図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2014年9月4日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

蓄電装置容器内で起きているリチウムイオン電池の異常に伴う火災を直接的に消火抑制して連鎖的な火災の拡大を阻止する。

解決手段

複数のリチウムイオン電池20を収納した蓄電装置10に消火装置30を設ける。消火装置30は、熱感知ケーブル64によりリチウムイオン電池の熱暴走による火災を検出した場合、固形消火剤42に点火して燃焼させ、これに伴い発生する消火用エアロゾルにより雲母粉末剤34などの粉末絶縁剤加圧して放出管38から蓄電装置10内へ放出し、蓄電装置10内の空き空間に雲母粉末剤34で充満し、消火砂として機能させて電解液火炎を消火抑制し、霧化した電解液に雲母粉末剤34を混合して導電性下げて、電解液の付着による外部短絡を抑制する。

概要

背景

近年、ガソリン軽油燃料としたエンジン動力源とする自動車以外に、エンジンとモーターを搭載したハイブリッド自動車急増している。この背景には原油価格の上昇により、低燃費車の需要が増加したことや、環境負荷低減意識向上によりCO2排出量の少ないハイブリッド自動車の需要が増加したことにある。さらに、このようなハイブリッド車に加え、電気モーターのみを動力源とし、走行時のCO2排出量がゼロである電気自動車も徐々に普及がはじまっている。

ハイブリッド自動車や電気自動車の車体には、複数の単電池を配列して直列且つ並列接続した高電圧且つ大容量の蓄電装置が搭載されている。蓄電装置はセルと呼ばれる単電池を複数接続した組電池で構成され、密閉容器収納している。また蓄電装置に搭載する単電池は、従来のニッケル水素電池から一般家庭でも充電が可能なリチウムイオン電池移行しており、今後も単電池の高性能化が期待されている。

また、航空機の分野においても、小型で容量が大きく軽量化に寄与するリチウムイオン電池を用いた蓄電装置を搭載した航空機が実用化され、運用を開始している。

更に、近年、一般住宅オフィス公共施設などを対象にした定置型のリチウムイオン電池を用いた蓄電装置も急速に広がっており、リチウムイオン電池を用いたことで、数百Whから2〜3kWh程度蓄電容量をもった建物内に簡単に設置して使用可能な小型の蓄電装置を実現している。

定置型の蓄電装置は、建物内に引き込まれた商用交流系統コンセント等に接続して入力した交流電力直流電力に変換して蓄電し、テレビパーソナルコンピュータ等の電子機器照明機器といった日常生活重要度の高い負荷、所謂重要負荷を接続しておくことで、商用交流系統の停電時は勿論のこと、平常時にも、必要に応じて蓄電した直流電力を交流電力に変換して出力して動作するようにしている。

また、商用交流系統からの交流電力による蓄電装置の蓄電を、電気料金が安くなる深夜の時間帯に行い、消費電力が最大となる昼間の電力ピークの時間帯に、蓄電装置に蓄電した直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給し、商用交流系統からの電力消費を低減し、節電経済的な電力活用を可能としている。

概要

蓄電装置の容器内で起きているリチウムイオン電池の異常に伴う火災を直接的に消火抑制して連鎖的な火災の拡大を阻止する。複数のリチウムイオン電池20を収納した蓄電装置10に消火装置30を設ける。消火装置30は、熱感知ケーブル64によりリチウムイオン電池の熱暴走による火災を検出した場合、固形消火剤42に点火して燃焼させ、これに伴い発生する消火用エアロゾルにより雲母粉末剤34などの粉末絶縁剤加圧して放出管38から蓄電装置10内へ放出し、蓄電装置10内の空き空間に雲母粉末剤34で充満し、消火砂として機能させて電解液火炎を消火抑制し、霧化した電解液に雲母粉末剤34を混合して導電性下げて、電解液の付着による外部短絡を抑制する。

目的

本発明は、蓄電装置の容器内で起きているリチウムイオン電池の異常に伴う火災を直接的に消火抑制して連鎖的な火災の拡大を阻止することを可能とする消火装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

複数のリチウムイオン電池収納した蓄電装置に設ける消火装置に於いて、前記蓄電装置の内部空き空間に対応した所定量の粉末絶縁剤充填した絶縁剤収納手段と、前記絶縁剤収納手段に充填した前記粉末絶縁剤を加圧する加圧手段と、前記リチウムイオン電池の異常に伴う火災を検出した場合に、前記加圧手段の作動により前記絶縁剤収納手段に充填した粉末絶縁剤を加圧し、前記蓄電装置内に前記粉末絶縁剤を消火砂として放出させる消火制御手段と、を備えたことを特徴とする消火装置。

請求項2

請求項1記載の消火装置に於いて、前記粉末絶縁剤は雲母粉末剤であることを特徴とする消火装置。

請求項3

請求項1記載の消火装置に於いて、前記粉末絶縁剤に所定量の粉末消火剤を混合したことを特徴とする消火装置。

請求項4

請求項1記載の消火装置に於いて、前記加圧手段は、一端を閉鎖すると共に他端を前記絶縁剤収納手段側に開口し、燃焼により消火用エアロゾルを発生する固形消火剤を収納した固形消火剤収納部と、前記固形消火剤収納部の開口側に配置された火炎噴出防止部材と、一端を前記絶縁剤収納手段に開口すると共に他端を前記蓄電装置内に開口する放出管と、前記放出管を封止し、前記粉末絶縁剤の加圧により破れ封止部材と、を備え、前記消火制御手段は、前記リチウムイオン電池の異常に伴う火災を検知する火災検知部と、前記火災検知部により火災を検出した場合又は外部から起動指示信号を入力した場合に、ヒータ通電加熱により前記固形消火剤を燃焼させ、更に外部に消火起動検出信号を出力する起動回路部と、前記起動回路部との間を信号線で接続したコネクタと、前記コネクタに着脱自在に設けられ、外部に引き出している信号線を前記コネクタに接続するプラグと、前記起動回路部に電源を供給する電池電源と、を備えたことを特徴とする消火装置。

請求項5

請求項1記載の消火装置に於いて、前記加圧手段は、不活性ガス加圧充填したガス収納部と、前記ガス収納部に加圧充填した不活性ガスを前記絶縁剤収納手段に放出するガス放出ヘッドと、前記ガス収納部とガス放出ヘッドの間に設けられ、開制御信号を受けた場合に開動作するガス放出弁と、一端を前記絶縁剤収納手段に開口すると共に他端を前記蓄電装置内に開口する放出管と、前記放出管を封止し、前記粉末絶縁剤の加圧により破れる封止部材と、前記蓄電装置内に連通し、前記蓄電装置の内部圧力の増加に伴う雰囲気を導入し、フィルタを通して外部に排出する排出部と、を備え、前記消火制御手段は、前記リチウムイオン電池の異常に伴う火災を検知する火災検知部と、前記火災検知部により火災を検出した場合又は外部から起動指示信号を入力した場合に、前記ガス放出弁に開制御信号を出力して開動作し、更に外部に消火起動検出信号を出力する起動回路部と、前記起動回路部との間を信号線で接続したコネクタと、前記コネクタに着脱自在に設けられ、外部に引き出している信号線を前記コネクタに接続するプラグと、前記起動回路部に電源を供給する電池電源と、を備えたことを特徴とする消火装置。

請求項6

請求項4又は5記載の消火装置に於いて、前記火災検知部は、前記蓄電装置内に布設し、火災による熱を受けた場合の絶縁被覆溶融により一対の信号線を短絡状態に接触させる熱感知ケーブルであることを特徴とする消火装置。

請求項7

請求項6記載の消火装置に於いて、前記熱感知ケーブルを前記蓄電装置に収納して配列している全てのリチウムイオン電池に設けた安全弁の近傍を通るように布設したことを特徴とする消火装置。

請求項8

請求項1記載の消火装置に於いて、前記蓄電装置は、前記複数のリチウムイオン電池を容器本体と蓋部材で構成した電池収納容器に収納しており、前記消火装置を前記蓄電装置の蓋部材の上部外側又は蓋部材の内側に配置したことを特徴とする消火装置。

技術分野

0001

本発明は、複数のリチウムイオン電池収納した蓄電装置に設けて消火する消火装置に関する。

背景技術

0002

近年、ガソリン軽油燃料としたエンジン動力源とする自動車以外に、エンジンとモーターを搭載したハイブリッド自動車急増している。この背景には原油価格の上昇により、低燃費車の需要が増加したことや、環境負荷低減意識向上によりCO2排出量の少ないハイブリッド自動車の需要が増加したことにある。さらに、このようなハイブリッド車に加え、電気モーターのみを動力源とし、走行時のCO2排出量がゼロである電気自動車も徐々に普及がはじまっている。

0003

ハイブリッド自動車や電気自動車の車体には、複数の単電池を配列して直列且つ並列接続した高電圧且つ大容量の蓄電装置が搭載されている。蓄電装置はセルと呼ばれる単電池を複数接続した組電池で構成され、密閉容器に収納している。また蓄電装置に搭載する単電池は、従来のニッケル水素電池から一般家庭でも充電が可能なリチウムイオン電池へ移行しており、今後も単電池の高性能化が期待されている。

0004

また、航空機の分野においても、小型で容量が大きく軽量化に寄与するリチウムイオン電池を用いた蓄電装置を搭載した航空機が実用化され、運用を開始している。

0005

更に、近年、一般住宅オフィス公共施設などを対象にした定置型のリチウムイオン電池を用いた蓄電装置も急速に広がっており、リチウムイオン電池を用いたことで、数百Whから2〜3kWh程度蓄電容量をもった建物内に簡単に設置して使用可能な小型の蓄電装置を実現している。

0006

定置型の蓄電装置は、建物内に引き込まれた商用交流系統コンセント等に接続して入力した交流電力直流電力に変換して蓄電し、テレビパーソナルコンピュータ等の電子機器照明機器といった日常生活重要度の高い負荷、所謂重要負荷を接続しておくことで、商用交流系統の停電時は勿論のこと、平常時にも、必要に応じて蓄電した直流電力を交流電力に変換して出力して動作するようにしている。

0007

また、商用交流系統からの交流電力による蓄電装置の蓄電を、電気料金が安くなる深夜の時間帯に行い、消費電力が最大となる昼間の電力ピークの時間帯に、蓄電装置に蓄電した直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給し、商用交流系統からの電力消費を低減し、節電経済的な電力活用を可能としている。

先行技術

0008

特開2012−129009号公報
特開2011−254906号公報
特開2011−165628号公報
特開2007−295707号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、このようなリチウムイオン電池を用いた蓄電装置にあっては、リチウムイオン電池を複数接続して大容量を実現しているが、リチウムイオン電池が内部ショート過充電等の種々の原因で熱暴走した場合、電池温度が著しく上昇し、電池内部の圧力が上昇し、その結果、リチウムイオン電池の破裂発火が起き、蓄電装置を火元とした電気火災が発生する恐れがある。

0010

蓄電装置に収納したリチウムイオン電池は電解液ジメチルカーボネートジエチルカーボネートなどの可燃性液体を用いており、可燃性液体がある限り、条件がそろえば発火する。リチウムイオン電池の発火のメカニズムは熱暴走であり、セルの内部短絡、セル内部の異常発熱外部短絡、外部異常過熱過大電流過大電圧などがトリガとなり、セル内部での温度上昇が発生し、この発熱がある限界値を越えると、その挙動コントロール出来ずに連読的に、昇温反応を起こし昇温現象が発生する。これが熱暴走である。

0011

リチウムイオン電池の熱暴走時の挙動は、短時間に急激な昇温反応を示し、電解液が急激に熱せられ、膨張し、ガス化して噴出し、セルに設けた安全弁が作動(破裂)して電解液を噴出し、電解液が可燃性液体であることからセルから火炎が噴出する。

0012

セルから噴出する火炎の度合いはリチウムイオン電池の充電量による異なることが、各種の火災実験の結果として報告されている。リチウムイオン電池の発熱分解時に放出される酸素量は、充電状態の違いで異なっており、満充電(SOC100%)時がもっとも酸素量放出が多いといわれている。このため充電量の多い電池と充電量の少ない電池では酸素放出量の違いが存在し、充電量が多いほどセルから火炎が強く噴出し、満充電の場合には爆発的な火炎の噴出となっている。

0013

密閉容器を使用した蓄電装置に収納している複数のリチウムイオン電池のいずれかが熱暴走により発火した場合、セルから噴出した火炎は容器内の空き空間に広がって容器内部を火炎で満たし、容器内の酸素が火炎により消費されてなくなっても、セル自体からの酸素放出が続くために噴出する電解液の火炎は衰えることがなく、蓄電装置の内部温度が急激に上昇し、隣接するリチウムイオン電池が加熱され、連鎖的に熱暴走を起こす可能性がある。またセルから噴出した電解液は高い電気導電性をもち、そのため蓄電内部に噴出した場合に、リチウムイオン電池の電極端子間接続バーの間に付着すると外部短絡を引き起こし、過大な短絡電流が流れることで、隣接するリチウムイオン電池が連鎖的に熱暴走を起こす可能性がある。

0014

このような熱暴走による発火の問題に対しては、各種の安全対策がとられ、安全性の向上が日々図られている。この点に関し「電池の安全性向上が見られるのは事実である。しかし、火災・爆発に至る確率を小さくしているのであって、火災・爆発が起こらないことを意味するものではない」とする学識経験者見解も示されている。

0015

しかしながら、従来、自動車、航空機、更に建物にリチウムイオン電池を収納した蓄電装置を設置した場合の電気火災に対し、密閉容器の外部で起きた火災に対応して消火抑制する消火装置や消火設備は各種提案され実用化されているが、密閉容器内で起きたリチウムイオン電池の熱暴走に起因した発火に対応して直接的に消火抑制するために有効な消火装置や消火設備は実現されていない。

0016

また蓄電装置の電気火災が発生した際に、従来の水系消火設備による消火活動は、火災を消火或いは抑制するどころか、感電事故等の二次災害を誘発する危険性が高い。

0017

本発明は、蓄電装置の容器内で起きているリチウムイオン電池の異常に伴う火災を直接的に消火抑制して連鎖的な火災の拡大を阻止することを可能とする消火装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

(消火装置)
本発明は、複数のリチウムイオン電池を収納した蓄電装置に設ける消火装置に於いて、
蓄電装置の内部空き空間に対応した所定量の粉末絶縁剤充填した絶縁剤収納手段と、
絶縁剤収納手段に充填した粉末絶縁剤を加圧する加圧手段と、
リチウムイオン電池の異常に伴う火災を検出した場合に、加圧手段の作動により絶縁剤収納手段に充填した粉末絶縁剤を加圧し、蓄電装置内に粉末絶縁剤を消火砂として放出させる消火制御手段と、
を備えたことを特徴とする。

0019

雲母粉末
粉末絶縁剤は雲母粉末である。また、粉末絶縁剤に所定量の粉末消火剤を混合しても良い。

0020

固形消火剤加圧源とする消火装置)
加圧手段は、
一端を閉鎖すると共に他端を絶縁剤収納手段側に開口し、燃焼により消火用エアロゾルを発生する固形消火剤を収納した固形消火剤収納部と、
固形消火剤収納部の開口側に配置された火炎噴出防止部材と、
一端を絶縁剤収納手段に開口すると共に他端を蓄電装置内に開口する放出管と、
放出管を封止し、粉末絶縁剤の加圧により破れ封止部材と、
を備え、
消火制御手段は、
リチウムイオン電池の異常に伴う火災を検知する火災検知部と、
火災検知部により火災を検出した場合又は外部から消火起動指示信号を入力した場合に、ヒータ通電加熱により固形消火剤を燃焼させ、更に外部に消火起動検出信号を出力する起動回路部と、
起動回路部との間を信号線で接続したコネクタと、
コネクタに着脱自在に設けられ、外部に引き出している信号線をコネクタに接続するプラグと、
起動回路部に電源を供給する電池電源と、
を備える。

0021

不活性ガスを加圧源とする消火装置)
加圧手段は、
不活性ガスを加圧充填したガス収納部と、
ガス収納部に加圧充填した不活性ガスを絶縁剤収納手段に放出するガス放出ヘッドと、
ガス収納部とガス放出ヘッドの間に設けられ、開制御信号を受けた場合に開動作するガス放出弁と、
一端を絶縁剤収納手段に開口すると共に他端を蓄電装置内に開口する放出管と、
放出管を封止し、粉末絶縁剤の加圧により破れる封止部材と、
蓄電装置内に連通し、蓄電装置の内部圧力の増加に伴う雰囲気を導入し、フィルタを通して外部に排出する排出部と、
を備え、
消火制御手段は、
リチウムイオン電池の異常に伴う火災を検知する火災検知部と、
火災検知部により火災を検出した場合又は外部から消火起動指示信号を入力した場合に、ガス放出弁に開制御信号を出力して開動作し、更に外部に消火起動検出信号を出力する起動回路部と、
起動回路部との間を信号線で接続したコネクタと、
コネクタに着脱自在に設けられ、外部に引き出している信号線をコネクタに接続するプラグと、
起動回路部に電源を供給する電池電源と、
を備える。

0022

熱感知ケーブル
火災検知部は、蓄電装置内に布設し、火災による熱を受けた場合の絶縁被覆溶融により一対の信号線を短絡状態に接触させる熱感知ケーブルである。熱感知ケーブルは、蓄電装置に収納して配列している全てのリチウムイオン電池に設けた安全弁の近傍を通るように布設する。

0023

(消火装置の配置場所
蓄電装置は、複数のリチウムイオン電池を容器本体と蓋部材で構成した電池収納容器に収納しており、消火装置を蓄電装置の蓋部材の上部外側又は蓋部材の内側に配置する。

発明の効果

0024

(基本的な効果)
本発明の消火装置は、蓄電装置に収納した複数のリチウムイオン電池の何れかが内部ショートや過充電等の種々の原因で熱暴走して破裂や発火が起きた場合に、蓄電装置の空き空間に見合った十分な量の粉末絶縁剤を蓄電装置内へ放出するようにしたため、蓄電装置内の空き空間が放出された粉末絶縁剤で充満され、熱暴走したリチウムイオン電池から噴出している電解液の火炎を粉末絶縁剤により包み込むと共に霧化した電解液を吸着し、粉末絶縁剤が所謂消火砂として機能することで火炎を消火抑制し、他のリチウムイオン電池の加熱を抑えて連鎖的な熱暴走を防止可能とし、最悪であっても蓄電装置内の火災に留め、外部にまで及ぶ火災の拡大を未然に防止することを可能とする。

0025

また、熱暴走したリチウムイオン電池から電解液が噴出している空き空間に粉末絶縁剤を放出することで、霧化した電解液と粉末絶縁剤が混合し、粉末絶縁剤と混合した電解液の導電性が低下して絶縁抵抗が高くなり、粉末絶縁剤と混合した電解液が他のリチウムイオン電池の電極端子間やバスバー電極接続バー)間に付着しても、導電性が低下したことで短絡電流を抑制し、外部短絡による連鎖的な熱暴走を確実に防止可能とする。

0026

(粉末絶縁剤による効果)
また、粉末絶縁剤として雲母粉末剤を使用することで、高い絶縁抵抗が確保できると共に、高い耐熱性が確保でき、また市販されている工業用乾式粉砕雲母粉を利用することで、コスト低減ができる。

0027

また、雲母粉末剤などの粉末絶縁剤に所定量の粉末消火剤を混合することで、粉末絶縁剤による消火砂としての機能に加え、リチウムイオン電池から噴出している火炎に粉末消火剤を直接噴射して消火抑制することができる。

0028

(固形消火剤を加圧源とした場合の効果)
また、粉末絶縁剤の加圧源として、固形消火剤の燃焼により発生する消火用エアロゾルを用いるため、通常状態では固形消火剤を粉末絶縁剤から隔離して収納するだけでよく、耐圧が要求されない小型の加圧源とすることができ、また火災を検知した場合は、固形消火剤の燃焼による消火用エアロゾルの発生による加圧で継続的に、蓄電装置内に粉末絶縁剤を放出することができる。

0029

また、粉末絶縁剤を加圧するために固形消火剤の燃焼により発生する消火用エアロゾルは、2μm程度の微粒子であり、塩化カリウム塩化ナトリウム炭酸ナトリウム硫酸ナトリウムなどを主成分とし、これに窒素二酸化炭素水蒸気などが含まれ、水系消火剤を使用できない電気火災に好適であり、このため消火装置は、蓄電装置内に、粉末絶縁剤と消火用エアロゾルを混合して放出することとなり、リチウムイオン電池の火災に対し、より高い消火抑制を行うことが可能となる。

0030

(不活性ガスを加圧源とした場合の効果)
また、粉末絶縁剤の加圧源として、ガスボンベに加圧充填した窒素ガス二酸化炭素ガスなどの不活性ガスを用いるため、ガスボンベは耐圧が要求されるが、蓄電装置の空き空間の容積が小さいことから、必要とする不活性ガスの量も少なく済み、小型の加圧源とすることができる。

0031

また、不活性ガスとして窒素ガスや二酸化炭素ガスを用いた場合には、蓄電装置内に、粉末絶縁剤と窒素ガス又は二酸化炭素ガスを混合して放出することとなり、窒素ガス又は二酸化炭素ガスによる窒息消火が加わることで、リチウムイオン電池の火災に対し、より高い消火抑制を行うことが可能となる。

0032

また、不活性ガスによる加圧で蓄電装置内に粉末絶縁剤を放出した場合、蓄電装置の内部圧力が増加するが、蓄電装置の内部圧力の増加に伴う雰囲気を導入しフィルタを通して外部に排出する排出部を消火装置に設けることで、蓄電装置の内部圧力の増加を抑え、蓄電装置の破裂を防止する。

0033

(熱感知ケーブルによる効果)
また、蓄電装置に収納したリチウムイオン電池の異常に伴う電気火災の検知は、例えば熱感知ケーブルがリチウムイオン電池の熱暴走に伴う火炎の熱を受けた場合の絶縁被覆の溶融により一対の信号線を短絡状態に接触させることで検知しており、温度センサなどを使用した場合に必要な火災を検知する閾値温度の設定や、閾値検出温度比較判断を不要とし、簡単且つ確実に、リチウムイオン電池の異常に伴う火災を検知して消火抑制できる。

0034

また、熱感知ケーブルを蓄電装置に収納している全てのリチウムイオン電池に設けた安全弁の近傍を横切るように布設するため、熱感知ケーブルの布設という簡単な構成により、全てのリチウムイオン電池の各々に対し異常に伴う火災を確実に検出して消火抑制ができる。

図面の簡単な説明

0035

消火装置を外付けした蓄電装置を示した説明図
固形消火剤を加圧源とする消火装置の縦断面を示した断面図
図1の蓄電装置の蓋を外して装置本体の内部を示した平面図
図1の消火装置の蓋を外して本体内部を示した平面図
消火装置に内蔵した起動回路部の実施形態を示した回路
消火装置の動作を示した説明図
不活性ガスを加圧源とする消火装置の縦断面を示した断面図
図7の蓄電装置の蓋を外して装置本体の内部を示した平面図

実施例

0036

[消火装置の構成]
図1は本発明による消火装置を外付けした蓄電装置を示した斜視図、図2は固形消火剤を加圧源とした図1の消火装置及び蓄電装置の縦断面を示した断面図、図3は蓄電装置の蓋を外して装置本体内を示した平面図、図4は消火装置の蓋を外して本体内部を示した平面図である。

0037

(蓄電装置の概要
図1図2及び図3に示すように、蓄電装置10は例えば航空機用であり、上部に開口した箱型収納容器本体12と、収納容器本体12の開口に装着してビスなどで固定した収納容器蓋14を備え、収納容器本体12と収納容器蓋14で蓄電装置10の収納容器を構成する。なお、蓄電装置10は、電池モジュール或いは電池パックとも呼ばれる。

0038

収納容器本体12の手前側側壁には、蓄電装置10の正極出力端子16aと負極出力端子16b、及び各種の制御信号検出信号入出力する信号線を接続するコネクタ18を取付けている。

0039

収納容器本体12には、組電池として例えば8個のリチウムイオン電池20を収納している。リチウムイオン電池20は、単電池(電池セル)として知られた非水電解質二次電池であり、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成した矩形箱型の外装容器に、非水電解液と共に電極体を収納している。

0040

リチウムイオン電池20の電極体は、例えば、正極板及び負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回すことにより、矩形形状に形成している。リチウムイオン電池20の外装容器の上端には正極及び負極となる一対の電極端子22を取出している。またリチウムイオン電池20の一方の側壁には安全弁25を設けている。安全弁25は外装容器に設けた開口を薄いアルミニウム板で閉鎖しており、熱暴走などにより内部圧力が増加した場合、所定圧力で作動(破裂)して外装容器の破裂を防止する。

0041

ここで、リチウムイオン電池20の外形サイズは、例えば(高さ=170mm〜180mm)×(横幅=130mm〜140mm)×(奥行=50mm〜60mm)程度となる。また蓄電装置の外形サイズは、例えば(高さ=200mm〜220mm)×(横幅=270mm〜290mm)×(奥行=320mm〜340mm)程度となる。

0042

収納容器本体12の内部には、8個のリチウム電池20を2列に4個並べて収納しており、正極と負極の電極端子22が交互に向かい合うように収納し、これにより隣接する電池間の正極と負極の電極端子22の間にプレート状のバスバー(電極接続バー)24を装着し、8個のリチウムイオン電池を直列接続し、直列接続した場合の両端となる正極と負極の電極端子22をバスバー25により縦置きで収納した回路基板28の一方に連結している。

0043

回路基板28にはバッテリーマネジメントユニット(MBU)が実装され、電池電圧、内部温度を監視し、異常を検出した場合は、充電を停止するように外部に設置した充電器に信号を出力する機能を備えている。

0044

リチウムイオン電池20の安全弁25は例えば正極の電極端子22側の側面に設けており、収納容器本体12に組み込んだ場合、図3の平面図に示すように、安全弁25は外側又は他の電池と相対する中央側に位置している。

0045

リチウムイオン電池20の平均セル電圧を例えば3.5ボルトとすると、図3に示す8個のリチウムイオン電池20の直列接続により、組電池の電圧は28ボルトとなり、蓄電装置10の正極出力端子16aと負極出力端子16bの電圧も28ボルトとなる。なお、リチウムイオン電池20の数は、必要とする組電池の必要電圧に対応した数とする。また、複数のリチウムイオン電池20の接続は、所定数のリチウムイオン電池を並列接続した組電池とし、この組電池を複数直列接続しても良い。

0046

[消火装置の概要]
図1図2及び図4に示すように、蓄電装置10における収納容器蓋14の上部に消火装置30を外付けにより固定配置している。

0047

消火装置10は、蓄電装置10の収納容器内に収納したリチウムイオン電池20の熱暴走に伴う火災を検出した場合に、固形消火剤の燃焼により発生した消火用エアロゾルを加圧源として、消火装置16に充填している粉末絶縁剤を蓄電装置10内に放出して消火抑制する。

0048

消火装置16は装置本体30aと蓋部材30bで構成した密閉容器であり、横幅と奥行を蓄電装置10と同じにした箱型形状をもつ。装置本体30a内は図4の平面図に示すように、仕切板31により3つの区画に分け、両側の区画に消火装置10の絶縁剤収納手段と加圧手段を各々設け、中央の区画に消火制御手段を設けている。

0049

(絶縁剤収納手段の構成)
消火装置30の絶縁剤収納手段となる絶縁剤収容部32には、粉末絶縁剤として雲母粉末剤34を充填している。雲母粉末剤34は工業用として市販されている乾式粉砕雲母粉を使用することができ、例えば平均粒子径を5〜10μmとした超微粒子の雲母粉が好適である。雲母粉は、体積抵抗率が108Ω−m以上と高い電気絶縁性をもち、また熱分解温度も900〜1000℃程度と高い耐熱性を備える。

0050

絶縁剤収納部32に充填する雲母粉末剤34の量は、蓄電装置10の内部空き容積に対応した所定量、例えば内部空き空間の容積と同程度の量とする。蓄電装置10に収納しているリチウムイオン電池20の何れかが熱暴走を起して安全弁25が作動(破裂)して発火した電解液を噴出した場合、電解液の噴出による火炎は蓄電装置10の内部空き空間に広がることから、この内部空き空間にその容積と同程度の量の雲母粉末剤34を放出することで、蓄電装置10の内部空き空間を雲母粉末剤34で充満させることを可能とする。

0051

また、粉末絶縁剤としての雲母粉末剤34に所定量の粉末消火剤を混合し、消火抑制効果を更に高めるようにしても良い。この粉末消火剤としては、木材、紙、繊維などの普通火災A、灯油、ガソリンなどの油類の火災B、配電盤、コンセントなどの電気火災Cに対応したABC式の粉末消火剤とする。

0052

(加圧手段の構成)
消火装置30の加圧手段は、固形消火剤収納部40、火炎噴出防止部材50、放出管36及び封止部材38で構成する。

0053

固形消火剤収納部40は、仕切部材44により一端を閉鎖すると共に他端を絶縁剤収納部32側に開口し、固形消火剤42を収納している。

0054

固形消火剤42は中央横方向に通し穴を形成し、通し穴の開口側に火薬等を使用した点火剤46を埋込み配置し、更に、点火剤46の中には点火に使用するヒータ48を埋込み配置している。固形消火剤42に設けた通し穴は、点火剤46により固形消火剤42に点火した場合に、通し穴から外側に向って固形消火剤42を効率良く燃焼させる役割を果たす。

0055

点火剤46として火薬を使用した場合、ヒータ48の通電加熱による点火剤46の起爆により発生する爆風を加圧源として、絶縁剤収納部32に収容した雲母粉末剤34を爆風により急速に攪拌加圧し、また爆風により発生した強い圧力で放出管36の封止部材38を破り、放出管36から蓄電装置10の内部に雲母粉末剤34を短時間に放出可能とする。

0056

固形消火剤42は、燃焼により消火用エアロゾルを発生し、絶縁剤収納部32に充填している雲母粉末剤34を蓄電装置10の内部に放出するための加圧源として機能すると共に消火剤として機能する。消火用エアロゾルは、2μm程度の超微粒子であり、その主成分は、金属の酸化物炭酸塩あるいは燐酸塩あるいはその混合物を含有している。

0057

具体的には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどを主成分とし、これに窒素、二酸化炭素、水蒸気などが含まれている。このような主成分を持つ消火用エアロゾルにあっては、消火用エアロゾルそのものに毒性がなく、環境に優しい発生ガスということができる。

0058

固形消火剤42の燃焼により発生した消火用エアロゾルによる消火作用は、火災の発生により燃焼している燃焼の活性中心消滅、抑制する作用により消火を行うものであり、水系消火剤を使用することのできない電気火災に好適な消火作用が得られる。

0059

固形消火剤42の量は例えば蓄電装置10の内部空き容積に応じて決める。閉鎖空間となる消火対象エリア立方メートル当たりを消火するに必要な消火用エアロゾルを発生するための固形消火剤42の重量は、80グラム〜200グラム程度であり、これに基づき、消火対象とする蓄電装置10の内部空き容積に応じた量の固形消火剤42を収納している。

0060

本実施形態の消火装置30が消火対象とする蓄電装置10の内容積は、例えば0.02立方メートル程度であり、これに複数のリチウムイオン電池20で構成した組電池、回路基板、バスバー等を収納することから、実際の内部空き容積は更に小さなものとなる。例えば蓄電装置10の内部空き容積を0.01立方メートルとした場合に必要な固形消火剤の重量は8グラム〜20グラム程度となる。

0061

従来から電気設備等に用いられる消火設備として、ガス消火設備粉末消火設備が一般に使用されているが、これらの消火設備は消火剤を放出するにあたり多量の高圧ガスを必要とする。その為、密閉度の高い収納容器内で消火用ガスや粉末を放出した場合は、収納容器の破裂に繋がり消火効果の低減や火災の延焼拡大の可能性がある。本実施形態の消火装置30では収納容器内の加圧は点火剤46に点火した短時間であり、その後は少量の固形消火剤42の燃焼により発生するエアロゾル放出による微少加圧であるため、従来のガス消火設備や粉末消火設備と比較して蓄電装置10内の圧力上昇は非常に小さく、蓄電装置10の破裂は回避できる。

0062

固形消火剤42を収納した消火剤収納部40の開口側には火炎噴出防止部材50を配置する。火炎噴出防止部材50の具体例としては、ガラス磁器などの細径パイプを複数並べて炎の噴出しを抑制する構造、複数の金網分離配置して炎の噴出しを抑制する構造、ガラスや磁器などのボールを複数配置して炎の噴出しを抑制する構造、更には複数の金網の間にガラスや磁器などのボールを複数配置して炎の噴出しを抑制する構造とする。

0063

火炎噴出防止部材50に続いては複数のノズル孔54を形成した仕切部材52を配置し、絶縁剤収納部32側に点火剤48の起爆により発生した爆風により破れる薄い封止部材56を設けて閉鎖し、絶縁剤収納部32に充填している粉末消火剤50が入らないようにしている。ノズル孔54を閉鎖する封止部材56は、アルミニウム箔合成樹脂薄膜などを使用し、ノズル孔54の外側に接着固定する。

0064

放出管36は一端を絶縁剤収納部32に開口すると共に、他端を収納容器蓋14を貫通して蓄電装置10内に開口し、その入口側に粉末雲母剤34の加圧により破れる封止部材38を配置し、粉末雲母剤34が蓄電装置10内に落下しないように封止している。放出管36を封止する封止部材38は、封止部材56と同様、アルミニウム箔、合成樹脂薄膜などを使用し、放出管36の入口側に接着固定する。

0065

放出管36の蓄電装置10側は有底であり、底部及びその周囲に開口を形成し、加圧供給された雲母粉末剤34を、下方及び横方向に拡散放出可能としている。

0066

(消火制御手段の構成)
消火装置10の消火制御手段は、熱感知ケーブル64を用いた火災検出部、起動回路部60、コネクタ62、プラグ64を備える。

0067

図4に示した消火装置16の中央の区画には起動回路部60を収納しており、起動回路部60から火災検知部として機能する熱感知ケーブル64を、絶縁シール65を介して蓄電装置10内に引き出して布線している。熱感知ケーブル64は、ビニールなどの樹脂で絶縁被覆した2本の撚られた信号線であり、2本の信号線の間に起動回路部60から電圧を印加しており、火災による熱を受けた場合の絶縁被覆の溶融により一対の信号線が短絡状態に接触し、感知電流が流れることで火災を検出する。

0068

蓄電装置10に引き込まれた熱感知ケーブル64は、蓄電装置10に収納しているリチウムイオン電池20の安全弁25の近傍を通過するように布線し、熱暴走したリチウムイオン電池20の安全弁25の作動(破裂)で噴出する電解液の火炎を受けて火災を検出可能としている。

0069

また、起動回路部60は固形消火剤42の点火剤46に設けたヒータ48を信号線により接続し、火災を検出した場合又は外部から消火起動指示信号を受けた場合、ヒータ48に通電して点火剤42により固形消火剤42に点火し、その燃焼により消火用エアロゾルを発生し、雲母粉末剤34を蓄電装置10内に加圧放出させる。

0070

また、起動回路部60の近傍の装置本体30aにはコネクタ62を設け、外部からプラグ63を接続可能とし、プラグ63を介して信号線72,74を外部に引き出している。信号線72は、外部から消火起動指示信号を入力し、消火装置30を遠隔的に動作させる。信号線74は、消火装置30を動作した場合に消火起動検出信号を外部へ出力する。このためコネクタ62に図示しない外部装置側からの信号線72,74をプラグ63により接続しておくことで、外部装置側からの消火起動指示信号による消火装置30の動作を可能とし、また、外部装置側の表示パネルなどに、消火装置30の起動を表示することを可能とする。

0071

(起動回路部の構成)
図5は、図4の消火装置30の中央の区画に配置した起動回路部60の実施形態を示した回路図である。図5に示すように、起動回路部60は、蓄電装置10内に布線した熱感知ケーブル64を接続すると共に、プラグ63及びコネクタ62を介して消火起動指示信号を入力する信号線72、及び消火起動検出信号を出力する信号線74を接続している。なお、消火起動指示信号を入力する信号線72は通常監視状態開放状態にあり、消火起動指示信号を入力する場合は、短絡状態となる。

0072

起動回路部60には、トランジスタ84、リレー86、抵抗78,80,82を備えたヒータ駆動回路及び電池電源76を設ける。電池電源76は釦電池などの一次電池であり、外部からの電源供給を不要としている。

0073

トランジスタ84は、抵抗78,80の分圧電圧を、抵抗82を介してベースに印加しており、熱感知ケーブル64には抵抗78,80を介して電池電源76からの電源電圧を常時、印加している。ここで、通常監視状態でトランジスタ84はオフであり、また熱感知ケーブル64の一方の信号線には電源電圧のみが印加されるだけで電流は流れておらず、起動回路部60の消費電量漏れ電流などに起因した極く僅かな消費電流だけであり、電池電源76として一次電池を使用しても、必要にして十分な電池寿命を確保可能である。

0074

トランジスタ84はPNPトランジスタであり、コレクタ側に負荷としてリレー86を接続しており、通常監視状態にあっては、熱感知ケーブル64は2本の信号線のビニールなどによる絶縁被覆で開放状態にあり、電池電源76から電流は流れず、トランジスタ84はエミッタ,ベース間の電圧が0ボルトであることからオフ状態となっている。

0075

リレー86は、その常開リレー接点90a,90bを介して一対のヒータ54を接続している。また、リレー86の常開リレー接点88をトランジスタ84のエミッタ・コレクタ間に接続し、ラッチ回路を形成している。更に、コネクタ62の端子に消火起動検出信号を出力するためのリレー接点92を接続している。

0076

蓄電装置10に収納したリチウムイオン電池20の熱暴走で作動した安全弁25から噴き出す電解液の火炎の熱を受けて熱感知ケーブル64の絶縁被覆であるビニールが溶け、2本の信号線が接触状態になると、抵抗78、80を介して熱感知ケーブル64に電流が流れる。このため、抵抗78に生ずる電圧によりトランジスタ84のエミッタ・ベース間にバイアス電圧が加わり、これによってトランジスタ84がオンしてリレー86を作動する。

0077

リレー86が作動すると常開リレー接点90a,90bが閉じ、一対のヒータ54のそれぞれに通電し、ヒータ54の通電による加熱で点火剤46を起爆し、これに伴い固形消火剤42に点火して燃焼することで消火用エアロゾルを発生して、爆風及び消火用エアロゾルにより雲母粉末剤34を攪拌加圧し、放出管36から蓄電装置10内に消火用エアロと共に雲母粉末剤34を放出させる。

0078

またリレー86の作動によりリレー接点88が閉じることで、リレー86を作動状態ラッチし、これによって、熱感知ケーブル64の短絡状態の変動による誤動作を防ぐようにしている。

0079

更に、リレー接点92が閉じることで、信号線74を介して外部に対し消火動作が行われたことを示す消火起動検出信号を出力し、必要に応じて消火起動検出信号を受信した外部装置で電池火災に対する消火装置の起動を表示して知らせる。

0080

一方、外部装置側から必要に応じて消火起動指示信号が入力されると、信号線72は短絡状態となり、熱感知ケーブル64により火災検知した場合と同様に、抵抗78、80を介して信号線72に電流が流れてトランジスタ84がオンし、リレー86の作動で常開リレー接点90a,90bが閉じてヒータ54に通電し、点火剤46を起爆して固形消火剤42を燃焼することで消火用エアロゾルを発生して、爆風及び消火用エアロゾルにより粉末消火剤32を攪拌加圧し、放出管36から蓄電装置10内に消火用エアロと共に雲母粉末剤34を放出させる。

0081

(消火装置の動作)
図6は消火装置30の動作を示した説明図である。図6において、蓄電装置10に収納しているリチウムイオン電池20のいずれかが熱暴走を起こして電池温度が著しく上昇し、圧力上昇により安全弁25が作動(破裂)し、充填している非水電解液が発火して火炎を激しく噴き出す火災を起こした場合、消火装置30の点火回路部60が蓄電装置10内に布設した熱感知ケーブル64の火災による短絡状態を検出し、ヒータ48に通電加熱して点火剤46を起爆し、これに伴い固形消火剤42に点火して燃焼することで消火用エアロゾルを発生する。

0082

点火剤46の起爆で発生した爆風は、火炎噴出防止部材56を介して噴き出した後、仕切部材52のノズル孔54の封止部材56を破って爆風を噴出し、これにより絶縁剤収納部32に充填している雲母粉末剤34を攪拌し、引き続き絶縁剤収納部32には固形消火剤42の燃焼で発生した消火用エアロゾルが送り込まれる。絶縁剤収納部32の内圧が所定の圧力に達すると放出管36を閉鎖している封止部材38が破れ、雲母粉末剤34が消火用エアロゾルと共に放出管36を通って蓄電装置10内の空き空間に放出され、短時間に空き空間に充満する。

0083

このため熱暴走を起こしたリチウムイオン電池20から噴き出している電解液の火炎を、放出した雲母粉末剤34で包み込むと共に霧化した電解液を吸着し、雲母粉末剤34は消火砂として機能して、リチウムイオン電池20から噴き出している火炎を消火抑制する。また固形消火剤42の燃焼により発生した消火用エアロゾルも蓄電装置10内に継続的に放出され、リチウムイオン電池20から噴き出している火炎を消火抑制する。

0084

一方、蓄電装置10内に放出した雲母粉末剤34は、熱暴走を起こしたリチウムイオン電池20から噴出している霧化した電解液と混合し、雲母粉末剤34と混合した電解液は導電性が低下して絶縁抵抗が高くなり、雲母粉末剤34と混合した電解液が他のリチウムイオン電池20の電極端子22間やバスバー24間に付着しても、導電性が低下したことで短絡電流を抑制し、外部短絡による連鎖的な熱暴走を防止可能とする。

0085

[不活性ガスを加圧源に用いた消火装置]
(消火装置の構成)
図7は不活性ガスを加圧源とした図1の消火装置及び蓄電装置の縦断面を示した断面図、図8図7の消火装置の蓋を外して装置本体内を示した平面図である。

0086

図7及び図8に示すように、本実施形態の消火装置30は、加圧手段に、ガス収納部となるボンベ94、ガス放出ヘッド98、ガス放出弁96を設けている。ボンベ94には不活性ガスとして窒素ガス又は二酸化炭素ガスを加圧充填している。

0087

ガス放出ヘッド98はガスボンベ94に加圧充填した不活性ガスを絶縁剤収納部32に放出する。ガス放出弁96はガスボンベ94とガス放出ヘッド98の間に設けられ、通常は閉鎖しており、起動回路部60から開制御信号を受けた場合に開動作し、ボンベ94に加圧充填している不活性ガスをガス放出ヘッド98から絶縁剤収納部32に放出し、雲母粉末剤34を加圧し、放出管36から蓄電装置10内へ放出させる。

0088

また、起動回路部60を配置した中央の区画には、蓄電装置10内に連通する複数の連通穴100を開口し、更に外部に連通する排気口102を開口し、排気口102の内側にはフィルタ104を配置している。

0089

起動回路部60は図5と基本的に同じになるが、リレー接点90a,90bの負荷として、ヒータ48に代えてガス放出弁96の駆動部を設け、リレー接点90a,90bを閉じることで開制御信号を出力するようにしている。

0090

それ以外の構成は、図1乃至図5の固形消火剤を加圧源に用いた場合と同様になることから、説明を省略する。

0091

(消火装置の動作)
図7及び図8に示した消火装置30の動作を説明すると次のようになる。蓄電装置10に収納しているリチウムイオン電池20のいずれかが、熱暴走して安全弁25が作動(破裂)し、充填している非水電解液が発火して火炎を激しく噴き出す火災を起こした場合、消火装置30の点火回路部60が蓄電装置10内に布設した熱感知ケーブル64の火災による短絡状態を検出し、ガス放出弁96を開動作し、ボンベ94に加圧充填している不活性ガスをガス放出ヘッド98から絶縁剤収納部32へ放出し、そこに充填している雲母粉末剤34を攪拌加圧する。

0092

絶縁剤収納部32の内圧が所定の圧力に達すると放出管36を閉鎖している封止部材38が破れ、雲母粉末剤34が不活性ガスと共に放出管36を通って蓄電装置10内の空き空間に放出され、短時間に空き空間に充満する。

0093

このため熱暴走を起こしたリチウムイオン電池20から噴き出している着火した電解液の火炎を、放出した雲母粉末剤34で包み込むと共に霧化した電解液を吸着し、雲母粉末剤34は消火砂として機能して、リチウムイオン電池20から噴き出している火炎を消火抑制し、更に、ボンベ94から放出した不活性ガスによっても、リチウムイオン電池20から噴き出している火炎を消火抑制する。

0094

一方、蓄電装置10内に放出した雲母粉末剤34は、熱暴走を起こしたリチウムイオン電池20から噴出している霧化した電解液と混合して絶縁抵抗が高くなり、電解液が他のリチウムイオン電池20の電極端子22間やバスバー24間に付着した場合の外部短絡による連鎖的な熱暴走を防止可能とする。

0095

また、消火装置30から雲母粉末剤34を不活性ガスによる加圧で蓄電装置10に放出した場合、蓄電装置10の内部圧力が不活性ガスにより増加するが、蓄電装置10内は連通穴100を介して消火装置30の中央の区画に連通し、更にフィルタ104を介して排出口102から外部に連通しているため、蓄電装置10内の内圧は所定圧力を超えることがなく、蓄電装置10の破裂は回避できる。また蓄電装置10から外部に排出される雰囲気はフィルタ104を通ることで、霧化した電解液、可燃性ガス、放出した雲母粉末剤などが除去され、外部への排出を抑制する

0096

[本発明の変形例]
(消火装置の配置)
上記の実施形態にあっては、消火装置を蓄電装置における収納容器蓋の上に配置した場合を例にとっているが、蓄電装置の収納容器蓋の内側に配置してもよい。この場合、消火装置の底板に蓄電装置の容器収納蓋の構造を設ければ良い。

0097

絶縁粉末剤)
上記の実施形態は、粉末絶縁剤して雲母粉末剤を使用したが、これ以外に高い絶縁性と耐熱性をもつセラミックス系やガラス系など適宜の粉末絶縁剤を使用しても良い。

0098

(消火装置の構造)
上記の実施形態にあっては、消火装置を3区画に分け、その内の2区画に絶縁剤収納手段と加圧手段を別々に設けて二重化することで、信頼性を高めているが、消火装置を2区画に分け、そのうちの1区画に絶縁剤収納手段と加圧手段を設けた構造としても良い。

0099

(消火装置の電源)
また、上記の実施形態にあっては、消火装置に一次電池を用いた電池電源を内蔵して起動回路部を動作しているが、蓄電装置の収納容器内に収納しているリチウムイオン電池(二次電池)から電源を供給するようにしても良い。

0100

(火災検知部)
また、上記の実施形態は、リチウムイオン電池の異常に伴う火災を検知する火災検知部として熱感知ケーブルを設けているが、これ以外に、熱電対サーミスタ等の温度センサ、レーザパルス光入射した場合の後方散乱光の強度から温度測定する光ファイバーセンサなどの適宜の火災検知部を設けても良い。

0101

(消火装置の用途)
また、上記の実施形態は、航空機の蓄電装置を例にとるものであったが、自動車用、住宅用のリチウムイオン電池を収納した蓄電装置の消火装置として同様に設けることができ更に、それ以外の適宜の機器、装置、設備施設に設置されるリチウムイオン電池を用いた蓄電装置の消火装置についても、同様に適用可能である。

0102

(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

0103

10:蓄電装置
20:リチウムイオン電池
25:安全弁
30:消火装置
32:絶縁剤収納部
34:雲母粉末剤
36:放出管
38,56:封止部材
40:固形消火剤収納部
42:固形消火剤
46:点火剤
48:ヒータ
50:火炎噴出防止部材
60:起動回路部
64:熱感知ケーブル
94:ボンベ
96:ガス放出弁
98:ガス放出ヘッド

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ