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技術 時系列データの解析装置及び解析方法

出願人 株式会社明電舎
発明者 林孝則蓬田倫之谷村隆義野田和宏瀬戸栄一
出願日 2013年3月1日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2013-040392
公開日 2014年9月18日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2014-170270
状態 特許登録済
技術分野 制御系の試験・監視
主要キーワード ベアリング状 周期的特徴 計測周波数 インバータノイズ 正弦波周波数 被計測対象 産業用分野 カオス理論

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図面 (19)

課題

周期及びその周期を基準とした位相に特徴を持つ時系列データに対して、その位相の特徴を検出する。

解決手段

正弦波重畳部6、アトラクタ構成部7及び軌道平行測度計算部8を有する解析装置1である。正弦波重畳部6は、時系列データ蓄積部5に蓄積された時系列データを取得し、取得した時系列データに予め設定された周波数の正弦波を重畳する。アトラクタ構成部7は、正弦波が重畳された正弦波重畳時系列データに対して、予め設定された遅れ時間と埋め込み次元で埋め込み処理を行い、アトラクタを構成する。軌道平行測度計算部8は、構成されたアトラクタの軌道平行測度を求める。時系列データを、アトラクタまたは軌道平行測度に基づいて評価する。

背景

産業用分野におけるプラント設備機器持続可能性を確保するため、適切にプラント設備や機器の維持管理を行うことが求められている。特に、プラント設備や機器の異常や故障をいち早く検出し、適切な処置を施すことは、メンテナンスコストを低減するだけでなく、利用者安心・安全を担保するため不可欠な要素となる。

これらのプラント設備や機器の異常検知や異常予測等を効率的に行うため、プラント設備や機器で検出された時系列データに対して、カオス理論に基づく解析を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。カオス理論に基づく解析では、計測された時系列データを時間遅れ座標系に埋め込んで再構成し、アトラクタを描画する(例えば、非特許文献2)。非特許文献2に記載されているように、再構成されたアトラクタが元の力学系を適切に表現するために必要な遅れ時間や埋め込み次元決定方法があり、埋め込みに用いる遅れ時間は通常、時系列データの主要な周期自己相関関数に基づいて決定される。

そして、特許文献1に記載されているように、再構成されたアトラクタの各点近傍における時系列データの軌道方向の揃い具合数値化した軌道平行測度算出し、算出された軌道平行測度に基づいて時系列データの評価が行われる。

プラント設備や機器で計測された時系列データは、計測条件から決定される固有の周期及びその周期を基準とした位相に特徴を持つ場合がある。例えば、部分放電測定するために電気設備で計測されるAE信号UHF信号は、部分放電や電気設備由来環境ノイズ電圧変動に伴って発生するため電源周波数を基準とした位相に特徴が出る。また、回転機ベアリング状態を診断するために計測される振動データは、振動が回転機の回転に伴って発生するため回転周波数を基準とした位相に特徴が出る。

概要

周期及びその周期を基準とした位相に特徴を持つ時系列データに対して、その位相の特徴を検出する。正弦波重畳部6、アトラクタ構成部7及び軌道平行測度計算部8を有する解析装置1である。正弦波重畳部6は、時系列データ蓄積部5に蓄積された時系列データを取得し、取得した時系列データに予め設定された周波数の正弦波を重畳する。アトラクタ構成部7は、正弦波が重畳された正弦波重畳時系列データに対して、予め設定された遅れ時間と埋め込み次元で埋め込み処理を行い、アトラクタを構成する。軌道平行測度計算部8は、構成されたアトラクタの軌道平行測度を求める。時系列データを、アトラクタまたは軌道平行測度に基づいて評価する。

目的

本発明は、周期及びその周期を基準とした位相に特徴を持つ時系列データに対して、その位相の特徴を検出することに貢献するカオス解析技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

周期的な特徴を有する時系列データに、当該時系列データの特徴となる周期と同じ周波数正弦波重畳する重畳手段と、前記正弦波が重畳された時系列データに対してn次元状態空間に埋め込み処理を行う埋め込み処理手段と、前記埋め込み処理された時系列データの軌道平行測度測定し、当該軌道平行測度に基づいて、前記時系列データの特徴となる周期またはその周期を基準とした位相の特徴を検出する検出手段と、を有することを特徴とする時系列データの解析装置

請求項2

周期的な特徴を有する時系列データに、当該時系列データの特徴となる周期と同じ周波数の正弦波を重畳する重畳手段と、前記正弦波が重畳された時系列データに対してn次元状態空間に埋め込み処理を行う埋め込み処理手段と、前記埋め込み処理により得られるアトラクタを2次元または3次元状態空間に表示させる表示手段と、を有することを特徴とする時系列データの解析装置。

請求項3

前記正弦波の振幅は、前記時系列データの最大振幅の1倍から100倍であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時系列データの解析装置。

請求項4

時系列データを解析する解析装置による時系列データの解析方法であって、周期的な特徴を有する時系列データに、当該時系列データの特徴となる周期と同じ周波数の正弦波を重畳する重畳ステップと、前記正弦波が重畳された時系列データに対してn次元状態空間に埋め込み処理を行う埋め込みステップと、前記埋め込み処理された時系列データの軌道平行測度を測定し、当該軌道平行測度に基づいて、前記時系列データの特徴となる周期またはその周期を基準とした位相の特徴を検出する検出ステップと、を有することを特徴とする時系列データの解析方法。

請求項5

時系列データを解析する解析装置による時系列データの解析方法であって、周期的な特徴を有する時系列データに、当該時系列データの特徴となる周期と同じ周波数の正弦波を重畳する重畳ステップと、前記正弦波が重畳された時系列データに対してn次元状態空間に埋め込み処理を行う埋め込みステップと、前記埋め込み処理により得られるアトラクタを2次元または3次元状態空間に表示させる表示ステップと、を有することを特徴とする時系列データの解析方法。

請求項6

コンピュータを請求項1から3のいずれか1項に記載の時系列データの解析装置の各手段として機能させるためのプログラム

技術分野

0001

本発明は、時系列データのカオス解析技術に関する。

背景技術

0002

産業用分野におけるプラント設備機器持続可能性を確保するため、適切にプラント設備や機器の維持管理を行うことが求められている。特に、プラント設備や機器の異常や故障をいち早く検出し、適切な処置を施すことは、メンテナンスコストを低減するだけでなく、利用者安心・安全を担保するため不可欠な要素となる。

0003

これらのプラント設備や機器の異常検知や異常予測等を効率的に行うため、プラント設備や機器で検出された時系列データに対して、カオス理論に基づく解析を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。カオス理論に基づく解析では、計測された時系列データを時間遅れ座標系に埋め込んで再構成し、アトラクタを描画する(例えば、非特許文献2)。非特許文献2に記載されているように、再構成されたアトラクタが元の力学系を適切に表現するために必要な遅れ時間や埋め込み次元決定方法があり、埋め込みに用いる遅れ時間は通常、時系列データの主要な周期自己相関関数に基づいて決定される。

0004

そして、特許文献1に記載されているように、再構成されたアトラクタの各点近傍における時系列データの軌道方向の揃い具合数値化した軌道平行測度算出し、算出された軌道平行測度に基づいて時系列データの評価が行われる。

0005

プラント設備や機器で計測された時系列データは、計測条件から決定される固有の周期及びその周期を基準とした位相に特徴を持つ場合がある。例えば、部分放電測定するために電気設備で計測されるAE信号UHF信号は、部分放電や電気設備由来環境ノイズ電圧変動に伴って発生するため電源周波数を基準とした位相に特徴が出る。また、回転機ベアリング状態を診断するために計測される振動データは、振動が回転機の回転に伴って発生するため回転周波数を基準とした位相に特徴が出る。

0006

特許第3785703号公報

先行技術

0007

蓬田 倫之、林 孝則、「時系列データから異常検知する逐次軌道平行測度法」、平成24年電気学会全国大会、2012年3月、pp.146−147
合原 一幸、「カオス時系列解析基礎と応用」、産業図書、2000年11月

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、従来のカオス理論に基づく解析手法では、計測された時系列データをアトラクタに再構成するため、外的条件で設定される基準周波数はアトラクタに反映されない。また、基準周波数を元に遅れ時間を設定しても、再構成されたアトラクタ上では基準周波数の各位相に対応する点が入り乱れ、位相の特徴を読み解くことは困難となっていた。そして、アトラクタに位相の特徴が反映されにくいことから、このアトラクタに基づいて軌道平行測度を算出した場合にも、軌道平行測度に基づいて位相の特徴を読み解くことが困難となる。

0009

記事情に鑑み、本発明は、周期及びその周期を基準とした位相に特徴を持つ時系列データに対して、その位相の特徴を検出することに貢献するカオス解析技術を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成する本発明の時系列データの解析装置、この解析装置による解析方法、及び、この解析装置の各手段としてコンピュータ機能させるためのプログラムは、周期的な特徴を有する時系列データに、当該時系列データの特徴となる周期と同じ周波数正弦波重畳し、正弦波が重畳された時系列データに対してn次元状態空間に埋め込み処理を行うことを特徴としている。

発明の効果

0011

本発明によれば、カオス解析手法を用いた時系列データの解析技術において、周期及びその周期を基準とした位相に特徴を持つ時系列データに対して、その位相の特徴を検出することに貢献することができる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の実施形態に係る時系列データの解析装置の概略図である。
本発明の実施形態に係る時系列データの解析装置の処理手順を説明するフロー図である。
(a)インバータノイズ環境下で計測される時系列データを示す図、(b)インバータノイズ環境下で計測された時系列データを3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
インバータノイズに基づく波形を含む時系列データを示す図であり、(a)解析装置に入力される時系列データを示す図、(b)解析装置に入力される時系列データと被計測対象である電気機器の電源周波数と同じ周波数の正弦波とを重ねて表示した図、(c)解析装置に入力される時系列データに被計測対象である電気機器の電源周波数と同じ周波数の正弦波を重畳させた時系列データを示す図である。
図4(c)に示す時系列データを3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
部分放電に基づく波形を含む時系列データを示す図であり、(a)解析装置に入力される時系列データを示す図、(b)解析装置に入力される時系列データと被計測対象である電気機器の電源周波数と同じ周波数の波形とを重ねて表示した図、(c)解析装置に入力される時系列データに被計測対象である電気機器の電源周波数と同じ周波数の波形を重畳させた時系列データを示す図である。
図6(c)に示す時系列データを3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅1倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅1倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅2倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅2倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅5倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅5倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅10倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅10倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅20倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅20倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅50倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅50倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅100倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅100倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)時系列データに重畳する正弦波を示す図、(b)正弦波を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅1倍、周波数25倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅1倍、周波数25倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅1倍、周波数10倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅1倍、周波数10倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。
(a)正弦波重畳時系列データ(振幅2倍、周波数10倍)を示す図、(b)正弦波重畳時系列データ(振幅2倍、周波数10倍)を3次元状態空間に埋め込んだアトラクタを示す図である。

実施例

0013

本発明の実施形態に係る時系列データの解析装置、解析方法及びプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。

0014

図1は、本発明の実施形態に係る時系列データの解析装置1の概略を示す図である。

0015

図1に示すように、解析装置1には、被計測対象2から時系列データが入力され、解析装置1の解析結果が出力部3に出力される。

0016

被計測対象2は、例えば、変圧器開閉装置または回転機といった電気機器等である。被計測対象2にはセンサ等が設置され、センサ等により検出された発光発熱パルス電流電磁波・超音波等の時系列データが解析装置1に送信される。なお、解析装置1に入力される時系列データは、予め収集された時系列データを蓄積したファイル等であってもよい。

0017

出力部3は、例えば、解析装置1の解析結果を出力するディスプレイプリンタ、解析装置1の解析結果を保存するストレージ等である。出力部3の出力に基づいて、時系列データの確認や評価を行ったり、解析結果が別の用途(例えば、波形に異常が現れたことを知らせる警報の出力)に利用されたりする。

0018

解析装置1は、時系列データ収集部4、時系列データ蓄積部5、正弦波重畳部6、アトラクタ構成部7、軌道平行測度計算部8、及び設定・制御部9を有する。

0019

時系列データ収集部4は、時系列データを被計測対象2から適宜収集する。

0020

時系列データ蓄積部5は、収集した時系列データを蓄積する。蓄積された時系列データは、正弦波重畳による解析等に供される。

0021

正弦波重畳部6は、時系列データ蓄積部5に蓄積された時系列データを取得し、取得した時系列データに予め設定された周波数の正弦波を重畳する。正弦波重畳部6は、時系列データが周期的な特徴を有する場合、その周期と同じ周波数の正弦波を時系列データに重畳する。例えば、被計測対象2が電気機器の場合は、電気機器の電源電圧の周波数と同じ周波数の正弦波を時系列データに重畳する。また、被計測対象2が回転軸の場合は、回転軸の回転周期と同じ周波数の正弦波を重畳する。なお、重畳される正弦波の周波数はなるべく正確に元の時系列データの周波数と合わせることが望ましいが、正弦波の位相は時系列データの位相に必ずしも合わせる必要はない。これは、位相がずれた場合でも、周期的な特徴を把握することができるためである。また、重畳される正弦波の振幅は、例えば、解析対象信号である時系列データの最大振幅の1倍から100倍程度、より好ましくは、2倍から20倍のものを用いる。

0022

アトラクタ構成部7は、正弦波重畳部6で正弦波が重畳された正弦波重畳時系列データに対して、予め設定された遅れ時間と埋め込み次元で埋め込み処理を行い、アトラクタを構成する。このとき、遅れ時間は電源周波数の1周期のサンプリング数の数分の一になるように設定すると解析が容易になる。また、埋め込み次元n(nは正の整数)は、例えば、3〜5次元とすることで時系列データの解析を行うことができる。なお、アトラクタを出力部に表示する場合は、アトラクタ構成部7は、2次元または3次元への射影表現生成する。

0023

軌道平行測度計算部8は、アトラクタ構成部7で構成されたアトラクタから軌道平行測度を求める。軌道平行測度計算部8は、アトラクタから選択された任意データベクトルとこのデータベクトルの近傍のデータベクトルにおける軌道の接線方向(単位接ベクトル)をそれぞれ求め、求められた接線方向の向きの類似度合いを軌道平行測度として算出する。なお、軌道平行測度の詳細な算出方法は、特許文献1や非特許文献1に記載されている。例えば、非特許文献1に記載のように、取得した時系列データから逐次データベクトルを取得し、取得したデータベクトルにおける軌道平行測度を算出する場合は、予め定められた範囲内での平均値中央値等の統計量を利用してアトラクタの軌道平行測度を評価することもできる。

0024

設定・制御部9は、解析装置1の各手段に設定されるパラメータが入力、保存される。設定・制御部9は、予め保存されているパラメータを各手段(正弦波重畳部6や軌道平行測度計算部8等)に設定し、解析装置1の各手段の制御を行う。

0025

[実施例]
図2を参照して、解析装置1による時系列データの解析手順について説明する。

0026

まず、解析の前準備として、解析装置1の解析条件を設定・制御部9に設定する。設定項目としては、例えば、以下の項目が挙げられる。
計測周期(周波数):計測間隔指定する。実施例では、500kHzに設定した。
正弦波周波数:重畳する正弦波の周波数を設定する。実施例では、被計測対象である電気機器の電源電圧の周波数である50Hzに設定した。
・正弦波重畳割合:解析装置1に入力された時系列データに重畳する正弦波の振幅の大きさを決定する。
・埋め込み次元:正弦波重畳時系列データからアトラクタを構成するときに使う次元を設定する。埋め込み次元は、2以上の整数であれば、任意に設定可能である。ただし、次元数が小さすぎると現象構造を反映できず、次元数が大きすぎると計算負荷が高くなる。実施例では、5次元に設定した。なお、出力部3にアトラクタを出力する場合には、5次元でアトラクタを構成して、出力部3で3次元に射影してアトラクタを出力した。
・遅れ時間:正弦波重畳時系列データからアトラクタを構成するときに使う遅れ時間を設定する。実施例では、1000と設定した。
・参照近傍数:軌道平行測度を計算するときに使う参照近傍数を指定する。実施例では、5に設定した。
出力範囲:出力部3に表示されるアトラクタの周期を設定する。例えば、重畳正弦波の周期で2〜5周期分程度を表示する。実施例では、3周期分を表示した。
出力軸:アトラクタの表示次元を決定する。実施例では、3次元に設定した。

0027

設定・制御部9に設定項目を設定した後、解析装置1に時系列データを入力し、入力した時系列データの解析を以下に示すステップS1〜S7の手順に従い行った。
<ステップS1>指定された計測周期毎に時系列データの解析が開始される。
<ステップS2> 時系列データ収集部4が、被計測対象2から時系列データを取得する。そして、取得された時系列データを、時系列データ蓄積部5に蓄積する。
<ステップS3>正弦波重畳部6が、時系列データ蓄積部5から新たに計測した時系列データを取得し、設定された周波数と重畳割合で正弦波を重畳して、新たに追加した正弦波重畳時系列データを含む正弦波重畳時系列データに更新する。ここで重畳とは、時系列の各値に、対応する位相での正弦波の値を加算することである。この位相は計測周波数と正弦波周波数、そして計測開始時点での正弦波位相から決まるが、ここでは計測開始時点での正弦波位相をゼロとする。
<ステップS4>アトラクタ構成部7が、新たに追加した正弦波重畳時系列データを取得し、設定された埋め込み次元と遅れ時間で埋め込み処理して、追加データを反映したアトラクタに更新する。
<ステップS5>軌道平行測度計算部8が、追加データを反映したアトラクタから軌道平行測度を計算して更新する。逐次軌道平行測度法を使う場合は新たに追加したデータに対応する部分の軌道平行測度を計算する。
<ステップS6> アトラクタ構成部7は、設定された出力軸と出力範囲の指定に従ってアトラクタの射影を更新する。また、軌道平行測度計算部8は、出力範囲の指定に従い、算出された軌道平行測度の時系列データを出力する。出力部3へ出力される出力形式は、アトラクタは2次元あるいは3次元のプロット、軌道平行測度は時系列の折れ線グラフとすると、視覚的に解りやすいが、出力形式はこれに限られるわけではない。
<ステップS7> 出力範囲内にまだ時系列データが残っていれば(図中矢印NOの場合)、再度ステップS1からステップS6を繰り返して、時系列データの解析を行う。出力範囲内の時系列データをすべて解析済みであれば(図中矢印YESの場合)、出力部3に解析結果を出力する。出力される解析結果としては、アトラクタや、軌道平行測度、軌道平行測度が閾値を超えた場合における警報等が挙げられる。

0028

次に、具体的な解析例を示して、本発明の時系列データの解析装置及び解析方法について詳細に説明する。解析例は、電気機器(変圧器)にAEセンサを設け、このAEセンサで検出される時系列データをカオス解析技術で解析したものである。AEセンサで検出される信号としては、部分放電に基づく信号やインバータノイズに基づく信号等がある。部分放電信号やインバータノイズ信号は、電気機器の電源周波数に応じて変動することが知られている。

0029

図3(a)に示すインバータノイズ環境下の電気機器で検出された時系列データ(包絡処理済み)からアトラクタを構成すると、アトラクタは、図3(b)に示すように、複雑に絡み合った軌道を描き、アトラクタに基づいて周期的な特徴点見出すことは困難である。

0030

そこで、図4(a)〜(c)に示すように、インバータノイズ環境下の電気機器で検出された時系列データ(図4(a))に対して、電気機器の電源周波数と同じ周波数の正弦波(図4(b))を重畳すると、正弦波重畳時系列データ(図4(c))が得られる。この正弦波重畳時系列データからアトラクタを構成すると、図5に示すように、アトラクタが変形した円を描くようになる。

0031

図5に示したアトラクタは、電源周波数3周期強の時系列データに基づいて構成されている。アトラクタの1周は電源周波数の1周期分を現しており、描かれたアトラクタからこの3周期の軌道がほぼ重なっていることが解る。つまり、アトラクタの形状を見るだけで、図4(a)に示した時系列データに周期性があることを容易に理解することができる。

0032

また、図6(a)〜(c)に示すように、部分放電が発生している電気機器で検出された時系列データ(図6(a))に対して、電気機器の電源周波数と同じ周波数の正弦波(図6(b))を重畳すると、正弦波重畳時系列データ(図6(c))が得られる。この正弦波重畳時系列データからアトラクタを構成すると、図7に示すように、アトラクタが変形した円を描くようになる。

0033

図7に示すように、部分放電に基づく時系列データは、電気機器の電源周波数に応じて変動するものの、図5に示したインバータノイズのように各周期の軌道が重ならず、「ゆらぎ」が生じていることが解る。したがって、アトラクタの形状に基づいて、時系列データから部分放電が発生していると容易に判断することができる。このことは、図4(a)に示す時系列データと図6(a)に示す時系列データを比較するだけでは容易には判断することができない。

0034

このように、正弦波を重畳した上でアトラクタを構成することにより、そのままのアトラクタ構成では見出せない特定周期での位相に関する情報を得ることができる。

0035

なお、軌道平行測度に基づいて時系列データを解析する場合についても、アトラクタと同様のことが言える。つまり、ほぼ重なった軌道を描くアトラクタから算出される軌道平行測度は小さくなり、その周期性が軌道平行測度の小ささとして現れることとなる。また、図7に示すように周期的なアトラクタにおいて位相に「ゆらぎ」があると軌道が交差し、軌道平行測度が大きくなる。つまり、正弦波重畳時系列データから算出される軌道平行測度に基づいて、時系列データ「ゆらぎ」を検出(つまりは、部分放電を検出)することができる。

0036

ここで、時系列データに重畳する正弦波の振幅について検討する。正弦波の振幅が時系列データの振幅より非常に大きいと、元の時系列データの特徴がほぼ隠れてしまうこととなり、好ましくない。また、正弦波の振幅が、時系列データの振幅よりも小さいと、時系列データと正弦波の軌道が交差する場合があり、好ましくない。そこで、カオス解析技術において時系列データに重畳される正弦波の振幅について検討した。

0037

図8(a)に、インバータノイズ環境下で検出された時系列データ(図4(a)に示す時系列データ)に、この時系列データの最大振幅値と同じ振幅を有する正弦波を重畳した場合の正弦波重畳時系列データを示し、図8(b)に、この正弦波重畳時系列データから得られるアトラクタを示す。図8(b)に示すように、時系列データの最大振幅値と同じ振幅を有する正弦波を重畳した場合、周期的に重なり合うアトラクタを得ることができることが分かる。

0038

図9(a)〜図14(a)に、インバータノイズ環境下で検出された時系列データ(図4(a)に示す時系列データ)に、この時系列データの最大振幅値の2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍の振幅を有する正弦波を重畳した場合の正弦波重畳時系列データをそれぞれ示し、図9(b)〜図14(b)に、それぞれの正弦波重畳時系列データから得られるアトラクタを示す。図9(b)〜図14(b)に示すように、時系列データに重畳する正弦波の振幅を大きくすることによって、描かれるアトラクタの形状がより正弦波のみの場合のアトラクタ(図15(b)に示す)に近づくこととなる。

0039

また、時系列データの種類によっては、時系列データの最大振幅値と同じ振幅を有する正弦波を重畳した場合であっても、アトラクタが交差してしまい視覚的に時系列データの周期性を理解することが困難となる場合がある。その場合でも、重畳する正弦波の振幅を大きくすることで、時系列データの解析が容易となるように表現することができる。例えば、図16(a),(b)に示すように、時系列データに同じ振幅の正弦波を重畳した時系列データから得られるアトラクタ(図16(b))は、軌道が重なりあわず、時系列データの解析を行うことができる。一方、図17(a)に示すように、時系列データに同じ振幅の正弦波を重畳した時系列データから得られるアトラクタ(図17(b))であっても、軌道が重なりあって時系列データの解析を行うことが困難となってしまう場合がある。この場合においても、図18(a),(b)に示すように、重畳する正弦波の振幅を大きくすることで、周期的な特徴を把握しやすくなる。

0040

図8〜18に示した解析結果から明らかなように、時系列データに重畳される正弦波の振幅は、元の時系列データの最大振幅値の1倍から100倍、より好ましくは、2倍から20倍とすることで、時系列データの周期的な特徴を検出することができる。

0041

以上のように、本発明の時系列データの解析装置及び解析方法によれば、時系列データをカオス解析手法で解析する技術において、時系列データの周期的な特徴をアトラクタまたは軌道平行測度に反映させることができる。

0042

つまり、従来のカオス解析技術では、アトラクタに特定周波数基準の位相に関する特徴を求める視点がなかったが、本発明の時系列データの解析装置及び解析方法によれば、特定周波数基準の位相に関する特徴を視覚的に表現することができる。また、特定周波数基準の位相に関する特徴を軌道平行測度に基づいて評価することができる。

0043

その結果、周期的な特徴と、周期的ではない特徴とを明確に区別することが可能となるだけでなく、周期的な特徴同士の比較を行うことができる。

0044

なお、上記のように構成された実施形態に係る解析装置は、例えば、ROM、RAM、CPU等で構成されるコンピュータに所定のプログラムが読み込まれて、CPUがそのプログラムを実行することで実現されるものである。

0045

上記装置における各手段は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより構成することにしてもよいし、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。例えば、時系列データ蓄積部5は、ハードディスクあるいはRAMなどの保存手段・記憶手段として構築される。

0046

上記装置における処理手段をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、各装置における処理手段がコンピュータ上で実現される。

0047

この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置光ディスク光磁気記録媒体半導体メモリ等がある。具体的には、磁気記録装置として、ハードディスク装置フレキシブルディスク磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM(Random Access Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto Opticaldisc)等を、半導体メモリとしてフラッシュメモリー等を用いることができる。

0048

また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を介して行う。また、このプログラムをサーバコンピュータ記録装置格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。

0049

なお、本発明の時系列データの解析装置及び解析方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、その作用・効果を損なわない範囲で適宜設計変形が可能であり、そのように変更された形態も本発明の時系列データの解析装置及び解析方法の技術的範囲に属する。

0050

例えば、実施形態において、正弦波重畳時系列データをアトラクタに構成して、アトラクタに基づいて時系列データの周期的特徴を把握するとともに、このアトラクタの軌道平行測度を算出しているが、軌道平行測度の算出は、選択的なものであり、アトラクタのみに基づいて時系列データの評価を行ってもよい。また、アトラクタの表示を行わず、軌道平行測度の算出結果に基づいて時系列データの評価を行ってもよい。

0051

また、時系列データが追加される毎に出力部での表示を更新し、また古いデータを出力部の表示から除去していくことで、オシロスコープと同様に定常的なあるいは時間とともに変形する図形(アトラクタ)を出力部に描画することができる。

0052

また、実施形態の説明では、プラント設備や機器から検出された時系列データの解析を行う例を挙げて説明したが、本発明の時系列データの解析装置及び解析方法は、周期的な特徴を有するあらゆる時系列データに適用して、解析を行うことができる。

0053

また、実施形態の説明では、時系列データに対して5次元の状態空間に埋め込み処理を行ったアトラクタを3次元に射影して出力部に出力しているが、時系列データに対して2次元または3次元の状態空間に埋め込み処理を行うことで得られるアトラクタを直接出力部に出力してもよい。

0054

1…解析装置
2…被計測対象
3…出力部
4…時系列データ収集部
5…時系列データ蓄積部
6…正弦波重畳部(重畳手段)
7…アトラクタ構成部(埋め込み処理手段)
8…軌道平行測度計算部(検出手段)
9…設定・制御部

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