図面 (/)

技術 ヒト抗体ならびに神経疾患の処置のためのその診断的および治療的使用

出願人 メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
発明者 ロドリゲズ,モーゼスワリントン,アーサーイー.ピーズ,ラリーアール.
出願日 2011年10月19日 (9年2ヶ月経過) 出願番号 2013-534892
公開日 2014年2月20日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2014-504263
状態 特許登録済
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 突然変異または遺伝子工学 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質 微生物による化合物の製造
主要キーワード 並列線 ブレード間隔 フィルター値 平衡調整 センサープラットフォーム 放射法 歩行解析 極性構成
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年2月20日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

CNSにおけるニューロンに結合し、それを認識し、かつCNSのニューロンにおける応答を誘発することが可能である特異的結合メンバー、特にヒト抗体、特に組換え抗体、およびそれらの断片が提供される。これらの抗体は、神経保護のために、ならびに神経損傷神経傷害または神経変性および神経変性疾患と関連する状態の診断および処置のために、有用である。本発明の抗体、それらの可変領域、またはCDRドメイン配列、およびそれらの断片はまた、治療において、化学療法剤免疫調節剤、もしくは向神経活性剤および/または他の抗体、またはそれらの断片と組み合わせて用いることもできる。抗体は、それらの配列が本明細書で提供されている、抗体IgM12およびIgM42により例示される。

概要

背景

神経再生とは、神経組織細胞、または細胞産物再成長または修復を指す。このような機構は、再ミエリン化、新たなニューロン神経膠軸索ミエリン、またはシナプスの発生を包含しうる。末梢神経系(PNS)と中枢神経系(CNS)とでは、神経再生が、関与する機能的機構ならびに再生の程度および速さのいずれでも異なる。

損傷後における成熟哺乳動物の中枢神経系(CNS)における軸索の再生は、極めて限定されたものである。その結果、脊髄損傷(SCI)、外傷性脳損傷、脳卒中、および軸索の断絶を伴う関連状態の後では、機能欠損が遷延する。この状況は、長距離にわたる軸索の再生および実質的な機能回復成体において生じうる、哺乳動物の末梢神経系(PNS)における状況とは異なる。細胞外分子およびニューロンの内因性成長能のいずれもが、再生の成功に影響を及ぼす。

中枢神経系(CNS)の軸索が、成体の哺乳動物における損傷後に自発的に再生することはない。これに対し、末梢神経系(PNS)の軸索は、容易に再生し、末梢神経の損傷後における機能回復を可能とする。Aguayoらは、少なくとも一部の成熟CNSのニューロンは、許容性の末梢神経移植を施されれば、再生する能力を保持することを裏付けた(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。この研究は、軸索成長に、PNS環境は刺激性であり、かつ/またはCNS環境は阻害性であることを示唆した。その後の研究では、PNSにおける成長促進因子およびCNSにおける成長阻害因子のいずれもが同定された。再生阻害剤には、CNSミエリンにおける特定のタンパク質および星状膠細胞瘢痕と関連する分子が含まれる。加えて、CNSにおける、PNSと比べて緩徐残屑クリアランスは、軸索の再成長を妨げる可能性がある。軸索成長に影響を及ぼす因子の理解は、CNSの再生を促進する治療剤を開発するのに極めて重要である。

末梢神経損傷後、軸索は、容易に再生する。細胞体からは断絶している軸索の遠位部は、ウォラー変性を受ける。この活性過程の結果として、軸索の断片化および分解がもたらされる。残屑は、神経膠細胞、主に、マクロファージにより除去される。次いで、近位軸索は、それらの標的を再生および再神経化して、機能回復を可能とする。

CNS再生阻害剤の2つの主要なクラスは、ミエリン会合阻害剤(MAI)およびコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)である。これらの分子は、軸索の再生を制限し、それらの機能に干渉することにより、成体におけるCNSのある程度の成長も制限する。細胞自律的な因子もまた、CNS再生失敗の重要な決定因子である。CNSにおけるニューロンは、成長関連遺伝子を上方制御する程度が、PNSにおけるニューロンと同じではない。その結果、それらの再生能は、阻害剤が存在しない場合であっても、限定されたものである。ニューロンの内因性の成長能を増大させることにより、CNSにおける適度な軸索の再生が可能となる(非特許文献5;非特許文献6)。

MAIとは、CNSミエリンの成分としての希突起膠細胞を介して発現させたタンパク質である。MAIは、in vitroにおいて神経突起成長を損ない、CNS損傷後のin vivoにおいて軸索成長を制限すると考えられている。MAIには、Nogo−A(非特許文献7;非特許文献8)、ミエリン会合糖タンパク質(MAG)(非特許文献9)、希突起膠細胞ミエリン糖タンパク質(OMgp)(非特許文献10)、エフリン−B3(Benson MDら(2005年)、Proc Nat Acad Sci USA、102巻:10694〜10699頁)、およびセマフォリン4D(Sema4D)(Moreau−Fauvarque Cら(2003年)、J Neurosci、23巻:9229〜9239頁)が含まれる。これらのうちの3つ(Nogo−A、MAG、およびOMgp)は、ニューロンのNogo−66受容体1(NgR1)と相互作用して、軸索成長を制限する。これらの3つの構造的類縁でないリガンドはまた、第2の軸索成長阻害受容体であるペア免疫グロブリン様受容体B(PirB)(Atwal JKら(2008年)、Science、322巻:967〜970頁)に対するアフィニティーも示す。

神経突起成長の促進および/または阻害の根底をなす分子的鍵として作用する複数の認識分子が同定されている。神経突起成長を促進する認識分子の中では、神経細胞接着分子であるL1が、神経突起成長を媒介するのに顕著な役割を果たす(Schachner M(1990年)、Seminars in the Neurosciences、2巻:497〜507頁)。L1依存性神経突起成長は、同種親和性相互作用を介する。L1は、L1を発現させる神経突起およびシュワン細胞、ならびにL1でトランスフェクトした線維芽細胞における神経突起成長を増強する(Bixbyら(1982年)、Proc Natl Acad. Sci. U.S.A.、84巻:2555〜2559頁;Changら(1987年)、J Cell Biol、104巻:355〜362頁;Lagenaurら(1987年)、Proc Natl Acad Sci USA、84巻:7753〜7757頁;Seilheimerら(1988年)、J Cell Biol、107巻:341〜351頁;Kadmonら(1990年)、J Cell Biol、110巻:193〜208頁;Williamsら(1992年)、J Cell Biol、119巻:883〜892頁)。

神経系の損傷に罹患する患者は、毎年90,000例を超え、脳卒中などの脳血管事象を含めると、はるかに大きな数となる。脊髄損傷に罹患する患者だけで、毎年10,000例に上ると推定されている。神経損傷発症率がこのように高いことの結果として、神経組織工学の亜分野である神経再生および神経修復は、損傷後における神経機能性を回復させる新たな方式の発見に専心する、急速に成長する分野となりつつある。神経系は、脳および脊髄からなる中枢神経系、ならびにそれらに関連する神経節を伴う頭蓋神経および脊髄神経からなる末梢神経系の2つの部分に分けられる。末梢神経系が内因性の修復能および再生能を有するのに対し、中枢神経系は、その自己修復能および再生能において、比較的および大方制約されている。現在のところ、中枢神経系への損傷後においてヒト神経機能を回復させるための、許容され、かつ、承認された処置は見られない。

脊髄損傷(SCI)後における軸索の保護および修復は、運動ニューロン喪失および永続的な身体障害を防止するのに有効な戦略としての大きな可能性を保持する。ニューロンの保護は、傷害後における軸索の損傷を防止し、軸索の修復を促進するために標的化される栄養因子を用いて達成されている。これらの分子は主に、特異的な低分子である神経栄養因子の標的化に焦点を当てるin vitro系に基づく選択戦略を用いて同定された。これらの分子は、前臨床モデルでは神経保護的な結果を裏付けたが、臨床試験による結果はそれほど好ましいものではない。

天然自己反応性モノクローナル抗体は、損傷および疾患の複数のモデルを用いて、CNS細胞における有益な生物学的機能を裏付けている。抗体を介するニューロン生存の促進、軸索の再生、および機能回復が、マウスモノクローナルIgMであるIN−1を用いて、in vivoにおいて裏付けられている(BregmanBSら(1995年)、Nature、378巻(6556号):498〜501頁;Caroni P、Schwab ME(1988年)、Neuron、1巻(1号):85〜96頁)。同様の結果が、CNS損傷に先立つ脊髄ホモジネート(SCH)の免疫化を用いて得られた(Ellezam B、Bertrand J、Dergham P、McKerracher L(2003年)、Neurobiol Dis、12巻(1号):1〜10頁;HuangDWら(1999年)、Neuron、24巻(3号):639〜647頁)。

多発性硬化症(MS)とは、通常は初期軸索損傷を伴わない、原発性脱髄病理学的特徴とする、慢性でしばしば進行性炎症性の中枢神経系(CNS)疾患である。MSの病因および発症機序未知である。MSの複数の免疫学的特徴、およびその特定の主要組織適合性複合体対立遺伝子との中程度の会合により、MSが免疫媒介性疾患であるという推断が誘発されている。自己免疫仮説は、特定のミエリン成分を遺伝子的に感受性である動物へと注射することにより、T細胞介在性CNS脱髄をもたらす、実験的な自己免疫性アレルギー性脳脊髄炎(EAE)モデルにより裏付けられている。しかし、特異的自己抗原および病原性のミエリン反応性T細胞が、MS患者のCNSにおいて明確に同定されたこともなく、MSが他の自己免疫疾患と関連付けられることもない。疫学的データに基づく代替的な仮説は、環境因子おそらくは同定されていないウイルスが、CNSにおける炎症反応を誘発し、これにより、潜在的に誘導性の自己免疫成分による直接的または間接的な(「バイスタンダー」的な)ミエリン破壊がもたらされるというものである。この仮説は、ヒトおよび動物の両方における複数の天然ウイルス感染が脱髄を引き起こしうるという証拠により裏付けられている。一般に用いられる1つの実験的ウイルスモデルは、サイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)により誘導される(Dal Canto, M.C.およびLipton, H.L.、Am. J. Path.、88巻:497〜500頁(1977年))。

MSおよび他の脱髄性疾患または神経変性疾患のための現行の療法の有効性が限定されたものであることから、これらの疾患を改善する新規の療法に対する関心が刺激されている。しかし、環境因子および自己免疫因子の両方を伴う可能性がある、これらの疾患の明らかに複雑な原因病理に起因して、これらの脱髄性障害の有効な処置に対する必要がやはり存在する。

MSの場合、脱髄の最終的な結果として、神経細胞死がもたらされる。しかし、脱髄後における軸索の死滅は、即時的なものではない。適切な支持分子または支持細胞が供給されれば、神経系は、著明な修復能を示す。CNSの軸索の保護は、生存する軸索の喪失を制限し、永続的な身体障害を防止するのに有効な戦略となる見込みがある。神経保護は、病変における潜在的に神経毒性の炎症性環境を調節することにより達成することができる。興奮毒性を制限するか、一酸化窒素を阻害するか、またはイオンチャネル遮断するようにデザインされた試薬は、危険にある軸索を保護する方法として研究されている(Pitt, D.、P. Werner、およびC. S. Raine(2000年)、Nat Med、6巻:67〜70頁;Okuda, Yら(1997年)、Journal of neuroimmunology、73巻:107〜116頁;Waxman, S. G.(2002年)、J Rehabil Res Dev、39巻:233〜242頁)。これらの試薬の多くが、毒性が裏付けられた低分子であり、全身の全ての細胞に作用する。

概要

CNSにおけるニューロンに結合し、それを認識し、かつCNSのニューロンにおける応答を誘発することが可能である特異的結合メンバー、特にヒト抗体、特に組換え抗体、およびそれらの断片が提供される。これらの抗体は、神経保護のために、ならびに神経損傷、神経傷害または神経変性および神経変性疾患と関連する状態の診断および処置のために、有用である。本発明の抗体、それらの可変領域、またはCDRドメイン配列、およびそれらの断片はまた、治療において、化学療法剤免疫調節剤、もしくは向神経活性剤および/または他の抗体、またはそれらの断片と組み合わせて用いることもできる。抗体は、それらの配列が本明細書で提供されている、抗体IgM12およびIgM42により例示される。

目的

本発明は、中枢神経系における診断目的および治療目的のための、神経突起伸長を促進し、神経再生において作用し、かつ/またはニューロンを損傷から保護する能力を伴うニューロン結合モノクローナル抗体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

神経が損なわれているか、傷つけられているか、もしくは損傷しているか、または神経が損なわれるか、傷つけられるか、もしくは損傷する危険性がある哺乳動物における疾患または状態を処置または改善するのに使用するための単離ヒトIgM抗体またはその断片であって、該抗体またはその断片は、ニューロンに特異的に結合し、ニューロンを細胞死から保護し、かつ再ミエリン化を促進せず、ここで、該抗体または断片は、以下の配列:(a)図5に示される、可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1QSISSY(配列番号34)、CDR2AAS(配列番号35)、およびCDR3QQSYHTPW(配列番号36)、または(b)図6に示される、可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1GFTFSTYA(配列番号37)、CDR2INVGGVTT(配列番号38)、およびCDR3VRRSGPDRNSSPADF(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1QGIG(配列番号40)、CDR2TTS(配列番号41)、およびCDR3QKYNSAPRT(配列番号42)を含む、単離ヒトIgM抗体またはその断片。

請求項2

配列番号1に示される可変重鎖アミノ酸配列および配列番号11に示される可変軽鎖アミノ酸配列を含むか、または配列番号17に示される可変重鎖アミノ酸配列および配列番号27に示される可変軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離抗体

請求項3

可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1GFTFSTYA(配列番号37)、CDR2INVGGVTT(配列番号38)、およびCDR3VRRSGPDRNSSPADF(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1QGIG(配列番号40)、CDR2TTS(配列番号41)、およびCDR3QKYNSAPRT(配列番号42)を含む、請求項1に記載の単離抗体またはその断片。

請求項4

図6に示される、配列番号17に示される可変重鎖アミノ酸配列および配列番号27に示される可変軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項3に記載の単離抗体。

請求項5

組換え抗体rHIgM42である、請求項1、3、または4に記載の単離抗体。

請求項6

請求項3に記載の単離抗体または断片であって、該単離抗体または断片は、配列番号17および27のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗体もしくは抗体断片、またはそれらの相同性の高いバリアントであり、該バリアントは、ニューロン結合活性および神経保護活性を保持する、単離抗体または断片。

請求項7

可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1QSISSY(配列番号34)、CDR2AAS(配列番号35)、およびCDR3QQSYHTPW(配列番号36)を含む、請求項1に記載の単離抗体またはその断片。

請求項8

ヒトJ鎖配列をさらに含む、請求項1または7に記載の単離抗体。

請求項9

前記J鎖が配列番号15に示されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の抗体。

請求項10

配列番号1に示される可変重鎖アミノ酸配列および配列番号11に示される可変軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項7または8に記載の抗体。

請求項11

組換え抗体rHIgM12である、請求項1、7、8、または10に記載の単離組換え抗体。

請求項12

請求項7に記載の単離抗体または断片であって、該単離抗体または断片は、配列番号1および11のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む完全ヒト抗体もしくはその抗体断片、またはそれらの相同性の高いバリアントであり、該バリアントは、ニューロン結合活性および神経保護活性を保持する、単離抗体または断片。

請求項13

脊髄損傷(SCI)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、脳卒中、パーキンソン病ハンチントン病出産前低酸素症周産期虚血脳性まひ脳症脊髄症、または運動ニューロン疾患において使用するためのものである、請求項1から12のいずれかに記載の単離抗体またはその断片。

請求項14

中枢神経系の神経が損なわれているか、傷つけられているか、もしくは損傷しているか、または神経が損なわれるか、傷つけられるか、もしくは損傷する危険性がある哺乳動物における疾患または状態を処置または改善するのに使用するために、再ミエリン化抗体と組み合わせて処方されている、請求項1に記載の単離抗体。

請求項15

組み合わされる前記再ミエリン化抗体がIgM22およびIgM46から選択される、請求項14に記載の単離抗体。

請求項16

組み合わされる前記再ミエリン化抗体が、配列番号43および44に示される重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列を含むか、または配列番号45および46に示される重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列を含む、請求項15に記載の抗体。

請求項17

検出可能な標識または機能的な標識で標識されている、請求項1から12のいずれかに記載の抗体。

請求項18

前記標識が酵素特異的結合パートナーリガンド色素蛍光タグ、および/または放射性元素である、請求項17に記載の抗体。

請求項19

請求項1から12のいずれかに記載の抗体または断片をコードする配列を含む、単離核酸

請求項20

請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体または断片を調製する方法であって、該抗体または断片の発現をもたらす条件下で、請求項17に記載の核酸を発現させるステップと、該抗体または断片を取り出すステップとを含む、方法。

請求項21

請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体または断片と、薬学的に許容されるビヒクルキャリア、または希釈剤とを含む、医薬組成物

請求項22

動物被験体における神経細胞傷害、損傷、または死滅を処置または改善するためのキットであって、請求項21に記載の医薬組成物の医薬投薬形態と、1または複数のさらなる向神経活性剤もしくは治療用抗炎症剤神経伝達物質放出調節剤、神経受容体リガンドもしくは神経受容体アゴニストもしくは神経受容体アンタゴニストカルシウムチャネル剤、免疫調節剤、または他のCNS反応性抗体を含む別個の医薬投薬形態とを含む、キット。

請求項23

前記他のCNS反応性抗体が、IgM22および/またはIgM46から選択される再ミエリン化抗体である、請求項22に記載のキット。

請求項24

CNS損傷を結果としてもたらす疾患、状態、または合併症を患う哺乳動物における神経の傷害、死滅、または損傷の存在または程度を検出するための方法であって、A.神経の傷害、死滅、または損傷の存在が疑われる哺乳動物に由来する生物学的試料を、請求項1から12のいずれかに記載の抗体または断片と、該抗体または断片の該試料中のニューロンへの結合を可能とする条件下で、接触させるステップと、B.該試料に由来する該ニューロンと該抗体との間で結合が生じたか否か検出するか、または該試料に由来する該ニューロンおよび該抗体により生じた結合の量を決定するステップとを含み、該結合の検出により該試料中の神経細胞の傷害、死滅、または損傷の存在が示され、該結合の量により神経細胞の傷害、死滅、または損傷の相対量が示される、方法。

請求項25

哺乳動物のCNSにおけるニューロンの傷害、死滅、もしくは損傷を、またはニューロンの傷害、死滅、もしくは損傷の危険性がある細胞を標的とするための、および決定するための方法であって、該哺乳動物に、検出可能に標識したある量の、請求項1から12のいずれかに記載の抗体を投与するステップと、該哺乳動物のCNSにおける該標識の量および/または該標識の位置を決定するステップとを含む、方法。

技術分野

0001

神経疾患における使用のためのヒト抗体およびその特異的結合配列
政府支援についての申告
本明細書に記載の本発明は、米国国立衛生研究所(Grant Nos. R01 NS 24180、R01 NS 32129、R01 CA104996、R01 CA096859)、および全米多発性硬化症協会(Grant No. CA 1011 A8−3)によって、完全または部分的に支援された。米国政府は本発明において一定の権利を有する。

0002

発明の分野
本発明は、CNSにおけるニューロンに結合し、これらを認識し、CNSのニューロンにおける応答を誘発することが可能である抗体、特にヒト天然抗体、これらに由来する組換え抗体、およびそれらの断片に関する。これらの抗体は、神経損傷神経傷害または神経変性神経変性疾患慢性神経傷害または慢性神経損傷、および突発的神経傷害または突発的神経損傷と関連する状態の診断および処置に有用である。本発明の抗体、それらの可変領域、またはCDRドメイン配列、およびそれらの断片はまた、治療において、化学療法剤免疫調節剤、もしくは向神経活性剤および/または他の抗体またはそれらの断片と組み合わせて用いることもできる。本発明は一般に、中枢神経系における神経成長の調節に、より具体的には、CNSにおける神経成長を改善するための方法、ならびに関連する薬剤構築物、および組成物に関する。

背景技術

0003

神経再生とは、神経組織細胞、または細胞産物再成長または修復を指す。このような機構は、再ミエリン化、新たなニューロン、神経膠軸索ミエリン、またはシナプスの発生を包含しうる。末梢神経系(PNS)と中枢神経系(CNS)とでは、神経再生が、関与する機能的機構ならびに再生の程度および速さのいずれでも異なる。

0004

損傷後における成熟哺乳動物の中枢神経系(CNS)における軸索の再生は、極めて限定されたものである。その結果、脊髄損傷(SCI)、外傷性脳損傷、脳卒中、および軸索の断絶を伴う関連状態の後では、機能欠損が遷延する。この状況は、長距離にわたる軸索の再生および実質的な機能回復成体において生じうる、哺乳動物の末梢神経系(PNS)における状況とは異なる。細胞外分子およびニューロンの内因性成長能のいずれもが、再生の成功に影響を及ぼす。

0005

中枢神経系(CNS)の軸索が、成体の哺乳動物における損傷後に自発的に再生することはない。これに対し、末梢神経系(PNS)の軸索は、容易に再生し、末梢神経の損傷後における機能回復を可能とする。Aguayoらは、少なくとも一部の成熟CNSのニューロンは、許容性の末梢神経移植を施されれば、再生する能力を保持することを裏付けた(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。この研究は、軸索成長に、PNS環境は刺激性であり、かつ/またはCNS環境は阻害性であることを示唆した。その後の研究では、PNSにおける成長促進因子およびCNSにおける成長阻害因子のいずれもが同定された。再生阻害剤には、CNSミエリンにおける特定のタンパク質および星状膠細胞瘢痕と関連する分子が含まれる。加えて、CNSにおける、PNSと比べて緩徐残屑クリアランスは、軸索の再成長を妨げる可能性がある。軸索成長に影響を及ぼす因子の理解は、CNSの再生を促進する治療剤を開発するのに極めて重要である。

0006

末梢神経損傷後、軸索は、容易に再生する。細胞体からは断絶している軸索の遠位部は、ウォラー変性を受ける。この活性過程の結果として、軸索の断片化および分解がもたらされる。残屑は、神経膠細胞、主に、マクロファージにより除去される。次いで、近位軸索は、それらの標的を再生および再神経化して、機能回復を可能とする。

0007

CNS再生阻害剤の2つの主要なクラスは、ミエリン会合阻害剤(MAI)およびコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)である。これらの分子は、軸索の再生を制限し、それらの機能に干渉することにより、成体におけるCNSのある程度の成長も制限する。細胞自律的な因子もまた、CNS再生失敗の重要な決定因子である。CNSにおけるニューロンは、成長関連遺伝子を上方制御する程度が、PNSにおけるニューロンと同じではない。その結果、それらの再生能は、阻害剤が存在しない場合であっても、限定されたものである。ニューロンの内因性の成長能を増大させることにより、CNSにおける適度な軸索の再生が可能となる(非特許文献5;非特許文献6)。

0008

MAIとは、CNSミエリンの成分としての希突起膠細胞を介して発現させたタンパク質である。MAIは、in vitroにおいて神経突起成長を損ない、CNS損傷後のin vivoにおいて軸索成長を制限すると考えられている。MAIには、Nogo−A(非特許文献7;非特許文献8)、ミエリン会合糖タンパク質(MAG)(非特許文献9)、希突起膠細胞ミエリン糖タンパク質(OMgp)(非特許文献10)、エフリン−B3(Benson MDら(2005年)、Proc Nat Acad Sci USA、102巻:10694〜10699頁)、およびセマフォリン4D(Sema4D)(Moreau−Fauvarque Cら(2003年)、J Neurosci、23巻:9229〜9239頁)が含まれる。これらのうちの3つ(Nogo−A、MAG、およびOMgp)は、ニューロンのNogo−66受容体1(NgR1)と相互作用して、軸索成長を制限する。これらの3つの構造的類縁でないリガンドはまた、第2の軸索成長阻害受容体であるペア免疫グロブリン様受容体B(PirB)(Atwal JKら(2008年)、Science、322巻:967〜970頁)に対するアフィニティーも示す。

0009

神経突起成長の促進および/または阻害の根底をなす分子的鍵として作用する複数の認識分子が同定されている。神経突起成長を促進する認識分子の中では、神経細胞接着分子であるL1が、神経突起成長を媒介するのに顕著な役割を果たす(Schachner M(1990年)、Seminars in the Neurosciences、2巻:497〜507頁)。L1依存性神経突起成長は、同種親和性相互作用を介する。L1は、L1を発現させる神経突起およびシュワン細胞、ならびにL1でトランスフェクトした線維芽細胞における神経突起成長を増強する(Bixbyら(1982年)、Proc Natl Acad. Sci. U.S.A.、84巻:2555〜2559頁;Changら(1987年)、J Cell Biol、104巻:355〜362頁;Lagenaurら(1987年)、Proc Natl Acad Sci USA、84巻:7753〜7757頁;Seilheimerら(1988年)、J Cell Biol、107巻:341〜351頁;Kadmonら(1990年)、J Cell Biol、110巻:193〜208頁;Williamsら(1992年)、J Cell Biol、119巻:883〜892頁)。

0010

神経系の損傷に罹患する患者は、毎年90,000例を超え、脳卒中などの脳血管事象を含めると、はるかに大きな数となる。脊髄損傷に罹患する患者だけで、毎年10,000例に上ると推定されている。神経損傷の発症率がこのように高いことの結果として、神経組織工学の亜分野である神経再生および神経修復は、損傷後における神経機能性を回復させる新たな方式の発見に専心する、急速に成長する分野となりつつある。神経系は、脳および脊髄からなる中枢神経系、ならびにそれらに関連する神経節を伴う頭蓋神経および脊髄神経からなる末梢神経系の2つの部分に分けられる。末梢神経系が内因性の修復能および再生能を有するのに対し、中枢神経系は、その自己修復能および再生能において、比較的および大方制約されている。現在のところ、中枢神経系への損傷後においてヒト神経機能を回復させるための、許容され、かつ、承認された処置は見られない。

0011

脊髄損傷(SCI)後における軸索の保護および修復は、運動ニューロン喪失および永続的な身体障害を防止するのに有効な戦略としての大きな可能性を保持する。ニューロンの保護は、傷害後における軸索の損傷を防止し、軸索の修復を促進するために標的化される栄養因子を用いて達成されている。これらの分子は主に、特異的な低分子である神経栄養因子の標的化に焦点を当てるin vitro系に基づく選択戦略を用いて同定された。これらの分子は、前臨床モデルでは神経保護的な結果を裏付けたが、臨床試験による結果はそれほど好ましいものではない。

0012

天然の自己反応性モノクローナル抗体は、損傷および疾患の複数のモデルを用いて、CNS細胞における有益な生物学的機能を裏付けている。抗体を介するニューロン生存の促進、軸索の再生、および機能回復が、マウスモノクローナルIgMであるIN−1を用いて、in vivoにおいて裏付けられている(BregmanBSら(1995年)、Nature、378巻(6556号):498〜501頁;Caroni P、Schwab ME(1988年)、Neuron、1巻(1号):85〜96頁)。同様の結果が、CNS損傷に先立つ脊髄ホモジネート(SCH)の免疫化を用いて得られた(Ellezam B、Bertrand J、Dergham P、McKerracher L(2003年)、Neurobiol Dis、12巻(1号):1〜10頁;HuangDWら(1999年)、Neuron、24巻(3号):639〜647頁)。

0013

多発性硬化症(MS)とは、通常は初期軸索損傷を伴わない、原発性脱髄病理学的特徴とする、慢性でしばしば進行性炎症性の中枢神経系(CNS)疾患である。MSの病因および発症機序未知である。MSの複数の免疫学的特徴、およびその特定の主要組織適合性複合体対立遺伝子との中程度の会合により、MSが免疫媒介性疾患であるという推断が誘発されている。自己免疫仮説は、特定のミエリン成分を遺伝子的に感受性である動物へと注射することにより、T細胞介在性CNS脱髄をもたらす、実験的な自己免疫性アレルギー性脳脊髄炎(EAE)モデルにより裏付けられている。しかし、特異的自己抗原および病原性のミエリン反応性T細胞が、MS患者のCNSにおいて明確に同定されたこともなく、MSが他の自己免疫疾患と関連付けられることもない。疫学的データに基づく代替的な仮説は、環境因子おそらくは同定されていないウイルスが、CNSにおける炎症反応を誘発し、これにより、潜在的に誘導性の自己免疫成分による直接的または間接的な(「バイスタンダー」的な)ミエリン破壊がもたらされるというものである。この仮説は、ヒトおよび動物の両方における複数の天然ウイルス感染が脱髄を引き起こしうるという証拠により裏付けられている。一般に用いられる1つの実験的ウイルスモデルは、サイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)により誘導される(Dal Canto, M.C.およびLipton, H.L.、Am. J. Path.、88巻:497〜500頁(1977年))。

0014

MSおよび他の脱髄性疾患または神経変性疾患のための現行の療法の有効性が限定されたものであることから、これらの疾患を改善する新規の療法に対する関心が刺激されている。しかし、環境因子および自己免疫因子の両方を伴う可能性がある、これらの疾患の明らかに複雑な原因病理に起因して、これらの脱髄性障害の有効な処置に対する必要がやはり存在する。

0015

MSの場合、脱髄の最終的な結果として、神経細胞死がもたらされる。しかし、脱髄後における軸索の死滅は、即時的なものではない。適切な支持分子または支持細胞が供給されれば、神経系は、著明な修復能を示す。CNSの軸索の保護は、生存する軸索の喪失を制限し、永続的な身体障害を防止するのに有効な戦略となる見込みがある。神経保護は、病変における潜在的に神経毒性の炎症性環境を調節することにより達成することができる。興奮毒性を制限するか、一酸化窒素を阻害するか、またはイオンチャネル遮断するようにデザインされた試薬は、危険にある軸索を保護する方法として研究されている(Pitt, D.、P. Werner、およびC. S. Raine(2000年)、Nat Med、6巻:67〜70頁;Okuda, Yら(1997年)、Journal of neuroimmunology、73巻:107〜116頁;Waxman, S. G.(2002年)、J Rehabil Res Dev、39巻:233〜242頁)。これらの試薬の多くが、毒性が裏付けられた低分子であり、全身の全ての細胞に作用する。

先行技術

0016

Richardson PM、McGuinness UM、Aguayo AJ、Nature、(1980年)284巻:264〜265頁
Richardson PM、Issa VM、Aguayo AJ、J Neurocytol、(1984年)13巻:165〜182頁
David S、Aguayo AJ、Science、(1981年)214巻:931〜933頁
Benfey M、Aguayo AJ、Nature、(1982年)296巻:150〜152頁
Bomze HMら、Nat Neurosci、(2001年)4巻:38〜43頁
Neumann S、Woolf CJ、Neuron、(1999年)23巻:83〜91頁
Chen MSら、Nature、(2000年)403巻:434〜439頁
GrandPre Tら、Nature、(2000年)403巻:439〜44頁
McKerracher Lら、Neuron、(1994年)13巻:805〜811頁
Kottis Vら、J Neurochem、(2002年)82巻:1566〜1569頁

発明が解決しようとする課題

0017

中枢神経系において活性を呈示し、特に、再ミエリン化の刺激と関連するヒトモノクローナル自己抗体が同定されている。CNSにおける活性を伴うヒトモノクローナル抗体、特に、これらの活性、ならびに神経再生を促進し、かつ/またはニューロンを疾患、傷害、損傷、および/もしくは死滅から保護する能力を伴う組換え抗体を同定し、特徴付け、開発することが所望されるであろう。これは、本発明が対象とする目的に向けたものである。

0018

本明細書における参考文献の引用は、これらの参考文献が本発明に先行することの容認としてはみなされないものとする。

課題を解決するための手段

0019

本発明は、CNSにおける特定の有効性を伴う神経調節剤であって、IgM亜型の抗体、その活性断片、その単量体、そのアゴニスト、およびこれらの組合せからなる群から選択される物質を含む薬剤に関する。本発明の神経調節剤または抗体は、以下の特徴のうちの1または複数を有する:本発明の神経調節剤または抗体は、ニューロンを保護し、かつ/またはこれを安定化させる;本発明の神経調節剤または抗体は、CNSまたは神経細胞の損傷、障害、または傷害における部位を標的とする;本発明の神経調節剤または抗体は、細胞死、例えば、過酸化水素誘導性細胞死を低減または遮断する。

0020

本発明は、中枢神経系における診断目的および治療目的のための、神経突起伸長を促進し、神経再生において作用し、かつ/またはニューロンを損傷から保護する能力を伴うニューロン結合モノクローナル抗体を提供する。特に、特異的な組換え抗体であって、皮質ニューロン海馬ニューロン、小脳顆粒細胞、および網膜神経節細胞を含めたニューロンを認識し、これらに結合することが可能な抗体が提供される。本明細書では、組換え完全ヒト抗体が提供される。本発明の抗体は、神経の障害、損傷または傷害と関連する状態または疾患において診断的および治療的に用いられる。

0021

一般的な態様では、本発明が、皮質ニューロン、海馬ニューロン、小脳顆粒細胞、および網膜神経節細胞を含めたニューロンにおける1または複数のエピトープ指向し、これらに結合することが可能な抗体を提供する。広範な態様では、本発明が、単離された特異的結合メンバー、特に、ニューロンを認識し、これらに結合し、かつ/またはこれらを標的とする組換えヒト抗体を含めた抗体またはその断片を提供する。本発明は、ニューロンに特異的に結合し、ニューロンを細胞死から保護し、再ミエリン化を促進しないヒト抗体、特に、ヒト抗体、特に、IgM抗体を提供する。本発明の抗体は、脊髄損傷(SCI)、外傷性脳損傷(traumatic brian injury)(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(Amyolotropic Lateral Sclerosis)(ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、脳卒中、パーキンソン病ハンチントン病出産前低酸素症周産期虚血脳性まひ脳症脊髄症、または運動ニューロン疾患における使用、および、特に、これらの疾患におけるニューロンおよび神経の能力の保護、存続、または維持における使用を含め、神経が損なわれているか、傷つけられているか、もしくは損傷しているか、またはその危険性がある哺乳動物における疾患または状態を処置または改善するのに使用される。特定の態様では、本発明が、抗体12または42、特に、血清由来または組換えのIgM12またはIgM42である抗体またはその断片を提供する。

0022

本発明の態様では、図5および/または6に示される可変領域のCDR配列を含む、組換えまたは合成のニューロン結合抗体が提供される。抗体12は、図5に示される、重鎖CDR配列CDR1 GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2 GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3 ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QSISSY(配列番号34)、CDR2 AAS(配列番号35)、およびCDR3 QQSYHTPW(配列番号36)を含む。抗体42は、図6に示される、重鎖CDR配列CDR1 GFTFSTYA(配列番号37)、CDR2 INVGGVTT(配列番号38)、およびCDR3VRRSGPDRNSSPADF(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QGIG(配列番号40)、CDR2 TTS(配列番号41)、およびCDR3 QKYNSAPRT(配列番号42)を含む。したがって、本明細書で同定される抗体(複数可)のCDRに基づく組換え抗体は、ニューロン、特に、疾患またはがんにおいて感受性であるか、障害され、損傷されまたは傷害されたニューロンを標的とし、保護するのに有用である。

0023

したがって、本発明は、神経が損なわれているか、傷つけられているか、もしくは損傷しているか、またはその危険性がある哺乳動物における疾患または状態を処置または改善するのに使用される、ニューロンに特異的に結合し、ニューロンを細胞死から保護し、再ミエリン化を促進しない単離ヒトIgM抗体(複数可)またはその断片(複数可)であって、(a)図5に示される可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1 GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2 GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3 ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QSISSY(配列番号34)、CDR2 AAS(配列番号35)、およびCDR3 QQSYHTPW(配列番号36)、または(b)図6に示される、可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1 GFTFSTYA(配列番号37)、CDR2 INVGGVTT(配列番号38)、およびCDR3VRRSGPDRNSSPADF(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QGIG(配列番号40)、CDR2 TTS(配列番号41)、およびCDR3 QKYNSAPRT(配列番号42)を含む抗体または断片を提供する。

0024

さらなる特定の態様では、本発明の抗体が、図5および/または図6に示されるアミノ酸配列を含めた抗体12または42のアミノ酸配列を含む。本発明の組換え抗体であるIgM12は、図5に示される可変重鎖配列(配列番号1)および可変軽鎖配列(配列番号11)を含む。本発明の組換え抗体であるIgM42は、図6に示される可変重鎖配列(配列番号17)および可変軽鎖配列(配列番号27)を含む。本発明の特定の態様では、組換え抗体は、ヒト重鎖可変領域定常領域、およびヒトJ鎖を含む、完全ヒト組換え抗体である。本明細書では、図5に示される、可変領域(配列番号1)またはそのCDR、ヒト定常領域、特に、カッパ配列(配列番号3、5、7、および9)およびヒトJ鎖(配列番号15)を含むヒト免疫グロブリン重鎖を含む完全ヒト組換えIgM12抗体が提供される。

0025

さらなる態様では、本発明が、抗原に結合することが可能な単離抗体またはその断片であって、本明細書および図6に実質的に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド結合ドメインを含む抗体またはその断片を提供する。本発明は、ニューロンに結合することが可能な単離されたヒト抗体またはその断片であって、重鎖可変領域(配列番号17)もしくはそのCDR、および軽鎖可変領域(配列番号27)もしくはそのCDRを含む抗体もしくはその断片、または本明細書および図6に実質的に示されるアミノ酸配列を含む抗体もしくはその断片を提供する。

0026

さらなる態様では、本発明が、抗原に結合することが可能な単離された完全ヒト抗体またはその断片であって、実質的に本明細書および図5に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド結合ドメインを含む抗体またはその断片を提供する。本発明は、ニューロンに結合することが可能な単離された完全ヒト抗体またはその断片であって、重鎖可変領域(配列番号1)もしくはそのCDR、および軽鎖可変領域(配列番号11)もしくはそのCDRを含むか、または実質的に本明細書および図5に示されるアミノ酸配列を含む抗体またはその断片を提供する。本発明は特に、単離ヒトIgM抗体またはその活性断片であって、図5に示される、可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1 GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2 GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3 ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QSISSY(配列番号34)、CDR2 AAS(配列番号35)、およびCDR3 QQSYHTPW(配列番号36)を含む抗体またはその活性断片を提供する。特定の態様では、本発明が、単離された完全ヒト組換えIgM抗体またはその活性断片であって、可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1 GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2 GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3 ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QSISSY(配列番号34)、CDR2 AAS(配列番号35)、およびCDR3 QQSYHTPW(配列番号36)、ヒト定常領域および配列番号15に示されるヒトJ鎖配列を含む抗体またはその活性断片を提供する。

0027

さらなる態様では、本発明が、ニューロン結合ポリペプチドまたは上記で規定した抗体をコードする配列を含む単離核酸、および本発明のポリペプチドまたは抗体を調製する方法であって、前記ポリペプチドまたは抗体の発現をもたらす条件下で前記核酸を発現させるステップと、これらのポリペプチドまたは抗体を取り出すステップとを含む方法を提供する。このような一態様では、図5もしくは6に示されるアミノ酸配列を有する抗体の可変領域配列をコードする核酸が提供されるか、または図5もしくは6に示されるCDRドメイン配列を有する抗体が提供される。一態様では、図5または6の核酸配列を含む核酸が提供される。さらなる態様では、図5または6に示される重鎖可変領域であるVH鎖または軽鎖可変領域であるVL鎖をコードする核酸が提供される。本発明はまた、本発明の抗体をコードする組換えDNA分子もしくはクローニングされた遺伝子またはその縮重バリアント、好ましくは、核酸分子、特に、抗体のVH鎖およびVL鎖、特に、図5または6に示される配列を有するかまたはこれをコードすることが可能なCDR領域の配列をコードする組換えDNA分子またはクローニングされた遺伝子にも関する。好ましい態様では、本発明が、IgM12の重鎖可変領域配列(配列番号2)および軽鎖可変領域配列(配列番号12)をコードする核酸、ならびにIgM42の重鎖可変領域配列(配列番号18)および軽鎖可変領域配列(配列番号28)をコードする核酸を提供する。本発明の態様では、可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1 GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2 GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3 ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QSISSY(配列番号34)、CDR2 AAS(配列番号35)、およびCDR3 QQSYHTPW(配列番号36)を含む抗体またはその断片をコードする核酸が提供される。さらなる態様では、核酸が、ヒト定常領域およびヒトJ鎖、特に、配列番号15のJ鎖をさらにコードする。本発明の態様では、可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1 GFTFSTYA(配列番号37)、CDR2 INVGGVTT(配列番号38)、およびCDR3VRRSGPDRNSSPADF(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QGIG(配列番号40)、CDR2 TTS(配列番号41)、およびCDR3 QKYNSAPRT(配列番号42)を含む抗体またはその断片をコードする核酸が提供される。さらなる態様では、核酸が、ヒト定常領域およびヒトJ鎖、特に、配列番号15のJ鎖をさらにコードする。

0028

本発明による可変領域配列を含む抗体、それらの断片、および組換え抗体は、哺乳動物における神経保護の方法であって、前記哺乳動物に有効量の本発明の抗体、それらの断片、および組換え抗体を投与するステップを含む方法など、ヒトまたは動物の身体に対する処置法、防止法、または診断法において用いることができる。本発明によるCDRドメイン領域の配列を含む組換え抗体またはそれらの断片は、哺乳動物における神経保護の方法であって、前記哺乳動物に有効量の本発明の抗体、それらの断片、および組換え抗体を投与するステップを含む方法において用いることができる。

0029

本発明の薬剤、特に、組換え抗体またはそれらの断片は、神経傷害、神経損傷または神経障害、および結果としてCNS損傷をもたらすことが可能であり、可能性があるかまたは実際にもたらす合併症を防止、処置、または改善するための方法における神経保護剤として用いることができる。本発明の処置法または防止法は、脳傷害または脳外傷、脊髄損傷(SCI)、神経傷害、頭部傷害、脳への血液供給が低減されるかまたは障害された状態、脳の感染性疾患、神経変性疾患を含めた、ニューロンの構造、機能、または生存の喪失が関与するかまたは関連する場合に適用可能である。本発明の方法に従い処置、防止、または改善するための例示的なこのような疾患または状態には、脊髄損傷(SCI)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、脳卒中、パーキンソン病、ハンチントン病、出産前低酸素症/周産期虚血、および/または脳性まひ、脳症、脊髄症、ならびに運動ニューロン疾患が含まれる。したがって、本発明は、神経が障害され、傷害されもしくは損傷した哺乳動物における疾患もしくは状態、または神経もしくはニューロンが障害、傷害もしくは損傷に感受性であるかもしくはこの危険性がある状況を処置または改善する方法であって、IgM12およびIgM42から選択される組換え抗体もしくは完全ヒト抗体またはその断片を投与するステップを含む方法に関する。

0030

本発明の態様では、本発明による可変領域配列を含む抗体、それらの断片、および組換え抗体を、神経が障害され、傷害されもしくは損傷した症例、疾患、もしくは状態、または神経もしくはニューロンが障害、傷害もしくは損傷に感受性であるかもしくはこの危険性がある状況における神経機能または運動機能を改善または安定化させる方法において用いることもでき、このための組成物により投与することもできる。特定の態様では、歩行などの運動または想起もしくは認識などの認知機能を含めた、またはこれらから選択される神経機能または運動機能の改善または安定化を促進するかまたは維持するように、抗体またはそれらの断片を、疾患または状態の早期もしくは初期において用いるかもしくは投与するか、または疾患または状態の経過または持続時間にわたり反復使用する。

0031

本発明の方法は、抗体IgM12および抗体IgM42の組合せを含めた複数の抗体または断片の投与を含みうる。本発明の態様では、1または複数の抗体またはそれらの断片を投与するステップを含み、抗体が(a)可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1 GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2 GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3 ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QSISSY(配列番号34)、CDR2 AAS(配列番号35)、およびCDR3 QQSYHTPW(配列番号36)、または(b)可変重鎖アミノ酸CDRドメイン配列CDR1 GFTFSTYA(配列番号37)、CDR2 INVGGVTT(配列番号38)、およびCDR3VRRSGPDRNSSPADF(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QGIG(配列番号40)、CDR2 TTS(配列番号41)、およびCDR3 QKYNSAPRT(配列番号42)を含む方法が提供される。さらなるこのような方法では、抗体IgM12および/または抗体IgM42のうちの1または複数、特に、抗体rHIgM22および/または抗体rHIgM46のうちの1または複数を含めた他のCNS作用抗体と組み合わせることができる。rHIgM22抗体は、配列番号43および44に示されるアミノ酸配列またはこれらの配列番号のCDRを含む。rHIgM46抗体は、配列番号45および46に示されるアミノ酸配列またはこれらの配列番号のCDRを含む。したがって、抗体IgM12および/または抗体IgM42のうちの1または複数は、(a)CDR1配列であるSSGMH、CDR2配列であるV(I)ISYDGSRKYYADSVKG、およびCDR3配列であるGVTGSPTLDYを含む重鎖可変領域のCDR、ならびにCDR1配列であるSGSSSNIGNNFVS、CDR2配列であるDITKRPS、およびCDR3配列であるG(E)TWDSSLSAVVを含む軽鎖可変領域のCDR;または(b)CDR1配列であるSGFTFSSYW、CDR2配列であるIKKDGSEK、およびCDR3配列であるARPNCGDCYLPWYFDを含む重鎖可変領域のCDR、ならびにCDR1配列であるQSVLYSSNNKNY、CDR2配列であるYWAS、およびCDR3配列であるQQYYNTQAを含む軽鎖可変領域のCDRを含む1または複数の再ミエリン化抗体と組み合わせることができる。抗体の組合せは、まとめて投与することもでき、逐次的に投与することもでき、多様な回数および多様な量または濃度で投与することができる。二重特異性抗体を用いることもでき、多重特異性抗体を用いることもできる。特定のこのような態様では、抗体12および/または抗体42を、抗体22および/もしくは抗体46ならびに/またはIgM22またはIgM46のCDR領域のCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列を有する抗体と組み合わせて、併用投与を介して、または数時間、数日間、もしくは数週間を含めた短時間もしくは長期間を隔てて逐次的に投与する。このような特定の一態様では、神経変性を伴う疾患または状態、および、特に、脱髄を含めた疾患または状態を処置または改善するために、抗体12および/または抗体42を、抗体22および/または抗体46と組み合わせて、併用投与を介して、または逐次的に投与する。さらなるこのような態様では、脱髄性疾患または脱髄性状態を処置または改善するために、抗体12および/または抗体42を、抗体22および/または抗体46と組み合わせて、併用投与を介して、または逐次的に投与する。特定の態様では、多発性硬化症を処置または改善するために、抗体12および/または抗体42を、抗体22および/または抗体46と組み合わせて、併用投与を介して、または逐次的に投与する。このような一態様では、MS症の測定可能臨床的側面において、相乗効果を含めた組合せ効果のために再ミエリン化および神経保護を達成する。

0032

本発明の薬剤の神経保護能および/または神経変性能の点から述べると、本発明はさらに、皮質ニューロン、海馬ニューロン、小脳顆粒細胞、および網膜神経節細胞の増殖を含めたニューロンの増殖を、in vitroにおいてもたらし、刺激する方法にも関する。このような増殖したニューロンは、移植および神経細胞の治療プロトコールおよび治療法に適切でありうる。

0033

本発明の診断的有用性は、in vitroおよびin vivoにおける診断アッセイおよび画像化アッセイを含めた、CNSにおける神経傷害もしくは神経損傷を特徴付けるか、または神経傷害もしくは神経損傷もしくは神経死滅(壊死性死滅またはアポトーシス性死滅を含めた)を伴う疾患もしくは状態についてスクリーニングするかもしくは評価するアッセイおよび方法における本発明の抗体の使用まで拡張される。イムノアッセイでは、対照量の抗体などを調製し、酵素特異的結合パートナー、リガンド、色素蛍光タグ、および/または放射性元素で標識し、次いで、細胞試料へと導入することができる。標識した物質またはその結合パートナー(複数可)に試料内の部位と反応する機会を与えた後、結果として得られる物質塊を、結合させる標識の性質と共に変化しうる公知の技法を介して観察することができる。in vivoにおける診断適用または画像化適用では、抗体またはそのニューロン結合断片を調製し、酵素、特異的結合パートナー、リガンド、色素、蛍光タグ、および/または放射性元素で標識し、次いで、動物へと導入することができる。標識した物質またはその結合パートナー(複数可)に動物内の部位と反応する機会を与えた後、この動物を、結合させる標識の性質と共に変化しうる公知の技法を介して観察することができる。

0034

放射性標識した特異的結合メンバー、特に、抗体およびそれらの断片は、in vitroの診断法およびin vivoの放射性画像化法において有用である。本発明のさらなる態様では、放射性標識した特異的結合メンバー、特に、抗体およびそれらの断片、特に、ラジオイムノコンジュゲート、特に、放射性標識した抗体としてのラジオイムノコンジュゲートが、神経傷害の修復、神経変性の回復、がん、もしくはCNS腫瘍の治療のための放射性免疫治療、または、代替的に、特定の症例において損傷した神経組織またはニューロンを切除するための放射性免疫治療において有用である。in vivoの態様では、抗体またはそのニューロン結合断片を標識し、神経傷害を位置特定するかまたは損傷されもしくは傷害された残りの神経組織を評価するための、定位固定法または侵襲性が最小限の技法を含めた手術もしくは外科法の前、手術もしくは外科法の間、または手術もしくは外科法の後に動物に投与する。このような一態様では、放射性標識した特異的結合メンバー、特に、抗体およびそれらの断片が、放射免疫ガイド下手術法において有用であり、この場合、これらにより、障害され、損傷され、傷害され、または死滅する神経細胞もしくはニューロンまたは神経組織の存在および/または位置を、手術前、手術中、または手術後に同定および指示して、このような細胞を標的とするか、同定するか、または除去することもできる。

0035

本発明に包含されるイムノコンジュゲートまたは抗体の融合タンパク質であって、本発明の特異的結合メンバー、特に、抗体およびそれらの断片を、他の分子または薬剤にコンジュゲートするかまたは結合させたイムノコンジュゲートまたは融合タンパク質にはさらに、神経活性薬、化学的切除剤毒素、免疫調節剤、サイトカイン細胞傷害薬、化学療法剤または化学療法薬にコンジュゲートした結合メンバーも含まれるがこれらに限定されない。

0036

本発明は、例として挙げると、ニューロンの損傷、障害、もしくは傷害の程度もしくは存在についての定量的解析のための試験キット、または試料中のニューロンを定量化するための試験キットの形態で調製しうるアッセイ系を包含する。系または試験キットは、本明細書で論じられる放射法および/または酵素法のうちの1つを介して調製される標識された成分と、標識の、抗体、および、場合によって、それらのうちの少なくとも1つを遊離成分(複数可)もしくは固定化成分(複数可)とする1または複数のさらなる免疫化学試薬、またはそれらの結合パートナー(複数可)への連結とを含みうる。

0037

本発明の抗体、ならびに、特定の実施形態では、本明細書の図5および6に示される重鎖配列および/または軽鎖配列を含む組換え抗体(複数可)、またはそれらの活性断片、ならびに、特に、図5および6に示されるCDR領域の配列を含む、これらに由来する単鎖抗体、組換え抗体、または合成抗体を、ニューロンの障害、損傷、傷害、または死滅を伴う状態または疾患を処置または改善するためなど、治療が適切な症例において投与するための、適切なビヒクルキャリア、または希釈剤を含めた医薬組成物に調製することができる。このような医薬組成物はまた、PEG化など、当技術分野において公知の方法を介する、抗体または断片の半減期を調節する方法も包含する。このような医薬組成物はさらに、さらなる抗体または治療剤も含みうる。

0038

本発明はまた、他の分子または薬剤と共有結合するかまたは他の形で会合する、抗体およびそれらの断片も包含する。これらの他の分子または薬剤には、異なる認識特徴を伴う分子(抗体または抗体断片を含めた)、毒素、リガンド、向神経活性剤、および化学療法剤が含まれるがこれらに限定されない。さらなる態様では、本発明の抗体または断片を用いて、治療用分子または他の薬剤を標的化するかまたは方向付ける、例えば、ニューロン、例えば、創傷部位虚血部位腫瘍部位、炎症性領域、または神経変性病変におけるニューロンを含めた、皮質ニューロン、海馬ニューロン、網膜神経節細胞、または小脳顆粒細胞を、分子または薬剤の標的とすることができる。

0039

業者には、以下の例示的な図面および付属の特許請求の範囲を参照しながらなされる後続の詳細な説明の検討から、他の目的および利点が明らかであろう。

図面の簡単な説明

0040

図1は、複数種類のニューロンの表面に結合するヒトIgMを示す図である。ニューロフィラメント(NF)(BおよびD)を共発現させる生存皮質ニューロンの表面に結合するsHIgM42(A)およびrHIgM12(C)を示す図である。細胞は、培地中に10μg/mlのIgMを伴う10分間のインキュベーションの間、上で維持した。細胞を固定し、洗浄し、抗ヒトミューFab’2−FITC二次抗体により、ヒトIgMを検出した。内部NFは、特徴的な分節パターンとして存在する。皮質細胞は、ポリオルニチンでコーティングしたガラス製のカバースリップ上のNeurobasal B27培地中で6日間にわたり増殖させた。全ての皮質ニューロンがNFを発現させるわけではないが、IgMは、培養物中の全てのニューロンに結合する。rHIgM12(E:緑色)およびsHIgM42(F:緑色)は、ニューロフィラメント(NF:赤色)を共発現させるマウス生存海馬ニューロンの表面に結合する。海馬ニューロンは、ポリリシンでコーティングしたプラスチック上のNeurobasal B27培地中で1週間にわたり増殖させた。ヒト側頭葉切除部から単離された細胞は、DMEM/F12/N2/B27中で21日間にわたり増殖させた。また、βIIIチューブリン陽性でもあった(F:Promega製の抗βIIIによる)、細胞表面に結合したrHIgM12(G)を示す図である。
図2は、ヒトIgMにより、小脳顆粒細胞の表面が異なるパターンで標識されることを示す図である。1日間にわたり培養したラット小脳顆粒細胞を、生存させたまま、氷上で15分間にわたり、培養培地中に10μg/mlのヒト血清に由来するIgM、sHIgM12またはsHIgM42と共にインキュベートした。洗浄し、4%のパラホルムアルデヒドで固定した後、細胞を、室温でFITCコンジュゲート抗ヒトミュー鎖抗体と共にインキュベートし、免疫蛍光顕微鏡を用いて画像化した。これらの2つの抗体を用いるニューロン膜の標識パターンは異なる。神経突起膜の小領域には、sHIgM12が結合する結果として、明確に点状のパターンがもたらされる。神経突起膜の大領域には、sHIgM42が結合する結果として、分節パターンがもたらされる。拡大率は、400倍とする。
図3は、ニューロンに結合するヒトIgM、rHIgM12、およびsHIgM42は、培養物中の皮質ニューロンを、過酸化物誘導性細胞死から保護することを示す図である。3日間にわたり培養したマウスニューロンを、500nMのH2O2または10μg/mlのヒトIgMを伴うかもしくは伴わない生理食塩液で30分間にわたり処置した。細胞は、新鮮なNeurobasal B27培地で洗浄し、24時間後、カスパーゼ3の発現を、FLICAカスパーゼ3アッセイキット(Immunochemistry Technologies 935)を用いて、96ウェルにおいて3連で検出した。バーは、カスパーゼ3の活性化からの保護%を示す。
図4は、組換え抗体を産生するための増幅用ベクターを示す図である。この図は、組換えIgM12および組換えIgM42を生成させるために改変したsHIgM22(rHIgM22)に基づき組換え抗体を生成させるのに用いられるベクターのマップである。CHO細胞で発現させるために、VH鎖のプロモーターをE1Aプロモーターで置換した。Cλ軽鎖の定常領域は、カッパ軽鎖の定常領域であるCκ領域で置換した。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図5は、組換えベクターにおけるIgM12抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。ヒトJ鎖をアミノ酸配列および核酸配列により示す。
図6は、組換えベクターにおけるIgM42抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。
図6は、組換えベクターにおけるIgM42抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。
図6は、組換えベクターにおけるIgM42抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。
図6は、組換えベクターにおけるIgM42抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。
図6は、組換えベクターにおけるIgM42抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。
図6は、組換えベクターにおけるIgM42抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。
図6は、組換えベクターにおけるIgM42抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。
図6は、組換えベクターにおけるIgM42抗体のアミノ酸配列および核酸配列を示す図である。重鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列をグレーとし、Vh配列、ならびに定常領域配列であるCH1配列、CH2配列、CH3配列、およびCH4配列の各々が提示および指示される。軽鎖アミノ酸配列およびコード核酸配列を紫色とし、可変領域のVL配列および定常領域のCL(カッパ)配列の両方を示す。重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR領域の配列に言及する。
図7は、組換えrHIgM12が、TMEV誘導性疾患を伴うマウスにおける欠損を改善することを示す図である。夜間(マウスが通常は活動的な)1時間当たりの平均自発活動は、sHIgM12 100μgの単回腹腔内投与の3週間後までに変化する。TMEV感染の90日後におけるSJLマウス5匹の群を、rHIgM12(赤色バー)または対照のヒトIgM(黒色バー)で処置し、AccuScan活動モニタリングボックス内の群として毎週3日間にわたりモニタリングした。3夜間にわたる夜間1時間当たりの水平方向の活動の平均±SEMを、IgM処置の前の3晩にわたる夜間活動と比較した。処置前のレベルと比較した夜間活動の増大が、rHIgM12の単回投与による処置の3週間〜7週間後には見られた(P<0.01)が、対照による処置後には見られなかった。比較のために、週齢を一致させた非感染マウス活動レベルグラフ表示する(緑色バー)。
図8は、マウス脳幹収集されたMRスペクトルを示す図である。上パネルは、シグナルを収集したボクセルを示す図である。この対象の領域を位置特定するには、解剖学的ランドマークを用いた。ごく短時間のMRI走査を用いて、3つの直交平面による画像を得、脳幹にわたり2.5mm3の立方体を位置特定する(上パネル)。マウス脳幹の300MHzによる1Hスペクトルを示す図である(下パネル)。コリン(Cho)、クレアチン(Cr)、およびN−アセチルアスパラギン酸(NAA)のピークが容易に同定される。スペクトルは、4.7ppmの水を基準とする。
図9は、脳幹におけるNAAレベルの低下が、軸索喪失の増大と相関することを示す図である。10匹のSJLマウスを、TMEVによる感染の0〜270日後から前望的に研究した。MRSは、各マウスの脳幹において得、NAA濃度を決定した(上)。全てのマウスで、断面における直接的なカウンティングを介して大規模な軸索喪失が示される時点であるウイルス感染の90日後に、統計学的に有意な低下に到達するNAAの漸減が記録された(2)。NAAレベルは、疾患の持続期間にわたり、低レベルに保たれた。非感染マウスのT6レベル(黒色バー)、感染の90日後のマウスのT6レベル(グレー)、および感染の270日後のマウスのT6レベル(白色)において、軸索の絶対数カウントした(下)。
図10は、ヒトIgMの単回投与後の脳幹におけるNAAを示す図である。NAAレベルが低下し始め、大規模な軸索喪失が検出可能となる時点である、TMEV感染の90日後において、SJLマウス10〜15匹の群に、sHIgM12、sHIgM42、対照のヒトIgM、または生理食塩液(PBS)100μgずつの単回腹腔内投与を施した。脳幹におけるMRSを、処置前ならびに処置の5週間後および10週間後に収集した。NAAレベルは、これらのスペクトルから計算した。sHIgM12による処置群およびsHIgM42による処置群では、5週間後(P=0.005:P=0.029)および10週間後(P<0.001:P=0.037)に、NAAが処置前のレベルと比較して増大した。対照試薬で処置したマウス群は、安定または低下傾向であった。グラフは、脳幹ボクセルにおけるNAAレベルの平均±SEMを表す。
図11は、ニューロンに結合するヒトIgMが、脱髄、再ミエリン化、または炎症を変化させないことを示す図である。慢性TMEV感染マウス5匹の群を、ヒトIgM 100μgの単回投与で処置した。全ての群が、処置の10週間後に同程度の脊髄炎症(黒色バー)および脱髄(赤色バー)を含有する。予測される通り、希突起膠細胞結合IgMであるrHIgM22で処置したマウスが示した再ミエリン化は大きかった(緑色バー)。sHIgM12およびsHIgM42は、脊髄の再ミエリン化を促進しない。これは、軸索を保護する方法はin vivoにおいて複数存在しうることを示唆する。
図12は、静脈内注射後のCD−1マウスの循環におけるニューロン結合ヒトIgMの血清半減期を示す図である。サンドウィッチELISAを用いて、48時間にわたる、ヒトミュー鎖のマウス血清からの減衰を定量化した。アルカリホスファターゼ基質の(Sigma 104)OD405の値は、平均から得た。1群当たり3匹のマウスに由来する血清および標準誤差をグラフ表示する。
図13は、35S標識したrHIgM12がTMEV感染SJLマウスおよび非感染SJLマウスの脳および脊髄に入ったことを示す図である。35S標識したrHIgM12は、5カ月齢のTMEV感染SJLマウスおよび月齢を一致させた非感染SJLマウスに腹腔内投与した。4時間後、マウスの対を生理食塩液で潅流し、組織を迅速に採取し、量し、カミソリ細断し、10mlのシンチレーション液(Ultima Gold LSC)と混合した。同じ手順を24時間後に繰り返した。48時間後、組織を可溶化させ、Beckmanシンチレーションカウンターにより、1分間にわたりバイアルをカウントした。各マウスの脳および脊髄全体の総カウントをグラフ表示する。バイアル内に組織を伴わないバックグラウンドのカウントは、12カウントであった。
図14は、ニューロン結合ヒトIgMが、in vivoにおいて脊髄病変を標的とすることを示す図である。慢性TMEV誘導性脊髄脱髄を伴うマウスに、腹腔内1.0mgのsHIgM42(A)、rHIgM12(B)、または対照のヒトモノクローナルIgM(C)を施した。4時間後、マウスを4%のパラホルムアルデヒドで潅流し、脊髄を摘出し、凍結切片化し、ヒトミュー鎖を指向するFITC−コンジュゲートFab’2断片(Jackson Immnoresearch)を用いて免疫標識した。sHIgM42またはrHIgM12を施された、マウスに由来する脊髄は、病変中にヒトIgMを含有した。対照のヒトIgMは、病変中にほとんど見出されなかった。下パネルは、炎症性の細胞および病変を可視化するH/E染色を示す図である。本発明者らは、特定のヒトIgMが、TMEVモデルにおいてBBBを越えうることを結論付ける。
図15は、ニューロン結合ヒトIgMが、脊髄病変におけるニューロフィラメント+(NF+)の軸索に局在化することを示す図である。慢性TMEV誘導性脊髄脱髄を伴うマウスに、1.0mgのIgMを腹腔内投与し、4時間後に屠殺した。脊髄を凍結させ、縦方向切片化し、FITCコンジュゲート抗ヒトミュー鎖Fab’2断片(緑色)および抗NF(SMI−32および34:赤色)の後、TRICTコンジュゲート二次抗体で免疫標識した。共焦点顕微鏡画像を組み合わせることにより、sHIgM42(A)の、長鎖のNF+線維(B)との共局在化が(C)に組み合わされていることが確認される。rHIgM12(D:緑色)はまた、断面で切断された軸索の神経線維束などのNF+構造(D:赤色)とも共局在化した。
図16は、rHIgM12およびsHIgM42が、EAE臨床スコア増悪させないことを示す図である。MOGペプチド誘導性EAEを伴うC57BL6マウス10匹の群に、rHIgM12、sHIgM42、対照のヒトIgM、または生理食塩液100μgずつの単回静脈内投与を、各マウスが臨床スコア1に到達した(尾の引きずり)時点で施し、免疫化の28日後まで1日おきにモニタリングした。グラフは、各処置群の平均臨床スコアの平均±SEMとする。平均臨床スコアのランクについてのANOVAは、群間差異を示さなかった(P=0.14)。
図17は、rHIgM12およびsHIgM42が、EAEによる脊髄病態を増悪させないことを示す図である。図13における研究の終了時に脊髄を摘出し、1mmのブロックへと切断し、連続するブロックから3つおきに切断される断面をエリクロムで染色して、病態を可視化した。マウス1匹当たり10ずつの断面(40ずつの四半部)を盲検により評価した。群間で、炎症(P=0.825)または脱髄(P=0.766)における差異は見られなかった。
図18は、rHIgM12が、神経突起成長を促進することを示す図である。E15の海馬ニューロンを、ポリ−D−リシン(PDL)−ニトロセルロース(A)またはrHIgM12−ニトロセルロース(B)でコーティングしたガラス製のカバースリップ上で増殖させた。細胞を播種した12時間後、これらのニューロンを固定し、β3−チューブリン抗体(A1およびB1、緑色)およびTexas−redファロイジン(A2およびB2)で染色した。A3〜B3は、A1〜A2とB1〜B2との重合せであり、ここでは、核をDAPI(青色)で染色した。C、D、およびEは、全神経突起(C:p=0.0056)、最も長い神経突起(D:p<0.0001)、および2番目に長い神経突起(E:p=0.0782)の長さの測定値を示す。rHIgM12上で成長しつつあるニューロンは、保有する神経突起が少なく(F:p<0.0001)、大半が、対照のPDL基質上に播種されたニューロンと比較してステージ3のニューロン(G)であり(72%対18%)、複数の対称的な神経突起を有する。統計学的な解析は、平均±SEMを示す(対応のないt検定)。
図19は、rHIgM12が、軸索形成を駆動することを示す図である。PDL基質(A)、PDL+ラミニン基質(B)、またはrHIgM12基質(C)上に播種した12時間後における海馬ニューロンを、Tau1(A1〜C1:緑色)またはMAP2(A2〜C2:青色)で染色したことを示す図である。A3〜C3は、A1〜C1とA2〜C2とを重合せた図であり、F−アクチン(赤色)はTexas−redファロイジンで標識した。D〜Fは、A1〜C1の細胞体から成長円錐において最も長い神経突起に沿って破線で表された相対Tau1強度を示す図である。Tau1染色は、rHIgM12基質上およびラミニン基質上の両方において成長させたステージ3のニューロンにおける最も長い神経突起の遠位部分において非対称的に濃縮される。
図20は、rHIgM12の結合が、ニューロン膜を再組織することを示す図である。DIV3の海馬ニューロンを固定した後、rHIgM12、コレラ毒素B(CTB、Alexa Fluor 594)、およびフィリピン三重染色した(A)。rHIgM12(A1)は、ニューロン表面を、CTBまたはフィリピンのそれぞれで標識したGM1(A2)またはコレステロール(A3)のパターンと同様のパターンで均等に標識する。しかし、37℃で30分間にわたりrHIgM12で処置した後、膜結合rHIgM12は、ニューロン表面に凝集する(B1〜C1)。rHIgM12で処置する結果として、凝集したrHIgM12(B3〜C3)と共局在化するコレステロール(B2)およびGM1(C2)両方のクラスター形成がもたらされる。BおよびCの下方のパネルは、枠囲いした高拡大率の領域であり、凝集したrHIgM12(緑色)の、成長円錐領域においてクラスター形成したコレステロール(青色)またはGM1(赤色)との共局在化を示す図である。
図21は、rHIgM12が、ニューロン膜のマイクロドメイン上のGM1と共局在化することを示す図である。A:DIV1の海馬ニューロンを、まず、4%のパラホルムアルデヒドで固定し、次いで、rHIgM12で染色したことを示す図である。rHIgM12により、小型の点状構造が標識される。B:DIV1の生存海馬ニューロンを30分間にわたり4℃まで冷却し、次いで、固定した後、rHIgM12で標識するのに続き、抗βIII−チューブリン抗体で染色したことを示す図である。rHIgM12により、ニューロン表面におけるはるかに大型の点状形成物が染色される。C:DIV3の生存海馬ニューロンを、37℃で30分間にわたりメチル−β−シクロデキストリンで処置してコレステロールを枯渇させ、次いで、4℃まで冷却した。次いで、固定したニューロンを、rHIgM12(緑色)およびコレラ毒素B(赤色)で染色したことを示す図である。rHIgM12は、コレラ毒素Bで標識したGM1を共局在化させる大型の点に結合する。下パネルは、枠囲いした高拡大率の領域を示す図である。
図22は、rHIgM12が、脂質ラフトに結合することを示す図である。DIV7の生存皮質ニューロンを、rHIgM12または対照のIgM抗体に、4℃で30分間にわたり結合させた。A:抗体を結合させた後、ニューロンを3回にわたり洗浄し、0.5%のNP−40を含有する緩衝液中で溶解させたことを示す図である。溶解物は、4℃におけるマイクロ遠心分離を介して分離し、上清およびペレットの両方を、抗ヒトIgM二次抗体でブロッティングした。rHIgM12は、ニューロンには結合せずに洗い流される対照のIgM抗体と比較して、ペレットおよび上清の両方へと分配される。下パネルは、同量のタンパク質をロードされた別個クーマシー染色ゲルを示す図である。B:1%のTriton X−100を含有する緩衝液中で溶解させたニューロンを、4℃のスクロース勾配下における超遠心分離を介して画分化したことを示す図である。結果として得られる画分は、随時、特異的抗体により、rHIgM12、カベオリン−1、トランスフェリン受容体、β3−チューブリン(B3−Tub)、およびベータアクチンについてブロッティングした。rHIgM12は、カベオリン−1およびβ3−チューブリンを含有する低密度画分に局在化する。高密度画分は、トランスフェリン受容体、β3−チューブリン、およびアクチンを含有する。一部のrHIgM12は、主にチューブリンに富む細胞骨格タンパク質からなる、洗浄剤不溶性ペレットに局在化する。大半のアクチンは、洗浄剤可溶性の高密度画分へと移行する。
図23は、rHIgM12が微小管と会合することを示す図である。A:DIV1の海馬ニューロンを、まず、37℃で30分間にわたりrHIgM12で処置し、次いで、4%のパラホルムアルデヒドおよび0.1%のTriton X−100を含有する緩衝液で同時に固定および抽出した後、rHIgM12(緑色)、β3−チューブリン(青色)、およびF−アクチン(赤色)について染色したことを示す図である。rHIgM12は、神経突起軸に沿った束生微小管および成長円錐の中央ドメインにおける束生微小管とは共局在化する(A2および4)が、成長円錐末梢に局在化するF−アクチンとは共局在化しない(A3および4)、洗浄剤不溶性分子に結合する。B:DIV7の皮質ニューロンを、まず、rHIgM12に結合させ、次いで、0.5%のNP−40中で溶解させたことを示す図である。上清を共免疫沈降にかけた。rHIgM12およびβ3−チューブリンのいずれもが、互いに共免疫沈降した。
図24は、rHIgM12が軸索形成を促進することを提起した機構を示す図である。A:ニューロン膜が、ラフトマイクロドメインおよび非ラフトマイクロドメインの両方を含有することを示す図である。ニューロン膜に均等に分布するラフトマイクロドメインは、2つのプールへと分別される。それらのうちの1つは、微小管と会合する。B:rHIgM12の結合が、微小管の安定化およびニューロン膜へのアンカリングを促進するラフトマイクロドメインのクラスター形成を誘導することを示す図である。C:神経突起成長の間、成長円錐が環境を探査し、ラフトマイクロドメインが、rHIgM12と相互作用することによりクラスター形成することを示す図である。結果として、微小管はrHIgM12接触部位において安定化し、ニューロン膜にアンカリングし、このために、液浴で適用したrHIgM12が成長円錐の中央ドメインに凝集する図3および6において観察される通り、成長円錐の末梢ドメインから中央ドメインへの移行が増強される。
図25は、rHIgM12がチューブリンと直接会合しないことを示す図である。A:N2A神経芽細胞腫細胞を、rHIgM12(A1:緑色)およびβ3−チューブリン(A2:赤色)で染色したことを示す図である。核は、DAPI(A3:青色)で標識した。N2A細胞は、rHIgM12による染色については陰性であるが、β3−チューブリンは発現させる。B:N2A細胞溶解物の上清を、rHIgM12と共にインキュベートし、rHIgM12と会合する分子を、プロテインアガロースプルダウンし、ウェスタンブロット法にかけたことを示す図である。rHIgM12は、ペレットと会合しない。β3−チューブリンは、上清中に検出されるが、rHIgM12にはプルダウンされない。
図26は、rHIgM12が、アクチンはプルダウンするが、F−アクチンとは共局在化しないことを示す図である。A:DIV1の生存海馬ニューロンを固定した後、まず、4℃で、rHIgM12(A1:緑色)により染色し、F−アクチン(A2:赤色)をTexas−redファロイジンで標識したことを示す図である。成長円錐領域では、F−アクチンが収縮し、中央ドメインで濃縮されるのに対し、rHIgM12は、成長円錐表面上の点構造を均等に染色し、これにより、成長円錐の最外縁部が標識される。B:rHIgM12により少量のアクチンがプルダウンされ、免疫沈降では3つの被験抗アクチン抗体のいずれもが作用しなかった。β3−チューブリンと同様の位置におけるバンドは、白色矢印で指し示されるIgG重鎖である。
図27(a)は、細胞膜が、数千個のナノ細孔(サイズを200nmとする)穿通された金薄膜により再構成されることを示す図である。(b)懸濁させた金膜は、両面において緩衝液と接触していることを示す図である。
図28は、ニューロンに結合するヒト抗体が、神経突起伸長を促進することを示す図である。ニューロンをヒトIgMでコーティングした基質上に播種し、24時間にわたり成長させ、抗ニューロフィラメント抗体で免疫標識した。sHIgM42は、非許容性のヒトIgM(B)と比較して成長を誘導した(A)。
図29は、ニューロンに結合するヒト抗体が膜ドメインにおいてクラスター形成することを示す図である。神経細胞体および軸索における均一の免疫標識化を、0℃で実施した(A)。細胞を、15分間にわたり15℃まで加熱すると、sHIgM42は、軸索の細胞表面上におけるより個別の斑点へと局在化する(B)。
図30は、in vivoにおいて、神経突起伸長を促進するヒト抗体が、損傷領域を標的とすることを示す図である。慢性SCIを伴うマウスに、腹腔内を介して抗体を施し、4時間後に脊髄を摘出し、脊髄断面においてヒトIgMを検出した。抗体を施されたマウスに由来する脊髄の損傷領域は、蛍光タグ付けした抗ヒトIgMに結合する並列線維を示す(A)。対照のヒトIgMを施されたマウスに由来する脊髄の損傷領域は、ヒトIgMを含有しない(B)。
図31は、脊髄挫滅損傷を示す図である。顕微鏡写真は、対照マウス(A)または8gのFejotaクリップによる圧迫の30日後におけるマウス(B)に由来するH&E染色した脊髄の典型的な外観を示す。圧迫損傷は、広範な炎症性の細胞浸潤、運動ニューロンの喪失と関連する。
図32は、TMEV感染マウスの夜間における自発活動の例を示す図である。(A)64日間にわたる水平方向の活動についての元の完全な記録を示す図である。夜間活動が活発で、昼間活動が不活発であることが容易に察知される。マウスは、通常夜間において活動性であるため、本発明者らは、解析のために夜間活動(午後6時〜午前6時)を選択した。しかし、水平方向の活動(B)または垂直方向の活動(C)のいずれにおいても、フィルタリングされずに要約された記録を目視することにより、長期にわたる実際の変化を同定することは困難でありうる。
図33は、ニューロン結合抗体(rHIgM12)の単回腹腔内投与が、慢性感染SJLマウスにおける水平方向の活動を改善することを示す図である。感染の90日後におけるSJLマウス5匹ずつの3つの群を、AccuScan活動モニタリングボックスに入れた。8日間にわたり、ベースラインの測定値を収集した。処置後、マウスを、8週間にわたり持続的にモニタリングした。パネルA、C、およびEは、水平方向の活動に対応し、パネルB、D、およびFは、垂直方向の活動に対応する。A、B)各日のビンとして提示される平均の夜間活動により、rHIgM12処置群だけにおいて水平方向の活動の改善が示唆されることを示す図であり、C)ガウスフィルタリング(GB=2日間)を示す図であり、E)Z値を標準化した6次の多項式近似により、rHIgM12処置マウスにおける明らかで、かつ、顕著な改善が提示されることを示す図である。B、D、およびF)垂直方向の活動は、いかなる処置によっても影響を受けなかったことを示す図である。活動(垂直方向のスケール)とは、1時間当たりのビーム遮断回数とする。パラメータであるGBとは、半高半幅フィルター値日単位)として解釈することができる。GB値が増大すると共に、標準偏差が減少する。各日の各点ごとに95%の信頼区間を与える。
図34は、予測されるモデル値を用いることによる、感染の90日後における3つの処置の比較を示す図である。処置前および処置後の各日について、統計学的な解析を実施した。rHIgM12で処置したマウスの水平方向の夜間活動は、対照のIgMおよび生理食塩液で処置したマウスと比較して、それぞれ、処置後7日目(p=0.045)および11日目(p=0.042)に有意に異なった/改善された(黒色矢印で示す)。各日の各点ごとに95%の信頼区間を与える。
図35は、疾患の早期に施した場合のrHIgM12が、SJLマウスにおける水平方向および垂直方向のいずれの活動も改善することを示す図である。感染の45日後におけるSJLマウス5匹ずつの3つの群を、AccuScan活動モニタリングボックスに入れた。8日間にわたり、ベースラインの測定値を収集した。処置後、マウスを、8週間にわたり持続的にモニタリングした。パネルA、C、E、およびGは、水平方向の活動に対応し、パネルB、D、F、およびHは、垂直方向の活動に対応する。A、B)水平方向および垂直方向の活動についての、元のフィルタリングされていない記録を示す図であり、C、D)各日のビンとして提示される平均の夜間活動を示す図であり、E、F)ガウスフィルタリング(GB=2日間)を示す図であり、G、H)Z値を標準化した6次の多項式近似により、rHIgM12処置群の水平方向および垂直方向のいずれの活動においても改善が明らかとなることを示す図である。対照のIgM処置群および生理食塩液処置群は、研究終了時まで同様レベルの運動活動を示した。各日の各点ごとに95%の信頼区間を与える。
図36は、予測されるモデル値を用いることによる、感染の45日後における3つの処置の比較を示す図である。処置前および処置後の各日について、統計学的な解析を実施した。A、C)rHIgM12で処置したマウスの水平方向の夜間活動は、対照のIgMおよび生理食塩液で処置したマウスと比較して、それぞれ、処置後13日目(p=0.015)および9日目(p=0.036)に有意に異なった。B、D)rHIgM12で処置したマウスの垂直方向の(後肢による立脚)活動は、それぞれ、処置後14日目(p=0.019)および6日目(p=0.037)に異なった/改善された。黒色矢印は、有意な改善が生じた日を示す。各日の各点ごとに95%の信頼区間を与える。
図37は、正常な非感染SJLマウスによる自発活動のばらつきが大きく、いかなる処置によっても影響を及ぼされないことを示す図である。非感染SJLマウス5匹ずつの3つの群を、AccuScan活動モニタリングボックスに入れた。8日間にわたり、ベースラインの測定値を収集した。処置後、マウスを、8週間にわたり持続的にモニタリングした。いずれの処置も、水平方向の活動(A、C、E、およびG)または垂直方向の活動(B、D、F、およびH)のいずれにおいても変化を誘導しなかった。各日の各点ごとに95%の信頼区間を与える。
図38は、ヒト抗体の単回投与により、SOD1 G86R変異体トランスジェニックマウスにおける生存が延長されることを示す図である。55日齢のマウスを、rHIgM12またはPBSの単回投与で処置した。一部のマウスは、未処置のまま放置した。マウスは、病態に応じて、臨死となるまで追跡し、次いで、屠殺した。一部のマウスは、病死した。全てのマウスは、死滅する前に、体重が甚だしく減少した。生存を、カプラン−マイヤー曲線を用いてプロットし、ノンパラメトリックマンテルコックス検定を用いて統計学的な有意性を決定した。rHIgM12で処置したマウスにおいては、PBSで処置したマウスまたは非処置マウスと比較して生存が延長された(P=0.008)。全ての解析および処置は、マウスを屠殺する決定を下す試験実施者が、処置群について知らされないように、盲検法により実施した。この解析では、45例のマウス全例について研究した。同腹仔である野生型のSOD+/+マウスは、正常に生存し、体重も減少しなかった(データは示さない)。
図39は、G86R SOD1マウスにおける体重の減少を、PBSを投与される対照マウスと対比した、rHIgM12 200μgの単回投与を施される50日齢のマウスにおける時間の関数として示す図である。rHIgM12を投与されたマウスは、抗体の単回注射後60日間にわたり、体重の減少が軽減された。
図40は、ヒト抗体の単回投与により、SOD1 G86R変異体のトランスジェニックマウスにおける脊髄軸索変性が減少したことを示す図である。55日齢のマウスを、rHIgM12またはPBS 250μgの単回投与で処置した。一部のマウスは、未処置のまま放置した。変性軸索に特徴的なミエリン渦の数を、胸部中央レベルの脊髄においてカウントした。rHIgM12で処置したSOD1変異体マウスにおける変性軸索数は、PBSで処置したマウス(P=0.003:T検定)および非処置マウスの場合と比較して減少した。野生型のSOD−/−マウスの脊髄において変性した軸索の数は、SOD1+/+変異体マウスの場合と比較して最小限となることに注意されたい。屠殺時において、マウスをTrumpの固定剤(4%のホルムアルデヒド、0.1%のグルタルアルデヒド)で潅流し、脊髄を1mmのブロックへと切断した。ブロックをAralditeプラスチック中に包埋し、T6レベルに由来する1ミクロンの切片を、パラフェニレンジアミンで染色して、ミエリン包被を可視化した。野生型のSOD−/−(上パネル右)およびSOD1+/+変異体(下パネル右)の脊髄切片を示す。
図41は、ヒト抗体の単回投与により、SOD1 G86R変異体のトランスジェニックマウスの脊髄における前角ニューロンおよび後角ニューロンの両方が保存されたことを示す図である。55日齢のマウスを、rHIgM12またはPBSで処置した。一部のマウスは、未処置のまま放置した。ニューロンを特異的に標識するNeuNに対する抗体で染色した前角細胞および後角細胞の数を、胸部中央脊髄のパラフィン切片中でカウントした。rHIgM12処置マウスにおける前角細胞および後角細胞の数は、PBSで処置したマウスまたは未処置のまま放置したマウスより有意に大きかった(T検定でP=0.0025およびP=0.018)。rHgM12で処置したSOD変異体マウスにおける前角細胞および後角細胞の数は、野生型のSOD−/−マウスにおいて観察される数と同様であった。
図42は、組換えヒト抗体であるrHIgM12が、種を超えてニューロンに結合することを示す図である。マウス皮質ニューロン(A、B、C、D)、マウス海馬ニューロン(E、F)、およびヒト皮質ニューロン(G、H)を生存させたまま、rHIgM12(A、C、E、およびG)で染色し、同じ細胞を、ニーフィラメント(B、D)またはベータチューブリン(F、G)に対する抗体で共標識した。rHIgM12は、蛍光タグ付けした二次抗体で検出した。

0041

本発明に従い、当技術分野内にある従来の分子生物学微生物学、および組換えDNA技法が用いられうる。このような技法は、文献において完全に説明されている。例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」(1989年);「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻[Ausubel, R. M.編(1994年)];「Cell Biology: A Laboratory Handbook」I〜III巻[J. E. Celis編(1994年))];「Current Protocols in Immunology」I〜III巻[Coligan, J. E.編(1994年)];「Olygonucleotide Synthesis」(M.J. Gait編、1984年);「Nucleic Acid Hybridization」[B.D. HamesおよびS.J. Higgins編(1985年)];「Transcription And Translation」[B.D. HamesおよびS.J. Higgins編(1984年)];「Animal Cell Culture」[R.I. Freshney編(1986年)];「Immobilized Cells And Enzymes」[IRL Press(1986年)];B. Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984年)を参照されたい。

0042

したがって、本明細書に現れる場合、以下の用語は、下記に示される定義を有するものとする。

0043

A.用語
「特異的結合メンバー」という用語は、互いに結合特異性を有する分子対メンバーについて記載する。特異的結合対のメンバーは、天然由来の場合もあり、全体的または部分的な合成により生成させる場合もある。分子対の1つのメンバーは、その表面上に領域を有するか、または凹部を有するか、その表面上に、分子対の他のメンバーに特異的な空間構成および極性構成に特異的に結合し、したがってこれと相補的な構成要素を有する。したがって、対のメンバーは、互いに特異的に結合する特性を有する。特異的結合対の種類の例は、抗原−抗体、ビオチンアビジンホルモンホルモン受容体、受容体−リガンド、酵素−基質である。この適用は、抗原−抗体型の反応に関与する。

0044

「抗体」という用語は、天然の場合であれ、全体的または部分的な合成により生成させる場合であれ、免疫グロブリンについて記載する。この用語はまた、抗体結合ドメインであるか、またはこれと相同的な結合ドメインを有する任意のポリペプチドまたはタンパク質も対象とする。この用語はまた、CDR移植抗体も想定する。「抗体」とは、特異的エピトープに結合する抗体およびそれらの断片を含めた任意の免疫グロブリンである。この用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびキメラ抗体を包含し、最後に言及された抗体は、米国特許第4,816,397号および同第4,816,567号においてさらに詳細に記載されている。「抗体(複数可)」という用語は、一般に4つの全長ポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖、またはこれらと同等なIg相同体(例えば、重鎖だけを含むラクダ科によるナノボディー)を含む野生型の免疫グロブリン(Ig)分子を包含し、これらには、Ig分子の本質的なエピトープ結合の特徴を保持するこれらの機能的な全長変異体、バリアント、または誘導体が含まれ、これらには、二重特異性(dual specific、bispecific)抗体、多重特異性抗体、および二重可ドメイン抗体が含まれ、免疫グロブリン分子は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgDIgA、およびIgY)、またはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)でありうる。「抗体」という用語の意味にはまた、任意の「抗体断片」も包含される。

0045

「抗体断片」とは、(i)軽鎖可変(VL)ドメイン、重鎖可変(VH)ドメイン、軽鎖定常ドメイン(CL)、および重鎖定常1(CH1)ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋により連結される2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHドメインおよびCH1ドメインからなるFabの重鎖部分(Fd)断片;(iv)抗体の1本のアームのVLドメインおよびVHドメインからなる可変領域断片(Fv断片);(v)単一の可変ドメインを含むドメイン抗体(dAb)断片(Ward、E.S.ら、Nature、341巻、544〜546頁(1989年));(vi)ラクダ科抗体;(vii)単離された相補性決定領域(CDR);(viii)VHドメインおよびVLドメインが、2つのドメインが会合して抗原結合部位を形成することを可能とするペプチドリンカーを介して連結された単鎖Fv断片(Birdら、Science、242巻、423〜426頁、1988年;Hustonら、PNAS USA、85巻、5879〜5883頁、1988年);(ix)VHドメインおよびVLドメインを単一のポリペプチド鎖において発現させるが、同じ鎖における2つのドメイン間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを用い、これにより、これらのドメインに別の鎖の相補性ドメインと対合させ、2つの抗原結合部位を創出する、二価の二重特異性抗体であるダイアボディー(WO94/13804;P. Holligerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻、6444〜6448頁(1993年));ならびに(x)相補性の軽鎖ポリペプチドと共に抗原結合領域の対を形成するタンデムのFvセグメント(VH−CH1−VH−CH1)の対を含む直鎖抗体;(xi)多価抗体断片(scFvの二量体三量体、および/または四量体(PowerおよびHudson、J Immunol. Methods、242巻:193〜204頁(2000年));ならびに(xii)単独または任意の組合せによる、重鎖および/もしくは軽鎖、またはそれらの変異体、バリアント、もしくは誘導体の他の全長でない部分を含めた、全長でない少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む分子を意味する。

0046

抗体は多くの方法で修飾しうるので、「抗体」という用語は、任意の特異的結合メンバー、または要請される特異性を伴う結合ドメインを有する物質を対象とするものとして解釈されるべきである。したがって、この用語は、天然であれ、全体的または部分的に合成であれ、免疫グロブリンの結合ドメインを含む任意のポリペプチドを含めた抗体断片、抗体の誘導体、機能的同等物、および相同体を対象とする。したがって、別のポリペプチドに融合させた免疫グロブリンの結合ドメインまたは同等物を含むキメラ分子が包含される。キメラ抗体のクローニングおよび発現については、EP−A−0120694およびEP−A−0125023、ならびに米国特許第4,816,397号および同第4,816,567号において記載されている。

0047

「抗体の結合部位」とは、抗原に特異的に結合する、軽鎖または重鎖および軽鎖可変領域および超可変領域を含む抗体分子構造的部分である。

0048

本明細書で用いられるその多様な文法的形態における「抗体分子」という語句は、完全免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫的活性部分の両方を想定する。

0049

例示的な抗体分子は、完全免疫グロブリン分子、実質的な完全免疫グロブリン分子、ならびにFab部分、Fab’部分、F(ab’)2部分、およびF(v)部分など、当技術分野において公知の部分であって、本明細書で記載される治療法に用いるのに好ましい部分を含めた、パラトープを含有する免疫グロブリン分子の部分である。

0050

抗体はまた、抗体の1つの結合ドメインが、本発明の特異的結合メンバーであり、他の結合ドメインが異なる特異性、例えば、エフェクター機能などを動員する特異性を有する二重特異性の場合もある。本発明の二重特異性抗体は、抗体の1つの結合ドメインを、その断片を含めた本発明の特異的結合メンバーとし、他の結合ドメインを、異なる抗体または異なる抗がん特異的抗体もしくは抗腫瘍特異的抗体の断片を含めたその断片とする二重特異性抗体を包含する。他の結合ドメインは、神経細胞特異的抗体または神経膠細胞特異的抗体における場合の通り、特定の細胞型を認識する抗体の場合もあり、これを標的とする抗体の場合もある。本発明の二重特異性抗体では、本発明の抗体の1つの結合ドメインを、他の結合ドメイン、または特定の細胞受容体を認識する分子および/もしくは細胞を特定の形で調節する分子、例として挙げると、免疫調節剤(例えば、インターロイキン(複数可))、増殖調節剤、またはサイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)、および、特に、その全体において本明細書に組み込まれる、2002年2月13日に出願されたU.S.S.N.60/355,838において裏付けられている、TNF二重特異性モダリティー)、または毒素(例えば、リシン)、または抗有糸分裂剤もしくは抗アポトーシス剤、または因子と組み合わせることができる。したがって、本発明の抗FAP抗体を用いて、薬剤、標識、他の分子、もしくは化合物、または抗体を、間質部位、特定の創傷治癒領域、炎症、がん、または腫瘍へと方向付けるかまたは標的化することができる。

0051

その多様な文法的形態における「モノクローナル抗体」という語句は、特定の抗原と免疫反応することが可能な抗体の結合部位のうちの1つの分子種だけを有する抗体を指す。したがって、モノクローナル抗体は典型的にそれが免疫反応する任意の抗原に対して単一の結合アフィニティーを提示する。モノクローナル抗体はまた、抗体の複数の結合部位であって、各々が異なる抗原に対して免疫特異性である結合部位を有する抗体分子、例えば、二重特異性(キメラ)モノクローナル抗体も含有しうる。

0052

抗原結合ドメイン」という用語は、抗原の一部または全部に特異的に結合するかまたはこれと相補的な領域を含む抗体の一部について記載する。抗原が高分子である場合、抗体は、その部分をエピトープと称する、抗原の特定の一部だけに結合しうる。抗原結合ドメインは、1または複数の抗体可変ドメインによりもたらされる場合がある。抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)および抗体重鎖可変領域(VH)を含むことが好ましい。

0053

本発明において用いられる抗体、抗体分子、またはこれらの断片を、他の分子または薬剤にコンジュゲートするかまたは結合させた、本発明のイムノコンジュゲートまたは抗体融合タンパク質にはさらに、化学的切除剤、毒素、免疫調節剤、サイトカイン、細胞傷害薬、化学療法剤、抗菌剤または抗菌ペプチド細胞壁および/もしくは細胞膜破壊剤、または細胞壁および/もしくは細胞膜破壊薬にコンジュゲートされたこのような抗体、分子、または断片が含まれるがこれらに限定されない。

0054

「特異的」という用語は、特異的結合対の1つのメンバーが、その特異的結合パートナー(複数可)以外の分子にそれほどの結合を示さない状況を指すのに用いることができる。この用語はまた、例えば、抗原結合ドメインが、多くの抗原により保有される特定のエピトープに対して特異的な場合であって、抗原結合ドメインを保有する特異的結合メンバーが、エピトープを保有する多様な抗原に結合することが可能な場合にも適用可能である。

0055

「〜を含む」という用語は一般に、「〜を包含する」の意味で用いられ、すなわち、1または複数の特徴または構成要素の存在を許容する。

0056

「〜から本質的になる」という用語は、大型の生成物に共有結合しない、規定数の残基による生成物、特に、ペプチド配列を指す。しかし、上記で言及された本発明のペプチドの場合、当業者は、例えば、C末端アミド化などの保護基を付加する末端化学的修飾など、ペプチドのN末端またはC末端に対するわずかな修飾を想定しうることを察知するであろう。

0057

「単離された」という用語は、本発明の特異的結合メンバー、またはこのような結合メンバーをコードする核酸が、本発明に従い存在する状態を指す。メンバーおよび核酸は、それらがそれらの天然の環境、または、このような調製がin vitroまたはin vivoにおいて実施される組換えDNA法を介する場合は、それらが調製される環境(例えば、細胞培養物)において共に見出される他のポリペプチドまたは核酸など、それらが天然で会合する物質を含まないかまたは実質的に含まない。メンバーおよび核酸は、希釈剤または補助剤と共に処方することができ、なお実際的な目的では、単離することもできる(例えば、イムノアッセイにおいて用いられるマイクロ滴定プレートをコーティングするのに用いる場合、メンバーは通常、ゼラチンもしくは他のキャリアと混合するか、または診断もしくは治療において用いる場合、薬学的に許容されるキャリアもしくは希釈剤と混合する)。

0058

本明細書で用いられる「pg」はピコグラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「ug」または「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「ul」または「μl」はマイクロリットルを意味し、「ml」はミリリットルを意味し、「l」はリットルを意味する。

0059

本明細書では、「抗体」、「ニューロン結合抗体」、「IgM12抗体」、「IgM42抗体」、「抗体12」、「抗体42」、「sHIgM12」、「sHIgM42」、「rHIgM12」、「rHIgM42」という用語、および具体的に列挙されていない任意のバリアントを用いる場合があり、本出願および特許請求の範囲の全体で用いられる通り、単一または複数のタンパク質を含めたタンパク質性の物質を指し、本明細書で記載され、図5および6に示されるアミノ酸配列データを有し、それらの活性プロファイルが本明細書および特許請求の範囲に示されるタンパク質にまで拡張される。特に、IgM12抗体、抗体12、rHIgM12とは、特に、ポリペプチドもしくは抗体または断片、特に、図5に示される配列を含む組換え抗体または断片を指す。IgM12抗体、抗体12、rHIgM12とは、特に、ポリペプチドもしくは抗体または断片、特に、配列番号31〜33に示される重鎖可変領域のCDR配列および配列番号34〜36に示される軽鎖可変領域のCDR配列を含む組換え抗体または断片を指す。IgM12抗体、抗体12、rHIgM12は、配列番号1の重鎖可変領域配列および配列番号11の軽鎖可変領域配列を有する抗体を包含する。特に、IgM42抗体、抗体42、rHIgM42とは、特に、ポリペプチドもしくは抗体または断片、特に、図6に示される配列を含む組換え抗体または断片を指す。IgM42抗体、抗体42、rHIgM42とは、特に、ポリペプチドもしくは抗体または断片、特に、配列番号37〜39に示される重鎖可変領域のCDR配列および配列番号40〜42に示される軽鎖可変領域のCDR配列を含む組換え抗体または断片を指す。IgM42抗体、抗体42、rHIgM42は、配列番号17の重鎖可変領域配列および配列番号27の軽鎖可変領域配列を有する抗体を包含する。したがって、実質的に同等な活性または変化した活性を提示するタンパク質も同様に想定される。これらの改変は、例えば、部位指向変異誘発を介して得られる改変など、意図的なものの場合もあり、宿主における変異を介して得られる、複合体またはその命名されたサブユニットをもたらす改変など、偶発的なものの場合もある。「抗体」、「ニューロン結合抗体」、「IgM12抗体」、「IgM42抗体」、「抗体12」、「抗体42」、「sHIgM12」、「sHIgM42」、「rHIgM12」、「rHIgM42」という用語はまた、とりわけ本明細書で列挙されるタンパク質のほか、実質的に相同な類似体および対立遺伝子変異の全てもそれらの範囲内に包含することを意図する。

0060

本明細書で記載されるアミノ酸残基は、「L」異性体形態とすることが好ましい。しかし、ポリペプチドにより免疫グロブリン結合に所望される機能的特性が保持される限りにおいて、「D」異性体形態の残基を、任意のL−アミノ酸残基で置換することができる。NH2とは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基を指す。COOHとは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基を指す。標準的なポリペプチドの命名法(J. Biol. Chem.、243巻:3552〜59頁(1969年))に準拠して、アミノ酸残基の略記法を以下に示す。

0061

0062

本明細書では、全てのアミノ酸残基の配列は、その左から右の配向が、従来のアミノ末端からカルボキシ末端の方向にある書式により表されることに注意されたい。さらに、アミノ酸残基配列の始点または終点におけるダッシュ記号が、1または複数のアミノ酸残基によるさらなる配列へのペプチド結合を示すことにも注意されたい。上記の表は、本明細書で代わる代わるに現れうる、3文字表記1文字表記とを相互に関連付けるために提示する。

0063

レプリコン」とは、in vivoにおけるDNA複製の自律的な単位として機能する、すなわち、それ自体の制御下で複製が可能な任意の遺伝子エレメント(例えば、プラスミド染色体、ウイルス)である。

0064

「ベクター」とは、結合させたセグメントの複製をもたらすように別のDNAセグメントを結合させうる、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどのレプリコンである。

0065

DNA分子」とは、その一本鎖形態であれ、二本鎖螺旋であれ、デオキシリボヌクレオチドアデニングアニンチミン、またはシトシン)の多量体形態を指す。この用語は、この分子の一次構造および二次構造だけを指すものであり、この分子を任意の特定の三次形態に限定するものではない。したがって、この用語は、とりわけ、直鎖状のDNA分子(例えば、制限断片)、ウイルス、プラスミド、および染色体において見出される二本鎖DNAを包含する。特定の二本鎖DNA分子の構造について論じる場合、本明細書では、配列を、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAと相同的な配列を有する鎖)に沿った5’から3’の方向にある配列だけを与える通常の慣例に従って記載することができる。

0066

複製起点」とは、DNA合成に関与するDNA配列を指す。

0067

DNAによる「コード配列」とは、適切な制御配列の制御下に置かれると、in vivoにおいてポリペプチドへと転写および翻訳される二本鎖のDNA配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端における開始コドンおよび3’(カルボキシル)末端における翻訳終止コドンを介して決定される。コード配列には、原核生物配列、真核生物のmRNAに由来するcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)のDNAに由来するゲノムDNA配列、およびまた合成DNA配列が含まれうるがこれらに限定されない。ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列は通常、コード配列の3’側に位置する。

0068

転写制御配列および翻訳制御配列とは、宿主細胞においてコード配列の発現をもたらす、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーターなど、DNAの制御配列である。

0069

プロモーター配列」とは、細胞内のRNAポリメラーゼに結合し、下流(3’方向)のコード配列の転写を開始することが可能なDNAの制御領域である。本発明を規定する目的で述べると、プロモーター配列には、その3’末端に転写開始部位が結合し、バックグラウンドを上回って検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小限の数の塩基またはエレメントを包含するように、上流(5’方向)へと伸長する。プロモーター配列内には、転写開始部位(ヌクレアーゼS1によるマッピングを介して規定されて好都合である)のほか、RNAポリメラーゼの結合の一因となるタンパク質結合ドメインコンセンサス配列)も見出される。真核生物プロモーターは、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有することが多いが、常に含有するわけではない。原核生物プロモーターは、−10および−35のコンセンサス配列に加えて、シャインダルガルノ配列を含有する。

0070

発現制御配列」とは、別のDNA配列の転写および翻訳を制御および調節するDNA配列である。RNAポリメラーゼによりコード配列がmRNAへと転写され、次いで、これが、コード配列によりコードされるタンパク質へと翻訳されるとき、コード配列は、細胞内の転写制御配列および翻訳制御配列の「制御下」にある。

0071

シグナル配列」は、コード配列の上流に包含されうる。この配列は、ポリペプチドに対してN末端側にあり、宿主細胞にコミュニケートしてポリペプチドを細胞表面へと方向付けるか、またはポリペプチドを培地へと分泌させる、シグナルペプチドをコードするものであり、このシグナルペプチドは、タンパク質が細胞から放出される前に宿主細胞により切り離される。シグナル配列は、原核生物および真核生物に天然の多様なタンパク質と関連することが見出されうる。

0072

本発明のプローブに言及しつつ本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上のリボヌクレオチド、好ましくは3つを超えるリボヌクレオチドを含む分子として定義される。その正確なサイズは、多くの因子に依存し、これらの因子は、オリゴヌクレオチドの最終的な機能および使用に依存する。

0073

本明細書で用いられる「プライマー」という用語は、精製された制限消化物中などに天然で存在する場合であれ、合成により生成させた場合であれ、核酸鎖と相補的なプライマーの伸長産物の合成を誘導する条件下に置かれると、すなわち、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下で適切な温度およびpH下に置かれると合成開始地点として作用することが可能なオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もあり、誘導剤の存在下において所望の伸長産物の合成をプライミングするのに十分な程度の長さでなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給源、および用いられる方法を含めた多くの因子に依存する。例えば、診断適用では、標的配列複雑性に応じて、オリゴヌクレオチドプライマーは、より少数のヌクレオチドも含有しうるが、典型的には15〜25ヌクレオチド以上を含有する。

0074

本発明のプライマーは、特定の標的DNA配列の異なる鎖と「実質的に」相補的となるように選択される。これは、プライマーが、それらのそれぞれの鎖とハイブリダイズするのに十分な程度に相補的でなくてはならないことを意味する。したがって、プライマー配列が、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片をプライマーの5’末端に結合させ、プライマー配列の残りは鋳型鎖と相補的とすることができる。代替的に、プライマー配列が、これとハイブリダイズし、これにより、伸長産物を合成するための鋳型を形成する鎖の配列と十分な相補性を有する場合は、非相補的な塩基または非相補的な長い配列を、プライマー内に散在させることもできる。

0075

本明細書で用いられる「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」という用語は、それらの各々が特異的ヌクレオチド配列において、またはその近傍において二本鎖DNAを切断する細菌酵素を指す。

0076

このようなDNAが細胞内に導入されている場合、この細胞は、外因性DNAまたは相同的DNAにより「形質転換」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体のDNAへと組み込まれる(共有結合する)場合もあり、組み込まれない場合もある。例えば、原核細胞酵母細胞、および哺乳動物細胞では、形質転換DNAを、プラスミドなどのエピソームエレメントに維持することができる。真核細胞について述べると、安定的な形質転換細胞とは、形質転換DNAが、染色体の複製を介して娘細胞により遺伝するように染色体に組み込まれた細胞である。この安定性は、真核細胞が、形質転換DNAを含有する娘細胞の集団を含む細胞系またはクローン確立する能力により裏付けられる。「クローン」とは、有糸分裂を介して単一の細胞または共通の原細胞から派生する細胞集団である。「細胞系」とは、in vitroにおいて何世代にもわたり安定的に成長することが可能な初代細胞のクローンである。

0077

ヌクレオチドのうちの少なくとも約75%(好ましくは少なくとも約80%、および最も好ましくは少なくとも約90または95%)が、規定された長さのDNA配列にわたりマッチする場合、これらの2つのDNA配列を「実質的に相同」とする。実質的に相同的な配列は、配列データバンクにおいて入手可能な標準的なソフトウェアを用いて配列を比較することにより同定することもでき、その特定の系について規定された、例えば、厳密な条件下におけるサザンハイブリダイゼーション実験により同定することもできる。適切なハイブリダイゼーション条件の規定は、当技術分野の範囲内にある。例えば、Maniatisら、前出;「DNA Cloning」、IおよびII巻、前出;「Nucleic Acid Hybridization」、前出を参照されたい。

0078

また、本発明の特異的結合メンバー(抗体)をコードするDNA配列であって、例えば、図2もしくは10に提示されるのと同じアミノ酸配列を有する抗体、または本明細書もしくは図10に示されるがこれらと縮重するCDRドメイン領域の配列を含む抗体をコードするDNA配列も本発明の範囲内にあることを察知されたい。「〜と縮重する」とは、異なる3文字コドンを用いて、特定のアミノ酸を指定することを意味する。当技術分野では、以下のコドンを互換的に用いて各特定のアミノ酸をコードさせうることが周知である:

0079

0080

上記で指定されたコドンは、RNA配列のためのコドンであることを理解されたい。対応するDNAのためのコドンでは、UをTで置換している。

0081

アミノ酸、抗体断片、図5もしくは6に示されるCDR領域の配列をコードする配列、または図5もしくは6に示される核酸配列では、特定のコドンを、異なるアミノ酸をコードするコドンへと変化させるように、変異を発生させることができる。このような変異は一般に、可能な最小のヌクレオチド変化をもたらすことにより発生させる。この種の置換変異は、結果として得られるタンパク質におけるアミノ酸を、非保存的な形で(例えば、コドンを、特定のサイズまたは特徴を有するアミノ酸の群分けに属するアミノ酸から、別の群分けに属するアミノ酸へと変化させることにより)変化させるようにもたらすこともでき、保存的な形で(例えば、コドンを、特定のサイズまたは特徴を有するアミノ酸の群分けに属するアミノ酸から、同じ群分けに属するアミノ酸へと変化させることにより)変化させるようにもたらすこともできる。このような保存的変化は一般に、結果として得られるタンパク質の構造および機能においてもたらす変化が小さい。非保存的変化は、結果として得られるタンパク質の構造、活性、または機能を変化させる可能性が高い。本発明は、結果として得られるタンパク質の活性または結合特徴をそれほど変化させない保存的変化を含有する配列を包含すると考えるべきである。

0082

以下は、アミノ酸の多様な群分けの一例である。
非極性R基を伴うアミノ酸
アラニンバリンロイシンイソロイシンプロリンフェニルアラニントリプトファンメチオニン
帯電していない極性R基を伴うアミノ酸
グリシンセリントレオニンシステインチロシンアスパラギングルタミン
帯電した極性R基(Ph6.0で負に帯電している)を伴うアミノ酸
アスパラギン酸、グルタミン酸
塩基性アミノ酸(pH6.0で正に帯電している)
リシン、アルギニンヒスチジン(pH6.0で正に帯電している)。

0083

別の群分けは、フェニル基を伴うアミノ酸でありうる。
フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン。

0084

別の群分けは、分子量(すなわち、R基のサイズ)による場合もある。

0085

0086

特に、好ましい置換は、
・正の電荷が維持されうるような、LysによるArgの置換およびこの逆の置換;
・負の電荷が維持されうるような、GluによるAspの置換およびこの逆の置換;
・遊離−OHが維持されうるような、SerによるThrの置換;および
・遊離NH2が維持されうるような、GlnによるAsnの置換
である。

0087

例示的で好ましい保存的アミノ酸置換は、グルタミン(Q)によるグルタミン酸(E)の置換およびこの逆の置換、ロイシン(L)によるバリン(V)の置換およびこの逆の置換、セリン(S)によるトレオニン(T)の置換およびこの逆の置換、イソロイシン(I)によるバリン(V)の置換およびこの逆の置換、リシン(K)によるグルタミン(Q)の置換およびこの逆の置換、イソロイシン(I)によるメチオニン(M)の置換およびこの逆の置換、セリン(S)によるアスパラギン(N)の置換およびこの逆の置換、ロイシン(L)によるメチオニン(M)の置換およびこの逆の置換、リシン(L)によるグルタミン酸(E)の置換およびこの逆の置換、アラニン(A)によるセリン(S)の置換およびこの逆の置換、チロシン(Y)によるフェニルアラニン(F)の置換およびこの逆の置換、グルタミン酸(E)によるアスパラギン酸(D)の置換およびこの逆の置換、ロイシン(L)によるイソロイシン(I)の置換およびこの逆の置換、リシン(K)によるアルギニン(R)の置換およびこの逆の置換のうちのいずれかを包含する。

0088

また、特に好ましい特性を伴うアミノ酸で置換するように、アミノ酸置換を導入することもできる。例えば、Cysは、別のCysを伴うジスルフィド架橋のための潜在的な部位に導入することができる。Hisは、特に「触媒」部位(すなわち、Hisは、酸または塩基として作用することが可能であり、生化学触媒反応において最も一般的なアミノ酸である)として導入することができる。Proは、タンパク質構造におけるβターンを誘導する、特に平面的なその構造のために導入することができる。

0089

アミノ酸残基のうちの少なくとも約70%(好ましくは少なくとも約80%、および最も好ましくは少なくとも約90または95%)が同一であるか、または保存的置換を表す場合、2つのアミノ酸配列を「実質的に相同」とする。1または複数のアミノ酸が、類似のアミノ酸置換または保存的アミノ酸置換で置換されており、その1つの/複数の抗体が、本明細書で開示されている、IgM12またはIgM42のうちの1または複数の結合プロファイルおよび活性プロファイルを示す場合、2つの抗体のCDR領域を実質的に相同とする。

0090

DNA構築物の「非相同」領域とは、天然ではこの大型の分子と会合して見出されることはない、大型のDNA分子内の同定可能なDNAセグメントである。したがって、非相同領域が哺乳動物の遺伝子をコードする場合、この遺伝子は通常、その供給源である生物のゲノム内の哺乳動物ゲノムDNAには隣接しないDNAに隣接する。非相同的なコード配列の別の例は、天然ではコード配列自体が見出されない構築物(例えば、ゲノムのコード配列がイントロンを含有するcDNA、または天然遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)である。対立遺伝子変異または天然の変異イベントは、本明細書で定義されるDNAの非相同領域をもたらさない。

0091

発現制御配列によりDNA配列の転写および翻訳が制御および調節される場合、このDNA配列は、発現制御配列に「作動可能に連結」されている。「作動可能に連結される」という用語は、発現させるDNA配列の上流に適切な開始シグナル(例えば、ATG)を有し、発現制御配列の制御下におけるDNA配列の発現およびDNA配列によりコードされる所望の産物の生成を可能とする適正なリーディングフレームを維持することを包含する。組換えDNA分子へと挿入することが所望される遺伝子が、適切な開始シグナルを含有しない場合は、このような開始シグナルを遺伝子の上流に挿入することができる。

0092

「標準的ハイブリダイゼーション条件」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のいずれについても、5倍濃度のSSCおよび65℃と実質的に同等な塩条件および温度条件を指す。しかし、当業者は、このような「標準的ハイブリダイゼーション条件」が、緩衝液中のナトリウムおよびマグネシウムの濃度、ヌクレオチド配列の長さ、および濃度、ミスマッチ百分率ホルムアミドの百分率などを含めた特定の条件に依存することを察知するであろう。「標準的ハイブリダイゼーション条件」の決定においてはまた、ハイブリダイズする2つの配列が、RNA−RNAであるか、DNA−DNAであるか、RNA−DNAであるかも重要である。このような標準的ハイブリダイゼーション条件は、周知の処方であって、ハイブリダイゼーションが、所望の場合、高度な厳密性の洗浄により予測または決定されるTmを、典型的には10〜20℃下回る処方に従い、当業者により容易に決定される。

0093

「薬剤」という用語は、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、化合物、および低分子を含めた任意の分子を意味する。特に、薬剤という用語は、被験化合物または薬物候補化合物などの化合物を包含する。

0094

「アゴニスト」という用語は、その最も広い意味において、リガンドが結合する受容体を刺激するリガンドを指す。

0095

「アッセイ」という用語は、化合物の特定の特性を測定するのに用いられる任意の工程を意味する。「スクリーニングアッセイ」とは、化合物を特徴付けるか、または化合物をそれらの活性に基づき化合物のコレクションから選択するのに用いられる工程を意味する。

0096

「〜を防止すること」または「防止」という用語は、疾患の発症に先立って、病原体曝露されている場合もあり、疾患に素因を示す場合もある被験体における、疾患または障害に罹患するかまたはこれを発症する危険性の低減(すなわち、疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つを発症させないこと)を指す。

0097

「予防」という用語は、「防止」という用語と関連し、これに包含され、その目的を、疾患を処置するかまたは治癒させることとするのではなくて、これを防止することとする措置または手順を指す。予防的措置の非限定的な例には、ワクチンの投与;例えば、病臥に起因する血栓の危険性にある入院患者への低分子量ヘパリンの投与;および、マラリア風土病であるか、またはマラリアに罹患する危険性が高い地域を訪れるのに先立つ、クロロキンなどの抗マラリア剤の投与が含まれうる。

0098

「治療有効量」とは、医師または他の治療者により探索されている、被験体の生物学的応答または医学的応答を誘発する薬物、化合物、薬剤、抗体、または医薬剤の量を意味する。特に、神経疾患または神経状態に関して述べると、「有効量」という用語は、疾患の臨床的に関与性のパラメータにおいて生物学的に有意義な変化をもたらす抗体またはその断片など、化合物または薬剤の有効量を包含することが意図される。これは、画像化すると観察可能となるかまたは評価可能となる神経傷害または神経死滅の量の変化、運動、発話、もしくは認知などの機能的パラメータの変化、または危険性もしくは感受性の条件下におけるこのような変化の非存在もしくは低減を包含しうる。本明細書では、「治療有効量」という語句を用いて、測定可能もしくは評価可能な現象、または病態の特徴、または機能の評価における臨床的に有意な変化を、少なくとも約20パーセント、少なくとも約30パーセント、より好ましくは少なくとも50パーセント、より好ましくは少なくとも70パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセント、最も好ましくは少なくとも90パーセント改善または防止し、好ましくはこれを低減するのに十分な量を意味する。

0099

一実施形態では、任意の疾患、状態、傷害、または感染「を処置すること」またはこれらの「処置」という用語が、その疾患、状態、傷害、または感染の改善(すなわち、細胞もしくは組織の死滅、または細胞もしくは組織に対する損傷を停止させるか、あるいはこれらの臨床症状のうちの少なくとも1つの徴候、程度、または重症度を軽減すること)を指す。別の実施形態では、「〜を処置すること」または「処置」が、被験体により識別不能な場合もある少なくとも1つの物理的パラメータの改善を指す。さらに別の実施形態では、「〜を処置すること」または「処置」が、疾患、状態、傷害、または感染を、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化により)、生理学的に(例えば、物理的パラメータの安定化により)、またはこれらの両方により調節することを指す。さらなる実施形態では、「〜を処置すること」または「処置」が、疾患の進行を緩徐化するか、または細胞または組織に対する傷害、損傷、死滅の量を低減することに関する。

0100

「薬学的に許容される」という語句は、ヒトに投与した場合に、生理学的に忍容可能であり、典型的にはアレルギー反応または同様の有害反応、例えば急性蠕動めまいなどをもたらさない分子的実体および組成物を指す。

0101

本明細書で用いられる「pg」はピコグラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「ug」または「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「ul」または「μl」はマイクロリットルを意味し、「ml」はミリリットルを意味し、「l」はリットルを意味する。

0102

B.詳細な開示
神経保護剤は、結果としてCNS損傷をもたらす合併症を防止および処置することを目的とする。神経保護能を伴う化合物または薬剤は、脳卒中および神経系の傷害などの急性障害のほか、神経変性障害などの慢性疾患においても適用される。これらの状態では、神経組織に対する損傷の根底にある機序のうちの多くが類似しており、神経保護化合物または神経保護剤であれば、複数の障害において用いうるであろう。疾患には、脳血管障害、外傷性脳損傷、脊髄損傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、てんかん、運動ニューロン疾患(複数可)、および虚血性神経障害が含まれる。他の適用には、麻酔時および手術時における神経保護が含まれる。フリーラジカルスカベンジャー抗興奮毒性剤アポトーシスプログラム細胞死)阻害剤、抗炎症剤、神経栄養因子、金属イオンキレート化剤、イオンチャネル調節剤、および遺伝子治療類型に由来する医薬品を含め、多くの医薬品が神経保護効果について探索されている。NMDAアンタゴニストおよび神経伝達物質の放出を低減する薬剤を含め、神経保護的医薬品の複数の候補医薬品が、臨床試験に到達しているが、有意性を示すことに失敗している(Clark WMら(2000年)、Stroke、31巻(6号):1234〜9頁;SarcoRIら(2001年)、JAMA、285巻(13号):1719〜28頁;Albers, GWら(2001年)、JAMA、286巻(21号):2673〜82頁)。神経保護剤についての1つの難題は、薬剤の効果が、正常細胞に対してそれほどの活性を伴わずに、これにより、望ましくない副作用、なお潜在的には有害な副作用を伴わずに、傷害されまたは損傷した/障害されたニューロンを指向するような特異性およびターゲティングである。ここで、本発明は、血液脳関門を越え、傷害、障害、または損傷の領域を標的とし、正常ニューロンに対する望ましくない作用を最小限として保護をもたらすことが可能な、特異的で忍容可能な薬剤(複数可)を提供する。

0103

本発明は一般に、特異的結合メンバー、特に、ニューロンへの結合を裏付け、神経変性状態、神経細胞死、および神経傷害を含め、ニューロンまたは神経細胞が障害された疾患および状態の診断、モニタリング、改善、および処置において用いられる神経保護剤として適用される抗体を提供する。本発明の抗体は、それらを特に神経保護および/または神経再生において有用とし、神経疾患および神経状態のための診断剤および治療剤において適用可能とする、特定で固有の目覚ましい特質を有する。本明細書では、新規の本発明の抗体、特に、組換え抗体が、血液脳関門を効果的に、かつ、改変されずに越え、ニューロンを細胞死から保護し、CNSにおける神経病変および傷害部位を標的とすることが裏付けられる。抗体は、神経機能を改善し、慢性軸索傷害および脱髄の動物モデルにおいて軸索を維持する。動物モデルにおいて評価される通り、抗体は、動物における毒性が最小限であり、自己免疫状態を増悪させない。

0104

本発明は一般に、神経変性状態、神経細胞死、および神経細胞傷害を含めた、ニューロンまたは神経細胞が障害された疾患および状態を改善および処置するための、単独の、または他の向神経活性剤もしくは代替的な向神経活性剤と組み合わせた治療剤としての適用を伴う特異的結合メンバー、特に、ニューロンへの結合を示す抗体を提供する。本出願は、神経疾患または神経欠損の動物モデルにおける、IgM12を含めた本発明の抗体の能力および治療的に関与性の活性についての証拠を提示する。特に、本明細書で提示される研究は、運動ニューロン疾患、特に、ALSの認知された動物モデルであるTMEVモデルにおける能力および活性を裏付け、脊髄傷害モデルにおける研究を提示する。このような疾患のうちのいずれかの改善もしくは処置、または障害もしくは障害の危険性の症例における神経傷害の防止もしくは神経の保護において用いられる組成物が提供される。

0105

IgM12およびIgM42による先行研究は、CNSのニューロンに結合する血清由来抗体が、抗体でコーティングした基質における神経突起伸長を支持し、in vitro研究においてCNSミエリンによる神経突起伸長の阻害を凌駕することを示した(Warrington Aら(2004年)、J Neuropath Exp Neurol、63巻(5号):461〜473頁)。TMEV動物に注射されたsHIgM12についての研究は、夜間における自発活動の増大を示したが、動物におけるウイルス力価は評価しておらず、可能な抗ウイルス効果を決定することはできていない(Rodrigues Mら(2009年)、Neurology、72巻:1269〜1276頁)。本明細書で記載される研究は、完全ヒト組換え抗体12の配列および抗体42の配列のほか、組換え抗体rHIgM42の配列も提示する。動物および疾患の動物モデルにおけるこれらの血清由来抗体および組換え抗体の目覚ましい神経保護効果および治療関与性効果のほか、それらの神経傷害部位への特異的結合/ターゲティングを裏付ける研究が今や提示される。

0106

抗体、組成物、および治療法
自己反応性ヒトmAbは、ヒト天然自己抗体(NatAb)に分類される(Cohen I.R.(2007年)、J Autoimmun、29巻:246〜249頁)。NatAbは、本発明者らのヒト免疫グロブリンレパートリーの一部であり(Cohen、I.R.およびM. Schwartz(1999年)、Journal of neuroimmunology、100巻:111〜114頁)、通常は体細胞変異なしに、ヒト固有の遺伝子から天然で作製され、細胞過程を刺激するように機能する場合もあり、細胞残屑を除去するように機能する場合もある(Lutz, HU(2007年)、J Autoimmun、29巻:287〜294頁)。NatAbが、自己抗原に反応するのに対し、従来の抗体は、外因性抗原に反応する。NatAbは、比較的低アフィニティーであり、通常は多重反応性であり、しばしばIgMである。これらのヒトIgMの作用機構は、同様であり、膜のマイクロドメインを介して作用すると考えられる。NatAbは、定義により多重反応性であり、したがって、in vivoにおける特異的機能について関与性の抗原を同定することは、難題でありうる。理論に束縛されずに述べると、現在のところ、これらのIgMは、細胞表面における膜のマイクロドメインの架橋形成分子に結合することが理解されている。通常これに関与しない分子は、まとまってシグナル伝達複合体をなす(Rodriguez, M.、A. E. Warrington、およびL. R. Pease(2009年)、Neurology、72巻:1269〜1276頁)。

0107

したがって、抗体媒介性疾患を伴わずにmAbを高濃度で保有する個体の血清に由来する自己反応性ヒトモノクローナル抗体(mAb)についてスクリーニングすることにより、治療用分子を同定した。このようなmAbを、神経系細胞の表面への結合について、抗原について考慮せずに調べる。次いで、mAbを、疾患モデルを調節する能力について調べる。この生物学的有効性を伴うmAbを同定する方法は、製薬業界で一般に用いられる方法と異なる(Rodriguez, M.、A. E. Warrington、およびL. R. Pease(2009年)、Neurology、72巻:1269〜1276頁)。特定のヒトIgMが再ミエリン化を促進しうることが裏付けられている(WarringtonAEら(2000年)、Proc Natl Acad Sci U S A、97巻:6820〜6825頁)。例えば、1つのこのようなIgMは、再ミエリン化を促進する、組換えヒトモノクローナルrHIgM22である(Mitsunaga YBら(2002年)、Faseb J、16巻:1325〜1327頁)。抗体rHIgM22は、希突起膠細胞およびミエリンに結合し、MSのウイルス誘導性および毒素誘導性モデルにおけるCNSの再ミエリン化を促進する(Warrington AEら(2000年)、Proc Natl Acad Sci U S A、97巻:6820〜6825頁;Bieber AJら(2002年)、Glia、37巻:241〜249頁)。脊髄の再ミエリン化は、rHIgM22の単回低量投与の後に誘導される(Warrington AEら(2007年)、J Neurosci Res、85巻:967〜976頁)。

0108

寿命の短い(マウスにおける半減期が15時間と推定される)分子による1回の腹腔内(i.p.)処置が、生得の自発的修復はほとんど見られないMSモデルにおいて、5週間以内に最大限組織修復を促進することは注目に値する。末梢への注射後、rHIgM22は、血液脳関門(BBB)を越え、脱髄を伴うマウスの脳病変および脊髄病変内に蓄積される。in vivoの病変では、フェリチンビーズで標識したrHIgM22が、MRIを介して検出されている(Pirko Iら(2004年)、Faseb J、18巻:1577〜1579頁)。

0109

また、再ミエリン化能を伴うさらなるヒト血清IgM抗体であるsHIgM46、およびその組換え対応物であるrHIgM46についても記載されている。血清由来抗体であるsHIgM22およびsHIgM46、ならびにそれらの組換え形、および再ミエリン化のための方法については、例えば、WO0185797において記載されている。rHIgM22抗体およびこれによる方法は、例えば、米国特許第7,473,423号および同第7,807166号で対象とされている。

0110

本発明は、モノクローナル抗体、および、特に、中枢神経系におけるニューロンの促進、刺激、保護、および/または再生において活性を示す組換え抗体を含めたヒト自己抗体を提供する。本発明の態様では、それらの断片を含めた本抗体が、中枢神経系における傷害を介する神経細胞死を防止または低減するときの神経保護、ニューロンおよび軸索の保存および再生において活性を示す。抗体は、疾患もしくは状態の処置もしくは改善、または疾患もしくは状態、特に、神経が損傷され、傷害され、もしくは他の形で障害された疾患もしくは状態と関連する神経細胞欠損および神経細胞死またはアポトーシスの防止または低減において適用可能である。本発明の抗体が使用または適用される状態または疾患には、脳傷害または脳外傷、脊髄損傷(SCI)、神経損傷、頭部傷害、脳への血液供給が低減されるかまたは障害された状態、脳の感染性疾患、神経変性疾患を含めた、ニューロンの構造、機能、または生存の喪失が関与するかまたは関連する状況が含まれる。例示的なこのような疾患または状態には、脊髄損傷(SCI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、脳卒中、パーキンソン病、ハンチントン病、出産前低酸素症/周産期虚血および/または脳性まひ、脳症、脊髄症、ならびに運動ニューロン疾患が含まれる。

0111

本発明の神経調節剤または抗体は、以下の特徴のうちの1または複数を有する:それらが、ニューロンを保護し、かつ/もしくはこれを安定化させること;それらが、CNSもしくは神経細胞の損傷、障害、もしくは傷害における部位を標的とすること;および/またはそれらが、細胞死、例えば、過酸化水素誘導性細胞死を遮断すること。本発明は、本発明のニューロン結合モノクローナル抗体が、中枢神経系における診断目的および治療目的のために、神経突起伸長を促進し、ニューロンを損傷から保護することが可能であることを提示する。特に、組換え抗体であって、皮質ニューロン、海馬ニューロン、小脳顆粒細胞、および網膜神経節細胞を含めたニューロンを認識し、これらに結合することが可能な抗体が提供される。

0112

本発明は、例示的な抗体(複数可)またはその断片(複数可)である抗体12および抗体42、特に、血清由来または組換えのIgM12またはIgM42を提供する。さらなる特定の態様では、本発明の抗体が、図5および/または図6に示されるアミノ酸配列を含めた抗体12または42のアミノ酸配列を含む。本発明の組換え抗体であるIgM12は、図5に示される、可変重鎖配列(配列番号1)および可変軽鎖配列(配列番号11)を含む。本発明の組換え抗体であるIgM42は、図6に示される、可変重鎖配列(配列番号17)および可変軽鎖配列(配列番号27)を含む。本発明の態様では、図5および6に示される可変領域のCDR配列を含む、組換えまたは合成のニューロン結合抗体が提供される。抗体12は、図5に示される、重鎖CDR配列CDR1 GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2 GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3 ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QSISSY(配列番号34)、CDR2 AAS(配列番号35)、およびCDR3 QQSYHTPW(配列番号36)を含む。抗体42は、図6に示される、重鎖CDR配列CDR1 GFTFSTYA(配列番号37)、CDR2 INVGGVTT(配列番号38)、およびCDR3VRRSGPDRNSSPADF(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QGIG(配列番号40)、CDR2 TTS(配列番号41)、およびCDR3 QKYNSAPRT(配列番号42)を含む。

0113

ニューロン、特に、ヒトニューロンを認識することが可能な、Fab断片を含めた組換え抗体もしくはそれらの断片のパネル、またはファージディスプレイライブラリーを、多様な特性、すなわち、アフィニティー、アイソタイプ、エピトープ、安定性などについてスクリーニングすることができる。例示的な抗体であるIgM12およびIgM42の活性を模倣し、ニューロンに結合し、ニューロンを例えば、過酸化物媒介性細胞死などの細胞死または細胞傷害から保護する能力を有する抗体が特に対象である。このような抗体は、特異的結合アッセイおよび活性アッセイにおいて、容易に同定および/またはスクリーニングすることができる。本抗体である、IgM12および/またはIgM42の抗原結合領域または重鎖CDR領域および/もしくは軽鎖CDR領域を含む組換え抗体を生成させ、活性についてスクリーニングすることができる。

0114

一般に、図5および6のCDR領域として実質的に示されるアミノ酸配列を含むCDR領域は、CDR領域のニューロンの表面への結合、またはニューロンの表面における結合、および、特に、哺乳動物のニューロン、特に、ヒト、サルヒヒ、ラット、および/またはマウスのニューロンへの結合を可能とする構造において保有される。「〜として実質的に示される」とは、本発明の可変領域配列、および/または、特に、CDR配列が、図5および6の指定した領域と同一であるか、またはこれらと相同性が高いことを意味する。「相同性が高い」とは、可変領域配列および/またはCDR配列において少数カ所の置換、好ましくは1〜8カ所、好ましくは1〜5カ所、好ましくは1〜4カ所、または1〜3カ所、または1もしくは2カ所の置換だけを施しうることを想定する。「〜として実質的に示される」という用語は、特に、本抗体の特異性および/または活性に実質的なまたは重大な影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換を包含する。

0115

CDR以外の可変領域配列では、CDR配列を保持するような置換を施すことができる。したがって、CDR配列は維持し、可変領域配列の残りは置換しうるように、可変領域配列の変化、または代替的な、非相同的であるかもしくはベニア化された可変領域配列を導入することもでき、これらを用いることもできる。代替的に、置換は、特に、CDRにおいて施すこともできる。本発明の抗体のCDR配列は、図5および6を含め、本明細書において示され、記載されている。抗体12は、図5に示される、重鎖CDR配列CDR1 GGSVSLYY(配列番号31)、CDR2 GYIYSSGST(配列番号32)、およびCDR3 ARSASIRGWFD(配列番号33)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QSISSY(配列番号34)、CDR2 AAS(配列番号35)、およびCDR3 QQSYHTPW(配列番号36)を含む。抗体42は、図6に示される、重鎖CDR配列CDR1 GFTFSTYA(配列番号37)、CDR2 INVGGVTT(配列番号38)、およびCDR3VRRSGPDRNSSPADF(配列番号39)、ならびに軽鎖CDR配列CDR1 QGIG(配列番号40)、CDR2 TTS(配列番号41)、およびCDR3 QKYNSAPRT(配列番号42)を含む。上に記載し想定した置換を有する本発明の抗体は、抗体IgM12および抗体IgM42を含め、本明細書および特許請求の範囲で示される特徴を有する例示的な抗体と同等の活性および特異性を維持するように選択される。

0116

本発明のCDRを保有する構造は一般に、抗体の重鎖配列もしくは軽鎖配列またはその実質的な部分の構造であって、CDR領域が、再構成された免疫グロブリン遺伝子によりコードされる天然抗体のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインのCDR領域に対応する位置に配置される構造である。免疫グロブリン可変ドメインの構造および位置は、Kabat, E.A.ら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、4版、US Department of Health and Human Services、1987年、および、現在はインターネット(immuno.bme.nwu.edu)で入手できるその改定版を参照することにより決定することができる。可変ドメインは、任意の生殖細胞系列または再構成されたヒト可変ドメインに由来する場合もあり、公知のヒト可変ドメインのコンセンサス配列に基づく合成可変ドメインの場合もある。前出の段落で定義した、本発明のCDRに由来する配列は、組換えDNA法を用いて、CDR領域を欠く可変ドメインレパートリーへと導入することができる。

0117

例えば、Marksら(Bio/Technology、1992年、10巻:779〜783頁)は、抗体可変ドメインのレパートリーを生成させる方法であって、可変ドメイン領域の5’端を指向するかまたはこれに隣接するコンセンサスプライマーを、ヒトVH遺伝子の第3のフレームワーク領域に対するコンセンサスプライマーと共に用いて、1つ/複数のCDRを欠くVH可変ドメインのレパートリーをもたらす方法について記載している。Marksらは、どのようにすればこのレパートリーを、特定の抗体のCDRと組み合わせうるかについてもさらに記載している。次いで、適切な特異的結合メンバーを選択しうるように、レパートリーを、WO92/01047のファージディスプレイシステムなど、適切な宿主系において提示することができる。レパートリーは、約104を超える個別のメンバー、例えば、106〜108または1010のメンバーからなる。また、Stemmer(Nature、1994年、370巻:389〜391頁)により、類似のシャフリング法またはコンビナトリアル法も開示されているが、Stemmerは、β−ラクタマーゼ遺伝子との関連でこれらの技法について記載し、これらの手法を、抗体を生成させるのに用いうることに気付いている。

0118

さらなる代替法は、例えば、可変ドメイン全体の内で変異を発生させる、抗体のVH遺伝子またはVL遺伝子に対するランダム変異誘発を用いて、本発明のCDRに由来する配列を保有する新規のVH領域またはVL領域を生成させる。このような技法については、エラープローンPCRを用いたGramら(1992年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:3576〜3580頁)により記載されている。用いうる別の方法は、変異誘発をVH遺伝子またはVL遺伝子のCDR領域へと方向付ける方法である。このような技法は、Barbasら(1994年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91巻:3809〜3813頁)およびSchierら(1996年、J. Mol. Biol.、263巻:551〜567頁)により開示されている。当技術分野では、上記に記載した技法の全てがそれ自体として公知である。当業者は、このような技法を、当技術分野において日常的な方法を用いて本発明の特異的結合メンバーをもたらすのに用いことが可能であろう。

0119

免疫グロブリンの可変ドメインのうちの実質的な部分は、それらに介在するフレームワーク領域と併せて、少なくとも3つのCDR領域を含む。この部分はまた、第1のフレームワーク領域および第4のフレームワーク領域の両方のうちの少なくとも約50%も包含し、この50%は、第1のフレームワーク領域のうちのC末端側の50%および第4のフレームワーク領域のうちのN末端側の50%とすることが好ましい。可変ドメインの実質的部分のN末端またはC末端におけるさらなる残基は、天然の可変ドメイン領域と通常は関連しない残基でありうる。例えば、組換えDNA法により作製される本発明の特異的結合メンバーの構築は、クローニングまたは他の操作ステップを容易とするために導入されるリンカーによりコードされるN末端残基またはC末端残基の導入を結果としてもたらしうる。他の操作ステップには、本発明の可変ドメインを、免疫グロブリン重鎖、他の可変ドメイン(例えば、ダイアボディーを生成させる場合)、または本明細書で示されるタンパク質標識および/もしくは当業者に公知のタンパク質標識を含めたさらなるタンパク質配列へと接合するリンカーの導入が含まれる。

0120

本発明の好ましい態様では、図5および/または6に実質的に示される配列に基づく結合ドメインの対を含む組換え抗体が好ましいが、これらの配列のうちのいずれかに基づく単一の結合ドメインも、本発明のさらなる態様を形成する。図5および/または6に実質的に示される配列に基づく結合ドメインの場合は、免疫グロブリンのVHドメインは、標的抗原に特異的な形で結合することが可能なことが公知であるので、このような結合ドメインを、CNSにおけるニューロン、特に、神経損傷または傷害部位を標的とする薬剤として用いることができる。

0121

本発明の特異的結合メンバーは、抗体の定常領域またはそれらの一部をさらに含みうる。例えば、図5および6のVH配列およびVL配列に基づく組換え抗体は、それらのC末端において、図5または6に示されるそれぞれの定常領域ドメインと異なるか、またはこれらに由来するバリアントである定常領域ドメインを含め、ヒトCκ鎖またはヒトCλ鎖、好ましくは、Cλ鎖を含めた抗体の軽鎖定常領域ドメインに結合させることができる。同様に、図5または6の配列に基づく組換え抗体は、それらのC末端において、任意の抗体アイソタイプ、例えば、IgG、IgA、IgE、IgD、およびIgM、ならびにアイソタイプのサブクラスのうちのいずれか、特に、IgG1、IgG2b、およびIgG4に由来する免疫グロブリン重鎖の全部または一部に結合させ、次いで、これらを調べて同等および/または適切な活性および能力を確認または決定することもできる。IgMが好ましい。

0122

抗体またはそれらの任意の断片は、任意の細胞毒素細菌毒素、または他の毒素、例えば、緑膿菌外毒素、リシン、もしくはジフテリア毒素とコンジュゲートすることもでき、これらと組換えにより融合させることもできる。用いられる毒素の一部は、毒素の全体の場合もあり、毒素の任意の特定のドメインの場合もある。このような抗体−毒素分子は、異なる種類のがんの標的化および治療に用いられて成功している(例えば、Pastan、Biochem Biophys Acta.、1997年10月24日;1333巻(2号):C1〜6頁;Kreitmanら、N Engl J Med.、2001年7月26日;345巻(4号):241〜7頁;Schnellら、Leukemia.、2000年1月;14巻(1号):129〜35頁;Ghetieら、Mol Biotechnol.、2001年7月;18巻(3号):251〜68頁を参照されたい)。二重特異性および三重特異性の多量体は、異なるscFv分子を会合させることにより形成することができ、T細胞を腫瘍へと動員するための架橋形成試薬(免疫療法)、ウイルスの再標的化(遺伝子治療)、および赤血球凝集試薬(免疫診断剤)としてデザインされている(例えば、Todorovskaら、J Immunol Methods.、2001年2月1日;248巻(1〜2号):47〜66頁;Tomlinsonら、Methods Enzymol.、2000年;326巻:461〜79頁;McCallら、J Immunol.、2001年5月15日;166巻(10号):6112〜7頁を参照されたい)。

0123

本発明の抗体は、検出可能な標識または機能的な標識で標識することができる。検出可能な標識には、抗体画像化の技術分野において公知の従来の化学反応を用いて本発明の抗体に結合させうる放射性同位体である、3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、121I、124I、125I、131I、111In、117Lu、211At、198Au、67Cu、225Ac、213Bi、99Tc、および186Reなどの放射性標識が含まれるがこれらに限定されない。標識にはまた、蛍光標識(例えば、フルオレセインロダミン、Texas Red)および当技術分野においてMRI−CTによる画像化のために従来用いられている標識も含まれる。これらにはまた、西ワサビペルオキシダーゼ、β−グルコロニダーゼ、β−ガラクトシダーゼウレアーゼなどの酵素標識も含まれる。標識にはさらに、検出可能な特異的同族部分、例えば、標識したアビジンへの結合を介して検出されうるビオチンなどの化学的部分も含まれる。機能的標識には、障害部位、損傷または傷害部位を標的とし、神経組織の破壊に対して保護をもたらすようにデザインされた物質が含まれる。このような機能的標識には、5−フルオロウラシルまたはリシンなどの細胞傷害薬、および細菌性カルボキシペプチダーゼまたはニトロレダクターゼなど、プロドラッグ機能部位において活性薬物へと転換することが可能な酵素が含まれる。本発明のイムノコンジュゲートまたは抗体融合タンパク質であって、他の分子または薬剤にコンジュゲートするかまたは結合させた抗体およびそれらの断片に、化学的切除剤、毒素、免疫調節剤、サイトカイン、細胞傷害薬、化学療法剤または化学療法薬にコンジュゲートした結合メンバーがさらに含まれるがこれらに限定されないイムノコンジュゲートまたは抗体融合タンパク質が想定される。放射性標識を用いる場合、公知の現在利用可能なカウンティング手順を用いて、特異的結合メンバーを同定および定量化することができる。標識を酵素とする場合には、現在用いられている、当技術分野において公知の比色法分光法蛍光分光法電流測定法、またはガス定量法のうちのいずれかを介して検出を達成することができる。

0124

当業者は、結果として神経細胞の傷害または損傷を含めたCNS損傷をもたらす合併症、または神経変性状態のin vivoにおける動物モデルを用いて、本発明の抗体、もしくはそれらの断片、それらのバリアント、またはこれらの組合せ、または他のCNS反応性抗体との組合せを、さらにまたは加えてスクリーニング、評価、および/または検証することもできる。このような動物モデルには、神経細胞の損傷、障害、変化、死滅、傷害、または変性と関連する状態または疾患のモデルが含まれるがこれらに限定されない。モデルには、脳卒中、脳傷害、虚血、MS、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、認知症脳炎髄膜炎、ALS、または運動ニューロン疾患のモデル、またはこれらの側面を模倣するモデルが含まれる。ヒヒ、サル、またはマカクザルなど、長動物における中脳動脈閉塞を用いる脳卒中モデルは、当技術分野において公知であり、適切でありうる(Young Aら(1997年)、Stroke、28巻:1471〜1476頁;delZoppo GJら(1986年)、Stroke、17巻:1254〜1265頁;MarshallおよびRidley(1996年)、Neurodegeneration、5巻:275〜286頁)。TMEVなどのMSモデルも公知であり、本明細書でも記載されて用いられる。ALSおよび運動ニューロン疾患についてのSODマウスモデルも公知であり、本明細書でも記載されて用いられる(Gurney MEら(1994年)、Science、264巻:1772〜1775頁)。

0125

本発明による可変領域配列を含む抗体、それらの断片、および組換え抗体は、哺乳動物における神経保護の方法であって、前記哺乳動物に有効量の本発明の抗体、それらの断片、および組換え抗体を投与するステップを含む方法など、ヒトまたは動物の身体に対する処置法、防止法、または診断法において用いることができる。本発明によるCDRドメイン領域の配列を含む組換え抗体またはそれらの断片は、このような方法において用いることができる。本発明の薬剤、特に、組換え抗体またはそれらの断片は、神経傷害、神経損傷または神経障害、および結果としてCNS損傷をもたらすことが可能であり、可能性があるかまたは実際にもたらす合併症を防止、処置、または改善するための方法における神経保護剤として用いることができる。本発明の方法は、脳傷害または脳外傷、脊髄損傷(SCI)、神経傷害、頭部傷害、脳への血液供給が低減されるかまたは障害された状態、脳の感染性疾患、神経変性疾患を含めた、ニューロンの構造、機能、または生存の喪失が関与するかまたは関連する場合に適用可能である。本発明の方法に従い処置、防止、または改善するための例示的なこのような疾患または状態には、脊髄損傷(SCI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、脳卒中、パーキンソン病、ハンチントン病、出産前低酸素症/周産期虚血、および/または脳性まひ、脳症、脊髄症、ならびに運動ニューロン疾患が含まれる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ