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技術 冷凍装置および冷凍機の制御装置

出願人 ダイキンアプライドアメリカズインコーポレィティッド
発明者 梅田信弘瀧川孝寿小野寺文明小薗信頼
出願日 2014年3月14日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2014-052691
公開日 2014年9月29日 (6年1ヶ月経過) 公開番号 2014-181905
状態 特許登録済
技術分野 不可逆サイクルによる圧縮式冷凍機械
主要キーワード カットモデル センサ点 圧力ロス 吸入ガイド 設計標準 起動盤 運転差圧 アラーム検知
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

負荷の大きさやホットガスバイパスの有無に関わらず、通常時の効率的な運転と非常時の高精度なサージ検出機能とを両立する冷凍装置を提供する。

解決手段

チラー10は、遠心式圧縮機22と、吸入ガイドベーン43および吐出ディフューザ幅調整機構44と、チラーコントローラ20とを備える。吸入ガイドベーンおよび吐出ディフューザ幅調整機構は、開度を変更することで圧縮機の容量制御を行う。チラーコントローラは、圧縮機の回転数制御、サージ回避のための圧縮機の回転数制御、および、サージ検出に基づく圧縮機の緊急停止制御を行うために、圧縮機個別のサージ曲線断熱ヘッドとを比較する。サージ曲線は、チラーコントローラに予め記憶されるものであって、圧縮機の現在回転数吸入容量制御機構の開度、および吐出容量制御機構の開度により規定される。断熱ヘッドは、運転中の、吸入圧力吐出圧力、および吸入温度を用いて計算される。

概要

背景

特許文献1(US6036432B2)は、遠心式圧縮機旋回失速から保護するための方法及び装置に関する。特許文献2(US5894736B2)は、遠心圧縮機サージを検出する方法および装置に関する。特許文献3(US2011/0093133)は、チラー制御のための3Dサージマップコンピュータ上で生成および使用する、制御装置および方法に関する。特許文献4(US5355691B2)は、速度可変インペラモータ駆動を用いる遠心式チラーの制御方法および制御装置に関する。

概要

負荷の大きさやホットガスバイパスの有無に関わらず、通常時の効率的な運転と非常時の高精度なサージ検出機能とを両立する冷凍装置を提供する。チラー10は、遠心式の圧縮機22と、吸入ガイドベーン43および吐出ディフューザ幅調整機構44と、チラーコントローラ20とを備える。吸入ガイドベーンおよび吐出ディフューザ幅調整機構は、開度を変更することで圧縮機の容量制御を行う。チラーコントローラは、圧縮機の回転数制御、サージ回避のための圧縮機の回転数制御、および、サージ検出に基づく圧縮機の緊急停止制御を行うために、圧縮機個別のサージ曲線断熱ヘッドとを比較する。サージ曲線は、チラーコントローラに予め記憶されるものであって、圧縮機の現在回転数吸入容量制御機構の開度、および吐出容量制御機構の開度により規定される。断熱ヘッドは、運転中の、吸入圧力吐出圧力、および吸入温度を用いて計算される。A

目的

負荷の大きさやホットガスバイパスの有無に関わらず、通常時の効率的な運転と、非常時の高精度なサージ検出機能とを両立する冷凍装置および冷凍機の制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

遠心式圧縮機と、開度を変更することで前記圧縮機の容量制御を行う、吸入容量制御機構および吐出容量制御機構と、前記圧縮機の回転数制御サージ回避のための前記圧縮機の回転数制御、および、サージ検出に基づく前記圧縮機の緊急停止制御を行うために、圧縮機個別のサージ曲線断熱ヘッドとを比較する制御部と、を備え、前記サージ曲線は、前記制御部に予め記憶されるものであって、前記圧縮機の現在回転数、前記吸入容量制御機構の開度、および前記吐出容量制御機構の開度により規定され、前記断熱ヘッドは、運転中の、吸入圧力吐出圧力、および吸入温度を用いて計算される、冷凍装置

請求項2

前記圧縮機は2段式であり、前記断熱ヘッドは、擬似単段エンタルピ基準で表される、請求項1に記載の冷凍装置。

請求項3

前記吸入圧力および前記吐出圧力は、前記制御部に設定された当該冷凍装置の設置場所の高度を用いて、絶対圧力換算されたものである、請求項1に記載の冷凍装置。

請求項4

当該冷凍装置の凝縮器に設けられた凝縮器圧力センサと、当該冷凍装置の蒸発器に設けられた蒸発器圧力センサと、を備え、前記吸入圧力および前記吐出圧力は、各々、前記蒸発器圧力センサおよび前記凝縮器圧力センサの計測値に対し、随時計算される圧縮機風量を基にした前記圧縮機の吸入管および吐出管での圧力ロス分が補正されたものである、請求項1に記載の冷凍装置。

請求項5

前記制御部は、前記断熱ヘッドが前記サージ曲線を超えた時間の直近一定時間内における積算が、予め設定された時間を上回った場合にサージ異常と判断し、前記圧縮機を停止させる、請求項3又は4に記載の冷凍装置。

請求項6

遠心式の圧縮機と、開度を変更することで前記圧縮機の容量制御を行う、吸入容量制御機構および吐出容量制御機構とを有する冷凍機の、制御装置であって、圧縮機個別のサージ曲線を記憶する記憶部と、処理部と、を備え、前記処理部は、前記圧縮機の回転数制御、サージ回避のための前記圧縮機の回転数制御、および、サージ検出に基づく前記圧縮機の緊急停止制御を行うために、前記記憶部に記憶された前記サージ曲線と断熱ヘッドとを比較するものであって、前記サージ曲線は、前記圧縮機の現在回転数、前記吸入容量制御機構の開度、および前記吐出容量制御機構の開度により規定され、前記断熱ヘッドは、運転中の前記圧縮機の、吸入圧力、吐出圧力、および吸入温度を用いて計算される、制御装置。

請求項7

前記圧縮機は2段式であり、前記断熱ヘッドは、擬似単段エンタルピ基準で表される、請求項6に記載の制御装置。

請求項8

前記吸入圧力および前記吐出圧力は、前記記憶部に記憶された前記冷凍機の設置場所の高度を用いて、絶対圧力に換算されたものである、請求項6に記載の制御装置。

請求項9

前記冷凍機は、凝縮器に設けられた凝縮器圧力センサと、蒸発器に設けられた蒸発器圧力センサと、を更に有し、前記吸入圧力および前記吐出圧力は、各々、前記蒸発器圧力センサおよび前記凝縮器圧力センサの計測値に対し、圧縮機風量を基に随時計算される前記圧縮機の吸入管および吐出管での圧力ロス分が補正されたものである、請求項6に記載の制御装置。

請求項10

前記処理部は、前記断熱ヘッドが前記サージ曲線を超えた時間の直近一定時間内における積算が、予め設定された時間を上回った場合にサージ異常と判断し、前記圧縮機を停止させる、請求項8又は9に記載の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、冷凍装置および冷凍機制御装置に関する。

背景技術

0002

特許文献1(US6036432B2)は、遠心式圧縮機旋回失速から保護するための方法及び装置に関する。特許文献2(US5894736B2)は、遠心圧縮機サージを検出する方法および装置に関する。特許文献3(US2011/0093133)は、チラー制御のための3Dサージマップコンピュータ上で生成および使用する、制御装置および方法に関する。特許文献4(US5355691B2)は、速度可変インペラモータ駆動を用いる遠心式チラーの制御方法および制御装置に関する。

発明が解決しようとする課題

0003

負荷の大きさやホットガスバイパスの有無に関わらず、通常時の効率的な運転と、非常時の高精度なサージ検出機能とを両立する冷凍装置および冷凍機の制御装置を提供する。

課題を解決するための手段

0004

吸入温度の影響、チラーの設置場所の影響、および、センシング場所と実際の圧縮機の吐出吸入位置との違い、を考慮して運転ヘッドを算出し、圧縮機マップ比較検証する。これにより、現在運転ヘッドおよびサージ点をより高精度に把握することができ、高精度な回転数(回転速度)制御とサージ検出とが可能である。

図面の簡単な説明

0005

第1実施形態に係る遠心二段式チラーを示した図である。
第2実施形態に係る遠心二段式チラーを示した図である。
第3実施形態に係る遠心単段式チラーを示した図である。
図1Aの遠心二段式チラーにおける、第1(高段)膨張弁および第2(低段)膨張弁の連動制御について説明するための図である。
PE_DT(擬似蒸発器水温差、擬似冷水出入口温度差)の算出処理フローチャートである。
本実施形態に係るチラーヘッドの取得処理のフローチャートである。
標高大気圧の関係を示した図である。
大気圧がヘッド計算に与える影響を示した図である。
圧力損失を考慮した場合および管圧力損失を考慮しない場合のヘッドを示した図である。
単段式の圧縮機のヘッドを示した図である。
二段式の圧縮機のヘッドを示した図である。
サージ検出方法について説明するための図である。
圧縮機緊急停止制御のフローチャートである。

実施例

0006

図面を参照して、選択された実施形態が説明される。本開示から、下記の実施形態に関する記載は説明のために用いられるものに過ぎず、添付の特許請求の範囲によって定義される発明又はその均等物を制限するものではないことは、当業者にとって明白である。

0007

なお、本実施形態では、下記の語は以下の意味で用いられる。

0008

IGVは、吸入ガイドベーン(Inlet Guide Vane)の略称である。IGVは、遠心式(またはターボ)圧縮機の能力調整用として一般的に用いられる機構である。圧縮機のガス吸入口に取り付けられる。

0009

DDCは、吐出ディフューザ制御機構(Discharge Diffuser Control)の略称である。DDCは、遠心式(またはターボ)圧縮機の能力調整および運転範囲拡大(サージ回避)を目的としたものである。なお、ディフューザとは、圧縮機内部のインペラ(羽根車)により加速された冷媒ガスを、動圧(速度)を静圧(いわゆる圧力)に転換するための通路を指す。

0010

PLVは、Integrated PartLoad Value)の略である。IPLVは、米国冷凍空調工業会(AHRI)が規定する、チラーの部分負荷運転等、通年運転を想定した性能指標である。

0011

TRは、TonsRの略で、米国冷凍トンを意味する。TRは、大容量サイズのチラーで、チラーの能力を示すために用いられる。

0012

ヘッドは、圧縮機の昇圧特性を表す指標である。本実施形態では、エネルギー[kJ/kg]の単位をもち、特にガス断熱(等エントロピ)状態で圧縮した場合の理論昇圧特性として使用される。

0013

サージとは、遠心式圧縮機の昇圧特性が冷凍機熱交換器の必要運転差圧(=凝縮圧−蒸発圧)を一時的に下回ることにより、圧縮機、その接続配管、および熱交換器を流れるガス全体が流れの方向に激しく振動する現象を示す。本振動は圧縮機内部部品の破損、信頼性低下を招くおそれがあるため、現象確認後速やかに、回避制御の作動、あるいは、機械の停止が要求される。

0014

図1Aは、遠心二段式のチラー10を示す。図1Bは、遠心二段式のチラー110を示す。図1Cは、遠心単段式のチラー210を示す。チラー10,110,210は、好ましくは、従来の方式で、冷却水や冷水を用いる水チラーである。

0015

チラー10は、基本的に、チラーコントローラ20、遠心式圧縮機22、凝縮器24、第1(高段)膨張弁26、および蒸発器28を含み、これらは、配管により、従来の方式で互いに接続されている。エコノマイザ30は、従来の方式で、凝縮器24と蒸発器28との間に配管により接続されている。第1膨張弁26は、凝縮器24とエコノマイザ30との間の配管に接続される。一方、第2(低段)膨張弁32は、エコノマイザ30と蒸発器28との間の配管に接続される。エコノマイザ30は、エコノマイザ30から遠心式圧縮機22に冷媒ガスを供給するため、更に遠心式圧縮機22に接続されている。

0016

遠心式圧縮機22は、第1(低段)圧縮機構42aと、第2(高段)圧縮機構42bとを含む。第1圧縮機構42aから吐出された冷媒は、第2圧縮機構42bの吸入口に供給される。エコノマイザ30からの冷媒ガスも、第2圧縮機構42bの吸入口に供給される。可変周波数駆動(VFD起動盤インバータ制御用起動盤)52は、遠心式圧縮機22を駆動する駆動モータ62を制御する。吸入ガイドベーン43は、第1圧縮機構42aの吸入側に配置される。吐出ディフューザ幅制御機構44は、遠心式圧縮機22の第2圧縮機構側ディフューザに配置される。

0017

チラーコントローラ20は、情報伝達可能に(例えば、電気的に)、第1および第2膨張弁26,32、吸入ガイドベーン43およびVFD起動盤52と接続されている。チラーコントローラ20は、これらの要素と情報の授受を行うことが可能である。さらに、様々な圧力センサおよび温度センサが、チラー10内に配置され、チラーコントローラ20と通信する。第1および第2膨張弁26,32は、個別に、または、組み合わされて、この開示における膨張機構とみなされる。遠心式のチラー10において、第1膨張弁26は、遠心式のチラー110,210における第1膨張弁26と同様に制御可能である。これに代えて、第1および第2膨張弁26,32は、ここに開示される結果を達成するように、チラーコントローラ20により連動して制御されてもよい。第1および第2膨張弁26,32の制御/運転が連動する制御について説明する。

0018

第1および第2膨張弁26,32の連動は、エコノマイザ30において、質量バランスおよび熱バランス収支釣り合うように、高段側と低段側の冷媒の流量比を制御することで実行される。エコノマイザ30において、質量バランスおよび熱バランスの収支が釣り合う場合、高段側および低段側の流量比が計算できる。この計算に使われる値は、エコノマイザ30に設けられた圧力センサと、凝縮器24の出口液冷媒温度センサと、を用いて算出される。

0019

図2を用いて、さらに詳しく説明する。冷凍サイクルにおいて、低段側の冷媒流量M(図2(a)参照)は、遠心式圧縮機22の特性から算出される。図2(a)中のHelおよびHegは飽和エンタルピで、図2(a)のPecon(エコノマイザ30における圧力)から算出できる。図2(a)中のHclは過冷却液エンタルピで、凝縮器24の出口温度に基づいて算出できる。そして、後述する数式1に基づいてM+m(第2圧縮機構42bから吐出される冷媒の流量)が算出される。図2(a)中のPcond(凝縮器24における圧力)、Pecon、およびPevap(蒸発器28における圧力)は、圧力センサの計測結果から知ることができる。つまり、高段側の第1膨張弁26前後の圧力差と、低段側の第2膨張弁32前後の圧力差とは、既知である。高段側および低段側の第1および第2膨張弁26,32の圧力差−流量特性は、ソフトウェア内で維持される。高段側の第1膨張弁26の開度は、高段側の圧力差をモニタしながら、流量M+mが得られるように制御される(図2(b)参照)。低段側の第2膨張弁32の開度は、低段側の圧力差をモニタしながら、流量Mが得られるように制御される(図2(c)参照)。

0020

下記の数式1は、エコノマイザ30における質量バランスと熱バランスとに基づいて理論的に得られる。
《数1》(M+m)/M=1+(Hcl−Hel)/(Heg−Hcl)

0021

数式1により、高段側および低段側の第1および第2膨張弁26,32の流量比が与えられ、第1および第2膨張弁26,32の開度の連動の基礎となる。

0022

図1Bの遠心式のチラー110は、第2膨張弁32が除外されていることを除き、図1Aのチラー10と同様である。この場合、機械式フロート弁33が電気制御によらず第2膨張弁32の代用となる。そのため、遠心式のチラー110のチラーコントローラ20は、膨張機構の制御として、第1膨張弁26の動きだけを制御する。第1膨張弁26が、本開示における膨張機構と見なされる。

0023

図1Cの遠心式のチラー210は、エコノマイザ30が除外され、第2圧縮機構42bが除外された遠心式圧縮機222が使用される点を除き図1Bに係るチラー110と同様である(図1Aのチラー10から見ると、さらに第2膨張弁32が除外されている)。そのため、遠心式のチラー210のチラーコントローラ20は、膨張機構の制御として、第1膨張弁26の動きだけを制御する。第1膨張弁26が、本開示における膨張機構と見なされる。エコノマイザ30および第2圧縮機構42bが除外されているので、配管も変更されている。配管は凝縮器24を蒸発器28に接続し、第1膨張弁26は凝縮器24と蒸発器28との間の配管に接続される。また、エコノマイザ30および第2圧縮機構42bが除外されているので、第1圧縮機構42aから吐出される冷媒は、(エコノマイザからの冷媒と混合されることなく、または、第2圧縮機構を通過することなく)凝縮器24に供給される。

0024

遠心式のチラー10,110,210の部品は、慣用的な構成要素であり、当該技術分野ではよく知られているものである。これらの構成要素は当該技術分野においてよく知られているので、ここでは、その構造の詳細について説明または図示しない。むしろ、この開示から、本発明を実行するために、構成要素として、いかなる構造および/またはプログラムが使用されてもよいことは当業者にとって明らかである。

0025

チラーコントローラ20は、冷凍装置の制御部の一例である。また、チラーコントローラ20は、冷凍機の制御装置の一例である。チラーコントローラ20は、好ましくは、遠心式のチラー10,110,210の要素をここで開示するように制御する、処理部としてのマイクロコンピュータを含む。チラーコントローラ20は、好ましくは、実施可能な制御プログラムが記憶された、コンピュータが読み出し可能な媒体(例えば、メモリハードディスク等)を含む。あるいは、チラーコントローラ20は、好ましくは、制御プログラムを実行するために、上記のようなコンピュータが読み出し可能な媒体と通信可能である。また、チラーコントローラ20は、好ましくは、入力インターフェース回路や、出力インターフェース回路や、プログラム、計算方法および/又は結果などを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶機器等の一般的な構成要素を含む。上記のコンピュータが読み出し可能な媒体(例えば、メモリやハードディスク等)およびROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶機器は、記憶部の一例である。チラーコントローラ20のマイクロコンピュータは、上述した遠心式のチラー10,110,210の要素を制御し、および/または、上述した遠心式のチラー10,110,210の要素から情報を受け取るようプログラムされている。この開示から、チラーコントローラ20の詳細な構造やアルゴリズムは、本発明に係る機能を実行する、どのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよいことは、当業者にとって明らかである。

0026

膨張機構(第1および/または第2膨張弁26,32)の開度は、負荷変動の1つの指標である圧縮機能力を用いて、チラーコントローラ20により計算される。圧縮機能力は、圧縮機(チラー10,110では遠心式圧縮機22、チラー210では遠心式圧縮機222)の現在回転数と、容量制御機構(吸入ガイドベーン43)の開度と、現在運転ヘッドのサージ域からの乖離率ファクターとして求められる。乖離率は、好ましくは、現時点での、駆動ヘッドと圧縮機のサージヘッドとの比である。好ましくは、少なくとも高段側の膨張機構が、膨張機構の開度計算の対象となる。言い換えれば、遠心式のチラー10,110,210では、第1膨張機構(第1膨張弁26)の開度が算出される。しかしながら、チラー10においては、図2を用いて説明したように、第1膨張機構(第1膨張弁26)の開度は、第2膨張機構(第2膨張弁32)の開度と連動させられてもよい。

0027

好ましくは、高段側の膨張機構(第1膨張弁26)の実際制御開度は、凝縮器24の出口の液体のエンタルピと、エコノマイザ30における液およびガスの飽和エンタルピとから求められる、エコノマイザ30内の液ガス重量比率の分だけ補正されてもよい。

0028

好ましくは、低段側の膨張機構(第2膨張弁32)は電動制御され、低段側の膨張機構(第2膨張弁32)の開度は、図2を用いて説明したように、計算された高段側の膨張機構(第1膨張弁26)の開度と連動させられる。

0029

これに代えて、図1Bに示したように、エコノマイザ30内の機械式フロート弁33が低段側の膨張機構として用いられてもよい。このような場合には、機械式フロート弁33は自動的に開閉し、エコノマイザ30内の液位が所定のレベルに維持され、高段側の膨張機構(第1膨張弁26)と連動して運転/制御される。

0030

擬似冷水出入口温度差は、膨張機構の開度を計算するために用いられる。擬似冷水出入口温度差は、上記のように計算された圧縮機能力と、蒸発器28およびエコノマイザ30のエンタルピ情報から得られる蒸発器能力と、機器の冷水の標準設計流量(蒸発器28に供給される冷水の標準設計冷水流量)と、から求められる。擬似冷水出入口温度差は、設計標準冷水流量の冷水がチラーの凝縮器を流れた場合の、設計温度差である。

0031

現在の実際冷水流量は、擬似冷水出入口温度差と、実際の運転において計測される冷水出入口温度差とを比較することで、チラーコントローラ20により推定される。擬似冷水出入口温度差は、圧縮機(チラー10,110では遠心式圧縮機22、チラー210では遠心式圧縮機222)の現在回転数と容量制御機構(吸入ガイドベーン43)の開度とから求められる圧縮機能力、蒸発器28の出入口での冷媒回路エンタルピ差から得られる蒸発器能力、および機器の冷水の標準設計流量(蒸発器28に供給される冷水の標準設計冷水流量)から求められる。

0032

好ましくは、推定された実際冷水流量が、冷水の設計許容流量範囲を逸脱した際に、チラーコントローラ20により、機器(チラー10,110,210)が停止され、警告が発報され、または、水量(蒸発器28に供給される冷水の水量)の増加/減少が要求されることが望ましい。

0033

本開示の特徴について、以下に説明する。

0034

膨張弁の開度計算に用いられる容量ソースファクターとして、凝縮器の水温差、蒸発器の水温差、もしくは内部で計算される擬似蒸発器水温差(擬似冷水出入口温度差)の3つが選択できる(表1参照)。

0035

0036

膨張弁が容量モードで制御される場合、膨張弁の目標開度は、以下の数式2を用いて算出される
《数2》EXV_POS
=[(553×EXV_Cap−48×リフト温度)/100+Offset]×Gain/100+EXV_Os

0037

ここで、各符号は、以下を意味する。EXV_POSは、膨張弁の目標開度[%]を10倍したものである。EXV_Capは、膨張弁の開度計算のための容量ソースファクターである。EXV_Capとして、表1の、C_DT(凝縮器水温差(出口−入口)ΔT(凝縮器における実際の冷却水出入口温度差)の華氏表示)を10倍した値、E_DT(蒸発器水温差(入口−出口)ΔT(蒸発器における実際の冷水出入口温度差)の華氏表示)を10倍した値を用いることができる。容量ソースファクターが“内部”に設定された場合、計算された擬似蒸発器水温差(PE_DT、擬似冷水出入口温度差)が、実際の水温差(C_DT,E_DT)に代えて用いられる。リフト温度は、凝縮器の冷媒相当飽和温度と、蒸発器の冷媒相当飽和温度と、の温度差(華氏)である。膨張弁は、同一開度であっても差圧が大きくなると冷媒の流量が増える。リフト温度を差圧に代わる状態変数と見立てることで、その大きさに応じてチラー負荷(EXV_Cap)から得られる膨張弁開度を補正することができる。Offsetは、予め定められた変数である。Gainは、定格運転条件下で用いられる所定の定数を、圧縮機能力に応じて補正して得られる値である。EXV_Osは、運転条件(凝縮器の出口冷媒過冷却状態、圧縮機の過熱状態)に応じて決定される変数である。

0038

擬似蒸発器水温差(PE_DT、擬似冷水出入口温度差)は優れた概念であり、実際の水温情報を用いることなく、既存の(実際水温差を負荷と見た)電動膨張弁開度算出方法を用いることができる。そのため、ユーザが可変水量制御を利用する場合に利点がある。

0039

PE_DTを膨張弁の開度計算に用いる場合には、膨張弁制御の設定の際に、“容量制御ソース”として“内部”が選択される。

0040

PE_DTを得るための計算には、体積流量計算や、圧縮機のヘッドの計算や、詳細なガス/液体の特性計算(密度、エンタルピ)等の詳細な圧縮機の性能特性の計算が含まれるため、詳細な圧縮機のマッピング情報(サージヘッドと体積流量の関係)が既知の場合に効果的である。

0041

PE_DTを得るための計算について、図3のフローチャートを用いて説明する。

0042

テップS301では、擬似蒸発器水量[m3/h]が算出される。擬似蒸発器水量は、下記の数式3により算出される。
《数3》擬似蒸発器水量[m3/h]
=定格圧縮機能力[TR]×3024[kcal/h/TR]/擬似定格水温差[℃]/Cpw[kcal/kg/℃]/Dw[kg/m3]

0043

数式3中のCpwおよびDwは、流体特性値である。Cpwは流体の定圧比熱であり、Dwは流体の密度である。数式3中の定格圧縮機能力、擬似定格水温差、CpwおよびDwは、いずれも設定値である。定格圧縮機能力の単位はTR(アメリカ冷凍トン)である。定格圧縮機能力は、例えば200〜2000[TR]の範囲の設定値で、初期値は800[TR]である。擬似定格水温差は、例えば3.0〜15.0[℃]の範囲の設定値で、初期値は5.0[℃]である。Cpwは、例えば0.50〜1.50[kcal/kg/℃]の範囲の設定値で、初期値は1.00[kcal/kg/℃]である。Dwは、例えば500〜1500[kg/m3]の範囲の設定値で、初期値は1000[kg/m3]である。擬似蒸発器水量算出後、ステップS302およびステップS304に進む。

0044

ステップS302では、圧縮機体積流量[m3/min]が算出される。圧縮機体積流量は、下記の数式4により算出される。
《数4》圧縮機体積流量[m3/min]
=定格体積流量×係数Fc×係数Fd×補正係数FDDC×シュラウドカットモデル補正係数

0045

なお、シュラウドとは、圧縮機内部のインペラの羽根外側形状のことを指し、シュラウドカットモデルとは、インペラ羽根の高さを低くし、ガスが通過する部分の断面積を小さくすることで能力調整したものを指す。

0046

数式4中の係数Fcは、圧縮機の回転速度率[%RPM]と、チラーヘッド/定格サージヘッドと、を変数とする関数である(Fc=f1(%RPM,チラーヘッド/定格サージヘッド))。%RPMは、圧縮機の現在回転数を、圧縮機の定格回転数で除したものである。係数Fcは、現在の%RPMで、吸入ガイドベーン43の開度を100%とした場合の圧縮機体積流量を、定格体積流量で除した値になる。数式4中の係数Fdは、吸入ガイドベーン43(IGV)の開度[%]と、チラーヘッド/現在のサージヘッドと、を変数とする関数である(Fd=f2(%IGV,チラーヘッド/現在のサージヘッド))。係数Fdは、現在の%RPM、かつ、現在の吸入ガイドベーン43(IGV)の開度[%]での圧縮機体積流量を、現在の%RPMで、吸入ガイドベーン43の開度が100%とした場合の圧縮機体積流量で除した値になる。数式4中の補正係数FDDCは、吐出ディフューザ幅制御機構44(DDC)の開度が100%より小さい場合に用いられる、体積流量の補正係数である。圧縮機体積流量の算出後、ステップS303に進む。

0047

ステップS303では、吸入質量流量[kg/h]が計算される。吸入質量流量は、下記の数式5により算出される。なお、数式5中の吸入ガス密度は、吸入圧力と吸入温度から求められる。ここでは、吸入圧力として、実測蒸発器圧力から、現在の圧縮機体積流量に見合う計算吸入系統圧力ロスを差し引いた圧力が用いられる。
《数5》吸入質量流量[kg/h]
=圧縮機体積流量[m3/min]×60[min/h]×吸入ガス密度[kg/m3]

0048

ステップS304では、冷凍能力[kJ/kg]が算出される。冷凍能力は、下記の数式6により算出される。
《数6》冷凍能力[kJ/kg]
=吸入ガスエンタルピ(Hsg)[kJ/kg]−エコノマイザにおける飽和液のエンタルピ(Hel)[kJ/kg]

0049

ステップS305では、ステップS303およびステップS304の算出結果を用いて、現在の圧縮機能力[TR]が算出される。現在の圧縮機能力は、下記の数式7により算出される。
《数7》圧縮機能力[TR]=
吸入質量流量[kg/h]×冷凍能力[kJ/kg]/4.1868[kJ/kcal]/3024[kcal/h/TR]

0050

ステップS306では、ステップS305の算出結果を用いて、擬似蒸発器水温差(PE_DT、擬似冷水出入口温度差)が算出される。擬似蒸発器水温差(PE_DT、擬似冷水出入口温度差)は、下記の数式8により算出される。数式8中のCpwおよびDwは、数式3におけるCpwおよびDwと同一である。数式8中の擬似蒸発器水量は、設計水量であり、設定値である。
《数8》擬似蒸発器水温差(PE_DT)
=現在の圧縮機能力[TR]×3024[kcal/h/TR]/擬似蒸発器水量[m3/h]/Cpw[kcal/kg/℃]/Dw[kg/m3]

0051

ステップS306でのPE_DT算出後、図3のように、ステップS302およびステップS304に戻り、繰り返しPE_DTが算出される。

0052

一般的には、冷凍サイクルが単段でも二段でも、数式5を用いて、蒸発器冷媒循環量を計算できる。しかし、特に、冷凍サイクルがエコノマイザを有する二段であって(図2(a)参照)、高段側の膨張弁の開度を計算する場合には、数式1を変形して求められる数式9により得られる(M+m)が蒸発器冷媒循環量として用いられることが望ましい。このように、エコノマイザ30から遠心式圧縮機22の高段圧縮機構(第2圧縮機構42b)に吸入されるガス冷媒量を補正した蒸発器冷媒循環量を用いることで、精度の高い制御が実現できる。
《数9》(M+m)={1+(Hcl−Hel)/(Heg−Hcl)}×M

0053

また、数式1の{1+(Hcl−Hel)/(Heg−Hcl)}が高段側と低段側の冷媒循環量比なので、低段側にも電動の第2膨張弁32が用いられる場合(図1Aの場合)には、これを考慮して高段側との連動を取ることが望ましい。

0054

表2に、数式2を用いた膨張弁の目標開度の算出に、C_DTまたはE_DTが用いられる場合と、PE_DTが用いられる場合との違いについて示した。

0055

0056

C_DTまたはE_DTが用いられる場合、ユーザによって要求水温差が異なると、同一のチラーが使用される場合であっても、膨張弁の開度を算出するためのGain/Offsetとして異なるパラメータが必要となる。PE_DTを導入することで、実際の水量および水温差に影響を受けないので、膨張弁開度およびパラメータの標準化が可能である。そのため、圧縮機に合わせて性能の最適化が容易である。また、水温検知ステップが存在しないので、従来に比べ制御応答性が改善される。負荷変動時過渡時における、圧縮機および膨張弁の連係が改善されることで、水温制御性が改善される。

0057

ところで、擬似蒸発器水温差(PE_DT)は、数式8のように、現在の圧縮機能力×3024/擬似蒸発器水量/Cpw/Dwにより算出される。

0058

圧縮機能力は、チラー能力とよく対応しており、実際の蒸発器水温差(E_DT)は、現在の圧縮機能力×3024/現在の実際の蒸発器水量/Cpw/Dwにより算出される。

0059

そのため、E_DTとPE_DTとを比較することで、現在の実際の蒸発器水量を推定することができる。

0060

遠心式冷凍システム(装置、すなわちここに開示される遠心式チラー10,110,210等)では、チラーコントローラ20の処理部により、圧縮機固有のサージ曲線が、圧縮機の回転数制御、サージ回避のための圧縮機の回転数制御、および、サージ検出に基づく圧縮機の緊急停止制御を行うために、断熱ヘッドと比較される。サージ曲線は、チラーコントローラ20の記憶部に予め記憶される。サージ曲線は、圧縮機(チラー10,110では遠心式圧縮機22、チラー210では遠心式圧縮機222)の現在回転数、吸入容量制御機構(吸入ガイドベーン43)の開度、および吐出容量制御機構(吐出ディフューザ幅制御機構44)の開度により規定される。断熱ヘッドは、運転中の、吸入圧力、吐出圧力を用いて計算される。吸入温度も、断熱ヘッドの計算において考慮される。

0061

例えば、図4に、一の実施形態に係る、吸入温度と、設置場所の高度と、吐出圧力損失(吐出圧力ロス)および吸入圧力損失(吸入圧力ロス)と、が計算において考慮されたチラーヘッドの算出の制御フローチャートが示される。

0062

図4のフローチャートについて説明する。

0063

まず、ステップS401では、蒸発器圧力および凝縮器圧力計測値ゲージ圧)が、蒸発器28および凝縮器24に設けられた圧力センサから取得される。

0064

ステップS402では、蒸発器圧力および凝縮器圧力(ゲージ圧)が、蒸発器圧力および凝縮器圧力の計測値(ゲージ圧)を基に、以下の数式10により補正される。なお、数式10中のスロープ補正係数は、チラーコントローラ20から設定される値であり、例えば、0.9900〜1.0100の範囲の値(初期値1.0000)である。Offsetは、チラーコントローラ20から設定される値であり、例えば、−50.0〜+50.0kPaの範囲の値(初期値0.0kPa)である。
《数10》圧力[kPaG,ゲージ圧基準]
=スロープ補正係数×ゲージ圧[kPaG]+Offset

0065

ステップS403Aでは、チラー(チラー10,110,210)の設置場所の高度(標高)がチラーコントローラ20に設定される。

0066

ステップS403Bでは、大気圧が算出される。図5Aは、標高と大気圧との関係を示した図である。算出された大気圧は、後述するステップS405において、圧力(ゲージ圧)を絶対圧力に変換するために用いられる。

0067

なお、後述するステップS405において、計測されたゲージ圧が絶対圧力に変換される理由は以下のとおりである。

0068

チラー内部(冷媒系統)は、冷媒回路から冷媒が漏れないように外部と遮断されているので、絶対圧力系である。絶対圧力とは、ゲージ圧とその場所での大気圧とを加算したものである。ゲージ圧は、その場所の大気圧に対する相対圧力を示すものであり、チラーの設置場所が異なれば、ゲージ圧の値も異なる。

0069

例えば、図5Bのように、吐出圧が950kPaA(絶対圧力)で、標準大気圧(標高0m)かつ吸入温度5℃の場合の吸入圧力別のヘッド(図5BのR1の列参照)と、同吐出圧で、大気圧が81.3kPa(標高2000m)かつ吸入温度5℃の場合の吸入圧力別のヘッドと、では、図5BのR2の列に示した値[kJ/kg]だけ差が生じる。そこで、標高の高い場所(例えば、本市(日本):標高600m、デンバー(米国):標高1600m、メキシコティ(メキシコ):標高2200m)においても、ヘッドを精度良く計算し、工場出荷時と同一の性能を満足させるために、大気圧補正された圧力が用いられる。

0070

なお、チラー内の各部の圧力を絶対圧力で把握するためには、絶対圧力計測用センサを用いるという対応が考えられる。しかし、絶対圧力計測用センサは特殊なセンサであり、価格が高い。そのため、圧力センサにはゲージ圧センサを用いることが一般的である。そこで、ステップS405では、計測により得られるゲージ圧を、計算により絶対圧に変換している。

0071

具体的には、ステップS403Bでは、以下のような数式11により大気圧が算出される。なお、数式11中の101.325kPaは、海抜0m、15℃における標準ゲージ圧力である。数式11中の標高は、ステップS403Aにおける設定値であり、チラーの設置された場所に応じて、計算で最も良い結果が得られるように設定される。標高は、例えば、0〜3500mの範囲の値であり、初期値は0mである。
《数11》大気圧[kPa]
=101.325×{1−(0.0065×標高[m]/(0.0065×標高[m]+15+273.15)}5.257

0072

ステップS404Aでは、定格体積流量、定格吸入圧力損失、および定格吐出圧力損失が、設定値としてチラーコントローラ20に設定される。

0073

ステップS404Bでは、前述の数式4を用いて、現在の圧縮機体積流量[m3/min]が算出される。

0074

ステップS404Cでは、現在圧縮機体積流量における吸入圧力損失および吐出圧力損失が以下の数式12,13により算出される。吸入圧力損失および吐出圧力損失は、吸入配管および吐出配管における圧力損失である。なお、数式12中の定格吸入圧力損失は、ステップS404Aでチラーコントローラ20から設定される値であり、例えば、0.0〜50.0kPaの範囲の値(初期値5.0kPa)である。また、数式12中の吸入圧力損失Offsetは、チラーコントローラ20から設定される値であり、例えば、0.0〜50.0kPaの範囲の値(初期値0.0kPa)である。また、数式12中の現在の体積流量はステップS404Bで得られた値であり、定格体積流量はステップS404Aで設定された値である。数式13中の定格吐出圧力損失は、ステップS404Aでチラーコントローラ20から設定される値であり、例えば、0.0〜50.0kPaの範囲の値(初期値3.0kPa)である。また、数式13中の吐出圧力損失Offsetは、チラーコントローラ20から設定される値であり、例えば、0.0〜50.0kPaの範囲の値(初期値4.0kPa)である。また、数式13中の現在の体積流量はステップS404Bで得られた値であり、定格体積流量はステップS404Aで設定された値である。
《数12》計算吸入圧力損失[kPa]
=定格吸入圧力損失×[%体積流量]2+吸入圧力損失Offset
=定格吸入圧力損失×[現在の体積流量/定格体積流量]2+吸入圧力損失Offset
《数13》計算吐出圧力損失[kPa]
=定格吐出圧力損失×[%体積流量]2+吐出圧力損失Offset
=定格吐出圧力損失×[現在の体積流量/定格体積流量]2+吐出圧力損失Offset

0075

圧縮機の設計風量における吐出圧力損失(圧力ロス)および吸入圧力損失(圧力ロス)が、定格吐出圧力損失(設定値)および定格吸入圧力損失(設定値)としてそれぞれ入力される。設計風量以外における吐出圧力損失(圧力ロス)および吸入圧力損失(圧力ロス)は、上記の数式12,13のように、(その時点での風量の設計風量に対する比率)の二乗値を乗ずることで算出される。

0076

ステップS405では、ステップS402で補正された蒸発器圧力および凝縮器圧力(ゲージ圧)、ステップS403Bで算出された大気圧、およびステップS404Cで算出された吸入圧力損失および吐出圧力損失を用いて、絶対圧力基準で、吸入圧力および吐出圧力が算出される。

0077

ステップS405では、ステップS403Bで算出された大気圧を用いて、以下の数式14により、ゲージ圧が絶対圧力に換算される。
《数14》圧力[kPaA,絶対圧力基準]
=圧力[kPaG,ゲージ圧基準]+大気圧

0078

なお、絶対圧力基準の圧力を用いるのは、冷媒特性計算及び圧縮機特性計算(体積流量、ヘッド等)においてのみである。その他の場合(HMI表示、履歴トレンド、設定、およびアラーム検知等)は、ゲージ圧換算が用いられる。

0079

また、S405では、ステップS402で得られた蒸発器圧力および凝縮器圧力(ゲージ圧)と、ステップS404Cで算出された吸入圧力損失および吐出圧力損失と、を用いて、吸入圧力と吐出圧力が算出される。なお、蒸発器圧力および凝縮器圧力(ゲージ圧)が先に絶対圧力換算される場合には、以下の数式15,16により吸入圧力および吐出圧力(絶対圧力基準)が得られる。
《数15》吸入圧力(kPaA)=蒸発器圧力(kPaA)−吸入圧力損失(kPa)
《数16》吐出圧力(kPaA)=凝縮器圧力(kPaA)+吐出圧力損失(kPa)

0080

一方、蒸発器圧力および凝縮器圧力(ゲージ圧)が絶対圧力換算されていない場合には、以下の数式17,18により吸入圧力および吐出圧力(ゲージ圧)が算出された後、上記の数式14を用いて絶対圧力基準の吸入圧力および吐出圧力が得られる。
《数17》吸入圧力(kPaG)=蒸発器圧力(kPaG)−吸入圧力損失(kPa)
《数18》吐出圧力(kPaG)=凝縮器圧力(kPaG)+吐出圧力損失(kPa)

0081

なお、吸入圧力および吐出圧力が上記の数式を用いて算出される理由を、図6を用いて説明する。

0082

通常、圧力センサは、図1A図1Cのように、蒸発器および凝縮器内部の伝熱管凍結防止等保護または高低圧圧力保護も兼ねて、凝縮器24と蒸発器28に取り付けられることが多い。この圧力センサの読み値を基にヘッドを計算すると、吐出/吸入の配管ロスが含まれないため、計算ヘッドが実際の圧縮機ヘッドとが異なってくる(図6参照)。そのため、圧縮機性能を正しくモニタできない。

0083

仮に圧力センサの位置を、凝縮器24から圧縮機の吐出管へ、蒸発器28から圧縮機の吸入管へ移動した場合、ヘッドは正しく計算できる。しかし、凝縮器24および蒸発器28の圧力が直接計測される訳ではないので、凝縮器24および蒸発器28の保護が正しくなされないおそれがある。

0084

凝縮器24、圧縮機の吐出管、蒸発器28、および圧縮機の吸入管全てに圧力センサを設けることもできるが、センサ点数の増大によりセンサや、チラーコントローラ20のコストアップを招く。またチラーコントローラ20のアナログ入力点数増大によりチラーコントローラ20の処理能力アップが必要となるおそれがある。

0085

このような欠点を補うため、本実施形態では、ステップS404Cにおいて吐出圧力損失(圧力ロス)および吸入圧力損失(圧力ロス)をチラーコントローラ20の内部で計算し、ステップS405で圧縮機の吐出圧力および吸入圧力を算出する。この算出結果を基にヘッドが計算されるので、ヘッド計算値を本来値に近似させることが可能になる。

0086

ステップS406では、圧縮機の吸入管の温度センサにより吸入温度の計測値が得られる。

0087

ステップS407では、ステップS405で得られた吸入圧力(絶対圧力基準)と、ステップS406で得られた吸入温度とを用いて、吸入過熱度が算出される。

0088

吸入過熱度は、数式19により算出され、数式19中の飽和吸入温度は、数式20により算出される。なお、数式20中のPsは、ステップS405で得られた吸入圧力(絶対圧力基準)である。数式20中のa1〜a4は冷媒物性により予め決定された係数である。
《数19》吸入過熱度[℃]=吸入温度[℃]−飽和吸入温度[℃]
《数20》飽和吸入温度[℃]
=a1×(ln(Ps))3+a2×(ln(Ps))2+a3×ln(Ps)+a4

0089

ステップS408では、吸入ガスエンタルピが算出される。吸入ガスエンタルピは、数式21により計算される。なお、数式21中の飽和状態におけるガスエンタルピは数式22により算出される。数式21中の一般過熱状態におけるガスエンタルピ乗数は、数式23により算出される。数式22中のa16〜a21、および数式23中のa22〜a33は冷媒物性により予め決定された係数である。数式22,23中のPsは、ステップS405で得られた吸入圧力(絶対圧力基準)であり、数式23中のSSHは、S407で得られた吸入過熱度である。
《数21》吸入ガスエンタルピ[kJ/kg]
=飽和状態におけるガスエンタルピ×一般過熱状態におけるガスエンタルピ乗数
《数22》飽和状態におけるガスエンタルピ
=a16×(√(Ps))5+a17×(√(Ps))4+a18×(√(Ps))3+a19×(√(Ps))2+a20×√(Ps)+a21
《数23》一般過熱状態におけるガスエンタルピ乗数
=1+A1×(√(Ps))2+B1×√(Ps)+C1
=1+(a22×SSH4+a23×SSH3+a24×SSH2+a25×SSH)×(√(Ps))2+(a26×SSH4+a27×SSH3+a28×SSH2+a29×SSH)×√(Ps)+(a30×SSH4+a31×SSH3+a32×SSH2+a33×SSH)

0090

ステップS409では、断熱吐出ガスエンタルピが算出される。断熱吐出ガスエンタルピは、数式24により計算される。なお、数式24中の吸入加熱度が0の場合の吐出断熱ヘッドは、数式25により計算される。数式24中の吐出断熱エンタルピ乗数1は数式26により計算され、数式24中の吐出断熱エンタルピ乗数2は数式27により計算される。数式25中のa55〜a74、数式26中のa75〜a86、および数式27中のa87〜a89は、冷媒物性により予め決定された係数である。数式25,26中のPdはステップS405で得られた吐出圧力(絶対圧力基準)であり、数式25,27中のPsはステップS405で得られた吸入圧力(絶対圧力基準)であり、数式26中のSSHは、S407で得られた吸入過熱度である。
《数24》断熱吐出ガスエンタルピ[kJ/kg]
=吸入過熱度が0の場合の吐出断熱ヘッド×吐出断熱エンタルピ乗数1×吐出断熱エンタルピ乗数2
《数25》吸入過熱度が0の場合の吐出断熱ヘッド[kJ/kg]
={a55×(√(Pd))4+a56×(√(Pd))3+a57×(√(Pd))2+a58×√(Pd)+a59}×(√(Ps))3+{a60×(√(Pd))4+a61×(√(Pd))3+a62×(√(Pd))2+a63×√(Pd)+a64}×(√(Ps))2+{a65×(√(Pd))4+a66×(√(Pd))3+a67×(√(Pd))2+a68×√(Pd)+a69}×√(Ps)+a70×(√(Pd))4+a71×(√(Pd))3+a72×(√(Pd))2+a73×√(Pd)+a74+400
《数26》吐出断熱エンタルピ乗数1
=(a75×SSH2+a76×SSH+a77)×Pd3+(a78×SSH2+a79×SSH+a80)×Pd2+(a81×SSH2+a82×SSH+a83)×Pd+a84×SSH2+a85×SSH+a86
《数27》吐出断熱エンタルピ乗数2
=a87×Ps2+a88×Ps+a89

0091

ステップS410は、チラーヘッド(断熱ヘッド)が取得される。チラーヘッドは、ステップS408およびステップS409で得られた吸入ガスエンタルピおよび断熱吐出ガスエンタルピを用いて、数式28により算出される。
《数28》チラーヘッド(kJ/kg)
=断熱吐出ガスエンタルピ−吸入ガスエンタルピ

0092

なお、ここでは、上記のように、断熱ヘッド(チラーヘッド)の算出で吸入温度が考慮されているが、これを考慮した場合と、考慮しなかった場合との比較結果の例を表3〜5に示した。特に、ホットガス併用運転時等、吸入温度が比較的高い条件での運転では、吸入温度がヘッド計算に与える影響は大きくなる。吸入温度をヘッド計算に含めることで、ヘッド計算の精度を高めることが可能である。

0093

0094

0095

0096

チラー10およびチラー110の遠心式圧縮機22は2段式であるが、断熱ヘッドは、擬似単段エンタルピ基準であらわされる。図7および図8に、圧縮機が単段の場合(チラー210の遠心式圧縮機222を用いる場合)のPh線図と、圧縮機が二段の場合(チラー10およびチラー110の遠心式圧縮機22を用いる場合)のPh線図と、を示す。

0097

単段式の圧縮機(遠心式圧縮機222)の場合、断熱ヘッド(kJ/kg)は、Hd2からHs1を減じることで算出される(図7参照)。

0098

2段式の圧縮機(遠心式圧縮機22)の場合、1段側の吸入(第1(低段)圧縮機構42aの吸入)と、2段側の吸入(第2(高段)圧縮機構42bの吸入)と、の2つの吸入があり、また圧縮部分(圧縮機構)が2段階に分かれているため、本来1段側と2段側に分けてヘッド計算を実施する必要がある。しかし、この場合には、計算が煩雑になる。また、2段側のみに吸入されるエコノマイザ30のガスは、チラーの目的である冷水製造(蒸発器28で熱交換)には直接寄与していないため(蒸発器28をバイパスするため)、2段側圧縮の計算をリアルタイムな負荷と関連付けにくい。

0099

そこで、2段圧縮ではあるが、1段側の吸入(第1(低段)圧縮機構42aの吸入)と最終段の吐出(第2(高段)圧縮機構42bの吐出)のみに着目し、擬似的に"単段圧縮機"として断熱ヘッドを計算する。つまり、断熱ヘッド(kJ/kg)は、Hd2からHs1を減じることで算出される(図8参照)。

0100

ヘッド特性および圧縮機能力特性についても、擬似単段としてまとめる(あえてエコノマイザ30のガスを計算に含めない)と、遠心式圧縮機22の吸入ガスは全て蒸発器28を通ることになり、圧縮機負荷風量特性)と蒸発器負荷冷水負荷)のバランス計算が容易になる。

0101

吸入圧力および吐出圧力は、図4のフローチャートのように、チラーコントローラ20に設定されたチラーの設置場所の高度(標高)を用いて、絶対圧力に換算されたものである。

0102

吸入圧力および吐出圧力は、図4のフローチャートのように、各々、蒸発器圧力センサおよび凝縮器圧力センサの計測値に対し、随時計算される圧縮機風量を基にした圧縮機の吸入管および吐出管での圧力ロス分が補正されたものである。

0103

チラーコントローラ20は、実際の運転ヘッド(断熱ヘッド)がプリセットされたサージ曲線を超えた時間の直近一定時間内における積算が、予め設定された時間を上回った場合にサージ異常と判断し、前記圧縮機を停止させる機能を有する。

0104

図9には、チラーコントローラ20によるサージの検出方法が図示されている。ここでは、直近の60秒間の、チラーヘッド>サージヘッドとなる時間の合計(図9中のA〜Dの時間の合計)が、しきい値(例えば10秒)を超過する場合に、サージが検知され、圧縮機が急停止される。

0105

圧縮機の緊急停止の制御処理のフローの一例を図10に示す。

0106

ステップS501では、圧縮機が起動してから30秒が経過したか否かが判定される。ステップS501は、圧縮機が起動してから30秒が経過したと判定されるまで繰り返される。

0107

ステップS502では、直近60秒以前のサージ時間を削除する。

0108

ステップS503では、圧縮機運転中に、チラーヘッドが、サージヘッド以上か否かが判定される。ステップS503でチラーヘッドがサージヘッド以上ではない(チラーヘッドがサージヘッドより小さい)と判定された場合には、ステップS504に進む。ステップS503でチラーヘッドがサージヘッド以上であると判定された場合には、ステップS505に進む。

0109

ステップS504では、サージ時間のカウントが停止される。その後、ステップS501に戻る。

0110

ステップS505では、サージ中に、サージ時間と記録時間がカウントされる。その後、ステップS506に進む。

0111

ステップS506では、有効(直近60秒の間で発生した)サージ時間が積算される。その後ステップS507に進む。

0112

ステップS507では、有効サージ時間の和が、サージ時間のしきい値(例えば10秒)以上であるか否かが判定される。有効サージ時間の和が、サージ時間のしきい値以上でない(有効サージ時間の和が、サージ時間のしきい値より短い)と判定されると、ステップS501に戻る。一方、ステップS507で、有効サージ時間の和が、サージ時間のしきい値以上であると判定されれば、ステップS508で、圧縮機が緊急停止され、「圧縮機サージ」の警報が発報される。

0113

<追加説明および効果>
本開示は、ターボチラーにおける高効率運転を実現するための運転状態(ヘッド)検出方法、サージ回避制御およびサージ検出制御に関する。

0114

ターボチラーにおいては、圧縮機が固有に持つサージ特性を考慮しながら、その時々運転状況に合わせ出来る限り小さな回転数で運転することが効率向上のキーとなる。

0115

また、コントローラが現在の運転状況をできるだけ精度良く実態に即した形で把握できれば、現在の運転ヘッドと圧縮機サージ点までの計算マージン確度の高いものとなり、より効率の良い運転が達成できる。

0116

現在の運転状況の把握方法として、例えば特許文献4(US5355691B2)に示されるように、無次元化された能力係数および圧力係数で表される圧縮機特性マップを使用する方法が示されている。本方法は、エアロパーツ比例設計された圧縮機においては、一般式として、有効な精度で運転状況の把握を可能とする。ただし、部分負荷領域を含めた広範囲での最適効率目指すことが求められる今日にあっては、たとえエアロパーツが基本的には比例設計された場合であっても、その運転条件(能力、ヘッド等)に応じて、細かな改良が圧縮機毎に適宜加えられることがある。その場合、一般式としての無次元化式を用いた圧縮機特性マップは必ずしも個別圧縮機における真の圧縮機特性を示すものでなくなるため、これを用いた効率最適化制御にも自ずと限界が生じる。

0117

特許文献3(US2011/0093133)においても、圧縮機特性マップを使用した容量制御方法紹介されている。この方法によると、運転状態の検知に、回転数および容量制御機構の開度に加え、凝縮器および蒸発器(あるいは高圧低圧の差圧)を使うことになっている。しかしながら、サージ特性は、圧力状態だけでなく吸入の温度状態によっても左右される。そのため、吸入温度が通常運転時と比べて大きく上昇するホットガスバイパス併用運転時には、計算結果から求められるヘッドとサージヘッドの間の計算マージンは、ホットガスバイパスを使用しない場合の計算マージンに比べ精度が落ちてしまい、これがチラーの効率や運転可能領域へ少なからず悪影響を与えてしまう。

0118

また、ターボチラーではコントローラの持つ入出力点数制約コスト削減の観点から高圧側および低圧側に複数の圧力センサを取り付けることは稀であり、圧力センサは、熱交換器の伝熱管凍結防止の保護も兼ね、凝縮器および蒸発器にそれぞれ取り付けることが多い。この場合、圧縮機の吸入および吐出位置各圧力センサ取り付け位置との間に、吐出配管、吸入配管が存在することになる。吐出配管、吸入配管では圧縮機の処理風量に相当する圧力損失が常に発生する一方、圧縮機のサージヘッドは圧縮機の吸込口、吐出口の圧力に依存する。そのため、各配管で発生する圧力損失を適切に処理しないと、運転中の圧縮機のサージマージンを確度良く認識できない。

0119

さらに、運転状況の把握用としてコントローラと共に使用される圧力センサは、コスト、入手性を考慮して一般的にはゲージ圧センサが用いられる。ゲージ圧センサの読み値が大気圧の影響を受ける一方で、チラー冷媒系統は外部と完全に遮断された密閉系統である。そのため、同一のチラーであったとしても、チラーの設置場所によって(特にチラーが高地に設置された場合に)、大気圧が圧力センサに与える影響が異なる。その結果、工場試験確認された圧縮機最適運転のための設定値が、納入先に設置後の運転においては必ずしも最適とならない事象が想定される。

0120

サージ状態の検出については、例えば、特許文献1(US6036432B2)に示されるような吐出側ディフューザの圧力脈動を検知する方法や、特許文献2(US5894736B2)に示されるような圧縮機の吐出−吸入差圧とモータ電流の変化とを検知する方法等がある。しかしながら、圧縮機の回転数が十分小さな低ヘッドで運転される場合、圧力変化電流変化も小さくなる。そのため、正常状態と区別して正しくサージ検知をすることが困難となる。

0121

特許文献2(US2011/0093133)に示されるように、実際のサージ検出をもって、既存のサージ面を見直すことを特徴とするものもある。なお、サージ面とは、圧縮機がサージを起こす点(サージヘッド)を、圧縮機の回転数、IGV開度をパラメータとして、3次元座標上にプロットした時の曲面である。しかしながら、そもそもの前提として、圧力または電流等のセンシングによる部分負荷時のサージ検出の精度が、上述の理由で低下するならば、本方法によるサージ面の見直しは、かえって圧縮機の運転可能範囲をいたずらに縮める可能性がある。

0122

また、上述した従来の方法では吸入温度がサージ検出において用いられていない。しかしながら、ホットガスバイパスを併用した場合には、吸入ガス温度が通常時に比べ高くなり、これは少なからず運転ヘッドに影響するので、吸入温度をヘッド計算に含めない方法によると、ホットガスバイパス併用時のサージ検出の精度が悪くなる可能性がある。

0123

本開示の課題は、負荷の大きさやホットガスバイパスの有無に関わらず、通常時の効率的な運転と、非常時の高精度なサージ検出機能を両立するチラーを提供することにある。

0124

上述の課題を解決するため、本開示の遠心式冷凍装置にあっては、圧縮機毎に固有のサージ特性が個別に与えられることを前提とし、サージ曲線は有次元の単位で与えられる。また、吸入圧力および吐出圧力に加えて吸入ガス温度もモニタされるので、ホットガスバイパス併用時等、吸入ガス温度が通常温度をはるかに超える状況でも、精度よくヘッド計算が実行される。

0125

また、サージ特性は単なる圧力差や圧縮比ではなく、断熱エンタルピとして扱われることを特徴とする。特に2段遠心式圧縮機の場合、現在回転数、吸入容量制御機構の開度、吐出容量制御機構の開度あるいは凝縮器出口液の過冷却状態によってエコノマイザからのガス吸い込み量が異なる。そのため、理論的には1段側、2段側各々での圧縮状態評価が必要となる。しかし、本開示は、簡便のため、1段側の吸入圧力と、1段側の吸入温度と、2段側吐出圧力と、から算出される“擬似単段”基準の断熱エンタルピとして表現することを特徴とする。

0126

またここでは、具体的にはチラー設置場所の高度を変数として大気圧補正が行われる。ゲージ圧基準の圧力センサでの読み値に、チラー設置場所の高度を変数として算出される大気圧を加えることで、計算ヘッドが絶対圧力基準として扱われる。

0127

これによって、チラーの設置場所によらず、設計的に元来意図された運転状態を再現することを可能としている。

0128

またここでは、具体的には定格圧縮機風量で運転した際の設計吐出配管圧損および吸入配管圧損が設定値として与えられ、それに対し、現在圧縮機風量の比(配管内流速比)の2乗を用いて、現在運転状態での吐出および吸入配管圧損が計算され、これが断熱ヘッド計算に用いられる。その結果、圧縮機吸入口および吐出口基準で、圧縮機自身のヘッド評価の基準となる断熱ヘッドの計算が可能となる。

0129

またここでは、部分負荷時に精度よくサージ検出することを可能とするために、コントローラでモニタ、計算される運転ヘッドは、コントローラにプリセットされた圧縮機サージ曲線と、常時、その大小が比較検証される。一般的にはサージ状態が発生しても、常に運転ヘッドがサージ曲線を上回ることは少なく、通常はサージ曲線を境に運転ヘッドが高頻度に繰り返し上下することが多い。よって、本開示では運転ヘッドの振れサージ現象に通じるものか、一過性の状態によるものなのかを判断しサージ現象を確実に捉えるため、運転ヘッドがサージ曲線を上回った時間の積算値判断基準として用いられる。積算値は過去1分間の値に自動更新されることとなっており、本値が予め設定された、しきい値を上回ると、サージ状態が確定され、圧縮機が速やかに自動停止される。

0130

本質的に、サージ特性は圧縮機毎に、回転数または吸入および吐出容量制御機構の開度をパラメータとして固有の曲線をもっている。そのため、サージ特性と運転ヘッドの双方が実際に合わせて高精度に表現できるのであれば、サージ状態の判断は他のセンシングによる方法にくらべ信頼性の高いものとなる。重要なのは、サージ特性を個別の圧縮機別に細かく規定すること、および、運転ヘッドの計算精度を上げることであり、本開示に係る内容の一部または全部を適用することにより、上記のようなサージ検出が可能である。また、ここでは、運転ヘッド計算に吸入ガス温度も含めているので、本方法によるサージ判定は、ホットガスバイパス併用時にも適用可能で、精度のよいサージ検出が可能である。

0131

<用語の一般解釈>
本発明の範囲を理解するうえで、“を備える”という語およびこの派生語は、ここでは、オープンエンドな語を意図しており、記載された特徴、要素、構成、群、整数、及び/又はステップの存在を明示するものであるが、記載されていない特徴、要素、構成、群、整数、及び/又はステップの存在を除外するものではない。上述の内容は、“含む”、“有する”という語およびこの派生語のような、同様な意味を持つ語にも当てはまる。また、“部分”“要素”というような語が単数形で記載された場合、単一の部分という意味と、複数の部分という意味の両方の意味をもちうる。

0132

“検出する”という語は、ここでは、部品、部分、装置等により実行される運転または機能を示すが、部品、部分、装置等は、物理的な意味で検出するのではなく、“決定する”、“計測する”、“モデル化する”、“予測する”、“計算する”等の運転または機能を含んでもよい。

0133

“構成される”の語は、ここでは、部品、部分、装置の部分がハードウェアおよび/又はソフトウェアを含み、所望の機能を実行するように構成および/又はプログラムされている場合を含む。

0134

“実質的に”、“約”、“おおよそ”等の程度を表す語は、最終結果が大幅に変わらない、逸脱の合理的な範囲を意味する修飾語である。

0135

ここでは、選択された実施形態だけが本発明を説明するために選択されたが、この開示から、明細書に付された特許請求の範囲で定義される発明の範囲から逸脱しない範囲で、様々な変更や修正を行うことが可能であることは、当業者にとって明白である。例えば、様々な構成のサイズ、形状、位置、方向は、必要に応じて、および/又は、要求に応じて変更可能である。互いに直接接続された、あるいは、直接接触した構成は、それらの構成の間に、仲介するための構造が配されても良い。1つの構成により実行される機能は2つの構成により実行されてもよく、その逆であってもよい。1つの実施形態の中で記載された構成及び機能は、他の実施形態において用いられてもよい。1の特定の実施形態の中で、全ての効果が同時に存在する必要は無い。従来技術から見て独自の全ての特徴は、単独で、又は、他の特徴と組み合わせて、そのような特徴により具体化された、構造的なおよび/又は機能的な概念を含む、出願人による更なる発明の個別の記載と考えられてもよい。そのため、上述の本発明に関する実施形態の記載は、説明のためだけのものであり、明細書に付された特許請求の範囲等により規定される発明を限定する目的は無い。

0136

10,110,210チラー(冷凍装置)
20 チラーコントローラ(制御部、制御装置)
22単段式の遠心式圧縮機(圧縮機)
222 二段式の遠心式圧縮機(圧縮機)
24凝縮器
28蒸発器
43吸入ガイドベーン(吸入容量制御機構)
44吐出ディフューザ幅制御機構(吐出容量制御機構)

先行技術

0137

US6036432B2
US5894736B2
US2011/0093133
US5355691B2

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