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技術 ドレッサの研磨部材上の摺動距離分布の取得方法、ドレッサの研磨部材上の摺動ベクトル分布の取得方法、および研磨装置

出願人 株式会社荏原製作所
発明者 島野隆寛谷川睦松尾尚典山口都章渡辺和英
出願日 2013年2月22日 (7年0ヶ月経過) 出願番号 2013-033660
公開日 2014年9月8日 (5年6ヶ月経過) 公開番号 2014-161938
状態 特許登録済
技術分野 仕上研磨、刃砥ぎ、特定研削機構による研削 研削機械のドレッシング及び付属装置
主要キーワード 基板接触領域 各環状領域 接触面積比 レーザ式センサ パッド要素 揺動距離 揺動開始位置 ドレッシング領域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

精度の高い研磨部材プロファイルを取得する方法を提供する。

解決手段

本方法は、ドレッサと研磨部材との相対速度に両者の接触時間を乗算することでドレッサの摺動距離の増分を算出し、算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで摺動距離の増分を補正し、補正された摺動距離の増分を時間経過に従い繰り返し加算していくことで摺動距離を算出し、得られた摺動距離と摺動距離算出点の位置からドレッサの摺動距離分布を生成する工程を含む。上記少なくとも1つの補正係数は、摺動距離算出点について設けられた凹凸補正係数を含む。凹凸補正係数は、研磨部材の表面に形成された凸部の削れ量と凹部の削れ量との違いを研磨部材のプロファイルに反映させるための補正係数である。

概要

背景

近年、半導体デバイス高集積化が進むにつれて、回路配線微細化し、集積されるデバイスの寸法もより微細化されつつある。そこで、表面に例えば金属等の膜が形成されたウェハ研磨して、ウェハの表面を平坦化する工程が必要となっている。この平坦化法の一つとして、化学機械研磨(CMP)装置による研磨がある。化学機械研磨装置は、研磨部材研磨布研磨パッド等)と、ウェハ等の研磨対象物を保持する保持部(トップリング研磨ヘッドチャック等)とを有している。そして、研磨対象物の表面(被研磨面)を研磨部材の表面に押し当て、研磨部材と研磨対象物との間に研磨液砥液薬液スラリー、純水等)を供給しつつ、研磨部材と研磨対象物とを相対運動させることにより、研磨対象物の表面を平坦に研磨するようにしている。化学機械研磨装置による研磨によれば、化学的研磨作用機械的研磨作用により良好な研磨が行われる。

この様な化学機械研磨装置に用いられる研磨部材の材料としては、一般に発泡樹脂や不織布が用いられている。研磨部材の表面には微細な凹凸が形成されており、この微細な凹凸は、目詰まり防止研磨抵抗の低減に効果的なチップポケットとして作用する。しかし、研磨部材で研磨対象物の研磨を続けると、研磨部材表面の微細な凹凸が潰れてしまい、研磨レートの低下を引き起こす。このため、ダイヤモンド粒子などの多数の砥粒電着させたドレッサで研磨部材表面のドレッシング目立て)を行い、研磨部材表面に微細な凹凸を再形成する。

研磨部材のドレッシング方法としては、研磨部材の研磨で使用される領域と同等かそれよりも大きいドレッサ(大径ドレッサ)を使用する方法や、研磨部材の研磨で使用される領域よりも小さいドレッサ(小径ドレッサ)を使用する方法がある。大径ドレッサを使用する場合、例えばドレッサの位置を固定してドレッサを回転させながら、砥粒が電着されているドレッシング面を回転している研磨部材に押し付けてドレッシングする。小径ドレッサを使用する場合、例えば回転するドレッサを移動(円弧状や直線状に往復運動揺動)させながら、ドレッシング面を回転している研磨部材に押し付けてドレッシングする。なおこのように研磨部材を回転させながらドレッシングする場合、研磨部材の全表面のうち実際に研磨のために使用される領域は研磨部材の回転中心を中心とする円環形状の領域である。

研磨部材のドレッシングの際に、微量ではあるが研磨部材の表面が削り取られる。したがって、適切にドレッシングが行われないと研磨部材の表面に不適切うねりが生じ、被研磨面内で研磨レートのばらつきが生じるという不都合がある。研磨レートのばらつきは、研磨不良の原因となるため、研磨部材の表面に不適切なうねりを生じさせないようなドレッシングを行う必要がある。即ち、研磨部材の適切な回転速度、ドレッサの適切な回転速度、適切なドレッシング荷重、小径ドレッサの場合はドレッサの適切な移動速度といった、適切なドレッシング条件でドレッシングを行うことで研磨レートのばらつきを回避している。

概要

精度の高い研磨部材のプロファイルを取得する方法を提供する。本方法は、ドレッサと研磨部材との相対速度に両者の接触時間を乗算することでドレッサの摺動距離の増分を算出し、算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで摺動距離の増分を補正し、補正された摺動距離の増分を時間経過に従い繰り返し加算していくことで摺動距離を算出し、得られた摺動距離と摺動距離算出点の位置からドレッサの摺動距離分布を生成する工程を含む。上記少なくとも1つの補正係数は、摺動距離算出点について設けられた凹凸補正係数を含む。凹凸補正係数は、研磨部材の表面に形成された凸部の削れ量と凹部の削れ量との違いを研磨部材のプロファイルに反映させるための補正係数である。

目的

本発明は、改良されたパッドドレッシングシミュレーションによってより精度の高い研磨部材のプロファイルを取得する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

基板研磨するための研磨部材上を摺動するドレッサ摺動距離分布を取得する方法であって、前記研磨部材上の所定の摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との相対速度を計算し、前記相対速度に、前記摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との接触時間を乗算することで前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離の増分を算出し、前記算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで前記摺動距離の増分を補正し、前記補正された摺動距離の増分を、前記摺動距離算出点での現在の摺動距離に加えることで前記摺動距離を更新し、前記更新された摺動距離と、前記摺動距離算出点の位置から前記ドレッサの摺動距離分布を生成する工程を含み、前記少なくとも1つの補正係数は、前記摺動距離算出点について設けられた凹凸補正係数を含み、前記凹凸補正係数は、前記研磨部材の表面に形成された凸部の削れ量と凹部の削れ量との違いを前記研磨部材のプロファイルに反映させるための補正係数であり、前記凹凸補正係数を前記摺動距離の増分に乗算することで該摺動距離の増分を補正することを特徴とする方法。

請求項2

前記凹凸補正係数は、前記ドレッサに接触している複数の摺動距離算出点での摺動距離の平均を算出し、前記ドレッサに接触している前記所定の摺動距離算出点での前記摺動距離から前記平均を減算することで差分を算出し、前記差分を所定の関数に入力することにより決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項3

前記少なくとも1つの補正係数は、予め定められた摩擦補正係数をさらに含み、前記相対速度の計算から前記摺動距離の増分の補正までのステップを繰り返し行う間に、前記摺動距離算出点において前記ドレッサが前記研磨部材に所定回数以上接触した場合には、前記摺動距離の増分に前記摩擦補正係数を乗算することにより前記摺動距離の増分をさらに補正することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記少なくとも1つの補正係数は、基板摺動距離補正係数をさらに含み、前記基板摺動距離補正係数は、前記摺動距離算出点での基板の前記研磨部材上の摺動距離を算出し、前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離に対する前記基板の摺動距離の比を算出し、前記比を所定の関数に入力することにより決定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

前記研磨部材上の基板接触領域に対するドレッサ接触領域の割合を表す表面ドレス率を算出する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

前記表面ドレス率が所定の目標値以上となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。

請求項7

前記研磨部材上の基板接触領域内での前記ドレッサの摺動距離のばらつきを示す指標を算出する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

前記ドレッサの摺動距離のばらつきを示す指標が所定の目標値以下となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。

請求項9

研磨部材を支持する研磨テーブルと、前記研磨部材に基板を押し付けて該基板を研磨する基板保持部と、前記研磨部材をドレッシングするドレッサと、前記研磨部材上を摺動する前記ドレッサの摺動距離分布を取得するドレッシング監視装置とを備え、前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の所定の摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との相対速度を計算し、前記相対速度に、前記摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との接触時間を乗算することで前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離の増分を算出し、前記算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで前記摺動距離の増分を補正し、前記補正された摺動距離の増分を、前記摺動距離算出点での現在の摺動距離に加えることで前記摺動距離を更新し、前記更新された摺動距離と、前記摺動距離算出点の位置から前記ドレッサの摺動距離分布を生成する工程を含み、前記少なくとも1つの補正係数は、前記摺動距離算出点について設けられた凹凸補正係数を含み、前記凹凸補正係数は、前記研磨部材の表面に形成された凸部の削れ量と凹部の削れ量との違いを前記研磨部材のプロファイルに反映させるための補正係数であり、前記凹凸補正係数を前記摺動距離の増分に乗算することで該摺動距離の増分を補正することを特徴とする研磨装置

請求項10

前記ドレッシング監視装置は、前記ドレッサに接触している複数の摺動距離算出点での摺動距離の平均を算出し、前記ドレッサに接触している前記所定の摺動距離算出点での前記摺動距離から前記平均を減算することで差分を算出し、前記差分を所定の関数に入力することにより前記凹凸補正係数を決定することを特徴とする請求項9に記載の研磨装置。

請求項11

前記少なくとも1つの補正係数は、予め定められた摩擦補正係数をさらに含み、前記相対速度の計算から前記摺動距離の増分の補正までのステップを繰り返し行う間に、前記摺動距離算出点において前記ドレッサが前記研磨部材に所定回数以上接触した場合には、前記ドレッシング監視装置は、前記摺動距離の増分に前記摩擦補正係数を乗算することにより前記摺動距離の増分をさらに補正することを特徴とする請求項9または10に記載の研磨装置。

請求項12

前記少なくとも1つの補正係数は、基板摺動距離補正係数をさらに含み、前記ドレッシング監視装置は、前記摺動距離算出点での基板の前記研磨部材上の摺動距離を算出し、前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離に対する前記基板の摺動距離の比を算出し、前記比を所定の関数に入力することにより前記基板摺動距離補正係数を決定することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の研磨装置。

請求項13

前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の基板接触領域に対するドレッサ接触領域の割合を表す表面ドレス率を算出する工程をさらに実行することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の研磨装置。

請求項14

前記ドレッシング監視装置は、前記表面ドレス率が所定の目標値以上となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに実行することを特徴とする請求項13に記載の研磨装置。

請求項15

前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の基板接触領域内での前記ドレッサの摺動距離のばらつきを示す指標を算出する工程をさらに実行することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の研磨装置。

請求項16

前記ドレッシング監視装置は、前記ドレッサの摺動距離のばらつきを示す指標が所定の目標値以下となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに実行することを特徴とする請求項15に記載の研磨装置。

請求項17

研磨部材上を摺動するドレッサの摺動ベクトル分布を取得する方法であって、前記研磨部材上の摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との相対速度を計算し、前記相対速度に、前記摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との接触時間を乗算することで前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離の増分を算出し、前記算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで前記摺動距離の増分を補正し、前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動方向を算出し、前記算出された摺動方向から、予め設定された複数の摺動方向のいずれかを選択し、前記補正された摺動距離の増分を前記摺動距離算出点での前記選択された方向に関連付けられた現在の摺動距離に加えて前記摺動距離を更新することで摺動ベクトルを生成し、前記摺動ベクトルと、前記摺動距離算出点の位置から前記ドレッサの摺動ベクトル分布を生成することを特徴とする方法。

請求項18

前記研磨部材上の基板接触領域内での前記摺動ベクトルのばらつきを示す指標を算出する工程をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。

請求項19

前記摺動ベクトルのばらつきを示す指標が所定の目標値以下となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。

請求項20

前記研磨部材上の基板接触領域内での前記摺動ベクトルの直交性を示す指標を算出する工程をさらに含むことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載の方法。

請求項21

前記摺動ベクトルの直交性を示す指標が所定の目標値以上となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。

請求項22

研磨部材を支持する研磨テーブルと、前記研磨部材に基板を押し付けて該基板を研磨する基板保持部と、前記研磨部材をドレッシングするドレッサと、前記研磨部材上を摺動する前記ドレッサの摺動ベクトル分布を取得するドレッシング監視装置とを備え、前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の所定の摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との相対速度を計算し、前記相対速度に、前記摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との接触時間を乗算することで前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離の増分を算出し、前記算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで前記摺動距離の増分を補正し、前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動方向を算出し、前記算出された摺動方向から、予め設定された複数の摺動方向のいずれかを選択し、前記補正された摺動距離の増分を前記摺動距離算出点での前記選択された方向に関連付けられた現在の摺動距離に加えて前記摺動距離を更新することで摺動ベクトルを生成し、前記摺動ベクトルと、前記摺動距離算出点の位置から前記ドレッサの摺動ベクトル分布を生成することを特徴とする研磨装置。

請求項23

前記ドレッシング監視装置は、前記複数の摺動距離算出点での前記摺動ベクトルのばらつきを示す指標を算出する工程をさらに実行することを特徴とする請求項22に記載の研磨装置。

請求項24

前記ドレッシング監視装置は、前記摺動ベクトルのばらつきを示す指標が所定の目標値以下となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに実行することを特徴とする請求項22に記載の研磨装置。

請求項25

前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の基板接触領域内での前記摺動ベクトルの直交性を示す指標を算出する工程をさらに実行することを特徴とする請求項22乃至24のいずれか一項に記載の研磨装置。

請求項26

前記ドレッシング監視装置は、前記摺動ベクトルの直交性を示す指標が所定の目標値以上となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに実行することを特徴とする請求項25に記載の研磨装置。

技術分野

0001

本発明は、ウェハ等の研磨対象物の表面を研磨する研磨装置に使用される研磨部材プロファイルを取得するための方法に関し、特にドレッシングシミュレーションによってドレッサの研磨部材上の摺動距離分布を取得する方法に関する。
また、本発明は、研磨部材のドレッシングの評価に使用することができるドレッサの摺動ベクトル分布を取得する方法に関する。
さらに、本発明は、上記方法を実行することができる研磨装置に関する。

背景技術

0002

近年、半導体デバイス高集積化が進むにつれて、回路配線微細化し、集積されるデバイスの寸法もより微細化されつつある。そこで、表面に例えば金属等の膜が形成されたウェハを研磨して、ウェハの表面を平坦化する工程が必要となっている。この平坦化法の一つとして、化学機械研磨(CMP)装置による研磨がある。化学機械研磨装置は、研磨部材(研磨布研磨パッド等)と、ウェハ等の研磨対象物を保持する保持部(トップリング研磨ヘッドチャック等)とを有している。そして、研磨対象物の表面(被研磨面)を研磨部材の表面に押し当て、研磨部材と研磨対象物との間に研磨液砥液薬液スラリー、純水等)を供給しつつ、研磨部材と研磨対象物とを相対運動させることにより、研磨対象物の表面を平坦に研磨するようにしている。化学機械研磨装置による研磨によれば、化学的研磨作用機械的研磨作用により良好な研磨が行われる。

0003

この様な化学機械研磨装置に用いられる研磨部材の材料としては、一般に発泡樹脂や不織布が用いられている。研磨部材の表面には微細な凹凸が形成されており、この微細な凹凸は、目詰まり防止研磨抵抗の低減に効果的なチップポケットとして作用する。しかし、研磨部材で研磨対象物の研磨を続けると、研磨部材表面の微細な凹凸が潰れてしまい、研磨レートの低下を引き起こす。このため、ダイヤモンド粒子などの多数の砥粒電着させたドレッサで研磨部材表面のドレッシング(目立て)を行い、研磨部材表面に微細な凹凸を再形成する。

0004

研磨部材のドレッシング方法としては、研磨部材の研磨で使用される領域と同等かそれよりも大きいドレッサ(大径ドレッサ)を使用する方法や、研磨部材の研磨で使用される領域よりも小さいドレッサ(小径ドレッサ)を使用する方法がある。大径ドレッサを使用する場合、例えばドレッサの位置を固定してドレッサを回転させながら、砥粒が電着されているドレッシング面を回転している研磨部材に押し付けてドレッシングする。小径ドレッサを使用する場合、例えば回転するドレッサを移動(円弧状や直線状に往復運動揺動)させながら、ドレッシング面を回転している研磨部材に押し付けてドレッシングする。なおこのように研磨部材を回転させながらドレッシングする場合、研磨部材の全表面のうち実際に研磨のために使用される領域は研磨部材の回転中心を中心とする円環形状の領域である。

0005

研磨部材のドレッシングの際に、微量ではあるが研磨部材の表面が削り取られる。したがって、適切にドレッシングが行われないと研磨部材の表面に不適切うねりが生じ、被研磨面内で研磨レートのばらつきが生じるという不都合がある。研磨レートのばらつきは、研磨不良の原因となるため、研磨部材の表面に不適切なうねりを生じさせないようなドレッシングを行う必要がある。即ち、研磨部材の適切な回転速度、ドレッサの適切な回転速度、適切なドレッシング荷重、小径ドレッサの場合はドレッサの適切な移動速度といった、適切なドレッシング条件でドレッシングを行うことで研磨レートのばらつきを回避している。

先行技術

0006

特開2010−76049号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ドレッシング条件は、ドレッシングされた研磨部材のプロファイル(研磨面の断面形状)に基づいて調整される。研磨部材のプロファイルは、実際に研磨部材をドレッシングし、マイクロメータなどの厚さ測定器を用いて複数の測定点での研磨部材の厚さ(または研磨部材の表面高さ)を測定することで、研磨部材のプロファイルを取得する必要がある。しかしながら、このような実際の測定に基づく研磨部材のプロファイルの取得は時間がかかる作業であり、コストが掛かる。

0008

研磨部材のドレッシングを評価する指標としては、研磨部材のプロファイルおよびカットレートが挙げられる。研磨部材のプロファイルは、研磨部材の研磨面の半径方向に沿った断面形状を表し、研磨部材のカットレートは単位時間当たりにドレッサによって削り取られる研磨部材の量(厚さ)を表す。これらプロファイルおよびカットレートは、研磨部材の半径方向に沿った摺動距離分布によって推定することができる。

0009

特許文献1に示すように、実際に研磨部材をドレッシングすることなく、パッドドレッシングシミュレーションにより研磨部材のプロファイルを取得する方法がある。本発明は、改良されたパッドドレッシングシミュレーションによってより精度の高い研磨部材のプロファイルを取得する方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、研磨部材のドレッシングを評価するための新たな指標を作成する方法を提供することを第2の目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上述した目的を達成するために、本発明の第1の態様は、基板を研磨するための研磨部材上を摺動するドレッサの摺動距離分布を取得する方法であって、前記研磨部材上の所定の摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との相対速度を計算し、前記相対速度に、前記摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との接触時間を乗算することで前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離の増分を算出し、前記算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで前記摺動距離の増分を補正し、前記補正された摺動距離の増分を、前記摺動距離算出点での現在の摺動距離に加えることで前記摺動距離を更新し、前記更新された摺動距離と、前記摺動距離算出点の位置から前記ドレッサの摺動距離分布を生成する工程を含み、前記少なくとも1つの補正係数は、前記摺動距離算出点について設けられた凹凸補正係数を含み、前記凹凸補正係数は、前記研磨部材の表面に形成された凸部の削れ量と凹部の削れ量との違いを前記研磨部材のプロファイルに反映させるための補正係数であり、前記凹凸補正係数を前記摺動距離の増分に乗算することで該摺動距離の増分を補正することを特徴とする。

0011

本発明の好ましい態様は、前記凹凸補正係数は、前記ドレッサに接触している複数の摺動距離算出点での摺動距離の平均を算出し、前記ドレッサに接触している前記所定の摺動距離算出点での前記摺動距離から前記平均を減算することで差分を算出し、前記差分を所定の関数に入力することにより決定されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記少なくとも1つの補正係数は、予め定められた摩擦補正係数をさらに含み、前記相対速度の計算から前記摺動距離の増分の補正までのステップを繰り返し行う間に、前記摺動距離算出点において前記ドレッサが前記研磨部材に所定回数以上接触した場合には、前記摺動距離の増分に前記摩擦補正係数を乗算することにより前記摺動距離の増分をさらに補正することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記少なくとも1つの補正係数は、基板摺動距離補正係数をさらに含み、前記基板摺動距離補正係数は、前記摺動距離算出点での基板の前記研磨部材上の摺動距離を算出し、前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離に対する前記基板の摺動距離の比を算出し、前記比を所定の関数に入力することにより決定されることを特徴とする。

0012

本発明の好ましい態様は、前記研磨部材上の基板接触領域に対するドレッサ接触領域の割合を表す表面ドレス率を算出する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記表面ドレス率が所定の目標値以上となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨部材上の基板接触領域内での前記ドレッサの摺動距離のばらつきを示す指標を算出する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッサの摺動距離のばらつきを示す指標が所定の目標値以下となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに含むことを特徴とする。

0013

本発明の第2の態様は、研磨部材を支持する研磨テーブルと、前記研磨部材に基板を押し付けて該基板を研磨する基板保持部と、前記研磨部材をドレッシングするドレッサと、前記研磨部材上を摺動する前記ドレッサの摺動距離分布を取得するドレッシング監視装置とを備え、前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の所定の摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との相対速度を計算し、前記相対速度に、前記摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との接触時間を乗算することで前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離の増分を算出し、前記算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで前記摺動距離の増分を補正し、前記補正された摺動距離の増分を、前記摺動距離算出点での現在の摺動距離に加えることで前記摺動距離を更新し、前記更新された摺動距離と、前記摺動距離算出点の位置から前記ドレッサの摺動距離分布を生成する工程を含み、前記少なくとも1つの補正係数は、前記摺動距離算出点について設けられた凹凸補正係数を含み、前記凹凸補正係数は、前記研磨部材の表面に形成された凸部の削れ量と凹部の削れ量との違いを前記研磨部材のプロファイルに反映させるための補正係数であり、前記凹凸補正係数を前記摺動距離の増分に乗算することで該摺動距離の増分を補正することを特徴とする研磨装置である。

0014

本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記ドレッサに接触している複数の摺動距離算出点での摺動距離の平均を算出し、前記ドレッサに接触している前記所定の摺動距離算出点での前記摺動距離から前記平均を減算することで差分を算出し、前記差分を所定の関数に入力することにより前記凹凸補正係数を決定することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記少なくとも1つの補正係数は、予め定められた摩擦補正係数をさらに含み、前記相対速度の計算から前記摺動距離の増分の補正までのステップを繰り返し行う間に、前記摺動距離算出点において前記ドレッサが前記研磨部材に所定回数以上接触した場合には、前記ドレッシング監視装置は、前記摺動距離の増分に前記摩擦補正係数を乗算することにより前記摺動距離の増分をさらに補正することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記少なくとも1つの補正係数は、基板摺動距離補正係数をさらに含み、前記ドレッシング監視装置は、前記摺動距離算出点での基板の前記研磨部材上の摺動距離を算出し、前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離に対する前記基板の摺動距離の比を算出し、前記比を所定の関数に入力することにより前記基板摺動距離補正係数を決定することを特徴とする。

0015

本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の基板接触領域に対するドレッサ接触領域の割合を表す表面ドレス率を算出する工程をさらに実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記表面ドレス率が所定の目標値以上となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の基板接触領域内での前記ドレッサの摺動距離のばらつきを示す指標を算出する工程をさらに実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記ドレッサの摺動距離のばらつきを示す指標が所定の目標値以下となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに実行することを特徴とする。

0016

本発明の第3の態様は、基板を研磨するための研磨部材上を摺動するドレッサの摺動ベクトル分布を取得する方法であって、前記研磨部材上の所定の摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との相対速度を計算し、前記相対速度に、前記摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との接触時間を乗算することで前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離の増分を算出し、前記算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで前記摺動距離の増分を補正し、前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動方向を算出し、前記算出された摺動方向から、予め設定された複数の摺動方向のいずれかを選択し、前記補正された摺動距離の増分を前記摺動距離算出点での前記選択された方向に関連付けられた現在の摺動距離に加えて前記摺動距離を更新することで摺動ベクトルを生成し、前記摺動ベクトルと、前記摺動距離算出点の位置から前記ドレッサの摺動ベクトル分布を生成することを特徴とする。

0017

本発明の好ましい態様は、前記研磨部材上の基板接触領域内での前記摺動ベクトルのばらつきを示す指標を算出する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記摺動ベクトルのばらつきを示す指標が所定の目標値以下となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨部材上の基板接触領域内での前記摺動ベクトルの直交性を示す指標を算出する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記摺動ベクトルの直交性を示す指標が所定の目標値以上となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに含むことを特徴とする。

0018

本発明の第4の態様は、研磨部材を支持する研磨テーブルと、前記研磨部材に基板を押し付けて該基板を研磨する基板保持部と、前記研磨部材をドレッシングするドレッサと、前記研磨部材上を摺動する前記ドレッサの摺動ベクトル分布を取得するドレッシング監視装置とを備え、前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の所定の摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との相対速度を計算し、前記相対速度に、前記摺動距離算出点での前記ドレッサと前記研磨部材との接触時間を乗算することで前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動距離の増分を算出し、前記算出された摺動距離の増分に、少なくとも1つの補正係数を乗算することで前記摺動距離の増分を補正し、前記摺動距離算出点での前記ドレッサの摺動方向を算出し、前記算出された摺動方向から、予め設定された複数の摺動方向のいずれかを選択し、前記補正された摺動距離の増分を前記摺動距離算出点での前記選択された方向に関連付けられた現在の摺動距離に加えて前記摺動距離を更新することで摺動ベクトルを生成し、前記摺動ベクトルと、前記摺動距離算出点の位置から前記ドレッサの摺動ベクトル分布を生成することを特徴とする研磨装置である。

0019

本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記複数の摺動距離算出点での前記摺動ベクトルのばらつきを示す指標を算出する工程をさらに実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記摺動ベクトルのばらつきを示す指標が所定の目標値以下となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記研磨部材上の基板接触領域内での前記摺動ベクトルの直交性を示す指標を算出する工程をさらに実行することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ドレッシング監視装置は、前記摺動ベクトルの直交性を示す指標が所定の目標値以上となるためのドレッシング条件を決定する工程をさらに実行することを特徴とする。

発明の効果

0020

研磨部材(例えば、研磨パッド)の表面凹凸がある場合、凸部は優先的にドレッサによって削られ、凹部は削られにくい。本発明の第1および第2の態様によれば、このような表面凹凸の影響が摺動距離の算出に反映される。表面凹凸は、ドレッサの摺動距離から推定することができる。具体的には、ドレッサの摺動距離が長い箇所は凹部を形成し、ドレッサの摺動距離が短い箇所は凸部を形成する。本発明によれば、ドレッサの摺動距離が長い算出点(すなわち凹部)では摺動距離の増分を少なく補正し、摺動距離が短い算出点(すなわち凸部)では摺動距離の増分を多く補正する。したがって、研磨部材の表面凹凸を反映した正確な摺動距離分布を取得することができる。研磨部材のプロファイルは摺動距離分布から推定することができる。

0021

本発明の第3および第4の態様によれば、研磨部材のドレッシングを評価する指標として、ドレッサの摺動ベクトル分布が取得される。この摺動ベクトルは、ドレッサの摺動距離のみならず、ドレッサの摺動方向を表す。この摺動方向はドレッサが研磨部材の研磨面上に筋(スクラッチ)を形成する仕方に影響を与える。このような筋(スクラッチ)は研磨部材上での研磨液の流れ方や研磨液の滞留時間などに影響を与えると考えられる。したがって、得られた摺動ベクトル分布から研磨部材のドレッシング評価をより正確に行うことができる。

図面の簡単な説明

0022

ウェハなどの基板を研磨する研磨装置を示す模式図である。
ドレッサおよび研磨パッドを模式的に示す平面図である。
図3(a)乃至図3(c)は、それぞれドレッシング面の例を示す図である。
研磨パッド上のドレッサの摺動距離の分布の一例を示す図である。
摺動距離分布の取得方法を示すフローチャートである。
研磨パッド上に定義された複数の摺動距離算出点を示す図である。
研磨パッドの研磨面にうねりがある場合のドレッシングを示す図である。
ドレッシング面が研磨パッドに接触する領域での摺動距離分布を2次元で表した図である。
ドレッサが傾いている様子を示す図である。
図10(a)は、直径740mmの研磨パッドを直径100mmのドレッサで研磨する際に、ドレッサの外周端が最大で研磨パッドから25mmはみ出した場合の様子を示す平面図であり、図10(b)は、研磨パッドの中心とドレッサの中心を通る直線上のドレッシング圧力分布を示した図である。
図11(a)は、ドレッサが研磨パッドからはみ出したときのドレッシング圧力分布の傾き(規格化傾き)を示すグラフであり、図11(b)は規格化y切片を示すグラフである。
摺動距離の分布を示す図である。
研磨パッドの半径方向に沿って並ぶ摺動距離算出点での摺動ベクトルを示す図である。
図13のドレッシング条件に比べてより高速で研磨テーブルを回転させ、より低速でドレッサを回転させたときの摺動ベクトルを示す図である。
図13に示す摺動ベクトルが取得されたドレッシング条件下での研磨パッドの研磨面の状態を模式化した図である。
図14に示す摺動ベクトルが取得されたドレッシング条件下での研磨パッドの研磨面の状態を模式化した図である。
研磨パッドの研磨面上に予め定義された複数の同心状の環状領域を示す図である。
複数の環状領域のそれぞれでの平均摺動ベクトルを示す図である。
図19(a)乃至図19(c)は、摺動ベクトルの直交性指標の算出方法を説明する図である。

実施例

0023

以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、ウェハなどの基板を研磨する研磨装置を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド(研磨部材)10を保持する研磨テーブル9と、ウェハWを研磨するための研磨ユニット1と、研磨パッド10上に研磨液を供給する研磨液供給ノズル4と、ウェハWの研磨に使用される研磨パッド10をドレッシング(コンディショニング)するドレッシングユニット2とを備えている。研磨ユニット1およびドレッシングユニット2は、ベース3上に設置されている。

0024

研磨ユニット1は、トップリングシャフト18の下端に連結されたトップリング(基板保持部)20を備えている。トップリング20は、その下面にウェハWを真空吸着により保持するように構成されている。トップリングシャフト18は、図示しないモータの駆動により回転し、このトップリングシャフト18の回転により、トップリング20およびウェハWが回転する。トップリングシャフト18は、図示しない上下動機構(例えば、サーボモータおよびボールねじなどから構成される)により研磨パッド10に対して上下動するようになっている。

0025

研磨テーブル9は、その下方に配置されるモータ13に連結されている。研磨テーブル9は、その軸心まわりにモータ13によって回転される。研磨テーブル9の上面には研磨パッド10が貼付されており、研磨パッド10の上面がウェハWを研磨する研磨面10aを構成している。

0026

ウェハWの研磨は次のようにして行われる。トップリング20および研磨テーブル9をそれぞれ回転させ、研磨パッド10上に研磨液を供給する。この状態で、ウェハWを保持したトップリング20を下降させ、さらにトップリング20内に設置されたエアバッグからなる加圧機構(図示せず)によりウェハWを研磨パッド10の研磨面10aに押し付ける。ウェハWと研磨パッド10とは研磨液の存在下で互いに摺接され、これによりウェハWの表面が研磨され、平坦化される。

0027

ドレッシングユニット2は、研磨パッド10の研磨面10aに接触するドレッサ5と、ドレッサ5に連結されたドレッサ軸16と、ドレッサ軸16の上端に設けられたエアシリンダ19と、ドレッサ軸16を回転自在に支持するドレッサアーム17とを備えている。ドレッサ5の下面にはダイヤモンド粒子などの砥粒が固定されている。ドレッサ5の下面は、研磨パッド10をドレッシングするドレッシング面を構成する。

0028

ドレッサ軸16およびドレッサ5は、ドレッサアーム17に対して上下動可能となっている。エアシリンダ19は、研磨パッド10へのドレッシング荷重をドレッサ5に付与する装置である。ドレッシング荷重は、エアシリンダ19に供給される空気圧により調整することができる。

0029

ドレッサアーム17はモータ56に駆動されて、支軸58を中心として揺動するように構成されている。ドレッサ軸16は、ドレッサアーム17内に設置された図示しないモータにより回転し、このドレッサ軸16の回転により、ドレッサ5がその軸心まわりに回転する。エアシリンダ19は、ドレッサ軸16を介してドレッサ5を所定の荷重で研磨パッド10の研磨面10aに押圧する。

0030

研磨パッド10の研磨面10aのコンディショニングは次のようにして行われる。研磨テーブル9および研磨パッド10をモータ13により回転させ、図示しないドレッシング液供給ノズルからドレッシング液(例えば、純水)を研磨パッド10の研磨面10aに供給する。さらに、ドレッサ5をその軸心まわりに回転させる。ドレッサ5はエアシリンダ19により研磨面10aに押圧され、ドレッサ5の下面(ドレッシング面)を研磨面10aに摺接させる。この状態で、ドレッサアーム17を旋回させ、研磨パッド10上のドレッサ5を研磨パッド10の略半径方向に揺動させる。研磨パッド10は、回転するドレッサ5により削り取られ、これにより研磨面10aのコンディショニングが行われる。

0031

ドレッサアーム17には、研磨面10aの高さを測定するパッド高さセンサ40が固定されている。また、ドレッサ軸16には、パッド高さセンサ40に対向してセンサターゲット41が固定されている。センサターゲット41は、ドレッサ軸16およびドレッサ5と一体に上下動し、一方、パッド高さセンサ40の上下方向の位置は固定されている。パッド高さセンサ40は変位センサであり、センサターゲット41の変位を測定することで、研磨面10aの高さ(研磨パッド10の厚さ)を間接的に測定することができる。センサターゲット41はドレッサ5に連結されているので、パッド高さセンサ40は、研磨パッド10のコンディショニング中に研磨面10aの高さを測定することができる。

0032

パッド高さセンサ40は、研磨面10aに接するドレッサ5の上下方向の位置から研磨面10aを間接的に測定する。したがって、ドレッサ5の下面(ドレッシング面)が接触している研磨面10aの高さの平均がパッド高さセンサ40によって測定される。パッド高さセンサ40としては、リニアスケール式センサ、レーザ式センサ超音波センサ、または渦電流式センサなどのあらゆるタイプのセンサを用いることができる。

0033

パッド高さセンサ40は、ドレッシング監視装置60に接続されており、パッド高さセンサ40の出力信号(すなわち、研磨面10aの高さの測定値)がドレッシング監視装置60に送られるようになっている。ドレッシング監視装置60は、研磨面10aの高さの測定値から、研磨パッド10のプロファイル(研磨面10aの断面形状)を取得し、さらに研磨パッド10のコンディショニングが正しく行われているか否かを判定する機能を備えている。

0034

研磨装置は、研磨テーブル9および研磨パッド10の回転角度を測定するテーブルロタリエンコーダ31と、ドレッサ5の旋回角度を測定するドレッサロータリエンコーダ32とを備えている。これらテーブルロータリエンコーダ31およびドレッサロータリエンコーダ32は、角度の絶対値を測定するアブソリュートエンコーダである。これらのロータリエンコーダ31,32はドレッシング監視装置60に接続されており、ドレッシング監視装置60はパッド高さセンサ40による研磨面10aの高さ測定時における、研磨テーブル9および研磨パッド10の回転角度、さらにはドレッサ5の旋回角度を取得することができる。

0035

ドレッサ5は、自在継ぎ手15を介してドレッサ軸16に連結されている。ドレッサ軸16は図示しないモータに連結されている。ドレッサ軸16はドレッサアーム17に回転自在に支持されており、このドレッサアーム17により、ドレッサ5は研磨パッド10に接触しながら、図2に示すように研磨パッド10の半径方向に揺動するようになっている。自在継ぎ手15は、ドレッサ5の傾動許容しつつ、ドレッサ軸16の回転をドレッサ5に伝達するように構成されている。ドレッサ5、自在継ぎ手15、ドレッサ軸16、ドレッサアーム17、および図示しない回転機構などにより、ドレッシングユニット2が構成されている。このドレッシングユニット2には、ドレッサ5の摺動距離をシミュレーションにより求めるドレッシング監視装置60が電気的に接続されている。このドレッシング監視装置60としては、専用または汎用コンピュータを用いることができる。

0036

ドレッサ5の下面にはダイヤモンド粒子などの砥粒が固定されている。この砥粒が固定されている部分が、研磨パッド10の研磨面をドレッシングするドレッシング面を構成している。図3(a)乃至図3(c)は、それぞれドレッシング面の例を示す図である。図3(a)に示す例では、ドレッサ5の下面全体に砥粒が固定されており、円形のドレッシング面が形成されている。図3(b)に示す例では、ドレッサ5の下面の周縁部に砥粒が固定されており、リング状のドレッシング面が形成されている。図3(c)に示す例では、ドレッサ5の中心まわりに略等間隔に配列された複数の小径ペレットの表面に砥粒が固定されており、複数の円形のドレッシング面が形成されている。

0037

研磨パッド10をドレッシングするときは、図1に示すように、研磨パッド10を矢印の方向に所定の回転速度で回転させ、ドレッサ5を図示しない回転機構によって矢印の方向に所定の回転速度で回転させる。そして、この状態で、ドレッサ5のドレッシング面(砥粒が配置された面)を研磨パッド10に所定のドレッシング荷重で押圧して研磨パッド10のドレッシングを行う。また、ドレッサアーム17によってドレッサ5が研磨パッド10上を揺動することによって、研磨パッド10の研磨で使用される領域(研磨領域、即ちウェハ等の研磨対象物を研磨する領域)をドレッシングすることができる。

0038

ドレッサ5が自在継ぎ手15を介してドレッサ軸16に連結されているので、ドレッサ軸16が研磨パッド10の表面に対して少し傾いていても、ドレッサ5のドレッシング面は研磨パッド10に適切に当接する。研磨パッド10の上方には、研磨パッド10の表面粗さを測定するパッド粗さ測定器35が配置されている。このパッド粗さ測定器35としては、光学式などの公知の非接触型の表面粗さ測定器を使用することができる。パッド粗さ測定器35はドレッシング監視装置60に接続されており、研磨パッド10の表面粗さの測定値がドレッシング監視装置60に送られるようになっている。

0039

次に、ドレッサ5の揺動について図2を参照して説明する。ドレッサアーム17は、点Jを中心として時計回りおよび反時計回りに所定の角度だけ旋回する。この点Jの位置は図1に示す支軸58の中心位置に相当する。そして、ドレッサアーム17の旋回により、ドレッサ5の中心は、円弧Lで示す範囲で研磨パッド10の半径方向に揺動する。

0040

ここで、例えばドレッサ5の下面全体に砥粒を配置したタイプのドレッサの場合(すなわち図3(a)の例の場合)、ドレッサ5の揺動速度が円弧Lの全領域にわたって一定であると、研磨パッド10上のドレッサ5の摺動距離の分布は図4のようになる。なお、図4に示す摺動距離分布は、ドレッサ5の摺動距離の、研磨パッド10の半径方向に沿った分布である。また、図4の“規格化摺動距離”とは摺動距離の値を摺動距離の平均値で除したものである。研磨パッド10の削れ量分布とドレッサ5の摺動距離分布との間には略比例関係があると考えられる。したがって、摺動距離分布から研磨パッド10のプロファイルを推定することができる。

0041

一般に、研磨パッド10のウェハに当接する領域内において、ドレッサ5による研磨パッド10の削れ量分布が略均一であると、研磨パッド10の研磨面10aが平坦になり、その結果、ウェハの被研磨面内での研磨速度(即ち除去レート)のばらつきが小さくなる。研磨パッド10の削れ量分布とドレッサ5の摺動距離分布との間には略比例関係があると考えられるので、図4のような摺動距離分布の場合、ウェハの被研磨面内での除去レートのばらつきが大きくなって好ましくない。

0042

このような事態を回避するために、ドレッサ5の揺動速度を円弧Lの場所によって変えることが行われる。例えば、円弧Lを幾つかの揺動区間に分割し、表1に示すように、その揺動区間ごとにドレッサ5の揺動速度を決定する。

0043

ここで、ドレッシング時の研磨パッド10の回転速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッシング荷重、ドレッサ5の揺動区間、ドレッサ5の揺動速度などの組み合わせを、ドレッシング条件(またはドレッシングレシピ)と呼ぶ。もちろん、ドレッシング時間、揺動範囲(円弧Lの長さ)や、旋回半径R(ドレッサアーム17の旋回中心点Jからドレッサ5の中心までの距離)もドレッシング条件に含んでも良い。なお、上記“揺動区間”とは“揺動範囲(円弧Lの長さ)”を研磨パッド10の半径方向に複数に分割した区間を意味する。ドレッシング条件を実験的に決定するには多くの時間と労力が必要であったが、研磨パッド10の研磨面上の各点におけるドレッサ5の摺動距離がドレッサ5による研磨パッド10の削れ量と密接な関係にあることを利用することで、ドレッサ5の摺動距離分布を求め、ドレッシング条件を決定することができる。

0044

ここで、ドレッサ5の摺動距離について説明する。ドレッサ5の摺動距離とは、ドレッサ5のドレッシング面が、研磨パッド10の表面(研磨面10a)上のある点を摺動する距離である。例えば、研磨パッド10とドレッサ5のいずれもが回転せずに、ドレッサ5が研磨パッド10上を一直線に移動する場合を考える。図3(a)のような下面全体に砥粒が配置されたドレッサ5が、研磨パッド10上のある点をドレッサ5の中心が通るように移動する場合、その点でのドレッサ5の摺動距離はドレッサ5の直径と等しくなる。また、図3(b)のようなリング状に砥粒が配置されたドレッサ5が、研磨パッド10上のある点をドレッサ5の中心が通るように移動する場合、その点でのドレッサ5の摺動距離はリング幅の2倍の長さと等しくなる。これは、研磨パッド10上のある点でのドレッサ5の摺動距離が、その点でのドレッサ5の移動速度と、砥粒が配置される領域(すなわちドレッシング面)の通過時間(接触時間)との積となることを表している。

0045

研磨パッド10の削れ量が摺動距離に密接な関係があることは前述の通りである。しかし、削れ量分布と摺動距離分布との間の差が大きいことがある。そこで、ドレッサ5の砥粒(例えば、ダイヤモンド粒子)の研磨パッド10への食い込みを考慮して摺動距離分布を補正する。一例として、ある時刻から微小時間経過するまでの摺動距離の増分を、その時刻における研磨パッド10上の各点でのドレッサ5の相対速度と微小時間の積として算出し、ドレッシング開始から終了までの摺動距離の増分を積算して摺動距離を求める摺動距離分布の取得方法を、図5のフローチャートを用いて説明する。

0046

ドレッシング監視装置60(図1参照)は、まず、装置パラメータやドレッシング条件など、パッドドレッシングのシミュレーションに必要なデータを読み込む。これらのデータは、プログラムに直接記述されても良いし、キーボードなどの入力装置から入力されても良い。また、研磨装置の制御コンピュータなどからドレッシング監視装置60に送信するようにしても良い。なお、図1においては、ドレッシング監視装置60はドレッシングユニット2に電気的に接続されているが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ドレッシング監視装置60はドレッシングユニット2とは電気信号が直接やりとりされずに独立に設置されてもよい。

0047

装置パラメータには、ドレッサ5の砥粒が配置される範囲に関するデータ、ドレッサ旋回軸J点)の位置データ、ドレッサ5の旋回半径R(点Jとドレッサ5との距離)、研磨パッド10の直径、ドレッサ5の揺動の加速度などが含まれる。

0048

ドレッサ5の砥粒が配置される範囲に関するデータとは、ドレッシング面の形状および大きさを含むデータである。例えば図3(a)のような下面全体に砥粒が配置されるドレッサ5であればドレッサ外径図3(b)のようなリング状に砥粒が配置されるドレッサ5であればリングの外径と内径図3(c)のような複数の小径ペレット上に砥粒が配置されるドレッサ5であれば各ペレットの中心位置および直径などである。

0049

ドレッシング条件には、研磨パッド10の回転速度、ドレッサ5の揺動開始位置、ドレッサ5の揺動範囲、揺動区間数、各揺動区間の区間幅、各揺動区間でのドレッサ5の揺動速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッシング荷重、ドレッシング時間などが含まれる。

0050

なお、ドレッシング監視装置60は、装置パラメータやドレッシング条件と共に、ドレッシングの繰り返し数(設定繰り返し数)を読み込む。これは、ある一定の時間として定められた1回のドレッシング時間分のドレッシングをシミュレーションしただけでは、研磨パッド10の削れ量分布とドレッサの摺動距離分布との差が大きくなる可能性があるためである。例えば、1回のドレッシングにおけるドレッサ5の往復回数が少ない場合に、研磨パッド10の削れ量分布とドレッサの摺動距離分布との差が大きくなることがある。

0051

次に、摺動距離算出点の座標を研磨パッド10の表面(研磨面)上に設定する。例えば、研磨パッド10の回転中心を原点とする極座標系を研磨パッド10の研磨面10a上に定義し、研磨面10aを半径方向と円周方向に複数分割する格子交点を摺動距離算出点とする。図6にその一例を示す。図6においては、同心円と、径方向に延びる線との交点が摺動距離算出点である。計算速度向上のためには、分割数を減らせばよい。また、必ずしも円周方向に分割する必要は無い。もちろん、極座標系でなく、直交座標系を定義してもなんら問題はない。

0052

次に、時間、各摺動距離算出点の摺動距離などの各種変数初期値を設定する。これらの変数は、摺動距離の計算にともなって変動する。

0053

次に、摺動距離算出点の間隔や研磨パッド10の回転速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッサ5の揺動速度などを用いて、時間刻み幅(微小時間)ΔTを決定する。

0054

次に、ドレッシング監視装置60は、ある時刻における摺動距離算出点の座標とドレッサ5のドレッシング面の位置情報を元に、摺動距離算出点とドレッサ5との接触判定を行う。

0055

次に、ドレッシング監視装置60は、摺動距離算出点におけるドレッサ5と研磨パッド10との相対速度Vrelを計算する。具体的には、ある時刻の各摺動距離算出点における、ドレッサ5の速度ベクトルと研磨パッド10の速度ベクトルの差の大きさを求めることで相対速度Vrelを計算する。ここで、ドレッサ5の速度ベクトルは、ドレッサ5の回転による速度ベクトルとドレッサ5の揺動による速度ベクトルとの和となる。また、研磨パッド10の速度ベクトルは、研磨パッド10の回転による速度ベクトルとなる。

0056

次に、ドレッシング監視装置60は、ドレッサ接触面積比Sを計算する。ドレッサ接触面積比とは、ドレッシング面全体の面積(即ち一定の値)を、研磨パッド10に接触しているドレッシング面の部分の面積(即ち可変の値)で割ったものである。ドレッシング荷重一定でドレッシングする場合、ドレッサ5の一部が研磨パッド10の外縁からはみ出すと、はみ出した分だけドレッサと研磨パッド10との接触面圧(ドレッシング圧力)が大きくなる。研磨パッド10の削れ量は接触面圧に略比例すると考えられるので、接触面圧が大きくなると研磨パッド10の削れ量が大きくなる。したがって、摺動距離の計算においては、接触面圧の増分に比例して摺動距離の増分を補正する必要がある。ドレッサ接触面積比Sは、この補正に使用される。即ち、接触面圧の変化を摺動距離に置き換えることで、研磨パッド10の削れ量と摺動距離との比例関係の正確さ(双方の比例関係の一致性)の向上が実現される。ドレッシング荷重が一定ではなく、ドレッシング圧力一定でドレッシングする場合は、摺動距離の増分を補正する必要が無いので、ドレッサ接触面積比を算出する必要は無い。

0057

次に、ドレッシング監視装置60は、ある時刻から微小時間が経過するまでの摺動距離の増分ΔD0を計算する。ΔD0は、相対速度Vrelと時間刻み幅ΔTとの積となる。
ΔD0=Vrel×ΔT ・・・(1)
ここで、時間刻み幅ΔTは、摺動距離算出点でのドレッサ5と研磨パッド10との接触時間を表している。したがって、摺動距離算出点とドレッサ5との接触判定でドレッサ5と接触しないと判定された摺動距離算出点においては、摺動距離の増分は0となる。

0058

次に、ドレッシング監視装置60は、摺動距離の増分ΔD0をドレッサ接触面積比Sで補正する。即ち、
ΔD1=ΔD0×S ・・・(2)
ドレッシング圧力が一定でドレッシングする場合は、摺動距離の増分を補正する必要が無いので、ΔD1=ΔD0である。

0059

次に、補正された摺動距離の増分ΔD1を、砥粒の研磨パッド10への食い込み量に応じて更に補正する。摺動距離にばらつきがあると、摺動距離が小さいところでは削れ量が小さいので研磨パッド10が相対的に厚くなり、摺動距離が大きいところでは削れ量が大きいので研磨パッド10が相対的に薄くなって、研磨パッド10の研磨面にうねり(凹凸)が生じる。図7に示すように、研磨パッド10の研磨面にうねりがある場合、相対的に研磨パッド10の厚い部分ではドレッサ5の砥粒5aの食い込みが大きく、相対的に研磨パッド10の薄い部分ではドレッサ5の砥粒5aの食い込みが小さくなる。したがって、相対的に研磨パッド10の厚い部分では削れ量が大きく、相対的に研磨パッド10の薄い部分では削れ量が小さくなる。そこで、摺動距離が小さい部分では摺動距離の増分が大きく、摺動距離が大きい部分では摺動距離の増分が小さくなるように、摺動距離の増分を補正する。

0060

上記説明を簡単化して換言すれば、摺動距離が大きい所では研磨パッド10が薄くなるので砥粒の食い込みが小さくなり、研磨パッド10の削れ量が小さい。したがって、摺動距離が大きい所では摺動距離の増分が小さくなるように、摺動距離の増分を補正する。反対に、摺動距離が小さい所では研磨パッド10が厚くなるので砥粒の食い込みが大きくなり、研磨パッド10の削れ量が大きい。したがって、摺動距離が小さい所では摺動距離の増分が大きくなるように、摺動距離の増分を補正する。

0061

砥粒の食い込みを考慮した摺動距離の増分ΔD1の補正方法の一例を、図8を用いて説明する。図8は、理解しやすいように、ある時刻においてドレッシング面が研磨パッドに接触する領域での摺動距離分布を2次元で表した図である。図8において、細破線ではさまれた領域がドレッシング面が接触する領域、太実線がドレッサの摺動距離(D)、太破線がドレッシング面が接触する領域での摺動距離の平均値(DMEAN)であり、ドレッシング面が接触する領域における摺動距離の最大値最小値をそれぞれDMAXとDMINとしている。砥粒が研磨パッド10に食い込む深さの大小は、ドレッサの摺動距離(D)の大小と逆の傾向を示す。前者が大のときは後者が小となり、前者が小の時には後者が大となる。従って砥粒が研磨パッド10に食い込む深さは、ドレッサ5の摺動距離(D)を用いて表現することが出来る。

0062

ある時間tにおいて、ドレッサ5と接触している複数の摺動距離算出点での摺動距離をDv,t(v=1,2,3,…,n)とし、これら摺動距離Dv,tの平均をDMEAN,tとすると、各摺動距離算出点での摺動距離Dv,tとその平均DMEAN,tとの差は次のようになる。
Dv,t−DMEAN,t=Diffv,t・・・(3)

0063

研磨パッド10の研磨面10aの凹凸に基づく摺動距離の増分ΔD1の補正は、摺動距離の増分ΔD1に凹凸補正係数Uvを乗算することで実施される。凹凸補正係数Uvは、次の式により表される。
Uv=exp(−U0×Diffv,t)・・・(4)
上記式(4)において、記号expは指数関数を表している。U0は実験によって予め求められる定数であり、0<U0<∞の範囲内の値である。この定数U0は補正の度合いを示しており、U0の数値が大きいほど、補正量が大きくなる。定数U0が0の場合(U0=0)、凹凸補正係数Uvは常に1となる。この場合、研磨面10aの凹凸を反映させるための補正は行われない。

0064

n個の摺動距離算出点での摺動距離Dv,t(すなわち、D1,t、D2,t、…、Dn,t)と、これらの平均DMEAN,tと、上記式(4)とから、n個の凹凸補正係数Uv(すなわち、Uv1、Uv2、…、Uvn)が得られる。これら複数の凹凸補正係数は、複数の摺動距離算出点にそれぞれ対応する。したがって、各摺動距離算出点での摺動距離の増分ΔD1にそれぞれ対応する凹凸補正係数Uvを乗算することによって、ドレッサ5の摺動距離の増分ΔD1が補正される。各摺動距離算出点での摺動距離の増分ΔD1は、凹凸補正係数Uvを用いて次のように補正される。
ΔD2=ΔD1×Uv・・・(5)

0065

上記式(3)および式(4)から分かるように、摺動距離に基づいて決定される凹凸補正係数Uvは、摺動距離が大きな値であるほど、小さな値を持つ。補正式(5)によれば、凸部にある摺動距離算出点での摺動距離の増分は多く補正され、凹部にある摺動距離算出点での摺動距離の増分は少なく補正される。したがって、研磨パッド10の研磨面10a上の凹凸が摺動距離(すなわち、研磨パッド10の削れ量)の増分の算出に反映される。このように、本発明では、砥粒の食い込み深さに応じて摺動距離の増分を補正することにより、換言すれば砥粒の食い込み深さを摺動距離に置き換えて、研磨パッド10の削れ量と摺動距離との比例関係の正確さ(双方の比例関係の一致性)の向上を実現している。

0066

次に、補正された摺動距離の増分ΔD2を、ドレッサ5が研磨パッド10からはみ出したときのドレッサ5の傾きに応じて更に補正する。先述の様に、ドレッサ5は、ドレッシング面が研磨パッド10の研磨面から傾いた状態も許容できるように、自在継ぎ手15を介してドレッサ軸16に接続されている。したがって、ドレッサ5が研磨パッド10からはみ出すと、図9に示すように、研磨パッド10からの反力によるモーメントが自在継ぎ手15を中心に釣り合うようにドレッサ5が傾く図9では理解しやすい様にドレッサ5の傾きを強調している)。ドレッサ5が研磨パッド10からはみ出していないときは、研磨パッド10とドレッサ5との接触圧力(ドレッシング圧力)分布は略均一である。しかし、ドレッサ5が研磨パッド10からはみ出すと、ドレッシング圧力分布が均一とはならず、概ね研磨パッド10の外縁に近づくにつれてドレッシング圧力は大きくなる。

0067

図10(a)は、直径740mmの研磨パッド10を直径100mmのドレッサ5で研磨する際に、ドレッサ5の外周端が最大で研磨パッド10から25mmはみ出した場合の様子を示す平面図であり、図10(b)は、研磨パッド10の中心とドレッサ5の中心を通る直線上のドレッシング圧力分布を示した図である。図10(a)に示す例では、下面全体に砥粒が固着されたドレッサ5(図3(a)参照)が使用されている。図10(b)は、ドレッシング荷重と研磨パッド10からの反力との力の釣り合いと、研磨パッド10からの反力の自在継ぎ手15まわりのモーメントの釣り合いから導いたドレッシング圧力分布を示している。ドレッシング荷重とは、ドレッサ軸16を経由してドレッサ5に加えられる力であって、研磨パッド10にドレッサ5を押し付ける荷重である。図10(b)において、縦軸はドレッサが研磨パッド10からはみ出していない場合のドレッシング圧力を1として規格化した規格化ドレッシング圧力である。すなわち、規格化ドレッシング圧力とは、ドレッサ中心から距離xmmだけ離れた位置における圧力を、ドレッシング面全体が研磨パッド10に接した状態において研磨パッド10に与える圧力で除した値である。横軸は、ドレッサ中心を0とした位置を表し、研磨パッド中心側の値は負となる。

0068

図10(a)および図10(b)から分かるように、ドレッサ5が研磨パッド10からはみ出した状態のドレッシング圧力は、ドレッサ中心からの位置(図10(a)に示す傾きの軸からの距離で、研磨パッド中心側が負の値:x)を用いて概ね1次関数で表すことができる。また、図11(a)に示すように、この1次関数の傾き(規格化傾き:fΔ)は、研磨パッド中心とドレッサ中心との距離(ドレッサ中心位置:C0)に対して一意に決まる。なお、規格化傾きとは、上記のように図10(b)の1次関数の直線上に例えば2点を仮想し、当該2点間の規格化ドレッシング圧力の差を当該2点間のドレッサ中心からの位置の差で除して求めたものである。また、ドレッサ中心でのドレッシング圧力の値は、研磨パッド中心とドレッサ中心との距離(ドレッサ中心位置:C0)に対して一意に決まる。その一例を図11(b)に示す。なお、図11(b)では、ドレッサ中心での規格化ドレッシング圧力の値そのものを示すのではなく、ドレッサ中心での規格化ドレッシング圧力を、ドレッシング圧力がその平均値となる位置での規格化ドレッシング圧力(図10(b)の例では規格化ドレッシング圧力はドレッサの中心からの距離が−12.5mmの位置で平均値になっている)で割って、規格化y切片(fy0)として表示している。したがって、あるドレッサ中心位置C0におけるドレッシング面上のある点の規格化ドレッシング圧力は、そのドレッサ中心位置C0でのドレッシング圧力の規格化傾きと規格化y切片、前記ある点のドレッサの傾きの軸からの距離(ドレッサの中心からの距離)によって計算することができる。したがって、ドレッサ5の傾きによる補正係数Kを次のように定義する。
K=fΔ(C0)×x+fy0(C0) ・・・(6)
そして、摺動距離の増分ΔD2を次のように補正する。
ΔD3=ΔD2×K ・・・(7)
このように本発明では、ドレッサ5の傾きに応じて摺動距離の増分をさらに補正することにより、換言すればドレッサ5の傾きを摺動距離に置き換えることにより、研磨パッド10の削れ量と摺動距離との比例関係の正確さ(双方の比例関係の一致性)の向上を実現している。

0069

研磨パッド10は、弾性材からなる。したがって、研磨パッド10がドレッサ5により押し付けられた結果、研磨パッド10が硬化し、その表面粗さが低下することが想定される。さらに、ドレッシングが研磨パッド10の表面に堆積して表面粗さが低下することが想定される。このような研磨パッド10の表面粗さの低下は、研磨パッド10の摩擦係数の低下として表される。研磨パッド10の摩擦係数が低下すると、ドレッサ5が研磨パッド10の研磨面10a上を滑りやすくなり、研磨パッド10の削れ量が少なくなる。

0070

そこで、次に、補正された摺動距離の増分ΔD3を、研磨パッド10の摩擦係数(表面粗さ)の低下に従って更に補正する。モデルパラメータとして、2つの正の整数P1,P2が予め設定される。整数P1,P2の関係はP1>P2である。さらに、摩擦補正係数cが予め設定される。この摩擦補正係数cは0<c<1の範囲にある数値である。摺動距離の計算は、時間刻み幅ΔTが経過するたびに行われる。すなわち、ある時間tでの累積摺動距離に時間刻み幅ΔTでの摺動距離の増分が加算され、同時に現在の時間tに時間刻み幅ΔTが加算されることで時間が更新される。過去P1回分の摺動距離計算の中で、ある摺動距離算出点にドレッサ5がP2回以上接触していた場合は、その摺動距離算出点での摺動距離の増分ΔD3にcを乗ずることにより、摺動距離の増分ΔD3が補正される。すなわち、
ΔD4=ΔD3×c・・・(8)

0071

式(8)に示す補正式によれば、ドレッサ5との接触による研磨パッド10の摩擦係数(表面粗さ)の低下が摺動距離の増分の算出に反映される。換言すれば摩擦係数の変化を摺動距離に置き換えることにより、研磨パッド10の削れ量と摺動距離との比例関係の正確さ(双方の比例関係の一致性)の向上を実現している。

0072

通常、研磨パッド10のドレッシングは、ウェハの研磨の前後に実施される。言い換えれば、ウェハの研磨はドレッシング工程の前後に実施される。ウェハの研磨は、研磨パッド10上に研磨液(スラリ)を供給しながらウェハを研磨パッド10に押し付けることで行われる。このため、研磨パッド10の表面状態はウェハの研磨に影響されてある程度変化する。すなわち、ドレッサ5による研磨パッド10のカットレートは、ウェハの研磨によって変化すると考えられる。ウェハの研磨が研磨パッド10のドレッシングに影響を与える度合いは、ウェハ研磨中のウェハの研磨パッド10上の摺動距離に概ね比例すると予想される。そこで、次に、ウェハの摺動距離に従ってドレッサ5の摺動距離の増分ΔD4を更に補正する。

0073

研磨パッド10上の摺動距離算出点でのウェハ(基板)1枚当たりの摺動距離をウェハ摺動距離Dwとし、1ドレッシング工程当たりの上記摺動距離算出点でのドレッサ5の摺動距離をドレッサ摺動距離Ddと表すと、ドレッサ摺動距離Ddに対するウェハ摺動距離Dwの比RTwdは、
RTwd=Dw/Dd・・・(9)
となる。
ウェハ摺動距離Dwは、摺動距離算出点でのウェハの研磨パッド10に対する相対速度を、ウェハと摺動距離算出点での研磨パッド10との接触時間で乗算することで求めることができる。

0074

ウェハの摺動距離に基づくウェハ(基板)摺動距離補正係数Ewは、次の式で与えられる。
Ew=exp(E0×RTwd)・・・(10)
ここで、E0は、実験により予め求められた定数であり、正または負の値を持つ。補正を必要としないときは、E0は0である。
そして、上記式(10)で与えられたウェハ摺動距離補正係数Ewを用いて、次のように摺動距離の増分ΔD4を補正する。
ΔD5=ΔD4×Ew・・・(11)

0075

この補正式によれば、ウェハ(基板)の研磨による研磨パッド10の影響が摺動距離の算出に反映される。換言すればウェハの研磨による研磨パッド10への影響を摺動距離に置き換えることにより、研磨パッド10の削れ量と摺動距離との比例関係の正確さ(双方の比例関係の一致性)の向上を実現している。

0076

摺動距離の増分ΔD5は、微小時間での摺動距離の増分ΔD0に対して、上述した式(2)、式(5)、式(7)、式(8)、および式(11)で表される補正を行った結果である。この摺動距離の増分ΔD5を、現在の時刻での摺動距離に加えることで、摺動距離を更新する。その際、上述の様に研磨パッド10の削れ量がドレッシング荷重やドレッシング圧力に略比例すると考えられるので、設定したドレッシング荷重やドレッシング圧力に応じて、摺動距離の増分ΔD5をさらに補正しても良い。

0077

次に、ドレッシング監視装置60は、次の時間刻み幅(微小時間)における摺動距離の増分を計算するための準備を行う。すなわち、ドレッシング監視装置60は、研磨パッド10を仮想的に回転させて摺動距離算出点を移動させ、ドレッサ5を仮想的に揺動させてドレッサ5を移動させる。さらに、ドレッシング監視装置60は、時間の更新(時間に時間刻み幅を加える)を行う。

0078

ドレッサ5の移動においては、ドレッサ5の揺動の折り返し点や、揺動区間(表1参照)の間の点でのドレッサ5の加速度を考慮して、次の時間刻み幅におけるドレッサ5の位置を算出することが好ましい。研磨パッド10の回転中心側や外周端側においてドレッサ5は揺動の折り返しをするから、揺動速度が加速減速(即ち正または負の加速)をし、単位時間当りのドレッサ5の揺動距離は変化する。またドレッサ5が揺動区間(表1参照)を跨いで移動するときには、揺動区間の境目及びその近傍領域では同様に揺動速度の加速または減速を伴うから、単位時間当りのドレッサ5の揺動距離は変化する。従って研磨パッド10上の各点における摺動距離そのものを精度良く算出するためにはドレッサ5の移動の加速度を考慮するのが好ましい。これによって一層精度の高い摺動距離を算出できる。

0079

時間がドレッシング時間に到達した場合、ドレッシング監視装置60は、時間を初期化し、設定繰り返し数になるまでドレッシング時間分の摺動距離計算を繰り返す。設定繰り返し数だけドレッシング時間分の摺動距離の計算が終了したら、ドレッシング監視装置60は、結果を表示し、保存するなどの終了処理を行う。ここで、摺動距離が研磨パッド10の削れ量に略比例することから、計算された摺動距離に変換係数比例定数)を掛けて削れ量の計算結果としても良い。

0080

最終的に得られた摺動距離の増分ΔD5は、式(2)、式(5)、式(7)、式(8)、および式(11)から、
ΔD5=ΔD0×S×Uv×K×c×Ew・・・(12)
と求められる。なお、図5を用いた上述の説明では、単なる摺動距離の増分ΔD0の計算、ドレッサ接触面積比を反映する摺動距離の増分の補正、砥粒の食い込みを反映する摺動距離の増分の補正、ドレッサ傾きを反映する摺動距離の増分の補正、研磨パッド10の摩擦係数低下を反映する摺動距離の増分の補正、およびウェハ(基板)の摺動距離を反映する摺動距離の増分の補正の順に行ったが、式(12)から分かるように、摺動距離の増分の補正は、補正係数の順番に依存しない。これらの補正係数のうち、1つまたはそれ以上の補正係数を用いないで、摺動距離の増分を補正してもよい。補正された摺動距離の増分は時間軸に沿って累積され、これにより1ドレッシング工程当たりのドレッサ5の摺動距離が決定される。

0081

図12は、上述のようにして計算された摺動距離の分布を示す図である。より具体的には、図12は、研磨パッド10の半径方向に沿って並ぶ複数の摺動距離算出点での摺動距離を示している。ドレッサ5の摺動距離は、ドレッサ5による研磨パッド10の削れ量に概ね比例する。したがって、図12に示す摺動距離分布は、ドレッサ5によってドレッシングされた研磨パッド10の削れ量プロファイルまたはカットレートプロファイルに相当する。研磨パッド10の初期厚み既知であれば、この摺動距離分布から直ちにパッド厚みプロファイルに相当するものが得られる。

0082

上述のようにして計算された摺動距離の分布は、研磨パッド10のドレッシングを評価する指標であるプロファイルやカットレートの推定に用いることができる。研磨パッド10のプロファイルは、研磨パッド10の研磨面10aの半径方向に沿った断面形状を表し、研磨パッド10のカットレートは単位時間当たりにドレッサ5によって削り取られる研磨パッド10の量(厚さ)を表す。これらの研磨パッド10のプロファイルやカットレートは、図12に示すような研磨パッド10の半径方向に沿った摺動距離分布から推定することができる。しかしながら、これらの評価指標は、研磨パッド10の研磨性能を十分に表していないことがあった。例えば、同じプロファイルおよび同じカットレートでも、研磨レートおよび研磨プロファイルが異なることがありうる。

0083

そこで、従来のドレッシング評価指標に加えて、ドレッシング監視装置60は、ドレッサ5の摺動方向を情報として含んだ摺動距離を摺動ベクトルとして取得する。すなわち、摺動距離を、摺動方向ごとに累積したものが摺動ベクトルである。ドレッサ5の摺動方向とは、ドレッサ5が研磨パッド10上の摺動距離算出点を横切る方向であり、ドレッサ5の研磨パッド10に対する相対的な移動方向である。ドレッシング中のある時点での摺動方向は、研磨パッド10の回転速度(研磨テーブル9の回転速度)、ドレッサ5の回転速度、ドレッサ5の揺動速度、およびドレッサ5と研磨パッド10との相対位置などから計算により決定することができる。摺動方向は、研磨パッド10の半径方向からの角度として表される。

0084

ドレッシング監視装置60は、予め設定された複数の摺動方向をその内部に記憶している。ドレッシング監視装置60は、摺動距離算出点でのドレッサ5の摺動距離の増加分を算出するとともに、その摺動距離算出点でのドレッサ5の摺動方向を算出する。算出された摺動方向は上記複数の摺動方向のうちのいずれか1つによって代表される。ドレッシング監視装置60に予め設定されている各摺動方向は所定の角度範囲を代表する方向であり、その所定の角度範囲内にある算出摺動方向は、その角度範囲について予め設定された摺動方向によって代表される。例えば、ある算出された摺動方向が80°から100°までの範囲内にある場合は、その算出された摺動方向は、角度範囲80°〜100°について予め設定されている摺動方向90°によって代表される。ドレッシング監視装置60は、算出した摺動方向の角度に従って、その算出した摺動方向を予め設定された複数の摺動方向のうちのいずれかに振り分ける。

0085

このようにして決定された摺動方向は、同じ摺動距離算出点での摺動距離の増加分に関連付けられる。ドレッシング監視装置60は、ドレッシング工程の間、各摺動距離算出点での摺動方向の決定と、摺動方向ごとの摺動距離の増加分の算出(補正を含む)および累積を実施し、その結果をその内部に保存する。各摺動距離算出点での摺動方向ごとの摺動距離は摺動ベクトルとして取得され、ドレッシング監視装置60に保存される。ドレッシング監視装置60は、研磨パッド10の半径方向に沿って配列する複数の摺動距離算出点のそれぞれについて摺動ベクトルを表示する機能を有している。

0086

図13は、研磨パッド10の半径方向に沿って並ぶ摺動距離算出点での摺動ベクトルを示す図である。摺動ベクトルは、ドレッシング工程が行われるたびに毎回取得される。図13は、8つの摺動距離算出点での摺動ベクトルを示している。各摺動距離算出点での各摺動ベクトルは、1ドレッシング工程の間に取得された摺動方向ごとの累積的な摺動ベクトルである。ドレッシング監視装置60は、研磨パッド10の半径方向に沿って摺動ベクトルを表示する。摺動ベクトルの長さは、1ドレッシング工程当たりのドレッサ5の摺動距離を表し、摺動ベクトルの方向は、ドレッサ5の摺動方向を表している。ドレッシング監視装置60は、摺動ベクトルと、複数の摺動距離算出点の位置から、図13に示すようなドレッサ5の摺動ベクトル分布を生成する。

0087

図13から、研磨パッド10上の摺動ベクトルの分布が分かる。各摺動距離算出点での摺動ベクトルの広がりは、研磨テーブル9の回転速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッサ5の揺動速度などに依存する。図14は、図13のドレッシング条件に比べてより高速で研磨テーブル9を回転させ、より低速でドレッサ5を回転させたときの摺動ベクトルを示す図である。図14に示す例では、摺動ベクトルは、図13に示す摺動ベクトルに比べてあまり広がっていない。

0088

図15は、図13に示す摺動ベクトルが取得されたドレッシング条件下での研磨パッド10の研磨面10aの状態を模式化した図であり、図16は、図14に示す摺動ベクトルが取得されたドレッシング条件下での研磨パッド10の研磨面10aの状態を模式化した図である。図13に示す摺動ベクトルは、ドレッサ5が研磨パッド10上を様々な方向に摺動していることを示している。その結果、図15に示すように、研磨パッド10の研磨面10a上には網目状の筋(またはスクラッチ)が形成される。これに対し、図14に示す摺動ベクトルは、ドレッサ5が研磨パッド10上をほぼ同じ方向に摺動していることを示している。その結果、図16に示すように、研磨パッド10の研磨面10a上には略平行な筋(またはスクラッチ)が形成される。

0089

研磨パッド10の研磨面10aに形成されるスクラッチは、研磨パッド10の表面粗さおよび研磨面10a上に供給された研磨液(スラリー)の広がり方に影響を与える。図15に示す網目状のスクラッチは、研磨液を研磨パッド10上に保持しやすく、またウェハの研磨レートを上げると予想される。したがって、研磨パッド10の全体において摺動ベクトルが広がるようなドレッシング条件を設定することが好ましい。ドレッシング条件の具体的な要素としては、研磨テーブル9の回転速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッサ5の揺動速度が挙げられる。

0090

次に、摺動距離分布の指標化について説明する。研磨パッド10の研磨面10a上のウェハ接触領域内でドレッシングされなかった領域が存在すると、研磨パッド10は連続かつ安定した研磨性能を発揮することができない。そこで、ドレッシング監視装置60は、1ドレッシング工程が終了した後に、研磨パッド10上のウェハ接触領域に対するドレッシング領域(ドレッサ5が研磨パッド10に接触した領域)の割合を表す表面ドレス率を計算し、この表面ドレス率に基づいて研磨パッド10が良好にドレッシングされた否かを評価する。

0091

より具体的には、研磨パッド10上のウェハ接触領域内にあるn個の摺動距離算出点のうち、ドレッシング工程中に一度もドレッサ5と接触しなかった点がm個あった場合は、表面ドレス率(%)は次のように求められる。
表面ドレス率(%)=(n−m)/n×100・・・(13)
m=0の場合、表面ドレス率は100%である。ドレッシング監視装置60は、該ドレッシング監視装置60に入力されたドレッシング条件下で表面ドレス率を計算し、これを表示する機能を有している。さらに、ドレッシング監視装置60は、表面ドレス率が所定の目標値に満たない場合は、警報信号を発するように構成されており、さらに、表面ドレス率が所定の目標値以上となるドレッシング条件を決定し、その決定されたドレッシング条件を表示する機能を有している。ドレッシング条件の具体的な要素としては、研磨テーブル9の回転速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッサ5の揺動速度、ドレッシング時間が挙げられる。

0092

研磨面10a内での摺動距離のばらつきは、研磨パッド10の削れ量分布、すなわち研磨パッド10のプロファイルに影響を与える。ドレッサ5の摺動距離は、一般に、研磨パッド10の全体において均一であることが望ましい。そこで、ドレッシング監視装置60は、研磨面10a内での摺動距離のばらつきを示す指標を次のように算出する。ウェハ接触領域内のn個の摺動距離算出点での摺動距離の標準偏差をSDnとし、n個の摺動距離算出点での摺動距離の平均をADnとすると、研磨面10a内での摺動距離のばらつき指標は次の式により与えられる。
摺動距離のばらつき指標=SDn/ADn・・・(14)
ドレッシング監視装置60は、該ドレッシング監視装置60に入力されたドレッシング条件下で摺動距離のばらつき指標を計算し、これを表示する機能を有している。

0093

摺動距離が研磨面10aの全体に亘って均一であると、研磨パッド10のフラットなプロファイルが得られる。このようなフラットなプロファイルは研磨パッド10の研磨性能の改善および研磨パッド10の寿命の改善に寄与すると予想される。ドレッシング監視装置60は、摺動距離のばらつき指標が所定の目標値を上回ったときに警報信号を発するように構成されている。さらに、ドレッシング監視装置60は、摺動距離のばらつき指標が所定の目標値以下となるようなドレッシング条件を決定し、その決定されたドレッシング条件を表示する機能を有している。ドレッシング条件の具体的要素としては、研磨テーブル9の回転速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッサ5の揺動速度、ドレッシング時間が挙げられる。

0094

均一でないパッドプロファイルが要求されることがある。例えば、研磨パッド10の周縁部が厚く、中心部が薄いパッドプロファイルが望ましい場合も存在する。このような場合には、ドレッサ5の揺動速度を研磨パッド5の中心側で遅く、外周側で速くすることによりそのような研磨パッド10のプロファイルを実現することができる。ドレッシング監視装置60は、取得した摺動距離分布に基づいてドレッシング条件を調整することによって、研磨パッド10の目標プロファイルを実現することができる。

0095

研磨面10a上に表された摺動ベクトルの分布は、単に摺動距離分布だけでは得られない研磨パッド10の表面状態を表現することができる。ドレッシング監視装置60は、摺動ベクトル分布によって表された研磨パッド10の表面状態に基づいて、研磨パッド10の研磨性能を制御することが可能である。ドレッシング監視装置60は、次のようにして摺動ベクトルの分布を指標化し利用する。

0096

図17は、研磨パッド10の研磨面10a上に予め定義された複数の同心状の環状領域を示す図である。これら環状領域の半径方向の幅は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。ドレッシング監視装置60は、ドレッシングが終了すると、半径位置RXにある環状領域に属する摺動距離算出点の摺動ベクトルを平均した、平均摺動ベクトルを算出する。

0097

図18は、複数の環状領域のそれぞれでの平均摺動ベクトルを示す図である。図18から分かるように、平均摺動ベクトルは、複数の環状領域のそれぞれにおいて、予め設定された摺動方向に対応する複数の摺動距離を有する。ここでは平均摺動ベクトルを構成する複数の環状領域における複数の摺動距離をDVRX,θと表す。ここで記号RXは、N個の環状領域の半径位置を表し、R1〜RNのうちのいずれかの値をとる。図18の例では、RXはR1、R2、R3、…、R8である。また記号θは、ドレッシング監視装置60に記憶されている上述した予め設定された複数の摺動方向を表し、θ1〜θMのうちいずれかの値をとる。DVRX,θは、各環状領域RXにおいて、その環状領域に属する摺動距離算出点での摺動距離を摺動方向θごとに平均したものである。例えば、予め設定された摺動方向がθ1、θ2、θ3、…、θMである場合、各環状領域RXにおいて、M個の平均摺動距離が算出される。ドレッシング条件によっては、M個の平均摺動ベクトルのうち、いくつかは0となることもある。

0098

ドレッシング監視装置60は、研磨パッド10上の摺動ベクトルの分布のばらつきを示す指標IAおよびIBを次の式から計算する。
IA=SigRX(Aveθ(DVRX、θ))・・・(15)
IB=AveRX(Sigθ(DVRX、θ))・・・(16)
ここでDVRX,θは、ある半径位置RXでの環状領域における、ある摺動方向θに関連付けられた平均摺動距離である。またAveθ( )は摺動方向θ=θ1、θ2、…、θMに関する平均を計算する操作を表し、SigRX( )は半径位置RX=R1、R2、…、RNに関する標準偏差を計算する操作を表し、Sigθ( )は摺動方向θ=θ1、θ2、…、θMに関する標準偏差を計算する操作を表し、AveRX( )は半径位置RX=R1、R2、…、RNに関する平均を計算する操作を表す。

0099

摺動ベクトル分布のばらつき指標IAの値が小さいほど、摺動ベクトルは研磨パッド10の半径方向に亘ってより均一となることを示している。また摺動ベクトル分布のばらつき指標IBの値が小さいほど、摺動ベクトルはドレッシング監視装置60に記憶されている予め設定された複数の摺動方向に亘ってより均一となることを示している。ドレッシング監視装置60は、該ドレッシング監視装置60に入力されたドレッシング条件下で摺動ベクトル分布のばらつき指標IAおよびIBを計算し、これを表示する機能を有している。ドレッシング監視装置60は、ばらつき指標IAおよびIBが目標値A0およびB0を上回る場合には、警告信号を発する。さらに、ドレッシング監視装置60は、ばらつき指標IAおよびIBが目標値A0およびB0を上回る場合は、摺動ベクトル分布のばらつき指標が所定の目標値以下となるようなドレッシング条件を決定し、その決定されたドレッシング条件を表示する機能を有している。ドレッシング条件の具体的な要素としては、研磨テーブル9の回転速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッサ5の揺動速度、ドレッシング時間が挙げられる。

0100

さらに、ドレッシング監視装置60は、1ドレッシング工程が終了したときに摺動ベクトルの直交性を示す指標を計算する。摺動ベクトルの直交性指標とは、各摺動距離算出点での摺動ベクトルが保持している複数のベクトルが、単一の方向のみを向いているか、直交した方向を向いているか、またそれらのどちらに近いかを表す指標である。一例として、摺動ベクトルの直交性指標は、次のようにして決定される。各摺動距離算出点での複数の摺動ベクトルのうち、対向するベクトルの組の中でそれらのベクトルの差の長さ(さしわたし)が最大となる組を選び、それらのベクトルを含む方向を軸とする。次に個々のベクトルが全て収まる最小の長方形を、その辺のひとつが軸に平行になるように取る。得られた長方形の短辺長/長辺長をベクトルの直交性指標と定義する。

0101

摺動ベクトルの直交性指標の算出方法について図19(a)乃至図19(c)を参照して説明する。図19(a)はある摺動距離算出点での2つの摺動ベクトルが同一方向を持つ例を示している。この例では、最小の長方形は実質的に直線であり、したがって短辺長さと長辺長さとの比は0である。図19(b)はある摺動距離算出点での2つの摺動ベクトルが同一長さおよび同一方向を持つ例を示している。この例では、最小の長方形は正方形となり、したがって短辺長さと長辺長さとの比は1である。図19(c)はある摺動距離算出点での2つの摺動ベクトルのなす角度が鋭角である例を示している。この例では、短辺長さと長辺長さとの比は0よりも大きく、1よりも小さい値である(図19(c)の例では、0.5)。

0102

この計算方法によれば、複数のベクトルの向きが同一方向を向いている場合に直交性指標は0となり、複数のベクトルの向きが同一方向から離れるに従って直交性指標は0よりも大きくなり1に近づき、複数のベクトルの向きが直交しそれらの大きさが等しい場合には直交性指標が1となる。これは着目しているパッド要素上を通過するドレッサの方向の分布を指標化したものと考えることができる。ドレス量が同じであっても、同じ方向にのみドレスされた場合と多方向にドレスされた場合では、それぞれ研磨パッドのドレスのされ方、すなわち研磨パッドの表面状態には違いが現れると考えられる。直交性指標を用いることでこのような研磨パッドのドレスのされ方の違いを考慮したドレス条件の決定を行うことができる。なお摺動ベクトルの分布を表す指標はここで説明した直交性指標の例に限らない。

0103

ドレッシング監視装置60は、上述した平均摺動ベクトルを研磨パッド10の半径方向に沿って平均して平均直交性指標を算出する。ドレッシング監視装置60は、該ドレッシング監視装置60に入力されたドレッシング条件下で平均直交性指標を計算し、これを表示する機能を有している。また、ドレッシング監視装置60は、平均直交性指標が所定の目標指標値を下回る場合には、警告信号を発するように構成されている。さらに、ドレッシング監視装置60は、摺動ベクトル分布の平均直交性指標が所定の目標値に満たない場合は、平均直交性指標が所定の目標値以上となるようなドレッシング条件を決定し、その決定されたドレッシング条件を表示する機能を有している。ドレッシング条件の具体的な要素としては、研磨テーブル9の回転速度、ドレッサ5の回転速度、ドレッサ5の揺動速度、ドレッシング時間が挙げられる。平均直交性指標は、研磨パッド10のドレッシングの仕方の指標として従来用いられていたパッドプロファイルおよびカットレートだけでは表すことができなかった研磨パッド10の表面状態の作り方図15図16)の指標として用いられる。さらに、平均直交性指標はドレッシングの結果としての研磨パッド10の表面粗さ(パッド粗さ測定器35で測定される)とも相関があると考えられる。

0104

これまでの説明では、式(13)のように指標値基準領域としてウェハ接触領域が使用されているが、トップリング20の接触領域やドレッサ5の接触領域を基準領域として用いて、指標値の計算を行うこともできる。

0105

これまでの説明では、図2のようにドレッサがドレッサ旋回軸J点を中心にして揺動する場合について説明したが、ドレッサが直線往復運動する場合や、他の任意の運動をする場合でも本発明を適用することができる。また、これまでの説明では、図1のように研磨部材(研磨パッド)が回転運動する場合について説明したが、研磨部材が無限軌道のように運動する場合でも本発明を適用することができる。

0106

1研磨ユニット
2ドレッシングユニット
3ベース
4研磨液供給ノズル
5ドレッサ
9研磨テーブル
10研磨パッド
15 自在継ぎ手
16ドレッサ軸
17ドレッサアーム
20トップリング
31 テーブルロータリエンコーダ
32 ドレッサロータリエンコーダ
35パッド粗さ測定器
40 パッド高さセンサ
41センサターゲット
60ドレッシング監視装置

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