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技術 糖尿病、低血糖、および関連障害の治療および予防のためのインスリンとクロムの組成物

出願人 ジェーディーエスセラピューティックス、エルエルシー
発明者 コモロフスキ、ジェームズ、アール.
出願日 2012年3月1日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2013-556874
公開日 2014年3月20日 (5年5ヶ月経過) 公開番号 2014-506932
状態 特許登録済
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬
主要キーワード 進行割合 d軌道 同時調整 衝動性眼球運動 マルチユニット シナモン樹皮 しゃくし でたらめ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、クロムおよびインスリン、および/またはクロム−インスリン錯体を含む組成物に関する。その製造方法並びに低血糖症および低血糖症関連疾患の予防および治療のための使用に関する。本発明の組成物は、非経口鼻腔内、および経口を含むあらゆる方法で投与され得る。本発明の組成物は、血清グルコースベルを安定化させ、クロムおよびインスリンを別々に投与する場合に比べて相乗的な効果を有する。

概要

背景

発明の背景
グルコース代謝関連の疾患と障害
多くの疾患および障害は−病因学的にあるいはそうでなければ−障害があるか、変更されたか、もしくは異常なグルコース代謝に関連している。こうした疾患および障害としては、限定されるものではないが、糖尿病高血糖症);低血糖症心血管代謝性症候群アルツハイマー病ハンチントン病てんかん虚血パーキンソン病健忘症認知症軽度認知障害(MCI);注意欠陥多動性障害ADHD);筋萎縮性側索硬化症ALS);および外傷性脳損傷が挙げられる。

低血糖症
低血糖症は、文字通り「低血糖」を意味する用語である。低血糖症は、約60mg/dL以下の血糖値の状態を含むが、この血糖値に限定されるものではない。例えば、糖尿病等による高血糖を有する人が、インスリン注射または抗糖尿病剤投与により血糖値の低下を受ける場合、あるいは健康な個体が飢餓や激しい運動により血糖値の急激な低下を受ける場合、低血糖に似た病状が、約100mg/dLの血糖値においてさえ現れることがある。低血糖症はしばしば、糖尿病治療副作用(例えば、インスリンの投与)として生じる。しかし、低血糖症は、他の薬や病気ホルモン酵素欠乏症、または腫瘍から生じることもある。さらに、低血糖は、大量の炭水化物を摂取する長期の習慣アルコールの過剰摂取;そして、栄養不足の状態での長時間の極端な運動の継続に起因することがある。しかし、糖尿病治療または他の薬剤によって誘導される低血糖は、低血糖症の他の原因と比較して、特に危険であり、高い確率で厳しい症状をもたらす。

低血糖症関連障害および低血糖症関連合併症は、インスリンによって誘発される脳組織の損傷等などの、低血糖の結果として生じる症状や合併症を指す。低血糖症関連疾患と低血糖関連症状は、血液中グルコースレベルの低下が、脳内のグルコースレベルの減少を伴い、それにより、倦怠感、一般的な不快感、狼狽、倦怠感、苛立ち震え頭痛脱力感、冷や動悸を引き起こし、さらにまた、深刻な場合には、死亡にもつながる可能性がある意識障害昏睡を引き起こす。

真性糖尿病
糖尿病は、少なくとも1000万人のアメリカ人に影響を与えることが知られており、数百万を超える人が無意識のうちにその病気に罹患している可能性がある。糖尿病は、アメリカ合衆国における死因の6番目の主要な原因であり、1997年には、193,000人を超える人の死亡を占めている。糖尿病は、膵臓がグルコースレベルを制御することが可能なレベルでインスリンを放出しない疾患状態である。糖尿病は、2つのタイプに分類される。最初のタイプは、インスリン依存性であり、通常は若い人に現れる糖尿病(1型)である。膵臓の膵島細胞が、主に自己免疫破壊によりインスリンの生産を停止する。1型糖尿病のための標準的治療は、インスリンの投与である。1型糖尿病患者は、全糖尿病患者の少数派(糖尿病患者全体の最大10%)である。糖尿病の第2のタイプ(2型)は、インスリン抵抗性および不十分なインスリン分泌の組み合わせによって引き起こされるインスリン非依存性糖尿病である。これは、西洋世界における糖尿病の最も一般的なタイプである。これらの患者のうち、アメリカ合衆国を含む世界各国の成人人口の8%近くは、2型糖尿病に罹患しており、約30%は、二次的な膵臓の機能低下により生存期間中にいくつかの時点でインスリンを使う必要があるであろう。

米国糖尿病協会(ADA)、世界保健機構(WHO)、日本糖尿病学会(JDS)は、最近、臨床および疫学研究の成果を考慮して、糖尿病の新しい診断基準発表した。これらの基準の下では、次の血糖値のいずれかが観察されると、人は糖尿病患者として分類される:空腹時血糖値≧126mg/dL;随時血糖値≧200mg/dL;または75グラム経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)後2時間の血糖値≧200mg/dL(Diabetes Care 20: 1183 (1997); Diabet Med 15: 539 (1998);およびDiabetes 42:385(1999))。

1型糖尿病患者と多くの2型糖尿病患者は、彼らの膵臓は、グルコース代謝をサポートするために必要である十分なインスリンを産生することができないので、1日に複数回のインスリン投与により彼らの血糖濃度を管理しなければならない。適切なインスリン投与量を投与する目的は、血液1リットル当たり約1グラム、または100mg/dLである生理的基準に近い血糖値を維持することである。十分ではないインスリンが投与される場合には、血糖値は、高血糖値となり、健康への有害な合併症をもたらす。逆に、あまりにもインスリンが投与される場合は、グルコースレベルが正常値よりも有意に下がり、低血糖と呼ばれる重篤急性の病状をもたらす。糖尿病患者が、彼のまたは彼の緊急の必要量を知ることは難問であり、糖尿病患者が100mg/dLの望ましい正常血糖値の目標から2倍または3倍離れた数値となることは珍しくない。十分に管理されないと、対象の血糖は、1時間未満で、高血糖から低血糖へ、またはその逆へ交替し得る。低血糖症は、放置すれば、発作脳障害、昏睡、または死亡につながる場合がある。従って、インスリンで血中グルコースレベルを管理する改善された方法が必要である。

脳グルコース代謝/輸送体ならびに関連疾患および障害
グルコース恒常性は、エネルギー生成神経細胞の維持、神経細胞新生神経伝達物質の調節、細胞生存、およびシナプス可塑性のために重要である。グルコースは、哺乳類の脳のための主要エネルギー源であり、認知機能における重要な役割がある。

血液から脳へのグルコースの送達は、血液脳関門内皮細胞ならびに神経細胞および神経膠原形質膜を通過して、グルコースを輸送する必要があり、それは、促進性グルコース輸送タンパク質によって媒介される。促進性のグルコース輸送は、密接に関連するグルコース輸送体(GLUTファミリーの1つまたは複数のメンバーによって媒介される。GLUTファミリーのメンバーのうち13が、これまでに記述されてきた。組織特異的グルコース輸送体は、脳のグルコース濃度を維持するために、臓器間のグルコースを割り当てる。脳グルコース代謝で機能する2つの主要グルコース輸送体アイソフォームは、GLUT−1とGLUT−3である。GLUT−1は、血液脳関門、脈絡叢上衣、および神経膠の主要輸送体であり、GLUT−3は、神経グルコース輸送体である。GLUT−4は、一方では、筋肉および脂肪細胞の膜を通過してグルコースを運ぶ

グルコース取り込み調節因子のインスリンは、膵臓から分泌される。インスリンは、筋肉と脂肪にグルコースを割り当てる。視床下部下垂体副腎(HPA)系、交感神経系(SNS)、および血管内皮増殖因子は、脳にグルコースを割り当てる。脳から、および筋肉と脂肪の両方からのフィードバック経路は、グルコース配分と外因性のグルコース供給の調節に関与している。さらに、インスリンは、血液脳関門(BBB)を通過して神経細胞および神経膠細胞に到達し、グルコース代謝に関して領域特異的な効果を発揮することができる。増加したグルコースの摂取は、血液から脳へのグルコースの正味の輸送の増加を引き起こす。インスリン誘発性低血糖は、脳のGLUT−1とGLUT−3の濃度を増加させることが示されている。(Ueharaら (1997)Am.J.Physiol. 272:E716−E719)。このように、インスリンは輸送機構に作用することなく、間接的に輸送に影響を与える。インスリン作用の一部は、血液中のアミノ酸バランスの変化を介して脳外組織中で起こる可能性が提案されている。(Reaganら (1999)Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.276:E879−E886)。

GLUT−1は、血液脳関門を通過するグルコースの輸送を容易にする。GLUT−1の発現レベルは、インスリンに非依存性である。むしろ、GLUT−1は、下垂体の対向制御ホルモンである血管内皮増殖因子(VEGF)のような血管機能の強力な制御因子に依存する。HPA系のオーバードライブは、メタボリック症候群として周知の臨床的側面である、中心性肥満、高血糖、脂質異常症、および高血圧などの代謝異常を引き起こす。骨格筋におけるGLUT−1の過剰発現は、基礎グルコース取り込みの増加により乳酸グリコーゲンの著しい増加を伴い、増加したグルコース流量は、インスリンと他の刺激による活性化に対するGLUT−4の抵抗(例えば低酸素収縮活動)をもたらす。(Katsumataら (1999)FASEB J.11:1405−13)。

神経細胞特異的グルコース輸送体GLUT−3は、中枢神経系の神経細胞へのグルコースの送達のみに関与している。GLUT−3のmRNAは、海馬錐体神経歯状回顆粒神経細胞、および皮質を含む、脳で広く発現している。

脳特異的キナーゼ1および2(BRSK1/2)は、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)関連のキナーゼであって、哺乳類の前脳において高発現される。AMPKの活性化は、排他的でないとはいえ、骨格筋で見られるインスリン依存性グルコース輸送体GLUT−4の補充の細胞膜への誘導において重要な役割を果たしている。骨格筋における細胞膜へのGLUT−4の転座を刺激するAMPKの能力は、インスリンとAMPKが一緒の効果は相加的であるため、インスリンによって刺激されるものとは異なるメカニズムを介して生じる。GLUT−4の調節におけるその役割に加えて、AMPKがGLUT−1を介してグルコース輸送を制御することをデータは示唆している。

脳内の変化したグルコース代謝は、限定されるものではないが、アルツハイマー病、ハンチントン病、てんかん、虚血、健忘症、および外傷性脳損傷を含む種々の疾患状態と関連する。グルコース輸送体の発現は、変化したグルコース代謝に関連すると考えられている。慢性的な高血糖は、脳のmRNAと蛋白質レベルの両方でGLUT−1およびGLUT−3の発現を下方制御するが、これは、微小血管密度の減少によるものではない(Houら(2007)Chin Med J(Engl).120(19):1704−1709)。GLUT−1とGLUT−3の発現の下方制御は、細胞の損傷につながる可能性がある、過剰なグルコースが細胞に入るのを防ぐための身体の適応反応であるかもしれない。研究では、慢性的なストレスは、認知障害を伴う海馬で、分子形態学的な、超微細構造の変化を生成することを示唆している。さらに、インスリン抵抗性、認知症、認知障害、およびアルツハイマー病では、高インスリン血症を生じる、インスリンに対する感受性の低下がある。インスリンの毒性レベルは、神経機能と生存に負の影響を与え、末梢インスリン濃度の上昇は、脳脊髄液CSF)の濃度を急性的に増加させる。末梢性高インスリン血症は、アミロイドベータペプチド(Abeta)の異常な除去と増大されたcdk5およびGSK3ベータ活性の結果としてのタウリン酸化の増加と相関する。これは、神経変性表現型および認知機能の低下を誘発する細胞のカスケードにつながる。

アルツハイマー病では、グルコース代謝が低下し、最も影響を受けた領域として前頭葉と海馬における脳微小血管でのGLUT−1タンパク質の減少した量と関連付けられる。(Kalariaら(1989)J.Neurochem.53:1083−1088)。同様に、GLUT−3レベルは、アルツハイマー病患者の脳で減少することが報告されている。(Simpsonら(1994)Ann.Neurol.35:546−551)。

軽度認知障害(MCI)と呼ばれる症状が、前駆症状のアルツハイマー病を表しており、早期に診断された場合、薬物介入の最善の機会を示すことを研究は示唆している。MCIの診断のために使用される臨床基準は、Petersenらの基準(Arch Neurol(1999)56:303−308)であり、以下のものを含む:情報提供者によって確認される記憶の病訴年齢教育に対する客観的記憶障害;正常な一般的認知機能;問題ない日常生活の活動;そして、対象は認知症の基準を満たしていない。

ハンチントン病は、神経変性疾患である。この病気の初期段階は、人格認知、または身体的な能力における微妙な変化によって特徴付けられる。最も特徴的な初期の身体的な症状は、ぎくしゃくした、でたらめな、かつ制御不能動きで特徴付けられる舞踏病である。舞踏病は、多くの場合、最初は一般的な落ち着きのなさ、小さな、意図せずに始められたあるいは未完成の動作、協調運動失調、または遅延型衝動性眼球運動として示される。疾患が進行するにつれて、硬直、反復的動作、または異常姿勢などの徴候が現われる。これらの症状は、当該疾患の発症の段階とみなされ、徐々に支配的な身体症状となる。若年性ハンチントン病は、一般的に速く進行し、仮にあったとしても舞踏病が一時的に示され、硬直が主な症状であるという点で、これらの症状とは異なる。また、発作が若年性ハンチントン病の一般的な症状である。ハンチントン病では、GLUT−1、GLUT−3のレベルは、脳の尾状部分で減少している。(Gamberinoら(1994)J.Neurochem.63:1392−1397)。尾状でのグルコース代謝の低下は、ハンチントン病のリスクがある症候性と臨床的に無症候性の両方の対象で報告されている。(Mazziottaら(1987)New England J.Med.316:357−362)。

グルコース輸送は、また、少なくとも一部は血液脳関門内皮におけるGLUT−1の発現低下に起因する、ヒトてんかん脳で減少もしている。(Cornfordら(1998)Ann.Neurol.43:801−808;Cornfordら(1998)J.Neuropathol.Exp.Neurol.54:842−851)。

特発性てんかんは、より大きな集団よりも、1型糖尿病の集団でより大きな発生率を有する。(Hannonenら(2003)Developmental Medicine & Child Neurology 45:4:262−268)。その結果から推定される意義は、いくつかの方法で解釈することができた。糖尿病は、部分的に特発性全般てんかんの原因となったか、あるいは、2つの症状は、発症が異なる年齢を有していた。高血糖、軽度の高浸透圧、および低ナトリウム血症を含む代謝異常は、限局性脳障害の分野で持続性部分てんかんの進行に関与する。後頭部発作と半盲は、高血糖が原因で発生することがあり、特殊なMRIVEP所見を伴うことがある。虚血前高血糖に起因する発作および遅延型神経損傷の発生率の増加は、グルコースレベルよりもむしろコルチコステロンレベルに対応し、その脳虚血性損傷予測する上でグルコースよりもコルチコステロンが、より大きな予後的価値を有することを示唆する。

GLUT−1不全症候群は、主に脳に影響を及ぼす疾患である。罹患した個体は、一般的に生後の数ヶ月で始まる発作を有する。GLUT−1不全症候群の乳児は、出生時に通常の頭のサイズを有するが、脳と頭蓋骨成長がしばしば遅く、重篤な場合には、異常に小さい頭のサイズ(小頭症)となる。GLUT−1不全症候群の対象は、多くの場合、発育遅延知的障害を呈する。GLUT−1不全症候群はまた、筋肉の異常な緊張痙縮)、協調運動の困難性(運動失調)、言語困難(構音障害)により引き起こされる硬直などの他の神経学的な難題も伴う。一部のヒトは、特に食事の前に、精神錯乱エネルギー欠如無気力)、頭痛、筋肉のけいれん間代性筋けいれん)、または不随意不規則眼球運動の症状の発現を経験する。

脳のグルコース代謝と輸送関連疾患および障害に関連する他のマーカーとしては、Nrf2(核因子赤血球2関連因子2)、GFAP(グリア線維性酸性タンパク質)、およびHNE(4−ヒドロキシノネナール)が挙げられる。

Nrf2(核因子赤血球2関連因子2)は、複数の細胞保護タンパク質の調節因子である。Nrf2は、細胞の酸化還元恒常性を維持し、酸化による損傷から細胞を保護する転写プログラムを積極的に調節する転写因子である。(Rangasamyら(2004)J Clin Invest 114:1248)。Nrf2は、それらの遺伝子プロモーターで見つかった抗酸化応答配列(ARE)に特異的に結合することによりその標的遺伝子の転写を活性化する。Nrf2のレベルの減少は、高脂肪食に関連し、酸化ストレスおよび認知障害につながることが示されている。(Morrisonら(2010)J.Neurochem.114:1581−1589)。

GFAP(グリア線維性酸性タンパク質)は、神経損傷のマーカーである。GFAPは、殆ど星状細胞もっぱら見出される中間径繊維タンパク質であり、これは、成人において、GFAP発現レベルを制御する。星状細胞は、神経伝達物質の処理、細胞外イオン濃度の制御、神経成長の方向と量の調整、血液脳関門の維持、および免疫反応への関与などの様々な構造的および代謝的機能を実行する、神経膠細胞の主要なタイプである。星状細胞は、このような高齢化などの事象過程で、休止状態から突起のある反応状態に変形するにつれて、GFAP発現は、上方制御される。GFAPレベルは、アルツハイマー病を患っている患者の脳組織と脳脊髄液中で増加することが示されており、反応性星状細胞は、アルツハイマー病の神経病理学に関与している可能性が示唆されている。(Wallinら(1996)Dementia 7:267)。アルツハイマー病に罹患した脳では、シナプス喪失が、GFAP陽性星状細胞の数の増加に関係している。また、シナプスのこの喪失は、反応性星状細胞神経膠症の程度に関連していると思われる。(Brunら(1995)Neurodegeneration 4:171)。GFAPは、神経膠症から生じる、その後の神経再生を妨げる可能性があるグリア性瘢痕の主要成分である。

HNE(4−ヒドロキシノネナール)は、アルツハイマー病やパーキンソン病と関連のある酸化的ストレスのマーカーである。HNEレベルの増加は、アルツハイマー疾患の脳で検出されている(Markesberyら(1999)Brain Pathol 9(1):133−46;Sayreら(1997)J Neurochem 68(5):2092−2097)。HNEは、膜脂質ポリ不飽和脂肪酸の酸化過程で生成されるα,β−不飽和アルデヒドである。それは、膜過酸化の主要産物の一つであり、酸化的ストレス下で観察される細胞毒性効果に主に関与すると考えられている。HNEは、DNA、RNA、およびタンパク質合成阻害、特定の酵素活性干渉、ならびに熱ショックタンパク質の誘導などのいろいろな副作用を示す。(Yoritakaら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:2696−2701)。

パーキンソン病は、脳の中央部に細胞の小さな領域(黒質と呼ばれる)に影響し、女性よりも男性でわずかに、より頻繁に発生する進行性の疾患である。また、振盪麻痺振戦麻痺と呼ばれ、主に50〜69才の年齢の人々を攻撃する中枢神経系の障害である。およそ1,000人のうち1人は、この病気と接する。パーキンソン病の1つの既知の原因は、脳内でメッセージを送信するための化学的な必要物である通常ドーパミンを産生する細胞の変性および死である。これは、ドーパミンの欠乏、そして結果的に、おそらくパーキンソン病の症状を引き起こす。一般的な症状は、震え、筋肉のこわばり(または硬直)、動きの遅さ(動作緩慢)、バランスの喪失(姿勢機能障害)を含む。てんかん、脳卒中や認知症とともに、パーキンソン病は、最も一般的な神経学的症状の1つである。患者によっていくらかの違いはあるが、この疾患の普通の病歴は、疾病の発症から身体障害まで10〜15年の進行割合となる。パーキンソン病はそれ自体が、さらには、その疾患によって引き起こされる障害が、多くの場合、誤嚥肺炎、および尿路感染症などの致命的な感染症を引き起こす。

パーキンソン病は、通常、3つの異なるグループに分類される。通常、パーキンソン病と呼ばれる振戦麻痺は、その症例の約75%が患っている、パーキンソン症候群の最も一般的な形態であり、その起源や原因は不明である。パーキンソン症候群の第2の形態は、一酸化炭素マンガンおよびMPTPメチルフェニルテトラヒドロピリジン)と呼ばれる化合物を含む薬物や毒素によって引き起こされる。パーキンソン症候群の第3の形態は、ドーパミン産生脳細胞に損傷を与える複数の小さな脳卒中に起因する可能性がある血管性パーキンソン症候群と呼ばれる。

ADHDは、比較的一般的な症候群(疫学研究では、一般的な人口のうち、ADHDの有病率が、2〜10%であることが示唆されている)を臨床的に意味する。ADHDは、小児期に始まり、一般的に成人期までに緩解する(Szatmari(1982)Child Adolesc.Psychiat.Clin.North Am.1:361−371)。ADHDは、臨床的には、不注意(例えば、細心の注意払うことができないこと、注意を持続することが困難であること、作業や活動を組織化することが困難であり、余分な刺激に簡単に気を取られること)、多動性(例えば、座ったままでいることが困難であること、不適切な状況での過度運動活動をすること、「モーターにより駆動されている」かのように行動すること)、および衝動性(例えば、順番を待つことが困難であること、質問が完了する前に回答し、そして多くの場合、継続中の会話中断または邪魔などをすること)によって特徴づけられる(米国精神医学会、精神障害の診断と統計マニュアル(DSM−IV)、1994)。

クロム
クロムは、栄養学的に必須の微量元素である。食べ物中のクロムの重要性は、Schwarzによって1959年に確立された。(Schwartz,“Present Knowledge in Nutrition,”page 571,fifth edition(1984,the Nutrition Foundation,Washington,DC)。クロムはすべての既知のインスリン依存性の系における最適なインスリン活性に必須である(Boyleら(1977)Southern Med.J.70:1449−1453)。クロムの枯渇は、グルコース、脂質およびタンパク質の代謝の乱れ、ならびに短い寿命に特徴づけられる。不十分な食べ物のクロムは、成人発症型糖尿病心血管疾患の両方に関連している。

正常な個体へのクロムの栄養補助食品は、高密度リポタンパク質コレステロール、インスリンおよびインスリン結合を含む耐糖能血清脂質濃度の改善をもたらすことが報告されている。(Anderson (1986)Clin.Psychol.Biochem.4:31−41)。3価の形態の補助食品のクロム、例えば、塩化クロムは、成人発症型(2型)糖尿病および心血管疾患に関連する危険因子の改善に関連する。米国特許第5,929,066号、同第6,329,361号、および同第6,809,115号(これらの特許は参照によりその全体がそれぞれ本明細書に取り込まれる)に記載されているように、クロムの補給は、高血糖を減らすだけでなく、体重減少を促進することが示されている。臨床研究では、Andersonら(Metabolism (1987)36(4):351−355,1987)は、クロムの補給が、低血糖症状緩和し、低血糖範囲の血清グルコースレベルを上昇させることを示した。別の研究では、1型糖尿病の太りすぎの子供へのクロムの補給は、いずれの低血糖の症例にも至らなかった(2007年5月)。さらに別の研究では、1型糖尿病の成人へのクロムの補給は、いずれの低血糖の症例にも至らず、インスリン投与量を50%減少させることができた(Ravinaら(1995)J.Trace Elements in Experimental Med.12:71−83)。

体の主要なエネルギー源は、グルコースと脂肪酸類である。クロムの減少は、生物学的に効果のないインスリンおよびグルコース代謝傷害をもたらす。これらの条件下では、体はそのエネルギー要件を満たすために脂質代謝に主に依存し、過剰量のアセチル−CoAケトン体を産生する。アセチル−CoAの一部は、高コレステロール血症をもたらす増加したコレステロール生合成転用することができる。真性糖尿病は、大部分、糖尿、高コレステロール血症、そして、しばしばケトアシドーシスによって特徴づけられる。真性糖尿病患者で見られる促進されたアテローム性動脈硬化のプロセスは、高コレステロール血症を伴う。(Boyleら(1977)Southern Med.J.70:1449−1453)。

クロムはインスリンの補因子として機能する。これは、インスリン受容体に結合し、その機能の多くを、おそらくすべてを増強する。(Boyleら(1977)Southern Med.J.70:1449−1453)。これらの機能は、限定されるものではないが、炭水化物および脂質代謝の調節を含む。(Schwartz, “Present Knowledge in Nutrition,”page 571,fifth edition (1984,the Nutrition Foundation,Washington,DC))。無機クロム化合物自体の個体への導入は、特に有益ではない。クロムは、有機錯体内在的に変換されなければならないか、または生物学的に活性な分子として摂取される必要がある。しかし、摂取された無機クロムのわずか約0.5%が体内に吸収される。(1日あたりの推奨許容量、第9改訂版、全米科学アカデミー、160頁、1980年)。ほとんどの有機クロム化合物のわずか1〜2%が、体内に吸収される。

米国特許第4,315,927号および米国再発行特許第33,988号は、クロムを含む選択された必須の金属が、ピコリン酸の体外で合成された配位錯体として哺乳動物に投与されるとき、それらは他の金属と競合することなく吸収に直接利用できることを開示している。そこには、選択的に人間の食べ物に不可欠な金属を補うための、そして、腸細胞によるこれらの金属の吸収を促進するための組成物および方法が記述されている。これらの錯体は、安全であり、安価であり、生体適合性であり、そして、製造が容易である。ピコリン酸(ピリジン−2−カルボン酸)の体外で合成された必須金属配位錯体は、以下の構造式を有する:




(式中、Mは金属陽イオンを表し、nはカチオンの価数に等しい。例えば、MがCrであり、n=3の場合には、その他の化合物はトリピコリン酸クロムである。開示されているその他のピコリン酸クロムは、モノピコリン酸クロムおよびジピコリン酸クロムを含む。

クロムの米国推奨一日摂取量(RDI)は、120μgである。参照により全体の内容が明示的に本明細書に組み込まれる米国特許第5,087,623号は、50〜500μgの範囲の投与量で成人発症型糖尿病の治療のためのトリピコリン酸クロムの投与を記述している。参照により全体の内容が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第6,329,361号は、2型糖尿病のヒトにおいて、高血糖を減少させ、そして、血清グルコースのレベルを安定化するためのトリピコリン酸クロムの高投与量の使用(1日当たり1,000〜10,000μgのクロムの投与)を開示している。参照により全体の内容が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第5,789,401号および同第5,929,066号は、トリピコリン酸クロム−ビオチン組成物および2型糖尿病のヒトにおいて血糖値を下げる際のその使用を開示している。

参照により全体の内容が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第5,087,623号、同第5,087,624号、および同第5,175,156号は、食べ物のクロムを補うために、高血糖を減少させて血清グルコースを安定化させるために、除脂肪体重を増加させて、体脂肪を減少させるために、そして望ましくない高血清LDL−コレステロール値の低下および血清高密度脂質(HDL)コレステロール値の上昇を含む血清脂質レベルを調節するためのトリピコリン酸クロムの使用を開示している。参照により全体の内容が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第4,954,492号および同第5,194,615号は、食べ物のクロムを補充し、血清脂質レベルを低下させるために使用もされる関連錯体のニコチン酸クロムを記述している。ピコリン酸とニコチン酸は、以下の構造を有する位置異性体である:

ニコチン酸とピコリン酸は、1価、2価および3価の金属イオンと配位錯体を形成し、腸細胞を通過して血流へそれらを輸送することによって、これらの金属の吸収を促進する。CrCl3の経口投与後ラットにおけるクロムの吸収は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)であるアスピリンインドメタシンによって促進された。(Davisら(1995)J.Nutrition Res.15:202−210;Kamathら(1997)J.Nutrition 127:478−482)。これらの薬剤は、アラキドン酸を種々のプロスタグランジン類に変換する酵素シクロオキシゲナーゼを阻害し、その結果、腸の粘液形成を阻害し、クロムの吸収を促進する腸内pHを低下させる。

低血糖と低血糖に関連する症状の効果的な治療のための恒常的な必要性が残されている。そのような必要性は、インスリンのより安全かつ最適な投与についてである。本明細書に開示された本実施形態は、安全で安価な、違法薬物のない治療剤およびそれを使用する方法を提供することによって、この必要性に対処している。

概要

本発明は、クロムおよびインスリン、および/またはクロム−インスリン錯体を含む組成物に関する。その製造方法並びに低血糖症および低血糖症関連疾患の予防および治療のための使用に関する。本発明の組成物は、非経口鼻腔内、および経口を含むあらゆる方法で投与され得る。本発明の組成物は、血清グルコースレベルを安定化させ、クロムおよびインスリンを別々に投与する場合に比べて相乗的な効果を有する。

目的

適切なインスリン投与量を投与する目的は、血液1リットル当たり約1グラム、または100mg/dLである生理的基準に近い血糖値を維持することである

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

クロムインスリンを含む組成物であって、ここで、クロムとインスリンの量がインスリン単独よりも高い効果を対象に提供するように一緒に選択される組成物。

請求項2

前記組成物が、クロム−インスリン錯体を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記組成物が、対象への注射用調合される、請求項2に記載の組成物。

請求項4

前記のクロムとインスリンの量が、対象の体重を安定化するのに有効である、請求項1に記載の組成物。

請求項5

前記のクロムとインスリンの量が、2型糖尿病の対象の体重増加を予防するのに有効である、請求項1に記載の組成物。

請求項6

前記のクロムとインスリンの量が、1型糖尿病の対象の体重減少を予防するのに有効である、請求項1に記載の組成物。

請求項7

前記クロム−インスリン錯体が、5kDa〜50kDaの分子量を有する、請求項1に記載の組成物。

請求項8

前記クロム−インスリン錯体が、約33kDaの分子量を有する、請求項1に記載の組成物。

請求項9

前記クロムの量が、約5マイクログラム〜約2,000マイクログラムである、請求項1に記載の組成物。

請求項10

前記インスリンの量が、約1単位〜約500単位である、請求項1に記載の組成物。

請求項11

インスリンに対するクロムの前記比率が、インスリン単位に対するクロムの約0.001マイクログラム〜インスリン単位に対するクロムの約20マイクログラムである、請求項1に記載の組成物。

請求項12

前記クロムが、ピコリン酸クロムトリピコリン酸クロムニコチン酸クロムポリニコチン酸クロム、塩化クロムヒスチジン酸クロム、トリヒスチジン酸クロム、およびクロム酵母からなるクロム錯体群から選択される、請求項1に記載の組成物。

請求項13

前記クロムが、インスリン溶液に溶解されている、請求項1に記載の組成物。

請求項14

前記クロムが、インスリン溶液に懸濁されている、請求項1に記載の組成物。

請求項15

栄養学的許容される担体をさらに含む、請求項1に記載の組成物。

請求項16

クロム−インスリン錯体を含む組成物であって、ここに、前記クロム−インスリン錯体が、インスリン単独より大きな効果を対象に提供する組成物。

請求項17

前記クロム−インスリン錯体が、水性溶液中に存在する、請求項16に記載の組成物。

請求項18

インスリンの投与を必要とする対象にインスリンを投与する改善された方法であって、前記改善が、インスリンとクロムを含む組成物を提供し、そして、当該組成物を対象に投与することを含む、方法。

請求項19

前記組成物が、インスリンとクロムの相乗的に有効な量を含む、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記組成物が、クロム−インスリン錯体を含む、請求項18に記載の方法。

請求項21

前記対象が、グルコース代謝に関連する疾患または障害を有している、請求項18に記載の改善された方法。

請求項22

クロムとインスリンを配合し、それによって注射用組成物とすることを含む、クロムとインスリンの注射用組成物の製造方法。

請求項23

前記クロムが、溶液中に懸濁されている、請求項22に記載の方法。

請求項24

前記クロムが、溶液中に溶解されている、請求項22に記載の方法。

請求項25

前記注射用組成物が、懸濁液である、請求項22に記載の方法。

請求項26

前記注射用組成物が、溶液である、請求項22に記載の方法。

請求項27

インスリンに対するクロムの比率が、インスリン単位当たりクロムの0.001マイクログラム〜インスリン単位当たりクロムの100マイクログラムである、請求項22に記載の方法。

請求項28

血清グルコースベルを安定化させることを必要とする対象の血清グルコースレベルを安定化させる方法であって、インスリンを必要とする対象を識別する工程、および、クロムとインスリンを含む組成物を対象に投与する工程を含む方法。

請求項29

前記のクロムとインスリンの組成物が、注射によって投与される、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記のクロムとインスリンの組成物が、鼻腔内に投与される、請求項28に記載の方法。

請求項31

前記対象が糖尿病である、請求項28に記載の方法。

請求項32

血清グルコースレベルを安定化させることを必要とする対象の血清グルコースレベルを安定化させるための改善された方法であって、インスリンとクロムを配合して注射用組成物を生成する工程;およびその組成物を対象に投与する工程を含む方法。

請求項33

前記クロムの量が、約5マイクログラム〜約1,000マイクログラムである、請求項32に記載の改善された方法。

請求項34

前記インスリンの量が、約1単位〜約50単位である、請求項32に記載の改善された方法。

請求項35

前記対象が、グルコース代謝に関連する疾患または障害を有している、請求項32に記載の改善された方法。

請求項36

インスリンで糖尿病を治療する必要のある対象の糖尿病を治療する改善された方法であって、当該改善がインスリンとクロムを含む組成物を対象に投与することを含む方法。

請求項37

インスリンとクロムを含む前記組成物が、注射による投与のために調合される、請求項36に記載の方法。

請求項38

インスリンとクロムを含む前記組成物が、鼻腔内投与のために調合される、請求項36に記載の方法。

請求項39

前記組成物が、クロム−インスリン錯体を含む、請求項36に記載の方法。

請求項40

前記対象が、1型糖尿病である、請求項36に記載の方法。

請求項41

前記対象が、2型糖尿病である、請求項36に記載の方法。

請求項42

前記対象が、アルツハイマー病認知症軽度認知障害(MCI)、注意欠陥多動性障害ADHD)、ハンチントン病てんかん、およびパーキンソン病を患っている、請求項36に記載の方法。

請求項43

糖尿病の治療のためのインスリン治療の必要な対象を識別すること;およびインスリンとクロムを含む組成物を当該対象に投与すること;を含む、糖尿病の対象の糖尿病誘発性体重減少を予防する方法。

請求項44

前記組成物が、クロム−インスリン錯体を含む、請求項43に記載の方法。

請求項45

糖尿病の治療のためのインスリン治療の必要な対象を識別すること;およびインスリンとクロムを含む組成物を当該対象に投与すること;を含む、糖尿病の対象の糖尿病誘発性体重増加を予防する方法。

請求項46

インスリンを必要とする対象での対象を識別すること;およびクロム−インスリン錯体を含む組成物を当該対象に投与すること;を含む、インスリン誘発低血糖を予防または減少させる方法。

請求項47

対象の脳におけるクロムレベル、インスリンレベル、またはその両方を増加させる方法であって、クロム−インスリン錯体を含む組成物を前記対象に投与することを含む方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、2011年3月1日に出願された、「METHODS AND COMPOSITIONS FOR THETREATMNTAND PREVENTION OF HYPOGLYCEMIA AND RELATED DISORERS」と題する米国仮特許出願第61/448,134号の優先権を主張するものであり、この米国出願の全体の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。

0002

発明の分野
本明細書で開示される実施形態は、低血糖および例えば、インスリン投与から生じる低血糖に関連する症状の治療および予防のための組成物、ならびに当該組成物を製造および使用する方法に関する。また、インスリン投与し、糖尿病を治療する改善された方法が提供される。

背景技術

0003

発明の背景
グルコース代謝関連の疾患と障害
多くの疾患および障害は−病因学的にあるいはそうでなければ−障害があるか、変更されたか、もしくは異常なグルコース代謝に関連している。こうした疾患および障害としては、限定されるものではないが、糖尿病(高血糖症);低血糖症心血管代謝性症候群アルツハイマー病ハンチントン病てんかん虚血パーキンソン病健忘症認知症軽度認知障害(MCI);注意欠陥多動性障害ADHD);筋萎縮性側索硬化症ALS);および外傷性脳損傷が挙げられる。

0004

低血糖症
低血糖症は、文字通り「低血糖」を意味する用語である。低血糖症は、約60mg/dL以下の血糖値の状態を含むが、この血糖値に限定されるものではない。例えば、糖尿病等による高血糖を有する人が、インスリン注射または抗糖尿病剤の投与により血糖値の低下を受ける場合、あるいは健康な個体が飢餓や激しい運動により血糖値の急激な低下を受ける場合、低血糖に似た病状が、約100mg/dLの血糖値においてさえ現れることがある。低血糖症はしばしば、糖尿病治療副作用(例えば、インスリンの投与)として生じる。しかし、低血糖症は、他の薬や病気ホルモン酵素欠乏症、または腫瘍から生じることもある。さらに、低血糖は、大量の炭水化物を摂取する長期の習慣アルコールの過剰摂取;そして、栄養不足の状態での長時間の極端な運動の継続に起因することがある。しかし、糖尿病治療または他の薬剤によって誘導される低血糖は、低血糖症の他の原因と比較して、特に危険であり、高い確率で厳しい症状をもたらす。

0005

低血糖症関連障害および低血糖症関連合併症は、インスリンによって誘発される脳組織の損傷等などの、低血糖の結果として生じる症状や合併症を指す。低血糖症関連疾患と低血糖関連症状は、血液中グルコースレベルの低下が、脳内のグルコースレベルの減少を伴い、それにより、倦怠感、一般的な不快感、狼狽、倦怠感、苛立ち震え頭痛脱力感、冷や動悸を引き起こし、さらにまた、深刻な場合には、死亡にもつながる可能性がある意識障害昏睡を引き起こす。

0006

真性糖尿病
糖尿病は、少なくとも1000万人のアメリカ人に影響を与えることが知られており、数百万を超える人が無意識のうちにその病気に罹患している可能性がある。糖尿病は、アメリカ合衆国における死因の6番目の主要な原因であり、1997年には、193,000人を超える人の死亡を占めている。糖尿病は、膵臓がグルコースレベルを制御することが可能なレベルでインスリンを放出しない疾患状態である。糖尿病は、2つのタイプに分類される。最初のタイプは、インスリン依存性であり、通常は若い人に現れる糖尿病(1型)である。膵臓の膵島細胞が、主に自己免疫破壊によりインスリンの生産を停止する。1型糖尿病のための標準的治療は、インスリンの投与である。1型糖尿病患者は、全糖尿病患者の少数派(糖尿病患者全体の最大10%)である。糖尿病の第2のタイプ(2型)は、インスリン抵抗性および不十分なインスリン分泌の組み合わせによって引き起こされるインスリン非依存性糖尿病である。これは、西洋世界における糖尿病の最も一般的なタイプである。これらの患者のうち、アメリカ合衆国を含む世界各国の成人人口の8%近くは、2型糖尿病に罹患しており、約30%は、二次的な膵臓の機能低下により生存期間中にいくつかの時点でインスリンを使う必要があるであろう。

0007

米国糖尿病協会(ADA)、世界保健機構(WHO)、日本糖尿病学会(JDS)は、最近、臨床および疫学研究の成果を考慮して、糖尿病の新しい診断基準発表した。これらの基準の下では、次の血糖値のいずれかが観察されると、人は糖尿病患者として分類される:空腹時血糖値≧126mg/dL;随時血糖値≧200mg/dL;または75グラム経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)後2時間の血糖値≧200mg/dL(Diabetes Care 20: 1183 (1997); Diabet Med 15: 539 (1998);およびDiabetes 42:385(1999))。

0008

1型糖尿病患者と多くの2型糖尿病患者は、彼らの膵臓は、グルコース代謝をサポートするために必要である十分なインスリンを産生することができないので、1日に複数回のインスリン投与により彼らの血糖濃度を管理しなければならない。適切なインスリン投与量を投与する目的は、血液1リットル当たり約1グラム、または100mg/dLである生理的基準に近い血糖値を維持することである。十分ではないインスリンが投与される場合には、血糖値は、高血糖値となり、健康への有害な合併症をもたらす。逆に、あまりにもインスリンが投与される場合は、グルコースレベルが正常値よりも有意に下がり、低血糖と呼ばれる重篤急性の病状をもたらす。糖尿病患者が、彼のまたは彼の緊急の必要量を知ることは難問であり、糖尿病患者が100mg/dLの望ましい正常血糖値の目標から2倍または3倍離れた数値となることは珍しくない。十分に管理されないと、対象の血糖は、1時間未満で、高血糖から低血糖へ、またはその逆へ交替し得る。低血糖症は、放置すれば、発作脳障害、昏睡、または死亡につながる場合がある。従って、インスリンで血中グルコースレベルを管理する改善された方法が必要である。

0009

脳グルコース代謝/輸送体ならびに関連疾患および障害
グルコース恒常性は、エネルギー生成神経細胞の維持、神経細胞新生神経伝達物質の調節、細胞生存、およびシナプス可塑性のために重要である。グルコースは、哺乳類の脳のための主要エネルギー源であり、認知機能における重要な役割がある。

0010

血液から脳へのグルコースの送達は、血液脳関門内皮細胞ならびに神経細胞および神経膠原形質膜を通過して、グルコースを輸送する必要があり、それは、促進性グルコース輸送タンパク質によって媒介される。促進性のグルコース輸送は、密接に関連するグルコース輸送体(GLUTファミリーの1つまたは複数のメンバーによって媒介される。GLUTファミリーのメンバーのうち13が、これまでに記述されてきた。組織特異的グルコース輸送体は、脳のグルコース濃度を維持するために、臓器間のグルコースを割り当てる。脳グルコース代謝で機能する2つの主要グルコース輸送体アイソフォームは、GLUT−1とGLUT−3である。GLUT−1は、血液脳関門、脈絡叢上衣、および神経膠の主要輸送体であり、GLUT−3は、神経グルコース輸送体である。GLUT−4は、一方では、筋肉および脂肪細胞の膜を通過してグルコースを運ぶ

0011

グルコース取り込み調節因子のインスリンは、膵臓から分泌される。インスリンは、筋肉と脂肪にグルコースを割り当てる。視床下部下垂体副腎(HPA)系、交感神経系(SNS)、および血管内皮増殖因子は、脳にグルコースを割り当てる。脳から、および筋肉と脂肪の両方からのフィードバック経路は、グルコース配分と外因性のグルコース供給の調節に関与している。さらに、インスリンは、血液脳関門(BBB)を通過して神経細胞および神経膠細胞に到達し、グルコース代謝に関して領域特異的な効果を発揮することができる。増加したグルコースの摂取は、血液から脳へのグルコースの正味の輸送の増加を引き起こす。インスリン誘発性低血糖は、脳のGLUT−1とGLUT−3の濃度を増加させることが示されている。(Ueharaら (1997)Am.J.Physiol. 272:E716−E719)。このように、インスリンは輸送機構に作用することなく、間接的に輸送に影響を与える。インスリン作用の一部は、血液中のアミノ酸バランスの変化を介して脳外組織中で起こる可能性が提案されている。(Reaganら (1999)Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.276:E879−E886)。

0012

GLUT−1は、血液脳関門を通過するグルコースの輸送を容易にする。GLUT−1の発現レベルは、インスリンに非依存性である。むしろ、GLUT−1は、下垂体の対向制御ホルモンである血管内皮増殖因子(VEGF)のような血管機能の強力な制御因子に依存する。HPA系のオーバードライブは、メタボリック症候群として周知の臨床的側面である、中心性肥満、高血糖、脂質異常症、および高血圧などの代謝異常を引き起こす。骨格筋におけるGLUT−1の過剰発現は、基礎グルコース取り込みの増加により乳酸グリコーゲンの著しい増加を伴い、増加したグルコース流量は、インスリンと他の刺激による活性化に対するGLUT−4の抵抗(例えば低酸素収縮活動)をもたらす。(Katsumataら (1999)FASEB J.11:1405−13)。

0013

神経細胞特異的グルコース輸送体GLUT−3は、中枢神経系の神経細胞へのグルコースの送達のみに関与している。GLUT−3のmRNAは、海馬錐体神経歯状回顆粒神経細胞、および皮質を含む、脳で広く発現している。

0014

脳特異的キナーゼ1および2(BRSK1/2)は、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)関連のキナーゼであって、哺乳類の前脳において高発現される。AMPKの活性化は、排他的でないとはいえ、骨格筋で見られるインスリン依存性グルコース輸送体GLUT−4の補充の細胞膜への誘導において重要な役割を果たしている。骨格筋における細胞膜へのGLUT−4の転座を刺激するAMPKの能力は、インスリンとAMPKが一緒の効果は相加的であるため、インスリンによって刺激されるものとは異なるメカニズムを介して生じる。GLUT−4の調節におけるその役割に加えて、AMPKがGLUT−1を介してグルコース輸送を制御することをデータは示唆している。

0015

脳内の変化したグルコース代謝は、限定されるものではないが、アルツハイマー病、ハンチントン病、てんかん、虚血、健忘症、および外傷性脳損傷を含む種々の疾患状態と関連する。グルコース輸送体の発現は、変化したグルコース代謝に関連すると考えられている。慢性的な高血糖は、脳のmRNAと蛋白質レベルの両方でGLUT−1およびGLUT−3の発現を下方制御するが、これは、微小血管密度の減少によるものではない(Houら(2007)Chin Med J(Engl).120(19):1704−1709)。GLUT−1とGLUT−3の発現の下方制御は、細胞の損傷につながる可能性がある、過剰なグルコースが細胞に入るのを防ぐための身体の適応反応であるかもしれない。研究では、慢性的なストレスは、認知障害を伴う海馬で、分子形態学的な、超微細構造の変化を生成することを示唆している。さらに、インスリン抵抗性、認知症、認知障害、およびアルツハイマー病では、高インスリン血症を生じる、インスリンに対する感受性の低下がある。インスリンの毒性レベルは、神経機能と生存に負の影響を与え、末梢インスリン濃度の上昇は、脳脊髄液CSF)の濃度を急性的に増加させる。末梢性高インスリン血症は、アミロイドベータペプチド(Abeta)の異常な除去と増大されたcdk5およびGSK3ベータ活性の結果としてのタウリン酸化の増加と相関する。これは、神経変性表現型および認知機能の低下を誘発する細胞のカスケードにつながる。

0016

アルツハイマー病では、グルコース代謝が低下し、最も影響を受けた領域として前頭葉と海馬における脳微小血管でのGLUT−1タンパク質の減少した量と関連付けられる。(Kalariaら(1989)J.Neurochem.53:1083−1088)。同様に、GLUT−3レベルは、アルツハイマー病患者の脳で減少することが報告されている。(Simpsonら(1994)Ann.Neurol.35:546−551)。

0017

軽度認知障害(MCI)と呼ばれる症状が、前駆症状のアルツハイマー病を表しており、早期に診断された場合、薬物介入の最善の機会を示すことを研究は示唆している。MCIの診断のために使用される臨床基準は、Petersenらの基準(Arch Neurol(1999)56:303−308)であり、以下のものを含む:情報提供者によって確認される記憶の病訴年齢教育に対する客観的記憶障害;正常な一般的認知機能;問題ない日常生活の活動;そして、対象は認知症の基準を満たしていない。

0018

ハンチントン病は、神経変性疾患である。この病気の初期段階は、人格認知、または身体的な能力における微妙な変化によって特徴付けられる。最も特徴的な初期の身体的な症状は、ぎくしゃくした、でたらめな、かつ制御不能動きで特徴付けられる舞踏病である。舞踏病は、多くの場合、最初は一般的な落ち着きのなさ、小さな、意図せずに始められたあるいは未完成の動作、協調運動失調、または遅延型衝動性眼球運動として示される。疾患が進行するにつれて、硬直、反復的動作、または異常姿勢などの徴候が現われる。これらの症状は、当該疾患の発症の段階とみなされ、徐々に支配的な身体症状となる。若年性ハンチントン病は、一般的に速く進行し、仮にあったとしても舞踏病が一時的に示され、硬直が主な症状であるという点で、これらの症状とは異なる。また、発作が若年性ハンチントン病の一般的な症状である。ハンチントン病では、GLUT−1、GLUT−3のレベルは、脳の尾状部分で減少している。(Gamberinoら(1994)J.Neurochem.63:1392−1397)。尾状でのグルコース代謝の低下は、ハンチントン病のリスクがある症候性と臨床的に無症候性の両方の対象で報告されている。(Mazziottaら(1987)New England J.Med.316:357−362)。

0019

グルコース輸送は、また、少なくとも一部は血液脳関門内皮におけるGLUT−1の発現低下に起因する、ヒトてんかん脳で減少もしている。(Cornfordら(1998)Ann.Neurol.43:801−808;Cornfordら(1998)J.Neuropathol.Exp.Neurol.54:842−851)。

0020

特発性てんかんは、より大きな集団よりも、1型糖尿病の集団でより大きな発生率を有する。(Hannonenら(2003)Developmental Medicine & Child Neurology 45:4:262−268)。その結果から推定される意義は、いくつかの方法で解釈することができた。糖尿病は、部分的に特発性全般てんかんの原因となったか、あるいは、2つの症状は、発症が異なる年齢を有していた。高血糖、軽度の高浸透圧、および低ナトリウム血症を含む代謝異常は、限局性脳障害の分野で持続性部分てんかんの進行に関与する。後頭部発作と半盲は、高血糖が原因で発生することがあり、特殊なMRIVEP所見を伴うことがある。虚血前高血糖に起因する発作および遅延型神経損傷の発生率の増加は、グルコースレベルよりもむしろコルチコステロンレベルに対応し、その脳虚血性損傷予測する上でグルコースよりもコルチコステロンが、より大きな予後的価値を有することを示唆する。

0021

GLUT−1不全症候群は、主に脳に影響を及ぼす疾患である。罹患した個体は、一般的に生後の数ヶ月で始まる発作を有する。GLUT−1不全症候群の乳児は、出生時に通常の頭のサイズを有するが、脳と頭蓋骨成長がしばしば遅く、重篤な場合には、異常に小さい頭のサイズ(小頭症)となる。GLUT−1不全症候群の対象は、多くの場合、発育遅延知的障害を呈する。GLUT−1不全症候群はまた、筋肉の異常な緊張痙縮)、協調運動の困難性(運動失調)、言語困難(構音障害)により引き起こされる硬直などの他の神経学的な難題も伴う。一部のヒトは、特に食事の前に、精神錯乱エネルギー欠如無気力)、頭痛、筋肉のけいれん間代性筋けいれん)、または不随意不規則眼球運動の症状の発現を経験する。

0022

脳のグルコース代謝と輸送関連疾患および障害に関連する他のマーカーとしては、Nrf2(核因子赤血球2関連因子2)、GFAP(グリア線維性酸性タンパク質)、およびHNE(4−ヒドロキシノネナール)が挙げられる。

0023

Nrf2(核因子赤血球2関連因子2)は、複数の細胞保護タンパク質の調節因子である。Nrf2は、細胞の酸化還元恒常性を維持し、酸化による損傷から細胞を保護する転写プログラムを積極的に調節する転写因子である。(Rangasamyら(2004)J Clin Invest 114:1248)。Nrf2は、それらの遺伝子プロモーターで見つかった抗酸化応答配列(ARE)に特異的に結合することによりその標的遺伝子の転写を活性化する。Nrf2のレベルの減少は、高脂肪食に関連し、酸化ストレスおよび認知障害につながることが示されている。(Morrisonら(2010)J.Neurochem.114:1581−1589)。

0024

GFAP(グリア線維性酸性タンパク質)は、神経損傷のマーカーである。GFAPは、殆ど星状細胞もっぱら見出される中間径繊維タンパク質であり、これは、成人において、GFAP発現レベルを制御する。星状細胞は、神経伝達物質の処理、細胞外イオン濃度の制御、神経成長の方向と量の調整、血液脳関門の維持、および免疫反応への関与などの様々な構造的および代謝的機能を実行する、神経膠細胞の主要なタイプである。星状細胞は、このような高齢化などの事象過程で、休止状態から突起のある反応状態に変形するにつれて、GFAP発現は、上方制御される。GFAPレベルは、アルツハイマー病を患っている患者の脳組織と脳脊髄液中で増加することが示されており、反応性星状細胞は、アルツハイマー病の神経病理学に関与している可能性が示唆されている。(Wallinら(1996)Dementia 7:267)。アルツハイマー病に罹患した脳では、シナプス喪失が、GFAP陽性星状細胞の数の増加に関係している。また、シナプスのこの喪失は、反応性星状細胞神経膠症の程度に関連していると思われる。(Brunら(1995)Neurodegeneration 4:171)。GFAPは、神経膠症から生じる、その後の神経再生を妨げる可能性があるグリア性瘢痕の主要成分である。

0025

HNE(4−ヒドロキシノネナール)は、アルツハイマー病やパーキンソン病と関連のある酸化的ストレスのマーカーである。HNEレベルの増加は、アルツハイマー疾患の脳で検出されている(Markesberyら(1999)Brain Pathol 9(1):133−46;Sayreら(1997)J Neurochem 68(5):2092−2097)。HNEは、膜脂質ポリ不飽和脂肪酸の酸化過程で生成されるα,β−不飽和アルデヒドである。それは、膜過酸化の主要産物の一つであり、酸化的ストレス下で観察される細胞毒性効果に主に関与すると考えられている。HNEは、DNA、RNA、およびタンパク質合成阻害、特定の酵素活性干渉、ならびに熱ショックタンパク質の誘導などのいろいろな副作用を示す。(Yoritakaら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:2696−2701)。

0026

パーキンソン病は、脳の中央部に細胞の小さな領域(黒質と呼ばれる)に影響し、女性よりも男性でわずかに、より頻繁に発生する進行性の疾患である。また、振盪麻痺振戦麻痺と呼ばれ、主に50〜69才の年齢の人々を攻撃する中枢神経系の障害である。およそ1,000人のうち1人は、この病気と接する。パーキンソン病の1つの既知の原因は、脳内でメッセージを送信するための化学的な必要物である通常ドーパミンを産生する細胞の変性および死である。これは、ドーパミンの欠乏、そして結果的に、おそらくパーキンソン病の症状を引き起こす。一般的な症状は、震え、筋肉のこわばり(または硬直)、動きの遅さ(動作緩慢)、バランスの喪失(姿勢機能障害)を含む。てんかん、脳卒中や認知症とともに、パーキンソン病は、最も一般的な神経学的症状の1つである。患者によっていくらかの違いはあるが、この疾患の普通の病歴は、疾病の発症から身体障害まで10〜15年の進行割合となる。パーキンソン病はそれ自体が、さらには、その疾患によって引き起こされる障害が、多くの場合、誤嚥肺炎、および尿路感染症などの致命的な感染症を引き起こす。

0027

パーキンソン病は、通常、3つの異なるグループに分類される。通常、パーキンソン病と呼ばれる振戦麻痺は、その症例の約75%が患っている、パーキンソン症候群の最も一般的な形態であり、その起源や原因は不明である。パーキンソン症候群の第2の形態は、一酸化炭素マンガンおよびMPTPメチルフェニルテトラヒドロピリジン)と呼ばれる化合物を含む薬物や毒素によって引き起こされる。パーキンソン症候群の第3の形態は、ドーパミン産生脳細胞に損傷を与える複数の小さな脳卒中に起因する可能性がある血管性パーキンソン症候群と呼ばれる。

0028

ADHDは、比較的一般的な症候群(疫学研究では、一般的な人口のうち、ADHDの有病率が、2〜10%であることが示唆されている)を臨床的に意味する。ADHDは、小児期に始まり、一般的に成人期までに緩解する(Szatmari(1982)Child Adolesc.Psychiat.Clin.North Am.1:361−371)。ADHDは、臨床的には、不注意(例えば、細心の注意払うことができないこと、注意を持続することが困難であること、作業や活動を組織化することが困難であり、余分な刺激に簡単に気を取られること)、多動性(例えば、座ったままでいることが困難であること、不適切な状況での過度運動活動をすること、「モーターにより駆動されている」かのように行動すること)、および衝動性(例えば、順番を待つことが困難であること、質問が完了する前に回答し、そして多くの場合、継続中の会話中断または邪魔などをすること)によって特徴づけられる(米国精神医学会、精神障害の診断と統計マニュアル(DSM−IV)、1994)。

0029

クロム
クロムは、栄養学的に必須の微量元素である。食べ物中のクロムの重要性は、Schwarzによって1959年に確立された。(Schwartz,“Present Knowledge in Nutrition,”page 571,fifth edition(1984,the Nutrition Foundation,Washington,DC)。クロムはすべての既知のインスリン依存性の系における最適なインスリン活性に必須である(Boyleら(1977)Southern Med.J.70:1449−1453)。クロムの枯渇は、グルコース、脂質およびタンパク質の代謝の乱れ、ならびに短い寿命に特徴づけられる。不十分な食べ物のクロムは、成人発症型糖尿病心血管疾患の両方に関連している。

0030

正常な個体へのクロムの栄養補助食品は、高密度リポタンパク質コレステロール、インスリンおよびインスリン結合を含む耐糖能血清脂質濃度の改善をもたらすことが報告されている。(Anderson (1986)Clin.Psychol.Biochem.4:31−41)。3価の形態の補助食品のクロム、例えば、塩化クロムは、成人発症型(2型)糖尿病および心血管疾患に関連する危険因子の改善に関連する。米国特許第5,929,066号、同第6,329,361号、および同第6,809,115号(これらの特許は参照によりその全体がそれぞれ本明細書に取り込まれる)に記載されているように、クロムの補給は、高血糖を減らすだけでなく、体重減少を促進することが示されている。臨床研究では、Andersonら(Metabolism (1987)36(4):351−355,1987)は、クロムの補給が、低血糖症状緩和し、低血糖範囲の血清グルコースレベルを上昇させることを示した。別の研究では、1型糖尿病の太りすぎの子供へのクロムの補給は、いずれの低血糖の症例にも至らなかった(2007年5月)。さらに別の研究では、1型糖尿病の成人へのクロムの補給は、いずれの低血糖の症例にも至らず、インスリン投与量を50%減少させることができた(Ravinaら(1995)J.Trace Elements in Experimental Med.12:71−83)。

0031

体の主要なエネルギー源は、グルコースと脂肪酸類である。クロムの減少は、生物学的に効果のないインスリンおよびグルコース代謝傷害をもたらす。これらの条件下では、体はそのエネルギー要件を満たすために脂質代謝に主に依存し、過剰量のアセチル−CoAケトン体を産生する。アセチル−CoAの一部は、高コレステロール血症をもたらす増加したコレステロール生合成転用することができる。真性糖尿病は、大部分、糖尿、高コレステロール血症、そして、しばしばケトアシドーシスによって特徴づけられる。真性糖尿病患者で見られる促進されたアテローム性動脈硬化のプロセスは、高コレステロール血症を伴う。(Boyleら(1977)Southern Med.J.70:1449−1453)。

0032

クロムはインスリンの補因子として機能する。これは、インスリン受容体に結合し、その機能の多くを、おそらくすべてを増強する。(Boyleら(1977)Southern Med.J.70:1449−1453)。これらの機能は、限定されるものではないが、炭水化物および脂質代謝の調節を含む。(Schwartz, “Present Knowledge in Nutrition,”page 571,fifth edition (1984,the Nutrition Foundation,Washington,DC))。無機クロム化合物自体の個体への導入は、特に有益ではない。クロムは、有機錯体内在的に変換されなければならないか、または生物学的に活性な分子として摂取される必要がある。しかし、摂取された無機クロムのわずか約0.5%が体内に吸収される。(1日あたりの推奨許容量、第9改訂版、全米科学アカデミー、160頁、1980年)。ほとんどの有機クロム化合物のわずか1〜2%が、体内に吸収される。

0033

米国特許第4,315,927号および米国再発行特許第33,988号は、クロムを含む選択された必須の金属が、ピコリン酸の体外で合成された配位錯体として哺乳動物に投与されるとき、それらは他の金属と競合することなく吸収に直接利用できることを開示している。そこには、選択的に人間の食べ物に不可欠な金属を補うための、そして、腸細胞によるこれらの金属の吸収を促進するための組成物および方法が記述されている。これらの錯体は、安全であり、安価であり、生体適合性であり、そして、製造が容易である。ピコリン酸(ピリジン−2−カルボン酸)の体外で合成された必須金属配位錯体は、以下の構造式を有する:




(式中、Mは金属陽イオンを表し、nはカチオンの価数に等しい。例えば、MがCrであり、n=3の場合には、その他の化合物はトリピコリン酸クロムである。開示されているその他のピコリン酸クロムは、モノピコリン酸クロムおよびジピコリン酸クロムを含む。

0034

クロムの米国推奨一日摂取量(RDI)は、120μgである。参照により全体の内容が明示的に本明細書に組み込まれる米国特許第5,087,623号は、50〜500μgの範囲の投与量で成人発症型糖尿病の治療のためのトリピコリン酸クロムの投与を記述している。参照により全体の内容が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第6,329,361号は、2型糖尿病のヒトにおいて、高血糖を減少させ、そして、血清グルコースのレベルを安定化するためのトリピコリン酸クロムの高投与量の使用(1日当たり1,000〜10,000μgのクロムの投与)を開示している。参照により全体の内容が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第5,789,401号および同第5,929,066号は、トリピコリン酸クロム−ビオチン組成物および2型糖尿病のヒトにおいて血糖値を下げる際のその使用を開示している。

0035

参照により全体の内容が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第5,087,623号、同第5,087,624号、および同第5,175,156号は、食べ物のクロムを補うために、高血糖を減少させて血清グルコースを安定化させるために、除脂肪体重を増加させて、体脂肪を減少させるために、そして望ましくない高血清LDL−コレステロール値の低下および血清高密度脂質(HDL)コレステロール値の上昇を含む血清脂質レベルを調節するためのトリピコリン酸クロムの使用を開示している。参照により全体の内容が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第4,954,492号および同第5,194,615号は、食べ物のクロムを補充し、血清脂質レベルを低下させるために使用もされる関連錯体のニコチン酸クロムを記述している。ピコリン酸とニコチン酸は、以下の構造を有する位置異性体である:

0036

ニコチン酸とピコリン酸は、1価、2価および3価の金属イオンと配位錯体を形成し、腸細胞を通過して血流へそれらを輸送することによって、これらの金属の吸収を促進する。CrCl3の経口投与後ラットにおけるクロムの吸収は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)であるアスピリンインドメタシンによって促進された。(Davisら(1995)J.Nutrition Res.15:202−210;Kamathら(1997)J.Nutrition 127:478−482)。これらの薬剤は、アラキドン酸を種々のプロスタグランジン類に変換する酵素シクロオキシゲナーゼを阻害し、その結果、腸の粘液形成を阻害し、クロムの吸収を促進する腸内pHを低下させる。

0037

低血糖と低血糖に関連する症状の効果的な治療のための恒常的な必要性が残されている。そのような必要性は、インスリンのより安全かつ最適な投与についてである。本明細書に開示された本実施形態は、安全で安価な、違法薬物のない治療剤およびそれを使用する方法を提供することによって、この必要性に対処している。

0038

本明細書に開示された実施形態は、治療効果と利点を改善した新規なクロム−インスリン錯体の驚くべき発見に部分的に基づいている。したがって、本明細書に記載された実施形態に従って、インスリンおよび/またはクロムの改善された送達のための組成物、およびその使用が提供される。

0039

いくつかの実施形態は、クロム−インスリン錯体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体は、インスリンに対するクロムの化学量論比、例えば、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10を含む。いくつかの実施形態では、クロムおよびインスリンは、クロム−インスリン錯体中に、非化学量論的な量で、例えば、インスリン1分子当たり、またはインスリンの6量体当たり、クロム(例えば、クロム錯体)の1〜10分子が存在している。いくつかの実施形態では、本錯体は、約30〜40kDa、例えば、30kDa、31kDa、32kDa、33kDa、34kDa、35kDa、36kDa、37kDa、38kDa、39kDa、40kDa、またはそれ以上の分子量を有する。

0040

クロム−インスリン錯体を含む改善された組成物は、それを必要とする個体、例えば、糖尿病や低血糖などのグルコース代謝障害または病状を有する個体へのインスリンの送達のために有用である。いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体を含む組成物は、錯体化されていないインスリン、または他のインスリン錯体と比べて、血流への改善された吸収を示す。いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体を含む組成物は、錯体化されていないインスリン、または他のインスリン錯体と比べて、血清グルコースレベルのより急速な低下を示す。いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体を含む組成物は、I型糖尿病に伴う体重減を減少させる。いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体を含む組成物は、2型糖尿病に伴う体重増加を減少させる。

0041

したがって、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、クロム−インスリン錯体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物中のクロムとインスリンの量は、クロムおよびまたはインスリンの治療有効量を提供するために一緒に選択される。いくつかの実施形態では、クロムおよびインスリンの相乗的有効量は、相加効果を超える効果を達成するために提供される。いくつかの実施形態では、クロムとインスリンの組成物は、インスリン単独よりも、あるいは亜鉛−インスリンなどの他のインスリン錯体に比べて、それを必要とする患者に、より大きな治療効果を提供するために使用することができる。

0042

いくつかの態様において、組成物中のクロムの相乗的有効量は、約5〜2,000マイクログラムとすることができる。いくつかの態様において、インスリンの相乗的有効量は、約1単位〜500単位である。いくつかの態様において、組成物は、インスリン単位当たりクロムの約0.001マイクログラムからインスリン単位当たりクロムの20マイクログラムの、インスリンに対するクロムの比率を有する。いくつかの態様において、クロムは、ピコリン酸クロム、トリピコリン酸クロム、ニコチン酸クロム、ポリニコチン酸クロム、塩化クロム、ヒスチジン酸クロム、トリヒスチジン酸クロム、およびクロム酵母からなるクロム錯体群から選択される。好ましくは、クロムは、ヒスチジン酸クロムを含む。いくつかの態様において、組成物は、増加したインスリン受容体の結合を提供する。クロムは、インスリンの溶液に溶解させることができるし、あるいはクロムは、インスリンの溶液中に懸濁させることができる。

0043

本明細書に開示された実施形態によれば、それを必要とする対象にインスリンを投与する改善された方法が提供され、当該方法は、インスリンとクロムを配合して組成物を生成し、対象にその組成物の最適投与量を投与することを含む。インスリンとクロムの量は、相乗的に有効な量とすることができる。組成物は、クロム−インスリン錯体を含むことができる。いくつかの実施形態では、対象は、グルコース代謝に関連する疾患または障害を有している。いくつかの態様において、疾患または障害は、以下からなる群から選択される:糖尿病、アルツハイマー病、認知症、軽度認知障害(MCI)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、ハンチントン病、てんかん、およびパーキンソン病。いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体を含む組成物の最適投与量は、対象への組成物の投与前に対象への投与について決定される。

0044

いくつかの実施形態では、クロムとインスリンを配合して注射用組成物とすることを含む、クロムとインスリンの注射可能な組成物の製造方法が提供される。クロムは、溶液中に懸濁することができるか、あるいはクロムは、溶液中に溶解することができる。クロムとインスリンの注射用組成物は、クロム−インスリン錯体を含むことができる。注射用組成物は、懸濁液または溶液とすることができる。いくつかの態様において、インスリンに対するクロムの比率は、インスリンの単位当たり、クロム0.001マイクログラムからインスリンの単位当たり、クロム100マイクログラムである。いくつかの実施形態では、組成物は鼻腔内に投与される。

0045

いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における血清グルコースレベルを安定化するための方法が提供され、それは、インスリンを必要としている対象を識別し、クロムとインスリンを含む組成物を前記対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、クロムとインスリンの組成物は、クロム−インスリン錯体を含む。いくつかの態様では、クロムとインスリンの組成物は、非経口的に投与される。他の態様では、クロムとインスリンの組成物は、経口投与される。いくつかの態様では、クロムとインスリンの組成物は、経肺投与される。いくつかの態様では、クロムとインスリンの組成物は、経鼻的に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病を患っている。いくつかの実施形態では、対象は、過体重である。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病誘発性の体重減少があると確認される。

0046

いくつかの実施形態では、インスリンを必要とする対象における血清グルコースレベルを安定化させるためのクロムとインスリンを含む組成物の使用が提供される。いくつかの実施形態では、クロムとインスリンの組成物は、クロム−インスリン錯体を含む。いくつかの態様においては、クロムとインスリンの組成物は、注射による投与用に調合される。他の態様においては、クロムとインスリンの組成物は、経口投与または経鼻投与のために調合される。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、過体重である。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病誘発性の体重減少があると確認される。

0047

したがって、いくつかの実施形態では、インスリン療法を受けている糖尿病患者における、インスリン投与に伴う体重減を減らすための、または体重を安定化させるための方法が本明細書で提供される。また、インスリン療法を受けている糖尿病患者における、インスリン投与に伴う体重減を低減させるための、または体重を安定化させるための、クロムとインスリンを含む組成物が提供される。いくつかの実施形態では、クロムとインスリンの組成物は、クロム−インスリン錯体を含む。いくつかの態様では、クロムとインスリンの組成物は、注射による投与用に調合される。

0048

いくつかの実施形態では、それを必要とする対象の血清グルコースレベルを安定化させるための改善された方法が提供され、ここに、その改善は、クロム−インスリン錯体を含む組成物の形態で対象にインスリンを投与することを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、相乗的に有効量のクロムとインスリンを含む。組成物は、非経口的に、経口的に、経的に、または経皮的に投与することができる。いくつかの態様では、クロムの相乗的有効量は、約300〜1,000マイクログラムである。いくつかの態様において、インスリンの相乗的有効量は、約5単位〜50単位である。いくつかの実施形態では、対象は、グルコース代謝に関連する疾患または障害を有している。

0049

いくつかの実施形態では、インスリンを必要とする対象でのインスリンによる糖尿病、例えば、1型または2型糖尿病を治療する改善された方法は、インスリンとクロムを含む組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、クロム−インスリン錯体を含む。いくつかの実施形態では、インスリンとクロムを含む組成物は、非経口的に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、経鼻的に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、経肺投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、経皮的に投与される。いくつかの実施形態は、糖尿病、例えば、1型または2型糖尿病を治療するために、クロムとインスリンを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、注射による投与用に調合される。いくつかの実施形態では、組成物は、クロム−インスリン錯体を含む。

0050

いくつかの実施形態では、糖尿病の対象のインスリン誘導性の体重減少を予防する方法は、糖尿病の治療のためのインスリン療法の必要な対象を識別し、インスリンとクロムを含む組成物を対象に投与することを含む。いくつかの態様において、インスリンとクロムを含む組成物は、非経口的に投与される。

図面の簡単な説明

0051

実施例1に記載の、インスリン注射0.5時間後の対照群(インスリンなし)と処置群の血清グルコースレベルを示す棒グラフである。1つの処置群は、インスリン(「Hypo」または「H」)のみが投与された。別の処置群は、インスリンとピコリン酸クロム(「H+CrPic」)が投与された。最後の群は、インスリンとヒスチジン酸クロム(「H+CrHis」)が投与された。
実施例1に記載したように、対照群(無処置)と処置群(H、H+CrPic、およびH+CrHis)に対する処置後の脳内クロムレベルを示す棒グラフである。
実施例1に記載したように、対照群(無処置)と処置群(H、H+CrPic、およびH+CrHis)に対する処置後のGLUT−1輸送体レベルを示す棒グラフである。
実施例1に記載したように、対照群(無処置)と処置群(H、H+CrPic、およびH+CrHis)に対する処置後のGLUT−3輸送体レベルを示す棒グラフである。
実施例1に記載したように、対照群(無処置)と処置群(H、H+CrPic、およびH+CrHis)に対する処置後の海馬Nrf2(核因子赤血球2関連因子2)レベルを示す棒グラフである。
実施例1に記載したように、対照群(無処置)と処置群(H、H+CrPic、およびH+CrHis)に対する処置後の海馬GFAP(グリア線維性酸性タンパク質)レベルとHNE(4−ヒドロキシノネナール)レベルを示す棒グラフである。
実施例3に記載したように、1型糖尿病誘発ラットのグルコースレベルに対するインスリン−キレート型の効果を示す棒グラフと折れ線グラフである。対照群(無処置)に加えて、5つの処置群には、以下のものをそれぞれ投与した:ストレプトゾシン(STZ);ストレプトゾシンおよび酸化亜鉛(STR+Zn);ストレプトゾシンおよびヒスチジン酸クロム(STZ+CrHis);ストレプトゾシン、酸化亜鉛、およびインスリン(STR+ZnIns);ならびにストレプトゾシン、ヒスチジン酸クロム、およびインスリン(STR+CrIns)。
実施例3に記載したように、対照群(無処置)と処置群(STR、STR+Zn、STR+Cr、STR+ZnIns、およびSTR+CrIns)に対する処置後の腎臓OCT−1(有機カチオン輸送体1)のレベルを示す棒グラフである。
実施例3に記載したように、対照群(無処置)と処置群(STR、STR+Zn、STR+Cr、STR+ZnIns、およびSTR+CrIns)に対する処置後の腎臓OCT−2(有機カチオン輸送体1)のレベルを示す棒グラフである。
実施例3に記載したように、対照群と処置群(STR、STR+Zn、STR+Cr、STR+ZnIns、およびSTR+CrIns)に対する処置後の腎臓NFK(核因子カッパB)のレベルを示す棒グラフである。
実施例3に記載したように、対照群と処置群(STR、STR+Zn、STR+Cr、STR+ZnIns、およびSTR+CrIns)に対する処置後の腎臓MRP2(多剤耐性タンパク質2)のレベルを示す棒グラフである。
実施例3に記載したように、対照群と処置群(STR、STR+Zn、STR+Cr、STR+ZnIns、およびSTR+CrIns)に対する処置後の脳のNFKレベルを示す棒グラフである。
実施例3に記載したように、対照群と処置群(STR、STR+Zn、STR+Cr、STR+ZnIns、およびSTR+CrIns)に対する処置後の脳のインスリンレベルを示す棒グラフである。
サイジングカラムを通して溶出サされたヒスチジン酸クロムの経時的な紫外線吸光度(mAU)を示すグラフである。
サイジングカラムを通して溶出されたインスリンの経時的な紫外線吸光度(mAU)を示すグラフである。
サイジングカラムを通して溶出されたクロム−インスリン組成物からの上清液の経時的な紫外線吸光度(mAU)を示すグラフである。
サイジングカラムを通して溶出されたクロム−インスリン組成物からの上清液の52Crを標的とする誘導結合プラズマ質量分析(「ICPMS」)装置からのカウントの経時的出力を示すグラフである。
クロム−インスリン錯体の存在を示すサイジングカラムを通して溶出されたクロム−インスリン組成物からの再溶解析出物の経時的な紫外線吸光度(mAU)を示すグラフである。
クロム−インスリン錯体の存在を示すサイジングカラムを通して溶出されたクロム−インスリン組成物からの再溶解析出物の52Crを標的とするICPMS装置からの出力からの経時的カウントを示すグラフである。
クロム−インスリン錯体の存在を示すサイジングカラムを通して溶出されたクロム−インスリン組成物からの再溶解析出物の53Crを標的とするICPMS装置からの出力からの経時的カウントを示すグラフである。
標準インスリン(R−In)、クロム−インスリン(Cr−In)、または亜鉛−インスリン(Znc−In)のいずれかで処置したマウスに対する経時的な血清インスリンレベルを示す折れ線グラフである。
標準インスリン(R−In)、クロム−インスリン(Cr−In)、または亜鉛−インスリン(Znc−In)のいずれかで処置したマウスに対する経時的な血清グルコースレベルを示す折れ線グラフである。
生理食塩水対照)、標準インスリン(Insulin)、クロム−インスリン(Cr−In)、または亜鉛−インスリン(Znc−In)のいずれかで処置した糖尿病マウスに対する経時的な血清インスリンレベルを示す折れ線グラフである。
標準インスリン(Insulin)、クロム−インスリン(Cr−In)、または亜鉛−インスリン(Znc−In)のいずれかで処置した糖尿病マウスに対する経時的な血清グルコースレベルを示す折れ線グラフである。
実施例5に記載したように、対照群と処置群(対照、1型、+ZnIns、+CrIns)に対する処置後の血清グルコースレベルを示す棒グラフである。

0052

本明細書に開示された実施形態は、低血糖症の予防における、そして脳損傷などの低血糖関連症状の予防または寛解における、クロムの予想外保護効果についての出願人による発見、ならびにそれを必要とする人々にインスリン療法を施す改善された方法の出願人による発見に部分的に基づいている。

0053

クロム
本明細書で使用されるように、用語「クロム」は、塩化クロム、クロム酵母、同様にクロム錯体を指す。本明細書に開示された実施形態で有用ないくつかのクロム錯体は、限定されるものではないが、以下のものを含む:ヒスチジン酸クロム;トリヒスチジン酸クロム;ポリヒスチジン酸クロム;ジニコシステイン酸クロム;クロミウムニコチネートトリプトファン;クロミウムジニコチネートチロシン;クロミウムジニコチネートヒドロキシシトレート;クロミウムジニコチネートシンナメート;クロミウムジニコチネートガレート;クロミウムジニコチネート5−ヒドロキシトリプトファン;クロミウムジニコチネートアスパルテート;クロミウムジニコチネートグルタメート;クロミウムジニコチネートアルギネート;クロミウムトリス(トリプトファン);ニコチン酸クロム;ポリニコチン酸クロム;ピコリン酸クロム;モノピコリン酸クロム;ジピコリン酸クロム;トリピコリン酸クロム;クロミウムトリフェニルアラニン;クロミウムトリス(チロシン);クロミウムトリス(ヒドロキシシトレート);クロミウムトリス(5−ヒドロキシトリプトファン);クロミウムトリス(シンナメート);クロミウムトリス(ガレート)。本明細書に開示されたクロム錯体は、3つの異なるカルボン酸配位子を有するクロムである。ニコチン酸、グルタミン酸システイン酸アスパラギン酸アルギニン酸、チロシン、トリプトファンからの配位子を変えることによって、少なくとも30の可能なクロム錯体を製造することができる。

0054

様々なケースでは、1つまたは複数の配位子は、そのカルボン酸官能基を介して、同様にパイ電子d軌道相互作用によりクロムと結合する能力を有している。配位子とクロムの間のこの二次相互作用は、クロムの生物学的利用能と吸収を高めることができる。

0055

いくつかの実施形態では、クロムは、3価クロムと、少なくとも1個で3個以下のチロシンまたはトリプトファン配位子との錯体の形態とすることができる。特定の実施形態では、クロムは、クロムミウム(III)トリス(トリプトファン)およびクロムミウム(III)トリス(チロシン)などのクロム錯体の形態とすることができる。

0056

いくつかの実施形態では、クロム錯体は、3価のクロムと植物から抽出された1種以上の化合物との錯体とすることができる。そこからこれらの化合物を抽出することができる植物の非限定的な例としては、ガルシニア属グロフォニアシンプリシフォリア(Groffonia simplicifolia)、シナモン樹皮没食子ウルシマンサク茶葉、およびオーク樹皮などの植物が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、クロムは、ヒドロキシクエン酸クロム、ヒドロキシトリプトファンクロム、ケイ皮酸クロム、および没食子酸クロムの形態で提供することができる。

0057

好ましくは、クロムは、ピコリン酸クロムとヒスチジン酸クロムの組み合わせ、あるいはニコチン酸クロムとヒスチジン酸クロムの組み合わせとして提供される。いくつかの好ましい実施形態では、クロムはヒスチジン酸クロムとして提供される。

0058

クロム錯体は、腸管細胞によるクロムの吸収の助けとなるが、いくつかの実施形態では、錯体を形成していないキレート剤が、有利に組成物中に含まれて、他の摂取されたクロムならびに他の金属(限定されるものではないが、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、および亜鉛)の吸収を容易にする。好適なキレート剤としては、ヒスチジン、任意の必須アミノDまたはLアミノ酸類トリアミノ酸の処方(限定されるものではないが、トリフェニルアラニン、トリヒスチジン、トリアルギニン、ピコリン酸、ニコチン酸、またはピコリン酸とニコチン酸の両方を含む)が挙げられる。

0059

ヒスチジン、ピコリン酸、ニコチン酸などのキレート剤は、Sigma−Aldrich社セントルイス、ミズーリ州)(ピコリン酸;カタログ番号P5503;ニコチン酸;カタログ番号PN4126)を含む多くの市販供給源から入手可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された実施形態におけるキレート剤に対するクロム錯体の比率は、約10:1〜約1:10(w/w)、より好ましくは、約5:1〜約1:5(w/w)、例えば、5:1、5:2、5:3、5:4、1:1;1:2、1:3、1:4、1:5、あるいは、その間の任意の数値とすることができる。あるいはまた、錯体を形成していないキレート剤に対するクロム錯体のモル比は、好ましくは1:1であり、約5:1〜約1:10、例えば、5:1、5:2、5:3、5:4、1:1;1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、あるいは、その間の任意の数値とすることができる。DまたはLアミノ酸およびまたはトリアミノ酸または1種以上のアミノ酸とのクロム錯体のトリ体またはモノ体およびジ体とのキレート剤は、限定されるものではないが、クロミウムトリフェニラニン、クロミウムトリヒスチジン、クロミウムポリフェニラニン、クロミウムポリヒスチジン、クロミウムポリニコチネート、クロミウムポリジフェニラナニン、クロミウムジピコリン酸、クロミウムジヒスチジンなどを含む。

0060

いくつかの実施形態は、組成物および治療有効量のクロムを含む、あるいはからなる組成物を用いて、対象を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態は、組成物および治療有効量のインスリンを含む、治療有効量のインスリンから本質的になる、あるいは治療有効量のインスリンからなる組成物を用いて、対象を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態は、組成物および治療有効量のクロムと治療有効量のインスリンを含む、治療有効量のクロムと治療有効量のインスリンから本質的になる、あるいは治療有効量のクロムと治療有効量のインスリンからなる組成物を用いて、対象を治療する方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態は、組成物および治療有効量のクロム−インスリン錯体を含む、クロム−インスリン錯体から本質的になる、あるいはクロム−インスリン錯体からなる組成物を用いて、対象を治療する方法を提供する。色々な治療方法を以下に説明する。

0061

本明細書で使用される「治療有効量」とは、その意味の範囲内において、所望の治療効果を提供するために本明細書に開示される実施形態で使用するための、配合活性成分またはそれを含む組成物の非毒性で十分な量が挙げられる。本明細書に開示される必要な活性成分の正確な量は、処置される種、対象の年齢および一般的な症状、処置される症状の重症度、投与される特定の薬剤、対象の体重、および投与方法などの要因に依存して対象毎に変わるであろう。したがって、正確な「有効量」を特定することはできない。しかし、どんな所定の症例に対しても、適切な「有効量」は、通常の方法を用いるだけで当業者によって決定することが可能である。

0062

一例として、本明細書に開示されるクロムの「治療有効量」は、例えば、0.001μg/kg、0.01μg/kg、0.1μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、1.5μg/kg、2.0μg/kg、2.5μg/kg、3.0μg/kg、3.5μg/kg、4.0μg/kg、4.5μg/kg、5.0μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、80μg/kg、0、850μg/kg、900μg/kg、1mg/kg、1.5mg.kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg、lg/kg、5g/kg、10g/kg、もしくはそれ以上であるか、またはクロムのその間の任意の量であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中のクロムの投与量は、好ましくは1日当たり、約0.001μg〜約100gであり得る。例えば、クロムの量は、0.001μg、0.01μg、0.1μg、0.2μg、0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1μg、2μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、250μg、275μg、300μg、325μg、350μg、375μg、400μg、425μg、450μg、475μg、500μg、525μg、575μg、600μg、625μg、650μg、675μg、700μg、725μg、750μg、775μg、800μg、825μg、850μg、875μg、900μg、925μg、950μg、975μg、1000μg、1.25g、1.5g、1.75g、2.0g、2.25g、2.5g、2.75g、3.0g、3.25g、3.5g、3.5g、3.75g、4.0g、4.25g、4.5g、4.75g、5.0g、5.25g、5.5g、5.75g、6.0g、6.25g、6.5g、6.75g、7.0g、7.25g、7.5g、7.75g、8.0g、8.25g、8.5g、8.75g、9.0g、8.25g、9.5g、9.75g、10g、20g、30g、40g、50g、60g、70g、80g、90g、l00g、もしくはそれ以上、またはクロムのその間の任意の量であり得る。上記の例示的な治療上有効な量は、いくつかの実施形態では、時間単位で、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23時間毎に、または任意の間隔で、あるいは日を基準として、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、8日毎、9日毎、10日毎、2週間毎、毎月、またはより多くのまたはより少ない頻度で、所望の治療効果を達成するために必要に応じて、投与することができる。

0063

いくつかの実施形態では、クロムの治療有効量は、上昇した血糖値を減少させる量であるが、また、低血糖症から保護する(例えば、正常値に下がるまで、高いグルコースレベルを低下させるが、クロムは正常値以下にさらに下げる増強は何らしない)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物、例えば、クロム−インスリン錯体を含む組成物は、1日当たり1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれ以上を、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、もしくはそれ以上の期間などの期間、または前述の値の間の任意の期間、投与することができる。

0064

いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、例えば、クロムとインスリンを含む組成物、例えば、クロム−インスリン錯体は、それ自体、または併用療法のように他の活性成分、または適切な担体もしくは1種または複数の賦形剤と混合される医薬組成物で対象に投与することができる。本願化合物の調合および投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA,18th edition,1990」に見ることができる。

0065

インスリン
明細書中で使用されるように、「インスリン」は、さまざまな供給源からのインスリンを指す。天然に存在するインスリンと構造的に類似の生物活性等価物(短時間作用を含むインスリン類似体および長期作用を有するインスリン類似体)を用いることができる。本明細書に開示される実施形態において有用なインスリンは、哺乳動物の異なる種から単離することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ウシまたはブタの膵臓から抽出した動物インスリン製剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、インスリン類似体、誘導体およびそれらの生物学的等価物も使用することができる。天然供給源から単離されたインスリンに加えて、本明細書に開示される実施形態は、ペプチド合成などのタンパク質化学技術を用いて化学的に合成されるインスリンを使用できる。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体も好適である。

0066

本明細書に開示される実施形態で使用されるインスリンは、天然供給源から単離することにより、またはペプチド合成を用いて化学的にそれを合成することにより、または細菌もしくは真核細胞における組換えインスリンを産生するために、分子生物学技法を使用することによって得ることができる。インスリンの物理的形状は、結晶および/または非晶質固体の形態を含むことができる。加えて、溶解したインスリンを用いてもよい。インスリンの合成形態は、米国特許第4,421,685号、同第5,474,978号、および同第5,534,488号に記載されており、それらの各々の開示は、参照によりその全体が本明細書に明示的に取り込まれる。

0067

いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、治療有効量のインスリンと治療有効量のクロムとの組み合わせを含む、組み合わせから本質的になる、または、組み合わせからなる。上述したように、クロムおよび/またはインスリンの正確な量は、処置される種、対象の年齢および一般的な症状、処置される症状の重症度、投与される特定の薬剤、対象の体重、および投与方法などの要因に依存して対象毎に変わるであろう。したがって、正確な「治療有効量」を特定することはできない。しかし、どんな所定の症例に対しても、適切な「治療有効量」は、通常の方法を用いるだけで当業者によって決定することができる。本明細書に開示される実施形態において有用なインスリンの典型的な剤形と治療有効量は、例えば、米国特許第7,429,564号および同第7,112,561号、米国特許出願公開番号2010/0262434などに記載されており、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に明示的に取り込まれる。

0068

一例として、本明細書に開示されるインスリンの「治療有効量」は、例えば、インスリンの0.01単位、インスリンの0.1単位、インスリンの1単位、インスリンの1.5単位、インスリンの2単位、インスリンの3単位、インスリンの4単位、インスリンの5単位、インスリンの6単位、インスリンの7単位、インスリンの8単位、インスリンの9単位、インスリンの10単位、インスリンの11単位、インスリンの12単位、インスリンの13単位、インスリンの14単位、インスリンの15単位、インスリンの16単位、インスリンの17単位、インスリンの18単位、インスリンの19単位、インスリンの20単位、インスリンの21単位、インスリンの22単位、インスリンの23単位、インスリンの24単位、インスリンの25単位、インスリンの26単位、インスリンの27単位、インスリンの28単位、インスリンの29単位、インスリンの30単位、インスリンの35単位、インスリンの40単位、インスリンの45単位、インスリンの50単位、インスリンの60単位、インスリンの70単位、インスリンの80単位、インスリンの90単位、インスリンの100単位、インスリンの150単位、インスリンの200単位、インスリンの250単位、インスリンの300単位、インスリンの400単位、インスリンの500単位、インスリンの1000単位、インスリンの2000単位、もしくはそれ以上、もしくはそれ以下、またはその間の任意の量であり得る。

0069

従来のインスリンの投与は、非経口的(例えば、筋肉内、皮下、腹腔内等)に達成されるが、しかし、本明細書に開示される実施形態において有用である利用可能な多数の他の投与方法がある。米国特許第5,858,968号(その全体の内容は、参照により本明細書に明示的に取り込まれる)は、経口的な、経腸的な(への直接インキュベーション)、またはエアロゾルでの、すなわち、経肺的なインスリンの投与を記述している。米国特許第7,291,591号(その全体の内容は、参照により本明細書に明示的に取り込まれる)は、経皮的なインスリンの投与を記述している。米国特許第4,164,573号(その全体の内容は、参照により本明細書に明示的に取り込まれる)は、経直腸的なインスリンの投与を記述している。米国特許第5,053,389号(その全体の内容は、参照により本明細書に明示的に取り込まれる)は、インスリン投与の様々な非経口的でない手段を記述しており、眼科的投与を含む(デンマーク特許第135,268号を引用し、その全体の内容は、参照により本明細書に明示的に取り込まれる)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、例えば噴霧器等を介して経鼻投与用に調合することができる。

0070

インスリンの非経口投与
米国特許出願公開番号2010/0262434には、その全体の内容が参照により本明細書に明示的に取り込まれるものであるが、所定の患者のために注射されるインスリンの適切な投与量を決定するための方法が記載されている。適切なインスリン投与量の投与を困難にする多くの要因がある。第1に、注射されたインスリンは、血糖に瞬時には影響を与えない。速効型インスリン製剤でさえ、生物学的効果を有するには時間がかかる。このように、従来の投薬は、グルコース濃度を下げるために補充の注射を適用することができる前に、何時間もの高血糖をもたらすことがある。過剰投与は、低血糖をもたらすことがあり、それは、急性無能力または昏睡の危険性を提示する。

0071

第2に、様々な食事療法は、インスリン投与量の同時調整が必要である。一部の食品に存在する炭水化物は、急速にグルコースに変換される。食事の炭水化物成分Icから体がグルコースを利用するために必要な単位Uで測定される正確なインスリン投与量は、炭水化物の摂取Carbsに比例する:
IC=Carbs/CIR
ここで、インスリン感度係数に対する炭水化物CIRは、各患者に固有であり、患者の状態に応じて変わり得る。

0072

第3に、血糖値BGが、患者の目標血糖値GTの近くでないとき、食事を始める前またはすべての注射されたインスリンが利用された後の時点で、ずれを補正するために、調整(ずれの方向に応じてのインスリンや食品の形態での)を施すべきである。高血糖のずれのためのインスリンの調整量IBは、患者の個々のインスリン感度係数ISFに依存する。
IB=(BG−BGr)/ISF
IBは、BGが目標よりも高い場合に、正であり、BGが目標よりも低い場合、負である。正の場合、インスリンの投与量IBは、彼らの目標血糖値の近くに患者を戻さなければならない。IBが負の場合、現在の血糖値(BG)は、目標より下であり、調整は食物摂取を含む必要があるであろう。

0073

第4に、IBが負の場合は、調整を行うために食物を摂取することができる。理想的には、食物の量は、低いBGを修正するだけで十分である。食物摂取感度係数は、食物摂取を導くために使用することができる。食物の炭水化物含有量を食物摂取の基準とすることは、現在好ましい方法である。与えられた血糖値の負のずれBG−BGTを補正するための推奨される炭水化物の摂取量Carbsは、次のとおりである:
Carbs=−CIR/ISF*(BG−BGT)
−CIR/ISFは、また、I/CGRとしても知られており、人がそのCIRおよびISFの推定値を有する場合には算出することができる。

0074

第5に、患者の感度係数は、彼らの状態の関数とすることができる。したがって、運動、ストレス、病気などは、患者がインスリンをどのように利用するかを変える変数の元となることができる。より長い期間にわたって、患者の体重と進行状態は、感度係数に影響を与えることができる。

0075

ISF(インスリン感度係数)は、それによって個々の患者の血中グルコース濃度が、急激なインスリン摂取のそれぞれの単位に対して減少する量である。ISFは、一般に30〜50ミリグラム/dL/Uの範囲である。

0076

インスリンの経口投与
インスリンの経口投与は、参照により本明細書に明示的にその全体が取り込まれる米国特許第7,429,564号に記載されている。インスリンの経口投与は、経口投与に特異的なさまざまな要因に加えて、インスリンの非経口投与に影響を及ぼす同様の要因を考慮する必要があり、例えば、特定の送達薬剤化学構造、インスリンと送達薬剤との相互作用の性質および程度、単位投与量の種類;消化管での送達薬剤の濃度、およびインスリンに対する送達薬剤の比率を含む。経口投与のための単位投与量の種類は、限定されるものではないが、固体液体錠剤カプセル、懸濁液、または他の許容される剤型である。医薬組成物(例えば、クロムとインスリンを含む組成物、例えば、クロム−インスリン錯体を含む組成物)の送達手段は、限定されるものではないが、例えば、カプセル、圧縮錠剤丸剤液剤ゲル、容易に再構成するための凍結乾燥粉末、対象に投与するのに適した懸濁液、または他の手段である。

0077

一般的に、インスリンは消化管から吸収されない。しかし、経口投与された場合、消化管粘膜を通してインスリンを生物学的に利用、吸収可能とするいくつかの送達薬剤がある。一例として、許容される送達薬剤は、以下の式の化合物またはその薬学的に有効な塩を含むことができる:




(式中、Xは水素またはハロゲンであり;そして、Rは、置換もしくは非置換のC1−C3アルキレン、置換もしくは非置換のC1−C3アルケニレン、置換もしくは非置換のC1−C3アルキルアリーレン)、または置換もしくは非置換のC1−C3アリール(アルキレン)である)。許容される送達薬剤は、また、限定されるものではないが、Xが水素またはハロゲンであり;そして、Rが置換もしくは非置換のC1−C12アルキレン、または置換もしくは非置換のC1−C12アルケニレンである上記の式の化合物またはその薬学的に有効な塩を含む。許容される送達薬剤は、また、限定されるものではないが、Xが塩素であり、RがC3アルキレンである上記の式の化合物またはその薬学的に有効な塩を含む。許容されるインスリン送達薬剤は、また、下記式の化合物またはその薬学的に有効な塩を含むこともできる:




(式中、Xは、1つ以上の、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、またはC1−C3アルコキシであり、そして、Rは、置換もしくは非置換のC1−C3アルキレン、または置換もしくは非置換のC1−C3アルケニレンである)。許容される送達薬剤は、また、化合物4−[(4−クロロ、2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]ブタン酸(あるいはN−(4−クロロサリチロイル)−4−アミノブチラートとして、または短縮した名前の「4−CNAB」として知られている)、ならびにそのモノナトリウム塩を含む。

0078

いくつかの実施形態では、送達薬剤は、カルボン酸またはその塩の形態とすることができる。適切な塩としては、限定されるものではないが、有機および無機の塩、例えばナトリウムカリウムリチウムなどのアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウムまたはバリウムなどのアルカリ土類金属塩アンモニウム塩リジンまたはアルギニンなどの塩基性アミノ酸の塩;ジメチルアミンまたはピリジンなどの有機アミン類の塩を含む。好ましくは、塩はナトリウム塩である。塩は、モノナトリウム塩およびジナトリウム塩などの1価の塩または多価の塩であってもよい。塩はまた、エタノール溶媒和物および水和物を含む溶媒和物であってもよい。

0079

インスリンの経口投与に用いることができる他の適切な送達薬剤は、米国特許第5,650,386号、第5,773,647号、第5,776,888号、第5,804,688号、第5,866,536号、第5,876,710号、第5,879,681号、第5,939,381号、第5,955,503号、第5,965,121号、第5,989,539号、第5,990,166号、第6,001,347号、第6,051,561号、第6,060,513号、第6,090,958号、第6,100,298号、第5,766,633号、第5,643,957号、第5,863,944号、第6,071,510号および第6,358,504号に記載されたものを含み、これらの各特許は、参照によりその全体が本明細書に明示的に取り込まれる。追加の適切な送達薬剤は、国際公開番号WO01/34114、国際公開番号WO01/34114、国際公開番号WO01/21073、国際公開番号WO01/41985、国際公開番号WO01/32130、国際公開番号WO01/32596、国際公開番号WO01/44199、国際公開番号WO01/51454、国際公開番号WO01/25704、国際公開番号WO01/25679、国際公開番号WO00/50386、国際公開番号WO02/02509、国際公開番号WO00/47188、国際公開番号WO00/07979、国際公開番号WO00/06534、国際公開番号WO98/25589、国際公開番号WO02/19969、国際公開番号WO00/59863、国際公開番号WO95/28838、国際公開番号WO02/20466、国際公開番号WO02/19969、国際公開番号WO02/069937、および国際公開番号WO02/070438に記載されており、これらの各特許は、参照によりその全体が本明細書に明示的に取り込まれる。

0080

経口投与のためのインスリン投与量は、通常、非経口投与のためのものより多い。経口投与されるインスリンの好ましい量は、対象毎に変わり、治療される種、対象の年齢および一般的症状、併存疾患、治療を受ける状態の重症度、投与されるインスリンの種類、対象の体重、使用される送達薬剤などの要因を考慮して、当業者によって決定することができる。

0081

インスリン投与の他の方法
参照によりその全体が本明細書に明示的に取り込まれる米国特許第7,112,561号は、皮膚および様々な体腔の膜(例えば、眼、口腔頬側肛門直腸、血液脳関門の膜、および類似した膜)を通過する、注射以外のインスリン送達のための組成物および方法を記述している。皮膚膜および体腔膜を貫通するインスリン投与は、皮膚膜および/または体腔膜を介しての投与に特異的である他の要因に加えて、限定されるものではないが、特定の送達薬剤の化学構造;インスリンと送達薬剤との相互作用の性質および程度;単位投与量の性質;送達薬剤の濃度;およびインスリンに対する送達薬剤の比率を含む、インスリンの非経口投与に影響を及ぼす同じ要因を検討する必要がある。経口投与のための単位投与量の種類は、限定されるものではないが、固体、液剤、錠剤、カプセル剤、または懸濁液である。医薬組成物の送達手段は、限定されるものではないが、例えば、カプセル、圧縮錠剤、丸剤、液剤、凍結乾燥品ローション、泡、エアゾールクリーム、ゲル、または再構成の容易な粉末もしくは対象への投与に適した懸濁液である。

0082

皮膚膜や体腔の膜を通して投与するための送達薬剤は、膜を通してインスリンの送達を容易にするために、浸透促進剤を含むことができる。許容される浸透促進剤は、以下の構造を有する化合物を含むことができる:




[式中、XおよびYは、酸素硫黄または以下の構造:




イミノ基、もしくは=N−Rである。但し、Yがイミノ基であるとき、Xはイミノ基であり、Yが硫黄であるとき、Xは硫黄またはイミノ基であり、Aは以下の構造:




を有する基であり、ここに、XおよびYは、上に定義した通りであり、mおよびnは、1〜20の値を有する整数であり、m+nの合計は、25以下であり、pは0または1の値を有する整数であり、qは0または1の値を有する整数であり、rは0または1の値を有する整数であり、そして、R、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6の各々は、独立して水素または直鎖状または分岐状であってもよい1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である(但し、R〜R6の1つだけがアルキル基であり得るが、p、qおよびrが0の値を有し、かつYが酸素であるとき、m+nは、少なくとも11である;さらにXがアミノ基であり、qが1であり、Yが酸素であり、かつpおよびrが0のとき、m+nは少なくとも11である)]。好ましくは、上で定義した浸透促進剤は、治療有効量のインスリンおよび液体担体と組成物中で配合されて、この組成物は酸性pHを有する。一般に、組成物のpHは少なくとも2であり、4.5以下である。好ましくは、pHは4以下である。より好ましくは、pHは2.5〜3.8の範囲である。さらにより好ましくは、pHは約3である。

0083

他の適切な浸透促進剤は、米国特許第5,023,252号、および同第5,731,303号に記述されており、これらの特許は、参照によりその全体が明示的に本明細書に取り込まれる。

0084

上記は、好ましい浸透促進剤であるが、この教示は、また、他の浸透促進剤に適用もできることを当業者は認識するであろう。本明細書に開示される実施形態において有用な他の浸透促進剤の非限定的な例としては、様々な薬局方大綱にある米国食品医薬品局認定した食品安全表示(GRAS)の単純な長鎖エステル類が挙げられる。これらは、長さが最大中鎖を含む単純な脂肪族の不飽和または飽和エステル類(ただし、好ましくは、完全に飽和したもの)を含むことができる。このようなエステル類の非限定的な例としては、ミリスチン酸イソプロピルパルミチン酸イソプロピルミリスチン酸ミリスチルパルミチン酸オクチルなどが挙げられる。促進剤は、医薬組成物での使用に適しているタイプのものである。当業者はまた、粘膜不適合である、または粘膜を刺激するそれらの物質は避けるべきであることを理解するであろう。

0085

前記促進剤は、インスリンの浸透を増強するのに有効な濃度で、膜を介して送達される組成物中に存在することができる。使用する促進剤の量を決定する際に、様々な考察が考慮されるべきである。そのような考慮事項には、例えば、達成される流量(膜を通過する割合)、および製剤中の成分の安定性相容性が挙げられる。促進剤は、一般に、約0.01重量%〜約25重量%組成物の量で、より一般的には、約0.1重量%〜約15重量%組成物の量で、そして、好ましい態様では、約0.5重量%〜約15重量%組成物の量で使用される。

0086

液体担体は、本明細書に開示される実施形態の組成物に適したビヒクルとして役立つのに有効な濃度で組成物中に存在する。一般に、担体は組成物の約40重量%〜約98重量%の量で使用することができ、好ましい実施形態では、組成物の約50重量%〜約98重量%の量で使用することができる。

0087

一般に、インスリンを含む組成物は、冷蔵庫で保存することができる。しかし、冷凍は浸透促進剤の結晶化をもたらすことがある。このような結晶化を阻害または防止するために、好ましい実施形態では、組成物は、浸透促進剤の結晶化を阻害する1つ以上の結晶化阻害剤を含む。結晶化は、進行させると、エマルジョンを不安定にし、貯蔵寿命に悪影響を及ぼす。好ましい結晶化阻害剤は、関与する化合物が結晶化する温度を下げることによって機能する。このような結晶化阻害剤としては、例えば、天然油油性物質ワックス類、エステル類、および炭化水素類が挙げられる。天然油または油性物質の例としては、ビタミンE酢酸エステル、パルミチン酸オクチル、ゴマ油大豆油ベニバナ油アボカド油パーム油、および綿実油を含む。適切な結晶化阻害剤の選択は、本明細書の教示から当業者の範囲内であるとみなされる。好ましい結晶化阻害剤は、浸透促進剤が結晶化する温度を低下させることによって機能する。

0088

関与する化合物の結晶化温度を約25℃より下に下げることができる阻害剤は、非常に好ましく、関与する化合物の結晶化温度を約5℃より下に下げることができる阻害剤は、特に好ましい。オキサシクロヘキサデカン−2−オンの結晶化を阻害するのに使用するための特に好ましい結晶化阻害剤の例としては、ヘキサデカン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、綿実油、ベニバナ油、およびビタミンE酢酸エステルを含み、それらの各々は、医薬製剤に用いることができる。

0089

結晶化阻害剤は、浸透促進剤の結晶化を阻害するのに有効な濃度で組成物中に存在する。一般に、結晶化阻害剤は、約0.001重量%〜約5重量%の組成物の量で、より一般的には、約0.01重量%〜約2重量%の組成物の量で存在する。1つの実施形態では、結晶化阻害剤は、組成物の約0.1〜約1重量%の量で存在する。結晶化阻害剤は、促進剤が約0℃より上の結晶化温度を有する場合に好ましく使用されるものである。特に、例えば、促進剤がペンタデカラクトンおよび/またはシクロヘキサデカノンの場合、これらは室温より上で結晶化するので、結晶化阻害剤が好ましく使用される。

0090

クロムとインスリンを含む組成物
亜鉛イオンインスリン溶液に対して安定化効果を発揮することが報告されている。参照によりその全体が明示的に本明細書に取り込まれる米国特許第4,476,118号を参照されたい。例えば、インスリンの6量体当たり2〜5個の亜鉛イオンを含むことは、インスリンの析出を防ぐことができる。米国特許第4,476,118号に記載のZn−インスリン錯体と対照的に、クロム−インスリン錯体は、有利な吸収と治療効果を提供する。

0091

いくつかの実施形態では、クロムは、インスリンとの組み合わせ、例えば、単回注射剤形または単回経口剤形などの単回投与剤形で提供される。いくつかの実施形態では、クロムは、マルチユニット剤形でインスリンと共に提供される。いくつかの実施形態では、クロムは、インスリン溶液に溶解されて提供される。他の実施形態では、クロムは、インスリン溶液に懸濁されて提供される。したがって、クロムとインスリンを含む、クロムとインスリンから本質的になる、あるいはクロムとインスリンからなる組成物が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、組成物はクロム−インスリン錯体を含む。

0092

いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、例えば、単一剤形内でのインスリンとクロムとの組合せを含み、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、経直腸、眼内、または局所送達のために調合される。いくつかの実施形態では、クロムは、マルチユニット剤形でインスリンと共に提供される。いくつかの実施形態では、クロムは、インスリン溶液の懸濁液で提供される。鼻腔内送達は、噴霧器を用いて達成することができる。投与の好ましい様式は、医師の裁量に委ねられ、病状の部位に部分的に依存する。クロム、インスリン、およびまたはクロム−インスリン錯体の有効量は、投与経路に応じて変えることができる。ほとんどの場合、投与は、血流中に本明細書に開示した実施形態の化合物の放出をもたらすであろう。従って、クロムとインスリンを含む、クロムとインスリンから本質的になる、あるいはクロムとインスリンからなる組成物は、例えば、クロム−インスリン錯体の形態で、本明細書に提供される。

0093

いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、治療有効量のインスリンと治療的有効量のクロムとの組み合わせを含む、治療有効量のインスリンと治療的有効量のクロムとの組み合わせから本質的になる、または治療有効量のインスリンと治療的有効量のクロムとの組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、これらの組成物は、クロム−インスリン錯体を含む、クロム−インスリン錯体から本質的になる、またはクロム−インスリン錯体からなる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、相乗的有効量のインスリンと相乗的有効量のクロムとの組み合わせを含む、相乗的有効量のインスリンと相乗的有効量のクロムとの組み合わせから本質的になる、または相乗的有効量のインスリンと相乗的有効量のクロムとの組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、組成物は、それ自体、クロム−インスリン錯体を含むことができる、クロム−インスリン錯体から本質的になることができる、またはクロム−インスリン錯体からなることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、インスリン溶液に溶解されているクロムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、それ自体、クロム−インスリン錯体を含むことができる、クロム−インスリン錯体から本質的になることができる、またはクロム−インスリン錯体からなることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、インスリンの溶液中に懸濁されているクロムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、それ自体、クロム−インスリン錯体を含むことができる、クロム−インスリン錯体から本質的になることができる、またはクロム−インスリン錯体からなることができる。

0094

いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物としては、治療有効量のクロムと治療有効量のインスリンの組み合わせを含む注射用溶液が挙げられる。いくつかの実施形態では、クロムとインスリンの組み合わせは、限定されるものではないが、インスリンの吸収および全体的な吸収率の増加、インスリン溶解速度の減少、受容体結合の増加、および治療特性を含む、糖尿病の治療のための利点をもたらす。いくつかの実施形態では、クロムとインスリンの組み合わせは、インスリン単独よりも速い速度で血清グルコースレベルを低下させる。

0095

クロム−インスリン錯体
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される、クロムとインスリンの組成物は、クロム−インスリン錯体を含む、クロム−インスリン錯体から本質的になる、またはクロム−インスリン錯体からなる。いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体は、クロム:インスリンの化学量論比、例えば、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1を含む。いくつかの実施形態では、クロムとインスリンは、非化学量論的な量、例えば、インスリン6量体当たり、クロム(例えば、クロム錯体)の1〜10分子の量で、クロム−インスリン錯体中に存在する。いくつかの実施形態では、錯体は約30〜40kDa、例えば、30kDa、31kDa、32kDa、33kDa、34kDa、35kDa、36kDa、37kDa、38kDa、39kDa、40kDa、またはそれより多い分子量を有する。

0096

いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体は、クロムおよびインスリンの治療有効量を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、クロム−インスリン錯体の単離および/または精製された量を含む、クロム−インスリン錯体の単離および/または精製された量から本質的になる、またはクロム−インスリン錯体の単離および/または精製された量からなる。クロム−インスリン錯体の単離および/または精製された量は、クロムおよび/またはインスリンの治療有効量を提供するための量で提供することができる。いくつかの実施形態では、クロム−インスリン錯体は、単離および/または精製されないで、むしろクロムとインスリンの混合物内に存在する。

0097

いくつかの実施形態では、クロムおよび/またはインスリンは、栄養学的に許容される担体または薬学的に許容される担体と共に提供される。本明細書で使用されるように、語句「栄養学的に許容される担体」、「栄養学的に許容される賦形剤」、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書に開示される実施形態の化合物を哺乳類に投与するのに適した栄養学的にまたは薬学的に許容される物質、組成物またはビヒクルを指す。担体は、1つの臓器または身体の一部から他の臓器または身体の一部に対象薬剤運搬または輸送することに関与している、液体もしくは固体の充填剤希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料を含むことができる。担体は、製剤の他の成分と相容性であるという意味で「許容される」ことができ、患者にとって有害ではない。栄養学的または薬学的に許容される担体として役立ち得る物質のいくつかの例としては、限定されるものではないが、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン類カルボキシメチルセルロースナトリウムエチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースならびにその誘導体;粉末トラガカント麦芽ゼラチンタルクカカオバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油コーン油、およびダイズ油などの油類プロピレングリコールなどのグリコール類グリセリンソルビトールマンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール類オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤アルギン酸発熱物質を含まない水;等張食塩水リンゲル液エチルアルコールリン酸緩衝液;および医薬製剤に用いられる他の非毒性の適合性物質が挙げられる。いくつかの実施形態では、栄養学的にまたは薬学的に許容される担体は、静脈内投与に適することができる。いくつかの実施形態では、栄養学的にまたは薬学的に許容される担体は、局所注射に適することができる

0098

用語「医薬組成物」は、「治療剤」と互換的に使用され、哺乳類、例えば、ヒトへの投与に適した製剤を含む。本明細書に開示される実施形態の化合物は、医薬品として哺乳類、例えば、ヒトに投与される場合、それ自体、あるいは、例えば、栄養学的または薬学的に許容される担体と組み合わせた活性成分の0.1〜99.5%(より好ましくは0.5〜90%)を含む医薬組成物として投与されることができる。本明細書に開示される実施形態のマルチプルユニット剤形に配合される治療剤の量は、所望の治療効果を達成する適量である。開示された治療薬の投与量は当該技術分野においてよく確立されており、ルーチン実験を介して任意の特定の適応症のために最適化することができる。

0099

別の態様において、実施形態は、本明細書に開示される組成物で対象を治療する方法に関する。本明細書で用いられる用語「対象」、「患者」または「個体」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。「哺乳類」は、哺乳動物として分類される任意の動物を指し、ヒト、家畜農場の動物、動物園の動物、スポーツ用動物、または愛玩動物(例えば、ウマヒツジ、ウシ、ブタ、イヌネコなど)を含む。好ましくは、哺乳類はヒトである。

0100

クロムとインスリンを含む相乗的に有効な組成物
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、相加的な効果よりも大きな効果を提供するために一緒に選択されるクロムおよびインスリンの相乗的有効量を含む。相加的な効果よりも大きいこの効果は、インスリン受容体結合の増加を含むことができるが、これに限定されるものではない。本明細書で使用する「相乗的有効量」は、組成物中に存在する別の成分の相乗効果を引き出すのに必要な組成物の一成分の量を指す。本明細書で使用する「相乗効果」は、いずれかの成分を単独で投与した場合に予想されるものよりも著しく大きい結果を指す。本明細書で開示される活性成分の必要とされる、正確な相乗的有効量は、処置される種、対象の年齢および一般的な症状、合併症、処置される症状の重症度、投与される特定の薬剤、対象の体重、および投与方法などの要因に依存して対象毎に変わるであろう。したがって、正確な「相乗的な量」を特定することはできない。しかし、どんな所定の症例に対しても、適切な「相乗的有効量」は、ルーチンの方法を用いて当業者によって決定することが可能である。

0101

一例として、例えば、本明細書で開示されるクロム錯体の形態で存在するクロムの「相乗的有効量」は、例えば、0.001μg/kg、0.01μg/kg、0.1μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、1.5μg/kg、2.0μg/kg、2.5μg/kg、3.0μg/kg、3.5μg/kg、4.0μg/kg、4.5μg/kg、5.0μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、80μg/kg、0、850μg/kg、900μg/kg、1mg/kg、1.5mg.kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg、lg/kg、5g/kg、10g/kg、またはそれ以上であるか、またはクロムのその間の任意の量であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中のクロムの相乗的有効量は、好ましくは1日あたり、約0.001μg〜約1gであり得る。例えば、クロム錯体中に存在するクロムの量は、0.001μg、0.01μg、0.1μg、0.2μg、0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1μg、2μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、250μg、275μg、300μg、325μg、350μg、375μg、400μg、425μg、450μg、475μg、500μg、525μg、575μg、600μg、625μg、650μg、675μg、700μg、725μg、750μg、775μg、800μg、825μg、850μg、875μg、900μg、925μg、950μg、975μg、1000μg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2.0mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3.0mg、3.25mg、3.5mg、3.5mg、3.75mg、4.0mg、4.25mg、4.5mg、4.75mg、5.0mg、5.25mg、5.5mg、5.75mg、6.0mg、6.25mg、6.5mg、6.75mg、7.0mg、7.25mg、7.5mg、7.75mg、8.0mg、8.25mg、8.5mg、8.75mg、9.0mg、8.25mg、9.5mg、9.75mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、1g、もしくはそれ以上であるか、または前述の値の任意の2つの間の任意の範囲または量であり得る。

0102

同様に、一例として、本明細書で開示されるインスリンの「相乗的有効量」は、例えば、インスリンの0.01単位、インスリンの0.1単位、インスリンの1単位、インスリンの1.5単位、インスリンの2単位、インスリンの3単位、インスリンの4単位、インスリンの5単位、インスリンの6単位、インスリンの7単位、インスリンの8単位、インスリンの9単位、インスリンの10単位、インスリンの11単位、インスリンの12単位、インスリンの13単位、インスリンの14単位、インスリンの15単位、インスリンの16単位、インスリンの17単位、インスリンの18単位、インスリンの19単位、インスリンの20単位、インスリンの21単位、インスリンの22単位、インスリンの23単位、インスリンの24単位、インスリンの25単位、インスリンの26単位、インスリンの27単位、インスリンの28単位、インスリンの29単位、インスリンの30単位、インスリンの35単位、インスリンの40単位、インスリンの45単位、インスリンの50単位、インスリンの60単位、インスリンの70単位、インスリンの80単位、インスリンの90単位、インスリンの100単位、インスリンの150単位、インスリンの200単位、インスリンの250単位、インスリンの300単位、インスリンの400単位、インスリンの500単位、インスリンの1000単位、インスリンの2000単位、もしくはそれ以上、またはその間の任意の量であり得る。

0103

他の実施形態では、対象に最大の相乗効果をもたらす、インスリンに対するクロムの比率の範囲がある。本明細書に開示される活性成分の必要とされる正確な比率は、処置される種、対象の年齢および一般的な症状、合併症、処置される症状の重症度、投与される特定の薬剤、対象の体重、および投与方法などの要因に依存して対象毎に変わるであろう。したがって、正確な比率および比率の範囲を特定することはできない。しかし、どんな所定の症例に対しても、適切な比率および比率の範囲は、ルーチンの方法のみを用いて当業者によって決定することが可能である。

0104

一例として、本明細書に開示されるインスリンに対するクロムの比率は、例えば、0.0001μgのクロム/単位インスリン、0.0001μgのクロム/単位インスリン、0.001μgのクロム/単位インスリン、0.002μgのクロム/単位インスリン、0.003μgのクロム/単位インスリン、0.004μgのクロム/単位インスリン、0.005μgのクロム/単位インスリン、0.006μgのクロム/単位インスリン、0.007μgのクロム/単位インスリン、0.008μgのクロム/単位インスリン、0.00μgのクロム/単位インスリン、0.01μgのクロム/単位インスリン、0.02μgのクロム/単位インスリン、0.03μgのクロム/単位インスリン、0.04μgのクロム/単位インスリン、0.05μgのクロム/単位インスリン、0.06μgのクロム/単位インスリン、0.07μgのクロム/単位インスリン、0.08μgのクロム/単位インスリン、0.09μgのクロム/単位インスリン、0.10μgのクロム/単位インスリン、0.11μgのクロム/単位インスリン、0.12μgのクロム/単位インスリン、0.13μgのクロム/単位インスリン、0.14μgのクロム/単位インスリン、0.15μgのクロム/単位インスリン、0.16μgのクロム/単位インスリン、0.17μgのクロム/単位インスリン、0.18μgのクロム/単位インスリン、0.19μgのクロム/単位インスリン、0.2μgのクロム/単位インスリン、0.3μgのクロム/単位インスリン、0.4μgのクロム/単位インスリン、0.5μgのクロム/単位インスリン、0.6μgのクロム/単位インスリン、0.7μgのクロム/単位インスリン、0.8μgのクロム/単位インスリン、0.9μgのクロム/単位インスリン、1μgのクロム/単位インスリン、2μgのクロム/単位インスリン、3μgのクロム/単位インスリン、4μgのクロム/単位インスリン、5μgのクロム/単位インスリン、10μgのクロム/単位インスリン、20μgのクロム/単位インスリン、50μgのクロム/単位インスリン、100μgのクロム/単位インスリン、200μgのクロム/単位インスリン、500μgのクロム/単位インスリン、もしくはそれ以上、またはその間の任意の量であり得る。一例として、本明細書に開示されるインスリンに対するクロムの比率の範囲は、例えば、0.001−20μgのクロム/単位インスリン、0.001−0.01μgのクロム/単位インスリン、0.01−0.1μgのクロム/単位インスリン、0.1−1μgのクロム/単位インスリン、1−2μgのクロム/単位インスリン、2−3μgのクロム/単位インスリン、3−4μgのクロム/単位インスリン、4−5μgのクロム/単位インスリン、5−10μgのクロム/単位インスリン、10−20μgのクロム/単位インスリン、もしくはそれ以上、またはその間の任意の量であり得る。

0105

いくつかの実施形態では、インスリンを必要とする対象にインスリンを投与する改善された方法が提供される。この改善された方法は、相乗的有効量のインスリンとクロムとを配合して組成物を生成させること;対象に対する組成物の最適投与量を決定すること;そして、この組成物の最適投与量を対象に投与することを含む。組成物の最適投与量は、対象に組成物を投与した後、所望の効果を達成する最小値にインスリンの投与量を調整することによって決定することができる。例えば、糖尿病の治療では、望ましい効果は、高血糖でも低血糖でもないレベルに血清グルコースを安定化させることである。したがって、糖尿病を治療するための組成物の最適投与量は、高血糖や低血糖でもないレベルに血清グルコースをもたらす最小投与量である。クロムの血清グルコース安定化効果を考えると、インスリンとクロムの相乗的有効量を含む組成物の最適投与量は、おそらくインスリンのみが投与された最適であろうよりも少ないインスリンを含む。

0106

インスリンとクロムを含むキット
別の態様では、実施形態は、注射器、インスリンの溶液、およびクロムを含むインスリン注射用キットに関するものである。いくつかの実施形態では、キットは、クロム−インスリン錯体を含む。このキットは、エンドユーザーが投与前にクロムとインスリンを配合することができる。これにより、エンドユーザーは、クロムとインスリンの投与量、ならびに注射前に組成物中のインスリンに対するクロムの比率を変化させることができる。いくつかの実施形態では、キットに含まれる注射器は、米国特許第4,424,057号(その開示は、参照によりその全体が本明細書に明示的に取り込まれる)に開示されている注射器などの注射器自体の中にインスリンとクロムを配合するように構成されている。

0107

クロムとインスリンを含む組成物の製造方法
別の実施形態では、本明細書に開示されるクロムとインスリンの注射可能な組成物を製造するための方法は、クロムとインスリンを配合し、それによって注射用組成物に到達する。いくつかの実施形態では、クロム成分は、限定されるものではないが、溶液中に懸濁されたクロム(例えば、クロム錯体);溶液中に溶解されたクロム(例えば、クロム錯体);または、粉末のクロム(例えば、クロム錯体の形態で);あるいはインスリンの溶液と配合し得る任意の形態を取る。いくつかの実施形態では、注射可能な組成物は、懸濁液;溶液;またはクロムとインスリン溶液との任意の他の組成物の形態を取るが、これらに限定されるものではない。

0108

インスリンを必要としている過体重の対象の治療方法
別の実施形態では、血清グルコース濃度を安定化させる必要のある過体重の対象での血清グルコース濃度を安定化させる方法が提供され、それは、(a)インスリンを必要としている過体重の対象を識別すること、そして、(b)クロムとインスリンを含む組成物(例えば、クロム−インスリン錯体を含む組成物の形態で)を対象に投与すること、の工程を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、非経口的に、経鼻的に、経口的に、または経肺的に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、過体重の対象は、糖尿病、しばしば2型糖尿病に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は1型糖尿病に罹患している。換言すれば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物および/または錯体は、血清グルコースレベルを安定化させる必要のある対象の血清グルコースレベルを安定化させるために使用することができる。

0109

過体重は、糖尿病を発症する主要な危険因子の1つである。糖尿病の過体重の人は、圧倒的に2型糖尿病を患っている。しかし、糖尿病の治療、例えば、インスリンによる治療は、代謝率が低下し、脂肪とグルコースの貯蔵を増加させた結果として、多くの場合、体重の増加をもたらす。これは、人の糖尿病が、治療によって引き起こされる体重増加の結果、悪化し、さらなる治療が必要となり、さらに体重増加をもたらすというサイクルにつながる可能性がある。クロムとインスリンを組み合わせることにより、インスリン治療に伴う体重増加は、クロム補給の体重減量効果によって軽減することができる。クロムは、低血糖レベルを超える血清グルコースレベルを安定させるのに対し、一方、インスリン単独では、過剰なグルコース取り込みを引き起こす可能性があり、時には低血糖をもたらす。インスリンに配合されたクロムは、インスリン単独に比べて少ないグルコース取り込みをもたらす可能性があるため、より少ないグルコースが貯蔵され、より少ない体重増加の結果となり得る。同様に、クロムは、グルコース代謝を正常化するために働くため、インスリンとクロムの投与は、低体重の対象の体重を増加させる作用をする可能性がある。

0110

他の実施形態では、糖尿病治療によって誘発される体重増加を予防する方法が提供され、この方法は、インスリンとクロムを含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、インスリンとクロムを含む組成物は、非経口的に投与される。

0111

血清グルコースレベルを安定化するための改善された方法
別の実施形態では、血清グルコースレベルの安定化を必要とする対象で、血清グルコースレベルを安定化するための改善された方法が提供される。改善は、相乗的に有効量のインスリンとクロムを配合して組成物を生成すること、そして、この組成物を対象に投与すること、の工程を含む。いくつかの実施形態では、改善された方法は、例えば、非経口的に、経鼻的に、経口的に、経肺的に、または経皮的に施される。いくつかの実施形態では、改善は治療有効量のクロム−インスリン錯体を含む組成物を提供し、組成物を対象に投与することを含む。このようにして、本明細書に記載される組成物は、他の既知の組成物と比較して、血清グルコースレベルを安定化するための改善された方法を提供するために使用することができる。

0112

血清インスリンレベルを上げるための改善された方法
他の実施形態では、血清インスリンレベルを上昇させるための改善された方法が提供される。改善は、相乗的に有効量のインスリンとクロムを配合して組成物を生成すること、そして、この組成物を対象に投与すること、の工程を含む。いくつかの実施形態では、改善された方法は、例えば、非経口的に、経鼻的に、経口的に、経肺的に、または経皮的に投与される。いくつかの実施形態では、改善は治療有効量のクロム−インスリン錯体を含む組成物を提供し、この組成物を対象に投与することを含む。すなわち、本明細書に記載される組成物は、他の既知の組成物および/またはインスリン単独と比較して、血清インスリンレベルを上昇させるための改善された方法を提供するために使用することができる。

0113

体重を安定化するための改善された方法
別の実施形態では、対象の体重を安定化するための改善された方法が提供される。1型糖尿病の個体において、インスリン療法は、体重減少をもたらし得る。下記実施例6に示されるように、本明細書で提供される組成物は、1型糖尿病の対象におけるインスリン療法に伴う体重減を減少させることが示されている。2型糖尿病の人は、しばしば体重増加を経験する。本明細書で提供される組成物は、2型糖尿病に関連する体重増加を有利に減少させる。換言すれば、本明細書で提供される組成物は、糖尿病の個体の体重を安定化するのに有益である。改善は、相乗的に有効量のインスリンとクロムを配合して組成物を生成すること、そして、この組成物をそれを必要とする対象に投与すること、の工程を含む。いくつかの実施形態では、改善された方法は、例えば、非経口的に、経鼻的に、経口的に、経肺的に、または経皮的に投与される。いくつかの実施形態では、改善は治療有効量のクロム−インスリン錯体を含む組成物を提供し、この組成物を対象に投与することを含む。このようにして、本明細書に記載される組成物は、他の既知の組成物および/またはインスリン単独と比較して、血清インスリンレベルを上昇させるための改善された方法を提供するために使用することができる。

0114

他のグルコース代謝に関連する疾患および障害の治療のための組成物および方法
別の態様では、いくつかの実施形態は、低血糖症以外のグルコース代謝関連疾患および障害の治療のための組成物、ならびにその使用方法に関する。他のグルコース代謝関連疾患の治療のための組成物は、クロムおよびインスリンとの組み合わせのクロムを含む本明細書に記載される同じ組成物である。グルコース代謝に関連する疾患および障害には、これらに限定されるものではないが、アルツハイマー病、認知症、軽度の認知障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、糖尿病、低血糖症、ならびにその他の任意のグルコース代謝に関連する疾患および障害が挙げられる。したがって、本明細書に開示される組成物および/または錯体は、アルツハイマー病、認知症、軽度の認知障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、糖尿病、低血糖症などのグルコース代謝関連疾患を治療するために使用することが可能である。

0115

実施例1 −クロムは、インスリン誘発性低血糖ラットの脳傷害の重症度の軽減をする。
インスリン誘発性低血糖症を予防するクロムの潜在的保護効果を評価するために、インスリンを動物に投与して低血糖を誘発させ、低血糖脳傷害のマーカーを、クロムを投与した動物およびクロムを投与しなかった動物において比較した。

0116

簡単に述べると、低血糖がSprague−Dawleyラット(雄、8週齢)でインスリン15単位/kg体重腹腔内注射によって誘発された。ラットをそれぞれ15匹の4群に分けた:(1)インスリン投与を受けない対照群(「Control」);(2)クロムを投与しなかった群(「Hypo」);(3)ピコリン酸クロムを110μg/kg/日、投与した群(CrPic);およびヒスチジン酸クロムを110μg/kg/日、投与した群(CrHis)。投与の1週間後、脳を犠牲にしたラットから摘出し、低血糖傷害マーカー:GLUT−1、GLUT−3、Nrf2、GFAP、およびHNEに対して分析した。データを表1と図1〜6に示す。

0117

図1に示すように、クロムの前処置は、インスリン注射後の血清グルコースレベルを上げたり下げたりしなかった。これらのデータは、クロムが血清グルコースレベルの正常化に、すなわち、インスリン投与により影響されるものとして、有用であることを示している。

0118

図2に示すように、非クロム処置した動物において、インスリン誘発性の低血糖が脳内クロムの組織レベルを大幅に低下させた。対照的に、クロム処置は、脳内クロムレベルを上昇させた。

0119

図3に示すように、低血糖は、脳内GLUT−1輸送体レベルを著しく上昇させた。低血糖誘発性GLUT−1の増加は、クロム処置を受けた動物において減少した。これらのデータは、細胞の傷害につながる可能性のある、過剰グルコースの細胞内への侵入がないようにするために、GLUT−1レベルを調節することによって、クロムが保護的役割を果たし得ることを示唆している。

0120

図4に示すように、低血糖は、脳内GLUT−3輸送体レベルを著しく上昇させた。低血糖誘発性GLUT−3の増加は、クロム処置を受けた動物において減少した。これらのデータは、細胞の傷害につながる可能性のある、過剰グルコースの細胞内への侵入がないようにするために、GLUT−3レベルを調節することによって、クロムが保護的役割を果たし得ることを示唆している。

0121

図5に示すように、低血糖は、脳内Nrf2の組織レベル(細胞保護タンパク質)を著しく低下させた。低血糖誘発性Nrf2の減少は、クロム処置により減少した。減少Nrf2のレベルが認知障害に関与していたので、これらのデータは、認知機能障害を含む低血糖症関連症状および障害に対する保護におけるクロムの有用性を証明する。

0122

図6に示すように、低血糖は、脳内GFAPとHNE組織レベル(神経傷害と酸化的傷害のマーカー)を著しく上昇させた。GFAPとHNEレベルは、クロム処置によって低下した。これらのデータは、神経傷害を含む低血糖関連症状に対する保護におけるクロムの有用性を証明している。

0123

上記のデータは、クロム前処置が、低血糖症に起因するよくない副作用を大幅に軽減できることを示す。

0124

実施例2 −クロムとインスリンは、クロム−インスリン錯体を形成することができる。
インスリン分子との錯体を形成するためのクロムの可能性を評価するために、以下のことを実施した。

0125

100μlのインスリン(10mg/ml)を200μlのヒスチジン酸クロム(「Cr−His」)(26mg/ml)と室温(20℃)で混合し、白色の沈殿物を形成した。沈殿物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で1回洗浄した。それから、沈殿物を25mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)に再溶解した。次に、最初の上清液と再溶解沈殿物をサイズ排除カラム(例えば、Agilent Bio社から入手可能な、100〜100,000Daの再分割範囲を有する、3μM、100Åのカラム;大きな分子が最初に溶出する)に通し、紫外可視分光法および誘導結合プラズマ質量分析法(ICPMS)を用いて分析した。

0126

Cr−Hisとインスリンのコントロール(すなわち、Cr−Hisとインスリン混合物中と同じ濃度)をカラムに流した。図14は、ヒスチジン酸クロム単独の紫外線280nmのプロットを示し、一方、図15は、インスリン単独の紫外線214nmのプロットを示す。

0127

図16は、上清の紫外線280nmのプロットを示し、図17は、52Crを標的とするICPMSプロットを示す。従って、Cr−Hisのコントロールと比較して、上清の分析は、多くのCr−Hisが上清に残っていることを示した。

0128

図18は、再溶解析出物に対する紫外線214nmのプロットを示す。図示したように、約10分でのピークが検出された。図19は、52Crを標的とするICPMSプロットを示す。図20は、再溶解析出物に対する53Crを標的とするICPMSプロットを示す。また、10分付近のピークは、クロムの存在を示した。10分のこの溶出液の分子量は、約36kDaと推定された。これらのデータは、クロムがインスリンと錯体を形成することを強く示唆している。

0129

実施例3 −クロム−インスリン組成物は、正常マウスにおいて、インスリンまたは亜鉛−インスリン組成物よりも、より大きな程度に血清インスリンレベルを上げ、血清グルコースレベルを下げる。
正常マウスにおける血清インスリンレベルおよび血清グルコースレベルに対するクロム−インスリン組成物の効果を評価するために、以下のことを実施した。

0130

C57BL/6マウス(試験群当たり5匹のマウス)は、3つの異なる形態:インスリン単独、亜鉛−インスリン、およびクロム−インスリンを用いて、0.5U/kg体重のインスリンを腹腔内注射した。

0131

血清インスリンレベルを経時的に測定した。血清インスリンレベルは、Crystal Chem社(Downers Grove,IL)からのラットインスリン酵素免疫測定法ELISA)キットにより決定した。

0132

図21は、その結果を示す。図21に示すように、クロム−インスリン組成物の形態で提供されるインスリンの同量は、インスリン単独および亜鉛−インスリン組成物として提供されるインスリンの同量とは異なる、有益な薬物動態プロファイルを有していた。注目すべきは、早い時点では、クロム−インスリン注射は、他の組成物よりも血清インスリンをより高く上昇させたことを示している。血清インスリンレベルは、早い時点でクロム−インスリンに対して、より高いままであった。このように、データは、本明細書で提供される組成物は、インスリンの改善された吸収を提供することを示している。

0133

改善された吸収データが、改善された治療効果と相関しているかどうかを決定するために、FreeStyle血中グルコース監視システム(TheraSense,Phoenix,AZ)を用いて、血清グルコースレベルが経時的に測定された。そのデータは、図22に示される。クロム−インスリン組成物として提供されるインスリンは、インスリン単独、または亜鉛−インスリン組成物として提供されるインスリンの同量よりも、より大きな程度に血清グルコースレベルを下げたことを示している。クロムを含む組成物が提供されたときに、これらのデータは、インスリンの改善された治療効果を証明している。

0134

実施例4 −クロム−インスリン組成物は、糖尿病マウスにおいて、インスリン単独よりも速く、そして亜鉛−インスリン組成物よりも速く、血清インスリンレベルを上げ、そして血清グルコースレベルを下げる。
糖尿病マウスにおける血清インスリンレベルおよび血清グルコースレベルに対するクロム−インスリン組成物の効果を評価するために、以下のことを実施した。

0135

KKAyマウス(試験群当たり5匹のマウス)は、3つの異なる形態:インスリン単独、亜鉛−インスリン、およびクロム−インスリンで、0.5U/kg体重のインスリンを腹腔内注射した。血清インスリンレベルを経時的に測定した。

0136

血清インスリンレベルを経時的に測定した。血清インスリンレベルは、Crystal Chem社(Downers Grove,IL)からのラットインスリン酵素免疫測定法(ELISA)キットにより測定した。

0137

図23は、その結果を示す。図23に示すように、クロム−インスリンは、インスリン単独および亜鉛−インスリンの両方と比べて、異なる有益な薬物動態プロファイルを有していた。注目すべきは、早い時点では、クロム−インスリン注射は、他の組成物よりも血清インスリンをより高く上昇させたことを示している。血清インスリンレベルは、早い時点でクロム−インスリン組成物の形態でインスリンの投与を受けた動物では、より高いままであった。クロム−インスリン組成物として提供されるとき、これらのデータは、インスリンの吸収における観察された増加を確認している。

0138

図24は、FreeStyle血中グルコース監視システム(TheraSense,Phoenix,AZ)を用いて決定された、経時的に測定された血清グルコースレベルを示す。図24に示すように、クロム−インスリン注射は、インスリン単独よりも下に血清グルコースレベルを下げた。

0139

実施例5 −クロム−インスリン組成物は、亜鉛−インスリン組成物よりも、より大きな程度にグルコースレベルを下げる。
糖尿病ラットモデルにおける、亜鉛−インスリン組成物と比較した、クロム−インスリン組成物の効果を評価するために、以下のことを実施した。

0140

それぞれ7匹のWistarラットを含む4つの実験群は、次のように形成された:
1)対照:生理食塩水での注射;
2)1型:ストレプトゾトシン(「STZ」)の65mg/kg腹腔内注射(1型糖尿病モデルに対して);
3)+ZnIns:体重100g当たり、STZの65mg/kg腹腔内注射、およびZnOの6.23mcg注射、およびインスリンの3国際単位(IU)注射;
4)+CrIns:体重100g当たり、STZの65mg/kg腹腔内注射、およびCr−Hisの47.7mcg注射、およびインスリンの3国際単位(IU)注射。

0141

血清グルコースレベルは、処置後1時間にグルコースオキシダーゼペルオキシダーゼ法(GOD/PODキット)を用いて計算した。図25は、グラフ形式でその結果を示している。図25に示すように、+CrInsは、+ZnIns群よりも低い血清グルコースレベルを有していた。これらのデータは、インスリン単独、あるいは亜鉛とインスリンを含む組成物と比べて、クロム−インスリン組成物として提供される場合に、血清グルコースレベルを低下させるという点でインスリンが予想外の良好な治療効果を示すことを確認している。

0142

実施例6 −クロム−インスリン組成物は、糖尿病ラットにおいて、亜鉛−インスリン組成物よりも大いに正常体重を維持する。
糖尿病ラットモデルにおいて、亜鉛−インスリン組成物と比較して、クロム−インスリン組成物の効果を評価するために、以下のことを実施した。

0143

それぞれ7匹のWistarラットを含む4つの実験群は、次のように形成された:
1)対照:生理食塩水での注射;
2)1型:STZの40mg/kg腹腔内注射;
3)+ZnIns:STZの40mg/kg腹腔内注射とZn−インスリン0.5IUの注射;
4)+CrIns:STZの40mg/kg腹腔内注射と0.8IUの注射。

0144

ラットは8週間毎日、注射した。ラットの初期平均体重と最終平均体重を以下の表2に示す。
1型糖尿病誘発性ラットの体重に対するインスリン−キレート型の効果(1群当たり7匹)

0145

上記データは、クロム−インスリン組成物として提供されるインスリンによる治療が、低血糖症に起因する体重減などの良くない副作用を著しく緩和することができることを証明している。クロム−インスリン錯体の有益な効果は、亜鉛とインスリンを含む組成物で観察されたものよりも有意に大きかった。

0146

実施例7 −糖尿病の治療において相乗効果を有するクロムとインスリンを含む組成物
同様の体重、年齢、インスリン感受性、およびその他の特性を有する第1、第2、第3、および第4の対象は、糖尿病を患っているとして識別される。それぞれの対象は、126mg/dLを超える空腹時血清グルコースレベルなどの糖尿病に伴う1つ以上の症状を提示する。

0147

第1の対象は、非経口的に対照の生理食塩液を投与される。

0148

第2の対象は、25〜2,000μgのクロムの投与量Xが非経口的に投与される。

0149

第3の対象は、1単位〜500単位のインスリンの投与量Yが非経口的に投与される。

0150

第4の対象は、25〜2,000μgのクロムの投与量Xと1単位〜500単位のインスリンの投与量Yを含む組成物が非経口的に投与される。

0151

対象の空腹時血清グルコースレベルは、クロムの投与の前と後で測定される。クロムの投与後に、第1の対象は、血清グルコースレベルの不変が観察される。第2の対象は、低下した血清グルコースレベルを有することが観察される。第3の対象は、第3の対象のそれよりも低い、低下したグルコースレベルを有することが観察され、そして、低血糖になっている。第4の対象は、第1および第2の対象のそれよりも低い、低下した血清グルコースレベルを有するが、第3の対象のそれよりも高い血清グルコースレベルを有し、かつ低血糖でないことが観察される。

0152

実施例8
クロムとインスリンを含む非経口投与用組成物の有効性を評価するために、糖尿病性動物にクロムとインスリンを含む組成物を非経口的投与し、代謝機能指標、糖尿病プロファイル、および低血糖脳傷害マーカーを、クロム投与をして、またはクロム投与をしないで動物において比較した。また、クロムの投与を亜鉛の投与と比較した。

0153

42匹のWistarラットを6つの実験群の1つに割り当てた:1)陽性対照:生理食塩水を注射したラット、2)1型糖尿病群ベータ細胞を損傷するためにストレプトゾトシン(STZ、65mg/kgを腹腔内)投与したラット(35匹)。糖尿病ラット(サブグループ当たり7匹)はその後、a)なし、b)Znの単独(6.23μgのZnO)、c)Crの単独(47.7μgのヒスチジン酸クロム)、d)Zn−インスリン(6.23μgのZnO+3IUのIns/100g体重)、またはe)Cr−インスリン(47.7μgのヒスチジン酸クロム+3IUのIns/100g体重)で、毎日26日間、投与された。体重は、実験の開始時と終了時に測定した。

0154

液サンプルは、血液生化学検査のために−2日目(開始)、0日目(誘導)、4日目、6日目、12日目、および26日目に採取した。実験の終了時に、ラットは脳組織GLUT(1および3)のために犠牲にした。データは平均比較のためにLSDオプションを使用して一元配置分散分析により分析した。実験開始時の体重は、グループ間で差はなかった。対照ラットと比較して、しかし、実験終了時糖尿病ラットは、対照ラットに比べて体重の減少があった。Zn−InsおよびCr−Insで処置された糖尿病ラットでは、未処置の糖尿病ラットよりも体重減が少なかった。糖尿病の誘導は、血清インスリン、総タンパク質、およびCKクレアチニンキナーゼ)のレベルの減少、ならびに血清グルコース、尿素、クレアチニン、およびKレベルの増加、同様に、ASTアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALTアラニンアミノトランスフェラーゼ)、ALPアルカリホスファターゼ)、およびLDH乳酸脱水素酵素)の活性の増加を伴った。

0155

代謝プロファイル回復するCrInsの有効性は、ZnInsと同等であるか、またはZnInsよりも優れていた。実験中、CrInsの注射は、ZnInsを注射するよりも、上昇した血清グルコースレベルを低下させるのにより効果的であった。脳のGLUT発現は、糖尿病誘導によって弱められた。CrIns治療は、脳のGLUT発現を緩和するという点で他の治療の選択肢よりも優れていた。結論として、CrInsは、おそらく増強インスリン作用および内在グルコースから生じる、Crおよび外因性インスリンの2重の効果により高血糖を抑制するのにZnInsより優れていると思われる。

0156

研究結果は、表2〜7および図7〜13に示される。

0157

表2に示すように、ZnInsを含む他のすべての処置群と比較して、CrInsは、体重の最も少ない減少をもたらした。これらのデータは、CrInsが糖尿病の治療にZnInsよりも優れていることを示唆している。

0158

表4に示すように、ZnInsを含む他のすべての処置群に比べて、CrInsは、血清インスリン、CK、総蛋白質アルブミン、血清グルコース、AST、ALT、ALP、LDH、尿素、クレアチニン、および尿酸のレベルを対照レベルに戻す際に最も効果的であった。

0159

表5に示すように、ZnInsを含む他のすべての処置群と比較して、CrInsは、GLUT−1およびGLUT−3の発現の最高レベルをもたらした。これらのデータは、CrInsが高血糖を抑制し、糖尿病を治療するのにZnInsよりも優れていることを示唆している。

0160

表6に示すように、ZnInsを含む他のすべての処置群と比較して、CrInsは、血清クロムレベル、脳のクロムレベル、脳のセロトニンレベル、脳のトリプトファンレベルの最高レベルをもたらした。これらのデータは、CrInsが高血糖を抑制し、糖尿病を治療するのにZnInsよりも優れていることを示唆している。

0161

表7および図7に示すように、CrIns合剤の投与は、望ましい正常血糖レベルである約100mg/dlの、投与後血清グルコースレベルをもたらした。ZnIns合剤に対する投与後の血清グルコースレベルは、約120〜150mg/dlと相違した。これらのデータは、CrInsが高血糖を抑制し、糖尿病を治療するのにZnInsよりも優れていることを示唆している。

0162

表7ならびに図8および9に示すように、CrIns合剤は、対照レベルと比べて、腎臓OCT−1およびOCT−2(有機カチオン輸送体)の最大の割合をもたらした。OCTは、モノアミン神経伝達物質アグマチン、およびプロスタグランジン類などを含む、多くの生理的に重要な内因性陽イオンの腎臓恒常性にとって重要である。OCTは、また、毒素、生体異物、および一般的に使用される薬(例えば、メトホルミンおよびβ−ブロッカー)を含む広範囲の外因性基質腎クリアランスのためにも必要である。(Thomasら(2004)JPET 311:456−466)。これらのデータは、CrInsが例えばメトホルミンを含むいくつかの糖尿病治療薬の有効性を高めることができることを示唆している。

0163

また、表7および図10に示すように、CrIns合剤は、対照レベルと比べて、腎臓NFK(核因子カッパB)の最低割合をもたらした。NFKは、急性炎症の発生において重要であると考えられる炎症誘発性分子の広いアレイの最大転写に必要とされるタンパク質転写因子である。(Christmanら(2000)Brain Pathology 10:153−162)。長期的な酸化ストレスにより誘導されるNFKの活性化は、神経損傷およびそれに伴う細胞死の促進に関与することが示されている。(Araganoら(2002)Endocrinology 143(9):3250−3258)。

0164

表7および図11に示すように、CrIns合剤は、対照レベルと比べて、腎臓MRP2(多剤耐性関連タンパク質2)の最も低い割合をもたらした。MRP2は、有機アニオン輸送ステムにおいて機能するATP結合カセット(ABC)輸送体である。(Sekineら(2006)Am.J.Physiol Renal Physiol 290:F251−F261)。

0165

表7および図12に示すように、CrIns合剤は、対照レベルと比べて、脳NFKの最低割合をもたらした。

0166

表7および図13に示すように、CrIns合剤は、対照レベルと比べて、脳インスリンレベルの最高割合をもたらした。これらのデータは、CrInsが高血糖を抑制し、糖尿病を治療するのにZnInsよりも優れていることを示唆している。

0167

実施例9
対象は、初期段階のアルツハイマー病にかかっているとして識別される。対象は、日常生活を混乱させる記憶の変化;課題を計画したり、解決する際の異議;おなじみタスクを完了することの困難性;時間や場所の混乱;視覚的なイメージ空間的関係を理解することが厄介;話したり、書いたりする際の単語使用の新たな問題;物を置き忘れたり、後戻りする能力の喪失;低下した、または誤った判断;仕事社会的活動からの離脱;そして気分や人格の変化;を含む1つ以上を提示する。

0168

対象は、50μg〜5000μgのクロムと1単位〜500単位のインスリンとを含む組成物を投与される。この組成物は非経口的に投与される。1つ以上の症状によって評価される対象の状態は、経時的に悪化しないか、または改善する。

0169

実施例10
対象は、時計描画テスト、時間と小銭勘定テスト、匂い嗅ぎテスト、またはその種の他のものなどのルーチンの認知症スクリーニング試験でアルツハイマー病に罹患しているとして識別され、および/またはPETスキャンにより証明されるアルツハイマー病の症状を示す。

0170

対象は、50μg〜5000μgのクロムと1単位〜500単位のインスリンを含む組成物を投与される。この組成物は非経口的に投与される。当該疾患の1つ以上の症状によって評価される対象の状態は、5日間にわたって悪化しないか、または改善する。

0171

実施例11
対象は、従来の方法によってパーキンソン病にかかっていると識別される。対象は、震え、筋肉のこわばり(または硬直)、動きの遅さ(運動緩慢)、およびバランスの喪失(姿勢不全)を含む1つ以上の症状を呈する。

0172

対象は、50μg〜5000μgのクロムと1単位〜500単位のインスリンとを含む組成物を投与される。この組成物は非経口的に投与される。当該疾患の1つ以上の症状によって評価される対象の状態は、経時的に悪化しないか、または改善する。

0173

実施例12
対象は、軽度認知障害にかかっていると識別される。対象は、情報提供者によって確認される記憶の病訴;年齢や教育による客観的な記憶障害;正常な一般的認知機能;問題ない日常生活の活動;の1つ以上を呈し、そして、対象は認知症の基準を満たしていない。

0174

対象は、50μg〜5000μgのクロムと1単位〜500単位のインスリンとを含む組成物を投与される。この組成物は非経口的に投与される。当該疾患の1つ以上の症状によって評価される対象の状態は、経時的に悪化しないか、または改善する。

0175

実施例13
対象は、不注意(例えば、細心の注意を払うことができないこと、注意を持続することが困難であること、作業や活動を組織化することが困難であり、余分な刺激に簡単に気を取られること)、多動性(例えば、座ったままでいることが困難であること、不適切な状況での過度な運動活動をすること、「モーターにより駆動されている」かのように行動すること)、および衝動性(例えば、順番を待つことが困難であること、質問が完了する前に回答し、そして多くの場合、継続中の会話の中断または邪魔などをすること)を含むADHDの症状を呈する。

0176

対象は、50μg〜5000μgのクロムと1単位〜500単位のインスリンとを含む組成物を投与される。この組成物は非経口的に投与される。当該疾患の1つ以上の症状によって評価される対象の状態は、経時的に悪化しないか、または改善する。

実施例

0177

上記の説明は、本発明の特定の実施形態を詳述する。なお、上記の記述が明細書中にどんなに詳述されても、本発明は多くの方法で実施することができることが理解されるであろう。また、上述されたように、本発明の特定の特徴または態様を記述するときに、特定の用語の使用は、その用語が関連している本発明の特徴または態様の任意の特定の特徴を含むことに限定されるように本明細書に再定義されていることを意味するものと解釈されるべきではないことに留意すべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に従って解釈されるべきである。

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