄した後、製造業者のプロトコル(Vector Laboratories,Burlingame,CA)に従い、ストレプトアビジン−ビオチンプレブロック溶液中でインキュベートした。次に、1%正常ヤギ血清を含むTNKバッファーを用いて、切片を20℃で1時間ブロックした後、1%正常ヤギ血清含有のTNKバッファー中に調製したGFP抗体の1:100希釈物と一緒に4℃で一晩インキュベートした。次に、切片を洗浄し、ヤギ抗マウスビオチン化二次抗体の1:500希釈物と一緒に20℃で30分間インキュベートした後、洗浄し、Vectastain ABC試薬(Lab Vision,ThermoFisher Scientific,Inc.,Waltham,MA)と20℃で30分間反応させた後、ジアミノベンジジン(DAKO Glostrup,Denmark)を用いたGFP陽性細胞の検出を行った。細胞及び組織構造を視覚化するために、切片をヘマトキシリンで軽く対比染色した。負の対照(ビヒクル注射を受けた異種移植組織に対する完全免疫組織化学的染色)も並行して常に実施したが、陽性シグナルは示さなかった。これらの観察結果を確認及び拡張するために、免疫分析の説明で既に詳述したように、DAPI対比染色を用いて、異種移植したヒト卵巣組織におけるGFPと、MSY2(複糸期卵母細胞特異的マーカ)又はLHX8(初期卵母細胞転写因子)のいずれかの二重免疫蛍光による検出を実施した。

0145

GFP発現の評価のために、7又は14日後に移植片を収集した。ヒト卵巣移植片は全て、容易に認められる始原及び一次卵胞を含んでおり、その中心にGFP陽性卵母細胞が位置していた。恐らく、GFP−hOSC注射の前に組織中に存在していたこれらの卵胞の間、及び往々にしてこれらに隣接して、GFP陽性卵母細胞を含む他の未成熟卵胞が散在していた(図10d、f)。GFP−hOSCを注射した3つのランダムに選択したヒト卵巣組織生検の連続した切片組織形態計測的分析から、マウスへの異種移植から7日後に、移植片当たり15〜21個のGFP陽性卵母細胞の存在が明らかになった(図11)。対照として、GFP−hOSC注射前のヒト卵巣皮質組織(図10e)又はNOD/SCIDマウスへの移植前に模擬注射(GFP−hOSCを含まないビヒクル)を受けた異種移植片(図10g)には、GFP陽性卵母細胞は全く検出されなかった。複糸期卵母細胞特異的マーカMSY2(Gu et al.,Biol.Reprod. 1998 59:1266−1274;Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005 102:5755−5760)又は初期卵母細胞転写因子LHX8(Pangas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2006 103:8090−8095)のいずれかを用いた二重免疫蛍光に基づくGFPの検出によって、GFP−hOSCを注射した異種移植片全体に散在する多数の二重陽性細胞が認められた(図10h)。予想したように、GFP−hOSC注射前の卵巣組織又はGFP−hOSC注射を受けなかった異種移植片には、GFP陽性卵母細胞は全く検出されなかった(図示していない;図10e、g参照);しかし、これらの卵母細胞は、LHX8及びMSY2に対しては一貫して陽性であった(図10h;図8)。

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