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技術 潤滑油供給装置および潤滑油供給方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 松本昌士植野雅康
出願日 2013年3月26日 (7年9ヶ月経過) 出願番号 2013-064403
公開日 2014年10月6日 (6年2ヶ月経過) 公開番号 2014-188533
状態 特許登録済
技術分野 圧延ロール・圧延スタンド・圧延機の駆動 圧延機に特に連結された素材の表面処理装置
主要キーワード 鉄合金板 入側表面 非可逆式 保温機構 温度調整処理 混合エマルション 上下双方 希釈水流量
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

金属板圧延条件によらず常に、金属板の冷間圧延に要するロールバイトの良好な潤滑性を確保でき、この結果、圧延荷重過度に増加させることなく安定した冷間圧延を、広い強度範囲の各種金属板に対して行えること。

解決手段

本発明の一態様である潤滑油供給装置1は、冷間圧延機30の圧延ロール鋼板25との潤滑および圧延ロールの冷却にエマルション圧延油20を循環使用する循環給油系統2と、鋼板25の圧延条件に対応してエマルション圧延油20より低温の低温エマルション圧延油21を作製し、循環給油系統2に低温エマルション圧延油21を供給する低温圧延油供給機構12と、を備える。循環給油系統2は、エマルション圧延油20と低温エマルション圧延油21との混合エマルション圧延油、エマルション圧延油20、または低温エマルション圧延油21を圧延ロールの入側へ供給する。

概要

背景

従来、鋼板冷間圧延工程では、冷間圧延機による鋼板の圧延性を向上させるために、冷間圧延機の圧延ロールと鋼板との潤滑性を高める潤滑油(以下、圧延油という)が鋼板に供給される。一般に、冷間圧延機は、圧延対象の鋼板をその上下方向から挟みつつ噛み込む一対の圧延ロールを備えた圧延機を複数スタンド有し、これら複数スタンドの圧延機によって鋼板を連続的に冷間圧延する。その際、これら複数スタンドの圧延機の各入側において、圧延油がノズル等を通じて鋼板に噴射供給される。このような圧延油として、通常、エマルション状態に調製した圧延油(以下、エマルション圧延油)が用いられる。エマルション圧延油は、所定油量の圧延油と水とを混合し、この混合液に対して撹拌作用およびポンプによる剪断作用を加えることにより、作製される。

鋼板の冷間圧延工程におけるエマルション圧延油の供給方式には、主に、直接給油方式(ダイレクト方式)および循環給油方式リサキュレーション方式)の2種がある。直接給油方式では、鋼板と圧延ロールとの潤滑を目的として、濃度が5〜20[体積%]程度のエマルション圧延油を各圧延機入側の鋼板に噴射し、圧延ロールの冷却を目的として、各圧延機の圧延ロールに水を噴射する。このため、圧延ロール等の潤滑性および冷却性に優れるが、エマルション圧延油を循環使用しない(使い捨てにする)ことに起因して、エマルション圧延油の原単位が循環給油方式に比して高くなる。一方、循環給油方式は、鋼板と圧延ロールとを潤滑にする目的と圧延ロールを冷却する目的とにエマルション圧延油を循環使用する給油方式である。すなわち、循環給油方式では、上述した潤滑目的のために各圧延機入側の鋼板にエマルション圧延油を噴射するとともに、これと同一供給源のエマルション圧延油を、上述した冷却目的のために各圧延機の圧延ロールに噴射する。噴射後のエマルション圧延油は、適宜回収されて潤滑目的および冷却目的のために再利用(循環使用)される。

なお、上述した鋼板の冷間圧延工程における圧延油の供給に関する従来技術として、例えば、循環使用されるエマルション圧延油の他に、この循環使用のエマルション圧延油と同種の圧延油原油希釈水とを混合した油水混合圧延油を、この循環使用のエマルション圧延油とは別の供給経路を通じて鋼板または圧延ロールに供給するものがある(特許文献1参照)。また、ある特定の圧延潤滑条件時のエマルション潤滑における油膜厚目標油膜厚と一致するように、エマルション供給量エマルション濃度エマルション温度およびプレートアウト長のうちの少なくとも一つを制御する潤滑油供給方法がある(特許文献2参照)。

概要

金属板圧延条件によらず常に、金属板の冷間圧延に要するロールバイトの良好な潤滑性を確保でき、この結果、圧延荷重過度に増加させることなく安定した冷間圧延を、広い強度範囲の各種金属板に対して行えること。本発明の一態様である潤滑油供給装置1は、冷間圧延機30の圧延ロールと鋼板25との潤滑および圧延ロールの冷却にエマルション圧延油20を循環使用する循環給油系統2と、鋼板25の圧延条件に対応してエマルション圧延油20より低温の低温エマルション圧延油21を作製し、循環給油系統2に低温エマルション圧延油21を供給する低温圧延油供給機構12と、を備える。循環給油系統2は、エマルション圧延油20と低温エマルション圧延油21との混合エマルション圧延油、エマルション圧延油20、または低温エマルション圧延油21を圧延ロールの入側へ供給する。

目的

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、鋼板等の圧延対象の金属板の圧延条件によらず常に、十分な量の圧延油をロールバイトへ簡易に導入でき、これによって、金属板の冷間圧延に要するロールバイトの良好な潤滑性を確保でき、この結果、圧延荷重を過度に増加させることなく安定した冷間圧延を、広い強度範囲の各種金属板に対して可能にする潤滑油供給装置および潤滑油供給方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属板冷間圧延する冷間圧延機圧延ロールと前記金属板との潤滑および前記圧延ロールの冷却にエマルション圧延油循環使用する循環給油系統と、前記金属板の圧延条件に対応して、前記エマルション圧延油と基油同一種類であり且つ前記エマルション圧延油に比して低温である低温エマルション圧延油を作製し、前記循環給油系統に前記低温エマルション圧延油を供給する低温圧延油供給機構と、を備え、前記循環給油系統は、前記エマルション圧延油と前記低温エマルション圧延油とを混合してなる混合エマルション圧延油、前記エマルション圧延油、または前記低温エマルション圧延油を前記圧延ロールの入側へ供給することを特徴とする潤滑油供給装置

請求項2

前記循環給油系統は、前記エマルション圧延油を貯留する循環式圧延油供給タンクと、前記混合エマルション圧延油、前記エマルション圧延油、または前記低温エマルション圧延油を前記圧延ロールの入側へ噴射供給する圧延油噴射部と、前記循環式圧延油供給タンクから前記圧延油噴射部へ前記エマルション圧延油を導く圧延油供給管と、を備え、前記低温圧延油供給機構は、前記エマルション圧延油と基油が同一種類の圧延油原液を貯留する圧延油タンクと、前記循環式圧延油供給タンクに比して容量が小さく、前記圧延油原液を希釈する希釈水を貯留する希釈水タンクと、前記希釈水タンク内の前記希釈水の温度を調整する温度調整部と、前記金属板の圧延条件に応じた温度に前記希釈水を温度調整するように前記温度調整部を制御する温度制御部と、前記圧延油タンクから供給された前記圧延油原液と前記希釈水タンクから供給された前記希釈水とを混合して前記低温エマルション圧延油を作製するミキサーと、前記ミキサーから前記圧延油噴射部へ前記低温エマルション圧延油を導く低温圧延油供給管と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の潤滑油供給装置。

請求項3

前記低温圧延油供給機構は、前記希釈水タンクから前記ミキサーへ供給される前記希釈水の供給流量を調整する希釈水流量調整弁と、前記金属板の圧延条件と、前記エマルション圧延油の温度および供給流量と、前記希釈水の温度とに基づいて前記希釈水の供給流量を算出し、前記希釈水の供給流量算出値に応じて、前記希釈水流量調整弁による前記希釈水の供給流量の調整を制御する希釈水流量制御部と、前記圧延油タンクから前記ミキサーへ供給される前記圧延油原液の供給流量を調整する圧延原油流量調整弁と、前記希釈水の供給流量に基づいて前記圧延油原液の供給流量を算出し、前記圧延油原液の供給流量算出値に応じて、前記圧延原油流量調整弁による前記圧延油原液の供給流量の調整を制御する圧延原油流量制御部と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の潤滑油供給装置。

請求項4

前記希釈水の温度は、30℃以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の潤滑油供給装置。

請求項5

冷間圧延機の圧延ロールと圧延対象の金属板との潤滑および前記圧延ロールの冷却にエマルション圧延油を循環使用する潤滑油供給方法において、前記金属板の圧延条件に対応して、前記エマルション圧延油を前記圧延ロールの入側へ供給し、または、前記エマルション圧延油と基油が同一種類であり且つ前記エマルション圧延油に比して低温である低温エマルション圧延油を作製し、前記エマルション圧延油と前記低温エマルション圧延油とを混合してなる混合エマルション圧延油または前記低温エマルション圧延油を前記圧延ロールの入側へ供給することを特徴とする潤滑油供給方法。

請求項6

循環式圧延油供給タンクに前記エマルション圧延油を貯留し、圧延油供給管を通じて前記循環式圧延油供給タンクから圧延油噴射部へ前記エマルション圧延油を導き、その都度、前記圧延油噴射部から前記圧延ロールの入側へ少なくとも前記エマルション圧延油を噴射供給し、前記エマルション圧延油と基油が同一種類の圧延油原液を圧延油タンクに貯留し、前記循環式圧延油供給タンクに比して容量が小さい希釈水タンクに希釈水を貯留しつつ、前記金属板の圧延条件に応じて前記希釈水の温度を調整し、前記希釈水タンクからミキサーへ前記希釈水を供給し、且つ、前記圧延油タンクから前記ミキサーへ前記圧延油原液を供給し、前記ミキサーにより、前記希釈水と前記圧延油原液とを混合して前記低温エマルション圧延油を作製し、その都度、低温圧延油供給管を通じて前記ミキサーから前記圧延油噴射部へ前記低温エマルション圧延油を導き、前記圧延油噴射部から前記圧延ロールの入側へ前記混合エマルション圧延油または前記低温エマルション圧延油を噴射供給することを特徴とする請求項5に記載の潤滑油供給方法。

請求項7

前記金属板の圧延条件と、前記エマルション圧延油の温度および供給流量と、前記希釈水の温度とに基づいて、前記希釈水タンクから前記ミキサーへの前記希釈水の供給流量を算出し、前記希釈水の供給流量を調整する希釈水流量調整弁を前記希釈水の供給流量算出値に応じて制御することにより、前記希釈水の供給流量の調整を制御し、前記希釈水の供給流量に基づいて、前記圧延油タンクから前記ミキサーへの前記圧延油原液の供給流量を算出し、前記圧延油原液の供給流量を調整する圧延原油流量調整弁を前記圧延油原液の供給流量算出値に応じて制御することにより、前記圧延油原液の供給流量の調整を制御することを特徴とする請求項6に記載の潤滑油供給方法。

請求項8

前記希釈水の温度を30℃以下とすることを特徴とする請求項6または7に記載の潤滑油供給方法。

技術分野

0001

本発明は、金属板冷間圧延の際に潤滑油を供給する潤滑油供給装置および潤滑油供給方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、鋼板の冷間圧延工程では、冷間圧延機による鋼板の圧延性を向上させるために、冷間圧延機の圧延ロールと鋼板との潤滑性を高める潤滑油(以下、圧延油という)が鋼板に供給される。一般に、冷間圧延機は、圧延対象の鋼板をその上下方向から挟みつつ噛み込む一対の圧延ロールを備えた圧延機を複数スタンド有し、これら複数スタンドの圧延機によって鋼板を連続的に冷間圧延する。その際、これら複数スタンドの圧延機の各入側において、圧延油がノズル等を通じて鋼板に噴射供給される。このような圧延油として、通常、エマルション状態に調製した圧延油(以下、エマルション圧延油)が用いられる。エマルション圧延油は、所定油量の圧延油と水とを混合し、この混合液に対して撹拌作用およびポンプによる剪断作用を加えることにより、作製される。

0003

鋼板の冷間圧延工程におけるエマルション圧延油の供給方式には、主に、直接給油方式(ダイレクト方式)および循環給油方式リサキュレーション方式)の2種がある。直接給油方式では、鋼板と圧延ロールとの潤滑を目的として、濃度が5〜20[体積%]程度のエマルション圧延油を各圧延機入側の鋼板に噴射し、圧延ロールの冷却を目的として、各圧延機の圧延ロールに水を噴射する。このため、圧延ロール等の潤滑性および冷却性に優れるが、エマルション圧延油を循環使用しない(使い捨てにする)ことに起因して、エマルション圧延油の原単位が循環給油方式に比して高くなる。一方、循環給油方式は、鋼板と圧延ロールとを潤滑にする目的と圧延ロールを冷却する目的とにエマルション圧延油を循環使用する給油方式である。すなわち、循環給油方式では、上述した潤滑目的のために各圧延機入側の鋼板にエマルション圧延油を噴射するとともに、これと同一供給源のエマルション圧延油を、上述した冷却目的のために各圧延機の圧延ロールに噴射する。噴射後のエマルション圧延油は、適宜回収されて潤滑目的および冷却目的のために再利用(循環使用)される。

0004

なお、上述した鋼板の冷間圧延工程における圧延油の供給に関する従来技術として、例えば、循環使用されるエマルション圧延油の他に、この循環使用のエマルション圧延油と同種の圧延油原油希釈水とを混合した油水混合圧延油を、この循環使用のエマルション圧延油とは別の供給経路を通じて鋼板または圧延ロールに供給するものがある(特許文献1参照)。また、ある特定の圧延潤滑条件時のエマルション潤滑における油膜厚目標油膜厚と一致するように、エマルション供給量エマルション濃度エマルション温度およびプレートアウト長のうちの少なくとも一つを制御する潤滑油供給方法がある(特許文献2参照)。

先行技術

0005

特開2011−640号公報
特許第4355279号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、自動車鋼板等の鉄鋼分野においては、近年、自動車車体の軽量化や衝突安全性の向上等のために、普通鋼に比して高い強度を有する高強度鋼板需要が益々増加している。一般に、高強度鋼板は普通鋼に比して変形抵抗が大きいため、高強度鋼板の冷間圧延に要する圧延荷重は、普通鋼の冷間圧延に比して増大する。圧延荷重が過度に増大することにより、冷間圧延後の高強度鋼板の形状に乱れが生じ、この結果、絞りによる板破断等の問題が生じる場合がある。

0007

この問題を解消するためには、一対の圧延ロールによって上下方向から挟み込まれている鋼板領域(以下、ロールバイトという)へ圧延油を十分に引き込み、これによって、ロールバイトにおける鋼板表面と圧延ロールとの潤滑性(以下、ロールバイトの潤滑性と適宜略す)を向上させる必要がある。これに対し、高強度鋼板の冷間圧延では、圧延ロールの駆動モータに高い圧延負荷がかかるため、この高圧負荷に起因する駆動モータのトルク制約から、普通鋼や軟質鋼の冷間圧延に比して圧延速度を低く抑えなければならない。なお、このような低速の冷間圧延状態(以下、低速圧延状態と適宜略す)では、通常、ロールバイトへの圧延油の引き込み量が低下する。この結果、ロールバイトの潤滑性が劣化してしまう。すなわち、近年の鉄鋼分野においては、普通鋼や軟質鋼の冷間圧延時は勿論、高強度鋼板を冷間圧延する場合であっても、ロールバイトの潤滑性の向上が要望されている。

0008

しかしながら、上述した従来技術では、低速圧延状態においてロールバイトへ圧延油を十分に引き込むことは困難である。このため、ロールバイトの潤滑性が劣化し、これに起因して圧延荷重が過度に増大することから、冷間圧延後の鋼板形状に乱れが生じる場合があり、この結果、絞りによる板破断等の問題を招来してしまう。

0009

なお、特許文献1に開示されるように、鋼板または圧延ロールにエマルション圧延油と油水混合圧延油とを供給して、鋼板表面に付着(プレートアウト)する圧延油量を増加させたとしても、低速圧延状態においてロールバイトに導入される圧延油の油膜厚の増加は微小である。このため、特許文献1に記載の従来技術では、低速圧延状態におけるロールバイトの潤滑性の十分な向上を期待することができない。

0010

また、特許文献2に記載の従来技術では、圧延潤滑条件に応じて設定される複数のエマルション圧延油をその種類、濃度および温度別に複数のエマルションタンク貯留し、エマルションタンク毎にエマルション圧延油の温度を調整しなければならない。このため、これら複数のエマルション圧延油の貯留および管理に要する装置構成が複雑化するのみならず、各エマルション圧延油の温度調整に膨大な電力を要することからコスト増加を招来するという問題がある。

0011

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、鋼板等の圧延対象の金属板の圧延条件によらず常に、十分な量の圧延油をロールバイトへ簡易に導入でき、これによって、金属板の冷間圧延に要するロールバイトの良好な潤滑性を確保でき、この結果、圧延荷重を過度に増加させることなく安定した冷間圧延を、広い強度範囲の各種金属板に対して可能にする潤滑油供給装置および潤滑油供給方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる潤滑油供給装置は、金属板を冷間圧延する冷間圧延機の圧延ロールと前記金属板との潤滑および前記圧延ロールの冷却にエマルション圧延油を循環使用する循環給油系統と、前記金属板の圧延条件に対応して、前記エマルション圧延油と基油同一種類であり且つ前記エマルション圧延油に比して低温である低温エマルション圧延油を作製し、前記循環給油系統に前記低温エマルション圧延油を供給する低温圧延油供給機構と、を備え、前記循環給油系統は、前記エマルション圧延油と前記低温エマルション圧延油とを混合してなる混合エマルション圧延油、前記エマルション圧延油、または前記低温エマルション圧延油を前記圧延ロールの入側へ供給することを特徴とする。

0013

また、本発明にかかる潤滑油供給装置は、上記の発明において、前記循環給油系統は、前記エマルション圧延油を貯留する循環式圧延油供給タンクと、前記混合エマルション圧延油、前記エマルション圧延油、または前記低温エマルション圧延油を前記圧延ロールの入側へ噴射供給する圧延油噴射部と、前記循環式圧延油供給タンクから前記圧延油噴射部へ前記エマルション圧延油を導く圧延油供給管と、を備え、前記低温圧延油供給機構は、前記エマルション圧延油と基油が同一種類の圧延油原液を貯留する圧延油タンクと、前記循環式圧延油供給タンクに比して容量が小さく、前記圧延油原液を希釈する希釈水を貯留する希釈水タンクと、前記希釈水タンク内の前記希釈水の温度を調整する温度調整部と、前記金属板の圧延条件に応じた温度に前記希釈水を温度調整するように前記温度調整部を制御する温度制御部と、前記圧延油タンクから供給された前記圧延油原液と前記希釈水タンクから供給された前記希釈水とを混合して前記低温エマルション圧延油を作製するミキサーと、前記ミキサーから前記圧延油噴射部へ前記低温エマルション圧延油を導く低温圧延油供給管と、を備えたことを特徴とする。

0014

また、本発明にかかる潤滑油供給装置は、上記の発明において、前記低温圧延油供給機構は、前記希釈水タンクから前記ミキサーへ供給される前記希釈水の供給流量を調整する希釈水流量調整弁と、前記金属板の圧延条件と、前記エマルション圧延油の温度および供給流量と、前記希釈水の温度とに基づいて前記希釈水の供給流量を算出し、前記希釈水の供給流量算出値に応じて、前記希釈水流量調整弁による前記希釈水の供給流量の調整を制御する希釈水流量制御部と、前記圧延油タンクから前記ミキサーへ供給される前記圧延油原液の供給流量を調整する圧延原油流量調整弁と、前記希釈水の供給流量に基づいて前記圧延油原液の供給流量を算出し、前記圧延油原液の供給流量算出値に応じて、前記圧延原油流量調整弁による前記圧延油原液の供給流量の調整を制御する圧延原油流量制御部と、を備えたことを特徴とする。

0015

また、本発明にかかる潤滑油供給装置は、上記の発明において、前記希釈水の温度は、30℃以下であることを特徴とする。

0016

また、本発明にかかる潤滑油供給方法は、冷間圧延機の圧延ロールと圧延対象の金属板との潤滑および前記圧延ロールの冷却にエマルション圧延油を循環使用する潤滑油供給方法において、前記金属板の圧延条件に対応して、前記エマルション圧延油を前記圧延ロールの入側へ供給し、または、前記エマルション圧延油と基油が同一種類であり且つ前記エマルション圧延油に比して低温である低温エマルション圧延油を作製し、前記エマルション圧延油と前記低温エマルション圧延油とを混合してなる混合エマルション圧延油または前記低温エマルション圧延油を前記圧延ロールの入側へ供給することを特徴とする。

0017

また、本発明にかかる潤滑油供給方法は、上記の発明において、循環式圧延油供給タンクに前記エマルション圧延油を貯留し、圧延油供給管を通じて前記循環式圧延油供給タンクから圧延油噴射部へ前記エマルション圧延油を導き、その都度、前記圧延油噴射部から前記圧延ロールの入側へ少なくとも前記エマルション圧延油を噴射供給し、前記エマルション圧延油と基油が同一種類の圧延油原液を圧延油タンクに貯留し、前記循環式圧延油供給タンクに比して容量が小さい希釈水タンクに希釈水を貯留しつつ、前記金属板の圧延条件に応じて前記希釈水の温度を調整し、前記希釈水タンクからミキサーへ前記希釈水を供給し、且つ、前記圧延油タンクから前記ミキサーへ前記圧延油原液を供給し、前記ミキサーにより、前記希釈水と前記圧延油原液とを混合して前記低温エマルション圧延油を作製し、その都度、低温圧延油供給管を通じて前記ミキサーから前記圧延油噴射部へ前記低温エマルション圧延油を導き、前記圧延油噴射部から前記圧延ロールの入側へ前記混合エマルション圧延油または前記低温エマルション圧延油を噴射供給することを特徴とする。

0018

また、本発明にかかる潤滑油供給方法は、上記の発明において、前記金属板の圧延条件と、前記エマルション圧延油の温度および供給流量と、前記希釈水の温度とに基づいて、前記希釈水タンクから前記ミキサーへの前記希釈水の供給流量を算出し、前記希釈水の供給流量を調整する希釈水流量調整弁を前記希釈水の供給流量算出値に応じて制御することにより、前記希釈水の供給流量の調整を制御し、前記希釈水の供給流量に基づいて、前記圧延油タンクから前記ミキサーへの前記圧延油原液の供給流量を算出し、前記圧延油原液の供給流量を調整する圧延原油流量調整弁を前記圧延油原液の供給流量算出値に応じて制御することにより、前記圧延油原液の供給流量の調整を制御することを特徴とする。

0019

また、本発明にかかる潤滑油供給方法は、上記の発明において、前記希釈水の温度を30℃以下とすることを特徴とする。

発明の効果

0020

本発明によれば、鋼板等の圧延対象の金属板の圧延条件によらず常に、十分な量の圧延油をロールバイトへ簡易に導入でき、これによって、金属板の冷間圧延に要するロールバイトの良好な潤滑性を確保でき、この結果、圧延荷重を過度に増加させることなく安定した冷間圧延を、広い強度範囲の各種金属板に対して行うことができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0021

図1は、本発明の実施の形態にかかる潤滑供給装置の一構成例を示す模式図である。
図2は、本実施の形態にかかる潤滑油供給装置の低温圧延油供給機構の一構成例を示す模式図である。
図3は、低速圧延状態における潤滑用エマルション圧延油の動粘度と各圧延機の圧延荷重との関係を評価した結果の一例を示す図である。

実施例

0022

以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる潤滑油供給装置および潤滑油供給方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。

0023

(実施の形態)
まず、本発明の実施の形態にかかる潤滑油供給装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる潤滑供給装置の一構成例を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる潤滑油供給装置1は、鋼板25を冷間圧延する冷間圧延機30の潤滑等にエマルション圧延油20を循環使用する循環給油系統2と、鋼板25の圧延条件に対応して循環給油系統2に低温エマルション圧延油21を供給する低温圧延油供給機構12とを備える。

0024

循環給油系統2は、冷間圧延機30の圧延ロールと鋼板25との潤滑と、冷間圧延機30の圧延ロールの冷却とにエマルション圧延油20を循環使用するものである。具体的には、図1に示すように、循環給油系統2は、循環式圧延油供給タンク3と、圧延油供給管4と、循環ポンプ5と、圧延油ヘッダ6a,6bと、クーラントヘッダ8a,8bと、回収オイルパン10と、戻り配管11とを備える。

0025

循環式圧延油供給タンク3は、循環使用するエマルション圧延油20を貯留する機能と、エマルション圧延油20の性状を所望のものに調整し維持する機能とを兼ね備える。具体的には、循環式圧延油供給タンク3は、撹拌機3aを有する。循環式圧延油供給タンク3内には、所定の基油成分の圧延油原液および希釈水としての温水等が投入される。循環式圧延油供給タンク3は、投入された圧延油原液および温水等を収容し、収容した圧延油原液および温水等を、撹拌機3aの撹拌作用によって所定の界面活性剤とともに撹拌しつつ混合する。これによって、循環式圧延油供給タンク3は、所望の性状(基油成分、圧延油濃度平均粒径、温度等)を有するエマルション圧延油20を得る。また、循環式圧延油供給タンク3は、電熱器等の保温機構(図示せず)を有し、得られたエマルション圧延油20を、その腐敗を防止し且つ乳化定性を確保可能な温度範囲(例えば50〜70[℃]等の50[℃]以上の温度域)に保温しつつ貯留する。一方、循環式圧延油供給タンク3は、回収オイルパン10および戻り配管11を介して冷間圧延機30側から使用済みエマルション圧延油を受け入れ、受け入れた使用済みエマルション圧延油を循環使用対象のエマルション圧延油20として貯留する。

0026

ここで、上述したエマルション圧延油20の性状は、冷間圧延に使用可能な性状であれば所望のものであってもよいが、界面活性剤の作用によって水中に油が分散したエマルション(以下、O/Wエマルションという)であることが望ましい。この場合、圧延油濃度が1〜5[体積%]の範囲内であり、圧延油成分の平均粒径が15[μm]以下であることが望ましい。なお、エマルション圧延油20の平均粒径は、撹拌機3aの撹拌羽回転数を調整することによって、所望のものに制御可能である。一方、エマルション圧延油20の基油として、例えば、天然油脂脂肪酸エステル、および炭化水素合成潤滑油等の冷間圧延に使用可能なものが用いられる。具体的には、鉱物油パーム油等の植物油牛脂等の動物油、多価脂肪酸を含有する合成エステル等が、エマルション圧延油20の基油として用いられる。このようなエマルション圧延油20の基油は、その流動点が20[℃]以下であることが望ましい。何故ならば、温度が低い環境下において起こり易い圧延油の固化と、圧延加工によって発生した金属粉と圧延油との混和に起因する圧延機廻り堆積スカムの生成とを防止できるからである。

0027

なお、エマルション圧延油20には、油性向上剤極圧添加剤、および酸化防止剤等、通常の冷間圧延の圧延油に用いられる添加剤を加えてもよい。また、エマルション圧延油20を形成する際に添加される界面活性剤は、イオン系、非イオン系のいずれであってもよく、その種類は本発明において特に問われない。

0028

圧延油供給管4は、循環式圧延油供給タンク3から圧延油ヘッダ6a,6bおよびクーラントヘッダ8a,8bへエマルション圧延油20を導く配管である。具体的には、図1に示すように、圧延油供給管4は、冷間圧延機30を構成する5つ(5スタンド)の圧延機31〜35の各々の入側および出側に分岐する複数の分岐管4a〜4jを有する。分岐管4a,4c,4e,4g,4iは、圧延油供給管4の主管から圧延機31〜35の各入側に向けて各々分岐し、複数対の圧延油ヘッダ6a,6bの各一対に各々接続される。分岐管4b,4d,4f,4h,4jは、圧延油供給管4の主管から圧延機31〜35の各出側に向けて各々分岐し、複数対のクーラントヘッダ8a,8bの各一対に各々接続される。圧延油供給管4は、その入力端が循環式圧延油供給タンク3に接続され、これらの分岐管4a〜4jを介して循環式圧延油供給タンク3と、複数対の圧延油ヘッダ6a,6bおよび複数対のクーラントヘッダ8a,8bとを連通する。このような圧延油供給管4は、分岐管4a〜4jを通じて循環式圧延油供給タンク3から各圧延油ヘッダ6a,6bおよび各クーラントヘッダ8a,8bへエマルション圧延油20を導く。

0029

循環ポンプ5は、圧延油供給管4を通じて循環式圧延油供給タンク3から各圧延油ヘッダ6a,6bおよび各クーラントヘッダ8a,8bへエマルション圧延油20を流通させるものである。具体的には、循環ポンプ5は、圧延油供給管4の途中に設けられる。循環ポンプ5は、循環式圧延油供給タンク3内のエマルション圧延油20を圧延油供給管4内へ吸引するとともに、圧延油供給管4の分岐管4a〜4jの各出力端に向けてエマルション圧延油20を圧送する。これに加え、循環ポンプ5は、エマルション圧延油20に剪断作用を与えることによって、エマルション圧延油20のO/Wエマルションを維持する。

0030

圧延油ヘッダ6a,6bおよび噴射ノズル7a,7bは、圧延機31〜35の各圧延ロールと鋼板25とを潤滑にするための潤滑用エマルション圧延油22を圧延機31〜35の各入側へ噴射供給する圧延油噴射部として機能する。具体的には、圧延油ヘッダ6a,6bは、互いに対をなし、鋼板25の板厚方向(上下方向)に対向するように圧延機31〜35の各入側に配置される。噴射ノズル7a,7bは、圧延機31〜35の各圧延ロールの入側に噴射口を向けるように、圧延油ヘッダ6a,6bに各々配置される。これら複数対の圧延油ヘッダ6a,6bの各々は、循環式圧延油供給タンク3からのエマルション圧延油20と、低温圧延油供給機構12からの低温エマルション圧延油21との少なくとも一方を受け入れる。各圧延油ヘッダ6a,6bは、受け入れたエマルション圧延油20、低温エマルション圧延油21、または、これらエマルション圧延油20と低温エマルション圧延油21とを混合してなる混合エマルション圧延油を、噴射ノズル7a,7bを通じて噴射する。すなわち、循環給油系統2は、各噴射ノズル7a,7bを通じ、エマルション圧延油20、低温エマルション圧延油21、または混合エマルション圧延油を、潤滑用エマルション圧延油22として圧延機31〜35の各圧延ロールの入側における鋼板25の上下各表面に各々供給する。これに加え、各噴射ノズル7a,7bは、潤滑用エマルション圧延油22に剪断作用を与えることによって、潤滑用エマルション圧延油22のO/Wエマルションを維持する。

0031

クーラントヘッダ8a,8bおよび噴射ノズル9a,9bは、圧延機31〜35の各圧延ロールを冷却するために、エマルション圧延油20を圧延機31〜35の各圧延ロールへ噴射供給する圧延油噴射部として機能する。具体的には、クーラントヘッダ8a,8bは、互いに対をなし、鋼板25の板厚方向(上下方向)に対向するように圧延機31〜35の各出側に配置される。噴射ノズル9a,9bは、圧延機31〜35の各出側から圧延ロールに噴射口を向けるように、クーラントヘッダ8a,8bに各々配置される。これら複数対のクーラントヘッダ8a,8bの各々は、循環式圧延油供給タンク3からのエマルション圧延油20を受け入れる。各クーラントヘッダ8a,8bは、受け入れたエマルション圧延油20を、噴射ノズル9a,9bを通じて噴射する。すなわち、循環給油系統2は、圧延機31〜35の各出側において上下双方の圧延ロールの表面に、各噴射ノズル9a,9bを通じてエマルション圧延油20を各々噴射供給し、これによって、圧延機31〜35の各圧延ロールを冷間圧延に好適な温度に冷却する。これに加え、各噴射ノズル9a,9bは、エマルション圧延油20に剪断作用を与えることによって、エマルション圧延油20のO/Wエマルションを維持する。

0032

回収オイルパン10は、冷間圧延機30から使用済みエマルション圧延油を回収するものである。具体的には、回収オイルパン10は、冷間圧延機30の近傍(例えば圧延機31〜35の下方)に配置される。また、回収オイルパン10には、上述した循環式圧延油供給タンク3に通じる戻り配管11が設けられる。回収オイルパン10は、圧延機31〜35の各ロールバイトの潤滑性の確保や圧延ロールの冷却に使用された使用済みエマルション圧延油を圧延機31〜35から受け入れる。ここで、使用済みエマルション圧延油は、圧延機31〜35の入側へ噴射供給された潤滑用エマルション圧延油22と圧延機31〜35の出側(各圧延ロール)へ噴射供給されたエマルション圧延油20とを含むものである。回収オイルパン10は、このような使用済みエマルション圧延油のうち、鋼板25とともに潤滑油供給装置1の系外に持ち出されたものと蒸発によって失われたものとを除く、大部分の使用済みエマルション圧延油を圧延機31〜35から回収する。回収オイルパン10は、このように回収した使用済みエマルション圧延油を、戻り配管11を通じて循環式圧延油供給タンク3へ送出する。

0033

低温圧延油供給機構12は、循環給油系統2に低温エマルション圧延油21を供給するものである。具体的には、図1に示すように、低温圧延油供給機構12は、冷間圧延機30の圧延機毎の各圧延油ヘッダ6a,6bに通じる低温圧延油供給管13を有する。低温圧延油供給機構12は、冷間圧延機30によって冷間圧延される鋼板25の圧延条件に対応して低温エマルション圧延油21を作製する。その都度、低温圧延油供給機構12は、低温圧延油供給管13を通じて、循環給油系統2の各圧延油ヘッダ6a,6bに低温エマルション圧延油21を供給する。ここで、低温エマルション圧延油21は、循環給油系統2のエマルション圧延油20と基油が同一種類であり、且つ、エマルション圧延油20に比して低温である。低温圧延油供給機構12は、このような低温エマルション圧延油21を、各圧延油ヘッダ6a,6bにおいてエマルション圧延油20と合流させて混合エマルション圧延油とする。この混合エマルション圧延油は、上述したように潤滑用エマルション圧延油22として、各圧延油ヘッダ6a,6bから各噴射ノズル7a,7bを通じて圧延機31〜35の各圧延ロールの入側に各々噴射される。一方、各圧延油ヘッダ6a,6b内の低温エマルション圧延油21は、鋼板25の圧延条件に対応して適宜、潤滑用エマルション圧延油22として、各噴射ノズル7a,7bから圧延機31〜35の各圧延ロールの入側に各々噴射される。

0034

低温圧延油供給管13は、低温圧延油供給機構12によって作製された低温エマルション圧延油21を循環供給系統2の各圧延油ヘッダ6a,6bへ導く配管である。具体的には、図1に示すように、低温圧延油供給管13は、圧延機31〜35の各入側に分岐する複数の分岐管13a〜13eを有する。分岐管13a〜13eは、低温圧延油供給管13の主管から圧延機31〜35の各入側に向けて各々分岐し、複数対の圧延油ヘッダ6a,6bの各一対に各々接続される。低温圧延油供給管13は、これらの分岐管13a〜13eを通じて各圧延油ヘッダ6a,6bへ低温エマルション圧延油21を導く。

0035

なお、本実施の形態にかかる潤滑油供給装置1が適用される冷間圧延機30は、図1に示す5スタンドの圧延機31〜35を用いて鋼板25を連続的に冷間圧延する。各圧延機31〜35は、例えば図1に示すように、鋼板25の搬送経路を挟んで上下方向に対向する一対の圧延ロールと、この一対の圧延ロールに対応する一対のバックアップロールとを有する4段式のものである。これら5スタンドの圧延機31〜35は、この順に鋼板25の搬送方向(図1に示す太線矢印参照)に沿って配列される。すなわち、圧延機31は、冷間圧延機30における最上流の圧延機であり、圧延機31の後段に圧延機32が配置される。この圧延機32の後段に圧延機33が配置され、この圧延機33の後段に圧延機34が配置される。圧延機35は、冷間圧延機30における最下流の圧延機であり、圧延機34の後段に配置される。

0036

つぎに、本実施の形態にかかる潤滑油供給装置1の低温圧延油供給機構12の構成について説明する。図2は、本実施の形態にかかる潤滑油供給装置の低温圧延油供給機構の一構成例を示す模式図である。なお、図2には、図1に示した冷間圧延機30を構成する5スタンドの圧延機31〜35のうちの最上流の圧延機31が図示されている。また、図2には、上述した循環給油系統2のうちの圧延機31に対応する部分が図示されている。

0037

図1,2に示すように、低温圧延油供給機構12は、上述した低温圧延油供給管13と、低温エマルション圧延油21の原油となる圧延油原液23を貯留する圧延油タンク14aと、低温エマルション圧延油21の作製に用いられる希釈水24を貯留する希釈水タンク14bとを備える。また、低温圧延油供給機構12は、希釈水タンク14b内の希釈水24の温度を調整するチラー15aと、チラー15aを制御する温度制御部15bと、低温エマルション圧延油21を作製し送出するミキサー16とを備える。さらに、低温圧延油供給機構12は、圧延油タンク14aとミキサー16とを連通する圧延原油供給管17aと、圧延油ポンプ17bと、圧延原油流量調整弁17cと、希釈水タンク14bとミキサー16とを連通する希釈水供給管18aと、希釈水ポンプ18bと、希釈水流量調整弁18cと、圧延油原液23の流量を制御する圧延原油流量制御部19aと、希釈水24の流量を制御する希釈水流量制御部19bとを備える。

0038

低温圧延油供給管13は、上述したように複数の分岐管13a〜13e(図1参照)を有し、ミキサー16から循環給油系統2の各圧延油噴射部へ低温エマルション圧延油21を導く配管である。具体的には、図1,2に示すように、低温圧延油供給管13は、その入力端がミキサー16に接続され、これらの分岐管13a〜13eを介してミキサー16と複数対の圧延油ヘッダ6a,6bとを連通する。このような低温圧延油供給管13は、分岐管13a〜13eを通じてミキサー16から各圧延油ヘッダ6a,6bへ低温エマルション圧延油21を導く。

0039

圧延油タンク14aは、循環給油系統2のエマルション圧延油20と基油が同一種類の圧延油原液23を貯留するものである。具体的には、圧延油タンク14aは、上述したエマルション圧延油20と同一基油成分の圧延油原液23を適宜投入され、この圧延油原液23を収容する。また、圧延油タンク14aは、電熱器等の保温機構(図示せず)を有し、受け入れた圧延油原液23を、その腐敗を防止可能な温度範囲(例えば50[℃]以上の温度域)に保温しつつ貯留する。このような圧延油タンク14aは、上述した循環給油系統2の循環式圧延油供給タンク3に比して容量が小さいタンクであることが望ましい。

0040

希釈水タンク14bは、上述した圧延油原液23を希釈する希釈水24を貯留するものである。具体的には、希釈水タンク14bは、上述した循環給油系統2の循環式圧延油供給タンク3に比して容量が小さいタンクであり、適宜投入された工水等の希釈水24を貯留する。この希釈水タンク14bによる希釈水24の貯留量は、循環式圧延油供給タンク3によるエマルション圧延油20の貯留量に比して少ない。このような希釈水タンク14bの容量は、チラー15aによる希釈水24の温度調整を短時間に実現可能とする範囲(すなわち希釈水24の高応答な温度制御を可能とする範囲)の容量であればよい。ここで、希釈水タンク14bに投入される希釈水24の温度は、所望の温度であってもよいが、常温、例えば30[℃]以下であることが望ましい。何故ならば、チラー15aによる希釈水24の温度調整に要する電力および時間を最小限に抑えることができるからである。

0041

チラー15aは、希釈水タンク14b内の希釈水24の温度を調整する温度調整部として機能する。具体的には、チラー15aは、配管を通じ、希釈水タンク14bとの間において希釈水24を循環可能な構造を有する。チラー15aは、希釈水タンク14bから配管を通じて希釈水24を受け入れ、この受け入れた希釈水24に対して温度調整処理を行う。チラー15aは、この温度調整処理後の希釈水24を、配管を通じて希釈水タンク14bへ送出する。この動作を繰り返すことによって、チラー15aは、希釈水タンク14b内の希釈水24の温度を所望の温度に調整する。なお、チラー15aによる温度調整後の希釈水24の温度は、圧延油原液23と希釈水24とを混合してなる低温エマルション圧延油21に要求される温度を確保し得る程度のものであり、少なくとも循環給油系統2のエマルション圧延油20に比して低温である。

0042

温度制御部15bは、上述したチラー15aによる希釈水24の温度調整処理を制御するものである。具体的には、温度制御部15bは、鋼板25の圧延条件と鋼板25へ供給される潤滑用エマルション圧延油22の最適温度との相関を示す相関情報を予め有する。温度制御部15bは、プロセスコンピュータ等(図示せず)から取得した鋼板25の圧延条件と、この予め設定された相関情報とに基づいて、鋼板25の圧延条件に応じた温度に希釈水タンク14b内の希釈水24の温度を調整するようにチラー15aを制御する。すなわち、温度制御部15bは、上述した鋼板25の圧延条件と予め設定された相関情報とをもとに、低温エマルション圧延油21の必要温度を算出する。この必要温度は、潤滑用エマルション圧延油22の最適温度を確保するために低温エマルション圧延油21に要求される温度である。温度制御部15bは、算出した低温エマルション圧延油21の必要温度を確保し得る温度に希釈水タンク14b内の希釈水24の温度を調整する指令信号をチラー15aへ出力する。このようにして、温度制御部15bは、チラー15aによる希釈水タンク14b内の希釈水24の温度調整処理を制御する。

0043

なお、上述した鋼板25の圧延条件として、例えば、鋼板25の鋼種圧延寸法、圧延速度、冷間圧延機30の各圧延機31〜35の圧下率配分および各圧延ロール径等が挙げられる。また、鋼板25の圧延条件と潤滑用エマルション圧延油22の最適温度との相関情報は、過去の圧延実績または実験等によって求めることができる。このような潤滑用エマルション圧延油22の最適温度は、鋼板25の圧延条件に応じてデータテーブル化することが望ましい。温度制御部15bには、このデータテーブル化した相関情報が予め設定されてもよい。

0044

ミキサー16は、圧延油原液23と希釈水24とを混合して低温エマルション圧延油21を作製し送出するものである。具体的には、ミキサー16は、ラインミキサーまたはスタティックミキサー等を用いて実現される。ミキサー16は、圧延原油供給管17aを通じて圧延油タンク14aから供給された圧延油原液23と、希釈水供給管18aを通じて希釈水タンク14bから供給された希釈水24とを撹拌、混合する。これによって、ミキサー16は、上述した必要温度と所定の油分濃度(例えばエマルション圧延油20と同一油分濃度)とを有する低温エマルション圧延油21を作製する。その際、ミキサー16は、圧延油原液23と希釈水24との撹拌作用によって、低温エマルション圧延油21の平均粒径を所望のものに調整する。ミキサー16は、このように低温エマルション圧延油21を作製する都度、作製した低温エマルション圧延油21を不用意滞留させず、逐次、低温圧延油供給管13を通じて各圧延油ヘッダ6a,6bへ低温エマルション圧延油21を供給する。

0045

圧延原油供給管17aは、圧延油タンク14aからミキサー16へ圧延油原液23を導く配管である。具体的には、図2に示すように、圧延原油供給管17aは、入力端が圧延油タンク14aに接続され且つ出力端がミキサー16に接続される。このような構造の圧延原油供給管17aは、圧延油タンク14aとミキサー16とを連通し、圧延原油流量調整弁17cの開度に応じた流量の圧延油原液23を圧延油タンク14aからミキサー16へ導く。

0046

圧延油ポンプ17bは、圧延原油供給管17aを通じて圧延油タンク14aからミキサー16へ圧延油原液23を流通させるものである。具体的には、圧延油ポンプ17bは、圧延原油供給管17aの途中に設けられる。圧延油ポンプ17bは、圧延油タンク14a内の圧延油原液23を圧延原油供給管17a内へ吸引するとともに、圧延原油供給管17aの出力端に向けて圧延油原液23を圧送する。

0047

圧延原油流量調整弁17cは、圧延油タンク14aからミキサー16へ供給される圧延油原液23の供給流量を調整するものである。具体的には、圧延原油流量調整弁17cは、圧延原油供給管17aのうちの圧延油ポンプ17bとミキサー16との間に設けられる。圧延原油流量調整弁17cは、圧延原油流量制御部19aの制御に基づいて開度を調整し、この調整後の開度に応じた流量の圧延油原液23の流通を許容する。すなわち、圧延原油流量調整弁17cは、このような開度調整によって、圧延油タンク14aから圧延原油供給管17aを通じてミキサー16への圧延油原液23の供給流量を調整する。

0048

希釈水供給管18aは、希釈水タンク14bからミキサー16へ希釈水24を導く配管である。具体的には、図2に示すように、希釈水供給管18aは、入力端が希釈水タンク14bに接続され且つ出力端がミキサー16に接続される。このような構造の希釈水供給管18aは、希釈水タンク14bとミキサー16とを連通し、希釈水流量調整弁18cの開度に応じた流量の希釈水24を希釈水タンク14bからミキサー16へ導く。

0049

希釈水ポンプ18bは、希釈水供給管18aを通じて希釈水タンク14bからミキサー16へ希釈水24を流通させるものである。具体的には、希釈水ポンプ18bは、希釈水供給管18aの途中に設けられる。希釈水ポンプ18bは、希釈水タンク14b内の希釈水24を希釈水供給管18a内へ吸引するとともに、希釈水供給管18aの出力端に向けて希釈水24を圧送する。

0050

希釈水流量調整弁18cは、希釈水タンク14bからミキサー16へ供給される希釈水24の供給流量を調整するものである。具体的には、希釈水流量調整弁18cは、希釈水供給管18aのうちの希釈水ポンプ18bとミキサー16との間に設けられる。希釈水流量調整弁18cは、希釈水流量制御部19bの制御に基づいて開度を調整し、この調整後の開度に応じた流量の希釈水24の流通を許容する。すなわち、希釈水流量調整弁18cは、このような開度調整によって、希釈水タンク14bから希釈水供給管18aを通じてミキサー16への希釈水24の供給流量を調整する。

0051

圧延原油流量制御部19aは、上述した圧延原油流量調整弁17cによる圧延油原液23の流量調整処理を制御するものである。具体的には、圧延原油流量制御部19aは、希釈水流量制御部19bから取得した希釈水24の供給流量に基づいて、低温エマルション圧延油21の生成に必要な圧延油原液23の供給流量を算出する。圧延原油流量制御部19aは、このように得られた圧延油原液23の供給流量算出値に応じて、圧延原油流量調整弁17cによる圧延油原液23の供給流量の調整を制御する。すなわち、圧延原油流量制御部19aは、算出した供給流量分の圧延油原液23を圧延油タンク14aからミキサー16へ供給可能な開度に圧延原油流量調整弁17cの開度を調整する指令信号を圧延原油流量調整弁17cへ出力する。これによって、圧延原油流量制御部19aは、圧延原油流量調整弁17cの開度を制御する。圧延原油流量制御部19aは、この開度制御を通して、圧延油タンク14aから圧延原油供給管17aを介したミキサー16への圧延油原液23の供給流量を制御する。圧延原油流量制御部19aは、冷間圧延機30による鋼板圧延毎に、上述した圧延油原液23の供給流量の算出処理を繰り返し実行し、得られた圧延油原液23の供給流量算出値に応じて圧延原油流量調整弁17cの開度(圧延油原液23の供給流量)を制御する。

0052

希釈水流量制御部19bは、上述した希釈水流量調整弁18cによる希釈水24の流量調整処理を制御するものである。具体的には、希釈水流量制御部19bは、鋼板25の圧延条件と、循環給油系統2のエマルション圧延油20の温度および供給流量と、希釈水24の温度とに基づいて、低温エマルション圧延油21の生成に必要な希釈水24の供給流量を算出する。なお、特に図示しないが、希釈水流量制御部19bは、例えば、プロセスコンピュータ等から鋼板25の圧延条件を取得し、循環給油系統2に設けた計測器等からエマルション圧延油20の温度および供給流量を取得する。また、希釈水流量制御部19bは、希釈水タンク14bや希釈水供給管18aに設けた計測器あるいは温度制御部15b等から希釈水24の温度を取得する。希釈水流量制御部19bは、このように得られた希釈水24の供給流量算出値に応じて、希釈水流量調整弁18cによる希釈水24の供給流量の調整を制御する。すなわち、希釈水流量制御部19bは、算出した供給流量分の希釈水24を希釈水タンク14bからミキサー16へ供給可能な開度に希釈水流量調整弁18cの開度を調整する指令信号を希釈水流量調整弁18cへ出力する。これによって、希釈水流量制御部19bは、希釈水流量調整弁18cの開度を制御する。希釈水流量制御部19bは、この開度制御を通して、希釈水タンク14bから希釈水供給管18aを介したミキサー16への希釈水24の供給流量を制御する。希釈水流量制御部19bは、冷間圧延機30による鋼板圧延毎に、上述した希釈水24の供給流量の算出処理を繰り返し実行し、得られた希釈水24の供給流量算出値に応じて希釈水流量調整弁18cの開度(希釈水24の供給流量)を制御する。

0053

つぎに、本発明の基本原理について説明する。本発明者等は、圧延対象の鋼板25に潤滑用エマルション圧延油22を供給することにより、鋼板25の幅広い圧延条件のもと、ロールバイトの潤滑性を高精度に制御して鋼板25の冷間圧延における圧延機負荷を低減するという課題を解決するために鋭意検討した。その結果、以下の結論を得た。

0054

一般に、鋼板25の冷間圧延に好適なロールバイトの良好な潤滑性を確保するためには、ロールバイト内の油膜厚を十分に厚く維持する必要がある。このようなロールバイト内の油膜厚は、鋼板25に供給される潤滑用エマルション圧延油22の動粘度に大きく影響される。具体的には、ロールバイト内の油膜厚を増加させるためには、潤滑用エマルション圧延油22の高粘度化が有効である。ここで、潤滑用エマルション圧延油22の動粘度を増加させる方法として、潤滑用エマルション圧延油22の低温化が考えられる。一方、鋼板25の冷間圧延における圧延機負荷は、ロールバイトの潤滑性を良好な状態に維持することにより、低減される。一般に、ロールバイトの潤滑性の向上に伴い、冷間圧延時の圧延荷重は低減する。すなわち、潤滑用エマルション圧延油22の低温化による冷間圧延時の圧延荷重の低減化を調査することにより、ロールバイトの潤滑性向上による圧延機負荷の低減化を評価することができる。

0055

以上のことを考慮し、本発明者等は、図1に示した冷間圧延機30を用い、鋼板25に供給する潤滑用エマルション圧延油22の温度を変更して鋼板25の冷間圧延を行うことにより、潤滑用エマルション圧延油22の低温化による圧延荷重の低減効果について調査した。この調査では、圧延機31〜35の各圧延ロール径を620[mm]とし、圧延対象の鋼板25として母板厚が3.0[mm]である炭素鋼板を用い、この炭素鋼板を仕上げ厚1.5[mm]まで冷間圧延した。また、この冷間圧延において鋼板25に供給する潤滑用エマルション圧延油22として、基油が合成エステル油植物油脂との混合油であり、圧延油濃度が3[体積%]であり、平均粒径が5[μm]であるエマルション圧延油を用いた。このような潤滑用エマルション圧延油22の供給温度を55[℃]から30[℃]に変更した条件のもと、最終スタンドの圧延機35の圧延速度が200[mpm]である低速圧延状態における潤滑用エマルション圧延油22の動粘度と圧延荷重との関係を評価した。

0056

図3は、低速圧延状態における潤滑用エマルション圧延油の動粘度と各圧延機の圧延荷重との関係を評価した結果の一例を示す図である。図3において、白色棒グラフは、潤滑用エマルション圧延油22の温度が55[℃]である場合、すなわち、潤滑用エマルション圧延油22の動粘度が16.2[cSt]である場合の圧延機31〜35の各圧延荷重を示す。斜線棒グラフは、潤滑用エマルション圧延油22の温度が30[℃]である場合、すなわち、潤滑用エマルション圧延油22の動粘度が63.9[cSt]である場合の圧延機31〜35の各圧延荷重を示す。また、スタンド番号#1〜#5は、図1に示した冷間圧延機30の圧延機31〜35に各々割り付けられる番号であり、鋼板25の搬送方向に沿った圧延機配列順を示している。具体的には、スタンド番号#1は、最上流(冷間圧延機30における先頭スタンド)の圧延機31に対応する。スタンド番号#2は、その後段の圧延機32に対応し、スタンド番号#3は、その後段の圧延機33に対応し、スタンド番号#4は、その後段の圧延機34に対応する。スタンド番号#5は、最下流(冷間圧延機30における最終スタンド)の圧延機35に対応する。

0057

図3を参照して明らかなように、潤滑用エマルション圧延油22の温度を低温化することにより、圧延機31〜35の各圧延荷重が低減する。これは、潤滑用エマルション圧延油22の温度低下に伴ってその動粘度が増加し、これによって、鋼板25の表面に潤滑用エマルション圧延油22が付着し易くなり、この結果、潤滑用エマルション圧延油22がロールバイト内に十分導入されたからである。特に、低速圧延状態においてロールバイトへの潤滑用エマルション圧延油22の引き込み量が極端に小さくなる前段スタンドの圧延機(例えばスタンド番号#1,#2の圧延機31,32)についても、潤滑用エマルション圧延油22の低温化が圧延荷重の低減に有効である。以上より、潤滑用エマルション圧延油22の低温化は、鋼板25の幅広い圧延条件下におけるロールバイトの潤滑性向上に有効であるとともに、このロールバイトの潤滑性向上による圧延機負荷の低減に有効であることが分かる。

0058

本実施の形態にかかる潤滑油供給装置1においては、循環使用されるエマルション圧延油20と低温圧延油供給機構12による低温エマルション圧延油21とを各圧延油ヘッダ6a,6b内に供給して混合する。これにより、潤滑用エマルション圧延油22の温度を制御する。その際、エマルション圧延油20の供給量および温度と低温エマルション圧延油22の温度とに応じて、低温エマルション圧延油21の供給量を調整する。これにより、鋼板25の幅広い圧延条件に応じて、潤滑用エマルション圧延油22の温度を、鋼板25の安定した冷間圧延に必要とされる温度(すなわち最適温度)に応答よく制御可能である。

0059

一方、上述した低温エマルション圧延油21に例示される低温状態(例えば50[℃]以下)のエマルション圧延油を使用する際、バクテリア微生物による経時的な圧延油成分の腐敗は避けられない。この問題に対しては、圧延油原液23と温度調整後の希釈水24とを混合して低温エマルション圧延油21を作製する都度、直ちに低温エマルション圧延油21を鋼板25に供給することにより、低温エマルション圧延油21の腐敗を最小限に抑制できる。例えば、図1,2に示した低温圧延油供給機構12においては、チラー15aによって希釈水24の温度を低温に調整し、ミキサー16によって圧延油原液23と低温の希釈水24とを混合して低温エマルション圧延油21を順次、作製し送出する。これにより、低温エマルション圧延油21を、意図せず滞留させることなく、各圧延油ヘッダ6a,6bへ供給することが可能である。この場合、低温エマルション圧延油21の温度は希釈水24の温度を制御することによって調整可能であるため、圧延油原液23は、希釈水24の温度制御とは別に、50[℃]以上の温度に保管、管理することができる。

0060

つぎに、本発明の実施の形態にかかる潤滑油供給方法について説明する。以下では、図1,2を参照しつつ、冷間圧延機30を構成する圧延機31〜35のうちの圧延機31を例示して、本実施の形態にかかる潤滑油供給方法を説明する。なお、残りの圧延機32〜35における潤滑油供給方法は、圧延機31における潤滑油供給方法と同様である。

0061

本実施の形態にかかる潤滑油供給方法では、循環給油系統2を用いてエマルション圧延油20を、冷間圧延機30の各圧延ロールと圧延対象の鋼板25との潤滑および冷間圧延機30の各圧延ロールの冷却に循環使用する。また、低温圧延油供給機構12を用い、鋼板25の圧延条件に対応して、エマルション圧延油20と基油が同一種類であり且つエマルション圧延油20に比して低温である低温エマルション圧延油21を作製する。この潤滑油供給方法では、鋼板25の圧延条件に対応して、エマルション圧延油20を潤滑用エマルション圧延油22として冷間圧延機30の各圧延ロールの入側へ供給する。あるいは、鋼板25の圧延条件に対応して、上述した低温エマルション圧延油21と循環使用のエマルション圧延油20とを混合してなる混合エマルション圧延油または低温エマルション圧延油21のいずれかを、潤滑用エマルション圧延油22として冷間圧延機30の各圧延ロールの入側へ供給する。

0062

まず、循環給油系統2では、循環式圧延油供給タンク3内に所定の圧延油原液および温水等の原料を投入し、撹拌機3aによって、これらの原料を所定の界面活性剤等とともに撹拌しつつ混合する。これにより、所望の性状のエマルション圧延油20を必要量、作製する。特に、界面活性剤の作用によって、エマルション圧延油20をO/Wエマルションにすることが望ましい。また、エマルション圧延油20の作製時に、通常の冷間圧延の圧延油に用いられる添加剤を適宜加えてもよい。その後、循環式圧延油供給タンク3内に、このようにして得られたエマルション圧延油20を、その腐敗を防止し且つ乳化安定性を確保可能な温度範囲に保温しつつ貯留する。

0063

つぎに、圧延油供給管4を通じて循環式圧延油供給タンク3から循環給油系統2の各圧延油噴射部へエマルション圧延油20を導く。具体的には、循環ポンプ5の作用によって、循環式圧延油供給タンク3から圧延油供給管4の出力端、例えば図2に示す分岐管4a,4bの各出力端に向けて、エマルション圧延油20を圧送する。これにより、循環式圧延油供給タンク3内のエマルション圧延油20を、圧延油供給管4および分岐管4aを通じて各圧延油ヘッダ6a,6bに供給するとともに、圧延油供給管4および分岐管4bを通じて各クーラントヘッダ8a,8bに供給する。この際、循環ポンプ5によってエマルション圧延油20に剪断作用を与えることにより、エマルション圧延油20のO/Wエマルションを維持する。なお、各圧延油ヘッダ6a,6bおよび各クーラントヘッダ8a,8bへのエマルション圧延油20の供給は、鋼板25の冷間圧延開始時から行うことが望ましい。

0064

一方、低温圧延油供給機構12では、圧延油タンク14a内に、上述したエマルション圧延油20と基油が同一種類の圧延油原液23を貯留する。この圧延油タンク14a内の圧延油原液23は、その腐敗を防止可能な温度範囲(例えば50[℃]以上の温度域)に保温される。また、循環式圧延油供給タンク3に比して容量が小さい希釈水タンク14b内に所望の温度(望ましくは30[℃]以下)の希釈水24を必要量、投入して、希釈水タンク14b内に希釈水24を貯留する。このように希釈水タンク14b内に希釈水24を貯留しつつ、鋼板25の圧延条件に応じて希釈水24の温度を調整する。具体的には、温度制御部15bの制御のもと、チラー15aによって、低温エマルション圧延油21の必要温度を確保し得る水温に希釈水24の温度を調整する。ここで、温度制御部15bには、鋼板25の圧延条件と鋼板25へ供給される潤滑用エマルション圧延油22の最適温度との相関を示す相関情報と予め設定される。温度制御部15bは、鋼板25の圧延条件と予め設定された相関情報とをもとに、低温エマルション圧延油21の必要温度を算出し、この算出した必要温度を確保し得る水温に希釈水タンク14b内の希釈水24の温度を調整する指令信号をチラー15aへ出力する。このような温度制御部15bのチラー15aに対する制御により、希釈水タンク14b内の希釈水24の温度を、上述した水温に制御する。

0065

つぎに、希釈水供給管18aを通じて希釈水タンク14bからミキサー16へ希釈水24を供給し、且つ、圧延原油供給管17aを通じて圧延油タンク14aからミキサー16へ圧延油原液23を供給する。

0066

希釈水24の供給において、希釈水流量制御部19bは、鋼板25の圧延条件と、エマルション圧延油20の温度および供給流量と、希釈水24の調整後の温度とに基づき、希釈水タンク14bからミキサー16への希釈水24の供給流量、すなわち、低温エマルション圧延油21の生成に必要な希釈水24の供給流量を算出する。希釈水流量制御部19bは、得られた希釈水24の供給流量算出値に応じて希釈水流量調整弁18cを制御する。具体的には、希釈水流量制御部19bは、算出した供給流量分の希釈水24を希釈水タンク14bからミキサー16へ供給可能な開度に調整する指令信号を希釈水流量調整弁18cへ出力し、これにより、希釈水流量調整弁18cの開度を制御する。希釈水流量制御部19bは、この開度制御を通して、希釈水流量調整弁18cによる希釈水24の供給流量の調整を制御する。このように開度を制御した希釈水流量調整弁18cを介し、希釈水ポンプ18bの作用によって希釈水タンク14bからミキサー16へ希釈水24を供給する。上述した希釈水24の供給流量の調整は、希釈水流量制御部19bの制御のもと、冷間圧延機30による鋼板圧延毎に希釈水流量調整弁18cによって繰り返し行う。

0067

圧延油原液23の供給において、圧延原油流量制御部19aは、希釈水流量制御部19bから取得した希釈水24の供給流量に基づき、圧延油タンク14aからミキサー16への圧延油原液23の供給流量、すなわち、低温エマルション圧延油21の生成に必要な圧延油原液23の供給流量を算出する。圧延原油流量制御部19aは、得られた圧延油原液23の供給流量算出値に応じて圧延原油流量調整弁17cを制御する。具体的には、圧延原油流量制御部19aは、算出した供給流量分の圧延油原液23を圧延油タンク14aからミキサー16へ供給可能な開度に調整する指令信号を圧延原油流量調整弁17cへ出力し、これにより、圧延原油流量調整弁17cの開度を制御する。圧延原油流量制御部19aは、この開度制御を通して、圧延原油流量調整弁17cによる圧延油原液23の供給流量の調整を制御する。このように開度を制御した圧延原油流量調整弁17cを介し、圧延油ポンプ17bの作用によって圧延油タンク14aからミキサー16へ圧延油原液23を供給する。上述した圧延油原液23の供給流量の調整は、圧延原油流量制御部19aの制御のもと、冷間圧延機30による鋼板圧延毎に圧延原油流量調整弁17cによって繰り返し行う。

0068

続いて、ミキサー16により、希釈水タンク14bからの温度調整後の希釈水24と圧延油タンク14aからの圧延油原液23とを撹拌、混合する。これにより、上述した必要温度と所定の油分濃度(例えばエマルション圧延油20と同一油分濃度)とを有する低温エマルション圧延油21を作製する。この低温エマルション圧延油21の作製では、ミキサー16による圧延油原液23と希釈水24との撹拌作用によって、低温エマルション圧延油21の平均粒径を所望のものに調整する。このように低温エマルション圧延油21を作製する都度、低温圧延油供給管13を通じてミキサー16から循環給油系統2の圧延油噴射部へ低温エマルション圧延油21を導く。例えば、ミキサー16によって低温エマルション圧延油21を作製した後、直ちに、低温圧延油供給管13および分岐管13aを通じて各圧延油ヘッダ6a,6bへ低温エマルション圧延油21を供給する。

0069

上述したように各圧延油ヘッダ6a,6bへ低温エマルション圧延油21を供給した場合、循環給油系統2の圧延油噴射部から冷間圧延機30の各圧延ロールの入側へ混合エマルション圧延油を噴射供給する。例えば図2に示す各圧延油ヘッダ6a,6b内において、循環式圧延油供給タンク3からのエマルション圧延油20とミキサー16からの低温エマルション圧延油21とを合流させ、これらを混合する。ここで、低温エマルション圧延油21の温度は、上述したようにミキサー16によって必要温度に調整される。この必要温度の低温エマルション圧延油21と循環使用のエマルション圧延油20とを各圧延油ヘッダ6a,6b内において混合することにより、鋼板25の圧延条件に応じた最適温度の混合エマルション圧延油を作製する。その都度、各圧延油ヘッダ6a,6b内の混合エマルション圧延油を、潤滑用エマルション圧延油22として、噴射ノズル7a,7bから圧延機31の各圧延ロール36a,36bの入側における鋼板25の上下各表面に各々噴射供給する。この際、各噴射ノズル7a,7bによって潤滑用エマルション圧延油22に剪断作用を与えることにより、潤滑用エマルション圧延油22のO/Wエマルションを維持する。上述した最適温度の潤滑用エマルション圧延油22(混合エマルション圧延油)は、その動粘度が鋼板25の圧延条件に応じて増大した故に、鋼板25の上下各表面に付着した後、ロールバイト内に十分に引き込まれる。この結果、鋼板25の冷間圧延に必要なロールバイトの潤滑性を確保するに足る厚さの油膜がロールバイト内に形成される。

0070

これに並行して、各クーラントヘッダ8a,8b内のエマルション圧延油20を、噴射ノズル9a,9bから圧延機31の各圧延ロール36a,36bの出側表面に噴射供給する(図2参照)。これにより、圧延機31の各圧延ロール36a,36bを冷間圧延に好適な温度に冷却する。なお、このエマルション圧延油20のO/Wエマルションは、各噴射ノズル9a,9bの剪断作用によって維持される。

0071

その後、上述したようにロールバイトの潤滑性の確保に使用された潤滑用エマルション圧延油22と各圧延ロール36a,36bの冷却に使用されたエマルション圧延油20とを、使用済みエマルション圧延油として、回収オイルパン10内に適宜回収する。具体的には、このような使用済みエマルション圧延油のうち、鋼板25とともに潤滑油供給装置1の系外に持ち出されたものと蒸発によって失われたものとを除く大部分を、例えば圧延機31から回収オイルパン10内へ回収する。回収した使用済みエマルション圧延油は、戻り配管11を通じて回収オイルパン10から循環式圧延油供給タンク3内へ戻される。

0072

回収後の使用済みエマルション圧延油は、循環式圧延油供給タンク3内において、撹拌機3aにより、循環使用のエマルション圧延油20とともに撹拌される。これによって、この使用済みエマルション圧延油をエマルション圧延油20と同じ温度まで昇温する。昇温後の使用済みエマルション圧延油は、循環使用されるエマルション圧延油20として循環式圧延油供給タンク3内に貯留される。ここで、この使用済みエマルション圧延油は、使用済みの潤滑用エマルション圧延油22とエマルション圧延油20とを混合したものである。すなわち、この使用済みエマルション圧延油の基油構成および圧延油濃度は、循環式圧延油供給タンク3内に貯留のエマルション圧延油20と同一である。したがって、この使用済みエマルション圧延油は、エマルション圧延油20と同じ温度まで昇温後、循環使用されるエマルション圧延油20として再利用できる。

0073

上述した潤滑油供給方法では、潤滑用エマルション圧延油22として、循環使用のエマルション圧延油20と低温エマルション圧延油21との混合エマルション圧延油を圧延ロール入側(例えば鋼板25の上下各表面)へ供給していた。しかし、圧延ロール入側に対しては、鋼板25の圧延条件に対応して、上述した混合エマルション圧延油、エマルション圧延油20、または低温エマルション圧延油21のいずれかを、潤滑用エマルション圧延油22として供給してもよい。

0074

具体的には、ロールバイトの潤滑不足を引き起こし易い硬質鋼板を冷間圧延する場合等の低速圧延状態においては、上述したように、各圧延油ヘッダ6a,6b内にエマルション圧延油20と低温エマルション圧延油21とを供給し、潤滑用エマルション圧延油22として、最適温度の混合エマルション圧延油を圧延ロール入側へ噴射供給する。また、より一層ロールバイトの潤滑不足を引き起こし易い圧延条件においては、循環ポンプ5の停止等によってエマルション圧延油20の供給を停止し、各圧延油ヘッダ6a,6b内に低温エマルション圧延油21のみを供給し、潤滑用エマルション圧延油22として、最適温度の低温エマルション圧延油21を圧延ロール入側へ噴射供給する。一方、鋼板25に対して高速の冷間圧延を行う場合や軟質鋼板を冷間圧延する場合等、ロールバイト内への圧延油の供給過多を引き起こし易い圧延条件においては、圧延油ポンプ17bおよび希釈水ポンプ18bの停止等によって低温エマルション圧延油21の生成および供給を停止し、各圧延油ヘッダ6a,6b内にエマルション圧延油20のみを供給し、潤滑用エマルション圧延油22として、最適温度のエマルション圧延油20を圧延ロール入側へ噴射供給する。

0075

すなわち、圧延油供給管4を通じて循環式圧延油供給タンク3から循環給油系統2の圧延油噴射部へエマルション圧延油20を導く都度、この圧延油噴射部から圧延ロール入側へ少なくともエマルション圧延油20(エマルション圧延油20のみ、またはエマルション圧延油20を含む混合エマルション圧延油)を噴射供給する。また、ミキサー16により、希釈水24と圧延油原液23とを混合して低温エマルション圧延油21を作製する都度、低温圧延油供給管13を通じてミキサー16から循環給油系統2の圧延油噴射部へ低温エマルション圧延油21を導く。続いて、この圧延油噴射部から圧延ロール入側へ混合エマルション圧延油または低温エマルション圧延油21を噴射供給する。

0076

(実施例1および比較例1)
つぎに、本発明の作用効果を具体的に説明するための実施例1および比較例1について説明する。本実施例1では、圧延対象の鋼板25として、母材厚が3.0[mm]であり、板幅が1000[mm]である炭素鋼板を用いた。また、この鋼板25を連続的に冷間圧延する装置として、図1に示した全5スタンドの冷間圧延機30を用い、この冷間圧延機30を構成する圧延機31〜35の各圧延ロール径を620[mm]とした。

0077

一方、この冷間圧延機30には、上述した実施の形態にかかる潤滑油供給装置1(図1,2参照)を適用した。この潤滑油供給装置1において、循環使用するエマルション圧延油20または低温エマルション圧延油21を作製するための圧延油原液(例えば図2に示した圧延油原液23)は、合成エステル油と植物油との混合油を基油とし、この基油に対して、極圧添加剤および酸化防止剤を各々1[質量%]添加し、且つ、乳化型の界面活性剤を対油濃度で3.5[質量%]添加したものを用いた。エマルション圧延油20は、循環式圧延油供給タンク3内において上記の圧延油原液および希釈水を混合して、圧延油濃度を3.0[体積%]に調整し、平均粒径を5[μm]に調整し、温度を55[℃]に調整したものを用いた。また、低温エマルション圧延油21は、エマルション圧延油20と同一基油成分の圧延油原液23と希釈水24とをミキサー16によって混合して、圧延油濃度をエマルション圧延油20と同じ濃度(=3.0[体積%])に調整したものを用いた。この低温エマルション圧延油21の温度調整は、チラー15a等によって希釈水24を20[℃]に調整することによって行った。本実施例1では、低温エマルション圧延油21の温度を20[℃]に調整した。なお、温度55[℃]のエマルション圧延油20の動粘度は16.2[cSt]であり、温度20[℃]の低温エマルション圧延油21の動粘度は67.3[cSt]である。

0078

本実施例1では、潤滑油供給装置1を用い、冷間圧延機30の圧延機31〜35の各入側において鋼板25の上下各表面へ潤滑用エマルション圧延油22を噴射供給しつつ、上記設定条件の冷間圧延機30を用い、鋼板25を母材厚3.0[mm]から仕上げ厚1.5[mm]まで連続的に冷間圧延した。その際、冷間圧延機30は、最終スタンドの圧延機35の圧延速度が200[mpm]となる低速圧延状態にして、鋼板25を冷間圧延した。また、潤滑油供給装置1は、循環ポンプ5の停止等によってエマルション圧延油20の供給を中止し、20[℃]に温度制御した低温エマルション圧延油21を、潤滑用エマルション圧延油22として、ミキサー16から各圧延油ヘッダ6a,6b等を通じて鋼板25へ供給した。

0079

一方、上述した実施例1に対する比較例1において、潤滑油供給装置1は、圧延油ポンプ17bおよび希釈水ポンプ18bの停止等によって低温エマルション圧延油21の作製および供給を中止し、温度55[℃]のエマルション圧延油20のみを、潤滑用エマルション圧延油22として、循環式圧延油供給タンク3から各圧延油ヘッダ6a,6b等を通じて鋼板25へ供給した。このような鋼板25への潤滑用エマルション圧延油22(エマルション圧延油20のみ)の供給方法以外、本比較例1は、上述した実施例1と同様である。例えば、本比較例1では、冷間圧延機30の圧延機31〜35の各入側において鋼板25の上下各表面へエマルション圧延油20を噴射供給しつつ、実施例1と同様に低速圧延状態で鋼板25を連続的に冷間圧延した。

0080

上述した実施例1および比較例1の各々について、冷間圧延機30の圧延機31〜35の各圧延荷重を測定し、低速圧延状態における潤滑用エマルション圧延油22の動粘度と各スタンドの圧延荷重との関係を調査した。この調査結果を表1に示す。

0081

0082

表1において、スタンド番号#1〜#5は、上述した図3の場合と同様に、冷間圧延機30の圧延機31〜35に各々割り付けられる番号である。また、実施例1における潤滑用エマルション圧延油22の動粘度は、潤滑用エマルション圧延油22が20[℃]の低温エマルション圧延油21であるため、63.9[cSt]である。比較例1における潤滑用エマルション圧延油22の動粘度は、潤滑用エマルション圧延油22が55[℃]のエマルション圧延油20であるため、16.2[cSt]である。

0083

表1に示すように、実施例1における圧延機毎(スタンド番号毎)の各圧延荷重のいずれも、比較例1における圧延機毎の各圧延荷重に比して低減した。すなわち、本実施の形態にかかる潤滑油供給装置1を用い、鋼板25に供給する潤滑用エマルション圧延油22の温度を低温化することにより、圧延機31〜35の各圧延荷重を低減できることが分かった。さらには、スタンド番号#1〜#5の圧延機31〜35のうち、極めて低速圧延状態になる前段スタンド、特に、スタンド番号#1の圧延機31においても、他の圧延機32〜35と同様に圧延荷重を低減できることが分かった。これは、潤滑用エマルション圧延油22の温度低下に伴ってその動粘度が増加し、これによって、潤滑用エマルション圧延油22が、鋼板25の表面に付着後、ロールバイト内に十分導入され、この結果、鋼板25の冷間圧延(特に低速圧延状態の冷間圧延)に必要なロールバイトの潤滑性を確保できたからである。

0084

以上、説明したように、本発明の実施の形態では、鋼板の圧延条件に対応して、ロールバイトの潤滑および圧延ロールの冷却に循環使用するエマルション圧延油、このエマルション圧延油と同一基油成分を有する低温エマルション圧延油、または、これらエマルション圧延油と低温エマルション圧延油とを混合してなる混合エマルション圧延油のいずれかを、潤滑用エマルション圧延油として圧延ロール入側へ供給している。

0085

このため、鋼板の幅広い圧延条件に応じて、潤滑用エマルション圧延油の温度を、鋼板の安定した冷間圧延に必要とされる最適温度に応答よく制御でき、この最適温度の潤滑用エマルション圧延油を圧延ロール入側の鋼板表面へ供給できる。これにより、この潤滑用エマルション圧延油の動粘度を鋼板の圧延条件に好適な動粘度に制御することができ、この動粘度の制御により、鋼板の多種多様な圧延条件によらず常に十分な量の潤滑用エマルション圧延油をロールバイト内へ簡易に導入できる。この結果、鋼板の冷間圧延に必要なロールバイトの潤滑性を確保するに足る厚さの油膜をロールバイト内に形成できることから、鋼板の冷間圧延に要するロールバイトの良好な潤滑性を常に確保でき、これにより、圧延荷重および圧延負荷を過度に増加させることなく安定した冷間圧延を、広い強度範囲の各種鋼板に対して行うことができる。

0086

また、本発明の実施の形態では、循環使用のエマルション圧延油を貯留する循環式圧延油供給タンクに比して容量が小さい希釈水タンク内に、低温エマルション圧延油の作製に用いる希釈水を貯留しつつ、この希釈水の温度を鋼板の圧延条件に応じて調整し、この温度調整後の希釈水と圧延油原液とを混合して低温エマルション圧延油を作製する都度、この低温エマルション圧延油を圧延ロール入側に向けて供給している。このため、鋼板の圧延条件に対応して応答よく希釈水の温度を調整できるとともに、この希釈水の温度調整に要する電力コストを削減することができる。これに加え、低温エマルション圧延油の作製後の不用意な滞留を防止でき、これにより、バクテリアや微生物による経時的な低温エマルション圧延油の腐敗を可能な限り抑制できる。

0087

さらに、エマルション圧延油を循環使用する循環給油系統2(図1参照)の圧延油噴射部としてミキシングノズルを用い、ミキシングノズルによって最適温度の混合エマルション圧延油を作製し送出することができる。この場合、図1に示した各圧延油ヘッダ6a,6bおよび各噴射ノズル7a,7bに代えてミキシングノズルを各必要箇所に配置すればよい。混合エマルション圧延油は、ミキシングノズル内に循環使用のエマルション圧延油と低温エマルション圧延油とを混合することによって作製できる。このようなミキシングノズルを用いる場合、混合エマルション圧延油を最適温度に調整するためには、エマルション圧延油の供給量および温度と低温エマルション圧延油の温度とに応じて、低温エマルション圧延油の供給量を調整すればよい。このため、鋼板の圧延条件に応じた幅広い温度域の混合エマルション圧延油の温度制御を高応答に行うことができる。

0088

また、低速圧延状態等、ロールバイトが潤滑不足になり易い圧延条件時に低温エマルション圧延油を作製して供給し、低速圧延状態に比して圧延速度が高速の冷間圧延状態や軟質鋼板の冷間圧延等、ロールバイトが潤滑不足になり難い圧延条件時に低温エマルション圧延油の作製および供給を抑制または止めている。このため、鋼板の圧延条件に応じた必要最小限の低温エマルション圧延油を作製、供給することができる。これにより、圧延油噴射部への低温エマルション圧延油の供給量を削減できることから、低温エマルション圧延油の作製に要する圧延油タンクおよび希釈水タンクの各容量の小型化を促進することができる。例えば、循環使用のエマルション圧延油を貯留する循環式圧延油供給タンクに比べて、これら圧延油タンクおよび希釈水タンクの各容量を極めて小さくすることができる。この結果、圧延油原液の温度管理に要する電力コストを削減できるとともに、希釈水の高応答な温度制御を低コスト且つ容易に行うことができる。

0089

なお、上述した実施の形態では、圧延機31〜35の各圧延ロール入側の鋼板表面に潤滑用エマルション圧延油22を供給していたが、これに限らず、圧延機31〜35の各圧延ロールの入側表面に潤滑用エマルション圧延油22を供給してもよい。すなわち、本発明において、潤滑用エマルション圧延油22は、圧延機31〜35の各圧延ロール入側へ供給されればよい。

0090

また、上述した実施の形態では、圧延機31〜35に対して1セットの低温圧延油供給機構12を設けていたが、これに限らず、圧延機毎に1セットずつ、低温圧延油供給機構12を設けてもよい。

0091

さらに、上述した実施の形態では、5スタンドの圧延機31〜35を備えるタンデム型の冷間圧延機30に本発明にかかる潤滑油供給装置1を適用していたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にかかる潤滑油供給装置および潤滑油供給方法は、2スタンド以上の圧延機を備えるタンデム型の冷間圧延機、単一の圧延機を備える可逆式または非可逆式の冷間圧延機のいずれに対しても適用可能である。また、冷間圧延機を構成する圧延機は、一対の圧延ロールと一対のバックアップロールとを備える4段式のものに限定されない。すなわち、本発明において、冷間圧延機のスタンド数、圧延方式、圧延工程、およびロール段数は特に問われない。

0092

また、上述した実施の形態では、圧延油タンク14a内に圧延油原液23を貯留していたが、上述したエマルション圧延油20の場合と同様に、通常の冷間圧延の圧延油に用いられる添加剤および界面活性剤を必要に応じて圧延油原液23に添加してもよい。

0093

さらに、上述した実施の形態では、鋼板25を冷間圧延する場合を例示していたが、これに限らず、本発明にかかる潤滑油供給装置および潤滑油供給方法が適用される冷間圧延機は、鋼板以外の鉄鋼板を冷間圧延するものであってもよいし、銅またはアルミニウム等の鉄鋼材以外の金属板を冷間圧延するものであってもよい。すなわち、本発明において、圧延対象の金属板は、鋼板、鋼板以外の鉄合金板、鉄合金板以外の金属板のいずれであってもよく、また、鋼種等の金属板の種類(例えば強度や組成等)も特に問われない。

0094

また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。

0095

1潤滑油供給装置
2循環給油系統
3循環式圧延油供給タンク
3a撹拌機
4 圧延油供給管
4a〜4j,13a〜13e分岐管
5循環ポンプ
6a,6b 圧延油ヘッダ
7a,7b、9a,9b噴射ノズル
8a,8bクーラントヘッダ
10回収オイルパン
11戻り配管
12低温圧延油供給機構
13 低温圧延油供給管
14a圧延油タンク
14b希釈水タンク
15aチラー
15b温度制御部
16ミキサー
17a圧延原油供給管
17b 圧延油ポンプ
17c 圧延原油流量調整弁
18a希釈水供給管
18b 希釈水ポンプ
18c希釈水流量調整弁
19a 圧延原油流量制御部
19b 希釈水流量制御部
20エマルション圧延油
21低温エマルション圧延油
22潤滑用エマルション圧延油
23圧延油原液
24 希釈水
25鋼板
30冷間圧延機
31〜35圧延機
36a,36b 圧延ロール

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