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※この項目の情報は公開日時点(2014年9月18日)のものです。
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課題
解決手段
概要
背景
建造物の鉄骨部分は、その建造物の構造部分として、特に強度面が重要である。近年、鉄骨部分の老朽化が進んでおり、メンテナンスの時期を迎えている。前記鉄骨部分の老朽化は、鉄部に赤錆が発生することにより、強度等の低下が起こる。
従来、前記赤錆を除去する方法として、機械的方法としては、サンドブラスト、ショットブラスト等を行っていが、騒音、環境、コスト面等で問題となっている。
また、騒音、環境、コスト面等の問題を解決するために、前記赤錆を除去する方法として、化学的方法が用いられている。前記化学的方法としては、塩酸、硫酸、佛酸等の強酸を用い、赤錆を溶かし、除去する方法が一般的に行われている。
しかし、塩酸、硫酸、佛酸等の強酸で赤錆を溶かして除去する前記化学的方法は、人体、環境、建造物の構造部分である鉄骨部分への影響が問題となっている。
また、それ以外の化学的方法としては、特許文献1には、硝酸マグネシウムの水和物に酸性フッ化アンモニウムを溶解し、界面活性剤としてポリエチレングリコールを添加した赤錆の除去剤が提唱されているが、広範囲において、赤錆が除去されているかは、十分に開示されていない。
また、特許文献2には、ボイラ−等の容器の腐食防止を目的にボイラ−水の中にアルカリ側でグルコン酸、キシリト−ル等を混ぜることにより防食防止が開示されているが、気化性錆止め剤の一種であり、長期の防食機能ではない。
また、特許文献3には、マグネタイトは磁性をもつことから磁石により赤錆を黒錆化することが提案されている。しかし、黒錆化するのに長時間必要であることや設備が必要なことから現場等の一般的な施工はできない。
また、特許文献4には、現場施工の手法として水性コ−ティングが開示されているが、リン酸系の防食用錆転換剤であるため、反応が遅く、かつ浸透力に乏しいため長期の防食は期待できない。
一方、特許文献5には、タンニン酸を用いた赤錆を黒錆に転換する防食用錆転換剤が提唱されているが、タンニン酸の含有量が多いため、コスト面が不利な上に防食用錆転換剤にて処理した後に遊離したタンニン酸が塗布する塗料との密着を低下させる問題がある。
概要
人体、環境、建造物の構造部分である鉄骨部分への影響が少なく、化学反応が早く赤錆を黒錆に転換する機能が十分であり、長期の防食機能が期待でき、コスト面等が有利な防食用錆転換剤の提供。フェノ−ル性水酸基を有する化合物0.5質量%〜10.0質量%と、フッ素化合物(ただし、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物である物を除く。)0.2質量%〜5.0質量%と、カルボキシル基含有化合物(ただし、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物又は前記フッ素化合物である物を除く。)0.5質量%〜10.0質量%と、多価アルコール及び水を含む水溶性溶媒とを含有することを特徴とする防食用錆転換剤である。なし
目的
本発明は上記事情に鑑みられたものであって、人体、環境、建造物の構造部分である鉄骨部分への影響が少なく、化学反応が早く赤錆を黒錆に転換する機能が十分であり、長期の防食機能が期待でき、コスト面等が有利な防食用錆転換剤を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
フェノ−ル性水酸基を有する化合物0.5質量%〜10.0質量%と、フッ素化合物(ただし、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物である物を除く。)0.2質量%〜5.0質量%と、カルボキシル基含有化合物(ただし、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物又は前記フッ素化合物である物を除く。)0.5質量%〜10.0質量%と、多価アルコール及び水を含む水溶性溶媒とを含有することを特徴とする防食用錆転換剤。
請求項2
前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物の少なくとも1つのベンゼン環にフェノ−ル性水酸基を2個以上有することを特徴とする請求項1に記載の防食用錆転換剤。
請求項3
請求項4
請求項5
請求項6
シリカ成分を含有し、前記シリカ成分は、アルコキシシラン化合物及びその加水分解物、シリケ−ト化合物及びその加水分解物、コロイダルシリカ、シリカ粉体及びその表面修飾物からなる群から選択される少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防食用錆転換剤。
請求項7
前記水溶性溶媒のpHは、6.0以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の防食用錆転換剤。
請求項8
前記水溶性溶媒における、水以外の成分に対する水の割合が10:1〜1:10であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の防食用錆転換剤。
技術分野
背景技術
0002
建造物の鉄骨部分は、その建造物の構造部分として、特に強度面が重要である。近年、鉄骨部分の老朽化が進んでおり、メンテナンスの時期を迎えている。前記鉄骨部分の老朽化は、鉄部に赤錆が発生することにより、強度等の低下が起こる。
従来、前記赤錆を除去する方法として、機械的方法としては、サンドブラスト、ショットブラスト等を行っていが、騒音、環境、コスト面等で問題となっている。
また、騒音、環境、コスト面等の問題を解決するために、前記赤錆を除去する方法として、化学的方法が用いられている。前記化学的方法としては、塩酸、硫酸、佛酸等の強酸を用い、赤錆を溶かし、除去する方法が一般的に行われている。
0003
しかし、塩酸、硫酸、佛酸等の強酸で赤錆を溶かして除去する前記化学的方法は、人体、環境、建造物の構造部分である鉄骨部分への影響が問題となっている。
また、それ以外の化学的方法としては、特許文献1には、硝酸マグネシウムの水和物に酸性フッ化アンモニウムを溶解し、界面活性剤としてポリエチレングリコールを添加した赤錆の除去剤が提唱されているが、広範囲において、赤錆が除去されているかは、十分に開示されていない。
また、特許文献2には、ボイラ−等の容器の腐食防止を目的にボイラ−水の中にアルカリ側でグルコン酸、キシリト−ル等を混ぜることにより防食防止が開示されているが、気化性錆止め剤の一種であり、長期の防食機能ではない。
また、特許文献3には、マグネタイトは磁性をもつことから磁石により赤錆を黒錆化することが提案されている。しかし、黒錆化するのに長時間必要であることや設備が必要なことから現場等の一般的な施工はできない。
また、特許文献4には、現場施工の手法として水性コ−ティングが開示されているが、リン酸系の防食用錆転換剤であるため、反応が遅く、かつ浸透力に乏しいため長期の防食は期待できない。
一方、特許文献5には、タンニン酸を用いた赤錆を黒錆に転換する防食用錆転換剤が提唱されているが、タンニン酸の含有量が多いため、コスト面が不利な上に防食用錆転換剤にて処理した後に遊離したタンニン酸が塗布する塗料との密着を低下させる問題がある。
先行技術
0004
特開2006−249488号公報
特開2012−224930号公報
特開2011−98393号公報
特開2008−157522号公報
特開平5−320936号公報
発明が解決しようとする課題
0005
特許文献1〜5には、赤錆を除去する赤錆の除去剤または赤錆を黒錆に転換する防食用錆転換剤を用いた化学的方法が開示されている。しかし、特許文献1〜4に開示の赤錆除去剤または防食用錆転換剤は、赤錆の除去が十分は無く、長期の防食機能が期待できないといった問題がある。また、特許文献5に開示されている防食用錆転換剤は、タンニン酸の含有量が多いため、コスト面が不利な上に防食用錆転換剤にて処理した後に遊離したタンニン酸が塗布する塗料との密着を低下させる問題がある。
本発明は上記事情に鑑みられたものであって、人体、環境、建造物の構造部分である鉄骨部分への影響が少なく、化学反応が早く赤錆を黒錆に転換する機能が十分であり、長期の防食機能が期待でき、コスト面等が有利な防食用錆転換剤を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0006
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究をした結果、フェノ−ル性水酸基を有する化合物と、フッ素化合物と、カルボキシル基含有化合物と、多価アルコール及び水を含む水溶性溶媒とを含む防食用錆転換剤を用いることにより、該防食用錆転換剤が人体、環境、建造物の構造部分である鉄骨部分への影響が少なく、化学反応が早く赤錆を黒錆に転換する機能が十分であり、長期の防食機能が期待でき、コスト面等が有利な防食用錆転換剤を提供できることを見出し、本発明に至った。
0007
即ち、本発明は、フェノ−ル性水酸基を有する化合物0.5質量%〜10.0質量%と、フッ素化合物(ただし、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物である物を除く。)0.2質量%〜5.0質量%と、カルボキシル基含有化合物(ただし、前記特徴フェノ−ル性水酸基を有する化合物又は前記フッ素化合物である物を除く。)0.5質量%〜10.0質量%と、多価アルコール及び水を含む水溶性溶媒とを含有することをとする防食用錆転換剤である。
前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物の少なくとも1つのベンゼン環にフェノ−ル性水酸基を2個以上有することが好ましい。
前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物がタンニン酸、没食子酸またはピロガロ−ルであることが好ましい。
前記フッ素化合物がフッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ素カリウム、またはフッ化ナトリウムであることが好ましい。
前記カルボキシル基含有化合物がクエン酸、酒石酸、グリコ−ル酸及びその誘導体
またはEDTA及びその誘導体であることが好ましい。
前記水溶性溶媒のpHは、6.0以下であることが好ましい。
前記水溶性溶媒中において、前記水溶性溶媒における全量に対する水の割合が10:1〜1:10であることが好ましい。
発明の効果
0008
本発明によれば、人体、環境、建造物の構造部分である鉄骨部分への影響が少なく、化学反応が早く赤錆を黒錆に転換する機能が十分であり、長期の防食機能が期待でき、コスト面等が有利な防食用錆転換剤を提供することができる。
0009
以下、本発明の防食用錆転換剤について詳細に説明する。
0010
本発明の防食用錆転換剤は、フェノ−ル性水酸基を有する化合物0.5質量%〜10.0質量%と、フッ素化合物(ただし、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物である物を除く。)0.2質量%〜5.0質量%と、カルボキシル基含有化合物(ただし、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物又は前記フッ素化合物である物を除く。)0.5質量%〜10.0質量%と、多価アルコール及び水を含む水溶性溶媒とを含むことを特徴とする。
0011
前記フェノ−ル性化合物として、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物の少なくとも1つのベンゼン環にフェノ−ル性水酸基を2個以上有することが好ましく、タンニン酸、没食子酸またはピロガロ−ルであることが最も好ましい。
0012
本発明の防食用錆転換剤において、前記フェノ−ル性水酸基を有する化合物は、防食用錆転換剤全質量に対して0.5質量%〜10.0質量%であり、0.5質量%〜5.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜3.0質量%であることが最も好ましい。
0013
前記フッ素化合物がフッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ素カリウム、またはフッ化ナトリウムであることが好ましい。
0014
本発明の防食用錆転換剤において、前記フッ素化合物は、防食用錆転換剤全質量に対して0.2質量%〜5.0質量%であり、0.2質量%〜3.0質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜2.0質量%であることが最も好ましい。
0015
前記カルボキシル基含有化合物がクエン酸、酒石酸、グリコ−ル酸及びその化合物またはEDTA及びその化合物であることが好ましい。
0016
本発明の防食用錆転換剤において、前記カルボキシル基含有化合物は、防食用錆転換剤全質量に対して0.5質量%〜10.0質量%であり、0.5質量%〜5.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜4.0質量%であることが最も好ましい。
0018
前記多価アルコール及び水を含む水溶性溶媒としては、前記多価アルコールが含まれていれば特に限定されることはないが、前記多価アルコールと共にメタノール、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」と略称する。)、ブタノ−ル、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、二塩基酸エステル(DBE)などの溶媒を含むことが好ましい。
0019
また、本発明の防食用錆転換剤において、シリカ成分を含有していても良く、前記シリカ成分は、アルコキシシラン化合物及びその加水分解物、シリケ−ト化合物及びその加水分解物、コロイダルシリカ、シリカ粉体及びその表面修飾物からなる群から選択される少なくとも一つである。
0020
前記シリカ成分を含有する場合には、防食用錆転換剤全質量に対して0.1質量%〜10.0質量%が好ましく、0.5質量%〜5.0質量%であることが最も好ましい。
0021
また、本発明の防食用錆転換剤は、界面活性剤や湿潤剤を併用していても良い。界面活性剤や湿潤剤は特に限定されることはなく、公知のものであればよいが、例えば、界面活性剤としてはイオン性(ノニオン、アニオン)であるものや、非イオン性(HLB;15以上)が挙げられる。
0022
前記水溶性溶媒のpHは、6.0以下であることが好ましく、3.0〜5.0であることが最も好ましい。
0023
前記水溶性溶媒中において、前記水溶性溶媒における、水以外の成分に対する水の割合が10:1〜1:10であることが好ましく、10:5〜5:10がより好ましく、10:8〜8:10であることが最も好ましい。
0024
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
0026
実施例において、使用した防食用錆転換剤の使用材料(化学薬品)を以下に示す。
・没食子酸:関東化学(株)製1級
・クエン酸:昭和化工(株)製
・EDTA;キレスト(株)製
・ピロガロ−ル:純正化学(株)製特級
・酸性フッ化アンモニウム:ステラケミファ(株)製
・中性フッ化アンモニウム:純正化学(株)製特級
・フッ化ナトリウム:純正化学(株)製特級
・フッ化カリウム:純正化学(株)製特級
・フッ酸:森田化学(株)製 55%溶液
・リン酸:ラサ工業(株) 75%溶液
・メタノ−ル:ニッコウケミカル(株)製
・IPA:デルタ(株)製
・グリセリン:純正化学(株)製1級
・テトラエトキシシラン(TEOS);信越シリコ−ン(株)製;KBE−04
・シランカップリング;信越シリコ−ン(株)製;KBM−403;エポキシ基含有シラン(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
0027
以下の表1〜4に示す配合にて、防食用錆転換剤を塗布し、さび板に塗布し、塗布後1時間放置した後80℃、10分間の乾燥を行ったものを評価基板とし、外観観察を目視により防評価を行った。試験1〜3、5〜6、8〜11、12〜13、15〜20は実施例であり、試験4、7、14は比較例である。
・変化なし:黒色しない(赤錆のまま)。
・やや黒色:若干黒色になる(やや赤錆が黒錆に転換された)。
・黒色:全面黒色になる(完全に赤錆が黒錆に転換された)。
0028
0029
0030
0031
0032
表1〜4の結果から、本発明の防食用錆転換剤用いることにより、赤錆が黒錆に転換された。また、試験1〜2においては、赤錆が黒錆に転換されたものの、フェノ−ル性水酸基を有する化合物である没食子酸の量が多いため、白色の粉末が残存した。
0033
試験18及び20の配合を塗布量10m2/kgでさび板に塗布し、塗布後1時間放置した後80℃、10分の乾燥し、下塗剤;溶剤系ジンクリッチペイント、中塗剤;溶剤系エポキシ樹脂と上塗剤;水性アクリルウレタン樹脂を全塗膜約100μmで塗布後、1日放置した後80℃、10分の乾燥し、その後3日放置した試料の塩水噴霧JISZ2371で防食性評価を行った。その結果を以下表5に示す。
0034
実施例
0035
表5の結果より、未処理(赤さびの状態)に比べて極端に防食能が向上していることが判る。