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技術 真空蒸着装置

出願人 株式会社日立ハイテクノロジーズ
発明者 玉腰武司楠敏明山本健一三宅竜也松浦宏育松崎永二矢崎秋夫尾方智彦
出願日 2013年2月12日 (8年0ヶ月経過) 出願番号 2013-024175
公開日 2014年8月25日 (6年5ヶ月経過) 公開番号 2014-152365
状態 未査定
技術分野 エレクトロルミネッセンス光源 物理蒸着
主要キーワード 測定履歴 略回転対称 入れ替え前 放出分布 算出情報 入れ替え後 べき指数 膜厚補正板
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

複数の基板を長時間に渡って連続的に成膜しても、基板間の膜厚均一性を低下させずに成膜できる真空蒸着装置を提供する。

解決手段

本発明による真空蒸着装置は、基板2上に蒸着させる蒸着材料を格納する坩堝を備え、蒸着材料の蒸気を放出する蒸発源3と、坩堝内の蒸着材料の量を求める算出部7と、坩堝内の蒸着材料の量に基づいて、基板2に到達する蒸着材料の分布を制御する制御部8とを備える。

概要

背景

近年、有機ELディスプレイ有機EL照明などに用いられる有機EL素子が、新たな産業分野として注目されている。有機ELディスプレイは液晶ディスプレイプラズマディスプレイ代わる次世代ディスプレイとして、また有機EL照明はLED照明と並ぶ次世代照明として期待されている。

有機EL素子は、有機化合物からなる発光層正孔注入層正孔輸送層電子輸送層、及び電子注入層などを積層した多層構造を、陽極陰極からなる電極対で挟み込んだ構造を持つ。電極電圧印加することにより、陽極側から正孔が、陰極側から電子が発光層に注入され、それらが再結合して生じる励起子エキシトン)の失活により、有機EL素子は発光する。

発光層を形成するのに用いられる有機材料には、高分子材料低分子材料がある。このうち現在主流である低分子材料は、真空蒸着によって成膜され、発光層を形成する。その他の層を形成する際にも真空蒸着が用いられる。有機EL素子の性能向上のために、共蒸着によるドーピング合金化も行われている。

真空蒸着に用いられる蒸発源は、真空チャンバ内に設置され、蒸着材料封入する坩堝と、坩堝を加熱するヒーターと、坩堝及びヒーターなどを格納するハウジングと、ハウジングに設けられ蒸着材料を噴出する開口部とを有する。蒸発源は、ヒーターにより加熱された坩堝が蒸着材料を蒸発または昇華させ、気化した蒸着材料を開口部から真空チャンバ内に設置した基板上へ噴射することで、基板を成膜して各層を形成する。カラー表示の有機EL素子を作成するには、基板とメタルマスクアライメントした状態で、異なる発光をする有機EL材料画素ごとに蒸着させて成膜する。

有機EL素子のような薄膜デイバスでは、膜厚デバイスの特性に大きな影響を及ぼすため、基板上に成膜された薄膜の膜厚均一性は、品質信頼性向上のために重要である。基板上に成膜される膜厚分布の均一性を向上するために、様々な技術が開発されている。例えば、蒸発源または基板を移動・回転させることで膜厚均一性を向上させる技術や、蒸発源と基板の間膜厚補正板を設置することで基板上の膜厚均一性を向上させる技術が知られている。

特許文献1には、膜厚の設計自由度を高めるとともに微調整を容易とする真空蒸着装置が開示されている。特許文献1の請求項1には、「真空槽内に、基板の保持手段と蒸着源とを備える真空成膜装置であって、さらに、該基板の成膜面に該蒸着源に対する遮蔽領域を形成する少なくとも1つの遮蔽部材、該遮蔽部材の駆動源、および、該駆動源の制御装置を備え、該制御装置が、該遮蔽部材が前記遮蔽領域を形成しない状態における該基板の面内膜厚分布実測値または計算値および該基板の面内膜厚分布の目標値を予め記憶しておく記憶手段、並びに、該記憶手段に入力された各値に基づいて、該基板上の各点の位置(以下、「基板位置」という)に対応する成膜時間を算出し、該成膜時間に基づいて該駆動源の操作量を決定する演算手段からなり、該駆動源が該操作量に基づいて前記遮蔽領域の位置を移動させて所望の面内膜厚分布を得るよう構成されたことを特徴とする真空成膜装置」と記載されている。

概要

複数の基板を長時間に渡って連続的に成膜しても、基板間の膜厚均一性を低下させずに成膜できる真空蒸着装置を提供する。本発明による真空蒸着装置は、基板2上に蒸着させる蒸着材料を格納する坩堝を備え、蒸着材料の蒸気を放出する蒸発源3と、坩堝内の蒸着材料の量を求める算出部7と、坩堝内の蒸着材料の量に基づいて、基板2に到達する蒸着材料の分布を制御する制御部8とを備える。

目的

本発明は、複数の基板を長時間に渡って連続的に成膜しても、基板間の膜厚均一性を低下させずに成膜できる真空蒸着装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

基板上に蒸着させる蒸着材料を格納する坩堝を備え、前記蒸着材料の蒸気を放出する蒸発源と、前記坩堝内の前記蒸着材料の量を求める算出部と、前記坩堝内の前記蒸着材料の量に基づいて、前記基板に到達する前記蒸着材料の分布を制御する制御部と、を備えることを特徴とする真空蒸着装置

請求項2

前記蒸発源から前記基板へ放出される前記蒸着材料の蒸気を遮蔽するための板状部材と、前記蒸着材料の蒸気の蒸着レートを検出する検出部と、をさらに備え、前記算出部は、前記蒸着レートに基づいて前記坩堝内の前記蒸着材料の量を求め、前記制御部は、前記坩堝内の前記蒸着材料の量に基づいて前記板状部材を移動させることで、前記基板に到達する前記蒸着材料の分布を制御する請求項1記載の真空蒸着装置。

請求項3

複数の前記検出部を備え、前記算出部は、複数の前記検出部が検出した複数の前記蒸着レートに基づいて、前記坩堝内の前記蒸着材料の量を求める請求項2記載の真空蒸着装置。

請求項4

複数の前記蒸発源を備え、複数の前記蒸発源を載せ置くとともに、これらの蒸発源の位置を移動させて蒸着に用いる前記蒸発源を入れ替え交換部をさらに備え、前記算出部は、蒸着に用いる前記蒸発源の前記坩堝内の前記蒸着材料の量を求め、前記交換部による前記蒸発源の入れ替えの際には、保持している入れ替え前の蒸発源の前記蒸着材料の量の情報を、入れ替え後の蒸発源の前記蒸着材料の量の情報に更新する請求項1記載の真空蒸着装置。

請求項5

前記坩堝に前記蒸着材料を供給する材料供給部と、前記蒸着材料の蒸気の蒸着レートを検出する検出部と、をさらに備え、前記算出部は、前記蒸着レートに基づいて前記坩堝内の前記蒸着材料の量を求め、前記制御部は、前記坩堝内の前記蒸着材料の量に基づいて前記材料供給部を制御して前記坩堝に前記蒸着材料を供給することで、前記基板に到達する前記蒸着材料の分布を制御する請求項1記載の真空蒸着装置。

請求項6

前記蒸発源から前記基板へ放出される前記蒸着材料の蒸気を遮蔽するための板状部材と、少なくとも前記坩堝の重量を測定する重量計測部と、をさらに備え、前記算出部は、前記坩堝の重量に基づいて前記坩堝内の前記蒸着材料の量を求め、前記制御部は、前記坩堝内の前記蒸着材料の量に基づいて前記板状部材を移動させることで、前記基板に到達する前記蒸着材料の分布を制御する請求項1記載の真空蒸着装置。

請求項7

前記基板に垂直な軸の周りに前記基板を回転させる基板回転部をさらに備え、前記制御部は、前記軸と交差する方向の軸の周りに前記板状部材を回転移動させる請求項2記載の真空蒸着装置。

技術分野

0001

本発明は、真空蒸着装置に関する。

背景技術

0002

近年、有機ELディスプレイ有機EL照明などに用いられる有機EL素子が、新たな産業分野として注目されている。有機ELディスプレイは液晶ディスプレイプラズマディスプレイ代わる次世代ディスプレイとして、また有機EL照明はLED照明と並ぶ次世代照明として期待されている。

0003

有機EL素子は、有機化合物からなる発光層正孔注入層正孔輸送層電子輸送層、及び電子注入層などを積層した多層構造を、陽極陰極からなる電極対で挟み込んだ構造を持つ。電極電圧印加することにより、陽極側から正孔が、陰極側から電子が発光層に注入され、それらが再結合して生じる励起子エキシトン)の失活により、有機EL素子は発光する。

0004

発光層を形成するのに用いられる有機材料には、高分子材料低分子材料がある。このうち現在主流である低分子材料は、真空蒸着によって成膜され、発光層を形成する。その他の層を形成する際にも真空蒸着が用いられる。有機EL素子の性能向上のために、共蒸着によるドーピング合金化も行われている。

0005

真空蒸着に用いられる蒸発源は、真空チャンバ内に設置され、蒸着材料封入する坩堝と、坩堝を加熱するヒーターと、坩堝及びヒーターなどを格納するハウジングと、ハウジングに設けられ蒸着材料を噴出する開口部とを有する。蒸発源は、ヒーターにより加熱された坩堝が蒸着材料を蒸発または昇華させ、気化した蒸着材料を開口部から真空チャンバ内に設置した基板上へ噴射することで、基板を成膜して各層を形成する。カラー表示の有機EL素子を作成するには、基板とメタルマスクアライメントした状態で、異なる発光をする有機EL材料画素ごとに蒸着させて成膜する。

0006

有機EL素子のような薄膜デイバスでは、膜厚デバイスの特性に大きな影響を及ぼすため、基板上に成膜された薄膜の膜厚均一性は、品質信頼性向上のために重要である。基板上に成膜される膜厚分布の均一性を向上するために、様々な技術が開発されている。例えば、蒸発源または基板を移動・回転させることで膜厚均一性を向上させる技術や、蒸発源と基板の間膜厚補正板を設置することで基板上の膜厚均一性を向上させる技術が知られている。

0007

特許文献1には、膜厚の設計自由度を高めるとともに微調整を容易とする真空蒸着装置が開示されている。特許文献1の請求項1には、「真空槽内に、基板の保持手段と蒸着源とを備える真空成膜装置であって、さらに、該基板の成膜面に該蒸着源に対する遮蔽領域を形成する少なくとも1つの遮蔽部材、該遮蔽部材の駆動源、および、該駆動源の制御装置を備え、該制御装置が、該遮蔽部材が前記遮蔽領域を形成しない状態における該基板の面内膜厚分布実測値または計算値および該基板の面内膜厚分布の目標値を予め記憶しておく記憶手段、並びに、該記憶手段に入力された各値に基づいて、該基板上の各点の位置(以下、「基板位置」という)に対応する成膜時間を算出し、該成膜時間に基づいて該駆動源の操作量を決定する演算手段からなり、該駆動源が該操作量に基づいて前記遮蔽領域の位置を移動させて所望の面内膜厚分布を得るよう構成されたことを特徴とする真空成膜装置」と記載されている。

先行技術

0008

特開2007−107071号公報

発明が解決しようとする課題

0009

真空蒸着装置を有機EL素子の量産に使用する場合には、長時間に渡って、真空チャンバを大気開放することなく、複数の基板を連続的に成膜し続ける必要がある。長時間の成膜を続けると、最初に坩堝の中に充填されていた蒸着材料が次第に減少する。これに伴い、蒸着材料の坩堝から基板へ向かう分布(蒸着材料の放出分布)が変化し、複数の基板の連続成膜中に基板間で膜厚分布が変化していく。その結果、基板間で膜厚均一性が低下していくという課題がある。特許文献1には、基板上に成膜される膜厚分布の設計自由度を高める技術が記載されているが、このような課題については考慮されていない。

0010

本発明は、複数の基板を長時間に渡って連続的に成膜しても、基板間の膜厚均一性を低下させずに成膜できる真空蒸着装置を提供する。

課題を解決するための手段

0011

本発明による真空蒸着装置は、基板上に蒸着させる蒸着材料を格納する坩堝を備え、前記蒸着材料の蒸気を放出する蒸発源と、前記坩堝内の前記蒸着材料の量を求める算出部と、前記坩堝内の前記蒸着材料の量に基づいて、前記基板に到達する前記蒸着材料の分布を制御する制御部とを備えることを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、複数の基板を長時間に渡って連続的に成膜しても、基板間の膜厚均一性を低下させずに成膜できる真空蒸着装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

実施例1による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図。
成膜を開始する前の、蒸発源の内部構造の概略を示す断面図と、坩堝内の蒸着材料の量に対応する基板上の膜厚分布を模式的に示す図。
連続成膜を長時間続けた後の、蒸発源の内部構造の概略を示す断面図と、坩堝内の蒸着材料の量に対応する基板上の膜厚分布を模式的に示す図。
坩堝内の蒸着材料の量の膜厚分布への影響を示すシミュレーション結果を示すグラフ
実施例2による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図。
実施例3による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図。
実施例4による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図。
実施例5による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図。
実施例5による真空蒸着装置の蒸発源の内部構造の概略と材料供給部とを示す断面図。

0014

以下、図面を用いて、本発明による真空蒸着装置の実施例を説明する。以下では、本発明による真空蒸着装置を有機EL素子の製造に適用した例を説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明は、これらの説明だけに限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更及び修正が可能である。なお、上記した以外の、本発明が解決しようとする課題と、本発明の構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。

0015

図1は、実施例1による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図である。真空蒸着装置は、真空チャンバ1、開口部を有する蒸発源3、シャッター4、検出部5、膜厚制御部6、算出部7、制御部8、及びレート制御部16を備え、蒸発源3の開口部から基板2上に蒸着させる蒸着材料の蒸気を放出して基板2に成膜する。蒸発源3、シャッター4、膜厚制御部6、及び基板2は、真空に維持された真空チャンバ1内に配置される。本実施例では、一例として、基板2を回転させて膜厚均一性を向上させる成膜方式について説明する。基板2は、真空チャンバ1内に略水平に設置され、基板2の略垂直方向回転軸17を有する基板回転部18により、回転軸17の周りに回転する。なお、垂直方向とは鉛直方向(図1の上下方向)であり、水平方向とは、鉛直方向に直交する方向である。蒸発源3、シャッター4、検出部5、膜厚制御部6、算出部7、制御部8、及びレート制御部16の詳細については、後述する。

0016

図1に示した基板2と蒸発源3の幾何学的配置では、基板2上の蒸発源3に近い場所では膜厚が厚く、蒸発源3から遠い場所では膜厚が薄く成膜される。そこで、基板2を回転させることで、基板2の膜厚分布を均一化できることが知られている。基板2の回転軸17の位置は、特に限定されない。ただし、回転軸17が基板2の略重心を通る場合には、膜厚分布の回転軸17に対する略回転対称性が保証されるので、膜厚分布を均一にするのに優位である。基板2は、成膜中に少なくとも1回以上、回転する。

0017

膜厚制御部6は、制御部8によって移動(回転移動平行移動の一方または両方)させられ、蒸発源3から基板2へ向かって放出される蒸着材料の蒸気の少なくとも一部を遮蔽し、基板2に到達する蒸着材料の分布を制御する部材である。従って、膜厚制御部6によって、基板2上に成膜される膜厚分布の均一性を改善することが可能である。膜厚制御部6は、例えば扇型板状部材であり、膜厚補正板などとも呼ばれる。なお、膜厚制御部6は、基板2の回転軸17と交差する方向を向いた回転軸(回転軸17とは平行でない回転軸)の周りに回転する。このような向きに回転することで、基板2に到達する蒸着材料の分布を効果的に制御することができる。

0018

シャッター4は、その開閉動作によって、蒸発源3の開口部から基板2へ向かう蒸着材料の蒸気の放出を制御することができる。シャッター4を閉じると、蒸発源3の開口部から基板2上の各点へ向かう仮想的な直線の全てとシャッター4が交差し、蒸発源3の開口部から基板2へ向かう蒸着材料の蒸気がシャッター4で遮られ、基板2が蒸着されなくなる。シャッター4が開くと、蒸発源3の開口部から基板2上の各点へ向かう仮想的な直線とシャッター4が交差せず、蒸着材料の蒸気は蒸発源3の開口部から基板2へ到達し、基板2が蒸着される。シャッター4の開閉によって、基板ごとに成膜時間を制御することができ、所望の膜厚を得ることができる。

0019

なお、図1では、1つのシャッター4が蒸発源3に直接取り付けられている例を示した。本発明は、この態様に限られるものではなく、蒸発源3に複数のシャッター4を取り付けてもよい。また、シャッター4は、蒸発源3に直接取り付けず、蒸発源3と分離して設けてもよい。

0020

検出部5は、蒸着レートを検出する一般的なレートセンサであり、蒸着レートを監視する。蒸着レートは、蒸着速度や成膜レートともいい、成膜の速度を表す。検出部5には、例えば、膜厚センサを用いることができる。検出部5は、蒸発源3から検出部5へ向かう蒸気がシャッター4に遮られることがないように、蒸発源3の開口部から検出部5へ向かう仮想的な直線とシャッター4とが交差しないような位置に配置する必要がある。検出部5が検出した蒸着レートは、レート制御部16に伝達される。

0021

レート制御部16は、検出部5が検出した蒸着レートが予め定めた所定の数値または数値範囲となるように、蒸発源3が備えるヒーターへの投入電力フィードバック制御する。蒸発源3は、後述するようにヒーターで蒸着材料を加熱して蒸気とし基板2に蒸着するので、レート制御部16に制御されて、放出する蒸気の量(蒸着レート)を変えることができる。真空蒸着装置は、検出部5とレート制御部16により、蒸着レートが一定となるような安定したレート制御を行うことができる。基板2上の膜厚を均一にするためには、安定したレート制御が必要である。

0022

なお、垂直方向に対する、蒸発源3の開口部から検出部5へ向かう角度は、蒸発源3の開口部から基板2の回転中心へ向かう角度θと略等しくするのが好ましい。基板2の回転軸17は、回転の固定点であり、基板2が回転しても常に略同量の蒸着材料が蒸着し、膜厚制御部6による蒸着材料の分布制御の影響を受けない。このため、これらの角度を略等しくすると、検出部5の検出値が略一定に保つようにレート制御をすることで、基板2の回転中心での蒸着レートを略一定に保つことができる。

0023

次に、本実施例による真空蒸着装置での成膜過程の概略を述べる。初めに、1枚の基板2を、真空チャンバ1内に搬送し、マスクとのアライメントを行い、基板ホルダに取り付けて回転軸17の周りに回転させる。シャッター4を開いて蒸着を開始し、所定時間だけ基板2に成膜する。成膜が終了したら、シャッター4を閉めた後、基板2の回転を止める。その後、基板2を基板ホルダから取り外し、真空チャンバ1の外へ搬出する。以上の工程を繰り返して、複数の基板2に対して連続的に成膜を行う。連続成膜後は、真空チャンバ1を大気開放し、メンテナンスを行う。メンテナンスは、蒸着材料10の補給や、シャッター4及び膜厚制御部6に付着した蒸着材料10の除去などを必要に応じて行う。

0024

図2A図2Bは、蒸発源3の内部構造の概略を示す断面図と、坩堝9内の蒸着材料10の量に対応する基板2上の膜厚分布を模式的に示す図である。図2A図2Bにおいて、下図は、蒸発源3の内部構造の概略を示す断面図であり、上図は、坩堝9内の蒸着材料10の量に対応する基板2上の膜厚分布を模式的に示す図である。

0025

図2A図2Bの下図に示すように、蒸発源3は、基板2上に蒸着させる蒸着材料10を格納する坩堝9、坩堝9を加熱するヒーター11、これらを格納するハウジング12を備える。図2Aは、成膜を開始する前の蒸発源3の状態(状態A)を示す。図2Bは、連続成膜を長時間続けた後の蒸発源3の状態(状態B)を示し、坩堝9の中に格納されていた蒸着材料10の量が、図2Aの状態よりも減少している。

0026

図2A図2Bの上図において、縦軸は基板2上の膜厚を模式的に示しており、基板2内の横方向の位置(横軸)は、下部に示した坩堝9の位置に対応している。図2Bに示した状態Bの膜厚分布は、図2Aに示した状態Aの膜厚分布よりも、坩堝9の開口部の中心に近い位置が集中的に厚くなっている。

0027

蒸着材料10には有機材料、無機材料、及び金属材料などが用いられ、蒸着温度融点以下か融点以上かによって、蒸着材料10は昇華系と溶融系に分類される。坩堝9は、抵抗加熱されたヒーター11からの輻射熱によって加熱され、蒸着材料10を加熱する。加熱された蒸着材料10は、昇華または蒸発により気化する。蒸発源3(坩堝9も含む)は、開口部を有し、気化した蒸着材料10(蒸着材料10の蒸気)を開口部から基板2に向かって放出する。ハウジング12は、冷却水などによって冷却される。

0028

連続成膜を長時間続けると、坩堝9の中の蒸着材料10の量は次第に減少して、図2Aの状態Aから図2Bの状態Bへ変わる。蒸着材料10が坩堝9の開口部から基板2へ向かって放出される際の分布(蒸着材料10の放出分布)は、坩堝9内での蒸着材料10の蒸発面(または昇華面)の位置の影響、すなわち、蒸着材料10の蒸発面(または昇華面)から坩堝9の開口部までの距離の影響を受けるため、蒸着材料10の量に依存する。

0029

坩堝9内の蒸着材料10の量が減少し、図2Aの状態Aから図2Bの状態Bへ変わると、蒸着材料10の蒸発面(または昇華面)の位置が下がり、蒸着材料10の蒸発面(または昇華面)から坩堝9の開口部までの距離が長くなる。この結果、蒸発面(または昇華面)から基板2へ放出される蒸気の指向性が高くなる。すなわち、蒸着材料10の放出分布は、坩堝9内の蒸着材料10の量が減少すると、坩堝9の開口部の中心に近い位置に蒸着材料10の蒸気が集中するような分布になる。蒸着材料10の放出分布は、基板2上の膜厚分布と高い相関があるので、蒸着材料10の量が減少した場合の基板2上の膜厚分布は、図2Bの上部に示すように、坩堝9の開口部の中心に近い位置が集中的に厚くなり、図2Aの上部に示した蒸着材料10の量が多い場合の膜厚分布(基板2上に広がった膜厚分布)とは異なる。

0030

従って、従来の真空蒸着装置では、連続成膜中の蒸着材料10の量の減少に伴い、蒸着材料10の放出分布が変化するとともに、基板2上に成膜される膜厚分布が複数の基板間で変化して膜厚均一性が低下するという課題がある。

0031

図3は、坩堝9内の蒸着材料10の量の膜厚分布への影響を示すシミュレーション結果を示すグラフである。図3のグラフは、図2A図2Bに示した状態Aと状態Bのそれぞれ場合に対して、基板2に成膜される膜厚分布を求めた場合の計算結果を示している。ノズルと基板の標高差は740mm、基板2の中心(基板の回転軸17の位置)と蒸発源3の開口部の中心との水平距離は530mmとした。

0032

図3のグラフに示すように、状態Aと状態Bの両方で、蒸発源3に近い場所では膜厚が厚く、蒸発源3から遠い場所では膜厚が薄くなる。しかし、基板2内の膜厚均一性は、状態Aでは3.64%であるのに対し、状態Bでは7.56%である。このように、坩堝9内の蒸着材料10の量の変化とともに、蒸着材料10の蒸気の放出分布が変化し、基板2に成膜される膜厚分布も変化する。この結果として、連続成膜をすると、複数の基板間で、膜厚分布が坩堝9内の蒸着材料10の量の変化とともに変化し、膜厚均一性は低下する。

0033

本実施例では、坩堝9内の蒸着材料10の量に基づいて、膜厚制御部6の移動(回転移動と平行移動の一方または両方)を制御し、連続成膜中に生じる複数の基板間での膜厚分布の変化を減らす。

0034

まず、坩堝9内の蒸着材料10の量を、検出部5と算出部7を用いて算出する。算出方法の一例を以下に述べる。

0035

検出部5は、坩堝9から空間的に放出される蒸気をある特定の方位から観測し、その蒸着レートを検出する。ここでは坩堝9内の蒸着材料10の量の概算値を算出するのが目的なので、蒸着材料の流量(単位は例えばkg/秒)は、検出部5による蒸着レートの検出値に概略比例すると考えられる。この比例係数は、前もって実験または計算によって定めることができる。従って、検出部5による蒸着レートの検出値から、蒸着材料10の流量を見積もることが可能である。

0036

算出部7は、検出部5が検出した蒸着レートから蒸着材料10の流量を求め、蒸着材料10の減少量と坩堝9内の蒸着材料10の量を求める。蒸着材料10の減少量は、流量を時間積算することで得られる。時間積算は、連続的に行っても不連続的に行っても、どちらでもよい。坩堝9内の蒸着材料10の量は、坩堝9内の蒸着材料10の量の初期値から蒸着材料10の減少量を差し引けば算出できる。蒸着材料10の量は、蒸着材料10の重量で求めても体積で求めても、どちらでもよい。体積密度が分かれば、重量と体積は換算可能である。また、算出部7は、坩堝2の内部形状の情報を用いることで、蒸着材料10の量から蒸着材料10の蒸発面の高さ(坩堝2内での蒸着材料10の高さ)なども算出可能である。

0037

次に、制御部8は、算出部7が求めた坩堝9内の蒸着材料10の量と、膜厚制御部6の制御情報とに基づいて、膜厚制御部6を制御する。膜厚制御部6の制御情報には、坩堝9内の蒸着材料10の量と膜厚制御部6の移動量(移動距離回転角)との対応についての情報などが含まれる。従って、制御部8は、坩堝9内の蒸着材料10の量に応じて膜厚制御部6を移動させ、基板2に到達する蒸着材料の分布を制御する。

0038

算出部7及び制御部8は、例えば記憶部と計算部を有するPCやマイコンなどから構成される。算出部7の記憶部は、検出部5が検出した蒸着レートから蒸着材料10の流量を求めるのに用いる比例係数、坩堝9内の蒸着材料10の量の初期値、及び坩堝2の内部形状の情報など、算出部7が必要とする情報を保持する。制御部8の記憶部は、膜厚制御部6の制御情報など、制御部8が必要とする情報を保持する。また、算出部7の記憶部は、坩堝9内の蒸着材料10の量とこれに対応する蒸着材料10の放出分布についての情報も保持することができる。これらの情報は、予め実験や計算で取得したり設定したりして、算出部7や制御部8に予め記憶させておくことが可能である。例えば、坩堝9内の蒸着材料10の量とこれに対応する蒸着材料10の放出分布についての情報は、予め実験や計算から取得することが可能であり、膜厚制御部6の制御情報は、予め設定しておくことができる。算出部7の記憶部は、さらに、坩堝9内の蒸着材料10の量など、求めた情報を保持する。

0039

従って、制御部8は、坩堝9内の蒸着材料10の量が変化しても、蒸着材料10の量と膜厚制御部6の制御情報に従って膜厚制御部6を機械的に移動させ、連続成膜中に生じる複数の基板2間での膜厚分布の変化を減らすことができる。例えば、蒸着材料10の量が予め定めた量より少なくなった場合には、蒸着材料10の蒸気は蒸発源3の開口部の中心に近い位置にさらに集中するので、膜厚制御部6を移動させて、蒸発源3から蒸発源3の開口部の中心に近い基板2の部分へ向かう蒸着材料10の蒸気の一部または全部を遮蔽する。このようにして、蒸発源3の開口部の中心に近い基板2の部分に蒸着する蒸着材料10の量を減らすことができ、複数の基板2間での膜厚分布の変化を減らすことができる。

0040

図3に示したシミュレーション結果から分かるように、基板2上の膜厚は、回転軸17付近よりも蒸発源3の直上の方が厚くなる。従って、基板2では、回転中心よりも端部で膜厚が厚くなる。従って、基板2上の膜厚分布が図3のようになる場合には、膜厚制御部6は、板状の部材とし、蒸発源3の開口部の中心と基板2の回転中心とを結ぶ仮想的な直線から離れるに従って、面積が増加する形状が好ましい(図1を参照)。例えば、膜厚制御部6を扇型とし、蒸発源3の開口部の中心と基板2の回転中心とを結ぶ仮想的な直線から離れるに従って、面積が比例またはそれ以上の割合で増加するような形状とすることで、複数の基板2上の膜厚分布の均一性をより改善できる。

0041

制御部8が膜厚制御部6を移動させるタイミングは、特に限定されない。例えば、予め定めた複数枚の基板2に成膜するごとに定期的に行ってもよい。膜厚制御部6の設置位置は特に限定されないが、蒸発源3の開口部から基板2の回転中心へ向かう仮想的な直線と交差してはならない。膜厚制御部6とこの仮想的な直線とが交差すると、基板2の回転中心は膜厚制御部6により常に蒸着されなくなるからである。膜厚制御部6の形状は、制御部8に制御され、坩堝9内の蒸着材料10の量の変化に応じて、基板2に蒸着する蒸着材料10の蒸気の量を変えることができるものであれば、特に限定されない。

0042

本実施例では、算出部7と制御部8を分離した例を説明したが、これらは一体となっていてもよい。坩堝9内の蒸着材料10の量の算出方法は、上記の例に限定されるものではなく、数々の方法が可能である。

0043

以上のように、本実施例では、検出部5が検出した蒸着レートに基づいて坩堝9内の蒸着材料10の量を算出し、この蒸着材料10の量に基づいて膜厚制御部6を制御し、基板2に蒸着する蒸着材料10の分布を変えることで、基板2上の膜厚分布を制御する。このように、本実施例による真空蒸着装置では、基板2上の膜厚分布を、坩堝9内の蒸着材料10の量に基づいて制御することによって、長時間の連続成膜に対して複数の基板2間での膜厚均一性を低下させず、安定して成膜することができる。

0044

図4は、実施例2による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図である。図4において、図1と同一の符号は、図1と同一のまたは共通の要素を示し、これらの要素については説明を省略する。

0045

本実施例による真空蒸着装置は、実施例1に記載の真空蒸着装置において、坩堝9または蒸発源3の重量を計測する重量計測部14と、坩堝9内の蒸着材料10の量を算出する算出部7とを少なくとも備え、重量計測部14はその計測値を算出部7に送り、算出部7はその計測値に基づいて坩堝9内の蒸着材料10の量を算出する。

0046

重量計測部14には、例えば重量計を用いることができる。重量計測部14と算出部7とは一体化されていてもよい。真空蒸着装置が複数の坩堝9または複数の蒸発源3を有する場合には、1つの重量計測部14が複数の坩堝9または複数の蒸発源3の重量を計測してもよいし、重量計測部14を複数備え、1つの重量計測部14が1つの坩堝9または蒸発源3の重量を計測してもよい。

0047

算出部7は、実施例1では検出部5からの情報を利用していたが、本実施例では重量計測部14からの情報を利用して、坩堝9内の蒸着材料10の量を算出する。すなわち、算出部7は、重量計測部14が計測した坩堝9または蒸発源3の重量の減少量を蒸着材料10の減少量とし、坩堝9内の蒸着材料10の量の初期値から蒸着材料10の減少量を差し引いて、坩堝9内の蒸着材料10の量を算出する。

0048

その他の構成は、実施例1と同様であり、坩堝9内の蒸着材料10の量に基づいて、膜厚制御部6は、基板2に蒸着する蒸着材料10の蒸気の量を変えて基板2の膜厚分布を制御する。また、実施例1と同様に、本実施例でも蒸着レートが一定となるようなレート制御は必要であり、そのために膜厚センサなどの検出部5とレート制御部16とを備える。

0049

本実施例では、坩堝9または蒸発源3の重量をリアルタイムで計測することが可能であり、この計測値は過去の測定履歴に依存しない。従って、実施例1と比較すると、坩堝9内の蒸着材料10の量を直接的に算出することができ、より信頼性の高い値を得ることができる。

0050

このように、本実施例による真空蒸着装置では、重量計測部14の計測値を用いることで、坩堝9内の蒸着材料10の量をより正確に算出することができ、基板2上の膜厚分布をより精度よく制御することができる。従って、長時間の連続成膜に対して複数の基板2間での膜厚均一性を低下させないようにする効果がさらに大きい。

0051

図5は、実施例2による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図である。図5において、図1と同一の符号は、図1と同一のまたは共通の要素を示し、これらの要素については説明を省略する。

0052

本実施例による真空蒸着装置は、実施例1に記載の真空蒸着装置において、複数の蒸発源3と、これらの蒸発源3を載せ置いて位置を移動させる交換部13とを少なくとも備える。交換部13は、例えば、複数の蒸発源3を載せ置くことができる円盤形状の回転台であって、回転することで各蒸発源3の位置を移動させることができる。本実施例では蒸発源3は2個の場合について説明する。蒸発源3は、3個以上の複数個でも構わない。

0053

本実施例で用いる複数の蒸発源3は、坩堝9内の蒸着材料10の量が少なくなったら、交換部13によって各蒸発源3の位置を移動させ、蒸着に用いる蒸発源3を入れ替えることが可能である。従って、真空チャンバ1を大気に開放せずに連続成膜が可能な時間を拡大できる。蒸着に用いる蒸発源3は、シャッター4の開閉動作により、基板2へ向かう蒸着材料の蒸気の放出が制御される。

0054

本実施例では、算出部7は、各蒸発源3に格納されている蒸着材料10の量の初期値を算出部7の記憶部に予め保持しておき、蒸着に用いられている蒸発源3の坩堝9内の蒸着材料10の量を求める。また、算出部7は、交換部13による蒸発源3の入れ替えの際には、保持している入れ替え前の蒸発源3の蒸着材料10の量の情報を、入れ替え後の蒸発源3の蒸着材料10の量の情報に更新する。このように交換部13と算出部7を連携させることで、複数の蒸発源3を備える本実施例の真空蒸着装置でも、実施例1の真空蒸着装置と同様の効果を得ることができる。

0055

本実施例では、複数の蒸発源3を回転により位置を移動させる交換部13を備える真空蒸着装置の例を説明したが、交換部13は、回転により複数の蒸発源3の位置を移動させるものだけに限定されない。例えば、直線上に複数の蒸発源3を配置し、蒸発源3をこの直線方向に移動させるような交換部13を用いることもできる。

0056

また、実施例1と同様に、本実施例でも蒸着レートが一定となるようなレート制御は必要であり、そのために膜厚センサなどの検出部5とレート制御部16とを備える。本実施例の真空蒸着装置は、検出部5を、1つだけ備えてもよく、蒸発源3の数と同じだけ備えてもよい。検出部5を1つだけ備える場合は、複数の蒸発源3に対して1つの検出部5を使用する。検出部5を蒸発源3の数と同じだけ備える場合は、それぞれの蒸発源3に対してそれぞれの検出部5を切り替えて使用する。

0057

図6は、実施例4による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図である。図6において、図1と同一の符号は、図1と同一のまたは共通の要素を示し、これらの要素については説明を省略する。

0058

本実施例による真空蒸着装置は、実施例1及び実施例2に記載の真空蒸着装置において、互いに異なる場所に設けられた複数の検出部5を備え、算出部7は、複数の検出部5からの情報を基に、坩堝9内の蒸着材料10の量を算出する。図6では、一例として、実施例1の真空蒸着装置が2つの検出部5を備える例を示している。

0059

算出部7は、複数の検出部5が互いに異なる場所で検出した複数の蒸着レートを用いて、蒸着材料10の流量を求める。得られた流量を成膜時間で積算すると、蒸着材料10の減少量を算出することができる。

0060

複数の蒸着レートから蒸着材料10の流量を求める方法の一例を説明する。坩堝9の開口部から出る蒸着材料10の蒸気の放出分布は、実用的にはcosine関数のべき乗(cosθ)^Nを用いた近似式で表すことができる。蒸気の放出分布を立体角θで積分すると流量が得られるので、放出分布を表す式の係数はこの積分で規格化する。複数の検出部5を用いて検出した複数の蒸着レートから、蒸気の放出分布を表す式のべき指数Nと流量とを求めることができる。

0061

本実施例による真空蒸着装置は、複数の検出機構5を備え、複数の場所で測定した蒸着レートから蒸着材料10の流量を求めるので、実施例1の真空蒸着装置と比較して、予め実験または計算によって定めた蒸着レートと流量の比例係数を用いる必要がなく、蒸着材料10の流量をより精度良く求めることができる。

0062

従って、本実施例では、坩堝9内の蒸着材料10の量をより正確に算出することができ、基板2上の膜厚分布をより精度よく制御することができる。従って、長時間の連続成膜に対して複数の基板2間での膜厚均一性を低下させない効果がさらに大きい。

0063

図7は、実施例5による真空蒸着装置の一部を模式的に示す概略図である。図7において、図1と同一の符号は、図1と同一のまたは共通の要素を示し、これらの要素については説明を省略する。

0064

本実施例による真空蒸着装置は、実施例1に記載の真空蒸着装置において、蒸発源3の坩堝9に蒸着材料10を供給する材料供給部15を少なくとも備え、膜厚制御部6は、必ずしも備える必要はない。材料供給部15は、制御部8に制御され、坩堝9へ蒸着材料10を供給する。材料供給部15は、制御部8に制御されて坩堝9へ蒸着材料10を供給できるものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、開閉弁を有するホッパーであり、制御部8に制御されて開閉弁を開くと坩堝9へ蒸着材料10を供給するものでもよい。

0065

図8は、実施例5による真空蒸着装置の蒸発源3の内部構造の概略と材料供給部15とを示す断面図である。図8において、図2Aと同一の符号は、図2Aと同一のまたは共通の要素を示し、これらの要素については説明を省略する。

0066

実施例1で述べたように、連続成膜を長時間続けると、図2A図2Bに示すように、坩堝9内の蒸着材料10の量が次第に減少する。これに伴い、蒸着材料10の蒸発面(または昇華面)の位置が変化するため、蒸着材料10の放出分布も変化する。この結果、連続成膜中に複数の基板2間で膜厚分布が変化する。

0067

本実施例による真空蒸着装置は、材料供給部15を有し、次に述べるように蒸着材料10を坩堝9に供給する。算出部7は、坩堝9内の蒸着材料10の量を、例えば、実施例1から実施例4で述べた方法のいずれかの方法で求める。制御部8は、坩堝9内の蒸着材料10の量が初期値と比べて予め定めた所定の量だけ減少するたびに、材料供給部15を制御する。材料供給部15は、制御部8に制御され、減少量の分の蒸着材料10を坩堝9内に供給し、坩堝9内の蒸着材料10の量を初期値と同量または同程度の量にまで増やす。

0068

このようにすると、坩堝9内の蒸着材料10の量が減少したために、坩堝9の開口部の中心に近い位置に集中するような分布になった蒸着材料10の放出分布を、開口部の全体に渡って広がりを持つ分布に変えることができ、蒸着材料10の放出分布を制御することができる。算出部7は、上述の所定の量を、算出部7の記憶部に予め保持しておく。

0069

本実施例の真空蒸着装置は、材料供給部15を備え、制御部8が坩堝9内の蒸着材料10の量に基づいて材料供給部15を制御して坩堝9に蒸着材料10を供給することで、坩堝9内の蒸着材料10の量の低下を上述の所定の量の範囲に収めることができる。坩堝9は、一定の範囲内の量(初期値と初期値から上述の所定の量を差し引いた値との間の量)の蒸着材料10を常に保持することができるので、本実施例の真空蒸着装置では、基板2に到達する蒸着材料10の分布の変化を抑制することができる。このため、実施例1から実施例4の真空蒸着装置と比較して、基板2に到達する蒸着材料10の分布を制御する膜厚制御部6などの部材を必ずしも必要としないという利点がある。

0070

以上のように、本実施例の真空蒸着装置は、坩堝9に蒸着材料10を供給する材料供給部15を備え、実施例1から実施例4で述べた方法のいずれかの方法で取得した坩堝9内の蒸着材料10の量に基づいて制御部8が材料供給部15を制御することで、坩堝9が一定の範囲内の量の蒸着材料10を常に保持することができるので、連続成膜中に生じる基板2上の膜厚分布の変化を減らすことができる。このようにして、本実施例による真空蒸着装置では、長時間の連続成膜に対して複数の基板2間での膜厚均一性を低下させず、安定して成膜することができる。

0071

なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。

0072

また、本発明による制御装置の各構成は、これらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよい。また、これらの一部又は全部は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラム解釈し実行するようにして、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル測定情報、及び算出情報等の情報は、メモリハードディスク、及びSSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカードSDカード、及びDVD等の記録媒体に記録することができる。よって、本発明による制御装置の各構成は、処理部、処理ユニット、及びプログラムモジュールなどとして、各機能の実現が可能である。

実施例

0073

また、各図面において、制御線情報線は説明上必要と考えられるものを記載しており、必ずしも製品として必要な全ての制御線や情報線を記載しているとは限らない。実際の製品では、殆ど全ての構成要素が相互に接続されていると考えてもよい。

0074

1…真空チャンバ、2…基板、3…蒸発源、4…シャッター、5…検出部、6…膜厚制御部、7…算出部、8…制御部8、9…坩堝、10…蒸着材料、11…ヒーター、12…ハウジング、13…交換部、14…重量計測部、15…材料供給部、16…レート制御部、17…基板の回転軸、18…基板回転部。

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