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技術 関節炎患者の滑膜の微小血管系に特異的に結合する抗体

出願人 クイーンマリーユニバーシティオブロンドン
発明者 ピツァリス,コスタンティーノ
出願日 2011年9月30日 (9年9ヶ月経過) 出願番号 2013-530798
公開日 2014年1月23日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 2014-501490
状態 特許登録済
技術分野 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 微生物、その培養処理 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質 医薬品製剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 磁気共鳴イメージング装置 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 管構成要素 荷重面 カウンティング法 パーセント超 平均コスト 拡散性物質 総コスト 有機金化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題・解決手段

本発明は、関節炎患者滑膜微小血管系を特異的に標的とし、かつ配列番号1〜4からなる群より選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、抗原結合ポリペプチドを提供する。本発明はまた、関節炎の診断および処置において使用するためのそのような抗原結合ポリペプチドおよびその結合体の使用に関する。その抗原結合ポリペプチドは、微小血管系の間質区画および/または血管周囲細胞と反応し得、血管周囲性反応を示し得る。

概要

背景

発明の背景
関節リウマチ(RA)は、最も一般的な自己免疫疾患の1つであり、欧州だけで300万人超に影響を与えている、慢性疼痛の主な原因である。集団の1〜2%が関節リウマチに罹患している。Medical Expenditure Panel Survey(MEPS)データによると、米国では、2003年に関節リウマチおよび関連する関節炎処置に費やされた総コストは、1280億ドルだった;1人あたりの平均コストは、現在、8500ドルである。毎年、関節炎およびその関連合併症は、750,000件を超える入院および3600万人の外来患者来診を招いている。任意のタイプの関節炎に苦しんでいる人々の最大15%は、行うことができる身体活動の量の減少に悩まされている。代表的には、身体活動が減少すると、独立性および自由を欠くので、患者は、うつを発症する傾向にある。

英国では、およそ400,000人の成人が関節リウマチを有し、関節炎は、人々が障害生活手当(Disability Living Allowance)を受ける最も一般的な状態である。50万人を超える人々が、関節炎の結果としてDLAを受け(全DLA受給者の18パーセント超に相当する)、これは、心臓疾患、脳卒中、胸部疾患およびがんの組み合わせについての合計よりも多い。

RAは、一般に身体の両側の手首、指、、足および足首に影響を及ぼす、滑膜性関節炎症性疾患である。関節および裏打ちし、保護し、関節の滑らかで自由な動きを可能にする滑膜の炎症を、RAは引き起こす。滑膜の炎症は、患部の関節の腫脹を引き起こし、最終的には進行性軟骨破壊および骨の侵食に至り、可動範囲を損ない、変形をもたらす。

RAは、身体の他の臓器にも影響し、深刻な障害および命に関わる合併症をもたらし得る持続的な進行性疾患である。ゆえに、RAは、関連する有意な罹患率および死亡率を有する障害の主な原因である。

RAの発病年齢は、様々であり、小児から90代の個体に及ぶ。西ヨーロッパおよび米国の集団におけるRAの有病率は、およそ1%であり、女性男性比率は3:1である。さらに、関節リウマチに関する1年間の経済的影響の総額は、西ヨーロッパにおいておよそ350億ポンド見積もられている。

細胞ベルにおいて、滑膜は、プロテオグリカン凝集体を含むよく組織化されたマトリックス毛細血管およびリンパ管ネットワーク、ならびに内在線維芽細胞およびマクロファージ様細胞から構成されている。しかしながら、RAでは、滑膜は、Tヘルパー細胞B細胞、マクロファージおよび形質細胞によって浸潤されるようになる。さらに、滑膜は、過形成、および軟骨と骨との間の境界領域において局所的に侵襲性になっており、関節軟骨軟骨下骨および関節周囲軟部組織の破壊を引き起こし、長期間の関節の損傷、変形および深刻な障害をもたらす(図1を参照のこと)。

現在、滑膜における血管新生(既存の血管からの新しい血管の成長)が、この疾患の病因および進行に対して有意な寄与を有することが十分に確立されている。滑膜の細胞過多が、滑膜の血管の数および密度代償的増加を伴うので、実際に、滑膜の血管新生は、RAの他の病理学的特徴先行し得る。

関節リウマチの処置の最終目的は、関節の損傷を防ぐこと、機能喪失を防ぐこと、およびRAに関連する疼痛を減少させることである。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および疾患修飾性抗リウマチ薬DMARD)は、現在、RA処置の主要な形態であるが、著しい副作用を伴うことが多い。NSAIDは、への刺激胃腸潰瘍および腎臓損傷を引き起こし得る。DMARDの副作用は、使用される薬物のタイプ次第である。アザチオプリンは、感染、肝臓損傷毛髪脱落および下痢リスクを上昇させる。シクロスポリンは、腎臓損傷、高血圧および歯肉肥厚を引き起こす。クロロキン群は、胃炎、下痢および視覚の問題を引き起こす。金塩は、腫大、歯肉の出血発疹および腎臓損傷を引き起こし得る。メトトレキサートは、肝臓損傷および骨髄抑制を引き起こし得る。スルファサラジンは、胃腸の不調およびアレルギー反応を引き起こし得る。より新しい生物反応修飾物質は、免疫系を抑制し、結核のような潜伏感染再活性化を引き起こし得る。

RAの治療は、一連サイトカイン、T細胞およびB細胞を標的とする組換え抗体の導入によって、この10年間で有意に改善されてきた。

最初のEtanerceptおよびその後すぐのInfliximabの認可以来、さらに3つのTNF中和抗体(Adalimumab、Certulizumab pegolおよびGolimumab)が認可された。さらに、T細胞[および/または樹状細胞](Abatacept)、B細胞(Rituximab)およびサイトカインIL−6に対するレセプター(Tocilizumab)を標的とする組換え抗体もまた、FDAによってRAの処置に対して認可された(非特許文献1)、(非特許文献2)。

しかしながら、現在の治療の明らかな効果にもかかわらず、長期間にわたって処置から解放される緩解は、得られていない。持続性かつ高度の臨床反応は、少数によってしか達成されず(非特許文献1,上記)、およそ20〜40%の患者は、抗サイトカイン治療に反応しない(非特許文献3)。また、現在の治療薬は、関連するいくつかの悪影響(例えば、持続的な投与を望ましくないものとする感染症および悪性疾患高リスク)を示す(非特許文献1,上記)。

概要

本発明は、関節炎患者の滑膜の微小血管系を特異的に標的とし、かつ配列番号1〜4からなる群より選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、抗原結合ポリペプチドを提供する。本発明はまた、関節炎の診断および処置において使用するためのそのような抗原結合ポリペプチドおよびその結合体の使用に関する。その抗原結合ポリペプチドは、微小血管系の間質区画および/または血管周囲細胞と反応し得、血管周囲性反応を示し得る。

目的

本発明は、関節炎患者の滑膜の微小血管系を特異的に標的とし、かつ配列番号1〜4からなる群より選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、抗原結合ポリペプチドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

関節炎患者滑膜微小血管系を特異的に標的とし、かつ配列番号1〜4からなる群より選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、抗原結合ポリペプチド

請求項2

配列番号5〜8からなる群より選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、請求項1に記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項3

微小血管系の間質区画と反応する、請求項1または2に記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項4

血管周囲細胞と反応する、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項5

血管周囲性反応を示す、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項6

配列番号9に示されるようなVL配列を含む、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項7

配列番号10に示されるようなVH配列を含む、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項8

scFvである、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項9

ヒト抗体である、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項10

変形性関節症および/または関節リウマチの患者の滑膜の微小血管系を特異的に標的とする、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項11

配列番号11として示されるアミノ酸配列を含む請求項1または2に記載の抗原結合ポリペプチドと同じエピトープに結合する、抗原結合ポリペプチド。

請求項12

治療用サイトカイン抗血管新生剤抗リウマチ薬感光性物質または磁性ナノ粒子のうちの1つ以上と結合体化されている、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項13

RAの処置において使用するためのものである、前述の請求項のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項14

関節の血管系の画像化において使用するためのものである、請求項1〜12のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項15

関節炎の診断モニタリングまたは予後診断において使用するためのものである、請求項14に記載の抗原結合ポリペプチド。

請求項16

被験体における関節炎を処置するための方法であって、請求項1〜11のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチドまたは請求項12に記載の結合体を被験体に投与する工程を包含する、方法。

請求項17

被験体における関節炎を処置するための方法であって、(i)感光性物質に結合体化された請求項1〜12のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチドを被験体に投与する工程;(ii)該結合体が関節の滑膜の血管系を標的とする工程;(ii)該滑膜の血管系内で該感光性物質を活性化するために、該関節に光を適用する工程を包含する、方法。

請求項18

被験体における関節炎を処置するための方法であって、(i)磁性ナノ粒子に結合体化された請求項1〜12のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチドを被験体に投与する工程;(ii)該結合体が関節の滑膜の血管系を標的とする工程;(ii)該滑膜の血管系内で該磁性ナノ粒子を活性化するために、該関節に磁場を適用する工程を包含する、方法。

請求項19

前記物質の活性化が、既存の血管系の破壊をもたらす、請求項17または18に記載の方法。

請求項20

TNF−α遮断治療薬の投与も包含する、請求項17〜19のいずれかに記載の組み合わせの方法。

請求項21

変形性関節症および/または関節リウマチを処置するための、請求項17〜20のいずれかに記載の方法。

請求項22

患者に投与されたときに滑膜の微小血管系を標的とする物質を生成するための方法であって、該方法は、インビトロにおいて該物質を請求項1〜11のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチドに結合体化する工程を包含する、方法。

請求項23

前記物質が、治療用の物質、画像化の物質または診断用の物質である、請求項22に記載の方法。

請求項24

前記物質が、治療用サイトカイン、抗血管新生剤、抗リウマチ薬、感光性物質または磁性ナノ粒子である、請求項22または23に記載の方法。

請求項25

請求項1〜12のいずれかに記載の抗原結合ポリペプチドをコードする核酸配列

請求項26

配列番号12として示される配列またはそのバリアントを含む、請求項25に記載の核酸配列。

請求項27

請求項25または26に記載の核酸配列を含む、ベクター

請求項28

請求項27に記載のベクターを含む、宿主細胞

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、関節炎患者滑膜微小血管系を特異的に標的とする抗原結合ポリペプチドに関する。そのポリペプチドおよびその結合体は、関節の血管系の画像化において、ならびに関節炎の診断および処置のために、使用され得る。

背景技術

0002

発明の背景
関節リウマチ(RA)は、最も一般的な自己免疫疾患の1つであり、欧州だけで300万人超に影響を与えている、慢性疼痛の主な原因である。集団の1〜2%が関節リウマチに罹患している。Medical Expenditure Panel Survey(MEPS)データによると、米国では、2003年に関節リウマチおよび関連する関節炎の処置に費やされた総コストは、1280億ドルだった;1人あたりの平均コストは、現在、8500ドルである。毎年、関節炎およびその関連合併症は、750,000件を超える入院および3600万人の外来患者来診を招いている。任意のタイプの関節炎に苦しんでいる人々の最大15%は、行うことができる身体活動の量の減少に悩まされている。代表的には、身体活動が減少すると、独立性および自由を欠くので、患者は、うつを発症する傾向にある。

0003

英国では、およそ400,000人の成人が関節リウマチを有し、関節炎は、人々が障害生活手当(Disability Living Allowance)を受ける最も一般的な状態である。50万人を超える人々が、関節炎の結果としてDLAを受け(全DLA受給者の18パーセント超に相当する)、これは、心臓疾患、脳卒中、胸部疾患およびがんの組み合わせについての合計よりも多い。

0004

RAは、一般に身体の両側の手首、指、、足および足首に影響を及ぼす、滑膜性関節炎症性疾患である。関節および裏打ちし、保護し、関節の滑らかで自由な動きを可能にする滑膜の炎症を、RAは引き起こす。滑膜の炎症は、患部の関節の腫脹を引き起こし、最終的には進行性軟骨破壊および骨の侵食に至り、可動範囲を損ない、変形をもたらす。

0005

RAは、身体の他の臓器にも影響し、深刻な障害および命に関わる合併症をもたらし得る持続的な進行性疾患である。ゆえに、RAは、関連する有意な罹患率および死亡率を有する障害の主な原因である。

0006

RAの発病年齢は、様々であり、小児から90代の個体に及ぶ。西ヨーロッパおよび米国の集団におけるRAの有病率は、およそ1%であり、女性男性比率は3:1である。さらに、関節リウマチに関する1年間の経済的影響の総額は、西ヨーロッパにおいておよそ350億ポンド見積もられている。

0007

細胞ベルにおいて、滑膜は、プロテオグリカン凝集体を含むよく組織化されたマトリックス毛細血管およびリンパ管ネットワーク、ならびに内在線維芽細胞およびマクロファージ様細胞から構成されている。しかしながら、RAでは、滑膜は、Tヘルパー細胞B細胞、マクロファージおよび形質細胞によって浸潤されるようになる。さらに、滑膜は、過形成、および軟骨と骨との間の境界領域において局所的に侵襲性になっており、関節軟骨軟骨下骨および関節周囲軟部組織の破壊を引き起こし、長期間の関節の損傷、変形および深刻な障害をもたらす(図1を参照のこと)。

0008

現在、滑膜における血管新生(既存の血管からの新しい血管の成長)が、この疾患の病因および進行に対して有意な寄与を有することが十分に確立されている。滑膜の細胞過多が、滑膜の血管の数および密度代償的増加を伴うので、実際に、滑膜の血管新生は、RAの他の病理学的特徴先行し得る。

0009

関節リウマチの処置の最終目的は、関節の損傷を防ぐこと、機能喪失を防ぐこと、およびRAに関連する疼痛を減少させることである。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および疾患修飾性抗リウマチ薬DMARD)は、現在、RA処置の主要な形態であるが、著しい副作用を伴うことが多い。NSAIDは、への刺激胃腸潰瘍および腎臓損傷を引き起こし得る。DMARDの副作用は、使用される薬物のタイプ次第である。アザチオプリンは、感染、肝臓損傷毛髪脱落および下痢リスクを上昇させる。シクロスポリンは、腎臓損傷、高血圧および歯肉肥厚を引き起こす。クロロキン群は、胃炎、下痢および視覚の問題を引き起こす。金塩は、腫大、歯肉の出血発疹および腎臓損傷を引き起こし得る。メトトレキサートは、肝臓損傷および骨髄抑制を引き起こし得る。スルファサラジンは、胃腸の不調およびアレルギー反応を引き起こし得る。より新しい生物反応修飾物質は、免疫系を抑制し、結核のような潜伏感染再活性化を引き起こし得る。

0010

RAの治療は、一連サイトカイン、T細胞およびB細胞を標的とする組換え抗体の導入によって、この10年間で有意に改善されてきた。

0011

最初のEtanerceptおよびその後すぐのInfliximabの認可以来、さらに3つのTNF中和抗体(Adalimumab、Certulizumab pegolおよびGolimumab)が認可された。さらに、T細胞[および/または樹状細胞](Abatacept)、B細胞(Rituximab)およびサイトカインIL−6に対するレセプター(Tocilizumab)を標的とする組換え抗体もまた、FDAによってRAの処置に対して認可された(非特許文献1)、(非特許文献2)。

0012

しかしながら、現在の治療の明らかな効果にもかかわらず、長期間にわたって処置から解放される緩解は、得られていない。持続性かつ高度の臨床反応は、少数によってしか達成されず(非特許文献1,上記)、およそ20〜40%の患者は、抗サイトカイン治療に反応しない(非特許文献3)。また、現在の治療薬は、関連するいくつかの悪影響(例えば、持続的な投与を望ましくないものとする感染症および悪性疾患高リスク)を示す(非特許文献1,上記)。

先行技術

0013

TaylorおよびFeldmann, Nat Rev Rheumatol 2009 5(10):578−582
Isaacs, Arthritis Res Ther 2009 11(3):225
Kremer, Annals of Internal Medicine 2001 134(8):695−706

発明が解決しようとする課題

0014

ゆえに、RAにおいて未だ対処されていない大きな臨床的ニーズが存在し、緩解誘導頻度がより高く、全身毒性が低い改善された安全性プロファイルを有する、代替治療法選択肢が必要とされている。

課題を解決するための手段

0015

発明の態様の要旨
本発明者らは、正常な組織に対しては、ほとんどまたはまったく反応性を有しないが、RA患者由来滑膜組織の微小血管系との、血管周囲性反応を示す、scFv抗体を同定した。

0016

第1の態様において、本発明は、関節炎患者の滑膜の微小血管系を特異的に標的とし、かつ配列番号1〜4からなる群より選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、抗原結合ポリペプチドを提供する。

0017

その抗原結合ポリペプチドは、配列番号5〜8からなる群より選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含み得る。

0018

その抗原結合ポリペプチドは、微小血管系の間質区画および/または血管周囲細胞と反応し得、血管周囲性反応を示し得る。

0019

その抗原結合ポリペプチドは、配列番号9に示されるようなVL配列および/または配列番号10に示されるようなVH配列を含み得る。

0020

その抗原結合ポリペプチドは、scFvであり得る。

0021

その抗原結合ポリペプチドは、完全にヒトのポリペプチドであり得る。

0022

その抗原結合ポリペプチドは、変形性関節症(osteoartritis)および/または関節リウマチの患者の滑膜の微小血管系を特異的に標的とし得る。

0023

本発明はまた、本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドと同じエピトープに結合する、抗原結合ポリペプチドも提供する。その抗原結合ポリペプチドは、配列番号11として示されるアミノ酸配列を含む抗原結合ポリペプチドと同じエピトープに結合し得る。

0024

本発明はまた、別の物質と結合している抗原結合ポリペプチドも提供する。その抗原結合ポリペプチドは、例えば、他の物質に結合体化され得る。その物質は、以下:治療用サイトカイン、抗血管新生剤抗リウマチ薬感光性物質または磁性ナノ粒子のうちの1つ以上を含み得る。

0025

本発明はまた、RAの処置において使用するための、関節の血管系の画像化において使用するための、および/または関節炎の診断、モニタリングもしくは予後診断において使用するための、本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドまたはその結合体も提供する。

0026

第2の態様において、本発明は、被験体における関節炎を処置するための方法を提供し、その方法は、本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドまたはその結合体を被験体に投与する工程を包含する。

0027

その方法は、以下の工程:
(i)感光性物質に結合体化された本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドを被験体に投与する工程;
(ii)その結合体が関節の滑膜の血管系を標的とする工程;
(ii)その滑膜の血管系内で感光性物質を活性化するために、その関節に光を適用する工程
を包含し得る。

0028

上記方法は、以下の工程:
(i)磁性ナノ粒子に結合体化された本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドを被験体に投与する工程;
(ii)その結合体が関節の滑膜の血管系を標的とする工程;
(ii)その滑膜の血管系内で磁性ナノ粒子を活性化するために、その関節に磁場を適用する工程
を包含し得る。

0029

そのような方法において、上記物質の活性化は、既存の血管系の破壊をもたらし得る。

0030

上記方法は、別の治療薬の同時の、別個のまたは逐次的な使用を含む、組み合わせの方法であり得る。例えば、処置は、TNF−α遮断治療薬の投与も含み得る。

0031

上記方法は、変形性関節症および/または関節リウマチを処置するための方法であり得る。

0032

第3の態様において、本発明は、ある物質が滑膜の微小血管系を標的とするための方法を提供し、その方法は、その物質と本発明の第1の態様の抗原結合ポリペプチドとの結合をインビトロで形成する工程を包含する。その物質は、例えば、その抗原結合ポリペプチドに結合体化され得る。その結合は、その物質/抗原結合ポリペプチドが関節炎患者に投与されると、その物質が血管新生部位に選択的に蓄積するような結合であり得る。

0033

上記物質は、治療用の物質、画像化の物質または診断用の物質であり得る。例えば、その物質は、治療用サイトカイン、抗血管新生剤、抗リウマチ薬、感光性物質(photosensensitive agent)または磁性ナノ粒子であり得る。

0034

第4の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドまたはその結合体をコードする核酸配列を提供する。

0035

その核酸配列は、配列番号12として示される配列またはそのバリアントを含み得る。

0036

第5の態様において、本発明は、本発明の第4の態様に係る核酸配列を含むベクターを提供する。

0037

第6の態様において、本発明は、本発明の第4の態様に係る核酸または本発明の第6の態様に係るベクターを含む宿主細胞を提供する。

0038

本発明の抗原結合ポリペプチドは、例えば、リウマチ様疾患の処置のための選択的生物製剤において使用され得る、多用途の血管標的化物質として役立つ独特のツールである。

0039

本発明の抗原結合ポリペプチドは、関節炎の処置のための既存の組換え抗体療法に関連する問題の多くに応えている。例えば、本ポリペプチドが、正常な組織との有意な反応性なしに、滑膜組織内で血管周囲性反応を示すという事実に起因して、本ポリペプチドは、高濃度の従来のまたは生物学的な薬物を疾患部位送達するために使用され得る。

図面の簡単な説明

0040

正常な関節と関節リウマチの関節との比較。健常な関節(a)では、薄い滑膜が関節の非荷重面を裏打ちしている。関節リウマチ(b)では、滑膜は、過形成になっており、慢性炎症細胞によって浸潤されている。最終的には、それは、「パンヌス」になり、関節軟骨およびその下にある骨の上および中に移動する。
滑膜組織に対するscFv A7抗体のインビトロ反応性の免疫組織学的分析。滑膜組織の切片に対するscFv A7の反応性を、ビオチン化scFv A7を用いて調べた。
滑膜の微小血管系内でのscFv A7の細胞反応性特徴づけ。滑膜の微小血管系の細胞成分に対するscFvの反応性を、内皮特異的マーカーフォンビルブラント因子(vWF)およびCD31ならびに血管周囲細胞特異的マーカーのNG2を用いた、RA患者由来の凍結ヒト滑膜組織の二重染色によって調べた。結合したscFv A7をそのビオチン化タグによって、Texas Red−アビジン抗体を用いて検出した。vWF、CD31およびNG2の結合を、Alexa488(緑色)またはAlexa594(赤色)によって検出した。
I125scFv A7によるヒト滑膜組織のインビボ標的化。インビボにおいてscFvが滑膜異種移植片の微小血管系を優先的に標的とする能力を、滑膜および皮膚の異種移植片を二重で有するSCIマウスヨウ素化scFvを注射することによって調べた。抗体投与の4時間後および24時間後に、γカウントによって移植片組織を調べた。続いて、結果を、組織重量および血液プールにおけるバックグラウンド放射能に対して補正し、注射量に対する組織と血液との比のパーセンテージとして表した。各条件についてN=5。ヨウ素化scFvHELをネガティブコントロールとして使用した。
免疫組織化学によって評価された、正常ヒト組織に対するscFvクローンA7の反応性の発現プロファイル。正常ヒト組織に対するscFv A7の反応性を、様々な臓器由来の正常ヒト組織のパラフィン包組織マイクロアレイを用いて調べた。結合したビオチン化scFv A7抗体を、アビジンHRP(色)によって検出した。抗フォン・ビルブラント因子を、組織切片内の血管の存在を検出するために使用した。スケールバー=20μm。
scFv A7の重鎖および軽鎖のCDR2およびCDR3アミノ酸配列。可変アミノ酸ドメインを赤色で示している。ライブラリー中に存在するすべての抗体クローンは、これらの位置だけで異なり、他の箇所は同一である。
scFv A7の配列。(A)scFv A7の模式図。(B)scFv A7のDNA配列。(C)scFv A7の予測されるアミノ酸配列。ペプチドリンカー配列(赤色)およびCDR領域配列(茶色)が強調されている。
正常ヒト組織におけるscFv A7の免疫組織化学。正常ヒト滑膜組織に対するscFv A7の反応性。連続的な切片は、vWFおよびα−アクチンで染色される血管を示している。scFv A7抗体を用いたとき、反応性は観察されない。示されている像は、調べた11個の独立したサンプルの代表的な像である。スケールバー=50μm。A:vWFB:α−アクチンC:scFv A7
炎症性組織の微小血管系に対するscFv A7抗体の反応性。正常な結腸クローン病の結腸、正常な皮膚および乾癬の皮膚に対するscFv A7の反応性を評価した。微小血管系の存在を、抗ヒトWF抗体を用いて可視化した。ビオチン化scFv A7を、ABC−HRPを用いて検出した。vWF抗体の反応性を、HRP標識された二次抗体を用いて検出した。示されている像は、調べた5つの正常結腸サンプル、7つのクローン病の結腸サンプルおよび5つの皮膚サンプルの代表的な像である。スケールバー=100μm。
PC3細胞に対するscFv A7の反応性。免疫細胞化学を用いて、前立腺がん細胞株PC3の細胞表面に対するscFv A7の反応性を調べた。その細胞表面に対する反応性を、ホルムアルデヒド固定されたが透過処理されていない細胞を使用することによって調べた。結合したscFv A7を、抗c−Myc抗体に続いてAlexa488を使用することによって、そのMycタグを介して検出した。

0041

詳細な説明
抗原結合ポリペプチド
本発明の第1の態様は、抗原結合ポリペプチドに関する。

0042

用語「抗原結合ポリペプチド」は、1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含み、かつ抗体または抗体様分子と同様に抗原に結合するポリペプチドを意味するために使用される。

0043

伝統的な抗体分子は、ジスルフィド結合によって相互に接続された4本のポリペプチド鎖:2本の重(H)鎖;および2本の軽(L)鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLを含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域の間に散在する、相補性決定領域(CDR)1と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分され得る。VHおよびVLの各々は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置される3つのCDRおよび4つのFRから構成される。

0044

伝統的な抗体分子では、重鎖と軽鎖の対形成によって、各鎖のCDRが引き合わされることにより、各Fabアームの先端に抗原結合部位を形成する単一の超可変表面が生じる。合計6つのCDRのうちの1つのサブセットだけが、抗原結合に寄与するのが通常である。例えば、抗体MOPC603が、ホスホコリンに結合するとき、軽鎖可変領域は、CDR3だけを結合部位に与えるのに対し、重鎖は3つすべてのCDRが関わる。

0045

本抗原結合ポリペプチドは、配列番号1〜4として示される群からの2、3または4つのCDRを含み得る。

0046

例えば、ドメイン抗体(dAb、下記を参照のこと)では、単一のVHまたはVL鎖が抗原に結合することも可能である。本抗原結合ポリペプチドは、両方のVHCDR(配列番号1および2)および/または両方のVL CDR(配列番号3および4)を含み得る。

0047

用語「抗体」は、インタクトな抗体、抗体のフラグメント、例えば、Fab、F(ab’)2フラグメント、ならびにその定常および/または可変領域において変異(例えば、キメラ抗体、部分的ヒト化抗体または完全ヒト化抗体を生成する変異、ならびに所望の形質、例えば、高いIL13結合性および/または低いFcR結合性を有する抗体を生成する変異)を有するインタクトな抗体およびフラグメントを包含する。

0048

用語「フラグメント」とは、インタクトなまたは完全な抗体または抗体鎖よりも少ないアミノ酸残基を含む、抗体または抗体鎖の一部または部分のことを指す。フラグメントは、インタクトなまたは完全な抗体または抗体鎖の化学的または酵素的な処理を介して得ることができる。フラグメントは、組換え手段によっても得ることができる。結合フラグメントには、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、Fd、dAb、Fv、一本鎖一本鎖抗体、例えば、scFv、単一ドメイン抗体(Muldermansら、2001J Biotechnol.26:230−5)および単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。

0049

Fabフラグメントは、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価のフラグメントである。F(ab’)2フラグメントは、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントである。Fdフラグメントは、VHおよびCH1ドメインからなり、Fvフラグメントは、抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなる。

0050

dAbフラグメントは、単独で抗体に結合することができる単一のVHドメインまたはVLドメインからなる(WO90/05144;WO03/002609)。ダイアボディなどの他の形態の一本鎖抗体も包含される。ダイアボディは、二価の二重特異性抗体であり、ここで、VHおよびVLドメインは単一のポリペプチド鎖上で発現させられるが、短すぎて同じ鎖上のそれらの2つのドメインを対形成させることができないリンカーを用いることにより、それらのドメインは別の鎖の相補的なドメインと対形成せざるを得ず、それによって、2つの抗原結合部位が生成される(例えば、Holligerら、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448を参照のこと)。

0051

実施例に記載される抗原結合ポリペプチドは、scFvフラグメントである。伝統的な抗体分子では、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHは、別個の遺伝子によってコードされる。しかしながら、それらは、組換え方法を用いて、VLおよびVH領域が対形成して一価の分子を形成する一本鎖Fv(scFv)として知られる単一のタンパク質鎖として生成されることを可能にする合成リンカーによって、連結され得る(Birdら、1988,Science 242:423−426)。

0052

抗体様分子は、合成分子(例えば、SMIPおよび低分子抗体模倣物)における、CDRの別々のまたは組み合わせた使用を含む。特異性決定領域(SDR)は、抗原と直接相互作用するCDR内の残基である。そのSDRは、超可変残基に対応する。(Padlanら(1995)FASEB J.9:133−139)を参照のこと。CDRは、2つのCDR領域およびフレームワーク領域を含む低分子抗体模倣物においても使用され得る(Quiら、Nature Biotechnology Vol 25;921−929;August 2007)。

0053

抗体またはその結合部分は、その抗体または抗体部分と1つ以上の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合性または非共有結合性の結合によって形成されるより大きな免疫接着分子(immunoadhesion molecule)の一部でもあり得る。そのような免疫接着分子の例としては、四量体scFv分子を生成するストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov,S.M.ら(1995)Human Antibodies and Hybridomas 6:93−101)、ならびにビオチン化された二価のscFv分子を生成する、システイン残基マーカーペプチドおよびC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov,S.M.ら(1994)Mol.Immunol.31:1047−1058)が挙げられる。

0054

本発明の抗原結合ポリペプチドは、配列番号1〜4からなる群より選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。

0055

CDR

0056

Xは、任意のアミノ酸であり得る。

0057

所与のCDRについて、配列番号1〜4においてXで表されているアミノ酸の1つ以上は、配列番号5〜8に示されるとおりのものであり得る。

0058

例えば、配列番号1に記載のCDRは、以下:

0059

のうちの1つであり得る。

0060

所与のCDRについて、Xで表されているアミノ酸の2、3、4、5個またはそれ以上は、配列番号5〜8に示されたとおりのものであり得る。

0061

本発明の抗原結合ポリペプチドは、配列番号5〜8からなる群より選択される少なくとも1つのCDRを含み得る。

0062

V領域
本発明の抗原結合ポリペプチドは、配列番号1、2、5および6からなる群より選択されるCDRをVH領域の一部として含み得る。

0063

本発明の抗原結合ポリペプチドは、配列番号3、4、7および8からなる群より選択されるCDRをVL領域の一部として含み得る。

0064

本発明の抗原結合ポリペプチドは、配列番号1、2、5および6からなる群より選択されるCDRをVH領域の一部として;ならびに配列番号3、4、7および8からなる群より選択されるCDRをVL領域の一部として含み得る。

0065

本発明の抗原結合ポリペプチドは、配列番号1および2(または5および6)に対応する2つのCDRをVH領域の一部として含み得る。

0066

本発明の抗原結合ポリペプチドは、配列番号3および4(または7および8)に対応する2つのCDRをVL領域の一部として含み得る。

0067

本発明の抗原結合ポリペプチドは、配列番号1および2(または5および6)に対応する2つのCDRをVH領域の一部として;ならびに配列番号3および4(または7および8)に対応する2つのCDRをVL領域の一部として含み得る。

0068

その抗原結合ポリペプチドは、配列番号9に示されるようなVL領域、または例えば、少なくとも70、80、90、95もしくは99%の配列同一性を有するそのバリアントを含み得る。

0069

その抗原結合ポリペプチドは、配列番号10に示されるようなVH領域、または例えば、少なくとも70、80、90、95もしくは99%の配列同一性を有するそのバリアントを含み得る。

0070

VH領域とVL領域の両方について、配列内のバリエーションは、そのポリペプチドのフレームワーク領域(すなわち、図7Bにおいて黒色で示される部分)に集中し得る。CDR(茶色で示される部分に対応する)は、比較的少ないアミノ酸置換を含み得る。CDRは、図6において赤色で示される位置、すなわち、配列番号1〜4においてアミノ酸Xで表される位置に対応する位置にだけ、置換を含むべきであり、他のCDRの位置(図6において黒色で示される位置)には置換を含むべきではない。

0071

SCFV
本抗原結合ポリペプチドは、配列番号11として示される配列、または例えば、少なくとも70、80、90、95もしくは99%の配列同一性を有するそのバリアントを有するscFvであり得る。

0072

また、この配列内のバリエーションは、そのポリペプチドのフレームワーク領域およびリンカー領域(すなわち、図7Bにおいてそれぞれ黒色および赤色で示される部分)に集中し得る。CDR(茶色で示される部分に対応する)は、比較的少ないアミノ酸置換を含み得る。CDRは、図6において赤色で示される位置、すなわち、配列番号1〜4においてアミノ酸Xで表される位置に対応する位置にだけ、置換を含み得る。

0073

列比較
同一性の比較は、目視によって、またはより通常では、容易に入手可能な配列比較プログラムの助けを借りて、行われ得る。これらの商業的に入手可能なコンピュータプログラムは、2つ以上の配列間の%同一性を計算することができる。そのようなアラインメントの実行に適したコンピュータプログラムは、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(University of Wisconsin,U.S.A.;Devereuxら、1984,Nucleic AcidsResearch 12:387)である。配列比較を行うことができる他のソフトウェアの例としては、BLASTパッケージ(Ausubelら、1999同書−Chapter 18を参照のこと)、FASTA(Atschulら、1990,J.Mol.Biol.,403−410)および比較ツールのGENEWORKS一式が挙げられるが、これらに限定されない。BLASTとFASTAの両方が、オフラインおよびオンライン検索利用可能である(Ausubelら、1999 同書,7−58から7−60頁を参照のこと)。しかしながら、いくつかの用途では、GCG Bestfitプログラムを使用することが好ましい。BLAST2 Sequencesと呼ばれる新しいツールもまた、タンパク質およびヌクレオチド配列を比較するために利用可能である(FEMS Microbiol Lett 1999 174(2):247−50;FEMS Microbiol Lett 1999 177(1):187−8およびtatiana@ncbi.nlm.nih.govを参照のこと)。

0074

配列は、サイレントな変化を生成して機能的に等価な分子をもたらす、アミノ酸残基の1つ以上の欠失、挿入または置換を有し得る。活性が保持される限り、それらの残基の極性電荷溶解性疎水性親水性および/または両親媒性性質類似性に基づいて、計画的なアミノ酸置換が行われ得る。例えば、負に帯電したアミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ;正に帯電したアミノ酸には、リジンおよびアルギニンが含まれ;類似の親水性の値を有する非荷電極性の頭部を有するアミノ酸には、ロイシンイソロイシンバリングリシンアラニンアスパラギングルタミンセリントレオニンフェニルアラニンおよびチロシンが含まれる。

0075

保存的置換は、例えば下記の表に従って、行われ得る。第2列の同じブロックおよび好ましくは第3列の同じ行のアミノ酸が、互いに対して置換され得る。

0076

ヒト抗体
本抗原結合ポリペプチドは、非ヒトキメラヒト化または完全ヒトであり得る。

0077

非ヒト抗体には、マウス、ラットウサギヒツジヤギまたは他の哺乳動物由来の、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体調製物が含まれる。

0078

明細書中で使用されるとき、用語「モノクローナル抗体」とは、構造および抗原特異性が均一である、抗体産生細胞(例えば、Bリンパ球またはB細胞)のクローン集団由来する抗体のことを指す。用語「ポリクローナル抗体」とは、構造およびエピトープ特異性が不均一であるが共通の抗原を認識する、抗体産生細胞の異なるクローン集団を起源とする複数の抗体のことを指す。粗ポリクローナル抗体調製物は、動物を抗原で免疫化することによって得られる場合がある。

0079

キメラ抗体は、少なくとも2つの異なる種由来の配列を含む。1つの例として、組換えクローニング法を用いることにより、非ヒト抗体(すなわち、抗原で免疫化された非ヒト種において調製された抗体)由来の可変領域(抗原結合部位を含む)およびヒト免疫グロブリンに由来する定常領域が含められ得る。

0080

本抗原結合ポリペプチドは、ヒト化され得る。

0081

非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」型は、レシピエント超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類)(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基によって置換された、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合では、ヒト免疫グロブリンのFR残基が、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能をさらに洗練させるために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つおよび代表的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、ここで、超可変領域のすべてまたは実質的にすべては、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)、代表的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部分も含み得る。

0082

本抗原結合ポリペプチドは、実施例に記載されるscFvの場合のように、完全にヒトであり得る。

0083

用語「ヒト抗体」は、Kabatらによって記載されたようなヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に対応する可変領域および定常領域を有する抗体を含む(Kabatら(1991)Sequences of proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242を参照のこと)。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的な変異誘発またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を、例えば、CDRおよび特にCDR3に含み得る。その変異は、例えば、選択的変異誘発アプローチを用いて、導入され得る。ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、活性を増強させるアミノ酸残基)で置き換えられた少なくとも1つの位置を有し得る。ヒト抗体は、CDR領域内にいくつかのアミノ酸の変更を有し得る。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書中で使用されるとき、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列移植された抗体を含まないと意図されている。

0084

完全ヒト組換え抗体は、実質的には外来配列を含まないので、治療のために使用されるとき、非ヒト(例えば、マウス)抗体、キメラ抗体またはヒト化抗体よりも免疫原性が相当に低い可能性がある。

0085

反応性
本発明の抗原結合ポリペプチドは、関節炎患者の微小血管系を特異的に標的とする。例えば、その抗原結合ポリペプチドは、変形性関節症または関節リウマチ(RA)の患者の微小血管系を標的とし得る。

0086

図1に示されるように、正常な関節では、滑膜は、関節の非荷重面を裏打ちしている。関節炎において、滑膜は、Tヘルパー細胞、B細胞、マクロファージおよび形質細胞によって浸潤されるようになる。その滑膜では大規模な血管新生が生じ、有意に微小血管系が増加する。本発明の抗原結合ポリペプチドは、この滑膜の微小血管系に対して特異的な反応性を示す。

0087

本抗原結合ポリペプチドは、微小血管系の間質(すなわち、結合組織)区画と反応し得る。微小血管系の間質区画は、安定しており、豊富に存在するので、その区画は、抗体に基づく標的化用途にとって魅力的である。

0088

本抗原結合ポリペプチドは、血管周囲細胞と反応し得る。ルジェー細胞または壁細胞としても知られる血管周囲細胞は、すべての毛細血管および後毛細管小静脈と反管腔側で(abluminally)結合する。血管周囲細胞特異性は、実施例に記載されるようなNG2などの血管周囲細胞特異的マーカーで二重染色することによって調べられ得る。

0089

本抗原結合ポリペプチドは、滑膜の微小血管系に見られる平滑筋細胞の細胞表面に結合し得る。

0090

本抗原結合ポリペプチドは、血管周囲性反応を示し得、すなわち、滑膜の微小血管系内の血管の周囲の部位に優先的に結合し得る。

0091

本発明の抗原結合ポリペプチドは、患者への投与後にその抗原結合ポリペプチドが他の組織(例えば、皮膚)とは対照的に、滑膜に対して優先的な結合能を示すという意味において、関節炎患者の滑膜の血管系を「特異的に標的とする」。本抗原結合ポリペプチドは、他の組織に対して、関節炎の滑膜への2、3または4倍の優先的な結合能を示し得る。

0092

本発明の抗体結合ポリペプチドは、生命維持に必要な臓器(例えば、心臓肝臓膵臓大脳皮質および消化系)とは有意な反応性を示すべきではない。

0093

本発明の抗体結合ポリペプチドは、正常な組織(例えば、リンパ胸腺副腎卵巣および精巣)とは有意な反応性を示すべきではない。

0094

本発明の抗体結合ポリペプチドは、正常な非関節炎の関節を有意に標的とすべきではない。例えば、その抗体結合ポリペプチドは、関節炎の関節と正常な関節との組み合わせを有する関節炎患者に投与されたとき、関節炎の関節を優先的に標的とすべきである。その抗体結合ポリペプチドは、最大量の滑膜の血管新生を示している関節を優先的に標的とし得、および/またはその関節に蓄積し得る。

0095

反応性および/または標的化は、抗体結合ポリペプチドに基づく診断用生成物が高いバックグラウンドレベルに起因して使用に不適となるか、または抗原結合ポリペプチドに基づく治療用生成物が低い特異性レベルに起因して使用するのに安全でなくなるかもしくは有効でなくなる場合、「有意」とみなされる。

0096

複合体/結合体
本抗原結合ポリペプチドは、リウマチ様疾患の診断および/もしくは処置または関節の血管系の画像化において使用するための別の物質と結合され得る。

0097

その結合は、抗原結合ポリペプチド/物質の複合体が、関節炎の被験体に投与されると、その物質が、抗原結合ポリペプチドとの結合によって滑膜の微小血管系を標的とするような結合である。

0098

その物質は、ナノキャリア(例えば、ナノ粒子またはリポソーム)の一部であり得、またはその中にあり得る。そのナノキャリアは、本抗原結合ポリペプチドと結合され得、例えば、それでコーティングされ得る(Petros and DeSimone 2010 Nature Reviews Drug Discovery 9,p615−627;Torchilin The AAPSJournal 2007;9(2)p129−1470)。

0099

あるいは、本抗原結合ポリペプチドは、上記物質に結合体化され得る。タンパク質を結合体化するための手法は、当該分野で公知である。例えば、本抗原結合ポリペプチドおよび物質は、リンカー、通常、可撓性リンカー(例えば、ポリペプチド鎖)または化学的連結基を介して連結され得る。

0100

上記抗原結合ポリペプチドおよび物質は、単一の核酸配列によってコードされ、融合タンパク質として一緒に発現され得る。あるいは、上記抗原結合ポリペプチドおよび物質は、別個に発現され、続いて、例えば、化学的連結物質を用いて、共に連結されてもよい。

0101

上記物質が、それ自体が抗体またはその一部である場合、本発明の抗原結合ポリペプチドおよびその物質は、二機能性抗体などの二重特異性リガンドとして結合され得る。その物質は、例えば、RAの処置のために現在使用されている抗体(例えば、Adalimumab、Certulizumab pegol、Golimumab、Abatacept、RituximabまたはTocilizumab)に基づき得る。

0102

上記物質は、以下:治療用サイトカイン、抗血管新生剤、抗リウマチ薬、感光性物質または磁性ナノ粒子のうちの1つ以上であり得る。

0103

上記物質は、1つ以上のサイトカインを遮断することができる場合がある。例えば、その物質は、TNFα、IL−1、IL−6、IL−15、IL−12/23、IL−17、IL−18、IL−27またはIL−32を遮断することができる場合がある。

0104

上記物質は、直接サイトカインまたはそのレセプターと(例えば、サイトカインレセプターアンタゴニストであることによって)相互作用し得る。

0105

抗血管新生剤は、3つの方法:(i)成長因子が細胞に到達するのを阻止する方法;(ii)細胞内のシグナル伝達を遮断する方法;(iii)細胞間のシグナル伝達に干渉する方法のうちの1つにおいて血管の成長を阻止するように働く。

0106

血管内皮成長因子VEGF)は、新しい血管の成長に関与する。それは、この成長を、内皮細胞を刺激することによって(これは、血管の壁を形成し、栄養分および酸素を組織に輸送する)、促進する。ゆえに、VEGFを阻止することによって、新しい血管の成長が阻害される。ベバシズマブ(Avastin)は、VEGFを阻止する臨床的に認可されたモノクローナル抗体治療薬である。

0107

他の処置は、そうでなければ血管新生をもたらす、内皮細胞内の細胞内シグナル伝達を阻止する。1つのそのようなタイプの薬物は、Sunitinib(Sutent)などのチロシンキナーゼインヒビター(TKI)である。

0108

血管の形成に影響する別の処置は、細胞シグナル伝達に干渉するサリドマイドである。レナリドマイド(Revlimid)は、副作用がより少なくなるように開発されたサリドマイド薬である。

0109

抗リウマチ薬の主要なクラスには:非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);コルチコステロイド;疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD);遅効性抗リウマチ薬(SAARD);および免疫抑制性細胞傷害薬が含まれる。

0110

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、炎症と疼痛の両方の症状軽減をもたらすが、関節リウマチに関連する進行性の骨および軟骨の減少には限定的な作用しか有しない。それらは、身体のプロスタグランジンの産生を遅延させることによって作用する。一般的なNSAIDとしては:イブプロフェン(Motrin、NuprinまたはAdvil)、ナプロキセン(Naprosyn、Aleve)およびインドメタシン(Indocin)が挙げられる。

0111

コルチコステロイドは、非常に強力な抗炎症剤である。それらは、身体によって産生されるコルチゾン合成アナログである。コルチコステロイドは、炎症を減少させるため、および免疫系の活性を抑制するために使用される。最もよく処方されるのは、プレドニゾンおよびデキサメタゾンである。

0112

疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)は、症状を処置するだけでなく、疾患プロセス自体に影響を及ぼす。DMARDは、抗炎症作用も有し、ほとんどが、がんおよびマラリアなどの他の疾患の処置から得られた。抗マラリア薬のDMARDとしては、クロロキン(Aralen)およびヒドロキシクロロキン(Plaquenil)が挙げられる。強力なDMARDとしては:メトトレキサート(Rheumatrex)、スルファサラジン、シクロスポリン、アザチオプリン(Imuran)およびシクロホスファミド(Cytoxan)、アザチオプリン、スルファサラジン、ペニシラミンおよび有機金化合物(例えば、金チオグルコース(Solganol)、金チオリンゴ酸ナトリウム(Aurolate)およびオーラノフィン(Ridaura))が挙げられる。

0113

遅効性抗リウマチ薬(SAARD)は、DMARDの特別なクラスであり、これらの薬物の作用は、遅効性であり、NSAIDの作用ほど迅速に明らかにならない。例としては、ヒドロキシクロロキンおよび金チオグルコースである。

0114

免疫抑制性細胞傷害薬は、NSAIDおよびSAARDによる処置が効果を有しなかった場合に、使用され得る。免疫抑制薬は、免疫系への安定化効果を有する。慢性関節炎に関連する炎症は、免疫系の機能不全に起因するので、このクラスの薬物の使用は、関節リウマチの処置にも有益であると示されている。例としては:メトトレキサート、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシルおよびアザチオプリンである。

0115

上記物質は、プロドラッグ活性化酵素などの酵素であり得る。

0116

感光性物質は、滑膜に存在し、かつ光によって活性化されるとき、既存の血管系の破壊を引き起こす物質である。そのような物質の例は、当該分野で公知であり、例えば、Dolmansら、Nature Reviews Cancer 2003,3,380−387;Huang,Technol Cancer Res Treat.2005,4(3):283−293;Hendrichら、Knee Surg,Sports Traumatol,Arthrosc(2000)8:190−194に記載されているものである。

0117

光増感剤は、照射されたとき、および酸素の存在下において、一重項酸素または反応性ラジカルなどの毒性の拡散性物質を放出する分子である。抗ED−B抗体フラグメントscFv(L19)は、眼球の血管新生のウサギモデルにおいて、新しく形成された血管に選択的に局在化する。この免疫結合体は、光増感剤に化学的に結合され、赤色光で照射されると、眼球の新生血管系の完全かつ選択的な閉塞を媒介し、対応する内皮細胞のアポトーシスを促進する。光増感剤は、ある特定の形態の加齢黄斑変性症光線力学的療法のために、クリニックにおいて既に使用されている。

0118

上記物質は、磁性ナノ粒子であり得るか、またはそれを含み得る。その物質は、磁場によって活性化されると、既存の滑膜の微小血管系の破壊を引き起こすことができる場合がある。好適な磁性ナノ粒子は、当該分野で公知であり、例えば、Vigorら、Biomaterials.2010 Feb;31(6):1307−15に記載されているものである。

0119

本発明はまた、本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドおよびある物質を含む、結合体などの複合体も提供する。

0120

その複合体は、治療的および/または診断的な使用のためのものであり得る。

0121

核酸配列
本発明はまた、本発明に係る抗原結合ポリペプチドまたはその結合体をコードすることができるヌクレオチド配列も提供する。

0122

その核酸配列は、配列番号12として示される配列のすべてもしくは一部、または少なくとも70、80、90、95もしくは99%の配列同一性を有するそのバリアントを含み得る。

0123

ヌクレオチド配列は、天然の配列、合成の配列または組換えの配列であり得る。それは、二本鎖であっても一本鎖であってもよく、DNAもしくはRNAまたはそれらの組み合わせであり得る。それは、例えば、cDNAPCR産物ゲノム配列またはmRNAであり得る。

0124

ヌクレオチド配列は、最適な宿主/宿主細胞における産生のために、コドン最適化され得る。

0125

それは、単離された状態であり得るか、またはプラスミド、ベクターもしくは宿主細胞の一部として存在し得る。

0126

2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、比較目的でアラインメントされ得る各配列における位置を比較することによって、決定され得る。同一性のパーセンテージとしての表現は、比較される配列によって共有される位置における同一の核酸の数の関数のことを指す。FASTA、BLASTまたはENTREZをはじめとした様々なアラインメントアルゴリズムおよび/またはプログラムが使用され得る。FASTAおよびBLASTは、GCG配列分析パッケージ(University of Wisconsin,Madison,WIs.)の一部として入手可能であり、例えば、デフォルトの設定を用いて、使用され得る。ENTREZは、National Center for Biotechnology Information,National Library of Medicine,National Institutes of Health,Bethesda,Mdを介して入手可能である。2つの配列の同一性パーセントは、1のギャップウェイトを用いたGCGプログラムによって決定され得、例えば、各ギャップは、それが2つの配列間の単一のヌクレオチドミスマッチであるように重みづけられる。

0127

バリアント配列は、1つ以上のヌクレオチド置換、挿入または欠失を含み得る。挿入および欠失は、全体的に見て、コード配列の大部分が、配列番号12を基準として「インフレーム」であるようなものであり得る。ヌクレオチド置換は、遺伝暗号における縮重に起因してそのコドンが同じアミノ酸をコードするような「サイレント」な置換であり得る。

0128

ヌクレオチド置換が、コードされるアミノ酸配列を変化させる場合、これらは、ポリペプチドのフレームワーク領域およびリンカー領域(すなわち、図7Bにおいてそれぞれ黒色および赤色で示される部分)に集中し得る。CDRをコードする領域(図7Bにおいて茶色で示される部分に対応する)は、比較的少ない変異を含み得る。CDRをコードする領域は、図6において赤色で示される位置、すなわち、配列番号1〜4においてアミノ酸Xで表される位置に対応する位置におけるアミノ酸に影響し、他のCDR残基には影響しない、変異だけを含むべきである。

0129

ベクター
用語「ベクター」とは、それに連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子のことを指す。ベクターの1つのタイプは、エピソーム、すなわち、染色体外での複製が可能な核酸である。別のタイプのベクターは、宿主細胞の遺伝物質再結合するように設計された組み込みベクターである。ベクターは、自律的に複製するもの、および組み込まれるものの両方であり得、ベクターの特性は、細胞の状況に応じて異なり得る(すなわち、ベクターは、1つの宿主細胞型では自律的に複製し、別の宿主細胞型では完全に組み込まれ得る)。作動可能に連結された発現可能な核酸の発現を指示することができるベクターは、「発現ベクター」と称される。

0130

プラスミドは、染色体DNAから独立して複製することができる、染色体DNAとは別個の染色体外のDNA分子である。それらは通常、環状かつ二本鎖である。

0131

プラスミドは、宿主細胞においてタンパク質を発現するために使用され得る。例えば、特定のタンパク質を発現するために、細菌宿主細胞は、そのタンパク質をコードすることができるプラスミドでトランスフェクトされ得る。この用語は、DNAのより長い部分を収容できる酵母人工染色体および細菌人工染色体も包含する。

0132

宿主細胞
本発明はさらに、本発明の抗原結合ポリペプチドを産生することができる細胞および細胞株を提供する。代表的な宿主細胞としては、細菌、酵母、哺乳動物およびヒトの細胞(例えば、CHO細胞、HEK−293細胞、HeLa細胞CV−1細胞およびCOS細胞)が挙げられる。異種の構築物を宿主細胞に形質転換した後に、安定的な細胞株を作製するための方法は、当該分野で公知である。代表的な非哺乳動物の宿主細胞としては、昆虫細胞が挙げられる(Potterら(1993)Int.Rev.Immunol.10(2−3):103−112)。抗体は、トランスジェニック動物(Houdebine(2002)Curr.Opin.Biotechnol.13(6):625−629)およびトランスジェニック植物(Schillbergら(2003)Cell Mol.Life Sci.60(3):433−45)においても産生され得る。

0133

治療方法
本発明の抗原結合ポリペプチドは、関節炎またはリウマチ性疾患の処置において使用され得る。

0134

関節炎は、通常、疼痛および硬直を伴い、感染、外傷変性変化、自己免疫疾患または他の原因に由来する、1つ以上の関節の急性または慢性炎症を特徴とする疾患に関する一般的な用語である。

0135

変形性関節炎または変性関節疾患としても知られる変形性関節症は、関節軟骨および軟骨下骨を含む関節の分解を含む機械的異常の一群である。症状は、関節痛圧痛、硬直、ロッキング(locking)および時折滲出を含み得る。種々の原因(遺伝性発育性代謝性および機械的)が、軟骨の減少をもたらすプロセスを惹起し得る。

0136

関節リウマチ(RA)は、慢性全身性炎症性障害であり、これは、多くの組織および臓器に影響し得るが、主として滑膜性関節を攻撃する。そのプロセスは、滑膜細胞の過形成、過剰な滑液および滑膜におけるパンヌスの発生に続発する、滑膜の炎症反応滑膜炎)をもたらす。この疾患プロセスの病態は、関節軟骨の破壊および関節の強直に至ることが多い。関節リウマチは、肺、心膜胸膜および強膜における広汎性炎症、ならびに、最も一般的には皮膚の下の皮下組織における結節性病変ももたらし得る。関節リウマチの原因は不明であるが、自己免疫が、その慢性化と進行の両方において中心的役割を果たし、RAは、全身性の自己免疫疾患と考えられている。

0137

本発明の抗原結合ポリペプチドは、関節炎の処置において単独で使用され得る。本抗原結合ポリペプチドは、固有抗血管形成活性を有し得、例えば、血管の増殖に不可欠なメディエーターを阻止することが可能であり得る。現在臨床試験中のそのような物質の例は、抗VEGF抗体およびVEGFレセプターまたはαvβ3インテグリンに対する抗体を中和することができる薬物である。

0138

あるいは、本抗原結合ポリペプチドは、複合体、例えば、結合体として、または別の物質との組み合わせ療法において、使用され得る(下記を参照のこと)。

0139

血管系の破壊
本発明は、既存の滑膜の微小血管系の破壊を含む方法にも関する。

0140

その方法は、本発明に係る抗原結合ポリペプチドを用いて、ある物質が滑膜の微小血管系を標的とすることを含み得、その物質は、既存の微小血管系を破壊することができる。

0141

正常な組織および血管に対する損傷を回避するために、その物質は、滑膜の微小血管系に対して標的化した後にインサイチュで活性化され得るように、選択的に活性化可能であり得る。例えば、その物質は、感光性であり、光によって活性化され得るか;またはその物質は、磁性ナノ粒子を含み、磁場によって活性化され得る。

0142

組み合わせ療法
本発明の抗原結合ポリペプチド、またはその結合体の複合体は、別の治療と組み合わせて使用され得る。その2つの治療薬は、別個の、逐次の、または同時の投与についてのものであり得る。

0143

他の治療は、上に記載されたような、治療用サイトカイン、抗血管新生剤または抗リウマチ薬を含み得る。

0144

本発明の抗原結合ポリペプチドは、関節炎の処置のために使用される別の組換え抗体と組み合わせて使用され得る。

0145

現在、一連のサイトカイン、T細胞およびB細胞を標的とする、関節リウマチ(Rheumatoid Arthitis)を処置するための使用における組換え抗体がいくつか存在する。最初のEtanerceptおよびその後すぐのInfliximabの認可以来、さらに3つのTNF中和抗体(Adalimumab、Certulizumab pegolおよびGolimumab)が認可された。さらに、T細胞[および/または樹状細胞](Abatacept)、B細胞(Rituximab)およびサイトカインIL−6に対するレセプター(Tocilizumab)を標的とする組換え抗体もまた、RAの処置に対してFDAによって認可された(Taylor and Feldmann 2009;Isaacs 2009、両方とも上記のとおり)。

0146

他の処置は、腫瘍壊死因子(TNF)経路の阻止を含み得る。TNFは、炎症反応を促進し、それにより、関節リウマチなどの自己免疫障害に関連する多くの臨床上の問題を引き起こす。

0147

TNFの阻害は、モノクローナル抗体(例えば、インフリキシマブ(Remicade)、アダリムマブ(Humira)、セルトリズマブペゴールCimzia)およびゴリムマブ(Simponi))、またはエタネルセプト(Enbrel)などの循環レセプター融合タンパク質を用いて達成され得る。最も臨床的に有用なTNFインヒビターは、モノクローナル抗体であるが、いくつかは、キサンチン誘導体(例えば、ペントキシフィリン)およびブプロピオンなどの単純な分子である。

0148

第2世代の組換えTNF−α遮断治療薬と組み合わせた血管標的化治療の使用は、現在可能な単一の免疫治療薬でのRAの処置よりも効果的であることを証明し得る。

0149

キット
本発明は、本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドまたはその複合体もしくは結合体を備えるキットも提供する。

0150

そのキットは、被験体に投与する前に本抗原結合ポリペプチドと結合するための物質も備え得る。次いで、結合している物質/抗原結合ポリペプチドは、被験体に投与されると、滑膜の微小血管系(micovasculature)を標的とし得る。

0151

本抗原結合ポリペプチドが、診断で使用するためのものである場合、そのキットは、さらに画像化の試薬および/または装置も備え得る。

0152

そのキットが、組み合わせ療法において使用するためのものである場合、そのキットは、同時の、逐次の、または別個の投与のための第2の治療薬も備え得る。

0153

画像化
本抗原結合ポリペプチドは、画像化の用途において、例えば、関節炎の関節の血管系を画像化する際に、使用され得る。

0154

現在までに、内皮細胞上または改変されたECMにおける血管新生の上質なマーカーは、少ししか知られていない。それらのマーカーの多くに関する最大の問題は、それらが、血管新生を起こしている組織において、十分に特異的な発現または有意なアップレギュレーションを欠くという点である。

0155

いくつかのインテグリン、特にαvβ3およびαvβ5は、腫瘍および眼球の新生血管障害において、血管新生のマーカーと機能的メディエーターの両方として提案されている。インテグリンαvβ3の発現はまた、関節リウマチを有する患者由来の滑膜の血管において増大することが示された。しかしながら、最近の免疫組織化学的研究では、見かけ上は正常な組織における血管系ならびにいくつかの血管外の細胞のタイプが、血管新生を起こしている組織よりも低い強度であるが、αvβ3に対してポジティブ染色されると示された。

0156

多くの最近の研究は、新生血管形成の魅力的なマーカーとして、トランスフォーミング成長因子−βレセプター複合体の構成要素であるエンドグリン(CD105)を記載している。エンドグリンは、増殖中の内皮においてかなり高い発現を示すが、ヒトとマウスの両方の起源の正常な健常成体組織の大部分における内皮細胞も弱く染色する。エンドグリンに対するいくつかのモノクローナル抗体が、特徴づけられており、最近、腫瘍の治療および画像化のための標的化物質として試験されている。予想外にも、マウスにおいて得られた標的化の結果は、内皮細胞上の抗原が到達可能に局在化していたにもかかわらず、比較的中程度だった。

0157

ゆえに、関節炎の関節の微小血管系(microvasculaturre)を画像化するための改善された物質が必要である。

0158

本発明の抗原結合ポリペプチドは、画像化の手法のために、例えば、蛍光標識または放射性標識で標識され得る。

0159

抗体を用いたインビボでの画像化の手法は、当該分野で周知であり、それらとしては、生物発光イメージング(BLI)および生物蛍光(biofluorescence)イメージング(BFI)が挙げられる。

0160

診断方法
本発明は、本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドを用いて疾患を診断するための方法も提供する。

0161

本発明はまた、本発明の第1の態様に係る抗原結合ポリペプチドを用いて、疾患の進行をモニタリングするための方法および薬物処置の有効性を評価するための方法も提供する。

0162

その疾患は、滑膜の微小血管系における変化、例えば、増加に関連し得る。その疾患は、変形性関節症または関節リウマチなどの関節炎の形態であり得る。

0163

背景の項で説明したように、滑膜の血管新生は、RAの他の病理学的特徴に先行する可能性があるので、本発明の抗原結合ポリペプチドは、他の症状が出現する前の初期における、RAの診断のために有用であり得る。

0164

上記方法は、1つまたは複数の時点において患者の関節の滑膜の微小血管系を画像化することを含み得る。

0165

標的化方法
本発明はまた、ある物質が滑膜の微小血管系を標的とするための方法も提供し、その方法は、インビトロにおいてその物質を本発明に係る抗原結合ポリペプチドと結合する工程を包含する。

0166

その結合は、結合している物質/抗原結合ポリペプチドが関節炎患者に投与されると、その物質が、滑膜の微小血管系(microvasculatute)を標的とするような結合であり得る。次いで、その物質は、血管新生部位に選択的に蓄積し得る。

0167

上記物質は、例えば、本抗原結合ポリペプチドに結合体化され得る。

0168

本発明はここで、実施例によってさらに記載され、この実施例は、本発明を実施する際に当業者を助けるように役立つことを意図されており、決して本発明の範囲を限定するとは意図されていない。

0169

実施例1−scFv抗体クローンのインビボファージディスプレイ選択
本発明者らは、異種移植片内に含まれているヒト滑膜の血管系に対して特異性を有するscFv抗体クローンを作製するために、Tomlinsonライブラリーのインビボファージディスプレイスクリーニングにおいて、SCIDマウスにおける滑膜の異種移植片モデルを使用した。

0170

未処理の(native)Tomlinsonライブラリーファージを、尾静脈を介して注射し、15分間循環させた。非特異的な未結合ファージを、通常の食塩水を用いた動物の心灌流によって循環から除去した。次いで、滑膜の移植片を動物から取り出し、ファージの回収および力価測定のために処理した。同時に、マウスが有していた皮膚組織異種移植片を、スクリーニングに対するコントロール組織として使用した。次いで、滑膜の移植片のみから回収されたファージを、TG1大腸菌において増幅し、レスキューし、その後のインビボ選択のラウンドのために調製した。滑膜特異性を有する抗体について濃縮するために、この親和性選択のプロセスをさらに3回繰り返した。

0171

実施例2−ヒト滑膜組織に対するscFv A7の反応性
免疫組織学的分析を用いて、本発明者らは、scFv A7が、変形性関節症および関節リウマチの滑膜組織の微小血管系に対して特異的な反応性を示すことを証明した(図2)。

0172

実施例3−滑膜の微小血管系内のscFv A7についての標的細胞型の同定
微小血管系内のどの細胞型が、この抗体と反応し得るのかを特異的に決定するために、本発明者らは、内皮特異的マーカーであるフォン・ビルブラント因子(vWF)およびCD31ならびに血管周囲細胞特異的マーカーであるNG2とともに、scFv A7を用いて、RA滑膜組織の二重染色を行った。結果は、scFv A7および血管周囲細胞マーカーNG2によるこの組織の二重染色が、観察された細胞染色のパターンにおいて完全な重複を示すことを明らかに証明し、このことは、scFV A7が、RA滑膜組織の微小血管系の血管周囲細胞および間質の構成要素に対して反応性を有することを証明する(図3)。微小血管系(microvascularture)の間質区画は、安定しており、豊富に存在するので、この区画の構成要素は、抗体に基づく標的化の用途にとって魅力的である。

0173

実施例4−scFv A7による滑膜組織のインビボ標的化
インビボにおいて可溶性scFv A7の反応性の特異性を確かめるために、インビボにおいてヨウ素化scFv A7がヒト滑膜組織異種移植片を標的とする能力を調べた。データから、注射の4時間後に、放射標識されたscFv A7が、SCIDマウスに移植されたヒト皮膚とは対照的に、ヒト滑膜に対して3倍の優先的な結合能を示すことから、その親のファージクローンの滑膜特異性が保持されていることが証明される。さらに、24時間後の滑膜におけるscFv A7の活性の明らかな低下にもかかわらず、この組織は、皮膚と比べて、反応性の有意な差をなおも維持している(図4)。

0174

実施例5−scFv A7の反応性の特異性
scFv A7の反応性の特異性を調べるために、本発明者らは、調査用全身正常組織アレイ(whole body,normal survey tissue array)を用いて、一連の正常なヒト組織に対するこの抗体の反応性を調べた。図5に示されるデータから、scFv A7が、生命維持に必要な臓器(例えば、心臓、肺、肝臓、膵臓、大脳皮質および消化管の構成要素)に対して検出可能な反応性を示さないことが証明される。さらに、その抗体は、リンパ、胸腺、副腎、卵巣および精巣に対して反応性を示さないことから、その優れた滑膜組織特異性がさらに確かめられる。

0175

実施例6−正常なヒト滑膜に対するscFv A7の反応性
scFv A7が、細胞成分に対しても、広範囲の正常組織の微小血管系に対しても反応性を示さないことが確立されたので、正常なヒト滑膜組織の微小血管系に対するこの抗体の反応性を調べることによって、正常な組織に対するscFv A7の反応性の特異性に関する研究を広げた。これを行うために、5年間の追跡調査において関節炎の状態に進行していない、長期間の未解明膝痛に対して関節鏡検査を受けている被験体から、正常なヒト滑膜組織を得た。図8に示される結果は、11個のサンプルの代表的な結果であり、vWF反応性によって検出された正常なヒト滑膜に見られる微小血管系が、α平滑筋アクチン反応性によって検出された間質の血管構成要素を含むことを証明している。しかしながら、scFv A7は、これらの滑膜サンプルに見られる微小血管系に対して反応性を示さない。

0176

実施例7−他の炎症性疾患からの組織に対するscFv A7の反応性
scFv A7の反応性が、関節炎の滑膜の微小血管系に特異的であるのか、または炎症の存在に関する新生血管形成に共通の特徴に特異的であるのかを確認するために、本発明者らは、クローン病(n=7)および乾癬(n=5)を有する患者由来の組織サンプルにおけるscFv A7染色を調べた(ここで、微小血管系の存在は、抗ヒトvWFを用いて検出された)。図9に示される結果から、scFvが、クローン病または乾癬の組織に見られる微小血管系に対しては検出可能な反応性を示さないことが証明される。

0177

これらの結果は、scFv A7に対する標的エピトープが、正常なヒト組織および微小血管系に存在せず、炎症状態に見られる新生血管形成において発現されないことを証明する。まとめると、これらの結果は、scFv A7が、関節炎の滑膜に見られる微小血管系に特異的であるという結論をさらに裏付ける。

0178

方法および材料
ScFvファージライブラリー
Human Single Fold scFv Libraries I+J(Tomlinson I+J)を、MRC(Medical Research Council)Resource Centre(Cambridge,UK)から入手し、選択を供給者指示書(http://www.lifesciences.sourcebioscience.com/clone−products/proteomic−resources/human−single−fold−scfv−libraries−i−plus−j.aspxにおけるオンラインのもの)に従って行った。

0179

そのTomlinson I+Jライブラリーは、半合成であり、最も一般的なヒトの標準的な構造をコードするVH(V3−23/DP−47およびJH4b)およびVk(O12/O2/DPK9およびJk1)についての単一のヒトフレームワークに基づく。その重鎖のCDR3は、可能な限り短く設計されているが、なおも抗原結合表面を形成することができる。さらに、CDR1領域は、一定に維持されているが、側鎖の多様性が、CDR3およびCDR2領域内の位置(これは、抗原と接触し、その成熟ネイティブレパートリーにおいて高度に多様である)に組み込まれている。両方のライブラリーのサイズは、約1.4×108であり、VH生殖細胞系列遺伝子DP47は、プロテインAへの結合性を付与する。

0180

SCIDマウスへのヒト組織の移植
4〜10週齢ベージュSCID CB−17マウスを本研究において使用した。ヒト組織(滑膜および皮膚)を、以前に記載されたように(Wahid,Bladesら、2000 Clin Exp Immunol 122:133−142)、肩関節に対して遠位の背側の位置の皮下に移植した(動物1匹あたり2つの移植片)。マウスを毎日検査し、Project License(PPL70−6109)の下で動物試験を行った。

0181

ヒト滑膜組織を、関節置換術を受けているRAまたは変形性関節症(OA)を有する患者から得た。ヒト皮膚組織を、美容外科術を受けている患者から得た。個々の患者からインフォームドコンセントを得た。さらに、研究目的でヒト滑膜および皮膚組織を利用する倫理的承認をEthics Committee of King’s College Hospitalから得た(LREC n05/Q0703/198)。

0182

滑膜特異的ファージのインビボ選択
ペプチドライブラリーに対して以前に記載されたもの(Lee,Buckleyら、2002 Arthritis Rheum 46:2109−2120)と類似の実験モデルにおいて、ヒト関節炎の滑膜組織および皮膚組織の異種移植片を有するSCIDマウスにおける4ラウンドの濃縮後に、滑膜特異的ファージを単離した。簡潔には、ヒトの滑膜および皮膚組織の移植の4週間後に、200μlの無菌食塩水中に調製された1011tu(形質転換単位)のTomlinsonファージライブラリーを、SCIDマウスの尾静脈に注射した。そのファージを15分間循環させた後、動物を末端麻酔した。非特異的な未結合ファージを、通常の食塩水での動物の心灌流によって循環から除去した。次いで、移植片(および時折、マウス臓器)を取り出し、ファージ回収(トリプシンを用いる)および力価測定のために処理した。滑膜の移植片のみから回収されたファージをTG1大腸菌において増幅し、レスキューし、その後のインビボ選択のラウンドのために調製した。最後の選択ラウンドからのファージ粒子によって発現されたscFvフラグメントの完全性PCRによって評価した。次いで、完全なscFvフラグメントの発現を保持したクローンを、可溶性scFvタンパク質の発現のためにレスキューした。

0183

scFv A7ファージのインビボ局在化
ヒト滑膜および皮膚組織の異種移植片を有する2匹のSCIDマウスに、移植の4週間後にscFv A7ファージクローンを1011tuで注射した。ファージ粒子を15分間循環させた後、それらの動物において灌流を行い、2つの移植片内に保持されたファージ数を、ホモジナイズされた溶出液の力価測定によって測定した。続いて、皮膚移植片滑膜移植片との間の異なったファージ局在化を定量化した。

0184

scFv遺伝子の配列決定
最後の濃縮ラウンドから選択されたクローンを配列決定することにより、単離されたファージのscFv挿入配列をコードするDNA配列を決定した。scFvクローンの配列決定を、scFvインサート特異的プライマーLMB3(CAGGAAACAGCTATGAC)およびpHEN seq(CTATGCGGCCCCATTCA)を用いて行った。配列決定を、Big Dye(登録商標)Terminator v3.1 Cycle Sequencingキット(Applied Biosystems)を用いて、ABIRISM3130 Geneticアナライザーにおいて行った。

0185

可溶性scFv抗体フラグメントの作製
最後の選択ラウンドのファージからレスキューされたscFvフラグメントを、上清中に可溶性scFvフラグメントを産生させるために、HB2151大腸菌において発現させた。各クローンによるscFvタンパク質の産生効率を、モノクローナルELISAにおいて評価した。続いて、scFvタンパク質を、Protein A Sepharose Fast Flow Resin(GE Healthcare)を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって培養上清から精製した。精製された抗体を、SDS−PAGE、およびSuperdex75 HR10/30カラム(Amersham Biosciences)におけるサイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。可溶性scFv A7を、単量体タンパク質として0.5〜1mg/mlの収量で精製した。

0186

scFv抗体フラグメントのビオチン化
EZ−Link Sulfo−NHS−SS−Biotinylationキット(Perbio,Cramlington UK)を用いてscFv抗体をビオチン化した。簡潔には、ビオチン化される所望のscFvの濃縮物を、0.5〜2mlのPBS中に希釈し、20倍過剰のモル濃度の10mMスルホ−NHS−SS−ビオチンに加え、上で1時間インキュベートした。続いて、脱塩カラムを製造者の指示書に従って使用して、ビオチン化されたタンパク質を単離した。

0187

scFv抗体フラグメントのヨウ素化
Iodogen法を用いて、Na125IでscFv抗体フラグメントを放射標識した。Iodogenで予めコーティングされたPierce Iodination Tubeを、製造者の指示書(Perbio,Cramlington UK)に従って使用した。代表的には、150μl中の25μgの精製scFvを、0.15〜0.2MBq/μgという比放射能に放射標識した。標識効率をインスタント薄層クロマトグラフィーによって試験し(代表的には90%を超える)、標識されたscFvの純度は、逆相HPLCによって測定した。

0188

可溶性scFv A7抗体フラグメントのインビボ局在化
移植の4週間後に、ヒト関節炎の滑膜および皮膚組織の2種類の異種移植片(動物1匹あたり2つの関節炎滑膜移植片および2つのヒト皮膚移植片)を有する2匹のSCIDマウスに6μgのビオチン化scFv A7を注射した。ビオチン化された抗鶏卵リゾチーム抗体フラグメントであるscFvHELを抗体ネガティブコントロールとして使用した。そのビオチン化抗体フラグメントを、総容積200μlで尾静脈を介して投与し、15分間循環させ、その後、末端麻酔下のマウスにおいて灌流を行った。続いて、マウス組織とともにヒト移植片を収集し、組織学的検査のために直ちに急凍した。関節炎の滑膜組織移植片の微小血管系への可溶性scFv A7の組織特異的局在化を、アビジン−ビオチン−HRP(ABC−HRP)複合体(Dako Ltd,Ely UK)を用いて、組織切片におけるビオチン化scFv A7の免疫組織化学的検出によって調べた。インビトロで加えられたscFv A7の反応性も、これらのサンプルにおいて調べた。

0189

ヨウ素化scFv A7抗体フラグメントのインビボにおける標的化能力
移植の4週間後に、二重移植された5匹のSCIDマウス(動物1匹あたり2つの関節炎滑膜移植片および2つのヒト皮膚移植片)にヨウ素化scFv抗体を注射した。動物1匹あたりの注射量は、0.2Mbqという総放射能を有する1.25μgのscFvを含む、無菌食塩水中で調製された200μlという総容積だった。標識された抗体フラグメントを、尾静脈を介して投与した。注射の4時間後および24時間後にマウスを屠殺し、ガンマカウントのために移植片ならびにマウス臓器を収集した。続いて、結果を、組織重量および血液プールにおけるバックグラウンド放射能に対して補正し、総注射量に対するパーセンテージとして表した。ヨウ素化scFvHELをネガティブコントロール抗体として使用した。

0190

免疫組織化学的分析
組織の凍結切片氷冷アセトン中で固定し、1μgのビオチン化されたscFv A7で染色した。パラフィン包埋組織を脱ろうし、続いて、抗原回復のために室温で4分間、プロテイナーゼK(Dako Ltd,UK)で処理した。scFv A7を、4μgで使用し、そのビオチン標識によって、アビジン−ビオチン−HRP(ABC−HRP)複合体(Dako Ltd,UK)を用いて検出した。組織切片内のヒト血管の存在は、抗ヒトvWF(Dako)に続いてHRP結合体化抗マウス抗体を用いて、表された。抗マウスCD31を使用して、マウス組織におけるマウス内皮血管を検出した。スライドを、ヘマトキシリン対比染色し、Depexマウンティングメディウム(mounting medium)(Dako)とともにマウントし、光学顕微鏡(Olympus,Watford,UK)を用いて分析した。

0191

免疫蛍光分析
抗体染色の前に、組織の凍結切片を氷冷アセトン中で固定した。ビオチン化されたscFv A7の反応性を、Texas Red結合体化NeutrAvidin(Invitrogen)を使用することによって検出した。抗ヒトvWF(Dako)、抗ヒトCD31(Sigma)および抗NG2抗体(Millipore)の反応性を、Alexa488またはAlexa594(Invitrogen)を用いて検出した。その後、核の対比染色のためのDAPI(Vector Labs.UK.)とともに、蛍光マウンティングメディアVectashieldにおいて切片をマウントし、Axioskop2顕微鏡(Carl Zeiss Ltd,UK)を用いて調べた。KS300画像分析ソフトウェア(Zeiss,UK)を用いて、AxioCamデジタルカラーカメラによって像を取得した。

0192

組織移植片内のヒト血管系の評価および定量
ヒト移植片の血管新生の程度を評価するために、抗ヒトvWFを用いて、ヒト内皮表面を免疫組織学的に決定した。簡潔には、ヒト滑膜および皮膚移植片の切片を抗vWF抗体で染色し、免疫染色されたヒト血管の体積率((volume fraction)Vv)を、以前に記載されたポイントカウンティング法(point counting method)(Lee,Buckleyら、2002 上記)を用いて顕微鏡的に決定した。

0193

統計
結果は、平均値および標準偏差(SD)、または平均値の標準誤差(SEM)として表される。Graphpad Prismソフトウェア(Graphpad Software,San Diego USA)を用いて、通常、対応のない両側t検定によって、パラメータ分析を行った。

実施例

0194

上記の明細書において言及されたすべての刊行物は、本明細書中で参考として援用される。記載された本発明の方法および系の、本発明の範囲および精神から逸脱することのない様々な改変および変更は、当業者に明らかだろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されてきたが、特許請求される本発明が、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、分子生物学または関連分野の当業者に明らかな、本発明を実施するための記載された様式の様々な改変は、以下の特許請求の範囲内であると意図される。

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