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技術 酸化還元電位測定の校正方法と、用いる校正用標準液

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 浅野聡
出願日 2013年6月7日 (7年6ヶ月経過) 出願番号 2013-120956
公開日 2014年12月18日 (6年0ヶ月経過) 公開番号 2014-238324
状態 特許登録済
技術分野 電気化学的な材料の調査、分析
主要キーワード 鉄明礬 酸化還元電位測定装置 ORP電極 ヘキサシアノ鉄酸塩 キンヒドロン 酸化還元電位測定 硫酸鉄アンモニウム 校正操作
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この項目の情報は公開日時点(2014年12月18日)のものです。
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課題

酸化還元電位の測定に際して、大気中に放置しても安定したORP値を示し、且つ、有害性が低く取り扱いやすい酸化還元電位測定校正に適した校正用標準液と、それを用いた校正方法を提供するものである。

解決手段

硫酸鉄(II)アンモニウムと硫酸鉄(III)アンモニウムを含有する溶液、または、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを含有する溶液を校正用標準液に用い、酸化還元電位測定装置の酸化還元電位の校正を行うことを特徴とする酸化還元電位測定の校正方法。

概要

背景

水溶液酸化還元状態の把握は、化学反応の状態や制御を行うために重要である。酸化還元状態を具体的に測定する方法には、電極測定対象の水溶液に浸漬し、電極表面と水溶液との間に生じる電位差を電気的に増幅し、指針式もしくはデジタル表示などで可視化し、酸化還元電位(Oxidation−Reduction Potential:以下、「ORP」と称する。)として表示する方法が広く用いられている。

上記の測定に用いる電極をORP電極と称するが、測定原理は、銀-塩化銀または水銀-塩化水銀(I)などの比較電極を基準として、被検液の電位差を検出するものである。
このORP電極は、電極表面や電極内部の水溶液の汚染、比較電極の劣化剥離液絡部閉塞などにより検出する電位差に誤差を生じてくる。また電極と表示装置との接続部の接触抵抗や表示装置内の増幅精度などによっても誤差を生じることとなる。

そこで、誤差が少なく精度の高いORP測定値を得るためには、定期的にORP電極内部液交換や電極表面の洗浄が必要となる。
また、基準となる電圧増幅器の電極を接続する端子印加し、対応するORP値を表示するように増幅器での増幅率オフセット値と呼ばれる電圧の加算・減算を調整し、最終的に電極を基準となる標準液に浸漬し、起電力と表示装置に示される表値との差異の比較、確認を行っている。

このような校正作業に用いる標準液としては、特許文献1に記載されているような「キンヒドロン水溶液」がもっぱら使用されている。
この「キンヒドロン」とは、酸化型キノンp−ベンゾキノン)と還元型ハイドロキノンの1:1モル付加物(分子化合物)であり、酸化還元に対して緩衝性を示す。
具体的には、濃度が0.6g/Lのキンヒドロン水溶液であるpH4.01の緩衝液に、銀-塩化銀電極でKCl飽和水溶液型のORP電極を浸漬し、液温を25℃に維持した場合、256mVの電位差を示す。

さらに還元領域の電位を測定する場合、特許文献2に示すようなキンヒドロンに亜硫酸ナトリウムを添加した標準液が使用される。
特許文献2の方法は、還元側の酸化還元電位に対して電極の性能が正常であるか否かをより確実に検査することを可能とする酸化還元電位測定装置電極検査方法及び酸化還元装置電極検査用の標準液を提供するもので、測定電極及び比較電極を被検液に浸漬して被検液の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定装置の電極を検査する方法で、水に亜硫酸塩とキンヒドロンとを添加して調製された容器内の標準液に測定電極及び比較電極を浸漬する工程を有する構成とする。具体的には、例えば、亜硫酸ナトリウム2.1g/L以下、キンヒドロン8g/L以下を含む水溶液が使用される。この場合、ORP値は−430〜−440mVを示す。

しかしながら、上記のような標準液では、安定性欠如するという課題があった。
例えば、「キンヒドロン水溶液」は、製造直後には上記の理論値に近い値を示すが、空気と接触すると急速に酸化が進行し、上述のキノンが増えることにより酸化還元に対する緩衝液としての機能が失われる性質があった。そのため、例えばキンヒドロン水溶液を密栓冷蔵庫保管することが行われるが、それでも劣化を食い止めることは困難であった。

一方、キンヒドロン水溶液に亜硫酸ナトリウムを添加した場合は、優先的に亜硫酸ナトリウムが酸化されるため、その結果キンヒドロンの酸化が抑制され、安定性は向上する効果がある。
しかし、一般に行われるように標準液の容器を開栓し、開放状態校正に供する場合、亜硫酸ナトリウムの酸素の吸収速度が速いこともあって、硫酸ナトリウムに変化した時点で上述のキンヒドロンの酸化が開始し誤差が生じるという課題もあった。

さらに、キンヒドロン自体に発がん性の疑いがあるなど、保管、取扱、廃棄に関して細心の注意払う必要があるなど実用上の課題もあった。
このように、ORP測定における校正に用いる標準液の安定性が劣る課題から、標準液自身の安定性を、酸化還元滴定や水溶液中の化学種化学分析によって定量的に把握する必要があるなど、容易に電極を校正する用途に用いるのは困難だった。

概要

酸化還元電位の測定に際して、大気中に放置しても安定したORP値を示し、且つ、有害性が低く取り扱いやすい酸化還元電位測定の校正に適した校正用標準液と、それを用いた校正方法を提供するものである。硫酸鉄(II)アンモニウムと硫酸鉄(III)アンモニウムを含有する溶液、または、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを含有する溶液を校正用標準液に用い、酸化還元電位測定装置の酸化還元電位の校正を行うことを特徴とする酸化還元電位測定の校正方法。 なし

目的

特許文献2の方法は、還元側の酸化還元電位に対して電極の性能が正常であるか否かをより確実に検査することを可能とする酸化還元電位測定装置の電極検査方法及び酸化還元装置の電極検査用の標準液を提供する

効果

実績

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請求項1

硫酸鉄(II)アンモニウムと硫酸鉄(III)アンモニウムを含有する溶液または、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを含有する溶液を校正用標準液に用い、酸化還元電位測定装置酸化還元電位校正を行うことを特徴とする酸化還元電位測定校正方法

請求項2

前記溶液に含まれる2価の鉄イオンと3価の鉄イオンの割合が、2価鉄イオンモル数の1倍から2倍の範囲にある溶液を用いることを特徴とする請求項1記載の酸化還元電位測定の校正方法。

請求項3

水溶液の酸化還元電位測定における校正用標準液であって、硫酸鉄(II)アンモニウムと硫酸鉄(III)アンモニウムを含有する溶液、またはヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを含有する溶液であることを特徴とする校正用標準液。

請求項4

前記硫酸鉄(II)アンモニウムと硫酸鉄(III)アンモニウムを含有する溶液、及び前記ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを含有する溶液に含まれる2価の鉄イオンと3価の鉄イオンの割合が、2価鉄イオンのモル数の1倍から2倍の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の校正用標準液。

技術分野

0001

本発明は、ガラス電極等を用いて酸化還元電位を測定する際の校正方法と、その校正に用いる校正用標準液に関する。

背景技術

0002

水溶液酸化還元状態の把握は、化学反応の状態や制御を行うために重要である。酸化還元状態を具体的に測定する方法には、電極測定対象の水溶液に浸漬し、電極表面と水溶液との間に生じる電位差を電気的に増幅し、指針式もしくはデジタル表示などで可視化し、酸化還元電位(Oxidation−Reduction Potential:以下、「ORP」と称する。)として表示する方法が広く用いられている。

0003

上記の測定に用いる電極をORP電極と称するが、測定原理は、銀-塩化銀または水銀-塩化水銀(I)などの比較電極を基準として、被検液の電位差を検出するものである。
このORP電極は、電極表面や電極内部の水溶液の汚染、比較電極の劣化剥離液絡部閉塞などにより検出する電位差に誤差を生じてくる。また電極と表示装置との接続部の接触抵抗や表示装置内の増幅精度などによっても誤差を生じることとなる。

0004

そこで、誤差が少なく精度の高いORP測定値を得るためには、定期的にORP電極内部液交換や電極表面の洗浄が必要となる。
また、基準となる電圧増幅器の電極を接続する端子印加し、対応するORP値を表示するように増幅器での増幅率オフセット値と呼ばれる電圧の加算・減算を調整し、最終的に電極を基準となる標準液に浸漬し、起電力と表示装置に示される表値との差異の比較、確認を行っている。

0005

このような校正作業に用いる標準液としては、特許文献1に記載されているような「キンヒドロン水溶液」がもっぱら使用されている。
この「キンヒドロン」とは、酸化型キノンp−ベンゾキノン)と還元型ハイドロキノンの1:1モル付加物(分子化合物)であり、酸化還元に対して緩衝性を示す。
具体的には、濃度が0.6g/Lのキンヒドロン水溶液であるpH4.01の緩衝液に、銀-塩化銀電極でKCl飽和水溶液型のORP電極を浸漬し、液温を25℃に維持した場合、256mVの電位差を示す。

0006

さらに還元領域の電位を測定する場合、特許文献2に示すようなキンヒドロンに亜硫酸ナトリウムを添加した標準液が使用される。
特許文献2の方法は、還元側の酸化還元電位に対して電極の性能が正常であるか否かをより確実に検査することを可能とする酸化還元電位測定装置電極検査方法及び酸化還元装置電極検査用の標準液を提供するもので、測定電極及び比較電極を被検液に浸漬して被検液の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定装置の電極を検査する方法で、水に亜硫酸塩とキンヒドロンとを添加して調製された容器内の標準液に測定電極及び比較電極を浸漬する工程を有する構成とする。具体的には、例えば、亜硫酸ナトリウム2.1g/L以下、キンヒドロン8g/L以下を含む水溶液が使用される。この場合、ORP値は−430〜−440mVを示す。

0007

しかしながら、上記のような標準液では、安定性欠如するという課題があった。
例えば、「キンヒドロン水溶液」は、製造直後には上記の理論値に近い値を示すが、空気と接触すると急速に酸化が進行し、上述のキノンが増えることにより酸化還元に対する緩衝液としての機能が失われる性質があった。そのため、例えばキンヒドロン水溶液を密栓冷蔵庫保管することが行われるが、それでも劣化を食い止めることは困難であった。

0008

一方、キンヒドロン水溶液に亜硫酸ナトリウムを添加した場合は、優先的に亜硫酸ナトリウムが酸化されるため、その結果キンヒドロンの酸化が抑制され、安定性は向上する効果がある。
しかし、一般に行われるように標準液の容器を開栓し、開放状態で校正に供する場合、亜硫酸ナトリウムの酸素の吸収速度が速いこともあって、硫酸ナトリウムに変化した時点で上述のキンヒドロンの酸化が開始し誤差が生じるという課題もあった。

0009

さらに、キンヒドロン自体に発がん性の疑いがあるなど、保管、取扱、廃棄に関して細心の注意払う必要があるなど実用上の課題もあった。
このように、ORP測定における校正に用いる標準液の安定性が劣る課題から、標準液自身の安定性を、酸化還元滴定や水溶液中の化学種化学分析によって定量的に把握する必要があるなど、容易に電極を校正する用途に用いるのは困難だった。

先行技術

0010

特開平3—261854号公報
特開2010−145380号公報

発明が解決しようとする課題

0011

このような状況に鑑み、本発明は、大気に曝されても安定したORP値を示し、かつ、有害性が低く取り扱いやすい酸化還元電気測定における酸化還元電位の校正に適した校正用標準液と、その校正用標準液を用いた酸化還元電位測定の校正方法を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0012

上記の課題を解決するための本発明の第1の発明は、硫酸鉄(II)アンモニウムと硫酸鉄(III)アンモニウムを含有する溶液または、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを含有する溶液を校正用標準液に用い、酸化還元電位測定装置の酸化還元電位の校正を行うことを特徴とする酸化還元電位測定の校正方法である。

0013

本発明の第2の発明は、第1の発明における溶液に含まれる2価の鉄イオンと3価の鉄イオンの割合が、2価鉄イオンモル数の1倍から2倍の範囲にある溶液を用いることを特徴とする酸化還元電位測定の校正方法である。

0014

本発明の第3の発明は、水溶液の酸化還元電位測定における校正用標準液であって、硫酸鉄(II)アンモニウムと硫酸鉄(III)アンモニウムを含有する溶液、またはヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを含有する溶液であることを特徴とする校正用標準液である。

0015

本発明の第4の発明は、第3の発明における硫酸鉄(II)アンモニウムと硫酸鉄(III)アンモニウムを含有する溶液、及びヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムとヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを含有する溶液に含まれる2価の鉄イオンと3価の鉄イオンの割合が、2価鉄イオンのモル数の1倍から2倍の範囲にあることを特徴とする校正用標準液である。

発明の効果

0016

本発明の酸化還元電位測定用の校正用標準液は、大気に曝された状態であっても常温で長時間にわたり安定したORP値を示す。このため、この標準液を用いて校正することによりORP測定値の信頼性が高く維持でき、工業的にORP値による液性の定量的な制御、管理を可能とするものである。また、有害性も低いため、保管、取扱、廃棄も容易となり工業上顕著な効果を奏するものである。

0017

本発明は、ORP測定における校正用標準液として、水溶性の鉄(II)化合物と鉄(III)化合物との混合物の水溶液を用いて校正する方法である。
具体的な混合物として、下記(1)、(2)に示す2種の水溶性の鉄(II)化合物と鉄(III)化合物との混合物のいずれかを用いる。

0018

(1)硫酸鉄(II)アンモニウムおよび硫酸鉄(III)アンモニウムの混合物。
(2)ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムおよびヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの混合物。

0019

鉄(II)化合物と鉄(III)化合物の量は、鉄(II)イオンと鉄(III)イオンのモル比が、1:1〜1:2となる割合で混合された場合が望ましい。

0020

次に、本発明に係る標準液を用いた酸化還元電位の測定原理を説明する。
酸化還元電位:Eは、下記式(1)に示すネルンストの式表現される。

0021

0022

上記式(1)において、[Ox]と[Red]の比が1に近くなるほど、対数項が0に近づき、[Ox]や[Red]が若干変動してもEの値の変動が小さくなる。
すなわち、原理的にはどのような酸化剤、還元剤の組み合わせでも[Ox]と[Red]とを、1に近づければ、ORP標準液として使用可能な緩衝液となる。

0023

しかしながら、酸化還元に関するイオンの活量は、濃度と比例する場合は極めて限定される。これは、多くの化合物において、酸化還元反応に関する活性化エネルギーが高いためである。
例えば、酸化剤、還元剤の組み合わせとして、硫酸イオン亜硫酸イオンリン酸イオン亜リン酸イオン硝酸イオン亜硝酸イオンにおいては、酸化に対しては緩衝されるものの、酸化型化合物(硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン)の還元に対する活性化エネルギーが高く、還元に対する緩衝性は少ないため、緩衝液としては使用できない。

0024

また、実用面から、酸化剤、還元剤が反応して、中間化合物に変化する物質も標準液の組成物としては適さない。例えば、Mn(II)化合物とMn(VII)化合物は、いずれも酸化還元の活性化エネルギーが低く反応速度が高いが、混合するとMnO2やMn2O3の沈殿が生成するため不適切である。塩素系化合物も活量が高い状態で混合すると塩素ガスが発生する。

0025

さらにHg化合物は、活性化エネルギーが低い化合物が多いが、その有毒性から不適切である。As(III)は、酸化に対する活性化エネルギーが高く、Se(VI)は、還元に対する活性化エネルギーが高いという点で不利である。

0026

また、酸化剤、還元剤自体の安定性も重要である。
目安として、酸化剤が水素水素ガス間の比較電極(標準水素電極:Normal Hydrogen Electrode;NHE)に対するORP値として、1000mV以上の領域では自己分解しやすく、また、200mV以下では容易に空気酸化を受ける。
したがって極力この中間付近の値であることが望ましい。

0027

本発明者は、種々の試薬で前記条件を満たす酸化型化合物、還元型化合物の組み合わせについて、1:1となるモル比の混合水溶液を製造し、一週間以上の長期安定性や、酸化剤・還元剤を添加した場合のORP測定値の安定性、温度の上下によるORP測定値の変化などを調査した。
この結果、水溶液中で2価の鉄イオンとなる化合物すなわち鉄(II)化合物、および3価の鉄イオンとなる化合物すなわち鉄(III)化合物の組み合わせがこれらの要求事項を最も効果的に満たすことを見出し、本発明の完成に至ったものである。

0028

鉄(II)化合物は、陰イオンの形態により空気酸化の影響が異なるが、硫酸塩が比較的安定であり、特にアンモニウムイオンとの複塩(いわゆる「モール塩」)が、1年以上の長期間保管しても酸化が非常にわずかにとどまり適していることが分かった。
一方、鉄(III)化合物には、硫酸塩が加水分解に対して安定であり、やはりアンモニウムイオンとの複塩(通称鉄明礬」)が最も安定であることを見出した。

0029

なお、上記の鉄明礬液は、容器を開放したまま数年の単位で長期間使用すると、徐々に黄色の沈殿物析出する。この沈澱物の成分は、鉄明礬石(Jarosite:ジャロサイト−NH4;NH4Fe(III)3(OH)6(SO4)2)であり、ジャロサイトの生成により水溶液中のFe(III)/Fe(II)比の増加が防止され、ORPが長期に安定状態に維持されると考えられる。
なお、沈殿生成を防止するためには硫酸を添加すると効果があるが、酸の添加でORP値が上昇してしまうので好ましくない。

0030

他の鉄化合物としては、シアン化物配位子となった錯体であるヘキサシアノ鉄(II)酸塩、ヘキサシアノ鉄(III)酸塩も同様に使用可能であり、上記のジャロサイトよりさらに長期安定性が高くなる。
ヘキサシアノ鉄酸塩としてはカリウム塩が代表的であるが、水に溶解する塩であれば他の化合物も使用可能である。ヘキサシアノ鉄酸塩は、シアン化物を配位子とするが、極めて安定な錯体であって、生物に対する有害性が低い。

0031

上記のヘキサシアノ鉄(III)酸塩の標準液は、前記の硫酸鉄アンモニウム系の標準液よりも還元性の液を測定する場合に適している。
また、他にもクエン酸塩など有機酸塩で安定な鉄化合物も利用できるが、価格の点で工業的に不利である。

0032

なお、上述の鉄(II)、鉄(III)化合物の比率は、緩衝性の点では、上記式(1)で説明したように1:1に近いほど好ましい。
一方、硫酸アンモニウム複塩の場合、鉄(II):鉄(III)比が1:2付近になると長期安定性が向上する特徴がある。
これは、標準液のORP値が、硫酸鉄(II)が単独で存在する水溶液を空気で酸化した際の平衡ORP値にほぼ匹敵するためと考えられる。

0033

また、化合物の水溶液中の濃度としては、濃厚すぎると有効成分が結晶して[Ox]/[Red]比が変動し、低すぎると緩衝性が損なわれるなど好ましくない。
したがって、ほぼ0.025mol/L付近の濃度とすることが好ましい。

0034

これらの上述の標準液は、それぞれの種類が単一のORP値しか示さないので、その標準液に電極を浸漬し、ORP測定装置が表示した数値液温度に対して所定のORP値となるように、測定装置のオフセット値や増幅率などの微調整を行って数値を合わせる校正操作を行えば、電極を実測定液に浸漬した際に正しいORP値が表示できる。

0035

なお、本発明の標準液は、1つだけでは2点校正とならない。ORP測定値の直線性をより厳密に確認する場合は、一点の標準液で校正し、もう一点の標準液での数値の差を確認することにより、ORP測定値が直線的に正しい値を示すか検証し、前述のオフセット値や増幅率を微調整することでさらに精度良く校正できる。

0036

以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。

0037

特級試薬の硫酸鉄(II)アンモニウム・6水和物(和光純薬工業株式会社製)を9.8g(0.025mol)と、同じく特級試薬の硫酸鉄(III)アンモニウム・12水和物(和光純薬工業株式会社製)を24.1g(0.050mol)とを量し、脱イオン水に溶解して1000mlに調整して水溶液とした。

0038

作製した水溶液を、ウォーターバスを用いて、8℃〜30℃にわたって液温を変化させた。
市販のORP電極(PTS−5011C型;東亜DKK株式会社製)と、当該電極に対応した同社製計測表示機器(CM−40S型)を用いてORP値を測定した。
その結果を表1に示す。

0039

0040

また、密栓した状態に維持し、室温で90日間保管し、その後25℃に維持してORP値を測定したが、448mVで表1の場合と全く変化がなかった。

0041

試薬特級のヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム・3水和物(和光純薬工業株式会社製)を10.6g(0.025mol)と、試薬特級のヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム・無水塩(和光純薬工業株式会社製)を8.2g(0.025mol)とを脱イオン水1000mlに溶解して水溶液とした。

0042

この水溶液を実施例1と同じORP電極と表示機器を用いて25℃に維持した場合のORP値を測定した。
その結果、232mVを示した。
この溶液を密栓して室温で90日保管し、ORP値を再度25℃で測定したが、232mVで全く変化がなかった。

実施例

0043

以上のように、本発明の校正用標準液は酸化還元電位測定における校正用の標準液として安定して用いることが確認でき、酸化還元電位測定機器の校正に適用できる。

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