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技術 繊維強化樹脂用炭素繊維

出願人 倉敷紡績株式会社
発明者 伊藤正道堀本歴田中忠玄
出願日 2013年5月27日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2013-111140
公開日 2014年12月8日 (5年11ヶ月経過) 公開番号 2014-227641
状態 特許登録済
技術分野 繊維材料の処理 強化プラスチック材料 繊維製品の化学的、物理的処理 繊維製品への有機化合物の付着処理
主要キーワード メディアシート スダレ状 引き抜き法 未処理炭 インフュージョン成形 水銀圧力 本ピーク ワット密度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年12月8日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

マトリックス樹脂との濡れ性を高め、繊維間にマトリックス樹脂が含浸しやすい樹脂強化用炭素繊維を提供する。

解決手段

本発明の繊維強化樹脂炭素繊維は、エポキシ樹脂サイジング剤が付着した繊維強化樹脂用炭素繊維であって、前記炭素繊維の表面には前記エポキシ樹脂サイジング剤が変性したエステル結合(-COO-)が存在する。エステル結合はX線光電子分光法により測定される。エステル結合の炭素原子濃度は、全炭素原子濃度に対して1.0%以上の割合であるのが好ましい。

概要

背景

炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、高強度、軽量等の特色を生かして、ゴルフクラブシャフト釣竿等の各種スポーツ用品航空機自動車圧力容器などに広く応用され或いは今後の応用が期待されている。繊維強化樹脂の一般的な成形方法として、例えばハンドレイアップ法スプレーアップ法などの接触圧成形法、フィラメントワインディング(FW)法、引き抜き法連続積層法などの連続成形法などを使用して目的の成形物成形している。使用されるマトリックス樹脂は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されている。また、マトリックス樹脂との結合力を高めるため、マトリックス樹脂に応じたサイジング剤強化用繊維表面に付着させている(以上、非特許文献1)。

従来技術として、アクリル基エポキシ基を有する炭素繊維用サイジング剤を使用する提案がある(特許文献1)。また、サイジング剤を付着させる前の炭素繊維表面オゾン酸化させる提案もある(特許文献2)。さらにエポキシ基を有する炭素繊維用サイジング剤を使用する提案がある(特許文献3〜4)。

概要

マトリックス樹脂との濡れ性を高め、繊維間にマトリックス樹脂が含浸しやすい樹脂強化用炭素繊維を提供する。本発明の繊維強化樹脂用炭素繊維は、エポキシ樹脂サイジング剤が付着した繊維強化樹脂用炭素繊維であって、前記炭素繊維の表面には前記エポキシ樹脂サイジング剤が変性したエステル結合(-COO-)が存在する。エステル結合はX線光電子分光法により測定される。エステル結合の炭素原子濃度は、全炭素原子濃度に対して1.0%以上の割合であるのが好ましい。

目的

本発明は、前記従来の問題を解決するため、マトリックス樹脂との濡れ性を高め、繊維間にマトリックス樹脂が含浸しやすい樹脂強化用炭素繊維を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

エポキシ樹脂サイジング剤が付着した繊維強化樹脂炭素繊維であって、前記炭素繊維の表面には前記エポキシ樹脂サイジング剤が変性したエステル結合(-COO-)が存在することを特徴とする炭素繊維。

請求項2

前記エステル結合はX線光電子分光法により測定される請求項1に記載の繊維強化樹脂用炭素繊維。

請求項3

前記エステル結合の炭素原子濃度は、全炭素原子濃度に対して1.0%以上の割合である請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂用炭素繊維。

請求項4

前記エステル結合は、全炭素原子濃度に対してエステル結合が1.0%未満の割合のエポキシ樹脂サイジング剤が付着された炭素繊維が表面活性化により変性して生成したものである請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂用炭素繊維。

請求項5

前記表面活性化は、オゾン酸化波長400nm以下の紫外線照射及びプラズマ処理からなる群から選ばれる少なくとも一つの処理である請求項4に記載の繊維強化樹脂用炭素繊維。

技術分野

0001

本発明は、樹脂含浸性を高めた繊維強化樹脂炭素繊維に関する。

背景技術

0002

炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、高強度、軽量等の特色を生かして、ゴルフクラブシャフト釣竿等の各種スポーツ用品航空機自動車圧力容器などに広く応用され或いは今後の応用が期待されている。繊維強化樹脂の一般的な成形方法として、例えばハンドレイアップ法スプレーアップ法などの接触圧成形法、フィラメントワインディング(FW)法、引き抜き法連続積層法などの連続成形法などを使用して目的の成形物成形している。使用されるマトリックス樹脂は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されている。また、マトリックス樹脂との結合力を高めるため、マトリックス樹脂に応じたサイジング剤強化用繊維表面に付着させている(以上、非特許文献1)。

0003

従来技術として、アクリル基エポキシ基を有する炭素繊維用サイジング剤を使用する提案がある(特許文献1)。また、サイジング剤を付着させる前の炭素繊維表面オゾン酸化させる提案もある(特許文献2)。さらにエポキシ基を有する炭素繊維用サイジング剤を使用する提案がある(特許文献3〜4)。

0004

特開2000−355884号公報
特開2009−79344号公報
特開平7−279040号公報
特開2005−146429号公報

先行技術

0005

繊維学会編「第3版繊維便覧」,丸善,2004年12月15日,598−601頁,614−615頁

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、従来技術のサイジング剤を付着させた炭素繊維は、ガラス繊維に比べ繊維径が小さいため、ガラス繊維と比較してマトリックス樹脂が含浸しにくいという問題があった。

0007

本発明は、前記従来の問題を解決するため、マトリックス樹脂との濡れ性を高め、繊維間にマトリックス樹脂が含浸しやすい樹脂強化用炭素繊維を提供する。

課題を解決するための手段

0008

本発明の繊維強化樹脂用炭素繊維は、エポキシ樹脂サイジング剤が付着した繊維強化樹脂用炭素繊維であって、前記炭素繊維の表面には前記エポキシ樹脂サイジング剤が変性したエステル結合(-COO-)が存在することを特徴とする。

発明の効果

0009

本発明は、エポキシ樹脂サイジング剤が付着した炭素繊維の表面に、前記エポキシ樹脂サイジング剤が変性して生成したエステル結合(-COO-)が存在することにより、マトリックス樹脂との濡れ性を高め、炭素繊維間にマトリックス樹脂が含浸しやすい炭素繊維を提供できる。これにより、含浸作業工程を短縮化できる効果がある。

図面の簡単な説明

0010

図1は本発明の一実施形態を示す多軸挿入たて編物概念斜視図である。
図2は本発明の一実施例のインフュージョン成形を説明する模式図である。
図3は本発明の実施例1〜2品及び比較例1品のX線光電子分光法により測定されるワイドスペクトル重ね書きグラフである。
図4は同、ナロースペクトル重ね書きグラフである。
図5は同、ナロースペクトル重ね書きグラフである。
図6は比較例1品のX線光電子分光法により測定されるC1sスペクトル分析データである。
図7は本発明の実施例1品のX線光電子分光法により測定されるC1sスペクトル分析データである。
図8は本発明の実施例2品のX線光電子分光法により測定されるC1sスペクトル分析データである。

0011

通常の炭素繊維は樹脂との親和性を上げるためにエポキシ樹脂サイジング剤が付着した状態で販売されている。本発明はこのような市販のエポキシ樹脂サイジング剤が付着した炭素繊維をオゾン酸化、エキシマランプ照射低圧水銀ランプ照射等の波長400nm以下の紫外線照射及びプラズマ照射からなる群から選ばれる少なくとも一つの処理をする。これにより、サイジング剤を活性化し、エステル結合(-COO-)を生成させ、マトリックス樹脂との濡れ性を良好にして含浸性を高めることができる。

0012

前記エステル結合は一例としてX線光電子分光法により測定できる。より具体的な測定方法は実施例で説明する。

0013

前記エステル結合の炭素原子濃度は、全炭素原子濃度に対して1.0%以上の割合であることが好ましく、より好ましくは5.0%以上、さらに好ましくは7.0%以上である。前記の範囲であればトリックス樹脂との濡れ性をさらに良好にして含浸性をさらに高めることができる。

0014

前記エステル結合は、全炭素原子濃度に対してエステル結合が1.0%未満の割合のエポキシ樹脂サイジング剤が付着された炭素繊維を表面活性化することにより生成したものである。より好ましくは、エステル結合をもたないエポキシ樹脂サイジング剤が付着された炭素繊維をオゾン酸化、エキシマランプ照射や低圧水銀ランプ照射等の波長400nm以下の紫外線照射及びプラズマ照射からなる群から選ばれる少なくとも一つの処理をする。これにより、サイジング剤を活性化し、エステル結合(-COO-)を生成させ、マトリックス樹脂との濡れ性を良好にして含浸性を高めることができる。

0015

(1)オゾン酸化
オゾンの発生方法としては、無声放電方式沿面放電方式、紫外線照射方式、電気分解方式などがある。大容量のオゾン生成には効率の面から、主に無声放電方式が利用されている。現在、放電オゾナイザとして最も一般的に用いられている放電方式である。一対の平行電極の一方または両方に誘電体(主にガラスセラミックス)の層を設け、両電極間交流高電圧印加されると無声放電が生じる。オゾン濃度は例えば40000ppmとする。処理時間は2〜30分間が好ましい。

0016

(2)エキシマランプ照射
エキシマランプとは、誘電体バリア放電短時間放電が多数生じる特徴を生かして、希ガス原子や、希ガス原子とハロゲン原子によって形成されるエキシマからの光を放射する放電ランプのことである。エキシマランプの代表的放射波長には、Ar2*(126nm)、Kr2*(146nm)、Xe2*(172nm)、KrCl*(222nm)、XeCl*(308nm)などがある。ランプ石英ガラス二重構造になっており、内管の内側には金属電極外管の外側には金属網電極がそれぞれ施され、石英ガラス管内には放電ガス充填されている。電極に交流高電圧を印加すると、2つの誘電体の間で細い針金状放電プラズマ(誘電体バリア放電)が多数発生する。この放電プラズマは高エネルギー電子包含しており、かつ、瞬時に消滅するという特徴を持っている。この放電プラズマにより、放電ガスの原子が励起され、瞬間的にエキシマ状態となる。このエキシマ状態から元の状態(基底状態)に戻るときに、そのエキシマ特有のスペクトルを発光エキシマ発光)する。発光スペクトルは、充填された放電ガスによって設定することができる。

0017

好ましい照射条件は波長によって異なる。波長172nmの場合、光強度は例えば5〜6mW/cm2とすると、照射時間は0.5〜30分程度が好ましい。波長222nmの場合、光強度は例えば40〜60mW/cm2とすると、照射時間は2〜30分程度が好ましい。ランプと被処理物との間に空気層ギャップ)があると、波長172nmの場合、空気中の酸素光エネルギーを吸収してオゾンが発生するので、オゾンによる酸化作用も起きる。

0018

(3)低圧水銀ランプ照射
低圧水銀ランプ(低圧UVランプ)は、点灯中の水銀圧力が100Pa以下の水銀蒸気中のアーク放電の発光を利用する。発光管にはアルゴンガスなどの希ガスと、水銀又はそのアマルガム封入されている。波長185nm,254nmなどの紫外放射のランプがある。光強度は例えば40〜60mW/cm2とする。照射時間は2〜30分程度が好ましい。

0019

(4)プラズマ照射処理
プラズマは一般的には気体を構成する分子が部分的に又は完全に電離し、陽イオンと電子に分かれて自由に運動している状態のものである。プラズマ処理装置を使用して炭素繊維にプラズマ照射する条件は、照射量としてワット密度(W・分/m2)で表現すると、1000〜50000W・分/m2が好ましい。また、窒素ガス又は窒素酸素ガス雰囲気で処理速度(被処理物移動速度)0.05〜1m/minが好ましい。

0020

以上の処理は単独でも任意に組み合わせても良い。これらの処理により、繊維表面のサイジング剤を活性化し、マトリックス樹脂との濡れ性をさらに良好にして含浸性をさらに高めることができる。より具体的にはサイジング剤の分子を切断したり、水酸基カルボニル基カルボキシル基アンモニウム基、或いはこれらの遷移状態中間体や類似基を形成して活性化されると推測される。繊維表面のサイジング剤の活性化の程度は、水との接触角により評価できる。

0021

繊維は単繊維であっても良いし、複数本の場合は少なくとも一方向に揃えて配列されていてもよい。単繊維の繊度はいかなる繊度であっても良い。

0022

複数本の繊維はシート状に形成されていてもよい。このような繊維としては、例えば構成繊維を一方向に揃えたスダレ状基材織物編み物組物又は多軸挿入たて編み物等がある。

0023

本発明では、汎用性の高いエポキシ樹脂サイジング剤を炭素繊維表面に付着させたものを使用するのが好ましい。サイジング剤の好ましい付着量は0.1〜5.0重量%であり、さらに好ましくは0.2〜3.0重量%である。

0024

マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂を使用でき、例としてエポキシ不飽和ポリエステルフェノールなどの樹脂がある。

0025

次に図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態における繊維シート10の斜視図である。この繊維シート10は、多軸挿入たて編み物の概念図を示している。サイジング剤が付着された炭素繊維又はガラス繊維1〜6は、予め本発明の活性化処理を行うか、または繊維シートにした後に活性化処理を行う。この複数本の繊維を束ね繊維束が一方向に引き揃えられ繊維シート10が形成される。この繊維1〜6を図1に示すように複数方向に異ならせて積層し、編針7に掛けられたステッチング糸8,9によって厚さ方向にステッチング結束)し、一体化する。このような多軸挿入たて編み物を繊維シート10とし、マトリックス樹脂と一体成形する。この多軸状の積層シートは、多方向の補強効果に優れた繊維強化樹脂を得ることが可能となる。ステッチング糸の代わりに、熱融着糸又は併用してバインダーを用いても良い。

0026

以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

0027

<各種分析、測定方法>
1.X線光電子分光法(XPS)
使用装置アルバックファイ製Quantum-2000走査型X線光電子分光装置
測定条件X線源Al Kα (モノクロ:20W,15kV)、分析領域100μmφ、帯電中和機構(電子線+イオンビーム)使用。試料は適当な大きさにカットし、Moマスクを用い、ホルダに固定後測定した。

0028

2.繊維強化樹脂含浸試験
未処理、オゾン処理およびエキシマ処理した開繊糸それぞれについて、ガラス板上に幅約14cm、長さ約10cmの大きさで並べ、同じ方向に20枚積層して約1900g/m2の目付の基材を準備した。これを図2に示すインフュージョン成形の常法に従い、周囲をシーラント14a,14bで囲み、基材12の上にはく離フィルム13、メディアシート15、フィルム16を重ねて密閉し、長さ方向の一方の排出口19から矢印20方向へ一定の真空度真空引きし、他方の供給口18からマトリックス樹脂17を流して、樹脂が含浸した面積(%)の時間経過をガラス板11の下面から観察した。
マトリックス樹脂:エポキシ系樹脂(HUNTSMAN社製)
主剤:Araldaite LY1564SP: 100重量部
硬化剤:Aradur 3416: 34重量部
を混合した(粘度200〜320mPa・s(25℃))。

0029

<炭素繊維>
炭素繊維は、形状:ラージトゥフィラメント、単繊維繊度7μmを使用した。この炭素繊維にはエポキシ樹脂がサイジング剤として付着されている。

0030

(比較例1)
未処理炭素繊維として、短冊状に開繊した前記炭素繊維(開繊糸)を使用した。目付は約94g/m2であった。

0031

(実施例1)
実施例1はオゾン酸化処理の例である。前記未処理開繊糸(幅約3cm、長さ約10cm)をデシケータ内に入れ、真空にした後、オゾン雰囲気(濃度40000ppm)に30分間接触させてオゾン酸化処理した。オゾン生成能力は、1ユニットで2.16g/h(電圧100V、酸素ガス濃度90%、流量1L/min)のものを3台使用して約6g/hとなる。オゾン発生器は、リガジョイント社製、型番:ORZ−3.2、生成方法:無声放電を使用した。

0032

(実施例2)
実施例2はエキシマ処理の例である。前記未処理開繊糸(幅約3cm、長さ約10cm)をエキシマランプ照射装置石英ガラス板上に1列並行となるように載せ、キセノンランプ(波長172nm)、光強度5.5mW/cm2の条件で表面と裏面各5分間、計10分間照射した。エキシマ照射装置ウシオ電機社製型式:H0011を使用した。

0033

比較例1、実施例1〜2で得られた炭素繊維をX線光電子分光法(XPS)で分析した。
(1) 各試料のワイドスペクトルを図3に示す。これより、いずれもC,O が検出され、その他に特異な元素は検出されていないことが分かる。
(2) 各元素のナロースペクトルを図4〜5に示し、各元素のピーク強度より見積もられた表面原子濃度(at%)を表1に示す。また、同図中に各ピーク結合エネルギーより推察される結合状態を記載する。なお、各状態の同定にはアルバック・ファイ社製ハンドブックを参照した。これより、実施例1品では酸素原子(O)が他の試料に比べ多く検出されていることが分かる。一方、C1s スペクトルの変化より、比較例1品はC-C,C-H の結合状態の他にC-O の結合状態が認められているが、実施例1〜2品にはその他にC=O や-COO- の結合状態が認められていることが分かる。表面原子濃度の計算には、アルバック・ファイの相対感度因子を用いた。
(3) 各試料の化学状態の変化について詳細に調べるため、C1s スペクトルのピーク分離を行い、得られた結果を図6〜8に示す。また、各ピークの面積比より各成分の構成割合を算出し、表面原子濃度と全炭素原子濃度に対する各結合状態の炭素原子濃度の比率(%)を表1に示す。

0034

0035

以上の図4〜8及び表1から以下のことが分かる。
(1)比較例1品:
C-Oの割合はO濃度の倍程度であり、結合エネルギーはC-C,C-Hの結合成分に対し+ 1.7 eV と算出されることから、C-O-C(エポキシ基)の結合状態が多く含まれている。
(2)実施例1品:
比較例1品に比べ、エステル結合(-COO-)が増加し*1、C-O-C(エポキシ基)の結合状態が減少している。
(3)実施例2品:
比較例1品 に比べ、エステル結合(-COO-)が増加し、C-O-C(エポキシ基)の結合状態については実施例1品 に比べさらに減少している。
(4)以上から、実施例1〜2品にはエステル結合(-COO-)の成分が検出され、C-O-C(エポキシ基)については比較例1品>実施例1品>実施例2品の順に減少しているものと推察される*2。
注(*1) 実施例1〜2品において、C1sスペクトルからCOO-H(カルボキシル基)とCOO-C(エステル結合)を区別することは困難であるが、検出されたCOO成分がCOO-H(カルボキシル基)であると仮定すると、C-O の結合成分が全てC-O-C であったと仮定してもO の量が足りなくなるため、COO-C(エステル結合)の結合状態であると判断した。
注(*2) 結合エネルギーは、C-O に対しC-O-C(エポキシ基)で約0.5 eV 高いと報告されているが、結合エネルギーが近いため、本ピーク離解析において両成分を分離することはできなかった。しかしながら、C-O,C-O-C の結合成分のC-C,C-H の結合成分との結合エネルギーの差が、比較例1品、実施例1品、実施例2品の順に+1.7,1.4,1.3 eV と算出されており、この結合エネルギーの変化はC-O-C(エポキシ基)成分の割合の減少によるものと解釈することができる。

0036

次に比較例1、実施例1〜2で得られた炭素繊維を繊維強化用樹脂の含浸試験をした。この結果を表2に示す。

0037

0038

表2から含浸速度(時間当たりの含浸面積)を最小二乗法により求めると、実施例1(オゾン酸化処理)、実施例2(エキシマ処理)の炭素繊維は、比較例1(未処理)のものと比較してそれぞれ約1.9倍、2.2倍含浸速度が上がったことがわかる。

0039

以上の実施例及び比較例から、エポキシ樹脂サイジング剤が付着した炭素繊維の表面に、前記エポキシ樹脂サイジング剤が変性して生成したエステル結合(-COO-)が存在することにより、マトリックス樹脂との濡れ性を高め、炭素繊維間にマトリックス樹脂が含浸しやすいことが確認できた。

実施例

0040

本発明の好ましい態様を列記する。
1. 本発明は、エポキシ樹脂サイジング剤が付着した炭素繊維をオゾン酸化、エキシマランプ照射や低圧水銀ランプ照射等の波長400nm以下の紫外線照射及びプラズマ照射からなる群から選ばれる少なくとも一つの処理をすることにより、サイジング剤を活性化し、エステル結合(-COO-)を生成させ、マトリックス樹脂との濡れ性を良好にして含浸性を高める繊維強化樹脂用繊維の製造方法である。
2.前記エステル結合は、全炭素原子濃度に対してエステル結合が1.0%未満の割合のエポキシ樹脂サイジング剤が付着された炭素繊維が表面活性化により生成したものであり、表面活性化後のエステル結合の炭素原子濃度は、全炭素原子濃度に対して1.0%以上の割合である前記1項に記載の繊維強化樹脂用繊維の製造方法である。
3.前記表面活性化は、オゾン酸化、波長400nm以下の紫外線照射及びプラズマ処理からなる群から選ばれる少なくとも一つの処理である前記1又は2項に記載の繊維強化樹脂用繊維の製造方法である。
4.前記波長400nm以下の紫外線照射は、エキシマランプ照射または低圧水銀ランプ照射である前記1〜3項のいずれかに記載の繊維強化樹脂用繊維の製造方法である。
5.前記炭素繊維は、少なくとも一方向に揃えて配列されている前記1〜4項のいずれかに記載の繊維強化樹脂用繊維の製造方法である。
6.前記炭素繊維はシート状に形成されている前記1〜5項のいずれかに記載の繊維強化樹脂用繊維の製造方法である。

0041

本発明の炭素繊維強化樹脂は、風力発電に使用するブレード、ゴルフクラブのシャフト、釣竿等の各種スポーツ用品、航空機、自動車、圧力容器などに広く応用できる。

0042

1〜6炭素繊維又はガラス繊維
7編針
8,9ステッチング糸
10繊維シート
11ガラス板
12基材
13はく離フィルム
14a,14bシーラント
15メディアシート
16 フィルム
17マトリックス樹脂
18 供給口
19 排出口

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