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技術 プラズマCVD装置及びプラズマCVD膜の形成方法

出願人 小島プレス工業株式会社
発明者 加納裕治羽田野泰弘渡邉祐二
出願日 2013年5月30日 (7年6ヶ月経過) 出願番号 2013-114168
公開日 2014年12月11日 (6年0ヶ月経過) 公開番号 2014-231636
状態 特許登録済
技術分野 プラズマの発生及び取扱い CVD
主要キーワード 突入部分 電磁シールドケース 突入側 直流プラズマトーチ 開作動状態 縦断面形 固定ホルダ 平板形態
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図面 (6)

課題

基板表面以外へのプラズマCVD膜の付着を可及的に抑制しつつ、基材表面に、プラズマCVD膜を効率的に且つ経済的に有利に積層形成可能なプラズマCVD装置を提供する。

解決手段

排気手段38,40により真空とされる反応室22内に開口する吹出口54を備えたトーチ管50と、トーチ管50と同軸的に延びるように配置されて、高周波電源手段46から供給される高周波電流にてトーチ管50内に高周波電磁界を発生させる誘導コイル52と、トーチ管50内に、プラズマCVD膜を形成するための原料ガス反応ガスのうちの何れか一方を供給するトーチガス供給手段48,62とを有する誘導結合型プラズマトーチユニット24を反応室22に設けると共に、反応室22内に、原料ガスと反応ガスのうちの何れか他方を供給する反応室用ガス供給手段66,70を設けて構成した。

概要

背景

従来から、薄膜形成手法の一つとして、プラズマガスを利用するプラズマCVD法が知られている。このプラズマCVD法は、薄膜形成後の乾燥工程を何等必要としないドライプロセスであり、しかも、同じドライプロセスの一種たる、例えばスパッタリング法等に比べて、十分に高い成膜レート(単位時間当たりの成膜量)が確保され得る。このため、プラズマCVD法は、様々な材質からなる基材の表面上に薄膜を効率的に形成可能な手法として広く利用されており、例えば、無機ガラス代替する樹脂製品として、近年、注目されているポリカーボネート製の透明な樹脂成形品からなる樹脂ガラス有機ガラス)の表面に、耐摩傷性(耐摩耗性耐擦傷性)に優れた珪素化合物層からなるトップコート層積層形成する際にも、かかるプラズマCVD法が採用されている。

そして、そのようなプラズマCVD法を実施して、基板表面にプラズマCVD膜を積層形成する装置も、様々な構造のものが知られている。例えば、特開2009−120881号公報(特許文献1)等に開示される平行平板型プラズマCVD装置や、特開2005−248327号公報(特許文献2)等に明らかにされる誘導結合型のプラズマCVD装置等が、それである。

それらの公報から明らかなように、平行平板型のプラズマCVD装置は、基板が収容される反応室と、かかる反応室内に、互いに平行に延びるように対向配置された一対の平板状のプラズマ発生電極とを有して、構成されている。また、誘導結合型のプラズマCVD装置は、基板が収容される反応室と、その反応室の外部に配置された高周波誘導用のアンテナとを有して、構成されている。そして、それら平行平板型のプラズマCVD装置と誘導結合型のプラズマCVD装置にあっては、プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスとかかる原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスとが、真空状態とされた反応室内に供給された状態下で、一対のプラズマ発生電極間や高周波誘導用のアンテナに対して高周波電源から電力印加されることにより、反応室内で、原料ガスと反応ガスとがそれぞれ分解・プラズマ化されたプラズマガスを発生させるようになっている。また、そうして発生した原料ガスのプラズマガス(原料ガスが分解・プラズマ化したプラズマガス)と反応ガスのプラズマガス(反応ガスが分解・プラズマ化したプラズマガス)とが反応することにより、所定の生成物が生成され、そして、その生成物が基板の表面上に堆積させられることによって、プラズマCVD膜が、基板表面上に積層形成されるようになっているのである。

このような平行平板型のプラズマCVD装置と誘導結合型のプラズマCVD装置にあっては、プラズマガスが、反応室内の全体に分散するため、プラズマCVD膜を、大面積の基板の表面の全体に対して、一度の成膜工程で一挙に積層形成することができるといった利点がある。しかしながら、その反面、プラズマガスのプラズマCVD法による反応によって生成された生成物が、反応室の内面や、反応室内に配置された電極、或いは基板を支持する支持部材等に付着することが避けられず、それ故、それらを除去するための余分な作業を行う必要があった。

また、例えば、特開2000−38678号公報(特許文献3)等に明らかにされるように、直流プラズマトーチによって発生させたプラズマアークを利用する、所謂トーチ型プラズマCVD装置も、知られている。このトーチ型プラズマCVD装置は、直流プラズマトーチ内で発生させたプラズマガス(プラズマアーク)を、直流プラズマトーチの吹出口から真空状態の反応室内に吹き出させる一方、反応室内に原料ガスと反応ガスとを導入して、それらのガスを、反応室内に吹き出されるプラズマガスと接触させることによりプラズマ化するようになっている。そして、原料ガスのプラズマガスと反応ガスのプラズマガスとを反応させることにより、所定の生成物を生成する一方、それを反応室内の基板の表面上に堆積させることによって、かかる生成物からなるプラズマCVD膜を基板表面上に積層形成するように構成されているのである。

かくの如き構造を有する、トーチ型プラズマCVD装置を用いる場合には、例えば、プラズマアークを反応室内の基板表面上に吹き出させる一方、原料ガスと反応ガスとをプラズマアークに向かって吹き出させるようにすれば、反応室内全体へのプラズマガスの分散が有利に抑制されて、プラズマCVD法による反応により生成した生成物が、基板表面に集中的に堆積するようになる。そして、それにより、反応室の内面や基板を支持する支持部材等への生成物の付着が可及的に防止され、以て、そのような付着物を除去するための作業から開放され得るのである。

ところが、そのようなトーチ型プラズマCVD装置を用いてプラズマCVD膜を形成する場合には、以下の問題が惹起される。

すなわち、トーチ型プラズマCVD装置においては、前記した平行平板型や誘導結合型のプラズマCVD装置とは異なって、プラズマCVD膜の形成時に、プラズマCVD膜を形成するための成膜用ガスたる原料ガスと反応ガスとは別に、それらの成膜用ガスを分解・プラズマ化するプラズマアークを発生させるための不活性ガスが必要となる。これは、トーチ型プラズマCVD装置が、直流プラズマトーチ内に設けられたアノードカソードとの間で発生させたアーク放電によって、トーチ内に供給されたガスをプラズマ化して、プラズマアークを発生させるものであるため、プラズマアークを発生させるためのガスが不活性ガス以外のものであると、アノードとカソードが熱溶解したり、損傷したりする事態が生じて、プラズマアークを安定的に発生させることができなくなるからである。

それ故、従来の直流プラズマトーチを備えたトーチ型プラズマCVD装置を用いてプラズマCVD膜を形成する際には、前記した平行平板型や誘導結合型のプラズマCVD装置を用いる場合に比して、それらの装置には不要な不活性ガスを使用するために、材料費が嵩むだけでなく、成膜効率も低下する。しかも、反応室内を所定の真空度にまで減圧するための真空ポンプ等の排気装置として、より大型のものが必要となり、それによって、設備費も高騰するといった問題が惹起されるのである。

概要

基板表面以外へのプラズマCVD膜の付着を可及的に抑制しつつ、基材表面に、プラズマCVD膜を効率的に且つ経済的に有利に積層形成可能なプラズマCVD装置を提供する。排気手段38,40により真空とされる反応室22内に開口する吹出口54を備えたトーチ管50と、トーチ管50と同軸的に延びるように配置されて、高周波電源手段46から供給される高周波電流にてトーチ管50内に高周波電磁界を発生させる誘導コイル52と、トーチ管50内に、プラズマCVD膜を形成するための原料ガスと反応ガスのうちの何れか一方を供給するトーチ用ガス供給手段48,62とを有する誘導結合型プラズマトーチユニット24を反応室22に設けると共に、反応室22内に、原料ガスと反応ガスのうちの何れか他方を供給する反応室用ガス供給手段66,70を設けて構成した。

目的

本発明は、上述せる如き事情背景にして為されたものであって、その解決課題とする

効果

実績

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請求項1

プラズマガスを利用して、基材の表面上にプラズマCVD膜積層形成するプラズマCVD装置であって、前記基材を収容する反応室と、該反応室内の空気を排出して、該反応室内を真空状態とする排気手段と、前記反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルと、該誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電源手段と、該トーチ管内に、前記プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスと、該原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスのうちの何れか一方を供給するトーチ管用ガス供給手段とを有し、該高周波電源手段から該誘導コイルへの通電によって該トーチ管内に生じる高周波電磁界により、該トーチ管内に供給された該一方のガスプラズマ化して、前記プラズマガスを発生させると共に、該プラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる誘導結合型プラズマトーチユニットと、前記原料ガスと前記反応ガスのうちの何れか他方を前記反応室内に供給する反応室用ガス供給手段と、を含んで構成したことを特徴とするプラズマCVD装置。

請求項2

プラズマガスを利用して、基材の表面上にプラズマCVD膜を積層形成するプラズマCVD装置であって、前記基材を収容する反応室と、該反応室内の空気を排出して、該反応室内を真空状態とする排気手段と、前記反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルと、該誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電源手段と、該トーチ管内に、前記プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスと、該原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスの両方を供給するトーチ管用ガス供給手段とを有し、該高周波電源手段から該誘導コイルへの通電によって該トーチ管内に生じる高周波電磁界により、該トーチ管内に供給された該原料ガスと該反応ガスとをプラズマ化して、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを発生させると共に、それらのプラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて該反応室内に吹き出させる誘導結合型プラズマトーチユニットと、を含んで構成したことを特徴とするプラズマCVD装置。

請求項3

前記吹出口を通じて、前記トーチ管内から吹き出される前記プラズマガスの単位時間当たりの吹出量が、前記トーチ管用ガス供給手段にて該トーチ管内に供給される前記原料ガスや前記反応ガスの単位時間あたりの供給量よりも小さくなるように、該吹出口の大きさが設定されて、該トーチ管内に該原料ガスや該反応ガスが供給されたときの該トーチ管の内圧が、真空状態とされた前記チャンバの内圧よりも高くなるように構成されている請求項1又は請求項2に記載のプラズマCVD装置。

請求項4

前記誘導結合型プラズマトーチユニットが、複数設けられている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載のプラズマCVD装置。

請求項5

前記高周波誘導コイルの全体を外側から覆う筒状の電磁シールド部材が、前記複数の誘導結合型プラズマトーチユニットのそれぞれに設けられている請求項4に記載のプラズマCVD装置。

請求項6

プラズマガスを利用して、基材の表面上にプラズマCVD膜を積層形成する方法であって、前記基材を反応室内に収容する工程と、該反応室内の空気を排出して、該反応室内を真空状態とする工程と、該反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルとを有する誘導結合型プラズマトーチを用いて、該トーチ管内に、前記プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスと、該原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスのうちの何れか一方を供給する一方、該誘導コイルに高周波電流を供給して、該トーチ管内に高周波電磁界を発生させることにより、該トーチ管内に供給された該一方のガスをプラズマ化し、前記プラズマガスを発生させて、該プラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる工程と、前記原料ガスと前記反応ガスのうちの何れか他方を、前記反応室内に導入して、前記誘導結合型プラズマトーチから該反応室内に吹き出された前記プラズマガスと接触させることによって、該他方のガスをプラズマ化する一方、該反応室内で、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを反応させて、生成物を生成すると共に、該反応室内に収容された前記基材の表面上に、該生成物を堆積させることにより、前記プラズマCVD膜を積層形成する工程と、を含むことを特徴とするプラズマCVD膜の形成方法

請求項7

プラズマガスを利用して、基材の表面上にプラズマCVD膜を積層形成する方法であって、前記基材を反応室内に収容する工程と、該反応室内の空気を排出して、該反応室内を真空状態とする工程と、該反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルとを有する誘導結合型プラズマトーチを用いて、該トーチ管内に、前記プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスと、該原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスの両方を供給する一方、該誘導コイルに高周波電流を供給して、該トーチ管内に高周波電磁界を発生させることにより、該トーチ管内に供給された該原料ガスと該反応ガスとをそれぞれプラズマ化し、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを発生させて、それらのプラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる工程と、前記反応室内で、前記原料ガスのプラズマガスと前記反応ガスのプラズマガスとを反応させて、生成物を生成すると共に、該反応室内に収容された前記基材の表面に、該生成物を堆積させることにより、前記プラズマCVD膜を積層形成する工程と、を含むことを特徴とするプラズマCVD膜の形成方法。

請求項8

基材の表面にプラズマCVD膜が積層形成されてなる積層品の製造方法であって、前記基材を準備する工程と、該基材の表面に対して、前記プラズマCVD膜を、前記請求項6又は7に記載の形成方法によって積層形成する工程と、を含むことを特徴とする積層品の製造方法。

請求項9

ポリカーボネート製の樹脂成形品からなる樹脂基材の表面上にアンダーコート層が積層形成されると共に、該アンダーコート層上に、珪素化合物からなるプラズマCVD層が更に積層形成されてなる樹脂製品の製造方法であって、前記樹脂基材を準備する工程と、該樹脂基材の表面に、前記アンダーコート層を積層形成する工程と、該アンダーコート層が積層形成された前記樹脂基材を反応室内に収容した後、該反応室内を真空状態とする工程と、該反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルとを有する誘導結合型プラズマトーチを用いて、該トーチ管内に、珪素を含む原料ガスと、該原料ガス中の珪素と反応する成分を含む反応ガスのうちの何れか一方を供給する一方、該誘導コイルに高周波電流を供給して、該トーチ管内に高周波電磁界を発生させることにより、該トーチ管内に供給されたガスをプラズマ化し、前記プラズマガスを発生させて、該プラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる工程と、前記原料ガスと前記反応ガスのうちの何れか他方を、前記反応室内に導入して、前記誘導結合型プラズマトーチから該反応室内に吹き出された前記プラズマガスと接触させることにより、該他方のガスをプラズマ化する一方、該反応室内で、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを反応させて、前記珪素化合物を生成すると共に、該反応室内に収容される前記基材表面に積層された前記アンダーコート層上に、該珪素化合物を堆積させることにより、該珪素化合物からなる前記プラズマCVD膜を積層形成する工程と、を含むことを特徴とする樹脂製品の製造方法。

請求項10

ポリカーボネート製の樹脂成形品からなる樹脂基材の表面上にアンダーコート層が積層形成されると共に、該アンダーコート層上に、珪素化合物からなるプラズマCVD膜が更に積層形成されてなる樹脂製品の製造方法であって、前記樹脂基材を準備する工程と、該樹脂基材の表面に、前記アンダーコート層を積層形成する工程と、該アンダーコート層が積層形成された前記樹脂基材を反応室内に収容した後、該反応室内を真空状態とする工程と、該反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルとを有する誘導結合型プラズマトーチを用いて、該トーチ管内に、珪素を含む原料ガスと、該原料ガス中の珪素と反応する成分を含む反応ガスの両方を供給する一方、該誘導コイルに高周波電流を供給して、該トーチ管内に高周波電磁界を発生させることにより、該トーチ管内に供給された該原料ガスと該反応ガスとをそれぞれプラズマ化し、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを発生させて、それらのプラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる工程と、前記反応室内で、前記原料ガスのプラズマガスと前記反応ガスのプラズマガスとを反応させて、前記珪素化合物を生成すると共に、該反応室内に収容される前記基材表面に積層された前記アンダーコート層上に、該珪素化合物を堆積させることにより、該珪素化合物からなる前記プラズマCVD膜を積層形成する工程と、を含むことを特徴とする樹脂製品の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、プラズマCVD装置プラズマCVD膜形成方法積層品の製造方法と樹脂製品の製造方法とに係り、特に、基板の表面上に、プラズマCVD膜をプラズマガスを利用したプラズマCVD法によって積層形成するのに使用されるプラズマCVD装置の改良と、そのようなプラズマCVD膜の有利な形成方法と、基材表面にプラズマCVD膜が積層形成された積層品の有利な製造方法と、ポリカーボネート製の樹脂基材の表面にアンダーコート層珪素化合物のプラズマCVD膜からなるトップコート層とが積層されてなる樹脂製品の有利な製造方法とに関するものである。

背景技術

0002

従来から、薄膜形成手法の一つとして、プラズマガスを利用するプラズマCVD法が知られている。このプラズマCVD法は、薄膜形成後の乾燥工程を何等必要としないドライプロセスであり、しかも、同じドライプロセスの一種たる、例えばスパッタリング法等に比べて、十分に高い成膜レート(単位時間当たりの成膜量)が確保され得る。このため、プラズマCVD法は、様々な材質からなる基材の表面上に薄膜を効率的に形成可能な手法として広く利用されており、例えば、無機ガラス代替する樹脂製品として、近年、注目されているポリカーボネート製の透明な樹脂成形品からなる樹脂ガラス有機ガラス)の表面に、耐摩傷性(耐摩耗性耐擦傷性)に優れた珪素化合物層からなるトップコート層を積層形成する際にも、かかるプラズマCVD法が採用されている。

0003

そして、そのようなプラズマCVD法を実施して、基板表面にプラズマCVD膜を積層形成する装置も、様々な構造のものが知られている。例えば、特開2009−120881号公報(特許文献1)等に開示される平行平板型のプラズマCVD装置や、特開2005−248327号公報(特許文献2)等に明らかにされる誘導結合型のプラズマCVD装置等が、それである。

0004

それらの公報から明らかなように、平行平板型のプラズマCVD装置は、基板が収容される反応室と、かかる反応室内に、互いに平行に延びるように対向配置された一対の平板状のプラズマ発生電極とを有して、構成されている。また、誘導結合型のプラズマCVD装置は、基板が収容される反応室と、その反応室の外部に配置された高周波誘導用のアンテナとを有して、構成されている。そして、それら平行平板型のプラズマCVD装置と誘導結合型のプラズマCVD装置にあっては、プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスとかかる原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスとが、真空状態とされた反応室内に供給された状態下で、一対のプラズマ発生電極間や高周波誘導用のアンテナに対して高周波電源から電力印加されることにより、反応室内で、原料ガスと反応ガスとがそれぞれ分解・プラズマ化されたプラズマガスを発生させるようになっている。また、そうして発生した原料ガスのプラズマガス(原料ガスが分解・プラズマ化したプラズマガス)と反応ガスのプラズマガス(反応ガスが分解・プラズマ化したプラズマガス)とが反応することにより、所定の生成物が生成され、そして、その生成物が基板の表面上に堆積させられることによって、プラズマCVD膜が、基板表面上に積層形成されるようになっているのである。

0005

このような平行平板型のプラズマCVD装置と誘導結合型のプラズマCVD装置にあっては、プラズマガスが、反応室内の全体に分散するため、プラズマCVD膜を、大面積の基板の表面の全体に対して、一度の成膜工程で一挙に積層形成することができるといった利点がある。しかしながら、その反面、プラズマガスのプラズマCVD法による反応によって生成された生成物が、反応室の内面や、反応室内に配置された電極、或いは基板を支持する支持部材等に付着することが避けられず、それ故、それらを除去するための余分な作業を行う必要があった。

0006

また、例えば、特開2000−38678号公報(特許文献3)等に明らかにされるように、直流プラズマトーチによって発生させたプラズマアークを利用する、所謂トーチ型プラズマCVD装置も、知られている。このトーチ型プラズマCVD装置は、直流プラズマトーチ内で発生させたプラズマガス(プラズマアーク)を、直流プラズマトーチの吹出口から真空状態の反応室内に吹き出させる一方、反応室内に原料ガスと反応ガスとを導入して、それらのガスを、反応室内に吹き出されるプラズマガスと接触させることによりプラズマ化するようになっている。そして、原料ガスのプラズマガスと反応ガスのプラズマガスとを反応させることにより、所定の生成物を生成する一方、それを反応室内の基板の表面上に堆積させることによって、かかる生成物からなるプラズマCVD膜を基板表面上に積層形成するように構成されているのである。

0007

かくの如き構造を有する、トーチ型プラズマCVD装置を用いる場合には、例えば、プラズマアークを反応室内の基板表面上に吹き出させる一方、原料ガスと反応ガスとをプラズマアークに向かって吹き出させるようにすれば、反応室内全体へのプラズマガスの分散が有利に抑制されて、プラズマCVD法による反応により生成した生成物が、基板表面に集中的に堆積するようになる。そして、それにより、反応室の内面や基板を支持する支持部材等への生成物の付着が可及的に防止され、以て、そのような付着物を除去するための作業から開放され得るのである。

0008

ところが、そのようなトーチ型プラズマCVD装置を用いてプラズマCVD膜を形成する場合には、以下の問題が惹起される。

0009

すなわち、トーチ型プラズマCVD装置においては、前記した平行平板型や誘導結合型のプラズマCVD装置とは異なって、プラズマCVD膜の形成時に、プラズマCVD膜を形成するための成膜用ガスたる原料ガスと反応ガスとは別に、それらの成膜用ガスを分解・プラズマ化するプラズマアークを発生させるための不活性ガスが必要となる。これは、トーチ型プラズマCVD装置が、直流プラズマトーチ内に設けられたアノードカソードとの間で発生させたアーク放電によって、トーチ内に供給されたガスをプラズマ化して、プラズマアークを発生させるものであるため、プラズマアークを発生させるためのガスが不活性ガス以外のものであると、アノードとカソードが熱溶解したり、損傷したりする事態が生じて、プラズマアークを安定的に発生させることができなくなるからである。

0010

それ故、従来の直流プラズマトーチを備えたトーチ型プラズマCVD装置を用いてプラズマCVD膜を形成する際には、前記した平行平板型や誘導結合型のプラズマCVD装置を用いる場合に比して、それらの装置には不要な不活性ガスを使用するために、材料費が嵩むだけでなく、成膜効率も低下する。しかも、反応室内を所定の真空度にまで減圧するための真空ポンプ等の排気装置として、より大型のものが必要となり、それによって、設備費も高騰するといった問題が惹起されるのである。

先行技術

0011

特開2009−120881号公報
特開2005−248327号公報
特開2000−38678号公報

発明が解決しようとする課題

0012

ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、基板表面以外へのプラズマCVD膜の付着を可及的に抑制しつつ、プラズマCVD膜を、基材表面に対して、より効率的且つ低コストに積層形成可能なプラズマCVD装置を提供することにある。また、本発明は、基板表面以外へのプラズマCVD膜の付着を可及的に抑制しつつ、プラズマCVD膜を、基材表面に対して、より効率的且つ低コストに積層形成可能なプラズマCVD膜の形成方法を提供することも、その解決課題とする。更に、本発明は、基材表面にプラズマCVD膜が積層形成された積層品を有利に製造し得る方法と、ポリカーボネート製の樹脂成形品からなる樹脂基材の表面に、アンダーコート層と珪素化合物からなるプラズマCVD膜が更に積層形成されてなる樹脂製品の有利な製造方法を提供することをも、また、その解決課題とするものである。

課題を解決するための手段

0013

そして、本発明(第一発明)にあっては、かかる課題の解決のために、プラズマガスを利用して、基材の表面にプラズマCVD膜を形成するプラズマCVD装置であって、(a)前記基材を収容する反応室と、(b)該反応室内の空気を排出して、該反応室内を真空状態とする排気手段と、(c)前記反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルと、該誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電源手段と、該トーチ管内に、前記プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスと、該原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスのうちの何れか一方を供給するトーチ管用ガス供給手段とを有し、該高周波電源手段から該誘導コイルへの通電によって該トーチ管内に生じる高周波電磁界により、該トーチ管内に供給されたガスをプラズマ化して、前記プラズマガスを発生させると共に、該プラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる誘導結合型プラズマトーチユニットと、(d)前記原料ガスと前記反応ガスのうちの何れか他方を前記反応室内に供給する反応室用ガス供給手段とを含んで構成したことを特徴とするプラズマCVD装置を、その要旨とするものである。

0014

また、本発明(第二発明)は、前記した課題を解決するために、プラズマガスを利用して、基材の表面にプラズマCVD膜を形成するプラズマCVD装置であって、(a)前記基材を収容する反応室と、(b)該反応室内の空気を排出して、該反応室内を真空状態とする排気手段と、(c)前記反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルと、該誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電源手段と、該トーチ管内に、前記プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスと、該原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスの両方を供給するトーチ管用ガス供給手段とを有し、該高周波電源手段から該誘導コイルへの通電によって該トーチ管内に生じる高周波電磁界により、該トーチ管内に供給されたガスをプラズマ化して、前記プラズマガスを発生させると共に、該プラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて該反応室内に吹き出させる誘導結合型プラズマトーチユニットとを含んで構成したことを特徴とするプラズマCVD装置をも、また、その要旨とするものである。

0015

なお、本発明の好ましい態様の一つによれば、前記吹出口を通じて、前記トーチ管内から吹き出される前記プラズマガスの単位時間当たりの吹出量が、前記トーチ管用ガス供給手段にて該トーチ管内に供給される前記原料ガスや前記反応ガスの単位時間あたりの供給量よりも小さくなるように、該吹出口の大きさが設定されて、該トーチ管内に該原料ガスや該反応ガスが供給されたときの該トーチ管の内圧が、真空状態とされた前記チャンバの内圧よりも高くなるように構成される。

0016

また、本発明の有利な態様の一つによれば、前記誘導結合型プラズマトーチユニットが、複数設けられる。

0017

さらに、本発明の望ましい態様の一つによれば、前記高周波誘導コイルの全体を外側から覆う筒状の電磁シールド部材が、前記複数の誘導結合型プラズマトーチユニットのそれぞれに設けられることとなる。

0018

そして、本発明(第三発明)は、前記した課題の解決のために、プラズマガスを利用して、基材の表面上にプラズマCVD膜を積層形成する方法であって、(a)前記基材を反応室内に収容する工程と、(b)該反応室内の空気を排出して、該反応室内を真空状態とする工程と、(c)該反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルとを有する誘導結合型プラズマトーチを用いて、該トーチ管内に、前記プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスと、該原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスのうちの何れか一方を供給する一方、該誘導コイルに高周波電流を供給して、該トーチ管内に高周波電磁界を発生させることにより、該トーチ管内に供給された該一方のガスをプラズマ化し、前記プラズマガスを発生させて、該プラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる工程と、(d)前記原料ガスと前記反応ガスのうちの何れか他方を、前記反応室内に導入して、前記誘導結合型プラズマトーチから該反応室内に吹き出された前記プラズマガスと接触させることによって、該他方のガスをプラズマ化する一方、該反応室内で、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを反応させて、生成物を生成すると共に、該反応室内に収容された前記基材の表面上に、該生成物を堆積させることにより、前記プラズマCVD膜を積層形成する工程とを含むことを特徴とするプラズマCVD膜の形成方法をも、その要旨とするものである。

0019

また、本発明(第四発明)は、前記した課題の解決のために、プラズマガスを利用して、基材の表面上にプラズマCVD膜を積層形成する方法であって、(a)前記基材を反応室内に収容する工程と、(b)該反応室内の空気を排出して、該反応室内を真空状態とする工程と、(c)該反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルとを有する誘導結合型プラズマトーチを用いて、該トーチ管内に、前記プラズマCVD膜の主成分を含む原料ガスと、該原料ガス中の成分と反応する成分を含む反応ガスの両方を供給する一方、該誘導コイルに高周波電流を供給して、該トーチ管内に高周波電磁界を発生させることにより、該トーチ管内に供給された該原料ガスと該反応ガスとをそれぞれプラズマ化し、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを発生させて、それらのプラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる工程と、(d)前記反応室内で、前記原料ガスのプラズマガスと前記反応ガスのプラズマガスとを反応させて、生成物を生成すると共に、該反応室内に収容された前記基材の表面に、該生成物を堆積させることにより、前記プラズマCVD膜を積層形成する工程とを含むことを特徴とするプラズマCVD膜の形成方法をも、その要旨とする。

0020

さらに、本発明(第五発明)は、前記した課題を解決するために、基材の表面にプラズマCVD膜が積層形成されてなる積層品の製造方法であって、(a)前記基材を準備する工程と、(b)該前記基材の表面に対して、前記プラズマCVD膜を、前記した特徴を有する形成方法によって積層形成する工程とを含むことを特徴とする積層品の製造方法をも、その要旨とするものである。

0021

更にまた、本発明(第六発明)は、前記した課題の解決のために、ポリカーボネート製の樹脂成形品からなる樹脂基材の表面上にアンダーコート層が積層形成されると共に、該アンダーコート層上に、珪素化合物からなるプラズマCVD層が更に積層形成されてなる樹脂製品の製造方法であって、(a)前記樹脂基材を準備する工程と、(b)該樹脂基材の表面に、前記アンダーコート層を積層形成する工程と、(c)該アンダーコート層が積層形成された前記樹脂基材を反応室内に収容した後、該反応室内を真空状態とする工程と、(d)該反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルとを有する誘導結合型プラズマトーチを用いて、該トーチ管内に、珪素を含む原料ガスと、該原料ガス中の珪素と反応する成分を含む反応ガスのうちの何れか一方を供給する一方、該誘導コイルに高周波電流を供給して、該トーチ管内に高周波電磁界を発生させることにより、該トーチ管内に供給されたガスをプラズマ化し、前記プラズマガスを発生させて、該プラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる工程と、(e)前記原料ガスと前記反応ガスのうちの何れか他方を、前記反応室内に導入して、前記誘導結合型プラズマトーチユニットから該反応室内に吹き出された前記プラズマガスと接触させることにより、該他方のガスをプラズマ化する一方、該反応室内で、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを反応させて、前記珪素化合物を生成すると共に、該反応室内に収容される前記基材表面に積層された前記アンダーコート層上に、該珪素化合物を堆積させることにより、該珪素化合物からなる前記プラズマCVD膜を積層形成する工程とを含むことを特徴とする樹脂製品の製造方法をも、その要旨とする。

0022

また、本発明(第七発明)は、前記した課題の解決のために、ポリカーボネート製の樹脂成形品からなる樹脂基材の表面上にアンダーコート層が積層形成されると共に、該アンダーコート層上に、珪素化合物からなるプラズマCVD膜が更に積層形成されてなる樹脂製品の製造方法であって、(a)前記樹脂基材を準備する工程と、(b)該樹脂基材の表面に、前記アンダーコート層を積層形成する工程と、(c)該アンダーコート層が積層形成された前記樹脂基材を反応室内に収容した後、該反応室内を真空状態とする工程と、(d)該反応室内に開口する吹出口を備えたトーチ管と、該トーチ管と同軸的に延びるように配置された誘導コイルとを有する誘導結合型プラズマトーチを用いて、該トーチ管内に、珪素を含む原料ガスと、該原料ガス中の珪素と反応する成分を含む反応ガスの両方を供給する一方、該誘導コイルに高周波電流を供給して、該トーチ管内に高周波電磁界を発生させることにより、該トーチ管内に供給された該原料ガスと該反応ガスとをそれぞれプラズマ化し、該原料ガスがプラズマ化したプラズマガスと該反応ガスがプラズマ化したプラズマガスとを発生させて、それらのプラズマガスを、該トーチ管の前記吹出口を通じて前記反応室内に吹き出させる工程と、(e)前記反応室内で、前記原料ガスのプラズマガスと前記反応ガスのプラズマガスとを反応させて、前記珪素化合物を生成すると共に、該反応室内に収容される前記基材表面に積層された前記アンダーコート層上に、該珪素化合物を堆積させることにより、該珪素化合物からなる前記プラズマCVD膜を積層形成する工程とを含むことを特徴とする樹脂製品の製造方法をも、また、その要旨とするものである。

発明の効果

0023

すなわち、第一発明に係るプラズマCVD装置は、誘導結合型プラズマトーチユニットを有し、この誘導結合型プラズマトーチユニットのトーチ管内で発生したプラズマガスが、吹出口を通じて、反応室内に吹き出されるようになっている。それ故、そのようなプラズマガスが、反応室内に収容される基板の表面上に向かって吹き出されるようにすれば、反応室内全体へのプラズマガスの分散が有利に抑制されて、プラズマCVD法による原料ガスのプラズマガスと反応ガスのプラズマガスとの反応により生成した生成物が、基板表面に集中的に堆積するようになる。そして、それにより、反応室の内面や基板を支持する支持部材等への生成物の付着が可及的に防止され得ることとなる。

0024

また、第一発明に係るプラズマCVD装置においては、原料ガスと材料ガスのうちの何れか一方が、トーチ用ガス供給手段によって誘導結合型プラズマトーチユニットのトーチ管内に供給されて、プラズマ化されるようになっている。更に、原料ガスと材料ガスのうちの何れか他方が、反応室用ガス供給手段によって反応室内に供給されて、原料ガスと材料ガスのうちの何れか一方が分解・プラズマ化されたプラズマガスと接触することでプラズマ化されるようになっている。このため、前記した従来のトーチ型プラズマCVD装置とは異なって、原料ガスと材料ガスとを分解、プラズマ化するために、それらのガスとは別の不活性ガス等の余分なガスが何等使用されない。そして、それにより、不活性ガスの使用に起因した材料費や設備費の高騰及び成膜効率の低下の問題等が、何れも、効果的に解消され得る。

0025

しかも、誘導結合型プラズマトーチユニットが、高周波電源手段から誘導コイルへの通電によりトーチ管内に生じる高周波電磁界によって、プラズマガスを発生させるものであるため、誘導結合型プラズマトーチユニットには、電極が何等設けられていない。それ故、プラズマガスの発生時での電極の熱溶解や損傷により、原料ガスと材料ガスのプラズマ化が不安定となることも皆無とされて、それら原料ガスと反応ガスのプラズマガスを、常に安定的に発生させることができる。

0026

従って、かくの如き第一発明に係るプラズマCVD装置を用いれば、基板表面以外へのプラズマCVD膜の付着を可及的に抑制しつつ、プラズマCVD膜を、基材表面に対して、より効率的且つ低コストに形成することができるのである。

0027

第二発明に係るプラズマCVD装置にあっても、第一発明に従うプラズマCVD装置において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に享受され得ることとなる。

0028

第三発明に係るプラズマCVD膜の形成方法と第四発明に係るプラズマCVD膜の形成方法にあっても、第一発明に従うプラズマCVD装置において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に享受され得る。

0029

第五発明に係る積層品の製造方法によれば、プラズマCVD膜が、基材表面に対して、より効率的且つ低コストに形成され得ることによって、目的とする積層品の生産性の向上と生産コストの低下とが、極めて効果的に実現され得るのである。

0030

第六発明に係る樹脂製品の製造方法と第七発明に係る樹脂製品の製造方法によれば、プラズマCVD膜が、基材表面に対して、より効率的且つ低コストに形成され得ることによって、目的とする樹脂製品の生産性の向上と生産コストの低下とが、極めて効果的に実現され得るのである。

図面の簡単な説明

0031

本発明に従う構造を有するプラズマCVD装置を用いてプラズマCVD膜が基板上に形成されてなる樹脂製品の一例の部分断面説明図である。
本発明に従う構造を有するプラズマCVD装置の一実施形態を示す断面説明図である。
本発明に従う構造を有するプラズマCVD装置の別の実施形態を示す、図2に対応する図である。
本発明に従う構造を有するプラズマCVD装置の更に別の実施形態を示す、図2に対応する図である。
本発明に従う構造を有するプラズマCVD装置の他の実施形態を示す、図2に対応する図である。

実施例

0032

以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。

0033

先ず、図1には、本発明に従う構造を有するプラズマCVD装置を用いて、プラズマCVD膜が形成された樹脂製品として、自動車リヤウインドウ用の樹脂ガラス10が、その部分縦断面形態において示されている。かかる図1から明らかなように、樹脂ガラス10は、基材としての基板12を有し、この基板12の表面(図1での上面)には、アンダーコート層14が積層形成されている。また、かかるアンダーコート層14の基板12側とは反対側の面上には、トップコート層16が、積層形成されている。なお、以下からは、便宜上、図1での上面を表面と言い、図1での下面を裏面と言うこととする。

0034

基板12は、透明な平板形態を呈し、ポリカーボネートを用いて射出成形された樹脂成形品にて構成されている。なお、基板12は、射出成形以外の手法で成形されたものであっても良い。

0035

アンダーコート層14は、樹脂ガラス10に対して、紫外線耐性等に基づいた耐候性を付与すること等を目的として、基板12の表面に対して、その全面を被覆するように、直接に積層形成されるもので、薄膜形態を呈している。このようなアンダーコート層14は、一般に、液状のアクリル樹脂ポリウレタン樹脂を基板12表面上に塗布して、塗膜を成膜した後、加熱操作紫外線照射を行って、かかる塗膜を硬化させることにより形成される。なお、かかるアンダーコート層14は、形成工程の簡略化や迅速化、更には形成に要する設備コストの低減等を図る上において、紫外線硬化膜にて構成されていることが、望ましい。また、アンダーコート層14は、耐候性を有するものであれば、上記例示以外の樹脂材料や硬化手法を採用して、形成することもできる。更に、かかるアンダーコート層14は、単層構造であっても、複数層が積層された複層構造であっても良い。

0036

トップコート層16は、樹脂ガラス10に対して、耐摩傷性を付与するために、アンダーコート層14の基板12側とは反対側の面に、その全面を覆うように積層形成されるもので、薄膜形態を呈している。そして、ここでは、かかるトップコート層16が、優れた耐摩傷性を発揮するSiO2のプラズマCVD膜にて構成されている。なお、トップコート層16の形成材料は、樹脂ガラス10に対して十分な耐摩傷性を付与し得るものであれば、特に限定されるものではないものの、一般に、SiO2の他、SiON やSi3N4 等の珪素化合物が用いられる。また、トップコート層16は、単層構造であっても、複数層が積層された複層構造であっても良い。

0037

そして、かくの如き優れた特徴を有する樹脂ガラス10は、例えば、ポリカーボネート製の基板12を、射出成形等により成形した後、かかる基板12上に、アクリル樹脂やポリウレタン樹脂からなる塗膜層を形成し、これを硬化させることにより、アンダーコート層14を形成して、中間製品18を作製し、その後、この中間製品18のアンダーコート層14の表面上にトップコート層16を形成することで作製されるが、このトップコート層16の形成に際して、本発明に従う構造を有するプラズマCVD装置が有利に用いられるのである。

0038

図2には、本発明に従う構造を有するプラズマCVD装置の一実施形態が、その縦断面形態において示されている。かかる図2から明らかなように、本実施形態のプラズマCVD装置20は、反応室としての真空チャンバ22と、この真空チャンバ22に固設された誘導結合型プラズマトーチユニット24とを有している。そして、かかるプラズマCVD装置20にあっては、誘導結合型プラズマトーチユニット24にて発生させられて、真空チャンバ22内に供給される誘導結合熱プラズマを利用して、真空チャンバ22に収容された中間製品18のアンダーコート層14上に、プラズマCVD膜を積層形成するようになっている。

0039

より具体的には、真空チャンバ22は、チャンバ本体26と蓋体28とからなっている。チャンバ本体26は、筒状の側壁部30と、かかる側壁部30の下側開口部を閉塞する底壁部32とを備えた有底筒状乃至は筐体状を呈している。チャンバ本体26の底壁部32の内面の中央部には、基板ホルダ34が固着されている。この基板ホルダ34は、全体として、平板形状を呈しており、底壁部32への固着面とは反対側の上面が、支持面36とされている。

0040

そして、本実施形態では、基板ホルダ34の支持面36に対して、中間製品18が、基板12のアンダーコート層14の形成側とは反対側の裏面を重ね合わせた状態で支持されるようになっている。即ち、基板12が、チャンバ本体26の底壁部32の中央部において、アンダーコート層14の基板12側とは反対側の面を上側に向けて、真空チャンバ22の内部空間内に露呈させた状態で、基板ホルダ34にて保持されるようになっているのである。

0041

チャンバ本体26の側壁部30には、排気パイプ38が、チャンバ本体26の内外を連通するように、側壁部30を貫通して設置されている。また、かかる排気パイプ38上には、真空ポンプ40が設置されている。

0042

蓋体28は、チャンバ本体26の上側開口部42の全体を覆蓋可能な大きさを有する平板にて構成されている。この蓋体28が、チャンバ本体26の上側開口部42を覆蓋した状態下で、図示しないロック機構にて側壁部30にロックされることにより、チャンバ本体26内が気密に密閉されるようになっている。また、そのようなチャンバ本体26の密閉状態下での真空ポンプ40の作動により、チャンバ本体26内の気体が排気パイプ38を通じて外部に排出され、チャンバ本体26内が減圧されて、所定の真空状態とされるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、排気パイプ38と真空ポンプ40とにて、排気手段が構成されている。

0043

そして、本実施形態においては、上記の如き構造とされた真空チャンバ22と共に、プラズマCVD装置20を構成する誘導結合型プラズマトーチユニット24が、従来装置には見られない特別な構造を有しているのである。

0044

より詳細には、誘導結合型プラズマトーチユニット24は、誘導結合型プラズマトーチ44と高周波電源手段としての高周波電源装置46と第一ガス供給パイプ48とを含んで構成されている。そして、誘導結合型プラズマトーチ44は、トーチ管50と誘導コイル52とを有している。この誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50は、ここでは、電気絶縁性耐熱性とを備えた、例えば、石英等からなる円筒管にて構成されている。また、トーチ管50は、その上側開口部が、栓体53にて密閉されている一方、下側開口部が、外部に連通する吹出口54とされている。栓体53は、ここでは、電気絶縁性と耐熱性とを備えた、例えばセラミックス材料等を用いて形成されている。更に、トーチ管50においては、その下端部が、下方に向かって次第に小径化するテーパ筒形状とされて、狭窄化されており、それによって、吹出口54の開口面積が、トーチ管50の上側開口部の開口面積や、軸方向中間部の軸直角方向の断面積に比して、所定の大きさだけ小さくされている。

0045

そして、そのようなトーチ管50が、真空チャンバ22の蓋体28の中央部に設けられた貫通孔56内に、上下方向に延びるように挿通配置されて、蓋体28に設けられた固定ホルダ58により、蓋体28に固定されている。また、かかるトーチ管50の蓋体28への固定状態下で、トーチ管50の上端部が、蓋体28の上面から外方に突出している一方、上端部を除く大部分が、真空チャンバ22内に突入配置されている。そして、トーチ管50の吹出口54が、真空チャンバ22内において、基板ホルダ34に支持された中間製品18に対して比較的に近位の位置で、中間製品18のアンダーコート層14に向かって、鉛直下方に開口するように配置されている。

0046

誘導コイル52は、トーチ管50の軸方向長さよりも所定寸法短い軸方向長さと、トーチ管50の外径と略同じ内径とを有している。そして、かかる誘導コイル52が、トーチ管50の真空チャンバ22内への突入部分のうち、テーパ筒形状呈する下端部を除く部分の外周面に、複数ターン巻き付けられている。これにより、誘導コイル52が、トーチ管50に対して、それと同軸的に延びるように外挿され、固定されて、トーチ管50と共に、真空チャンバ22内に収容配置されている。かくして、ここでは、誘導結合型プラズマトーチ44が、真空チャンバ22内に、上端部を除く大部分を突入させて、上下方向に延出させた状態で、上端部において、固定ホルダ58を介して、真空チャンバ22の蓋体28に固定されている。

0047

また、かかる誘導結合型プラズマトーチ44の誘導コイル52には、高周波電源装置(高周波電源手段)46が、電気的に接続されている。この高周波電源装置46は、公知の構造を有しており、誘導コイル52に対して、高周波電流を供給し得るように構成されている。

0048

一方、第一ガス供給パイプ48は、一端部が、トーチ管50の栓体53を貫通して、トーチ管50内に突入配置されて、かかる一端部側の開口部が、トーチ管50内に開口している。そして、この第一のガス供給パイプ48の一端部側開口部が、第一ガス供給口60とされている。

0049

また、第一ガス供給パイプ48の他端部には、第一ガスボンベ62が接続されている。更に、かかる第一ガス供給パイプ48の第一ガスボンベ62との接続部分には、第一開閉バルブ64が設けられている。そして、第一ガスボンベ62には、ここでは、SiO2のプラズマCVD膜からなるトップコート層16を形成するための成膜用ガスのうち、トップコート層16の主成分たる珪素を含む原料ガスとしてのモノシラン(SiH4)ガスが、大気圧を超える圧力で収容されている。これにより、第一開閉バルブ64が開作動されて、その開作動状態が維持されている間、第一ガスボンベ62内のモノシランガスが、第一ガス供給パイプ48と第一ガス供給口60とを通じて、トーチ管50内に供給されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、第一ガス供給パイプ48と第一ガスボンベ62とにて、トーチ管用ガス供給手段が構成されている。

0050

なお、第一ガスボンベ62内に収容されるガスは、トップコート層16を形成するための成膜用ガスのうちの原料ガスとして使用可能なものであれば、何等限定されるものではない。それ故、モノシランガスの他に、例えば、ジシラン(Si2H6 )ガス等の無機珪素化合物ガスや、テトラメチルジシロキサンヘキサメチルジシロキサンヘキサメチルシクロトリシロキサン等のシロキサン類や、メトキシトリメチルシランエトキシトリメチルシランジメトキシジメチルシランジメトキシジエチルシラン、ジメトキシジフェニルシラントリメトキシシラントリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラントリメトキシプロピルシラントリエトキシメチルシラン、トリエトキシジメチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメチルシランテトラメトキシシランテトラエトキシシラン等のシラン類ヘキサメチルジシラザンテトラメチルジシラザン等のシラザン類等の有機珪素化合物のガス等が、それぞれ単独で、或いはそれらが適宜に組み合わされて使用される。2種類以上の珪素化合物ガスを用いる場合には、それら複数種類の珪素化合物ガスを混合した状態で、一つの第一ガスボンベ62内に収容しても良く、或いは2種類以上の珪素化合物ガスを、複数の第一ガスボンベ62内にそれぞれ別個に収容しても良い。

0051

かくして、かくの如き構造とされた誘導結合型プラズマトーチユニット24にあっては、高周波電源装置46から誘導コイル52への高周波電流の給電により、トーチ管50内に、高周波電磁界を発生させ、そして、かかるトーチ管50内に、第一ガス供給パイプ48と第一ガス供給口60を通じて、第一ガスボンベ62から供給されるモノシランガスを、トーチ管50内に生じた高周波電磁界によって分解し、プラズマ化させるようになっている。また、高周波電源装置46から誘導コイル52への給電時に、プラズマ電磁誘導作用により、誘導コイル52内に渦電流を生じさせ、そして、そのような渦電流によって発生するジュール熱により、プラズマを高温に維持させるようになっている。

0052

すなわち、誘導結合型プラズマトーチユニット24は、第一ガス供給パイプ48と第一ガス供給口60を通じてのトーチ管50内へのモノシランガスの供給と、高周波電源装置46から誘導コイル52への給電により、トーチ管50内で、モノシランガスが分解、プラズマ化されてなる誘導結合型熱プラズマガス(以下、単に、モノシランのプラズマガスと言う)を発生させ、また、そのようなモノシランのプラズマガスを、トーチ管50の吹出口54から、真空チャンバ22内の基板ホルダ34の支持面36に支持された中間製品18のアンダーコート層14上に向かって吹き出すように構成されているのである。なお、誘導結合型プラズマトーチ44には、アノードやカソード等の電極が、何等設けられていないため、誘導結合型プラズマトーチ44内で、モノシランのプラズマガスを発生させた際に、電極の熱溶解や損傷が生じ、それが原因で、モノシランガスの分解、プラズマ化が不安定となることも、有利に解消され得る。

0053

そして、本実施形態のプラズマCVD装置20においては、プラズマガスを真空チャンバ22内に吹き出す吹出口54の開口面積が、モノシランガスをトーチ管50内に供給する第一ガス供給口60の開口面積よりも小さくされている。これにより、モノシランのプラズマガスのトーチ管50から真空チャンバ22内への単位時間当たりの吹出量が、モノシランガスのトーチ管50内への単位時間当たりの供給量よりも少なくされ、以て、プラズマガスの真空チャンバ22内への吹出時において、トーチ管50の内圧が、減圧された真空チャンバ22の内圧よりも十分に高くなるように構成されているのである。なお、吹出口54の開口面積と第一ガス供給口60の開口面積との差は、トーチ管50の内圧が所定の大きさとなるように、第一ガス供給口60を通じてトーチ管50内に供給されるモノシランガスの流量や流速、圧力等に応じて、適宜に決定される。

0054

一方、真空チャンバ22には、第二ガス供給パイプ66が接続されている。この第二ガス供給パイプ66は、その一端部が、真空チャンバ22のチャンバ本体26における側壁部30を貫通して、真空チャンバ22内に突入している。そして、かかる第二ガス供給パイプ66の真空チャンバ22内への突入側端部の開口部が、第二ガス供給口68とされている。この第二ガス供給口68は、真空チャンバ22内の基板ホルダ34の側方において、基板ホルダ34の支持面36とトーチ管50の吹出口54との間の空間に向かって、水平方向に開口するように配置されている。

0055

また、第二ガス供給パイプ66の他端部には、第二ガスボンベ70が接続されている。更に、かかる第二ガス供給パイプ66の第二ガスボンベ70との接続部分には、第二開閉バルブ72が設けられている。そして、第二ガスボンベ70には、ここでは、SiO2のプラズマCVD膜からなるトップコート層16を形成するための成膜用ガスのうち、原料ガスとしてのモノシラン(SiH4)ガス中の珪素と反応する反応ガスたる酸素ガスが、大気圧を超える圧力で収容されている。これにより、第二開閉バルブ72が開作動されて、その開作動状態が維持されている間、第二ガスボンベ70内の酸素ガスが、第二ガス供給パイプ66と第二ガス供給口68とを通じて、真空チャンバ22内に供給されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、第二ガス供給パイプ66と第二ガスボンベ70とにて、反応室用ガス供給手段が構成されている。

0056

なお、第二ガスボンベ70内に収容されるガスは、トップコート層16を形成するための成膜用ガスのうちの原料ガスとして使用可能なものであれば、何等限定されるものではない。それ故、酸素ガスの他に、例えば、窒素ガスアンモニアガス等が、トップコート層16を構成する珪素化合物の種類に応じて、適宜に選択されて、使用され得る。

0057

かくして、本実施形態のプラズマCVD装置20においては、酸素ガスが、誘導結合型プラズマトーチ44の吹出口54を通じて真空チャンバ22内に吹き出されたモノシランのプラズマガスに向かって、第二ガス供給口68から吹き付けられるようになっている。また、それにより、酸素ガスが、真空チャンバ22内でモノシランのプラズマガスと接触して、プラズマ化されて、真空チャンバ22に、酸素のプラズマガスが発生させられるようになっている。

0058

そして、かくの如き構造とされたプラズマCVD装置20を用いて、中間製品18のアンダーコート層14上にプラズマCVD層からなるトップコート層16を形成する際には、例えば、以下のようにして、その操作が進められる。

0059

すなわち、先ず、図2に示されるように、中間製品18を、チャンバ本体26内の基板ホルダ34の支持面36上に支持させた状態で、基板ホルダ34にて保持する。このとき、中間製品18は、アンダーコート層14の表面を上側に向けた状態で配置される。

0060

次いで、チャンバ本体26の上側開口部42を蓋体28にて覆蓋した後、図示しないロック機構にて、蓋体28をチャンバ本体26にロックする。これにより、真空チャンバ22内を気密に密閉する。そして、その後、真空ポンプ40を作動させて、真空チャンバ22内を減圧する。この減圧操作によって、真空チャンバ22内の圧力は、例えば10-5〜10-3Pa程度とされる。また、そのような真空チャンバ22内の減圧操作を行う一方で、誘導結合型プラズマトーチユニット24の高周波電源装置46を作動させて、高周波電源装置46から、誘導結合型プラズマトーチ44の誘導コイル52に13.56MHzの高周波電流を供給する。これにより、誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50内に、高周波電磁界を発生させる。

0061

引き続き、真空チャンバ22内の圧力が所定の値となったら、真空ポンプ40を作動させたままで、第一開閉バルブ64を開作動させる。これにより、第一ガスボンベ62内のモノシランガスを、高周波電磁界が生じているトーチ管50内に、第一ガス供給パイプ48と第一ガス供給口60を通じて供給する。そして、トーチ管50内に供給されたモノシランガスを、高周波電磁界により分解し、プラズマ化して、プラズマガスを発生させると共に、かかるモノシランのプラズマガスを、誘導コイル52内に生ずるジュール熱により高温に維持させる。

0062

このとき、モノシランが、高周波電磁界とジュール熱とを利用して、大きなエネルギー密度と反応速度により、十分に高い分解効率をもって分解されて、プラズマ化される。しかも、前記したように、トーチ管50内が真空チャンバ22内よりも高圧とされていることによっても、プラズマガスが高温とされる。それにより、モノシランの分解、プラズマ化が更に一層促進されて、モノシランのプラズマガスが、トーチ管50内で、より効率的に多量に発生させられるようになる。

0063

そして、そのようにしてトーチ管50内で発生させた高温で多量のモノシランのプラズマガスを、トーチ管50の吹出口54から、真空チャンバ22内の基板ホルダ34の支持面36に支持された中間製品18のアンダーコート層14に向かって、一気に吹き出させる。

0064

また、第一開閉バルブ64を開作動させたときに、或いはその直前又は直後に、第二開閉バルブ72を開作動して、第二ガスボンベ70内の酸素ガスを、真空チャンバ22内に、第二ガス供給パイプ66と第二ガス供給口68を通じて供給する。これによって、トーチ管50の吹出口54から中間製品18のアンダーコート層14に向かって吹き出されるモノシランのプラズマガスに対して、酸素ガスを吹き付けて、接触させる。かくして、酸素ガスをプラズマ化して、酸素のプラズマガスを発生させる。

0065

そして、モノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとを反応させて、SiO2を生成し、かかるSiO2を、中間製品18のアンダーコート層14上に積層させる。このとき、誘導結合型プラズマトーチ44の吹出口54から、モノシランのプラズマガスが、中間製品18のアンダーコート層14に向かって吹き出されるところから、モノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとの反応が、真空チャンバ22内における中間製品18のアンダーコート層14上の空間において、局所的に進行する。それによって、かかる反応によって生成されるSiO2が、真空チャンバ22内の全体に分散することなく、その大部分が、アンダーコート層14の表面上に堆積するようになる。

0066

かくして、中間製品18のアンダーコート層14の全表面上に、SiO2のプラズマCVD層からなるトップコート層16を積層形成する。そうして、図1に示される如き構造を備えた、目的とする樹脂ガラス10を得るのである。

0067

以上の説明から明らかなように、本実施形態のプラズマCVD装置20を用いれば、真空チャンバ22内でのモノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとの反応により生成されるSiO2の大部分を、中間製品18のアンダーコート層14の表面上に堆積させることができる。このため、真空チャンバ22の内面や基板ホルダ34等のアンダーコート層14の表面以外へのSiO2の付着を、効果的に抑制することができる。それ故、真空チャンバ22内の不要な部位に付着したSiO2を除去するための余分な作業から有利に開放されるか、或いはそのような作業の実施回数飛躍的に減少させることができる。その結果、トップコート層16の形成工程、ひいては樹脂ガラス10の製造工程の簡略化及び効率化を、極めて効果的に達成することが可能となる。

0068

また、本実施形態のプラズマCVD装置20においては、SiO2のプラズマCVD膜からなるトップコート層16の成膜用ガスのうちの原料ガスたるモノシランガスと反応ガスたる酸素ガスのみが、誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50内や真空チャンバ22内に供給されて、それぞれプラズマ化されるようになっている。それ故、かかるプラズマCVD装置20では、アルゴンガス等の不活性ガスをプラズマ化し、このアルゴンのプラズマガスに対して、原料ガスと反応ガスとを接触させて、それら原料ガスと反応ガスとをプラズマ化させる従来プラズマCVD装置とは異なって、原料ガスと反応ガス以外の余分なガスが何等使用されない。

0069

このため、本実施形態のプラズマCVD装置20にあっては、不活性ガスを使用する従来のプラズマCVD装置に比して、プラズマCVD膜からなるトップコート層16の形成コストを、活性ガスを使用しない分だけ低下させることができ、また、真空チャンバ22内へのガスの供給量を減少させることが可能となる。それによって、真空チャンバ22内の減圧に使用される真空ポンプ40の小型化及び低コスト化が、有利に実現され得る。その上、真空チャンバ22内がトップコート層16の成膜用ガスのプラズマのみで充満されるため、真空チャンバ22内に、成膜用ガスのプラズマとアルゴンのプラズマガスとが混在する場合に比して、トップコート層16の成膜効率の向上が、効果的に図られ得るのである。

0070

さらに、かかるプラズマCVD装置20では、誘導結合型プラズマトーチ44が無電極とされていることで、モノシランガスが安定的にプラズマ化され得るため、高品質のトップコート層16を、中間製品18のアンダーコート層14上に、より一層安定的に形成することが可能となる。

0071

加えて、本実施形態のプラズマCVD装置20においては、モノシランのプラズマガスの発生時に、誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50の内圧が、真空チャンバ22の内圧よりも高くされることで、モノシランのプラズマガスを、より一層効率的に大量に発生させることが可能となっている。これによって、中間製品18のアンダーコート層14上に、トップコート層16を、より大きな成膜速度で効率的に形成することができ、その結果として、目的とする樹脂ガラス10の生産性の向上が、効果的に図られ得ることとなるのである。

0072

以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。

0073

例えば、前記第一の実施形態では、プラズマCVD膜からなるトップコート層16を形成するための成膜用ガスのうち、原料ガスたるモノシランガスだけが、誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50内に供給されるようになっていた。しかしながら、成膜用ガスのうちの反応ガスたる酸素ガスも、原料ガスたるモノシランガスと一緒にトーチ管50内に供給して、トップコート層16を形成することもできる。

0074

その際には、例えば、図3に示される如き構造を有するプラズマCVD装置74が、好適に用いられる。なお、図3に示されるプラズマCVD装置74と、後述する図4及び図5に示されるプラズマCVD装置76,78に関しては、図2に示されるプラズマCVD措置20と同様な構造とされた部材及び部位について、図2と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。

0075

図3から明らかなように、本実施形態のプラズマCVD装置74においては、第一ガス供給パイプ48の第一ガス供給口60側の端部と共に、第二ガス供給パイプ66の第二ガス供給口68側の端部が、誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50を閉塞する栓体53に対して貫通して、固定されている。そして、第一ガス供給口60と第二ガス供給口68とが、共に、トーチ管50内に開口するように配置されている。これにより、第一ガスボンベ62内に収容された原料ガスたるモノシランガスと、第二ガスボンベ70内に収容された反応ガスたる酸素ガスとが、第一及び第二ガス供給パイプ48,66と第一及び第二ガス供給口60,68とを通じて、トーチ管50内に供給されるようになっている。

0076

かくして、かかるプラズマCVD装置74にあっては、トーチ管50内に供給されたモノシランガスと酸素ガスとが、誘導コイル52への高周波電流の給電によりトーチ管50内に発生する高周波電磁界によって、分解、プラズマ化されて、トーチ管50内で、モノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとが発生させられるように構成されている。そして、それらモノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとが、トーチ管50の吹出口54から、真空チャンバ22内の基板ホルダ34に支持された中間製品18のアンダーコート層14の表面に向かって吹き出されるようになっているのである。

0077

また、本実施形態のプラズマCVD装置74では、吹出口54の開口面積が、第一ガス供給口60の開口面積と第二ガス供給口68の開口面積の合計値よりも小さくされている。これによって、モノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスのトーチ管50から真空チャンバ22内への単位時間当たりの合計の吹出量が、モノシランガスと酸素ガスのトーチ管50内への単位時間当たりの合計の供給量よりも少なくされ、以て、モノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスの真空チャンバ22内への吹出時において、トーチ管50の内圧が、減圧された真空チャンバ22の内圧よりも十分に高くなるように構成されている。なお、第一ガス供給口60の開口面積と第二ガス供給口68の開口面積の合計値と、吹出口54の開口面積との差は、トーチ管50の内圧が所定の大きさとなるように、第一ガス供給口60と第二ガス供給口68を通じてトーチ管50内に供給されるモノシランガスと酸素ガスの流量や流速、圧力等に応じて、適宜に決定される。

0078

そして、このようなプラズマCVD装置74を用いて、中間製品18のアンダーコート層14上に、SiO2のプラズマCVD膜からなるトップコート層16を形成して、樹脂ガラス10を製造する際には、前記第一の実施形態に係るプラズマCVD装置20を用いる場合と同様に、先ず、中間製品18を真空チャンバ22内の基板ホルダ34に支持させて、真空チャンバ22内を密閉した後、真空チャンバ22内を減圧する。

0079

その後、誘導結合型プラズマトーチ44の誘導コイル52に高周波電流を供給して、トーチ管50内に高周波電磁界を発生させると共に、誘導コイル52内にジュール熱を発生させた状態で、トーチ管50内に、モノシランガスと酸素ガスを同時に供給する。これにより、トーチ管50内で、モノシランガスを分解、プラズマ化すると共に、酸素ガスをプラズマ化し、モノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとを発生させて、それらのプラズマガスを、吹出口54から真空チャンバ22内に吹き出させる。

0080

そして、真空チャンバ22内に吹き出されたモノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとを、基板ホルダ34に支持された中間製品18のアンダーコート層14上で反応させて、SiO2を生成し、かかるSiO2を、中間製品18のアンダーコート層14上に積層させる。

0081

かくして、中間製品18のアンダーコート層14の全表面上に、SiO2のプラズマCVD層からなるトップコート層16を積層形成する。そうして、図1に示される如き構造を備えた、目的とする樹脂ガラス10を得るのである。

0082

このように、図3に示される構造を有する本実施形態のプラズマCVD装置74を用いて、中間製品18のアンダーコート層14上にトップコート層16を形成する場合にあっても、前記第一の実施形態に係るプラズマCVD装置20を用いて、中間製品18のアンダーコート層14上にトップコート層16を形成する際に奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に奏され得る。

0083

そして、本実施形態のプラズマCVD装置74を用いる場合にあっては、特に、原料ガスたるモノシランガスと反応ガスたる酸素ガスの両方が、誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50内で高周波電磁界によってプラズマ化されて、真空チャンバ22内に吹き出されるため、モノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとが、無駄なく、より効率的に且つ確実に真空チャンバ22内に供給される。そして、それにより、それらモノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスの真空チャンバ22内での反応が、より確実に実施され、その結果として、トップコート層16の成膜速度の向上等が、十分に期待され得るのである。

0084

また、前記第一及び第二の実施形態のプラズマCVD装置20,74においては、誘導結合型プラズマトーチユニット24が一つだけ設けられていた。しかしながら、アンダーコート層14やトップコート層16が積層される基板12表面の面積が比較的に大型の基板12を有する樹脂ガラス10を得る際には、例えば、図4図5に示されるように、複数の誘導結合型プラズマトーチユニット24が設けられてなるプラズマCVD装置76,78等が、有利に用いられる。

0085

図4に示されるプラズマCVD装置76は、三つの誘導結合型プラズマトーチユニット24,24,24を有して、構成されている。そして、それら三つの誘導結合型プラズマトーチユニット24,24,24は、何れも、図2に示される前記第一の実施形態のプラズマCVD装置20に設けられる誘導結合型プラズマトーチユニット24と同一の基本構造を有している。

0086

すなわち、本実施形態のプラズマCVD装置76に設けられる各誘導結合型プラズマトーチユニット24は、何れも、トーチ管50と誘導コイル52を備えた誘導結合型プラズマトーチ44と、高周波電源装置46と、第一ガス供給パイプ48と、第一ガスボンベ62とを、有している。また、第一ガス供給パイプ48が、第一誘導結合型プラズマトーチ44におけるトーチ管50の吹出口54側とは反対側の開口部を閉塞する栓体53に対して、第一ガス供給口60側の端部が貫通固定されて、第一ガス供給口60が、トーチ管50内に開口している。

0087

そして、そのような三つの誘導結合型プラズマトーチユニット24,24,24の各誘導結合型プラズマトーチ44が、トーチ管50の吹出口54を、真空チャンバ22内の基板ホルダ34の支持面36に支持された中間製品18のアンダーコート層14に向けて開口した状態で、互いに隣り合うように並んで配設されている。これにより、三つの誘導結合型プラズマトーチユニット24,24,24における各誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50内で発生したモノシランのプラズマガスが、各トーチ管50の吹出口54から、中間製品18のアンダーコート層14に向けて吹き出されるようになっている。

0088

また、本実施形態では、各誘導結合型プラズマトーチ44に対して、電磁シールド部材としての電磁シールドケース80が、それぞれ設けられている。この電磁シールドケース80は、ここでは、誘導コイル52の外径及び軸方向長さよりも僅かに大きな外径及び軸方向長さを有する金属製の円筒体からなっている。そして、そのような電磁シールドケース80が、各誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50に巻き付けられた誘導コイル52の全体を外側から覆って、誘導コイル52の圧嵌めされることで、各誘導結合型プラズマトーチ44に取り付けられている。

0089

かくして、各誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50内で発生する高周波電磁界のトーチ管50外への漏洩が、電磁シールドケース80にて阻止されるようになっている。また、それにより、互いに隣り合う誘導結合型プラズマトーチ44のトーチ管50内で生ずる高周波電磁界同士が相互に干渉することが防止され、以て、誘導結合型プラズマトーチ44,44,44の各トーチ管50内で、それぞれ、高周波電磁界によるモノシランガスのプラズマ化が、安定的に行われ得るのである。なお、電磁シールドケース80は、トーチ管50内で発生する高周波電磁界のトーチ管50外への漏洩を阻止し得るものであれば、その形成材料は、金属材料に何等限定されるものではない。

0090

さらに、かかるプラズマCVD装置76は、複数(ここでは二つ)の第二ガス供給パイプ66を有している。それら各第二ガス供給パイプ66は、前記第一の実施形態に係るプラズマCVD装置20に設けられる第二ガス供給パイプ66と同様に、第二ガス供給口68側の端部が、真空チャンバ22に対して、チャンバ本体26の側壁部30を貫通して固定されている一方、他端部に、第二ガスボンベ70が接続されている。更に、それら二つの第二ガス供給パイプ66,66のそれぞれの第二ガス供給口68,68が、真空チャンバ22内において、三つの誘導結合型プラズマトーチ44,44,44の各吹出口54,54,54と中間製品18のアンダーコート層14との間に向かって開口するように配置されている。

0091

そして、かくの如き構造とされたプラズマCVD装置76を用いて、中間製品18のアンダーコート層14上に、SiO2のプラズマCVD膜からなるトップコート層16を形成して、樹脂ガラス10を得る際には、前記第一及び第二の実施形態に係るプラズマCVD装置20,74を用いる場合と同様に、先ず、比較的に大型の中間製品18を真空チャンバ22内の基板ホルダ34に支持させて、真空チャンバ22内を密閉した後、真空チャンバ22内を減圧する。

0092

その後、三つの誘導結合型プラズマトーチ44,44,44の各誘導コイル52に高周波電流を供給して、各トーチ管50内に高周波電磁界を発生させると共に、各誘導コイル52内にジュール熱を発生させた状態で、三つの第一ガス供給パイプ48,48,48を通じて、モノシランガスを各トーチ管50内に供給する。また、その一方で、二つの第二ガス供給パイプ66,66を通じて、酸素ガスを真空チャンバ22内に供給する。

0093

これにより、各トーチ管50内で、モノシランガスを分解、プラズマ化し、モノシランのプラズマガスを発生させて、かかるプラズマガスを、各トーチ管50の吹出口54から、大型の中間製品18のアンダーコート層14の全表面に満遍に行き渡るように、かかるアンダーコート層14の表面に向かって、真空チャンバ22内に、それぞれ吹き出させる。また、かくして真空チャンバ22内に吹き出されたモノシランのプラズマガスに向かって酸素ガスを吹き付けて、プラズマガスと接触させる。それにより、真空チャンバ22内における各トーチ管50の吹出口54と基板12との間の空間で、酸素ガスをプラズマ化して、酸素のプラズマガスを発生させる。

0094

そして、基板ホルダ34に支持された中間製品18のアンダーコート層14上で、モノシランのプラズマガスと酸素のプラズマガスとを反応させて、SiO2を生成し、かかるSiO2を、中間製品18のアンダーコート層14上に積層させる。

0095

かくして、中間製品18のアンダーコート層14の全表面上に、SiO2のプラズマCVD層からなるトップコート層16を積層形成する。そうして、図1に示される如き構造を備えた、目的とする樹脂ガラス10を得るのである。

0096

このように、図4に示される構造を有する本実施形態のプラズマCVD装置76を用いて、中間製品18のアンダーコート層14上にトップコート層16を形成する場合にあっても、前記第一の実施形態に係るプラズマCVD装置20を用いて、中間製品18のアンダーコート層14上にトップコート層16を形成する際に奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に奏され得る。

0097

そして、本実施形態のプラズマCVD装置76を用いる場合にあっては、特に、複数の誘導結合型プラズマトーチユニット24の各トーチ管50吹出口54からモノシランのプラズマガスが、中間製品18のアンダーコート層14の表面に吹き出されるようになっている。それ故、例えば、一つの誘導結合型プラズマトーチユニット24だけを有するプラズマCVD装置とは異なって、表面積の大きなアンダーコート層14の全表面上に、モノシランのプラズマガスを均一に吹き付けるために、トーチ管50の吹出口54を中間製品18のアンダーコート層14から離間させる必要がなく、三つのトーチ管50の各吹出口54を、中間製品18のアンダーコート層14に近づけることができる。それによって、アンダーコート層14の表面積が大きくても、モノシランのプラズマガスを、各吹出口54からアンダーコート層14の全表面に満遍に行き渡るように吹き出させることができる。

0098

それ故、そのような本実施形態のプラズマCVD装置76を用いれば、表面積の大きなアンダーコート層14の全表面上に、トップコート層16を均一な厚さで確実に形成することができる。そして、それにより、表面積が大きな基板12上にアンダーコート層14とトップコート層16とが積層されてなる大型の樹脂ガラス10を、容易に且つ確実に製造することが可能となるのである。

0099

また、かかるプラズマCVD装置76においては、各トーチ管50の吹出口54が、中間製品18のアンダーコート層14に近い位置に配置されているため、各吹出口54から吹き出されたモノシランのプラズマガスの全量が、真空チャンバ22内に分散することなく、中間製品18のアンダーコート層14上に無駄なく確実に吹き付けられる。これにより、モノシランのプラズマガスが、酸素のプラズマガスとの反応前に、真空ポンプ40によって真空チャンバ22内から排出されることが効果的に防止され、その結果として、モノシランガスの各トーチ管50内への供給量を、トップコート層16の形成に必要な量だけに抑えることが可能となって、材料費の節約と成膜効率の向上とが、共に有利に実現され得ることとなるのである。

0100

図5に示されるプラズマCVD装置78は、図3に示される前記第二の実施形態のプラズマCVD装置74に設けられる誘導結合型プラズマトーチユニット24、即ち、第一ガス供給パイプ48と第二ガス供給パイプ66とを有し、第一ガス供給口60と第二ガス供給口68とがトーチ管50内に開口する構造を備えた誘導結合型プラズマトーチユニット24を複数(ここでは三つ)有している。そして、図4に示される前記第三の実施形態のプラズマCVD装置76と同様に、それら三つの誘導結合型プラズマトーチユニット24,24,24が、各トーチ管50の吹出口54を、真空チャンバ22内の中間製品18のアンダーコート層14上に向かって開口させた状態で、真空チャンバ22に取り付けられている。

0101

かくの如き構造を有する本実施形態のプラズマCVD装置78を用いれば、前記第二の実施形態に係るプラズマCVD装置74において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果と、前記第三の実施形態に係るプラズマCVD装置76において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果とが、何れも、有効に享受され得るのである。

0102

また、前記第一及び第三の実施形態に係るプラズマCVD装置20,76では、プラズマCVD膜からなるトップコート層16の成膜用ガスのうちの原料ガスたるモノシランガスが、第一ガス供給パイプ48を通じて、誘導結合型プラズマトーチユニット24のトーチ管50内に供給される一方、反応ガスたる酸素ガスが、第二ガス供給パイプ66を通じて、真空チャンバ22内に供給されるようになっていた。しかしながら、反応ガスたる酸素ガスを、第一ガス供給パイプ48からトーチ管50内に供給する一方、原料ガスたるモノシランガスを、第二ガス供給パイプ66から真空チャンバ22内に供給するように為しても良い。

0103

さらに、基板12に設けられたアンダーコート層14上に、プラズマCVD膜からなるトップコート層16を積層形成して、樹脂ガラス10を製造する際には、前記第一乃至第四の実施形態に係るプラズマCVD装置20,74,76,78の何れを使用する場合にあっても、トップコート層16の形成工程の前工程として、アルゴンや窒素ヘリウムネオンキセノンクリプトン等の不活性ガスをプラズマ化したプラズマガスによるアンダーコート層14の表面処理を行うことも可能である。このアンダーコート層14の表面処理は、例えば、トーチ管50や真空チャンバ22内に原料ガスや反応ガスを供給する前に、不活性ガスをトーチ管50内に供給し、トーチ管50内で、それらの不活性ガスをプラズマ化して、不活性ガスのプラズマガスを真空チャンバ22内に収容された中間製品18のアンダーコート層14に吹き付けることにより実施される。このようなアンダーコート層14の表面処理を行うことによって、トップコート層16のアンダーコート層14に対する密着性を有利に高めることができる。

0104

また、前工程として、酸素ガスを、不活性ガスと一緒に、或いは単独で、トーチ管50内に供給して、酸素ガスや不活性ガスをプラズマ化し、それらのプラズマガスを、アンダーコート層14に対して同時に接触させる表面処理を行っても良い。このような表面処理により、アンダーコート層14の親水性を高めることで、トップコート層16のアンダーコート層14に対する密着性の向上を図ることも可能となる。

0105

さらに、前記第三及び第四の実施形態に係るプラズマCVD装置76,78では、複数の誘導結合型プラズマトーチユニット24が、高周波電源装置46を、それぞれ一つずつ有していたが、単に一つの高周波電源装置46から、複数の誘導結合型プラズマトーチユニット24のそれぞれに対して、高周波電流を供給するように構成しても良い。

0106

更にまた、トーチ管50内や真空チャンバ22内に原料ガスや反応ガスを供給するトーチ管用ガス供給手段や反応室用ガス供給手段の構造は、例示されたものに何等限定されるものでない。

0107

また、基材は、樹脂成形品に何等限定されるものではなく、樹脂以外の材質であっても、何等差し支えない。

0108

加えて、前記実施形態では、本発明を、ポリカーボネート製の樹脂基材の表面に積層されたアンダーコート層上に、プラズマCVD膜からなるトップコート層を形成するのに用いられるプラズマCVD装置と、そのようなプラズマCVD膜の形成方法と、樹脂製品の製造方法とに適用したものの具体例を示したが、本発明は、基材の表面上にプラズマCVD膜を形成するプラズマCVD装置と、基材表面上へのプラズマCVD膜の形成方法と、基材の表面上にプラズマCVD膜が積層形成されてなる積層品の製造方法の何れにも、有利に適用可能であることは、勿論である。

0109

その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。

0110

10樹脂ガラス12基板
14アンダーコート層16トップコート層
18中間製品20,74,76,78プラズマCVD装置
22真空チャンバ24誘導結合型プラズマトーチユニット
38排気パイプ40真空ポンプ
44誘導結合型プラズマトーチ46高周波電源装置
48 第一ガス供給パイプ50トーチ管
52誘導コイル54吹出口
62 第一ガスボンベ66 第二ガス供給パイプ
70 第二ガスボンベ

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