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技術 放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物の焼却方法

出願人 株式会社神鋼環境ソリューション
発明者 竹田尚弘村上吉明石井豊井出昇明
出願日 2013年3月12日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2013-048957
公開日 2014年9月22日 (5年5ヶ月経過) 公開番号 2014-174089
状態 拒絶査定
技術分野 汚染除去及び汚染物処理 廃棄物のガス化・溶融
主要キーワード ガラス化剤 密閉区画 無機カルシウム化合物 揮発促進 ケイ酸石灰 実用規模 燃えかす 揮発率
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

可燃性廃棄物焼却炉内焼却する際に、放射性セシウムを効率よく回収し得る、可燃性廃棄物の焼却方法を提供すること。

解決手段

本発明の可燃性廃棄物の焼却方法は、(1)焼却炉内に、可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物中における無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物の割合が3質量%以上30質量%となるように、可燃性廃棄物に無機カルシウム化合物又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物を添加し、さらに可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して0.5質量%を超え10質量%以下となるように塩化ナトリウムを添加する添加工程と、(2) 焼却炉内で可燃性廃棄物を焼却する焼却工程と、(3) 焼却工程によって主灰から発生した飛灰捕集することにより、放射性セシウムを回収する回収工程と、を有する。

概要

背景

建設残土又は廃棄物を焼却した後に生じる焼却灰から、有害な有機分又は可燃分を除去するために、キルンを用いて有機分又は可燃分を焼却することが行われる。特許文献1は、フィーダによって建設残土を回転キルン内に連続的に投入し、キルンの回転によって投入された残土をフィーダの反対側に設けた排出口へと徐々に移送しながら、残土中の有機分の燃焼により生ずる灰を飛灰として搬送する風量の高温燃焼ガスを回転キルン内に向流で吹き込んで、残土内に含まれる可燃性の有機分を燃焼してその灰を上記燃焼ガスで搬送排出すると共に、残土中の不燃分を上記燃焼ガスに晒すことにより焼成して排出する、建設残土の焼成方法を開示している。

特許文献1の焼成方法では、向流に吹き込まれた高温燃焼ガスにより、残土又は焼却灰に含まれる可燃分が燃焼されると共に、砂、瓦礫、灰等の不燃分を高温の燃焼ガスに晒すことにより焼成される。回転キルン内で焼成された土砂、瓦礫又は灰は、可燃分を含まない無菌化された純度の高い焼砂(焼成土)又は焼成灰となって回転キルンから排出されるため、磁力選鉱によって金属を分別し、さらにふるい選別によって粒径を揃えることが可能とされている。

一方、放射性廃棄物の場合には、有機分又は可燃分と異なり、加熱によっても分解することができないため、独自の処理方法が必要となる。特許文献2は、硝酸ナトリウム加熱を主成分とする放射性廃棄物と還元剤ガラス化剤を加熱し、窒素酸化物を発生させることなくガラス固化体を作成することを特徴とする硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物の処理方法を開示している。特許文献2の処理方法は、廃棄物が埋設処分され地下水と接触した場合でも、放射性核種溶出が少なく、また、脱硝及びガラス化処理時に放射性核種の揮発率が低いとされている。

特許文献3は、原子力発電施設解体により発生した放射化コンクリートブロック状に切り出し、該コンクリートブロック密閉区画内破砕し、所定粒径粗骨材細骨材、および微粉末分級し、再生材料を製造する再生材料製造工程と、前記再生材料のうち微粉末を、加熱分解炉内に供給し、送気された高温空気で700℃以上に加熱し、前記微粉末に含有したトリチウム炭素-14を分離する加熱処理工程と、前記加熱分解炉内から前記高温空気を環流させる経路上で、該高温空気内に含有する前記トリチウム、炭素-14を吸着除去する除染工程とを備え、各再生材料は除染が確認された後、前記密閉区画から排出されることを特徴とする放射化コンクリートのリサイクル処理方法を開示している。特許文献3のリサイクル方法は、放射化コンクリートに付着した所定の放射性物質を除去して再生骨材等を再生製造し得るとされている。

ここで、平成23年3月に発生した東京電力・福島第一原子発電所爆発事故の後、福島県を中心とする広範囲な地域において、土壌から放射性セシウムが検出される事態となっている。放射性セシウムに汚染された土壌の除染処理については、水洗浄、加熱下での酸処理表土剥離高圧洗浄、又はカルシウム塩存在下での高温処理のような多くの方法が検討されてきたが、実用規模で採用できるレベルの処理方法は開発されていない。その主原因は、土壌中のセシウムの存在形態、セシウム化合物化学的物理的特性、及びセシウム化合物と土壌成分との反応挙動が明らかにされていない点にある。

放射性セシウムを含有する汚染土壌から放射性セシウムを除去する技術として、非特許文献1は、汚染土壌にセシウム揮発促進剤として2種類のカルシウム化合物を添加し、1350℃で加熱処理することにより、セシウムを土壌から99.9%揮発させて除去する方法を開示している。また、非特許文献2には、土壌に塩化カルシウムを添加した場合には、土壌を1000℃以上に加熱してもセシウムがほとんど揮発しないことが開示されている。

概要

可燃性廃棄物焼却炉内で焼却する際に、放射性セシウムを効率よく回収し得る、可燃性廃棄物の焼却方法を提供すること。本発明の可燃性廃棄物の焼却方法は、(1) 焼却炉内に、可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物中における無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物の割合が3質量%以上30質量%となるように、可燃性廃棄物に無機カルシウム化合物又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物を添加し、さらに可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して0.5質量%を超え10質量%以下となるように塩化ナトリウムを添加する添加工程と、(2) 焼却炉内で可燃性廃棄物を焼却する焼却工程と、(3) 焼却工程によって主灰から発生した飛灰を捕集することにより、放射性セシウムを回収する回収工程と、を有する。なし

目的

本発明は、可燃性廃棄物を焼却炉内で焼却する際に、放射性セシウムを効率よく回収し得る、可燃性廃棄物の焼却方法の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物焼却炉によって焼却する焼却方法であって、焼却炉内に、可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物中における無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物の割合が3質量%以上30質量%となるように、可燃性廃棄物に酸化カルシウム炭酸カルシウム水酸化カルシウムリン酸カルシウムケイ酸カルシウムカルシウムシアナミド硫酸カルシウム及び硝酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物、又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物を添加し、さらに可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して0.5質量%を超え10質量%以下となるように塩化ナトリウムを添加する添加工程と、焼却炉内で可燃性廃棄物を900℃以上1200℃以下で30分以上120分以下の時間焼却する焼却工程と、焼却工程で発生した飛灰捕集することにより、放射性セシウムを回収する回収工程と、を有する、可燃性廃棄物の焼却方法。

請求項2

前記添加工程における前記塩化ナトリウムの添加量が、可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して1質量%以上3質量%以下である、請求項1に記載の可燃性廃棄物の焼却方法。

技術分野

0001

本発明は、放射性セシウム(134Cs又は137Csのような放射能を有するセシウム同位体)を含有する農産廃棄物のような可燃性廃棄物焼却炉によって焼却する焼却方法であって、可燃性廃棄物にカルシウム化合物及び塩化ナトリウム焼却炉内に添加した後、焼却処理することにより、放射性セシウムを揮発させ、放射性セシウムを飛灰と共に回収する焼却方法に関する。

背景技術

0002

建設残土又は廃棄物を焼却した後に生じる焼却灰から、有害な有機分又は可燃分を除去するために、キルンを用いて有機分又は可燃分を焼却することが行われる。特許文献1は、フィーダによって建設残土を回転キルン内に連続的に投入し、キルンの回転によって投入された残土をフィーダの反対側に設けた排出口へと徐々に移送しながら、残土中の有機分の燃焼により生ずる灰を飛灰として搬送する風量の高温燃焼ガスを回転キルン内に向流で吹き込んで、残土内に含まれる可燃性の有機分を燃焼してその灰を上記燃焼ガスで搬送排出すると共に、残土中の不燃分を上記燃焼ガスに晒すことにより焼成して排出する、建設残土の焼成方法を開示している。

0003

特許文献1の焼成方法では、向流に吹き込まれた高温燃焼ガスにより、残土又は焼却灰に含まれる可燃分が燃焼されると共に、砂、瓦礫、灰等の不燃分を高温の燃焼ガスに晒すことにより焼成される。回転キルン内で焼成された土砂、瓦礫又は灰は、可燃分を含まない無菌化された純度の高い焼砂(焼成土)又は焼成灰となって回転キルンから排出されるため、磁力選鉱によって金属を分別し、さらにふるい選別によって粒径を揃えることが可能とされている。

0004

一方、放射性廃棄物の場合には、有機分又は可燃分と異なり、加熱によっても分解することができないため、独自の処理方法が必要となる。特許文献2は、硝酸ナトリウム加熱を主成分とする放射性廃棄物と還元剤ガラス化剤を加熱し、窒素酸化物を発生させることなくガラス固化体を作成することを特徴とする硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物の処理方法を開示している。特許文献2の処理方法は、廃棄物が埋設処分され地下水と接触した場合でも、放射性核種溶出が少なく、また、脱硝及びガラス化処理時に放射性核種の揮発率が低いとされている。

0005

特許文献3は、原子力発電施設解体により発生した放射化コンクリートブロック状に切り出し、該コンクリートブロック密閉区画内破砕し、所定粒径粗骨材細骨材、および微粉末分級し、再生材料を製造する再生材料製造工程と、前記再生材料のうち微粉末を、加熱分解炉内に供給し、送気された高温空気で700℃以上に加熱し、前記微粉末に含有したトリチウム炭素-14を分離する加熱処理工程と、前記加熱分解炉内から前記高温空気を環流させる経路上で、該高温空気内に含有する前記トリチウム、炭素-14を吸着除去する除染工程とを備え、各再生材料は除染が確認された後、前記密閉区画から排出されることを特徴とする放射化コンクリートのリサイクル処理方法を開示している。特許文献3のリサイクル方法は、放射化コンクリートに付着した所定の放射性物質を除去して再生骨材等を再生製造し得るとされている。

0006

ここで、平成23年3月に発生した東京電力・福島第一原子発電所爆発事故の後、福島県を中心とする広範囲な地域において、土壌から放射性セシウムが検出される事態となっている。放射性セシウムに汚染された土壌の除染処理については、水洗浄、加熱下での酸処理表土剥離高圧洗浄、又はカルシウム塩存在下での高温処理のような多くの方法が検討されてきたが、実用規模で採用できるレベルの処理方法は開発されていない。その主原因は、土壌中のセシウムの存在形態、セシウム化合物化学的物理的特性、及びセシウム化合物と土壌成分との反応挙動が明らかにされていない点にある。

0007

放射性セシウムを含有する汚染土壌から放射性セシウムを除去する技術として、非特許文献1は、汚染土壌にセシウム揮発促進剤として2種類のカルシウム化合物を添加し、1350℃で加熱処理することにより、セシウムを土壌から99.9%揮発させて除去する方法を開示している。また、非特許文献2には、土壌に塩化カルシウムを添加した場合には、土壌を1000℃以上に加熱してもセシウムがほとんど揮発しないことが開示されている。

0008

特開2002−79234号公報
特開2002−221593号公報
特許第4471110号明細書

先行技術

0009

2012年3月1日新聞記事、http://www.asahi.com/national/update/0301/TKY201203010146.html
独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構、2012年2月22日付プレスリリース、「放射性物質を含む汚染土壌等からの乾式セシウム除去技術の開発」について、http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/narc/027564.html

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1の焼成方法は、土壌中から有機分又は可燃分を除去し、土壌を再生する方法としては利用し得るが、セシウム化合物のような無機物除去対象とはしていない。

0011

特許文献2の放射性廃棄物の処理方法は、放射性廃棄物をガラス固化体として固定する方法であり、可燃物中のセシウムを揮発除去することについては記載されていない。

0012

特許文献3のリサイクル方法は、トリチウム又は炭素-14の除去を対象としており、可燃物中の放射性セシウムを除去対象とはしていない。

0013

非特許文献1の放射性セシウム除去方法は、土壌中の放射性セシウムをほぼ完全に除去できるとされているが、被処理物を1300℃以上に加熱する必要があり、エネルギー消費量が大きいことが問題である。

0014

さらに、可燃性廃棄物は、通常は焼却炉を用いて焼却処分されるが、可燃性廃棄物に含有されている放射性セシウムの一部は、焼却炉から排ガスと共に放出される飛灰に移行し、一部は飛灰に移行せずに燃えかす又は主灰に残存することが報告されている。このため、焼却炉から放出される排気ガス中の飛灰からだけでなく、燃えかす又は主灰からも放射性セシウムを回収する必要がある。

0015

本発明は、可燃性廃棄物を焼却炉内で焼却する際に、放射性セシウムを効率よく回収し得る、可燃性廃棄物の焼却方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0016

本発明者等は、放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物を焼却炉内で焼却する際、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物と塩化ナトリウムを添加して焼却すると、放射性セシウムは、揮発して飛灰に移行することを見出した。

0017

そこで、本発明者等は、可燃性廃棄物の焼却時にセシウム揮発を促進する添加剤として無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物と塩化ナトリウムとを組み合わせることにより、塩化ナトリウムの添加量を減らしつつ、可燃性廃棄物の主灰から微量の放射性セシウムを除去し得る方法について検討した。その結果、本発明者等は、酸化カルシウム炭酸カルシウム水酸化カルシウムリン酸カルシウムケイ酸カルシウムカルシウムシアナミド硫酸カルシウム及び硝酸カルシウムからなる群より選択されるからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物、又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物と、塩化ナトリウムとを併用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0018

具体的に、本発明は、
放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物を焼却炉によって焼却する焼却方法であって、
焼却炉内に、可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物中における無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物の割合が3質量%以上30質量%となるように、可燃性廃棄物に酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、カルシウムシアナミド、硫酸カルシウム及び硝酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物、又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成するカルシウム化合物を添加し、さらに可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して0.5質量%を超え10質量%以下となるように塩化ナトリウムを添加する添加工程と、
焼却炉内で可燃性廃棄物を900℃以上1200℃以下で30分以上120分以下の時間焼却する焼却工程と、
焼却工程で発生した飛灰を捕集することにより、放射性セシウムを回収する回収工程と、
を有する、可燃性廃棄物の焼却方法に関する。

0019

本発明では、セシウム揮発促進剤として、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム(リン酸石灰)、ケイ酸カルシウム(ケイ酸石灰)、カルシウムシアナミド(石灰窒素:CaCN2)、硫酸カルシウム(石膏)及び硝酸カルシウム(硝酸石灰)からなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物、又は500℃以上の酸素雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物と、従来セシウム除去促進剤として使用されていた塩化カルシウムよりも安価な塩化ナトリウムとを併用することにより、非特許文献1の1300℃より低い900℃〜1200℃、30分以上120分以下の焼却処理によって、可燃性廃棄物から放射性セシウムを効率よく除去し得る。500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物の具体例は、酢酸カルシウムである。

0020

これは、無機カルシウム化合物、又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物を可燃性廃棄物に添加することにより、放射性セシウムが燃焼中の可燃性廃棄物から脱着され、さらに脱着された放射性セシウムが塩化ナトリウムに由来する塩素原子と結合し、可燃性廃棄物中に含有されていた放射性セシウムが(放射性の)塩化セシウムとして揮発するためであると推察される。無機カルシウム化合物としては、酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物が特に好ましい。

0021

ここで、「500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物」は、500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物であればよく、500℃未満(例えば、300℃)の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物も含まれる。

0022

可燃性廃棄物を焼却炉内で焼却することにより、可燃性廃棄物に含有されていた放射性セシウムが揮発するが、揮発した放射性セシウムは、飛灰に伴って移動する。このため、発生した飛灰を捕集すれば、放射性セシウムを効率よく回収し、主灰に残存する放射性セシウム量を低減することが可能となる。

0023

本発明の放射性セシウム除去方法は、前記添加工程における前記塩化ナトリウムの添加量が、可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。

0024

添加された塩化ナトリウムの一部は、可燃性廃棄物の燃焼に伴う加熱によって、可燃性廃棄物中の水分等の影響で分解又は揮発し、放射性セシウムと反応しない。このため、可燃性廃棄物中の放射性セシウムをより確実に揮発させる観点から、可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して、塩化ナトリウムを1質量%以上添加することが好ましい。一方、放射性セシウムと反応しない塩化ナトリウム由来の塩素原子の一部は、可燃性廃棄物中から揮発した水、又は可燃性廃棄物に含有される有機物熱分解反応によって生成する水と反応して塩化水素を発生するため、塩化水素の発生を抑える観点で、可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して、塩化ナトリウムを5質量%以下、より好ましくは3質量%以下で添加することが好ましい。

発明の効果

0025

本発明によれば、放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物を焼却した後、主灰中に残存する放射性セシウム量を低減することにより、主灰を安全に取り扱うことが可能である。また、揮発した放射性セシウムを、飛灰と共に効率よく回収することが可能である。

実施例

0026

本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。

0027

<添加工程>
放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物に、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、カルシウムシアナミド、硫酸カルシウム及び硝酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物、又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物を添加する。無機化合物の添加量は、可燃性廃棄物と無機化合物との混合物中における無機化合物の割合が3質量%以上30質量%以下となるように調整される。このとき、可燃性廃棄物の質量は、乾燥質量を基準とする。

0028

次に、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物を添加した可燃性廃棄物に、放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の合計量に対して0.5質量%を超え10質量%以下となるように塩化ナトリウムを添加する。このときも、可燃性廃棄物の質量は、乾燥質量を基準とする。

0029

可燃性廃棄物の具体例は、農産廃棄物(例えば、稲藁又は麦藁)、製材廃材下水汚泥脱水ケーキ剪定枝枯葉、草、紙類プラスチック類除染作業に用いられたタイベック又は衣類等であるが、放射性セシウムによって汚染されている可燃性廃棄物であれば、その種類は問われない。

0030

可燃性廃棄物は、焼却炉内での燃焼容易のため、焼却炉に投入される前に、必要に応じて破砕されることが好ましい。

0031

焼却炉内に発生する塩化水素の量を低減する観点から、塩化ナトリウムの添加量を、放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の合計量に対して5質量%以下、好ましくは3質量%以下とする。発生する塩化水素の量を低減することによって、塩化水素による炉の腐食等を軽減するだけでなく、排ガス処理工程で添加される排ガス処理剤(例えば、消石灰又は重曹)の添加量を低減することができる。また、確実に放射性セシウムを可燃性廃棄物から揮発させる観点から、塩化ナトリウムの添加量を、放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の合計量に対して1質量%以上とすることが好ましい。

0032

塩化ナトリウムの添加量が1質量%程度である場合、添加された塩化ナトリウムのほとんどが加熱工程において分解又は揮発し、排ガスと共に加熱装置から取り出される。

0033

無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物を添加する場合、添加後の加熱処理量を少なくするため、放射性セシウムを含有する可燃性廃棄物への添加量を10質量%以下とすることがより好ましい。

0034

薬剤自体を大量に入手しやすく、取り扱いが容易である観点から、無機カルシウム化合物としては、炭酸カルシウムを用いることが好ましい。

0035

なお、可燃性廃棄物への添加順序は、塩化ナトリウムと無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物のどちらが先であってもよく、両者を同時に可燃性廃棄物に添加してもよい。

0036

可燃性廃棄物と、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物と、塩化ナトリウムとの混合には、一般的なブレンダ又はスクリューフィーダ使用可能である。

0037

焼却炉の運転に支障がなければ、焼却工程中の焼却炉内に塩化ナトリウム、及び無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物を投入してもよい。

0038

<焼却工程>
塩化ナトリウムと、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物とを添加された可燃性廃棄物は、焼却炉へと供給される。焼却炉の具体例は、流動床焼却炉ガス化溶融炉ストーカ炉又は循環流動床炉である。可燃性廃棄物の焼却は、900℃以上1200℃以下の炉内温度で30分以上120分以下の時間行われることが好ましい。可燃性廃棄物が焼却されることにより、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物と塩化ナトリウムとを添加された可燃性廃棄物から放射性セシウムが揮発する。

0039

放射性セシウムを揮発させるためには、焼却工程中、焼却炉内を900℃以上とする必要があり、揮発効率を高めて加熱処理時間を短縮するためには950℃以上とする必要がある。主灰から放射性セシウムを十分に揮発させるためには、焼却工程を30分以上は継続させることが好ましい。

0040

焼却工程終了後、焼却炉から取り出された主灰は、放射能濃度を測定し、8000Bq/kg未満であることが確認された時点で、一般廃棄物として埋立て処理されることが可能である。

0041

<回収工程>
焼却工程によって揮発した放射性セシウムは、焼却工程実行中に、排ガスに含有された飛灰へと移行し、焼却炉から排出される。この排ガスは、必要に応じて減温塔へと供給されて冷却された後、バグフィルタサイクロンHEPAフィルタ若しくは電気集塵装置のような乾式捕集手段、又は湿式スクラバのような湿式捕集手段へと供給される。放射性セシウムは、排ガス中の含有されている飛灰に含有されているため、飛灰を乾式捕集手段又は湿式捕集手段によって捕集することにより、焼却炉から放出された放射性セシウムを回収することが可能となる。

0042

乾式捕集手段と湿式捕集手段とを組み合わせて使用してもよく、バグフィルタのような乾式捕集手段と排ガス処理剤(例えば、消石灰、重曹又は活性炭)とを組み合わせて使用してもよい。捕集手段を通過した排ガスは、必要に応じて脱硝処理のような高度処理が行われた後、大気中へと排気される。

0043

なお、バグフィルタのような乾式捕集手段によって放射性セシウムを含有する飛灰が回収された場合、当該回収物及び当該回収物が付着したフィルタ類をそのまま他の有害物質等と共に容器内に貯留し、遮蔽された管理型処分場に埋め立ててもよく、溶融処理によってガラス化すると共に溶出しないように封じ込め、同様に管理型処分場に埋め立てられてもよい。また、コンクリート混練して固化された後に、管理型処分場に埋め立ててもよい。

0044

また、揮発した放射性セシウムは、塩化セシウムのように水に溶解しやすい化合物として揮発しており、乾式捕集手段を用いて回収された飛灰を水で洗浄することによって、飛灰を除染し、無害化してもよい。この場合、洗浄排水中に放射性セシウムが溶出するため、吸着材(例えば、紺青又はゼオライト)を用いて溶解した放射性セシウムを吸着させることにより、放射性セシウムを固定することが可能となる。また、必要に応じて逆浸透膜装置又は蒸発濃縮装置のような濃縮手段を利用して洗浄排水を濃縮した後、放射性セシウムを吸着材に吸着させるようにしてもよい。

0045

湿式スクラバのような湿式捕集手段を用いても、飛灰に含有されている放射性セシウムを水に溶解させることが可能である。例えば、湿式スクラバの洗浄水をろ過処理し、水に溶解しない固体成分を分離し、洗浄水中放射性セシウム化合物を逆浸透膜装置によって濃縮したり、吸着材を利用した吸着処理によって分離したりしてもよい。濃縮又は吸着処理を行うことにより、最終処分が必要な放射性廃棄物量を減量化できる。吸着材は、乾式で放射性セシウムを回収する場合と同様に、容器内に貯留、溶融処理、又はコンクリートを利用した固形化処理を行い、管理型処分場に埋め立てられてもよい。

0046

本発明の可燃性廃棄物の焼却方法は、廃棄物処理分野において有用である。

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