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技術 ND2ペプチドおよび神経疾患の治療方法

出願人 ノノインコーポレイテッド
発明者 ティミアンスキ,マイケルリ,ロンウェンガーマン,ジョナサンデイビッド
出願日 2011年9月28日 (9年9ヶ月経過) 出願番号 2013-530433
公開日 2014年3月6日 (7年4ヶ月経過) 公開番号 2014-505655
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素・酵素の調製 化合物または医薬の治療活性 特有な方法による材料の調査、分析 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質 酵素、微生物を含む測定、試験 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 空気ドリル 通常ファン pH測定 誘起信号 植え込み装置 客観的基準 加温ランプ 安全窓
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、Srcとの相互作用関与するND2のコア領域を、ND2の残基289〜321内、より具体的にはND2の残基310〜321内に、特定することに部分的に基づいている。この領域を含む、この領域に重なる、またはこの領域内からのペプチドは、ND2のSrcとの相互作用を阻害するために使用することができる。この相互作用を阻害することは、神経疾患および神経障害疼痛ならびに癌の治療および予防に有用である。

概要

背景

関連出願情報
本出願は、非仮出願であって、米国特許出願第61/387439号の利益を主張しており、該出願の全体があらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。

N−メチル−D−アスパラギン酸受容体NMDAR)複合体は、60個を超えるタンパクを含んでいる[4]。NMDAR複合体は、脳卒中、神経外傷神経変性疾患、記憶および長期増強視覚および聴覚神経障害疼痛などを含む、いくつかの神経疾患ならびに神経障害に関連していると報告されている。しかしながら、NMDAR複合体を直接阻害するいくつかの試みは、副作用が過大なため、臨床上失敗している。

シナプス後肥厚タンパク95kD(PSD95)は、その最初の2つのPDZドメインつまりPDZ1およびPDZ2を介して[12]、NMDARのC末端NR2サブユニット直接結合する[11]。PSD95とNMDARとの相互作用を妨害することで、NMDARの電気的活動およびカルシウム流出活動を阻害することなく、脳卒中の損傷作用から動物を保護することが可能であると報告されている[13]。

NADHデヒドロゲナーゼサブユニット2(ND2)は、チロシンキナーゼSrcと関連していると報告されている(図1Aを参照)。Srcは、NMDAR複合体(つまり、Src,Fyn,LynおよびYes)におけるいくつかのSrcファミリーキナーゼSFK)の1つである[5〜7]。Srcは、細胞接着成長、移動および分化を含む、多くの機能に関与している。Srcは多くの細胞種で広く発現しており、細胞内の別の位置を取ることができる。Srcの細胞内位置はその機能に影響し得るようである。Srcは形質膜、核周辺膜およびエンドソーム膜などの細胞膜と関連し得る。形質膜において、Srcは種々の受容体からの信号を、これらの信号を、核、細胞骨格および他の細胞構成体へと伝える内部シグナル経路に、伝達することが可能である。たとえば、Srcは、成長因子受容体を通して作用し、細胞成長および増殖に影響し得る。

NMDAR,SrcおよびND2相互間の推定される分子配列が、LiuらのNat Med 2008に提示されており、ここで、Srcは、アダプタータンパクとして作用するND2を介して、NMDARと相互作用すると推定されている。ND2は、Srcをシナプス後肥厚(PSD)内のN−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体複合体に固定して、NMDA受容体活性を制御する。Src40〜49−Tatと呼ばれるSrcのフラグメントは、脳の興奮性シナプスにおいてSrcとND2との相互作用を阻害して、NR2Bサブユニットリン酸化を低減し、痛覚を調整することができると報告されている[1,2,3]。

概要

本発明は、Srcとの相互作用に関与するND2のコア領域を、ND2の残基289〜321内、より具体的にはND2の残基310〜321内に、特定することに部分的に基づいている。この領域を含む、この領域に重なる、またはこの領域内からのペプチドは、ND2のSrcとの相互作用を阻害するために使用することができる。この相互作用を阻害することは、神経疾患および神経障害、疼痛ならびに癌の治療および予防に有用である。

目的

本発明は、配列番号60のアミノ酸310〜321から成るアミノ酸配列であって、6個までのアミノ酸の削除、挿入または保存的置換が可能なアミノ酸配列を有するND2ペプチドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

列番号60の残基と同一の4〜40個の残基であって、少なくとも4個の残基が配列番号60のアミノ酸289とアミノ酸321との間の連続残基である残基を有することを特徴とするND2ペプチド

請求項2

配列番号60のアミノ酸310〜321から成るアミノ酸配列であって、6個までのアミノ酸は削除、挿入または保存的置換をされていてもよいアミノ酸配列を有することを特徴とするND2ペプチド。

請求項3

配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の4〜12個の連続残基から成るアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1または2に記載のND2ペプチド。

請求項4

配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の4〜10個の連続残基から成るアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1または2に記載のND2ペプチド。

請求項5

アミノ酸310〜321から成ることを特徴とする請求項1または2に記載のND2ペプチド。

請求項6

脂質付加されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のND2ペプチド。

請求項7

脂肪酸に結合することによって脂質付加されていることを特徴とする請求項6に記載のND2ペプチド。

請求項8

ミリストイル化されていることを特徴とする請求項7に記載のND2ペプチド。

請求項9

N末端にてミリストイル化されていることを特徴とする請求項8に記載のND2ペプチド。

請求項10

内在化ペプチドに結合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のND2ペプチド。

請求項11

前記内在化ペプチドは、当該ND2ペプチドのN末端に結合されていることを特徴とする請求項10に記載のND2ペプチド

請求項12

前記内在化ペプチドは、当該ND2ペプチドのC末端に結合されていることを特徴とする請求項10に記載のND2ペプチド。

請求項13

前記内在化ペプチドと当該ND2ペプチドとは融合ペプチドとして結合されていることを特徴とする請求項10,11または12に記載のND2ペプチド。

請求項14

前記内在化ペプチドは、少なくとも5個のアルギニン残基またはリジン残基を含み、アミノ酸15個までの全長を有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のND2ペプチド。

請求項15

前記内在化ペプチドはTatペプチドであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のND2ペプチド。

請求項16

長さがアミノ酸50個までのキメラペプチドであって、配列番号60のアミノ酸289とアミノ酸321との間に位置する少なくとも3個の連続アミノ酸を含むND2ペプチド、および前記ND2ペプチドに結合された内在化ペプチドを含むことを特徴とするキメラペプチド。

請求項17

長さがアミノ酸25個までであることを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項18

前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸289とアミノ酸321との間の4〜20個の連続残基から成るアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項19

前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の4〜12個の連続残基から成るアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項20

前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の4〜10個の連続残基から成るアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項21

前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310〜321であって、6個までのアミノ酸が削除、挿入または置換をされていてもよいアミノ酸から成ることを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項22

前記ND2ペプチドは配列番号60のアミノ酸310〜321から成るアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項23

前記内在化ペプチドは、前記ND2ペプチドのN末端に結合されていることを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項24

前記内在化ペプチドは、前記ND2ペプチドのC末端に結合されていることを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項25

前記内在化ペプチドと前記ND2ペプチドとは融合ペプチドとして結合されていることを特徴とする請求項22または23に記載のキメラペプチド。

請求項26

前記内在化ペプチドは、少なくとも5個のアルギニン残基またはリジン残基を含み、アミノ酸15個までの全長を有することを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項27

前記内在化ペプチドはTatペプチドであることを特徴とする請求項16に記載のキメラペプチド。

請求項28

請求項1〜27のいずれか1項に記載のキメラペプチドまたはND2ペプチドのペプチド模倣体

請求項29

レトロインベルソペプチド模倣体であることを特徴とする請求項28に記載のペプチド模倣体。

請求項30

神経障害を有しまたは神経障害を発現するおそれのある患者に、請求項1〜29のいずれか1項に記載のキメラペプチド、ND2ペプチドまたはペプチド模倣体の有効な投与計画を実施することを含むことを特徴とする神経疾患または神経障害の治療または有効な予防の方法。

請求項31

前記神経疾患または前記神経障害は、脳卒中、CNSへの外傷てんかん不安神経症または神経変性疾患であることを特徴とする請求項30に記載の方法。

請求項32

疼痛を有しまたは疼痛を発現するおそれのある患者に、請求項1〜29のいずれか1項に記載のキメラペプチド、ND2ペプチドまたはペプチド模倣体の有効な投与計画を実施することを含むことを特徴とする疼痛の治療または有効な予防の方法。

請求項33

前記疼痛は、神経障害性の、生理的な、または炎症性の疼痛であることを特徴とする請求項32に記載の方法。

請求項34

癌を有しまたは癌を発現するおそれのある患者に、請求項1〜29のいずれか1項に記載のキメラペプチド、ND2ペプチドまたはペプチド模倣体の有効な投与計画を実施することを含むことを特徴とする癌の治療または有効な予防の方法。

請求項35

ND2−Src相互作用阻害する薬剤を同定する方法であって、SrcペプチドおよびND2ペプチドを薬剤に接触させること、ならびにSrcペプチドとND2ペプチドとの結合を判断することを含み、ここで、前記薬剤の存在によって前記薬剤を欠く対照試験に対して結合が低下することが、前記薬剤がSrc−ND2相互作用の阻害剤であることを示し、前記薬剤は、請求項1〜27のいずれか1項に記載のキメラペプチドもしくはND2ペプチド、またはそれらのペプチド模倣体であることを特徴とする方法。

請求項36

ND2−Src相互作用を阻害する薬剤を同定する方法であって、Srcペプチドおよび請求項15〜19のいずれか1項に記載のND2ペプチドを薬剤に接触させること、ならびにSrcペプチドとND2ペプチドとの結合を判断することを含み、ここで、前記薬剤の存在によって前記薬剤を欠く対照試験に対して結合が低下することが、前記薬剤がSrc−ND2相互作用の阻害剤であることを示すことを特徴とする方法。

請求項37

さらに、神経疾患、疼痛または癌のうちの1つの動物モデルにおける神経疾患、疼痛または癌に対する薬理活性について、前記薬剤を試験することを含むことを特徴とする請求項35または36に記載の方法。

背景技術

0001

関連出願情報
本出願は、非仮出願であって、米国特許出願第61/387439号の利益を主張しており、該出願の全体があらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。

0002

N−メチル−D−アスパラギン酸受容体NMDAR)複合体は、60個を超えるタンパクを含んでいる[4]。NMDAR複合体は、脳卒中、神経外傷神経変性疾患、記憶および長期増強視覚および聴覚神経障害疼痛などを含む、いくつかの神経疾患ならびに神経障害に関連していると報告されている。しかしながら、NMDAR複合体を直接阻害するいくつかの試みは、副作用が過大なため、臨床上失敗している。

0003

シナプス後肥厚タンパク95kD(PSD95)は、その最初の2つのPDZドメインつまりPDZ1およびPDZ2を介して[12]、NMDARのC末端NR2サブユニット直接結合する[11]。PSD95とNMDARとの相互作用を妨害することで、NMDARの電気的活動およびカルシウム流出活動を阻害することなく、脳卒中の損傷作用から動物を保護することが可能であると報告されている[13]。

0004

NADHデヒドロゲナーゼサブユニット2(ND2)は、チロシンキナーゼSrcと関連していると報告されている(図1Aを参照)。Srcは、NMDAR複合体(つまり、Src,Fyn,LynおよびYes)におけるいくつかのSrcファミリーキナーゼSFK)の1つである[5〜7]。Srcは、細胞接着成長、移動および分化を含む、多くの機能に関与している。Srcは多くの細胞種で広く発現しており、細胞内の別の位置を取ることができる。Srcの細胞内位置はその機能に影響し得るようである。Srcは形質膜、核周辺膜およびエンドソーム膜などの細胞膜と関連し得る。形質膜において、Srcは種々の受容体からの信号を、これらの信号を、核、細胞骨格および他の細胞構成体へと伝える内部シグナル経路に、伝達することが可能である。たとえば、Srcは、成長因子受容体を通して作用し、細胞成長および増殖に影響し得る。

0005

NMDAR,SrcおよびND2相互間の推定される分子配列が、LiuらのNat Med 2008に提示されており、ここで、Srcは、アダプタータンパクとして作用するND2を介して、NMDARと相互作用すると推定されている。ND2は、Srcをシナプス後肥厚(PSD)内のN−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体複合体に固定して、NMDA受容体活性を制御する。Src40〜49−Tatと呼ばれるSrcのフラグメントは、脳の興奮性シナプスにおいてSrcとND2との相互作用を阻害して、NR2Bサブユニットリン酸化を低減し、痛覚を調整することができると報告されている[1,2,3]。

0006

本発明は、配列番号60のアミノ酸310〜321から成るアミノ酸配列であって、6個までのアミノ酸の削除、挿入または保存的置換が可能なアミノ酸配列を有するND2ペプチドを提供する。上述のペプチドのいずれかを含むND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の4〜12個の連続残基から成るアミノ酸配列を有することが可能である。随意的に、前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の、4〜10個の連続残基から成るアミノ酸配列を有する。随意的に、前記ND2ペプチドは、アミノ酸310〜321から成る。これらのND2ペプチドはいずれも、たとえば脂肪酸に結合することによって、脂質付加することが可能である。好ましくは、ND2ペプチドはミリストイル化される。これらのND2ペプチドはいずれも、ND2ペプチドのN末端またはC末端にて、たとえば融合タンパクとして、内在化ペプチドに結合することが可能である。前記内在化ペプチドは、少なくとも5個のアルギニン残基またはリジン残基を含むことが可能であり、アミノ酸残基15個までの全長を有する。前記内在化ペプチドは、Tatペプチドであり得る。

0007

本発明は、アミノ酸50個までの長さのキメラペプチドを提供する。このペプチドは、配列番号60のアミノ酸289とアミノ酸321との間に位置する少なくとも3個の連続アミノ酸を含むND2ペプチドを含む。前記ND2ペプチドは内在化ペプチドに結合し、および/または前記ND2ペプチドは脂質付加されている。随意的に、前記キメラペプチドはアミノ酸25個までの長さである。随意的に、前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸289とアミノ酸321との間の4〜20個の連続残基から成るアミノ酸配列を有する。随意的に、前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の4〜12個の連続残基から成るアミノ酸配列を有する。随意的に、前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の4〜10個の連続残基から成るアミノ酸配列を有する。随意的に、前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310〜321から成る。ただし、6個までのアミノ酸の削除、挿入または置換が可能である。随意的に、前記ND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310〜321から成るアミノ酸配列を有する。随意的に、前記内在化ペプチドは、ND2ペプチドのN末端に結合している。随意的に、前記内在化ペプチドは、ND2ペプチドのC末端に結合している。随意的に、前記内在化ペプチドおよびND2ペプチドは、融合ペプチドとして結合している。随意的に、前記内在化ペプチドは、少なくとも5個のアルギニン残基またはリジン残基を含み、アミノ酸15個までの全長を有する。随意的に、前記内在化ペプチドはTatペプチドである。本発明は、さらに、配列番号60の残基と同一の4〜40個の残基を有し、それらの残基の少なくとも4個が配列番号60のアミノ酸289とアミノ酸321との間の連続残基である、ND2ペプチドを提供する。

0008

本発明は、さらに、上述のキメラペプチドまたはND2ペプチドのペプチド模倣体を提供する。随意的に、前記ペプチド模倣体は、レトロインベルソペプチド模倣体である。

0009

本発明は、さらに、神経障害を有しまたは神経障害を発現するおそれのある患者に、いずれかの先行クレームのキメラペプチド、ND2ペプチドまたはペプチド模倣体の有効な投与計画を実施することを含む、神経疾患または神経障害の治療または有効な予防の方法を提供する。随意的に、前記神経疾患または神経障害は、脳卒中、CNSへの外傷てんかん不安神経症または神経変性疾患である。

0010

本発明は、さらに、疼痛を有しまたは疼痛を発現するおそれのある患者に、上述のキメラペプチド、ND2ペプチドまたはペプチド模倣体の有効な投与計画を実施することを含む、疼痛の治療または有効な予防の方法を提供する。随意的に、前記疼痛は、神経障害性のまたは炎症性の疼痛である。

0011

本発明は、さらに、癌を有しまたは癌を発現するおそれのある患者に、上述のキメラペプチド、ND2ペプチドまたはペプチド模倣体の有効な投与計画を実施することを含む、癌の治療または有効な予防の方法を提供する。

0012

本発明は、さらに、SrcペプチドおよびND2ペプチドを薬剤に接触させて、SrcペプチドとND2ペプチドとの結合を判断することを含む、ND2−Src相互作用を阻害する薬剤を同定する方法を提供し、ここで、前記薬剤の存在によって前記薬剤を欠く対照試験に対して結合が低下することが、前記薬剤がSrc−ND2相互作用の阻害剤であることを示し、前記薬剤は、上記でまたは本明細書のどこかで定義されるキメラペプチドもしくはND2ペプチド、またはそれらのペプチド模倣体である。

0013

本発明は、さらに、Srcペプチドおよび上記で定義されたND2ペプチドを薬剤に接触させて、SrcペプチドとND2ペプチドとの結合を判断することを含む、Src−ND2相互作用を阻害する薬剤を同定する方法を提供し、ここで、前記薬剤の存在によって前記薬剤を欠く対照試験に対して結合が低下することが、前記薬剤がSrc−ND2相互作用の阻害剤であることを示す。この方法は、神経疾患、疼痛または癌のうちの1つの動物モデルにおける神経疾患、疼痛または癌に対する薬理活性について、前記薬剤を試験することも含む。

図面の簡単な説明

0014

ND2のSrcとの相互作用を示す図であって、Src−ND2−NMDAR複合体における相互作用を模式的に示す図。
ND2のSrcとの相互作用を示す図であって、Src−相互作用ドメインを特定するための異なるND2配列設計の構造を示す図。
ND2のSrcとの相互作用を示す図であって、アミノ酸239とアミノ酸321との間に位置するND2のSrc−相互作用配列の表すドットブロットを示す図。

0015

実験で使用したND2フラグメントの構造を、ND2の全長を基準とするアミノ酸番号と共に示す図。
スクランブル化sSrc40〜58ではなくビオチニル化Src40〜58が、ND2.1.3よりもND2,ND2.1およびND2.1.4によく結合し得ることを表すドットブロットを示す図。
ND2,ND2.1およびND2.1.4がすべてのビオチニル化Src40〜58に結合し得ることを表すELISAを示す図。

0016

Src40〜58への結合を試験したND2構築物の配列を示す図。
Src40〜58へのND2配列の結合を表すドットブロットを示す図。
スクランブル化対照ではなくSrc40〜58へのND2構築物の結合を表すELISAを示す図。

0017

ND2 310〜321,ND2 307〜318およびND2 310〜318からの強い結合を有する、Src40〜58への結合を表すND2フラグメントのドットブロットを示す図。
Src40〜58へのND2構築物の結合を表すELISAを示す図。

0018

Src40〜49に結合し得るビオチニル化ND2 310〜321、および、アミノ末端またはカルボキシ末端にTatを有するSrc40〜49のバージョンを表すドットブロットを示す図。
Src40〜58への結合を含む図5Aの配列を表すELISAを示す図。
Src40〜49がTat−ND2 310〜321に結合し得ることを表すELISA試験を示す図。
Src40〜49およびTat−Src40〜49が、ND2 310〜321またはTat−ND2 310〜321への結合に競合し得ることを表すELISA試験を示す図。
Src40〜49およびTat−Src40〜49が、ND2 310〜321またはTat−ND2 310〜321への結合に競合し得ることを表すELISA試験を示す図。

0019

Src40〜58がND2 310〜321よりもTat−ND2 310〜321に強く結合し得ることを表すELISA試験を示す図。

0020

Tat−ND2 310〜321が、ND2 310〜321に結合したSrc40〜49に対して、結合に競合し得ることを表すELISAを示す図。

0021

Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるND2とSrcとの共局在化定量化を示す図。
Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるND2とSrcとの共局在化の定量化を示す図。

0022

Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるNMDAR複合体中のタンパクの共局在化の定量化を示す図であって、ND2のNR2Bとの共局在化の定量化を示す図。
Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるNMDAR複合体中のタンパクの共局在化の定量化を示す図であって、NR2BのND2との共局在化の定量化を示す図。
Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるNMDAR複合体中のタンパクの共局在化の定量化を示す図であって、ND2のPSD95との共局在化の定量化を示す図。
Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるNMDAR複合体中のタンパクの共局在化の定量化を示す図であって、PSD95のND2との共局在化の定量化を示す図。
Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるNMDAR複合体中のタンパクの共局在化の定量化を示す図であって、NR2BのPSD95との共局在化の定量化を示す図。
Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるNMDAR複合体中のタンパクの共局在化の定量化を示す図であって、PSD95のNR2Bとの共局在化の定量化を示す図。

0023

Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるSrcとNMDAR 2Bとの共局在化の定量化を示す図。

0024

Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで処理したおよび処理しなかった14DIV海馬ニューロンにおけるSrcとPSD95との共局在化の定量化を示す図。

0025

ND2,Src,PSD95,NR2BおよびNR1に対する抗体がすべて、他のタンパクを含有する複合体を免疫沈降させ得ることを表すラット溶解物からの免疫沈降実験を示す図。
ND2,Src,PSD95,NR2BおよびNR1に対する抗体がすべて、他のタンパクを含有する複合体を免疫沈降させ得ることを表すラット脳溶解物からの免疫沈降実験を示す図。
ND2,Src,PSD95,NR2BおよびNR1に対する抗体がすべて、他のタンパクを含有する複合体を免疫沈降させ得ることを表すラット脳溶解物からの免疫沈降実験を示す図。
ND2,Src,PSD95,NR2BおよびNR1に対する抗体がすべて、他のタンパクを含有する複合体を免疫沈降させ得ることを表すラット脳溶解物からの免疫沈降実験を示す図。
ND2,Src,PSD95,NR2BおよびNR1に対する抗体がすべて、他のタンパクを含有する複合体を免疫沈降させ得ることを表すラット脳溶解物からの免疫沈降実験を示す図。

0026

対照、Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatで1μMにて1時間処理した14DIV海馬ニューロンからの抗NR2B抗体を用いた免疫沈降を示す図。
図13Aと同様の図であって、3μMにて2時間処理したときの図。
IPについて図示した抗体を用いた図13Aの繰り返しを示す図。
図13Aに類似する図であって、免疫沈降抗体として抗PSD95を用いたときの図。

0027

ND2 310〜321がPACAP増強NMDA誘起電流を阻害し、Src40〜49が阻害しないことを示す図。
ND2 310〜321がPACAP増強NMDA誘起電流を阻害し、Src40〜49が阻害しないことを示す図。

0028

PVOに付したまたは3PVOに付して3μMのTat−ND2 310〜321で処理したラット脳からの抗NR2B抗体を用いた共免疫沈降を示す図であって、Cは対側性抽出物を表し、Iは同側性脳抽出物を表し、ラベルは用いた検出抗体を示し、P−TysはSrcのリン酸化チロシン100に対する抗体を表す図。

0029

抗PSD95抗体または抗NR2B抗体のいずれかを用いた共免疫沈降を示す図であって、Src−TatまたはTat−ND2の存在下または非存在下におけるタンパクのNR2B複合体との状態を表す図。
抗PSD95抗体または抗NR2B抗体のいずれかを用いた共免疫沈降を示す図であって、Src−TatまたはTat−ND2の存在下または非存在下におけるタンパクのNR2B複合体との状態を表す図。

0030

Tat−ND2 310〜321での処理がCFA誘導疼痛のモデルにおける痛覚過敏を軽減することを示す図。

0031

Tat−NR2B9c,Src40〜49−TatまたはTat−ND2 310〜321の存在下において3PVOに付したラットの梗塞サイズを示す図。

0032

ND2の配列を、予測トポロジーと共に示す図であって、310〜321の位置が強調され、細胞内であると予測されている図。

0033

ラットに高濃度静脈内注射したときの、血圧に対するTat−ND2、ミリストイル化ND2およびNA−1(Tat−NR2B9cとしても知られる)の作用を示す図。

0034

NA−1,Tat−ND2またはmyr−ND2の静脈内注射に続いて観察された最小血圧(最大の血圧降下)を表すグラフを示す図。

0035

3PVOモデルにおいて誘導された脳卒中に対する、脳卒中の発症後1時間に静脈内投与されたときの、Tat−ND2,myr−ND2およびmyr2−ND2の保護効果を表すグラフを示す図。

0036

末梢神経損傷に付した動物における肢引き込み閾値によりアロディニアを測定することによって、異なる2つの濃度のmyr−ND2が有意に疼痛を軽減し得ることを表すグラフを示す図。

0037

定義
「キメラペプチド」とは、天然には相互に関連せず、融合タンパクとしてまたは化学結合によって相互に連結された2個の成分ペプチドを有するペプチドを意味する。

0038

「融合」タンパクまたはポリペプチドは、単一のポリペプチド配列においては通常融合していない2個(またはそれ以上)の別個非相同ポリペプチドから成る複合ポリペプチドすなわち単一の連続アミノ酸配列を指す。

0039

薬剤は通常単離型で提供される。単離とは、対象種(たとえばペプチド)が、天然にはそれに関連しているか、あるいはその製造において使用される汚染物から、少なくとも部分的に分離されていることを意味するが、単離種との組み合わせにおいて作用するように意図された、内在化ペプチドまたは医薬賦形剤などの他の成分の存在を必ずしも排除しない。好ましくは、薬剤は、試料に存在する主要な(すなわち、組成物におけるモル基準で)高分子であって、一般に、存在するすべての高分子種の少なくとも約50パーセント(モル基準で)を成す、高分子(たとえば、ポリペプチド)種である。概して、単離薬剤は、組成物におけるすべての高分子種の80〜90パーセント超を成す。最も好ましくは、組成物が本質的に単一の高分子種で構成されるように、薬剤は、本質的に均質(すなわち、汚染種は従来の検出法によって組成物中に検出することができない)に精製される。

0040

特異的結合」の用語は、2分子、たとえばリガンドと受容体、の間の結合であって、分子(リガンド)が、他の様々な多くの分子の存在下においても他方の特異的分子(受容体)と結合する能力、すなわち、分子の不均質混合物における1つの分子の他の分子に対する優先的な結合を示す能力、によって特徴づけられる結合を指す。リガンドの受容体への特異的結合は、検出可能に標識されたリガンドの受容体への結合が、過剰の非標識リガンドの存在下において低下すること(すなわち、結合競合試験)によっても証明される。特異的結合は、特定の官能基間の結合の形成または特定の空間的適合(たとえば、錠と鍵の型)の結果であり得、一方、非特異的結合は、通常ファンデルワールス力の結果である。

0041

興奮毒性は、それによりNMDA受容体などのグルタミン酸受容体の過剰活性化によってニューロンが損傷し死ぬ病理過程である。

0042

「患者」または「対象」の用語には、ヒトおよび他の動物、特に、齧歯{げっし}動物、有蹄動物およびヒト以外の霊長類が含まれる。

0043

「薬剤」の用語には、あらゆる元素化合物または薬理活性を有するまたは有するかもしれない存在が含まれる。薬剤は、生物製剤(たとえば、ペプチド、ペプチド模倣体もしくは抗体)または有機小分子(通常500Da未満)などであり得る。薬剤は、天然の産物または合成化合物であり得る。薬剤には、既知の(すなわち、FDAまたは他国における同様の機関により承認された)薬物である化合物、薬理活性が特定されているがさらなる評価が行われている化合物、または、薬理活性についてスクリーニングが行われている化合物が含まれる。

0044

薬剤は、活性な薬物が疾患の予防または治療に有用であるまたは有用かも知れないことを示すスクリーニングシステムにおいて活性を示した場合は、薬理活性を有するとされ得る。このスクリーニングシステムは、インビトロの、細胞の、動物のまたはヒトのシステムであり得る。薬剤は、疾患の治療において実際の予防上のまたは治療上の有用性確立するためにさらなる試験が必要とされるかも知れないにもかかわらず、薬理活性を有するとされ得る。

0045

他に文脈から明らかでない場合、薬剤への言及は、単独のまたは内在化ペプチドに結合した、その薬品または薬剤を意味する。

0046

Tat(またはTATもしくはtat)ペプチドとは、GRKKRRRRR(配列番号60)を含むかまたはそれから成るペプチドであって、その配列内で5個を超える残基が削除、置換、または挿入されていてもよく、結合ペプチドまたは他の薬剤の細胞内への取り込みを促進する能力を保持しているペプチドを意味する。好ましくは、いかなるアミノ酸変化も保存的置換である。好ましくは、集合体におけるいかなる置換、削除または内部挿入も、正味正電荷、好ましくは上記配列のものに類似した正電荷を、ペプチドに残す。Tatペプチドのアミノ酸配列は、ビオチンまたは類似の分子で誘導体化して炎症応答を低減することが可能である。

0047

統計的に有意とは、p値が0.05未満、好ましくは0.01未満、最も好ましくは0.001未満であることを指す。

0048

ペプチドまたはアミノ酸配列がアミノ酸のある範囲内に存在するというとき、そのペプチドは、その範囲を規定する始点および終点と、間のアミノ酸とを含み得る。

0049

アミノ酸置換を保存的または非保存的に分類するために、アミノ酸は次のようにグループ化されてよい。すなわち、グループI(疎水的側鎖):met,ala,val,leu,ile;グループII(中性親水性側鎖):cys,ser,thr;グループIII(酸性側鎖):asp,glu;グループIV(塩基性側鎖):asn,gln,his,lys,arg;グループV(芳香族側鎖):trp,tyr,pheである。保全的置換には、同一グループ内のアミノ酸間での置換が含まれる。非保全的置換は、これらのグループの1つのメンバーを他のグループのメンバーと交換することである。

0050

ペプチドは、そのペプチドと参照配列との厳密な一致の数が最大になるときに、基準配列と最もよく整合する。整合は目視で実施することできる。これに代えて、BLAST分析を行うソフトウェアが、全米バイオテクノロジー情報センターから公的に入手可能である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。一般に、デフォルトプログラムパラメータを使用することができる。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)3、期待値(E)10を使用し、また、BLOSUM62スコア行列を使用する(Henikoff & Henikoff,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 10915 (1989)を参照)。

0051

アミノ酸の特定の範囲に存在するペプチドには、その範囲の両端を規定するアミノ酸の一方または両方を含むペプチドと、その範囲を規定するアミノ酸の間のアミノ酸のみを含むペプチドとが含まれ得る。

発明の詳細な説明

0052

I.概要
本発明は、Srcとの相互作用に関与するND2のコア領域を、ND2の残基289〜321内、より具体的にはND2の残基310〜321内に特定することに、部分的に基づいている。この領域を含む、この領域に重なる、またはこの領域内からのペプチドは、ND2のSrcとの相互作用を阻害するために使用することができる。この相互作用を阻害することは、神経疾患および神経障害、疼痛ならびに癌の治療および予防に有用である。

0053

II.タンパク
他に文脈から明らかでない場合、ND2タンパクはND2の天然のヒト型を指し、これには、以下および図19再現した例示の配列Swiss Prot P03891が割り当てられている。冒頭のM残基は切除可能である。この配列の単一アミノ酸の約20個の天然変異型がSwiss−Protデータベースに記載されている。

0054

同様に、他に示されていない場合、Srcは、Swiss−Prot. P12931によって提供され、最初のMet残基を有するまた有しないものなどの、Srcの天然のヒト配列を意味する。

0055

III.薬剤
本発明の薬剤には、ND2タンパク(配列番号60)の残基289〜321を含む、残基289〜321に重なる、残基289〜321から成る、または残基289〜321内の、好ましくは、残基310〜321を含む、残基310〜321に重なる、残基310〜321から成る、または残基310〜321内の、ND2ペプチドが含まれる。ND2ペプチドは、通常、ND2の残基289〜321内の少なくとも3個の連続残基を有する。ND2ペプチドは、好ましくは、Srcのアミノ酸40〜49をほぼ含むまたはアミノ酸40〜49内のサイト特異的領域内のSrcタンパクに結合して、ND2タンパクとSrcタンパクとの相互作用を競合的に阻害する。ND2ペプチドは、一般に、配列番号60の10,11,12,15,20,30または40個までの残基を有しており、これは、ND2ペプチド内の指定数の残基が、最大に整合したときに、ND2配列の全長内の対応残基と同一であることを意味する。好ましくは、これらの残基の少なくとも3,4,5,6,7,8,9,10,11または12個は、ND2の残基289〜321内の、好ましくは残基310〜321内の連続残基である。好ましくは、ペプチドは、最大に整合したときに、ND2配列からの対応残基と同一の4〜20個のアミノ酸を有し、好ましくは、4〜12個または5〜10個のそのような残基を有する。いくつかのND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸289とアミノ酸321との間の4〜20個の連続残基から成るアミノ酸配列を有する。いくつかのND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310とアミノ酸321との間の3〜12個の連続残基から成るアミノ酸配列を有する。いくつかのND2ペプチドは、配列番号60のアミノ酸310〜321と共に、少なくとも3,4,5,6,7,8,9,10または11個の残基から成るアミノ酸配列を有する。いくつかのND2ペプチドは、配列番号60の残基310〜321から成る。

0056

ND2ペプチドには、配列番号60に関連しない隣接アミノ酸、たとえば内在化ペプチド(以下に説明するように、膜貫通を促進し、ビオチンまたはGSTなどのタグとして、精製、同定またはスクリーニングにおいて援助するペプチド)を結合することができる。アミノ酸の関連しない隣接配列を除き、配列番号60とは異なるND2ペプチド内のあらゆるアミノ酸は、好ましくは、配列番号60の対応残基に対して保存的置換である。配列番号60とは異なる配列を有する(関連しない隣接配列を含まない)ND2ペプチドは、好ましくは、配列番号60に対して、わずか6,5,4,3,2または1個の削除、挿入または置換を有する。ND2ペプチドは、好ましくは、合計でわずか40,30,20,15または12個のアミノ酸を有する(内在化ペプチドなどの関連しない隣接配列を含まない)。

0057

本発明の薬剤には、ND2ペプチドのペプチド模倣体も含まれる。ペプチド模倣体は、天然のアミノ酸から成るND2ペプチドと実質的に同一の構造および/または機能的特性を有するが、少なくとも1つの非ペプチド結合または1つの非天然アミノ酸を有する合成化学物質である。

0058

ペプチド模倣体は、全体的にアミノ酸の合成の非天然アナログを含むことができ、または、部分的に天然ペプチドアミノ酸で部分的にアミノ酸の非天然アナログのキメラ分子であり得る。ペプチド模倣体は、また、任意の数の天然アミノ酸の保存的置換を、その置換が模倣構造および/または阻害もしくは結合活性を実質的に変化させない限り、包含し得る。ND2ペプチドおよび内在化ペプチドを含むキメラペプチドのペプチド模倣体において、活性部位または内在化部位のどちらかまたは双方は、ペプチド模倣体であり得る。

0059

本発明のペプチドおよびペプチド模倣体は、修飾アミノ酸残基、たとえばN−アルキル化残基を含有することができる。N末端アルキル化修飾物には、たとえば、N−メチル、N−エチル、N−プロピル、N−ブチル、N−シクロヘキシルメチル、N−シクロヘキシルエチル、N−ベンジル、N−フェニルエチル、N−フェニルプロピル、N−(3,4−ジクロロフェニル)プロピル、N−(3,4−ジフルオロフェニル)プロピル、およびN−(ナフタレン−2−イル)エチルが含まれる。ペプチドおよびペプチド模倣体は、また、アセチル化、リン酸化および/またはグリコシル化することも可能である。

0060

いくつかのペプチド模倣体において、L配置(化学物質の構造に応じてRまたはSと呼ぶことも可能である)で天然に存在するあらゆるアミノ酸は、同じ化学構造型で、一般にDアミノ酸と呼ばれるがRまたはS型とも呼ぶことができる、反対のキラリティーのアミノ酸またはペプチド模倣体で置き換えることができる。よって、ペプチド模倣体は、1,2,3,4または5個の、少なくとも50%の、またはすべてのDアミノ酸残基を含有してよい。いくつかまたはすべてのD残基を含有するペプチド模倣体は、「インベルソ」ペプチドと呼ばれることもある。

0061

ペプチド模倣体には、レトロペプチドも含まれる。レトロペプチドは、逆向きのアミノ酸配列を有する。ペプチド模倣体には、また、アミノ酸の順序が逆で、したがって元のC末端アミノ酸がN末端に現れ、Lアミノ酸に代えてDアミノ酸が用いられるレトロインベルソペプチドも含まれる。

0062

個々のペプチド模倣残基は、ペプチド結合、他の化学結合、または、たとえばグルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル二官能基マレイミド、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN,N−ジイソプロピルカルボジイミドDIC)などの、他の結合手段によって結合することが可能である。従来のアミド結合(「ペプチド結合」)の代替となり得る結合基には、たとえば、ケトメチレン(たとえば、C(=O)−NH−に代えて−C(=O)−CH2−)、アミノメチレン(CH2−NH)、エチレンオレフィン(CH=CH)、エーテル(CH2−O)、チオエーテル(CH2−S)、テトラゾール(CN4−)、チアゾール、レトロアミドチオアミド、またはエステルが含まれる(たとえばSpatola (1983) in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, Vol. 7, pp 267−357, A Peptide Backbone Modifications, Marcell Dekker, NYを参照)。

0063

芳香族アミノ酸模倣体は、たとえば、D−またはL−ナフィルアラニン;D−またはL−フェニルグリシン;D−またはL−2−チエネイルアラニン;D−またはL−1,−2,3−もしくは4−ピレネイルアラニン;D−またはL−3−チエネイルアラニン;D−またはL−(2−ピリジニル)−アラニン;D−またはL−(3−ピリジニル)−アラニン;D−またはL−(2−ピラジニル)−アラニン;D−またはL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン;D−p−フルオロフェニルアラニン;D−またはL−p−ビフェニルフェニルアラニン;K−またはL−p−メトキシビフェニルフェニルアラニン;D−またはL−2−インドールアルキル)アラニン;および、D−またはL−アルキルアミンで置き換えることによって生成してよく、ここで、アルキル基は、置換もしくは非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチルセカンダリーブチル、イソペンチルまたは非酸性アミノ酸であり得る。非天然アミノ酸の芳香環には、たとえば、チアゾリルチオフェニルピラゾリルベンズイミダゾリルナフチルフラニルピロリルおよびピリジル芳香環が含まれる。

0064

酸性アミノ酸の模倣体は、たとえば、負電荷を保持したままの非カルボキシレートアミノ酸;(ホスホノ)アラニン;および硫酸化スレオニンで置換することによって生成することが可能である。カルボキシル側鎖(たとえば、アスパルチルまたはグルタミル)は、1−シクロヘキシル−3(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3(4−アゾニア−4,4—ジメトルペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド(R−N−C−N−R=)との反応によって、選択的に変更することも可能である。アスパルチル基またはグルタミル基も、また、アンモニウムイオンとの反応によって、アスパラギニル基またグルタミニル基に変換することが可能である。

0065

塩基性アミノ酸の模倣体は、たとえば、(リジンおよびアルギニンに加えて)オルニチンシトルリンなどのアミノ酸、または(グアジニノ)酢酸もしくは(グアジニノ)アルキル酢酸で置換することによって生成することが可能であり、ここでアルキル基は上で規定したとおりである。ニトリル誘導体(たとえば、COOHに代えてCN部分を含有する)は、アスパラギンまたはグルタミンに代替し得る。アスパラギニルおよびグルタミニル残基は、脱アミノ化して対応するアスパルチルまたはグルタミル残基とすることが可能である。

0066

アルギニン残基模倣体は、アルギニル基を、たとえば、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオンまたはニンヒドリンなどを含む1以上の従来の試薬と、好ましくはアルカリ条件下で、反応させることによって生成することが可能である。

0067

チロシン残基模倣体は、チロシル基を、たとえば、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンと、反応させることによって生成することが可能である。N−アセチルイミダゾールおよびテトラニトロメタンは、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を形成するのに使用することができる。

0068

システイン残基模倣体は、システイニル残基を、たとえば、2−クロロ酢酸またはクロロアセタミドなどのアルファハロアセテート、および対応するアミンと反応させて、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体とすることによって生成することが可能である。システイン残基模倣体は、また、たとえば、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−ベータ−(5−イミドゾイル)プロピオン酸クロロアセチルリン酸、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド;メチル 2−ピリジル ジスルフィド;p−クロロ水銀安息香酸;2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール;またはクロロ−7−ニトロベンゾオキサ−1,3−ジアゾールと反応させることによっても生成することが可能である。

0069

リジン模倣体は、リジニル基を、たとえば、コハク酸および他のカルボン酸無水物と反応させることによって生成することが可能である(および、アミノ末端残基を変更することが可能である)。リジンおよび他のアルファ−アミノ含有残基の模倣体は、また、メチルピコリンイミデートなどのイミドエステル、ピリドキサールリン酸ピリドキサール、クロロボロヒドリドトリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオンと反応させることによって、およびグリオキシル酸とのトランスアミダーゼ触媒反応によって、生成することが可能である。

0070

メチオニンの模倣体は、たとえば、メチオニンスルホキシドとの反応によって生成することが可能である。プロリンの模倣体には、ピペコリン酸チアゾリジンカルボン酸、3−もしくは4−ヒドロキシプロリンデヒドロプロリン、3−もしくは4−メチルプロリン、または3,3−ジメチルプロリンが含まれる。ヒスチジン残基模倣体は、ヒスチジニル基を、たとえば、ジエチルプロカルボン酸またはパラ−ブロモフェナシブロミドと反応させることによって生成することが可能である。

0071

他の模倣体には、たとえば、プロリンおよびリジンの水酸化セリル基またはスレオニル残基の水酸基のリン酸化;リジン、アルギニンおよびヒスチジンのアルファ−アミノ基のメチル化;N末端アミンのアセチル化;主鎖アミノ酸残基のメチル化もしくはN−メチルアミノ酸による置換;またはC末端カルボキシル基アミド化によって生成されるものが含まれる。

0072

リンカー、たとえばポリエチレングリコールリンカーは、ND2ペプチドまたはそのペプチド模倣体を二量化して、Srcに対する親和性および選択性を高めるために使用することができる。随意的に、リンカーとして、PEGの約2〜10個のコピー直列に結合することが可能である。

0073

ペプチド、ペプチド模倣体または他の薬剤の適切な薬理活性は、必要に応じて、インビトロまたは下記の動物モデルにおけるSrc−ND2相互作用の阻害を示すことによって、確認することが可能である。有用なペプチドまたはペプチド模倣体は、一般に、上記の試験において、50μM,25μM,10μM,0.1μMまたは0.01μM未満のIC50値を有する。好ましいペプチドは、一般に、0.001〜1μM、より好ましくは0.05〜0.5または0.05〜0.1μMのIC50値を有する。

0074

IV.ペプチドの内在化および脂質化
細胞膜伝達ペプチドまたは細胞貫通ペプチドとしても知られる内在化ペプチドは、よく知られた、多くの細胞タンパクまたはウイルスタンパクが膜を横断することを可能にする比較的短い(たとえば、5〜30、7〜20または9〜15個のアミノ酸)ペプチドのクラスである。これらのペプチドは、一般に、アルギニンおよび/またはリジン残基の通常以上の表記から(一般のタンパクと比較して)正電荷を有し、それらの膜横断を容易にすると考えられている。これらのペプチドのいくつかは、少なくとも5,6,7または8個のアルギニンおよび/またはリジン残基を有する。その例には、アンテナペディアタンパク(Bonfanti, Cancer Res. 57, 1442−6 (1997))(および、その変異型)、ヒト免疫不全ウイルスのTatタンパク、タンパクVP22、単純ヘルペスウイルスタイプ1のUL49遺伝子の産物、Penetratin、SynB1およびSynB3,Transportan、Amphipathic、gp41NLS、polyArg、ならびに、リシン、モデシンジフテリア毒素コレラ毒素炭疽毒素易熱性毒素および緑膿菌外毒素A(ETA)などのいくつかの植物毒素およびバクテリア毒素がある。他の例は、次の参考資料に記載されている(Temsamani, Drug Discovery Today, 9(23):1012−1019, 2004; De Coupade, Biochem J., 390:407−418, 2005; Saalik Bioconjugate Chem. 15: 1246−1253, 2004; Zhao, Medicinal Research Reviews 24(1):1−12, 2004; Deshayes, Cellular and Molecular Life Sciences 62:1839−49, 2005)(すべて参照によって取り込まれる)。

0075

好ましい内在化ペプチドは、HIVウイルスからのTatである。Tatペプチドは、先行研究で報告されており、HIVTatタンパクに見られる標準的なアミノ酸配列YGRKKRRQRRR(配列番号2)を含み、またはそれから成る。配列番号2は標準的Tatペプチドに指定されている。このTatモチーフに隣接する追加の残基が(薬物の傍らに)存在する場合、その残基は、たとえば、Tatタンパク、スペーサー、もしくは一般に2つのペプチドドメインを連結するために使用される種類のリンカーアミノ酸からの、このセグメントに隣接する天然アミノ酸、たとえば、gly(ser)4(配列番号44)、TGEKP(配列番号45)、GGRRGGGS(配列番号46)もしくはLRQRDGERP(配列番号47)(たとえば、Tang et al. (1996), J. Biol. Chem. 271, 15682−15686; Hennecke et al. (1998), Protein Eng. 11, 405−410)を参照)、であり得、または、隣接アミノ酸をもたない変異型の取り込みをもたらす能力を大きく低減しない他のアミノ酸であり得る。好ましくは、活性ペプチド以外の隣接アミノ酸の数は、YGRKKRRQRRR(配列番号2)のどちら側においても10個を超えない。YGRKKRRQRRR(配列番号2)のC末端に隣接する追加のアミノ酸残基を含む1つの好適なTatペプチドは、YGRKKRRQRRRPQ(配列番号48)である。しかし、好ましくは、隣接アミノ酸が存在しない。

0076

N型カルシウムチャンネルへの結合能が低下した上記Tatペプチドの変異型が、国際公開公報WO/2008/109010号に記載されている。この変異型は、アミノ酸配列XGRKKRRQRRR(配列番号49)を含み、またはそれから成り、ここで、XはY以外のアミノ酸であるか、あるいは存在しない(その場合、Gは自由N末端である)。好ましいTatペプチドはN末端のY残基がFで置換されている。したがって、FGRKKRRQRRR(配列番号3)を含む、またはそれから成るTatペプチドが好ましい。他の好ましいTatペプチド変異型は、GRKKRRQRRR(配列番号1)から成る。使用し得る他のTatペプチドには、GRKKRRQRRRPQ(配列番号4)およびGRKKRRQRRRP(配列番号59)が含まれる。他のTatペプチドは、配列GRKKRRQRRRの少なくとも8個の連続アミノ酸を含む。N型カルシウムチャンネルを阻害することなく薬剤の取り込みを促進する他のTatペプチドには、上記のものが含まれる。他の好ましいTatペプチドは、rv−TatまたはRRRQRRKKRGY(配列番号58)と呼ばれる。

0077

Xは、自由アミノ末端、1個以上のアミノ酸、または共役型の部分を表し得る。内在化ペプチドは、インベルソ、レトロまたはトロインベルソ型で使用することが可能であり、その型の結合ペプチドまたはペプチド模倣体を有しても有しなくてもよい。

0078

内在化ペプチドは、従来の方法で薬剤に結合させることが可能である。たとえば、薬剤は、化学結合によって、たとえばカップリング試薬または共役試薬を介して、内在化ペプチドに結合することが可能である。数多くのそのような試薬が市販されており、Wong, Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,CRCPress (1991)によって論評されている。架橋試薬のいくつかの例には、J−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸(SPDP)またはN,N’−(1,3−フェニレンビスマレイミド;N,N’−エチレン−ビス−(ヨードアセタミド)または他のそのような炭素6〜11個のメチレン架橋(これはスルフヒドリル基に比較的特異的である);および1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(これはアミノ基およびチロシン基不可逆結合を形成する)が含まれる。他の架橋試薬には、p,p’−ジフルオロ−m,m’−ジニトロジフェニルスルホン(これはアミノ基およびフェノール基と不可逆結合を形成する);ジメチルアジプイミド酸(これはアミノ基に特異的である);フェノール−1,4−ジスルホニルクロリド(これは原則的にアミノ基と反応する);ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはジイソチオシアネート、またはアゾフェニル−p−ジイソシアネート(これは原則的にアミノ基と反応する);グルタルアルデヒド(これはいくつかの異なる側鎖と反応する)およびジスジアゾベンジジン(これは主としてチロシンおよびヒスチジンと反応する)が含まれる。

0079

薬剤がペプチドである場合、内在化ペプチドの付加は、好ましくはN末端にて内在化ペプチドに融合したペプチド配列を含む融合タンパクを生成することによって達成することが可能である。

0080

ペプチド、随意的にTatペプチドに融合したペプチドは、固相合成または組み換え法によって合成することが可能である。ペプチド模倣体は、化学文献および特許文献、たとえば、Organic Syntheses Collective Volumes, Gilman et al. (Eds.) John Wiley & Sons, Inc., NY, al−Obeidi (1998) Mol. Biotechnol. 9:205−223; Hruby (1997) Curr. Opin. Chem. Biol. 1:114−119; Ostergaard (1997) Mol. Divers. 3:17−27; Ostresh (1996) Methods Enzymol. 267:220−234に記載されている種々の手順および方法を用いて合成することが可能である。融合ペプチドまたは好ましい他のものとして内在化ペプチドに結合したペプチドまたはペプチド模倣体には、全部でわずか50個のアミノ酸を、より好ましくは25個または20個のアミノ酸を含有する。

0081

ND2ペプチドを内在化ペプチドに結合することに代えてもしくは加えて、ND2ペプチドは、脂質に結合(脂質化)して、ペプチド単体に比べて共役体疎水性を高め、これによって、結合したND2ペプチドが細胞膜および/または脳関門を通過するのを容易にすることも可能である。脂質化は、好ましくはN末端またはC末端のアミノ酸に実施するが、Srcに対するND2ペプチドの解離定数が50%を超えて低下しないことを条件に、内部アミノ酸に実施することも可能である。脂質は、水よりもエーテルに溶け易い有機分子であり、脂肪酸、グリセリドおよびステロールが含まれる。脂質化の好適な形態には、ミリストイル化、パルミトイル化、または、好ましくは炭素10〜20個の鎖長を有するラウリン酸およびステアリン酸などの他の脂肪酸の付加のほか、ゲラニル化、ゲラニルゲラニル化およびイソプレニル化が含まれる。天然タンパクの翻訳後修飾において生じる型の脂質化が好ましい。ペプチドのN末端アミノ酸のアルファ−アミノ基へのアミド結合の形成を介する、脂肪酸での脂質化もまたは好ましい。脂質化は、あらかじめ脂質化したアミノ酸を含むペプチド合成によって実施すること、インビトロで酵素的にまたは組み換え発現によって実施すること、ペプチドの化学架橋または化学誘導化によって実施することが可能である。ミリストイル化および他の脂質修飾により変更されたアミノ酸は、市販されている。

0082

脂質化は、好ましくは、標準的なTatペプチドが高い用量(たとえば、3mg/kg以上)で投与されたときに見られるような一過性の血圧降下を起こすことなく、または、少なくとも、標準的なTatペプチドに結合したそのND2ペプチドよりも降下が小さくなるように、結合したND2ペプチドが細胞膜および/または血液脳関門を通過するのを容易にする。

0083

ND2ペプチドを投与したとき(たとえば、標準的なTatペプチドに結合させて高用量で投与したとき)に一過性の血圧降下が生じる場合、それは、抗炎症剤、好ましくは肥満細胞脱顆粒阻害剤の共投与によって、軽減することが可能である(国際公開公報WO2009/07610号を参照)。

0084

V.治療または予防の対象となる患者
本発明の薬剤は、神経疾患または神経障害、疼痛および癌の治療および効果的な治療に有用である。これらの部類は相互に排他的ではない。たとえば、脳腫瘍は、これら3部類すべてに該当する。

0085

様々な神経疾患および神経障害が、治療または予防の対象となる。このような疾患には、不安神経症;てんかん;視覚または網膜の神経障害;脳卒中(たとえば、自然発生性、急性虚血性出血性手続誘導性);てんかん;低酸素症;神経外傷、外傷性脳損傷および脊髄損傷などの脳卒中には関連しないCNSへの外傷;アルツハイマー病パーキンソン病牛海綿状脳症クロイツフェルトヤコブ病多発性硬化症脊髄変性症脊髄小脳失調テイサックス病;ならびに、伝達性海綿状脳症が含まれる。このような障害には、また、血液を脳に供給するもしくは脳から除く血管(たとえば頸静脈または頸動脈)に影響を及ぼすもしくは及ぼすかも知れない外科手術を受ける患者、特に神経外科手術を受ける患者、動脈瘤修復するための血管内手術または手足、脊髄、網膜もしくは腎臓に供給する血管の血管内手術を受ける患者も含まれる。このような修復は、動脈瘤を被った血管にステントまたはコイルを挿入することによって達成することが可能である。少なくとも部分的に興奮毒性に関連する神経疾患および神経障害は、特に、本発明の方法による治療の対象である。

0086

脳卒中は、理由の如何を問わず、CNSにおける損傷した血流に起因する状態である。あり得る原因には、塞栓症出血血栓形成および手術が含まれる。血流損傷の結果、いくつかの神経細胞が即座に死ぬ。これらの細胞はグルタメートを含むその成分分子を放出し、このグルタメートがNMDA受容体を活性化し、これが細胞内カルシウムレベルおよび細胞内酵素レベルを上昇させて、さらなる神経細胞の死(興奮毒性カスケード)へと至る。酸素欠乏による組織の死は、梗塞と呼ばれる。梗塞ボリューム(すなわち、脳における卒中による死神経細胞のボリューム)は、脳卒中による病理的損傷の程度の指標として用いることができる。この症候的効果は、梗塞のボリュームとそれが脳内の何処に位置するかの双方に依存する。傷害指数は、Rankinストロークアウトカムスケール(Rankin, Scott Med J;2:200−15 (1957))、NIHストロークスケールおよびBarthelインデックスなどの、症候的損傷の尺度として使用することが可能である。Rankinスケールは、次のように、患者の全体的状態を直接評価することに基づいている。

0087

Barthelインデックスは、日常生活の10の基本的行動を行う患者の能力についての一連質問に基づいており、0〜100の点数で表して、低い点数がより大きな障害を示す(Mahoney et al., Maryland State Medical Journal 14:56−61 (1965))。

0088

上記に代えて、脳卒中重度転帰は、ワールドワイドウェブninds.nih.gov/doctors/NIH_Stroke_Scale_Booklet.pdfにて入手可能な、NIHストロークスケールを用いて測定することができる。

0089

このスケールは、患者の意識、運動知覚および言語機能のレベルの評価を含む、11群の機能を行う患者の能力に基づいている。

0090

虚血性脳卒中とは、より特異的に、脳への血流の妨害によって引き起こされるタイプの脳卒中をいう。このタイプの妨害の基礎疾患は、通常、脂肪蓄積物血管壁を覆うことの進行である。この状況はアテローム性動脈硬化症と呼ばれている。脳血栓とは、血管の詰まった部分で発達する血栓血塊)をいう。脳塞栓とは、一般に、循環系の別の場所、通常は心臓ならびに胸郭上部および頸部大動脈、で生成した血塊をいう。血塊の一部分が取れて血流に入り脳血管を流れ通って、最終的に、それを通すには小さ過ぎる血管に達する。塞栓症の第2の重要な原因は、心房細動として知られる、不規則動である。これは、心臓内で血塊が生じて、流出し、脳へと流れ得る状況を創る。虚血性脳卒中のさらなる潜在的原因は、出血、血栓形成、動脈または静脈切開心停止、出血を含むあらゆる原因のショック、および、脳血管もしくは脳に至る血管の直接の手術損傷または心臓もしくはの手術などの医原性の原因である。虚血性脳卒中は、脳卒中の全原因の83%を占める。

0091

一過性脳虚血発作(TIA)は、小脳卒中または警鐘脳卒中である。TIAにおいては、虚血性脳卒中を示す状況が存在し、脳卒中の一般的な危険信号が現れる。しかし、障害物(血塊)は、短時間生じて、通常のメカニズムを通じて溶解する。心臓、肺または神経手術を受ける患者は、特に一過性脳虚血発作の危険性がある。

0092

出血性脳卒中は脳卒中原因の約17%を占める。これは、破裂して周囲の脳に出血する弱くなった血管に起因する。この血液は溜まって周囲の脳組織圧迫する。出血性脳卒中の2つの一般的なタイプは、脳内出血およびくも膜下出血である。出血性脳卒中は弱くなった血管の破裂に起因する。弱くなった血管の破裂の潜在的原因には、高い血圧が血管の破裂を引き起こす高血圧性出血、または、他の、脳動脈瘤動静脈奇形(AVM)もしくは海綿状奇形を含む破裂脳血管奇形などの、血管が弱くなったことについての根本原因が含まれる。出血性脳卒中は、また、梗塞における血管を弱める虚血性脳卒中の出血性変化、または、異常に弱い血管を含むCNSにおける原発性もしくは転移性腫瘍からの出血からも生じる。出血性脳卒中は、また、脳血管への直接の外科的傷害などの医原性の原因からも生じる。動脈瘤は血管の弱くなった領域の膨張である。治療せず放置しておいた場合、動脈瘤は弱くなり続け、最終的に破裂して脳に出血する。動静脈奇形(AVM)は、異常に形成された血管の塊である。海綿状奇形は、弱くなった静脈構造からの出血を引き起こす静脈異常である。これらの血管のいずれも、破裂して脳への出血を引き起こし得る。出血性脳卒中は、身体外傷にも起因し得る。脳の一部位における出血性脳卒中は、出血性脳卒中で失われた血液の欠乏を通して、他の部位における虚血性脳卒中に至り得る。

0093

本発明の薬剤は、疼痛の治療または予防にも有用である。疼痛は、それを経験する個人主観的な経験的現象であり、環境および文化背景を含む個人の精神状態によって影響される。「身体的」疼痛は、実際のまたは潜在的な組織損傷の原因となる、第三者感知し得る刺激に関連することもあり得る。この意味において、疼痛は、国際疼痛学会(IASP)によれば、「実際のまたは潜在的な組織損傷に関連する、またはその損傷の観点で記述された感覚的および感情的な経験」とみなし得る。しかし、疼痛のいくつかの例は、感知し得る原因をもたない。たとえば、既往の身体的疼痛の心因性要因による憎悪を含む心因性疼痛、または、疼痛の感知可能な原因の証拠を欠いた精神的障害をもつ人における、時に永続的な、感知される疼痛の症候群である。

0094

疼痛は、一般に、生理的、炎症性および神経障害性の、3つの主な範疇に分類される。しかし、これらの各々には多重機構が寄与しており、それらの機構は、各々が神経可塑性に依存しまたはその発現であるので、いくつかが重複している。神経可塑性は、一般に、活性化、変調および変更に分類され、各々が感受性の閾値の変化に寄与し得て、その結果、疼痛刺激に対する過感受性が生じる。疼痛は、明確な末梢入力の大脳皮質の痛覚中枢への伝達の受動的帰結ではなく、むしろ、可塑性における変化によって、部分的に末梢において、かつ部分的に中枢神経系において生成される能動的過程である。

0095

生理的疼痛は、有害刺激(針穿刺温度限界、化学物質)に対する反応として始まり、炎症性疼痛は、組織損傷/炎症によって始まり、神経障害性疼痛は神経系の病変によって始まる。各々は、損傷の部位および隣接正常組織における過感受性によって特徴づけられる。これらの場合、通常は疼痛を生じない刺激が疼痛を生じ(異痛)、有害刺激(鋭器、熱、化学物質)がより大きくより長引く疼痛を誘起する(痛覚過敏)。炎症性および生理的な過感受性は、一般に、その疾患過程または病理が一旦正常に戻ると、正常に戻る。神経障害性疼痛は、初期事象が癒えた後も持続し、病変に対する反応というよりも、神経系の異常な作用である。

0096

疼痛は、また、急性または慢性とも呼ばれる。急性疼痛は、その性質において一過性の鋭い痛みであり、針穿刺によって引き起こされるものなどである。慢性疼痛は、より長い期間、通常1日以上、持続する疼痛または疼痛過感受性である。慢性疼痛のRodentモデルには、ホルマリン足蹠注射、完全フロイントアジュバント足蹠注射、神経結紮モデル(脊髄/坐骨)、およびすべての神経障害性疼痛モデルが含まれる。

0097

疼痛には、侵害受容性疼痛体性および内臓性を含む)、神経障害性/神経原性疼痛(退行性、圧力誘導性、炎症性、感染誘導性など)、交換神経性疼痛、炎症性疼痛、虚血性疼痛、および、疼痛突出疼痛、異痛、痛覚過敏、知覚過敏感覚異常錯感覚、痛感過敏幻肢痛、心因性疼痛、有痛性知覚脱失神経痛神経炎悪性疼痛、狭心痛、および/または、突発性疼痛、ならびに、複合性局所疼痛症候群I,II、複合性局所疼痛症候群IIが含まれる。これらの述語は、国際疼痛学会によって定義されており、また相互に排他的ではない。

0098

侵害受容性疼痛は、有害刺激を活動電位コード化する有害刺激への反応における、末梢神経特化した知覚侵害受容器によって始まる。侵害受容器は、一般にA−δ線維およびC繊維に存在し、皮膚の直下、内、関節内および体器官内で終わる自由神経終末である。後根神経節(DRG)ニューロンは、末梢と脊髄との間の連絡の場を提供する。信号は、脊髄を通して脳幹および視床部へと処理され、最終的に大脳皮質に送られて、そこで通常(常にではない)疼痛の感覚を生じさせる。侵害受容性疼痛は、体組織を刺激または損傷する潜在力を有する、広範な種々の化学的、熱的、生物的(たとえば炎症性)または機械的事象に起因し得、これらは、一般に、侵害受容器において侵害受容活性を生じさせるために必要な特定の最小強度閾値よりも高い。

0099

炎症性疼痛は、炎症に関連する疼痛を指す。炎症は、感染、刺激および/または損傷に対する器官免疫応答である。炎症は、発赤腫れおよび温かみによって特徴づけられる。疼痛誘起刺激は炎症反応を誘起し、これ自体が疼痛の経験に寄与し得る。

0100

神経障害性疼痛は、一般に、それぞれ末梢または中枢神経障害性疼痛を起こす、末梢または中枢神経系における異常な作用の結果である。神経障害性疼痛は、国際疼痛学会によって、神経系における原発性の損傷または機能障害によって引き起こされる疼痛である、と定義されている。神経障害性疼痛には、神経系への実際の、特に慢性的症例における、損傷が含まれることが多い。炎症性の侵害受容性疼痛は、一般に、組織損傷およびそれに起因する炎症過程の結果である。神経障害性疼痛は、組織への何らかの観察可能な損傷の表面上の回復を超えて、長く(たとえば、数月または数年)持続し得る。

0101

神経障害性疼痛においては、影響された領域からの感覚処理は異常となり得、通常は疼痛を引き起こさない無害の刺激(たとえば熱、接触/圧力)が疼痛を引き起こし(つまり、異痛)、または、有害な刺激が、通常は疼痛を伴う刺激への応答において疼痛の誇大な知覚(つまり、痛覚過敏)を生じさせるかも知れない。加えて、電気的な疼きもしくはショックまたは「チクチク感」に似た感覚(つまり、錯感覚)、および/または、不快な性質を有する感覚(つまり、感覚異常)が、通常の刺激によって引き起こされるかも知れない。突出痛は、既往の慢性疼痛の激化である。痛覚過敏は、刺激に対する異常に痛い反応に起因する痛みを伴う症候群である。ほとんどの症例における刺激は、痛覚閾値の上昇を伴う反復性であり、この閾値は、患者が疼痛と認識し得る疼痛の最小の経験とみなし得る。

0102

神経障害性疼痛の例には、接触性アロディニア(たとえば、神経損傷後に誘導される)、神経痛(たとえば、ヘルペス後(すなわち帯状疱疹後)神経痛、三叉神経痛)、反射性交感神経性ジストロフィー灼熱痛(神経外傷)、癌疼痛の成分(たとえば、癌そのものまたは炎症などの関連症状による疼痛、化学療法、外科手術または放射線治療による疼痛)、幻肢痛、エントラップメント神経障害(たとえば、手根管症候群)、および、末梢神経障害(たとえば、糖尿病、HIV、慢性アルコール使用、他の毒素(多くの化学療法を含む)への曝露ビタミン欠乏、および多様な医学的状態による)などの神経障害がある。神経障害性疼痛には、様々な原因、たとえば、外科手術、外傷、帯状疱疹糖尿病性神経障害、脚または腕の切断術など、による神経損傷の後の神経系の病理的手術の実施で誘導される疼痛が含まれる。神経障害性疼痛に関連する医学的状態には、外傷性神経損傷、脳卒中、多発性硬化症、脊髄空洞症、脊髄損傷および癌が含まれる。

0103

いくつかの症状において、疼痛は、侵害受容性因子と神経障害性因子の複雑な混じり合いによって引き起こされるように見える。たとえば、慢性疼痛は、炎症性侵害疼痛もしくは神経障害性疼痛、または両者の混じり合いを含む。初期の神経系機能障害または損傷は、炎症性メディエータの神経放出および後続の神経障害炎症のきっかけとなるかも知れない。たとえば、片頭痛は、神経障害性疼痛と侵害受容性疼痛の混じり合いを表し得る。また、筋筋膜性疼痛は、おそらく筋肉からの侵害受容性入力に続発するが、異常な筋肉活動は、神経障害状態の結果かも知れない。

0104

患者が経験する疼痛の症状は、臨床医にとって認識可能な疼痛の兆候を伴うかも知れず、伴わないかも知れない。逆に、疼痛は、患者が症状を自覚することなく、臨床的兆候によって明らかになり得る。疼痛の症状には、たとえば行動変化の形態の、疼痛に対する応答が含まれ得る。疼痛に対する例示的な応答には、痛刺激の意識的忌避、身体または身体の一部を痛刺激から守るための保護的応答、疼痛を最小化し治癒を促進するための応答、疼痛の伝達、および生理的応答が含まれ得る。伝達応答には、疼痛の発声、顔の表情または姿勢の変更が含まれ得る。生理的応答は、自律神経系または内分泌系によって仲介される応答、たとえば、アドレナリンおよびノルアドレナリンの放出増加、グルカゴンおよび/またはホルモンおよび/または副腎皮質ステロイド産出増大、が含まれる。監視可能な生理的変化には、単収縮けいれんまひ散瞳振戦、知覚過敏および/または反射変化などの、自発運動増加作用が含まれる。疼痛に対する生理的心臓血管系応答には、血圧の変化、鼓動の数および質の変化、末梢循環の低下、チアノーゼおよび鬱血が含まれ得る。筋緊張トーン)の増大も疼痛の兆候である。疼痛への応答における脳機能の変化は、脳波検査EEG)、前頭筋電図描画(FEMG)またはポジトロン断層撮影(PET)などの、種々の技術によって監視することが可能である。

0105

疼痛の他の症状は、痛刺激の実際の場所に隣接するまたはその場所から離れた場所に局在する痛みの知覚である関連痛であり得る。関連痛は、しばしば、その起点においてまたは起点の近くで、神経が圧迫されまたは損傷したときに、生じる。この状況において、痛覚は、一般に、たとえ損傷が他の場所で生じたとしても、神経が働く領域に感じられる。一般的な例は、脊髄から生じる神経根が隣接する椎間板材料によって圧迫される、椎間板ヘルニアに見られる。疼痛は損傷した椎間板そのものから生じるかも知れないが、疼痛は、圧迫された神経が働く(たとえば、大腿、または足)領域においても知覚される。

0106

侵害受容活性は侵害受容性疼痛の症状である。侵害受容活性は、意識的に知覚される疼痛がなくても、引き込み反射、および、蒼白発汗徐脈低血圧立ちくらみ、悪心および失神などの様々な自律反応のきっかけとなるかも知れない。

0107

本発明の薬剤は、癌の治療または効果的な予防にも有用である。Srcはヒトの体内に存在する癌遺伝子であり、多くの癌は、その過剰発現突然変異または活性に関連している。これらには、乳癌大腸癌肺癌前立腺癌膵臓癌、頭部癌、頸部癌などの固形癌が含まれる。Srcはまた、それを制御する他のタンパクにおける突然変異によって、異常に活性化し得る。本発明の方法は、mRNAまたはタンパクレベルでのSrcの発現の増大に関連する癌タイプ、特に、Src発現が同一患者における組織適合非癌性組織に比べて増大する癌に、特に有用である。いくつかの方法において、癌におけるSrcの発現が、随意的に、同一患者からの組織適合非癌性試料の発現と比較して、検査される。しかし、発現レベルの検査は必要でない。Srcキナーゼの検出可能な活性、および組織適合非癌性対照試料に対する特に増大した活性は、癌が本発明の方法での治療の対象であることの指標となる。癌細胞においてSrc遺伝子のコピー数が増加することは、癌が治療の対象であることの、代替のまたは追加の指標となり得る。コピー数の増加は、たとえば、サザンブロット、定量的PCR中期染色体スプレッドハイブリダイゼーションインサイチュ蛍光発光、および他の細胞遺伝学的技術によって検出可能である。癌遺伝子に関連するSrcの突然変異の存在もまた、癌が本発明の方法によって治療し得ることの指標である。

0108

IX.治療/予防の方法
a)治療の方法
随意的に内在化ペプチドに結合した薬剤が、治療的に有効な投与計画において、上述の疾患もしくは障害の兆候および/または症状を有する患者に投与される。この投与計画は、治療中の疾患または症状を患っている患者(または動物モデル)の集団における疾患の少なくとも1つの兆候または症状の、本発明の薬剤での治療を受けていない、その疾患または症状を患っている患者(または動物モデル)の対照集団に対する、有効な治癒、軽減またはさらなる悪化の阻止に有効な量、頻度および投与経路を意味する。この投与計画はまた、個々の治療患者が、本発明の方法により治療されない比較患者の対照集団における平均の結果よりも、良好な結果を達成する場合に、治療上有効であると認められる。投与の回数は、治療する疾患または障害に依存する。脳卒中、外傷性損傷、不安神経症、急性疼痛またはてんかんなどの急性または一過性の症状については、多くの場合、少なくとも1回の発症当たり単回の投与で十分である。神経変性疾患、たとえばアルツハイマー病またはパーキンソン病、癌、慢性疼痛などの慢性の症状については、複数回投与および、時に生涯にわたる治療が指示される。

0109

脳卒中またはCNSの他の虚血性症状を患う患者については、脳卒中または他の虚血性症状の損傷作用を低減するために有効な量、頻度および投与経路を含む投与計画で薬剤が投与される。治療を必要とする症状が脳卒中の場合、結果は、梗塞ボリュームまたは障害指数によって決めることができ、投与量は、個々の治療患者が、Rankinスケールで2以下およびBarthelスケールで75以上を示す場合に、または、治療患者の集団が、障害指数のスコア上で、比較の非治療集団よりも、有意に改善された(つまり、障害が減少した)分布を示す場合に、治療上有効であると認められる。Lees et al., N Engl J Med 2006;354:588−600を参照。脳卒中の治療には、薬剤の単回投与で十分なことが多い。

0110

本発明の薬剤は、一定の時間における、再かん流の有効性もしくは安全窓を広げる、または再かん流の安全性もしくは有効性を向上させるためにも有用である。これは、時間の経過につれて出血事象の頻度が増すことにより、有益な投与の窓が脳卒中の後わずか0〜4.5時間であるプラスミノーゲン活性化因子などの、血塊を壊す他の薬剤との併用での虚血性脳卒中の治療において、特に有用である。本発明の薬剤は、脳内の血塊を壊す薬剤の安全性および/または有効性を向上させるために、投与することができる。

0111

通常は薬剤の1〜8用量が癌を治療するために投与されるが、より多くの用量を投与することも可能である。薬剤は、たとえば、薬剤の半減期が1週、2週、4週、8週、3〜6月またはそれ以上であることに応じて、毎日、週2回、毎週、隔週、毎月または他の間隔で、投与することができる。長期投与のような繰り返しの治療パターンも可能である。

0112

薬剤による癌の治療は、たとえば、Taxol(パクリタキセル)もしくはその誘導体、カルボプラチンもしくはシスプラチンなどの白金化合物ドキソルビシンなどのアントラサイクリンシクロホスファミドなどのアルキル化剤5−フルオロウラシルなどの代謝拮抗物、またはエトポシドの、従来の治療と組み合わせることが可能である。本発明の薬剤は、たとえば乳癌および卵巣癌に対して、標準的化学療法における2,3またはそれ以上の薬剤、たとえばタキソールおよびカルボプラチン、との組み合わせで使用することができる。組み合わせのための他の薬剤には、モノクローナル抗体などの生物製剤、HER2抗原に対するHerceptin(商標)、VEGFに対するAvastin(商標)、またはEGF受容体への抗体のほか、小分子の抗血管形成剤またはEGF受容体拮抗薬が含まれる。さらに、薬剤は、放射線治療または外科手術と併用することが可能である。

0113

本発明の薬剤による治療は、この薬剤を含まない対照投与計画と比較して、癌を有する患者の平均無増悪生存率または全生存期間を、少なくとも30%もしくは40%、好ましくは50%,60%〜70%、または100%以上も、向上させ得る。これに加えてまたは代えて、この薬剤を含む治療は、この合成抗体を含まない同じ投与計画と比較して、再発したまたは難治性の癌を有する患者の完全寛解率、部分寛解率または客観的寛解率(完全+部分)を、少なくとも30%もしくは40%、好ましくは50%,60%〜70%、または100%以上も、向上させるかも知れない。随意的に、治療は、腫瘍成長侵襲転移または血管形成を阻害し得る。

0114

一般に、臨床試験(たとえば、第II相、第II/III相または第III相試験)において、化学療法と本発明の薬剤との併用で治療した患者の、化学療法のみ(または偽薬の併用)を受けた患者の対照群に対する、平均無増悪生存率および/または寛解率の向上は、p=0.05または0.01のレベルで統計的に有意である。完全および部分寛解率は、癌についての臨床試験、たとえば、国立がん研究所および/または食品医薬品局で普通に用いられる客観的基準で決定される。

0115

ヒトの疼痛に対する薬剤の効果は、種々の試験を用いて評価することができる。患者の疼痛を評価するために、異なる方法を用いて、数多くの疼痛質問表および尺度が設計されている。疼痛は、単一の基準で(強度のみ)、またはいくつかの基準を用いて(持続時間と強度)、評価してよい。有用な疼痛の尺度には、視覚的アナログ尺度、McGill疼痛質問表、および記述子ディファレンシャルスケール(J. Rheumatol. 9 (5): 768-9.PMID 6184474. Melzack. (1975) Pain 1 (3): 277-99, Gracely (1988), Pain 35 (3): 279-88を参照)。疼痛に対する患者の感受性(疼痛閾値)は、ソニックパルメータ圧力制御パルモメータ、レーザー痛覚計ナルジアメータ(IITC Life Sciences)、ベースラインアルゴリメータ(Kom Kare Company)、疼痛に対する皮膚の感度を測定するBjornstrom痛覚計、上腹部の疼痛についての感受性を測定するBoas痛覚計などの、痛覚計を用いて測定することも可能である。疼痛の治療に併用し得る薬物の例には、NSAID,COX−2阻害剤、COX−3阻害剤、iNOS阻害剤、PAR2受容体拮抗薬神経遮断薬オピオイド、N−アセチルコリン受容体作動薬グリシン拮抗薬、バニロイド受容体拮抗薬ニューロキニン拮抗薬、カルシトニン遺伝子関連ペプチド拮抗薬、および、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害性一酸化窒素供与体CIOD)が含まれる。他の疼痛軽減薬には、コデイン、バオコディンモルフィン、Demerol、パーコセット、DarvonおよびDarvocetコノトキシン、ならびにSymlinがある。

0116

b)予防の方法
本発明は、疾患の危険がある対象者における疾患の予防のための方法および組成物を提供する。通常このような対象者は、対照集団と比べて、疾患(たとえば、症状、病気、疾患または障害)の進行する可能性が高まっている。たとえば対照集団は、その疾患と診断されたことがなく、その疾患の家族歴を有しない、一般集団から無作為に選択された1人以上の個人を含む(たとえば、年齢性別人種および/または民族性で整合させる)。対象者は、疾患に関連する危険因子がその対象者に関連していることが判った場合、その疾患について危険性があると認められる。危険因子には、たとえば、その対象者の集団の統計的または疫学的研究を通じてその疾患に関連する、あらゆる活動、形質出来事または性質を含まれ得る。対象者は、したがって、根本的な危険因子を特定する研究が具体的にその対象者を含まなかった場合でも、疾患についての危険性があると分類され得る。たとえば、心臓手術を受ける対象者は、心臓手術を受けたことのある対象者の集団における一過性脳虚血発作の頻度が、心臓手術を受けたことのない対象者の集団と比べて高いので、脳卒中の危険性がある。

0117

脳卒中についての他の一般的な危険因子には、年齢;家族歴;性別;脳卒中、一過性虚血発作または心臓発作の既発;高血圧喫煙;糖尿病;頸動脈または他の動脈疾患;心房細動、心臓病、心臓まひ、拡張型心筋症心臓弁膜症および/または先天性心臓欠陥などの他の心臓疾患;高い血中コレステロール;ならびに飽和脂肪、トランス脂肪、またはコレステロール高含有の食事が含まれる。

0118

癌についての危険因子には、癌への遺伝的感受性放射線または毒素などの発癌物質への曝露を経験した患者、および、癌の治療を経験したことがあり、再発の危険性のある患者、が含まれる。

0119

疼痛についての危険因子には、外科手術の経験、戦闘もしくは他の危険への曝露、または、糖尿病および癌などの激しいもしくは慢性の疼痛に関連する疾患の経験、が含まれる。

0120

随意的に内在化ペプチドに結合された薬剤は、疾患の危険性があるが、その疾患を有していない患者に、予防上有効な投与計画で投与され、前記投与計画は、その疾患の危険性がありその薬剤で処理される患者(または動物モデル)の集団における、その疾患の少なくとも1つの兆候または症状の発生を、その疾患の危険性があるが本発明のキメラ剤で処理されない患者(または動物モデル)の対照集団と比べて、防止、遅延または阻止するための用量、頻度および経路を意味する。用量は、また、処理された個々の患者が、本発明の方法で処理されない対照患者の集団の平均結果よりも良好な結果を達成した場合に、予防上効果があると認められる。予防上効果のある投与計画には、予防上効果のある投与量を、意図する目的を達成するために必要な頻度および投与経路で、投与することが含まれる。切迫した危険性のある患者(たとえば、心臓手術を受ける患者)における脳卒中または他の急性発症の疾患もしくは障害の予防には、通常、薬剤の単回投与で十分である。より長期の危険性、たとえば、発癌物質への曝露後の癌の危険性、のある患者については、複数回投与が指示されてよい。

0121

X.医薬組成物、投与量および投与経路
本発明の薬剤、随意的に内在化ペプチドに結合された薬剤は、医薬組成物の形態で投与することが可能である。医薬組成物は、一般に、GMP条件下で製造される。医薬組成物は、単位容量の形態(つまり、単回投与のための投与量)で提供することが可能である。医薬組成物は、従来の、混合、溶解、粒状化糖衣化、粉末化乳化カプセル化封入または凍結乾燥の処理によって製造することが可能である。たとえば、凍結乾燥された薬剤は、以下に述べる剤形および組成で使用することができる。

0122

医薬組成物は、キメラ薬剤を処理して薬剤的使用可能な製剤とすることを容易にする、生理的に許容される1つ以上の担体希釈剤、賦形剤または助剤を使用して、従来の態様での剤形とすることが可能である。適切な剤形は、選択される投与経路に依存する。

0123

投与は、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所的、鼻腔内、吸入経皮たとえばパッチ、または筋肉内であり得る。静脈内投与が好ましい。

0124

非経口投与の医薬組成物は、好ましくは、殺菌され実質上等張である。注射用には、薬剤は、水溶液の剤形、好ましくは、Hank液、Ringer液、生理食塩水または酢酸緩衝液などの、生理的に適合する緩衝液注射部位不快感を軽減する)の剤形である。溶液は、懸濁化剤安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有し得る。

0125

代替の薬剤は、適切な媒体たとえば無菌の無発熱物質水と使用前に組み合わせるために、粉末状であり得る。

0126

本発明の薬剤は、マンニトール、Tween(登録商標)またはDMSOなどの、本発明の薬剤の血液脳関門通過性を高める他の薬剤と、併せて投与することが可能である。

0127

経粘膜投与には、浸透させるべき障壁に適する浸透剤が製剤内に使用される。この投与経路は、化合物を鼻腔に届けるために、または舌下投与に、使用することが可能である。

0128

経口投与には、治療する患者による経口摂取のために、薬剤は、錠剤丸薬糖衣錠カプセル液剤ゲルシロップスラリー、懸濁液などとして薬理的に許容される媒体とともに製剤化することが可能である。たとえば封末剤、カプセルおよび錠剤などの経口固形剤形のために好適な賦形剤には、ラクトーススクロース、マンニトールおよびソルビトールなどの糖;トウモロコシでんぷん小麦でんぷん米でんぷんジャガイモでんぷんゼラチントラガカントゴムメチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物粒状化剤;および結合剤などの、増量剤が含まれる。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン寒天アルギン酸またはその塩、たとえばアルギン酸ナトリウム、などの崩壊剤を加えることが可能である。必要に応じて、固形投与剤形は、標準的な技術を用いて糖コーティングまたは腸溶コーティングを施すことが可能である。たとえば懸濁液、エリキシル剤および溶液などの経口液体調製物のために、好適な担体、添加剤または希釈剤には、水、グリコール、油、アルコールが含まれる。さらに、香味剤保存剤着色剤などを添加することが可能である。

0129

上記の剤形に加えて、前記薬剤は、デポ剤として製剤化することも可能である。この効果持続時間の長い剤形は、埋め込み(たとえば皮下または筋肉内)または筋肉内注射によって投与することが可能である。したがって、たとえば、この化合物は、適切な高分子または疎水性材料(たとえば、許容される油内乳化剤)もしくはイオン交換樹脂と共に、または、やや難溶性の誘導体として、たとえば、やや可溶の塩として、製剤化することが可能である。

0130

これに代えて、他の薬理的送達システムを採用することも可能である。リポソームおよび乳化剤を、キメラ薬剤の送達に使用することができる。ジメチルスルホキシドなどの一定の有機溶媒もまた、通常は毒性が大きいけれども、採用することが可能である。さらに、この化合物は、この治療剤を含有する固形高分子の半透過性マトリックスなどの、徐放性システムを使用して送達することができる。

0131

徐放性カプセルは、その化学的性質に応じて、数週から100日までの期間、このキメラ剤を放出することができる。治療剤の化学的性質および生物的安定性に応じて、タンパク安定化のための追加の方略を採用することが可能である。

0132

本発明の薬剤は荷電した側鎖または末端を含有することができるので、遊離の酸もしくは塩基として、または薬理的に許容される塩として、上述の剤形のいずれにも含め得る。薬理的に許容される塩は、遊離の塩基の生物活性を実質的に保持した、無機酸との反応で調製される塩である。薬理的塩は、対応する遊離塩基型よりも、水および他のプロトン性溶媒に溶け易い傾向にある。

0133

投与すべき薬剤の量は、処理される患者、疾患または障害、処理が治療的な性質であるか予防的な性質であるか、患者の体重、苦痛の重度、投与の態様、および処方する医師の判断に依存する。治療は、症状が検出される間、あるいは症状が検出されないときにも、間欠的に繰り返すことができる。治療は、単独で、または他の薬物と組み合わせて、提供することができる。

0134

本発明の薬剤の有効な用量は、実質的な毒性をもたらすことなく、利益を提供し得る。薬剤の毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬理手続きで、たとえば、LD50(集団の50%に対して致死的な量)またはLD100(集団の100%に対して致死的な量)を測定することによって、決定することができる。毒性と治療効果との量比が、治療指数である。高い治療指数を示す薬剤、たとえば、ペプチドまたはペプチド模倣体が好ましい(たとえば、Fingl et al., 1975, In: The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ch.1,p.1を参照)。

0135

薬剤に結合した内在化ペプチドを含むキメラ剤は、その薬剤単独のモル基準で、同じまたはより低い用量で使用することが可能であり、その薬剤単独と同じ経路で、その薬剤単独と同じ疾患のために、投与することが可能である。

0136

随意的に内在化ペプチドに結合した薬剤の好適な用量は、通常25mg/kgよりも少ない。用量は、10〜4mg/kg〜25mg/kgに、たとえば、0.1または0.5mg/kg〜1,50または10mg/kgに、わたることがある。患者当たりの総用量は、kg体重当たりの用量にkg単位の患者の体重を乗じて、計算することができる。たとえば、75kgの患者についての総用量は、上記の用量に75を乗じることによって計算される。

0137

XII.スクリーニング方法
1.スクリーニングされる薬剤
薬剤は、所望の結合または阻害活性について、まずインビトロでスクリーニングすることが可能である。薬剤には、上述したように、ND2ペプチドまたはそのペプチド模倣体が含まれ得る。スクリーニングされる薬剤は、海洋微生物藻類、植物、菌類などの天然源から、または合成ペプチドもしくは他の化合物のライブラリーから、得ることが可能である。段階的に合成することが可能な多種類の化合物について、組み合わせライブラリーを創生することも可能である。このような化合物には、ポリペプチド、ベータ−ターン模倣体、多糖リン脂質、ホルモン、プロスタグランジンステロイド芳香族化合物複素環化合物ベンゾジアゼピン、N置換グリシンオリゴマーおよびオリゴカルバメートが含まれる。Affymax,国際公開公報WO95/12608号、 Affymax,国際公開公報WO93/06121号、 Columbia University,国際公開公報WO94/08051号、 Pharmacopeia,国際公開公報WO95/35503号、および、Scripps,国際公開公報WO95/30642号(これらは各々、あらゆる目的のために、参照によって取り込まれる)に記載されているコード化合成ライブラリー(ESL)法によって、化合物の大きな組み合わせライブラリーを構築することが可能である。ペプチドライブラリーは、また、ファージディスプレイ法によって創生することも可能である。たとえば、Devlin,国際公開公報WO91/18980号を参照。

0138

2.インビトロスクリーニング
薬剤は、まず、所望の活性について、たとえば、SrcまたはSrcの残基40〜49を含むSrcペプチドへの結合する能力について、スクリーニングすることが可能である。これに代えてまたは加えて、薬剤は、Srcまたはその残基40〜49もしくは残基40〜58を含むペプチドへの結合能において、ND2または上記のND2ペプチド(たとえば、ND2の残基310〜321から成るペプチド)と競合する能力について、スクリーニングすることが可能である。結合は、ELISA、蛍光偏光、またはウェスタンブロットなどの方法によって、評価することができる。いくつかのフォーマットにおいて、それらの結合試験の1つの要素は固定される。実施例において説明するように、いくつかのフォーマットが可能である。Srcに結合するおよび/またはND2もしくはND2ペプチドのSrcへの結合を阻害する薬剤の能力は、その薬剤が、神経疾患、疼痛または癌の治療において有用な薬理活性を有することの指標となる。薬剤は、次いで、以下に説明するように、様々な動物モデルにおいてさらに試験される。

0139

薬剤は、また、Srcキナーゼに対する阻害活性についてもスクリーニングすることが可能である。キナーゼ試験を行うためのキットが市販されている。Src、一般に組み換表現型のSrcは、リン酸化可能な残基およびATPの存在で固定化を可能にするタグを有するペプチド、ならびにキナーゼ緩衝剤と混合される。キナーゼ活性の指標となるリン酸化ペプチドの量を、そのリン酸化ペプチドに特異的な抗体を使用して検出することができる。この試験は、試験対象の薬剤がリン酸化および暗示的にSrc活性を低下させる場合は、その薬剤を存在させておよび存在させずに行われる。

0140

3.脳卒中の動物モデル
薬剤は、脳卒中の種々の動物モデルで試験することが可能である。それらのモデルの1つにおいて、雄の成体Sprague−Dawleyラットを、管腔縫合法により一過性の中大脳動脈閉塞(MCAO)に90分間付す。動物を一夜絶食させ、硫酸アトロピン(0.5mg/kg、腹腔内)を注射する。10分後、麻酔が誘導される。ラットに経口で挿管して、機械的に換気し、臭化パンクロニウム(0.6mg/kg、静脈内)で麻痺させる。体温は、加温ランプで、36.5〜37.5℃に維持する。大腿動静脈内でポリエチレンカテーテルを使用して、血圧を連続して測定し、ガスおよびpH測定のために血液を採取する。一過性MCAOは、ポリ−L−リジン被覆の3−0モノフィラメントナイロン縫合糸(Harvard Apparatus)を、内頸動脈経由でウィリス輪に挿入して、中大脳動脈を効果的に閉塞することにより、90分間行う。これは、大脳皮質および脳幹神経節を包含する広範な梗塞を生じる。動物を、試験対象の薬剤または陰性もしくは陽性対照のいずれかで処理する。処理は、虚血の誘導前または誘導後1時間までのどちらかに、可能である。陰性対照は媒体であり得る。陽性対照は、有効であることが既に示されている、Tat−NR2B9cペプチド、YGRKKRRQRRRKLSSIESDV(配列番号6)であり得る。動物への薬剤の投与後、梗塞ボリュームおよび/または障害指数を決定する。梗塞ボリュームは通常、処理後24時に測定されるが、3,7,14または60日などのより遅い時に測定することも可能である。障害指数は、たとえば、処理後2時、処理後24時、処理後1週または1月の期間にわたって、監視することができる。梗塞ボリュームおよび/または障害指数において、薬剤で処理しない対照動物と比べて統計的に有意な減少を示す薬剤は、本発明の方法を実施するために有用な活性を有すると、確認される。

0141

類似の実験を、永続的虚血に付した動物で行うことも可能である。中大脳動脈軟膜血管の永続的虚血は、Forder et al., Am J Physiol HeartCirc Physiol 288:H1989−H1996 (2005)に記載されているようにして実施することができる。簡潔に説明すると、右ECAにPE10ポリエチレンチューブカニューレを挿入する。正中切開頭蓋骨露出し、右の体性感覚皮質の上に、6〜8mmの頭蓋窓(プレグマに対して、2mm後方、5mm横)を形成する。通常の生理食塩水中の生体染色色素パテントブルーバイオレット(10mMol/L、Sigma)の小ボーラスをECAに注射することによって、軟膜動脈を可視化する。同一の3つの軟膜血管MCAブランチを電気的に焼灼し、焼灼した軟膜細動脈を通る流れの遮断を確実にするために、色素注射を繰り返す。次いで、切開部を閉じ、動物をケージに戻して、食物および水を自由に与える。この永続的虚血モデルは、再現性が高く、凝固した末端軟膜動脈の下の皮質に限定された小さな梗塞を生成する。

0142

4.疼痛の動物モデル
哺乳動物(たとえば、齧歯動物)における疼痛の侵害受容試験には、テールフリック(脊髄媒介侵害受容反射)試験(D’Amour et al. (1941), J. Pharmacol. Exp. Ther. 72: 74−79)、ホットプレート試験、Randall−Selitto試験(Swingle et al. (1971), Proc. Soc. exp. Biol. Med. 137: 536−538)、およびテールピンチ試験がある。これらの試験は、熱に対する閾値(テールフリック試験、ホットプレート試験、肢引き込みのHargreaves試験、および熱水への尾または後肢の短時間の浸漬)などの異種の有害刺激に対する侵害受容閾値;または、たとえば、異痛試験についてのVon Frey試験、J Neurosci法,1999 Mar 1;87(2):185−93による刺す刺激に対する触知性閾値を評価するために使用することが可能である。動的異痛は、後肢の裏の表皮綿棒で軽く打ち、打ち始めてから8秒以内に動物が綿の刺激に反応する場合に動的異痛が存在すると判断することによって評価することが可能である。有害な化学剤に対する疼痛応答は、たとえば、希酢酸腹腔内注射後の腹部ライジングを監視することによって、および、飲み水にカプサイシンを加えることによる嫌悪水飲み試験(これは、三叉神経侵害を評価するのに使用することができる)によって、測定することが可能である。

0143

炎症性疼痛および過感受性の試験には、ホルマリン肢試験(Tjolsen et al. (1992), Pain 51: 5−17)、完全フロイントアジュバント肢試験(CFA)、ホルマリン誘導顔面痛(Clavelou et al. (1989), Neurosci. Lett. 103: 349−353)、および、カラゲナン、カプサイシンまたはブラジキニンなどの物質の投与に基づく肢試験が含まれる。関節炎状態は、カラゲナン、尿酸もしくはからし油などの物質またはアジュバントを様々な関節に注射することを含む様々なモデルによって模倣することが可能である。内臓痛は、ブラジキニン、アセチルコリン、酢酸またはフェニルキノンなどの物質の腹腔内注射によってモデル化することが可能である。ストレプトゾシン(STZ)誘導糖尿病神経障害モデルは、3週以内の再現性のある機械的異痛を誘導する(Chen and Pan, J Neurophysiol 87: 2726−2733, 2002)。

0144

末梢神経損傷に起因する神経障害性疼痛の試験には、慢性絞縮傷(たとえば、坐骨神経結紮のBennetおよびXieモデル、Pain 33: 87−107);部分的神経結紮(Seltzer et al., J Basic Clin. Physiol. Pharmacol. 1991)、脊髄神経切断または結紮(Lombard et al., Pain. 1979 6:163−74; Kim & Chung, Pain. 1992;50:355−63)、寒冷神経剥離(Deleo et al., Pain. 1994;56:9−16)、坐骨神経虚血(Kupers et al., Pain. 998;76:45−59)が含まれる。一般的な試験は、触知性異痛試験(Chaplan et al. (1994), J. Neurosci. Meth. 53: 55−63)である。Taxol誘導神経障害性疼痛は、炎症性の要素を含まない。特定の末梢神経障害状態に特異的なモデルには、三叉神経神経痛(Vos and Maciewicz, J Neurosci. 1994;14:2708−23)、糖尿病性神経障害(Burchiel et al., Diabetes. 1985;34:1210−3)、およびビンクリスチン神経炎(Aley et al., Neuroscience. 1996;73:259−65)の動物モデルが含まれる。神経腫モデル(Wall et al., Pain. 1979 Oct;7:103−11)は、手足の切断に起因する幻想痛を反映する。

0145

脊髄損傷に起因する疼痛の動物モデルには、索切断または部分的切断(Levitt & Levitt, Pain. 1981;10:129−47)、放射線誘導虚血モデル(Hao et al. Neurosci Lett. 1991 8;128:105−8)、キスカル酸髄腔内注射を用いる興奮毒性モデル(Yezeiersk電ark, Neurosci Lett. 1993 9;1571):115−9)、および挫傷モデル(Siddall et al., Neuroreport. 1995;6:1241−4)が含まれる。

0146

5.てんかんの動物モデル
異なるてんかん状態の広範な動物モデルが、よく特徴づけられている。SeizuresおよびEpilepsyモデル(ed. Pitkanen et al., ISBN: 978−0−12−088554−1; Elsevier Inc., 2006)を参照。この全体が、参照によって取り込まれる。動物は、ショウジョウバエから霊長類までにわたり、ここで、てんかんは、化学物質の投与、または発作および/もしくはてんかんを自発的に発現する検体の遺伝子スクリーニングを含む様々な方法によって、引き起こされる。動物モデルの例には、発熱発作に似たラットの高熱誘導発作、ならびに、トッタラー、スターゲイザー、嗜眠性、および短時間行動停止(つまり、注視または凝視)などのヒト欠神てんかんに類似する特徴を共有する徐波てんかん(SWE)のマウスなどの、マウスの変異が含まれる。

0147

よく特徴づけられた動物モデルは、また、側頭葉てんかんTLE)を有する患者に見られる複雑部分発作についても記載されている。カイニン酸およびピロカルピン(PILO)発作モデルが、おそらく、最も一般に研究されているTLEの化学物質誘導動物モデルである。初期の準けいれん電気刺激の反復的限局的適用が最終的に激しい部分性および全身性けいれん発作となる現象であるキンドリングは、TLEの情報モデルであり続ける。

0148

さらに、いくつかの遺伝的にてんかんを発症し易い種が、光感受性および聴覚原性反射てんかんの研究のための動物モデルとして、記載されている。これらの種には、ギニアヒヒニワトリのてんかん(FEpi)種であるファイオウミ(Fayoumi)、遺伝的にてんかんを発症し易いラット(GEPR)およびDBA/2マウスが含まれる。

0149

高度に発作を生じ易いまたは自発的発作を有するいくつかの遺伝的動物モデルなどの、動物における全身性硬直間代発作または欠神発作を誘導するための、多くの方法が利用可能である。以下は、そのような発作型を誘発するいくつかの従来の方法である。

0150

間代性活動が続く緊張性の後肢伸張/屈曲によって特徴づけられるけいれん発作は、最大の電気ショックによって確実に誘導され、新たな抗けいれん薬の速やかなスクリーニングのための一般的な方法であり続ける。

0151

ペンチレンテトラゾール(PTZ)は、おそらく最も広く使用されている全身投与のけいれん誘発薬である。PTZの反復注射を、電気的キンドリングに類似する一種の化学的キンドリングを創生するために行うことができる。高用量では、PTZ(通常、皮下または静脈内投与される)は、ラットまたはマウスにおいて硬直間代けいれんを確実に生じさせ、発作感受性および新たな薬物のスクリーニングの双方の速やかで効果的な尺度となる。低用量で全身的に投与されると、PTZは、欠神様発作を引き起こすためにも使用される。

0152

ヘキサフルオロ化エーテルであるフルロチルは、齧歯動物において再現性のあるけいれん発作パターンを誘導するために使用される化学吸入剤である。この方法において、ラットまたはマウスは、気密室に入れられ、ここでフルロチルが中枢に投与される。10〜20分後、フルロチルは、まずミオクローヌス反射を、次いで激しい硬直間代けいれんを、引き起こす。最後に、全身性の欠神発作の他の実験動物モデルには、視床刺激、ネコにおける全身性ペニシリン投与、g−ヒドロキシブチレート処理(GHB)、および脳室内アヘン誘導体のほか、ラット(GAERS, WAG/Rij, SER)ならびに既述のマウス(スターゲイザー、トッタリング、嗜眠性、短時間行動停止のマウス、モカおよびダッキ)における遺伝的モデルが含まれる。

0153

上述のものなどの動物モデルは、インビボおよびインビトロの双方で、部分性または全身性発作の関連現象の基本的機構を理解する上でこれまで有益であり、また、新しい治療法の評価のための標準的技術である。Sarkisian, Epilepsy & Behavior 2, 201-216 (2001)を参照。この全体が、参照によって取り込まれる。

0154

6.不安神経症の動物モデル
不安神経症は、ラットなどの動物を、なじみのない環境に置いて、反応(たとえば、格子線を横断する、または開いたもしくは閉じたチューブを選択する)を観察することによって誘導される。たとえば、覚醒の状態および新しい環境に慣れる能力の双方を明らかにするために、ラットをオープンフィールドアリーナにおいて試験して、格子線を横断することから評価することができる。横断の減少は不安感の低下を示す。ラットを迷路で試験して、ラットにおける不安感/情動性を評価することもできる。好適な迷路は、中央のプラットホームから延びて床からの高さが1.5mの4本のアーム(2本は開き、2本は閉じている:幅15cmで長さ60cm)を有する。ラットを迷路の中央に置き、どのアームに入るかを自由に選択できるようにする;運用上、入るとは、頭と前肢とをアーム内に入れることと規定する。開いたアームおよび閉じたアームそれぞれでの経過時間を、2方向(頭上および水平)から同時に撮影したビデオ記録から記録し、採点する。ラットは開いた空間を避けようとする生来の性向があるので、開いたアームでの経過時間が長いことは、不安感の低下を示す。

0155

7.癌の動物モデル
癌に対する薬剤の活性は、免疫不全のまたはヒトの腫瘍を移植したマウスまたはラットで試験することが可能である。使用可能なマウスの免疫不全系統の例には、CD−1ヌード、Nu/Nu、Balb/cヌード、NIH−III(NIH−bg−nu−xid BR)などのヌードマウス;Fox Chase SCID(C.B−17 SCID), Fox Chase outbred SCIDおよびSCID Beigeなどのscidマウス;RAG酵素欠乏のマウス;のほか、ヌードラットがある。実験は、たとえば、Kim et al., Nature 362:841 (1992)に記載されているようにして実施する。完全DMEM培地で培養したヒト腫瘍細胞は、一般に、HBSSに採取される。雌の免疫不全の、たとえば、胸腺欠損ヌードマウス(4〜6週齢)に、一般には0.2mlのHBSS中の5×106細胞を、背側領域に注射する。腫瘍サイズが50〜100mm3に達すると、ラットを無作為にグループ分けして、薬剤の適切な投与計画を、その薬剤を欠いた対照投与計画と並行して、実施する。腫瘍サイズは、一般に週に2回、2方向(長さ(a)および幅(b))について測定することによって、判定する。腫瘍サイズは、V=ab2/2に従って計算し、平均腫瘍サイズ±SEMで表す。薬剤の効果は、時間経過による腫瘍の成長、マウスの生存期間延長、または、一定の時点もしくは不定時に生存しているマウスの割合の増加、によって測定する。対照群と比較する統計解析は、たとえばスチューデントt検定を使用して行ってよい。

0156

8.内在化ペプチド
ペプチドまたは他の薬剤は、動物における内在化または輸送活性について試験することが可能である。薬剤(Tatペプチドなど)は、たとえば標識化して、マウスなどの動物に注射することが可能である。たとえば、腹腔内または静脈内注射が好適である。注射後約1時間で、マウスを殺処分し、固定液(3%パラホルムアルデヒド、0.25%グルタルアルデヒド、10%スクロース、生理食塩中10U/mLヘパリン)で灌流する。次いで、脳を取り出して、凍結薄片にする。切片を、共焦点顕微鏡を用いて、蛍光について分析する。内在化活性を、蛍光から、随意的に陰性対照および陽性対照と比較して、決定する。適切な陽性対照は、標準的なTatペプチドを含む薬剤である。適切な陰性対照は、Tatを欠く蛍光標識した活性薬物である。非標識媒体もまた、陰性対照として使用することができる。

0157

内在化ペプチドまたは他の薬剤を試験するために、類似の実験を細胞培養において行うことが可能である(米国特許公報第20030050243号を参照)。随意的に活性ペプチドに結合した、変異型蛍光標識Tatペプチドを、皮質神経細胞培養に投与する。投与後数分にわたって、蛍光顕微鏡を使用して、取り込みを判定する。取り込みの向上は、動物における取り込みの実験について記載したように、陽性対照および陰性対照と比べて判定することができる。

0158

実施例1:Srcキナーゼへの結合に関与するND2配列の同定
GST融合タンパクを、ND2の異なるフラグメントを用いて設計し、標準的プロトコルを用いて発現および精製した。これらの精製タンパクを、ビオチニル化Src40〜58ペプチドまたはスクランブル化対照ペプチド(sSrc40〜58)で調べるために、膜にスポットした。一般に、1〜10μgのペプチドまたは組み換えタンパクを、ニトロセルロースにスポットして、一夜乾燥した。膜を5%ミルクで室温にて1時間ブロックし、次いで、ビオチニル化ペプチド(〜15μg/ml)と共に2時間インキュベートして、標準の洗浄緩衝液洗浄した。結合プローブを、ホースラディッシュペルオキシダーゼ共役ストレプトアビジン(SA−HRP)および標準検出試薬、主に化学発光キット、での短時間インキュベーションを用いて検出した。図1Bは、構築物の第1のセットを示しており、図1Cは、ND2の全長がSrc40〜58に結合し得ること、および、ND2.1(AA239−321)と呼ばれるサブフラグメントもSrc40〜58に結合し得ることを示すドットブロットである。コアSrc結合領域を狭めるために、さらなるGST構築物を作成した(図2A)。これらの構築物でドットブロットを作成し、ビオチニル化Src40〜58を捕捉するそれらの能力について試験した(図2B)。ND2.1.4(AA289〜321)が、Src40〜58への結合に最も有効なサブフラグメントであり、一方、試験したどのフラグメントもスクランブル化陰性対照(B−sSRC40〜58)に結合せず、これは相互作用の特異性を示している。

0159

確証として、ELISA試験を行って、この結合を異なる試験形式で示した。GST−ND2,GST−ND2.1またはGST−ND2.1.4を、図示した濃度にて標準の条件下でインキュベートすることによって、ELISAウェルに被覆した。5%ミルクを用いてウェルをブロックし、ビオチン−Src40〜58(図2C上図)またはビオチン−sSrc40〜58(下図)のいずれかを6μMでインキュベートした。SA−HRPおよび標準の検出試薬は、Src40〜58が、これらのND2構築物のそれぞれに、濃度非依存の態様で、結合し得ることを示した。

0160

Src40〜58への結合に関与するND2.1.4中のアミノ酸配列を特定するために、さらなるGST構築物を作成した(図3A)。これらの配列は、ND2に対応する配列に対する結合への関与がごくわずかであるが、これらの配列およびこれらに隣接する配列は、Src−ND2相互作用の阻害に使用することができるであろう。これらのGSTタンパクを用いたドットブロットおよびビオチン−Src40〜58を用いた再度の試験は、ND2 310〜321の結合が相対的に高い親和性を有することを示した。さらに、結合はND2,ND2 289〜309,299〜318,302〜321および307〜321でも見られた(図3B)。上述のように、すべてのフラグメントとの相互作用がELISA試験で確認され(図3C)、ND2 310〜321,ND2 289〜309,ND2 299〜318,ND2 307〜321およびND2の全長が、上位の結合物であった。これら4個のフラグメントは、Src40〜58に対して、ND2の全長よりも優れた結合を示した。試験したすべてのフラグメントは、陰性対照ペプチドsSrc40〜58よりも、Src40〜58によく結合することが可能であった。

0161

次に、Src結合ドメインのより短いバージョンであるSrc40〜49へのND2構築物の結合能を調べた(図4A,4B)。ND2 310〜321,ND2 307〜318およびND2 310〜318が、ドットブロット分析で、Src40〜49の上位の結合物であった(図4A)。これらの相互作用は、ELISAによって確認し、ND2 310〜321が最も強い結合を示した。

0162

次に、ND2 310〜321とSrc40〜49の相互作用を、異なる構築物での異なる試験形式で調べた。図5Aは、図示したSrcフラグメントを、ビオチニル化ND2 310〜321(Bio−ND2 310〜321)またはスクランブル化ビオチニル化ND2 310〜321(Bio−sND2 310〜321)で、調べたドットブロットを示している。Src40〜49−Tatは、ヒトHIV−1 Tatタンパク形質導入ドメイン[YGRKKRRQRRR]がSrc40〜49のC末端に融合して、配列KPASADGHRGYGRKKRRQRRRを有するペプチドになった融合ペプチドを指し、一方、Tat−Src40〜49は、TatドメインがSrc40〜49のN末端に融合して、配列YGRKKRRQRRRKPASADGHRGを有するペプチドを生成した融合ペプチドを指す。このドットブロットは、両方のTat融合Src40〜49ペプチドが、Src40〜49ペプチド自体と同様に、ND2 310〜321に結合したことを示す。ビオチニル化ND2 310〜321の、示した被覆Srcペプチドへの結合をELISA試験でも評価し、4個のSrc構築物の各々がビオチンND2 310〜321を捕捉することができた(図5B)。これらのペプチドは、〜5μMの濃度で被覆した。同様に、ELISAプレートを、標準条件にてTat−ND2 310〜321で被覆し、Bio−Src40〜49は濃度非依存の態様で結合することができた。一方、ビオチニル化スクランブル化対照ペプチドでは、結合は見られなかった(図5C;Bio−sSrc40〜49)。

0163

競合ELISAも実施した。図5Dは、ビオチニル化Src40〜49のND2 310〜321への結合を阻害するTat−Src40〜49の能力を試験する競合ELISA試験を示している。結果は、ビオチニル化Src40〜49のND2 310〜321への結合が、Tat−Src40〜49ペプチドによって阻害されたことを示している。図5Eは、前もってELISAプレートに被覆しておいたTat−ND2 310〜321へのビオチニル化Src40〜49の結合を阻害するSrc40〜49−Tatの能力を示している。結果は、ビオチニル化Src40〜49のTat−ND2 310〜321への結合が、Src40〜49−Tatペプチドによって阻害されたことを示している。同様にして、300〜321領域からのアミノ酸配列を有するND2構築物は、ND2とSrcとの相互作用を阻害するように作用し得る。

0164

図6も、Tat−ND2 310〜321が、GST−ND2よりもSrc40〜58によく結合し得ることを示している。図7は、競合ELISAにおいて、Tat−ND2 310〜321の濃度を増すことが、被覆されたND2 310〜321ペプチドへのBio−Src40〜49の結合に競合し得ることを示している。

0165

総合すると、ND2とSrcとの結合を媒介するコアND2配列は、ND2のアミノ酸310とアミノ酸321との間のようであり、289〜321のアミノ酸配列が、ND2とSrcとの結合に寄与または影響するようである。

0166

実施例2:Src−ND2相互作用の阻害剤は、インビボにおけるSrc−ND2の共局在化を低減するが、ND2とNMDARとの共局在化を低減しない
海馬ニューロンにおけるND2,Src,NMDARサブユニットおよびPSD95の局在化を調べるために、Tat,Tat−ND2 310〜321、またはSrc40〜49−Tatの存在下における免疫細胞化学によって、一連の実験を行った。簡潔に説明すると、海馬ニューロンを、胎生期の#17/E18 Wistarラットから単離し、B27およびglutamaxを有しカバースリップを含むneurobasal培地において培養した。次いで、細胞を1μMペプチドで1時間処理し、その後、標準的な方法で固定した。特異的抗体および蛍光分子に結合した二次抗体を用いてタンパクを可視化した。Photoshopにおいて画像を融合し、総局在化蛍光クラスターをクラスター総数除算することにより(たとえば、Srcとの%共局在化ND2=(総局在化)/(総ND2クラスター);ND2との%共局在化Src=(総局在化)/(総Src2クラスター))、対の間の%共局在を計算することによって、蛍光の共局在を計算した。

0167

図8Aおよび図8Bは、Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49−Tatのいずれかとのインキュベーションが、SrcとND2との共局在化の量を減少させ得るのに対し、対照Tat輸送体は減少させないことを、示している。したがって、これらのペプチドは、細胞膜を横断して、細胞内に前もって形成された複合体を破壊することが可能であり、治療剤として使用し得る。

0168

次に、ND2とNMDA受容体サブユニット2B(NR2B)およびPSD95との、これらの阻害剤の存在下における共局在化を調べた。Tat−ND2 310〜321およびSrc40〜49−Tatは共に、ND2とSrcとの相互作用を破壊するにもかかわらず、ND2とNR2Bとの会合に大きく影響しない(図8Aおよび図8Bと対比した図9Aおよび図9B)。驚いたことに、ND2とSrcとの相互作用の破壊は、ND2とPSD95との共局在化を減少させる(図9C、図9D)。PSD95は、NR2BのC末端とPSD95の初めの2つのPDZドメインとの相互作用を通じて、NR2Bと関連することが知られているので(Aarts et al, Science, 2002)、これらの薬剤は、NMDAR−PSD95相互作用を破壊することによる利益を達成するための、代替の組成物およびその方法を提供する。その利益には、脳卒中、興奮毒性に関連する疾患、疼痛、神経変性疾患、不安神経症、てんかん、視神経症などの治療が含まれる。PSD95の共局在化の破壊と整合して、図9Eおよび図9Fは、PSD95とNR2Bとの共局在化が、同様に破壊されることを示している。類似の態様で、Tat−ND2 310〜321およびSrc40〜49−Tatは、NR2BとSrcとの共局在化(図10)、およびPSD95とSrcとの共局在化(図11)を減少させ得る。

0169

このように、SrcとND2との結合を阻害するND2配列を含有する化合物は、NMDA受容体複合体、特に、NR2BとSrcとの会合およびNR2BとPSD95との会合を、調節することが可能である。

0170

抗体
次の一次抗体を試験において使用した:NR2Bに対するマウスmAb(Cat#:ab28373)、PSD95に対するマウスmAb(クローン7E3−1B8,Cat#:ab13552)およびSrcに対するマウスmAb(クローン327,Cat#:ab16885)をAbcam(Cambridge,MA)から;ウサギ抗NR2B(Cat#:06−600)をMillipore(Temecula,CA)から;ヤギ抗ND2(M−16,Cat#:sc−20496)およびウサギ抗GST(Z−5,Cat#:sc−459)をSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA)から;ホスホチロシンマウスmAb(P−Tyr−100,Cat#:9411),ホスホNR2B(Tyr1472,Cat#:4208)およびウサギ抗PSD95(D27E11,Cat#:3450)をCell Signaling Technology(Danvers,MA)から得た。

0171

この試験に用いたすべての二次抗体は、Jackson ImmunoResearch Laboratory(Weat Grove,PA)から得た:Texas Red−Donkey抗ウサギ(711−075−152),Texa Red−Donkey抗マウス(711−075−150),Texa Red−Donkey抗ヤギ(705−075−003),FITC−Donkey抗ウサギ(711−095−152),FITC−Donkey抗マウス(715−095−150),FITC−Donkey抗ヤギ(705−095−003),ペルオキシダーゼヤギ抗マウス(115−036−006),ペルオキシダーゼヤギ抗ウサギ(111−036−047)およびペルオキシダーゼウサギ抗ヤギ(305−036−003)。

0172

免疫細胞化学
カバースリップ上で培養した海馬ニューロンを、第14日に、1μmのSrc40〜49−Tat,Tat−ND2 310〜321またはTatで1時間処理した。次いで、ニューロンを、リン酸緩衝生理食塩水中4%パラフォルムアルデヒドおよび4%スクロース中で10分間、その後、室温(RT)にて20%メタノールで5分間インキュベートした。細胞を、PBS中0.25%トリトンX−100での5分間の処理、およびPBS中5%ロバ血清中での30分間の処理により、透過性にした。培養物を、様々な種を高めた一次抗体の混合物と共に、0.25%トリトンX−100中で室温にて2時間インキュベートし、洗浄して、ロバにおいて高めた、Texas RedまたはFITCフルオロフォアのいずれかに共役の種特異的二次抗体の混合物(0.25%トリトンX−100中1:200希釈)と共に、室温にて1時間インキュベートした。カバークリップをPBSで洗浄して、ProLong Gold退色防止試薬(Invitrogen)を用いてマウントした。Nikon Eclipse TE 200顕微鏡上の60×の汎蛍光対物レンズで、画像を収集した。画像は、PhotoShop 7(Adobe,San Jose,CA)で分析した。輝度およびコントラストを調整し、アンシャープマスクツールを用いて鮮明にし、色共局在化のために融合した。

0173

共局在化の定量化のために、フルオロフォアチャンネル最大強度規格化し、樹状突起に見られる各チャンネルの背景蛍光を減じて、カラー画像を融合した。2つのチャンネルのうちの一方の表面の少なくとも66%が、他のチャンネルのクラスターと重複するときに、異なる2つのチャンネルにおける2つのクラスターが共局在化していると判断する。抗体の各組み合わせの各々について、3つの独立した免疫蛍光実験を行った。各測定は、長さ50mの樹状セグメント(平均幅2mを有する)から得た。共局在化は、分析した全クラスターの割合として表した。

0174

実施例3:ND2−Src相互作用の阻害はNMDA受容体複合体の構成に影響する
共免疫沈降実験を使用して、ニューロンのNMDA受容体複合体中の選択されたタンパクの状態を調べた。これらは、3軟膜血管閉塞モデル(3PVO)を使用した脳卒中に付した海馬ニューロンとラット脳の双方において、Src−ND2相互作用の存在下および非存在下で、調べた。図12A〜図12Eは、第14日の海馬ニューロンのNMDARの状態を表している。ND2,Src,PSD95,NR2BおよびIgGに対する抗体を単独で、以下に述べるように溶解物に加えて、きれいな免疫沈降物ブロットの上に記載した抗体)を生成するために使用した。次いで、各ブロットの下に記した抗体を用いて、各ブロットを標準的なウェスタンブロット法を用いる検出抗体によって調べた。これらの図は、免疫沈降抗体の各々がND2,Src,PSD95およびNR2Bを含有する複合体を沈降させ得ることを表している。

0175

次に、14DIVの培養海馬ニューロンにおけるNMDAR信号伝達複合体のタンパクの会合に対する、Tat−ND2 310〜321およびSrc40〜49−Tatの作用を調べた。ニューロンを、Tat−ND2 310〜321またはSrc40〜49で、1μMにて1時間(図13A)または3μMにて2時間(図13B)処理した。細胞溶解物を精製して、抗NR2B(左)で免疫沈降させ、次いでNR2B、抗PSD95、抗Srcおよび抗ND2抗体で染色した。これらの試験は、両方のTatペプチドでのニューロンの処理が、NR2BとSrcとの会合を減少させることを表している。使用した濃度および露出時間では、Tat−ND2 310〜321で前処理したときに、PSD95とNR2Bとの会合がわずかに減少するようである。この実験を繰り返したところ、Tat−ND2 310〜321処理が、NR2Bに対する抗体での免疫沈降後のSrc40〜49−Tatと比較して(図13C、左)、NMDAR複合体中のPSD95およびSrcの量を、大きく低下させることが明らかになった。同じペプチド処理を施した溶解物を抗PSD95抗体での免疫沈降に使用すると、Tat−ND2 310〜321での処理は、正常にPSD95と会合したNR2Bの量を大きく減少させた。さらに、ペプチド処理した海馬ニューロン溶解物に抗PSD95抗体を用いる別組の免疫沈降実験では、Tat−ND2 310〜321はNR2BとPSD95との会合をほとんど消失させ、また、PSD95と会合したリン酸化NR2Bの量を減少させることが可能であった(図13D)。

0176

次に、これら3つのタンパクの状態を、3PVO脳卒中に付したラット脳で調べた。3PVO虚血の後、齧歯動物にTat−ND2 310〜321または生理食塩水のいずれかを、尾静脈注射で投与した。手術後1時間に、脳を速やかに採取し溶解させた。抗NR2B抗体でのIPに続いて、膜を抗リン酸チロシン抗体と共にインキュベートし、展開し、次いで抗Src、リン酸化Src(pTys)および抗PSD95抗体で調べた。内部対照として、同側および対側脳半球(それぞれIおよびC)の双方を用意した。図15は、Tat−ND2 310〜321で処理した動物において、はるかに少ないPSD95がNR2Bサブユニットと共に免疫沈降し、Srcの量が同様に減少することを示している。NR2B構成におけるこの変化は、脳卒中に付さなかった脳半球ではPSD95はNR2Bと会合したままのようなので、脳卒中半球にのみ生じるようである。このことは、脳卒中組織におけるPSD95:NR2B会合の減少は保護的であるが、NMDAR複合体がニューロン信号伝達および長期増強などの他の組織機能に必要とされるので、重要である。したがって、Tat−ND2 310〜321は、脳卒中に影響された脳領域を、影響されていない領域における複合体を破棄することなく、選択的に保護し、一般化されているPSD95:NMDAR阻害剤と比べて、副作用がおそらく少なくなるであろう、という可能性を示している。

0177

3PVOに付した動物に対して、生理食塩水、Src40〜49−TatまたはTat−ND2 310〜321を手術後1時間に尾静脈注射で投与し、手術後2時間に脳を採取して溶解させるという、第2組の実験を行った。図16Aおよび図16Bは、IP抗体としてのPSD95(図16A)またはNR2B(図16B)を用いた、これらの脳からの免疫沈降の結果を示している。図16Aにおいて、Tat−ND2 310〜321は、PSD95と会合したNR2B、リン酸化NR2BおよびSrcの量を大きく減少させた。逆に、図16Bにおいて、抗NR2B抗体での免疫沈降に続き、複合体と会合したPSD95はほとんどなく、Srcおよびリン酸Src(pSrc)も同様に少ない。Src40〜49−Tat構築物は、NMDA受容体からPSD95およびSrcを解離させるのに、ほとんど有効でなかった。

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