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技術 酢酸ビニル系樹脂エマルションおよびその製造方法

出願人 高圧ガス工業株式会社
発明者 野杁達也多和田英樹松本司
出願日 2013年5月17日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2013-105336
公開日 2014年12月8日 (5年4ヶ月経過) 公開番号 2014-227422
状態 特許登録済
技術分野 重合方法(一般) グラフト、ブロック重合体 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード pHメータ 水溶出率 エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂 塗工サンプル 恒温ボックス ダイラタンシー ベースエマルション エマルション接着剤
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

塗工性、ロール洗浄性を向上させるとともに、耐水性耐熱性初期接着性にも優れた酢酸ビニル樹脂系エマルションを提供する。

解決手段

エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシード粒子とし、少なくとも1種のポリビニルアルコール系樹脂存在下で少なくとも1種の単量体重合してなる酢酸ビニル系樹脂エマルションであって、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜水溶出率が10%以下であり、前記の単量体が酢酸ビニルであり、前記のポリビニルアルコール系樹脂が、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂であり、以下の式(1)で定義されるスパン演算値が1.0以下である。 スパン演算値=|累積頻度%径A−累積頻度%径B|÷メジアン径(μm) (1)(ここで、累積頻度%径Aは、測定中の累積頻度が10%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、累積頻度%径Bは測定中の累積頻度が90%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、メジアン径は累積頻度が50%となった時のポリ酢酸ビニル樹脂エマルションの粒子径(μm)を示し、式内記号||は絶対値を示す。)

概要

背景

近年、酢酸ビニル系樹脂エマルションを用いた被覆剤あるいは接着剤を利用する分野においても市場ニーズからこれらを塗工する際の精密さや緻密さが非常に重要な因子になりつつある。塗布量や塗布厚みの制御、および塗工面の平滑性表面性といった塗工性の向上が求められている。塗工性に関しては酢酸ビニル系樹脂エマルションのレオロジー特性の制御が重要であり、そのレオロジー特性には、酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径及び粒子径分布が大きな影響を与えることが知られている。

酢酸ビニル系樹脂エマルションの製造方法としては、乳化剤の様な界面活性剤ポリビニルアルコール等の保護コロイド水溶液中に所定量の単量体を添加し、これに重合開始剤を添加して反応を開始させる事により系中に粒子を生成させた上で、更に単量体を逐次添加して粒子を成長させる一般的な乳化重合手法の他に、シード重合法が知られている。シード重合法は、既に通常の乳化重合により製造されたエマルション粒子シード)を予め反応前の重合槽に存在させ、これに更に単量体を添加しつつ新たにポリマーを生成させる重合方法である。初期に添加されたエマルション粒子の内部あるいは表層で再び乳化重合を行うことにより、初期に添加したエマルション粒子より大きな粒子を作製する事ができる乳化重合手法として知られている。このようなシード重合法は、アクリル樹脂系エマルションをはじめとして既に各分野で広く利用されている。エチレン酢酸ビニル系樹脂エマルションをシードとしてシード重合を行う方法も知られている(特許文献1〜5)。

特許文献1には、エチレン含量が10〜40wt%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、これにけん化度が80〜99mol%で重合度が200〜3500であるポリビニルアルコールを添加した後、酢酸ビニル単量体を含む単量体を、酢酸ビニルを含む単量体とエチレン酢酸ビニル樹脂エマルション固形分の比が10〜200/100となるように添加して乳化重合せしめる事によりシード重合樹脂エマルションを得る方法が記載されている。特許文献2には、エチレン含量が10〜55wt%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、これにけん化度が90〜98mol%で数平均分子量が400〜2000であるポリビニルアルコールを添加した後、酢酸ビニル単量体を含む単量体を、酢酸ビニルを含む単量体とエチレン酢酸ビニル樹脂エマルションの固形分の比が100/5〜40となるように添加して乳化重合せしめる事によりシード重合樹脂エマルションを得る方法が記載されている。特許文献3には、エチレン含量が10〜30wt%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、これにけん化度が80〜89mol%で重合度が300〜2300であるポリビニルアルコールを5〜15重量部添加した後、酢酸ビニル単量体を含む単量体を、酢酸ビニルを含む単量体とエチレン酢酸ビニル樹脂エマルションの固形分の比が100/8〜30となるように添加して乳化重合せしめる事によりシード重合樹脂エマルションを得る方法が記載されている。特許文献4には、エチレン含量が15〜35wt%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、これに酢酸ビニル系樹脂エマルションの固形分に対して9〜20重量%となる量のポリビニルアルコールを添加した後、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂含有量がエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂と酢酸ビニルの合計に対して固形分として50重量%以下となる割合で酢酸ビニルを添加してシード重合を行う事で得られる可塑剤を含まない酢酸ビニル樹脂系エマルションを含有する木と木を接着する木工用接着剤が記載されている。また、特許文献5には、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして用い、酢酸ビニルモノマーおよびアクリル酸系モノマーを用いたコアシェル型エマルション重合を行うに際して、酢酸ビニルモノマーを用いてコア部のエマルション重合を行い、続いて酢酸ビニルモノマーおよびアクリル酸系モノマーを用いてシェル部のエマルション重合を行う事を特徴とする酢酸ビニル系樹脂エマルションの作製方法が記載されている。

また、非特許文献1には、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシードとした酢酸ビニル系樹脂シード重合エマルションの成膜機構について、このシード重合の過程で新たに生成した酢酸ビニル樹脂エマルションを極めて細かい粒子として生成させることにより、低温での成膜性を良好にコントロールでき、更にこれらの酢酸ビニル系樹脂エマルションについてのレオロジー的考察の結果から102s−1のずり速度領域のずり応力せん断速度10−3〜10−1s−1の領域での貯蔵弾性率G’とを一定の範囲に制御すれば、ノズルからの押し出し性垂れ性両立できることが開示されている。

概要

塗工性、ロール洗浄性を向上させるとともに、耐水性耐熱性初期接着性にも優れた酢酸ビニル樹脂系エマルションを提供する。エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシード粒子とし、少なくとも1種のポリビニルアルコール系樹脂存在下で少なくとも1種の単量体を重合してなる酢酸ビニル系樹脂エマルションであって、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜水溶出率が10%以下であり、前記の単量体が酢酸ビニルであり、前記のポリビニルアルコール系樹脂が、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂であり、以下の式(1)で定義されるスパン演算値が1.0以下である。 スパン演算値=|累積頻度%径A−累積頻度%径B|÷メジアン径(μm) (1)(ここで、累積頻度%径Aは、測定中の累積頻度が10%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、累積頻度%径Bは測定中の累積頻度が90%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、メジアン径は累積頻度が50%となった時のポリ酢酸ビニル樹脂エマルションの粒子径(μm)を示し、式内記号||は絶対値を示す。)なし

目的

本発明は、上記の課題を解決するため、塗工性やロール洗浄性を向上させるとともに、耐水性・耐熱性や初期接着性、更には安全性にも優れた酢酸ビニル樹脂系エマルションおよびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションシード粒子とし、少なくとも1種のポリビニルアルコール系樹脂存在下で少なくとも1種の単量体重合してなる酢酸ビニル系樹脂エマルションであって、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜水溶出率が10%以下であり、前記の単量体が酢酸ビニルであり、前記のポリビニルアルコール系樹脂が、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂であり、以下の式(1)で定義されるスパン演算値が1.0以下である、酢酸ビニル系樹脂エマルション。スパン演算値=|累積頻度%径A−累積頻度%径B|÷メジアン径(μm)(1)(ここで、累積頻度%径Aは、測定中の累積頻度が10%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、累積頻度%径Bは測定中の累積頻度が90%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、メジアン径は累積頻度が50%となった時のポリ酢酸ビニル樹脂エマルションの粒子径(μm)を示し、式内記号||は絶対値を示す。)

請求項2

少なくともけん化度が90mol%未満で平均重合度が2500より大きいポリビニルアルコール系樹脂を含む請求項1記載の酢酸ビニル系樹脂エマルション。

請求項3

さらにけん化度が90mol%以上のポリビニルアルコール系樹脂を含む請求項2記載の酢酸ビニル系樹脂エマルション。

請求項4

前記のけん化度が90mol%以上のポリビニルアルコール系樹脂が、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールである請求項3記載の酢酸ビニル系樹脂エマルション。

請求項5

前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションのエチレン含有率が10〜50重量%であり、該エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分が前記酢酸ビニル系樹脂エマルションの全固形分の50重量%以上である請求項1記載の酢酸ビニル系樹脂エマルション。

請求項6

前記の単量体が、さらに酢酸ビニルと共重合可能な単量体を含み、該共重合可能な単量体のホモポリマーのTgが−45℃以下であり、該共重合可能な単量体が、該共重合可能な単量体と酢酸ビニルを合わせた単量体全体の25重量%以上であり、該単量体全体の固形分が、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分の5倍以下である請求項1記載の酢酸ビニル系樹脂エマルション。

請求項7

前記の酢酸ビニル以外の単量体として、(メタアクリル酸エステルおよび/またはグリシジル基含有単量体を含む請求項1記載の酢酸ビニル系樹脂エマルション。

請求項8

さらに、クリシジル基含有単量体と反応可能なシランカップリング剤を含んでなる請求項7記載の酢酸ビニル系樹脂エマルション。

請求項9

エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシード粒子とし、少なくとも1種のポリビニルアルコール系樹脂存在下で少なくとも1種の単量体を重合する酢酸ビニル系樹脂エマルションの製造方法であって、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションとして被膜の水溶出率が10%以下であるエチレン酢酸ビニル樹脂エマルションを用い、前記の単量体に酢酸ビニルを用い、前記のポリビニルアルコール系樹脂に、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂を用いる、酢酸ビニル系樹脂エマルションの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、酢酸ビニル系樹脂エマルションおよびその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、酢酸ビニル系樹脂エマルションを用いた被覆剤あるいは接着剤を利用する分野においても市場ニーズからこれらを塗工する際の精密さや緻密さが非常に重要な因子になりつつある。塗布量や塗布厚みの制御、および塗工面の平滑性表面性といった塗工性の向上が求められている。塗工性に関しては酢酸ビニル系樹脂エマルションのレオロジー特性の制御が重要であり、そのレオロジー特性には、酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径及び粒子径分布が大きな影響を与えることが知られている。

0003

酢酸ビニル系樹脂エマルションの製造方法としては、乳化剤の様な界面活性剤ポリビニルアルコール等の保護コロイド水溶液中に所定量の単量体を添加し、これに重合開始剤を添加して反応を開始させる事により系中に粒子を生成させた上で、更に単量体を逐次添加して粒子を成長させる一般的な乳化重合手法の他に、シード重合法が知られている。シード重合法は、既に通常の乳化重合により製造されたエマルション粒子シード)を予め反応前の重合槽に存在させ、これに更に単量体を添加しつつ新たにポリマーを生成させる重合方法である。初期に添加されたエマルション粒子の内部あるいは表層で再び乳化重合を行うことにより、初期に添加したエマルション粒子より大きな粒子を作製する事ができる乳化重合手法として知られている。このようなシード重合法は、アクリル樹脂系エマルションをはじめとして既に各分野で広く利用されている。エチレン酢酸ビニル系樹脂エマルションをシードとしてシード重合を行う方法も知られている(特許文献1〜5)。

0004

特許文献1には、エチレン含量が10〜40wt%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、これにけん化度が80〜99mol%で重合度が200〜3500であるポリビニルアルコールを添加した後、酢酸ビニル単量体を含む単量体を、酢酸ビニルを含む単量体とエチレン酢酸ビニル樹脂エマルション固形分の比が10〜200/100となるように添加して乳化重合せしめる事によりシード重合樹脂エマルションを得る方法が記載されている。特許文献2には、エチレン含量が10〜55wt%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、これにけん化度が90〜98mol%で数平均分子量が400〜2000であるポリビニルアルコールを添加した後、酢酸ビニル単量体を含む単量体を、酢酸ビニルを含む単量体とエチレン酢酸ビニル樹脂エマルションの固形分の比が100/5〜40となるように添加して乳化重合せしめる事によりシード重合樹脂エマルションを得る方法が記載されている。特許文献3には、エチレン含量が10〜30wt%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、これにけん化度が80〜89mol%で重合度が300〜2300であるポリビニルアルコールを5〜15重量部添加した後、酢酸ビニル単量体を含む単量体を、酢酸ビニルを含む単量体とエチレン酢酸ビニル樹脂エマルションの固形分の比が100/8〜30となるように添加して乳化重合せしめる事によりシード重合樹脂エマルションを得る方法が記載されている。特許文献4には、エチレン含量が15〜35wt%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、これに酢酸ビニル系樹脂エマルションの固形分に対して9〜20重量%となる量のポリビニルアルコールを添加した後、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂含有量がエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂と酢酸ビニルの合計に対して固形分として50重量%以下となる割合で酢酸ビニルを添加してシード重合を行う事で得られる可塑剤を含まない酢酸ビニル樹脂系エマルションを含有する木と木を接着する木工用接着剤が記載されている。また、特許文献5には、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして用い、酢酸ビニルモノマーおよびアクリル酸系モノマーを用いたコアシェル型エマルション重合を行うに際して、酢酸ビニルモノマーを用いてコア部のエマルション重合を行い、続いて酢酸ビニルモノマーおよびアクリル酸系モノマーを用いてシェル部のエマルション重合を行う事を特徴とする酢酸ビニル系樹脂エマルションの作製方法が記載されている。

0005

また、非特許文献1には、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシードとした酢酸ビニル系樹脂シード重合エマルションの成膜機構について、このシード重合の過程で新たに生成した酢酸ビニル樹脂エマルションを極めて細かい粒子として生成させることにより、低温での成膜性を良好にコントロールでき、更にこれらの酢酸ビニル系樹脂エマルションについてのレオロジー的考察の結果から102s−1のずり速度領域のずり応力せん断速度10−3〜10−1s−1の領域での貯蔵弾性率G’とを一定の範囲に制御すれば、ノズルからの押し出し性垂れ性両立できることが開示されている。

0006

特開昭60−235875号公報
特開昭60−31349号公報
特開昭61−252280号公報
特許第3420920号明細書
特開2001−302709号公報

先行技術

0007

日本接着学会誌Vol.41 No.11(2005)P.430〜P.435

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上記の特許文献1〜4に記載された方法では、いずれの場合においても低重合度のポリビニルアルコールが添加されており、このような場合にはシード重合において、これらのポリビニルアルコールと添加された単量体との反応により系中に新たなエマルション粒子が極めて形成され易い。即ち、けん化度が80〜89mol%である低けん化度のポリビニルアルコールは一般に高い界面活性能を有している事が知られており、これらの中でも重合度が低いポリビニルアルコールは酢酸ビニル等の単量体の存在下で重合触媒による反応が起こると水中でこれらのポリビニルアルコールを保護コロイドとする新たなエマルション粒子を極めて容易に形成する。また、けん化度が90〜98mol%である高けん化度のポリビニルアルコールは、それほど高い界面活性能を有するわけではないが、特許文献2に記載されているような極めて低重合度のポリビニルアルコールでは、同様にこれらのポリビニルアルコールを保護コロイドとするエマルション粒子を形成し易い。更には、けん化度が比較的高い事により界面活性能が低いため重合時のエマルションの安定性が低くなり、重合時に粒子凝集してゲル化したり、粘性異常を示す場合が極めて多い。また、たとえ重合できたとしても低温時の増粘等により極めて取扱いしにくいエマルションを生成する場合が多い。用いるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルション中にも遊離のこれらポリビニルアルコールが含まれている事が多く、上記の特許文献1〜4にはシードエマルションとして用いるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルション中の遊離のポリビニルアルコールに関する制限もないことから、これら特許文献に記載された従来のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシードとするシード重合方法においては、いずれの場合にもシード重合を行う際に新たなエマルション粒子の生成を防止しつつ安定性の高いエマルション得る事は困難である。

0009

即ち、これら特許文献1〜4に記載されたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシードとする重合法によれば、重合を進行させる過程において系中に新たなエマルション粒子を生成させている事に他ならず、これにより、シード以外の新たなエマルション粒子が最終的に製造される酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径および粒子径分布を変化させることになり、酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径および粒子径分布の制御は困難となる。このことから、これらの方法によって得られたエマルションのレオロジー特性はその時の各種重合条件や用いるポリビニルアルコール系樹脂組成などによって様々な特性を示すものと考えられる。このことは、これらの方法により製造された酢酸ビニル系樹脂エマルションでは塗工性の制御が極めて困難である事を意味する。

0010

また、特許文献5に記載された重合方法においてもコア部の重合の際にはポリビニルアルコールを保護コロイドとする粒子を生成させており、これらの粒子生成過程ではシードを用いたシード重合ではないため、生成する粒子径が制御できているとは到底言い難い。特許文献5では、コアシェル型エマルションを作製する事でコア側に生成させたポリマーの高凝集力と粒子表面のシェル側に生成させた柔軟なポリマーによる粒子の融着性とをコントロールする重合手法を主眼に置いており、粒子径および粒子径分布の制御については何らコントロールできないものである。

0011

また、非特許文献1にはシード重合過程において極めて細かな酢酸ビニル樹脂系の粒子を生成させる重合条件に関する記載はなく、どのような手法によれば新たに生成する粒子を細かく制御できるかについては全く明らかではない。また、仮にこの新たに生成する酢酸ビニル樹脂系エマルションの粒子径を制御できたとしてもその重合条件を見出す作業は極めて綿密かつ緻密な重合実験を数多く実施する必要があり、経済的にも容易にでき得るものではない。更に、シード重合過程において新たに粒子が生成する事自体が一般的には系のレオロジー特性に与える影響が極めて大きいものと考えられ、このシード重合過程における新たな粒子の生成により、レオロジー的考察も極めて複雑かつ不明瞭になるため、この系ではレオロジー特性の分析結果と重合組成との相関関係の把握には多大な労力を強いられるものと考えられる。即ち、これらの技術によれば実質的には重合組成によりレオロジー特性を自由にしかも容易な手法でコントロールでき得るものとは考えにくい。

0012

以上のように、未だ酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径および粒子径分布の制御は十分とは言えず、塗工性向上のために一層の粒子径および粒子径分布の制御が必要であるという問題がある。

0013

また、酢酸ビニル系樹脂エマルションが接着剤として多用されている紙用木工用の接着剤用途においては、火災に対する作業の安全性や労働安全性、また地球環境保護などの観点から可塑剤や高沸点溶剤造膜助剤などの溶剤類を含まない安全性の高い接着剤であって、しかも冬季など5℃以下での低温下でも成膜性に優れる接着剤に高い関心が集まっているばかりか、更には最終的な接着製品耐久接着性能の向上の観点から、特に酢酸ビニル系樹脂エマルション接着剤の弱点である高度の耐水性耐熱性を有する事やあるいは接着作業の効率アップの観点からプレス時間養生時間の短縮に対しても要望が強く、これに見合うような耐水性と初期接着性接着強度立ち上がり)に優れる酢酸ビニル樹脂系エマルション接着剤が強く求められているという問題もある。

0014

また、接着作業現場では、一般的に接着剤を塗工する際に多用されるロール塗工機のロール部分作業終了後洗浄する。この際のロールの洗いやすさは接着剤の種類によって影響を受け、実用的な観点では生産効率上重要な因子の一つである。しかしながら、ロールに接着剤が残留して生産性が低下するという問題がある。

0015

そこで、本発明は、上記の課題を解決するため、塗工性やロール洗浄性を向上させるとともに、耐水性・耐熱性や初期接着性、更には安全性にも優れた酢酸ビニル樹脂系エマルションおよびその製造方法を提供することを目的とした。

課題を解決するための手段

0016

本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、水溶出率が10%以下であるエチレン酢酸ビニル樹脂エマルションをシードとし、少なくとも酢酸ビニルを単量体として含み、ポリビニルアルコール系樹脂としてけん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂を含み、エマルションの粒径分布に関するスパン演算値として所定の値を有する酢酸ビニル系樹脂エマルションが上記課題を解決できることを見出して本発明を完成させたものである。

0017

すなわち、本発明の酢酸ビニル系樹脂エマルションは、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシードとし、少なくとも1種のポリビニルアルコール系樹脂存在下で少なくとも1種の単量体を重合してなる酢酸ビニル系樹脂エマルションであって、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%以下であり、前記の単量体が酢酸ビニルであり、前記のポリビニルアルコール系樹脂が、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂であり、以下の式(1)で定義されるスパン演算値が1.0以下であることを特徴とする。
スパン演算値=|累積頻度%径A−累積頻度%径B|÷メジアン径(μm) (1)
ここで、累積頻度%径Aは、測定中の累積頻度が10%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、累積頻度%径Bは測定中の累積頻度が90%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、メジアン径は累積頻度が50%となった時のポリ酢酸ビニル樹脂エマルションの粒子径(μm)を示し、式内記号||は絶対値を示す。

発明の効果

0018

本発明によれば、塗工性を向上させるとともに、耐水性・耐熱性や初期接着性およびロール洗浄性にも優れた酢酸ビニル樹脂系エマルションを提供することが可能となる。

0019

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の酢酸ビニル系樹脂エマルションは、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションをシードとし、少なくとも1種のポリビニルアルコール系樹脂存在下で少なくとも1種の単量体を重合してなる酢酸ビニル系樹脂エマルションを対象とするものである。

0020

本発明に用いるシードは、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションである。エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションのエチレン含有率は、10〜50重量%、好ましくは15〜40重量%である。10重量%より少ないと、シード重合によって生成するエマルションの成膜性が得られにくく、50重量%を超えるとシード重合によって生成するエマルションの常態接着強度耐熱接着強度が低下するからである。

0021

また、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分は、単量体が酢酸ビニルのみの場合、本シード重合法によって製造される酢酸ビニル系樹脂エマルションの全固形分の50重量%以上、好ましくは、55〜65重量%である。エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分が50重量%より少ないと、シード重合により生成したエマルションの低温下での成膜性が低下し、更には可塑剤等の添加が必要となり安全性も低下するからである。単量体が酢酸ビニルと共重合可能な単量体であって、その単量体のホモポリマーのTgが−45℃以下であり、該共重合可能な単量体が、該共重合可能な単量体と酢酸ビニルを合わせた単量体全体の25重量%以上である場合、用いるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分は、本シード重合法によって製造される酢酸ビニル系樹脂エマルションの全固形分の10重量%以上、好ましくは、20〜60重量%である。エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分が10重量%より少ないと、シード重合により生成したエマルションの粒子径が大きくなりやすく、重合安定性が低下したり、貯蔵安定性が低下するためである。

0022

また、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションは、その被膜の水溶出率が10%以下、好ましくは5%以下である。ここで、水溶出率は、以下の式(1)で定義される。
水溶出率(%)={(水浸漬処理前の皮膜絶乾重量g−水浸漬処理後の皮膜の絶乾重量g)/水浸漬処理前の皮膜の絶乾重量g}×100 (1)
具体的には、乾燥後の皮膜の厚みが均等に約1mmとなる様にエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを取り、50±3℃の熱風循環恒温器中で3日以上乾燥させて皮膜を作製する。乾燥させた皮膜から2cm×2cmの正方形状に正確に各サンプルにつき5個切り出して試験片とする。各試験片を105±3℃の熱風循環式乾燥器内で3時間以上熱処理した直後に皮膜の重量(g)を少数点以下4桁まで測定して水浸漬処理前の絶乾重量とする。次いで、乾燥した試験片を蒸留水中に完全浸漬し、これを23±3℃の恒温室中で2週間放置して水浸漬処理を行う。水浸漬処理後の皮膜について上記と同様にして絶乾重量を測定して水浸漬処理後の皮膜の絶乾重量とする。水溶出率が10%より大きいと、シード重合により生成するエマルションの粒子径分布が広くなり、塗工性の制御が困難になったり、初期接着性能やロール洗浄性が低下する。なお、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして用いている一般的なエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションにおいて、水浸漬処理時には、水に溶解し易い低けん化度でかつ低重合度のポリビニルアルコールが蒸留水中に溶解して除去されるので、水溶出率が大きいことは、低けん化度でかつ低重合度の遊離のポリビニルアルコールを多く含むことを意味する。

0023

また、シードエマルションとして用いるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルション自体も、スパン演算値が1.0以下であることが好ましい。また、本発明により生成する酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径は、メジアン径で0.5〜4.0μmの範囲にあるのが好ましく、更に好ましくは、0.8〜3.0μmの範囲にあるのが好ましい。粒子径がメジアン径で0.5μmより小さいと初期接着性と洗浄性および塗工性が低下しやすくなり、粒子径がメジアン径で4.0μmより大きいと粒子沈降などによりエマルションの貯蔵安定性が低下しやすくなるためである。

0024

シードエマルションに添加する単量体は、酢酸ビニルであり、さらに必要に応じて酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体を用いることができる。他の単量体としては、(メタアクリル酸マレイン酸フマル酸クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマーおよびその無水物、マレイン酸モノメチルイタコン酸モノメチル等の不飽和二塩基酸モノアルキルエステルダイアセトンアクリルアミドアクリルアミドジメチルアクリルアミドN−メチロールアクリルアミドN−ビニル−2−ピロリドン等のアミド基含有単量体アリルアルコールジメチルアリルアルコールイソプロペニルアリルアセテート等のアセチル基含有単量体、塩化ビニル塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル、エチレン等のα—オレフィンアリスルホン酸ナトリウムメタリルスルホン酸ナトリウムスチレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有単量体エチレングリコールジメタクリレートヘキサンジオール(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の架橋性モノマー、(メタ)アクリル酸エステルビニルエステルビニルエーテル不飽和結合を有するアルコキシシラン等を1種または2種以上用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、従来公知の(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸メトキメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸プロポキシメチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。

0025

また、ビニルエステルとしては、酢酸ビニル以外の公知のビニルエステルを用いることができる。具体例としては、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル酪酸ビニルカプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニルラウリン酸ビニルステアリン酸ビニルオクチル酸ビニル等の脂肪族カルボン酸ビニルエステルや、安息香酸ビニル等の芳香族カルボン酸エステルを挙げることができる。

0026

また、ビニルエーテルとしては、従来公知のビニルエーテルを用いることができる。具体例としては、メチルビニルエーテルエチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルを挙げることができる。

0027

不飽和結合を有するアルコキシシランとしては、ビニルアセトキシシランビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン等のビニルアルコキシシラン、γ—(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ—(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ—(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシシランを挙げることができる。

0028

酢酸ビニル以外の他の単量体は、そのホモポリマーのTg(ガラス転移温度)が−45℃以下、好ましくは−50℃以下である。ガラス転移温度が−45℃より高くなると、低温下での成膜性が低下するため、可塑剤等の添加が必要となり安全性が低下するからである。また、ホモポリマーのTg(ガラス転移温度)が−45℃以下である単量体を用いる事によって紙や木質材料以外の材料への密着性が向上するが、ホモポリマーのガラス転移温度が−45℃より高くなると、プラスチックフィルムなどの紙や木質材料以外の材料への密着性も低下するためである。

0029

酢酸ビニル以外の他の単量体としては、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル、ビニルアルコキシシランおよび(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシシランの少なくとも1種、より好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルおよびビニルアルコキシシランの少なくとも1種、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルの組み合わせ、または(メタ)アクリル酸アルキルエステルとビニルアルコキシシランの組み合わせである。ビニルアルコキシシランや(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシシランを共重合させることにより、酢酸ビニル系樹脂エマルションの塗膜の耐水性や耐熱性をさらに向上させることができる。なお、ビニルアルコキシシランは、他の単量体と共重合し、アルコキシシラン基がシード重合ポリマー鎖ペンダントする構造となり、アルコキシシラン基同士が更に反応して最終的にはポリマー鎖間架橋構造を形成する。シード重合中にアルコキシ基加水分解が起きると、ポリマー鎖間に架橋が形成され成膜性が低下する。そのため、ビニルアルコキシシランには、加水分解しにくいアルコキシ基を有するものが好ましい。そのようなビニルアルコキシシランには、アルコキシ基として、例えばメトキシエトキシ基やプロポキシ基を有するものが好ましい。そのようなビニルアルコキシシランとして、例えば、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランを挙げることができる。

0030

また、酢酸ビニル以外の他の単量体は、酢酸ビニルと該他の単量体を合わせた単量体全体の25重量%以上80重量%以下、好ましくは30重量%以上60重量%以下である。25重量%より少ないと、低温での成膜性が低下するためである。また、紙や木質材料以外のプラスチックフィルムへの密着性も低下するためである。

0031

また、酢酸ビニルと該他の単量体を合わせた単量体全体の固形分が、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分の5倍以下、好ましくは2.5倍以下である。5倍より多いと、シード重合により生成するエマルションの常態接着強度や耐熱接着強度が低下するからである。

0032

本発明の酢酸ビニル系樹脂エマルションの保護コロイドには、ポリビニルアルコール系樹脂を用いる。ポリビニルアルコール系樹脂には、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られるポリビニルアルコールと、該ポリビニルアルコールをアセトアセチル化して得られるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールエチレン基変性ポリビニルアルコール、およびカルボキシル基変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールが含まれる。本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂は、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂であれば特に限定されないが、好ましくは、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500より大きいポリビニルアルコール系樹脂および/またはけん化度が90mol%以上のポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。

0033

ポリビニルアルコール系樹脂の量は、酢酸ビニル系樹脂エマルション全体(全固形分)の0.1〜19.9重量%、好ましくは0.3〜10.0重量%である。0.1重量%より少ないと、エマルションの安定性が低下し、19.9重量%より多いとエマルションの粘度が増大し塗工性が低下し、更には耐水接着強度も低下しやすくなるためである。

0034

本発明の酢酸ビニル系樹脂エマルションは、上記の条件以外は特に制限されず、公知のシード重合法を用いて製造することができる。例えば、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを予め反応前の重合槽に存在させ、1種以上のポリビニルアルコール系樹脂存在下、これに酢酸ビニルおよび必要に応じて共重合可能な単量体を重合開始剤とともに添加して乳化重合を行う方法を用いることができる。重合開始剤には、アゾ系重合開始剤過酸化水素過硫酸アンモニウム等の重合開始剤を用いることができる。また、これらの重合開始剤を還元剤と併用し、レドックス系重合開始剤として用いてもよい。例えば、過酸化水素を酒石酸L−アスコルビン酸等と用い、過硫酸アンモニウムは亜硫酸水素ナトリウム炭酸水素ナトリウム等と用いることができる。

0035

得られる酢酸ビニル系樹脂エマルションの固形分濃度は、特に制限されないが、30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。30重量%より少ないとシード重合により生成するエマルションの粘度が低くなり、所望とする粘度が得られにくくなったり、安定性が低下して二相に分離しやすくなり、70重量%より多いとエマルションが増粘しやすくなったり、安定性の高いエマルションが得られにくくなるからである。

0036

得られる酢酸ビニル系樹脂エマルションの最低造膜温度MFT)は、30℃以下、好ましくは20℃以下である。更に好ましくは2℃以下である。2℃以下であれば可塑剤などの溶剤類を添加する事なく低温下での成膜性が確保できる。逆に30℃より高いと十分な強度を有する塗膜が得られにくくなったり、室温付近での使用環境下において可塑剤などの溶剤類の添加が必要となり安全性の高いエマルションが得られにくくなるからである。

0037

得られる酢酸ビニル系樹脂エマルションの粘度は、23℃で、100〜200,000mPa・s、好ましくは1,000〜100,000mPa・sである。100mPa・sより小さいと塗膜の平滑性の確保や厚さの制御が困難となり、200,000mPa・sより大きいと製造や移送が困難となり、また塗膜の平滑性の確保や厚さの制御も困難になるからである。

0038

また、得られる酢酸ビニル系樹脂エマルションは、以下の式で表される粘性指標が、3以上、好ましくは4〜8である。
粘性指標=せん断速度7000(1/s)のせん断応力(Pa)/せん断速度500(1/s)のせん断応力(Pa)
この粘性指標は、チキソトロピック指数に相当するものであり、構造粘性の程度を表す指標である。本発明では3より小さいと、高せん断速度下における粘度が低くなり作業性は向上するものの、塗膜の平滑性や膜厚の制御が困難となり好ましくない。特に、高速での塗工に際しては膜厚の確保が困難となりやすい。

0039

また、本発明の酢酸ビニル系樹脂エマルションには、必要に応じて従来公知の添加剤を添加してもよい。例えば、可塑剤、pH調整剤増粘剤防腐剤消泡剤濡れ剤充填剤沈殿防止剤等を挙げることができる。なお、本発明の酢酸ビニル系樹脂エマルションは、前述のように、可塑剤を添加しなくても30℃以下のMFTを有しているが、必要に応じて可塑剤を添加してもよい。

0040

また、添加剤として、シランカップリング剤を添加してもよい。単量体にグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルを用いた場合、シード重合後のポリマーに対して、グリシジル基との反応性を有する単官能官能基を有するシランカップリング剤を添加することにより、グリシジル基とシランカップリング剤が反応し、アルコキシシラン基がシード重合ポリマー鎖にペンダントする構造となり、アルコキシシラン基同士が更に反応して最終的にはポリマー鎖間の架橋構造を形成する。これにより、塗膜の耐水性を向上させることができる。シランカップリング剤には、グリシジル基と反応可能なものを用いる。例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を有するアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するアルコキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のイミノ基を有するアルコキシシランを挙げることができる。必要に応じて、上記のようなグリシジル基との反応性を有しないシランカップリング剤も発明の効果を妨げない範囲で自由に用いる事ができる。

0041

以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の「部」とは、特に断らない限り「重量部」である。用いた材料を以下の表1に示す。

0042

0043

実施例1.
攪拌器を備えた反応容器に水558部を入れ、これにJポバールJP−33の42部を分散させながら添加した後、反応容器を90℃まで加熱した。このまま90分攪拌してポリビニルアルコール水溶液を得た。これを50℃まで冷却した後、スミカフレックス450HQを170部添加した。更にこれに酢酸ナトリウム0.5部とL−酒石酸0.5部を添加して溶解させた後に酢酸ビニルモノマー50部を添加して15分間以上攪拌した。これを80℃まで加熱しながら、内部の温度が55〜60℃になったところで触媒(35%過酸化水素0.05部と水10部を混合したもの)を添加して反応を開始した。10〜20分間反応させた後、内部の温度が77〜83℃となるように温度調節しながら、更に酢酸ビニルモノマー570部と触媒(35%過酸化水素0.12部を水100部と混合したもの)を約3時間30分かけて滴下して反応させた。滴下終了後に85℃まで加熱して2時間熟成させた後に室温になるまで冷却し、濃度49.7%、23℃での粘度が18,720mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0044

評価方法
以下に評価方法について説明するが、以降の実施例および比較例についても同様に行った。
水溶出率の測定
水溶出率は前述の方法を用いて測定した。すなわち、乾燥後の皮膜の厚みが均等に約1mmとなる様にエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを取り、50±3℃の熱風循環式恒温器中で3日以上乾燥させて皮膜を作製した。乾燥させた皮膜から2cm×2cmの正方形状に正確に各サンプルにつき5個切り出して試験片とした。次いで各試験片を105±3℃の熱風循環式乾燥器内で3時間以上熱処理した直後に皮膜の重量(g)を少数点以下4桁まで測定して水浸漬処理前の絶乾重量とした。次いで、乾燥した試験片を蒸留水中に完全浸漬し、これを23±3℃の恒温室中で2週間放置して水浸漬処理を行った。水浸漬処理後の皮膜について上記と同様にして絶乾重量を測定して水浸漬処理後の皮膜の絶乾重量とした。そして、前述の式(1)を用いて水溶出率を算出した。

0045

2.平均粒子径および粒子径分布の測定
サンプルの平均粒子径は、レーザー回折/散乱粒子径分布測定装置LA−950V2(株式会社堀場製作所製)を用いて測定したメジアン径をもって平均粒子径とした。また、この際に粒子径分布を示す指標として以下の式で示されるスパン演算を行い、この値が1.0未満の場合を粒子径分布の狭いエマルションとし、1.0以上の場合を粒子径分布の広いエマルションとして判定した。尚、測定にはポリ酢酸ビニル樹脂の屈折率を用いた。
スパン演算値=|累積頻度%径A−累積頻度%径B|÷メジアン径(μm)
ここで、累積頻度%径Aは測定中の累積頻度が10%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルション(サンプルともいう)の粒子径(μm)、累積頻度%径Bは測定中の累積頻度が90%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)、メジアン径は累積頻度が50%となった時の酢酸ビニル系樹脂エマルションの粒子径(μm)を示し、式内記号||は絶対値を示す。

0046

3.粘性指標の測定
サンプルの粘性指標として、HAKE回転粘度計RV20型(英弘精機株式会社製)を用い、23℃の試料液温で2分30秒でせん断速度が0から10000(1/s)まで上昇する条件にて粘度グラフを測定した。以下の式で表される、その際のせん断速度500(1/s)のせん断応力(Pa)とせん断速度7000(1/s)のせん断応力(Pa)の比をもってそのサンプルの粘性指標とした。
粘性指標=せん断速度7000(1/s)のせん断応力(Pa)/せん断速度500(1/s)のせん断応力(Pa)

0047

4.MFT測定
MFT測定装置テスター産業株式会社製)を用いて、サンプルのMFT(最低造膜温度)を測定した。尚、測定は各サンプルが成膜した透明皮膜の下限の温度をMFTとした。

0048

5.塗工性
サンプルをエマルション状態での塗布厚みが25μmとなるアプリケーターを用いて、幅5cmで長さが30cmの面積で市販の塩化ビニルフィルム上に約1秒の速度で塗工した。各サンプルについて5回の塗工を行い、それぞれを室温下で乾燥させて試験体とした。また、乾燥後の塗工サンプルの膜厚(μm)について、マイクロメーターを用いて塩化ビニルシートと塗工サンプル皮膜を合わせた厚さから塩化ビニルシートの厚さを差し引くことによって各試験体につき6点測定し、5枚の試験体全てで計30点のこれらの測定値平均値を算出することにより求めた。以下の式で示される理論塗布厚(μm)と実際にマイクロメーターを用いて測定した各サンプルの塗工皮膜の膜厚(μm)との差が理論塗布厚(μm)に対して20%以内であったサンプルを膜厚の制御が可能な塗工性良好なサンプルとして○とした。他に20〜40%となったサンプルを△、また40%より大きな差となったサンプルを×として塗工性が不良なサンプルとした。

理論塗布厚(μm)={アプリケーターの間隙25(μm)×各サンプルの比重×各サンプルのそれぞれの固形分(%)}
ただし、各サンプルの比重は全て1.07として計算した。
また、各サンプルの固形分は105℃の乾燥器を用いて1時間乾燥させることにより測定した値をそのまま用いた。

0049

6.ロール洗浄性の評価
アプリケーターを用いて125μmの厚みで幅5cm、長さ15cmとなるようにガラス板上に各サンプルを塗工した。直後に高さ5cmの所から1分間に1800〜2200mlの垂直に落下する流水水温20〜25℃)に対してガラス板が水平面から55〜65°の角度で接触する様に設置した。塗工したサンプルが水に接触した直後からガラス板上に塗工したサンプルが全て洗い流されるまでの時間(秒)をストップウォッチを用いて計測した。これらの時間(秒)が、各サンプルの23℃下、20rpmの回転数で測定した各粘度(mPa・s)に応じて設定した以下の時間未満の場合を○、この時間以上の場合を×として評価した。

0050

7.初期接着性の評価
サンプルについて、初期接着試験機SM−01・05(JTトーシ株式会社製)を用いて以下の条件で初期接着性能を測定した。プレス時間が5秒以内に接着強度が20N/cm2以上に達し、更に紙破が生じた場合を○、それ以外の場合を×として評価した。但し、MFTが10℃以上のサンプルにはフェニルグリコール系可塑剤フェニルグリコールHをサンプルの固形分100重量部あたり6重量部を、また、MFTが5〜10℃のサンプルにはフェニルグリコールHをサンプルの固形分100重量部あたり3重量部添加して測定を行い、MFTが0〜5℃のサンプルはそのままで測定を行った。
(1)測定条件測定温度:23〜26℃雰囲気
被着体クラフト紙/クラフト紙
塗布量:40(g/m2)
オープンタイム:0.5(秒)
プレス圧:0.05(MPa)
プレス時間:1〜6(秒)
(2)評価 プレス時間1〜6秒の6水準でそれぞれにせん断接着強度測定目視による紙破の有無の確認を実施した。

0051

8.常態接着性の評価
サンプルについて、JIS規格適合するカバブロック(長さ30mm×幅25mm×厚さ10mm)を用いて、接着面積が6.25cm2となるよう、以下の接着条件で接着した試験片を各サンプルについて5個ずつ作製した。この試験片を養生直後にそのまま引張り試験機AG−5000B型(株式会社島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード3mm/分の速度で圧縮試験を行った。その際の最大強度(N)を接着面積で除した値をそのサンプルの常態接着強度(N/mm2)とした。但し、MFTが10℃以上のサンプルにはフェニルグリコールHをサンプルの固形分100重量部あたり6重量部を、また、MFTが5〜10℃のサンプルにはフェニルグリコールHをサンプルの固形分100重量部あたり3重量部添加して測定を行い、MFTが0〜5℃のサンプルはそのままで測定を行った。
接着条件
塗布量:各面75g/m2の両面塗布開放堆積時間閉鎖堆積時間:30秒以下
圧締:20〜25℃下 1.0MPa 16時間
養生:20〜25℃、相対湿度50〜60%下 1週間

0052

9.耐水接着性の評価
常態接着性の評価と同様にしてカバブロックを接着した試験片を各サンプルについて5個ずつ作製した。この試験片を60±3℃のウォーターバス中に3時間浸せきした後、直ぐに20〜25℃の水中に15分間浸して冷却した。その後引張り試験機(AG−5000型:株式会社島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード3mm/分の速度で圧縮試験を行った。その際の最大強度(N)を接着面積で除した値をそのサンプルの耐水接着強度(N/mm2)とした。但し、MFTが10℃以上のサンプルにはフェニルグリコールHをサンプルの固形分100重量部あたり6重量部を、また、MFTが5〜10℃のサンプルにはフェニルグリコールHをサンプルの固形分100重量部あたり3重量部添加して測定を行い、MFTが0〜5℃のサンプルはそのままで測定を行った。

0053

10.耐熱接着性の評価
常態および耐水接着性の評価と同様にしてカバブロックを接着した試験片を各サンプルについて5個ずつ作製した。この試験片を80℃の恒温ボックスAGS−100A付属品(株式会社島津製作所製)に1時間放置した。取出した直後に耐水接着性の評価と同様に引張り試験機AG−5000型(株式会社島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード3mm/分の速度で圧縮試験を行った。その際の最大強度(N)を接着面積で除した値をそのサンプルの耐熱接着強度(N/mm2)とした。但し、MFTが10℃以上のサンプルにはフェニルグリコールHをサンプルの固形分100重量部あたり6重量部を、また、MFTが5〜10℃のサンプルにはフェニルグリコールHをサンプルの固形分100重量部あたり3重量部添加して測定を行い、MFTが0〜5℃のサンプルはそのままで測定を行った。

0054

11.貯蔵安定性の評価
サンプル250gを密閉できるガラス瓶に取り、50±3℃の熱風循環式乾燥機中に4週間放置した。この処理前後の粘度とpHを測定し、以下の式により粘度変化率およびpH変化率を算出した。この時の粘度変化率が0.7〜1.3の範囲にあり、尚且つpH変化率が0.8〜1.2の範囲になったものを貯蔵安定性の良好なエマルションとして○とし、粘度変化率とpH変化率いずれか一方でも上記の範囲に入らなかったものを貯蔵安定性不良のエマルションとして×とした。尚、粘度測定液温23℃下、BH型回転粘度計による10rpmで行い、pHは液温23℃下でpHメータを用いて測定を行った。
粘度変化率=貯蔵安定性処理後のサンプル粘度(mPa・s)/貯蔵安定性処理前のサンプル粘度(mPa・s)
pH変化率=貯蔵安定性処理後のサンプルpH/貯蔵安定性処理前のサンプルpH

0055

実施例2.
スミカフレックス450HQに代えてペガール1900を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.9%、23℃での粘度が26,850mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0056

実施例3.
スミカフレックス450HQを340部添加した以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度50.3%、23℃での粘度が11,220mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0057

実施例4.
スミカフレックス450HQに代えてパンフレックスOM−4200NTを用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.6%、23℃での粘度が33,900mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0058

実施例5.
スミカフレックス450HQに代えてスミカフレックス400HQを用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.7%、23℃での粘度が24,350mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0059

実施例6.
スミカフレックス450HQに代えて前処理を施したポリゾールAD56を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度50.5%、23℃での粘度が29,400mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0060

実施例7.
スミカフレックス450HQに代えて前処理を施したスミカフレックス355HQを用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.8%、23℃での粘度が9,920mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0061

実施例8.
JポバールJP−33 42部に代えてJポバール JP−33を21部とPVA CSTを21部用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.8%、23℃での粘度が13,560mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0062

実施例9.
JポバールJP−33 42部に代えてJポバール JP−33を21部とJポバール JM−23を21部用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.9%、23℃での粘度が15,800mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0063

実施例10
JポバールJP−33 42部に代えてJポバール JP−33を21部とJポバール JM−26を21部用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.8%、23℃での粘度が18,800mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0064

実施例11.
JポバールJP−33 42部に代えてJポバール JP−33を5.3部とPVA CSTを36.7部用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.9%、23℃での粘度が10,820mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0065

実施例12.
JポバールJP−33 42部に代えてJポバール JP−33を5.3部とJポバール JM−26を36.7部用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.8%、23℃での粘度が7,480mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0066

0067

比較例1.
反応容器に水389.5部を入れ、これにJポバールJP−33に代えてPVA 217を10.5部添加した以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度55.1%、23℃での粘度が280mPa・s、pHが4.5のエマルションを得た。

0068

比較例2.
反応容器に水389.5部を入れ、JポバールJP−33の42部に代えて10.5部を用い、スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度55.7%、23℃での粘度が6,630mPa・s、pHが4.6のエマルションを得た。

0069

比較例3.
反応容器に水389.5部を入れ、JポバールJP−33の42部に代えて10.5部を用い、スミカフレックス450HQに代えてペガール1902を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度55.8%、23℃での粘度が17,680mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0070

比較例4.
JポバールJP−33に代えてPVA 217を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.7%、23℃での粘度が10,040mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0071

比較例5.
JポバールJP−33に代えてPVA 224を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.9%、23℃での粘度が12,540mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0072

比較例6.
JポバールJP−33に代えてPVA 224を用い、スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度50.1%、23℃での粘度が13,620mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0073

比較例7.
JポバールJP−33に代えてPVA CSTを用い、スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造し、濃度49.1%、23℃での粘度が5,440mPa・s、pHが4.7のエマルションを得たが、ダイラタンシーな粘性を示し、粘性異常であった。

0074

比較例8.
JポバールJP−33に代えてJポバール JP−23を用い、スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて製造した。室温になるまで冷却したところ、エマルションが凝集した。

0075

0076

表2、3から明らかなように、実施例1〜12のようなエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%以下であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂のみを使用して酢酸ビニルを単量体として用いてシード重合法により製造された例では、いずれの例においてもMFTが高い値を示し、耐水および耐熱接着性能がやや低い値を示したものの、スパン演算値で示される粒子径分布が非常に狭く、粘性指標が高い値を示した。また塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれの評価でも合格であった。これに対し、比較例1〜8のようなエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%を超えるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用いたり、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂を含んでシード重合法により製造された製造例においては、けん化度が90mol%以上のポリビニルアルコール系樹脂のみを添加して製造された例で重合安定性が極めて悪く、安定性の良好なエマルションが得られなかった。また、これら以外の例では粘性指標がいずれも低い値を示し、スパン演算値で示される粒子径分布は、全ての例で1.0より大きな値を示しており、粒子径分布が広いエマルションが生成した。また、MFTはいずれも高く、塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれの評価でも不合格であった。更には、常態接着性こそ高い値を示したものの、耐水および耐熱性能も低い値を示した。

0077

実施例13.
攪拌器を備えた反応容器に水538.5部を入れ、これにJポバールJP−33を31.5部分散させながら添加した後、反応容器を90℃まで加熱した。このまま90分攪拌してポリビニルアルコール水溶液を得た。これを50℃まで冷却した後、スミカフレックス450HQを340部添加した。更にこれに酢酸ナトリウム0.5部とL−酒石酸0.5部を添加して溶解させた後に酢酸ビニルモノマー50部を添加して15分間以上攪拌した。これを80℃まで加熱しながら、内部の温度が55〜60℃になったところで触媒(35%過酸化水素0.05部と水10部を混合したもの)を添加して反応を開始した。10〜20分間反応させた後、内部の温度が77〜83℃となるように温度調節しながら、更に酢酸ビニルモノマー550部と触媒(35%過酸化水素0.12部を水100部と混合したもの)を約3時間30分かけて滴下して反応させた。滴下終了後に85℃まで加熱して2時間熟成させた後に室温になるまで冷却し、濃度50.0%、23℃での粘度が5,460mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0078

実施例14.
反応容器に入れる水を258.5部とし、酢酸ビニルモノマー550部と触媒を約3時間30分かけて滴下したのに代えて酢酸ビニルモノマー200部と触媒を約2時間かけて滴下した以外は実施例13と同様の方法を用いて製造し、濃度46.6%、23℃での粘度が13,060mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0079

実施例15.
スミカフレックス450HQを340部に代えて400部添加した以外は実施例14と同様の方法を用いて製造し、濃度47.4%、23℃での粘度が7,730mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0080

実施例16.
スミカフレックス450HQを340部に代えて400部添加し、酢酸ビニルモノマー550部と触媒を約3時間30分かけて滴下したのに代えて酢酸ビニルモノマー130部と触媒を約1時間30分かけて滴下した以外は実施例14と同様の方法を用いて製造し、濃度43.4%、23℃での粘度が5,020mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0081

実施例17.
JポバールJP−33 31.5部に代えてJポバール JP−33を21部とJポバール JM−26を21部用いた以外は実施例16と同様の方法を用いて製造し、濃度44.5%、23℃での粘度が14,120mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0082

実施例18.
JポバールJP−33 31.5部に代えてJポバール JP−33を21部とPVA CSTを42部用いた以外は実施例16と同様の方法を用いて製造し、濃度46.3%、23℃での粘度が32,050mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0083

0084

比較例9.
スミカフレックス450HQ 340部に代えてペガール1901を360部用いた以外は実施例13と同様の方法を用いて製造し、濃度50.6%、23℃での粘度が12,480mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0085

比較例10.
反応容器に入れる水を368.5部とし、酢酸ビニルモノマー550部と触媒を約3時間30分かけて滴下したのに代えて酢酸ビニルモノマー200部と触媒を約2時間かけて滴下した以外は実施例13と同様の方法を用いて製造し、濃度42.9%、23℃での粘度が9,860mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0086

比較例11.
ペガール1901を360部に代えて420部添加した以外は比較例10と同様の方法を用いて製造し、濃度43.4%、23℃での粘度が10,360mPa・s、pHが4.9のエマルションを得た。

0087

比較例12.
酢酸ビニルモノマー200部と触媒を約2時間かけて滴下したのに代えて酢酸ビニルモノマー130部と触媒を約1時間30分かけて滴下した以外は比較例11と同様の方法を用いて製造し、濃度40.3%、23℃での粘度が6,420mPa・s、pHが5.0のエマルションを得た。

0088

比較例13.
JポバールJP−33に代えてPVA217を用いた以外は比較例12と同様の方法を用いて製造し、濃度40.7%、23℃での粘度が2,610mPa・s、pHが4.8のエマルション得た。

0089

比較例14.
JポバールJP−33に代えてPVA220を用いた以外は比較例12と同様の方法を用いて製造し、濃度41.0%、23℃での粘度が3,150mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0090

0091

表4、5から明らかなように、実施例13〜18のようなエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%以下であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、少なくともけん化度が90mol%未満で平均重合度が2500より大きなポリビニルアルコール系樹脂を使用して酢酸ビニルのみを単量体として用い、全固形分に対する単量体の比率を変化させてシード重合法により製造された例では、全固形分に対する単量体の量が少なくなるほどMFTが低下する傾向を示し、この全固形分に対する単量体の比率が50%未満となる例でMFTが低い値を示した。これらの例では、可塑剤などの溶剤類を用いる事なく5℃以下の低温下でも成膜性に優れる結果を示した。また、これらの例の常態および耐熱接着性能も表2で示したMFTが高かった製造例と比較しても遜色のない実用的な値であった。また、表4に示した全製造例では、表2で示した製造例と同様にスパン演算値が1.0以下となっており粒子径分布が非常に狭く、粘性指標は高い値を示した。また塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれの評価でも合格であった。更に、表3で重合安定性に欠けるエマルションを生成したけん化度が90mol%以上のポリビニルアルコール系樹脂のみを用いた系に更にけん化度が90mol%未満で平均重合度が2500より大きなポリビニルアルコール系樹脂を少量併用した系で、重合安定性が向上し安定性の高いエマルションが生成したことがわかる。これに対し、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%を超えるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂を含んでシード重合法により製造された比較例9〜14においては、MFTの傾向こそ表4の製造例と同様の傾向を示したものの、粘性指標がいずれも低い値を示し、スパン演算値で示される粒子径分布は、全ての例で1.0より大きな値を示し粒子径分布が広いエマルションが生成した。また、塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれかの評価でかならず不合格を含む結果であった。ただし、表4および5に示された製造例では、耐水および耐熱接着性能はやや低く、特に耐水接着性能はいずれも低い値を示した。

0092

実施例19.
攪拌器を備えた反応容器に水458.5部を入れ、これにJポバールJP−33 31.5部を分散させながら添加した後、反応容器を90℃まで加熱した。このまま90分攪拌してポリビニルアルコール水溶液を得た。これを50℃まで冷却した後、スミカフレックス450HQを380部添加した。更にこれに酢酸ナトリウム0.5部とL−酒石酸0.5部を添加して溶解させた後に酢酸ビニルモノマー50部を添加して15分間以上攪拌した。これを80℃まで加熱しながら、内部の温度が55〜60℃になったところで触媒(35%過酸化水素0.05部と水10部を混合したもの)を添加して反応を開始した。10〜20分間反応させた後、内部の温度が77〜83℃となるように温度調節しながら、更に酢酸ビニルモノマー325部とアクリル酸n−ブチルモノマー125部の混合モノマーと触媒(35%過酸化水素0.21部を水100部と混合したもの)を約3時間かけて滴下して反応させた。滴下終了後に85℃まで加熱して2時間熟成させた後に室温になるまで冷却し、濃度49.7%、23℃での粘度が27,600mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0093

実施例20.
反応容器に入れる水を558.5部とし、スミカフレックス450HQの380部に代えて260部添加し、酢酸ビニルモノマー325部とアクリル酸n−ブチルモノマー125部の混合モノマーと触媒を約3時間かけて滴下したのに代えて酢酸ビニルモノマー400部とアクリル酸n−ブチルモノマー150部の混合モノマーと触媒を約3時間30分かけて滴下した以外は実施例19と同様の方法を用いて製造し、濃度49.4%、23℃での粘度が36.750mPa・s、pHが4.6のエマルションを得た。

0094

実施例21.
スミカフレックス450HQの380部に代えて340部添加し、酢酸ビニルモノマー325部とアクリル酸n−ブチルモノマー125部の混合モノマーと触媒を約3時間かけて滴下したのに代えて酢酸ビニルモノマー285部とアクリル酸n−ブチルモノマー165部の混合モノマーと触媒を約2時間かけて滴下した以外は実施例19と同様の方法を用いて製造し、濃度47.7%、23℃での粘度が76,400mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0095

0096

比較例15.
反応容器に入れる水を518.5部とし、スミカフレックス450HQ 380部に代えてペガール1901を400部添加し、酢酸ビニルモノマーとアクリル酸n−ブチルモノマーの混合モノマーと触媒を約3時間かけて滴下したことに代えて約3時間30分かけて滴下した以外は、実施例19と同様の方法を用いて製造し、濃度48.6%、23℃での粘度が61,000mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0097

比較例16.
反応容器に入れる水を618.5部とし、スミカフレックス450HQ 380部に代えてペガール1901を280部添加し、酢酸ビニルモノマー325部とアクリル酸n−ブチルモノマー125部の混合モノマーと触媒を約3時間かけて滴下したのに代えて酢酸ビニルモノマー400部とアクリル酸n−ブチルモノマー150部の混合モノマーと触媒を約2時間かけて滴下した以外は実施例19と同様の方法を用いて製造し、濃度48.1%、23℃での粘度が94,600mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0098

比較例17.
反応容器に入れる水を478.5部とし、スミカフレックス450HQ 380部に代えてペガール1901を360部添加し、酢酸ビニルモノマー325部とアクリル酸n−ブチルモノマー125部の混合モノマーと触媒を約3時間かけて滴下したのに代えて酢酸ビニルモノマー285部とアクリル酸n−ブチルモノマー165部の混合モノマーと触媒を約2時間かけて滴下した以外は実施例19と同様の方法を用いて製造し、濃度49.7%、23℃での粘度が105,800mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0099

比較例18.
JポバールJP−33に代えてPVA217を用いた以外は比較例17と同様の方法を用いて製造し、濃度48.2%、23℃での粘度が48,800mPa・s、pHが4.4のエマルションを得た。

0100

比較例19.
JポバールJP−33に代えてPVA220を用いた以外は比較例17と同様の方法を用いて製造し、濃度49.6%、23℃での粘度が62,400mPa・s、pHが4.5のエマルションを得た。

0101

0102

表6、7から明らかなように、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%以下であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、少なくともけん化度が90mol%未満で平均重合度が2500より大きなポリビニルアルコール系樹脂を含み、酢酸ビニルおよび酢酸ビニルと共重合可能な単量体を含み、該共重合可能な単量体のホモポリマーのTgが−45℃以下であり、該共重合可能な単量体が、該共重合可能な単量体と酢酸ビニルを合わせた単量体全体の25重量%以上であり、該単量体全体の固形分が、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分の3倍以下となるようにしてシード重合法により製造された実施例19および21で、MFTが低い値を示した。これらの例では、可塑剤などの溶剤類を用いる事なく5℃以下の低温下でも成膜性に優れる結果を示した。単量体全体の固形分が、前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの固形分の3倍以上となるようにして製造された実施例20ではMFTが4℃まで上昇し低温下での成膜性が低下した。これらの例の常態および耐熱接着性能も表2および表4で示した製造例と比較しても遜色のない実用的な値であった。また、表6に示した全製造例では、表2および表4で示した製造例と同様にスパン演算値が1.0以下となっており粒子径分布が非常に狭く、粘性指標は高い値を示した。また塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれの評価でも合格であった。これに対し、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%を超えるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下のポリビニルアルコール系樹脂を含んでシード重合法により製造された比較例15〜19においては、MFTこそ表6の製造例以下の値を示し、いずれのサンプルでも5℃以下の低温下での成膜性に優れた結果を示したものの、粘性指標がいずれも低い値を示し、スパン演算値で示される粒子径分布は、全ての例で1.0より大きな値を示し粒子径分布が広いエマルションが生成した。また、塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれかの評価でかならず不合格を含む結果であった。また、表6に示された製造例では、耐水および耐熱接着性能が若干向上したのに対し、表7に示された製造例では耐熱および耐水接着性能に大きな向上は認められなかった。

0103

実施例22.
攪拌器を備えた反応容器に水608.5部を入れ、これにJポバールJP−33を21部とゴーセファイマー Z320を10.5部分散させながら添加した後、反応容器を90℃まで加熱した。このまま90分攪拌してポリビニルアルコール水溶液を得た。これを50℃まで冷却した後、スミカフレックス450HQを380部添加した。更にこれに酢酸ナトリウム0.5部と無水重亜硫酸ナトリウム0.3部を添加して溶解させた後に酢酸ビニルモノマー50部を添加して15分間以上攪拌した。これを80℃まで加熱しながら、内部の温度が50〜55℃になったところで触媒(過硫酸アンモニウム0.35部と水10部を混合したもの)を添加して反応を開始した。10〜20分間反応させた後、内部の温度が77〜83℃となるように温度調節しながら、更に酢酸ビニルモノマー325部とアクリル酸n−ブチルモノマー125部の混合モノマーと触媒(過硫酸アンモニウム0.35部を水100部と混合したもの)を約3時間かけて滴下して反応させた。滴下終了後に85℃まで加熱して2時間熟成させた後に室温になるまで冷却し、更に無水重亜硫酸ナトリウム0.5部を添加して1時間攪拌を継続し濃度45.0%、23℃での粘度が63,200mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0104

実施例23.
攪拌器を備えた反応容器に水608.5部を入れ、これにJポバールJP−33を21部とゴーセファイマー Z320を10.5部を分散させながら添加した後、反応容器を90℃まで加熱した。このまま90分攪拌してポリビニルアルコール水溶液を得た。これを50℃まで冷却した後、スミカフレックス450HQを380部添加した。更にこれに酢酸ナトリウム0.5部と無水重亜硫酸ナトリウム0.3部を添加して溶解させた後に酢酸ビニルモノマー50部を添加して15分間以上攪拌した。これを80℃まで加熱しながら、内部の温度が50〜55℃になったところで触媒(過硫酸アンモニウム0.35部と水10部を混合したもの)を添加して反応を開始した。10〜20分間反応させた後、内部の温度が77〜83℃となるように温度調節しながら、更に酢酸ビニルモノマー450部と触媒(過硫酸アンモニウム0.35部を水100部と混合したもの)を約3時間30分かけて滴下して反応させた。滴下終了後に85℃まで加熱して2時間熟成させた後、可塑剤としてPHG−Hを40部と無水重亜硫酸ナトリウム0.5部を添加して1時間攪拌を継続して室温になるまで冷却し、濃度46.4%、23℃での粘度が35,400mPa・s、pHが4.6のエマルションを得た。

0105

実施例24.
攪拌器を備えた反応容器に水258.5部を入れ、これにJポバールJP−33を21部とゴーセファイマー Z320を10.5部分散させながら添加した後、反応容器を90℃まで加熱した。このまま90分攪拌してポリビニルアルコール水溶液を得た。これを50℃まで冷却した後、スミカフレックス450HQを400部添加した。更にこれに酢酸ナトリウム0.5部と無水重亜硫酸ナトリウム0.3部を添加して溶解させた後に酢酸ビニルモノマー50部を添加して15分間以上攪拌した。これを80℃まで加熱しながら、内部の温度が50〜55℃になったところで触媒(過硫酸アンモニウム0.35部と水10部を混合したもの)を添加して反応を開始した。10〜20分間反応させた後、内部の温度が77〜83℃となるように温度調節しながら、更に酢酸ビニルモノマー130部と触媒(過硫酸アンモニウム0.35部を水100部と混合したもの)を約2時間かけて滴下して反応させた。滴下終了後に85℃まで加熱して2時間熟成させた後に室温になるまで冷却し、更に無水重亜硫酸ナトリウム0.5部を添加して1時間攪拌を継続して濃度43.1%、23℃での粘度が10,280mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0106

0107

比較例20.
スミカフレックス450HQ 380部に代えてペガール1901を400部添加した以外は実施例22と同様の方法を用いて製造し、濃度45.7%、23℃での粘度が59,600mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0108

比較例21.
スミカフレックス450HQ 380部に代えてペガール1901を400部添加した以外は実施例23と同様の方法を用いて製造し、濃度46.9%、23℃での粘度が37,300mPa・s、pHが4.6のエマルションを得た。

0109

比較例22.
スミカフレックス450HQ 400部に代えてペガール1901を420部添加した以外は実施例24と同様の方法を用いて製造し、濃度44.5%、23℃での粘度が11,560mPa・s、pHが4.8のエマルションを得た。

0110

0111

表8、9から明らかなように、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%以下であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下であるポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール樹脂とけん化度が90mol%以上のアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂を含んでシード重合法により製造された実施例22〜24では表4および表6で示した製造例と同様にMFTが低い値を示した。これらの例では、5℃以下の低温下でも成膜性に優れる結果を示した。これらの例の常態および耐熱接着性能も表2および表4で示した製造例と比較しても遜色のない実用的な値であった。また、表8に示した全製造例では、表2、表4および表6で示した製造例と同様にスパン演算値が1.0以下となっており粒子径分布が非常に狭く、粘性指標は高い値を示した。また塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれの評価でも合格であった。これに対し、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%を超えるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、それ以外は表8に示した例と同様にして製造された比較例20〜22においては、MFTこそ表8の製造例と同様に低い値を示し、いずれのサンプルでも5℃以下の低温下での成膜性に優れた結果を示したものの、粘性指標がいずれも低い値を示し、スパン演算値で示される粒子径分布は、全ての例で1.0より大きな値を示し粒子径分布が広いエマルションが生成した。また、塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれかの評価でかならず不合格を含む結果であった。また、表8に示された製造例では、耐水および耐熱接着性能が若干向上したのに対し、表9に示された製造例では耐水接着性能はいずれも低い値を示した。但し、実施例23と比較例21では可塑剤を含んでいるため安全性が低い事がわかる。これらの製造例以外では可塑剤を含まない点で安全性が高い。

0112

実施例25.
攪拌器を備えた反応容器に水608.5部を入れ、これにJポバールJP−33の31.5部を分散させながら添加した後、反応容器を90℃まで加熱した。このまま90分攪拌してポリビニルアルコール水溶液を得た。これを50℃まで冷却した後、スミカフレックス450HQを380部添加した。更にこれに酢酸ナトリウム0.5部と無水重亜硫酸ナトリウム0.2部を添加して溶解させた後に酢酸ビニルモノマー50部を添加して15分間以上攪拌した。これを80℃まで加熱しながら、内部の温度が50〜55℃になったところで触媒(過硫酸アンモニウム0.35部と水10部を混合したもの)を添加して反応を開始した。10〜20分間反応させた後、内部の温度が77〜83℃となるように温度調節しながら、更に酢酸ビニルモノマー295部とアクリル酸n−ブチルモノマー125部とメタクリル酸グリシジルモノマー30部の混合モノマーと触媒(過硫酸アンモニウム0.35部を水100部と混合したもの)を約3時間かけて滴下して反応させた。滴下終了後に85℃まで加熱して2時間熟成させた後に室温になるまで冷却し、更に無水重亜硫酸ナトリウム0.2部を添加して1時間攪拌を継続し濃度45.4%、23℃での粘度が19,800mPa・s、pHが4.5のエマルションを得た。更にこのエマルション100部に対して1.5部のA−189を室温(20〜25℃)下で添加して濃度45.7%、23℃での粘度が15,400mPa・s、pHが4.5のエマルションを得た。

0113

実施例26.
A−189に代えてA−1891を1.9部用いた以外は実施例25と同様の方法を用いて製造し、濃度45.8%、23℃での粘度が16,850mPa・s、pHが4.5のエマルションを得た。

0114

実施例27.
A−189に代えてY−9669を2.0部用いた以外は実施例25と同様の方法を用いて製造し、濃度46.1%、23℃での粘度が19,150mPa・s、pHが5.3のエマルションを得た。

0115

実施例28.
A−189に代えてY−9669を1.0部用いた以外は実施例25と同様の方法を用いて製造し、濃度45.9%、23℃での粘度が18,650mPa・s、pHが5.0のエマルションを得た。

0116

実施例29.
A−189に代えてY−9669を3.0部用いた以外は実施例25と同様の方法を用いて製造し、濃度46.6%、23℃での粘度が19,600mPa・s、pHが5.3のエマルションを得た。

0117

実施例30.
攪拌器を備えた反応容器に水608.5部を入れ、これにJポバールJP−33を分散させながら添加した後、反応容器を90℃まで加熱した。このまま90分攪拌してポリビニルアルコール水溶液を得た。これを50℃まで冷却した後、スミカフレックス450HQを380部添加した。更にこれに酢酸ナトリウム0.5部と無水重亜硫酸ナトリウム0.2部を添加して溶解させた後に酢酸ビニルモノマー50部を添加して15分間以上攪拌した。これを80℃まで加熱しながら、内部の温度が50〜55℃になったところで触媒(過硫酸アンモニウム0.35部と水10部を混合したもの)を添加して反応を開始した。10〜20分間反応させた後、内部の温度が77〜83℃となるように温度調節しながら、更に酢酸ビニルモノマー320部とアクリル酸n−ブチルモノマー130部とA−172が10部の混合モノマーと触媒(過硫酸アンモニウム0.35部を水100部と混合したもの)を約3時間かけて滴下して反応させた。滴下終了後に85℃まで加熱して2時間熟成させた後に室温になるまで冷却し、更に無水重亜硫酸ナトリウム0.2部を添加して1時間攪拌を継続し濃度44.5%、23℃での粘度が15,140mPa・s、pHが4.5のエマルションを得た。

0118

0119

比較例23.
スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を400部用いた以外は実施例25と同様の方法を用いて製造し、濃度47.1%、23℃での粘度が28,950mPa・s、pHが4.7のエマルションを得た。

0120

比較例24.
スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を400部用いた以外は実施例26と同様の方法を用いて製造し、濃度47.4%、23℃での粘度が31,450mPa・s、pHが4.5のエマルションを得た。

0121

比較例25.
スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を400部用いた以外は実施例27と同様の方法を用いて製造し、濃度47.6%、23℃での粘度が32,100mPa・s、pHが5.0のエマルションを得た。

0122

比較例26.
スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を400部用いた以外は実施例28と同様の方法を用いて製造し、濃度47.3%、23℃での粘度が28,400mPa・s、pHが5.0のエマルションを得た。

0123

比較例27.
スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を400部用いた以外は実施例29と同様の方法を用いて製造し、濃度47.8%、23℃での粘度が29,500mPa・s、pHが5.2のエマルションを得た。

0124

比較例28.
スミカフレックス450HQに代えてペガール1901を400部用いた以外は実施例30と同様の方法を用いて製造し、濃度46.0%、23℃での粘度が26,450mPa・s、pHが4.6のエマルションを得た。

0125

0126

表10、11から明らかなように、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%以下であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、けん化度が90mol%未満で平均重合度が2500以下であるポリビニルアルコール系樹脂以外のポリビニルアルコール樹脂を含み、酢酸ビニルおよび酢酸ビニルと共重合可能な単量体としてグリシジル基含有単量体アルコキシシリル基含有単量体を含む単量体を用いてシード重合法により製造され、グリシジル基含有単量体を含んで製造された酢酸ビニル系樹脂エマルションには更にグリシジル基と反応し得る官能基を有するシラン化合物を添加して製造された実施例25〜30では表4、表6および表8で示した製造例と同様にMFTが低い値を示した。これらの例では、可塑剤などの溶剤類を用いる事なく5℃以下の低温下でも成膜性に優れる結果を示した。これらの例の常態および耐熱接着性能は、表2、表4、表6および表8で示した製造例と比較して、耐熱接着性能が極めて高い値であった。また、表10に示した全製造例では、表2、表4、表6および表8で示した製造例と同様にスパン演算値が1.0以下となっており粒子径分布が非常に狭く、粘性指標は高い値を示した。また塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれの評価でも合格であった。これに対し、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションの被膜の水溶出率が10%を超えるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルションを用い、それ以外は表10に示した例と同様にして製造された比較例25〜30においては、MFTこそ表10の製造例と同様に低い値を示し、いずれのサンプルでも可塑剤などの溶剤類を用いる事なく5℃以下の低温下での成膜性に優れた結果を示したものの、粘性指標がいずれも低い値を示し、スパン演算値で示される粒子径分布は、全ての例で1.0より大きな値を示し粒子径分布が広いエマルションが生成した。また、塗工性やロール洗浄性、初期接着性のいずれかの評価でかならず不合格を含む結果であった。また、表10に示された製造例では、耐熱接着性能が極めて向上し、耐水接着性能も向上したのに対し、表11に示された製造例では耐熱接着性能は向上したが、耐水接着性能はいずれも低い値を示した。また、表10に示された通り、グリシジル基含有単量体を含んでシード重合法により製造された酢酸ビニル系樹脂エマルションに添加されるグリシジル基と反応し得る官能基を有するシラン化合物の添加量を変化させても各種性能が大きく変化せず、いずれの評価項目においても優れた結果が得られている事がわかる。

実施例

0127

以上の通り、実施例では塗工性、初期接着性およびロール洗浄性に優れていた。これに対し、比較例では、それらの特性が不十分であった。

0128

本発明の酢酸ビニル系樹脂エマルションは塗工性やロール洗浄性に優れるとともに、耐水性・耐熱性や初期接着性にも優れているため、スクリーン印刷用乳剤ベースエマルション用途やガラス繊維集束剤セラミック類のバインダー用途、更には紙用あるいは木工用接着剤など多岐にわたる分野に用いることができる。

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