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図面 (20)

課題

免疫学的活性組換え結合タンパク質(特に、TCR複合体またはその構成要素に特異的な一本鎖融合タンパク質)、ならびに、自己免疫疾患および他の障害または状況(例えば、移植片拒絶)を処置するための組成物および方法を提供する。

解決手段

本発明は、TCR複合体またはその構成要素に結合する融合タンパク質、そのような融合タンパク質を含む組成物および単位投薬形態、そのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよび発現ベクター固形臓器移植片拒絶を減少させるためかまたは自己免疫疾患を処置するための方法、ならびにT細胞活性化を検出するための方法を提供する。

概要

背景

(関連技術の説明)
抗CD3モノクローナル抗体を用いてヒトT細胞上のTCR複合体を標的とすることが、長い間、臓器同種移植片拒絶処置に用いられてきた。ヒトCD3に特異的なマウスモノクローナル抗体、例えば、OKT3(非特許文献1)は、そのような処置法の第1世代だった。OKT3は、強い免疫抑制効果を有するが、その免疫原性および分裂促進の潜在能力に関連する重篤副作用が原因でその臨床上の使用が阻まれていた(非特許文献2)。OKT3は、それ自体の迅速なクリアランスおよび中和を促進する抗グロブリン応答誘導した(非特許文献3)。さらに、OKT3は、インビトロにおいてT細胞増殖およびサイトカイン産生を誘導し、インビボにおいて大量のサイトカインを放出させた(非特許文献4)。そして、このサイトカイン放出(「サイトカインストーム」とも呼ばれる)は、発熱悪寒頭痛悪心嘔吐下痢呼吸困難敗血性髄膜炎および低血圧を特徴とする「インフルエンザ様」症候群をもたらした(Chatenoud,2003)。そのような重篤な副作用を理由に、OKT3を移植においてより広範に使用すること、ならびにOKT3の用途を自己免疫などの他の臨床分野に拡張することが限定された(同文献)。

その第1世代の抗CD3モノクローナル抗体の副作用を減少させるために、マウス抗CD3モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)をヒトIgG配列に移植するだけでなく、FcRに結合しない変異をFcに導入することによって、第2世代の遺伝的に操作された抗CD3モノクローナル抗体が開発された(非特許文献5;非特許文献6)。マウスモノクローナル抗体をヒト化することにより、免疫原性が低下し、mAb半減期が改善される(同文献)。さらに、FcRに結合しないmAbは、インビボにおいてサイトカイン放出および急性毒性を誘導する潜在能力が低くなった(非特許文献7)。しかしながら、サイトカイン放出は、低レベルであったとしても、なおも用量を制限させるものであり、非常に低薬物用量マイクログラム患者)でも毒性である(非特許文献8)。

抗CD3/TCRに向けた治療を改善するためには、いくつかの困難が存在している。例えば、抗CD3モノクローナル抗体によって媒介される免疫抑制の機序は、複雑であり、完全に理解されていない。そのような抗体は、4つの機序:細胞コーティング、細胞枯渇、TCRの下方調節(down−modulation)および細胞シグナル伝達(後半の2つが主要な機序として機能する)を通じて機能すると考えられている(非特許文献9)。さらに、CD3/TCRに向けた治療が有効であるためには、サイトカインストームの誘導およびインビボにおけるT細胞の活性化が必要であると考えられている(非特許文献10)。最後に、インビトロにおいて「活性化しない」と報告されている第2世代の抗CD3モノクローナル抗体は、インビボでは、なおもサイトカインストームを誘導した。

現在、いくつかの抗CD3に向けられた抗体が、自己免疫疾患炎症性疾患および移植患者において使用するために診療所試験されている。これらの抗体には、hOKT3γ1(Ala−Ala)(Macrogenics)、ビジリズマブ(visilizumab)(Nuvion(登録商標),PDL)、TRX−4(Tolerx)およびNI−0401(NovImmune)が含まれる。しかしながら、これらの抗体の各々で処置された患者は、サイトカイン放出に関連する有害事象(中程度から重篤)、および時折、この患者集団に代表的に観察されるものよりも高いウイルス再活性化を起こした。

概要

免疫学的に活性な組換え結合タンパク質(特に、TCR複合体またはその構成要素に特異的な一本鎖融合タンパク質)、ならびに、自己免疫疾患および他の障害または状況(例えば、移植片拒絶)を処置するための組成物および方法を提供する。本発明は、TCR複合体またはその構成要素に結合する融合タンパク質、そのような融合タンパク質を含む組成物および単位投薬形態、そのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよび発現ベクター固形臓器移植片拒絶を減少させるためかまたは自己免疫疾患を処置するための方法、ならびにT細胞活性化を検出するための方法を提供する。なし

目的

本発明は、そのようなニーズを満たすものであり、さらに他の関連する利点を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

TCR複合体に特異的に結合する結合ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、該結合ドメインは、配列番号245に示されるアミノ酸配列と、配列番号241に示されるアミノ酸配列とを含む、組換え結合タンパク質。

請求項2

前記配列番号245に示されるアミノ酸配列と、前記配列番号241に示されるアミノ酸配列とは、GlySer、Gly2Ser(配列番号339)、Gly3Ser(配列番号340)、Gly4Ser(配列番号341)、Gly5Ser(配列番号342)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)1(配列番号343)、(Gly3Ser)2(Gly4Ser)1(配列番号344)、(Gly3Ser)3(Gly4Ser)1(配列番号345)、(Gly3Ser)4(Gly4Ser)1(配列番号346)、(Gly3Ser)5(Gly4Ser)1(配列番号347)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)1(配列番号348)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)2(配列番号349)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)3(配列番号350)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)4(配列番号351)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)5(配列番号352)、(Gly3Ser)3(Gly4Ser)3(配列番号353)、(Gly3Ser)4(Gly4Ser)4(配列番号354)、(Gly3Ser)5(Gly4Ser)5(配列番号355)、(Gly4Ser)2(配列番号356)、(Gly4Ser)3(配列番号145)、(Gly4Ser)4(配列番号357)、(Gly4Ser)5(配列番号358)またはGGGGSGGGGSGGGGSAQ(配列番号98)を含むリンカーによって連結される、請求項1に記載のタンパク質

請求項3

前記結合ドメインは、配列番号263に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のタンパク質。

請求項4

前記タンパク質は、免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドと免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドとを含む、請求項1に記載のタンパク質。

請求項5

前記免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドが、(i)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜238位における1つ以上の置換もしくは欠失;(ii)234〜238位における1つ以上の置換もしくは欠失、および253、310、318、320、322もしくは331位における少なくとも1つの置換;または(iii)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234〜238位における1つ以上の置換もしくは欠失、および253、310、318、320、322もしくは331位における少なくとも1つの置換を含む、請求項4に記載のタンパク質。

請求項6

前記免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドが、297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234、235および237位におけるアミノ酸置換、ならびに236位におけるアミノ酸欠失を含む、請求項4に記載のタンパク質。

請求項7

297位における前記アミノ酸置換が、AsnからAlaへの置換である、請求項5に記載のタンパク質。

請求項8

前記結合ドメインが免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドによってCH2基またはCH3基に連結される、請求項4に記載のタンパク質。

請求項9

前記免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドが、野生型ヒトIgG1ヒンジ、少なくとも1つのシステインが変異したヒトIgG1ヒンジ、野生型マウスGHG2cヒンジ、配列番号212〜218、300および379〜434に示されるアミノ酸配列のいずれか一つ、ならびに、配列番号10のアミノ酸3〜17からなる群より選択される、請求項8に記載のタンパク質。

請求項10

配列番号75、102〜104および375〜378のいずれか一つに示される免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドを含む、請求項4に記載のタンパク質。

請求項11

(i)前記免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドが、ヒトIgG2CH2領域ポリペプチドであり、前記免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドが、ヒトIgG2CH3領域ポリペプチドであるか;または(ii)前記免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドが、ヒトIgG4CH2領域ポリペプチドであり、前記免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドが、ヒトIgG4CH3領域ポリペプチドである、請求項4に記載のタンパク質。

請求項12

前記タンパク質が、免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドを含まない、請求項1に記載のタンパク質。

請求項13

配列番号290〜293のいずれか一つに示される配列を含む、請求項1に記載のタンパク質。

請求項14

前記タンパク質が、サイトカイン放出誘導しないか、または最小限の検出可能なサイトカイン放出を誘導する、請求項1に記載のタンパク質。

請求項15

前記タンパク質が、T細胞活性化させないか、または最小限に活性化させる、請求項1に記載のタンパク質。

請求項16

請求項1に記載のタンパク質、および薬学的に許容可能なキャリア希釈剤または賦形剤を含む、組成物

請求項17

請求項1に記載のタンパク質をコードする、ポリヌクレオチド

請求項18

発現制御配列作動可能に連結された請求項17に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター

請求項19

固形臓器移植レシピエントにおける固形臓器移植片拒絶を減少させるための組成物であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む、組成物。

請求項20

自己免疫疾患処置するための組成物であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む、組成物。

請求項21

前記自己免疫疾患が、炎症性腸疾患クローン病潰瘍性大腸炎真性糖尿病喘息および関節炎からなる群より選択される、請求項20に記載の組成物。

技術分野

0001

(関連出願への相互参照
本出願は、2008年10月10日に出願された米国仮特許出願番号61/104,608、および2009年1月29日に出願された米国仮特許出願番号61/148,341の米国特許法119条(e)項の下での利益を主張し、これらの仮出願は、その全容が参照によって本明細書に援用される。

0002

配列表に関する声明
本願に関する配列表は、紙の複写物の代わりにテキスト形式で提供され、本明細書中に参考として援用される。その配列表を含むテキストファイル名称は、910180_416PC_SEQUENCE_LISTING.txtである。このテキストファイルは、622KBであり、2009年10月9日に作成され、本明細書の出願と同時にEFS−Webを介して電子的に提出されている。

0003

背景
(技術分野)
本開示は、免疫学的活性組換え結合タンパク質、および特に、TCR複合体またはその構成要素(例えば、CD3)に特異的な一本鎖融合タンパク質に関する。本開示は、自己免疫疾患および他の障害または状況(例えば、移植片拒絶)を処置するための組成物および方法にも関する。

背景技術

0004

(関連技術の説明)
抗CD3モノクローナル抗体を用いてヒトT細胞上のTCR複合体を標的とすることが、長い間、臓器同種移植片拒絶の処置に用いられてきた。ヒトCD3に特異的なマウスモノクローナル抗体、例えば、OKT3(非特許文献1)は、そのような処置法の第1世代だった。OKT3は、強い免疫抑制効果を有するが、その免疫原性および分裂促進の潜在能力に関連する重篤副作用が原因でその臨床上の使用が阻まれていた(非特許文献2)。OKT3は、それ自体の迅速なクリアランスおよび中和を促進する抗グロブリン応答誘導した(非特許文献3)。さらに、OKT3は、インビトロにおいてT細胞増殖およびサイトカイン産生を誘導し、インビボにおいて大量のサイトカインを放出させた(非特許文献4)。そして、このサイトカイン放出(「サイトカインストーム」とも呼ばれる)は、発熱悪寒頭痛悪心嘔吐下痢呼吸困難敗血性髄膜炎および低血圧を特徴とする「インフルエンザ様」症候群をもたらした(Chatenoud,2003)。そのような重篤な副作用を理由に、OKT3を移植においてより広範に使用すること、ならびにOKT3の用途を自己免疫などの他の臨床分野に拡張することが限定された(同文献)。

0005

その第1世代の抗CD3モノクローナル抗体の副作用を減少させるために、マウス抗CD3モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)をヒトIgG配列に移植するだけでなく、FcRに結合しない変異をFcに導入することによって、第2世代の遺伝的に操作された抗CD3モノクローナル抗体が開発された(非特許文献5;非特許文献6)。マウスモノクローナル抗体をヒト化することにより、免疫原性が低下し、mAb半減期が改善される(同文献)。さらに、FcRに結合しないmAbは、インビボにおいてサイトカイン放出および急性毒性を誘導する潜在能力が低くなった(非特許文献7)。しかしながら、サイトカイン放出は、低レベルであったとしても、なおも用量を制限させるものであり、非常に低薬物用量マイクログラム患者)でも毒性である(非特許文献8)。

0006

抗CD3/TCRに向けた治療を改善するためには、いくつかの困難が存在している。例えば、抗CD3モノクローナル抗体によって媒介される免疫抑制の機序は、複雑であり、完全に理解されていない。そのような抗体は、4つの機序:細胞コーティング、細胞枯渇、TCRの下方調節(down−modulation)および細胞シグナル伝達(後半の2つが主要な機序として機能する)を通じて機能すると考えられている(非特許文献9)。さらに、CD3/TCRに向けた治療が有効であるためには、サイトカインストームの誘導およびインビボにおけるT細胞の活性化が必要であると考えられている(非特許文献10)。最後に、インビトロにおいて「活性化しない」と報告されている第2世代の抗CD3モノクローナル抗体は、インビボでは、なおもサイトカインストームを誘導した。

0007

現在、いくつかの抗CD3に向けられた抗体が、自己免疫疾患、炎症性疾患および移植患者において使用するために診療所試験されている。これらの抗体には、hOKT3γ1(Ala−Ala)(Macrogenics)、ビジリズマブ(visilizumab)(Nuvion(登録商標),PDL)、TRX−4(Tolerx)およびNI−0401(NovImmune)が含まれる。しかしながら、これらの抗体の各々で処置された患者は、サイトカイン放出に関連する有害事象(中程度から重篤)、および時折、この患者集団に代表的に観察されるものよりも高いウイルス再活性化を起こした。

先行技術

0008

Kungら、Science(1979)206:347−9
Chatenoud、Nature Reviews(2003)3:123−132
Chatenoudら、Eur.J.Immunol.(1982)137:830−8
Hirschら、J.Immunol(1989)142:737−43,1989
Coleら、Transplantation(1999)68:563
Coleら、J.Immunol.(1997)159:3613
Chatenoudら、N.Engl.J.Med.(1989)320:1420
Plevyら、Gastroenterology(2007)133:1414−1422
Chatenoud、Nature Reviews(2003)123−132
Carpenterら、J.Immunology(2000)165:6205−13

発明が解決しようとする課題

0009

サイトカイン放出に関連する有害事象が、現在のT細胞抗体療法および他の生物学的療法に関係することを考慮に入れると、引き続き代替療法が必要である。本発明は、そのようなニーズを満たすものであり、さらに他の関連する利点を提供する。

課題を解決するための手段

0010

(簡単な要旨)
本開示は、TCR複合体またはその構成要素に結合する融合タンパク質、そのような融合タンパク質を含む組成物および単位投薬形態、そのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよび発現ベクター固形臓器移植片拒絶を減少させるためかまたは自己免疫疾患を処置するための方法、ならびにT細胞活性化を検出するための方法を提供する。

0011

1つの態様において、本開示は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって:(a)TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメイン、(b)リンカーポリペプチド、(c)必要に応じて、(i)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換;(ii)234〜238位における1つ以上のアミノ酸置換または欠失;(iii)253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失;(iv)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜238位における1つ以上の置換または欠失;(v)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つの置換または欠失;(vi)234〜238位における1つ以上のアミノ酸置換または欠失、および253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失;または(vi)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234〜238位における1つ以上のアミノ酸置換または欠失、および253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含む免疫グロブリンCH2領域ポリペプチド、ならびに(d)免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる融合タンパク質を提供し、ここで、この融合タンパク質は、サイトカインストームを誘導しないか、または最小限の検出可能なサイトカイン放出を誘導し、その免疫グロブリンCH2領域内のアミノ酸残基は、EUナンバリングシステムによってナンバリングされる。請求項2〜20および本明細書中に記載されるさらなる融合タンパク質が、提供される。

0012

別の態様において、本開示は、本明細書中に提供される融合タンパク質および薬学的に許容可能なキャリア希釈剤または賦形剤を含む組成物を提供する。

0013

別の態様において、本開示は、上で述べられた薬学的組成物を含む単位用量形態を提供する。

0014

別の態様において、本開示は、本明細書中に提供される融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。

0015

別の態様において、本開示は、発現制御配列作動可能に連結された本明細書中に提供される融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。

0016

別の態様において、本開示は、固形臓器移植片の拒絶を減少させる方法を提供し、その方法は、固形臓器移植レシピエントに、有効量の本明細書中に提供される融合タンパク質を投与する工程を包含する。

0017

別の態様において、本開示は、自己免疫疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患真性糖尿病喘息および関節炎)を処置するための方法を提供し、その方法は、その必要のある患者に、有効量の本明細書中に提供される融合タンパク質を投与する工程を包含する。

0018

別の態様において、本開示は、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質によって誘導されたサイトカイン放出を検出するための方法を提供し、その方法は:(a)マイトジェン刺激(prime)されたT細胞を準備する工程、(b)工程(a)の刺激されたT細胞を、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質(例えば、融合タンパク質および抗体)で処理する工程、および(c)工程(b)において処理された刺激されたT細胞からのサイトカインの放出を検出する工程を包含する。

0019

別の態様において、本開示は、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質によって誘導されたT細胞活性化を検出するための方法を提供し、その方法は:(a)マイトジェンで刺激されたT細胞を準備する工程、(b)工程(a)の刺激されたT細胞を、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質(例えば、融合タンパク質および抗体)で処理する工程、および(c)工程(b)において処理された刺激されたT細胞の活性化を検出する工程を包含する。
したがって、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
アミノ末端からカルボキシ末端に向かって:
(a)TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメイン、
(b)リンカーポリペプチド、
(c)必要に応じて、
(i)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234から238位における1つ以上の置換または欠失;
(ii)234から238位における1つ以上の置換または欠失、および253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つの置換;または
(iii)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234から238位における1つ以上の置換または欠失、および253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つの置換
を含む免疫グロブリンCH2領域ポリペプチド、および
(d)免疫グロブリンCH3領域ポリペプチド
を含む一本鎖融合タンパク質であって、ここで、該融合タンパク質は、サイトカイン放出を誘導しないか、または最小限の検出可能なサイトカイン放出を誘導し、該免疫グロブリンCH2領域内のアミノ酸残基は、EUナンバリングシステムによってナンバリングされる、一本鎖融合タンパク質。
(項目2)
上記結合ドメインが、上記TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する一本鎖Fv(scFv)である、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目3)
上記TCR複合体またはその構成要素が、TCRα、TCRβまたはCD3εである、項目2に記載の融合タンパク質。
(項目4)
上記scFvが、配列番号258〜264に示されているアミノ酸配列のいずれか1つを含む、項目2に記載の融合タンパク質。
(項目5)
上記リンカーが、免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドである、項目1〜4のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目6)
上記免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドが、野生型ヒトIgG1ヒンジ、少なくとも1つのシステインが変異したヒトIgG1ヒンジ、または野生型マウスGHG2cヒンジである、項目5に記載の融合タンパク質。
(項目7)
上記免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドが、(a)配列番号212〜218、300および379〜434または(b)配列番号10のアミノ酸3〜17に示されているアミノ酸配列のいずれか1つを含む、項目5に記載の融合タンパク質。
(項目8)
297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234から238位における1つ以上の置換または欠失を含む免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドを含む、項目1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目9)
234〜238位における1つ以上の置換または欠失、および253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つの置換を含む免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドを含む、項目1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目10)
上記免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドが、297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234から238位における1つ以上の置換または欠失、および253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つの置換を含む、項目8に記載の融合タンパク質。
(項目11)
297位における上記アミノ酸置換が、AsnからAlaへの置換である、項目1〜8および10のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目12)
上記免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドが:
(i)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234、235、236または237位における1つのアミノ酸置換;
(ii)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜237位の2つにおけるアミノ酸置換;
(iii)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜237位の3つにおけるアミノ酸置換;
(iv)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234、235および237位におけるアミノ酸置換、ならびに236位におけるアミノ酸欠失
(v)234〜237位の3つにおけるアミノ酸置換、ならびに318、320および322位におけるアミノ酸置換;または
(vi)234〜237位の3つにおけるアミノ酸置換、236位におけるアミノ酸欠失、ならびに318、320および322位におけるアミノ酸置換
を含む、項目1〜11のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目13)
配列番号102〜104 75および375〜378のいずれか1つに示されているような免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドを含む、項目1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目14)
上記免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドが、ヒトIgG2 CH2領域ポリペプチドであり、上記免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドが、ヒトIgG2 CH3領域ポリペプチドである、項目1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目15)
上記免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドが、ヒトIgG4 CH2領域ポリペプチドであり、上記免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドが、ヒトIgG4 CH3領域ポリペプチドである、項目1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目16)
上記融合タンパク質が、免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドを含まない、項目1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目17)
配列番号11〜16、74、101および307〜309のいずれか1つに示されているような配列を含む、項目1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目18)
配列番号80〜97、265〜299、304および306のいずれか1つ、最初の22アミノ酸のリーダー配列を有しない配列番号234、236、238、240のいずれか1つ、または最初の20アミノ酸のリーダー配列を有しない配列番号311、313、315、317、319、321、323、325および327のいずれか1つに示されているような配列を含む、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目19)
上記融合タンパク質がさらに、T細胞を活性化させないか、または最小限に活性化させる、項目1〜18のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目20)
上記融合タンパク質がさらに、カルシウム流動の誘導、T細胞レセプターシグナル伝達経路内の分子リン酸化の誘導、同種抗原に対するT細胞応答の阻止、抗原に対するメモリーT細胞応答の阻止および上記TCR複合体の下方調節から選択される活性のうちの少なくとも1つを有する、項目1〜19のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(項目21)
項目1〜20のいずれか1項に記載の融合タンパク質、および薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤を含む、組成物。
(項目22)
項目21に記載の薬学的組成物を含む、単位用量形態。
(項目23)
項目1〜20のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする、ポリヌクレオチド。
(項目24)
発現制御配列に作動可能に連結された項目23に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
(項目25)
固形臓器移植片の拒絶を減少させる方法であって、固形臓器移植レシピエントに、有効量の、項目1〜20のいずれか1項に記載の融合タンパク質、項目21に記載の組成物および項目22に記載の単位用量形態を投与する工程を包含する、方法。
(項目26)
自己免疫疾患を処置するための方法であって、その必要のある患者に、有効量の、項目1〜20のいずれか1項に記載の融合タンパク質、項目21に記載の組成物および項目22に記載の単位用量形態を投与する工程を包含する、方法。
(項目27)
上記自己免疫疾患が、炎症性腸疾患である、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記炎症性腸疾患が、クローン病または潰瘍性大腸炎である、項目27に記載の方法。
(項目29)
上記自己免疫疾患が、真性糖尿病、喘息または関節炎である、項目26に記載の方法。
(項目30)
TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質によって誘導されたサイトカイン放出を検出するための方法であって:
(a)マイトジェンで刺激されたT細胞を準備する工程、
(b)工程(a)の刺激されたT細胞を、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含む該タンパク質で処理する工程、および
(c)工程(b)において処理された、該刺激されたT細胞からのサイトカインの放出を検出する工程
を包含する、方法。
(項目31)
TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質によって誘導されたT細胞活性化を検出するための方法であって:
(a)マイトジェンで刺激されたT細胞を準備する工程、
(b)工程(a)の刺激されたT細胞を、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含む該タンパク質で処理する工程、および
(c)工程(b)において処理された、該刺激されたT細胞の活性化を検出する工程
を包含する、方法。
(項目32)
TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含む上記タンパク質が、項目1〜20のいずれか1項に記載の融合タンパク質である、項目30または項目31に記載の方法。
(項目33)
TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含む上記タンパク質が、抗体である、項目30または項目31に記載の方法。

図面の簡単な説明

0020

図1は、PHAで刺激されたヒトT細胞を様々な抗体および小モジュール免疫薬(small modular immunopharmaceutical(SMIPTM))製品で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「Rxなし」とは、ネガティブコントロールとして使用された、処理無しのことを指す。
図2は、混合リンパ球反応アッセイにおいて、応答物(responder)細胞を様々な抗体およびSMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「MLR」とは、いかなる追加の処理も行わなかった混合リンパ球反応のことを指す。「応答物のみ」とは、応答物細胞だけが存在した反応のことを指す。「IgG2a」とは、10μg/ml IgG2a mAbで処理された応答物細胞のことを指す。
図3は、混合リンパ球反応アッセイにおいて、応答物細胞を様々な抗体およびSMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「MLR」とは、いかなる追加の処理も行わなかった混合リンパ球反応のことを指す。「応答物のみ」とは、応答物細胞だけが存在した反応のことを指す。
図4は、メモリーT細胞をモノクローナル抗体および様々なSMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「応答物(TTなし)」とは、破傷風トキソイド非存在下における反応のことを指す。
図5Aおよび5Bは、(A)単離の直後(0日目)または(b)OKT3モノクローナル抗体または様々なOKT3 SMIP融合タンパク質で処理した4日後に染色されたヒトT細胞上のTCRおよびCD3のFACS分析ドットプロットである。
図6Aおよび6Bは、(A)単離の直後(0日目)または(B)OKT3 IgG1AAまたはOKT3 HM1 SMIP融合タンパク質で処理した4日後に染色されたヒトT細胞上のTCRおよびCD3のFACS分析のドットプロットである。
図7は、精製ヒトT細胞をモノクローナル抗体、抗体の組み合わせまたは様々なOKT3 SMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、経時的なカルシウム流動指示色素蛍光の変化を示している。
図8Aおよび8Bは、ConAで刺激されたマウスT細胞をモノクローナル抗体(2C11mAbおよびH57mAb)またはSMIP融合タンパク質(2C11 Null2およびH57 Null2)で処理した後の、(A)IFNγまたは(B)IP−10の放出を示している。
図9は、混合リンパ球反応アッセイにおいて、応答物細胞を様々な抗体またはSMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「Rのみ」とは、応答物細胞だけが存在する反応のことを指し;「Sのみ」とは、刺激物(stimulator)細胞だけが存在する反応のことを指し;「R:S」とは、応答物細胞と刺激物細胞の両方が存在する反応のことを指す。
図10Aおよび10Bは、様々な濃度の抗体(H57mAb)およびH57 Null2 SMIP融合タンパク質を静脈内投与した後の経時的な(A)体重および(B)臨床スコアの変化を示している。PBSおよびIgG2aをネガティブコントロールとして使用した。
図11Aおよび11Bは、正常BALB/cマウスに抗TCR抗体(H57mAb)または様々な濃度の抗TCR SMIP融合タンパク質(H57 Null2)を静脈内投与した2時間後、24時間後、72時間後の血清中の(A)IL−6および(B)IL−4の濃度を示している。マウスIgG2a抗体およびPBS(希釈剤)をネガティブコントロールとして使用した。
図11Aおよび11Bは、正常BALB/cマウスに抗TCR抗体(H57mAb)または様々な濃度の抗TCR SMIP融合タンパク質(H57 Null2)を静脈内投与した2時間後、24時間後、72時間後の血清中の(A)IL−6および(B)IL−4の濃度を示している。マウスIgG2a抗体およびPBS(希釈剤)をネガティブコントロールとして使用した。
図12は、様々な濃度の抗TCR SMIP融合タンパク質(H57 Null2)を静脈内投与した後の1日目または3日目のマウス脾臓に見られたH57 Null2 SMIPで覆われたT細胞のパーセンテージを示している。PBSおよびIgG2aをネガティブコントロールとして使用した。
図13は、急性移植片対宿主病(aGVHD)のモデルにおいてドナー細胞移入した後の14日間にわたるレシピエントマウスの開始体重からの変化のパーセンテージを示している。「ナイーブレシピエント」は、ネガティブコントロールとしてドナー細胞移入を受けなかったマウスのことを示す。レシピエントマウスを、H57 Null2 SMIP融合タンパク質、デキサメタゾン(DEX)またはコントロール(PBSまたはIgG2a)で処置した。
図14A〜14Cは、ドナー細胞移入後のそれぞれ14日目、14日目または7日目における(A)G−CSF、(B)KCまたは(C)IFNγの血清濃度を示している。
図15は、ドナー細胞移入後の14日目におけるドナー宿主リンパ球比を示している。「細胞移入なし」は、ドナー細胞を投与されなかったネガティブコントロールマウスのことを示す。PBSおよびIgG2aをコントロール処置として使用した。
図16は、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG4およびマウスIGHG2cのCH2領域(それぞれ配列番号64、66、68および73)間の配列アラインメントを示している。これらのアラインメントは、DNASTAR5.03(DNASTAR Inc.)のMegAlignプログラムデフォルトパラメータを使用したClustal W法を用いて行った。ヒトIgG1 CH2のアミノ酸の位置は、Kabatに従うEUナンバリングに基づいている(Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.Bethesda,MD:Public Health Service,National Institutes of Health(1991)を参照のこと)。すなわち、ヒトIgG1の重鎖可変領域は、128アミノ酸長であると考えられるので、ヒトIgG1の定常領域における最もアミノ末端のアミノ酸残基は、129位である。他のCH2領域のアミノ酸の位置は、それらとアラインメントされるヒトIgG1におけるアミノ酸残基の位置に基づいて示される。297位のAsn残基(N297)は、下線が引かれ、太字で示されている。
図17は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて、応答物細胞を抗体またはSMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「R」とは、応答物細胞だけが存在した反応のことを指し、「S」とは、刺激物細胞だけが存在した反応のことを指し、「R+S」とは、いかなる追加の処理も行わなかった混合リンパ球反応のことを指し、「muIgG2b」とは、10μg/mlマウスIgG2bで処理された応答物細胞のことを指す。「コントロールSMIP」は、T細胞に結合しないscFv結合ドメインを有するSMIP融合タンパク質である。Cris−7 IgG1 N297A(配列番号265)を用いて、これらの細胞を試験した。
図18は、単離の直後に染色されたヒトT細胞上のTCRおよびCD3のFACS分析のドットプロットを示している。上の2枚のパネルは、Cris−7モノクローナル抗体で処理されたヒトT細胞を示しており、下の2枚のパネルは、Cris−7 IgG1 N297A(配列番号265)による処理を示している。左のパネルは、処理当日(0日目)の細胞の分布を示しており、右のパネルは、処理の2日後(2日目)の細胞の分布を示している。
図19は、ヒトT細胞をBC3 IgG1−N297A(配列番号80,scFvとCH2CH3ドメインとの間にヒンジとしてリンカー87を有する)で処理したことに起因する経時的なカルシウム流動指示色素の蛍光の変化を、ヒンジリンカー87を様々な長さの他のヒンジ(特に、配列番号212〜218に対応する、それぞれリンカー115〜120および122)と交換した同じ融合タンパク質と比較して示している。
図20は、MLRアッセイにおいて、応答物細胞を抗体またはSMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「コントロールSMIP」とは、T細胞に結合しないscFv結合ドメインを有するSMIP融合タンパク質のことを指す。「応答物のみ」とは、応答物細胞だけが存在した反応のことを指す。角括弧内の数字は、SMIP融合タンパク質の配列識別番号である。
図21は、MLRアッセイにおいて、応答物細胞を、様々なヒンジリンカーを含むBC3 IgG1−N297A SMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。
図22は、MLRアッセイにおいて、応答物細胞をモノクローナル抗体Cris7、キメラもしくはヒト化Cris7 SMIP融合タンパク質またはキメラBC3 SMIP融合タンパク質(配列番号80)で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「コントロールSMIP」とは、T細胞に結合しないscFv結合ドメインを有するSMIP融合タンパク質のことを指し、「応答物のみ」とは、応答物細胞だけが存在した反応のことを指す。角括弧内の数字は、SMIP融合タンパク質の配列識別番号である。
図23は、MLRアッセイにおいて、応答物細胞をヒト化Cris7 IgG1−N297、IgG2−AA−N297AおよびIgG4−AA−N297A、ならびにHM1 SMIP融合タンパク質またはキメラCris7 IgG1−N297AおよびHM1 SMIP融合タンパク質で処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「親mAb」とは、Cris7mAbのことを指し、「コントロールSMIP」とは、T細胞に結合しないscFv結合ドメインを有するSMIP融合タンパク質のことを指す。
図24は、PHAで刺激されたヒトT細胞をヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG1−N297Aまたはヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG1−N297A SMIP融合タンパク質で処理した後の、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。「コントロールSMIP」は、T細胞に結合しないSMIP融合タンパク質である。
図25Aおよび25Bは、PHAで刺激されたT細胞を様々なヒト化およびキメラCris7 SMIP融合タンパク質、BC3 SMIP融合タンパク質(配列番号80)、ならびに様々な抗体(BC3mAb、親Cris7mAbおよびNuvionFL)で再刺激した24時間後(1日目)および72時間後(3日目)における血清中の(A)IFNγおよび(B)IL−17の濃度を示している。角括弧内の数字は、SMIP融合タンパク質の配列識別番号である。
図25Aおよび25Bは、PHAで刺激されたT細胞を様々なヒト化およびキメラCris7 SMIP融合タンパク質、BC3 SMIP融合タンパク質(配列番号80)、ならびに様々な抗体(BC3mAb、親Cris7mAbおよびNuvion FL)で再刺激した24時間後(1日目)および72時間後(3日目)における血清中の(A)IFNγおよび(B)IL−17の濃度を示している。角括弧内の数字は、SMIP融合タンパク質の配列識別番号である。
図26A〜26Hは、ヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質、ヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質またはCris7mAbで24時間(d1)、48時間(d2)または72時間(d3)処理された初期のPBMCにおける、(A)IFNγ、(B)IL−10、(C)IL−1B、(D)IL−17、(E)IL−4、(F)TNF−α、(G)IL−6および(H)IL−2のレベルを示している。
図26A〜26Hは、ヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質、ヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質またはCris7mAbで24時間(d1)、48時間(d2)または72時間(d3)処理された初期のPBMCにおける、(A)IFNγ、(B)IL−10、(C)IL−1B、(D)IL−17、(E)IL−4、(F)TNF−α、(G)IL−6および(H)IL−2のレベルを示している。
図26A〜26Hは、ヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質、ヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質またはCris7mAbで24時間(d1)、48時間(d2)または72時間(d3)処理された初期のPBMCにおける、(A)IFNγ、(B)IL−10、(C)IL−1B、(D)IL−17、(E)IL−4、(F)TNF−α、(G)IL−6および(H)IL−2のレベルを示している。
図26A〜26Hは、ヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質、ヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質またはCris7mAbで24時間(d1)、48時間(d2)または72時間(d3)処理された初期のPBMCにおける、(A)IFNγ、(B)IL−10、(C)IL−1B、(D)IL−17、(E)IL−4、(F)TNF−α、(G)IL−6および(H)IL−2のレベルを示している。
図26A〜26Hは、ヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質、ヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質またはCris7mAbで24時間(d1)、48時間(d2)または72時間(d3)処理された初期のPBMCにおける、(A)IFNγ、(B)IL−10、(C)IL−1B、(D)IL−17、(E)IL−4、(F)TNF−α、(G)IL−6および(H)IL−2のレベルを示している。
図26A〜26Hは、ヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質、ヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質またはCris7mAbで24時間(d1)、48時間(d2)または72時間(d3)処理された初期のPBMCにおける、(A)IFNγ、(B)IL−10、(C)IL−1B、(D)IL−17、(E)IL−4、(F)TNF−α、(G)IL−6および(H)IL−2のレベルを示している。
図26A〜26Hは、ヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質、ヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質またはCris7mAbで24時間(d1)、48時間(d2)または72時間(d3)処理された初期のPBMCにおける、(A)IFNγ、(B)IL−10、(C)IL−1B、(D)IL−17、(E)IL−4、(F)TNF−α、(G)IL−6および(H)IL−2のレベルを示している。
図26A〜26Hは、ヒト化Cris7(VH3−VL1)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質、ヒト化Cris7(VH3−VL2)IgG4−AA−N297A SMIP融合タンパク質またはCris7mAbで24時間(d1)、48時間(d2)または72時間(d3)処理された初期のPBMCにおける、(A)IFNγ、(B)IL−10、(C)IL−1B、(D)IL−17、(E)IL−4、(F)TNF−α、(G)IL−6および(H)IL−2のレベルを示している。
図27は、IgG2a mAb(411μg)、H57mAb(5μg)、H57 Null2 SMIP融合タンパク質(300μg)、H57 half null SMIP融合タンパク質(300μg)またはH57 HM2 SMIP融合タンパク質(300μg)を静脈内投与した後の経時的な体重の変化を示している。
図28は、図27投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した2時間後の末梢血T細胞の濃度を示している。
図29は、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した72時間後の末梢T細胞の濃度を示している。
図30A〜30Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−2の濃度を示している。
図30A〜30Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−2の濃度を示している。
図30A〜30Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−2の濃度を示している。
図31A〜31Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−10の濃度を示している。
図31A〜31Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−10の濃度を示している。
図31A〜31Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−10の濃度を示している。
図32A〜32Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIP−10の濃度を示している。
図32A〜32Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIP−10の濃度を示している。
図32A〜32Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIP−10の濃度を示している。
図33A〜33Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のTNFαの濃度を示している。
図33A〜33Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のTNFαの濃度を示している。
図33A〜33Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のTNFαの濃度を示している。
図34A〜34Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−4の濃度を示している。
図34A〜34Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−4の濃度を示している。
図34A〜34Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIL−4の濃度を示している。
図35A〜35Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のMCP−1の濃度を示している。
図35A〜35Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のMCP−1の濃度を示している。
図35A〜35Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のMCP−1の濃度を示している。
図36A〜36Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のKCの濃度を示している。
図36A〜36Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のKCの濃度を示している。
図36A〜36Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のKCの濃度を示している。
図37A〜37Cは、IgG2a、H57mAbおよびH57 Null2、half nullおよびHM2 SMIPを静脈内投与した2時間後(A)、24時間後(B)および72時間後(C)のIL−17の濃度を示している。
図37A〜37Cは、IgG2a、H57mAbおよびH57 Null2、half nullおよびHM2 SMIPを静脈内投与した2時間後(A)、24時間後(B)および72時間後(C)のIL−17の濃度を示している。
図37A〜37Cは、IgG2a、H57mAbおよびH57 Null2、half nullおよびHM2 SMIPを静脈内投与した2時間後(A)、24時間後(B)および72時間後(C)のIL−17の濃度を示している。
図38A〜38Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIP−10の濃度を示している。
図38A〜38Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIP−10の濃度を示している。
図38A〜38Cは、図27で投薬されたようにIgG2a mAb、H57mAb、H57 Null2、H57 half nullまたはH57 HM2を静脈内投与した(A)2時間後、(B)24時間後および(C)72時間後の血清中のIP−10の濃度を示している。
図39Aおよび39Bは、H57−HM2およびH57 half nullについての時間に対する平均血清濃度のグラフである。結果は、観察されたデータセットおよびWinNonLinTMソフトウェアによって計算された予測値として表されている。Rsq値およびRsq調整値は、HL_Lambda zの推定において使用された時点(6.6および40.7時間)の数値に対する調整の前および後の、末期排泄相(terminal elimination phase)についての適合度統計量である。
図39Aおよび39Bは、H57−HM2およびH57 half nullについての時間に対する平均血清濃度のグラフである。結果は、観察されたデータセットおよびWinNonLinTMソフトウェアによって計算された予測値として表されている。Rsq値およびRsq調整値は、HL_Lambda zの推定において使用された時点(6.6および40.7時間)の数値に対する調整の前および後の、末期排泄相(terminal elimination phase)についての適合度統計量である。
図40は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のG−CSFの濃度を示している。
図41は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のIFN−γの濃度を示している。
図42は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のIL−2の濃度を示している。
図43は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のIL−5の濃度を示している。
図44は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のIL−6の濃度を示している。
図45は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のIL−10の濃度を示している。
図46は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のIL−17の濃度を示している。
図47は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のIP−10の濃度を示している。
図48は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のKCの濃度を示している。
図49は、H57−HM2またはH57 Null2(各200μg)を静脈内投与した15分後、2時間後、6時間後、24時間後および48時間後の血清中のMCP−1の濃度を示している。
図50は、応答物細胞をH57 Null2、H57 half null、H57−HM2、マウスIgG2a mAbまたはH57mAbで処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージを示している。
図51は、応答物細胞をH57 Null2、H57 half null、H57−HM2またはH57mAbで処理したことに起因する、活性化されたT細胞のパーセンテージ((R+S)−無処理=100%に正規化されたパーセンテージ)を示している。
図52は、H57 Null2、H57 half null、H57−HM2、マウスIgG2a mAb、H57mAbまたは2C11mAbの処理によって活性化された、ConAで刺激されたT細胞のパーセンテージを示している。

0021

(詳細な説明)
本開示は、小モジュール免疫薬(SMIPTM)製品の形態の、または独特のT細胞シグナル伝達プロファイルを誘導する、N末端からC末端方向と逆向きの方向でFcおよび結合ドメインを有するSMIP分子SMIP分子(PIMS)の形態の、TCR複合体に対する1つ以上の結合ドメインを含む融合タンパク質を提供する。このシグナル伝達プロファイルは、検出不可能の、または少量の、最小量のもしくはわずかなサイトカイン放出(すなわち、サイトカインストームが無いかまたは最小のサイトカインストーム)、カルシウム流動の誘導、T細胞を活性化させないままでのTCRシグナル伝達タンパク質のリン酸化、またはそれらの任意の組み合わせを特徴とする。そのようなシグナル伝達プロファイルは、モノクローナル抗体を用いても再現されないことから、SMIPまたはPIMSタンパク質がそれらの標的に結合することによって引き起こされる予想外のシグナル伝達のサイン(signaling signature)が証明される。現在、TCR複合体に対するタンパク質分子は、T細胞活性化とともに強力なT細胞シグナル(例えば、サイトカインストーム)を誘導するか、または架橋の非存在下では細胞に対してほとんど作用を有しないかのいずれかである。

0022

さらに、本開示は、そのような融合タンパク質をコードする核酸分子、ならびにそのようなタンパク質を組換え的に産生するためのベクターおよび宿主細胞、ならびに様々な治療への応用(疾患または状況(例えば、自己免疫疾患、炎症性疾患および臓器移植片拒絶)の少なくとも1つの症状の処置ならびに回復を含む)において本開示の融合タンパク質を使用するための組成物および方法を提供する。

0023

本開示を詳細に示す前に、本明細書中で使用されるある特定の用語の定義を提供することが、本開示の理解に役立つ場合がある。さらなる定義が、本開示全体にわたって示される。

0024

本開示において、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比の範囲または整数の範囲は、別段示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値および適切な場合はその分数(例えば、ある整数の10分の1および100分の1)を含むと理解される。また、任意の物理的特徴(例えば、ポリマーサブユニット、サイズまたは厚さ)に関して本明細書中で列挙される任意の値の範囲は、別段示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むと理解される。本明細書中で使用されるとき、「約」または「〜から本質的になる」は、別段示されない限り、示された範囲、値または構造の±20%を意味する。本明細書中で使用されるとき、用語「含む(include)」および「含む(comprise)」は、同意語として使用される。用語「a」および「an」は、本明細書中で使用されるとき、列挙される構成要素の「1つまたはそれ以上」のことを指すと理解されるべきである。選択的な用語(例えば、「または」)の使用は、その選択的な用語が指示するものの一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせを意味すると理解されるべきである。さらに、本明細書中に記載される構造および置換基の様々な組み合わせから得られる個別の化合物または化合物の群は、化合物または化合物の群の各々が個別に示されたかのように、同程度に本願によって開示されると理解されるべきである。したがって、特定の構造または特定の置換基の選択は、本発明の範囲内である。

0025

本開示の免疫グロブリンCH2およびCH3領域内アミノ酸残基は、別段示されない限り、EUナンバリングシステムによってナンバリングされる(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.Bethesda,MD:Public Health Service,National Institutes of Health(1991)を参照のこと)。

0026

「小モジュール免疫薬(SMIPTM)タンパク質」とは、そのアミノ末端からカルボキシ末端に向かって:標的分子に特異的に結合する結合ドメイン、リンカーポリペプチド(例えば、免疫グロブリンヒンジまたはその誘導体)、免疫グロブリンCH2ポリペプチドおよび免疫グロブリンCH3ポリペプチドを含む一本鎖融合タンパク質のことを指す(米国特許公開第2003/0133939号、同2003/0118592号および同2005/0136049号を参照のこと)。

0027

「PIMSタンパク質」は、逆方向のSMIP分子であり、ここで、その結合ドメインは、融合タンパク質のカルボキシ末端に配置されている。PIMSタンパク質を作製するための構築物および方法は、PCT公開番号WO2009/023386に記載されている。通常、PIMS分子は、アミノ末端からカルボキシ末端の方向に向かって、任意のCH2領域ポリペプチド、CH3ドメイン、リンカーペプチド(例えば、免疫グロブリンヒンジ領域)および特異的な結合ドメインを含む一本鎖ポリペプチドである。

0028

本明細書中で使用されるとき、あるタンパク質は、そのタンパク質のいくつかのドメイン(例えば、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメイン、リンカーポリペプチド、免疫グロブリンCH2領域および免疫グロブリンCH3領域)以外の部分(例えば、アミノ末端もしくはカルボキシ末端または2つのドメイン間のアミノ酸)が、あわせて、そのタンパク質の長さの多くとも20%(例えば、多くとも15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%または1%)に寄与し、そのタンパク質の活性(例えば、TCR複合体またはその構成要素に対する親和性、サイトカイン放出を誘導しない能力(または最小限の検出可能なサイトカイン放出を誘導する能力)、カルシウム流動またはT細胞レセプターシグナル伝達経路内の分子のリン酸化を誘導する能力、同種抗原に対するT細胞応答を阻止する能力、抗原に対するメモリーT細胞の応答を阻止する能力、および細胞のTCR複合体の下方調節)に実質的に影響しない(すなわち、その活性を50%超(例えば、40%、30%、25%、20%、15%、10%または5%超)低下させない)場合、上記いくつかのドメイン「から本質的になる」。ある特定の実施形態において、融合タンパク質は、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメイン、リンカーポリペプチド、任意の免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドおよび免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドから本質的になる。そのような分子は、さらに、そのタンパク質のアミノ末端もしくはカルボキシ末端、または2つの異なるドメイン間(例えば、結合ドメインとリンカーポリペプチドとの間、リンカーポリペプチドと免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドとの間、または免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドと免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドとの間)に接合部アミノ酸を含み得る。

0029

抗体技術の分野の当業者によって理解されている用語の各々は、本明細書中で明確に異なって定義されない限り、当該分野において獲得されている意味が与えられる。抗体は、可変領域、ヒンジ領域および定常ドメインを有すると知られている。免疫グロブリンの構造および機能は、例えば、Harlowら、Eds.,Antibodies:A Laboratory Manual,Chapter 14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,1988)において概説されている。例えば、用語「VL」および「VH」とは、それぞれ抗体の軽鎖および重鎖由来する可変結合領域のことを指す。この可変結合領域は、「相補性決定領域」(CDR)および「フレームワーク領域」(FR)として知られる、別個の詳細に明らかにされたサブ領域から構成されている。用語「CL」とは、「免疫グロブリン軽鎖定常領域」または「軽鎖定常領域」、すなわち、抗体軽重鎖に由来する定常領域のことを指す。用語「CH」とは、「免疫グロブリン重鎖定常領域」または「重鎖定常領域」のことを指し、これは、抗体アイソタイプに応じて、CH1、CH2およびCH3(IgAIgD、IgG)またはCH1、CH2、CH3およびCH4ドメイン(IgEIgM)にさらに分離可能である。定常領域ドメインの一部は、抗体由来Fc領域(「フラグメント結晶化可能」領域)を構成し、免疫グロブリンのエフェクター機能(例えば、ADCC抗体依存性細胞媒介性細胞傷害)、ADCP(抗体依存性細胞食作用)、CDC(補体依存性細胞傷害)および補体結合)、Fcレセプター(例えば、CD16、CD32、FcRn)への結合、Fc領域を有しないポリペプチドよりも長いインビボにおける半減期、プロテインA結合、およびおそらくさらに胎盤通過(Caponら、Nature,337:525(1989)を参照のこと)に関与する。

0030

さらに、抗体は、代表的にはFab領域とFc領域との間に位置するヒンジ配列を有する(しかし、下部のヒンジはFc領域のアミノ末端部分を含み得る)。バックグラウンドとして、免疫グロブリンヒンジは、Fab部分が空間内で自由に動くことを可能にする柔軟なスペーサーとして作用する。定常領域とは対照的に、ヒンジは、構造的多種多様であり、免疫グロブリンクラス間およびさらにサブクラス間で配列と長さの両方が様々である。例えば、ヒトIgG1ヒンジ領域は、十分な柔軟性があり、これにより、Fabフラグメントが、その対称軸のまわりを回転すること、および2つの重鎖間ジスルフィド架橋の1つ目を中央に置く球形内で動くことが可能になる。それに対して、ヒトIgG2ヒンジは、比較的短く、4つの重鎖間ジスルフィド架橋によって安定化された堅いポリプロリン二重らせんを含むことにより、柔軟性が制限される。ヒトIgG3ヒンジは、62アミノ酸(21個のプロリンおよび11個のシステインを含む)を含み、柔軟性を欠くポリプロリン二重らせんを形成し、そしてFabフラグメントがFcフラグメントと比較的離れていることを理由として大きな柔軟性をもたらす、独特の長いヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍の長さ)という点で他のサブクラスと異なる。ヒトIgG4ヒンジは、IgG1より短いが、IgG2と同じ長さを有し、その柔軟性は、IgG1とIgG2との中間である。

0031

結晶学的研究によれば、IgGヒンジドメインは、機能的および構造的に3領域:上部、コアまたは中央および下部ヒンジ領域に細分され得る(Shinら、Immunological Reviews 130:87(1992))。例示的な上部ヒンジ領域は、IgG1に見られるようなEPKSCDKTHT(配列番号359)、IgG2に見られるようなERKCCVE(配列番号360)、IgG3に見られるようなELKTPLGDTTHT(配列番号361)またはEPKSCDTPPP(配列番号362)、およびIgG4に見られるようなESKYGPP(配列番号363)を含む。例示的な中央またはコアヒンジ領域は、IgG1およびIgG2に見られるようなCPPCP(配列番号364)、IgG3に見られるようなCPRCP(配列番号365)、およびIgG4に見られるようなCPSCP(配列番号366)を含む。IgG1、IgG2およびIgG4抗体の各々は、1つの上部および中央ヒンジを有するとみられるが、IgG3は、4つ(1つは、ELKTPLGDTTHTCPRCP(配列番号367)であり、3つは、EPKSCDTPPPCPRCP(配列番号368)である)をタンデムに有する。

0032

IgAおよびIgD抗体は、IgG様コア領域を有しないとみられ、IgDは、2つの上部ヒンジ領域をタンデムに有するとみられる(ESPKAQASSVPTAQPQAEGSLAKATTAPATTRNT(配列番号369)およびGRGGEEKKKEKEKEEQEERETKTP(配列番号370)を参照のこと)。IgA1およびIgA2抗体に見られる例示的な野生型上部ヒンジ領域は、それぞれVPSTPPTPSPSTPPTPSPS(配列番号371)およびVPPPPP(配列番号372)である。

0033

対照的に、IgEおよびIgM抗体は、代表的なヒンジ領域を有さず、その代わり、ヒンジ様特性を備えたCH2ドメインを有する。IgEおよびIgMの例示的な野生型CH2上部ヒンジ様配列は、それぞれ配列番号373

0034

に示されている。

0035

本明細書中で使用されるとき、「ヒンジ領域」または「ヒンジ」とは、(a)免疫グロブリンヒンジ領域(例えば、上部およびコア領域から構成される)もしくはその機能的改変体、(b)レクチンドメイン間領域もしくはその機能的改変体、または(c)分化抗原(cluster of differentiation(CD))分子のストーク(stalk)領域もしくはその機能的改変体のことを指す。

0036

免疫グロブリンヒンジ領域は、野生型免疫グロブリンヒンジ領域または変更された野生型免疫グロブリンヒンジ領域または変更された免疫グロブリンヒンジ領域であり得る。

0037

本明細書中で使用されるとき、「野生型免疫グロブリンヒンジ領域」とは、抗体の重鎖に見られる、CH1ドメインとCH2ドメインとの間に挿入され、それらのドメインを接続する(IgG、IgAおよびIgDの場合)か、またはCH1ドメインとCH3ドメインとの間に挿入され、それらのドメインを接続する(IgEおよびIgMの場合)、天然に存在する上部および中央ヒンジアミノ酸配列のことを指す。

0038

「変更された野生型免疫グロブリンヒンジ領域」または「変更された免疫グロブリンヒンジ領域」とは、(a)最大30%のアミノ酸の変更(例えば、最大25%、20%、15%、10%または5%のアミノ酸の置換または欠失)を有する野生型免疫グロブリンヒンジ領域、または(b)約5アミノ酸(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20アミノ酸)から、最大約120アミノ酸の長さを有し(好ましくは、約10〜約40アミノ酸または約15〜約30アミノ酸または約15〜約20アミノ酸または約20〜約25アミノ酸の長さを有し)、最大約30%のアミノ酸の変更(例えば、最大約25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%または1%のアミノ酸の置換または欠失またはそれらの組み合わせ)を有し、かつ配列番号364、365または366に示されているようなIgGコアヒンジ領域を有する、野生型免疫グロブリンヒンジ領域の一部のことを指す。

0039

可変ドメイン連結配列」は、軽鎖可変領域に重鎖可変領域を接続するアミノ酸配列であり、得られるポリペプチドが同じ軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む抗体の標的分子と同じ標的分子に対して特異的な結合親和性を保持するように、その2つの結合サブドメイン相互作用適合したスペーサー機能を提供する。ある特定の実施形態において、結合ドメインを免疫グロブリンCH2またはCH3領域ポリペプチドに連結するために有用なヒンジは、可変ドメイン連結配列として使用され得る。

0040

「リンカーポリペプチド」とは、融合タンパク質において結合ドメインを免疫グロブリンCH2またはCH3領域ポリペプチドに連結するアミノ酸配列のことを指す。ある特定の実施形態において、リンカーポリペプチドは、本明細書中で定義されるようなヒンジである。ある特定の実施形態において、軽鎖可変領域に重鎖可変領域を接続するために有用な可変ドメイン連結配列は、リンカーポリペプチドとして使用され得る。

0041

ある特定の実施形態において、融合タンパク質の2つのドメイン間(例えば、結合ドメインとリンカーポリペプチドとの間、リンカーポリペプチドと免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドとの間、および免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドと免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドとの間)に1つまたはいくつかの(例えば、2〜8つの)アミノ酸残基、例えば、融合タンパク質の構築物の設計によって生じるアミノ酸残基(例えば、一本鎖ポリペプチドをコードする核酸分子の構築中に制限酵素部位を使用することによって生じるアミノ酸残基)が存在し得る。本明細書中に記載されるように、そのようなアミノ酸残基は、「接合部アミノ酸」または「接合部アミノ酸残基」と呼ばれ得る。

0042

「誘導体」は、本明細書中で使用されるとき、親化合物と構造的に類似しており、親化合物から(実際にまたは理論的に)誘導可能である、化学的または生物学的に改変されたバージョンの化合物(例えば、タンパク質)のことを指す。

0043

本明細書中で使用されるとき、「アミノ酸」とは、天然のアミノ酸(自然界に存在するアミノ酸)、置換された天然のアミノ酸、非天然アミノ酸、置換された非天然アミノ酸またはそれらの任意の組み合わせのことを指す。天然のアミノ酸に対する名称は、本明細書中では、標準的な1文字または3文字コードとして示される。天然の極性アミノ酸としては、アスパラギン(AspまたはN)およびグルタミン(GlnまたはQ);ならびに塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(ArgまたはR)、リジン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH)およびそれらの誘導体);ならびに酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸(AspまたはD)およびグルタミン酸(GluまたはE)およびそれらの誘導体)が挙げられる。天然の疎水性アミノ酸としては、トリプトファン(TrpまたはW)、フェニルアラニン(PheまたはF)、イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV)およびそれらの誘導体;ならびに他の無極性アミノ酸(例えば、グリシン(GlyまたはG)、アラニン(AlaまたはA)、プロリン(ProまたはP)およびそれらの誘導体)が挙げられる。中間の極性の天然のアミノ酸としては、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT)、チロシン(TyrまたはY)、システイン(CysまたはC)およびそれらの誘導体が挙げられる。別段特定されない限り、本明細書中に記載される任意のアミノ酸は、D配置またはL配置で存在し得る。

0044

アミノ酸は、物理的特性ならびに2次および3次タンパク質構造に対する寄与に従って分類され得る。「保存的置換」は、当該分野において、1つのアミノ酸を、類似の特性を有する別のアミノ酸で置換することと認識されている。例示的な保存的置換は、当該分野で周知である(例えば、1997年3月13日公開のWO97/09433の10頁;Lehninger,Biochemistry,Second Edition;Worth Publishers,Inc.NY:NY(1975),pp.71−77;Lewin,Genes IV,Oxford University Press,NYおよびCell Press,Cambridge,MA(1990),p.8を参照のこと)。ある特定の実施形態において、保存的置換は、ロイシンからセリンへの置換を含む。

0045

本明細書中で使用されるとき、別段提供されない限り、ヒトIgG1重鎖の定常領域内のアミノ酸残基の位置は、ヒトIgG1の可変領域が、Kabatナンバリングの慣例に従って128アミノ酸残基から構成されると仮定して、ナンバリングされる。次いで、ヒトIgG1重鎖のナンバリングされた定常領域は、他の免疫グロブリン重鎖の定常領域内のアミノ酸残基をナンバリングするための参照として使用される。ヒトIgG1重鎖以外の免疫グロブリン重鎖の定常領域内の目的のアミノ酸残基の位置は、目的のアミノ酸残基とアラインメントされるヒトIgG1重鎖内のアミノ酸残基の位置である。ヒトIgG1重鎖の定常領域と他の免疫グロブリン重鎖の定常領域とのアラインメントは、デフォルトパラメータを使用したClustal W法を用いるMegalignプログラム(DNASTAR Inc.)などの当該分野で公知のソフトウェアプログラムを使用して行われ得る。例示的な配列のアラインメントは、図16に示されている。本明細書中に記載されるナンバリングシステムによれば、ヒトIgG2 CH2領域は、図16中の他のCH2領域と比べてそのアミノ末端付近にアミノ酸欠失を有するが、ヒトIgG2 CH2内の下線の「N」の位置は、なおも297位である。なぜなら、この残基は、ヒトIgG1 CH2内の297位の「N」とアラインメントするからである。

0046

(TCR複合体に対する融合タンパク質)
1つの態様において、本開示は、そのアミノ末端からそのカルボキシ末端に向かって:(a)TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメイン、(b)リンカーポリペプチド、(c)必要に応じて免疫グロブリンCH2領域ポリペプチド、および(d)免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるSMIP融合タンパク質の形態の一本鎖融合タンパク質を提供する。その免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドは、存在するとき、(1)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換;(2)234〜238位における1つ以上のアミノ酸置換または欠失;(3)253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失;(4)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜238位における1つ以上の置換または欠失;(5)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および253、310、318、320、322または331位における1つ以上の置換または欠失;(6)234〜238、253、310、318、320、322または331位における1つ以上のアミノ酸置換または欠失;または(7)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜238、253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含み得る。

0047

好ましい実施形態において、本開示の一本鎖融合タンパク質は、そのアミノ末端からそのカルボキシ末端に向かって:(a)TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメイン、(b)リンカーポリペプチド、(c)免疫グロブリンCH2領域ポリペプチド、および(d)免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなり、ここで、その免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドは、(i)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜238位における1つ以上の置換または欠失;(ii)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234、235および237位における置換、ならびに236位における欠失;(iii)234〜238、253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失;(iv)234、235、237、318、320および322位におけるアミノ酸置換、ならびに236位における欠失;(v)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜238、253、310、318、320、322または331位における少なくとも1つの置換または欠失;または(vi)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234、235、237、318、320および322位におけるアミノ酸置換、ならびに236位における欠失を含む。これらの好ましい実施形態の各々において、置換(substation)に使用されるアミノ酸は、好ましくは、アラニンまたはセリンである。

0048

さらに好ましい実施形態において、本開示の一本鎖融合タンパク質は、そのアミノ末端からそのカルボキシ末端に向かって:(a)TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメイン、(b)リンカーポリペプチド、および(c)免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなり、ここで、その免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドは、ヒトIgMのCH3領域およびヒトIgG(好ましくは、IgG1)のCH3領域を含む。

0049

本融合タンパク質は、単に検出不可能に、わずかに、最小に、もしくは低レベルで、サイトカイン放出(すなわち、サイトカインストーム)を誘導するかまたはT細胞を活性化し、さらに、以下の活性:(1)カルシウム流動の誘導、(2)TCRシグナル伝達経路内の分子のリン酸化の誘導、(3)同種抗原に対するT細胞応答の阻止、(4)抗原に対するメモリーT細胞応答の阻止、および(5)TCR複合体の下方調節のうちの1つ以上が可能であり得る。

0050

好ましい実施形態において、本融合タンパク質は、配列番号293、294、298または299に示されているようなアミノ酸配列を含む。関連する好ましい実施形態において、配列番号293、294、298および299のアミノ酸247〜261におけるヒンジ配列は、配列番号379〜434に示されているようなヒンジアミノ酸配列で置き換えられる。さらに好ましい実施形態において、配列番号293、294、298および299の免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドは、EUナンバリングによるところの318、320および322位におけるアミノ酸置換をさらに含む。

0051

関連する態様において、本開示は、そのアミノ末端からそのカルボキシ末端に向かって:(a)必要に応じて免疫グロブリンCH2領域ポリペプチド、(b)免疫グロブリンCH3領域ポリペプチド、(c)リンカーポリペプチド、および(d)TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるPIMSタンパク質の形態の一本鎖融合タンパク質を提供する。その免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドは、存在するとき、本明細書中に提供されるSMIP融合タンパク質と同じタイプの変異を含み得る。さらに、PIMSタンパク質は、本明細書中に記載されるようにSMIP融合タンパク質が有する望ましい生物学的活性のうちの1つ以上を有する。

0052

(結合ドメイン)
本明細書中に記載されるように、本開示の融合タンパク質は、TCR複合体またはその構成要素(例えば、CD3、TCRα、TCRβまたはそれらの任意の組み合わせ)に特異的に結合する結合ドメインを含む。

0053

本開示に記載の「結合ドメイン」または「結合領域」は、例えば、生物学的分子(例えば、TCR複合体またはその構成要素)を特異的に認識してそれに結合する能力を有する任意のタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドまたはペプチドであり得る。結合ドメインは、目的の生物学的分子に対する、任意の天然に存在するか、合成か、半合成か、または組換え的に生成された結合パートナーを含む。例えば、結合ドメインは、抗体の軽鎖可変ドメイン領域および重鎖可変ドメイン領域であり得、または軽鎖可変ドメイン領域および重鎖可変ドメイン領域は、一本鎖においていずれかの向き(例えば、VL−VHまたはVH−VL)で共に連結され得る。特定の標的と特異的に結合する本開示の結合ドメインを同定するための種々のアッセイが知られており、それらとしては、ウエスタンブロットELISAフローサイトメトリーまたはBiacoreTM分析が挙げられる。

0054

結合ドメイン(またはその融合タンパク質)は、例えば、約105M−1以上の親和性またはKa(すなわち、1/Mという単位を有する、特定の結合相互作用平衡会合定数)で標的分子に結合するかまたはそれと会合する場合、その結合ドメインは、標的分子に「特異的に結合する」。ある特定の実施形態において、結合ドメイン(またはその融合タンパク質)は、約106M−1、約107M−1、約108M−1、約109M−1、約1010M−1、約1011M−1、約1012M−1または約1013M−1以上のKaで標的に結合する。「高親和性」結合ドメイン(またはその一本鎖融合タンパク質)とは、少なくとも107M−1、少なくとも108M−1、少なくとも109M−1、少なくとも1010M−1、少なくとも1011M−1、少なくとも1012M−1、少なくとも1013M−1またはそれ以上のKaを有する結合ドメインのことを指す。あるいは、親和性は、Mという単位を有する、特定の結合相互作用の平衡解離定数(Kd)として定義され得る(例えば、10−5M〜10−13Mまたはそれ未満)。本開示に記載の結合ドメインポリペプチドおよび融合タンパク質の親和性は、従来の手法を用いて容易に測定され得る(例えば、Scatchardら(1949)Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660;および米国特許第5,283,173号;同第5,468,614号、または等価物を参照のこと)。

0055

「T細胞レセプター」(TCR)は、一般に、主要組織適合遺伝子複合体MHC)分子に結合した抗原の認識にCD3とともに関与する、T細胞の表面上に見られる分子である。T細胞レセプターは、ほとんどのT細胞において、高度に可変性のαおよびβ鎖ジスルフィドで連結されたヘテロ二量体からなる。他のT細胞では、可変γおよびδ鎖から構成される代替のレセプターが、発現される。TCRの各鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーであり、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン膜貫通領域、およびC末端に短い細胞質テイルを有する(Abbas and Lichtman,Cellular and Molecular Immunology(5th Ed.),Editor:Saunders,Philadelphia,2003;Janewayら、Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4th Ed.,Current Biology Publications,p148,149および172,1999を参照のこと)。本開示に使用されるようなTCRは、ヒト、マウス、ラットまたは他の哺乳動物を含む様々な動物種に由来し得る。

0056

「抗TCR融合タンパク質、SMIPまたは抗体」とは、TCR分子またはその個別の鎖(例えば、TCRα、TCRβ、TCRγまたはTCRδ鎖)のうちの1つに特異的に結合する融合タンパク質、SMIPまたは抗体のことを指す。ある特定の実施形態において、抗TCR融合タンパク質、SMIPまたは抗体は、TCRα、TCRβまたはその両方に特異的に結合する。

0057

「CD3」は、6本の鎖の多タンパク質複合体として当該分野で知られている(Abbas and Lichtman,2003;Janewayら、p172および178,1999を参照のこと)。哺乳動物において、この複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2本のCD3ε鎖、およびCD3ζ鎖のホモ二量体を含む。そのCD3γ、CD3δおよびCD3ε鎖は、単一の免疫グロブリンドメインを含む免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連する細胞表面タンパク質である。そのCD3γ、CD3δおよびCD3ε鎖の膜貫通領域は、負に帯電しており、これは、これらの鎖が正に帯電したT細胞レセプター鎖と会合することを可能にする特徴である。そのCD3γ、CD3δおよびCD3ε鎖の各々の細胞内テイルは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフまたはITAMとして知られる保存されたモチーフを1つ含み、一方、各CD3ζ鎖は、3つ含む。理論に拘束されるものではないが、これらのITAMが、TCR複合体(compelx)のシグナル伝達の能力にとって重要であると考えられる。本開示において使用されるようなCD3は、ヒト、マウス、ラットまたは他の哺乳動物を含む様々な動物種に由来し得る。

0058

「抗CD3融合タンパク質、SMIPまたは抗体」は、本明細書中で使用されるとき、個別のCD3鎖(例えば、CD3γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖)または2本以上の個別のCD3鎖から形成される複合体(例えば、2本以上のCD3ε鎖の複合体、CD3γとCD3ε鎖との複合体、CD3δとCD3ε鎖との複合体)に特異的に結合する融合タンパク質、SMIPまたは抗体のことを指す。ある特定の好ましい実施形態において、抗CD3融合タンパク質、SMIPまたは抗体は、CD3γ、CD3δ、CD3εまたはそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは、CD3εに特異的に結合する。

0059

「TCR複合体」は、本明細書中で使用されるとき、CD3とTCRの会合によって形成される複合体のことを指す。例えば、TCR複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2本のCD3ε鎖、CD3ζ鎖のホモ二量体、TCRα鎖およびTCRβ鎖から構成され得る。あるいは、TCR複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2本のCD3ε鎖、CD3ζ鎖のホモ二量体、TCRγ鎖およびTCRδ鎖から構成され得る。

0060

「TCR複合体の構成要素」は、本明細書中で使用されるとき、TCR鎖(すなわち、TCRα、TCRβ、TCRγまたはTCRδ)、CD3鎖(すなわち、CD3γ、CD3δ、CD3εまたはCD3ζ)または、2本以上のTCR鎖またはCD3鎖によって形成される複合体(例えば、TCRαとTCRβとの複合体、TCRγとTCRδとの複合体、CD3εとCD3δとの複合体、CD3γとCD3εとの複合体、またはTCRαと、TCRβと、CD3γと、CD3δと、2本のCD3ε鎖とのサブTCR複合体)のことを指す。

0061

バックグラウンドとして、TCR複合体は、一般に、MHC分子に結合した抗原に対するT細胞応答の惹起に関与する。TCRおよびコレセプター(すなわち、CD4またはCD8)にペプチド:MHCリガンドが結合することにより、TCR複合体、コレセプターおよびCD45チロシンホスファターゼが寄せ集められると考えられている。これによって、CD45が阻害性リン酸基を除去し、それにより、LckおよびFynタンパク質キナーゼが活性化される。これらのタンパク質キナーゼが活性化されると、CD3ζ鎖上のITAMがリン酸化され、そしてこのことは、この鎖をサイトゾルチロシンキナーゼZAP−70に結合可能にする。続いて、結合したZAP−70がリン酸化によって活性化されることにより、3つのシグナル伝達経路が誘発され、それらのうちの2つは、PLC−γのリン酸化および活性化によって開始され、次いで、PLC−γは、ホスファチジルイノシトール(phoshatidylinositol)リン酸(PIP)をジアシルグリセロール(DAG)およびイノシトール三リン酸(IP3)に切断する。DAGによってタンパク質キナーゼCが活性化されると、転写因子NFκBが活性化される。IP3作用の結果として、細胞内の遊離Ca2+が急激に上昇すると、細胞質のホスファターゼであるカルシニューリンが活性化され、それが転写因子NFAT(活性化されたT細胞の核因子)を細胞質から核に移動させる。NFATの完全な転写活性には、転写因子のAP−1ファミリーのメンバー;転写制御因子のFosおよびJunファミリーのメンバーの二量体も必要である。活性化されたZAP−70によって開始される第3のシグナル伝達経路は、Rasの活性化およびそれに続くMAPキナーゼカスケードの活性化である。これは、Fosの活性化、ゆえにAP−1転写因子の活性化に至る。NFκB、NFATおよびAP−1が、共にT細胞染色体に対して作用することにより、T細胞の分化、増殖およびエフェクター作用をもたらす新しい遺伝子転写が開始される。Janewayら、p178,1999を参照のこと。

0062

ある特定の実施形態において、本開示の結合ドメインは、個別のCD3鎖(例えば、CD3γ、CD3δまたはCD3ε)または個別のCD3鎖の2本以上の組み合わせ(例えば、CD3γおよびCD3εから形成された複合体またはCD3δおよびCD3εから形成された複合体)に特異的に結合する。ある特定の実施形態において、本結合ドメインは、個別のヒトCD3鎖(例えば、ヒトCD3γ鎖、ヒトCD3δ鎖およびヒトCD3ε鎖)または個別のヒトCD3鎖の2本以上の組み合わせ(例えば、ヒトCD3γとヒトCD3εとの複合体またはヒトCD3δとヒトCD3εとの複合体)に特異的に結合する。ある特定の好ましい実施形態において、本結合ドメインは、ヒトCD3ε鎖に特異的に結合する。

0063

ある特定の他の実施形態において、本開示の結合ドメインは、TCRα、TCRβ、またはTCRαおよびTCRβから形成されたヘテロ二量体に特異的に結合する。ある特定の好ましい実施形態において、結合ドメインは、ヒトTCRα、ヒトTCRβ、またはヒトTCRαおよびヒトTCRβから形成されるヘテロ二量体のうちの1つ以上に特異的に結合する。

0064

ある特定の実施形態において、本開示の結合ドメインは、1本以上のTCR鎖と1本以上のCD3鎖から形成された複合体(例えば、CD3γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖、TCRα鎖もしくはTCRβ鎖またはそれらの任意の組み合わせから形成された複合体)に結合する。他の実施形態において、本開示の結合ドメインは、1本のCD3γ鎖、1本のCD3δ鎖、2本のCD3ε鎖、1本のTCRα鎖および1本のTCRβ鎖から形成された複合体に結合する。さらに好ましい実施形態において、本開示の結合ドメインは、1本以上のヒトTCR鎖とともに1本以上のヒトCD3鎖から形成された複合体(例えば、ヒトCD3γ鎖、ヒトCD3δ鎖、ヒトCD3ε、ヒトTCRα鎖もしくはヒトTCRβ鎖またはそれらの任意の組み合わせから形成された複合体)に結合する。ある特定の実施形態において、本開示の結合ドメインは、1本のヒトCD3γ鎖、1本のヒトCD3δ鎖、2本のヒトCD3ε鎖、1本のヒトTCRα鎖および1本のヒトTCRβ鎖から形成された複合体に結合する。

0065

本開示の結合ドメインは、本明細書中に記載されるように、または当該分野で公知の種々の方法(例えば、米国特許第6,291,161号;同第6,291,158号を参照のこと)によって生成され得る。結合ドメインの供給源としては、ヒト、ラクダ科ラクダヒトコブラクダまたはラマ;Hamers−Castermanら(1993)Nature,363:446およびNguyenら(1998)J.Mol.Biol.,275:413)、サメ(Rouxら(1998)Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)95:11804)、魚類(Nguyenら(2002)Immunogenetics,54:39)、げっ歯類鳥類またはヒツジをはじめとした、様々な種由来の抗体可変ドメイン核酸配列が挙げられる(抗体、sFv、scFvまたはFabとして、例えば、ファージライブラリーにおいて、形式設定され得る)。本開示の結合ドメインが由来し得る例示的な抗CD3抗体としては、Cris−7モノクローナル抗体(Reinherz,E.L.ら(eds.),Leukocyte typingII.,Springer Verlag,New York,(1986))、BC3モノクローナル抗体(Anasettiら(1990)J.Exp.Med.172:1691)、OKT3(Ortho multicenter Transplant Study Group(1985)N.Engl.J.Med.313:337)およびそれらの誘導体(例えば、OKT3 ala−ala(Heroldら(2003)J.Clin.Invest.11:409)、ビジリズマブ(Carpenterら(2002)Blood 99:2712)ならびに145−2C11モノクローナル抗体(Hirschら(1988)J.Immunol.140:3766))が挙げられる。例示的な抗TCR抗体は、H57モノクローナル抗体(Lavasaniら(2007)Scandinavian Journal of Immunology 65:39−47)である。

0066

本開示の結合ドメインの代替の供給源としては、ランダムペプチドライブラリーをコードする配列、または代替の非抗体骨格(例えば、フィブリノゲンドメイン(例えば、Weiselら(1985)Science 230:1388を参照のこと)、Kunitzドメイン(例えば、米国特許第6,423,498号を参照のこと)、リポカリンドメイン(例えば、WO2006/095164を参照のこと)、V様ドメイン(例えば、米国特許出願公開番号2007/0065431を参照のこと)、C型レクチンドメイン(Zelensky and Gready(2005)FEBSJ.272:6179)、mAb2またはFcabTM(例えば、PCT特許出願公開番号WO2007/098934;WO2006/072620を参照のこと)など)のループ領域における操作された様々なアミノ酸をコードする配列が挙げられる。例えば、本開示の結合ドメインは、CD3鎖に特異的に結合するFabフラグメントについてFabファージライブラリーをスクリーニングすることによって同定され得る(Hoetら(2005)Nature Biotechnol.23:344を参照のこと)。

0067

さらに、簡便な系(例えば、マウス、HuMAb mouse(登録商標)、TC mouseTM、KM−mouse(登録商標)、ラマ、ニワトリ、ラット、ハムスターウサギなど)において免疫原としてCD3鎖を使用したハイブリドーマ開発のための従来のストラテジーを用いることにより、本開示の結合ドメインが開発され得る。

0068

いくつかの実施形態において、結合ドメインは、TCR複合体またはその構成要素に特異的なVHおよびVLドメインを含む一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。好ましい実施形態において、VHおよびVLドメインは、ヒトVHおよびVLドメインまたはヒト化VHおよびVLドメインである。例示的なVHドメインとしては、それぞれ配列番号2、6、49および58に示されているようなBC3 VH、OKT3 VH、H57 VHおよび2C11 VHドメインが挙げられる。さらなる例示的なVHドメインとしては、配列番号220、243、244および245に示されているドメインなどのCris−7 VHドメインが挙げられる。例示的なVLドメインは、それぞれ配列番号4、8、51および60に示されているようなBC3 VL、OKT3 VL、H57 VLおよび2C11 VLドメインである。さらなる例示的なVLドメインとしては、配列番号222、241および242に示されているドメインなどのCris−7 VLドメインが挙げられる。ある特定の実施形態において、結合ドメインは、TCR複合体またはその構成要素(例えば、CD3ε、TCRα、TCRβ、TCRγおよびTCRδまたはそれらの組み合わせ)に特異的に結合するモノクローナル抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体由来の軽鎖可変領域(VL)(例えば、配列番号4、8、51、60、222、241または242)もしくは重鎖可変領域(VH)(例えば、配列番号2、6、49、58、220、243、244または245)またはその両方のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または100%同一である配列を含むか、またはその配列である。

0069

配列同一性」は、本明細書中で使用されるとき、配列をアラインメントし、必要であれば、最大パーセント配列同一性を達成するようにギャップを導入した後の、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない、別の参照ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である、1つの配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージのことを指す。そのパーセンテージ配列同一性の値は、Altschulら(1997)“GappedBLASTand PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs”,Nucleic AcidsRes.25:3389−3402によって定義されているようなNCBI BLAST2.0ソフトウェアを、デフォルトの値に設定されたパラメータで使用して生成され得る。

0070

ある特定の実施形態において、本開示の結合ドメインVH領域は、公知のモノクローナル抗体(例えば、Cris−7、BC3、OKT3(それらの誘導体を含む))のVHに由来し得るか、または基づき得、公知のモノクローナル抗体のVHと比べたとき、1つ以上の挿入、1つ以上の欠失、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換)または上で述べた変更の組み合わせを含む。改変されたVH領域を含む結合ドメインが、野生型結合ドメインに類似の親和性でその標的になおも特異的に結合し得るという条件で、その挿入、欠失または置換は、VH領域のアミノ末端もしくはカルボキシ末端または両端を含むこの領域内の任意の位置に存在してよい。

0071

ある特定の実施形態において、本開示の結合ドメイン内のVL領域は、公知のモノクローナル抗体(例えば、Cris−7、BC3、OKT3(それらの誘導体を含む))のVLに由来するか、または基づき、公知のモノクローナル抗体のVLと比べたとき、1つ以上の挿入、1つ以上の欠失、1つ以上のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)または上で述べた変更の組み合わせを含む。改変されたVL領域を含む結合ドメインが、野生型結合ドメインに類似の親和性でその標的になおも特異的に結合し得るという条件で、その挿入、欠失または置換は、VL領域のアミノ末端もしくはカルボキシ末端または両端を含むこの領域内の任意の位置に存在してよい。

0072

上記VHおよびVLドメインは、いずれかの向き(すなわち、アミノ末端からカルボキシ末端に向かってVH−VLまたはVL−VH)で配置され得、可変ドメイン連結配列によって引き離され得る。ある特定の実施形態において、可変ドメイン連結配列は、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)1(配列番号343)、(Gly3Ser)2(Gly4Ser)1(配列番号344)、(Gly3Ser)3(Gly4Ser)1(配列番号345)、(Gly3Ser)4(Gly4Ser)1(配列番号346)、(Gly3Ser)5(Gly4Ser)1(配列番号347)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)1(配列番号348)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)2(配列番号349)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)3(配列番号350)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)4(配列番号351)、(Gly3Ser)1(Gly4Ser)5(配列番号352)、(Gly3Ser)3(Gly4Ser)3(配列番号353)、(Gly3Ser)4(Gly4Ser)4(配列番号354)、(Gly3Ser)5(Gly4Ser)5(配列番号355)または(Gly4Ser)2(配列番号356)、(Gly4Ser)3(配列番号145)、(Gly4Ser)4(配列番号357)もしくは(Gly4Ser)5(配列番号358)を含む、GlySer、Gly2Ser(配列番号339)、Gly3Ser(配列番号340)、Gly4Ser(配列番号341)およびGly5Ser(配列番号342)のファミリーに属するものを含む。ある特定の実施形態において、可変ドメイン連結配列は、GGGGSGGGGSGGGGSAQ(配列番号98)である。好ましい実施形態において、これらの(GlyxSer)ベースのリンカーは、可変ドメインを連結するために使用され、結合ドメイン(例えば、scFv)をFcテイル(例えば、IgGCH2CH3)に連結するために使用されない。ある特定の実施形態において、可変ドメイン連結配列は、約5〜約35アミノ酸を含み、好ましくは、約15〜約25アミノ酸を含む。

0073

本明細書中に記載されるような、特定のドメインまたは領域のアミノ末端またはカルボキシ末端における任意の挿入、欠失または置換は、例えば、1つの可変領域が別の可変領域に連結されるように操作された結果(例えば、VH領域とVL領域との間またはVL領域とVH領域との間の接合部におけるアミノ酸の変更)または結合ドメインが定常領域に連結されるように操作された結果(例えば、結合ドメインとヒンジリンカーとの間の接合部におけるアミノ酸の変更)であり得る。例えば、1つ以上(例えば、2〜8つ)のアミノ酸が、以下で詳細に記載されるような融合タンパク質接合部の1つ以上において付加され得るか、欠失され得るか、または置換され得る。

0074

本開示の例示的な結合ドメインは、配列番号18、20、48、62および258〜264に示されているようなものを含む。ある特定の好ましい実施形態において、本開示の一本鎖融合タンパク質は、配列番号258〜264のいずれか1つに示されているようなアミノ酸配列を有する結合ドメインを含む。

0075

(リンカーポリペプチド)
本明細書中に記載されるように、本開示の融合タンパク質は、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを、免疫グロブリンCH2領域または免疫グロブリンCH3領域に連結するリンカーポリペプチドを含む。リンカーは、融合タンパク質の結合ドメインとその残りとの間にスペースを入れる機能を提供することに加えて、その標的(すなわち、TCR複合体またはその構成要素、例えば、CD3)と相互作用するために融合タンパク質の結合ドメインを正しい向きにするのに適した柔軟性または剛性を提供し得る。さらに、リンカーは、完全長融合タンパク質の発現を補助し得、インビトロと、ヒトなどのその必要のある被験体に投与した後のインビボの両方において精製タンパク質に安定性を提供し得、好ましくは、リンカーは、そのような被験体において免疫原性でないか、または免疫原性が乏しい。

0076

本開示において企図されるリンカーは、例えば、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーのドメイン間領域に由来するペプチド、免疫グロブリンドメイン間領域(例えば、抗体ヒンジ領域)またはC型レクチンストーク領域II型膜タンパク質のファミリー)(例えば、PCT出願公開番号WO2007/146968に示されている例示的なレクチンストーク領域配列、例えば、その公報の配列番号111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、251、253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、287、289、297、305、307、309〜311、313〜331、346、373〜377、380または381を参照のこと(これは、本明細書中で参考として援用される))および分化抗原(CD)分子のストーク領域を含む。

0077

本開示の融合タンパク質における使用に適したリンカーは、IgGヒンジ、IgAヒンジ、IgDヒンジ、IgECH2、IgMCH2またはそれらのフラグメントもしくは改変体から選択される抗体ヒンジ領域を含む。ある特定の好ましい実施形態において、リンカーは、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4またはそれらのフラグメントもしくは改変体から選択される抗体ヒンジ領域であり得る。いくつかの実施形態において、そのリンカーは、野生型ヒト免疫グロブリンヒンジ領域などの野生型免疫グロブリンヒンジ領域である。例示的なリンカーは、野生型ヒトIgG1ヒンジ領域および野生型マウスIGHG2cヒンジ領域であり、それらの配列は、それぞれ配列番号63および72に示されている。

0078

ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸残基が、融合タンパク質構築物設計の一部として野生型免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ末端またはカルボキシ末端に付加され得る。代表的な改変リンカーは、アミノ末端に追加の接合部アミノ酸残基(例えば、「RT」(例えば、配列番号100および52に示されている)、「RSS」(例えば、配列番号328および331〜338に示されている)、「TG」(例えば、配列番号177に示されている)または「T」(例えば、配列番号300に示されている));カルボキシ末端に追加の接合部アミノ酸残基(例えば、「SG」(例えば、配列番号212および213に示されている));または付加と組み合わされる欠失(例えば、カルボキシ末端に付加される「SG」を伴うΔP(例えば、配列番号212に示されている))を有し得る。

0079

好ましい実施形態において、リンカーは、変異IgG免疫グロブリンヒンジ領域などの変異免疫グロブリンヒンジ領域である。例えば、野生型ヒトIgG1ヒンジ領域は、3つのシステイン残基を含む:ヒンジ領域の最もアミノ末端側のシステインが、第1システインと呼ばれ、一方、最もカルボキシ末端側のシステインが、第3システインと呼ばれる。ある特定の実施形態において、リンカーは、第1システインがセリンで置換されているヒトIgG1ヒンジ領域などの、2つのシステイン残基しか有しない変異ヒトIgG1ヒンジ領域である。ある特定の他の実施形態において、リンカーは、第1、第2または第3システインなどの1つのシステイン残基しか有しない変異ヒトIgG1ヒンジ領域である。ある特定の実施形態において、ヒトIgG1ヒンジ領域内の第3システインに対してカルボキシ末端の第1プロリンが、例えば、セリンによって置換される。融合タンパク質の結合ドメインとその残りとの間のリンカーポリペプチドとして使用され得る例示的な変異ヒトIgG1ヒンジ領域は、配列表に列挙されている(例えば、リンカー47〜49、51および53〜60(それぞれ配列番号99、146〜148および150〜157))。ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸残基が、融合タンパク質構築物設計の一部として変異免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ末端またはカルボキシ末端に付加され得る。そのような改変リンカーの例は、配列番号10、335および300に示されており、ここで、それぞれアミノ酸残基「RT」、「RSS」または「T」が、変異ヒトIgG1ヒンジ領域のアミノ末端に付加されている。

0080

ある特定の実施形態において、リンカーは、1つまたは1つより多いシステイン残基を有し得るが、鎖間ジスルフィド結合を形成するために単一のシステイン残基(例えば、IgG1の第2または第3のシステイン)を有する。他の実施形態において、リンカーは、3つ以上のシステイン残基を有し得るが、鎖間ジスルフィド結合を形成するために2つのシステイン残基を有する。

0081

ある特定の実施形態において、本開示のリンカーポリペプチドは、野生型免疫グロブリンヒンジ領域(例えば、IgG1ヒンジ領域)に由来し、野生型免疫グロブリンヒンジ領域と比べたとき、改変ヒンジが、その標的と相互作用するために融合タンパク質の結合ドメインを正しい向きにするのに適した柔軟性または剛性を保持するという条件で、1つ以上(例えば、1、2、3または4つ)の挿入、1つ以上(例えば、1、2、3または4つ)の欠失、1つ以上(例えば、1、2、3または4つ)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換)または上で述べた変異の組み合わせを含む。その挿入、欠失または置換は、アミノ末端もしくはカルボキシ末端または両端を含む野生型免疫グロブリンヒンジ領域内の任意の位置に存在してよい。ある特定の実施形態において、リンカーポリペプチドは、野生型免疫グロブリンヒンジ領域(例えば、野生型ヒトIgG1ヒンジ、野生型ヒトIgG2ヒンジまたは野生型ヒトIgG4ヒンジ)と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むか、またはその配列である。

0082

代替のヒンジ配列またはリンカー配列は、IgV様ドメインまたはIgC様ドメインを接続する細胞表面レセプターの一部から作製され得る。細胞表面レセプターが複数のIgV様ドメインをタンデムに含むときのIgV様ドメイン間の領域、および細胞表面レセプターが複数のタンデムIgC様領域を含むときのIgC様ドメイン間の領域もまた、接続領域またはリンカーペプチドとして使用され得る。IgV様ドメインとIgC様ドメインとの間またはIgC様ドメイン間もしくはIgV様ドメイン間のドメイン間領域の代表的なヒンジ配列またはリンカー配列は、CD2、CD4、CD22、CD33、CD48、CD58、CD66、CD80、CD86、CD96、CD150、CD166およびCD244に見られる。さらなる代替のヒンジは、非免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー(例えば、CD69、CD72およびCD161)由来のII型レセプターのジスルフィド含有領域から作製され得る。

0083

ある特定の実施形態において、ヒンジ配列またはリンカー配列は、2〜150個のアミノ酸、5〜60個のアミノ酸、2〜40個のアミノ酸を有し、好ましくは、8〜20個を有し、より好ましくは、12〜15個のアミノ酸を有し、主に柔軟性であり得るが、より剛性の特徴も提供し得、または、βシート構造は最小で主にαヘリックス構造を含み得る。好ましくは、ヒンジ配列およびリンカー配列は、血漿中および血清中で安定であり、タンパク分解性切断に対して抵抗性である。ある特定の実施形態において、IgG1上部ヒンジ領域内の第1リジンが変異することにより、タンパク分解性切断が最小になり、好ましくは、そのリジンがメチオニン、トレオニン、アラニンまたはグリシンで置換されるか、または欠失される(例えば、アミノ末端に接合部アミノ酸(好ましくは、RT)を含み得る配列番号379〜434を参照のこと)。いくつかの実施形態において、配列は、分子のカルボキシ末端を安定化させる1つのジスルフィド結合または複数のジスルフィド結合を形成する能力を付与するコア構造CPPC(配列番号330)などの、天然に存在するモチーフまたは付加されたモチーフを含み得る。他の実施形態において、配列は、1つ以上のグリコシル化部位を含み得る。ヒンジの長さを変更することの予想外の特徴は、本開示の一本鎖融合タンパク質によって引き起こされるカルシウム流動のレベルの調節が可能になることである(実施例5を参照のこと)。カルシウム流動を調節するための例示的なヒンジは、配列番号212〜218を含む。さらに、ヒンジの長さおよび/または配列は、同種抗原に対するT細胞応答を阻止する際の融合タンパク質の活性にも影響し得る(実施例10を参照のこと)。本開示の融合タンパク質において接続領域として有用なリンカーは、配列番号379〜434に示されている。

0084

(免疫グロブリンCH2領域ポリペプチド)
本明細書中に記載されるように、本開示の融合タンパク質は、297位のアスパラギンにアミノ酸置換(例えば、アスパラギンからアラニンへの置換)を含む免疫グロブリンCH2領域を含み得る。そのようなアミノ酸置換によって、この部位におけるグリコシル化が減少するかまたは除去され、FcγRおよびC1qへの効率的なFc結合ができなくなる。

0085

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、234〜238位に少なくとも1つの置換または欠失を含む免疫グロブリンCH2領域を含み得る。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、234、235、236、237または238位、234および235位、234および236位、234および237位、234および238位、234〜236位、234、235および237位、234、236および238位、234、235、237および238位、236〜238位、または、234〜238位における2、3、4または5つのアミノ酸の他の任意の組み合わせの置換を含み得る。さらに、またはあるいは、変異CH2領域は、234〜238位、好ましくは、236位または237位の1つにおいて1つ以上(例えば、2、3、4または5つ)のアミノ酸欠失を含み得、同時に、他の位置が置換される。上で述べた変異は、本融合タンパク質の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性またはFcレセプター結合能を低下させるか、または喪失させる。ある特定の好ましい実施形態において、234〜238位の1つ以上におけるアミノ酸残基は、1つ以上のアラニン残基で置き換えられている。さらに好ましい実施形態において、234〜238位におけるアミノ酸残基のうちのただ1つが、欠失されており、234〜238位における残りのアミノ酸の1つ以上が、別のアミノ酸(例えば、アラニンまたはセリン)で置換され得る。

0086

ある特定の他の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、253、310、318、320、322および331位に1つ以上のアミノ酸置換を含む免疫グロブリンCH2領域を含み得る。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、253、310、318、320、322または331位、318および320位、318および322位、318、320および322位、または、253、310、318、320、322および331位における2、3、4、5または6つのアミノ酸の他の任意の組み合わせの置換を含み得る。上で述べた変異は、本融合タンパク質の補体依存性細胞傷害性(CDC)を低下させるか、または喪失させる。

0087

ある特定の他の実施形態において、本開示の融合タンパク質中の変異CH2領域は、297位におけるアミノ酸置換に加えて、234〜238位に1つ以上(例えば、2、3、4または5つ)の追加の置換をさらに含み得る。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、234および297位、234、235および297位、234、236および297位、234〜236および297位、234、235、237および297位、234、236、238および297位、234、235、237、238および297位、236〜238および297位、または297位に加えて234〜238位における2、3、4もしくは5つのアミノ酸の任意の組み合わせの置換を含み得る。さらに、またはあるいは、変異CH2領域は、236位または237位などの234〜238位に1つ以上(例えば、2、3、4または5つ)のアミノ酸欠失を含み得る。その追加の変異は、本融合タンパク質の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性またはFcレセプター結合能を低下させるか、または喪失させる。ある特定の実施形態において、234〜238位の1つ以上におけるアミノ酸残基は、1つ以上のアラニン残基で置き換えられている。さらなる実施形態において、234〜238位におけるアミノ酸残基のうちのただ1つが、欠失しており、234〜238位における残りのアミノ酸の1つ以上が、別のアミノ酸(例えば、好ましくは、アラニンまたはセリン)で置換され得る。

0088

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質中の変異CH2領域は、234〜238位における1つ以上(例えば、2、3、4または5つ)のアミノ酸置換に加えて、補体結合に関与する1つ以上の位置(例えば、I253、H310、E318、K320、K322またはP331位)に1つ以上(例えば、2、3、4、5または6つ)の追加のアミノ酸置換(例えば、アラニンによる置換)を含み得る。好ましい変異免疫グロブリンCH2領域としては、234、235、237(存在する場合)、318、320および322位にアラニン置換を有する、ヒトIgG1、IgG2、IgG4およびマウスIgG2aのCH2領域が挙げられる。例示的な変異免疫グロブリンCH2領域は、L234、L235、G237、E318、K320およびK322にアラニン置換を有するマウスIGHG2c CH2領域である(配列番号50)。

0089

なおもさらなる実施形態において、本開示の融合タンパク質中の変異CH2領域は、297位におけるアミノ酸置換、および234〜238位における追加の欠失または置換に加えて、253、310、318、320、322および331位に1つ以上(例えば、2、3、4、5または6つ)の追加の置換をさらに含み得る。例えば、免疫グロブリンCH2領域は、(1)297位における置換、(2)234〜238位における1つ以上の置換もしくは欠失またはそれらの組み合わせ、および、I253、H310、E318、K320、K322およびP331位における1つ以上(例えば、2、3、4、5または6つ)のアミノ酸置換(例えば、E318、K320およびK322位における1、2、3つの置換)を含み得る。好ましくは、上で述べた位置におけるアミノ酸は、アラニンまたはセリンによって置換される。

0090

ある特定の実施形態において、免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドは:(i)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234、235、236または237位における1つのアミノ酸置換;(ii)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜237位の2つにおけるアミノ酸置換;(iii)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、および234〜237位の3つにおけるアミノ酸置換;(iv)297位のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、234、235および237位におけるアミノ酸置換、ならびに236位におけるアミノ酸欠失;(v)234〜237位の3つにおけるアミノ酸置換、ならびに318、320および322位におけるアミノ酸置換;または(vi)234〜237位の3つにおけるアミノ酸置換、236位におけるアミノ酸欠失、ならびに318、320および322位におけるアミノ酸置換を含む。

0091

本開示の融合タンパク質中の297位のアスパラギンにアミノ酸置換を有する例示的な変異免疫グロブリンCH2領域は:L234、L235、G237およびN297にアラニン置換、ならびにG236に欠失を有するヒトIgG1 CH2領域(配列番号103)、V234、G236およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG2 CH2領域(配列番号104)、F234、L235、G237およびN297にアラニン置換、ならびにG236に欠失を有するヒトIgG4 CH2領域(配列番号75)、F234およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(配列番号375)、L235およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(配列番号376)、G236およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(配列番号377)、ならびに、G237およびN297にアラニン置換を有するヒトIgG4 CH2領域(配列番号378)を含む。

0092

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質中の変異CH2領域は、上に記載されたアミノ酸置換に加えて、上で述べた位置以外の1つ以上の位置に1つ以上の追加のアミノ酸置換を含み得る。そのようなアミノ酸置換は、保存的または非保存的なアミノ酸置換であり得る。例えば、ある特定の実施形態において、P233は、変異IgG2 CH2領域ではE233に変更され得る(例えば、配列番号104を参照のこと)。さらに、またはあるいは、ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質中の変異CH2領域は、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失またはその両方を含み得る。その挿入、欠失または置換は、免疫グロブリンCH2領域内の任意の位置(例えば、リンカーを介してCH2領域を別の領域(例えば、可変領域)と連結することによって生じる野生型免疫グロブリンCH2領域のN末端またはC末端)に存在し得る。

0093

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質中の変異CH2領域は、野生型免疫グロブリンCH2領域(例えば、野生型ヒトIgG1、IgG2もしくはIgG4またはマウスIgG2a(例えば、IGHG2c)のCH2領域)と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むか、またはその配列である。

0094

本開示の融合タンパク質中の変異免疫グロブリンCH2領域は、様々な種(ヒト、マウス、ラットおよび他の哺乳動物を含む)由来の様々な免疫グロブリンアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2およびIgD)のCH2領域に由来し得る。ある特定の好ましい実施形態において、本開示の融合タンパク質中の変異免疫グロブリンCH2領域は、配列が配列番号64、66、68および73に示されている、ヒトIgG1、IgG2もしくはIgG4またはマウスIgG2a(例えば、IGHG2c)のCH2領域に由来し得る。

0095

Fcレセプター(CD16、CD32、CD64、CD89、FcεR1、FcRn)または補体成分C1qとのFc相互作用を変化させ得る変異をFcドメインの内側または外側に作製するための方法は、当該分野で公知である(例えば、米国特許第5,624,821号;Presta(2002)Curr.Pharma.Biotechnol.3:237を参照のこと)。

0096

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、いかなる免疫グロブリンCH2領域も含まない。

0097

(免疫グロブリンCH3領域ポリペプチド)
本明細書中に記載されるように、本開示の融合タンパク質は、1つ以上の免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、いかなるCH2領域も含まない。そのような実施形態において、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインは、リンカー(例えば、ヒンジ)ポリペプチドを介して免疫グロブリンCH3領域に直接連結される。CH2領域が存在しないある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、ただ1つのCH3領域を含み得る。代替の実施形態は、2つのCH3領域を含み、CH2領域を含まない、本開示の融合タンパク質を含む。

0098

融合タンパク質が変異免疫グロブリンCH2領域と免疫グロブリンCH3領域の両方を含む実施形態において、そのCH2およびCH3領域は、同じかまたは異なる免疫グロブリン、抗体アイソタイプまたは対立遺伝子改変体に由来し得る。好ましくは、そのCH2領域は、CH3領域のアミノ末端に直接連結される。CH3領域のアミノ末端に直接連結されるCH2領域を含む例示的な配列は、配列番号11〜14および101に示されている。あるいは、そのCH2領域は、1つ以上のアミノ酸またはリンカーを介してそのCH3領域に連結され得る(例えば、配列表に示されているようなリンカーを参照のこと)。

0099

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、2つの免疫グロブリンCH3領域を含み得る。これらのCH3領域は、同じ免疫グロブリンアイソタイプ由来の野生型CH3領域もしくは変異CH3領域であり得、または異なる免疫グロブリンアイソタイプに由来し得る。例えば、ある特定の他の実施形態において、融合タンパク質は、ヒトIgMのCH3領域およびヒトIgG1のCH3領域を含む。ヒトIgMのCH3領域とヒトIgG1のCH3領域とが共に連結されている例示的な配列としては、配列番号15および74が挙げられる。ある特定の他の実施形態において、融合タンパク質は、マウスCH3μ領域およびマウスCH3γ領域を含む。マウスCH3μ領域とマウスCH3γ領域とが共に連結されている例示的な配列としては、配列番号308および309が挙げられる。

0100

本融合タンパク質が2つの免疫グロブリンCH3領域を含む実施形態において、他方のCH3領域に対してアミノ末端に位置するCH3領域は、「第1CH3領域」と呼ばれる。その他方のCH3領域は、「第2CH3領域」と呼ばれる。そのような実施形態において、それら2つの免疫グロブリンCH3領域は、互いに直接融合され得る。換言すれば、第1CH3領域のC末端は、第2CH3領域のアミノ末端に、それらの間にいかなる介在アミノ酸残基もなしに(すなわち、リンカーの非存在下で)直接連結される。あるいは、それら2つのCH3領域は、1つ以上(例えば、2〜8つ)のアミノ酸またはリンカー(例えば、配列表に示されているようなリンカーを参照のこと)を介して連結され得る。

0101

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質中の免疫グロブリンCH3領域は、1つ以上(例えば、2〜8つ)の追加のアミノ酸置換を含み得る。そのようなアミノ酸置換は、保存的であってもよいし、非保存的であってもよい。さらに、またはあるいは、ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質中のCH3領域は、様々な位置に1つ以上(例えば、2〜8つ)のアミノ酸の挿入、欠失またはその両方を含み得る。その挿入、欠失または置換は、アミノ末端もしくはカルボキシ末端またはその両方を含む、免疫グロブリンCH3領域内の任意の位置に存在してよい。

0102

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質中の免疫グロブリンCH3領域は、野生型免疫グロブリンCH3領域(例えば、野生型ヒトIgM、IgG1、IgG2またはIgG4のCH3領域)と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むか、またはその配列である。

0103

ある特定の実施形態において、免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドは、様々な種(すなわち、ヒト、マウス、ラットまたは他の哺乳動物)由来の様々な免疫グロブリンアイソタイプ(例えば、IgA、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgEまたはIgM)のいずれか1つの野生型CH3領域を含む野生型免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドである。例えば、その免疫グロブリンCH3領域は、野生型ヒトIgG1 CH3領域(例えば、配列番号65)、野生型ヒトIgG2 CH3領域(例えば、配列番号67)、野生型ヒトIgG4 CH3領域(例えば、配列番号69)、野生型ヒトIgM CH3領域(例えば、配列番号71)、マウスCH3μ領域(例えば、配列番号329)または野生型マウスIGHG2c CH3領域(例えば、配列番号54)であり得る。さらなる実施形態において、免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドは、変異免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドである。その免疫グロブリンCH3領域内の変異は、補体結合に関与する、H433またはN434などの1つ以上の位置に存在し得る。

0104

(追加の配列および改変)
本明細書中に記載されるように、本開示の一本鎖融合タンパク質は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって:(a)CD3(例えば、CD3ε)に特異的に結合する結合ドメイン、(b)リンカーポリペプチド、(c)必要に応じて免疫グロブリンCH2領域ポリペプチド、および(d)免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドを含み得る。さらに、本開示の融合タンパク質は、1つ以上の追加領域、例えば、融合タンパク質を発現するための、そのアミノ末端におけるリーダー配列、追加のFcサブ領域(例えば、IgMまたはIgEの野生型または変異CH4領域)、または識別目的もしくは精製目的のための、そのカルボキシ末端におけるテイル配列を含み得る。例示的なテイル配列としては、検出用または精製用のエピトープタグ(例えば、6−ヒスチジン領域またはFLAGエピトープ)が挙げられ得る。

0105

例えば、本融合タンパク質は、特定の発現系の使用に起因する追加のアミノ酸残基を有し得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合生成物の一部として所望のポリペプチドを発現する市販のベクターを使用することにより、その所望のポリペプチドからGST成分を切断した後、−1位に追加のグリシン残基を有する所望のポリペプチドがもたらされる。通常、配列のカルボキシ末端および/またはアミノ末端のアミノ酸配列にヒスチジンタグが組み込まれているものを含む、他のベクター系における発現から生じる改変体もまた、企図される。融合タンパク質のカルボキシ末端またはアミノ末端に存在し得る例示的な追加配列は、配列番号70に示されているように、3コピーのFLAGエピトープ、1コピーのAVIタグおよび6つのヒスチジンを含む。

0106

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、そのN末端にリーダーペプチドを含む。そのリードペプチドは、発現された融合タンパク質の分泌を促進する。任意の従来のリーダーペプチド(シグナル配列)を用いることにより、新生の発現ポリペプチドまたは融合タンパク質を分泌経路に向かわせ、そして、そのリーダーペプチドと融合タンパク質との間の接合部または接合部付近でリーダーペプチドが成熟融合タンパク質から切断されると予想される。特定のリーダーペプチドは、当該分野において公知の考慮事項に基づいて選択される(例えば、分子的操作を容易にするため、制限エンドヌクレアーゼ切断部位をリーダーペプチドのコード配列の最初または最後に容易に含めることを可能にする核酸分子にコードされた配列を用いること)。ただし、そのリーダーペプチドが、そのポリペプチドまたは融合タンパク質の成熟中に切断されない場合に、そのような導入された配列は、新生の発現タンパク質からのリーダーペプチドの任意の所望のプロセシング容認しがたく干渉しないか、または、ポリペプチドまたは融合タンパク質の任意の所望の機能を容認しがたく干渉しないアミノ酸を規定する。本開示の例示的なリーダーペプチドは、天然のリーダー配列またはその他のもの(例えば、H3N−MDFQVQIFSFLLISASVIMSRG−CO2H(配列番号9))を含む。

0107

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、グリコシル化され、ここで、グリコシル化のパターンは、種々の因子に依存し、その因子としては、そのタンパク質が発現される宿主細胞(組換え宿主細胞内で調製される場合)および培養条件が挙げられる。

0108

さらなる実施形態において、本開示の融合タンパク質の免疫グロブリンCH2またはCH3領域は、免疫グロブリン参照配列のCH2またはCH3領域と比べて、変更されたグリコシル化パターンを有し得る。例えば、任意の種々の遺伝子操作を用いることにより、グリコシル化部位を形成する1つ以上の特定のアミノ酸残基が変更され得る(Coら(1993)Mol.Immunol.30:1361;Jacquemonら(2006)J.Thromb.Haemost.4:1047;Schusterら(2005)Cancer Res.65:7934;Warnockら(2005)Biotechnol.Bioeng.92:831を参照のこと)。あるいは、本開示の融合タンパク質を産生する宿主細胞が、変更されたグリコシル化パターンをもたらすように操作され得る。

0109

ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書中に記載される融合タンパク質の誘導体も提供する。誘導体には、アミノ酸残基の挿入、欠失または置換以外の改変を有する融合タンパク質が含まれる。好ましくは、その改変は、本質的に共有結合性であり、例えば、ポリマー、脂質、他の有機部分および無機部分との化学結合が挙げられる。本開示の誘導体は、特定の融合タンパク質の循環半減期延長するように調製され得、またはその融合タンパク質が所望の細胞、組織または臓器を標的とする能力を改善するように設計され得る。

0110

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質のインビボ半減期は、大分子の半減期を延長するための当該分野で公知の方法を用いて延長され得る。例えば、本開示は、1つ以上の水溶性ポリマー付着物(例えば、ポリエチレングリコールポリオキシエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール)を含むように共有結合的に改変されたかまたは誘導体化された融合タンパク質を包含する(例えば、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号;同第4,179,337号を参照のこと)。当該分野で公知のなおも他の有用なポリマーとしては、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストランセルロースおよび他の炭水化物ベースのポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマーポリプロピレンオキシドエチレンオキシドコポリマーポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール、ならびにこれらのポリマーの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコール(PEG)で誘導体化されたタンパク質が、特に好ましい。水溶性ポリマーは、特定の位置、例えば、本開示に記載の融合タンパク質のアミノ末端に結合され得るか、またはそのポリペプチドの1つ以上の側鎖にランダムに付着され得る。治療能力を改善するためのPEGの使用は、米国特許第6,133,426号に記載されている。

0111

いくつかの実施形態において、本開示に記載の融合タンパク質は、アミノ末端に配置された免疫グロブリンヒンジ領域をさらに含むPIMS分子である。そのアミノ末端のヒンジ領域は、免疫グロブリンCH3領域と結合ドメインとの間に見られるリンカーと同じであってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、アミノ末端に配置されたリンカーが、天然に存在するモチーフまたは付加されたモチーフ(例えば、CPPC、配列番号330)を含むことにより、二量体化または多量体化された分子のアミノ末端を安定化する少なくとも1つのジスルフィド結合の形成が促進される。

0112

(融合タンパク質を作製するためおよび精製するための方法)
本開示の融合タンパク質は、当該分野で公知の方法に従って作製され得る。例えば、SMIP融合タンパク質を作製するための方法は、米国特許公開第2003/0133939号、同第2003/0118592号および同第2005/0136049号に記載されており、PIMSタンパク質を作製するための方法は、例えば、PCT出願公開番号WO2009/023386に記載されている。

0113

ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書中に記載されるような精製された融合タンパク質を提供する。用語「精製された」は、本明細書中で使用されるとき、その融合タンパク質がその天然で入手可能な状態に比べて任意の程度に精製されている、他の成分から単離可能な組成物のことを指す。ゆえに、「精製されたタンパク質」とは、それが天然に存在する環境から単離された、そのようなタンパク質のことも指す。ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書中に記載されるような実質的に精製された融合タンパク質を提供する。「実質的に精製された」とは、タンパク質がその組成物の主成分を形成している(例えば、その組成物においてそのタンパク質が少なくとも約50重量%、例えば、少なくとも約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、約99重量%を構成する)タンパク質の組成物のことを指す。

0114

タンパク質精製法は、当業者に周知である。これらの手法は、1つのレベルにおいて、ポリペプチド画分および非ポリペプチド画分の粗分画を含む。クロマトグラフィおよび電気泳動の手法を用いることによって部分的または完全な精製(または均一までの精製)が達成されるさらなる精製が望まれることが多い。純粋な融合タンパク質の調製に特に適した分析方法は、イオン交換クロマトグラフィ、排除クロマトグラフィ;ポリアクリルアミドゲル電気泳動;および等電点電気泳動である。ペプチドを精製する特に効率的な方法は、高速タンパク質液体クロマトグラフィおよびHPLCである。

0115

精製の程度を定量化するための様々な方法は、本開示に鑑みて当業者に公知である。これらとしては、例えば、活性画分の比結合活性を測定すること、またはSDS/PAGE分析によって画分中のタンパク質の量を評価することが挙げられる。タンパク質画分純度を評価するための好ましい方法は、その画分の結合活性を計算し、それを最初の抽出物の結合活性と比較し、そして、「精製倍数」によって本明細書中で評価される精製の程度を計算することである。結合活性の量を表すために使用される実際の単位は、当然のことながら、精製を追跡するのに選択される特定のアッセイ手法、および発現されたタンパク質が検出可能な結合活性を示すか否かに依存する。

0116

(例示的な融合タンパク質)
本開示の例示的な一本鎖融合タンパク質としては、それぞれ配列番号80〜85、88〜93、96および97に示されているような、BC3IgG1 N297、BC3 IgG1AA、BC3 IgG2AA、BC3 IgG4AA、BC3 HM1、BC3 ΔCH2、OKT3 IgG1AA、OKT3 IgG2AA、OKT3 IgG4AA、OKT3 HM1、OKT3 ΔCH2、H57 null2および2C11 null2が挙げられる。本開示の例示的な好ましい一本鎖融合タンパク質としては、それぞれ配列番号265〜299に示されているような、キメラCris−7 IgG1AA、キメラCris−7 IgG2AA、キメラCris−7 IgG4AA、キメラCris−7 HM1、ヒト化Cris−7 IgG1AA、ヒト化Cris−7 IgG2AA、ヒト化Cris−7 IgG4AAおよびヒト化Cris−7 HM1が挙げられる。追加の例示的な一本鎖融合タンパク質としては、それぞれ配列番号86、87、94および95に示されているような、カルボキシ末端のタグを有しない、BC3 HM1、BC3 ΔCH2、OKT3 HM1およびOKT3 ΔCH2が挙げられる。さらなる例示的な融合タンパク質としては、配列番号22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、47、56、76〜79、224、226、228、230、232、234、236、238、240、247、249、251、253、255および257に示されているような、アミノ末端にリーダー配列を有する、上で述べた融合タンパク質が挙げられる。アミノ末端にリーダー配列を有する追加の例示的な融合タンパク質としては、H57 half null(配列番号304)およびH57 HM2(配列番号306)が挙げられる。さらなる例示的な融合タンパク質は、配列番号311、313、315、317、319、321、323、325および327に示されているような、様々なリンカー配列を有するBC3 IgG1 N297である。これらの例示的な一本鎖融合タンパク質のうちのいくつかは、下記の実施例の項に詳細に記載される。

0117

機能的特徴
本明細書中に記載されるように、本開示の一本鎖融合タンパク質は、以下の特性または機能的特徴:(1)T細胞を活性化させないこと、(2)サイトカイン放出を誘導しないかまたは最小のサイトカイン放出を誘導すること、(3)TCRシグナル伝達経路内の分子のリン酸化を誘導すること、(4)対応するモノクローナル抗体よりもカルシウム流動を増加させること、(5)同種抗原に対するT細胞応答を阻止すること、(6)抗原に対するメモリーT細胞の応答を阻止すること、および(7)TCR複合体を下方調節することのうちの1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7つ)またはそれらの任意の組み合わせを有し得る。

0118

ある特定の好ましい実施形態において、本開示の一本鎖融合タンパク質は、T細胞を活性化させないか、またはT細胞を最小に活性化させる。融合タンパク質が、T細胞(例えば、PHAまたはConAで刺激されたT細胞)を処理するために使用されるとき、本開示の実施例に提供される少なくとも1つのインビトロまたはインビボアッセイにおいて無処理細胞と比べて活性化されたT細胞のパーセンテージを統計学的に有意に増加させない場合に、その融合タンパク質は、「T細胞を活性化させないか、または最小にもしくはわずかに活性化させる」。好ましくは、T細胞の活性化は、実施例1に記載される、刺激されたT細胞の活性化のインビトロアッセイにおいて測定される。

0119

さらに好ましい実施形態において、本開示の融合タンパク質は、サイトカインストームを誘導しないか、または臨床的に関連性のあるサイトカイン放出を誘導しない。融合タンパク質が、T細胞を処理するために使用されるとき、当該分野で公知であるかまたは本開示の実施例に提供される少なくとも1つのインビトロもしくはインビボアッセイにおいて処理されないときと比べて、処理された細胞から放出される、IFNγを含む少なくとも1つのサイトカイン;好ましくは、IFNγおよびTNFαまたはIL−6およびTNFαを含む少なくとも2つのサイトカイン;好ましくは、IL−6、IFNγおよびTNFαを含む3つのサイトカイン;好ましくは、IL−2、IL−6、IFNγおよびTNFαを含む4つのサイトカイン;および好ましくは、IL−2、IL−6、IL−10、IFNγおよびTNFαを含む少なくとも5つのサイトカインの量を統計学的に有意に増加させない場合に、その融合タンパク質は、「サイトカインストームを誘導しない」(「検出不可能な、わずかなまたは最小のサイトカイン放出を誘導する」または「サイトカイン放出を誘導しないかまたは最小限の検出可能なサイトカイン放出を誘導する」とも言及される)。好ましくは、そのサイトカインストームは、実施例1に記載される刺激されたT細胞のアッセイによって、インビトロにおけるサイトカイン放出において測定される。臨床的には、サイトカイン放出症候群は、ある特定のサイトカイン(例えば、IFNγならびにIL−2、IL−6およびTNFα)の最大の放出を伴う、発熱、悪寒、発疹、悪心ならびに時折、呼吸困難および頻拍を特徴とする。インビトロアッセイまたはインビボにおいて放出について試験され得るサイトカインとしては、G−CSF、GM−CSF、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−13、IL−17、IP−10、KC、MCP1、IFNγおよびTNFαが挙げられ;より好ましくは、IL−2、IL−6、IL−10、IFNγおよびTNFαが挙げられる。

0120

さらに好ましい実施形態において、本開示の融合タンパク質は、T細胞などの細胞においてカルシウム流動の増加を引き起こす。融合タンパク質が、T細胞を処理するために使用されるとき、当該分野で公知であるかまたは本明細書中に提供されるインビトロアッセイにおいて、対応する抗体(すなわち、本開示の一本鎖融合タンパク質と同じ結合ドメインを有する抗体)で処理された細胞と比べて、処理された細胞のカルシウム流動の統計学的に有意な急増を(好ましくは、処理の300秒以内、より好ましくは、200秒以内、最も好ましくは、100秒以内に)引き起こす場合、その融合タンパク質は、「カルシウムの増加」を引き起こす。好ましくは、本開示の一本鎖融合タンパク質によって引き起こされるカルシウム流動は、実施例5に記載されるインビトロカルシウム流動アッセイにおいて、対応する抗体によって引き起こされる流動と比較され、処理の少なくとも最初の100〜300秒以内に観察されるかまたは測定される。

0121

さらなる実施形態において、本開示の一本鎖融合タンパク質は、TCRシグナル伝達経路内の分子のリン酸化を誘導する。「TCRシグナル伝達経路」とは、ペプチド:MHCリガンドのTCRおよびそのコレセプター(CD4またはCD8)への結合を介して惹起されるシグナル伝達経路のことを指す。「TCRシグナル伝達経路内の分子」とは、TCRシグナル伝達経路に直接関与する分子(例えば、そのリン酸化状態(例えば、その分子がリン酸化されているか否か)、別の分子に対する結合親和性、または酵素活性が、ペプチド:MHCリガンドのTCRおよびそのコレセプターへの結合からのシグナルに応答して変化される分子)のことを指す。TCRシグナル伝達経路内の例示的な分子としては、TCR複合体またはその構成要素(例えば、CD3ζ鎖)、ZAP−70、Fyn、Lck、ホスホリパーゼc−γ、タンパク質キナーゼC、転写因子NFκB、ホスファターゼ(phasphatase)カルシニューリン、転写因子NFAT、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、Ras、MAPキナーゼキナーゼキナーゼ(MAPKKK)、MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)、MAPキナーゼ(ERK1/2)およびFosが挙げられる。

0122

本開示の一本鎖融合タンパク質が、T細胞を処理するために使用されるとき、本開示の実施例に記載されるようなインビトロもしくはインビボアッセイまたは当該分野で公知のレセプターシグナル伝達アッセイにおいて、TCRシグナル伝達経路内の分子(例えば、CD3ζ鎖、ZAP−70およびERK1/2)のリン酸化を統計学的に有意に増加させる場合、本開示の一本鎖融合タンパク質は、「TCRシグナル伝達経路内の分子のリン酸化を誘導する」。当該分野で公知のほとんどのレセプターシグナル伝達アッセイからの結果は、ウエスタンブロットまたは蛍光顕微鏡観察などの免疫組織化学的方法を用いて決定される。

0123

さらなる実施形態において、本開示の一本鎖融合タンパク質は、同種抗原に対するT細胞応答を阻止し得る。「同種抗原」は、ある種において代替(対立遺伝子)の形態で存在する抗原であり、ゆえに、ある形態が、その同種抗原を有しないその種の別のメンバーに移入されると免疫応答を誘導する。例示的な同種抗原は、例えば、血液細胞上(すなわち、血液型抗原)または組織移植片(すなわち、同種移植片)上に見られ得る。

0124

本開示の一本鎖融合タンパク質が、T細胞を処理するために使用されるとき、インビトロまたはインビボアッセイ(例えば、本開示の実施例に提供される、ヒト混合リンパ球反応(MLR)アッセイおよび急性移植片対宿主病(aGVHD)モデル)において、同種抗原に応答して活性化されたT細胞のパーセンテージを統計学的に有意に減少させる場合、本開示の一本鎖融合タンパク質は、「同種抗原に対するT細胞応答を阻止する」。当該分野で公知の他のアッセイ(例えば、結合アッセイ、および遅延型過敏反応を検出するマウスにおける足蹠腫脹アッセイのような皮膚試験)もまた、同種抗原に対する反応性を測定するために使用され得る。

0125

さらなる実施形態において、本開示の融合タンパク質は、抗原に対するメモリーT細胞の応答を阻止する。一本鎖融合タンパク質が、メモリーT細胞を処理するために使用されるとき、インビトロまたはインビボアッセイ(例えば、本開示の実施例に提供される、破傷風トキソイドを用いてメモリーT細胞の活性化を分析するアッセイ)において、特定の抗原(例えば、破傷風トキソイド)に応答して活性化されたT細胞のパーセンテージを統計学的に有意に減少させる場合、その一本鎖融合タンパク質は、「抗原に対するメモリーT細胞の応答を阻止する」。動物免疫モデルもまた、抗原提示アッセイによって、インビボとエキソビボの両方において二次的な抗原特異的T細胞応答を検出するために使用され得る。上に記載された遅延型過敏アッセイに加えて、51Cr放出アッセイなどの細胞傷害アッセイが、T細胞活性を検出するために利用され得る(Lavieら(2000)International Immunology 12(4):479−486)。

0126

さらなる実施形態において、本開示の融合タンパク質は、T細胞の表面からのTCR複合体を下方調節する。一本鎖融合タンパク質が、T細胞を処理するために使用されるとき、インビトロまたはインビボアッセイにおいて、T細胞集団の表面上のTCR複合体の数を統計学的に有意に減少させる場合、その一本鎖融合タンパク質は、「TCR複合体を下方調節する」。有用なインビトロまたはインビボアッセイとしては、本開示の実施例において提供される、T細胞表面からのTCRおよびCD3の下方調節を評価するためのアッセイが挙げられる。そのようなアッセイは、フローサイトメトリーおよび免疫蛍光顕微鏡観察などの当該分野で公知の手法によって測定して、刺激の前後に細胞表面に発現されるTCRまたはCD3の量を比較する。

0127

(T細胞活性化またはサイトカイン放出を検出するための方法)
関連する態様において、本開示は、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質によって誘導されるT細胞活性化を検出するための方法を提供し、その方法は:(a)マイトジェンで刺激されたT細胞を準備する工程、(b)工程(a)の刺激されたT細胞を、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質で処理する工程、および(c)工程(b)において処理された刺激されたT細胞の活性化を検出する工程を包含する。

0128

用語「マイトジェン」は、本明細書中で使用されるとき、様々な特異性またはクローン起源のリンパ球において有糸分裂を誘導する化学物質のことを指す。T細胞を刺激するために使用され得る例示的なマイトジェンとしては、フィトヘマグルチニン(PHA)、コンカナバリンA(ConA)、リポ多糖LPS)、アメリカヤマゴボウマイトジェン(PWM)および酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)が挙げられる。

0129

本明細書中に提供されるT細胞活性化を検出するための方法のある特定の実施形態において、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質は、本明細書中に提供される融合タンパク質である。ある特定の他の実施形態において、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質は、モノクローナル抗体である。

0130

T細胞活性化は、当該分野で公知の活性化マーカー(例えば、CD25、CD40リガンドおよびCD69)の発現を測定することによって検出され得る。活性化されたT細胞は、CFSE標識アッセイおよびチミジン取り込みアッセイ(Adams(1969)Exp.Cell Res.56:55)などの細胞増殖アッセイによっても検出され得る。

0131

関連する態様において、本開示は、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質によって誘導されるサイトカイン放出を検出するための方法を提供し、その方法は:(a)マイトジェンで刺激されたT細胞を準備する工程、(b)工程(a)の刺激されたT細胞を、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質で処理する工程、および(c)工程(b)において処理された刺激されたT細胞からのサイトカインの放出を検出する工程を包含する。

0132

本明細書中に提供されるサイトカイン放出を検出するための方法のある特定の実施形態において、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質は、本明細書中に提供される融合タンパク質である。ある特定の他の実施形態において、TCR複合体またはその構成要素に特異的に結合する結合ドメインを含むタンパク質は、モノクローナル抗体である。

0133

(ポリヌクレオチド、発現ベクターおよび宿主細胞)
本開示は、本開示の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド(単離されているかまたは精製されているかまたは純粋なポリヌクレオチド)、そのようなポリヌクレオチドを含むベクター(クローニングベクターおよび発現ベクターを含む)、および本開示に記載のポリヌクレオチドまたはベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞(例えば、宿主細胞)を提供する。

0134

ある特定の実施形態において、本開示の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)が企図される。例示的なポリヌクレオチドとしては、配列番号21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、46、55、303、306、310、312、314、316、318、320、322、324および326が挙げられる。

0135

本発明は、本開示のポリヌクレオチドを含むベクター、特に、組換え発現構築物にも関する。1つの実施形態において、本開示は、本開示の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、融合タンパク質の転写翻訳およびプロセシングを引き起こし得るかまたは促進し得る他のポリヌクレオチド配列とともに含むベクターを企図する。

0136

原核生物および真核生物の宿主とともに使用するための適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,NY、(1989)に記載されている。例示的なクローニング/発現ベクターとしては、プラスミドファージミドファスミド、コスミド、ウイルス、人工染色体、またはその中に含められるポリヌクレオチドの増幅、移入および/もしくは発現に適した当該分野で公知の任意の核酸ビヒクルに基づき得る、クローニングベクター、シャトルベクターおよび発現構築物が挙げられる。

0137

本明細書中で使用されるとき、「ベクター」は、それに連結された別の核酸を運搬することができる核酸分子のことを意味する。例示的なベクターとしては、プラスミド、酵母人工染色体およびウイルスゲノムが挙げられる。ある特定のベクターは、宿主細胞内で自律的に複製し得、一方、他のベクターは、宿主細胞のゲノム内に組み込まれ得、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある特定のベクターは、「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と本明細書中で呼ばれ、それは、発現制御配列に作動可能に連結された核酸配列を含み、ゆえにそれらの配列の発現を指示することができる。

0138

ある特定の実施形態において、発現構築物は、プラスミドベクターに由来する。例証となる構築物としては、アンピシリン耐性遺伝子をコードする核酸配列、ポリアデニル化シグナルおよびT7プロモーター部位を有する改変pNASSベクター(Clontech,Palo Alto,CA);CHEF1プロモーターを有するpDEF38およびpNEF38(CMCICOS Biologics,Inc.);ならびにCMVプロモーターを有するpEE12.4(Lonza)が挙げられる。他の適当な哺乳動物発現ベクターが、周知である(例えば、Ausubelら、1995;Sambrookら、前出を参照のこと;また、例えば、Invitrogen,San Diego,CA;Novagen,Madison,WI;Pharmacia,Piscataway,NJのカタログも参照のこと)。適切な選択薬剤(例えば、メトトレキサート)の適用後の遺伝子増幅に起因する、融合タンパク質の高い産生レベルを促進するために、適当な調節管理下においてジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)のコード配列を含む有用な構築物が、調製され得る。

0139

一般に、組換え発現ベクターは、宿主細胞の形質転換を可能にする複製開始点および選択マーカー、ならびに上に記載されたような下流の構造配列の転写を指示する、高度に発現される遺伝子に由来するプロモーターを含む。本開示に記載のポリヌクレオチドと作動可能に連結されたベクターは、クローニング構築物または発現構築物をもたらす。例示的なクローニング/発現構築物は、本開示のポリヌクレオチドに作動可能に連結された、少なくとも1つの発現制御因子、例えば、プロモーターを含む。追加の発現制御因子(例えば、エンハンサー、因子特異的結合部位ターミネーターおよびリボソーム結合部位)もまた、本開示に記載のベクターおよびクローニング/発現構築物において企図される。本開示に記載のポリヌクレオチドの異種構造配列は、翻訳開始配列および翻訳終結配列とともに、適切な相において組み立てられる。したがって、例えば、本明細書中に提供されるような融合タンパク質をコードする核酸は、宿主細胞内でそのようなタンパク質を発現するための組換え発現構築物として種々の発現ベクター構築物のいずれか1つに含められ得る。

0140

適切なDNA配列は、例えば、種々の手順によってベクターに挿入され得る。通常、DNA配列は、当該分野で公知の手順によって適切な制限エンドヌクレアーゼ切断部位に挿入される。クローニング、DNAの単離、増幅および精製、DNAリガーゼDNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼなどを含む酵素反応、ならびに様々な分離手法に対する標準的な手法が企図される。いくつかの標準的な手法が、例えば、Ausubelら(1993 Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publ.Assoc.Inc.& John Wiley & Sons,Inc.,Boston,MA);Sambrookら(1989 Molecular Cloning,Second Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Plainview,NY);Maniatisら(1982 Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,Plainview,NY);Glover(Ed.)(1985 DNA Cloning Vol.IおよびII,IRL Press,Oxford,UK);Hames and Higgins(Eds.),(1985 Nucleic Acid Hybridization,IRL Press,Oxford,UK);およびその他に記載されている。

0141

発現ベクター内のDNA配列は、mRNA合成を指示する少なくとも1つの適切な発現制御配列(例えば、構成的プロモーターまたは制御性プロモーター)に作動可能に連結される。そのような発現制御配列の代表的な例としては、上に記載されたような真核細胞またはそれらのウイルスのプロモーターが挙げられる。プロモーター領域は、CATクロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選択マーカーを含む他のベクターを用いて任意の所望の遺伝子から選択され得る。真核生物プロモーターとしては、CMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40レトロウイルス由来のLTRならびにマウスメタロチオネイン−Iが挙げられる。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当該分野における通常のスキルレベルの範囲内に十分入り、本開示に記載のタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結された少なくとも1つのプロモーターまたは制御性プロモーターを含むある特定の特に好ましい組換え発現構築物の調製が、本明細書中に記載される。

0142

本開示のポリヌクレオチドの改変体もまた、企図される。改変体ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるような規定される配列のポリヌクレオチドの1つと少なくとも90%、好ましくは、95%、99%または99.9%同一であるか、または約65〜68℃の0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムもしくは約42℃の0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムおよび50%ホルムアミドストリンジェントハイブリダイゼーション条件下において、規定される配列のポリヌクレオチドのうちの1つにハイブリダイズする。そのポリヌクレオチド改変体は、本明細書中に記載される機能性を有する結合ドメインまたはその融合タンパク質をコードする能力を保持する。

0143

用語「ストリンジェント」は、当該分野においてストリンジェントと通常理解されている条件を指すために使用される。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドなどの変性剤の濃度によって決定される。ハイブリダイゼーションおよび洗浄に対するストリンジェントな条件の例は、約65〜68℃の0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムまたは約42℃の0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムおよび50%ホルムアミドである(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.1989を参照のこと)。

0144

よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、ホルムアミドまたは別の変性剤のより高い濃度)もまた使用され得る;しかしながら、ハイブリダイゼーションの速度が影響され得る。

0145

ある特定の実施形態において、あまりストリンジェントではない条件(例えば、より低い温度、より高いイオン強度、ホルムアミドまたは別の変性剤のより低い濃度)が、使用され得る。ハイブリダイゼーション(hydridization)および洗浄に対する例示的なあまりストリンジェントではない条件は、約42℃の0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムである。ポリヌクレオチド改変体は、本明細書中に記載される機能性を有する結合ドメインまたはその融合タンパク質をコードする能力を保持する。

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