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技術 ポリ乳酸系樹脂シート

出願人 東レ株式会社
発明者 田端久敬石田洋一新崎盛昭山内英幸
出願日 2013年6月10日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2013-121558
公開日 2014年12月18日 (5年3ヶ月経過) 公開番号 2014-237778
状態 特許登録済
技術分野 高分子成形体の製造 高分子組成物 生分解性ポリマー
主要キーワード スリット径 樹脂シート製造 横方向屈折率 炭酸ガス排出量 滑り出し ポリ乳酸シート キャスティングロール温度 電子レンジ対応食品
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年12月18日)のものです。
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課題

耐熱性、透明性およびすべり性に優れた、特に成形品に適したポリ乳酸系樹脂シートを提供する。

解決手段

多官能性化合物を含有する組成物から製造された樹脂シートであって、その樹脂シートは、融点が190℃以上230℃未満のポリ乳酸を含み、かつ、該ポリ乳酸は、融点が190℃以上230℃未満であり、該シートが以下次の条件1〜3を満たすものである。・条件1:0.02μm≦│Ra1−Ra2│≦0.3μm、・条件2:0.03μm≦Ra1、・条件3:0.01μm≦Ra2、(ただし、Ra1はシートの一方の面の中心線平均粗さを表し、Ra2はRa1を測定した面とは異なる面の中心線平均粗さを表す。)。

概要

背景

近年、大気中の炭酸ガス濃度増加による地球温暖化問題が世界的な問題となりつつある。各産業分野においても、大気中への炭酸ガス排出量を削減する技術の開発が盛んに行われている。

プラスチック製品の分野においては、従来、汎用石油由来原料から製造されたプラスチックが使用後に焼却されるなどして大気中へ炭酸ガスとして放出されてきた。

しかしながら、近年、本来大気中の炭素源(炭酸ガス)に由来する植物由来原料のプラスチックが注目されている。中でも、透明性に優れ、コスト面でも比較的有利なポリ乳酸の実用化に向けた研究開発が盛んである。一方で、ポリ乳酸は耐熱性が低いという課題を有しており、その改良が望まれている。

ポリ乳酸シートの耐熱性の改良方法として、ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸樹脂の利用が注目されている。ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸系樹脂は、ステレオコンプレックスを形成していないポリ乳酸系樹脂と比較して非常に高い融点結晶化速度を有する。ステレオコンプレックス結晶を含むポリ乳酸系樹脂は、高温下でも高い剛性を示すため、耐熱性を要求される容器への展開が期待される。

従来、ポリ乳酸にゴム粒子を添加した耐衝撃性改良、シートすべり性付与について提案されている(特許文献1参照。)。

また、ポリL−乳酸とポリ−D−乳酸を混合して、ステレオコンプレックス結晶化させ耐熱性付与に関する技術が提案されている(特許文献2、3参照。)。

概要

耐熱性、透明性およびすべり性に優れた、特に成形品に適したポリ乳酸系樹脂シートを提供する。多官能性化合物を含有する組成物から製造された樹脂シートであって、その樹脂シートは、融点が190℃以上230℃未満のポリ乳酸を含み、かつ、該ポリ乳酸は、融点が190℃以上230℃未満であり、該シートが以下次の条件1〜3を満たすものである。・条件1:0.02μm≦│Ra1−Ra2│≦0.3μm、・条件2:0.03μm≦Ra1、・条件3:0.01μm≦Ra2、(ただし、Ra1はシートの一方の面の中心線平均粗さを表し、Ra2はRa1を測定した面とは異なる面の中心線平均粗さを表す。)。なし

目的

一方で、ポリ乳酸は耐熱性が低いという課題を有しており、その改良が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

多官能性化合物を含有する樹脂組成物から製造された樹脂シートであって、前記樹脂シートは、融点が190℃以上230℃未満のポリ乳酸を含み、かつ、次の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂シート。・条件1:0.02μm≦│Ra1−Ra2│≦0.3μm、・条件2:0.03μm≦Ra1、・条件3:0.01μm≦Ra2、(ただし、Ra1は樹脂シートの一方の面の中心線平均粗さを表し、Ra2はRa1を測定した面とは異なる面の中心線平均粗さを表す。)

請求項2

樹脂シートが無機粒子を含まないか、または、前記樹脂シート100質量%中の無機粒子の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂シート。

請求項3

ポリ乳酸が、ポリL−乳酸からなるセグメントおよびポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系樹脂シート。

請求項4

結晶化度が1%以上30%以下であって、結晶サイズが1nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂シート。

請求項5

樹脂シート100質量%中に、ポリ乳酸を50質量%以上99.9質量%以下含み、ポリ乳酸の合計100質量%中に、ポリ乳酸ブロック共重合体を50質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする請求項3または4記載のポリ乳酸系樹脂シート。

請求項6

樹脂組成物100質量%中に、多官能性化合物を0.1質量%以上2.0質量%以下含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂シート。

技術分野

0001

本発明は、耐熱性、透明性およびすべり性に優れ、特に成形品に適したポリ乳酸系樹脂シートに関するものである。

背景技術

0002

近年、大気中の炭酸ガス濃度増加による地球温暖化問題が世界的な問題となりつつある。各産業分野においても、大気中への炭酸ガス排出量を削減する技術の開発が盛んに行われている。

0003

プラスチック製品の分野においては、従来、汎用石油由来原料から製造されたプラスチックが使用後に焼却されるなどして大気中へ炭酸ガスとして放出されてきた。

0004

しかしながら、近年、本来大気中の炭素源(炭酸ガス)に由来する植物由来原料のプラスチックが注目されている。中でも、透明性に優れ、コスト面でも比較的有利なポリ乳酸の実用化に向けた研究開発が盛んである。一方で、ポリ乳酸は耐熱性が低いという課題を有しており、その改良が望まれている。

0005

ポリ乳酸シートの耐熱性の改良方法として、ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸樹脂の利用が注目されている。ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸系樹脂は、ステレオコンプレックスを形成していないポリ乳酸系樹脂と比較して非常に高い融点結晶化速度を有する。ステレオコンプレックス結晶を含むポリ乳酸系樹脂は、高温下でも高い剛性を示すため、耐熱性を要求される容器への展開が期待される。

0006

従来、ポリ乳酸にゴム粒子を添加した耐衝撃性改良、シートすべり性付与について提案されている(特許文献1参照。)。

0007

また、ポリL−乳酸とポリ−D−乳酸を混合して、ステレオコンプレックス結晶化させ耐熱性付与に関する技術が提案されている(特許文献2、3参照。)。

先行技術

0008

WO2011/092989号公報
特開2010−260900号公報
特開2007−90550号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、特許文献1の提案ではシートの100℃の温度を超えるような耐熱性が不足し、実用性に劣るという課題があり、特許文献2と3では、すべり性が悪く、成形加工時にブロッキングを起こしやすく、機械搬送不良が生じ、加工効率を低下させてしまうような問題となることがある。

0010

そこで本発明は、上述した課題解決を目的として鋭意検討した結果、達成されたものであり、本発明の目的は、耐熱性、透明性およびすべり性に優れ、特に成形品に適したポリ乳酸系樹脂シートを提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、多官能性化合物を含有する樹脂組成物から製造された樹脂シートであって、前記樹脂シートは、融点が190℃以上230℃未満のポリ乳酸を含み、かつ、次の条件1〜3を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂シートである。
・条件1:0.02μm≦│Ra1−Ra2│≦0.3μm
・条件2:0.03μm≦Ra1
・条件3:0.01μm≦Ra2
(ただし、Ra1はシートの一方の面の中心線平均粗さを表し、Ra2はRa1を測定した面とは異なる面の中心線平均粗さを表す。)。

0012

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの好ましい態様によれば、前記の樹脂シートは無機粒子を含まないか、または、前記の樹脂シート100質量%中の無機粒子の含有量が0.1質量%以下である。

0013

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの好ましい態様によれば、前記のポリ乳酸は、ポリ−L−乳酸からなるセグメントおよびポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことである。

0014

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの好ましい態様によれば、前記のポリ乳酸系樹脂シートの結晶化度は1%以上30%以下であって、結晶サイズは1nm以上30nm以下である。

0015

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの好ましい態様によれば、前記の樹脂シート100質量%中に、ポリ乳酸を50質量%以上99.9質量%以下含み、ポリ乳酸の合計100質量%中に、前記のポリ乳酸ブロック共重合体を50質量%以上100質量%以下含むことである。

0016

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの好ましい態様によれば、前記の樹脂組成物100質量%中に、前記の多官能性化合物を0.1質量%以上2.0質量%以下含有することである。

発明の効果

0017

本発明によれば、耐熱性、透明性およびすべり性に優れ、特に成形品に適したポリ乳酸系樹脂シートが得られる。本発明のポリ乳酸系樹脂シートを用いることにより、従来の石油系樹脂シートの耐熱性、透明性および成形加工性を損なうことなく、環境低負荷な成形品を得ることができる。

0018

次に、本発明のポリ乳酸系樹脂シートについて説明する。本発明において、樹脂シートの「シート」とは、2次元的な構造物、例えば、フィルムプレートなどを含む意味に用いられる。また、「成形品」とは、3次元的な構造物、例えば容器や印刷物など、前記の樹脂シートに加工が施されたものを含む意味に用いられる。

0019

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、多官能性化合物を含有する樹脂組成物から製造された樹脂シートであって、前記樹脂シートは、融点が190℃以上230℃未満のポリ乳酸を含み、そして次の条件1〜3を満たすことが重要である。
・条件1:0.02μm≦│Ra1−Ra2│≦0.3μm
・条件2:0.03μm≦Ra1
・条件3:0.01μm≦Ra2
(ただし、Ra1はシートの一方の面の中心線平均粗さを表し、Ra2はRa1を測定した面とは異なる面の中心線平均粗さを表す。)。

0020

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、上記の条件1:0.02μm≦│Ra1−Ra2│≦0.3μmを満たすことが重要である。上記の│Ra1−Ra2│の範囲が0.02μmより小さいと、成形加工時に異なる面同士を順に積層した樹脂シート同士がすべらずに送り不良が発生し、加工効率を低下させてしまう。また、上記の│Ra1−Ra2│の範囲が0.3μmより大きいと、樹脂シート同士がすべりすぎることにより、ロール状に巻き取った後、容易に巻きズレを起こしやすいという課題がある。上記の│Ra1−Ra2│の範囲のより好ましい範囲は、0.02μm以上0.2μm以下の範囲である。

0021

さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、条件2:0.03μm≦Ra1、および条件3:0.01μm≦Ra2を満たすことが重要である。

0022

Ra1が0.03μmより小さく、又は、Ra2が0.01μmより小さい場合、樹脂シート同士のすべり性が悪く、加工効率を低下させてしまい、樹脂シートをロール状に巻き取る際、エア抜けが悪く、エア噛みこみによる巻き形状不良を起こしてしまう場合がある。内容物の高い視認性を確保できるという点や、微細印刷加工ができるという点から、Ra1とRa2の好ましい範囲は、0.03μm≦Ra1≦0.2μm、かつ、0.01μm≦Ra2≦0.1μmである。さらに好ましくは、0.03μm≦Ra1≦0.1μm、かつ、0.01μm≦Ra2≦0.07μmである。

0023

本発明のポリ乳酸系樹脂シートにおいて、上述の条件1〜3を同時に満たすための方法としては、例えば、樹脂をTダイから押出した後、押出された樹脂シートを20〜50℃の温度にコントロールされた一対の金属製キャスティングロール同士で冷却固化する方法等を挙げることができる。このときのキャスティングロール温度設定条件として、一対のキャスティングロールのうち、巻取り側キャスティングロール温度を低く設定することにより上記の条件1〜3を同時に満たすことができる。

0024

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、多官能性化合物を含有する樹脂組成物から製造することが重要である。樹脂シート表面にすべり性を付与する目的で、無機粒子を添加し、樹脂シート表面を粗面化することが一般的に知られている。しかしながら、実用レベルのすべり性を発現させるには、無機粒子を多量に添加する必要があり、無機粒子を多量に添加することにより樹脂シートの光線透過性を損なってしまう。そこで、本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、多官能性化合物を含有する樹脂組成物から製造することにより、溶融した多官能性化合物とポリ乳酸との相互作用により、微少なせん断を発生させ、樹脂シート表面のみを粗面化することができ、無機粒子の多量添加を必要としないか添加を少量とすることができるため、樹脂シートの光線透過性を高いレベルで維持することができる。本発明における上記の条件1の│Ra1−Ra2│の範囲は、樹脂組成物中の多官能性化合物の含有量が多いほど大きくなり、多官能性化合物の含有量が少ないほど小さくなる。

0025

上記のポリ乳酸を含む樹脂組成物中には多官能性化合物が含有されているが、この多官能性化合物は、これらの樹脂組成物が溶融混練されポリ乳酸系樹脂シートが成形される工程で、ポリ乳酸と反応しポリ乳酸のカルボキシル末端基封鎖する。このため、成形後の本発明のポリ乳酸系樹脂シート中には、多官能性化合物としては存在していない。

0026

本発明に用いられるポリ乳酸は、乳酸成分が、ポリ乳酸を構成する全ての単量体成分100モル%において70モル%以上100モル%以下のものを意味する。

0027

そして本発明におけるポリ乳酸は、ポリ−L−乳酸および/またはポリ−D−乳酸であることが好ましい。ここでポリ−L−乳酸とは、ポリ乳酸中の乳酸成分を100モル%とした際に、L−乳酸単量体成分を70モル%以上100モル%以下含有していることを意味する。また、ポリ−D−乳酸とは、ポリ乳酸中の乳酸成分を100モル%とした際に、D−乳酸単量体成分を70モル%以上100モル%以下含有していることを意味する。

0028

ポリ−L−乳酸としては、ポリ乳酸中の乳酸成分を100モル%とした際に、L−乳酸単量体成分を90モル%以上100モル%以下含有していることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下含有していることがさらに好ましく、98モル%以上100モル%以下含有していることが特に好ましい態様である。

0029

また、ポリ−D−乳酸としては、ポリ乳酸中の乳酸成分を100モル%とした際に、D−乳酸単量体成分を90モル%以上100モル%以下含有していることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下含有していることがさらに好ましく、98モル%以上100モル%以下含有していることが特に好ましい態様である。

0030

ポリ乳酸は、本発明の性能を損なわない範囲で、乳酸成分(L−乳酸成分またはD−乳酸成分)以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、多価カルボン酸多価アルコールヒドロキシカルボン酸ラクトンなどが挙げられ、具体的には、コハク酸アジピン酸セバシン酸フマル酸テレフタル酸イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類またはそれらの誘導体エチレングリコールプロピレングリコールブタンジオールペンタンジオールヘキサンジオールオクタンジオールネオペンチルグリコールグリセリントリメチロールプロパンペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した多価アルコール、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコールジエチレングリコールトリエチレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類またはそれらの誘導体、グリコール酸3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、およびδ−バレロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。

0031

本発明のポリ乳酸系樹脂シートとは、シート全体の成分の合計を100質量%とした際に、ポリ乳酸を50質量%以上含むことを意味する。

0032

本発明において用いられるポリ乳酸の重量平均分子量は、成形性および機械物性の点で、10万以上30万以下の範囲であることが好ましい。重量平均分子量は、より好ましくは12万以上28万以下の範囲であり、さらに好ましくは13万以上27万以下の範囲であり、14万以上26万以下の範囲である。

0033

本発明のポリ乳酸は、融点が190℃以上230℃未満であることが重要である。融点が190℃未満の場合、耐熱性の効果が得られない。また、ポリ乳酸の分解温度は240℃程度であり、融点が230℃以上になると、溶融押出成形条件幅が狭くなり生産が困難となる。ポリ乳酸の融点は、200℃以上230℃未満であることが好ましく、205℃以上225℃未満であることがさらに好ましい態様である。

0034

ポリ乳酸の融点を上記190℃以上230℃未満の範囲に制御する方法としては、ポリ乳酸として、例えば、次の(A)または(B)とする方法が好ましい。
(A)ポリ乳酸として、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を用いる。
(B)ポリ乳酸として、ポリ−L−乳酸からなるセグメントとポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を用いる。

0035

ポリ乳酸の融点を190℃以上230℃未満にするという観点からは、上記の(A)および(B)のいずれの方法も好適であるが、樹脂シートとした際により優れた透明性および耐熱性が得られるという点から、上記の(B)の方法、すなわちポリ乳酸が、ポリ−L−乳酸からなるセグメントとポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体であることが好ましい。

0036

ポリ乳酸としてポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合、そのポリ乳酸ブロック共重合体は、ポリ−L−乳酸からなるセグメントおよびポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成される。

0037

ポリ−L−乳酸からなるセグメントおよびポリ−D−乳酸からなるセグメントの重量平均分子量は、ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントのうち、いずれか一方のセグメントの重量平均分子量が好ましくは6万以上30万以下であり、他方のセグメントの重量平均分子量が1万以上10万以下であることが好ましい。ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントおよびポリ−D−乳酸からなるセグメントの重量平均分子量は、ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントのうち、いずれか一方のセグメントの重量平均分子量が好ましくは6万以上30万以下であり、他方のセグメントの重量平均分子量が1万以上5万以下であることが好ましい。

0038

ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントについて、さらに好ましくは、一方のセグメントの重量平均分子量は10万以上27万以下、他方のセグメントの重量平均分子量は2万以上4万以下であり、特に好ましくは、一方のセグメントの重量平均分子量は15万以上24万以下、他方のセグメントの重量平均分子量は3万以上4万以下である。

0039

前記(A)の方法、すなわち、ポリ乳酸としてポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を用いる場合には、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の質量比は、80:20〜20:80であることが好ましく、75:25〜25:75であることがより好ましく、さらには70:30〜30:70であることが好ましく、特に60:40〜40:60であることが最も好ましい態様である。

0040

ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸のそれぞれの質量比が、80:20〜20:80の範囲であると、ポリ乳酸樹脂Aがステレオコンプレックスを形成しやすく、その結果、ポリ乳酸樹脂の融点の上昇が十分に大きくなり、ポリ乳酸の融点が190℃以上230℃未満となる。

0041

前記の(B)の方法、すなわち、ポリ乳酸としてポリ−L−乳酸からなるセグメントとポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合には、ポリ−L−乳酸からなるセグメントとポリ−D−乳酸からなるセグメントの質量比は、80:20〜20:80であることが好ましく、75:25〜25:75であることがより好ましく、さらには70:30〜30:70であることが好ましく、特に60:40〜40:60であることが最も好ましい態様である。

0042

ポリ−L−乳酸からなるセグメントおよびポリ−D−乳酸からなるセグメントのそれぞれの質量比が、80:20〜20:80の範囲であると、ポリ乳酸がステレオコンプレックスを形成しやすく、その結果、ポリ乳酸の融点の上昇が十分に大きくなり、ポリ乳酸の融点が190℃以上230℃未満となる。

0043

前記の(A)の方法で用いられるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を製造する方法としては、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを溶融混練してなる混合物とすることで可能であるが、この溶融混錬する方法は特に限定されるものではない。例えば、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸のうち、融点の高い方の成分の融解終了温度以上で溶融混練する方法、溶媒中で混合した後に溶媒を除く方法、あるいは溶融状態のポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の少なくとも一方を、あらかじめ融点−50℃〜融点+20℃の温度範囲内で溶融機内にてせん断を付与しながら滞留させた後、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とからなる混合物の結晶が残存するように混合する方法などが挙げられる。

0044

融解終了温度以上で溶融混練する方法としては、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを回分法もしくは連続法で混合する方法が挙げられ、いずれの方法で混合してもよく、混練装置としては、例えば、一軸押出機二軸押出機プラストミルニーダー、および減圧装置付き撹拌槽反応機が挙げられ、均一かつ十分に混練できる観点においては二軸押出機を用いることが好ましい。

0045

前記(B)の方法で用いられるポリ乳酸ブロック共重合体の製造方法は、一般のポリ乳酸の製造方法を利用することができる。具体的には、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することにより混合物を製造し、得られた混合物を固相重合することによって前記のポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法、原料の乳酸成分から生成した環状2量体のL−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一方を触媒存在下で開環重合させ、さらに得られたポリ乳酸の光学異性体であるラクチドを添加して開環重合させることにより、ポリ乳酸ブロック共重合体を製造するラクチド法、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を融点の高い方の成分の融解終了温度以上で長時間溶融混練を行うことにより、L−乳酸成分のセグメントとD−乳酸成分のセグメントをエステル交換反応させてポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法、多官能性化合物をポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸に混合して反応させることにより、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを多官能性化合物で共有結合させ、ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法などがある。

0046

ポリ乳酸ブロック共重合体の製造方法についてはいずれの方法を利用してもよいが、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造する工程、得られた混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する工程、および、そのポリ乳酸ブロック共重合体を用いて製造する工程を有する方法を用いることにより得られる樹脂シートが、耐熱性や透明性に優れたポリ乳酸系樹脂シートとして得られる。

0047

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、無機粒子を含まないか、または、ポリ乳酸系樹脂シート100質量%中の無機粒子の含有量が0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下である。ポリ乳酸系樹脂シート100質量%中の無機粒子の含有量が0.1質量%を超える場合、樹脂シートの透明性や耐衝撃性を低下させてしまうことがある。

0049

本発明のポリ乳酸系樹脂シートに含まれるポリ乳酸が、優れた耐熱性と透明性が得られるという点でポリ−L−乳酸からなるセグメントおよびよびポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことが好ましい。

0050

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、成形体とした際の耐熱性を向上させるために、結晶化度が1%以上30%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以上25%以下であり、さらに好ましくは5%以上20%以下である。結晶化度が1%未満の場合、十分な耐熱性を得られず、一方、結晶化度が30%より大きい場合、成形性を損なってしまう傾向がある。

0051

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの結晶化度を1%以上30%以下とする方法としては、例えば、樹脂シートを製造する際、もしくは、樹脂シート製造後、樹脂シートに70℃以上の温度で熱処理を施す工程を有することが好ましい。熱処理温度が70℃より低いと、結晶化が進行せずに結晶化度を1%以上とすることができない場合がある。

0052

また、本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、成形体とした際の耐熱性を向上させ、同時に成形時の成形性を損なわないために、結晶化した際の結晶サイズが、1nm以上30nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm以上28nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上25nm以下である。結晶サイズが1nm未満の場合、擬似架橋点として十分に機能せず結晶化度を上げることができないという傾向がある。一方、結晶サイズが30nmより大きい場合、結晶の変形のための多大な応力を要するため成形性を損なってしまう傾向がある。

0053

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの結晶化した際の結晶サイズを1nm以上30nm以下とする方法としては、例えば、樹脂シートを製造する際、もしくは、樹脂シート製造後、樹脂シートに70℃以上210℃以下の温度で熱処理を施す工程を有することが好ましい。熱処理温度が70℃より低いと、結晶サイズを1nmとはできないことがあり、また熱処理温度が210℃より高いと、結晶サイズが30nmを超えてしまい成形性に劣るものとなることがある。

0054

上記のように、結晶化度や結晶サイズを好ましい範囲とするための熱処理を施す工程の温度は、70℃以上210℃以下が好ましく、より好ましくは75℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは80℃以上150℃以下である。熱処理を施す工程の時間は、5秒〜5分間が好ましく、より好ましくは5秒〜3分間である。熱処理を施す方法としては、加熱オーブンによる方法や加熱ロールによる方法が好ましく用いられる。加熱オーブンによる方法では、加熱方法として、熱風による方法や遠赤外ヒーターによる方法、またはこれらの組み合わせによる方法等が好ましく採用することができる。

0055

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、樹脂シート100質量%中に、ポリ乳酸を50質量%以上99.9質量%以下含むことが好ましい。樹脂シート100質量%中にポリ乳酸の含有量が50質量%未満の場合、十分な成形性が得られないことがある。本発明においては、樹脂シート100質量%中のポリ乳酸を60質量%以上99.9質量%以下含むことがより好ましく、さらに好ましくは80質量%以上99.9質量%以下で含むことある。

0056

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、ポリ乳酸中にポリ乳酸ブロック共重合体を50質量%以上100質量%以下含むことが好ましい。ポリ乳酸中のポリ乳酸ブロック共重合体の含有量が50%未満の場合、十分な耐熱性が得られないことがある。本発明においては、ポリ乳酸中にポリ乳酸ブロック共重合体を70質量%以上100質量%以下含むことがより好ましく、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。

0057

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、結晶核剤を1種または2種以上を添加することができる。本発明のポリ乳酸系樹脂シートに好適に用いられる結晶核剤の例としては、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビス−12−ジヒドロキシステアリン酸アミドおよびトリメシン酸トリシクロヘキシルアミドなどの有機アミド化合物有機カルボン酸金属塩、およびフェニルホスホン酸亜鉛などが挙げられる。これらの結晶核剤の添加量は、透明性を損なわない範囲として、樹脂シート100質量%に対し、1質量%未満であることが好ましい。

0058

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、前述のとおり、多官能性化合物を含有する樹脂組成物から製造されることが重要であり、本発明においては、樹脂組成物の全体100質量%中に多官能性化合物を0.1質量%以上2.0質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。多官能性化合物が2.0質量%より多い場合、樹脂シート成形時の熱履歴によってポリ乳酸と多官能性化合物が反応し、ゲル状異物となって樹脂シート外観を損なってしまう傾向がある。一方、多官能性化合物が0.1質量%より少ない場合、樹脂シート表面の十分な粗面化効果が得られないことがある。

0059

本発明で用いられる多官能性化合物としては、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸ハロゲン化物、多価カルボン酸、多価イソシアネート多価アミン、多価アルコールおよび多価エポキシ化合物などが挙げられ、具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物コハク酸無水物フタル酸無水物トリメリット酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物などの多価カルボン酸無水物、イソフタル酸クロリドテレフタル酸クロリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの多価カルボン酸ハロゲン化物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの多価カルボン酸、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートトルエン−2,4−ジイソシアネートなどの多価イソシアネート、エチレンジアミンヘキサンジアミンジエチレントリアミンなどの多価アミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、およびテレフタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、およびペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなどの多価エポキシ化合物などが挙げられる。

0060

多官能性化合物として、特に好ましくは、多価カルボン酸無水物、多価イソシアネート、多価アルコールおよび多価エポキシ化合物が挙げられ、特に多価カルボン酸無水物、多価イソシアネートおよび多価エポキシ化合物がより好ましく用いられる。また、これらは1種または2種以上を併用して使用することができる。

0061

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、ヘイズが7%以下で、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。このようなポリ乳酸系樹脂シートを用いてなる成形体は、内容物の視認性に優れ、商品として見栄えがよいなど、高い意匠性を有したものとして好ましく用いることができる。一方、ヘイズが7%より大きく、全光線透過率が85%より小さい場合、透明性が不十分であり、実用化に際し、好ましくないことがある。ヘイズを好ましい範囲でするためには、例えば、樹脂組成物中の多官能性化合物の含有量を変えること、使用するポリ乳酸の配合量を変えることで制御可能である。

0062

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの動摩擦係数μdは、0.10以上0.40以下であることが好ましい。動摩擦係数μdが0.20より小さいと、巻きズレや蛇行を起こしやすくなる。一方、動摩擦係数μdが0.40より大きいと、エア噛みによる巻き形状不良や成形加工時に異なる面同士を順に積層した樹脂シート同士がすべらずに送り不良が発生し、加工効率を低下させてしまうことがある。

0063

動摩擦係数μdを0.20以上0.40以下とするための方法は、前述の条件1(0.02μm≦│Ra1−Ra2│≦0.3μm)を満たし、同時に条件2(0.03μm≦Ra1)と条件3(0.01μm≦Ra2)を満たす方法などを挙げることができる。

0064

本発明のポリ乳酸系樹脂シートを用いて成形品を得るための成形法としては、真空成形真空圧空成形プラグアシスト成形ストレート成形フリードローイング成形、プラグアンドリング成形およびスケルトン成形などの各種成形法を適用することができる。各種成形法における樹脂シート予熱方式としては、間接加熱方式熱盤直接加熱方式があり、間接加熱方式はシートから離れた位置に設置された加熱装置によって樹脂シートを予熱する方式であり、熱盤直接加熱方式は樹脂シートと熱盤が接触することによって樹脂シートを予熱する方式であるが、本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、間接加熱方式の真空成形加工、真空圧空成形加工または熱盤直接加熱方式の真空圧空成形加工に好ましく用いることができる。

0065

本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、良好な成形性を付与できるという点から、面配向度ΔPが0以上0.002以下であることが好ましい。面配向度が0.002より大きいと、成形品用途として使用する場合、特に真空成形や真空圧空成形などの成形方法で3次元形状に成形する場合、成形方法や条件が限定され、加工条件幅が狭くなるというような課題がある。面配向度ΔPは、より好ましくは0.0005以上0.001以下である。

0066

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの面配向度ΔPを0以上0.002以下とする方法としては、例えば、Tダイから押出した後、30〜50℃の温度のキャスティングロールで、冷却固化する方法等を挙げることができる。二軸延伸のような冷間延伸(融点未満の温度での延伸)では、面配向度ΔPが0.002より大きくなる場合がある。

0067

本発明のポリ乳酸系樹脂シートには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、新たな層を設けてもよい。例えば、本発明のポリ乳酸系樹脂シートに、接着層、防曇層および離型層などを設けることができる。

0068

本発明のポリ乳酸系樹脂シートの厚みは、通常100μmから1000μm程度が用いられる。本発明のポリ乳酸系樹脂シートが容器用途やブリスターパック用途として用いられる場合には、通常150μmから700μm程度の厚さが好適である。本発明のポリ乳酸系樹脂シートが印刷加工物用途として用いられる場合には、通常100μmから400μm程度の厚さが好適である。

0070

[物性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における物性の測定方法および効果の評価方法は、次のとおりである。評価方法(2)〜(7)は熱処理前の樹脂シートを用い、評価方法(8)と(9)は熱処理後の樹脂シートを用いた。

0071

(1)ポリ乳酸の融点:Tm
ポリ乳酸の融点は、パーキンエルマー社示差走査型熱量計DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/分である。ここで、融点とは、結晶融解ピークにおけるピークトップの温度のことを指す。

0072

ここで示す融点とは、1回目の測定(1stRUN)で昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温した後、降温速度20℃/分で30℃まで冷却し、さらに2回目の測定(2ndRUN)で昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温したときに測定される融点のことである。

0073

(2)樹脂シート厚み:t
ダイヤルゲージ厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHDIALGAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、樹脂シートのMD方向およびTD方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、その平均値を当該樹脂シートのシート厚み(μm)とした。

0074

(3)中心線平均粗さ:Ra
樹脂シートの表面を、(株)菱化システム社製 VertScan2.0 R5300GL−Lite−ACを使用して中心線粗さ(Ra1、Ra2)を測定した。なお、測定条件の詳細は次のとおりである。
カメラCCDカメラSONY HR−57 1/2インチ
光源:12V50Wハロゲン白色光源
二光束干渉対物レンズ:Michelson型 5x
ズームレンズ:0.5x
波長フィルタ:530nm white
・測定モード:Wave
測定ソフトウェア:Vs−Measure Version5.5.1
解析ソフトフェア:Vs−Viewer Version5.5.1。

0075

(4)透明性:ヘイズ:Ha(%)と全光線透過率:Tt(%)
JIS−K−7105(1981)に準じて、ヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機社製)を用いてヘイズ値と全光線透過率を測定した。測定は1水準につき各3回行い、3回の測定から平均値をそれぞれ求めた。

0076

(5)動摩擦係数:μd
JIS K7125(1999)に準じて、スリップテスター(東洋テスター工業社製)を用い、荷重200gとして、異なる面同士を合わせ、滑り出した後の安定領域での抵抗(μd:動摩擦係数)より以下の式を用いて値を求めた。
・動摩擦係数:μd=抵抗値/荷重。

0077

(6)樹脂シート同士のすべり性
上記(5)動摩擦係数により、次の判断基準に従って判定した。
○:動摩擦係数が0.10以上0.40以下、
×:動摩擦係数が0.10未満、もしくは0.40より大きい。

0078

(7)面配向度:ΔP
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計(アタゴ製NAR−1T SOLID)を用いて、本発明のフィルムの縦方向屈折率(Nx)、横方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)を測定し、下式から面配向係数(ΔP)を算出した。
ΔP=(Nx+Ny)/2−Nz
(8)結晶化度(%)と結晶サイズ
樹脂シートの表面をX線回折測定面とするように、サンプル片切り出した。そのサンプル片をX線回折装置(Bruker AXS社製 D8 ADVANCE)の試料ホルダーに設置した。このX線回折装置を用いて広角X線回折法(2θ−θスキャン法)により得られた回折ピークについて、非晶部分に伴う回折曲線ベースラインとして2θが10〜30°の総面積(Stotal)を求めると共に、非晶部分に伴う回折曲線の面積を求め、下記の式より樹脂シートの結晶化度(%)および結晶サイズを求めた。
・結晶化度 = Stotal/(Stotal+非晶部分に伴う回折曲線の面積)×100
さらに、2θ=12°付近ピーク半値幅から、下記の式を用いて結晶サイズを求めた。
・シートの結晶サイズ=0.15418/((半値幅2−装置定数2)0.5×COSθ)
(装置定数には、0.13°を使用した。)
測定条件の詳細は、次のとおりである。
X線源CuKα線
・出力:40kV、40mA
スリット径:DS=SS=1°、RS=0.6mm、RSm=1mm
検出器シンチレーションカウンター
測定範囲:5〜80°
ステップ幅(2θ):0.05°
スキャン速度:1°/min。

0079

(9)成形体作製、耐熱性評価、成形性評価
320mm、長さ460mmの枚葉サンプルとし、開口部150mm×210mm、底面部105mm×196mm、および高さ50mmのトレー状金型を備えた成光産業(株)製小型真空成形機フォーミング300X型を用いて、成形時の樹脂シート温度が100℃〜200℃の範囲になるような温度条件で予熱し、成形を行った。得られた成形体を100℃の温度設定された熱風オーブン中に、成形体の底面部が上になるようにして5分間置き、成形体の耐熱性を高さ維持率で5段階評価した。成形体の高さは、成形体の底面部が上になるようにして置いて、成形体を真横から観察した際の底面部の高さと定めた。

0080

また、成形性は、トレー状の成形体を作製した際の底面部への追従性および樹脂シート厚みを測定することにより評価した。◎および○であると実用上問題なく成形可能である。

0081

<成形体の耐熱性>
5:元の高さ(50mm)の95%以上100%以下
4:元の高さ(50mm)の90%以上95%未満
3:元の高さ(50mm)の80%以上90%未満
2:元の高さ(50mm)の40%以上80%未満
1:元の高さ(50mm)の0%以上40%未満
耐熱性のレベルが4以上であると実用上問題なく使用可能である。
<シートの成形性>
◎(非常に良好):樹脂シートがトレー状の成形体の底面部まで十分に追従するよう成形されており、その底面部のシート厚みが、元のフィルム厚みの30%以上に保たれている。
○(良好):樹脂シートがトレー状の底面部まで十分に追従するよう成形されているが、該底面部の樹脂シート厚みが、元のフィルム厚みの30%未満である。
×(成形不良):樹脂シートがトレー状の底面部まで十分に追従成形されず、あるいは追従成形されていても該底面部での樹脂シート破断などが確認される。

0082

(10)ポリ乳酸の重量平均分子量
ポリ乳酸の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。GPCの測定は、検出器にWATERS示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにWATERS社MODEL510を用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。

0083

[使用したポリ乳酸]
(A−1):製造例1(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物、重量平均分子量=18.2万、融点=214℃)
(A−2):製造例2(ポリ−L−乳酸からなるセグメントおよびよびポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体、重量平均分子量=16.6万、融点=213℃)
(A−3):製造例3(ポリ−L−乳酸からなるセグメントおよびよびポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体、重量平均分子量=14.3万、融点=210℃)
(A−4):回転式真空乾燥機を用いて100℃の温度で5時間乾燥したポリ乳酸(Nature Works製“Ingeo”(登録商標)4032D;L−乳酸:D−乳酸=98.6モル%:1.4モル%、Tg=58℃、融点=166℃)。

0084

[使用した多官能性化合物]
(B−1):ポリカルボジイミド(日清紡社製「“カルボジライト”(登録商標)LA−1」)
(B−2):エポキシ基含有スチレンアクリル酸エステル共重合体(BASF社製「“JONCRYL”(登録商標)ADR−4368」)
(B−3):N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドラインへミー社製「“スタバクゾール”(登録商標)」)。

0085

[製造例1](A−1の製造例)
撹拌装置還流装置を備えた反応容器中に、90質量%L−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃に設定した後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃の温度で13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA1)を得た。得られたPLLA1の重量平均分子量は1.8万、融点は149℃、融解終了温度は163℃であった。

0086

得られたPLLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃の温度で3時間、150℃の温度で3時間、160℃の温度で18時間固相重合を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA2)を得た。得られたPLLA2の重量平均分子量は、20.3万、融点は170℃であった。

0087

次に、撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90質量%D−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃に設定した後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃の温度で13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA1)を得た。得られたPDLA1の重量平均分子量は1.7万、融点は148℃、融解終了温度は161℃であった。

0088

得られたPDLA1を、窒素雰囲気下110℃の温度で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃の温度で3時間、150℃の温度で3時間、160℃の温度で14時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA2)を得た。得られたPDLA2の重量平均分子量は、15.8万、融点は168℃であった。

0089

次に、PLLA2とPDLA2を、あらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃、2時間結晶化処理を行っておき、PLLA2/PDLA2=50/50質量%になるように原料を配合し、触媒失活剤(ADEKA社製“アデカスタブ”(登録商標)AX−71)をPLLA2とPDLA2の合計100質量%に対し0.5質量%をドライブレンドした後、二軸押出機によって、減圧下、混練温度240℃でPLLA2とPDLA2の溶融混練を行い、ダイスから吐出されたストランド冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することにより、ペレット状のポリ乳酸A−1を得た。得られたポリ乳酸A−1の重量平均分子量は18.2万、融点は214℃であった。得られたA−1は圧力13.3Paで、110℃の温度で2時間結晶化処理を行った。

0090

[製造例2](A−2の製造例)
A−2は、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することにより混合物を製造する工程、その混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造した。具体的には、上記の製造例1で得られたPDLA1を、窒素雰囲気下110℃の温度で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃の温度で3時間、150℃の温度で3時間、160℃の温度で6時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA3)を得た。得られたPDLA3の重量平均分子量は4.2万、融点は158℃であった。

0091

製造例1で得られたPLLA2とPDLA3を、あらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃、2時間結晶化処理を行っておき、PLLA2/PDLA3=50/50質量%になるように原料を配合し、二軸押出機によって、減圧下、混練温度210℃でPLLA2とPDLA3の溶融混練を行い、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することにより、ペレット状のポリ乳酸樹脂組成物を得た。得られたポリ乳酸溶融混練樹脂真空乾燥機中、110℃の温度で圧力13.3Paで2時間乾燥後、140℃の温度で圧力13.3Paで4時間固相重合を行い、次いで150℃の温度に昇温して4時間、さらに160℃の温度に昇温して10時間固相重合を行い、ポリ乳酸ブロック共重合体を得た。次いで、触媒失活剤(ADEKA社製“アデカスタブ”(登録商標)AX−71)を、得られたポリ乳酸ブロック共重合体100質量%に対し0.5質量%をドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃に設定し、スクリュー回転数を100rpmに設定した、2ヶ所のニーディングブロック部を有するPCM30二軸押出機で溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターを用いてペレット化することにより、ペレット状のポリ乳酸A−2を得た。得られたポリ乳酸A−2の重量平均分子量は16.6万で、融点は213℃であった。得られたA−2は圧力13.3Pa、110℃の温度で2時間結晶化処理を行った。

0092

[製造例3](A−3の製造例)
ベント式二軸押出機に供給するPLLA2とPDLA3の比率を、PLLA2/PDLA3=70/30質量%とすること以外は、上記の製造例2と同様の方法で製造し、ポリ乳酸A−3を得た。得られたポリ乳酸A−3の重量平均分子量は、16万、融点は215℃であった。得られたA−3は圧力13.3Pa、110℃の温度で2時間結晶化処理を行った。

0093

(実施例1)
表1に示す割合で、ポリ乳酸(A)と多官能性化合物(B)をあらかじめドライブレンドした後、ベント式二軸押出機を用いて230℃の温度で真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、口金温度を220℃に設定したTダイ口金から押出し、互いに接する方向に回転し表面温度が50℃の金属製タッチロールと表面温度が35℃の金属製キャスティングロールの間に吐出して、金属製キャスティングロールに密着させ冷却固化し、ワインダーにてシートを巻き取り、厚み250μmの未延伸シート状のポリ乳酸系樹脂シートを作製した。続いて、得られたポリ乳酸系樹脂シートを熱風オーブンを用いて90℃の温度で25秒間熱処理を施した。さらに、熱処理後のシートを用いて上述した成形体作製方法に従って、成形体を作製した。得られた樹脂シートおよび成形体は、表1に示したとおり優れた特性を示した。

0094

(実施例2〜8、比較例1〜3)
表1記載の各組成を、表1記載の種類と質量%等を変更し、タッチロールとキャスティングロールの温度を、表1記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートおよび成形体を得た。得られた樹脂シートおよび成形体の特性を表1と2に示した。

0095

実施例2〜8は、耐熱性、すべり性および透明性で優れた特性を示した。一方、比較例1〜3は、耐熱性とすべり性のいずれかで、実用性が劣る結果となった。

0096

実施例

0097

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