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課題
解決手段
概要
背景
携帯電話などの通信機器に搭載されるフィルタ及びデュプレクサとして、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)デバイス、及び弾性薄膜共振器(Film Bulk Acoustic Resonator:FBAR)などの弾性波デバイスが用いられる。弾性波デバイスでは、機能部が弾性波を励振する。SAWデバイスにおける機能部は圧電基板上のIDT(Interdigital Transducer)であり、FBARにおける機能部は上部電極、圧電薄膜及び下部電極が重なる領域である。
弾性波デバイスの特性を良好に維持するために、機能部の周囲に空隙を確保し、かつ水分及び不純物から機能部を保護することが重要である。特許文献1には、樹脂により形成された封止部によりIDTを封止する発明が記載されている。
概要
気密性が高く、かつ小型な弾性波デバイス、及び弾性波デバイスの製造方法を提供すること。本発明は、基板10と、基板10上に形成されたパッド18と、無機絶縁体により形成され、基板10上に設けられ、基板10側の面に設けられたキャビティ12aを有し、かつパッド18と重なる位置に形成された貫通孔12bを有するキャップ12と、貫通孔12bに充填され、基板10のパッド18と接続され、かつ半田により形成された端子16と、基板10の上面に形成され、かつ、キャビティ12a内に形成された、弾性波を励振するIDT14と、を有する弾性波デバイスである。
目的
本発明は上記課題に鑑み、気密性が高く、かつ小型な弾性波デバイス、及び弾性波デバイスの製造方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
基板と、前記基板上に形成されたパッドと、無機絶縁体により形成され、前記基板上に設けられ、前記基板側の面に設けられたキャビティを有し、かつ前記パッドと重なる位置に形成された貫通孔を有するキャップと、前記貫通孔に充填され、前記基板のパッドと接続され、かつ半田により形成された端子と、前記基板の上面に形成され、かつ、前記キャビティ内に形成された、弾性波を励振する機能部と、を有することを特徴とする弾性波デバイス。
請求項2
前記貫通孔は、前記キャップの上面から前記キャビティに向けて細くなるようなテーパー形状を有することを特徴とする請求項1記載の弾性波デバイス。
請求項3
前記パッドは前記基板の上面から上方向に突出する突起を含むことを特徴とする請求項1または2記載の弾性波デバイス。
請求項4
前記突起は、前記基板の上面から前記貫通孔の内側まで延びることを特徴とする請求項3記載の弾性波デバイス。
請求項5
前記端子は前記キャップの上面より上方向に突出していることを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載の弾性波デバイス。
請求項6
前記キャップの上面から、前記貫通孔の内壁、及び前記キャップの下面にかけて連続的に設けられた金属層を有し、前記端子は前記金属層に接合されていることを特徴とする請求項1から5いずれか一項記載の弾性波デバイス。
請求項7
前記端子の表面を覆うメッキ層を有することを特徴とする請求項1から6いずれか一項記載の弾性波デバイス。
請求項8
前記基板は圧電基板であり、前記機能部はIDTであることを特徴とする請求項1から7いずれか一項記載の弾性波デバイス。
請求項9
請求項10
請求項11
請求項12
前記基板と前記キャップとは同じ材料により形成されていることを特徴とする請求項1から11いずれか一項記載の弾性波デバイス。
請求項13
基板の上面に、弾性波を励振する機能部を設ける工程と、前記基板の上面にパッドを設ける工程と、キャップの一方の面にキャビティを形成する工程と、前記キャップに、前記キャップの上面から前記キャビティまで貫通する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔が前記パッドと重なり、前記機能部が前記キャビティ内に収納されるように、前記キャップを前記基板の上面に設ける工程と、前記貫通孔に半田を充填して端子を設ける工程と、を有することを特徴とする弾性波デバイスの製造方法。
請求項14
請求項15
前記パッド上に前記基板の上面から上方向に突出する突起を設ける工程を有することを特徴とする請求項13または14記載の弾性波デバイスの製造方法。
請求項16
前記キャップの上面から、前記貫通孔の内壁、及び前記キャップの下面にかけて連続的に金属層を形成する工程を有し、前記端子は前記金属層に接合されることを特徴とする請求項13から15いずれか一項記載の弾性波デバイスの製造方法。
請求項17
前記端子の表面を覆うメッキ層を形成する工程を有することを特徴とする請求項13から16いずれか一項記載の弾性波デバイスの製造方法。
技術分野
0001
本発明は弾性波デバイス、及び弾性波デバイスの製造方法に関する。
背景技術
0002
携帯電話などの通信機器に搭載されるフィルタ及びデュプレクサとして、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)デバイス、及び弾性薄膜共振器(Film Bulk Acoustic Resonator:FBAR)などの弾性波デバイスが用いられる。弾性波デバイスでは、機能部が弾性波を励振する。SAWデバイスにおける機能部は圧電基板上のIDT(Interdigital Transducer)であり、FBARにおける機能部は上部電極、圧電薄膜及び下部電極が重なる領域である。
0003
弾性波デバイスの特性を良好に維持するために、機能部の周囲に空隙を確保し、かつ水分及び不純物から機能部を保護することが重要である。特許文献1には、樹脂により形成された封止部によりIDTを封止する発明が記載されている。
先行技術
0004
特開2006−217226号公報
発明が解決しようとする課題
0005
しかしながら、樹脂が水分を透過し、機能部の封止された空間に侵入することがある。水分により機能部に含まれる電極が腐食する。また、空隙の中に浸入した水分が加熱により気化する。気化に伴う体積増加によりストレスが大きくなり、樹脂にクラックが発生する。クラックにより気密性が低下し、機能部の保護が難しくなる。本発明は上記課題に鑑み、気密性が高く、かつ小型な弾性波デバイス、及び弾性波デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0006
本発明は、基板と、前記基板上に形成されたパッドと、無機絶縁体により形成され、前記基板上に設けられ、前記基板側の面に設けられたキャビティを有し、かつ前記パッドと重なる位置に形成された貫通孔を有するキャップと、前記貫通孔に充填され、前記基板のパッドと接続され、かつ半田により形成された端子と、前記基板の上面に形成され、かつ、前記キャビティ内に形成された、弾性波を励振する機能部と、を有する弾性波デバイスである。
0007
上記構成において、前記貫通孔は、前記キャップの上面から前記キャビティに向けて細くなるようなテーパー形状を有する構成とすることができる。
0008
上記構成において、前記パッドは前記基板の上面から上方向に突出する突起を含む構成とすることができる。
0009
上記構成において、前記突起は、前記基板の上面から前記貫通孔の内側まで延びる構成とすることができる。
0010
上記構成において、前記端子は前記キャップの上面より上方向に突出している構成とすることができる。
0012
上記構成において、前記端子の表面を覆うメッキ層を有する構成とすることができる。
0013
上記構成において、前記基板は圧電基板であり、前記機能部はIDTである構成とすることができる。
0015
上記構成において、前記機能部は、圧電薄膜共振器の上部電極、圧電薄膜及び下部電極が重なる領域である構成とすることができる。
0017
上記構成において、前記基板と前記キャップとは同じ材料により形成されている構成とすることができる。
0018
本発明は、基板の上面に、弾性波を励振する機能部を設ける工程と、前記基板の上面にパッドを設ける工程と、キャップの一方の面にキャビティを形成する工程と、前記キャップに、前記キャップの上面から前記キャビティまで貫通する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔が前記パッドと重なり、前記機能部が前記キャビティ内に収納されるように、前記キャップを前記基板の上面に設ける工程と、前記貫通孔に半田を充填して端子を設ける工程と、を有する弾性波デバイスの製造方法である。
0020
上記構成において、前記パッド上に前記基板の上面から上方向に突出する突起を設ける工程を有する構成とすることができる。
0021
上記構成において、前記キャップの上面から、前記貫通孔の内壁、及び前記キャップの下面にかけて連続的に金属層を形成する工程を有し、前記端子は前記金属層に接合される構成とすることができる。
0022
上記構成において、前記端子の表面を覆うメッキ層を形成する工程を有する構成とすることができる。
発明の効果
0023
本発明によれば、気密性が高く、かつ小型な弾性波デバイス、及び弾性波デバイスの製造方法を提供することができる。
図面の簡単な説明
0024
図1(a)は実施例1に係る弾性波デバイスを例示する断面図である。図1(b)は弾性波デバイスを例示する平面図である。
図2(a)から図2(c)は弾性波デバイスの製造方法のうち基板の加工を例示する断面図である。
図3(a)から図3(d)は弾性波デバイスの製造方法のうちキャップの加工を例示する断面図である。
図4(a)及び図4(b)は弾性波デバイスの製造方法のうち基板とキャップとを接合した後の工程を例示する断面図である。
図5(a)及び図5(b)は弾性波デバイスの製造方法のうち基板とキャップとを接合した後の工程を例示する断面図である。
図6(a)及び図6(b)は貫通孔付近を拡大した断面図である。
図7(a)及び図7(b)は貫通孔付近を拡大した断面図である。
図8はウェハ状態の弾性波デバイスを例示する平面図である。
図9は実施例1の変形例に係る弾性波デバイスを例示する断面図である。
図10は実施例2に係る弾性波デバイスを例示する断面図である。
図11(a)及び図11(b)は弾性波デバイスの製造方法を例示する断面図である。
図12(a)及び図12(b)は貫通孔付近を拡大した断面図である。
図13(a)は実施例3に係る弾性波デバイスを例示する断面図である。図13(b)はFBARを拡大した断面図である。
図14は実施例4に係るモジュールを例示する断面図である。
図15は実施例5に係るモジュールを例示する断面図である。
0025
図面を用いて実施例について説明する。
0026
実施例1は無機絶縁膜のキャップ12を備えるSAWデバイスの例である。図1(a)は実施例1に係る弾性波デバイスを例示する断面図である。図1(b)は弾性波デバイスを例示する平面図であり、キャビティ12aの内壁は破線で示している。図1(a)は図1(b)の線A−Aに沿った断面を図示している。
0027
図1(a)に示すように、弾性波デバイス100は、基板10、キャップ12、IDT14、及び端子16を備える、SAW共振器またはSAWフィルタなどのSAWデバイスである。基板10の上面に、キャップ12、IDT14及びパッド18が設けられている。キャップ12は基板10と常温接合されている。例えばキャップ12と基板10との界面がアモルファス状態となることで接合されている、または接着剤を用いて接合されている。キャップ12の基板10と対向する面にはキャビティ12aが形成されている。IDT14及びパッド18は、キャップ12及び端子16によりキャビティ12a内に封止されている。キャビティ12aの深さD1は例えば5μmである。図1(a)及び図1(b)に示すように、キャップ12は基板10を覆い、IDT14を完全に囲む。
0028
図1(a)に示すように、キャップ12のパッド18と重なる位置に、キャップ12を厚さ方向に貫通し、キャビティ12aに接続する貫通孔12bが設けられている。貫通孔12bはキャップ12の上面からキャビティ12aに向けて細くなるようなテーパー形状を有する。貫通孔12bのキャップ12上面側の径R1は例えば150μm、下面側の径R2は例えば80μmである。キャップ12の上面の貫通孔12bを囲む領域から、貫通孔12bの内壁、及びキャップ12の下面の貫通孔12bを囲む領域にかけて、金属層20が連続的に設けられている。
0029
端子16はパッド18と電気的に接続され、IDT14とは離間している。端子16はキャビティ12aの内側から、貫通孔12bを通じ、キャップ12の上面の外へ引き出されている。また端子16は、金属層20に接合されており、貫通孔12bを充填している。端子16の表面にはメッキ層22が設けられている。図1(b)に示すように、6個の端子16がキャップの上面から弾性波デバイス100の外部に露出する。端子16は、弾性波デバイス100と外部とを接続する外部端子として機能する。
0030
端子16を通じてIDT14に電圧を印加することで、IDT14は弾性波を励振する。IDT14はキャビティ12aに露出するため、IDT14による弾性波の励振は妨げられない。なおIDT14の両側には、弾性波をIDT14に向けて反射する反射器を設けてもよい。
0031
基板10は例えば厚さ180μmのタンタル酸リチウム(LiTaO3)またはニオブ酸リチウム(LiNbO3)などの圧電体により形成された圧電基板である。キャップ12は、例えばLiTaO3またはLiNbO3などの圧電体により形成されている。圧電体のキャップ12でIDT14を封止するため、樹脂封止の場合より気密性が高くなる。気密封止により水分及び異物の浸入が抑制され、IDT14の腐食、クラックの発生などが抑制される。基板10及びキャップ12の両方が圧電体からなるため、基板10及びキャップ12の熱膨張係数が近くなり、温度変化時の応力を抑制することができる。特に基板10及びキャップ12の両方を同じ材料で形成することで、応力を大きく抑制することができる。
0032
後述するようにパッド18には溶融した半田が濡れ広がる。半田の濡れ広がる面積を大きくし接合強度を高めるために、パッド18はある程度の厚さを有することが好ましい。パッド18は、例えば基板10に近い方から厚さ3μmのニッケル(Ni)及び厚さ0.04μmの金(Au)を積層して形成されている。端子16は例えば錫及び銀(Sn−Ag)を主成分とする半田により形成されている。金属層20は例えばAuなどの金属により形成されている。パッド18及び金属層20の表面は、上記のようにAuなど、半田に対する濡れ性の良好な材料とすることが好ましい。これにより、端子16がパッド18及び金属層20に濡れ広がりやすく、端子16とパッド18との電気的な接続が安定して行われる。また端子16が貫通孔12bを充填するため、キャビティ12aが密封され、気密性が高くなる。メッキ層22は例えば銅(Cu)などの金属により形成されている。メッキ層22が端子16を覆うため、弾性波デバイス100を外部の基板に実装する際に端子16の半田が流出することが抑制される。IDT14は例えばアルミニウム(Al)などの金属により形成されている。
0033
弾性波デバイス100の製造方法について説明する。図2(a)から図2(c)は弾性波デバイス100の製造方法のうち基板10の加工を例示する断面図である。図3(a)から図3(d)は弾性波デバイス100の製造方法のうちキャップ12の加工を例示する断面図である。図4(a)から図5(b)は弾性波デバイス100の製造方法のうち基板10とキャップ12とを接合した後の工程を例示する断面図である。
0034
図2(a)に示すように、ウェハ状態の基板10を用意する。図2(b)に示すように、例えば蒸着・リフトオフ法により基板10の上面にIDT14を形成する。図2(c)に示すように、例えば蒸着・リフトオフ法により基板10の上面にパッド18を形成する。基板10のキャップ12と接合する面は鏡面になっている。
0035
図3(a)に示すように、ウェハ状態のキャップ12を用意する。図3(b)に示すように、例えばサンドブラスト法、レーザー光、またはエッチング処理により、キャップ12の下面にキャビティ12aを形成する。キャップ12の基板10と接合する部分は鏡面になっている。図3(c)に示すように、レーザー光またはサンドブラスト法により、キャップ12の上面からキャビティ12aまで貫通するテーパー形状の貫通孔12bを形成する。図3(d)に示すように、例えばメッキ処理により金属層20を形成する。
0036
図4(a)に示すように、キャビティ12aがIDT14と重なり、かつ貫通孔12bがパッド18と重なるようにキャップ12を基板10の上面に常温接合する。図4(b)に示すように半田ボール17を設け、図5(a)に示すように、半田ボール17を溶融させることで端子16を形成する。さらに図5(b)に示すように、端子16を覆うメッキ層22を形成する。拡大図も参照し、端子16の形成について詳しく説明する。
0037
図6(a)から図7(b)は貫通孔12b付近を拡大した断面図である。図4(a)及び図6(a)に示すように、貫通孔12bのキャップ12の上面側、下面側、及び内壁に金属層20が設けられている。図4(b)及び図6(b)に示すように、貫通孔12bの上に半田ボール17を配置する。半田ボール17の直径は貫通孔12bのキャップ12上面側の径より大きいため、半田ボール17は貫通孔12bから下に落下せず、キャップ12の上に保持される。図5(a)及び図7(a)に示すように、例えばリフロー処理またはレーザー光の照射により、半田ボール17を溶融させる。溶融した半田ボール17が金属層20に濡れ広がり、貫通孔12bを通じてキャビティ12a内に入り込み、パッド18に濡れ広がる。これにより、端子16が形成される。図5(b)及び図7(b)に示すように、例えばメッキ法により端子16の表面を覆うメッキ層22を形成する。
0038
溶融した半田が金属層20からパッド18にかけて濡れ広がるため、半田とパッド18との電気的な接続が確保される。金属層20はIDT14と厚さ方向において重なる位置には設けられていないため、半田がIDT14側に広がることが抑制され、短絡が発生し難い。貫通孔12bがテーパー形状を有するため、溶融した半田が貫通孔12bを通り、パッド18に向けて流れやすくなる。端子16とパッド18との接続が確保される。また貫通孔12bが端子16により塞がれるため、IDT14が気密封止される。
0039
図8はウェハ状態の弾性波デバイス100を例示する平面図である。図3(a)から図7(b)に示した工程により、図8に示すように基板10及びキャップ12は共にウェハ状態のまま接合され、端子16がキャップ12から露出する。基板10及びキャップ12にダイシング処理を行うことにより、個片化された弾性波デバイス100が形成される。
0040
キャップ12をサファイアにより形成してもよい。サファイアの熱伝導率は樹脂より高いため、弾性波デバイス100の放熱性が高くなる。サファイアの熱膨張係数は小さく、ヤング率は大きい。このため基板10の膨張が抑制される。キャップ12を圧電体及びサファイアなど無機絶縁体により形成することで、気密性を高め、かつ弾性波デバイス100の温度特性を改善することができる。
0041
実施例1の変形例について説明する。図9は実施例1の変形例に係る弾性波デバイス110を例示する断面図である。図9に示すように、基板11を圧電基板30と、圧電基板30の下面に貼り付けられたサファイア基板32とにより形成する。圧電基板30の厚さは20μm、サファイア基板32の厚さは130μmキャップ12をサファイアで形成する。キャップ12及びサファイア基板32が高い熱伝導性を有するため、弾性波デバイス110の放熱性が高くなる。基板11はサファイア基板32を含み、キャップ12はサファイアからなるため、基板11の熱膨張係数がキャップ12の熱膨張係数と近くなる。従って、温度変化時の応力を抑制することができる。
0042
実施例2はパッド18が柱状の例である。図10は実施例2に係る弾性波デバイス200を例示する断面図である。
0043
図10に示すように、パッド18は基板10の上面から上方向に突出する突起18aを含む。突起18aの高さH1は例えば10μmであり、突起18aの上面はキャップ12の下面より上に位置し、貫通孔12bの内側に到達する。端子16は突起18a、パッド18及び金属層20に濡れ広がり、突起18aの上面及び側面を覆う。他の構成は弾性波デバイス100と同じである。
0044
弾性波デバイス200の製造方法について説明する。図11(a)及び図11(b)は弾性波デバイス200の製造方法を例示する断面図である。基板10の上面にIDT14を形成する(図2(b)参照)。図11(a)に示すように、さらにパッド18を基板10の上面に形成する。キャップ12を図3(a)から図3(d)に示した工程により加工する。図11(b)に示すように、貫通孔12bに突起18aを挿入することで、キャップ12の位置合わせを行う。基板10とキャップ12とを常温接合する。
0045
端子16の形成については拡大を参照して説明する。図12(a)及び図12(b)は貫通孔12b付近を拡大した断面図である。図12(a)に示すように、貫通孔12bの上に半田ボール17を配置する。図12(b)に示すように、溶融された半田ボール17は突起18aの上面及び側面を覆うように濡れ広がる。これにより端子16が形成される。これ以降の工程は実施例1において説明した工程と同じである。
0046
実施例2によれば、突起18aを貫通孔12bに挿入することで、基板10とキャップ12との位置合わせの精度が高くなる。突起18aの上面から側面にかけて半田が濡れ広がる。半田との接触面積が大きくなるため、端子16とパッド18との接合が強固になる。また半田の体積を少なくすることができるため、低コスト化が可能となり、かつ半田がIDT14まで広がることが抑制される。突起18aの高さは変更可能である。貫通孔12bの内部に達しない突起18aを用いても半田との接合強度を高めることができる。上記のように精度の高い位置合わせのため、突起18aは貫通孔12bの内部に配置されることが好ましい。なお、例えば弾性境界波デバイスに実施例1及び2を適用してもよい。
0048
図13(a)に示すように、キャビティ12a内にFBAR40が封止されている。図13(b)に示すように、FBAR40は下部電極42、圧電薄膜44及び上部電極46を備える。基板10の上に下部電極42、下部電極42の上に圧電薄膜44、圧電薄膜44の上に上部電極46が積層されている。下部電極42と基板10の上面との間にはドーム状の空隙48が形成され、下部電極42は空隙48に露出している。下部電極42、圧電薄膜44及び上部電極46が厚さ方向に重なる共振領域49が弾性波を励振する機能部である。圧電薄膜44の開口部44aから露出する下部電極42の一部は、電気信号を取り出すための端子部として機能する。図13(a)に示した端子16は、開口部44aから露出する下部電極42の一部、及び上部電極46に接続される。
0049
基板10は例えばシリコン(Si)などの無機絶縁体により形成されている。図13(a)に示したキャップ12は、基板10と同じくSiで形成することができる。基板10とキャップ12の両方がSiで形成されることで、基板10の熱膨張係数がキャップ12の熱膨張係数と近くなり、温度変化による応力が抑制される。基板10及びキャップ12の電気抵抗が小さいと、端子16から基板10及びキャップ12に電流が流れ、信号の損失が大きくなる。電流を抑制するために、基板10及びキャップ12を例えば1kΩ・cm以上の高い抵抗を有するSiで形成することが好ましい。キャップ12を低抵抗のSiで形成し、かつ貫通孔12bの内壁と金属層20との間に絶縁層(不図示)を設けてもよい。キャップ12に流れる電流を抑制することができる。またキャップ12をガラスなどで形成してもよい。Siで形成された基板10とガラスで形成されたキャップ12とは、陽極接合で接合することができる。
0050
下部電極42と上部電極46とは、例えば厚さが250nmのルテニウム(Ru)により形成されている。圧電薄膜44は、例えば窒化アルミニウム(AlN)、又は酸化亜鉛(ZnO)などの圧電体により形成されている。
0051
実施例4は弾性波デバイス100を備えるモジュールの例である。図14は実施例4に係るモジュール400を例示する断面図である。図14に示すように、モジュール400は、弾性波デバイス100、実装基板50、及びチップ部品70を備える。
0052
実装基板50は積層基板であり、絶縁層51〜56と導体層60〜66が交互に積層して形成されている。導体層間は、各絶縁層を貫通するビア配線67により電気的に接続されている。なお、複数のビア配線67の一部に符号を付した。
0053
弾性波デバイス100は実装基板50に実装されており、端子16が導体層66に含まれるパッドに接合されている。図1(a)に示したように端子16がキャップ12の上面から突出しているため、図14のようなフリップチップ実装を容易に行うことができる。チップ部品70は半田72を用いて、導体層66に含まれるパッドに電気的に接続されている。導体層60は実装基板50を外部の機器と接続するために用いられる。
0054
複数のチップ部品70はそれぞれ、インダクタ及びキャパシタなどの受動部品であり、不図示のアンテナと弾性波デバイス100との間のインピーダンスを整合させる。弾性波デバイス100は例えば受信フィルタ及び送信フィルタとして機能する。実装基板50には複数の弾性波デバイス100を実装してもよい。複数の弾性波デバイス100がデュプレクサとして機能する。絶縁層51〜56は、例えばガラスエポキシ樹脂などの樹脂、またはセラミックなどの絶縁体により形成されている。導体層61〜66及びビア配線67は例えばCuなどの金属により形成されている。
実施例
0055
実施例5はモジュールの別の例である。図15は実施例5に係るモジュール500を例示する断面図である。図15に示すように、弾性波デバイス100は、実装基板41の内部に埋め込まれている。このため、水分及び異物などが弾性波デバイス100により浸入し難くなる。弾性波デバイス100の端子16はビア配線57に接続されている。図1(a)に示したように端子16がキャップ12の上面から突出しているため、図15のように端子16とビア配線67との接続を簡単に行うことができる。なお、実施例4及び5において、弾性波デバイス110、200及び300を実装してもよい。
0056
10、11基板
12キャップ
12aキャビティ
12b貫通孔
14 IDT
16端子
18パッド
18a突起
20金属層
40 FBAR
49共振領域
100、110、200、300弾性波デバイス
400、500 モジュール