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技術 ペプチドに基づくインビボsiRNA送達システム

出願人 アローヘッドファーマシューティカルズインコーポレイテッド
発明者 ロゼマデイビッドビー.ルイスデイビッドエル.ウェイクフィールドダレンエイチ.キタスエリックエイ.ハドウィガーフィリップウォルフジョンエイ.ローエルインゴモーアピーターホフマントルステンヤン‐ホフマンカースティンミューラーハンスマーティンオットグエンテルブローキンアンドレイブイ.ベンソンジョナサンディー.カールソンジェフリーシー.
出願日 2011年12月16日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2013-544831
公開日 2014年3月27日 (6年9ヶ月経過) 公開番号 2014-507392
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 医薬品製剤 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 置換無水マレイン酸 三分岐 負電荷密度 修飾膜 指向部分 非イオン性親水性ポリマー 離散型 ポリマーアミン
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年3月27日)のものです。
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図面 (9)

課題・解決手段

本発明は、インビボでのRNA干渉(RNAi)ポリヌクレオチド肝実質細胞への標的化送達のための組成物に向けられる。標的化RNAiポリヌクレオチドを同時標的化メリチン送達ペプチドと共に投与する。送達ペプチドはRNAiポリヌクレオチドの細胞外から細胞内への移動のための膜透過機能を提供する。可逆的修飾は送達ペプチドへの生理的反応性を提供する。

概要

背景

ポリヌクレオチドおよび他の実質的に細胞膜不透過性化合物生細胞への送達は、細胞の複雑な膜系によって高度に制限されている。アンチセンス、RNAi、および遺伝子療法において用いられる薬物は比較的大きい親水性ポリマーであり、高度に負に荷電していることが多い。これらの物理的特徴はいずれも、細胞膜を通過してのそれらの直接的拡散重度に制限する。このため、ポリヌクレオチド送達の主な障壁は、細胞膜を通過しての細胞の細胞質または核へのポリヌクレオチドの送達である。

インビボで小さい核酸を送達するために用いられてきた1つの手段は、核酸を小さい標的化分子または脂質もしくはステロールのいずれかに結合することであった。これらの結合体いくらかの送達および活性が観察されたが、これらの方法により必要とされる非常に大きな核酸用量は非実用的である。

インビトロでポリヌクレオチドの細胞への適度に効率的な送達を達成する多くの形質移入試薬も開発されている。しかし、これらの同じ形質移入試薬を用いてのポリヌクレオチドのインビボ送達は、インビボ毒性、有害な血清相互作用、または不良な標的化により複雑で無効となっている。インビトロで良好にはたらく形質移入試薬、カチオンポリマーおよび脂質は、典型的には大きいカチオン性静電粒子を形成し、細胞膜を不安定化する。インビトロ形質移入試薬の正電荷電荷-電荷(静電)相互作用を介して核酸との結合を促進し、したがって核酸/形質移入試薬複合体を形成する。正電荷は媒体の細胞への非特異的結合、および膜融合、不安定化、または破壊のためにも有益である。膜の不安定化は実質的に細胞膜不透過性ポリヌクレオチドの細胞膜を通過しての送達を促進する。これらの特性はインビトロでの核酸移動を促進するが、これらはインビボで毒性および無効な標的化を引き起こす。カチオン電荷血清成分との相互作用をもたらし、これはポリヌクレオチド-形質移入試薬相互作用の不安定化、不良なバイオアベイラビリティ、および不良な標的化を引き起こす。インビトロでは有効でありうる、形質移入試薬の膜活性は、インビボでは毒性につながることが多い。

インビボ送達のために、媒体(核酸および関連する送達物質)は小さい、直径100nm未満、好ましくは50nm未満であるべきである。さらにより小さい複合体、20nm未満または10nm未満がより有用であろう。100nmよりも大きい送達媒体はインビボで血管細胞以外の細胞にほとんど接近できない。静電相互作用により形成された複合体は、生理塩濃度または血清成分に曝露されると凝集または分解する傾向にある。さらに、インビボ送達媒体上のカチオン電荷は有害な血清相互作用と、したがって不良なバイオアベイラビリティにつながる。面白いことに、高い負の電荷も、標的化に必須の相互作用、すなわち細胞受容体に対する標的化リガンドの結合を妨害することにより、標的化インビボ送達を阻害しうる。したがって、インビボでの分布および標的化のために、中性に近い媒体が望ましい。注意深く調節しなければ、膜破壊または不安定化活性はインビボで用いると毒性である。媒体毒性と核酸送達との釣り合いを取ることは、インビボよりもインビトロでより容易に達成される。

Rozemaらは、米国特許公報第20040162260号(特許文献1)で、膜活性ポリアミンの膜破壊活性を可逆的に調節する手段を示した。膜活性ポリアミンにより細胞膜を破壊する手段が提供された。pH依存性の可逆的調節により、標的細胞エンドソームに対する活性を制限し、したがって毒性を制限する手段が提供された。彼らの方法は、2-プロピオン酸-3-メチル無水マレイン酸によるポリアミン上のアミンの修飾に頼るものであった。

この修飾は、一級アミンの一対のカルボキシル基(βカルボキシルおよびγカルボキシル)への変換を介してポリカチオンポリアニオンに変換し、ポリアミンの膜活性を可逆的に阻害した。Rozemaら(Bioconjugate Chem. 2003, 14, 51-57)(非特許文献1)は、βカルボキシルは完全な見かけ負電荷を示さず、それ自体では膜活性を阻害することができないと報告した。有効な膜活性阻害のためにはγカルボキシル基の追加が必須であると報告された。核酸と送達媒体の同時送達を可能にするために、核酸が送達ポリマー共有結合された。彼らはその生物学的に不安定な結合体送達システムを用いて、インビトロでポリヌクレオチドの細胞への送達を示すことができた。しかし、媒体は高度に負に荷電しているため、高い負電荷密度を有する核酸および修飾ポリマーのいずれでも、この系はインビボ送達のために効率的ではなかった。負電荷は細網内皮系(RES)による細胞特異的標的化を阻害し、非特異的取り込みを増強する可能性がある。

Rozemaらは、米国特許公報第20080152661号(特許文献2)で、修飾膜活性ポリマーの高い負電荷密度を除去することにより、米国特許公報第20040162260号(特許文献1)の方法を改善した。2-プロピオン酸-3-メチル無水マレイン酸のγカルボキシルの代わりに中性親水性標的化(ガラクトース)および立体安定化(PEG)基を用いることにより、Rozemaらは全般的水溶性および膜活性の可逆的阻害を保持する一方で、有効なインビボ肝実質細胞標的化を組み込むことができた。前と同様、ポリヌクレオチドが形質移入ポリマーに共有結合された。ポリヌクレオチドの形質移入ポリマーへの共有結合は、ポリヌクレオチドの形質移入ポリマーからの解離を防止することにより、インビボ投与中のポリヌクレオチドと形質移入ポリマーとの標的細胞への同時送達を確実にするために維持された。形質移入ポリマーは細胞外またはエンドサイトーシス区画内のいずれかからの細胞膜を通過してのポリヌクレオチドの細胞質への輸送を提供するため、ポリヌクレオチドと形質移入ポリマーとの同時送達が必要とされる。米国特許公報第20080152661号(特許文献2)は、この新しい改善された生理的反応ポリ結合体を用いての、インビボでのポリヌクレオチド、具体的にはRNAiオリゴヌクレオチド肝細胞への非常に効率的な送達を示した。

しかし、核酸のポリアミンへの共有結合は固有の制限を有した。核酸およびマスキング剤の両方を結合するための形質移入ポリマーの修飾は、電荷相互作用によって複雑になった。負に荷電した核酸の正に荷電したポリマーへの結合は凝集を起こしやすく、それにより混合物の濃度が制限される。凝集は過剰のポリカチオンまたはポリアニオンの存在によって克服することができた。しかし、この解決法は核酸とポリマーを製剤しうる比を制限した。同様に、負に荷電した核酸の非修飾カチオンポリマーへの結合は複合体の凝縮および凝集を引き起こし、ポリマー修飾を阻害した。負のポリマーを形成する、ポリマーの修飾は、核酸の結合を損なった。

Rozemaらは、米国特許仮出願第61/307,490号(特許文献3)において、米国特許出願公開第20080152661号(特許文献2)に記載の技術をさらに改善した。米国特許仮出願第61/307,490号(特許文献3)において、Rozemaらは、標的指向分子を注意深く選択し、適切な標的指向分子をsiRNAおよび送達ポリマーの両方に独立に結合することにより、siRNAおよび送達ポリマーを分離し、なおインビボで両方の要素の細胞への有効な標的指向を保持し、siRNAの効率的な機能的標的指向送達を達成しうることを示した。米国特許出願公開第20080152661号(特許文献2)および米国特許仮出願第61/307,490号(特許文献3)の両方で用いた送達ポリマーは、比較的大きい合成ポリマーのポリ(ビニルエーテル)およびポリ(アクリラート)であった。より大きいポリマーは、細胞特異的結合のための標的指向リガンドおよび遮蔽増大のためのPEGの両方による修飾を可能にした。より大きいポリマーは、おそらくは膜活性の増大および細胞エンドソーム内の核酸の保護改善を通じて、有効な送達のために必要であった。より大きいポリカチオンは膜およびアニオン性RNAの両方とより強く相互作用する。

発明者らは、はるかに小さい送達ペプチドを用いて、改善されたsiRNA送達システムを開発した。改善されたシステムは、毒性が低減し、したがってより広い治療ウィンドウを有する、効率的なsiRNA送達を提供する。

概要

本発明は、インビボでのRNA干渉(RNAi)ポリヌクレオチドの肝実質細胞への標的化送達のための組成物に向けられる。標的化RNAiポリヌクレオチドを同時標的化メリチン送達ペプチドと共に投与する。送達ペプチドはRNAiポリヌクレオチドの細胞外から細胞内への移動のための膜透過機能を提供する。可逆的修飾は送達ペプチドへの生理的反応性を提供する。

目的

形質移入ポリマーは細胞外またはエンドサイトーシス区画内のいずれかからの細胞膜を通過してのポリヌクレオチドの細胞質への輸送を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
2件

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請求項1

下記を含む、インビボRNA干渉ポリヌクレオチド肝細胞送達するための結合体送達システム組成物:RNAi-A+メリチン-(L-Gal)x式中、メリチンはメリチンペプチドであり、Lは生理的に不安定な連結であり、Galはアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)リガンドであり、xはメリチンの一級アミンの80%よりも大きい値を有する整数であり、RNAiはRNA干渉ポリヌクレオチドであり、かつAは少なくとも20個の炭素原子を有する疎水性基またはガラクトースクラスターのいずれかである。

請求項2

RNA干渉ポリヌクレオチドが、DNA、RNA、dsRNA、siRNA、およびmicroRNAからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。

請求項3

肝細胞が肝実質細胞からなる、請求項1記載の組成物。

請求項4

ASGPrリガンドが複数のメリチンペプチド上のアミンの少なくとも90%に可逆的に連結している、請求項1記載の組成物。

請求項5

メリチンペプチドがSeq. ID 1、Seq. ID 7、Seq. ID 11、Seq. ID 51、Seq. ID 57、Seq. ID 58、Seq. ID 92、およびSeq. ID 96からなるリストから選択される、請求項1記載の組成物。

請求項6

メリチンペプチドがD型アミノ酸からなる、請求項1記載の組成物。

請求項7

Lが二置換レアマートである、請求項1記載の組成物。

請求項8

Lがアミドベンジルカルバマートである、請求項1記載の組成物。

請求項9

メリチンペプチドのアミノ末端共有結合されたポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項7記載の組成物。

請求項10

メリチンペプチドのアミノ末端に共有結合されたASGPrリガンド-PEG結合体をさらに含む、請求項7記載の組成物。

請求項11

メリチンペプチドのアミノ末端に共有結合されたポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項8記載の組成物。

請求項12

メリチンペプチドのアミノ末端に共有結合されたASGPrリガンド-PEG結合体をさらに含む、請求項8記載の組成物。

請求項13

ASGPrリガンドがラクトース、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトサミン、N-ホルミルガラクトサミン、N-アセチル-ガラクトサミン、N-プロピオニルガラクトサミン、N-n-ブタノイルガラクトサミン、およびN-イソ-ブタノイル-ガラクトサミンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。

請求項14

生理的に不安定な連結L2を介してRNAiがAに連結されている、請求項1記載の組成物。

請求項15

L2がLに直交である、請求項14記載の組成物。

請求項16

ガラクトースクラスターがN-アセチルガラクトサミントリマーからなる、請求項1記載の組成物。

請求項17

疎水性基がコレステロールからなる、請求項1記載の組成物。

請求項18

薬学的に許容される担体または希釈剤中で提供される、請求項1記載の組成物。

請求項19

下記の段階を含む、哺乳動物の肝細胞において発現される遺伝子の発現を阻害する方法:a)該遺伝子の配列の一部と同一またはほぼ同一の配列を有するRNAiポリヌクレオチドを生成する段階;およびa)該哺乳動物の血管に請求項1記載の組成物を注入する段階。

請求項20

下記の段階を含む、RNA干渉ポリヌクレオチド送達組成物を製造する方法:a)メリチンペプチドを生成する段階;b)二置換無水マレイン酸またはジペプチドアミンドベンジルアミン反応性カルボナートに共有結合されたASGPrリガンドをそれぞれが含む、複数の非荷電マスキング剤を生成する段階;c)メリチンペプチドの集団上の一級アミンの80%よりも多くを段階bのマスキング剤で修飾する段階、d)RNA干渉ポリヌクレオチドを少なくとも20個の炭素原子を有する疎水性基またはガラクトーストリマーに連結する段階;f)インビボでの投与に適した溶液中のRNA干渉ポリヌクレオチドおよび修飾メリチンペプチドを提供する段階。

背景技術

0001

ポリヌクレオチドおよび他の実質的に細胞膜不透過性化合物生細胞への送達は、細胞の複雑な膜系によって高度に制限されている。アンチセンス、RNAi、および遺伝子療法において用いられる薬物は比較的大きい親水性ポリマーであり、高度に負に荷電していることが多い。これらの物理的特徴はいずれも、細胞膜を通過してのそれらの直接的拡散重度に制限する。このため、ポリヌクレオチド送達の主な障壁は、細胞膜を通過しての細胞の細胞質または核へのポリヌクレオチドの送達である。

0002

インビボで小さい核酸を送達するために用いられてきた1つの手段は、核酸を小さい標的化分子または脂質もしくはステロールのいずれかに結合することであった。これらの結合体いくらかの送達および活性が観察されたが、これらの方法により必要とされる非常に大きな核酸用量は非実用的である。

0003

インビトロでポリヌクレオチドの細胞への適度に効率的な送達を達成する多くの形質移入試薬も開発されている。しかし、これらの同じ形質移入試薬を用いてのポリヌクレオチドのインビボ送達は、インビボ毒性、有害な血清相互作用、または不良な標的化により複雑で無効となっている。インビトロで良好にはたらく形質移入試薬、カチオンポリマーおよび脂質は、典型的には大きいカチオン性静電粒子を形成し、細胞膜を不安定化する。インビトロ形質移入試薬の正電荷電荷-電荷(静電)相互作用を介して核酸との結合を促進し、したがって核酸/形質移入試薬複合体を形成する。正電荷は媒体の細胞への非特異的結合、および膜融合、不安定化、または破壊のためにも有益である。膜の不安定化は実質的に細胞膜不透過性ポリヌクレオチドの細胞膜を通過しての送達を促進する。これらの特性はインビトロでの核酸移動を促進するが、これらはインビボで毒性および無効な標的化を引き起こす。カチオン電荷血清成分との相互作用をもたらし、これはポリヌクレオチド-形質移入試薬相互作用の不安定化、不良なバイオアベイラビリティ、および不良な標的化を引き起こす。インビトロでは有効でありうる、形質移入試薬の膜活性は、インビボでは毒性につながることが多い。

0004

インビボ送達のために、媒体(核酸および関連する送達物質)は小さい、直径100nm未満、好ましくは50nm未満であるべきである。さらにより小さい複合体、20nm未満または10nm未満がより有用であろう。100nmよりも大きい送達媒体はインビボで血管細胞以外の細胞にほとんど接近できない。静電相互作用により形成された複合体は、生理塩濃度または血清成分に曝露されると凝集または分解する傾向にある。さらに、インビボ送達媒体上のカチオン電荷は有害な血清相互作用と、したがって不良なバイオアベイラビリティにつながる。面白いことに、高い負の電荷も、標的化に必須の相互作用、すなわち細胞受容体に対する標的化リガンドの結合を妨害することにより、標的化インビボ送達を阻害しうる。したがって、インビボでの分布および標的化のために、中性に近い媒体が望ましい。注意深く調節しなければ、膜破壊または不安定化活性はインビボで用いると毒性である。媒体毒性と核酸送達との釣り合いを取ることは、インビボよりもインビトロでより容易に達成される。

0005

Rozemaらは、米国特許公報第20040162260号(特許文献1)で、膜活性ポリアミンの膜破壊活性を可逆的に調節する手段を示した。膜活性ポリアミンにより細胞膜を破壊する手段が提供された。pH依存性の可逆的調節により、標的細胞エンドソームに対する活性を制限し、したがって毒性を制限する手段が提供された。彼らの方法は、2-プロピオン酸-3-メチル無水マレイン酸によるポリアミン上のアミンの修飾に頼るものであった。

0006

この修飾は、一級アミンの一対のカルボキシル基(βカルボキシルおよびγカルボキシル)への変換を介してポリカチオンポリアニオンに変換し、ポリアミンの膜活性を可逆的に阻害した。Rozemaら(Bioconjugate Chem. 2003, 14, 51-57)(非特許文献1)は、βカルボキシルは完全な見かけ負電荷を示さず、それ自体では膜活性を阻害することができないと報告した。有効な膜活性阻害のためにはγカルボキシル基の追加が必須であると報告された。核酸と送達媒体の同時送達を可能にするために、核酸が送達ポリマー共有結合された。彼らはその生物学的に不安定な結合体送達システムを用いて、インビトロでポリヌクレオチドの細胞への送達を示すことができた。しかし、媒体は高度に負に荷電しているため、高い負電荷密度を有する核酸および修飾ポリマーのいずれでも、この系はインビボ送達のために効率的ではなかった。負電荷は細網内皮系(RES)による細胞特異的標的化を阻害し、非特異的取り込みを増強する可能性がある。

0007

Rozemaらは、米国特許公報第20080152661号(特許文献2)で、修飾膜活性ポリマーの高い負電荷密度を除去することにより、米国特許公報第20040162260号(特許文献1)の方法を改善した。2-プロピオン酸-3-メチル無水マレイン酸のγカルボキシルの代わりに中性親水性標的化(ガラクトース)および立体安定化(PEG)基を用いることにより、Rozemaらは全般的水溶性および膜活性の可逆的阻害を保持する一方で、有効なインビボ肝実質細胞標的化を組み込むことができた。前と同様、ポリヌクレオチドが形質移入ポリマーに共有結合された。ポリヌクレオチドの形質移入ポリマーへの共有結合は、ポリヌクレオチドの形質移入ポリマーからの解離を防止することにより、インビボ投与中のポリヌクレオチドと形質移入ポリマーとの標的細胞への同時送達を確実にするために維持された。形質移入ポリマーは細胞外またはエンドサイトーシス区画内のいずれかからの細胞膜を通過してのポリヌクレオチドの細胞質への輸送を提供するため、ポリヌクレオチドと形質移入ポリマーとの同時送達が必要とされる。米国特許公報第20080152661号(特許文献2)は、この新しい改善された生理的反応ポリ結合体を用いての、インビボでのポリヌクレオチド、具体的にはRNAiオリゴヌクレオチド肝細胞への非常に効率的な送達を示した。

0008

しかし、核酸のポリアミンへの共有結合は固有の制限を有した。核酸およびマスキング剤の両方を結合するための形質移入ポリマーの修飾は、電荷相互作用によって複雑になった。負に荷電した核酸の正に荷電したポリマーへの結合は凝集を起こしやすく、それにより混合物の濃度が制限される。凝集は過剰のポリカチオンまたはポリアニオンの存在によって克服することができた。しかし、この解決法は核酸とポリマーを製剤しうる比を制限した。同様に、負に荷電した核酸の非修飾カチオンポリマーへの結合は複合体の凝縮および凝集を引き起こし、ポリマー修飾を阻害した。負のポリマーを形成する、ポリマーの修飾は、核酸の結合を損なった。

0009

Rozemaらは、米国特許仮出願第61/307,490号(特許文献3)において、米国特許出願公開第20080152661号(特許文献2)に記載の技術をさらに改善した。米国特許仮出願第61/307,490号(特許文献3)において、Rozemaらは、標的指向分子を注意深く選択し、適切な標的指向分子をsiRNAおよび送達ポリマーの両方に独立に結合することにより、siRNAおよび送達ポリマーを分離し、なおインビボで両方の要素の細胞への有効な標的指向を保持し、siRNAの効率的な機能的標的指向送達を達成しうることを示した。米国特許出願公開第20080152661号(特許文献2)および米国特許仮出願第61/307,490号(特許文献3)の両方で用いた送達ポリマーは、比較的大きい合成ポリマーのポリ(ビニルエーテル)およびポリ(アクリラート)であった。より大きいポリマーは、細胞特異的結合のための標的指向リガンドおよび遮蔽増大のためのPEGの両方による修飾を可能にした。より大きいポリマーは、おそらくは膜活性の増大および細胞エンドソーム内の核酸の保護改善を通じて、有効な送達のために必要であった。より大きいポリカチオンは膜およびアニオン性RNAの両方とより強く相互作用する。

0010

発明者らは、はるかに小さい送達ペプチドを用いて、改善されたsiRNA送達システムを開発した。改善されたシステムは、毒性が低減し、したがってより広い治療ウィンドウを有する、効率的なsiRNA送達を提供する。

0011

米国特許公報第20040162260号
米国特許公報第20080152661号
米国特許仮出願第61/307,490号

先行技術

0012

Rozemaら(Bioconjugate Chem. 2003, 14, 51-57)

0013

好ましい態様において、本発明はインビボでRNA干渉ポリヌクレオチドを肝細胞に送達するための組成物であって、a)アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)を標的とする可逆的にマスクしたメリチンペプチド(送達ペプチド)と、b) 少なくとも20個の炭素原子を含む疎水性基に結合されているRNA干渉ポリヌクレオチド(RNA結合体)とを含む組成物を特徴とする。送達ペプチドおよびsiRNA結合体を別々に合成し、別々の容器または1つの容器で供給してもよい。RNA干渉ポリヌクレオチドは送達ペプチドに結合していない。

0014

別の好ましい態様において、本発明は、インビボでRNA干渉ポリヌクレオチドを肝細胞に送達するための組成物であって、a) ASGPrを標的とする可逆的にマスクしたメリチンペプチド(送達ペプチド)と、b)ガラクトースクラスターに結合されているRNA干渉ポリヌクレオチド(RNA結合体)とを含む組成物を特徴とする。送達ペプチドおよびsiRNA結合体を別々に合成し、別々の容器または1つの容器で供給してもよい。RNA干渉ポリヌクレオチドはポリマーに結合していない。

0015

好ましい態様において、ASGPrを標的とする可逆的にマスクしたメリチンペプチドは、ペプチド上の一級アミンとASGPrリガンド含有マスキング剤との反応によって可逆的に修飾したメリチンペプチドを含む。修飾基を切断してアミンが復旧する場合、アミンは可逆的に修飾されている。メリチンペプチドの本明細書に記載のマスキング剤による可逆的修飾は、メリチンペプチドの膜活性を可逆的に阻害する。マスクした状態で、可逆的にマスクしたメリチンペプチドは膜破壊活性を示さない。膜活性を阻害し、細胞標的指向機能を提供する、すなわち可逆的にマスクしたメリチンペプチドを生成するために、メリチンペプチド上のアミンの80%よりも多く、または90%よりも多くの可逆的修飾が必要とされる。

0016

好ましいASGPrリガンド含有マスキング剤は中性電荷を有し、二置換無水マレイン酸アミン反応性基を有するガラクトサミンまたはガラクトサミン誘導体を含む。もう一つの好ましいASGPrリガンド含有マスキング剤は、ペプチダーゼ切断可能なジペプチド-p-アミドベンジルアミン反応性カルボナート誘導体を有するガラクトサミンまたはガラクトサミン誘導体を含む。アミン反応性カルボナートとアミンとの反応は、アミンを可逆的に修飾して、アミドベンジルカルバマート連結を形成する。

0017

好ましい態様において、メリチンペプチドはコミツバチ(Apis florea(littleまたはdwarf honey bee))メリチン、セイヨウミツバチ(Apis mellifera(westernまたはEuropeanまたはbig honey bee))、オオミツバチ(Apis dorsata(giant honey bee))、トウヨウミツバチ(Apis cerana(oriental honey bee))またはその誘導体を含む。好ましいメリチンペプチドは、配列:Xaa1-Xaa2-Xaa3-Ala-Xaa5-Leu-Xaa7-Val-Leu-Xaa10-Xaa11- Xaa12-Leu-Pro-Xaa15-Leu-Xaa17-Xaa18-Trp-Xaa20-Xaa21-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26を含み、ここで:
Xaa1はロイシン、D-ロイシン、イソロイシンノルロイシンチロシントリプトファンバリンアラニンジメチルグリシングリシンヒスチジンフェニルアラニン、またはシステインであり、
Xaa2はイソロイシン、ロイシン、ノルロイシン、またはバリンであり、
Xaa3はグリシン、ロイシン、またはバリンであり、
Xaa5はイソロイシン、ロイシン、ノルロイシン、またはバリンであり、
Xaa7はリジンセリンアスパラギン、アラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa10はアラニン、トレオニン、またはロイシンであり、
Xaa11はトレオニンまたはシステインであり、
Xaa12はグリシン、ロイシン、またはトリプトファンであり、
Xaa15はトレオニンまたはアラニンであり、
Xaa17はイソロイシン、ロイシン、ノルロイシン、またはバリンであり、
Xaa18はセリンまたはシステインであり、
Xaa20はイソロイシン、ロイシン、ノルロイシン、またはバリンであり、
Xaa21はリジンまたはアラニンであり、
Xaa22はアスパラギンまたはアルギニンであり、
Xaa23はリジンまたはアラニンであり、
Xaa24はアルギニンまたはリジンであり、
Xaa25はリジン、アラニン、またはグルカミンであり、
Xaa26は任意で、存在する場合にはグルタミン、システイン、グルタミン-NH2、またはシステイン-NH2であり;かつ、
かつXaa21、Xaa23、およびXaa25の少なくとも2つはリジンである。

0018

より好ましいメリチンは、配列:Xaa1-Xaa2-Xaa3-Ala-Xaa5-Leu-Xaa7-Val-Leu-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Leu-Pro-Xaa15-Leu-Xaa17-Ser-Trp-Xaa20-Lys-Xaa22-Lys-Arg-Lys-Xaa26を含み、ここで:
Xaa1はロイシン、D-ロイシン、ノルロイシン、またはチロシンであり、
Xaa2はイソロイシン、ロイシン、ノルロイシン、またはバリンであり、
Xaa3はグリシン、ロイシン、またはバリンであり、
Xaa5はイソロイシン、バリン、ロイシン、またはノルロイシンであり、
Xaa7はリジン、セリン、アスパラギン、アラニン、アルギニン、またはヒスチジンであり、
Xaa10はアラニン、トレオニン、またはロイシンであり、
Xaa11はトレオニン、またはシステインであり、
Xaa12はグリシン、ロイシン、またはトリプトファンであり、
Xaa15はトレオニン、またはアラニンであり、
Xaa17はイソロイシン、ロイシン、またはノルロイシンであり、
Xaa20はイソロイシン、ロイシン、またはノルロイシンであり、
Xaa22はアスパラギンまたはアルギニンであり、かつ
Xaa26はグルタミンまたはシステインである。

0019

最も好ましいメリチンは、配列:Xaa1-Xaa2-Gly-Ala-Xaa5-Leu-Lys-Val-Leu-Ala-Xaa11-Gly-Leu-Pro-Thr-Leu-Xaa17-Ser-Trp-Xaa20-Lys-Xaa22-Lys-Arg-Lys-Xaa26を含み、ここで:
Xaa1、Xaa2、Xaa5、Xaa17およびXaa20は独立にイソロイシン、ロイシン、またはノルロイシンであり、
Xaa11はトレオニンまたはシステインであり、
Xaa22はアスパラギンまたはアルギニンであり、かつ
Xaa26はグルタミンまたはシステインである。

0020

好ましいマスキング剤は、中性親水性二置換アルキル無水マレイン酸を含む:

式中、R1は細胞標的指向基を含む。好ましいアルキル基はメチルまたはエチル基である。好ましい標的指向基はアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む。置換アルキル無水マレイン酸の例は、2-プロピオン酸-3-アルキル無水マレイン酸誘導体からなる。中性親水性2-プロピオン酸-3-アルキル無水マレイン酸誘導体は、中性親水性基の2-プロピオン酸-3-アルキル無水マレイン酸への2-プロピオン酸-3-アルキル無水マレイン酸γカルボキシル基を通じての結合により生成する:

式中、R1は中性ASGPrリガンドを含み、n=0または1である。一つの態様において、ASGPrリガンドは短いPEGリンカーを介して無水物に連結されている。

0021

好ましいマスキング剤は、親水性ペプチダーゼ(プロテアーゼ)切断可能なジペプチド-p-アミドベンジルアミン反応性カルボナート誘導体を含む。本発明の酵素切断可能なリンカーは、アミドベンジル活性化カルボナート部分に連結されたジペプチドを用いる。ASGPrリガンドはジペプチドのアミノ末端に結合される。アミドベンジル活性化カルボナート部分はジペプチドのカルボキシ末端にある。本発明による使用に適したペプチドアーゼ切断可能なリンカーは以下の構造を有する:

式中、R4はASGPrリガンドを含み、R3はアミン反応性カルボナート部分を含み、かつR1およびR2はアミノ酸R基である。好ましい活性化カルボナートはパラ-ニトロフェノールである。しかし、当技術分野において公知の他のアミン反応性カルボナートもパラ-ニトロフェノールの代わりに容易に用いられる。活性化カルボナートとメリチンアミンとの反応により、標的指向化合物であるアシアロ糖タンパク質受容体リガンドがメリチンペプチドに、ペプチダーゼ切断可能なジペプチド-アミドベンジルカルバマート連結を介して連結される。ジペプチドの酵素切断により、標的指向リガンドがペプチドから除去されて脱離反応が誘発され、これはペプチドアミンの再生を引き起こす。

0022

ジペプチドGlu-Gly、Ala-Cit、Phe-Cit(「Cit」はアミノ酸シトルリンである)を実施例3に示す。荷電アミノ酸許容可能であるが、中性アミノ酸が好ましい。

0023

好ましいマスキング剤は、細胞表面受容体に対する親和性を通じて標的指向機能を提供し、すなわち、マスキング剤は細胞表面受容体のリガンドを含む。好ましいマスキング剤は、ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミンおよびガラクトース誘導体を含むが、それらに限定されるわけではない、ASGPrに対する親和性を有する糖類を含む。ASGPrに対する親和性を有するガラクトース誘導体は当技術分野において周知である。可逆的に修飾したメリチンの基本的特徴は、メリチンアミンの80%よりも多く(ペプチドの集団において)が生理的に不安定な可逆的共有結合を介してのASGPrリガンドの結合によって修飾されていることである。

0024

もう一つの態様において、本発明のメリチンペプチドを、アミノまたはカルボキシ末端で、立体安定化剤またはASGPrリガンド-立体安定化剤結合体の共有結合により、さらに修飾する。アミノまたはカルボキシ末端修飾は、当技術分野において標準の方法を用いて、合成中にペプチドに連結してもよい。または、アミノまたはカルボキシ末端修飾は、アミノまたはカルボキシ末端システイン残基を有するメリチンペプチド上のシステイン残基の修飾を通じて行ってもよい。好ましい立体安定化剤はポリエチレングリコールである。好ましいポリチレングリコールは1〜120エチレン単位を有する。もう一つの態様において、好ましいポリエチレングリコールはサイズが5kDa未満である。ASGPrリガンド-立体安定化剤結合体のために、好ましい立体安定化剤は1〜24エチレン単位を有するポリエチレングリコールである。

0025

RNAiポリヌクレオチド結合体および送達ペプチドを薬学的に許容される担体または希釈剤中で哺乳動物投与する。一つの態様において、哺乳動物への投与前に送達ペプチドおよびRNAiポリヌクレオチド結合体を溶液中で混合してもよい。もう一つの態様において、送達ペプチドおよびRNAiポリヌクレオチド結合体を別々の溶液中で哺乳動物に同時投与してもよい。さらにもう一つの態様において、送達ペプチドおよびRNAiポリヌクレオチド結合体を哺乳動物に逐次投与してもよい。逐次投与のために、送達ペプチドをRNAiポリヌクレオチド結合体の投与前に投与してもよい。または、逐次投与のために、RNAiポリヌクレオチド結合体を送達ペプチドの投与前に投与してもよい。

0026

本発明のさらなる目的、特徴、および利点は、添付の図面と一緒に読めば、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

0027

本発明において用いるのに適したメリチンペプチドを列挙する表である。
本発明において用いるのに適したメリチンペプチドを列挙する表である。
本発明において用いるのに適したメリチンペプチドを列挙する表である。
GalNAcクラスターのRNAへの連結を示す図である。
GalNAcクラスターのRNAへの連結を示す図である。
可逆的に修飾したメリチンsiRNA送達ペプチドおよびsiRNA-コレステロール結合体で処置した霊長類における(A)血液尿素窒素(BUN)レベルおよび(B)クレアチニンレベルを示すグラフである。
可逆的に修飾したメリチンsiRNA送達ペプチドおよびsiRNA-コレステロール結合体で処置した霊長類における(A)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼAST)レベルおよび(B)アラニントランスアミナーゼALT)レベルを示すグラフである。
可逆的に修飾したメリチンsiRNA送達ペプチドおよびsiRNA-コレステロール結合体で処置した霊長類における内因性VII因子レベルのノックダウンを示すグラフである。

0028

発明の詳細な説明
本明細書において記載するのは、インビボでRNA干渉(RNAi)ポリヌクレオチドを哺乳動物の肝細胞に送達するための改善された方法である。発明者らは、ハチ毒ペプチド由来の小さい送達ペプチドであるメリチンおよび独立に標的指向するRNAiポリヌクレオチドを用いる、インビボRNAiポリヌクレオチド送達システムを記載する。肝臓を標的とするRNAiポリヌクレオチド結合体分子およびアシアロ糖タンパク質受容体を標的とする可逆的に阻害したメリチンペプチドを用いることにより、肝臓への効率的なRNAiポリヌクレオチド送達が観察される。

0029

メリチンおよびRNAiポリヌクレオチドは独立に肝実質細胞を標的とするため、メリチンおよびポリヌクレオチドの濃度ならびにそれらの間の比は、結合した複合体の溶解性または複合体を製造する能力ではなく、成分の溶解性によってのみ制限される。同様に、ポリヌクレオチドおよびメリチンは、投与前の任意の時点で混合してもよく、または別々に投与してもよく、したがって成分は溶液または乾燥状態のいずれかで別々に保存することが可能である。

0030

本発明は、以下の組成物の結合体送達システムを含む:
Y-メリチン-(L-M)xプラスN-T、
式中、NはRNAiポリヌクレオチドであり、Tはポリヌクレオチド標的指向部分(20個以上の炭素原子を有する疎水性基またはガラクトースクラスターのいずれか)であり、メリチンは本明細書に記載のハチ毒メリチンペプチドまたは誘導体であり、かつマスキング剤Mは、生理的に不安定で可逆的な連結Lを介してメリチンに共有結合されている、本明細書に記載のASGPrリガンドを含む。Lの切断はメリチン上の非修飾アミンを復旧する。Yは任意で、存在する場合には、メリチンのアミノ末端、カルボキシ末端、またはアミノもしくはカルボキシ末端システインに連結されているポリエチレングリコール(PEG)またはASGPrリガンド・PEG結合体を含む。アミノ末端またはアミノ末端システインへのYの結合が好ましい。xは2以上の整数である。その非修飾状態で、メリチンは膜活性である。しかし、送達ペプチドメリチン-(L-M)xは膜活性ではない。Mの結合によるメリチン一級アミンの可逆的修飾は、メリチンの膜活性を可逆的に阻害または不活化する。メリチン一級アミンの十分なパーセンテージを修飾して、ポリマーの膜活性を阻害し、肝細胞標的指向を提供する。好ましくはxは、任意のマスキング剤非存在下でのメリチン上のアミンの量により判定して、メリチン上の一級アミンの80%よりも大きい、より好ましくは90%よりも大きい値を有する。より具体的には、xはメリチン上の一級アミンの80%よりも大きく、最大100%の値を有する。メリチンは典型的には3〜5つの一級アミン(アミノ末端(修飾されていない場合)および典型的には2〜4つのリジン残基)を含むことに留意される。したがって、アミンのあるパーセンテージの修飾は、メリチンペプチドの集団におけるアミンのあるパーセンテージの修飾を反映することになる。可逆的連結Lの切断後、非修飾アミンが復旧し、それによりメリチンをその非修飾、膜活性状態に戻す。好ましい可逆的連結はpHに不安定な連結である。もう一つの好ましい可逆的連結はプロテアーゼ切断可能連結である。メリチン-(L-M)x、ASGPrを標的とする可逆的にマスクした膜活性ポリマー(送達ペプチド)、およびT-N、ポリヌクレオチド結合体を別々に合成または製造する。TもNもメリチン、L、またはMに直接または間接的に共有結合されていない。ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド結合体のマスクした、またはマスクしていないポリマーとの静電的また疎水性結合は、ポリヌクレオチドのインビボ肝送達に必要とされていない。マスクしたポリマーおよびポリヌクレオチド結合体は同じ容器または別々の容器で供給することができる。これらは投与の前に混合してもよく、同時投与してもよく、または逐次投与してもよい。

0031

親水性基は、質的な用語で、化学部分が水を好むことを示す。典型的には、そのような化学基は水溶性であり、水との水素結合供与体または受容体である。親水性基は荷電または非荷電でありうる。荷電基は正に荷電(アニオン)もしくは負に荷電(カチオン)または両方(両性イオン)でありうる。親水性基の例には、以下の化学部分が含まれる:炭化水素ポリオキシエチレン、特定のペプチド、オリゴヌクレオチド、アミン、アミド、アルコキシアミド、カルボン酸硫黄、およびヒドロキシル

0032

疎水性基は、質的な用語で、化学部分が水を避けることを示す。典型的には、そのような化学基は水溶性ではなく、水素結合を形成しない傾向にある。親油性基脂肪、油、脂質、および非極性溶媒に溶解し、水素結合を形成する能力はほとんど、またはまったくない。複数の炭素原子を含む炭化水素、特定の置換炭化水素、コレステロール、およびコレステロール誘導体は疎水性基および化合物の例である。

0033

疎水性基は、好ましくは、炭素および水素原子のみを含む炭化水素である。しかし、疎水性を維持し、例えば、フッ素を含む、非極性置換または非極性ヘテロ原子は許容されうる。この用語は脂肪族基芳香族基アシル基、アルキル基、アルケニル基アルキニル基アリール基アラルキル基アラルケニル基、およびアラルキニル基を含み、これらはそれぞれ直鎖、分枝、または環状であってもよい。疎水性基なる用語は、ステロール、ステロイド、コレステロール、ならびにステロイドおよびコレステロール誘導体も含む。

0034

本明細書において用いられる膜活性ペプチドは、生体膜に対して以下の効果の1つまたは複数を誘導することができる、表面活性両親媒性ペプチドである:非膜透過性分子が細胞に侵入する、もしくは膜を通過することを可能にする膜の変化もしくは破壊、膜における孔形成、膜の分裂、または膜の破壊もしくは溶解。本明細書において用いられる膜、または細胞膜は、脂質二重層を含む。膜の変化または破壊は、以下の検定の少なくとも1つにおいてペプチドの活性により機能的に規定することができる:赤血球溶解(溶血)、リポソーム漏出、リポソーム融合、細胞融合細胞溶解、およびエンドソーム放出。細胞膜の溶解を引き起こしうる膜活性ペプチドは、膜溶解性ペプチドとも呼ぶ。原形質膜よりもエンドソームまたはリソソームの破壊を優先的に引き起こすペプチドはエンドソーム溶解性と考えられる。膜活性ペプチドの細胞膜に対する効果は一時的でありうる。膜活性ペプチドは、膜に対する親和性を有し、二重層構造変性または変形を引き起こす。

0035

ポリヌクレオチドの細胞への送達は、膜に孔を形成する、またはエンドソームもしくはリソソーム小胞を破壊し、それにより小胞の内容物を細胞質中に放出させることを含む、原形質膜または内部の小胞膜(エンドソームまたはリソソームなど)を破壊または不安定化する、メリチンペプチドによって仲介される。

0036

エンドソーム溶解性ペプチドは、pH低下または溶解性酵素(プロテアーゼ)の存在などの、エンドソーム特異的環境因子に反応して、エンドソームの破壊もしくは溶解を引き起こす、またはポリヌクレオチドもしくはタンパク質などの通常は細胞膜不透過性の化合物の、エンドソームもしくはリソソームなどの細胞内部の膜封入小胞からの放出を提供することができるペプチドである。エンドソーム溶解性ポリマーは、エンドソーム内でのそれらの物理化学的性質シフトを起こす。このシフトは、電荷、疎水性、または親水性におけるシフトの結果としての、ポリマーの溶解性または他の化合物もしくは膜と相互作用する能力における変化でありうる。例示的エンドソーム溶解性ペプチドは、pHに不安定または酵素に感受性の基または結合を有する。したがって、マスキング剤がpHに不安定な結合を介してポリマーに結合している、可逆的にマスクした膜活性ペプチドは、エンドソーム溶解性ポリマーであると考えることができる。

0037

本明細書において用いられるメリチンは、天然のハチ毒ペプチドメリチン由来の、約23から約32アミノ酸を含む、小さい両親媒性膜活性ペプチドである。天然メリチンは26アミノ酸を含み、アミノ末端では主に疎水性で、カルボキシ末端では主に親水性(カチオン性)である。本発明のメリチンは生体原料から単離することもでき、または合成品であってもよい。合成ポリマーは「人による」化学的プロセスによって調合または製造され、天然の生体プロセスによって生成されるものではない。本明細書において用いられるメリチンは、例えば、以下の種の毒液中で見いだすことができるメリチンファミリーの天然ハチ毒ペプチドを含む:コミツバチ、セイヨウミツバチ、トウヨウミツバチ、オオミツバチ、クロスズメバチ一種(Vespula maculifrons)、スズメバチの一種(Vespa magnifica)、スズメバチの一種(Vespa velutina)、アシナガバチの一種(Polistes sp. HQL-2001)、およびアシナガバチ(Polistes hebraeus)。本明細書において用いられるメリチンは、天然メリチンペプチドと同一、または類似のアミノ酸配列を有する合成ペプチドを含む。具体的には、メリチンアミノ酸配列は図1に示すものを含む。メリチンの固有の高い膜活性を保持しているアミノ酸に加えて、1〜8つのアミノ酸をペプチドのアミノまたはカルボキシ末端に付加することができる。具体的には、システイン残基をアミノまたはカルボキシ末端に付加することができる。他の保存的アミノ酸置換が容易に構想されるため、図1のリスト網羅的であることを意図するものではない。合成メリチンペプチドは、天然のL型アミノ酸または鏡像異性D型アミノ酸(インベルソ(inverso))を含むことができる。しかし、メリチンペプチドは基本的に全L型または全D型アミノ酸のいずれかを含むべきであるが、アミノまたはカルボキシ末端のいずれかに付属した反対の立体中心のアミノ酸を有していてもよい。メリチンアミノ酸配列は逆にすることもできる(レトロ(retro))。レトロメリチンはL型アミノ酸またはD型アミノ酸(レトロインベルソ)を有しうる。2つのメリチンペプチドを共有結合してメリチン二量体を生成することもできる。メリチンは、組織標的指向を増強する、またはインビボ循環を促進する、ペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかに結合された、マスキング剤以外の修飾基を有しうる。しかし、本明細書において用いられるメリチンは、互いに、またはもう一つのポリマーもしくは骨格に共有結合された、3つ以上のメリチンペプチドを含む鎖またはポリマーを含まない。

0038

マスキング
本発明のメリチンペプチドは、可逆的修飾が膜活性を阻害し、メリチンを中和して正電荷を低減し、ほぼ中性電荷のポリマーを生成し、かつ細胞型特異的標的指向を提供する、可逆的に修飾したメリチンペプチドを含む。メリチンはペプチド上の一級アミンの可逆的修飾を通じて可逆的に修飾する。

0039

本発明のメリチンペプチドは、形質膜またはリソソーム/エンドサイトーシス膜を破壊することが可能である。しかし、ペプチドをインビボで投与すると、膜活性は毒性につながる。したがって、メリチンの膜活性の可逆的マスキングはインビボでの使用のために必須である。このマスキングは、マスキング剤をメリチンに可逆的に結合して、可逆的にマスクしたメリチン、すなわち送達ペプチドを生成することにより達成される。膜活性の阻害に加えて、マスキング剤は細胞特異的相互作用、すなわち標的指向を提供する。

0040

全般的に、マスキング剤がポリマーの膜活性を阻害し、かつインビボでの肝細胞標的指向を提供することは、マスキング剤の必須の特徴である。メリチンは非修飾(マスクしていない)状態で膜活性であり、修飾(マスクした)状態で膜活性ではない(不活化)。所望のレベルの不活化を達成するのに十分な数のマスキング剤をペプチドに連結する。マスキング剤の結合によるメリチンの所望のレベルの修飾は、適切なペプチド活性検定を用いて容易に判定される。例えば、メリチンが所定の検定において膜活性を有するならば、その検定において膜活性の所望のレベルの阻害を達成するのに十分なレベルのマスキング剤がペプチドに連結されている。いかなるマスキング剤も非存在下で、ペプチド上の一級アミンの量により判定して、メリチンペプチドの集団上の一級アミン基の≧80%または≧90%の修飾が好ましい。マスキング剤のペプチドへの結合がペプチドの正電荷を低減し、したがってより中性の送達ペプチドを生成することも、マスキング剤の好ましい特徴である。マスクしたペプチドが水溶性を保持していることが望ましい。

0041

本明細書において用いられるメリチンは、修飾ペプチドが膜活性を示さず、インビボで細胞特異的(すなわち、肝細胞)標的指向を示す場合、マスクされている。メリチンは、マスキング剤をペプチドに連結している結合の切断がペプチド上のアミンを復旧し、それにより膜活性を復旧する場合、可逆的にマスクされている。

0042

マスキング剤がメリチンに生理的に不安定で可逆的な結合を通じて共有結合していることも、もう一つの必須の特徴である。生理的に不安定で可逆的な連結または結合を用いることにより、マスキング剤をインビボでペプチドから切断し、それによりペプチドのマスクを除去し、マスクしていないペプチドの活性を復旧することができる。適切な可逆的連結を選択することにより、所望の細胞型または細胞部位に送達または標的指向した後にメリチンの活性を復旧する結合体を生成することが可能である。連結の可逆性はメリチンの選択的活性化を提供する。可逆的共有結合は、生理的に不安定な結合、細胞生理的に不安定な結合、pHに不安定な結合、pHに非常に不安定な結合、pHに極度に不安定な結合、およびプロテアーゼ切断可能な結合からなる群より選択されうる、可逆的または不安定な結合を含む。

0043

本明細書において用いられるマスキング剤は、ASGPrリガンドおよびアミン反応性基を有する、好ましくは中性(非荷電)の化合物を含み、ここでアミン反応性基のペプチド上のアミンとの反応はASGPrリガンドの可逆的な生理的に不安定な共有結合を介してのペプチドへの連結を生じる。アミン反応性基は、適切な生理的状態(例えば、エンドソーム/リソソーム中などのpH低減、またはエンドソーム/リソソーム中などの酵素的切断)に応答しての切断によってメリチンアミンが再生されるように選択する。ASGPrリガンドは、アシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性を有する基、典型的には糖類である。本発明の好ましいマスキング剤は、水溶液中でポリマーを修飾(ポリマーと可逆的結合を形成)することができる。

0044

好ましいアミン反応性基は二置換無水マレイン酸を含む。好ましいマスキング剤は以下の構造で表される:

式中、R1はアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)リガンドを含み、かつR2はメチル(-CH3)基、エチル(-CH2CH3)基、またはプロピル(-CH2CH2CH3)基などのアルキル基である。

0045

いくつかの態様において、ガラクトースリガンドを、以下の構造によって例示されるPEGリンカーを通じてアミン反応性基に連結する:

式中、nは1から19の間の整数である。

0046

もう一つの好ましいアミン反応性基は、以下の構造によって表されるジペプチド-アミドベンジルアミン反応性カルボナート誘導体を含む:

式中:
R1はアミノ酸1のR基であり、
R2はアミノ酸2のR基であり、
R3は-CH2-O-C(O)-O-Zであり、ここでZは
ハロゲン化物

であり、
かつ、R4はASGPrリガンドを含む。

0047

活性化カルボナートとメリチンアミンとの反応により、ASGPrリガンドがメリチンペプチドに、ペプチダーゼ切断可能なジペプチド-アミドベンジルカルバマート連結を介して連結される。

ジペプチドの酵素切断により、標識指向リガンドがペプチドから除去されて脱離反応が誘発され、これはペプチドアミンの再生を引き起こす。上記の構造はメリチンペプチドに連結された1つのマスキング剤を示しているが、実際には、好ましくはメリチンペプチド集団上のアミンの80%よりも多くが修飾されるように、いくつかのマスキング剤をメリチンペプチドに連結する。

0048

ジペプチドGlu-Gly、Ala-Cit、Phe-Cit(「Cit」はアミノ酸シトルリンである)を実施例3に示す。上記の構造に関して、Glu-Gly、Ala-Cit、Phe-CitはR2-R1を表す。荷電アミノ酸も許容可能であるが、中性アミノ酸が好ましい。他のアミノ酸の組み合わせも、それらが内因性プロテアーゼによって切断されるとの条件で可能である。加えて、アミドベンジル基と標的指向リガンドとの間のリンカーとして、3〜5つのアミノ酸を用いてもよい。

0049

マレイン酸無水物に基づくマスキング剤と同様、ASGPrリガンドをPEGリンカーを介してペプチダーゼ切断可能なジペプチド-アミドベンジルカルボナートに連結することができる。

0050

膜活性ポリアミンは、過剰のマスキング剤存在下でマスキング剤に結合することができる。過剰のマスキング剤は送達ペプチドの投与前に結合送達ペプチドから除去してもよい。

0051

もう一つの態様において、本発明のメリチンペプチドを、アミノまたはカルボキシ末端で、立体安定化剤またはASGPrリガンド-立体安定化剤結合体の共有結合により、さらに修飾する。疎水性末端の修飾が好ましく;「通常の配列」を有するメリチンではアミノ末端、レトロ-メリチンではカルボキシ末端が好ましい。好ましい立体安定化剤はポリエチレングリコールである。アミノまたはカルボキシ末端修飾は、当技術分野において標準の方法を用いて、合成中にペプチドに連結してもよい。または、アミノまたはカルボキシ末端修飾は、アミノまたはカルボキシ末端システイン残基を有するメリチンペプチド上のシステイン残基の修飾を通じて行ってもよい。好ましいポリエチレングリコールは1〜120エチレン単位を有する。もう一つの態様において、好ましいポリエチレングリコールはサイズが5kDa未満である。ASGPrリガンド-立体安定化剤結合体(NAG-PEG修飾)のために、好ましい立体安定化剤は1〜24エチレン単位を有するポリエチレングリコールである。末端PEG修飾は、可逆的マスキングと組み合わせると、メリチン送達ペプチドの毒性をさらに低減する。末端NAG-PEG修飾は有効性を増強する。

0052

立体安定化部分
本明細書において用いられる立体安定化部分は、立体安定化部分を含まない分子に比べて、それが結合している分子の分子内または分子間相互作用を防止または阻害する、非イオン性親水性ポリマー(天然、合成、または非天然のいずれか)である。立体安定化部分は、それが結合している分子が静電相互作用に参加することを妨害する。静電相互作用は、正電荷と負電荷との間の引力による、複数の物質非共有結合である。立体安定化部分は血液成分との相互作用を阻害し、したがって細網内皮系によるオプソニン作用食作用、および取り込みを阻害することができる。したがって、立体安定化部分は、それらが結合している分子の循環時間延長することができる。立体安定化部分は分子の凝集も阻害しうる。好ましい立体安定化部分はポリエチレングリコール(PEG)またはPEG誘導体である。本発明に適したPEG分子は、約1〜120のエチレングリコールモノマーを有する。

0053

ASGPrリガンド
標的化部分または基は、それらが結合している結合体の薬物動態または生体分布特性を増強して、結合体の細胞特異的分布および細胞特異的取り込みを改善する。ガラクトースおよびガラクトース誘導体は、肝実質細胞表面上で発現されるアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)へのそれらの結合を通じて、インビボで分子を肝実質細胞へと標的化させるために用いられてきた。本明細書において用いられるASGPrリガンド(またはASGPrリガンド)は、ガラクトースおよびガラクトースと等しいか、またはそれよりも大きいASGPrへの親和性を有するガラクトース誘導体を含む。ガラクトース標的化部分のASGPrへの結合は、送達ペプチドの肝実質細胞への細胞特異的標的化および送達ペプチドの肝実質細胞へのエンドサイトーシスを促進する。

0054

ASGPrリガンドは、ラクトース、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトサミン、N-ホルミルガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-プロピオニルガラクトサミン、N-n-ブタノイルガラクトサミン、およびN-イソブタノイルガラクトサミンからなる群より選択されてもよい(Iobst, S.T. and Drickamer, K. J.B.C. 1996, 271, 6686)。ASGPrリガンドはモノマー(例えば、1つのガラクトサミンを有する)またはマルチマー(例えば、複数のガラクトサミンを有する)の部分でありうる。

0055

一つの態様において、メリチンペプチドを、ペプチド上の一級アミンの≧80%または≧90%へのASGPrリガンドマスキング剤の結合により、可逆的にマスクする。

0056

不安定な連結
連結またはリンカーは、関心対象の1つの化学基または区分を関心対象のもう一つの化学基または区分に、1つまたは複数の共有結合を介して連結する、2つの原子間の接続である。例えば、連結はマスキング剤をペプチドに接続することができる。連結の形成は2つの別々の分子を1つの分子に接続することもあり、または同じ分子内の2つの原子を接続することもある。連結は中性電荷でもよく、または正もしくは負の電荷を有していてもよい。可逆的または不安定な連結は可逆的または不安定な結合を含む。連結は任意に2つのつなぎ合わせた原子間の距離を延ばすスペーサーを含んでいてもよい。スペーサーは連結に柔軟性および/または長さをさらに加えうる。スペーサーには、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基が含まれるが、それらに限定されるわけではなく;これらはそれぞれ1つまたは複数のヘテロ原子、複素環、アミノ酸、ヌクレオチド、および糖類を含みうる。スペーサー基は当技術分野において周知で、前述のリストは本発明の範囲を制限する意図はない。

0057

不安定な結合は、同じ分子内の他の共有結合を分解または切断しない条件下で選択的に分解または切断されうる、水素原子への共有結合以外の共有結合である。より具体的には、不安定な結合は、適切な条件下で同じ分子内の他の不安定でない共有結合よりも安定性が低い(熱力学的に)、またはより速やかに分解される(動力学的に)共有結合である。分子内の不安定な結合の切断は、2つの分子の生成を引き起こしうる。当業者にとって、結合の切断または不安定性は一般には結合切断の半減期(t1/2)(結合の半分が切断するのに要する時間)によって議論される。したがって、不安定な結合は、分子内の他の結合よりも速やかに選択的に切断されうる結合を含む。

0058

適切な条件は不安定な結合の型によって決まり、有機化学において周知である。不安定な結合はpH、酸化もしくは還元条件もしくは物質、温度、塩濃度、酵素の存在(ヌクレアーゼ、およびプロテアーゼを含むエステラーゼなど)、または添加した物質の存在に対して感受性でありうる。例えば、pH上昇または低下はpHに不安定な結合に対する適切な条件である。

0059

不安定な基が変換を起こす速度は、不安定な基を含む分子の化学成分を変えることによって制御することができる。例えば、不安定な基の近くに特定の化学部分(例えば、電子受容体または供与体)を付加することで、化学変換が起こる特定の条件(例えば、pH)に影響をおよぼしうる。

0060

本明細書において用いられる生理的に不安定な結合は、哺乳動物の体内で通常遭遇する条件、または遭遇するものに類似の条件下で切断可能な不安定な結合である。生理的に不安定な連結基は、特定の生理的条件にある場合に化学変換(例えば、切断)を起こすように選択される。

0061

本明細書において用いられる細胞生理的に不安定な結合は、哺乳動物の細胞内条件下で切断可能な不安定な結合である。哺乳動物の細胞内条件には、哺乳動物の細胞において見られる、または遭遇するものに類似の、pH、温度、酸化または還元条件または物質、および塩濃度などの化学的条件が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解または加水分解酵素などの、哺乳動物の細胞において通常存在する酵素活性の存在も含まれる。細胞生理的に不安定な結合は、薬学的に許容される外因性物質の投与に反応して切断されてもよい。半減期が45分未満で適切な条件下で切断される生理的に不安定な結合は、非常に不安定であると考えられる。半減期が15分未満で適切な条件下で切断される生理的に不安定な結合は、極度に不安定であると考えられる。

0062

化学変換(不安定な結合の切断)は、薬学的に許容される物質の細胞への添加によって開始されてもよく、または不安定な結合を含む分子が適切な細胞内および/または細胞外環境に到達した場合に自然に起こってもよい。例えば、pHに不安定な結合は、分子が酸性化されたエンドソームに入ると切断されうる。したがって、pHに不安定な結合はエンドソームで切断可能な結合であると考えられる。酵素切断可能結合は、エンドソームもしくはリソソームまたは細胞質に存在するものなどの酵素に曝露された場合に切断されうる。ジスルフィド結合は、分子が細胞質のより還元性の環境に入った場合に切断されうる。したがって、ジスルフィドは細胞質で切断可能な結合であると考えられる。

0063

本明細書において用いられるpHに不安定な結合は、酸性条件(pH<7)下で選択的に分解される不安定な結合である。細胞エンドソームおよびリソソームは7未満のpHを有するため、そのような結合はエンドソームで不安定な結合と呼んでもよい。pHに不安定ななる用語は、pHに不安定、pHに非常に不安定、およびpHに極度に不安定な結合を含む。

0064

無水物のアミンとの反応はアミドおよび酸を生成する。多くの無水物にとって、逆反応(無水物およびアミンの生成)は非常に遅く、エネルギー的に好ましくない。しかし、無水物が環状無水物である場合、アミンとの反応はアミド酸、すなわちアミドおよび酸が同じ分子内にある分子を生じる。同じ分子内に両方の反応性基(アミドおよびカルボン酸)が存在することで、逆反応が加速される。特に、一級アミンの無水マレイン酸および無水マレイン酸誘導体との生成物であるマレアミド酸は、その非環式類縁体よりも1×109から1×1013倍速くアミンおよび無水物に逆戻りする(Kirby 1980)。

0065

アミドおよび酸を生成するアミンの無水物との反応

0066

アミド酸を生成するアミンの環状無水物との反応

0067

アミンおよび無水物を生成するアミド酸の切断はpH依存的で、酸性pHで大幅に加速される。このpH依存的反応性を利用して可逆的なpHに不安定な結合およびリンカーを生成することができる。シスアコニット酸はそのようなpH感受性リンカー分子として用いられてきた。γ-カルボキシラートをまず分子にカップリングさせる。第二段階で、αまたはβカルボキシラートのいずれかを第二の分子にカップリングさせて、2つの分子のpH感受性カップリングを生成する。このリンカーのpH5での切断の半減期は8から24時間の間である。

0068

無水シスアコニット酸および無水マレイン酸の構造

0069

切断が起こるpHを、不安定な部分に化学的成分を付加することにより制御する。マレアミド酸のアミンおよび無水マレイン酸への変換の速度は、無水マレイン酸系の置換(R2およびR3)に強く依存する。R2がメチルである場合、変換の速度はR2およびR3が水素である場合よりも50倍速い。R2およびR3の両方にアルキル置換がある場合(例えば、2,3-ジメチル無水マレイン酸)、速度の上昇は劇的であり:非置換無水マレイン酸よりも10,000倍速い。アミンの2,3-ジメチル無水マレイン酸による修飾から生成されたマレアマート結合は、pH5で4から10分の間の半減期で切断されて無水物およびアミンを復旧する。R2およびR3が水素よりも大きい基である場合、アミド酸のアミンおよび無水物への変換は、R2および/またはR3が水素である場合よりも速いと予測される。

0070

pHに非常に不安定な結合:pHに非常に不安定な結合は45分未満のpH5での切断の半減期を有する。pHに非常に不安定な結合の構築は化学の技術分野において周知である。

0071

pHに極度に不安定な結合:pHに極度に不安定な結合は15分未満のpH5での切断の半減期を有する。pHに極度に不安定な結合の構築は化学の技術分野において周知である。

0072

二置換環状無水物は、マスキング剤の本発明のメリチンペプチドへの結合のために特に有用である。これらは生理的にpHに不安定な連結を提供し、容易にアミンを修飾し、かつ細胞エンドソームおよびリソソームで見られる低いpHでの切断によってこれらのアミンを復旧する。第二に、アミンとの反応によって作成されるαまたはβカルボン酸基は、ポリマーに対して予想される負電荷の約1/20しか寄与しないようである(Rozema et al. Bioconjugate Chemistry 2003)。したがって、ペプチドの二置換無水マレイン酸による修飾は、高い負電荷を有するペプチドを作成するよりもむしろ、ペプチドの正電荷を効果的に中和する。インビボ送達のためにはほぼ中性の送達ペプチドが好ましい。

0073

RNAiポリヌクレオチド結合体
本発明者らは、RNAiポリヌクレオチドの疎水性基またはガラクトースクラスターいずれかであるポリヌクレオチド標的化部分への結合、およびRNAiポリヌクレオチド結合体の前述の送達ペプチドとの同時投与は、インビボでのRNAiポリヌクレオチドの肝細胞、特に肝実質細胞への効率的、機能的送達を提供することを見いだした。機能的送達とは、RNAiポリヌクレオチドが細胞に送達され、予期される生物活性である遺伝子発現配列特異的阻害を有することを意味する。哺乳動物の脈管構造に投与された、ポリヌクレオチドを含む多くの分子は、通常は肝臓によって体から排出される。ポリヌクレオチドが体からの除去のために分解またはそれ以外に処理され、ポリヌクレオチドが遺伝子発現の配列特異的阻害を引き起こさない、肝臓によるポリヌクレオチドのクリアランスは、機能的送達とは考えない。

0074

RNAiポリヌクレオチド結合体を、RNAiポリヌクレオチドをポリヌクレオチド標的化部分に共有結合することにより生成する。ポリヌクレオチドを、それが反応性基Aを含むように合成または修飾する。標的化部分も、それが反応性基Bを含むように合成または修飾する。反応性基AおよびBは、それらが当技術分野において公知の方法を用いて共有結合を介して連結されうるように選択する。

0075

標的化部分は、RNAiポリヌクレオチドの3'または5'末端に連結してもよい。siRNAポリヌクレオチドに対し、標的化部分はセンス鎖またはアンチセンス鎖のいずれに連結してもよいが、センス鎖が好ましい。

0076

一つの態様において、ポリヌクレオチド標的化部分は疎水性基からなる。より具体的には、ポリヌクレオチド標的化部分は、少なくとも20個の炭素原子を有する疎水性基からなる。ポリヌクレオチド標的化部分として用いる疎水性基は、本明細書において疎水性標的化部分と呼ぶ。適切な例示的疎水性基は、コレステロール、ジコレステロール、トコフェロール、ジトコフェロール、ジデシル、ジドデシルジオタデシル、ジドデシル、ジオクタデシル、イソプレノイド、およびコレアミドを含む群より選択されうる。6個以下の炭素原子を有する疎水性基はポリヌクレオチド標的化部分として有効ではないが、8から18個の炭素原子を有する疎水性基は疎水性基のサイズ増大(すなわち、炭素原子の数の増大)に伴い漸増するポリヌクレオチド送達を提供する。疎水性標的化部分のRNAiポリヌクレオチドへの結合は、送達ペプチドの同時投与なしでは、RNAiポリヌクレオチドの効率的な機能的インビボ送達を提供しない。siRNA-コレステロール結合体は、他の研究者らによりインビボでsiRNA(siRNA-コレステロール)を肝細胞に送達すると報告されているが、任意のさらなる送達媒体なしでは、高濃度のsiRNAが必要で、送達効果は悪い。本明細書に記載の送達ペプチドと組み合わせると、ポリヌクレオチドの送達は大幅に改善される。siRNA-コレステロールを本発明の送達ペプチドと一緒に提供することにより、siRNA-コレステロールの有効性は約100倍高まる。

0077

ポリヌクレオチド標的化部分として有用な疎水性基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アラルケニル基、およびアラルキニル基からなる群より選択してもよく、これらはそれぞれ直鎖、分枝、または環状、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロール、ステロイド、およびステロイド誘導体であってもよい。疎水性標的化部分は好ましくは、炭素および水素原子だけを含む炭化水素である。しかし、疎水性を維持する置換またはヘテロ原子、例えばフッ素は許容されうる。疎水性標的化部分は、当技術分野において公知の方法を用いてRNAiポリヌクレオチドの3'または5'末端に結合してもよい。siRNAなどの2つの鎖を有するRNAiポリヌクレオチドに対し、疎水性基はいずれの鎖に結合してもよい。

0078

もう一つの態様において、ポリヌクレオチド標的化部分はガラクトースクラスター(ガラクトースクラスター標的化部分)を含む。本明細書において用いられるガラクトースクラスターは、2から4つの末端ガラクトース誘導体を有する分子を含む。本明細書において用いられるガラクトース誘導体なる用語は、ガラクトースおよびアシアロ糖タンパク質受容体に対してガラクトースと同等またはそれよりも大きい親和性を有するガラクトースの誘導体の両方を含む。末端ガラクトース誘導体を分子に、そのC-1炭素を通じて結合する。アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)は肝実質細胞に特有で、分枝ガラクトース末端糖タンパク質に結合する。好ましいガラクトースクラスターは、それぞれアシアロ糖タンパク質受容体に親和性を有する3つの末端ガラクトサミンまたはガラクトサミン誘導体を有する。より好ましいガラクトースクラスターは、3つの末端N-アセチルガラクトサミンを有する。当技術分野において一般的な他の用語には、三分岐ガラクトース、三価ガラクトースおよびガラクトーストリマーが含まれる。三分岐ガラクトース誘導体クラスターはASGPrに、二分岐または単鎖ガラクトース誘導体構造よりも大きい親和性で結合する(Baenziger and Fiete, 1980, Cell, 22, 611-620;Connolly et al., 1982, J. Biol. Chem., 257, 939-945)。nMの親和性を達成するには多価が必要とされる。アシアロ糖タンパク質受容体に親和性を有する1つのガラクトース誘導体の結合は、送達ペプチドと同時投与した場合に、インビボでのRNAiポリヌクレオチドの肝実質細胞への機能的送達を可能にしない。

0079

ガラクトースクラスターはそれぞれ中心の分枝点に連結している3つのガラクトース誘導体を含む。ガラクトース誘導体を中心分枝点に糖のC-1炭素を通じて結合する。ガラクトース誘導体を好ましくは分枝点にリンカーまたはスペーサーを介して連結する。好ましいスペーサーは柔軟な親水性スペーサーである(米国特許第5885968号;Biessen et al. J. Med. Chem. 1995 Vol. 39 p. 1538-1546)。好ましい柔軟な親水性スペーサーはPEGスペーサーである。好ましいPEGスペーサーはPEG3スペーサーである。分枝点は、3つのガラクトース誘導体の結合を可能にし、分枝点のRNAiポリヌクレオチドへの結合をさらに可能にする、任意の低分子である。例示的分枝点基はジリシンである。ジリシン分子は、それを通じて3つのガラクトース誘導体が結合する3つのアミン基、およびそれを通じてジリシンがRNAiポリヌクレオチドに結合しうるカルボキシル反応性基を含む。分枝点のRNAiポリヌクレオチドへの結合は、リンカーまたはスペーサーを通じて起こりうる。好ましいスペーサーは柔軟な親水性スペーサーである。好ましい柔軟な親水性スペーサーはPEGスペーサーである。好ましいPEGスペーサーはPEG3スペーサー(3つのエチレン単位)である。ガラクトースクラスターは当技術分野において公知の方法を用いてRNAiポリヌクレオチドの3'または5'末端に結合してもよい。siRNAなどの2つの鎖を有するRNAiポリヌクレオチドに対し、ガラクトースクラスターはいずれの鎖に結合してもよい。

0080

好ましいガラクトース誘導体はN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。アシアロ糖タンパク質受容体に親和性を有する他の糖類は、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミルガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-プロピオニルガラクトサミン、N-n-ブタノイルガラクトサミン、およびN-イソブタノイルガラクトサミンを含むリストから選択されてもよい。多くのガラクトース誘導体のアシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性は研究されており(例えば:Iobst, S.T. and Drickamer, K. J.B.C. 1996, 271, 6686参照)、または当技術分野において典型的な方法を用いて容易に判定される。

0081

ガラクトースクラスターの一態様

0082

分枝点と核酸との間にPEGスペーサーを有するガラクトースクラスター

0083

ポリヌクレオチド、または核酸もしくはポリ核酸なる用語は、少なくとも2つのヌクレオチドを含むポリマーを意味する当技術分野の用語である。ヌクレオチドはポリヌクレオチドポリマーのモノマー単位である。120未満のモノマー単位を有するポリヌクレオチドはオリゴヌクレオチドと呼ぶことが多い。天然核酸はデオキシリボース-またはリボース-リン酸骨格を有する。非天然または合成ポリヌクレオチドは、インビトロまたは無細胞系重合されるポリヌクレオチドで、天然リボースまたはデオキシリボース-リン酸骨格と同じまたは類似の塩基を含むが、異なる型の骨格を含みうる。ポリヌクレオチドは任意の当技術分野において公知の技術を用いて合成することができる。当技術分野において公知のポリヌクレオチド骨格には、PNA(ペプチド核酸)、ホスホチオアート、ホスホロジアミダートモルホリノ、および天然核酸のリン酸骨格の他の変種が含まれる。塩基にはプリンおよびピリミジンが含まれ、これらにはさらに天然化合物アデニンチミングアニンシトシンウラシルイノシン、および天然類縁体が含まれる。プリンおよびピリミジンの合成誘導体には、アミン、アルコールチオール、カルボキシラート、およびハロゲン化アルキルなどであるが、それらに限定されるわけではない、ヌクレオチド上に新しい反応性基を配置する修飾が含まれるが、それらに限定されるわけではない。塩基なる用語は、DNAおよびRNAの任意の公知の塩基類縁体を含む。ポリヌクレオチドはリボヌクレオチドデオキシリボヌクレオチド合成ヌクレオチド、または任意の適切な組み合わせを含んでいてもよい。ポリヌクレオチドはインビトロで重合してもよく、組換えでもよく、キメラ配列、またはこれらの基の誘導体を含む。ポリヌクレオチドは5'末端、3'末端、または5'および3'両末端に末端キャップ部分を含んでいてもよい。キャップ部分は、逆方向デオキシ脱塩基部分、逆方向デオキシチミジン部分、チミジン部分、または3'グリセリル修飾でありうるが、それらに限定されるわけではない。

0084

RNA干渉(RNAi)ポリヌクレオチドは、配列特異的様式で導入遺伝子メッセンジャーRNAmRNA転写物を分解またはその翻訳を阻害するための、哺乳動物細胞のRNA干渉経路機構との相互作用を通じてRNA干渉を誘導することができる分子である。2つの主なRNAiポリヌクレオチドは低分子(または短い)干渉RNA(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA)である。RNAiポリヌクレオチドは、siRNA、マイクロRNA、二本鎖RNAdsRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、およびRNA干渉を誘導しうるRNAをコードする発現カセットを含む群より選択されうる。siRNAは、典型的には15〜50塩基対、好ましくは21〜25塩基対を含み、細胞内で発現された標的遺伝子またはRNAにおけるコード配列と同じ(完全に相補的)またはほぼ同じ(部分的に相補的)ヌクレオチド配列を有する、二本鎖構造を含む。siRNAはジヌクレオチド3'オーバーハングを有していてもよい。siRNAは2つのアニールしたポリヌクレオチドまたはヘアピン構造を形成する1つのポリヌクレオチドからなっていてもよい。本発明のsiRNA分子センス領域およびアンチセンス領域を含む。一つの態様において、結合体のsiRNAは2つのオリゴヌクレオチド断片から構築され、ここで1つの断片はsiRNA分子のアンチセンス鎖のヌクレオチド配列を含み、第二の断片はsiRNA分子のセンス領域のヌクレオチド配列を含む。もう一つの態様において、センス鎖はアンチセンス鎖に、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーなどのリンカー分子を介して接続される。マイクロRNA(miRNA)は、それらのmRNA標的の破壊または翻訳抑制を誘導する、約22ヌクレオチドの長さの小さい非コードRNA遺伝子産物である。miRNAと標的mRNAとの間の相補性が部分的である場合、標的mRNAの翻訳が抑制される。相補性が高度である場合、標的mRNAは切断される。miRNAについて、複合体は、典型的にはmiRNAと部分的相同性しか共有しないmRNAの3'UTRに通常は位置する標的部位に結合する。「シード領域」-その標的と完全な塩基対を形成する、miRNAの5'末端における約7つの連続するヌクレオチドのひと続きの配列-は、miRNA特異性において重要な役割を果たす。RISC/miRNA複合体のmRNAへの結合は、タンパク質翻訳の抑制またはmRNAの切断および分解のいずれかを引き起こしうる。最近のデータは、シード領域でのみ完全な塩基対形成を示す代わりに、miRNAおよびその標的の全長にわたり完全な相同性がある場合に、mRNA切断が優先的に起こることを示している(Pillai et al. 2007)。

0085

RNAiポリヌクレオチド発現カセットは細胞内で転写されて、siRNA、別々のセンスおよびアンチセンス鎖直鎖siRNA、またはmiRNAとして機能しうる小さいヘアピンRNAを産生することができる。RNAポリメラーゼIII転写DNAは、U6プロモーター、H1プロモーター、およびtRNAプロモーターを含むリストから選択されるプロモーターを含む。RNAポリメラーゼIIプロモーターには、U1、U2、U4、およびU5プロモーター、snRNAプロモーター、マイクロRNAプロモーター、ならびにmRNAプロモーターが含まれる。

0086

公知のmiRNA配列のリストは、特にWellcome Trust Sanger Institute、Penn Center for Bioinformatics、Memorial Sloan Kettering Cancer Center、およびEuropean Molecule Biology Laboratoryなどの研究組織によって維持されるデータベース中に見いだすことができる。公知の有効なsiRNA配列および同族結合部位も関連する文献中に詳細に示されている。RNAi分子は当技術分野において公知の技術によって容易に設計され、産生される。加えて、有効かつ特異的配列モチーフを見いだす機会を高めるコンピューターツールがある(Pei et al. 2006, Reynoldset al. 2004, Khvorova et al. 2003, Schwarz et al. 2003, Ui-Tei et al. 2004, Heale et al. 2005, Chalk et al. 2004, Amarzguioui et al. 2004)。

0087

本発明のポリヌクレオチドは化学的に修飾することができる。そのような化学的修飾の非限定例には、ホスホロチオアートヌクレオチド間連結、2'-O-メチルリボヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロリボヌクレオチド、2'-デオキシリボヌクレオチド、「ユニバーサル塩基」ヌクレオチド、5-C-メチルヌクレオチド、および逆方向デオキシ脱塩基残基組み込みが含まれる。これらの化学的修飾は、様々なポリヌクレオチド作成物において用いる場合、細胞内でポリヌクレオチド活性を保存するが、同時にこれらの化合物の血清安定性を高めることが示されている。化学的に修飾したsiRNAは、ヒトにおけるインターフェロン活性を活性化する可能性を最小限にすることもできる。

0088

一つの態様において、本発明の化学的に修飾したRNAiポリヌクレオチドは、2つの鎖を有する二重鎖を含み、その一方または両方は化学的に修飾されていてもよく、ここで各鎖は約19から約29ヌクレオチドである。一つの態様において、本発明のRNAiポリヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含むが、細胞または再構成したインビトロ系内部でRNAiを仲介する能力を維持している。RNAiポリヌクレオチドを修飾することができ、ここで化学修飾は1つまたは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のヌクレオチドを含む。本発明のRNAiポリヌクレオチドは、RNAiポリヌクレオチド中に存在するヌクレオチドの総数のパーセンテージとして修飾ヌクレオチドを含みうる。したがって、本発明のRNAiポリヌクレオチドは一般にはヌクレオチドの位置の約5から約100%(例えば、ヌクレオチドの位置の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%)の修飾ヌクレオチドを含みうる。所与のRNAiポリヌクレオチド中に存在する修飾ヌクレオチドの実際のパーセンテージは、RNAiポリヌクレオチド中に存在するヌクレオチドの総数に依存する。RNAiポリヌクレオチドが一本鎖である場合、修飾パーセント一本鎖RNAiポリヌクレオチド中に存在するヌクレオチドの総数に基づきうる。同様に、RNAiポリヌクレオチドが二本鎖である場合、修飾パーセントはセンス鎖、アンチセンス鎖、またはセンスおよびアンチセンス両方の鎖中に存在するヌクレオチドの総数に基づきうる。加えて、所与のRNAiポリヌクレオチド中に存在する修飾ヌクレオチドの実際のパーセンテージは、RNAiポリヌクレオチド中に存在するプリンおよびピリミジンヌクレオチドの総数にも依存しうる。例えば、ここでRNAiポリヌクレオチド中に存在するすべてのピリミジンヌクレオチドおよび/またはすべてのプリンヌクレオチドが修飾される。

0089

RNAiポリペプチドは遺伝子によってコードされるRNAの発現を調節する。複数の遺伝子が互いにある程度の配列相同性を共有しうるため、RNAiポリヌクレオチドは十分な配列相同性を有する遺伝子のクラスを標的とするよう設計することができる。したがって、RNAiポリヌクレオチドは、異なる遺伝子標的の間で共有される、または特定の遺伝子標的に特有である、配列に対する相補性を有する配列を含むことができる。したがって、RNAiポリヌクレオチドは、いくつかの遺伝子間の相同性を有するRNA配列の保存領域を標的とし、それにより遺伝子ファミリー内のいくつかの遺伝子(例えば、異なる遺伝子アイソフォームスプライスバリアント突然変異体遺伝子など)を標的とするよう設計することができる。もう一つの態様において、RNAiポリヌクレオチドは、1つの遺伝子の特定のRNA配列に特有な配列を標的とするよう設計することができる。

0090

相補性なる用語は、ポリヌクレオチドが伝統的なワトソン-クリックまたは他の非伝統的な型のいずれかによりもう一つのポリヌクレオチド配列と水素結合を形成する能力を意味する。本発明のポリヌクレオチド分子に関して、ポリヌクレオチド分子のその標的(エフェクター結合部位)または相補的配列との結合自由エネルギーは、ポリヌクレオチドの関連する機能、例えば、酵素的mRNA切断または翻訳阻害を進行させるのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの判定は当技術分野において周知である(Frier et al. 1986, Turner et al. 1987)。相補性パーセントは、第二のポリヌクレオチド配列と水素結合(例えば、ワトソン-クリック塩基対形成)を形成しうる、第一のポリヌクレオチド分子の、近接鎖における塩基のパーセンテージ(例えば、10のうちの5、6、7、8、9、10は50%、60%、70%、80%、90%、および100%の相補性である)を示す。完全に相補性とは、ポリヌクレオチド配列の近接鎖中の塩基すべてが第二のポリヌクレオチド配列における同じ数の近接塩基と水素結合することを意味する。

0091

遺伝子発現を阻害する、ダウンレギュレートする、またはノックダウンするとは、遺伝子から転写されたRNAのレベル、またはRNAから翻訳されたポリペプチド、タンパク質もしくはタンパク質サブユニットのレベルにより評価しての遺伝子の発現が、本発明の阻止ポリヌクレオチド結合体非存在下で観察されるものよりも低減されることを意味する。本発明の組成物により送達されるポリヌクレオチドによる、遺伝子発現の阻害、ダウンレギュレーション、またはノックダウンは、好ましくは対照不活性核酸、混乱した配列もしくは不活化ミスマッチを含む核酸存在下、またはマスクしたポリマーへのポリヌクレオチドの結合非存在下で観察されるレベルよりも低い。

0092

インビボ投与
薬理学および毒性学において、投与経路は薬物、液体、毒、または他の物質を体に接触させる道である。一般に、哺乳動物を治療するための薬物および核酸の投与法は当技術分野において周知で、本発明の組成物の投与に適用することができる。本発明の化合物は、任意の適切な経路を介して、最も好ましくは非経口により、その経路に適切に合わせて作られた製剤で投与することができる。したがって、本発明の化合物は、注射により、例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、または腹腔内投与することができる。したがって、本発明は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物も提供する。

0093

投与の非経口経路には、シリンジおよび針またはカテーテルを用いる、血管内(静脈内、動脈内)、筋肉内、実質内、皮内、真皮下、皮下、腫瘍内、腹腔内、クモ膜下、硬膜下硬膜外、およびリンパ内注射が含まれる。本明細書における血管内とは、体内の組織または臓器に接続される、血管と呼ばれる管状構造内を意味する。管状構造の腔内で、体液は体の部分に流動し、または体の部分から流動する。体液の例には、血液、脳脊髄液CSF)、リンパ液、または胆汁が含まれる。血管の例には、動脈、細動脈毛細血管細静脈洞様血管、静脈、リンパ管胆管、および唾液腺または他の外分泌腺の管が含まれる。血管内経路には、動脈または静脈などの血管を通じての送達が含まれる。血液循環系薬剤全身拡散を提供する。

0094

記載した組成物を、薬学的に許容される担体溶液中で注射する。薬学的に許容されるとは、薬理学的/毒性学的観点から哺乳動物に対して許容される特性および/または物質を意味する。薬学的に許容されるなる語句は、生理的に耐容でき、典型的には哺乳動物に投与した場合にアレルギー性または他の有害もしくは毒性反応を生じない、分子実体、組成物、および特性を意味する。好ましくは、本明細書において用いられる薬学的に許容されるなる用語は、動物、特にヒトにおいて用いるために、連邦もしくは州政府規制機関により承認されている、または米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に収載されていることを意味する。

0095

RNAiポリヌクレオチド-標的化部分結合体を、送達ペプチドと同時投与する。同時投与とは、RNAiポリヌクレオチドおよび送達ペプチドを哺乳動物に、両方が哺乳動物中に同時に存在するように投与することを意味する。RNAiポリヌクレオチド-標的化部分結合体および送達ペプチドを一斉に投与してもよく、またはこれらを逐次投与してもよい。一斉投与のために、これらを投与前に混合してもよい。逐次投与のために、RNAiポリヌクレオチド-標的化部分結合体または送達ペプチドのいずれかをまず投与してもよい。

0096

RNAiポリヌクレオチド-疎水性標的化部分結合体について、RNAi結合体を送達ペプチドの投与の30分前までに投与してもよい。同様にRNAiポリヌクレオチド-疎水性標的化部分結合体について、送達ペプチドをRNAi結合体の投与の2時間前までに投与してもよい。

0097

RNAiポリヌクレオチド-ガラクトースクラスター標的化部分結合体について、RNAi結合体を送達ペプチドの投与の15分前までに投与してもよい。同様にRNAiポリヌクレオチド-ガラクトースクラスター標的化部分結合体について、送達ペプチドをRNAi結合体の投与の15分前までに投与してもよい。

0098

治療効果
RNAiポリヌクレオチドを研究目的のため、または細胞において治療的である変化を生じるために送達してもよい。RNAiポリヌクレオチドのインビボ送達は、研究試薬のため、ならびに様々な治療、診断、標的確認、ゲノム発見遺伝子工学、および薬理ゲノミクス適用のために有用である。発明者らは、肝実質細胞における内因性遺伝子発現の阻害をもたらすRNAiポリヌクレオチド送達を開示してきた。ポリヌクレオチドの送達後に測定したレポーターマーカー)遺伝子発現のレベルは、他のポリヌクレオチド送達後の遺伝子発現が同様のレベルであるとの合理的な予想を示している。当業者により有益と考えられる治療のレベルは疾患ごとに異なる。例えば、血友病AおよびBはそれぞれX連鎖第VIIIおよび第IX凝固因子欠失によって引き起こされる。これらの臨床経過は第VIIIまたは第IX因子の通常の血清レベルのパーセンテージによって大きく影響される:<2%、重度;2〜5%、中等度;および5〜30%軽度。したがって、重度患者における循環因子通常レベルの1%から2%への上昇は有益であると考えることができる。6%よりも高いレベルは自然出血を防止するが、手術または傷害続発するものは防止しない。同様に、遺伝子の阻害は治療的利益を提供するために100%である必要はない。遺伝子療法の当業者であれば、マーカー遺伝子の結果の十分なレベルに基づき、疾患に特異的な遺伝子発現の有益なレベルを合理的に予想するであろう。血友病の例において、マーカー遺伝子が発現されて第VIII因子の通常レベルの2体積%に匹敵するレベルでタンパク質を生じる場合、第VIII因子をコードする遺伝子も同様のレベルで発現されるであろうと合理的に予期することができる。したがって、レポーターまたはマーカー遺伝子は一般に細胞内タンパク質の発現の有用な代表例として役立つ。

0099

肝臓は、その代謝(例えば、様々な高コレステロール血症におけるリポタンパク質代謝)および循環タンパク質の分泌(例えば、血友病における凝固因子)における中心的役割を考慮すると、遺伝子療法の最も重要な標的組織の1つである。加えて、慢性肝炎(たとえばB型肝炎ウイルス感染)および肝硬変などの後天的障害は一般的で、ポリヌクレオチドに基づく肝臓療法によって治療できる可能性もある。肝臓に影響をおよぼす、または肝臓によって影響を受けるいくつかの疾患または状態は、肝臓における遺伝子発現のノックダウン(阻害)を通じて治療できる可能性がある。そのような肝疾患および状態は、肝臓癌肝実質細胞癌、HCCを含む)、ウイルス感染症肝炎を含む)、代謝障害高脂血症および糖尿病を含む)、線維症、および急性肝傷害を含むリストから選択されうる。

0100

投与することになる送達ペプチドおよびRNAiポリヌクレオチド結合体の量(用量)は経験的に決定することができる。発明者らは、0.1〜10mg/kg動物体重のsiRNA結合体および5〜60mg/kg動物体重の送達ペプチドを用いて、遺伝子発現の有効なノックダウンを示している。マウスにおける好ましい量は0.25〜2.5mg/kgのsiRNA結合体および10〜40mg/kgの送達ペプチドである。より好ましくは、約12.5〜20mg/kgの送達ペプチドを投与する。RNAiポリヌクレオチド結合体は典型的には大量でも非毒性であるため、その量は容易に増大させる。

0101

本明細書において用いられるインビボとは、生物の内部で起こるもの、より具体的には、部分的または死んだものに対して、哺乳動物などの全体の生きている多細胞生物(動物)の生きている組織内または組織上で行われるプロセスを意味する。

0102

実施例1.メリチン合成
すべてのメリチンペプチドは、当技術分野において標準のペプチド合成技術を用いて作成した。適切なメリチンペプチドは全L型アミノ酸、全D型アミノ酸(インベルソ)でありうる。LまたはD型とは独立に、メリチンペプチド配列反転することができる(レトロ)。

0103

実施例2.メリチン修飾
メリチン誘導体のアミノ末端修飾。CKLK-メリチン(20mg/ml)、TCEP-HCl(28.7mg/ml、lOOmM)、およびMES-Na(21.7mg/ml、lOOmM)の溶液をdH2O中で調製した。20mlのシンチレーションバイアル中、CKLK-メリチン(0.030mmol、5ml)を1.7モル当量のTCEP-HCl(0.051mmol、0.51ml)と反応させ、室温で30分間撹拌した。次いで、MES-Na(2ml)および水(1.88ml)を、10mg/mlメリチンおよび20mM MES-Naの最終濃度を得るための量で加えた。pHをチェックし、pH6.5〜7に調節した。NAG-PEG2-Brの溶液(100mg/ml)をdH2O中で調製した。NAG-PEG2-Br(4.75当量、0.142mmol、0.61ml)を加え、溶液を室温で48時間撹拌した。

0104

または、20mlのシンチレーションバイアル中、Cys-メリチン(0.006mmol、1ml)を1.7モル当量のTCEP-HCl(0.010mmol、100μl)と反応させ、室温で30分間撹拌した。MES-Na(400μl)および水(390μl)を、10mg/mlメリチンおよび20mM MES-Naの最終濃度を得るための量で加えた。pHをチェックし、pH6.5〜7に調節した。NAG-PEG8-マレイミドの溶液(100mg/ml)をdH2O中で調製した。NAG-PEG8-マレイミド(2当量、0.012mmol、110μl)を加え、溶液を室温で48時間撹拌した。

0105

試料をLuna 10μ C18 100Å 21.2×250mmカラムで精製した。緩衝液A:H20 0.1%TFAおよび緩衝液B:MeCN、10%イソプロピルアルコール、0.1%TFA。流速15ml/分、20分間で35%Aから62.5%B。

0106

他のアミノ末端修飾を同様の手段を用いて作成した。カルボキシル末端修飾を、アミノ末端システインを有するメリチンの代わりにカルボキシル末端システインを有するメリチンペプチドを用いて作成した。

0107

修飾Cys-メリチンまたはメリチン-Cysに対して用いる化合物:

nは1から120の整数である(最大約5kDaのPEG分子量)

0108

アセチル、ジメチル、ステアロイルミリストイル、およびPEGアミノまたはカルボキシル末端修飾を有するが、末端システイン残基を有していないペプチドを、当技術分野において典型的な方法を用いて、ペプチド合成中に樹脂上で生成した。

0109

実施例3.マスキング剤合成
A. pHに不安定なマスキング剤:立体安定化剤CDM-PEGおよび標的指向基CDM-NAG(N-アセチルガラクトサミン)合成
50mL塩化メチレン中のCDM(300mg、0.16 mmol)の溶液に、塩化オキサリル(2g、10重量当量)およびジメチルホルムアミド(5μl)を加えた。反応を終夜進行させ、その後過剰の塩化オキサリルおよび塩化メチレンをロータリーエバポレーションにより除去して、CDM酸塩化物を得た。酸塩化物を1mLの塩化メチレンに溶解した。この溶液に、10mLの塩化メチレン中のCDM-PEGについてはポリエチレングリコールモノメチルエーテル(MW平均550)またはCDM-NAGについては(アミノエトキシ)エトキシ-2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシド(すなわち、アミノビスエトキシ-エチルNAG)(1.1モル当量)、およびピリジン(200μl、1.5当量)を加えた。次いで、溶液を1.5時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し、得られた固体を5mLの水に溶解し、0.1%TFA、水/アセトニトリル勾配を用いての逆相HPLCにより精製した。

一般的な二置換無水マレイン酸マスキング剤
R1は中性ASGPrリガンドを含む。好ましくは非荷電のマスキング剤。

Rはメチルまたはエチルであり、かつnは2から100の整数である。好ましくは、PEGは5から20のエチレン単位を含む(nは5から20の整数である)。より好ましくは、PEGは10〜14のエチレン単位を含む(nは10から14の整数である)。PEGは長さが変動するものであってもよく、5〜20または10〜14エチレン単位の平均長を有していてもよい。または、PEGは、例えば、正確に11または13エチレン単位を有する、単分散、一様または離散型であってもよい。

nは1から10の整数である。上に示す通り、PEGスペーサーは無水物基とASGPrリガンドとの間に位置してもよい。好ましいPEGスペーサーは1〜10エチレン単位を含む。

0110

または、無水物とN-アセチルガラクトサミンとの間でアルキルスペーサーを用いてもよい。

nは0から6の整数である。

0111

無水物とN-アセチルガラクトサミンとの間で他のスペーサーまたはリンカーを用いてもよい。しかし、親水性、中性(好ましくは非荷電)スペーサーまたはリンカーが好ましい。

0112

B.プロテアーゼ(ペプチダーゼ)切断可能なマスキング剤
メリチンペプチドは、特殊化した酵素切断可能なリンカーを用いて可逆的に修飾することもできる。これらの酵素切断可能なリンカーはアミドベンジル活性化カルボナート部分に連結されたジペプチドを用いる。活性化カルボナートとペプチドアミンとの反応により、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドなどの標的指向化合物がメリチンペプチドに、ペプチダーゼ切断可能なジペプチド-アミドベンジルカルバマート連結を介して連結される。ジペプチドの酵素切断により、標的指向リガンドがペプチドから除去されて脱離反応が誘発され、これはペプチドアミンの再生を引き起こす。以下の酵素的に切断可能なリンカーを合成した:


ジペプチドGlu-Gly、Ala-Cit、Phe-Cit(「Cit」はアミノ酸シトルリンである)を示す。他のアミノ酸の組み合わせも許容可能である。加えて、アミドベンジル基と標的指向リガンドとの間のリンカーとして、3〜5つのアミノ酸を用いてもよい。さらに、当技術分野において公知の他の活性化カルボナートも上記の化合物において用いるパラ-ニトロフェノールの代わりに容易に用いられる。

0113

実施例4.メリチンの可逆的修飾/マスキング
A.無水マレイン酸に基づくマスキング剤による修飾
修飾前に、5×mgの二置換無水マレイン酸マスキング剤(例えば、CDM-NAG)を0.1%氷酢酸水溶液から凍結乾燥した。乾燥した二置換無水マレイン酸マスキング剤に、0.2×mLの等張グルコースおよび10×mgのHEPES遊離塩基中のメリチン×mgの溶液を加えた。無水物が完全に溶解した後、動物への投与前に、溶液を室温で少なくとも30分間インキュベートした。二置換無水マレイン酸マスキング剤のペプチドとの反応により下記を得た:

式中、Rはメリチンであり、かつR1はASGPrリガンド(例えば、NAG)を含む。無水物とポリマーアミンとの間の反応で生じた無水物カルボキシルは、予想される電荷の約1/20を示す(Rozema et al. Bioconjugate Chemistry 2003)。したがって、膜活性ポリマーは、高度に負に荷電したポリアニオンに変換されるのではなく、有効に中和される。

0114

B.プロテアーゼ切断可能なマスキング剤による修飾
1×mgのペプチドおよび10×mgのHEPES塩基を1〜10mg/mLで、2〜6×mgのNAG含有プロテアーゼ切断可能基質のアミン反応性p-ニトロフェニルカルボナートまたはN-ヒドロキシスクシンイミドカルボナート誘導体の添加によりマスクした。次いで、動物への注入前に、溶液を室温(RT)で少なくとも1時間インキュベートした。

0115

実施例5. siRNA
siRNAは以下の配列を有していた:
第VII因子-齧歯類

第VII因子=霊長類

ApoB siRNA:

siLUC

小文字=2'-O-CH3置換
s=ホスホロチオエート連結
ヌクレオチドの後のf=2'-F置換
ヌクレオチドの前のd=2'-デオキシ

0116

RNA合成を、AKTA Oligopilot 100(GE Healthcare、Freiburg、Germany)および固体支持体としての多孔性ガラス(CPG)を用い、固相上で通常のホスホラミダイト化学により実施した。

0117

実施例6. siRNA標的指向分子結合体
A. GalNAcクラスターの合成
GalNAcクラスターポリヌクレオチド標的指向リガンドを米国特許出願公開第20010207799号に記載のとおりに合成した。

0118

B. GalNAcクラスター-siRNA結合体
前述の実施例6AのGalNAcクラスターを、図2に示し、以下に記載するとおりに、siRNAに結合した。

0119

(1)化合物1(150mg、0.082mmol、図2)を無水メタノール(5.5ml)に溶解し、ナトリウムメチラート42μLを加えた(MeOH中25%溶液)。混合物をアルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。同量メタノールと、同時にアニオン交換材料のAmberlite IR-120を分割して加え、pH約7.0とした。Amberliteをろ過により除去した。溶液をNa2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。化合物2を白色泡状物として定量的収率で得た。TLC(SiO2、ジクロロメタン(DCM)/MeOH(5:1)+0.1%CH3COOH):Rf2=0.03;検出のために、MeOH中の硫酸の溶液(5%)を用い、続いて加熱した。ESI-MS、直接注入負モード;[M-H]-1計算値:1452.7;[M-H]1-測定値:1452.5。

0120

(2)化合物2(20mg、0.014mmol、図2)をピリジンおよびジクロロメタンと同時蒸発させた。残渣を無水DMF(0.9ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下で撹拌しながらDMF中のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の溶液(1.6mg、0.014mmol)を加えた。0℃でDMF中のN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の溶液(3.2mg、0.016mmol)をゆっくり加えた。反応混合物を室温まで加温し、終夜撹拌した。化合物3をそれ以上精製せずにRNAへの結合に用いた。

0121

(3)アミノ修飾RNAの合成
センス鎖の5'末端にC-6-アミノリンカーを有するRNAを、AKTA Oligopilot 100(GE Healthcare, Freiburg, Germany)および固体支持体として細孔制御ガラス(controlled pore glass)を用い、1215μmolの規模で、固相上、標準のホスホラミダイト化学により産生した。2'-O-メチルヌクレオチドを含むRNAを、対応するホスホラミダイト、2'-O-メチルホスホラミダイトおよびTFA-ヘキシルアミノリンカーアミダイトを用いて生成した。切断および脱保護ならびに精製を、当技術分野において公知の方法により達成した(Wincott F., et al, NAR 1995, 23, 14, 2677-84)。

0122

アミノ修飾RNAをアニオン交換HPLCにより特徴付け純度:96.1%)、同一性をESI-MSにより確認した([M+H]1+計算値:6937.4;[M+H]1+測定値:6939.0。配列:

;u、c:対応する塩基の2'-O-メチルヌクレオチド、s:ホスホロチオアート。

0123

(4)GalNAcクラスターのRNAへの結合
5'末端にC-6-アミノリンカーを有するRNA(2.54μmol)を凍結乾燥し、250μLのホウ酸ナトリウム緩衝液(0.1mol/Lホウ酸ナトリウム、pH8.5、0.1mol/L KCl)および1.1mLDMSOに溶解した。8μLのN,N-ジイソプロピルエチルアミンDIPEA)を加えた後、RNA溶液持続的に撹拌しながら、これにDMF中の化合物3の溶液(理論的には0.014mmol、図2)をゆっくり加えた。反応混合物を35℃で終夜撹拌した。反応をRP-HPLC(Resource RPC 3ml、緩衝液:A:水中100mM酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA、2.0M、pH7.0)、B:95%アセトニトリル中100mM TEAA、勾配:20CVで5%Bから22%B)を用いてモニターした。-20℃でEtOH中の酢酸ナトリウム(3M)を用いてRNAを沈澱させた後、RNA結合体を前述の条件を用いて精製した。純粋な分画を集め、所望の結合体化合物4を酢酸ナトリウム/EtOHを用いて沈澱させ、純粋なRNA結合体を得た。結合体4を収率59%で単離した(1.50μmol)。結合体4の純度をアニオン交換HPLCで分析し(純度:85.5%)、同一性をESI-MSにより確認した([M+H]1+計算値:8374.4;[M+H]1+測定値:8376.0。

0124

(5)結合体4(センス鎖)を2'-O-メチル-修飾アンチセンス鎖とアニールさせた。
siRNA結合体を、アニーリング緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、pH6.8;100mM塩化ナトリウム)中の相補鎖等モル溶液を混合し、85〜90℃の水浴中で3分間加熱し、3〜4時間の間に室温まで冷却することにより生成した。二重鎖形成を、未変性ゲル電気泳動により確認した。

0125

C.疎水性基-siRNA結合体
(1)アルキル基とのsiRNA結合
siRNAの5'-C10-NHSエステル修飾センス鎖(NHSC10-siRNA、またはCOC9-siRNA)を、Glen Research(Virginia, USA)からの5'-Carboxy-Modifier C10アミダイトを用いて調製した。まだ固体支持体に結合している活性化合物RNAを以下の表1に挙げる親油性アミンとの結合のために用いた。センス鎖CPG100mg(ローディング60μmol/g、RNA 0.6μmol)を、Sigma Aldrich Chemie GmbH((Taufkirchen, Germany)またはFluka(Sigma-Aldrich, Buchs, Switzerland)から入手した対応するアミン0.25mmolと混合した。

0126

(表1)疎水性基-siRNA結合体生成において用いる親油性アミン

0127

混合物を40℃で18時間振盪した。RNAを水酸化アンモニウム水溶液(NH3、33%)により45℃で終夜処理して、固体支持体から切断し、脱保護した。2'-保護基をTEA×3HFにより65℃で3.5時間処理して除去した。粗製オリゴヌクレオチドをRP-HPLC(Resource RPC 3ml、緩衝液:A:水中100mM TEAA、B:95%CH3CN中100mM TEAA、勾配:15CVで3%Bから70%B、ただしNr 7だけは勾配:15CVで3%Bから100%B)により精製した。

0128

RNA一本鎖からsiRNAを生成するために、等モル量の相補鎖およびアンチセンス鎖をアニーリング緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、pH6.8;100mM塩化ナトリウム)中で混合し、80℃で3分間加熱し、3〜4時間の間に室温まで冷却した。第VII因子mRNAに向けたsiRNAをゲル電気泳動により特徴付けた。

0129

(2)siRNAのコレステロールへの結合−siRNA-コレステロール結合体を、当技術分野において標準の方法を用いて合成した。コレステロールをsiRNAのセンスまたはアンチセンス鎖の5'または3'末端に結合することができる。好ましい結合は、siRNAのセンス鎖の5'末端への結合である。siRNA-コレステロールは、当技術分野において標準の方法を用い、反応性基(例えば、チオール、アミン、またはカルボキシル)を含むRNA鎖を用いて、siRNA合成後に作成することもできる。

0130

インビボsiRNA送達
実施例7. インビボでのRNAiポリヌクレオチドの投与、および肝細胞への送達
RNAiポリヌクレオチド結合体およびマスクしたメリチンペプチドを前述のとおりに合成した。6〜8週齡のマウス(C57BL/6またはICR系統、それぞれ約18〜20g)をHarlan Sprague Dawley(Indianapolis IN)から入手した。マウスを注入前に少なくとも2日間ケージに収容した。給餌はHarlan Teklad Rodent Diet(Harlan、Madison WI)で適宜行った。マウスに送達ペプチドの溶液0.2mLおよびsiRNA結合体0.2mLを尾静脈に注入した。送達ペプチドおよびsiRNAの同時注入のために、注入前にsiRNA結合体を修飾ペプチドに加え、全量を注入した。組成物は生理的条件で可溶性かつ非凝集性であった。溶液を尾静脈への点滴により注入した。他の血管への注入、例えば、眼窩後注入も等しく有効であると予想される。

0131

Wistar Hanラット(175〜200g)をCharles River(Wilmington、MA)から入手した。ラットを注入前に少なくとも1週間ケージに収容した。ラットの注入量は典型的には1mlであった。

0132

血清ApoBレベルの定量
マウスを4時間(ラットの場合は16時間)絶食させた後に顎下採血により血清を採取した。ラットの場合、血液を頚静脈から採取した。血清ApoBタンパク質レベルを、標準のサンドイッチELISA法によって定量した。簡単に言うと、ポリクローナルヤギ抗マウスApoB抗体およびウサギ抗マウスApoB抗体(Biodesign International)をそれぞれ捕捉および検出抗体として用いた。その後、HRP結合ヤギ抗ウサギIgG抗体(Sigma)を適用してApoB/抗体複合体を結合した。次いで、テトラメチルベンジジン(TMB、Sigma)発色の吸光度をTecan Safire2(Austria、Europe)マイクロプレート読み取り器により450nmで測定した。

0133

血漿第VII因子(F7)活性の測定
動物からの血漿試料を、標準の手順に従い、血液(9倍量)(マウスの場合は顎下採血により、またはラットの場合は頸静脈から)を0.109mol/Lクエン酸ナトリウム抗凝固剤(1倍量)を含む微小遠沈管に採取することにより調製した。血漿中のF7活性を、BIOPHEN VIIキット(Hyphen BioMed/Aniara、Mason、OH)を製造者推奨に従って用い、色素産生法により測定した。発色の吸光度をTecan Safire2マイクロプレート読み取り器により405nmで測定した。

0134

実施例8.インビボでのメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後の内因性ApoBレベルのノックダウン−メリチンペプチドの用量反応
メリチンを前述のとおりCDM-NAGで可逆的に修飾した。次いで、示した量のメリチンを200μgのApoB siRNA-コレステロール結合体と同時注入した。ApoBレベルへの影響を前述のとおりに判定した。

0135

(表2)ApoB-siRNA-コレステロール結合体およびCDM-NAGまたはCDM-PEGで可逆的に阻害したメリチンペプチドによって処置したマウスにおける正常な肝細胞中のApoB活性の阻害

a等張グルコースを注入した動物に比べてのノックダウン

0136

実施例9.ラットにおけるインビボでのメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後の内因性第VII因子レベルのノックダウン
示したメリチンを前述のとおり5×CDM-NAGで可逆的に修飾した。次いで、動物の体重1kgあたりのmgで示した量のメリチンを3mg/kgコレステロール-第VII因子siRNAと同時注入した。第VII因子レベルへの影響を前述のとおりに判定した。

0137

(表3)第VII因子-siRNA-コレステロール結合体およびCDM-NAGで可逆的に阻害したメリチンによって処置したラットにおける正常な肝細胞中の第VII因子活性の阻害

a動物の体重1kgあたりのペプチドmg
b等張グルコースを注入した動物に比べてのノックダウン

0138

実施例10.マウスにおけるインビボでのメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後の内因性ApoBレベルのノックダウン、L型対D型メリチン
メリチンを前述のとおりCDM-NAGで可逆的に修飾した。次いで、示した量のメリチンを50μgのApoB siRNA-コレステロール結合体と同時注入した。ApoBレベルへの影響を前述のとおりに判定した。

0139

(表4)ApoB-siRNAコレステロール結合体およびCDM-NAGで可逆的に阻害したメリチンペプチドによって処置したマウスにおける正常な肝細胞中のApoB活性の阻害

0140

実施例11.マウスにおけるインビボでのメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後の内因性ApoBレベルのノックダウン、通常対逆(レトロ)配列
メリチンを前述のとおりCDM-NAG(5×)で可逆的に修飾した。次いで、示した量のメリチンを示した量のApoB siRNA-コレステロール結合体と同時注入した。ApoBレベルへの影響を前述のとおりに判定した。

0141

(表5)ApoB-siRNAコレステロール結合体および示したCDM-NAGで可逆的に阻害したメリチンペプチドによって処置したマウスにおける正常な肝細胞中のApoB活性の阻害

a−レトロインベルソ=通常のメリチンアミノ酸配列が逆転し、すべてのアミノ酸がD型アミノ酸である(グリシン(G)はアキラルである)。

0142

実施例12.マウスにおけるインビボでのメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後の内因性ApoBレベルのノックダウン、メリチン修飾レベル
メリチンを前述のとおり示した量のCDM-NAGで可逆的に修飾した。次いで、50μgのメリチンを100μgのApoB siRNA-コレステロール結合体と同時注入した。ApoBレベルへの影響を前述のとおりに判定した。

0143

メリチンアミン修飾パーセントをTNBS検定によりペプチド上の遊離アミンに対して定量した。20μgのペプチドを、190μLの50mM BORAX緩衝液(pH9)および16μgのTNBSを含む96穴透明プレート(NUNC96)にピペッティングした。試料をTNBSと室温で約15分間反応させ、次いでA420をSafireプレート読み取り器で測定する。修飾されたアミンの%を以下のとおりに計算する:(Acontrol−Asample)/(Acontrol−Ablank)×100。アミンの80%よりも多くの修飾が最適なメリチンマスキングおよび活性を提供した。

0144

(表6)ApoB-siRNAコレステロール結合体およびCDM-NAGの示したレベルで可逆的に修飾したメリチンによって処置したマウスにおける正常な肝細胞中のApoB活性の阻害

aTNBS検定により定量

0145

実施例13.マウスにおけるインビボでのメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後の内因性ApoBレベルのノックダウン、メリチンペプチド誘導体
示した配列を有するメリチンペプチドを前述のとおりCDM-NAG(5×)で可逆的に修飾した。次いで、示した量のメリチンを示した量のApoB siRNA-コレステロール結合体と同時注入した。ApoBレベルへの影響を前述のとおりに判定した。

0146

(表7)ApoB-siRNAコレステロール結合体および示したCDM-NAGで可逆的に阻害したメリチンペプチドによって処置したマウスにおける正常な肝細胞中のApoB活性の阻害


aマウスあたりのペプチドμg
bマウスあたりのsiRNAμg
dMel=D型アミノ酸を有するメリチンペプチド

0147

実施例14.マウスにおけるインビボでのメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後の内因性ApoBレベルのノックダウン、酵素的に切断可能なマスキング剤
メリチンを前述のとおり示した量の酵素的に切断可能なマスキング剤で可逆的に修飾した。次いで、200〜300μgのマスクしたメリチンを50〜100μgのApoB siRNA-コレステロール結合体と同時注入した。ApoBレベルへの影響を前述のとおりに判定した。ペプチダーゼ切断可能なジペプチド-アミドベンジルカルバマートで修飾したメリチンは有効なsiRNA送達ペプチドであった。D型メリチンペチドの酵素的に切断可能なマスキング剤と組み合わせての使用が好ましい。ペプチドマスキングはより安定であったため、同じレベルの標的遺伝子ノックダウンにはより多くのペプチドが必要とされるが、治療指数は変化または改善のいずれもしなかった(CDM-NAGによる同じペプチドのマスキングに比べて)。

0148

(表8)第VII因子-siRNAコレステロール結合体および示した酵素的に切断可能なマスキング剤で可逆的に阻害したGIL-メリチン(D型)(Seq ID 7)によって処置したマウスにおける正常な肝細胞中の第VII因子活性の阻害

aマスキング反応において用いたメリチンアミンあたりのマスキング剤の量。

0149

実施例15.マウスにおけるインビボでのメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後の内因性ApoBレベルのノックダウン、アミン修飾したメリチンペプチド
示したPEGアミノ末端修飾を含むメリチンペプチドを前述のとおりに合成した。次いで、PEGアミノ末端修飾したメリチンペプチドを前述のとおり5×CDM-NAGで可逆的に修飾した。次いで、示した量のメリチンを100〜200μgのApoB siRNA-コレステロール結合体と同時注入した。ApoBレベルへの影響を前述のとおりに判定した。サイズが5kDa未満のPEGの付加により、メリチンペプチドの毒性が低減した。5kDaよりも大きいPEGでのアミノ末端修飾は、有効性の低下を引き起こした(データは示していない)。

0150

(表9)ApoB-siRNAコレステロール結合体および示したCDM-NAGで可逆的に阻害したメリチンペプチドによって処置したマウスにおける正常な肝細胞中のApoB活性の阻害

0151

実施例16. 膜活性を有することが公知の他のメリチン誘導体配列

0152

(表10)膜活性を有するメリチンペプチド

0153

実施例17.霊長類におけるメリチン送達ペプチドによる第VII因子siRNA送達後の第VII因子ノックダウン
NAG-PEG2-GILメリチンを前述のとおり10×CDM-NAGとの反応によりマスクした。GILメリチンを前述のとおり5×CDM-NAGとの反応によりマスクした。第1日に、1mg/kgのマスクしたNAG-PEG2-GILメリチン、1mg/kgのマスクしたGILメリチン、または3mg/kgのマスクしたGILメリチンを、2mg/kgのコレステロール-第VII因子siRNAと、カニクイザル(Cynomolgus macaque(Macaca fascicularis))霊長類(雄、3.0〜8.0kg)に同時注入した。2ml/kgを伏在静脈に22〜25ゲージ静脈内カテーテルを用いて注入した。対照として、もう一つの霊長類の組に10mg/kg GILメリチンおよび2mg/kgの対照siRNA、コレステロール-ルシフェラーゼsiRNAを同時注入した。示した時点(図3〜5に示す)で、血液試料を採取し、第VII因子および毒性マーカーについて分析した。血液を大腿静脈から採取し、霊長類を終夜絶食させた後、全血を採取した。血液尿素窒素(BUN)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびクレアチニンについて血液検査を、Cobas Integra 400(Roche Diagnostics)により製造者の推奨に従って実施した。第VII因子レベルを前述のとおりに判定した。第VII因子の有意なノックダウンが1mg/kg未満のペプチド用量で観察された。10mg/kgのペプチド用量では有意な毒性は観察されなかった。したがって、マスクしたメリチンペプチドは5〜10の治療指数を有する。

0154

実施例18.霊長類におけるメリチン送達ペプチドによるApoB siRNA送達後のApoBノックダウン
GILメリチンを前述のとおり5×CDM-NAGとの反応によりマスクした。第1日に、2mg/kgのマスクしたGILメリチンを、2mg/kgのコレステロール-ApoB siRNAと、カニクイザル霊長類に同時注入した。示した時点(表11)で、血液試料を採取し、ApoBタンパク質レベルおよび毒性マーカーについて分析した。血液尿素窒素(BUN)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびクレアチニンについて血液検査を、Cobas Integra 400(Roche Diagnostics)により製造者の推奨に従って実施した。ApoBレベルを前述のとおりに判定した。BUN、クレアチニン、またはASTにおいて増大は観察されなかった。第2日(注入の1日後)に、ASTの一過性でわずかな上昇のみが観察された。ApoBのノックダウンは第11日に100%近くに達し、31日間低いままであった。

実施例

0155

(表11)ApoB-siRNAコレステロール結合体およびCDM-NAGでマスクしたGILメリチンによって処置した霊長類における正常な肝細胞中のApoB活性の阻害

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