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技術 α−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法

出願人 国立大学法人佐賀大学
発明者 北村二雄
出願日 2013年6月3日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2013-117352
公開日 2014年12月15日 (5年2ヶ月経過) 公開番号 2014-234370
状態 特許登録済
技術分野 有機低分子化合物及びその製造 触媒を使用する低分子有機合成反応
主要キーワード 価電子数 オクテット則 超原子価ヨウ素化合物 モノカルボニル化合物 有機フッ素 JEOL製 直接フッ素化 ジアセトキシヨード
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課題

アセトフェノン誘導体に対して、温和な条件下で、1段階反応で進行する簡便なフッ素化反応による新規のα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法の提供。

解決手段

式(I)で表されるアセトフェノン誘導体と、フッ化水素アミン錯体を、超原子価ヨウ素化合物の存在下で反応させる。(式中、環Aは、1〜3員環芳香族環であり、R1は、水素原子、又は、置換されていてもよい1〜3員環の芳香族環であり、R2は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である)前記式(I)のH部位を置換してフッ素化する。

概要

背景

有機フッ素化合物農薬医薬品として重要な合成中間体であることはよく知られている。有機フッ素化合物は天然にはほとんど存在しないことから、これらを得るためには有機合成の手法を用いる必要がある。

このような有機フッ素化合物として、α−フルオロアセトフェノン誘導体がある。α−フルオロアセトフェノン誘導体は、食品、医薬,農薬等の幅広い分野において重要な合成中間体である。

α−フルオロアセトフェノン誘導体を製造する一般的な方法は、出発原料となる有機化合物中水素水酸基などを、適切なフッ素化剤を用いて直接フッ素化することである。即ち、α‐フルオロアセトフェノン誘導体の主な製造方法としては、(1)アセトフェノン誘導体をエノールエーテルエナミンエノラートイオンへ変換後、フッ素化剤によりフッ素化する方法、(2)アセトフェノン誘導体をハロゲン化した後、フッ化物イオン置換する方法、(3)メタノール中で、フッ素ドナー用の化学試薬[例えば、セレクトフルオル(Selectfluor、登録商標)]によりフッ素化を行った後、加水分解する方法が一般に用いられている。しかしながら、いずれの方法も2段階の反応工程を要する反応(2段階反応)であることから、反応操作が煩雑となり、反応コストも嵩張るという問題がある。さらに、高価なフッ素化剤や危険なフッ素ガスを使用することから、材料コストが高く、安全性を確保できる特殊な装置および熟練された技術も要求され、実用的ではないという問題もある。

このような問題に対して、目的とする化合物が異なるが、1段階反応でフッ素化反応を行うという点で、フッ化水素酸フッ化水素水)とヨードシルベンゼン(PhIO)を用いて、1,3−ジカルボニル化合物をフッ素化する方法が報告されている(非特許文献1及び2参照)。

概要

アセトフェノン誘導体に対して、温和な条件下で、1段階反応で進行する簡便なフッ素化反応による新規のα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法の提供。式(I)で表されるアセトフェノン誘導体と、フッ化水素・アミン錯体を、超原子価ヨウ素化合物の存在下で反応させる。(式中、環Aは、1〜3員環芳香族環であり、R1は、水素原子、又は、置換されていてもよい1〜3員環の芳香族環であり、R2は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である)前記式(I)のH部位を置換してフッ素化する。なし

目的

α−フルオロアセトフェノン誘導体を製造する一般的な方法は、出発原料となる有機化合物中の水素や水酸基などを、適切なフッ素化剤を用いて直接フッ素化することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

次の一般式(I)で表されるアセトフェノン誘導体と、フッ化水素アミン錯体を、超原子価ヨウ素化合物の存在下で反応させて、次の一般式(II)で表されるα−フルオロアセトフェノン誘導体を得る工程を含むことを特徴とするα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法。(上記式中、環Aは、1〜3員環芳香族環であり、R1は、水素原子、又は、置換されていてもよい1〜3員環の芳香族環であり、R2は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である)

請求項2

フッ化水素・アミン錯体が、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜6の鎖状または環状のアミンと、当該アミンに対するモル比が1〜10のフッ化水素とから形成された錯体であり、超原子価ヨウ素化合物が、ヨードシルベンゼンヨードベンゼンジアセテートフェニルヨージン(III)ビストリフルオロアセタート)、ヨードベンゼンジクロライドジアセトキシヨードトルエンジフルオロヨードトルエン、[ヒドロキシメタンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン、[ヒドロキシ(p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン、又は[ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨード]ベンゼンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法。

請求項3

フッ化水素・アミン錯体が、3フッ化水素・トリエチルアミン錯体、5フッ化水素・トリエチルアミン錯体、又は、ピリジン・フッ化水素錯体のいずれかであり、超原子価ヨウ素化合物が、ヨードシルベンゼン、ヨードシルベンゼン、ヨードベンゼンジアセテート、又は、フェニルヨージン(III)ビス(トリフルオロアセタート)のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載のα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法。

請求項4

フッ化水素・アミン錯体が、5フッ化水素・トリエチルアミン錯体であり、超原子価ヨウ素化合物が、ヨードシルベンゼンであることを特徴とする請求項3に記載のα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法。

請求項5

アセトフェノン誘導体が、アセトフェノン、p‐メチルアセトフェノン、p‐クロロアセトフェノン、p‐メトキシアセトフェノン、1‐アセトナフトン、2‐アセトナフトン、ベンジルフェニルケトンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、有機フッ素化学の技術分野に属し、特に、α−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法に関する。

背景技術

0002

有機フッ素化合物農薬医薬品として重要な合成中間体であることはよく知られている。有機フッ素化合物は天然にはほとんど存在しないことから、これらを得るためには有機合成の手法を用いる必要がある。

0003

このような有機フッ素化合物として、α−フルオロアセトフェノン誘導体がある。α−フルオロアセトフェノン誘導体は、食品、医薬,農薬等の幅広い分野において重要な合成中間体である。

0004

α−フルオロアセトフェノン誘導体を製造する一般的な方法は、出発原料となる有機化合物中水素水酸基などを、適切なフッ素化剤を用いて直接フッ素化することである。即ち、α‐フルオロアセトフェノン誘導体の主な製造方法としては、(1)アセトフェノン誘導体をエノールエーテルエナミンエノラートイオンへ変換後、フッ素化剤によりフッ素化する方法、(2)アセトフェノン誘導体をハロゲン化した後、フッ化物イオン置換する方法、(3)メタノール中で、フッ素ドナー用の化学試薬[例えば、セレクトフルオル(Selectfluor、登録商標)]によりフッ素化を行った後、加水分解する方法が一般に用いられている。しかしながら、いずれの方法も2段階の反応工程を要する反応(2段階反応)であることから、反応操作が煩雑となり、反応コストも嵩張るという問題がある。さらに、高価なフッ素化剤や危険なフッ素ガスを使用することから、材料コストが高く、安全性を確保できる特殊な装置および熟練された技術も要求され、実用的ではないという問題もある。

0005

このような問題に対して、目的とする化合物が異なるが、1段階反応でフッ素化反応を行うという点で、フッ化水素酸フッ化水素水)とヨードシルベンゼン(PhIO)を用いて、1,3−ジカルボニル化合物をフッ素化する方法が報告されている(非特許文献1及び2参照)。

先行技術

0006

二雄、木智史、Mohammad Hasan Morshed、堀 勇治、「フッ化水素酸/PhIOを用いる1,3-ジカルボニル化合物の簡便フッ素化反応」、ヨウ素、No.14 Page.84-85 (2011)
Tsugio Kitamura, Satoshi Kuriki, Mohammad Hasan Morshed, and Yuji Hori, Org. Lett., 13(9), p.2392-2394 (2011)

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、この方法によるフッ素化反応が適用できるのは、ジカルボニル化合物に対してのみであり、アセトフェノン誘導体のようなモノカルボニル化合物に対してはほとんど反応が進行しないことが確認されている(後述の比較例)。このように、アセトフェノン誘導体のようなモノカルボニル化合物に対して、温和な条件下で、1段階反応のみで反応が進行するような簡便なフッ素化反応は、現在のところ見当たらない。

0008

本発明の目的は、上記課題を解決すべく、アセトフェノン誘導体に対して、温和な条件下で、1段階反応で進行する簡便なフッ素化反応による新しいタイプのα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、鋭意研究の結果、フッ素源としてフッ化水素・トリエチルアミン錯体を、超原子価ヨウ素化合物の存在下で用いることによって、アセトフェノン誘導体に対して、1段階反応のみの簡便なフッ素化反応により、温和な条件下でα−フルオロアセトフェノン誘導体が得られることを新たに見出した。

0010

かくして、本発明に従えば、次の一般式(I)で表されるアセトフェノン誘導体と、フッ化水素・アミン錯体を、超原子価ヨウ素化合物の存在下で反応させて、次の一般式(II)で表されるα−フルオロアセトフェノン誘導体を得る工程を含むα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法が提供される。

0011

上記式(I)および(II)中、環Aは、1〜3員環芳香族環であり、R1は、水素原子、又は、置換されていてもよい1〜3員環の芳香族環であり、R2は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である。

0012

本発明に係るα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法は、上記一般式(I)で表されるアセトフェノン誘導体と、フッ素源としてのフッ化水素・アミン錯体を、超原子価ヨウ素化合物の存在下で反応させ、上記一般式(II)で表されるα−フルオロアセトフェノン誘導体を得るという特徴を有する。

0013

本発明でいう「アセトフェノン誘導体」とは、アセトフェノン骨格を有する有機化合物を意味する。上記の一般式式(I)および(II)において、環Aは、1〜3員環の芳香族環であり、例えば、フェニル基ナフチル基アントラセニル基が含まれる。R1は、水素原子、又は、置換されていてもよい1〜3員環の芳香族環であり、例えば、水素原子、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられ、例えば、水素原子、又はフェニル基とすることができる。R2は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、水素原子、メチル基エチル基ブチル基、プロピル基ペンチル基、及びヘキシル基が挙げられ、例えば、水素原子とすることができる。R3は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子であり、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基シクロヘキシルオキシ基フッ素原子塩素原子臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、例えば、メチル基、メトキシ基、又は塩素原子とすることができる。

0014

このような官能基原子団から構成される本発明に係るアセトフェノン誘導体としては、例えば、アセトフェノン、p‐メチルアセトフェノン、p‐クロロアセトフェノン、p‐メトキシアセトフェノン、1‐アセトナフトン、2‐アセトナフトン、ベンジルフェニルケトンなどが挙げられ、この他にも、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等が挙げられる。

0015

本発明でいう「フッ化水素・アミン錯体」とは、鎖状または環状のアミンと、フッ化水素とから形成された錯体(または塩)を意味する。このようなフッ化水素・アミン錯体としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜6の鎖状または環状のアミンと、当該アミンに対するモル比が1〜10のフッ化水素とから形成された錯体を用いることができ、例えば、3フッ化水素・トリエチルアミン錯体、5フッ化水素・トリエチルアミン錯体、又は、ピリジン・フッ化水素錯体が挙げられ、この他にも、3フッ化水素・ジエチルアミン錯体、3フッ化水素・モノエチルアミン錯体、3フッ化水素・トリメチルアミン錯体、3フッ化水素・ジメチルアミン錯体、3フッ化水素・モノメチルアミン錯体、5フッ化水素・ジエチルアミン錯体、5フッ化水素・モノエチルアミン錯体、5フッ化水素・トリメチルアミン錯体、5フッ化水素・ジメチルアミン錯体、5フッ化水素・モノメチルアミン錯体を挙げることができる。

0016

本発明でいう「超原子価ヨウ素化合物」とは、所謂オクテット則に従って要求される価電子数8よりも多くの電子をもつことにより、超原子価となっているヨウ素から構成される化合物を意味する。ヨウ素が超原子価となることは、ヨウ素原子が、原子としてのサイズが大きく、分極性が高く、且つ、電気陰性度が小さいという性質によって、容易にその原子価拡張できることに起因している。

0017

このような超原子価ヨウ素化合物としては、例えば、ヨードシルベンゼン、ヨードベンゼンジアセテートヨードベンゼンジクロライドジアセトキシヨードトルエンジフルオロヨードトルエン、[ヒドロキシ(メタンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン、[ヒドロキシ(p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン、又は[ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨード]ベンゼンを挙げることができ、取扱いが容易である点から、好ましくは、ヨードシルベンゼン、ヨードベンゼンジアセテート、又はヨードベンゼンジクロライドであり、このうち所望とするフッ素化反応を有意に促進させるという点から、ヨードシルベンゼン(PhIO)を用いることが特に好ましい。

0018

尚、上記反応では、上述した各原料物質を溶解または分散させる溶媒を用いるが、この溶媒は、一般に用いられている溶媒であれば特に制限されず、非極性溶媒、又は極性溶媒のいずれでもよく、例えば、ジクロロメタンジクロロエタンクロロホルム四塩化炭素テトラクロロエタントリクロロエタンクロロベンゼンジクロロベンゼンクロロトルエン、トリフルオロトルエン;メタノール、エタノールプロパノールイソプロパノールブタノールペンタノールヘキサノールシクロヘキサノールエチレングリコールジブチルエーテルテトラヒドロフランテトラヒドロピランジオキサンアニソールジメトキシエタンアセトンメチルエチルケトンジエチルケトンヘキサノンメチルイソブチルケトンヘプタノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトンアセトニルアセトン、シクロヘキサノンメチルヘキサノン、アセトフェノン;ベンゼン、トルエン、キシレンエチルベンゼンヘキサンシクロヘキサンオクタンデカンテトラリンジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートジエチルカーボネートエチレンカーボネートプロピレンカーボネート酢酸エチル酢酸ブチル酢酸アミルなどが挙げられるが、好ましくは、ハロゲン系炭化水素有機溶媒であり、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリフルオロトルエンであり、より好ましくは、ジクロロメタン、又はジクロロエタンであり、フッ素化反応を有意に促進させるという点から、ジクロロメタンを用いることが特に好ましい。

0019

尚、上記反応における反応温度は、特に制限されるものではないが、反応時間を短縮化させるという観点から、好ましくは、室温〜100℃であり、より好ましくは、40℃〜70℃であり、例えば、40℃とすることができる。また、反応時間については、例えば、24時間〜48時間とすることができる。

0020

このようにして構成される本発明に係るα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法によれば、従来のフッ素化反応(例えば、フッ素源としてフッ化水素酸を用いるような方法)では為し得なかった高収率でフッ素化反応が進行することができる(後述の実施例参照)。このような優れた反応メカニズムは未だ詳細に解明されてはいないが、フッ素源としてのフッ化水素・アミン錯体を、超原子価ヨウ素化合物の存在下で用いることによって、フッ化物イオンを強く溶媒和する水が存在しない状況下で反応が進行し、その結果として、水中に存在する水酸化物イオンの影響を受けることなく、フッ化物イオンによる選択的な置換反応が極めて効率良く進行するものと推察される。

0021

以下に、本発明の特徴をさらに具体的に示すために実施例を記すが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
尚、以下の実施例で使用した化合物及び装置については次の通りである。即ち、各フッ化水素・アミン錯体、及び各アセトフェノン誘導体は、各々、東京化成工業(株)製のものを使用した。ヨードシルベンゼンは、文献(H. Saltzman, J. G. Sharefkin, Organic Syntheses, Collective Volume 5, 658 (1973).)に記載された方法で合成した。1H、19F及び13C NMRJEOL製AL-300装置を用いて測定した。

0022

(実施例1)
アセトフェノンのフッ素化
ヨードシルベンゼン(PhIO)(1.2 mmol)とフッ化水素・アミン錯体である3HF・TEA(9 mmol)のジクロロメタン溶液(2 mL)をテフロン試験管中に加え、15分撹拌した。次に、以下の化学反応式に示される出発物質としてのアセトフェノン(1-Phenyl-ethanone)(1a)(1 mmol)を加え、40℃で24時間攪拌した。この攪拌による反応後、反応混合物飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液(20 mL)に加え、生成物ジククロロメタン(10 mL)で3回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)を用いて有機層を乾燥させ、エバポレーターで溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサン/酢酸エチル混合溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、以下の化学反応式に示される生成物としての2-フルオロアセトフェノン(2-fluoroacetophenone)(2a)を40%収率で得た。尚、収率は、1H NMRを用いて算出した。

0023

2-フルオロアセトフェノン(2a)
2-Fluoro-1-phenylethanone
1H NMR(300MHz, CDCl3) d 5.54 (d, J = 47 Hz, 2H, CH2F), 7.48-7.91 (m, 5H, ArH)
19F NMR (283 MHz, CDCl3) d -231.84 (t, J = 47 Hz)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 83.54 (d, J =181 Hz), 127.83 (d, J = 2.5 Hz), 128.92, 133.69, 134.13, 193.40 (d, J = 15.5 Hz).

0024

次に、フッ化水素・アミン錯体である3HF・TEAの量を4.5 mmolに減少させて反応させると、ほぼ同量の45%収率で生成物2-フルオロアセトフェノン(2a)を得た。次に、フッ化水素・アミン錯体である5HF・TEA(4 mmol)とヨードシルベンゼン(PhIO)(1 mmol)のジクロロメタン溶液を用いて反応を行ったところ、生成物2-フルオロアセトフェノン(2a)の収率は68%に増加した。さらに、フッ化水素・アミン錯体である5HF・TEAの量を2 mmolに減少させたところ、収率は向上し、78%収率で生成物2-フルオロアセトフェノン(2a)を得た。同様の条件下70℃でジクロロエタン(DCE)を溶媒にして反応を行ったところ、64%収率で生成物2-フルオロアセトフェノン(2a)を得た。これらの結果を以下の表1に一覧形式で示す。この結果から、フッ化水素・アミン錯体である5HF・TEAを2mmol用いて40℃で反応を行った場合に、最も良い収率で主生成物が得られた。

0025

0026

0027

その他のアセトフェノン誘導体のフッ素化
以下の実施例2〜7では、上記アセトフェノンのフッ素化反応として最も高収率の反応が得られた条件と同じ反応条件を用いて、種々のアセトフェノン誘導体に対して,本発明に係るα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法に従って、フッ素化反応を行った。

0028

手順としては、上記実施例と同様に、先ず、ヨードシルベンゼン(PhIO)(1.2 mmol)とフッ化水素・アミン錯体としての5HF・TEA(2 mmol)とジクロロメタン(2 mL)をテフロン試験管中に加え、15分撹拌した。次に、以下の化学反応式で示される出発原料1としてのアセトフェノン誘導体(1 mmol)を加え、40℃で24時間撹拌した。反応後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液(20 mL)に加え、生成物をジククロロメタン(10 mL)で3回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)を用いて有機層を乾燥させ、エバポレーターで溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサン/酢酸エチル混合溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、生成物2としてのα−フルオロアセトフェノン誘導体を得た。後述する種々のアセトフェノン誘導体に対して,本発明に係るα−フルオロアセトフェノン誘導体の製造方法に従って、フッ素化反応を行った実施例2〜7の結果を以下の表2に一覧形式で示す。

0029

0030

(実施例2)
2-フルオロ-4'−アセトフェノンの製造
ヨードシルベンゼン1.2mmolとフッ化水素・アミン錯体5HF・TEA 2mmolとジクロロメタン2mlをテフロン試験管中に加え、15分撹拌した。次に原料であるp‐メチルアセトフェノン(4’−メチルアセトフェノン;1-p-Tolyl-ethanone)(1b)を1mmol加え、40℃で24時間撹拌した。反応後、20mlのNaHCO3水溶液に加え中和した。中和後、ジククロロメタンで3回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。Na2SO4を用いて有機層を乾燥させた。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離した。生成物2-フルオロ−4'−アセトフェノン(2b)が53%収率で得られた。同様の反応を70℃で行った場合には、生成物2-フルオロ-4'−アセトフェノン(2b)の収率は35%となった。

0031

2-フルオロ-4'−アセトフェノン(2b)
2-Fluoro-1-(4-methylphenyl)ethanone
1H NMR(300MHz, CDCl3) d 2.43 (s, 3H, Me), 5.50 (d, J = 47 Hz, 2H, CH2F), 7.29 (d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH), 7.79 (d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH)
19F NMR (283 MHz, CDCl3) d -231.60 (t, J = 47 Hz)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 21.76, 83.47 (d, J = 181 Hz), 127.93 (d, J = 2.5 Hz), 129.58, 131.22, 145.13, 192.99 (d, J = 15.5 Hz)

0032

(実施例3)
4'−クロロ−2‐フルオロアセトフェノンの製造
ヨードシルベンゼン1.2mmolとフッ化水素・アミン錯体5HF・TEA 2mmolとジクロロエタン2mlをテフロン試験管中に加え、15分撹拌した。次に原料であるp‐クロロアセトフェノン(4'−クロロアセトフェノン;1-(4-Chloro-phenyl)-ethanone)(1c)を1mmol加え、50℃及び70℃の各温度で24時間撹拌した。反応後、20mlのNaHCO3水溶液に加え中和した。中和後、ジククロロメタンで3回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。Na2SO4を用いて有機層を乾燥させた。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離した。50℃では44%収率で生成物4'−クロロ−2‐フルオロアセトフェノン(2c)が得られたが、70℃で反応させると、生成物4'−クロロ−2‐フルオロアセトフェノン(2c)の収率は62%に向上した。

0033

4'−クロロ−2‐フルオロアセトフェノン(2c)
1-(4-Chlorophenyl)-2-fluoroethanone
1H NMR(300MHz, CDCl3) d 5.52 (d, J = 47 Hz, 2H, CH2F), 7.52 (d, J = 8.6 Hz, 2H, ArH), 7.90 (d, J = 8.6 Hz, 2H, ArH)
19F NMR (283 MHz, CDCl3) d 230.91 (t, J = 47 Hz)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 83.56 (d, J = 182 Hz), 129.27, 129.39 (d, J = 3.1 Hz), 132.04 (d, J = 1.3 Hz), 140.65, 192.46 (d, J = 16.1 Hz)

0034

(実施例4)
2‐フルオロ−4'−メトキシアセトフェノンの製造
ヨードシルベンゼン1.2mmolとフッ化水素・アミン錯体5HF・TEA 2mmolとジクロロエタン2mlをテフロン試験管中に加え、15分撹拌した。次に原料であるp‐メトキシアセトフェノン(4'−メトキシアセトフェノン;1-(4-Methoxy-phenyl)-ethanone)(1d)を1mmol加え、50℃及び70℃の各温度で24時間撹拌した。反応後、20mlのNaHCO3水溶液に加え中和した。中和後、ジククロロメタンで3回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。Na2SO4を用いて有機層を乾燥させた。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離した。50℃及び70℃の各温度に対して、それぞれ49%、59%収率で2‐フルオロ−4'−メトキシアセトフェノン(2d)が得られた。

0035

2‐フルオロ−4'−メトキシアセトフェノン(2d)
2-Fluoro-1-(4-methoxyphenyl)ethanone
1H NMR(300MHz, CDCl3) d 3.93 (s, 3H, Me), 5.51 (d, J = 47 Hz, 2H, CH2F), 7.00 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ArH), 7.93 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ArH)
19F NMR (283 MHz, CDCl3) d -230.98 (t, J = 47 Hz)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 55.52, 83.46 (d, J = 180 Hz), 114.10, 126.78 (d, J = 1.2 Hz), 130.26 (d, J = 3.1 Hz), 164.21, 191.91 (d, J = 15.5 Hz)

0036

(実施例5)
1−(2'−フルオロアセチル)ナフタレンの製造
ヨードシルベンゼン1.2mmolとフッ化水素・アミン錯体5HF・TEA 2mmolとジクロロエタン2mlをテフロン試験管中に加え、15分撹拌した。次に原料である1‐アセトナフトン(1−アセチルナフタレン;1-Naphthalen-1-yl-ethanone)(1e)を1mmol加え、70℃で24時間撹拌した。反応後、20mlのNaHCO3水溶液に加え中和した。中和後、ジククロロメタンで3回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。Na2SO4を用いて有機層を乾燥させた。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離した。49%収率で生成物1−(2'−フルオロアセチル)ナフタレン(2e)が得られた。

0037

1−(2'−フルオロアセチル)ナフタレン(2e)
2-Fluoro-1-(1-naphthyl)ethanone
1H NMR(300MHz, CDCl3) d 5.52 (d, J = 47 Hz, 2H, CH2F), 7.50-8.08 (m, 6H, ArH), 8.70 (d, J = 8.4 Hz, 1H, ArH)
19F NMR (283 MHz, CDCl3) d -226.20 (t, J = 47 Hz)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 83.92 (d, J = 184 Hz), 124.15, 125.39, 126.83, 128.08, 128.13, 128.55, 130.27, 131.18, 131.20, 133.97, 196.91 (d, J = 16.7 Hz)

0038

(実施例6)
2-(2'‐フルオロアセチル)ナフタレンの製造
ヨードシルベンゼン1.2mmolとフッ化水素・アミン錯体5HF・TEA 2mmolとジクロロエタン2mlをテフロン試験管中に加え、15分撹拌した。次に原料である2‐アセトナフトン(2-アセチルナフタレン;1-Naphthalen-2-yl-ethanone)(1f)を1mmol加え、70℃で24時間撹拌した。反応後、20mlのNaHCO3水溶液に加え中和した。中和後、ジククロロメタンで3回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。Na2SO4を用いて有機層を乾燥させた。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離した。生成物2-(2'‐フルオロアセチル)ナフタレン(2f)が55%収率で得られ、反応時間を48時間に延ばした場合には、収率は60%に向上した。

0039

2-(2'‐フルオロアセチル)ナフタレン(2f)
2-Fluoro-1-(2-naphthyl)ethanone
1H NMR(300MHz, CDCl3) d 5.66 (d, J = 47 Hz, 2H, CH2F), 7.56-7.67 (m, 2H, ArH), 7.88-7.98 (m, 4H, ArH), 8.41 (s, 1H, ArH)
19F NMR (283 MHz, CDCl3) d -230.98 (t, J = 47 Hz, 1F)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 83.64 (d, J = 181 Hz), 123.14 (d, J = 1.9 Hz), 127.08, 127.84, 128.86, 128.99, 129.56, 129.75 (d, J = 3.2 Hz), 130.97, 132.30, 135.93, 193.30 (d, J = 15.5 Hz)

0040

(実施例7)
α‐フルオロベンジルフェニルケトンの製造
ヨードシルベンゼン1.2mmolとフッ化水素・アミン錯体5HF・TEA 2mmolとジクロロエタン2mlをテフロン試験管中に加え、15分撹拌した。次に原料であるベンジルフェニルケトン(1,2-Diphenyl-ethanone)(1g)を1mmol加え、50℃及び70℃の各温度で24時間撹拌した。反応後、20mlのNaHCO3水溶液に加え中和した。中和後、ジククロロメタンで3回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。Na2SO4を用いて有機層を乾燥させた。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離した。生成物α‐フルオロベンジルフェニルケトン(2-Fluoro-1,2-diphenylethanone)(2g)がそれぞれ52%、60%収率で得られた。

0041

α‐フルオロベンジルフェニルケトン(2g)
2-Fluoro-1,2-diphenylethanone
1H NMR(300MHz, CDCl3) d 6.52 (1d, J = 49 Hz, 1H, CHF), 7.38-7.68 (m, 8H, ArH), 7.93-7.96 (m, 2H, ArH)
19F NMR (283 MHz, CDCl3) d -177.04 (d, J = 49 Hz)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 93.93 (d, J = 184 Hz), 127.35 (d, J = 5.6 Hz), 128.66, 129.04, 129.07 (d, J = 1.2 Hz), 129.60 (d, J = 2.5 Hz), 133.74, 133.99, 134.21 (d, J = 19.7 Hz), 194.24 (d, J = 21.7 Hz)

0042

以上の結果から、アセトフェノン誘導体は、特に、ヨードシルベンゼン(PhIO)及びフッ化水素・アミン錯体としての5HF・TEAを用いた場合に、良好な収率でα−アセトフェノン誘導体としてのα−フルオロケトンが得られた。

0043

以下の比較例では、フッ素化反応において、従来のフッ化水素酸(フッ化水素水)を用いて、モノカルボニル化合物のフッ素化反応を確認した。

0044

(比較例1)
フッ化水素水を用いたアセトフェノンに対するフッ素化反応
原料物質アセトフェノン(1-Phenyl-ethanone)を1mmol用いて以下の表3の各条件に従って合成を行った。反応はほとんど進行せず、フッ素化された生成物は、最大でも7%の収率でしか得られなかった。

0045

0046

0047

(比較例2)
フッ化水素水を用いたベンジルフェニルケトンに対するフッ素化反応
原料物質ベンジルフェニルケトン(1,2-Diphenyl-ethanone)を1mmol用いて、表4の各条件に対してフッ素化を行った。反応温度40℃では収率0%であり、全くフッ素化反応が起きなかった。これ以外でも、反応はほとんど進行せず、フッ素化された生成物は、最大でも17%の収率でしか得られなかった。

0048

実施例

0049

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