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技術 ワックスで包埋された生物学的試料を処理するための方法およびキット

出願人 キアゲンゲーエムベーハー
発明者 シュルムプベルガー,マルティン
出願日 2011年12月23日 (7年11ヶ月経過) 出願番号 2013-545424
公開日 2014年1月9日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2014-500513
状態 特許登録済
技術分野 サンプリング、試料調製 生物学的材料の調査,分析 クロマトグラフィによる材料の調査、分析
主要キーワード 物理的変数 ワックス溶液 水性反応物 安全ロック 低融点パラフィン メチルフェニルシリコーン油 計量ユニット フッ素修飾
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明は、ワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法、ワックス包埋された生物学的試料の包埋媒体液化するためのポリオルガノシロキサン)の使用、およびワックス包埋された生物学的試料を処理するためのキットに関連する。本発明は、また、ワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、この方法は、この包埋された生物学的試料を脱ワックス剤曝すことによりこの包埋媒体を液化する工程(1)を含み、この脱ワックス剤がポリ(オルガノシロキサン)、またはポリ(オルガノシロキサン)の混合物を含む、方法に関する。

概要

背景

例えば組織断片または単離細胞といった生物学的物質の生きている生物からの取り出しに関して、例えば栄養培地中でのインキュベーションのような通常の手段を取らなければ、細胞は短時間の後に壊死する。壊死した細胞は、さらに、最初に自己溶解発酵分解を、次に細菌性分解を急速に受けるので、本来の組織内細胞(cell−in−tissue)構造が、破壊される。このようにして、もし試料組織学的検査予期されるならば、その分解を抑制するために、取り出した生物学的試料を固定することが必要である。固定により、生物学的構造を生きているかのような態様で実質的に保存し、「真の評価(real assessment)」を可能にすることが意図される。加えて、固定された標本は、長期間保存およびアーカイブされ得る。さらに、多くの形態学調査は、固定された物質に基づいてのみ可能である。

固定は、通常、酸、アルコールケトン、またはアルデヒドのような沈殿化合物または架橋化合物を使用することで達せられる。固定のためには、特にホルムアルデヒドが(通常、「ホルマリン」と呼ばれる4〜10重量%の水溶液の形で)用いられ、通例、固定された物質をワックス(通常、パラフィン)中に包埋する工程が続き、いわゆる「ホルマリン固定パラフィン包埋」(FFPE)物質を生じさせる。包埋媒体の主要な目的は、微視的および/または組織化学的応用のために、標本が分割されて自然状態でスライドに載せられることを可能にすることである。しかしながら、多くの応用のために、例えば組織学的染色、または脱ワックスされた試料の溶解後に得られる溶解物からの特定の生体分子(例えばDNAおよび/またはRNAのような核酸)の単離といったことに関する、試料のさらなる処理の前に、包埋媒体を取り除くことが必要であるか、または少なくとも有益である。

伝統的に、脱パラフィン化処理は、トルエンや特にキシレンのような芳香族溶剤の使用を伴う。典型的に、新鮮スライスまたは顕微鏡スライドに載せた標本は、パラフィンが可溶化するまでキシレン浴(xylene bath)に浸される。その後の工程において、(例えば溶解緩衝剤または染色溶液のような)水性反応物または試薬溶液に対して試料を接触可能にするために、脱パラフィン化された標本は、アルコール濃度が減っていく一連水性アルコール溶液により洗浄され、水を使用する最後の洗浄の前にキシレンが取り除かれる。しかしながら、キシレンは、可燃性揮発性および毒性のある有機溶剤である。

この理由のため、近年、キシレンを毒性のより少ない脱ワックス剤置換するために、かなりの努力がなされた。組織化学的応用におけるキシレン置換物に関する例は、(d−リモネンのような)テルペン油、イソパラフィン系炭化水素または水性食器洗浄石鹸溶液を含む(非特許文献1)。これらの脱ワックス剤のうちのいくつかは、ワックスの除去に関してキシレンに等しい能力を発揮する一方で、毒性がより少ないか、または無毒性でさえある。しかしながら、水洗浄の前に溶剤/脱ワックス剤を除去して、ほとんどのタイプの免疫組織化学的染色または水性溶解緩衝剤との適合性を達成するために、多くの場合、一連のアルコール洗浄がなおも必要とされる。

当該分野から知られるいくつかの方法(例えば特許文献1、または製造者Invitrogen,Carlsbad,CA,USAにより提供されるPureLinkTMFFPE Total RNA Isolation Kitについてのプロトコルを参照のこと)において、ワックス包埋された試料は、単純に、ワックスを溶融するために水溶液中で加熱されて、次いで、ワックス状の相から水性物質を分離するために遠心分離される。ワックス状の相の再凝固の際に、ワックスは、水溶液の上および/または容器/管の壁に、層として堆積し、そこからワックスが捕集され、そしてそのようにして生物学的試料から分離され得る。しかしながら、再凝固されたワックスは、(例えばピペットの先端部を詰まらせることにより)さらなる試料処理工程を妨げ得る、このことが自動化された試料の取り扱いを複雑化する。

生体分子技術における進歩とともに、ワックス包埋された試料の光学顕微鏡的検査だけではなく、ワックス包埋された試料から回収される生体分子、特に核酸(DNAおよびRNAの両方)の分析もまた、ますます重要になった。このような試料から回収される核酸は、その後、例えばポリメラーゼ連鎖反応PCR)のような高感度技術を使用して分析され得る。しかしながら、もし免疫組織化学的染色の代わりに、またはそれに加えて、ワックス包埋された試料からの核酸の抽出が予期されるならば、後に続く核酸の濃縮、精製、単離および/または分析のどの工程おいても脱ワックス剤が妨害しないこと、または脱ワックスの後で試料から脱ワックス剤を完全に除去し得ることのいずれかが、非常に重要である。FFPE試料からの核酸の回収のために、その試料は、通常、適切な消化/溶解緩衝剤中で溶解される前に、上で説明されたように、キシレンを使用して脱ワックスされ、アルコール濃度の減っていく水性アルコール溶液で複数回の洗浄をされる。それに続く工程において、核酸は、通常、フェノールクロロホルム抽出のような有機抽出法を使用してこれらの緩衝剤から単離され、必要に応じて、例えばエタノールまたはイソプロパノールを使用する沈殿によりさらに濃縮される。

生物学的試料の脱ワックスのためのさらなるアプローチは、ある程度不活性かつ非極性鉱油を利用する。鉱油は、100℃を優に上回る沸点、および約80℃から約100℃の範囲の温度における低揮発性を有するが、高速試料処理に照らした深刻な欠点は、そのある程度高動粘性率である。動粘性率の正確な値は用いられる特定の鉱油に依存するが、脱ワックスのために用いられる鉱油の動粘性率は、通常、10mm2・s−1を優に上回り(非特許文献1)、その動粘性率は、ピペット操作、および試料からその溶剤を取り除くために必要なさらなる工程を複雑化する。

このようにして、同時係属中の欧州特許出願第10 165 799.7号において、鉱油は、例えばヘキサデカンといった直鎖アルカンにより置換された。このアプローチは、液化された包埋媒体の存在下での生物学的試料のさらなる処理(例えば、水性溶解緩衝剤を使用する細胞構造の溶解)を可能にさえする。しかしながら、直鎖アルカンにおいては、アルカンの沸点と動粘性率との間には関連性が存在する。アルカンの沸点が高いほど、その動粘性率も高い。したがって、純粋な直鎖アルカンを使用する場合、水の動粘性率(1mm2・s−1、1cStに等しい)と同等の動粘性率を有するが、100℃を優に上回る沸点も有する脱ワックス剤を得ることは、可能ではない。

概要

本発明は、ワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法、ワックス包埋された生物学的試料の包埋媒体を液化するためのポリオルガノシロキサン)の使用、およびワックス包埋された生物学的試料を処理するためのキットに関連する。本発明は、また、ワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、この方法は、この包埋された生物学的試料を脱ワックス剤に曝すことによりこの包埋媒体を液化する工程(1)を含み、この脱ワックス剤がポリ(オルガノシロキサン)、またはポリ(オルガノシロキサン)の混合物を含む、方法に関する。

目的

包埋媒体の主要な目的は、微視的および/または組織化学的応用のために、標本が分割されて自然状態でスライドに載せられることを可能にすることである

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

ワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、該方法は、該包埋された生物学的試料を脱ワックス剤曝すことにより該包埋媒体液化する工程(1)を含み、該脱ワックス剤がポリオルガノシロキサン)、またはポリ(オルガノシロキサン)の混合物を含む、方法。

請求項2

請求項1に記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、該ワックス包埋された生物学的試料が、包埋された組織および/または細胞を含む群から選択され、好ましくはパラフィン包埋された試料であり、好ましくはホルマリン固定パラフィン包埋試料(FFPE試料)である、方法。

請求項3

請求項1または請求項2に記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、前記脱ワックス剤が、75℃を上回る、好ましくは90℃を上回る、より好ましくは120℃を上回る、そして最も好ましくは140℃を上回る沸点を有する、方法。

請求項4

請求項1から請求項3のいずれかに記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、前記脱ワックス剤が、5mm2・s−1に等しいかそれよりも小さい、好ましくは3mm2・s−1に等しいかそれよりも小さい、より好ましくは2mm2・s−1に等しいかそれよりも小さい、そして最も好ましくは1.5mm2・s−1に等しいかそれよりも小さい動粘性率を有する、方法。

請求項5

請求項1から請求項4のいずれかに記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、前記ポリ(オルガノシロキサン)(単数または複数)が、直鎖状のポリ(オルガノシロキサン)、好ましくはトリアルキルシロキシ末端ポリジアルキルシロキサン(ここで「アルキル」が直鎖状または分岐鎖状のC1、C2、C3、C4、C5またはC6炭化水素鎖を含む)を含む群から、より好ましくは式CH3[Si(CH3)2O]nSi(CH3)3の直鎖状トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン)(ここで繰り返しユニットの数nが1から5の範囲である)を含む群から選択され、そして最も好ましくは該ポリ(オルガノシロキサン)がオクタメチルトリシロキサン(n=2)を表す、方法。

請求項6

請求項1から請求5のいずれかに記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、該包埋された生物学的試料を脱ワックス剤に曝す前記工程が、該包埋された生物学的試料を該脱ワックス剤の存在下で、15℃から95℃、好ましくは20℃から75℃、そして最も好ましくは室温(23+/−2℃)から65℃の範囲の温度にてインキュベートする工程を含む、方法。

請求項7

請求項1から請求項6のいずれかに記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、前記液化された包埋媒体をまだ含む工程(1)において得られた該試料を水溶液に曝し、それによって該液化された包埋媒体と該脱ワックスされる試料とを分画する工程(2)を含む、方法。

請求項8

請求項7に記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、前記水溶液が、好ましくは少なくとも一つの緩衝物質および洗剤を含む水性溶解緩衝剤であり、そして前記脱ワックスされた生物学的試料の溶解が、前記液化された包埋媒体を含む前記脱ワックス剤の存在下で、好ましくは、工程(2)において得られた、該脱ワックスされた生物学的試料を含む該水性溶解緩衝剤と該液化された包埋媒体を含む該脱ワックス剤との混合物を、15℃から95℃、好ましくは20℃から90℃の範囲の温度または一連温度段階にて、好ましくは1分間から24時間、より好ましくは5分間から12時間、そして最も好ましくは15分間から3時間の間インキュベートすることにより行われる、方法。

請求項9

請求項8に記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、前記水性溶解緩衝剤が、タンパク質溶解剤を付加的に含むか、またはタンパク質溶解剤が、工程(2)において得られた該水性溶解緩衝剤と前記脱ワックス剤との混合物に加えられるかのいずれかであり、該タンパク質溶解剤が、プロテイナーゼK、トリプシンキモトリプシンパパインペプシンプロナーゼエンドプロテイナーゼLys−C、アルファ溶解プロテイナーゼ、エラスターゼコラゲナーゼブロモシアン組み換え型Bacillusプロテアーゼリゾチーム、またはその混合物を好ましくは表すプロテアーゼおよび非酵素的タンパク質溶解化合物を含む群から選択される、方法。

請求項10

請求項8または請求項9に記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、好ましくは、前記水性溶解緩衝剤と前記脱ワックス剤との混合物を約70℃から約95℃に加熱することにより、かつ/または該混合物に少なくとも一つの求核試薬を含む架橋除去剤を加えることにより、該試料中に残っている架橋の数を減少させる随意の工程(3)を付加的に含む、工程。

請求項11

請求項8から請求項10のいずれかに記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、前記液化された包埋媒体を含む前記脱ワックス剤から、前記水相を必要に応じて分離する付加的な工程(4)、ならびに好ましくはRNAおよび/またはDNAを表す、タンパク質、RNAおよびDNAを含む群から選択される少なくとも一種類の生体分子を、前記溶解された生物学的試料から選択的に単離する付加的な工程(5)を含む、方法。

請求項12

請求項11に記載の方法であって、少なくとも一種類の生体分子を単離する前記工程が、好ましくは、(a)ゲル濾過クロマトグラフィー、(b)イオン交換クロマトグラフィー、(c)逆相クロマトグラフィー、ならびに(d)固相への沈殿および同時的結合を含む群から選択される、クロマトグラフ工程および/または固相ベース精製もしくは沈殿工程を少なくとも一つ含む、方法。

請求項13

請求項7に記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法であって、前記水溶液が、染料または物質を含む染色水溶液であり、該染料または物質は、好ましくは、アクリジン染料、アントラキノン染料アリールメタン染料、アゾ染料ジアゾニウム染料、ニトロ染料フタロシアニン染料キニーネイミン染料、テトラゾリウム染料、チアゾール染料キサンテン染料ヘマトキシリンエオシン、またはその混合物を含む群から選択され、特定のタイプの細胞および/または細胞成分に結合する、方法。

請求項14

ワックス包埋された生物学的試料における前記包埋媒体を液化するためのポリ(オルガノシロキサン)、またはポリ(オルガノシロキサン)の混合物の使用。

請求項15

ワックス包埋された生物学的試料を処理するためのキットであって、該キットが、(1)ポリ(オルガノシロキサン)、またはポリ(オルガノシロキサン)の混合物を含む脱ワックス剤と、(2)(a)該脱ワックス剤と前記液化された包埋媒体とを分画するための水溶液、(b)少なくとも一種類の生体分子を単離するためのクロマトグラフ装置および/または固相、ならびに(c)該キットを使用するための指示書を含む群から選択される、少なくと一つのさらなる構成要素とを含む、方法。

請求項16

請求項15に記載のキットであって、好ましくは請求項1から請求項12のいずれかに記載のワックス包埋された生物学的試料を処理するためのキットであり、前記ポリ(オルガノシロキサン)(単数または複数)が請求項3から請求項5のいずれかに記載のポリ(オルガノシロキサン)であり、前記水溶液が好ましくは請求項8または請求項9に記載の溶解緩衝剤であり、そして前記クロマトグラフ装置および/または固相が請求項12に記載の方法を行うためのクロマトグラフ装置および/または固相である、キット。

技術分野

0001

本発明は、ワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法、ワックスで包埋された生物学的試料の包埋媒体(embedding medium)を液化するためのポリオルガノシロキサン)の使用、およびワックスで包埋された生物学的試料を処理するためのキットに関連する。

背景技術

0002

例えば組織断片または単離細胞といった生物学的物質の生きている生物からの取り出しに関して、例えば栄養培地中でのインキュベーションのような通常の手段を取らなければ、細胞は短時間の後に壊死する。壊死した細胞は、さらに、最初に自己溶解発酵分解を、次に細菌性分解を急速に受けるので、本来の組織内細胞(cell−in−tissue)構造が、破壊される。このようにして、もし試料組織学的検査予期されるならば、その分解を抑制するために、取り出した生物学的試料を固定することが必要である。固定により、生物学的構造を生きているかのような態様で実質的に保存し、「真の評価(real assessment)」を可能にすることが意図される。加えて、固定された標本は、長期間保存およびアーカイブされ得る。さらに、多くの形態学調査は、固定された物質に基づいてのみ可能である。

0003

固定は、通常、酸、アルコールケトン、またはアルデヒドのような沈殿化合物または架橋化合物を使用することで達せられる。固定のためには、特にホルムアルデヒドが(通常、「ホルマリン」と呼ばれる4〜10重量%の水溶液の形で)用いられ、通例、固定された物質をワックス(通常、パラフィン)中に包埋する工程が続き、いわゆる「ホルマリン固定パラフィン包埋」(FFPE)物質を生じさせる。包埋媒体の主要な目的は、微視的および/または組織化学的応用のために、標本が分割されて自然状態でスライドに載せられることを可能にすることである。しかしながら、多くの応用のために、例えば組織学的染色、または脱ワックスされた試料の溶解後に得られる溶解物からの特定の生体分子(例えばDNAおよび/またはRNAのような核酸)の単離といったことに関する、試料のさらなる処理の前に、包埋媒体を取り除くことが必要であるか、または少なくとも有益である。

0004

伝統的に、脱パラフィン化処理は、トルエンや特にキシレンのような芳香族溶剤の使用を伴う。典型的に、新鮮スライスまたは顕微鏡スライドに載せた標本は、パラフィンが可溶化するまでキシレン浴(xylene bath)に浸される。その後の工程において、(例えば溶解緩衝剤または染色溶液のような)水性反応物または試薬溶液に対して試料を接触可能にするために、脱パラフィン化された標本は、アルコール濃度が減っていく一連水性アルコール溶液により洗浄され、水を使用する最後の洗浄の前にキシレンが取り除かれる。しかしながら、キシレンは、可燃性揮発性および毒性のある有機溶剤である。

0005

この理由のため、近年、キシレンを毒性のより少ない脱ワックス剤置換するために、かなりの努力がなされた。組織化学的応用におけるキシレン置換物に関する例は、(d−リモネンのような)テルペン油、イソパラフィン系炭化水素または水性食器洗浄石鹸溶液を含む(非特許文献1)。これらの脱ワックス剤のうちのいくつかは、ワックスの除去に関してキシレンに等しい能力を発揮する一方で、毒性がより少ないか、または無毒性でさえある。しかしながら、水洗浄の前に溶剤/脱ワックス剤を除去して、ほとんどのタイプの免疫組織化学的染色または水性溶解緩衝剤との適合性を達成するために、多くの場合、一連のアルコール洗浄がなおも必要とされる。

0006

当該分野から知られるいくつかの方法(例えば特許文献1、または製造者Invitrogen,Carlsbad,CA,USAにより提供されるPureLinkTMFFPE Total RNA Isolation Kitについてのプロトコルを参照のこと)において、ワックス包埋された試料は、単純に、ワックスを溶融するために水溶液中で加熱されて、次いで、ワックス状の相から水性物質を分離するために遠心分離される。ワックス状の相の再凝固の際に、ワックスは、水溶液の上および/または容器/管の壁に、層として堆積し、そこからワックスが捕集され、そしてそのようにして生物学的試料から分離され得る。しかしながら、再凝固されたワックスは、(例えばピペットの先端部を詰まらせることにより)さらなる試料処理工程を妨げ得る、このことが自動化された試料の取り扱いを複雑化する。

0007

生体分子技術における進歩とともに、ワックス包埋された試料の光学顕微鏡的検査だけではなく、ワックス包埋された試料から回収される生体分子、特に核酸(DNAおよびRNAの両方)の分析もまた、ますます重要になった。このような試料から回収される核酸は、その後、例えばポリメラーゼ連鎖反応PCR)のような高感度技術を使用して分析され得る。しかしながら、もし免疫組織化学的染色の代わりに、またはそれに加えて、ワックス包埋された試料からの核酸の抽出が予期されるならば、後に続く核酸の濃縮、精製、単離および/または分析のどの工程おいても脱ワックス剤が妨害しないこと、または脱ワックスの後で試料から脱ワックス剤を完全に除去し得ることのいずれかが、非常に重要である。FFPE試料からの核酸の回収のために、その試料は、通常、適切な消化/溶解緩衝剤中で溶解される前に、上で説明されたように、キシレンを使用して脱ワックスされ、アルコール濃度の減っていく水性アルコール溶液で複数回の洗浄をされる。それに続く工程において、核酸は、通常、フェノールクロロホルム抽出のような有機抽出法を使用してこれらの緩衝剤から単離され、必要に応じて、例えばエタノールまたはイソプロパノールを使用する沈殿によりさらに濃縮される。

0008

生物学的試料の脱ワックスのためのさらなるアプローチは、ある程度不活性かつ非極性鉱油を利用する。鉱油は、100℃を優に上回る沸点、および約80℃から約100℃の範囲の温度における低揮発性を有するが、高速試料処理に照らした深刻な欠点は、そのある程度高動粘性率である。動粘性率の正確な値は用いられる特定の鉱油に依存するが、脱ワックスのために用いられる鉱油の動粘性率は、通常、10mm2・s−1を優に上回り(非特許文献1)、その動粘性率は、ピペット操作、および試料からその溶剤を取り除くために必要なさらなる工程を複雑化する。

0009

このようにして、同時係属中の欧州特許出願第10 165 799.7号において、鉱油は、例えばヘキサデカンといった直鎖アルカンにより置換された。このアプローチは、液化された包埋媒体の存在下での生物学的試料のさらなる処理(例えば、水性溶解緩衝剤を使用する細胞構造の溶解)を可能にさえする。しかしながら、直鎖アルカンにおいては、アルカンの沸点と動粘性率との間には関連性が存在する。アルカンの沸点が高いほど、その動粘性率も高い。したがって、純粋な直鎖アルカンを使用する場合、水の動粘性率(1mm2・s−1、1cStに等しい)と同等の動粘性率を有するが、100℃を優に上回る沸点も有する脱ワックス剤を得ることは、可能ではない。

0010

国際公開第2009/153299号

先行技術

0011

R.J.Buesa,M.V.Peshov,Annals of Diagnostic Pathology 2009,13,246−256

課題を解決するための手段

0012

ワックス包埋された生物学的試料の処理のための迅速かつ自動化可能な方法を提供することが、本発明の目的であって、その方法は、(例えばキシレンのような)毒性のある脱ワックス剤の使用、および脱ワックス剤を試料から除去するための労力を要しかつ時間のかかる洗浄工程の使用の、両方を避ける。特に、その方法は、好ましくは、自動化可能であるために、標準的な自動ピペット操作機(pippetting automat)、および脱ワックス剤の存在下での95℃に達する加熱工程の、両方と適合性があるべきである。

0013

この目的は、本発明の方法により対処される。本発明において、ポリ(オルガノシロキサン)がワックス包埋された生物学的試料の脱ワックスのために特に有用であることが、驚くべきことに発見された。

0014

本発明に関して、「脱ワックス」という用語は、ワックス包埋された生物学的試料の包埋媒体を液化および/または可溶化する工程を少なくとも一つ含み、かつ、液化および/または可溶化された包埋媒体を生物学的試料の少なくとも一部から分離する工程を少なくとも一つ含む、あらゆる一連の工程を意味する。包埋媒体を液化および/または可溶化し、液化および/または可溶化された包埋媒体を生物学的試料の少なくとも一部から分離する工程は、(ほぼ)同時に、または順番に行われ得る。しかしながら、生物学的試料の少なくとも一部から包埋媒体が最終的に除去される前に、液化および/または可溶化された包埋媒体の存在下で、生物学的試料をさらに処理することが、特に好ましくあり得る。

0015

本発明に関して、「生物学的試料の少なくとも一部から除去される」という用語は、さらなる分析の対象である生物学的試料のそのような部分から包埋媒体が完全に除去される必要がないことを示すために使用される。例えば、もし組織切片が、組織学的染色用のその切片を調製するために、本発明の方法に従って処理されるならば、液化および/または可溶化された包埋媒体は、通常、(本質的に)試料の全体から除去される。他方で、もし試料の(例えば核酸またはタンパク質のような)特定の生体分子だけがさらなる分析の対象であるならば、液化および/または可溶化された包埋媒体の生物学的試料全体からの分離は必須ではないが、これら対象の生体分子からの分離に限っては必須である。

0016

ポリ(オルガノシロキサン)は、広範な温度範囲で、生物学的物質の完全性を損わずに、ワックス包埋された生物学的試料の包埋媒体の液化および/または可溶化に関して効率的である。典型的に、生物学的試料は、脱ワックス剤の存在下で、約15℃から約95℃の範囲の処理温度を受け得る。加えて、ポリ(オルガノシロキサン)の使用はまた、脱ワックスされた生物学的物質のさらなる処理のための当該分野で知られる様々な異なるプロトコル(例えばQIAamp DNAFFPE kit、EpiTect Plus FFPE Bisulfite kit)と適合性がある。

0017

このように、本発明は、ワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法と関連し、その方法は、包埋された生物学的試料を脱ワックス剤に曝すことにより包埋媒体を液化する工程(1)を含み、ここで、この脱ワックス剤は、ポリ(オルガノシロキサン)、またはポリ(オルガノシロキサン)の混合物を含む。

0018

本発明に関して、「包埋された生物学的試料を脱ワックス剤に曝す」という用語は、包埋された生物学的試料を脱ワックス剤との接触状態に至らせるあらゆる(すなわち、脱ワックス剤を包埋された生物学的試料に加えることによる、またはその逆による)工程を含む。例えば、包埋された生物学的試料は、脱ワックス溶液に浸されてもよい。代替的に、包埋された生物学的試料を完全に覆うのに十分な量の脱ワックス溶液が、例えばピペット操作により、その試料に加えれてもよい。生物学的試料を包埋するワックスは、好ましくは、脱ワックス剤と接触するまで固体状態であることが、理解されるべきである。包埋媒体の液化および/または可溶化処理加速するために、脱ワックス剤と包埋された生物学的試料との混合は、掻き混ぜ(stirring)、撹拌(vortexing)、掻き回し(agitating)、ピペット操作、超音波使用等により強化されてもよい。代替的に、または必要に応じて、熱が付与されてもよい。特に、もし組織断片の組織学的分析ではなく、脱ワックスされた生物学的試料の溶解により得られた溶解物中に存在する特定の生体分子の分析が目的ならば、包埋された生物学的試料はまた、脱ワックス剤に曝される前に、または脱ワックス剤に曝されている間に、(例えば、均質化、撹拌等により)機械的に破壊されてもよい。より厚い物質(例えばコアニードルパンチ(core needle punch))のために、ビーズミルまたはポリトロン装置による機械的破壊が、有用であり得る。

0019

脱ワックスのためのポリ(オルガノシロキサン)の使用の特に有利な点は、包埋媒体を液化した後、水溶液が、液化された包埋媒体をまだ含む試料に加えられてもよいという事実である。その水溶液は、その液化された包埋媒体を含むポリ(オルガノシロキサン)相と混和性ではないので、二つの混和しない液相が得られる。これらの相は、例えばデカント、ピペット操作等のような(これらに限定されない)当該分野において知られる標準的な技術を使用して容易に分離され得る。例えば、もし水性溶解緩衝剤が、ポリ(オルガノシロキサン)(単数または複数)中で溶かされ液化した包埋媒体をまだ含む試料に加えられた場合、生じた二相性混合物中で、溶解の結果を損なうことなく、生物学的試料の溶解さえも成し遂げられ得る。生物学的試料(または、例えば溶解中に放出される核酸のような、その各構成要素)の大部分が水相中を通過するので、所望の生体物質は、液—液相分離のための標準的な技術を使用して、液化された包埋媒体から容易に分離され得る。

0020

本発明の方法を使用すると、(例えばキシレンのような)毒性および/または可燃性のある有機溶剤も、または労力を要する洗浄工程のいずれもが、ワックス包埋された生物学的試料から包埋媒体を液化および除去するためには必要ではない。

0021

ポリ(オルガノシロキサン)が、例えば100℃以上の高温においてさえも、ある程度化学的に不活性であるので、例えば試料を約70℃から約95℃にまで加熱することにより行われ得るホルマリン固定試料からの架橋の除去のために、生物学的試料は、液化された包埋媒体の存在下で加熱工程にも供し得る。この筋書きにおいて、ポリ(オルガノシロキサン)はまた、試料緩衝剤の蒸発を制限するために働く。

0022

本発明に関して、「約」という用語は、5%に達する各値の誤差範囲を示すために使用される。

0023

本発明において、ある程度低い動粘性率を室温(23+/−2℃)で有する一方で、同等の動粘性率の非極性有機溶剤と比較してある程度高い沸点をなおも有するポリ(オルガノシロキサン)の使用は、特に好ましい。低い粘性率(例えば<5mm2・s−1)を有するが、ある程度高い沸点(例えば>90℃、好ましくは>120℃)も有するそのような脱ワックス剤は、例えばピペット操作ロボットを使用する試料処理の自動化によく適する。異なるポリ(オルガノシロキサン)の混合物が、同様に用いられてもよい。この場合において、その混合物は、好ましくは、5mm2・s−1またはそれ未満の動粘性率を有し得るが、その混合物中に存在する単一の構成要素は、5mm2・s−1より高い動粘性率を有し得る。動粘性率は、液体における体積流量の尺度であり、ストークス(St.)で与えられ、1ストークスは1cm2・s−1に等しく、1センチストークス(1cSt=0.01St)は1mm2・s−1に等しい。(ストークスにおける)動粘性率は、液体の質量流量の尺度(ポアズにおける;1ポアズはSI単位系での0.1Pa・sに等しい)である粘性率に、流体密度をかけることにより変換され得る。

0024

例えば、オクタメチルトリシロキサンは、水に等しい約1mm2・s−1(1cSt)の動粘性率を有する一方で、153℃の沸点を有する。その低い粘性率、25℃で0.82g/mLのその密度、およびそのある程度高い沸点のために、オクタメチルトリシロキサンは、試料に加えられること、および試料から除去されることの両方が、例えば自動ピペット操作機といった計量ユニットを含む自動化システムによってさえ容易に可能である。

0025

したがって、本発明の方法は、好ましくは、自動化された方法を意味し得る。本発明に関して、「自動化された方法」は、その方法に含まれる工程のうちの少なくとも一つが自動的に行われる方法であり、すなわち、本質的に、(あらゆる必要な最初の準備を別にして)直接の人の動作なしに駆動される機械またはコンピュータである。本発明の方法は、例えばQIAsymphony SPを含む、多数の公知の自動化試料処理のためのワークステーション上で容易に行われ得る。脱ワックス剤の低い粘性率は、脱ワックス剤の送達および除去ならびにそのような方法の自動化を促進するだけではなく、試料上での素早い脱ワックス剤の展開、および試料組織内への脱ワックス剤の浸透を確実にする。

0026

本発明に関して、「ポリ(オルガノシロキサン)」という用語は、直接交互に並んだケイ素および酸素原子を、直鎖状分岐鎖状、または環状の配置で、各ケイ素原子に結合した1個またはそれより多くの有機基とともに含有する化合物、または化合物の混合物を意味する。本発明のポリ(オルガノシロキサン)は、好ましくは、水と混和性でない親脂性化合物である。ポリ(オルガノシロキサン)の例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサンメチル水素ポリシロキサンメチルアルキルポリシロキサン、メチルアリールポリシロキサン、メチルフルオロアルキルポリシロキサン、(例えばトリフルオロプロピルヘプタメチルトリシロキサンのような)フルオロシリコーン流体、および(アミノアルキルメチルポリシロキサンシアノアキルメチルポリシロキサン、ハロアルキルメチルポリシロキサン、およびビニルメチルポリシロキサンのような)有機官能性メチルポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいシロキサンは、水に不溶である。さらに、好ましいシロキサンは、室温(23+/−2℃)で液体である。

0027

本発明に関して、「アルキル」は、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する直鎖状、分岐鎖状、または適切な場合には環状のあらゆる炭化水素を意味し、「アリール」は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個またはそれより多くの、好ましくは5、6、9、10、13または14員を有する不飽和炭化水素環(系)を意味し、ここで、少なくとも一つのCは、NまたはSのようなヘテロ原子と置換され得る。

0028

環状ポリシロキサンの例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)が挙げれてもよい。しかしながら、直鎖状のポリ(オルガノシロキサン)が、好ましくあり得る。直鎖状かつ非分岐鎖状のポリ(オルガノシロキサン)の好ましい例としては、トリメチルシロキシ末端のポリジメチルシロキサン、特にヘキサメチルジシロキサン(L2)、オクタメチルトリシロキサン(L3)、デカメチルテトラシロキサン(L4)、およびドデカメチルペンタシロキサン(L5)が挙げられる。

0029

特に好ましいのは、例えば(3mm2・s−1の動粘性率を有する)3−オクチルヘプタメチルトリシロキサン、(2mm2・s−1の動粘性率を有する)3−フェニルヘプタメチルトリシロキサン、(2mm2・s−1の動粘性率を有する)トリフルオロプロピルヘプタメチルトリシロキサン、(1mm2・s−1の動粘性率を有する)クロロメチルヘプタメチルトリシロキサン、または(1mm2・s−1の動粘性率を有する)オクタメチルトリシロキサン(L3)といった低い粘性率のトリシロキサン流体であり、オクタメチルトリシロキサン(L3)が特に好ましい。

0030

さらなる例として、ポリジメチルシロキサン油、メチル水素ポリシロキサン油、メチルフェニルシリコーン油フッ素修飾シリコーン油アミノ修飾シリコーン油、エポキシ修飾シリコーン油、ヒドロキシ修飾シリコーン油、およびアルキル修飾シリコーン油のような有機基修飾シリコーン油が挙げられる。これらの油は、通常、上で述べた異なる鎖長のポリ(オルガノシロキサン)の混合物を表す。

0031

本発明の方法において使用される脱ワックス剤は、前述のポリ(オルガノシロキサン)のうち一つを、または2個またはそれより多くのこれらのポリ(オルガノシロキサン)の混合物を含んでもよく、または、好ましくはそれらからなってもよい。その混合物中で、各ポリ(オルガノシロキサン)は、独立して、直鎖状、環状、または分岐鎖状であり得る。単一のポリ(オルガノシロキサン)、および2個またはそれより多くの異なるポリ(オルガノシロキサン)の混合物は、例えばSigma−Aldrich,St.Louis,MO,USAから市販されている。1個またはそれより多くのポリ(オルガノシロキサン)と、1個またはそれより多くの他の親脂性ケイ素非含有化合物(単数または複数)との混合物が、同様に用いられてもよく、その混合物は、例えばポリ(オルガノシロキサン)や親脂性の染料に対し混和性の有機溶剤を含む。好ましくは、本発明において使用される脱ワックス剤は、いかなる親水性成分も、例えば界面活性剤のような親水性の部分を含有する成分も含まない。本発明において使用される脱ワックス剤は、水に対し不溶性または非混和性の親脂性化合物、または親脂性化合物の混合物を好ましくは表し、より好ましくはそれらからなる。特に、本発明の方法において使用される脱ワックス剤は、好ましくは、乳濁液を表さない。本発明の方法において使用される脱ワックス剤は、室温にて液体であるべきであるが、脱ワックス剤として用いられる混合物中に存在する単一の成分が、それにもかかわらず、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)といった、室温にて純粋な形において固体である化合物を表し得ることは、その混合物が全体としては室温にて液体であるという前提で、留意されるべきである。

0032

本発明に関して、「ワックス包埋された試料」という用語は、例えば組織化学的および/または顕微鏡的な分析のために、ワックス中に包埋されたあらゆる生物学的試料を含む。ワックスは、通常、高級炭化水素の複雑な混合物を含むか、またはそれから成り、室温にて固体であり、高級脂肪酸グリコール等のエステルのようなさらなる成分を含んでもよい。ワックスは、天然由来および/または合成由来であり得るし、加えて、例えば少量のDMSO、高級ポリオレフィン、または他の有機ポリマーのような、その試料包埋特性を強める添加物を含有し得る。好ましくは、ワックスは、パラフィンを表し得る。パラフィンは、室温で固体の飽和炭化水素を主とした混合物である。パラフィンは、通常、石油蒸留により調製される。使用されるパラフィンが、いわゆる高融点パラフィンであるか低融点パラフィンであるか、またはその混合物であるか、いずれのタイプであるかとは独立に、その試料は、本発明の方法および/またはキットを使用して処理され得る。

0033

生物学的試料は、全ての生物、または生物の一部、特に組織断片または組織切片を表し得て、その断片または切片は、ヒト、動物または植物、ならびに例えば細菌、ウイルスまたは菌類のような微生物に由来する。例えば細胞培養物、またはスワブ、血液もしくは他の体液から単離された、包埋された細胞が、同様に使用されてもよい。本発明に従って処理されるワックス包埋された生物学的試料は、好ましくは、包埋された組織および/または細胞を含む群から選択される。好ましくは、その試料は、パラフィン包埋された試料、より好ましくはホルマリン固定パラフィン包埋試料(FFPE試料)を表す。

0034

本発明の方法において使用される脱ワックス剤は、好ましくは75℃を超える、より好ましくは90℃を超える、よりいっそう好ましくは120℃を超える、そして最も好ましくは140℃を超える沸点を有する。別段示されない限り、全ての物理的変数の値は、1013.25ミリバールの圧力下にて(適切な場合には)室温で決定される。ある程度高い沸点を有する化学的に不活性なポリ(オルガノシロキサン)ベースの脱ワックス剤の使用は、溶剤/脱ワックス剤の意図されない蒸発の際に、包埋媒体が再凝固し得るリスクを最小にし、このようにして簡便な試料の取り扱いを可能にし、そしてまた使用者溶剤蒸気に対する曝露を最小化する。加えて、試料は、例えばホルマリン固定の結果としてその試料中に存在する架橋を熱的に除去するために、脱ワックス剤中で加熱もされ得る。加えて、脱ワックス剤が、0℃を下回る、好ましくは—20℃を下回る、より好ましくは—40℃を下回る、よりいっそう好ましくは—60℃を下回る、そして最も好ましくは—80℃を下回る(DIN/ISO 3016に従って決定される)流動点を有することが、好ましい。液体の流動点は、規定された条件下で液体が流出または流動する最低温度である。

0035

脱ワックス剤は、5mm2・s−1に等しいかそれよりも小さい、好ましくは3mm2・s−1に等しいかそれよりも小さい、より好ましくは2mm2・s−1に等しいかそれよりも小さい、そして最も好ましくは1.5mm2・s−1に等しいかそれよりも小さい動粘性率を、好ましくは有する。脱ワックス剤の動粘性率が低いほど、脱ワックス剤は、例えばピペット操作により、試料に加えられること、および試料から除去されることの両方が容易になり得る。特に好ましいのは、水の動粘性率と同等の、すなわち約0.8mm2・s−1から約1.2mm2・s−1、好ましくは約0.9mm2・s−1から約1.1mm2・s−1、そして最も好ましくは約1mm2・s−1に等しい動粘性率を有する脱ワックス剤である。

0036

本発明の脱ワックス剤に含まれるか、またはその脱ワックス剤を形成するポリ(オルガノシロキサン)(単数または複数)は、直鎖状のポリ(オルガノシロキサン)を含む群から、好ましくはトリアルキルシロキシ末端ポリジアルキルシロキサン(ここで、「アルキル」は、好ましくは、直鎖状または分岐鎖状のC1、C2、C3、C4、C5またはC6の炭化水素鎖を含む)を含む群から、より好ましくは式CH3[Si(CH3)2O]nSi(CH3)3の直鎖状トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(ここで、nは、繰り返しユニットの数である)を含む群から、好ましくは選択される。好ましくは、nは1から5の範囲にある。最も好ましくは、ポリ(オルガノシロキサン)は、オクタメチルトリシロキサン(n=2)を表す。すでに上で説明されたように、脱ワックス剤はまた、異なるポリ(オルガノシロキサン)の混合物からなり得る。脱ワックス剤は、さらに、例えば親脂性有機溶剤のようなケイ素非含有化合物と組み合わせて、1個またはそれより多くのポリ(オルガノシロキサン)を含み得る。しかしながら、脱ワックス剤が本質的に1個の単一のポリ(オルガノシロキサン)からなること、すなわち、脱ワックス剤がそのポリ(オルガノシロキサン)を少なくとも95%(wt/wt)、好ましくは少なくとも97%(wt/wt)含むことが、特に好ましくあり得る。最も好ましくは、脱ワックス剤は、オクタメチルトリシロキサンから本質的になり得る。

0037

ワックス包埋された試料に加えられる脱ワックス剤の量は、ワックス包埋された試料の種類および量に依存し、その量は、当業者にとって周知である。脱ワックス剤の量は、脱ワックスされる試料を少なくとも完全に覆うほど十分多くあるべきである。もちろん、必要な量はまた、試料が処理される容器または管に依存するが、容易に決定され得る。例えば、5μm〜20μmの厚さ、1cm〜2cmの幅を有するFFPE組織の典型的なミクロトーム切片は、標準的な1.5ml〜2mlのラボラトリサンプリング管(laboratory sampling tube)またはマルチウェルプレートの中で処理される場合、250μLから750μL、好ましくは300μLから500μLの脱ワックス剤を使用して脱ワックスされ得る。

0038

本発明に従ってワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法において、包埋された生物学的試料を脱ワックス剤に曝す工程が、脱ワックス剤の存在下で、約15℃から約95℃、好ましくは約20℃から約75℃、そして最も好ましくはおおよそ室温(23+/−2℃)から約65℃の範囲の温度での、包埋された生物学的試料のインキュベートを含むことが、好ましくあり得る。インキュベートしている間、振盪、撹拌およびピペット操作等による機械的混合が、用いられ得る。インキュベートは、好ましくは約5秒間から約12時間、より好ましくは約10秒間から約3時間、よりいっそう好ましくは約30秒間から約1時間、なおもより好ましくは約45秒間から約30分間、そして最も好ましくは約1分間から約15分間の間、行われ得る。

0039

本発明の方法は、好ましくは、工程(1)において得られた液化された包埋媒体をまだ含む試料を水溶液に曝すことで、その液化された包埋媒体と脱ワックスされる試料とを分画または分離する工程(2)をさらに含む。生物学的試料(またはその各成分)が、水相中を本質的に通過する一方で、液化された包埋媒体は、脱ワックス剤を含む相の中に本質的に留まる。水相および脱ワックス剤はまだ相互に物理的接触におかれ得るが、生物学的試料および液化された包埋媒体は、二つの異なる液相中に存在し、それゆえ、相互に本質的に分離する。このように、脱ワックス剤は、水溶液に接触すると試料から分離し、もし水よりも低い密度、すなわち室温にて1.00g/mLを下回る密度を有する脱ワックス剤が用いられた場合、水溶液の表面に上がってくる。パラフィンおよび分離物融解を増すために、例えば振盪、撹拌およびピペット操作等によるが、それらに限定されない物理的混合が用いられ得る。

0040

驚くべきことに、通常、当該分野において公知の多くの方法において用いられるアルコール洗浄工程が、液化されたワックスおよび/または脱ワックス剤を試料から除去するためには必要ない。このことは、包埋媒体を除去する工程を含むワックス包埋された生物学的試料を処理するためのあらゆる方法を、明確に加速および単純化する。加えて、廃棄物の量を減少させる。

0041

試料が曝される水溶液は、好ましくは、水性溶解緩衝剤を表し得て、その緩衝剤は、好ましくは、少なくとも一つの緩衝物質および洗剤を含み得る。緩衝物質は、好ましくは、水溶液のpHを4と9との間の範囲に保つ。異なる緩衝物質の混合物が、同様に用いられ得る。洗剤は、非イオン性カチオン性アニオン性、または双性イオン性であり得る。異なる洗剤の混合物が、同様に用いられ得る。好ましい緩衝剤および界面活性剤は、例えばTRIS、MOPS、MESHEPESおよびTween−20、SDS、Triton X−100、または各々の類似物等である。さらに、溶解緩衝剤は、少なくとも一つの求核試薬を含み得る。

0042

この文脈における求核試薬として最適なのは、ルイス酸の空の軌道(単数または複数)の中に電子を移動可能な全てのルイス塩基である。特に、これらの中で好ましいルイス塩基は、負電荷を備える官能基を少なくとも一つ有する試薬であり、その官能基は、負の極性を持つか、または少なくとも一つの自由電子対を有する。

0044

負の極性を持つ官能基を少なくとも一つ有する試薬は、特に、オールレッド・ロコウの電気陰性度が少なくとも0.25、特に好ましくは少なくとも0.5、そしてさらに好ましくは少なくとも1.0の差で異なる二原子が共有結合的に一緒に結合した官能基を少なくとも一つ有する試薬である。

0045

しかしながら、本発明に従って特に好ましい求核試薬は、一つまたは二つ、特に好ましくは一つの自由電子対を持つ官能基を少なくとも一つ有する求核試薬であり、そして次に、これらの化合物のうちで最も好ましいのは、構造Iの第一級アミノ基、第二級アミノ基または第三級アミノ基を少なくとも一つ有する求核試薬である。
R1−NR2R3 (I)
ここで、R1は、C1〜C20炭化水素基、特に好ましくはC2〜C15炭化水素基、そしてさらに好ましくはC2〜C10炭化水素基であり、C1〜C20炭化水素基が少なくとも一つのヘテロ原子を有し、C2〜C15炭化水素基が少なくとも一つのヘテロ原子を有し、そしてさらに好ましくはC2〜C10炭化水素基が少なくとも一つのヘテロ原子を有し、または必要に応じてヘテロ原子置換芳香族環系を有し、
R2は、C1〜C20アルキル基、特に好ましくはC1〜C10アルキル基、そしてさらに好ましくはC1〜C2アルキル基、特にメチル基またはエチル基、C1〜C20ヒドロキシアルキル基、特に好ましくはC1〜C10ヒドロキシアルキル基、そしてさらに好ましくはC1〜C2ヒドロキシアルキル基、または水素原子であり、水素原子が最も好ましく、
そして、R3は、C1〜C20アルキル基、特に好ましくはC1〜C10アルキル基、そしてさらに好ましくはC1〜C2アルキル基、特にメチル基またはエチル基、C1〜C20ヒドロキシアルキル基、特に好ましくはC1〜C10ヒドロキシアルキル基、そしてさらに好ましくはC1〜C2ヒドロキシアルキル基、または水素原子であり、水素原子が最も好ましい。

0046

本発明に従って特に好ましく、かつ上に記載された構造Iの官能基を有する求核試薬は、特に、ラジカルR2およびラジカルR3の少なくとも一つ、最も好ましくはラジカルR2およびラジカルR3の両方が水素原子である構造Iの官能基を少なくとも一つ有する求核試薬である。さらに特に好ましい求核試薬は、sp3混成にされたラジカルR1、ラジカルR2およびラジカルR3におけるこれらの水素原子のみと窒素原子が共有結合する構造Iの官能基を少なくとも一つ有する求核試薬である。特に、ラジカルR1、ラジカルR2およびラジカルR3のいずれも、ラジカルR1、ラジカルR2およびラジカルR3を越えて窒素原子上の自由電子対を非局在化し得るべきではない。それゆえ、例えば構造IIを有さないことは、ラジカルR1、ラジカルR2およびラジカルR3のいずれにとっても特に好ましい。
−C(=NH)NH2 (II)
本発明に従い特に好ましく、かつ構造Iの官能基を少なくとも一つ有する求核試薬は、メチルアミンエチルアミンエタノールアミンn−プロピルアミンn−ブチルアミンイソブチルアミン、tert−ブチルアミンジメチルアミンジエチルアミンジエタノールアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミンジブチルアミントリメチルアミントリエチルアミントリエタノールアミンヘキサメチレンテトラミン2−エチルヘキシルアミン、2−アミノ−1,3−プロパンジオールヘキシルアミンシクロヘキシルアミン、1,2−ジメトキシプロパンアミン、1−アミノ−ペンタン、2−メチルキシプロピルアミントリヒドロキシメチルアミノメタンアミノカルボン酸、特にグリシンまたはヒスチジン、またはアミノグアニジンからなる群から選択され、これらのうちエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノ−1,3−プロパンジオール、アミノグアニジンおよびトリ(ヒドロキシメチル)アミノメタンが、最も好ましい。構造Iの官能基を少なくとも一つ有するさらに好ましい求核試薬は、アニリントルイジンナフチルアミンベンジルアミンキシリジン、キシレン−ジアミンナフタレンジアミントルエンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジアミン、フェニレンジアミン、2,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンジアニリン、スルホニルジアニリン、およびジメチルベンジルアミンからなる群から選択される芳香族アミンである。

0047

求核試薬は、構造Iの第一級アミノ基を少なくとも一つ有し得て、その求核試薬は、C1〜C6アルキルアミン、C1〜C6アルキルジアミン、C1〜C6アルキルトリアミン、C1〜C15アミノアルコールもしくはC1〜C15アミノジオール、またはC1〜C15アミノカルボン酸である。

0048

求核試薬は、さらに、ピロールピリジンキノリンインドールアザシクロペンタンアザシクロヘキサンモルフォリンピペリジンイミダゾール、またはこれら化合物の誘導体を含む群から選択される窒素原子を含む複素環式化合物であり得て、これら化合物の誘導体とは、好ましくは、C1〜C3アルキル基、特に好ましくはメチル基またはエチル基が、前述した化合物中において、水素原子の代わりに一個またはそれより多くの炭素原子または窒素原子に結合する誘導体を意味する。

0049

上述した求核試薬の中で特に好ましい求核試薬は、特に水に可溶な求核試薬であり、とりわけ、25℃の温度でpH7の水において、少なくとも1g/L、特に好ましくは少なくとも10g/L、そしてさらに好ましくは少なくとも100g/Lの可溶性を示す求核試薬である。

0050

上で説明された求核試薬を含む好ましい水溶液は、純粋な、好ましくは脱イオン水、さもなければ他の水性系、特に水とアルコールのような有機溶剤との混合物、とりわけ水およびエタノールまたはメタノールの混合物をベースにするものであり得、水の量は、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、そして最も好ましくは少なくとも90重量%であり、各場合において水および有機溶剤、生理食塩水の総重量に基づく。緩衝剤、とりわけ、例えばTRIS、HEPES、PIPESCAPS、CHES、AMP、AMPD、またはMOPSのような、当業者にとって公知の緩衝剤成分を0.1mmol/lから1000mmol/l、特に好ましくは1mmol/lから500mmol/l、そして最も好ましくは10mmol/lから200mmol/lの範囲の量で含む緩衝剤に関して、適切な場合には、このような緩衝剤成分は、その構造に依存して、求核試薬として同時に働くことも可能である。さらなる可能性はまた、例えばMEM培地およびDMEM培地のような、栄養培地を水性系として用いることである。求核試薬を含む水溶液は、好ましくは、水または適切な水性系と求核試薬を混合することにより、単純に調製される。

0051

水溶液中の求核試薬の濃度は、好ましくは0.1mmol/lから10000mmol/l、さらに好ましくは1mmol/lから5000mmol/l、さらによりいっそう好ましくは5mmol/lから2500mmol/l、そして最も好ましくは20mmol/lから1000mmol/lである。本発明の方法の特に有利な実施形態において、水溶液中の求核試薬の濃度は、20mmol/lよりも大きく、特に好ましくは50mmol/lよりも大きく、そして最も好ましくは100mmol/lよりも大きい。

0052

水溶液のpHは、好ましくは2から12、特に好ましくは4から9、そして最も好ましくは5から8の範囲にあり、各場合において室温で測定される。

0053

さらに本発明の方法に従い、生物学的試料は、生物学的組織の破壊および/または細胞の融解を促進する化合物と接触され得て、好ましくはそれとともにインキュベートされ得る。この化合物は、好ましくは、酵素、洗剤、カオトロピック物質、またはこれらの成分のうち少なくとも2つの混合物である。

0054

この文脈における好ましい酵素は、特にプロテアーゼであり、そしてこれらの中でもトリプシンプロテイナーゼK、キモトリプシンパパインペプシンプロナーゼ、およびエンドプロテイナーゼlys−Cは、特に好ましく、プロテイナーゼKが、最も好ましい。しかしながら、本発明の方法の特別な実施形態において、例えば(Thermoccus celer、Thermococcus sp.AN1、Thermococcus stetteri、またはThermococcus litoralisから単離された)WO−A−91/19792において、または(Staphylothermus marinusから単離された)WO−A−91/19792において説明されるように、熱安定性プロテアーゼを酵素として用いることもまた可能である。熱安定性プロテアーゼに関連するこれらの刊行物の開示は、本明細書において、参考として導入され、本発明の開示の一部を形成する。

0055

固定された試料からのタンパク質を分析するために使用され得る本発明の方法の実施形態において、プロテアーゼのようなタンパク質溶解作用を有する化合物は、用いられない。核酸が分析される実施形態において、DNアーゼおよび/またはRNアーゼのようなヌクレアーゼは、含有されない。

0056

水溶液中の酵素の濃度は、好ましくは0.001重量%から5重量%、特に好ましくは0.01重量%から2.5重量%、そして最も好ましくは0.05重量%から0.2重量%の範囲にあり、各場合において水溶液の総重量に基づく。

0057

好ましく用いられる洗剤は、硫酸ドデシルナトリウム(SDS)、例えばTriton−X−100、Tween、NP−40のようなポリエチレングリコールフェノールエーテル、またはその混合物を含む群から選択される化合物であり、SDSおよびTriton−X−100は、特に洗剤として好ましい。生物学的試料中に存在する細胞を融解するために用いられる洗剤の量は、生物学的試料の性質および量に依存し、単純な通常の実験により当業者によって確かめられ得る。

0058

脱ワックスされた生物学的試料の溶解は、好ましくは、液化された包埋媒体を含む脱ワックス剤の存在下で行われ得る。好ましくは、溶解は、工程(2)において得られた混合物をインキュベートすることにより行われ得て、その混合物は、脱ワックスされた生物学的試料を含む水性溶解緩衝剤、および液化された包埋媒体を包含する脱ワックス剤を含む。インキュベーションは、好ましくは、室温で、または約15℃から約95℃、より好ましくは約20℃から約90℃の範囲の一連の温度段階で行われ得る。インキュベーションは、好ましくは、約1分間から約24時間、より好ましくは約5分間から約12時間、そして最も好ましくは約15分間から約3時間の範囲の時間で行われ得る。「一連の温度段階」によって、混合物のインキュベートされる温度がインキュベーション中に変わり得ること、すなわち、その混合物が2つまたはそれより多くの温度で連続的にインキュベートされ得て、両方または全ての温度が約15℃から約95℃、好ましくは約20℃から約90℃の範囲であることを意味する。例えば、混合物は、最初は約50℃から約65℃の温度にて、例えば約10分間から約30分間または24時間までの間インキュベートされ得て、次いで、温度が例えば70℃から95℃に上げられ得て、試料はその温度で約10分間から約30分間保たれる。もしプロテアーゼが試料に加えられる場合、このような連続する温度段階は特に好ましくあり得る。

0059

加えて、本発明におけるあらゆる工程も、これらの工程のうちの2つまたはそれより多くの工程も、高い温度、すなわち室温を上回る温度で行われ得ることが理解されるべきである。その温度は、好ましくは、例えば25℃、30℃、35℃、37℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、または90℃といった、室温を上回り約95℃と等しいかそれより低い範囲であり得る。高い温度で工程を行うために、試料自体がその温度に加熱され得、かつ/または処理の間に試料と組み合わせられたあらゆる薬剤は、それが試料と組み合わせられる前に加熱され得る。

0060

もし脱ワックスされた試料の組織学的染色が予期される場合、水溶液は、好ましくは、染色水溶液を表し得て、その染色水溶液は、染料、ならびに特定のタイプの細胞および/または細胞成分と優先的に結合する物質を含む。このような組織学的染色料は、アクリジン染料、アントラキノン染料、アリールメタン染料、アゾ染料ジアゾニウム染料、ニトロ染料フタロシアニン染料キニーネイミン染料、テトラゾリウム染料、チアゾール染料、および/またはキサンテン染料を含み得る。組織学的染色料はまた、ヘマトキシリンおよびエオシンまたはクレシルバイオレットを含み得るが、これらに限定されない。好ましくは、タンパク質溶解剤が、前述された溶解工程の間存在し得る。従って、上で説明された水性溶解緩衝剤が、付加的にタンパク質溶解剤を含み得るか、またはタンパク質溶解剤が、工程(2)において得られた水性溶解緩衝剤と脱ワックス剤との混合物に加えられ得るかのいずれかである。そのタンパク質溶解剤は、好ましくは、プロテアーゼおよび非酵素的タンパク質溶解化合物を含む群から選択され得る。より好ましくは、そのタンパク質溶解剤は、プロテイナーゼK、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、ペプシン、プロナーゼ、エンドプロテイナーゼ Lys‐C、アルファ溶解プロテイナーゼ、エラスターゼコラゲナーゼブロモシアン組み換え型Bacillusプロテアーゼ、リゾチーム、またはその混合物を表し得る。

0061

好ましくは、本発明に従ってワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法は、付加的に、随意の工程(3)を含み得て、その工程(3)は、好ましくは、水性溶解緩衝剤と脱ワックス剤との混合物を、約75℃から約95℃の温度に加熱することにより、および/または上で述べられたような求核試薬を少なくとも一つ含む架橋除去剤をその混合物中に加えることにより、試料中に残っている架橋の数を減少させる。

0062

好ましくは、本発明に従ってワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法は、必要に応じて水相を脱ワックス剤から分離する付加的な工程(4)を含み得て、その脱ワックス剤は、液化された包埋媒体を含む。好ましくは、本発明に従ってワックス包埋された生物学的試料を処理するための方法はまた、タンパク質、RNAおよびDNAを含む群から選択される少なくとも一種類の生体分子を、溶解された生物学的試料から選択的に単離する付加的な工程(5)を含み得て、その生体分子は、好ましくは、メッセンジャーRNAmRNA)、転移RNAtRNA)、リボソームRNArRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および/または核内低分子RNA(snRNA)、他の(短いまたは長い)非コードRNAを含む一本鎖および/または二本鎖RNA(それぞれssRNAおよびdsRNA)、ならびに/あるいは、ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNAcDNA)、ミトコンドリアDNA(mDNA)、核内低分子DNA(snDNA)、およびプラスミドDNAを含む一本鎖および/または二本鎖DNA(それぞれssDNAおよびdsDNA)を表し得る。

0063

(1)から(5)の番号は、これらの工程が(もし存在する場合)行われる順番を示すことのみに使用されることが、理解されるべきである。しかしながら、工程1から工程5の全てが、本発明の方法のあらゆる実施形態において存在しなくてはならないことは、含意しない。本発明の方法はまた、工程(1)および(2)を含み得るが、工程(3)、(4)および(5)を含まなくともよい;工程(1)、(2)および(3)を含み得るが、工程(4)および(5)を含まなくともよい;工程(1)、(2)、(3)および(4)を含み得るが、工程(5)を含まなくともよい;工程(1)、(2)、(3)および(5)を含み得るが、工程(4)を含まなくともよい;工程(1)、(2)および(4)を含み得るが、工程(3)および(5)を含まなくともよい;工程(1)、(2)、(4)および(5)を含み得るが、工程(3)を含まなくともよい;工程(1)、(2)および(5)を含み得るが、工程(3)および(4)を含まなくともよい実施形態を包含し得る。さらに、一つまたはそれより多くの中間工程(単数または複数)が、上で列挙された連続的に番号づけられた工程のうち二つの工程の間に存在してもよい。例えば、もしRNAの試料からの単離が予期される場合、例えばDNアーゼを使用して、試料中に存在するDNAを消化する工程が、工程(4)に従って水相を脱ワックス剤から分離した後ではあるが、試料中に存在するさらなる成分からRNAを選択的に(すなわち、カオトロピック塩の存在下でシリカ膜にRNAを選択的に結合することにより)単離および精製する前に、用いられ得る。代替的に、いわゆる「オンカラムDNA消化」が行われ得て、その際にRNAはすでにシリカ膜に結合されている。しかしながら、試料と染色水溶液または水性溶解緩衝剤とを接触させる前にキシレンまたはアルコールの洗浄工程を用いる脱ワックス工程は、好ましくは、本発明の方法に含まれない。しかしながら、このことは、例えば精製中にシリカ膜に核酸を選択的に沈殿させるためのエタノール洗浄工程のような、水溶液を脱ワックス剤から分離した後のアルコール洗浄工程を除外しない。

0064

相分離光学的検知およびモニタリングを促進するために、脱ワックス剤は、脱ワックス剤には可溶であるが水性緩衝剤には可溶でない親脂性染料を含み得る。好ましくは、少なくとも一種類の生体分子を単離する工程(5)は、クロマトグラフ工程および/もしくは固相ベース精製工程、磁性ビーズへの結合、または固相ベース沈殿工程を少なくとも一つ含み得る。好ましくは、そのクロマトグラフ工程、および/または固相ベース精製もしくは沈殿工程は、(a)ゲル濾過クロマトグラフィー、(b)イオン交換クロマトグラフィー、(c)逆相クロマトグラフィー、ならびに(d)固相(好ましくはシリカ相)への沈殿および結合を含む群から選択され得る。このような方法は、当該分野において公知である。本発明に関して、「固相への沈殿および結合」という用語は、沈殿剤を加えることにより、生体分子(特に核酸)が固相の存在下で溶液から沈殿させられ、その結果として、対象の生体分子が、選択的に固相上へ沈殿することで、その固相に結合する、あらゆる固相ベースの方法を意味する。固相は、膜、カラム充填物フィルタービーズ粒子表面被覆ディップスティック、または棒の形で存在し得るが、これらに限定されない。もし粒子またはビーズを用いる場合、液相から(単数または複数)の分離を促進するために、好ましくは、磁性粒子またはビーズが、固相として使用され得る。固相は、シリカシリコンガラスプラスチックニトロセルロースポリフッ化ビニリデンPVDF)、またはナイロン炭化ケイ素アルミニウム、および他の金属酸化物を表し得るが、これらに限定されない。その固相の表面は、生体分子への結合の選択性および/または強度を調整または強化するために、必要に応じて官能基により官能化され得て、このことは、当業者にとって公知である。特に好ましいのは、カオトロピック結合緩衝剤の存在下で核酸が選択的に結合し得るシリカ製の固相であり得る。水溶液(特にこの原理に基づいた細胞溶解液)から核酸を精製するための一連のキットは、市販されていて、本発明の方法において用いられ得て、そのキットは、例えばQIAGEN、Hilden、GermanyのQIAGEN RNeasy QIAampFFPE DNA、EpiTect FFPE、QIAsymphony RNA kitsを含む。本発明は、さらに、ワックス包埋された生物学的試料における包埋媒体の液化のための、ポリ(オルガノシロキサン)、またはポリ(オルガノシロキサン)の混合物の使用に関連する。

0065

本発明は、さらに、ワックス包埋された生物学的試料を処理するためのキットに関連し、そのキットは、(1)ポリ(オルガノシロキサン)またはポリ(オルガノシロキサン)の混合物を含む脱ワックス剤を含み、かつ(2)(a)脱ワックスされた試料および液化された包埋媒体を沈殿させるための水溶液、(b)少なくとも一種類の生体分子を単離するためのクロマトグラフ装置および/または固相、ならびに(c)キットを使用するための手引きを含む群から選択される少なくとも一つのさらなる構成要素を含む。

0066

本発明のキットは、好ましくは、上で説明されたような本発明の方法に従ってワックス包埋された生物学的試料を処理するためのキットであり得る。そのキットにおいて、ポリ(オルガノシロキサン)(単数または複数)は、好ましくは、上で説明されたようなポリ(オルガノシロキサン)を表し得る。そのキットにおいて、水溶液は、好ましくは、上で説明されたような溶解緩衝液を表し得る。そのキットにおいて、クロマトグラフ装置および/または固相は、好ましくは、上で説明されたようなクロマトグラフ工程および/または固相ベース精製もしくは沈殿工程を行うための、クロマトグラフ装置および/または固相を表し得て、そのクロマトグラフ装置および/または固相は、好ましくは、(a)ゲル濾過クロマトグラフィー、(b)イオン交換クロマトグラフィー、(c)逆相クロマトグラフィー、ならびに(d)固相への沈殿および結合を含む群から選択される。

0067

一般的備考(General Remarks)
全ての実験において、ホルマリン固定され、かつパラフィン包埋されたヒト組織ブロック(それぞれ腎臓および肝臓)から得た5μmの厚みを有する組織切片を用いて、その組織切片を、少なくとも26か月間、室温で保管した。別段示されない限り、各実験を3回行った。使用した溶解液および消化液、結合緩衝剤、洗浄緩衝剤および溶出緩衝剤ならびにスピンカラムは、QIAgen(Hilden,Germany)から市販されている。

0068

脱ワックス剤として、ヘキサデカン(A;比較例)、鉱油(B;比較例)およびシリコーン油(C;本発明に従う、オクタメチルトリシロキサン98%(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA))を使用した。

0069

脱ワックスおよび細胞溶解のための一般的プロトコル:
1.上で示した脱ワックス剤(それぞれA、B、またはC)のうち一つを、FFPE組織の一切片に400μL加えた。その混合物を、10秒間撹拌して、次にもう10秒間振盪し、最後に最大速度で2分間20℃から25℃にて遠心分離した。

0070

2.上記混合物を、60℃で3分間インキュベートし、次に10秒間撹拌した。

0071

3.上記混合物を、室温まで冷ますために放置した。

0072

4.溶解緩衝剤PKD(QIAgen)150μLを、試料に加えた。生じた混合物を、10秒間撹拌して、次に11,000×gで1分間20℃から25℃にて遠心分離した。

0073

5.プロテイナーゼK(Qiagen,Hilden,Germany)10μLを、ピペットで下部の水相へ加え、その相を、ピペットでその相を3回上下させることにより混合した。

0074

6.上記試料を56℃で15分間インキュベートし、それに続けて第二のインキュベーションを80℃でもう15分間行った。

0075

7.上記(下部の)水相を、ピペットを使用して分離し、新しい管に移した。

0076

8.上記水相を、上で3分間インキュベートし、次に20,200×gで15分間遠心分離した。上澄みを新しい管に移す一方で、残りのペレットを捨てた。その試料のさらなる処理を、以下の実施例1および実施例2それぞれに従って行った。

0077

実施例1:オンカラム(on−column)でのDNA消化を伴う、FFPE試料からのmiRNAを含む全RNAの単離および精製
この実験においては、肝臓試料を使用した。その試料を、上述の一般的プロトコルにおいて説明したように調製した。次に、
9.緩衝剤RBC(QIAgen)320μLを、上述の工程8において得られた試料に加え、その混合物を徹底的に撹拌した。

0078

10.純粋なEtOH1.12mLを加え、ピペットを上下することにより上記試料と混合した。

0079

11.工程10において得られた溶液700μLを、2mL採集管(QIAgen)を備え付けたRNeasy MinEluteスピンカラムに投入した。そのカラムを、8,000×gで15秒間遠心分離して、フロースルー(flow−through)を捨てた。

0080

12.工程11を、全ての試料が移動するまで繰り返した。

0081

13.緩衝剤RDF(QIAgen)350μLを、上記カラムに投入し、そのカラムを8,000×gで15秒間遠心分離した。フロースルーを捨てた。

0082

14.オンカラムでのDNAの消化のために、DNase I(2.7Kunitz単位/μl)10μLおよび緩衝剤RDD(QIAgen)70μLを含むDNase I混合物80μLを、シリカ膜に直接投入した。その膜を、15分間室温でインキュベートした。

0083

15.緩衝剤RDF(QIAgen)500μLを上記カラムに加え、そのカラムを、8,000×gで15秒間遠心分離した。フロースルーを採集した。

0084

16.上記スピンカラムを新しい2mL採集管の中に置き、工程15において収集したフロースルーを、そのカラムへ投入した。そのカラムを、8,000×gで15秒間遠心分離して、フロースルーを捨てた。

0085

17.緩衝剤RPE(QIAgen)500μLを上記カラムに加え、そのカラムを、8,000×gで15秒間遠心分離した。フロースルーを捨てた。

0086

18.緩衝剤RPE(QIAgen)500μLを上記カラムに加え、そのカラムを、8,000×gで2分間遠心分離した。フロースルーを捨てた。

0087

19.上記スピンカラムを、新しい2mL採集管の中に置いた。そのカラムを乾燥するために、開放したカラムを最大速度で5分間遠心分離した。フロースルーを捨てた。

0088

20.上記カラムを、1.5mL安全ロック管(Eppendorf)の中に置いた。RNaseの含まれていない水20μLを上記膜へ加え、カラムを最大速度で1分間遠心分離することにより、RNAをカラムから溶出させた。フロースルーを収集し、以下で説明するように分析した。

0089

上記溶出物を、製造者のプロトコルに従いNanodrop(ThermoSCIENTIFIC,Wilmington,DE,USA)でUV/可視分光学的に分析した。3つの個々の肝臓試料から得られた平均RNA収量は、以下のとおりであった:ヘキサデカン使用 0.56μg、鉱油使用 0.49μg、そしてシリコーン油使用 0.63μg。

0090

個々の試料は、Agilent 6000 Nano Kit Guide,08/2006版に従い、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent,Waldbronn,Germany)上で分析した。RNA integrity number(RIN)は、鉱油使用で1.20、そしてシリコーン油使用で1.20と、全ての試料について実質上同じであった。

0091

DNA合成のためのQuantiTect Reverse Transcription Kit(QIAgen,Hilden,Germany)を使用し、リアルタイム逆転写酵素PCRを、Rotor−Gene Q(QIAgen,Hilden,Germany)上で行い、併せてgDNA Wipeout Bufferを使用して組み込まれたゲノムDNAを除去した。QuantiFast gDNA wipeout buffer(QIAgen)6.25μLおよびRNaseの含まれていない水4.75μLを、RNaseの含まれていない水を使用して希釈し約25ng/μLのRNA濃度を得た試料溶液2μL、またはブランクとしてRNAの含まれていない水2μLと、それぞれ混合した。混合物を、室温にて5分間インキュベートした。

0092

さらなる試料処理を、氷上で行った。上記試料混合物1.25μLを、QuantiFast ProbeRT−PCRPlusマスターミックス(QIAgen)6.25μL、順方向プライマー1.25μLおよび逆方向プライマー1.25μLと混合し、次に、QuantiTect Fast RT Mix(QIAgen)0.25μLおよびRNAseの含まれていない水1.75μL(逆転写酵素のある試料)か、またはRNAseの含まれていない水2.0μL(逆転写酵素のない試料)を、その試料へ加えた。生じたPCR混合物(12μL)を、PCR管の中に移動し、増幅した。サーマルサイクラー条件は、以下のとおりであった:50℃で20分間、95℃で5分間の溶融、次に95℃で15秒間と60℃で30秒間のアニーリングおよび延長とを40サイクル。得られた結果を表1において示す。

0093

表1

0094

実施例2:試料をカラムに加える前のDNAの消化を伴う、FFPE試料からのmiRNAを含む全RNAの単離および精製
この実験においては、腎臓試料を使用した。その試料を、上述の一般的プロトコルにおいて説明したように調製した。次に、
9.DNase booster buffer(QIAgen)16μLおよびDNase(Qiagen)10μLを、上述の工程8において得られた試料に加えた。その混合物を37℃で15分間インキュベートした。

0095

10.緩衝剤RBC(QIAgen)320μLを加え、混合物を徹底的に撹拌した。

0096

11.純粋なEtOH1.12mLを加えて、ピペットを上下させることにより上記試料と混合した。

0097

12.工程11において得られた溶液700μLを、2mL採集管(QIAgen)を備え付けたRNeasy MinEluteスピンカラムに加えた。その管カラムを8,000×gで15秒間遠心分離し、フロースルーを捨てた。
13.工程12を、全ての試料が移動するまで繰り返した。
14.緩衝剤RDF(QIAgen)700μLを上記カラムに加え、そのカラムを、8,000×gで15秒間遠心分離した。フロースルーを捨てた。
15.緩衝剤RPE(QIAgen)500μLを上記カラムに加え、そのカラムを、8,000×gで15秒間遠心分離した。フロースルーを捨てた。
16.緩衝剤RPE(QIAgen)500μLを上記カラムに加え、そのカラムを、8,000×gで2分間遠心分離した。フロースルーを捨てた。
17.上記スピンカラムを、新しい2mL採集管の中に置いた。そのカラムを乾燥させるため、開いたカラムを、最大速度で5分間遠心分離した。フロースルーを捨てた。
18.上記カラムを、1.5mL安全ロック管の中に置いた。RNaseの含まれていない水20μLを膜に加え、そのカラムを最大速度で1分間遠心分離することにより、RNAを、そのカラムから溶出した。フロースルーを採集し、以下に説明するように分析した。

0098

上記溶出物を、製造者のプロトコルに従ってNanodrop(ThermoSCIENTIFIC,Wilmington,DE,USA)でUV/可視分光学的に分析した。3つの個々の腎臓試料から得られた平均RNA収量は、以下のとおりであった:ヘキサデカン使用で1.38μg、鉱油使用で1.11μg、そしてシリコーン油使用で1.89μg。

0099

個々の試料は、Agilent 6000 Nano Kit Guide,08/2006版に従い、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent,Waldbronn,Germany)上で分析した。RNA integrity number(RIN)は、以下のとおりであった。ヘキサデカン使用で2.00、鉱油使用で2.50、そしてシリコーン油使用で2.50。

0100

DNA合成のためのQuantiTect Reverse Transcription Kit(QIAgen,Hilden,Germany)を使用し、リアルタイム逆転写酵素PCRを、Rotor−Gene Q(QIAgen,Hilden,Germany)上で行い、併せてgDNA Wipeout Bufferを使用して組み込まれたゲノムDNAを除去した。PCRのための試料調製およびPCRを、実施例1において説明したように行った。結果を表2において示した。

0101

表2

実施例

0102

実施例1および実施例2の結果から見ることができるように、FFPE組織試料の脱ワックスと、それに続く脱ワックス剤の存在下での細胞溶解のために、シリコーン油を使用可能である。よく確立された市販の精製および分析キットを使用することで、得られた試料溶液を、さらに都合よく処理し得る。例えばmiRNAを含むRNAといった核酸を、当該分野において知られる方法を使用することで得られる結果と同等であり、時には優越さえする収量および質で、これらの試料から単離し得る。

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