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課題・解決手段
請求項1
酸化亜鉛と、フェノキシエタノール、フェノキシエタノール誘導体またはこれらの組合せからなる群から選択されるフェノキシエタノール成分と、カプリリルグリコールとを含む防腐剤系であって、防腐剤系中の前記酸化亜鉛と、前記フェノキシエタノール成分と、前記カプリリルグリコールとの比が、重量で0.5:0.2:0.2〜20:5:2であり、相乗的防腐活性を示す防腐剤系。
請求項2
前記酸化亜鉛と、前記フェノキシエタノール成分と、前記カプリリルグリコールとの前記比が、重量で1.5:0.2:0.2〜5:5:2である、請求項1に記載の防腐剤系。
請求項3
前記酸化亜鉛と、前記フェノキシエタノール成分と、前記カプリリルグリコールとの前記比が、重量で2.5:0.5:0.5〜3.5:1:1である、請求項2に記載の防腐剤系。
請求項4
パラベン、ホルムアルデヒド供与体およびイソチアゾリノンを含まない、請求項1に記載の防腐剤系。
請求項5
前記酸化亜鉛、前記フェノキシエタノール成分および前記カプリリルグリコールから本質的に成る、請求項1に記載の防腐剤系。
請求項6
前記酸化亜鉛、前記フェノキシエタノール成分および前記カプリリルグリコールから成る、請求項1に記載の防腐剤系。
請求項7
請求項8
防腐剤系を含む組成物であって、前記防腐剤系が、該組成物の総重量に基づき1.5〜5.0wt%の量の酸化亜鉛と、該組成物の総重量に基づき0.2〜5.0wt%の量の、フェノキシエタノール、フェノキシエタノール誘導体またはこれらの組合せからなる群から選択されるフェノキシエタノール成分と、該組成物の総重量に基づき0.2〜2.0wt%の量のカプリリルグリコールとを含み、前記防腐剤系が相乗的防腐活性を示す組成物。
請求項9
前記酸化亜鉛が、前記組成物の総重量に基づき2.5〜3.5wt%の量で存在し、前記フェノキシエタノール成分が、前記組成物の総重量に基づき0.5〜1.0wt%の量で存在し、前記カプリリルグリコールが、前記組成物の総重量に基づき0.5〜1.0wt%の量で存在する、請求項8に記載の組成物。
請求項10
日焼け止めをさらに含む、請求項8に記載の組成物。
請求項11
前記防腐剤系が、前記酸化亜鉛、前記フェノキシエタノール成分および前記カプリリルグリコールから本質的になる、請求項8に記載の組成物。
開示の分野
関連技術の説明
0002
有効な防腐剤組成物は、抗微生物性および抗真菌性の両方でなければならない。現在の防腐剤組成物のほとんどは、ある種のパラベンの一部の形態を含有し、多くの場合フェノールおよび第四級化合物と組み合わされている。しかし、現在のパラベン防腐剤系の一部は、それらの世界的な容認性において制限されている。例えば、一部のパラベンは、多様な試験モデルにおいて、エストロゲン活性および他の望ましくない効果を示しているために、欧州または日本で認められていない。
0003
他の一般に使用されている防腐剤、例えば、ホルムアルデヒド供与体、イソチアゾリノン、およびエタノールも有効であるが、安全性/適合性に関する問題、例えば、高い刺激可能性およびアボベンゾンとの不適合性を示しうる。
0004
したがって、望ましくない副作用を示す防腐剤、例えば、パラベンを含まずに、強力な防腐活性を示す防腐剤系を開発する必要が存在する。
開示の概要
0005
本開示は、酸化亜鉛と、フェノキシエタノール、フェノキシエタノール誘導体またはこれらの組合せと、およびカプリリルグリコールとを含む3成分相乗的防腐剤系を提供する。この防腐剤系は、強力な防腐活性をもたらす。酸化亜鉛の低濃度での防腐活性は最小限であり、フェノキシエタノールの抗真菌活性は限定的であり、カプリリルグリコールは抗真菌活性を全く有さないため、これは、驚くべきことである。したがって、これらの3成分を組み合わせると、通常予測されるよりはるかに大きな防腐活性がもたらされることになる。
0006
したがって、一態様では、本開示は、酸化亜鉛と、フェノキシエタノール、フェノキシエタノール誘導体またはこれらの組合せと、カプリリルグリコールとを含む防腐剤系を提供する。防腐剤系中の酸化亜鉛と、フェノキシエタノール、フェノキシエタノール誘導体またはこれらの組合せと、カプリリルグリコールとの比は、重量で0.5:0.2:0.2〜20:5:2である。防腐剤系は、相乗的防腐活性を示す。
0007
別の態様では、本開示は、防腐剤系を含む組成物を提供する。防腐剤系は、組成物の総重量に基づき1.5〜5.0wt%の量の酸化亜鉛と、組成物の総重量に基づき0.2〜5.0wt%の量のフェノキシエタノール、フェノキシエタノール誘導体またはこれらの組合せと、組成物の総重量に基づき0.2〜2.0wt%の量のカプリリルグリコールとを含む。防腐剤系は、相乗的防腐活性を示す。
図面の簡単な説明
0008
本開示の防腐剤系中の酸化亜鉛濃度の、かび集団の減少における効果を示す図。
本開示の防腐剤系中のフェノキシエタノール濃度の、かび集団の減少における効果を示す図。
本開示の防腐剤系中のカプリリルグリコール濃度の、かび集団における効果を示す図。
開示の詳細な説明
0009
本開示は、酸化亜鉛と、フェノキシエタノール、フェノキシエタノール誘導体またはこれらの組合せと、カプリリルグリコールとを含む3成分の防腐剤系を提供する。多くの先行技術における防腐剤系は、パラベン、例えば、抗真菌剤として極めて有用なメチルパラベンおよびプロピルパラベンを含んでいた。本開示は、驚くべきことに、パラベンを防腐剤系から除去した場合、残りの化合物がそれらの抗真菌活性について知られていないにもかかわらず、系は抗微生物活性と抗真菌活性の両方を依然としてもたらすことを見出した。これは、酸化亜鉛のレベルが低い場合であっても成り立つ。予測外のことだが、処方は、以下でより詳細に記載される厳格な防腐剤感作試験に合格した。
0010
理論的に述べると、酸化亜鉛レベルは、何らかの防腐剤効果を有するには低過ぎ、フェノキシエタノールのもたらす殺真菌活性は僅少であり、カプリリルグリコールは殺真菌活性を有さないので、製品は、防腐剤感作試験、とりわけ、真菌に対する防腐剤感作試験に不合格するはずであった。処方を調製し、複数回にわたり調べたところ、全てのロットが、防腐剤感作試験に合格した。上記の防腐剤系は、防腐剤(すなわち、組成物中の微生物の劣化作用に対抗する)活性が所望される任意の組成物中、例えば、日焼け止め組成物中または任意の他の美容組成物中で用いることができる。
0011
酸化亜鉛は、全てが組成物の総重量に基づき、0.5%〜20%、1.5%〜5%、または2.5%〜3.5%のレベルで組成物中に存在しうる。酸化亜鉛は、コーティングしない場合もあり、コーティングする場合もあり、例えば、シリカ、シラン、メチコン、ジメチコン、またはメチコン/ジメチコンコポリマーでコーティングしない場合もあり、コーティングする場合もある。酸化亜鉛は、極めて高レベルであっても、弱い抗微生物剤であり、弱い静真菌剤である。塗料業界では、例えば、酸化亜鉛は、白かびの増殖を遅延させるのに好ましい使用レベルである、組成物中に重量で30%のレベルで存在する。白かびの増殖は、塗料組成物中20%の酸化亜鉛レベルで生じうる。本開示の組成物について上記で列挙した重量範囲にある酸化亜鉛単独では、殺細菌性または殺真菌性をほとんど有さない。しかし、極めて驚くべきことに、コーティングした酸化亜鉛とコーティングしない酸化亜鉛の両方が、極めて低い酸化亜鉛レベルであっても、本開示の3成分防腐剤系においては有効であった。
0012
フェノキシエタノール、フェノキシエタノール誘導体、またはこれらの組合せは、組成物の総重量に基づき0.2%〜5%または0.5%〜1%の量で存在させることができる。これは、極めて微弱な殺真菌活性を伴う、抗微生物剤である油溶性の液体である。
0013
カプリリルグリコールは、組成物の総重量に基づき0.2%〜2%、または0.5%〜1%の量で存在させることができる。カプリリルグリコールは、抗微生物特性は有するが殺真菌活性は有さない、油溶性の半固体である。
0014
一態様では、防腐剤系が、酸化亜鉛、フェノキシエタノール、およびカプリリルグリコールから本質的になることは、防腐剤系、および/またはそれが用いられる組成物が、防腐活性を示す任意の他の成分を含まないことを意味する。別の態様では、防腐剤系が、酸化亜鉛、フェノキシエタノール、およびカプリリルグリコールからなる。
0015
さらなる防腐活性が所望される場合もまた、防腐剤系は、酸化亜鉛、フェノキシエタノール、およびカプリリルグリコールを含みうる。本開示の防腐剤系の一部の態様には、さらなる防腐剤成分も添加しうるが、上記で論じた3成分は、それら自体で強力な防腐活性を示し、さらなる成分を添加することは、冗長的となる場合があり、結果として得られる組成物は、不必要に高価となろう。
0016
本開示の防腐剤系は、現在入手可能な防腐剤系を上回る複数の利点を有する。本開示の防腐剤系は、パラベンを含まない。パラベンは、エストロゲン活性を示すために、場合によって不所望である。本開示の防腐剤系はまた、皮膚への刺激を引き起こしうる他の防腐剤、例えば、ホルムアルデヒド供与体およびイソチアゾリノンも含まない。本開示の防腐剤系はまた、広範なスペクトルにわたる防腐活性、例えば、抗微生物活性と抗真菌活性の両方を示す。本開示の防腐剤系は、真菌、例えば、酵母およびかび、ならびにグラム陽性菌およびグラム陰性菌を含め、全ての種類の微生物を死滅させることが可能である。本開示の防腐剤系は、低濃度で有効であり、これはまた、刺激の可能性も低下させ、他の毒性の懸念にも対処しながら、防腐剤への要求を満たす最低濃度で用いうる点で有利である。本開示の防腐剤系は、水溶性が高く、これは、大半の微生物が水相または水−油間界面において増殖するので有利である。したがって、防腐剤が機能するためには水相であるべきである。防腐剤系の水溶性が高く、油溶性が低いほど、その機能は良好となる。本開示の防腐剤系はまた、それが用いられる組成物の予測される保管寿命にわたって有効でもある。これらの特色の全ては、低レベルの酸化亜鉛において利用可能であり、上記で論じた3成分(componentsまたはingredients)によってのみ利用可能である。これにより、経費は節減され、防腐剤系の調製は容易となる。
0017
本開示の防腐剤系はまた、それが最終的に用いられる組成物の製造時に遭遇する全ての温度条件およびpH条件下において安定でもある。本開示の防腐剤系はまた、無色かつ無臭でもあり、色または臭いを組成物に付加することも、他の成分と反応して色または臭いを形成することもない。本開示の防腐剤系は、組成物中の全ての成分と適合性であり、それらの存在下において防腐活性を喪失しない。防腐剤系はまた、製造時および化粧品の意図される寿命の全体においても機能し、使用が安全であるものとする。
0018
本開示で用いられる「保存」という用語は、製造時から消費者により製品(例えば、局所組成物)が使い切られるまでの、製品中に存在する微生物に起因する製品の劣化の防止または遅延を指す。「防腐剤」とは、パーソナルケア製品中の微生物の増殖と反応するか、これを阻止するか、または遅延させる成分である。理想的には、単一の防腐剤が、全ての微生物に対して同様に良好に作用するが、このような化合物を見出すことは極めて困難である。細菌に対して活性な防腐剤は通常、真菌に対しては弱く、逆のこともまた成り立つ。したがって、2つ以上の防腐剤を用いる防腐剤系が必要とされる。
0019
防腐剤有効性試験
特定の防腐剤系の妥当性は、また感作試験としても知られている防腐剤有効性試験(PET)を実行することにより立証する。PETを実施する主要な目的は、製品が消費者汚染に耐えうるかどうかを決定することである。他の使用には、防腐剤の有効性および製造時の汚染に耐える能力を立証することが含まれる。以下のデータは、本開示の防腐剤系の妥当性を立証する。
0020
本開示においては、成分の組合せが、細菌および真菌のコロニー形成単位(cfu)を、10,000cfu/mLを超えうる「数えきれない(TNTC)」から、細菌については、7日目および14日目に<10cfu/mLへと減少させ、残りの試験期間にわたり増殖を増大させず、真菌については、7日目および14日目に<1000cfu/mLへと減少させ、残りの試験期間にわたり増殖を増大させないことが可能な場合、「相乗効果」と称する。増殖を増大させないとは、測定された既往値を、半対数単位を超えて増大させないことと定義される。
0021
再接種は、カウントの7日後に行う。細菌およびかびの再接種は、販売後の状態をシミュレートする。例えば、日焼け止めを適用する場合、使用者は、しばしば、製品を一度用いると、それを含有する容器を止栓し、次いで、再度容器を開栓するが、これにより、組成物は、さらなる細菌および真菌へと曝露される。試験において用いられる微生物は、以下の通りである:
細菌プール:
グラム陰性桿菌
シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)ATCC9027
バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia) ATCC 25416
グラム陽性桿菌
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus) ATCC 6538
グラム陰性腸内桿菌
大腸菌(Eschericia coli) ATCC 8739
クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia) ATCC 13833
真菌プール:
酵母
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) ATCC 10231
かび
ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum) ATCC 10106
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger) ATCC 15404
PETは、汚染されていない製品を、標準化された手順に従い、規定された適切な微生物の接種物で感作し、接種された製品を規定された温度で保管することからなる。系列希釈およびプレートカウントを用い、被験製品中で生存する生物の数を指定された間隔で決定する。指定された基準を満たす製品を、製造および消費者による使用のための保存が適正な製品と考える。基準を満たさない製品は、保存が不適正な製品と考える。以下の多様な研究では、酸化亜鉛、フェノキシエタノール、およびカプリリルグリコールの使用レベルを極めて低くする場合の、本開示の防腐剤系の相乗効果を検証する。
0022
略号一覧
ZnO:酸化亜鉛
PhE:フェノキシエタノール
CapG:カプリリルグリコール
PP:プロピルパラベン
MP:メチルパラベン
A:適正な
I:不適正な
Ma:限界の;境界線上の結果であり、有効性が弱いことを示す
M:〜カ月間
セクション1
初期時点における防腐剤系の有効性の確認
製剤基剤は、典型的な皮膚軟化剤、乳化剤、増粘剤、薄膜形成剤、および日焼け止め活性物質を含有する水中油エマルジョンであった。一般に、油相および水相を、既に添加した新規な防腐剤系と共に高温まで個別に加熱し、次いで、ホモジナイズによって合わせ、次いで、室温まで冷却する。エマルジョンによっては、低温工程を用いることができ、2つを超える相を存在させることができる。
0023
表Iにおいて示される通り、異なる日付において調製し、異なる日付において微生物学的に調べた3つの異なるロットは、予測外のことに、かつ、良好にPETに合格した。第1のロットである3002−38がPETに合格したことを知り、本発明者らは、PETの精度を検証する評価の第2ラウンドのための陽性対照バッチおよび陰性対照バッチを有することを望んだ。フェノキシエタノールを欠く陰性対照ロットである3002−63−3のCFUは、7日目および14日目においてTNTCであった。表Iにおけるデータは、酸化亜鉛、フェノキシエタノール、およびカプリリルグリコールからなる新規な防腐剤系の再現性を確認する。表Iにおけるデータはまた、さらなる防腐剤であるプロピルパラベンおよびメチルパラベンを添加すると、結果として得られる防腐剤系は、なおも試験に合格することも示す。
0024
相乗的防腐剤系の一意性を完全に立証しようという努力の一環として、3成分の防腐剤系における成分のうちの2つだけによる多様な組合せの有効性を決定するために、日焼け止め用の水中油エマルジョンの別のシリーズを調製した。表IIに示される結果は、酸化亜鉛、フェノキシエタノール、およびカプリリルグリコールの固有の組合せだけが、製品を保存するのに有効であることを証明した。
0025
セクション2
高温での保存後における相乗的防腐剤系の有効性の確認
防腐剤系は、保管寿命による保存の間、有効性を維持し、防腐剤系が劣化しないか、または製品を劣化させないことも同様に重要である。したがって、調合された製品を、1カ月間および3カ月間にわたり40℃で保管し、次いで、PETにかけた。表IIIおよび表IVにおけるデータにより、3成分防腐剤系の長期有効性が確認された。全てのバッチが、初期時点において、および最長3カ月間にわたる40℃の高温の保存条件において、色、臭い、および外観について合格した。表IIIでは、対照バッチである3002−63−1には、0.15wt%のメチルパラベンおよび0.25wt%のプロピルパラベンを包ませた。
0026
セクション3
新規な相乗的防腐剤系のための酸化亜鉛の範囲の設定
水中油エマルジョン系中の酸化亜鉛濃度を2.0〜3.5%で変化させ、下限を近似するために経時的に研究した。表Vにおいて示される通り、PETの最終結果は、全ての多様なレベルのZnOについての長期安定性研究全体において適正であった。しかし、図1に例示される通り、初期時点の試料によるPET研究の期間中におけるCFUの実数を検討したところ、濃度レベル間でZnOの有効性の差違が注目された。
0027
セクション4
新規な相乗的防腐剤系のためのフェノキシエタノールの範囲の設定
水中油エマルジョン系中のフェノキシエタノール濃度を0.5%〜1.0%で変化させた。表VIにおいて示される通り、低レベルのフェノキシエタノールについてのPETの限界結果は、防腐剤系の全体は弱く、将来不合格の可能性があることを示唆した。しかし、図2は、多様なレベルのフェノキシエタノールの有効性における差違を示すが、7日目の段階における防腐活性の結果は弱かったとしても、長期的には、フェノキシエタノールの重量を変化させた3つの被験試料の各々が、28日目において適正な防腐活性を示したことを示す。
0028
セクション5
新規な相乗的防腐剤系のためのカプリリルグリコールの範囲の設定
水中油エマルジョン系中のカプリリルグリコール濃度を0.5%〜1.0%で変化させ、下限を設定するための一助とした。表VIIにおいて示される通り、PET結果は、1%〜0.75%のレベルのカプリリルグリコールについて適正であった。0.75%のレベルにおいてCFU数が限界点を丁度上回ったことから、比較的弱い防腐剤系が示唆されることに注目すべきである。0.5%レベルのカプリリルグリコールについてのPETの限界結果は、この特定の防腐剤系がそれほど有効でなく、将来不合格の可能性があることを示唆した。フェノキシエタノールと同様に、図3は、多様なレベルのカプリリルグリコールの有効性における差違を示し、7日目の段階における防腐活性の結果は弱かったとしても、長期的には、フェノキシエタノールの重量を変化させた3つの被験試料の各々が、28日目において適正な防腐活性を示したことを示す。
0029
セクション6
エマルジョンの種類の、新規な相乗的防腐剤系に対する影響
3成分の相乗的防腐剤系を水中油エマルジョンへと添加したところ、PETに適正に合格した。次のステップは、油中水エマルジョン系におけるその有効性を検証することであった。水は内相であり、はるかに低濃度で存在するので、PETに適正に合格するために必要とされる防腐剤は少量であることが予測される。表VIIIに提示されるデータにより、フェノキシエタノールおよびカプリリルグリコールの濃度を低くしても、3成分の相乗的系の油中水エマルジョンを適正に保存する能力が検証された。
0030
セクション7
新規な相乗的防腐剤系において酸化亜鉛をコーティングする効果
酸化亜鉛は、化粧品において用いられるコーティングされた形態およびコーティングされていない形態で利用可能である。それ故、相乗的防腐剤系における、コーティングされた酸化亜鉛の有効性を決定することが重要であった。トリエトキシカプリルシラン(TEC)による表面処理を伴う酸化亜鉛、ならびに、シリカおよびメチコン/ジメチコンコポリマー(SMD)による処理を伴う酸化亜鉛を、コーティングされていない酸化亜鉛と置きかえた。2つの改変された防腐剤系を、水中油エマルジョン製剤に導入した。酸化亜鉛をコーティングすることは、通常、それが示す防腐活性を消失させることが疑われる。極めて驚くべきことに、コーティングされた酸化亜鉛を含有する防腐剤系は、表IXに示される通り、PETに適正に合格した。