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技術 アルミニウム多孔体、伝熱材料及び熱交換装置

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 西村淳一細江晃久奥野一樹木村弘太郎後藤健吾境田英彰
出願日 2013年2月26日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2013-035481
公開日 2014年9月8日 (5年1ヶ月経過) 公開番号 2014-162959
状態 特許登録済
技術分野 複合金属又は合金の製造 一般的な熱交換又は熱伝達装置の細部5 粉末冶金
主要キーワード 表裏面近傍 水分付着量 検量法 カーボン塗布 伝熱材料 セル孔 カーボン塗料 気孔数
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

比表面積が極めて大きく、熱交換効率に優れ、かつガス圧力損失が少ない伝熱材料として利用可能なアルミニウム多孔体の提供。

解決手段

アルミニウムを主成分とするアルミニウム多孔体であって、前記アルミニウム多孔体は三次元網目状構造を有し、かつ、下記(式)で表される比表面積(Y)を有するアルミニウム多孔体。Y=a×exp(0.06X) (式)(但し、上記(式)中、Yは比表面積[m2/m3]を表し、Xはセル数[個/インチ]を表し、aは100以上、1000以下の数を表す。)

概要

背景

概要

比表面積が極めて大きく、熱交換効率に優れ、かつガス圧力損失が少ない伝熱材料として利用可能なアルミニウム多孔体の提供。アルミニウムを主成分とするアルミニウム多孔体であって、前記アルミニウム多孔体は三次元網目状構造を有し、かつ、下記(式)で表される比表面積(Y)を有するアルミニウム多孔体。Y=a×exp(0.06X) (式)(但し、上記(式)中、Yは比表面積[m2/m3]を表し、Xはセル数[個/インチ]を表し、aは100以上、1000以下の数を表す。)なし

目的

本発明は前記問題点に鑑みて、比表面積が極めて大きく、熱交換効率に優れ、かつガスの圧力損失が少ない伝熱材料として利用可能なアルミニウム多孔体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

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請求項1

アルミニウムを主成分とするアルミニウム多孔体であって、前記アルミニウム多孔体は三次元網目状構造を有し、かつ、下記(式)で表される比表面積(Y)を有するアルミニウム多孔体。Y=a×exp(0.06X)(式)(但し、上記(式)中、Yは比表面積[m2/m3]を表し、Xはセル数[個/インチ]を表し、aは100以上、1000以下の数を表す。)

請求項2

前記アルミニウム多孔体の骨格中空である請求項1に記載のアルミニウム多孔体。

請求項3

前記アルミニウム多孔体を構成するアルミニウムの純度が99.7質量%以上である請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム多孔体。

請求項4

前記アルミニウム多孔体の目付量が0.1g/cm3以上、1.0g/cm3以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム多孔体。

請求項5

請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム多孔体からなる伝熱材料

請求項6

請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム多孔体を用いた熱交換装置

技術分野

0001

本発明は、三次元網目状構造を有するアルミニウム多孔体伝熱材料及び熱交換装置に関する。

0002

熱交換装置等に用いられる伝熱材料には熱伝導率が高い金属材料が用いられている。また、熱交換効率を高くして装置を小型化するという目的で、伝熱材料を薄板化して枚数を多く設けたり、伝熱材料に溝を形成したりすることによって表面積を大きくするという検討がされている。

0003

例えば、特開平07−190664号公報(特許文献1)には、伝熱部材銅多孔体又は銅合金多孔体を用いることが提案されている。具体的には、酸化銅粉または酸化銅粉と他のニッケルアルミニウムクロムパラジウム、銀等金属の混合粉還元雰囲気で金属として焼結する性質及び金属板上でこれを行えば金属板と一体化できる性質を利用することによって、金属板や金属管内外三次元網目構造金属多孔質体を一体被着した伝熱管伝熱板を得ることが記載されている。

0004

また、半導体回路を用いた電子部品等は使用により発熱するため、効率よく放熱することが求められている。例えば、特開2012−124391号公報(特許文献2)には、発熱体とその周辺環境との間の伝熱制御を行う伝熱制御部材として、三次元網目状構造を有する多孔質金属層を備える伝熱制御部材が提案されている。

0005

特許文献2に記載の伝熱制御部材において、多孔質金属層は、連続した骨格により形成される複数の気孔が連通した三次元網目状構造を有する発泡金属から構成され、30%〜98%の気孔率を有し、厚さが0.05mm〜50mmとされている。この発泡金属は、金属粉末発泡剤等を含有する発泡性スラリーシート状に成形して発泡させることにより形成されたものであり、気孔が表裏面及び側面に開口し、また、厚さ方向の中心部に対して表裏面近傍が密に形成され、かつ、表裏面のうちの一方の面が他方の面よりもさらに密に形成されている。

0006

上記のような焼結法で作製した金属多孔体を用いた伝熱材料において、同一体積で熱交換効率を上げるためには、金属多孔体のセル孔径を小さくして比表面積を上げる必要がある。しかしながら、熱交換効率を上げるためにセル孔径を小さくすると、金属多孔体を通過するガス圧力損失が大きくなるという問題がある。

先行技術

0007

特開平07−190664号公報
特開2012−124391号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は前記問題点に鑑みて、比表面積が極めて大きく、熱交換効率に優れ、かつガスの圧力損失が少ない伝熱材料として利用可能なアルミニウム多孔体を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者等は上記問題点を解決すべく鋭意探求を重ねた結果、従来の、三次元網目状構造を有するアルミニウム多孔体をめっき法により製造する方法(例えば、特開2011−225950号公報)に更なる改良を重ねることによってアルミニウム多孔体の比表面積を極めて大きくすることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の構成を有する。

0010

(1)アルミニウムを主成分とするアルミニウム多孔体であって、前記アルミニウム多孔体は三次元網目状構造を有し、かつ、下記(式)で表される比表面積(Y)を有するアルミニウム多孔体。
Y=a×exp(0.06X) (式)
(但し、上記(式)中、Yは比表面積[m2/m3]を表し、Xはセル数[個/インチ]を表し、aは100以上、1000以下の数を表す。また、ネイピア数(e)は2.72とする。)
上記(1)に記載のアルミニウム多孔体は、その骨格表面の全面に非常に微細凹凸を備えており、従来のアルミニウム多孔体に比べて非常に大きな比表面積を有している。また、アルミニウムは熱伝導率が高い金属であるため、上記のアルミニウム多孔体は熱交換効率に優れ、かつガスの圧力損失が少ない伝熱材料として利用可能である。
なお、本発明においてアルミニウムを主成分とするとは、アルミニウム多孔体におけるアルミニウムの含有量が90質量%以上であることをいう。

0011

(2)前記アルミニウム多孔体の骨格が中空である上記(1)に記載のアルミニウム多孔体。
めっき法によりアルミニウム多孔体を製造することでアルミニウム多孔体の骨格を中空にすることができる。このような中空の骨格を備えるアルミニウム多孔体は骨格内部にまでガスをフローさせることが可能であるため、より熱交換効率に優れた伝熱材料として利用することができる。

0012

(3)前記アルミニウム多孔体を構成するアルミニウムの純度が99.7質量%以上である上記(1)又は(2)に記載のアルミニウム多孔体。
前記のようにアルミニウムは熱伝導率が高い金属であるため、アルミニウムの純度を高くすることによって、より熱伝導率に優れたアルミニウム多孔体とすることができる。

0013

(4)前記アルミニウム多孔体の目付量が0.1g/cm3以上、1.0g/cm3以下である上記(1)から上記(3)のいずれか一項に記載のアルミニウム多孔体。
前記アルミニウム多孔体の目付量を0.1g/cm3以上とすることで、アルミニウム多孔体の骨格を太くすることができ、比表面積が大きくなることで熱交換効率が向上する。また、骨格断面積が大きくなることで熱伝導率が向上する。また、前記アルミニウム多孔体の目付量を1.0g/cm3以下とすることで、圧力損失が増加することを抑制することができる。また、アルミニウム多孔体の製造コストが高くなりすぎることを抑制することができる。
なお、本発明においてアルミニウム多孔体の目付量とは、アルミニウム多孔体の単位体積当たりの質量のことをいう。

0014

(5)上記(1)から上記(4)のいずれか一項に記載のアルミニウム多孔体からなる伝熱材料。
上記(5)に記載の伝熱材料は、比表面積が極めて大きく、熱交換効率に優れ、かつガスの圧力損失が少ないという優れた性能を有する伝熱材料である。

0015

(6)上記(1)から上記(4)のいずれか一項に記載のアルミニウム多孔体を用いた熱交換装置。
上記(6)に記載の熱交換装置は、前記本発明のアルミニウム多孔体を伝熱材料として用いているため、非常に高い熱交換効率を有している。このため、従来の熱交換装置に比べて小型化させることも可能となる。

発明の効果

0016

本発明により、比表面積が極めて大きく、熱交換効率に優れ、かつガスの圧力損失が少ない伝熱材料として利用可能なアルミニウム多孔体を提供することができる。

図面の簡単な説明

0017

静電容量を評価するための等価回路を表す図である。
交流インピーダンスを測定するための測定セル概要を示す図である。

0018

<アルミニウム多孔体>
本発明に係るアルミニウム多孔体は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム多孔体であって、前記アルミニウム多孔体は三次元網目状構造を有し、かつ、下記(式)で表される比表面積(Y)を有するアルミニウム多孔体。
Y=a×exp(0.06X) (式)
(但し、上記(式)中、Yは比表面積[m2/m3]を表し、Xはセル数[個/インチ]を表し、aは100以上、1000以下の数を表す。)
前記のように本発明に係るアルミニウム多孔体は、骨格表面に微小な凹凸が形成されており、極めて大きな比表面積を有している。すなわち、セル孔径を必要以上に小さくせずとも従来のアルミニウム多孔体よりも比表面積を大きくすることができる。このため本発明のアルミニウム多孔体を伝熱材料として用いることで、ある程度大きなセル孔径を有するようにして圧力損失を低く維持したまま、熱交換効率を向上させることが可能となる。

0019

上記(式)において、Xはアルミニウム多孔体のセル数[個/インチ]を表しており、6〜60個/インチであることが好ましい。アルミニウム多孔体のセル数が6個/インチ以上であることにより、比表面積を充分に大きくすることができ、熱交換効率を高くすることができる。また、アルミニウム多孔体のセル数が60個/インチ以下であることにより、圧力損失が大きくなりすぎることを抑制することができる。
アルミニウム多孔体のセル数は10〜33個/インチであることがより好ましく、10〜20個/インチであることが更に好ましい。
本発明においてアルミニウム多孔体のセル数(X)とは、1インチ(25.4mm)当たりのセル個数として定義される。セル数は、水平にスライスしたアルミニウム多孔体を顕微鏡で観察した拡大画像に1インチの直線を引き、その直線と交わるセルの数を計数することによって求めることができる。この場合には5箇所を計数し、その平均をとる。
なお、アルミニウム多孔体を製造するための出発材料として発泡ウレタン等の樹脂成形体を用いる場合には、アルミニウム多孔体のセル数は樹脂成形体のセル数と同数となる。発泡樹脂成形体のセル数も上記アルミニウム多孔体の場合と同様にして求めることができる。

0020

また、上記(式)において、aは100以上、1000以下の数を表すが、200以上、1000以下であることがより好ましく、600以上、1000以下であることが更に好ましい。

0021

本発明において、比表面積(Y)は静電容量法により測定した値をいう。この静電容量法とは、下記理論式に示されるように金属材料の静電容量が表面積に比例するということを利用する測定方法である。
(理論式)
C=ε×(A/d)
C:静電容量、ε:誘電率、d:2極間の距離、A:試料の表面積
具体的には、まず、試料と同純度で表面積が既知アルミニウム板複数枚用意し、それぞれの静電容量を評価して、「静電容量」対「表面積」の検量線を作成する。そして、試料の静電容量を評価することで、検量法により表面積を求めることができる。
前記検量線を作成するためのアルミニウム板及び試料の静電容量は、まず交流インピーダンスを測定し、その結果を、図1に示す等価回路を用いて解析することで評価する。交流インピーダンスの測定は、図2に示すように、濃度が5質量%のNaCl溶液中で、対照電極白金電極を用いて行うことができる。このとき、測定周波数は、アルミニウムの溶解反応の影響などが顕著でないことを確認するために、100kHz〜10Hzとする。そして、このうち10kHz〜1kHzの範囲のデータを用いて解析する。

0022

本発明のアルミニウム多孔体は、骨格が中空であることが好ましい。これにより、骨格の内側と外側の両方にガスが通るようにすることができ、熱交換効率に優れた伝熱材料とすることができる。このような骨格が中空のアルミニウム多孔体は、三次元網目状構造を有する樹脂成形体表面にアルミニウムを電解めっきするというめっき法によって作製することで得ることができる。

0023

また、本発明のアルミニウム多孔体は、アルミニウム多孔体を構成するアルミニウムの純度が99.7質量%以上であることが好ましい。これにより、より熱伝導率に優れた伝熱材料として利用することが可能となる。アルミニウムの純度を99.7質量%以上とするためには、前述のめっき法において、アノードとして用いるアルミニウムの純度を99.7質量%以上とすればよい。この方法により、アルミニウム多孔体を構成するアルミニウムの純度を99.9質量%以上に高くすることができ、さらには99.99質量%以上の純度とすることも可能である。
なお、電解めっきをする際に、三次元網目状構造を有する樹脂成形体表面に炭素粉末の塗布やSn、Niのめっき等により導電化処理をする場合があるが、アルミニウムの純度はこれらの炭素、Sn、Ni等の導電化処理材を除いた純度を示している。

0024

本発明に係るアルミニウム多孔体は、目付量が0.1g/cm3以上、1.0g/cm3以下であることが好ましい。アルミニウム多孔体の目付量を、0.1g/cm3以上、1.0g/cm3以下とすることにより、比表面積が極めて大きく、熱交換効率に優れた伝熱材料として利用することができる。アルミニウム多孔体の目付量は、0.1g/cm3以上、0.6g/cm3以下であることがより好ましく、0.1g/cm3以上、0.4g/cm3以下であることが更に好ましい。
このような目付量のアルミニウム多孔体を得るためには、前述のめっき法において、三次元網目状構造を有する樹脂成形体の表面に形成するアルミニウム膜の量を適宜調製すればよい。

0025

<アルミニウム多孔体の製造方法>
前述のように本発明に係るアルミニウム多孔体は溶融塩浴を用いためっき法により製造することができる。具体的には、発泡ウレタン等の連通孔を備えた三次元網目状構造を有する樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」とも記す)を芯材として用い、当該樹脂成形体を導電化処理した後に、溶融塩浴中でアルミニウムの電解めっきを行う。その後、アルミニウム膜が形成された樹脂構造体加熱処理して樹脂焼失させることにより、金属層のみが残ったアルミニウム多孔体を得ることができる。
以下、本発明に係るアルミニウム多孔体の製造方法についてより詳細に説明する。

0026

(三次元網目状構造を有する樹脂成形体の準備)
まず、三次元網目状構造を有し連通孔を有する樹脂成形体を準備する。樹脂成形体の素材は任意の樹脂を選択できる。ポリウレタンメラミンポリプロピレンポリエチレン等の発泡樹脂成形体が素材として例示できる。

0027

発泡ウレタン及び発泡メラミンは気孔率が高く、また気孔の連通性があるとともに熱分解性にも優れているため発泡樹脂成形体として好ましく使用できる。発泡ウレタンは気孔の均一性入手の容易さ等の点、更に、気孔径の小さなものが得られる点で好ましい。

0028

樹脂成形体には発泡体製過程での製泡剤未反応モノマーなどの残留物があることが多く、洗浄処理を行うことが後の工程のために好ましい。樹脂成形体が骨格として三次元的に網目を構成することで、全体として連続した気孔を構成している。発泡ウレタンの骨格はその延在方向に垂直な断面において略三角形状をなしている。

0029

発泡樹脂成形体の気孔率は80%〜98%、気孔径は420μm〜4230μmとするのが好ましい。
気孔率は、次式で定義される。
気孔率=(1−(多孔質材の重量[g]/(多孔質材の体積[cm3]×素材密度)))×100[%]
また、気孔径は、樹脂成形体表面を顕微鏡写真等で拡大し、1インチ(25.4mm)あたりの気孔数をセル数として計数して、平均孔径=25.4mm/セル数として平均的な値を求める。

0030

(樹脂成形体表面の導電化
樹脂成形体の表面にアルミニウムを電解めっきするために、樹脂成形体の表面をあらかじめ導電化処理する。導電化処理としては、樹脂成形体の表面に導電性を有する層を設けることができる処理である限り特に制限はない。例えば、ニッケル等の導電性金属の無電解めっき、アルミニウム等の蒸着及びスパッタ、又はカーボン等の導電性粒子を含有した導電性塗料の塗布等、任意の方法を選択することができる。

0031

導電化処理の例として、アルミニウムのスパッタリング処理によって導電化処理する方法、及び導電性粒子としてカーボンを用いて樹脂成形体の表面を導電化処理する方法について以下述べる。

0032

−アルミニウムのスパッタリング
アルミニウムを用いたスパッタリング処理としては、アルミニウムをターゲットとする限り限定的でなく、常法に従って行えばよい。例えば、基板ホルダーに樹脂成形体を取り付けた後、不活性ガスを導入しながら、ホルダーとターゲット(アルミニウム)との間に直流電圧印加することにより、イオン化した不活性ガスをアルミニウムに衝突させて、はじき飛ばされたアルミニウム粒子を樹脂成形体表面に堆積することによってアルミニウムのスパッタ膜を形成する。なお、スパッタリング処理は樹脂成形体が溶解しない温度下で行うことが好ましく、具体的には、100〜200℃程度、好ましくは120〜180℃程度で行えばよい。

0033

カーボン塗布
まず、導電性塗料としてのカーボン塗料を準備する。導電性塗料としての懸濁液は、好ましくは、カーボン粒子粘結剤分散剤および分散媒を含む。導電性粒子の塗布を均一に行うには、懸濁液が均一な懸濁状態を維持している必要がある。このため、懸濁液は、20℃〜40℃に維持されていることが好ましい。その理由は、懸濁液の温度が20℃未満になった場合、均一な懸濁状態が崩れ樹脂多孔体網状構造をなす骨格の表面に粘結剤のみが集中して層を形成する場合があるからである。この場合、塗布されたカーボン粒子の層は剥離し易く、強固に密着した金属めっきを形成し難い。一方、懸濁液の温度が40℃を越えた場合は、分散剤の蒸発量が大きく、塗布処理時間の経過とともに懸濁液が濃縮されてカーボンの塗布量が変動しやすい。また、カーボン粒子の粒径は、0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜2μmである。粒径が大きいと樹脂成形体のセルを詰まらせたり、平滑なめっきを阻害したりする要因となり、また、小さすぎると十分な導電性を確保することが難しくなる。
樹脂成形体へのカーボン粒子の塗布は、上記懸濁液に対象となる樹脂成形体を浸漬し、絞りと乾燥を行うことで行うことができる。

0034

(樹脂成形体表面へのアルミニウム膜の形成)
樹脂成形体の表面にアルミニウム膜を形成する方法としては、溶融塩浴を用いためっき法を採用する。
溶融塩めっき
溶融塩中で電解めっきを行い、前記樹脂成形体の表面にアルミニウム膜を形成する。
溶融塩浴中でアルミニウムのめっきを行うことにより特に三次元網目状構造を有する樹脂成形体のように複雑な骨格構造の表面に均一に厚いアルミニウム膜を形成することができる。表面が導電化された樹脂成形体を陰極とし、アルミニウムを陽極として溶融塩中で直流電流を印加する。
また、溶融塩としては、有機ハロゲン化物アルミニウムハロゲン化物共晶塩である有機溶融塩アルカリ金属のハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物の共晶塩である無機溶融塩を使用することができる。比較的低温溶融する有機溶融塩浴を使用すると、基材である樹脂成形体を分解することなく電解めっきすることができる。有機系ハロゲン化物としてはイミダゾリウム塩ピリジニウム塩等が使用でき、具体的には1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドEMIC)、ブチルピリジニウムクロライド(BPC)が好ましい。
溶融塩中に水分や酸素混入すると溶融塩が劣化するため、めっきは窒素アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、かつ密閉した環境下で行うことが好ましい。

0035

溶融塩浴としては窒素を含有した溶融塩浴が好ましく、中でもイミダゾリウム塩浴が好ましく用いられる。溶融塩として高温で溶融する塩を使用した場合は、めっき膜の成長よりも樹脂が溶融塩中に溶解や分解する方が早くなり、樹脂成形体表面にめっき膜を形成することができない。イミダゾリウム塩浴は、比較的低温であっても樹脂に影響を与えず使用可能である。イミダゾリウム塩として、1,3位にアルキル基を持つイミダゾリウムカチオンを含む塩が好ましく用いられ、特に塩化アルミニウム−1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(AlCl3−EMIC)系溶融塩が、安定性が高く分解し難いことから最も好ましく用いられる。発泡ウレタン樹脂や発泡メラミン樹脂などへのめっきが可能であり、溶融塩浴の温度は10℃から100℃、好ましくは25℃から45℃である。低温になる程めっき可能な電流密度範囲が狭くなり、樹脂成形体表面全体へのめっきが難しくなる。100℃を超える高温では基材となる樹脂成形体の形状が損なわれる不具合が生じやすい。以上の工程により骨格の芯として樹脂成形体を有するアルミニウム−樹脂構造体が得られる。

0036

(樹脂の除去)
上記のようにして得られた樹脂構造体を、窒素雰囲気下あるいは大気下等で500℃以上に加熱する熱処理を行うことで樹脂を焼失させ、アルミニウム多孔体が得られる。本発明のアルミニウム多孔体を製造するには、従来行われていたこの工程に改良を加えることが有効であることが見出された。具体的には、以下の方法が挙げられる

0037

−樹脂構造体に付着しためっき液の処理−
上記のようにして得られた、表面にアルミニウム膜を有する樹脂成形体の表面にはめっき液が付着しているため、水洗処理を行い、その後加熱処理が行われる。
この際に、めっき液を充分に液切りせずに続いて水洗処理を行うことで、骨格表面に微小な凹凸が形成されたアルミニウム多孔体を得ることができる。これは、前述の溶融塩を含むめっき液が水と反応することで熱が発生し、アルミニウム膜の表面において、アルミニウムと水が反応しベーマイトが形成されるためと考えられる。一般に、ベーマイトは450℃以上で脱水反応を起こして、微細孔を有するγ−アルミナ変態するが、本発明においても樹脂構造体から樹脂を燃焼除去する際に500℃以上の高温に曝されるため、前記のようにして生じたベーマイトがγ−アルミナに変態することで、骨格表面に微細な凹凸が形成される。
このような方法により骨格表面に微細な凹凸が形成されたアルミニウム多孔体を得るためには、樹脂構造体に付着しためっき液量が、20mL/m2〜2000mL/m2となった状態で水洗処理を行うことが好ましい。より好ましいめっき液の付着量は、200mL/m2〜2000mL/m2であり、更に好ましくは1000mL/m2〜2000mL/m2である。

0038

−樹脂構造体の水洗処理−
前記の樹脂構造体に付着しためっき液の処理において、充分にめっき液を除去した場合であっても、次のようにして骨格表面に微小な凹凸が形成されたアルミニウム多孔体を製造することができる。即ち、前述のように、表面にアルミニウム膜を有する樹脂成形体に付着しためっき液を除去するために水洗処理を行うが、この際に、樹脂構造体に付着した水を充分に除去しないで、樹脂を除去するための熱処理を行えばよい。この場合にも、樹脂構造体が加熱される工程において、80℃付近でアルミニウム膜表面においてアルミニウムと水とが反応してベーマイトが生じ、その後更に加熱されることで、ベーマイトが微細孔を有するγ−アルミナに変態すると考えられる。
このような方法により骨格表面に微細な凹凸が形成されたアルミニウム多孔体を得るためには、樹脂構造体に付着した水分量が、10mL/m2〜1000mL/m2となった状態で樹脂の燃焼除去処理を行うことが好ましい。より好ましい水分付着量は、100mL/m2〜1000mL/m2であり、更に好ましくは500mL/m2〜1000mL/m2である。

0039

−樹脂構造体からの樹脂の燃焼除去−
前記2つの方法以外にも、骨格表面に微小な凹凸が形成されたアルミニウム多孔体を製造することが可能である。即ち、前記めっき液の液切りが充分に行われ、また、その後の水洗処理により付着した水も充分に除去された場合であっても、続く樹脂の燃焼除去工程を、水分を多く含んだ露点の高い雰囲気下で行えばよい。このためには、例えば、加湿した空気を供給しながら、500℃以上に加熱する熱処理を行えばよい。この場合にも、熱処理が行われる雰囲気下に供給された水分とアルミニウムとが80℃程度で反応してベーマイトが生じ、その後更に加熱されることで、ベーマイトが微細孔を有するγ−アルミナに変態すると考えられる。
このような方法により骨格表面に微細な凹凸が形成されたアルミニウム多孔体を得るためには、樹脂の燃焼除去工程における雰囲気の露点温度を、0℃〜60℃とすることが好ましい。より好ましい露点温度は、20℃〜60℃であり、更に好ましくは40℃〜60℃である。

0040

<伝熱材料及び熱交換装置>
前記本発明のアルミニウム多孔体を伝熱材料として用いることで、比表面積が極めて大きく、熱交換効率に優れ、かつガスの圧力損失が少ない伝熱材料とすることができる。また、前記本発明のアルミニウム多孔体を伝熱材料として用いた熱交換装置は、非常に高い熱交換効率を有しているため、従来の熱交換装置に比べて小型化させることができる。

0041

熱交換装置は特に限定されるものではなく、発熱体もしくは冷却体に本発明のアルミニウム多孔体を熱的に接続させて伝熱材料として用い、これに伝えられた熱を送風等の手段により他の媒体に伝熱させる手段を備えたものであればよい。

0042

熱交換装置の一例として、半導体装置放熱材料として用いることが挙げられる。例えば、従来のいわゆるヒートシンク等の換わりに用いることができる。すなわち、発熱素子上に本発明のアルミニウム多孔体を設け、ファン等により風を当てることで、効率よく冷却することが可能となる。

0043

また、熱交換装置の別の一例としては、空調器等が挙げられる。この場合には、冷媒あるいは熱媒が通る伝熱管の表面に設けるフィンの換わりに本発明のアルミニウム多孔体を用いればよい。そして、アルミニウム多孔体にエアを送ることで、伝熱管から伝えられた熱を空気に伝熱させることができる。

0044

伝熱管の表面にアルミニウム多孔体を設ける手段は特に限定されず、例えば、アルミニウム合金粉末等を含むろう材フラックスを用いることで接合させることができる。このとき、伝熱材料として用いるアルミニウム多孔体の厚さは特に限定されず、熱交換装置の設計に応じて適宜変更すればよい。前述のめっき法による製造において出発材料として用いる前記樹脂成形体の厚さを適宜変更して作製すれば、任意の厚さのアルミニウム多孔体を得ることができる。
また、前記伝熱管の外側表面のみならず、内側表面にも本発明のアルミニウム多孔体を設置することが可能である。これにより、伝熱管内を通る冷媒(あるいは熱媒)からの熱を、より効率よく外部に伝熱することができる。

0045

以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は例示であって、本発明のアルミニウム粉末製造装置等はこれらに限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲の範囲によって示され、特許請求の範囲の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。

0046

[実施例1]
導電層の形成)
樹脂成形体として、気孔率97%、セル数10個/インチ、気孔径約2540μm、厚さ10mmのウレタン発泡体を準備し、これを80mm×50mm角に切断した。このポリウレタンフォームの表面にスパッタリングによってアルミニウムを目付量10g/m2で成膜して導電層を形成した。

0047

(溶融塩めっき)
表面に導電層を形成した前記ウレタン発泡体をワークとして、給電機能を有する治具にセットした後、アルゴン雰囲気かつ低水分(露点−30℃以下)としたグローブボックス内に入れ、温度45℃の溶融塩アルミめっき浴(33mol%EMIC−67mol%AlCl3に1,10−フェナントロリン0.5g/Lを添加したもの)に浸漬した。ワークをセットした治具を整流器陰極側に接続し、対極のアルミニウム板(純度99.99質量%)を陽極側に接続した。
電流密度6A/dm2の直流電流を60分間印加してめっきすることにより、ウレタン発泡体表面に0.15g/cm3の質量のアルミニウム膜が形成された構造体を得た。攪拌テフロン登録商標)製の回転子を用いてスターラーにて行った。なお、電流密度はウレタン発泡体の見かけ面積で計算した値である。

0048

(樹脂の除去)
上記で得られた構造体をめっき浴から取り出し、めっき液の付着量が1500mL/m2となった状態で水洗処理を行った。水洗処理後、構造体をよく乾燥させて水分付着量が6mL/m2となった状態で、露点温度−15℃の大気下にて、600℃で30分、熱処理を行った。これにより樹脂が焼失し、本発明のアルミニウム多孔体1(純度99.99質量%)が得られた。

0049

−評価−
<比表面積>
得られたアルミニウム多孔体1の比表面積を前述の静電容量法により測定した。具体的には、純度が99.99質量%で表面積が既知のアルミニウム板を複数枚用意してそれぞれの静電容量を評価し、「静電容量」対「表面積」の検量線を作成した。そして、アルミニウム多孔体の静電容量を評価することで、検量法により表面積を求めた。
結果を表1に示す。
顕微鏡観察
得られたアルミニウム多孔体1を電子顕微鏡で観察したところ、表面には微小な凹凸が無数に形成されていた。

0050

[実施例2]
実施例1によるアルミニウム多孔体の製造方法において、めっき液の付着量が10mL/m2となった状態で水洗処理を行い、その後、構造体の水分付着量が800mL/m2の状態で露点温度が−10℃の大気下にて熱処理を行った以外は実施例1と同様の方法によりアルミニウム多孔体2を得た。
実施例1と同様にして評価を行った結果を表1に示す。

0051

[実施例3]
実施例1によるアルミニウム多孔体の製造方法において、めっき液の付着量が6mL/m2となった状態で水洗処理を行い、その後、構造体の水分付着量が5mL/m2の状態で露点温度が58℃の大気下で熱処理を行った以外は実施例1と同様の方法によりアルミニウム多孔体3を得た。
実施例1と同様にして評価を行った結果を表1に示す。

0052

[実施例4]
実施例1によるアルミニウム多孔体の製造方法において、セル数が30個/インチのウレタン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にしてアルミニウム多孔体4を得た。
実施例1と同様にして評価を行った結果を表1に示す。

0053

[実施例5]
実施例2によるアルミニウム多孔体の製造方法において、セル数が30個/インチのウレタン発泡体を用いた以外は実施例2と同様にしてアルミニウム多孔体5を得た。
実施例1と同様にして評価を行った結果を表1に示す。

0054

[実施例6]
実施例3によるアルミニウム多孔体の製造方法において、セル数が30個/インチのウレタン発泡体を用いた以外は実施例3と同様にしてアルミニウム多孔体6を得た。
実施例1と同様にして評価を行った結果を表1に示す。

0055

[比較例1]
実施例1によるアルミニウム多孔体の製造方法において、めっき液の付着量が10mL/m2となった状態で水洗処理を行い、その後、構造体の水分付着量が4mL/m2の状態で露点温度が−10℃の大気下で熱処理を行った以外は、実施例1と同様の方法によりアルミニウム多孔体7を得た。
実施例1と同様にして評価を行った結果を表1に示す。

0056

[比較例2]
実施例4によるアルミニウム多孔体の製造方法において、めっき液の付着量が10mL/m2となった状態で水洗処理を行い、その後、構造体の水分付着量が4mL/m2の状態で露点温度が−10℃の大気下で熱処理を行った以外は、実施例4と同様の方法によりアルミニウム多孔体8を得た。
実施例1と同様にして評価を行った結果を表1に示す。

0057

[比較例3]
鋳造法により作製したERG社製の、Duocel(登録商標):材質A6061をアルミニウム多孔体9として用意した。
実施例1と同様にして評価を行った結果を表1に示す。

実施例

0058

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