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技術 精製油脂の製造方法

出願人 花王株式会社
発明者 加瀬実小松利照
出願日 2013年3月27日 (8年5ヶ月経過) 出願番号 2013-066027
公開日 2014年10月6日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2014-189628
状態 特許登録済
技術分野 脂肪類、香料
主要キーワード クライゼンフラスコ 脱色処理後 フラックス油 分間強攪拌 加熱調理品 リノレン酸残基 ロビボンド比色計 トコフェロール量
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年10月6日)のものです。
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課題

α−リノレン酸を多く含みながらも、加熱調理に使用でき、加熱調理品風味を向上させることができる精製油脂を製造する方法を提供する。

解決手段

次の工程(1)、(2)及び(3):(1)構成脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量が5〜50質量%である油脂をエステル交換反応する工程、(2)得られたエステル交換反応油部分グリセリドリパーゼを作用させて加水分解する工程、(3)得られた加水分解反応油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程、を含み、工程(3)における加水分解反応油の酸価が4mgKOH/g以上である、精製油脂の製造方法。

概要

背景

近年の健康指向の高まりを受けて、油脂中脂肪酸の機能について多数の研究がなされている。例えば、ω3系高度不飽和脂肪酸であるα−リノレン酸の摂取により、心臓血管系疾患リスクの低減が期待されること等が報告されている(非特許文献1)。
また、α−リノレン酸は、体内生理活性の高いエイコサペンタエン酸ドコサヘキサエン酸に変換されることから、α−リノレン酸を含む油脂の利用が望まれている。

α−リノレン酸を豊富に含む油脂は、熱安定性酸化安定性が低く、容易に劣化し易い。そのため、これを改善する技術がこれまでに検討され、例えば、フラックス油液体油との混合原料を1,3位特異性リパーゼによるエステル交換反応を行って風味定性に優れたα−リノレン酸を多く含む食用油とする方法(特許文献1)、液体油および/または固体脂アマニ油等の多価不飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを含んだ油脂を加えエステル交換することにより、全トリグリセリドに占めるトリリノレンの割合を6重量%以下としたフライヤーへの油脂由来重合物のこびりつきが少なく、通常の食用油と同等あるいはそれ以上の風味を持つフライ用油脂製造法(特許文献2)等が報告されている。

一方、部分グリセリドリパーゼは、部分グリセリドを特異的に加水分解する酵素として知られている(例えば、特許文献3及び4)。特許文献3には、1,3−位特異的酵素を作用させて得たエステル交換油液体側画分に部分グリセリドリパーゼを作用させてジグリセリド含量を低下させ、エステル交換反応の原料として再利用する方法が開示されている。
しかし、当該特許文献3は、エステル交換油の固体側を目的油脂(ハードバター)として得るもので、α−リノレン酸を豊富に含む油脂の風味の改善を図るものではない。

概要

α−リノレン酸を多く含みながらも、加熱調理に使用でき、加熱調理品の風味を向上させることができる精製油脂を製造する方法を提供する。次の工程(1)、(2)及び(3):(1)構成脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量が5〜50質量%である油脂をエステル交換反応する工程、(2)得られたエステル交換反応油に部分グリセリドリパーゼを作用させて加水分解する工程、(3)得られた加水分解反応油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程、を含み、工程(3)における加水分解反応油の酸価が4mgKOH/g以上である、精製油脂の製造方法。なし

目的

また、α−リノレン酸は、体内で生理活性の高いエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸に変換されることから、α−リノレン酸を含む油脂の利用が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

次の工程(1)、(2)及び(3):(1)構成脂肪酸中のα−リノレン酸含有量が5〜50質量%である油脂をエステル交換反応する工程、(2)得られたエステル交換反応油部分グリセリドリパーゼを作用させて加水分解する工程、(3)得られた加水分解反応油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程、を含み、工程(3)における加水分解反応油の酸価が4mgKOH/g以上である、精製油脂の製造方法。

請求項2

工程(2)において、反応系内に0.1〜50質量%の水が含まれる請求項1記載の精製油脂の製造方法。

請求項3

工程(3)に先立って、加水分解反応油を脱色する工程を含む請求項1又は2記載の精製油脂の製造方法。

請求項4

精製油脂において構成脂肪酸がα−リノレン酸残基のみからなるトリアシルグリセロールの含有量を40%以上低下させる請求項1〜3のいずれか1項記載の精製油脂の製造方法。

請求項5

エステル交換反応に供する油脂が未脱臭油脂である請求項1〜4のいずれか1項記載の精製油脂の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、精製油脂の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年の健康指向の高まりを受けて、油脂中脂肪酸の機能について多数の研究がなされている。例えば、ω3系高度不飽和脂肪酸であるα−リノレン酸の摂取により、心臓血管系疾患リスクの低減が期待されること等が報告されている(非特許文献1)。
また、α−リノレン酸は、体内生理活性の高いエイコサペンタエン酸ドコサヘキサエン酸に変換されることから、α−リノレン酸を含む油脂の利用が望まれている。

0003

α−リノレン酸を豊富に含む油脂は、熱安定性酸化安定性が低く、容易に劣化し易い。そのため、これを改善する技術がこれまでに検討され、例えば、フラックス油液体油との混合原料を1,3位特異性リパーゼによるエステル交換反応を行って風味定性に優れたα−リノレン酸を多く含む食用油とする方法(特許文献1)、液体油および/または固体脂アマニ油等の多価不飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを含んだ油脂を加えエステル交換することにより、全トリグリセリドに占めるトリリノレンの割合を6重量%以下としたフライヤーへの油脂由来重合物のこびりつきが少なく、通常の食用油と同等あるいはそれ以上の風味を持つフライ用油脂製造法(特許文献2)等が報告されている。

0004

一方、部分グリセリドリパーゼは、部分グリセリドを特異的に加水分解する酵素として知られている(例えば、特許文献3及び4)。特許文献3には、1,3−位特異的酵素を作用させて得たエステル交換油液体側画分に部分グリセリドリパーゼを作用させてジグリセリド含量を低下させ、エステル交換反応の原料として再利用する方法が開示されている。
しかし、当該特許文献3は、エステル交換油の固体側を目的油脂(ハードバター)として得るもので、α−リノレン酸を豊富に含む油脂の風味の改善を図るものではない。

0005

特開2000−300176号公報
特開2000−210019号公報
特開昭62−61590号公報
特開昭62−51997号公報

先行技術

0006

Diet,Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases,WHO Technical Report Series 916,2005.

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1及び2のように、α−リノレン酸を豊富に含む油脂をエステル交換反応させても、例えば天ぷら等の加熱調理に使用すると、加熱調理品が油っぽく重たい風味に感じられる場合があった。
従って、本発明は、α−リノレン酸を多く含みながらも、加熱調理に使用でき、加熱調理品の風味を向上させることができる精製油脂を製造する方法を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を行ったところ、α−リノレン酸を豊富に含む油脂をエステル交換反応させることで副生するジアシルグリセロールが、加熱調理品の風味と高い相関を持つことを見出した。そこで、エステル交換反応後に、油脂に部分グリセリドリパーゼを作用させてジアシルグリセロールを加水分解すれば、加熱調理品の風味が向上することを見出した。また、部分グリセリドリパーゼを作用させた後、遊離脂肪酸濃度が高い加水分解反応油に対して脱臭処理を行えば、一層加熱調理品の油っぽさがなくなり風味が改善することを見出した。

0009

すなわち、本発明は、次の工程(1)、(2)及び(3):
(1)構成脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量が5〜50質量%である油脂をエステル交換反応する工程、
(2)得られたエステル交換反応油に部分グリセリドリパーゼを作用させて加水分解する工程、
(3)得られた加水分解反応油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程、
を含み、工程(3)における加水分解反応油の酸価が4mgKOH/g以上である、精製油脂の製造方法を提供するものである。

発明の効果

0010

本発明によれば、α−リノレン酸を多く含みながらも、風味に優れた加熱調理品とすることができる精製油脂を製造することができる。

0011

本発明は、次の工程(1)、(2)及び(3):
(1)構成脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量が5〜50質量%である油脂をエステル交換反応する工程、
(2)得られたエステル交換反応油に部分グリセリドリパーゼを作用させて加水分解する工程、
(3)得られた加水分解反応油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程、
を含み、工程(3)における加水分解反応油の酸価が4mgKOH/g以上である、精製油脂の製造方法である。

0012

本発明の工程(1)は、構成脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量が5〜50質量%(以下、単に「%」とする)である油脂をエステル交換反応する工程である。本明細書において油脂とは、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものをいう。

0013

エステル交換反応に供する油脂を構成する全脂肪酸中、α−リノレン酸の含有量は5〜50%であるが、更に10%以上、更に14%以上、更に18%以上、更に22%以上であるのが生理効果の点から好ましい。また、45%以下、更に40%以下、更に35%以下、更に30%以下であるのが、酸化安定性の観点、コク味を付与する点から好ましい。また、構成脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量は、10〜45%、更に14〜40%、更に18〜35%、更に22〜30%が好ましい。

0014

エステル交換反応に供する油脂を構成する残余の脂肪酸としては、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、油脂の外観工業的生産性の点から、不飽和脂肪酸の含有量が70〜98%、更に75〜96%、更に80〜94%であるのが好ましい。飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸としては、炭素数12〜24、更に16〜22のものが好ましい。

0015

エステル交換反応に供する油脂中、トリアシルグリセロールの含有量は、78〜100%であることが好ましく、風味を良好とする点から、更に88%以上、更に90%以上、更に92%以上であることが好ましく、工業生産性の点から、99.5%以下、更に99%以下であることが好ましい。また、トリアシルグリセロールの含有量は、78〜100%、更に88〜100%、更に90〜99.5%、更に92〜99%であることが好ましい。

0016

エステル交換反応に供する油脂中、ジアシルグリセロールの含有量は、0〜19%であることが好ましく、風味を良好とする点から、更に9%以下、更に7%以下、更に5%以下であることが好ましく、油脂の工業生産性の点から、更に0.1%以上、更に0.2%以上であることが好ましい。また、ジアシルグリセロールの含有量は、更に0〜9%、0.1〜7%、更に0.2〜5%であるのが好ましい。

0017

エステル交換反応に供する油脂中、モノアシルグリセロールの含有量は、0〜20%であることが好ましく、風味を良好とする点から、更に10%以下、更に5%以下、更に3%以下であることが好ましく、油脂の工業生産性の点から、更に0.1%以上であることが好ましい。また、モノアシルグリセロールの含有量は、更に0〜10%、0.1〜5%、更に0.1〜3%であるのが好ましい。

0018

エステル交換反応に供する油脂として用いる食用油脂としては、植物性油脂動物性油脂のいずれでもよい。例えば、大豆油菜種油サフラワー油米油コーン油パーム油ヒマワリ油綿実油オリーブ油ゴマ油落花生油ハトムギ油、小麦胚芽油シソ油、アマニ油、エゴマ油チアシード油、サチャインチ油、クルミ油キウイ種子油、サルビア種子油ブドウ種子油マカデミアナッツ油ヘーゼルナッツ油カボチャ種子油椿油実油、ボラージ油、パーム油、パームオレインパームステアリンやし油パーム核油カカオ脂サル脂、シア脂、藻油等の植物性油脂;魚油ラード牛脂バター脂等の動物性油脂;あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油分別油等の油脂類を挙げることができる。なかでも、使用性の点から、植物性油脂を用いるのが好ましく、更に大豆油、菜種油、シソ油、アマニ油、エゴマ油、チアシード油、サチャインチ油等を用いるのが好ましい。

0019

本発明においてエステル交換反応は、同じ油脂内で行われてもよく、異なる油脂間で行われてもよい。分子内の脂肪酸分布を均一化する点から、異なる油脂間で行われることが好ましい。
エステル交換反応を異なる油脂間で行う場合、一方の油脂としては、α−リノレン酸を豊富に含むアマニ油、エゴマ油、チアシード油、サチャインチ油を用いることが好ましく、アマニ油を用いることが更に好ましい。もう一方の油脂としては、油脂の外観、汎用性の点から大豆油、菜種油、サフラワー油を用いるのが好ましい。

0020

α−リノレン酸を豊富に含むアマニ油等の一方の油脂と、大豆油等のもう一方の油脂との割合は、質量比で5:95〜80:20であることが好ましく、10:90〜75:25であることがより好ましく、15:85〜50:50であることが更に好ましい。

0021

エステル交換反応に供する油脂は、原料となる植物又は動物から搾油後、油分以外の固形分を濾過遠心分離等により除去するのが好ましい。次いで、水、場合によっては更に酸を添加混合した後、遠心分離等によってガム分を分離することにより脱ガムすることが好ましい。また、油脂にアルカリを添加混合した後、水洗脱水することにより脱酸を行うことが好ましい。更に、油脂に活性白土活性炭等の吸着剤と接触させた後、吸着剤を濾過等により分離することにより脱色を行うことが好ましい。これらの処理は、以上の順序で行うことが好ましいが、順序を変更しても良い。また、この他に、油脂は、ろう分の除去のために、低温で固形分を分離するウインタリングを行っても良い。

0022

また、エステル交換反応に供する油脂は、構成脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸の含有量が1.5%以下、更に1%以下、更に0.5%以下のものを用いることが、得られる精製油脂を構成する脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸の含有量を低減させることができる点から好ましい。このような観点から、エステル交換反応に供する油脂は、原料の全部又は一部に、未脱臭油脂を使用するのが好ましい。なお、未脱臭油脂とは、脱臭を行っていない油脂である。

0023

本発明において、エステル交換反応に供する油脂は、部分グリセリドの副生成を抑制させる点、得られるエステル交換反応油の劣化を抑制する点から、予め減圧による脱水、脱気又は脱酸素を行うことが好ましい。油脂中の水の量は、1%以下、更に0.001〜0.5%、更に0.005〜0.3%が好ましい。

0024

エステル交換反応の方法としては、従来公知の化学法酵素法が挙げられ、いずれの方法も使用できる。得られる精製油脂の風味向上の点からは、酵素法によるのが好ましい。
また、得られる精製油脂中の構成脂肪酸がα−リノレン酸残基のみからなるトリアシルグリセロール(以下、トリリノレンともいう)の含有量を効果的に低減するという点からは、化学法によるのが好ましい。

0025

エステル交換反応を酵素法で行う場合、酵素としては、油脂分解酵素であるリパーゼを用いることが好ましい。リパーゼとしては、動物由来植物由来のものはもとより、微生物由来の市販リパーゼを使用することもできる。例えば、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、ムコール(Mucor)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジオトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属、キャンディダ(Candida)属等の微生物由来のリパーゼや膵臓リパーゼ等の動物由来のリパーゼが挙げられる。微生物由来のリパーゼでは、ペニシリウム(Penicillium)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、又はキャンディダ(Candida)属由来のリパーゼが好ましい。

0026

リパーゼは、リパーゼを担体固定化した固定化リパーゼを用いることが、リパーゼ活性を有効利用できる点、コストの点から好ましい。リパーゼを固定化する固定化担体固定化方法については後述する工程(2)で用いる部分グリセリドリパーゼと共通である。
固定化リパーゼの市販品としては、例えば、「Lipozyme RMIM」(ノボザイムズジャパン社)がある。

0027

固定化リパーゼ中の水の量は、エステル交換反応を進行させトリリノレンを低減する点、部分グリセリドの副生成を抑制する点、及びリパーゼの活性を有効に引き出す点から、5%以下、更に0.1〜5%に、更に0.5〜3%であるのが好ましい。

0028

また、固定化リパーゼの使用量は、リパーゼの活性を考慮して適宜決定することができるが、エステル交換反応に供する油脂100質量部(以下、単に「部」とする)に対して、乾燥質量で0.01〜100部、更に0.1〜50部、更に0.2〜30部が好ましい。乾燥質量は、固定化リパーゼに保持される水分量を除いた質量である。

0029

固定化リパーゼの存在下での油脂のエステル交換反応は、固定化リパーゼと油脂を接触させればよく、接触手段としては、浸漬、攪拌、該固定化リパーゼを充填したカラムポンプ等で通液すること等が挙げられる。攪拌する場合には、反応槽径によって異なるが、固定化リパーゼが沈降せず、破砕を抑制し、効率的にエステル交換反応を進行させトリリノレンを低減させる点から、10〜1000r/minが好ましく、更には20〜700r/min、更には30〜500r/minが好ましい。

0030

エステル交換反応を酵素法で行う場合、反応温度は、反応速度を向上する点、酵素の失活を抑制する点から、0〜100℃、更に10〜80℃、更に20〜70℃とするのが好ましい。また、反応時間は、工業的な生産性の点から、0.5〜100時間が好ましく、更には1〜50時間、更に2〜30時間が好ましい。

0031

また、酵素法によるエステル交換反応の際の反応系内の圧力は特に規定されず、常圧又は減圧下で行うことができる。該圧力条件は、部分グリセリドの副生成を抑制させる点から、106Pa以下、更に10〜105Pa、更に100〜104Paが好ましい。常圧で反応する場合は、空気との接触が出来るだけ回避されるように、窒素等の不活性ガス存在下で行うことが好ましい。また、反応は、ヘキサンシクロヘキサン石油エーテル等の溶剤下で行ってもよい。

0032

エステル交換反応を化学法で行う場合、触媒としては、酸触媒又はアルカリ触媒が挙げられる。酸触媒としては、例えば、リン酸リン酸ナトリウム等が挙げられる。アルカリ触媒としては、例えば、アルカリ金属又はその合金、アルカリ金属又はアルカリ土類金属酸化物水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド等が挙げられる。なかでも、取扱性及び反応性の点から、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化カルシウムナトリウムメチラートナトリウムエチラートカリウムメチラートが好ましく、更にナトリウムメチラート、カリウムメチラートが好ましい。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0033

触媒の使用量は、反応性の点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドの場合、エステル交換反応に供する油脂に対して0.001〜3%、更に0.005〜2%、更に0.01〜1%であることが好ましい。
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物の場合、エステル交換反応に供する油脂に対して0.001〜2%、更に0.002〜1%、更に0.005〜0.5%となるように加えるのが好ましい。

0034

エステル交換反応を化学法で行う場合、反応温度は、エステル交換率の点、及び副生成物の生成を抑制する点から、20〜200℃、更に30〜170℃、更に40〜140℃が好ましい。また、反応時間は、エステル交換率の点、及び副生成物の生成を抑制する点から、0.1〜8時間、更に0.2〜6時間、更に0.4〜4時間が好ましい。

0035

化学法によるエステル交換反応の際の反応系内の圧力は特に規定されず、常圧又は減圧下で行うことができる。該圧力条件は、部分グリセリドの副生成を抑制させる点から、106Pa以下、更に10〜105Pa、更に100〜104Paが好ましい。常圧の場合は窒素気流下とすることが、反応性の点から好ましい。

0036

また、化学法によるエステル交換反応終了後、得られるエステル交換反応油は、色相、風味を更に良好とする点から、クエン酸やリン酸等の酸により触媒を中和除去し、水洗を行うことが好ましい。水洗とはエステル交換反応油に水を添加して強攪拌し、油水分離を行う操作を行う工程をいう。水洗は複数回、例えば3回繰り返し、水洗油を得るのが好ましい。固体触媒の場合には、濾過等により除去するのが好ましい。

0037

本発明において、エステル交換反応は、回分式、連続式、又は半連続式で行うことができ、油脂の装置内への供給は、並流式、向流式どちらでもよい。
エステル交換反応において、反応系内の水分量は、部分グリセリドの副生成を抑制させ脱臭油歩留を向上させる点、生産効率の点から、0.001〜2%、更に0.002〜1.5%、更に0.005〜1%、更に0.01〜0.5%になる様にコントロールすることが好ましい。
反応系内の水の量をコントロールする方法としては、(i)あらかじめ、各成分の水分量をカールフィッシャー法等により測定しておき、合計の水分量をコントロールする方法、(ii)反応成分を完全に脱水して、後で所定量の水を加える方法等がある。なお、エステル交換反応に供する油脂が保持している水分と、エステル交換反応を酵素法で行う場合はリパーゼが保持している水分も、前記水分量に含めるものとする。

0038

本発明の工程(1)で得られたエステル交換反応油中のトリリノレンの含有量は、加熱調理品の風味の点から、10%以下であることが好ましく、更に8%以下、更に6%以下、更に4%以下、更に3%以下が好ましく、工業生産性の点から、更に1%以上、更に1.3%以上、更に1.6%以上であることが好ましい。また、トリリノレンの含有量は、更に1〜10%、更に1〜6%、更に1.3〜4%、更に1.6〜3%が好ましい。

0039

本発明の工程(1)で得られたエステル交換反応油中のジアシルグリセロール含有量は、工程(2)における加水分解反応を効率よく行うため、15%以下であることが好ましく、更に12%以下、更に10%以下、更に8%以下、更に6%以下が好ましい。また、エステル交換反応油中のトリリノレンの含有量を効率よく低下させる点から、3%以上であることが好ましく、更に3.5%以上、4%以上であることが好ましい。

0040

本発明の工程(1)で得られたエステル交換反応油の酸価は、反応性向上の点から、更に0.3mgKOH/g以上、更に0.5mgKOH/g以上、更に1mgKOH/g以上が好ましく、また、工業生産性の点から、20mgKOH/g以下、更に15mgKOH/g以下、更に10mgKOH/g以下、更に8mgKOH/g以下、更に6mgKOH/g以下が好ましい。

0041

本発明の工程(2)は、工程(1)で得られたエステル交換反応油に部分グリセリドリパーゼを作用させて加水分解する工程である。本発明で使用する部分グリセリドリパーゼは、モノアシルグリセロール及びジアシルグリセロールを加水分解するが、トリアシルグリセロールを加水分解し難いリパーゼである。したがって、エステル交換反応油に部分グリセリドリパーゼを作用させることで、主にエステル交換反応油に混在する部分グリセリドが分解される。

0042

部分グリセリドリパーゼとしては、ラット小腸ブタ脂肪組織等の動物臓器由来のモノグリセリドリパーゼ又はジグリセリドリパーゼバチルススピーシーズ(Bacillus sp.)H−257由来モノグリセリドリパーゼ(J.Biochem.,127,419−425,2000)、シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)LP7315由来モノグリセリドリパーゼ(Journal of Bioscience and Bioengineering,91(1),27−32,2001)、ペニシリウム・サイロピウム由来リパーゼ(J.Biochem,87(1),205−211,1980)、ペニシリウム・カメベルティ(Penicillium camembertii)U−150由来リパーゼ(J.Fermentation and Bioengineering,72(3),162−167,1991)等が挙げられる。
市販品としては、例えば「モノグリセライドリパーゼ(MGLPII)」(旭化成社)、「リパーゼG「アマノ」50」(天野エンザイム社)等がある。

0043

部分グリセリドリパーゼは、該リパーゼを担体に固定化した固定化部分グリセリドリパーゼを用いることがリパーゼ活性を有効利用できる点から好ましい。
固定化担体としては、セライトケイソウ土カオリナイトシリカゲルモレキュラーシーブス多孔質ガラス、活性炭、炭酸カルシウムセラミックス等の無機担体セラミックスパウダーポリビニルアルコールポリプロピレンキトサンイオン交換樹脂疎水吸着樹脂キレート樹脂合成吸着樹脂等の有機高分子等が挙げられる。なかでも、保水力が高い点からイオン交換樹脂が好ましい。また、イオン交換樹脂の中でも、大きな表面積を有することにより酵素の吸着量を高くできるという点から、多孔質であることが好ましい。

0044

固定化担体として用いる樹脂粒子径は50〜2000μmが好ましく、更に100〜1000μmが好ましい。細孔径は10〜150nmが好ましく、更に10〜100nmが好ましい。材質としては、フェノールホルムアルデヒド系、ポリスチレン系アクリルアミド系、ジビニルベンゼン系等が挙げられ、更にフェノールホルムアルデヒド系樹脂(例えば、Rohm and Haas社製Duolite A−568)がリパーゼ吸着性向上の点から好ましい。

0045

固定化部分グリセリドリパーゼの使用量は、リパーゼの活性を考慮して適宜決定することができるが、エステル交換反応油100部に対して0.01〜100部、更に0.1〜50部、更に0.2〜30部が好ましい。

0046

エステル交換反応油に部分グリセリドリパーゼを作用させるには、エステル交換反応油と部分グリセリドリパーゼを接触させればよく、接触手段としては、浸漬、攪拌、該固定化酵素を充填したカラムにポンプ等で通液すること等が挙げられる。攪拌する場合には、反応槽径によって異なるが、固定化リパーゼが沈降せず、破砕を抑制し、効率的に加水分解反応を進行させる点から、10〜1000r/minが好ましく、更には20〜700r/min、更には30〜500r/minが好ましい。

0047

加水分解反応は、回分式、連続式、又は半連続式で行うことができ、エステル交換反応油の装置内への供給は、並流式、向流式どちらでもよい。
加水分解反応において、反応系内の水分量は、0.1〜50%にコントロールすることが好ましく、部分グリセリドを効率的に低減する点、工業的な生産性の観点から、更に0.2%以上、更に0.3%以上、更に0.5%以上にコントロールすることが好ましく、更に30%以下、更に15%以下、更に10%以下にコントロールすることが好ましい。また、更に0.2〜30%、更に0.3〜15%、更に0.5〜10%となる様にコントロールすることが好ましい。
反応系内の水の量をコントロールする方法としては、(i)あらかじめ、各成分の水分量をカールフィッシャー法等により測定しておき、合計の水分量をコントロールする方法、(ii)反応成分を完全に脱水して、後で所定量の水を加える方法等がある。なお、反応系内の水は、部分グリセリドリパーゼ及びエステル交換反応油中に含まれるものも、前記水分量に含めるものとする。

0048

加水分解の反応温度は、リパーゼの特性によって決定することができるが、反応速度を向上する点、酵素の失活を抑制する点から、0〜80℃、更に10〜70℃、更に20〜60℃が好ましい。また、反応時間は、工業的な生産性の点から、0.1〜50時間が好ましく、更に0.2〜40時間、更に、0.3〜30時間が好ましい。また、加水分解反応は、空気との接触が出来るだけ回避されるように、窒素等の不活性ガス存在下で行うことが好ましい。

0049

本発明の工程(2)で得られた加水分解反応油中のジアシルグリセロール含有量は、加熱調理品の風味の点から、4.5%以下であることが好ましく、更に4%以下、更に3.5%以下、更に3%以下が好ましい。また、ジアシルグリセロールの含有量は、0.2〜4.5%、更に0.4〜4%、更に0.4〜3.5%、更に0.6〜3%が好ましい。

0050

本発明の工程(2)で得られた加水分解反応油の酸価は、得られる精製油脂の風味向上の点から、4mgKOH/g以上、5mgKOH/g以上、更に6mgKOH/g以上、更に7mgKOH/g以上が好ましく、また、工業的生産性の観点から、35mgKOH/g以下、更に30mgKOH/g以下、更に25mgKOH/g以下、更に20mgKOH/g以下、更に15mgKOH/g以下が好ましい。また、4〜35mgKOH/g、更に5〜30mgKOH/g、更に6〜25mgKOH/g、更に7〜20mgKOH/g、更に7〜15mgKOH/gが好ましい。

0051

本発明の工程(3)は、工程(2)で得られた加水分解反応油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程である。工程(3)において、脱臭処理に供する加水分解反応油の酸価は4mgKOH/g以上である。遊離脂肪酸濃度が高い加水分解反応油に対して脱臭処理を行うことで、得られた精製油脂を加熱調理に使用した際、一層加熱調理品の風味を向上させることができる。

0052

脱臭処理に供する加水分解反応油の酸価は、得られる精製油脂の風味向上の点から、更に5mgKOH/g以上、更に6mgKOH/g以上、更に7mgKOH/g以上が好ましく、また、工業的な生産性の観点から、35mgKOH/g以下、更に30mgKOH/g以下、更に25mgKOH/g以下、更に20mgKOH/g以下、更に15mgKOH/g以下が好ましい。また、4〜35mgKOH/g、更に5〜30mgKOH/g、更に6〜25mgKOH/g、更に7〜20mgKOH/g、更に7〜15mgKOH/gが好ましい。

0053

加水分解反応油に水蒸気を接触させる方法は特に限定されず、バッチ式、半連続式、連続式等で行ってもよい。処理すべき加水分解反応油の量が少量の場合はバッチ式を用い、多量になると半連続式、連続式を用いることが好ましい。
半連続式装置としては、例えば数段のトレイを備えた脱臭塔からなるガードラー式脱臭装置等が挙げられる。本装置は、上部から脱臭すべき加水分解反応油を供給し、トレイ上で油脂と水蒸気又は不活性ガスの接触を適当な時間行った後、加水分解反応油を下段のトレイへ下降させ、間欠的に次々と下降しながら移動することにより処理を行うものである。
連続式装置としては、薄膜状の加水分解反応油と水蒸気を接触させることが可能な、構造物が充填された薄膜脱臭装置等が挙げられる。

0054

水蒸気を接触させる際の加水分解反応油の温度は、処理の効率の点及び風味の点より、180〜280℃が好ましく、更に200〜260℃、更に210〜250℃が好ましい。
また、加水分解反応油と水蒸気の接触時間は、風味の点から、1〜120分が好ましく、更に2〜90分、更に5〜60分が好ましい。

0055

また、圧力は、風味の点から、0.02〜2kPaが好ましく、更に0.05〜1kPa、更に0.1〜0.8kPaが好ましい。

0056

加水分解反応油に接触させる水蒸気の量は、風味の点から、加水分解反応油に対して0.3〜20%が好ましく、更に0.5〜10%、更に1〜5%が好ましい。

0057

本発明の工程(3)で得られた精製油脂の酸価は、工業的生産性向上の点から、0.01mgKOH/g以上、更に0.02mgKOH/g以上、更に0.03mgKOH/g以上が好ましく、また、精製度の観点から、1mgKOH/g以下、更に0.5mgKOH/g以下、更に0.3mgKOH/g以下、更に0.2mgKOH/g以下、更に0.15mgKOH/g以下が好ましい。

0058

本発明においては、得られる精製油脂の色相、風味をさらに良好とする点から、工程(3)に先立ち、工程(2)で得られた加水分解反応油の脱色をする工程を行うことが好ましい。
脱色工程は、加水分解反応油に吸着剤等を接触させる工程である。脱色処理に用いる吸着剤は、多孔質吸着剤が好ましく、例えば、活性炭、二酸化ケイ素、及び固体酸吸着剤が挙げられる。固体酸吸着剤としては酸性白土、活性白土、活性アルミナ、シリカゲル、シリカアルミナアルミニウムシリケート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を用いることができる。なかでも、副生成物の含有量を低減する点、風味及び色相を良好とする点から、固体酸吸着剤が好ましく、酸性白土、活性白土が特に好ましい。

0059

酸性白土と活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgOなどを含有するものであるが、SiO2/Al2O3比が3〜12、特に4〜10であるのが好ましい。またFe2O3を1〜5%、CaOを0〜1.5%、MgOを1〜7%含有する組成のものが好ましい。
酸性白土としては、例えば、ミズカエース#20、ミズカエース#400(以上、水澤化学工業(株)製)等の市販品を用いることができ、活性白土としては、例えば、ガレオアースV2R、ガレオンアースNV、ガレオンアースGSF(以上、水澤化学工業(株)製)等の市販品を用いることができる。

0060

吸着剤の使用量は、濾過速度が早く生産性が良好である点、歩留まりが高い点から、加水分解反応油に対して3%未満が好ましく、更に0.1〜3%未満、更に0.2〜2%、更に0.3〜1.5%が好ましい。

0061

加水分解反応油と吸着剤の接触温度は、色相改善及び工業的生産性の点から、20〜150℃が好ましく、更に40〜135℃、更に60〜120℃が好ましい。また、接触時間は、同様の点から、3〜180分が好ましく、更に5〜120分、更に7〜90分、更に15〜90分が好ましい。圧力は、減圧下でも常圧でもよいが、脱色性の点から、1000kPa以下、更に0.1〜100kPa、更に1〜50kPaが好ましい。

0062

このような処理の結果、トリリノレン及びジアシルグリセロールが低減されたα−リノレン酸を豊富に含む精製油脂が得られる。
本発明の方法により得られる精製油脂は、加熱調理品の風味の点から、エステル交換反応に供する油脂に対してトリリノレンの含有量が40%以上、更に45%以上、更に50%以上、更に60%以上低下したものが好ましい。また、その低下率は、40〜95%、更に45〜90%、更に50〜85%、更に60〜85%が好ましい。
本発明において、トリリノレンの低下率は、次の式に従って求めることができる。
トリリノレンの低下率=(T0−T1)/T0×100
(式中、エステル交換反応に供する油脂中のトリリノレンの含有量=T0、精製脂中のトリリノレンの含有量=T1)

0063

また、精製油脂中のトリリノレンの含有量は、加熱調理品の風味の点から、10%以下であることが好ましく、更に8%以下、更に6%以下、更に4%以下、更に3%以下が好ましく、工業生産性の点から、更に1%以上、更に1.3%以上、更に1.6%以上であることが好ましい。また、トリリノレンの含有量は、更に1〜10%、更に1〜6%、更に1.3〜4%、更に1.6〜3%が好ましい。

0064

本発明の方法により得られる精製油脂中のジアシルグリセロールの含有量は、加熱調理品の風味の点から、4.5%以下であることが好ましく、更に4%以下、更に3.5%以下、更に3%以下が好ましい。また、ジアシルグリセロールの含有量は、0.2〜4.5%、更に0.4〜4%、更に0.4〜3.5%、更に0.6〜3%が好ましい。

0065

また、本発明の方法により得られる精製油脂は、酸化安定性の点から、トコフェロールを300ppm以上、更に400ppm以上、更に450ppm以上含むのが好ましい。

0066

本発明の方法により得られる精製油脂は、色相に優れる。精製油脂の色相は、実施例記載の方法で測定される10R+Yの値が18以下、更に16以下、更に14以下、更に12以下、更に10以下が好ましい。

0067

本発明の方法により得られる精製油脂は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食物に広範に適用することができる。なかでも、加熱調理用油脂、更にフライや天ぷら等の揚げ物調理用油脂として好適である。

0068

上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の製造方法を開示する。

0069

<1>次の工程(1)、(2)及び(3):
(1)構成脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量が5〜50質量%である油脂をエステル交換反応する工程、
(2)得られたエステル交換反応油に部分グリセリドリパーゼを作用させて加水分解する工程、
(3)得られた加水分解反応油に水蒸気を接触させる脱臭処理を行う工程、
を含み、工程(3)における加水分解反応油の酸価が4mgKOH/g以上である、精製油脂の製造方法。

0070

<2>エステル交換反応に供する油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは14質量%以上、更に好ましくは18質量%以上、更に好ましくは22質量%以上であり、また、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下であり、また、好ましくは10〜45質量%、より好ましくは14〜40質量%、更に好ましくは18〜35質量%、更に好ましくは22〜30質量%である<1>に記載の精製油脂の製造方法。
<3>エステル交換反応に供する油脂中、トリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは78質量%以上、より好ましくは88質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは92質量%以上であり、また、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99質量%以下であり、また、好ましくは78〜100質量%、より好ましくは88〜100質量%、更に好ましくは90〜99.5質量%、更に好ましくは92〜99質量%である<1>又は<2>に記載の精製油脂の製造方法。
<4>エステル交換反応に供する油脂中、ジアシルグリセロールの含有量が、好ましくは19質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下であり、また、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは0〜19質量%、より好ましくは0〜9質量%、更に好ましくは0.1〜7質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%である<1>〜<3>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<5>エステル交換反応に供する油脂が、好ましくは未脱臭油脂である<1>〜<4>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<6>エステル交換反応が、好ましくは異なる油脂間で行われ、より好ましくはアマニ油、エゴマ油、チアシード油及びサチャインチ油から選ばれる少なくとも1以上の油脂と、大豆油、菜種油及びサフラワー油から選ばれる少なくとも1以上のもう一方の油脂の間で行われる<1>〜<5>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<7>アマニ油、エゴマ油、チアシード油及びサチャインチ油から選ばれる少なくとも1以上の油脂と、大豆油、菜種油及びサフラワー油から選ばれる少なくとも1以上のもう一方の油脂との割合が、質量比で、好ましくは5:95〜80:20、より好ましくは10:90〜75:25、更に好ましくは15:85〜50:50である<6>に記載の精製油脂の製造方法。
<8>エステル交換反応が、化学法で行われる<1>〜<7>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<9>触媒が、好ましくは酸触媒及びアルカリ触媒から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはリン酸、リン酸ナトリウム、アルカリ金属又はその合金、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート及びカリウムメチラートから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくはナトリウムメチラート及びカリウムメチラートから選ばれる1種又は2種以上である<8>に記載の精製油脂の製造方法。
<10>エステル交換反応が、酵素法で行われる<1>〜<7>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<11>酵素が、好ましくはリパーゼであり、より好ましくは固定化リパーゼである<10>に記載の精製油脂の製造方法。
<12>エステル交換反応において、反応系内に好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.002〜1.5質量%、更に好ましくは0.005〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%の水が含まれる<1>〜<11>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<13>工程(1)で得られたエステル交換反応油脂中のトリリノレンの含有量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上、更に好ましくは1.6質量%以上であり、また、好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜6質量%、更に好ましくは1.3〜4質量%、更に好ましくは1.6〜3質量%である<1>〜<12>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<14>工程(1)で得られたエステル交換反応油中のジアシルグリセロール含有量が、好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下であり、また、好ましくは3質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上、更に好ましくは4質量%以上である<1>〜<13>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<15>工程(1)で得られたエステル交換反応油の酸価が、好ましくは0.3mgKOH/g以上、更に好ましくは0.5mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、また、好ましくは20mgKOH/g以下、更に好ましくは15mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以下、更に好ましくは8mgKOH/g以下、更に好ましくは6mgKOH/g以下である<1>〜<14>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<16>部分グリセリドリパーゼが、好ましくは固定化部分グリセリドリパーゼである<1>〜<15>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<17>加水分解反応において、反応系内に好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上の水が含まれ、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下の水が含まれ、また、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.2〜30質量%、更に好ましくは0.3〜15質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%の水が含まれる<1>〜<16>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<18>工程(2)で得られた加水分解反応油中のジアシルグリセロール含有量が、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下であり、また、好ましくは0.2〜4.5質量%、更に好ましくは0.4〜4質量%、更に好ましくは0.4〜3.5質量%、更に好ましくは0.6〜3質量%である<1>〜<17>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<19>工程(2)で得られた加水分解反応油の酸価が、好ましくは4mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは6mgKOH/g以上、更に好ましくは7mgKOH/g以上であり、また、好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下、更に好ましくは15mgKOH/g以下であり、また、好ましくは4〜35mgKOH/g、更に好ましくは5〜30mgKOH/g、更に好ましくは6〜25mgKOH/g、更に好ましくは7〜20mgKOH/g、更に好ましくは7〜15mgKOH/gである<1>〜<18>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<20>脱臭処理に供する加水分解反応油の酸価が、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは6mgKOH/g以上、更に好ましくは7mgKOH/g以上であり、また、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下、更に好ましくは15mgKOH/g以下であり、また、好ましくは4〜35mgKOH/g、より好ましくは5〜30mgKOH/g、更に好ましくは6〜25mgKOH/g、更に好ましくは7〜20mgKOH/g、更に好ましくは7〜15mgKOH/gである<1>〜<19>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<21>水蒸気を接触させる際の加水分解反応油の温度が、好ましくは180〜280℃、より好ましくは200〜260℃、更に好ましくは210〜250℃である<1>〜<20>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<22>加水分解反応油と水蒸気の接触時間が、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜90分、更に好ましくは5〜60分である<1>〜<21>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。<23>工程(3)に先立って、工程(2)で得られた加水分解反応油を脱色する工程を含む<1>〜<22>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<24>脱色する工程が、好ましくは加水分解反応油に吸着剤を接触させる工程である<23>に記載の精製油脂の製造方法。
<25>吸着剤が、好ましくは活性炭、二酸化ケイ素及び固体酸吸着剤から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは酸性白土、活性白土、活性アルミナ、シリカゲル、シリカ・アルミナ及びアルミニウムシリケートから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは酸性白土及び活性白土から選ばれる1種又は2種以上である<24>に記載の精製油脂の製造方法。
<26>精製油脂の酸価が、好ましくは0.01mgKOH/g以上、より好ましくは0.02mgKOH/g以上、更に好ましくは0.03mgKOH/g以上であり、また、好ましくは1mgKOH/g以下、更に好ましくは0.5mgKOH/g以下、更に好ましくは0.3mgKOH/g以下、更に好ましくは0.2mgKOH/g以下、更に好ましくは0.15mgKOH/g以下である<1>〜<25>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<27>精製油脂において構成脂肪酸がα−リノレン酸残基のみからなるトリアシルグリセロールの含有量を好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上低下させ、また、好ましくは40〜95%、より好ましくは45〜90%、更に好ましくは50〜85%、更に好ましくは60〜85%低下させる<1>〜<26>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<28>精製油脂中のトリリノレンの含有量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上、更に好ましくは1.6質量%以上であり、また、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜6質量%、更に好ましくは1.3〜4質量%、更に好ましくは1.6〜3質量%である<1>〜<27>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<29>精製油脂中のジアシルグリセロールの含有量が、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下であり、また、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、また、好ましくは0.2〜4.5質量%、より好ましくは0.4〜4質量%、更に好ましくは0.4〜3.5質量%、更に好ましくは0.6〜3質量%である<1>〜<28>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<30>精製油脂が、トコフェロールを好ましくは300ppm以上、より好ましくは400ppm以上、更に好ましくは450ppm以上含む<1>〜<29>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。
<31>精製油脂の色相が、10R+Yの値で好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である<1>〜<30>のいずれか1に記載の精製油脂の製造方法。

0071

分析方法
(i)油脂のグリセリド組成
ガラスサンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層ガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件
(条件)
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:DB−1ht(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=320℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持

0072

(ii)油脂の構成脂肪酸組成
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステル調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
<GLC分析条件>
カラム:CP−SIL88 100m×0.25mm×0.2μm (VARIAN)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:200)、T=250℃
ディテクター:FID、T=250℃
オーブン温度:174℃で50分保持後、5℃/分で220℃まで昇温、25分間保持

0073

(iii)油脂のグリセリド分子種組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約5mgとアセトン3mLを加えて振とうし、サンプルを調整した。JOS,60(9)、451(2011)に従い、HPLCCADに供して分析した。
HPLC条件
装置:日立高速液体クロマトグラフHTAシステムL−2000シリーズ
ディテクター:ESA Corona CAD
カラム:Develosil C30−UG−5
オーブン温度:40℃
溶離液:アセトン/アセトニトリル=70/30
流量:1mL/分

0074

(iv)酸価
酸価は日本油化学会編「基準油脂分析試験法2003年版」中の「酸価(2.3.1−1996)」に従って測定した。

0075

(v)トコフェロールの定量
トコフェロール量は日本油化学会編「基準油脂分析試験法2003年版」中の「トコフェロールの定量法(参3.4−1996)」に従って測定した。

0076

(vi)色
精製油脂の色は、日本油化学会編「基準油脂分析試験法2003年版」中の「色(2.2.1−1996)」に従って、ロビボンド比色計を用い5.25インチセルにより測定し、次の式で求めた値をいう。
色=10R+Y
(式中、R=Red値、Y=Yellow値

0077

(vii)水分量
原料油脂及びエステル交換反応に用いたLipozyme RMIMの水分量は、AQUACOUNTERAQ−7(平産業(株))を用いて測定した。

0078

〔天ぷら評価〕
精製油脂を用いて、下記の方法により、天ぷら調理を行った。
油量:600g(中華鍋
油温:180℃、ガスコンロ中火)加熱
揚げ種:エビブラックタイガー)8尾
レンコンスライス)8枚
カボチャ(スライス)8枚
ピーマン(1個を1/2切)8個
なす(1個を1/2切)8個
衣:小麦粉100g
50g
水150g

0079

フライ調理品の風味、食感パネル9名が下記の評価基準で評価し、その平均値をその天ぷらの評点とした。
5:さっぱりしていて軽い
4:ややさっぱりしていてやや軽い
3:やや油っぽくやや重たい
2:油っぽく重たい
1:非常に油っぽく非常に重たい

0080

〔原料油脂Aの調製〕
エステル交換反応に供する油脂として、表1に示す組成の未脱臭菜種油と未脱臭アマニ油を質量比で70:30の割合で混合した油脂を用いた。攪拌羽根(90mm×25mm)を取り付けた10L4ツ口フラスコに、未脱臭菜種油4900gと未脱臭アマニ油2100gを入れた。次いで、圧力400Paの減圧下で攪拌しながら温度60℃に昇温し、1時間減圧下で脱水した。この操作を2回行い、原料油脂Aを得た。原料油脂A中の水分量は380ppmであった。また、原料油脂Aを構成する脂肪酸中のα−リノレン酸(C18:3)の含有量は24%、原料油脂A中のトリリノレンの含有量は6.5%であった。

0081

〔原料油脂Bの調製〕
エステル交換反応に供する油脂として、表1に示す組成の未脱臭菜種油と未脱臭アマニ油を質量比で40:60の割合で混合した油脂を用いた。原料油脂Aと同様にして、未脱臭菜種油2000gと未脱臭アマニ油3000gを混合し、減圧脱水処理を行い、原料油脂Bを得た。原料油脂B中の水分量は310ppmであった。また、原料油脂Bを構成する脂肪酸中のα−リノレン酸(C18:3)の含有量は38%、原料油脂B中のトリリノレンの含有量は12.6%であった。

0082

0083

〔固定化部分グリセリドリパーゼの調製〕
Duolite A−568(Rohm & Haas社製)500gを0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液5000mL中で、1時間攪拌後、濾過した。その後、5000mLの蒸留水で1時間洗浄し、濾過した。500mMの酢酸緩衝液(pH5)5000mLで、2時間pHの平衡化後、濾過を行った。その後50mMの酢酸緩衝液(pH5)5000mLで2時間pHの平衡化後、濾過する操作を2回行った。次いで、エタノール2500mLでエタノール置換を30分間行った。濾過した後、大豆脂肪酸を500g含むエタノール溶液2500mLを加え30分間、大豆脂肪酸を担体に吸着させた。この後濾過し、担体を回収した後、50mMの酢酸緩衝液(pH5)2500mLで4回洗浄し、エタノールを除去し、濾過して担体を回収した。その後、部分グリセリドに作用する市販のリパーゼ(リパーゼG「アマノ」50、天野エンザイム(株))500gを50mMの酢酸緩衝液(pH5)10000mLに溶解したリパーゼ溶液に2時間接触させ、固定化を行った。さらに、濾過し固定化リパーゼを回収して、50mMの酢酸緩衝液(pH5)2500mLで洗浄を行い、固定化していないリパーゼや蛋白を除去した。以上の操作はいずれも温度20℃で行った。その後、大豆脂肪酸2000gを加え、温度40℃で攪拌しながら、圧力400Paに達するまで減圧して脱水した。濾過後、ヘキサン2500mLで30分間攪拌後、ヘキサン相濾別する操作を3回行った。その後、温度40℃でエバポレーターを使って1時間脱溶剤し、次いで、温度40℃、圧力1300Paの条件で15時間減圧乾燥して脱溶剤を行い、固定化部分グリセリドリパーゼを得た。

0084

実施例1
〔工程(1)〕
原料油脂Aを用いて、固定化リパーゼによるエステル交換反応を行った。攪拌羽根(90mm×25mm)を取り付けた2L4ツ口フラスコに、原料油脂Aを1000g入れ、300r/minで攪拌しながら、水分濃度2.2%のLipozyme RMIM(ノボザイムズジャパン製)を乾燥質量で100g添加した後、温度50℃、窒素雰囲気常圧条件で10時間エステル交換反応を行った。工程(1)反応系内の水分量は、表2のとおりであった。その後、固定化酵素を濾別し、エステル交換反応油を得た。表2に、エステル交換反応油の分析値を示す。

0085

〔工程(2)〕
工程(1)で得たエステル交換反応油を用いて、固定化部分グリセリドリパーゼによる加水分解反応を行った。攪拌羽根(90mm×25mm)を取り付けた2L4ツ口フラスコに、エステル交換反応油850gを入れ、300r/minで攪拌しながら、表2に示した工程(2)水添加量の蒸留水を加えた。固定化部分グリセリドリパーゼを85g添加した後、温度40℃、窒素雰囲気常圧条件で6時間加水分解反応を行った。その後、固定化部分グリセリドリパーゼを濾別し、加水分解反応油を得た。工程(2)反応系内の水分量は、表2のとおりであった。表2に、加水分解反応油の分析値を示す。

0086

〔脱色工程〕
工程(2)で得た加水分解反応油の脱色工程を行った。加水分解反応油を温度70℃、圧力0.4kPaの条件下で攪拌しながら30分間減圧下で脱水し、活性白土(ガレオンアースV2R、水澤化学工業(株)製)を加水分解反応油に対して1%添加した。次いで、温度110℃に昇温し、圧力9.3kPaの減圧下で20分間処理を行い、約60℃まで冷却後、活性白土を濾別した。

0087

〔工程(3)〕
脱色処理後の加水分解反応油の脱臭処理を行った。脱色処理後の加水分解反応油の酸価は表2のとおりであった。2Lガラス製クライゼンフラスコに加水分解反応油を投入し、温度230℃、圧力260Pa、水蒸気量3%対油/hの条件で34分間水蒸気脱臭処理を行い、精製油脂を得た。
精製油脂の分析値と、精製油脂を用いて天ぷら評価を行った結果を表2に示す。

0088

実施例2〜4
工程(2)における加水分解反応での蒸留水の添加量を、実施例2は1%(8.5g)、実施例3は5%(42.5g)、実施例4は10%(85g)とした他は実施例1と同じ条件で各処理を行い、精製油脂を得た。工程(2)反応系内の水分量は、表2のとおりであった。
加水分解反応油及び精製油脂の分析値と、精製油脂を用いて天ぷら評価を行った結果を表2に示す。

0089

実施例5
原料油脂Bを用いて、固定化リパーゼによるエステル交換反応を行った以外は実施例2と同じ条件で各処理を行い、精製油脂を得た。
加水分解反応油及び精製油脂の分析値と、精製油脂を用いて天ぷら評価を行った結果を表2に示す。

0090

実施例6
原料油脂Aを用いて、化学法によるエステル交換反応を行った。攪拌羽根(90mm×25mm)を取り付けた2L4ツ口フラスコに、原料油脂Aを1000g入れた。次いで、圧力400Paの減圧下で攪拌しながら温度70℃に昇温し、30分間減圧下で脱水した。次いで、窒素で常圧に戻し、触媒としてナトリウムメチラートを油脂に対して0.1%添加した後、圧力1300Paの減圧下で攪拌しながら、温度80℃に昇温し、30分間エステル交換反応を行った。反応系内の水分量は0.01%であった。
その後、約70℃まで冷却して窒素で常圧に戻し、50%クエン酸水溶液3.8gで中和した。次いで、窒素雰囲気常圧条件で蒸留水425gを添加して600r/minで10分間強攪拌後、遠心分離を行って水相を除去した。この操作を3回繰り返し、エステル交換反応油を得た。表2に、エステル交換反応油の分析値を示す。

0091

次いで、得られたエステル交換反応油を用いて、実施例2と同じ条件で各処理を行い、精製油脂を得た。
加水分解反応油及び精製油脂の分析値と、精製油脂を用いて天ぷら評価を行った結果を表2に示す。

0092

比較例1
〔工程(2)省略〕
実施例1と同じ条件で得たエステル交換反応油に対し、実施例1と同じ条件で脱色処理を行った後、脱臭処理を行い、精製油脂を得た。
精製油脂の分析値と、精製油脂を用いて天ぷら評価を行った結果を表2に示す。

0093

比較例2
〔工程(2)省略〕
実施例6と同じ条件で得たエステル交換反応油脂に対し、実施例1と同じ条件で脱色処理を行った後、脱臭処理を行い、精製油脂を得た。
精製油脂の分析値と、精製油脂を用いて天ぷら評価を行った結果を表2に示す。

0094

比較例3
〔工程(1)省略〕
原料油脂Aに対し、実施例2と同じ条件で加水分解反応、脱色処理、脱臭処理を行い、精製油脂を得た。
加水分解反応油及び精製油脂の分析値と、精製油脂を用いて天ぷら評価を行った結果を表2に示す。

0095

比較例4
薄膜蒸留
原料油脂Aに対し、実施例2と同じ条件でエステル交換反応、加水分解反応を行い、加水分解反応油を得た。
次いで、加水分解反応油に対し、ワイプトフィルム蒸発装置(神鋼環境ソルーション製 2−03型内径5cm、伝熱面積0.03m2)を用いて薄膜蒸留を行った。加熱ヒーター温度設定230℃、圧力1〜2Pa、流量150g/h(滞留時間は約0.3分)の条件で操作し、薄膜蒸留油を得た。薄膜蒸留後の加水分解反応油の酸価は表2のとおりであった。
次いで、加水分解反応油に対し、実施例1と同じ条件で脱色処理、脱臭処理を行い、精製油脂を得た。
精製油脂の分析値と、精製油脂を用いて天ぷら評価を行った結果を表2に示す。

0096

実施例

0097

表2より明らかなように、本発明の方法により得られた精製油脂は、トリリノレン及びジアシルグリセロールの含有量が少なく、これを使用して調理した天ぷらは、衣の食感が良好で、油っぽく重たい風味がなかった。また、色相が良好であった。

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