図面 (/)

技術 エンジンの動弁装置

出願人 マツダ株式会社
発明者 高木章智小谷敏正
出願日 2013年2月6日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2013-021318
公開日 2014年8月25日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2014-152653
状態 特許登録済
技術分野 特殊操作のための弁装置
主要キーワード 軸方向カム カム要素 スイングアーム式 切り替え期間 非接触位置 所要距離 ボール部材 切り替え元
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年8月25日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

エンジンへの搭載性が改善されたエンジンの動弁装置を提供する。

解決手段

カム要素内周面に凸部55を介して軸方向に第1凹溝51及び第2凹溝52を設け、カム要素が軸方向に移動される前は第1凹溝51に嵌合し、カム要素が軸方向に移動された後は第2凹溝52に嵌合する嵌合部材を備える。第2凹溝52は凸部55を乗り越えた嵌合部材43iiと接触して押圧力をカム要素に付与する傾斜面54を有する。軸方向カムの突出量を第1凹溝51に嵌合している嵌合部材43iの中心Xiと第2凹溝52に嵌合している嵌合部材43iiiの中心Xiiiとの間の軸方向距離Lよりも小さい値に設定する。

概要

背景

従来、エンジン運転状態に応じて吸排気弁リフト量や開閉タイミング等の動弁特性切り替えることが可能に構成されたエンジンの動弁装置が知られている。この動弁装置は、エンジンのクランク軸連動して回転するカム軸と、このカム軸に対し軸方向に移動可能に外嵌されてカム軸と一体回転するカム要素とを備える。カム要素はクランク軸の軸方向に沿って連設されたカムプロファイルが相互に異なる複数のカムを含み、吸気弁又は排気弁毎に設けられる。カム要素が軸方向に移動してカムフォロワ押圧するカムが切り替わることにより吸排気弁の動弁特性がカムプロファイルに応じて切り替わる。

特許文献1に開示される動弁装置は、カム要素を軸方向に移動させる手段として、カム要素の軸方向の一端側に設けられ、軸方向の突出量が周方向に沿って変化する軸方向カムを含む端面カム部材と、この端面カム部材の軸方向カムに接触する接触位置と接触しない非接触位置との間で移動可能に設けられ、接触位置に移動した状態で前記カム要素に軸方向の押圧力を付与して前記カム要素を軸方向に移動させる操作ピンとを備えている。

概要

エンジンへの搭載性が改善されたエンジンの動弁装置を提供する。カム要素の内周面に凸部55を介して軸方向に第1凹溝51及び第2凹溝52を設け、カム要素が軸方向に移動される前は第1凹溝51に嵌合し、カム要素が軸方向に移動された後は第2凹溝52に嵌合する嵌合部材を備える。第2凹溝52は凸部55を乗り越えた嵌合部材43iiと接触して押圧力をカム要素に付与する傾斜面54を有する。軸方向カムの突出量を第1凹溝51に嵌合している嵌合部材43iの中心Xiと第2凹溝52に嵌合している嵌合部材43iiiの中心Xiiiとの間の軸方向距離Lよりも小さい値に設定する。

目的

本発明は、相互に隣接するカム要素間の軸方向距離が短くされて、エンジンへの搭載性が改善されたエンジンの動弁装置の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

エンジン運転状態に応じて吸排気弁動弁特性切り替え可能なエンジンの動弁装置であって、エンジンのクランク軸連動して回転するカム軸と、前記カム軸に対し軸方向に移動可能に外嵌されてカム軸と一体回転すると共に、前記クランク軸の軸方向に沿って連設されたカムプロファイルが相互に異なる第1カム及び第2カムを含むカム要素と、前記カム要素の軸方向の一端側に設けられ、軸方向の突出量が周方向に沿って変化する軸方向カムを含む端面カム部材と、前記端面カム部材の軸方向カムに接触する接触位置と接触しない非接触位置との間で移動可能に設けられ、前記接触位置に移動した状態で前記カム要素に軸方向の第1押圧力を付与して前記カム要素を軸方向に移動させる強制移動部材と、前記カム要素の内周面における前記第1カム及び第2カムに対応する位置に、前記カム要素の周方向に沿って形成され、径方向内側に突出する凸部を介して軸方向に区画された第1凹溝及び第2凹溝と、前記カム軸の外周面から径方向外側に突出するように付勢された状態で前記カム軸に設けられ、前記カム要素が前記強制移動部材によって軸方向に移動される前の状態で前記第1凹溝に嵌合する一方、前記カム要素が軸方向に移動された後の状態で前記第2凹溝に嵌合する嵌合部材とを備え、前記第2凹溝は、前記カム要素が前記第1押圧力によって軸方向に所定量移動されたときに、前記凸部を乗り越えた前記嵌合部材と接触することにより、前記第1押圧力と同じ軸方向成分を有する第2押圧力を前記カム要素に付与する傾斜面を有し、前記軸方向カムの軸方向の突出量が、前記第1凹溝に嵌合している状態の前記嵌合部材の中心と、前記第2凹溝に嵌合している状態の前記嵌合部材の中心との間の軸方向距離よりも小さい値に設定されていることを特徴とするエンジンの動弁装置。

請求項2

請求項1に記載のエンジンの動弁装置において、前記軸方向カムの軸方向の突出量が、前記第1凹溝に嵌合している状態の前記嵌合部材の中心と、前記凸部を乗り越えて前記傾斜面と接触し始めた状態の前記嵌合部材の中心との間の軸方向距離よりも大きい値に設定されていることを特徴とするエンジンの動弁装置。

請求項3

請求項1又は2に記載のエンジンの動弁装置において、前記傾斜面は、前記カム要素の軸心に対して30°〜45°の傾斜角に形成されていることを特徴とするエンジンの動弁装置。

技術分野

0001

本発明は、エンジン動弁装置に関し、詳しくは、エンジンへの搭載性が改善されたエンジンの動弁装置に関する。

背景技術

0002

従来、エンジンの運転状態に応じて吸排気弁リフト量や開閉タイミング等の動弁特性切り替えることが可能に構成されたエンジンの動弁装置が知られている。この動弁装置は、エンジンのクランク軸連動して回転するカム軸と、このカム軸に対し軸方向に移動可能に外嵌されてカム軸と一体回転するカム要素とを備える。カム要素はクランク軸の軸方向に沿って連設されたカムプロファイルが相互に異なる複数のカムを含み、吸気弁又は排気弁毎に設けられる。カム要素が軸方向に移動してカムフォロワ押圧するカムが切り替わることにより吸排気弁の動弁特性がカムプロファイルに応じて切り替わる。

0003

特許文献1に開示される動弁装置は、カム要素を軸方向に移動させる手段として、カム要素の軸方向の一端側に設けられ、軸方向の突出量が周方向に沿って変化する軸方向カムを含む端面カム部材と、この端面カム部材の軸方向カムに接触する接触位置と接触しない非接触位置との間で移動可能に設けられ、接触位置に移動した状態で前記カム要素に軸方向の押圧力を付与して前記カム要素を軸方向に移動させる操作ピンとを備えている。

先行技術

0004

米国特許公開公報2011/0226205

発明が解決しようとする課題

0005

カム要素を軸方向に移動させるためにカム要素の軸方向の一端側に端面カム部材を設けると、端面カム部材の軸方向カムの軸方向の突出量だけ、相互に隣接するカム要素間の軸方向距離を長くしなければならない。そのため、動弁装置を、相互に隣接するバルブ間の軸方向距離(バルブピッチ)や相互に隣接する気筒間の軸方向距離(気筒ピッチ)が比較的長い大型のエンジンにしか搭載できず、エンジンの小型化が図れないという問題がある。

0006

そこで、本発明は、相互に隣接するカム要素間の軸方向距離が短くされて、エンジンへの搭載性が改善されたエンジンの動弁装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0007

前記課題を解決するためのものとして、本発明は、エンジンの運転状態に応じて吸排気弁の動弁特性を切り替え可能なエンジンの動弁装置であって、エンジンのクランク軸に連動して回転するカム軸と、前記カム軸に対し軸方向に移動可能に外嵌されてカム軸と一体回転すると共に、前記クランク軸の軸方向に沿って連設されたカムプロファイルが相互に異なる第1カム及び第2カムを含むカム要素と、前記カム要素の軸方向の一端側に設けられ、軸方向の突出量が周方向に沿って変化する軸方向カムを含む端面カム部材と、前記端面カム部材の軸方向カムに接触する接触位置と接触しない非接触位置との間で移動可能に設けられ、前記接触位置に移動した状態で前記カム要素に軸方向の第1押圧力を付与して前記カム要素を軸方向に移動させる強制移動部材と、前記カム要素の内周面における前記第1カム及び第2カムに対応する位置に、前記カム要素の周方向に沿って形成され、径方向内側に突出する凸部を介して軸方向に区画された第1凹溝及び第2凹溝と、前記カム軸の外周面から径方向外側に突出するように付勢された状態で前記カム軸に設けられ、前記カム要素が前記強制移動部材によって軸方向に移動される前の状態で前記第1凹溝に嵌合する一方、前記カム要素が軸方向に移動された後の状態で前記第2凹溝に嵌合する嵌合部材とを備え、前記第2凹溝は、前記カム要素が前記第1押圧力によって軸方向に所定量移動されたときに、前記凸部を乗り越えた前記嵌合部材と接触することにより、前記第1押圧力と同じ軸方向成分を有する第2押圧力を前記カム要素に付与する傾斜面を有し、前記軸方向カムの軸方向の突出量が、前記第1凹溝に嵌合している状態の前記嵌合部材の中心と、前記第2凹溝に嵌合している状態の前記嵌合部材の中心との間の軸方向距離よりも小さい値に設定されていることを特徴とするエンジンの動弁装置である(請求項1)。

0008

本発明によれば、エンジンの運転状態に応じて吸排気弁の動弁特性を切り替え可能なエンジンの動弁装置において、嵌合部材と第1凹溝及び第2凹溝とにより、カム要素に連接された第1カム及び第2カムをカムフォロワに対して位置決めするためのディテント機構が構成される。

0009

例えば第1カムから第2カムへの切り替えが行われる場合を考える。まず、端面カム部材の軸方向カムと強制移動部材との接触により、カム要素に軸方向の第1押圧力が付与されてカム要素が軸方向に移動される。これにより、第1凹溝に嵌合していた嵌合部材が第1凹溝から抜け出て凸部を乗り越え、第2凹溝の傾斜面と接触する。次に、この嵌合部材と傾斜面との接触により、前記第1押圧力と同じ軸方向成分を有する第2押圧力がカム要素に付与されてカム要素が引き続き軸方向に移動される。これにより、嵌合部材は前記第2押圧力を発生させつつ傾斜面から第2凹溝に移動して第2凹溝に嵌合する。そのため、第2カムがカムフォロワに対して位置決めされ、カムの切り替えが終了する。

0010

つまり、カムの切り替え時、ディテント機構の嵌合部材は切り替え元の第1カムに対応する第1凹溝から切り替え先の第2カムに対応する第2凹溝に相対移動するが、その相対移動の途中で、その相対移動の推進力となる押圧力が、軸方向カムと強制移動部材との接触により発生する第1押圧力から、嵌合部材と傾斜面との接触により発生する第2押圧力に移行する。これにより、前記嵌合部材が第1凹溝から第2凹溝に相対移動する期間の全部に亘って第1押圧力を発生させる必要がなくなり、前記期間の初期のみ第1押圧力を発生させればよくなる。そのため、本発明では、軸方向カムの軸方向の突出量(つまり軸方向カムの操作量)が、第1凹溝に嵌合している状態の嵌合部材の中心と第2凹溝に嵌合している状態の嵌合部材の中心との間の軸方向距離(これを「凹溝ピッチ」という)よりも小さい値に設定されている。

0011

従来は、ディテント機構の嵌合部材が第1凹溝から第2凹溝に相対移動する期間の全部に亘って第1押圧力を発生させる必要があったので、軸方向カムの軸方向の突出量が凹溝ピッチと同じ値に設定されていた。その結果、相互に隣接するカム要素間の軸方向距離が長くなり、動弁装置をバルブピッチや気筒ピッチが比較的長い大型のエンジンにしか搭載できなかった。

0012

これに対し、本発明では、軸方向カムの軸方向の突出量を凹溝ピッチよりも小さい値に設定できるので、相互に隣接するカム要素間の軸方向距離を短くでき、動弁装置をバルブピッチや気筒ピッチが比較的短い小型のエンジンにも搭載できる。

0013

以上により、本発明によれば、エンジンの運転状態に応じて吸排気弁の動弁特性を切り替え可能なエンジンの動弁装置において、カム要素を軸方向に移動させるためにカム要素の軸方向の一端側に端面カム部材が設けられていても、相互に隣接するカム要素間の軸方向距離が短くなり、エンジンへの搭載性が改善される。

0014

本発明において、好ましくは、前記軸方向カムの軸方向の突出量が、前記第1凹溝に嵌合している状態の前記嵌合部材の中心と、前記凸部を乗り越えて前記傾斜面と接触し始めた状態の前記嵌合部材の中心との間の軸方向距離よりも大きい値に設定されている(請求項2)。

0015

前記請求項1に係る発明では、軸方向カムの軸方向の突出量の最大値が規定されるのに対し、この請求項2に係る発明では、軸方向カムの軸方向の突出量の最小値が規定される。すなわち、前記最小値は、第1凹溝に嵌合している状態の嵌合部材の中心と、第1凹溝と第2凹溝との間の凸部を乗り越えて第2凹溝の傾斜面と接触し始めた状態(つまり第2押圧力が発生し始めた状態)の嵌合部材の中心との間の軸方向距離(これを「第2押圧力発生所要距離」という)である。

0016

この構成によれば、ディテント機構の嵌合部材が第1凹溝から第2凹溝に相対移動する期間中、嵌合部材と傾斜面との接触により第2押圧力が発生するまでは、必ず軸方向カムと強制移動部材との接触により第1押圧力が発生しているので、カムの切り替え時に第2押圧力が未だ発生していないのに第1押圧力の発生が終了するという問題が生じず、第1押圧力から第2押圧力への移行が確実に行われて、カム要素が円滑に連続して移動される。

0017

本発明において、好ましくは、前記傾斜面は、前記カム要素の軸心に対して30°〜45°の傾斜角に形成されている(請求項3)。

0018

この構成によれば、傾斜面とカム要素の軸心とがなす角度が30°以上なので、十分大きい第2押圧力が発生し、カムの切り替えが短時間で終了する。また、傾斜面とカム要素の軸心とがなす角度が45°以下なので、第2押圧力発生所要距離が十分短くなり、軸方向カムの軸方向の突出量がより一層小さくなる。

発明の効果

0019

本発明は、エンジンの運転状態に応じて吸排気弁の動弁特性を切り替え可能なエンジンの動弁装置において、カム要素を軸方向に移動させるためにカム要素の軸方向の一端側に端面カム部材が設けられていても、相互に隣接するカム要素間の軸方向距離が短くなり、エンジンへの搭載性が改善されるから、カムを切り替えるカムシフト機構具備する動弁装置の技術の発展向上に寄与する。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態に係るエンジンの動弁装置の正面図である。
図1の矢印Aから見た前記動弁装置の排気カムシャフト及び操作ピン駆動装置の側面図である。
前記排気カムシャフトのカム軸及びカム要素の拡大断面図である。
前記カム要素の内周面に形成された凹溝及び傾斜面を示す部分拡大図である。
前記カム要素及び端面カム部材の模式図である。
前記カム要素及び端面カム部材の側面図である。
前記カム要素及び端面カム部材の斜視図である。
凹溝ピッチ及び第2押圧力発生所要距離の説明図である。

実施例

0021

以下、図面に基いて本発明の実施形態を説明する。

0022

(1)全体構成
本実施形態において、本発明は、図1に示すエンジンの動弁装置1に適用されている。図1に示す動弁装置1は、排気弁2用の動弁装置であって、スイングアーム式ロッカーアーム3を備える。ロッカーアーム3は、バルブクリアランス自動調整するラッシュアジャスタ4で支持された支点3aと、排気カムシャフト5のカム6で押圧されるカムフォロワ7が設けられた力点3bと、排気弁2を押圧する作用点3cとを有する。動弁装置1はエンジンのシリンダヘッド(図示せず)に配設されている。

0023

図2に示すように、本実施形態に係るエンジンEは、図外のクランク軸の延びる方向に4つの気筒C(第1気筒C1〜第4気筒C4)が直列に配置された直列4気筒エンジンである。また、エンジンEは、1つの気筒Cあたり2つの吸気弁(図示せず)及び2つの排気弁2が設けられた多弁式エンジンである。

0024

動弁装置1は、エンジンEの運転状態に応じて、排気カムシャフト5のカム6を切り替えることにより、排気弁2のリフト量や開閉タイミング等の動弁特性を切り替えることが可能に構成されている。なお、本発明は、吸気弁用の動弁装置にも適用可能であるが、本実施形態では、排気弁2用の動弁装置に適用した場合を例にして説明する。

0025

排気カムシャフト5は、クランク軸に連動して回転するカム軸8と、このカム軸8に対し、スプライン9a,9b(図4及び図5参照)を介してクランク軸の軸方向(図2の左右方向)に移動可能に外嵌されてカム軸8と一体回転するカム要素10とを備える。カム要素10は軸方向に沿って連設されたカムプロファイルが相互に異なるAカム6A及びBカム6Bを含み、排気弁2毎に設けられている。カム要素10が軸方向に移動してロッカーアーム3のカムフォロワ7を押圧するカム6が切り替わることにより排気弁2の動弁特性がカムプロファイルに応じて切り替わる。

0026

前述したように、本実施形態では、1つの気筒Cあたり2つの排気弁2が設けられているので、カム要素10もまた1つの気筒Cあたり2つのカム要素10が設けられている。2つの排気弁2に対応する2つのカム要素10は所定の間隔を空けて軸方向に並んで設けられ、軸方向に延びる円筒状の延長部11で相互に連結されている。本実施形態では、この2つのカム要素10が相互に連結されたものをカムユニット12と称する。つまり、1つの気筒Cあたり1つのカムユニット12が設けられている。

0027

図3に示すように、カムユニット12は前記延長部11においてシリンダヘッドに立設された軸受部30により軸方向に移動可能かつ周方向に回転可能に軸受けされている。すなわち軸受部30は2つのカム要素10間に配置されている。軸受部30は、シリンダヘッドに一体形成された支持壁31と、この支持壁31に締結固定されたカムキャップ32とで構成されている。

0028

カム要素10ないしカムユニット12を軸方向に移動させる手段として、図4図7に示すように、カム要素10の軸方向の一端側(カムユニット12でいえばカムユニット12の軸方向の両端側)に端面カム部材13が設けられている。この端面カム部材13は軸方向の突出量が周方向に沿って変化する軸方向カム13aを含んでいる。また、図2及び図5に示すように、前記端面カム部材13に対して進出及び後退が可能な強制移動部材としての操作ピン21が備えられている。この操作ピン21は操作ピン駆動装置としての電磁弁ソレノイドバルブ)20のプランジャである。そのため、操作ピン21は、電磁弁20のON又はOFFにより、端面カム部材13の軸方向カム13aに接触する接触位置と接触しない非接触位置との間で移動可能に設けられている。前記電磁弁20はシリンダヘッドに組み付けられて位置が固定されている。

0029

例えば電磁弁20がONになると、操作ピン21が端面カム部材13に対して進出して軸方向カム13aに接触する状態となる(接触位置)。このとき、操作ピン21は、軸方向カム13aの軸方向の突出量がゼロである基部に接触する。その後、カム要素10の回転に伴い軸方向カム13aと操作ピン21との接触点が軸方向カム13aの軸方向の突出量が大きい頂部に移動する。これにより、操作ピン21は位置が固定されているから、カム要素10が操作ピン21から軸方向の押圧力(すなわち第1押圧力)を付与されて操作ピン21から離間する側へ軸方向に移動される。軸方向カム13aの軸方向の突出量K(図5参照)は軸方向カム13aの操作量に相当する。一方、電磁弁20がOFFになると、操作ピン21が端面カム部材13から後退して軸方向カム13aに接触しない状態となる(非接触位置)。

0030

図3に示すように、本実施形態に係る動弁装置1には、カム要素10に連接されたAカム6A及びBカム6Bをロッカーアーム3のカムフォロワ7に対して位置決めするためのディテント機構40が設けられている。このディテント機構40は、カム軸8の外周面から径方向外側に突出するように付勢された状態で前記カム軸8に設けられた嵌合部材としてのボール部材43と、カム要素10の内周面における前記Aカム6A及びBカム6Bに対応する位置に、カム要素10の周方向に沿って形成されたA凹溝51及びB凹溝52とを有する。

0031

前記ボール部材43は、カム軸8に径方向に形成された深穴41に収容されたスプリング42により径方向外側に付勢されている。前記凹溝51,52は、図4に示すように、径方向内側に突出する凸部55を介して軸方向に区画されている。前記凹溝51,52は、カム要素10の軸方向の移動によりカム6が切り替えられたときに前記ボール部材43が嵌合し得る大きさに形成され、その幅や深さや断面形状等が相互に同じに形成されている。

0032

本実施形態では、カム要素10が操作ピン21によって軸方向に移動される前の状態でボール部材43が嵌合する凹溝(A凹溝51又はB凹溝52)を第1凹溝と称し、カム要素10が軸方向に移動された後の状態でボール部材43が嵌合する凹溝(B凹溝52又はA凹溝51)を第2凹溝と称する。

0033

カム要素10ないしカムユニット12を軸方向に移動させてカム6を切り替えるとき、ディテント機構40のボール部材43が切り替え元のカム(Aカム6A又はBカム6B)に対応する第1凹溝(A凹溝51又はB凹溝52)から抜け出て、切り替え先のカム(Bカム6B又はAカム6A)に対応する第2凹溝(B凹溝52又はA凹溝51)に嵌合することにより、カム要素10ないしカムユニット12の軸方向の移動が規制され、カム6がカムフォロワ7に対して位置決めされる。

0034

例えば、図3及び図5は、Bカム6Bがカムフォロワ7を押圧している状態を示している(なお、図3及び図5は、後述する「第3カムユニット」を示している。)。このとき、カムユニット12は、図3及び図5において左に移動しており、右側のカム要素10が軸受部30に近接している。ディテント機構40のボール部材43は、スプリング42による外方への付勢力によりBカム6Bに対応するB凹溝52に嵌合している(すなわちB凹溝52が第1凹溝である)。この状態から、図5の左の電磁弁20がONになって、カムユニット12が図3及び図5において右に移動すると、カムフォロワ7を押圧するカム6がBカム6BからAカム6Aに切り替わる。このとき、図3及び図5において左側のカム要素10が軸受部30に近接し、ディテント機構40のボール部材43は、B凹溝52から抜け出てAカム6Aに対応するA凹溝51に相対移動し、スプリング42による外方への付勢力によりA凹溝51に嵌合する(すなわちA凹溝51が第2凹溝である)。この逆の動作もこれに準じて同様である。

0035

(2)特徴的構成
図4に示すように、カム要素10の内周面に2つの凹溝51,52に対応して2つの傾斜面53,54が周方向に形成されている。2つの傾斜面53,54は2つの凹溝51,52間に形成されている。A傾斜面53はA凹溝51に連続して形成され、B傾斜面54はB凹溝52に連続して形成されている。

0036

つまり、図3及び図5を参照して前述したように、Bカム6BからAカム6Aへのカム6の切り替え時、B凹溝52が第1凹溝であり、A凹溝51が第2凹溝である場合は、第2凹溝であるA凹溝51に連続してA傾斜面53が形成されている。逆に、Aカム6AからBカム6Bへのカム6の切り替え時、A凹溝51が第1凹溝であり、B凹溝52が第2凹溝である場合は、第2凹溝であるB凹溝52に連続してB傾斜面54が形成されている。

0037

2つの傾斜面53,54は、その幅や傾斜角(傾斜面53,54とカム要素10の軸心とがなす角度)や断面形状等が相互に鏡像のように対称に形成されている。そのため、2つの傾斜面53,54が交わる稜線である凸部55は、軸方向において、2つの凹溝51,52間の中間に位置している。

0038

カム6の切り替え時、第1凹溝51又は52から抜け出たディテント機構40のボール部材43は、第2凹溝52又は51に嵌合するまでの期間中、スプリング42による外方への付勢力により前記傾斜面53,54と連続して接触し、前記傾斜面53,54は前記ボール部材43から外方への付勢力を連続して受ける。これにより、前記期間の前半部(概ねボール部材43が凸部55を乗り越える前)は、ボール部材43と傾斜面53又は54との接触により、操作ピン21と軸方向カム13aとの接触によりカム要素10に付与される軸方向の第1押圧力と反対の軸方向成分(すなわち操作ピン21へ近接する側への軸方向成分)を有する押圧力がカム要素10に付与される。一方、前記期間の後半部(概ねボール部材43が凸部55を乗り越えた後)は、ボール部材43と傾斜面54又は53との接触により、前記第1押圧力と同じ軸方向成分(すなわち操作ピン21から離間する側への軸方向成分)を有する押圧力(すなわち第2押圧力)がカム要素10に付与される。

0039

図8を参照してさらに詳しく説明する。図8図4をさらに拡大し模式的に描いたものである。この図8において、符号43iは、A凹溝51に嵌合しているボール部材、符号43iiは、A凹溝51から抜け出て凸部55を乗り越えた直後のボール部材、符号43iiiは、凸部55を乗り越えたあとB凹溝52に嵌合しているボール部材を示し、符号Xi,Xii,Xiiiは、それぞれのボール部材43i,43ii,43iiiの中心を示す。

0040

図8において、A凹溝51に嵌合しているボール部材(43i)が、A凹溝51から抜け出て凸部55を乗り越え(43ii)、B凹溝52に嵌合する(43iii)場合、つまりAカム6AからBカム6Bへの切り替えが行われる場合を考える。なお、図8では、便宜上、ボール部材43がカム要素10に対して左から右へ移動するように描いているが、実際はカム要素10がボール部材43に対して右から左へ移動する。

0041

この場合、カム要素10の軸方向の移動距離は、切り替え元の第1凹溝51と切り替え先の第2凹溝52との間の軸方向距離(すなわち凹溝ピッチ)Lに等しい。ここで、前記凹溝ピッチLは、図示したように、第1凹溝51に嵌合している状態のボール部材43iの中心Xiと、第2凹溝52に嵌合している状態のボール部材43iiiの中心Xiiiとの間の軸方向距離であると定義される。

0042

図8において、ボール部材43iiの位置は、第2押圧力発生開始位置である。すなわち、第2押圧力発生開始位置は、Aカム6AからBカム6Bへの切り替え時、切り替え先の第2凹溝52に連続するB傾斜面54とボール部材43との接触により第2押圧力(第1押圧力と同様、操作ピン21から離間する側への軸方向成分を有する押圧力)が発生するボール部材43の位置のうち最も切り替え元の第1凹溝51に近い位置である。換言すれば、第2押圧力発生開始位置は、図8において凸部55を左から右へ乗り越えてB傾斜面54と接触し始めた状態にあるボール部材43iiの位置である。

0043

本実施形態においては、第2押圧力発生開始位置は、図8においてボール部材43が凸部55を左から右へ乗り越えた直後に、始めて、ボール部材43iiの中心Xiiからボール部材43iiと傾斜面54との接触点に降ろした線分が傾斜面54に対して垂直となる位置であると規定される。前記線分が傾斜面54に対して垂直となることにより、カム6の切り替え期間の後半部において、第1押圧力と同じ軸方向成分を有する第2押圧力が発生する。

0044

第1凹溝51に嵌合している状態のボール部材(43i)が前記第2押圧力発生開始位置(43ii)まで相対移動する軸方向距離(すなわち第2押圧力発生所要距離)は、(L/2)+L’で与えられる。ここで、(L/2)は、第1凹溝51に嵌合している状態のボール部材(43i)が凸部55の軸方向の位置まで相対移動する軸方向距離である(前述したように、凸部55は軸方向において2つの凹溝51,52間の中間に位置している。)。また、L’は、凸部55の軸方向の位置にあるボール部材43が第2押圧力発生開始位置(43ii)まで相対移動する軸方向距離である。ここで、L’は、ボール部材43の直径をφ、傾斜面54の傾斜角(傾斜面54とカム要素10の軸心とがなす角度)をθとした場合に、(φ/2)×sinθで与えられる。すなわち、前記第2押圧力発生所要距離は、図示したように、第1凹溝51に嵌合している状態のボール部材43iの中心Xiと、前記凸部55を乗り越えてB傾斜面54と接触し始めた状態のボール部材43iiの中心Xiiとの間の軸方向距離であると定義される。

0045

そして、本実施形態では、前記端面カム部材13の軸方向カム13aの軸方向の突出量K(図5参照)が、前記凹溝ピッチLよりも小さい値に形成されている。すなわち、軸方向カム13aの操作量は、最大でも、前記凹溝ピッチL未満の値に設定されている。

0046

また、本実施形態では、前記端面カム部材13の軸方向カム13aの軸方向の突出量Kが、前記第2押圧力発生所要距離(L/2)+L’よりも大きい値に形成されている。すなわち、軸方向カム13aの操作量は、最小でも、前記第2押圧力発生所要距離(L/2)+L’以上の値に設定されている。

0047

また、本実施形態では、傾斜面53,54の傾斜角θが30°に設定されている。すなわち、傾斜面53,54は、カム要素10の軸心に対して30°の角度に形成されている。

0048

また、本実施形態では、前記端面カム部材13に対して操作ピン21を進出及び後退させる電磁弁20が、相互に隣接する2つのカムユニット12で共有化されている。

0049

すなわち、図2に示すように、第1気筒C1のカムユニット(「第1カムユニット」という。以下これに準じて同じ。)12と第2カムユニット12とで1つの電磁弁(第1カムユニット12を図2において右に移動させ、第2カムユニット12を左に移動させる電磁弁)20を共有し、第2カムユニット12と第3カムユニット12とで1つの電磁弁(第2カムユニット12を図2において右に移動させ、第3カムユニット12を左に移動させる電磁弁)20を共有し、第3カムユニット12と第4カムユニット12とで1つの電磁弁(第3カムユニット12を図2において右に移動させ、第4カムユニット12を左に移動させる電磁弁)20を共有している。

0050

なお、第1カムユニット12を図2において左に移動させる電磁弁20及び第4カムユニット12を右に移動させる電磁弁20はそれぞれ単独で設けられている。すなわち、本実施形態に係る4気筒エンジンEにおいて計5つの電磁弁20が設けられている(図2において右から順に「第1電磁弁20」…「第5電磁弁20」という。また、その操作ピンを右から順に「第1操作ピン21」…「第5操作ピン21」という。)。

0051

また、図2には、1つの気筒Cあたり相互に隣接する2つの排気弁2間の軸方向距離、つまりバルブピッチと、相互に隣接する気筒C間の軸方向距離、つまり気筒ピッチとが併せて示されている。

0052

(3)カムの切り替え動作
例えば、図2は、全ての電磁弁20がOFFであり、全ての操作ピン(プランジャ)21が端面カム部材13から後退(図2において上方に移動)している状態を示している。また、第1カムユニット12は図2において左に移動し、第2カムユニット12は右に移動し、第3カムユニット12は左に移動し、第4カムユニット12は右に移動している。これにより全気筒CにおいてBカム6Bがカムフォロワ7を押圧している。つまり、相互に隣接するカムユニット12は、図2において左右が逆に配置されている。そして、第1カムユニット12と第2カムユニット12との軸方向の間隔が狭くなり、第2カムユニット12と第3カムユニット12との軸方向の間隔が広くなり、第3カムユニット12と第4カムユニット12との軸方向の間隔が狭くなっている。

0053

この状態から、第2電磁弁20と第4電磁弁20とがONになり、第2操作ピン21と第4操作ピン21とが図2において下方に移動すると、第2操作ピン21は第1カムユニット12の左の端面カム部材13の軸方向カム13a及び第2カムユニット12の右の端面カム部材13の軸方向カム13aと接触し、第1カムユニット12を右に、第2カムユニット12を左に移動させ、第4操作ピン21は第3カムユニット12の左の端面カム部材13の軸方向カム13a及び第4カムユニット12の右の端面カム部材13の軸方向カム13aと接触し、第3カムユニット12を右に、第4カムユニット12を左に移動させる。これにより全気筒CにおいてBカム6BからAカム6Aへの切り替えが行われる。そして、第1カムユニット12と第2カムユニット12との軸方向の間隔が広くなり、第2カムユニット12と第3カムユニット12との軸方向の間隔が狭くなり、第3カムユニット12と第4カムユニット12との軸方向の間隔が広くなる。

0054

このとき、各カムユニット12のディテント機構40のボール部材43は、Bカム6Bに対応するB凹溝52からAカム6Aに対応するA凹溝51まで相対移動する。そして、本実施形態では、端面カム部材13の軸方向カム13aの軸方向の突出量K(図5参照)が、凹溝ピッチLよりも小さい値に形成されているが、第2押圧力発生所要距離(L/2)+L’よりも大きい値に形成されているので、前記ボール部材43の相対移動の期間中、第1凹溝52から抜け出たボール部材43が少なくとも第2押圧力発生開始位置に到達するまでは、第2操作ピン21及び第4操作ピン21と軸方向カム13aとの接触により第1押圧力が発生し、この第1押圧力によって各カムユニット12が第2操作ピン21及び第4操作ピン21から離間する側へ移動される。

0055

次いで、前記ボール部材43の相対移動の期間中、前記第2押圧力発生開始位置を通過したボール部材43が第2凹溝51に到達するまでは、第2凹溝51に連続するA傾斜面53において第2押圧力が発生するから、ボール部材43とA傾斜面53との接触により第2押圧力が発生し、この第2押圧力によって各カムユニット12が引き続き第2操作ピン21及び第4操作ピン21から離間する側へ移動される。A傾斜面53は第2凹溝51に連続して形成されているので、ボール部材43は第2押圧力を発生させつつA傾斜面53から第2凹溝51に移動して第2凹溝51に嵌合する。これにより、Aカム6Aがカムフォロワ7に位置決めされ、カム6の切り替えが終了する。

0056

(4)作用等
以上のように、本実施形態では、エンジンEのクランク軸に連動して回転するカム軸8と、カム軸8に対し軸方向に移動可能に外嵌されてカム軸8と一体回転すると共に、クランク軸の軸方向に沿って連設されたカムプロファイルが相互に異なるAカム6A及びBカム6Bを含むカム要素10とを有し、エンジンEの運転状態に応じて、排気カムシャフト5のカム6を切り替えることにより、排気弁2の動弁特性を切り替え可能なカムシフト機構を具備するエンジンEの動弁装置1において、次のような構成を採用した。

0057

カム要素10の軸方向の一端側に、軸方向の突出量が周方向に沿って変化する軸方向カム13aを含む端面カム部材13を設けた。端面カム部材13の軸方向カム13aに接触する接触位置と接触しない非接触位置との間で移動可能に設けられ、接触位置に移動した状態でカム要素10に軸方向の第1押圧力を付与してカム要素10を軸方向に移動させる強制移動部材としての操作ピン21を備えた。

0058

カム要素10の内周面におけるAカム6A及びBカム6Bに対応する位置に、カム要素10の周方向に沿って形成され、径方向内側に突出する凸部55を介して軸方向に区画されたA凹溝51及びB凹溝52と、カム軸8の外周面から径方向外側に突出するように付勢された状態でカム軸8に設けられ、カム要素10が操作ピン21によって軸方向に移動される前の状態で第1凹溝としてのA凹溝51又はB凹溝52に嵌合する一方、カム要素10が軸方向に移動された後の状態で第2凹溝としてのB凹溝52又はA凹溝51に嵌合するボール部材43とを備えた。

0059

第2凹溝としてのB凹溝52又はA凹溝51は、カム要素10が第1押圧力によって軸方向に所定量移動されたときに、凸部55を乗り越えたボール部材43と接触することにより、第1押圧力と同じ軸方向成分を有する第2押圧力をカム要素10に付与するB傾斜面54又はA傾斜面53を有している。

0060

そして、軸方向カム13aの軸方向の突出量Kが、第1凹溝としてのA凹溝51又はB凹溝52に嵌合している状態のボール部材43の中心と、第2凹溝としてのB凹溝52又はA凹溝51に嵌合している状態のボール部材43の中心との間の軸方向距離(凹溝ピッチ)Lよりも小さい値に設定した。

0061

本実施形態によれば、カム要素10の軸方向の一端側に、軸方向の突出量が周方向に沿って変化する軸方向カム13aを含む端面カム部材13が設けられたエンジンEの動弁装置1において、ボール部材43とA凹溝51及びB凹溝52とにより、カム要素10に連接されたAカム6A及びBカム6Bをカムフォロワ7に対して位置決めするためのディテント機構40が構成される。

0062

例えば、図8に示したように、Aカム6AからBカム6Bへの切り替えが行われる場合、まず、端面カム部材13の軸方向カム13aと操作ピン21との接触により、カム要素10に軸方向の第1押圧力が付与されてカム要素10が軸方向に移動される。これにより、第1凹溝(A凹溝)51に嵌合していたボール部材43が第1凹溝51から抜け出て凸部55を乗り越え、第2凹溝(B凹溝)52のB傾斜面54と接触する。次に、このボール部材43とB傾斜面54との接触により、第1押圧力と同じ軸方向成分を有する第2押圧力がカム要素10に付与されてカム要素10が引き続き軸方向に移動される。これにより、ボール部材43は第2押圧力を発生させつつB傾斜面54から第2凹溝52に移動して第2凹溝52に嵌合する。そのため、Bカム6Bがカムフォロワ7に対して位置決めされ、カム6の切り替えが終了する。

0063

つまり、Aカム6AからBカム6Bへのカム6の切り替え時、ディテント機構40のボール部材43は切り替え元のAカムすなわち第1カム6Aに対応する第1凹溝51から切り替え先のBカムすなわち第2カム6Bに対応する第2凹溝52に相対移動するが、その相対移動の途中で、その相対移動の推進力となる押圧力が、軸方向カム13aと操作ピン21との接触により発生する第1押圧力から、ボール部材43とB傾斜面54との接触により発生する第2押圧力に移行する。これにより、ボール部材43が第1凹溝51から第2凹溝52に相対移動する期間の全部に亘って第1押圧力を発生させる必要がなくなり、前記期間の初期のみ第1押圧力を発生させればよくなる。そのため、本実施形態では、軸方向カム13aの軸方向の突出量(つまり軸方向カム13aの操作量)Kを、第1凹溝51に嵌合している状態のボール部材43iの中心Xiと第2凹溝52に嵌合している状態のボール部材43iiiの中心Xiiiとの間の軸方向距離(つまり凹溝ピッチ)Lよりも小さい値に設定している。

0064

従来は、ディテント機構40のボール部材43が第1凹溝51から第2凹溝52に相対移動する期間の全部に亘って第1押圧力を発生させる必要があったので、軸方向カム13aの軸方向の突出量Kを凹溝ピッチLと同じ値に設定していた。その結果、相互に隣接するカム要素10間の軸方向距離が長くなり、動弁装置1をバルブピッチや気筒ピッチが比較的長い大型のエンジンにしか搭載できなかった。

0065

これに対し、本実施形態では、軸方向カム13aの軸方向の突出量Kを凹溝ピッチLよりも小さい値に設定できるので、相互に隣接するカム要素10間の軸方向距離を短くでき、動弁装置1をバルブピッチや気筒ピッチが比較的短い小型のエンジンEにも搭載できる。

0066

以上により、本実施形態によれば、エンジンEの運転状態に応じて排気弁2の動弁特性を切り替え可能なエンジンEの動弁装置1において、カム要素10を軸方向に移動させるためにカム要素10の軸方向の一端側に端面カム部材13が設けられていても、相互に隣接するカム要素10間の軸方向距離が短くなり、エンジンEへの搭載性が改善される。

0067

また、本実施形態では、軸方向カム13aの軸方向の突出量Kが、第1凹溝としてのA凹溝51又はB凹溝52に嵌合している状態のボール部材43の中心と、凸部55を乗り越えてB傾斜面54又はA傾斜面53と接触し始めた状態のボール部材43の中心との間の軸方向距離(第2押圧力発生所要距離)(L/2)+L’よりも大きい値に設定した。

0068

この構成によれば、ディテント機構40のボール部材43が第1凹溝(A凹溝51又はB凹溝52)から第2凹溝(B凹溝52又はA凹溝51)に相対移動する期間中、ボール部材43とB傾斜面54又はA傾斜面53との接触により第2押圧力が発生するまでは、必ず軸方向カム13aと操作ピン21との接触により第1押圧力が発生しているので、カム6の切り替え時に第2押圧力が未だ発生していないのに第1押圧力の発生が終了するという問題が生じず、第1押圧力から第2押圧力への移行が確実に行われて、カム要素10が円滑に連続して移動される。

0069

また、本実施形態では、前記傾斜面53,54は、カム要素10の軸心に対して30°の角度θに形成されている。

0070

この構成によれば、傾斜面53,54とカム要素10の軸心とがなす角度θが30°なので、十分大きい第2押圧力が発生し、カム6の切り替えが短時間で終了する。

0071

なお、傾斜面53,54とカム要素10の軸心とがなす角度θを30°を超えて大きくすると、より一層第2押圧力が大きくなり、カム6の切り替えがより一層短時間で終了するので好ましいが、その上限は45°とする。傾斜面53,54とカム要素10の軸心とがなす角度θが45°以下であれば、第2押圧力発生所要距離(L/2)+L’が十分短くなり、軸方向カム13aの軸方向の突出量Kがより一層小さくなるからである。すなわち、L’は(φ/2)×sinθで与えられるところ、θを45°以下とすることによりsinθの値が小さくなり、最終的に(L/2)+L’の値が小さくなるからである。

0072

また、本実施形態では、端面カム部材13に対して操作ピン21を進出及び後退させる電磁弁20が、相互に隣接する2つのカムユニット12で共有化されている。つまり、相互に隣接する2つのカムユニット12間に電磁弁20を2つ配置するのではなく1つだけ配置している。これによっても、相互に隣接するカムユニット12間の軸方向距離を短くでき、動弁装置1を気筒ピッチが比較的短い小型のエンジンにも搭載できる。

0073

なお、前記実施形態では、本発明を排気弁2用の動弁装置1に適用したが、これに代えて又はこれと共に、本発明を吸気弁用の動弁装置に適用してもよい。

0074

また、図8において、凹溝ピッチLの算出及び第2押圧力発生所要距離(L/2)+L’の算出に際し、電磁弁20をONとしたときの操作ピン21と軸方向カム13aとの最初の接触位置のバラツキや、ボール部材43の直径φのバラツキ等、公差製造誤差を考慮して算出してもよい。

0075

1動弁装置
2排気弁
5排気カムシャフト
6カム
6A Aカム(第1カム又は第2カム)
6B Bカム(第1カム又は第2カム)
8カム軸
10カム要素
13端面カム部材
13a軸方向カム
20電磁弁
21操作ピン(強制移動部材)
40ディテント機構
43ボール部材(嵌合部材)
51 A凹溝(第1凹溝又は第2凹溝)
52 B凹溝(第1凹溝又は第2凹溝)
53 A傾斜面(傾斜面)
54 B傾斜面(傾斜面)
55 凸部
Eエンジン
K 軸方向カムの軸方向の突出量
L 凹溝ピッチ

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社豊田自動織機の「 エンジンの可変バルブタイミング機構およびエンジン」が 公開されました。( 2020/04/23)

    【課題】カムシャフトに対して予め設定された位相関係で組み付けられたことを明確に確認することが可能なエンジンの可変バルブタイミング機構およびエンジンを提供する。【解決手段】エンジンの可変バルブタイミング... 詳細

  • スズキ株式会社の「 デコンプ装置および動弁機構」が 公開されました。( 2020/04/23)

    【課題】デコンプ装置を有するロッカーアーム式の動弁機構にロッカーアームスライド構造を設けることができるようにする。【解決手段】動弁機構におけるデコンプ装置41は、デコンプシャフト42を凹部25内に回動... 詳細

  • スズキ株式会社の「 デコンプ装置」が 公開されました。( 2020/04/23)

    【課題】デコンプ装置の部品点数を減らし、またはデコンプ装置の小型化を図る。【解決手段】デコンプ装置31には、カムシャフト12の外周面と排気側カム14のベース面とに亘って形成された収容凹部25内に配置さ... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ