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技術 放射性汚染物の除染方法

出願人 ヴェオリア・ジャパン株式会社ヴェオリア・ジェネッツ株式会社
発明者 水野久松吉田茂田中博憲
出願日 2013年2月18日 (7年9ヶ月経過) 出願番号 2013-028784
公開日 2014年8月28日 (6年2ヶ月経過) 公開番号 2014-157107
状態 特許登録済
技術分野 汚染除去及び汚染物処理
主要キーワード 再生処理液 追加補充 放射性汚染物 規模縮小 多孔質濾材 フェロシアン化ニッケル 再生洗浄液 フェロシアン化鉄
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年8月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

放射性汚染物に含まれる放射性物質を容易に、また、経済的に除去できる除染技術を提供する。

解決手段

放射性セシウム汚染された汚染焼却灰及び汚染土壌等の放射性汚染物の除染方法であって、放射性汚染物とアルカリ性を示す洗浄液とを混合し、その混合液を加温下で撹拌洗浄して放射性物質を洗浄処理液に抽出する工程101と、吸着剤を用いて洗浄処理液中の放射性物質を除去する工程102と、を有する。放射性物質が除去された洗浄処理液に、水酸化カルシウム若しくは水酸化アルミ結晶のうちの何れか一方、又は両方を加えることで、洗浄処理液中に、放射性物質を洗浄処理液に抽出する工程101で用いるアルカリ溶液を再合成した再合成洗浄液を得る工程103を実施できる。

概要

背景

原発事故発生以来、その放射性物質汚染された地区からは除染作業により多量の汚染土壌が排出され続けている。また、放射性物質で汚染された雨水等が下水に流れ込み、各地の下水処理場では、放射性物質により汚染された焼却灰の処理に苦慮しているところである。

また、一方で、これら放射性汚染物の再利用が注目されている。すなわち、放射性汚染物から放射性物質を取り除くことで放射性汚染物の低線量化を図り、汚染焼却灰においては、セメント原料化学肥料などへの転用を図ることで、その有効活用放射性廃棄物の排出量軽減を目指している。

この種の技術は、例えば、焼却灰中アルカリと石灰を混ぜ入れてリン酸カルシウム回収する技術(特許文献1)等に代表されるリサイクル技術を応用して確立されるものであるが、これらの多くは、放射性物質の付着を、問題として未だ適用できずにいる。

概要

放射性汚染物に含まれる放射性物質を容易に、また、経済的に除去できる除染技術を提供する。放射性セシウムに汚染された汚染焼却灰及び汚染土壌等の放射性汚染物の除染方法であって、放射性汚染物とアルカリ性を示す洗浄液とを混合し、その混合液を加温下で撹拌洗浄して放射性物質を洗浄処理液に抽出する工程101と、吸着剤を用いて洗浄処理液中の放射性物質を除去する工程102と、を有する。放射性物質が除去された洗浄処理液に、水酸化カルシウム若しくは水酸化アルミ結晶のうちの何れか一方、又は両方を加えることで、洗浄処理液中に、放射性物質を洗浄処理液に抽出する工程101で用いるアルカリ溶液を再合成した再合成洗浄液を得る工程103を実施できる。

目的

本発明は、上記した技術的課題を解決するためになされたもので、放射性汚染物に含まれる放射性物質を容易に、また、経済的に除去できる除染技術の提供を課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

放射性物質汚染された放射性汚染物除染方法であって、前記放射性汚染物とアルカリ性を示す洗浄液とを混合し、その混合液を加温下で撹拌洗浄して前記放射性物質を洗浄処理液に抽出する工程と、吸着剤を用いて前記洗浄処理液中の放射性物質を除去する工程と、を有することを特徴とする放射性汚染物の除染方法。

請求項2

前記アルカリ性を示す洗浄液は、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムの何れか一方、又は両方をアルカリ溶液として含むことを特徴とする請求項1に記載の放射性汚染物の除染方法。

請求項3

前記放射性物質が除去された洗浄処理液に、水酸化カルシウム若しくは水酸化アルミ結晶のうちの何れか一方、又は両方を加えることで、前記洗浄処理液中に、前記放射性物質を含む洗浄処理液を抽出する工程で用いるアルカリ溶液を再合成した再合成洗浄液を得る工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性汚染物の除染方法。

請求項4

前記洗浄処理液に放射性物質を抽出する工程及び吸着剤を用いて前記洗浄処理液中に抽出された放射性物質を除去する工程が、複数回にわたり繰り返されることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の放射性汚染物の除去方法

請求項5

前記再生洗浄液を得る工程では、前記水酸化カルシウムを前記洗浄処理液に添加し、この水酸化カルシウムの添加によって前記洗浄処理液中のリン酸リン酸カルシウム結晶体とすると共に、その結晶化したリン酸カルシウムを前記洗浄処理液から固液分離して水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを再合成し、この再合成した水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを、前記アルカリ溶液として再利用することを特徴とする請求項3から5の何れかに記載の放射性汚染物の除染方法。

請求項6

前記再生洗浄液を得る工程では、前記洗浄処理液に前記水酸化アルミ結晶を種晶として加えると共に、この種晶によって前記洗浄処理液中の溶解状アルミン酸ソーダから水酸化アルミニウムを結晶化させて水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを再合成し、この再合成した水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを、前記アルカリ溶液として再利用することを特徴とする請求項3又は4に記載の放射性汚染物の除染方法。

技術分野

0001

本発明は、放射性汚染物除染方法に関し、特に放射性セシウム等で汚染された下水汚泥焼却灰汚染土壌等の除染に有効な技術に関する。

背景技術

0002

原発事故発生以来、その放射性物質で汚染された地区からは除染作業により多量の汚染土壌が排出され続けている。また、放射性物質で汚染された雨水等が下水に流れ込み、各地の下水処理場では、放射性物質により汚染された焼却灰の処理に苦慮しているところである。

0003

また、一方で、これら放射性汚染物の再利用が注目されている。すなわち、放射性汚染物から放射性物質を取り除くことで放射性汚染物の低線量化を図り、汚染焼却灰においては、セメント原料化学肥料などへの転用を図ることで、その有効活用放射性廃棄物の排出量軽減を目指している。

0004

この種の技術は、例えば、焼却灰中アルカリと石灰を混ぜ入れてリン酸カルシウム回収する技術(特許文献1)等に代表されるリサイクル技術を応用して確立されるものであるが、これらの多くは、放射性物質の付着を、問題として未だ適用できずにいる。

先行技術

0005

特開2004−203641号公報

発明が解決しようとする課題

0006

すなわち、汚染焼却灰や汚染土壌に含まれるセシウム等の放射性物質は、これら放射性汚染物に含まれるアルミノシリケート等の鉱物質に強く吸着されて容易に分離できないため、汚染焼却灰や汚染土壌を再利用する際には、有価物の回収に先立ち、放射性汚染物に強く吸着した放射性物質を取り除く必要がある。

0007

本発明は、上記した技術的課題を解決するためになされたもので、放射性汚染物に含まれる放射性物質を容易に、また、経済的に除去できる除染技術の提供を課題とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、放射性物質に汚染された放射性汚染物の除染方法であって、
前記放射性汚染物とアルカリ性を示す洗浄液(以下、単に洗浄液という場合もある)とを混合し、その混合液を加温下で撹拌洗浄して前記放射性物質を洗浄処理液に抽出する工程と、
吸着剤を用いて前記洗浄処理液中の放射性物質を除去する工程と、
を有することを特徴とする。

0009

この方法によれば、放射性汚染物と洗浄液とを混合し、加温下で撹拌洗浄して放射性物質を含む洗浄処理液を抽出する。また、放射性物質の吸着剤を用いて洗浄処理液中の放射性物質を吸着剤に吸着させて除去する。すなわち、放射性汚染物に対して強固に吸着している放射性物質を洗浄液中に一度溶かし出し、後に吸着剤を用いてこの放射性物質を選択的に除去する。
このように本除染方法は、洗浄液を用いて放射性物質を洗浄液中に溶かし出す簡単な作業で、その放射性物質の選択的除去を可能にしたものである。

0010

なお、本除染方法が適用できる放射線汚染物としては、汚泥焼却灰、汚染土壌等の粒状物質を好適に例示できる。また、放射性物質としては、放射性セシウムに対して特に有用である。

0011

また、前記アルカリ性を示す洗浄液は、その主成分として水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムの何れか、又はその両方をアルカリ溶液として含むとよい。
すなわち、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれた少なくとも1種を添加することで、放射性汚染物の洗浄に適したアルカリ性を示す洗浄液が得られる。

0012

また、前記吸着剤としては、例えばゼオライトフェロシアン化合物等を用いることができる。

0013

また、前記放射性物質が除去された洗浄処理液に、水酸化カルシウム若しくは水酸化アルミ結晶のうちの何れか一方、又は両方を加えることで、前記洗浄処理液中に次のサイクル使用可能なアルカリ溶液を再合成して、再合成洗浄液を得る工程と、
前記再合成洗浄液に、新規アルカリを加えて前記アルカリ性を示す洗浄液として再利用する工程と、を更に付加してもよい。

0014

すなわち、洗浄処理液中に水酸化カルシウム及び水酸化アルミ結晶のいずれか一方、又はこれらの両方を加えることで、アルカリを洗浄処理液中に再合成し、この再合成されたアルカリを再利用して、さらなる放射性汚染物の除染洗浄に用いる。
この方法によれば、放射線汚染物の撹拌洗浄に用いるアルカリ性を示す洗浄水を再利用することができ、また、新規アルカリ溶液の追加も少なくて済むため経済的である。また、除染によって排出される洗浄処理液の排出量も減らせる。

0015

また、前記洗浄処理液を用いて抽出する工程が、複数回にわたり繰り返されるようにしてもよい。この方法によれば、洗浄処理液中に放射性物質が濃縮されるため、本工程における放射性物質の抽出率を高めることができる。

0016

また、前記再生洗浄液を、アルカリ性を示す洗浄液として再利用する工程では、その都度、前記再合成洗浄液のアルカリ濃度を、前回使用時のアルカリ濃度と同等となるように調整して再利用することが望ましい。しかし、状況に応じて、前回使用時のアルカリ濃度よりも低いか、又は、高い濃度で使用してもよい。
さらに、上記再合成洗浄液のアルカリ濃度を、容易に前回処理時と同等程度にすることができるので、より効率的な除染をすることが可能である。

0017

この方法では、放射性物質の抽出率を高めるために必要なアルカリを、最小量で満たすことができる。すなわち、アルカリ濃度を保持し、又は、これを徐々に回復していくことが容易であるため、確実な抽出率を確保することができる。よって、除染に用いるアルカリの総量を減らすことができる。

0018

また、前記再生洗浄液を得る工程では、前記水酸化カルシウムを前記洗浄処理液に添加し、この水酸化カルシウムの添加によって前記洗浄処理液中のリン酸をリン酸カルシウムの結晶体とすると共に、その結晶化したリン酸カルシウムを前記洗浄処理液から固液分離して水酸化ナトリウムを再合成し、この再合成された水酸化ナトリウムを、前記アルカリ溶液として再利用するとよい。

0019

この方法では、放射線汚染物中の有価物としてリン酸カルシウムを回収できると同時に、アルカリ溶液の再合成に用いる洗浄用の水酸化ナトリウムも得られる。

0020

また、前記再合成洗浄液を得る工程では、前記洗浄処理液に前記水酸化アルミ結晶を種晶として加えると共に、この種晶によって前記洗浄処理液中の溶解状アルミン酸ソーダから水酸化アルミニウムを結晶化させて水酸化ナトリウムを再合成し、この再合成された水酸化ナトリウムを、前記アルカリ溶液として再利用してもよい。

0021

この方法では、放射線汚染物中の有価物として水酸化アルミニウムを回収できると同時に、アルカリ溶液の再生に用いる水酸化ナトリウムも得られる。

0022

また、前記各工程を経る毎に固液分離処理を行ってもよい。すなわち、工程毎に固液分離処理を行うことで、後の工程の処理が容易になる他、各工程で得られる洗浄処理液、再生処理液の容量を減らすことができる。

0023

また、前記水酸化カルシウムの添加によるアルカリ溶液の再合成の後に、前記水酸化アルミ結晶によるアルカリ溶液の再合成処理を実施するとよい。

0024

このように水酸化カルシウムを、水酸化アルミ結晶に先立ち添加すれば、洗浄処理液中に多量に含まれている放射線汚染物から抽出されたリン酸を効率良く回収できる。

0025

また、前記洗浄液による抽出操作では、撹拌洗浄時の温度を20〜120℃の範囲に保持することが好ましい。さらに好ましくは30℃〜95℃の範囲とするのがよい。このように、撹拌洗浄時の温度を管理することで洗浄液の洗浄力を高め、放射性物質の抽出率を高く維持することができる。

0026

また、前記洗浄液のアルカリ濃度を0.1〜8M/Lの範囲に設定するのがよい。さらに好ましくは2〜5M/Lの範囲に設定するとよい。このようなアルカリ濃度に設定すれば、アルカリ濃度を不必要に高めずとも、放射性物質を効率良く洗浄液中に溶出せることが可能である。

発明の効果

0027

以上のように本発明によれば、放射性汚染物に含まれる放射性物質を容易に除去することができ、かつ、アルカリ溶液の再合成により、経済的な処理が可能な除染技術が提供される。
また、放射線汚染物中の有価物としてリン酸カルシウムを回収することができる。

図面の簡単な説明

0028

本実施形態に示す除染方法の工程図。

発明を実施するための最良の形態

0029

以下、放射性セシウム(Cs134,Cs137)で汚染された汚染焼却灰に本発明の除染方法を適用した実施の形態を説明する。

0030

本実施の形態に示す除染方法は、図1に示すように、汚染焼却灰とアルカリ性を示す洗浄液とを混合すると共に、その混合液を加温下で撹拌洗浄して、放射性物質を洗浄処理液に抽出する工程(101)と、吸着剤を用いて洗浄処理液中の放射性物質を除去する工程(102)と、を経て放射性物質を除染する。

0031

また、放射性物質が除去された洗浄処理液中に水酸化カルシウム及び水酸化アルミ結晶等を加え、その洗浄処理液中にアルカリ溶液を再生させて再生洗浄液を得る工程(103)と、再生洗浄液中に新規アルカリを追加補充して洗浄液として再利用する工程(104)とを更に含み、このように放射性物質除去後の洗浄処理液(再生洗浄液)を再利用してさらなる放射線汚染物の除染を実施する。

0032

はじめに、汚染焼却灰とアルカリ性を示す洗浄液とを混合して放射性物質を含む洗浄処理液を抽出する工程(101)を説明する。
本工程(101)では、平均粒度20〜30μmの焼却灰を対象として、その焼却灰を、アルカリ性を示す洗浄液を用いて撹拌洗浄した後、固液分離処理を施すことによって放射性物質を含む洗浄処理液を得る。

0033

また、洗浄条件を説明すると、アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)あるいは水酸化カリウム(KOH)等を溶かし込んだ水溶液を、洗浄液として用いる。また、汚染焼却灰とアルカリ性を示す洗浄液との比率(W/W)は、1/3〜1/50とする。また、アルカリ濃度は、0.1〜8M/Lの範囲、さらに望ましくは2〜5M/Lの範囲とするのがよい。
また、撹拌洗浄時の液温度を20〜120℃(望ましくは30〜95℃)に保ち、強力加熱撹拌によって1〜10h撹拌洗浄することができる。

0034

なお、上記洗浄条件による撹拌洗浄は、汚染焼却灰に対して複数回にわたり実施する。また、初回の洗浄時には、新規の洗浄液のみならず、後に詳述する再合成洗浄液を利用して洗浄してもよい。また、続く2回目以降の洗浄では、初回の洗浄で得た再合成洗浄液に不足分のアルカリ(新規アルカリ)を追加補充して、その洗浄に用いる。

0035

また、汚染焼却灰とアルカリ性を示す洗浄液とが混ざり合った混合液は、撹拌洗浄を終えた後に、その都度、遠心分離器またはフィルタープレスなどによって固液分離され、洗浄処理液として抽出される。
洗浄処理液抽出後の残渣(固形物)は、ケーキ洗浄の後に乾燥させてセメントの原料などに用いられる。

0036

続いて、洗浄処理液中の放射性物質を除去する工程(102)を説明する。
本工程(102)では、吸着剤を用いて洗浄処理液中の放射性物質を除去する。
具体的には、ゼオライト等の多孔質濾材等の他、フェロシアン化鉄及びフェロシアン化ニッケルなどのフェロシアン化合物等を用いて放射性物質を接触分離することができる。また、その接触分離方式は、撹拌槽式や吸着塔式などの既存の方式を例示できる。そして、吸着剤と洗浄処理液とを固液分離処理して、放射性物質を吸着剤と共に洗浄処理液から除去する。

0037

続いて、放射性物質除去済みの洗浄処理液中にアルカリを再生させて再生洗浄液を得る工程(103)について説明する。
本工程(103)では、上記工程で得た洗浄処理液に水酸化カルシウムあるいは水酸化アルミ結晶を加えて、アルカリの再生をする。
具体的には、下記構造(化1参照)の洗浄処理液中に水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を添加し(化2参照)、この水酸化カルシウムの添加によって洗浄処理液中のリン酸(Na3PO4)をリン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)の結晶体とする。また、その結晶化したリン酸カルシウムを洗浄処理液中から固液分離回収して、水酸化ナトリウムを液中に副生させる。

0038

0039

0040

なお、アルカリ溶液の再生前の洗浄処理液中には、化学式1に示すように焼却灰由来のリン酸(Na3PO4)が多量に溶解蓄積している。このため本工程では、水酸化アルミ結晶に先立って水酸化カルシウムを添加してリン固定化し、有価物としてそのリンを回収し、また水酸化ナトリウム(NaOH)の再合成を図る。

0041

また、洗浄処理液中に溶解アルミ(NaAlO2)が多くなった場合には、水酸化アルミ結晶からなる種晶を洗浄処理液にさらに加え、この種晶をもとに得られた溶解状アルミン酸ソーダから水酸化アルミニウムを結晶化させると共に、水酸化ナトリウム(アルカリ)溶液を再合成する。

0042

また、このようにしてアルカリ溶液を再合成した後、洗浄処理液を再度、固液分離処理して水酸化アルミニウムを回収する。また、その残液を再合成処理液として抽出に再利用する。
このように本工程では、水酸化カルシウム及び水酸化アルミ結晶を適時添加してアルカリ溶液を再合成し、併せてリン酸カルシウム等の有価物を洗浄処理液から効率良く回収する。

0043

そして、本除染方法では、上記工程(103)を経て得られた再合成洗浄液を次なる撹拌洗浄作業に再利用する。
なお、本工程(104)で再利用する再合成洗浄液は、通常、新規のアルカリ性を示す洗浄液に較べてアルカリ濃度が低いため、再利用の都度、新規のアルカリを追加補充しながら用いる。また、このアルカリを補充する際には、放射性物質の抽出効率を上げるために、前回使用時のアルカリ濃度と同等に、これを高めるようにアルカリを補充することができる。

0044

このように本除染方法によれば、放射性汚染物とアルカリ性を示す洗浄液とを混合し、加温下で撹拌洗浄して放射性物質を含む洗浄処理液を抽出する。また、放射性物質の吸着剤を用いて、洗浄処理液中の放射性物質を吸着させて除去する。つまり、放射性汚染物に対して強固に吸着している放射性物質を、アルカリ性を示す洗浄液中に溶出させるという簡単な作業で、吸着剤による放射性物質の選択的除去を可能にした。

0045

また、洗浄処理液中に水酸化カルシウム及び水酸化アルミ結晶から選ばれる少なくとも1種を加えることで、アルカリを洗浄処理液中に再生させ、この再生されたアルカリを再利用して、さらなる放射性汚染物の除染洗浄作業を行えるようにした。

0046

なお、上記の実施の形態では、前記洗浄液として水酸化ナトリウム(NaOH)の水溶液を用いたが、水酸化ナトリウムに代えて水酸化カリウム(KOH)を用いた場合にも、上記とほぼ同様のメカニズムで除染と洗浄処理液の再生、並びに有価物の回収を行える(化学式3、化学式4参照)。

0047

0048

0049

すなわち、上記化学式から明らかな様に水酸化カリウム(KOH)を洗浄液に用いた場合には、アルカリ溶液として水酸化カリウム溶液が再合成される。また、有価物として焼却灰由来のリン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)が得られる。
このように本実施の形態では、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの何れか、又はこれらの両方を含む水溶液をアルカリ性を示す洗浄液として用いている。

0050

続いて、本除染方法に基づいて実施した除染実験の結果を示す。

0051

<実施例1>
除染実験に先立ち、本実験で用いるアルカリ性を示す洗浄液を得るために予備抽出を行う。予備抽出は下記手順で行われる。
はじめに放射性セシウムに汚染された汚染焼却灰50g(水分量34%)と、アルカリ性を示す洗浄液500mL(NaOH液 2M/L)とを1リットルポリプロピレン容器内に入れて混合する。続いて、その混合液を、ウォーターバスを用いて80℃で保温しながら強力機械撹拌によって6時間撹拌する。また、撹拌後の混合液を1μmのメンブレンフィルターによって真空濾過し、濾液は、続く除染実験に用いるための洗浄液として使用する。

0052

1回目の除染洗浄は下記手順で行われる。1回目の除染洗浄では、上記同様、放射性セシウムに汚染された汚染焼却灰50g(水分量34%)を新規に用意すると共に、この汚染焼却灰と、予備抽出で得られた洗浄液500mLとを1リットルのポリプロピレン容器に入れて混合する。続いて、その混合液を、ウォーターバスを用いて80℃で保温しながら、攪拌羽を用いた強力機械撹拌によって、6時間、撹拌洗浄する。また、撹拌洗浄後の混合液を、孔径が1μmのメンブレンフィルターによって真空濾過し、放射性物質を含んだ洗浄処理液を得て、残渣は、ケーキ洗浄・脱水の上、その線量を測定しておく。

0053

続いて、この洗浄処理液から吸着剤を用いて放射性物質を除去する。
本作業では、容量1リットルの撹拌槽に洗浄処理液500mLと、吸着剤として0,82gのゼオライトとを入れ、1時間撹拌して放射性物質を吸着剤に吸着させる。また、撹拌後の洗浄処理液を1μmのメンブレンフィルターによって真空濾過して、放射性物質を洗浄処理液中から吸着剤と共に除去する。

0054

続いて、このようにして得られた放射性物質除去済みの洗浄処理液を再生する。
本作業では、容量1リットルの撹拌槽に放射性物質除去済みの洗浄処理液に水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を13g添加して3時間撹拌し、その洗浄処理液中にアルカリ(NaOH)溶液を再合成する。また、撹拌後の洗浄処理液を孔径が1μmのメンブレンフィルターによって真空濾過して、リン酸カルシウムを洗浄処理液中から回収すると共に、その残液を再生洗浄液として抽出する。また、残渣は、ケーキ洗浄・脱水の上、その線量を測定する。

0055

続いて、上記作業で得られた再生洗浄液を用いて2回目の撹拌洗浄を実施する。
本作業では、1回目の洗浄を終えた焼却灰を再び同様の手順にて再洗浄する。2回目の洗浄では、その洗浄に用いる洗浄液として、上記工程で得られた再合成洗浄液に、水酸化ナトリウムを10g補給して、すなわち、新規アルカリを補充し、アルカリ濃度を1回目の除染洗浄時と同程度とした後、強力機械撹拌によって6時間、再洗浄する。

0056

そして、再洗浄を終えた汚染焼却灰を、孔径が1μmのメンブレンフィルターを用いて真空濾過する。また、この真空濾過によって固液分離された残渣をケーキ洗浄・脱水の上、その線量を測定した。

0057

以上の工程を経て得られた残灰の除染結果を表1に示す。

0058

0059

表1から明らかなように、本除染方法で除染した場合、その残灰(残渣)の重量は、リン酸カルシウム等の回収分を差し引いて考えれば、洗浄前と洗浄後で殆ど変化しておらず、しかも、その放射線量は、2回目の洗浄を終えた時点で約1/5迄低下している。
すなわち、セメント原料等に利用可能な残灰を減らすこと無く、大幅な除染に成功したことがわかる。

0060

<実施例2>
続いて、水酸化ナトリウム(NaOH)に代えて、水酸化カリウム(KOH)を洗浄液の主成分として用いた除染結果を本実施例2で説明する。

0061

本実施例2も実施例1と同様に、その除染実験に先立ち、本実験で用いる洗浄液を得るために予備抽出を行う。予備抽出は下記手順で行われる。
はじめに放射性セシウムに汚染された汚染焼却灰50g(水分量30%)と、洗浄液500mL(KOH液 5M/L)とを1リットルポリプロピレン容器内に入れて混合する。続いて、その混合液を、ウォーターバスを用いて80℃で保温しながら強力機械撹拌によって6時間撹拌する。また、撹拌後の混合液を1μmのメンブレンフィルターによって真空濾過し、続く除染実験に用いるための洗浄液として抽出する。また、残渣は、ケーキ洗浄・脱水の上、その線量を測定しておく。

0062

続いて、この洗浄処理液から吸着剤を用いて放射性物質を除去する。
本作業では、容量1リットルの撹拌槽に洗浄処理液500mLと、吸着剤として3gのゼオライトを入れ、1時間撹拌して放射性物質を吸着剤に吸着させる。また、撹拌後の洗浄処理液を1μmのメンブレンフィルターによって真空濾過して、放射性物質を洗浄処理液中から吸着剤と共に除去する。

0063

続いて、このようにして得られた放射性物質除去済みの洗浄処理液を再生する。
本作業では、容量1リットルの撹拌槽に放射性物質除去済みの洗浄処理液と水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を16,1g添加して3時間撹拌し、その洗浄処理液中にアルカリ(NaOH)を再合成する。撹拌後の洗浄処理液を孔径が1μmのメンブレンフィルターによって真空濾過して、リン酸カルシウムを洗浄処理液中から回収すると共に、その残液を再生洗浄液として抽出する。また、残渣は、ケーキ洗浄・脱水の上、その線量を測定しておく。

0064

続いて、上記作業で得られた再生洗浄液を用いて2回目の撹拌洗浄を実施する。
本作業では、1回目の洗浄を終えた焼却灰を再び同様の手順にて再洗浄する。2回目の洗浄では、その洗浄に用いる洗浄液として、上記工程で得られた再合成洗浄液に水酸化カリウムを15,4g補給して必要なアルカリ度を維持し、強力機械撹拌によって6時間、再洗浄する。

0065

そして、再洗浄を終えた汚染焼却灰をフィルタープレスにかけて真空濾過する。また、この真空濾過によって固液分離された残渣をケーキ洗浄・脱水の上、その線量を測定する。

0066

以上の工程を経て得られた残灰の除染結果を表2に示す。

0067

0068

表2から明らかなように、本除染方法で除染した場合、その残灰(残渣)の重量は、リン酸カルシウム等の回収分を差し引いて考えれば、洗浄前と洗浄後で殆ど変化しておらず、しかも、その放射線量は2回目の洗浄を終えた時点で約1/9迄低下している。
すなわち、セメント原料等に利用可能な残灰を減らすこと無く、大幅な除染に成功した。

0069

このように本除染方法によれば、放射性物質で汚染された焼却灰や土壌の線量を低減できるため、それら放射線汚染物を資源として再利用できる。また、放射性物質を吸着剤に選択的に吸着させて処理できるため放射性物質の濃縮化による減量化も可能である。また、これによって中間貯蔵施設規模縮小化にも貢献できる。また、本除染方法の過程化学的に生成されるリン酸カルシウムおよび水酸化アルミニウムの固体は放射線の汚染を受けないため、各々、肥料凝集剤の原料として有効利用することができる。

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  • 三和テッキ株式会社の「 衝撃緩衝装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】クラッシャブルパイプの変形に伴う落下物に対する衝撃荷重を低下させ、衝撃を効率的に吸収でき、さらに耐静荷重の向上を図る衝撃緩衝装置を提供する。【解決手段】衝撃緩衝装置1は、上板2、下板3、これら... 詳細

  • 株式会社東芝の「 放射性廃液処理方法および放射性廃液処理システム」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】原子力発電所から発生する処理対象水を処理するときに発生する廃棄物を削減することができる放射性廃液処理技術を提供する。【解決手段】放射性廃液処理方法は、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素、アンチモ... 詳細

  • 高嶋康豪の「 土壌の改質方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】汚染された土壌自体を直接的に改質し放射性物質で汚染された区域の有効活用を促進することができる。【解決手段】好気性菌と嫌気性菌及び、通性嫌気性菌類の微生物群の微生物が拮抗作用を抑制し、多様な微生... 詳細

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