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技術 薄片試料の作製方法、並びに試料の観察方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 金谷日出和
出願日 2013年2月4日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2013-019588
公開日 2014年8月21日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2014-149272
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析 サンプリング、試料調製 電子顕微鏡1
主要キーワード 断面観察試料 フッ素樹脂テープ 樹脂硬化処理 切削範囲 フィルター試料 微細試料 電子顕微鏡観察用試料 クロスセクション
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

メンブレンフィルター上にわずかに捕集された微細粒子を、電子顕微鏡によって広視野で且つ正確に観察することができる薄片試料作製方法、並びにその薄片試料を用いた試料観察方法を提供する。

解決手段

微細粒子を捕集したメンブレンフィルターを樹脂により挟み込み、その樹脂を硬化させることによってメンブレンフィルターに含浸させ、樹脂を含浸させたメンブレンフィルターに対して、そのフィルター面と交差する方向に断面を形成させ、集束イオンビーム装置を用いて、形成された加工断面に対してイオンビーム照射して薄片試料を切り出す。

概要

背景

粉末材料は、様々な分野・用途に使用されており、添加剤分布状態分散状態結晶状態を正確に知ることが重要となる。通常、粉体の形状や粒度の評価には、動的散乱法や電子顕微鏡法が用いられ(例えば、特許文献1を参照。)、電子顕微鏡法の場合には、試料を観察に適した形状に加工した後(例えば、特許文献2を参照。)、表面や断面を走査電子顕微鏡により観察する。また、nmオーダーの粉末材料を評価する場合には、透過電子顕微鏡法による観察が行われるが、その際には試料を観察が可能な薄片状態に加工する必要がある。

観察対象試料加工方法としては、湿式研磨法、ミクロトーム法、イオンミリング法(例えば、特許文献3及び4を参照。)、及び集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)法(例えば、特許文献5を参照。)が一般的に使用されている。

その中で、FIB法による薄片化試料作製では、観察対象の試料に対して自由な方向に薄片試料切り出すことが可能であるため、近年、FIB法を用いた透過電子顕微鏡観察用試料作製が主流となっている。

一方で、粉末試料に対しては、直接試料を薄片化することが不可能であるため、集束イオンビームを用いて薄片試料を作製する場合には、エポキシ樹脂を用いて粉末を固定し、観察に適した形状に加工する必要がある(例えば、特許文献6を参照。)。また、FIB法を用いない場合には、粉末試料を水に分散させた状態でメッシュを用いて粒子を掬い上げて観察に供する方法等が用いられる。

概要

メンブレンフィルター上にわずかに捕集された微細粒子を、電子顕微鏡によって広視野で且つ正確に観察することができる薄片試料の作製方法、並びにその薄片試料を用いた試料の観察方法を提供する。微細粒子を捕集したメンブレンフィルターを樹脂により挟み込み、その樹脂を硬化させることによってメンブレンフィルターに含浸させ、樹脂を含浸させたメンブレンフィルターに対して、そのフィルター面と交差する方向に断面を形成させ、集束イオンビーム装置を用いて、形成された加工断面に対してイオンビーム照射して薄片試料を切り出す。

目的

本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、メンブレンフィルター上にわずかに捕集された微細粒子を、電子顕微鏡によって広視野で且つ正確に観察することを可能にする薄片試料の作製方法、並びにその薄片試料を用いた試料の観察方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

メンブレンフィルター上に捕集した微細粒子電子顕微鏡によって観察するための薄片試料作製方法であって、微細粒子を捕集したメンブレンフィルターを樹脂により挟み込み、該樹脂を硬化させることによって該樹脂を該メンブレンフィルターに含浸させる樹脂含浸工程と、上記樹脂を含浸させたメンブレンフィルターに対して、そのフィルター面と交差する方向に断面を形成させる断面加工工程と、集束イオンビーム装置を用いて、形成された上記断面に対してイオンビーム照射して薄片試料を切り出す薄片試料形成工程とを有することを特徴とする薄片試料の作製方法。

請求項2

上記薄片試料形成工程では、形成された上記断面が上記集束イオンビーム装置の試料台と平行になるように、断面加工した試料を該集束イオンビーム装置に導入して、該断面からそのフィルター面の方向に薄片試料を切り出すことを特徴とする請求項1記載の薄片試料の作製方法。

請求項3

上記樹脂は、硬化温度が50℃〜100℃の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の薄片試料の作製方法。

請求項4

上記メンブレンフィルターは、ニトロセルロースであることを特徴とする請求項3に記載の薄片試料の作製方法。

請求項5

上記断面加工工程では、クロスセクションポリッシャにより断面を形成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の薄片試料の作製方法。

請求項6

メンブレンフィルター上に捕集した微細粒子を電子顕微鏡により観察する試料の観察方法であって、微細粒子を捕集した上記メンブレンフィルターを樹脂により挟み込み、該樹脂を硬化させることによって該樹脂を該メンブレンフィルターに含浸させた後、そのフィルター面と交差する方向に断面を形成し、集束イオンビーム装置を用いて、形成された該断面に対してイオンビームを照射して薄片試料を切り出す薄片試料作製工程と、得られた薄片試料を電子顕微鏡の試料台に載置し、該薄片試料の観察面に対して電子線を照射することによって該薄片試料の観察像を得る電子顕微鏡観察工程とを有することを特徴とする試料の観察方法。

技術分野

0001

本発明は、薄片試料作製方法、並びに試料観察方法に関し、より詳しくは、メンブレンフィルター上に捕集した微細粒子電子顕微鏡によって観察するための薄片試料の作製方法、並びにその薄片試料を電子顕微鏡を用いて観察する試料の観察方法に関する。

背景技術

0002

粉末材料は、様々な分野・用途に使用されており、添加剤分布状態分散状態結晶状態を正確に知ることが重要となる。通常、粉体の形状や粒度の評価には、動的散乱法や電子顕微鏡法が用いられ(例えば、特許文献1を参照。)、電子顕微鏡法の場合には、試料を観察に適した形状に加工した後(例えば、特許文献2を参照。)、表面や断面を走査電子顕微鏡により観察する。また、nmオーダーの粉末材料を評価する場合には、透過電子顕微鏡法による観察が行われるが、その際には試料を観察が可能な薄片状態に加工する必要がある。

0003

観察対象試料加工方法としては、湿式研磨法、ミクロトーム法、イオンミリング法(例えば、特許文献3及び4を参照。)、及び集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)法(例えば、特許文献5を参照。)が一般的に使用されている。

0004

その中で、FIB法による薄片化試料作製では、観察対象の試料に対して自由な方向に薄片試料を切り出すことが可能であるため、近年、FIB法を用いた透過電子顕微鏡観察用試料作製が主流となっている。

0005

一方で、粉末試料に対しては、直接試料を薄片化することが不可能であるため、集束イオンビームを用いて薄片試料を作製する場合には、エポキシ樹脂を用いて粉末を固定し、観察に適した形状に加工する必要がある(例えば、特許文献6を参照。)。また、FIB法を用いない場合には、粉末試料を水に分散させた状態でメッシュを用いて粒子を掬い上げて観察に供する方法等が用いられる。

先行技術

0006

特開2009−120901号公報
特開2002−304992号公報
特開平7−296761号公報
特開2005−55428号公報
特開2000−214056号公報
特開2007−47053号公報
特開2009−120901号公報

発明が解決しようとする課題

0007

粉末試料に対しては、上述したような方法によって透過電子顕微鏡観察用の薄片試料が作製されているが、微細粒子を含有するスラリーをメンブレンフィルターに通液した後(例えば、特許文献7を参照。)、フィルター上に残留する微細粒子を観察する場合には、直接集束イオンビームでフィルターに捕集された粒子を加工しようとすると、フィルターの繊維質と観察粒子のエッチングレートの顕著な差異により観察に耐えうる薄片試料を作製することはできない。

0008

また、その粒子が凝集性の高い微細粒子の場合には、スパチュラ等で微細粒子を剥離させようとしても、十分に剥ぎ取ることができない。

0009

さらに、フィルターを面直方向に切り出してその断面を観察試料としたとき、例えばフィルターに付着した微細粒子が100nmオーダーであった場合には、観察領域は著しく狭くなり、観察に重要な統計的な情報を得ることが困難となる。

0010

すなわち、従来では、例えば図7に示すように、微細粒子50を捕集(ろ過)したメンブレンフィルター51(図7(A))から断面観察試料を作製しようとした場合、そのメンブレンフィルター51に対して直接、そのフィルター面51aに対して垂直な方向(面直方向)から集束イオンビーム(FIB)による加工を行い(図7(B):メンブレンフィルター上面図)、FIBによる加工穴52から薄片試料53を切り出すことによって観察試料としていた(図7(C))。しかしながら、微細粒子50が極めて微細な場合等では、その微細粒子50が切り出した薄片試料53の上部(FIB加工による保護膜54の下部)のわずかな領域55にのみ存在するだけとなり(図7(D):電子顕微鏡観察像)、電子顕微鏡により観察できる微細粒子存在領域が著しく狭く、的確な情報を得ることができない。

0011

そのため、フィルター上にわずかに捕集された微細粒子の様子を、広視野で且つ平均的に観察することが可能な透過電子顕微鏡観察用の薄片試料が要求されている。

0012

そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、メンブレンフィルター上にわずかに捕集された微細粒子を、電子顕微鏡によって広視野で且つ正確に観察することを可能にする薄片試料の作製方法、並びにその薄片試料を用いた試料の観察方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明者は、上述した課題を解決するための鋭意検討を重ねた。その結果、微細粒子を捕集したメンブレンフィルターに樹脂含浸させた後、そのフィルター面に対し交差する方向に断面加工を行い、得られた加工断面に対して集束イオンビーム加工を行って薄片試料を摘出し、その薄片試料を用いて電子顕微鏡観察を行うことによって、捕集した微細粒子の様子を広い視野で且つ正確に観察できることを見出した。

0014

すなわち、本発明に係る薄片試料の作製方法は、メンブレンフィルター上に捕集した微細粒子を電子顕微鏡によって観察するための薄片試料の作製方法であって、微細粒子を捕集したメンブレンフィルターを樹脂により挟み込み、該樹脂を硬化させることによって該樹脂を該メンブレンフィルターに含浸させる樹脂含浸工程と、上記樹脂を含浸させたメンブレンフィルターに対して、そのフィルター面と交差する方向に断面を形成させる断面加工工程と、集束イオンビーム装置を用いて、形成された上記断面に対してイオンビーム照射して薄片試料を切り出す薄片試料形成工程とを有することを特徴とする。

0015

また、本発明に係る試料の観察方法は、メンブレンフィルター上に捕集した微細粒子を電子顕微鏡により観察する試料の観察方法であって、微細粒子を捕集した上記メンブレンフィルターを樹脂により挟み込み、該樹脂を硬化させることによって該樹脂を該メンブレンフィルターに含浸させた後、そのフィルター面と交差する方向に断面を形成し、集束イオンビーム装置を用いて、形成された該断面に対してイオンビームを照射して薄片試料を切り出す薄片試料作製工程と、得られた薄片試料を電子顕微鏡の試料台に載置し、該薄片試料の観察面に対して電子線を照射することによって該薄片試料の観察像を得る電子顕微鏡観察工程とを有することを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明によれば、フィルター面に対し交差する方向に断面加工を行うことで微細粒子が捕集された粒子捕集層を表出させ、その断面に対して集束イオンビーム加工を行って薄片試料を摘出しているので、電子顕微鏡観察面に多数の微細粒子が広範に存在した状態の薄片試料を得ることができる。これにより、捕集された微細粒子を、電子顕微鏡によって広視野で且つ正確に観察することができる。

図面の簡単な説明

0017

電子顕微鏡観察に用いる薄片試料の作製方法の工程図である。
樹脂含浸工程の操作を説明するための図である。
断面加工工程の操作を説明するための図である。
薄片試料形成工程の操作を説明するための図である。
実施例1にて作製した薄片試料を用いて観察したTEM像である。
比較例1にて作製した薄片試料を用いて観察したTEM像である。
従来の薄片試料の作製方法の操作の流れを示す図である。

0018

以下、本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。

0019

本実施の形態に係る薄片試料の作製方法は、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)や走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)によって微細な粉末試料の表面や断面を観察するためのものであって、メンブレンフィルター上に捕集した微細粒子を観察するための薄片試料の作製方法である。この方法は、メンブレンフィルター上にわずかに捕集された極めて微細な粒子であっても、広い観察領域での観察を可能として、その微細粒子についての統計的な情報等を的確に得ることを可能にする薄片試料の作製方法である。

0020

図1は、本実施の形態に係る薄片試料の作製方法の工程図である。また図2図4は、この作製方法の各工程における操作を模式的に示した図である。

0021

図1に示すように、この薄片試料の作製方法は、観察対象となる微細試料を捕集したメンブレンフィルターに対して樹脂を含浸させる樹脂含浸工程S1と、樹脂を含浸させて得られたフィルターに対して断面加工を行って断面を形成させる断面加工工程S2と、断面加工して得られた試料の断面から集束イオンビーム装置を用いて薄片試料を切り出す薄片試料形成工程S3とを有する。以下、各工程について順に説明する。

0022

(樹脂含浸工程)
樹脂含浸工程S1では、図2に示すように、観察対象となる微細粒子10を捕集(ろ過)したメンブレンフィルター11を、その表面(フィルター面)11aと裏面11bの両面から樹脂12によって挟み込み、その樹脂12を硬化させることによってメンブレンフィルター11に樹脂12を含浸させる。なお、図2において、メンブレンフィルター11において微細粒子10が捕集された領域を、粒子捕集領域10Aとする(図3及び図4も同じ。)。

0023

観察対象となる微細粒子10としては、特に限定されるものではない。この薄片試料の作製方法は、メンブレンフィルター11に捕集された、例えば種々の金属微粒子等に対して適用することができる。特に、この薄片試料の作製方法は、100nmオーダーの極めて微細な粒子や、凝集性の高い微細粒子の薄片試料を作製する際に好適に用いることができる。また、メンブレンフィルター11による捕集形態についても、特に限定されず、観察対象となる微細粒子10を含んだスラリーをメンブレンフィルター11に通液させて得られたものを用いることができる。

0024

メンブレンフィルター11としては、特に限定されるものではないが、後述する樹脂12の含浸性の観点から、ニトロセルロースからなるものを用いることが好ましい。また、このメンブレンフィルター11の孔径としては、捕集しようとする微細粒子の大きさやそれを含んだスラリーの性状等に応じて適宜決定することができ、例えば孔径0.1μm程度のものを用いることができる。

0025

樹脂12としては、所定の条件で硬化させることできるものであれば特に限定されないが、熱硬化性のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂は、種々の材質のメンブレンフィルターに対して高い含浸性を有している。そのため、分離することなく(はじかれることなく)、十分にメンブレンフィルターに含浸させることができ、後述する断面加工や集束イオンビーム加工を的確に行うことが可能となる。

0026

また、その熱硬化性エポキシ樹脂の中でも、硬化温度が50℃〜100℃程度の比較的低温で硬化するものであることがより好ましい。このような低温硬化するエポキシ樹脂をメンブレンフィルター11に含浸させることにより、メンブレンフィルター11と樹脂12との分離をより効果的に抑制することができる。また、観察試料となる微細粒子10に対して大きな熱的履歴を与えずに薄片試料を作製することができ、その微細粒子の結晶性等を変化させることなく正確な状態観察を行うことが可能となる。

0027

なお、この樹脂12としては、光や紫外線等で硬化するものを用いてもよい。

0028

より具体的に、この樹脂含浸工程S1における樹脂の含浸方法としては、例えば以下のようにして行うことができる。すなわち、先ず、図2(A)の斜視図に示すような、微細粒子10を捕集したメンブレンフィルター11を準備する。次に、スライドガラス等のガラス板13の両端付近に例えば粘着樹脂テープを貼り、その上に熱硬化性エポキシ樹脂等の樹脂12を薄く塗布して、メンブレンフィルター11を接着させる。続いて、もう一枚のガラス板13’にも粘着樹脂テープ貼り付けて樹脂12を薄く塗布した上で、図2(B)に示すように、樹脂12を塗布した面でメンブレンフィルター11を挟み込んだ状態とする。そして、この状態で、例えば真空脱泡を行ってから、樹脂が硬化する温度条件で所定時間の樹脂硬化処理を行う。このようにすることで、図2(B)において示すように、樹脂12をメンブレンフィルター11に含浸させた状態とする。

0029

(断面加工工程)
次に、断面加工工程S2では、図3に示すように、樹脂12を含浸させて得られたメンブレンフィルター(以下、「メンブレンフィルター試料14」という。)に対して断面加工を行って断面を形成させる。具体的には、そのフィルター面11aと交差する方向に断面を加工形成する。なお、図3(A)は、樹脂を含浸させて得られたメンブレンフィルター試料14の上面図である。

0030

断面加工方法としては、特に限定されないが、クロスセクションポリッシャ(Cross Section Polisher:CP)により行うことが好ましい。クロスセクションポリッシャは、ブロードアルゴンイオン(Ar+)ビーム遮蔽板から露出した試料に照射してイオンエッチングを行うことによって試料を切削して断面加工する方法である。このクロスセクションポリッシャによれば、広範囲な断面加工を行うことができるとともに、平滑で加工歪のない断面を形成することができる。

0031

なお、その断面加工に際しての種々の条件は、特に限定されず、試料の性質に応じて適宜調整することが好ましい。例えば、アルゴンイオンビーム加速電圧としては、試料の性質に応じて、例えば3〜6kV程度に調整して行う。

0032

より具体的に、クロスセクションポリッシャによる断面加工では、先ず、加工対象となるメンブレンフィルター試料14を、クロスセクションポリッシャ用試料台にワックスマウンティングワックス)等を塗布して貼り付ける。次に、メンブレンフィルター11における粒子捕集領域10Aが断面として表れるように、メンブレンフィルター試料14の直上にそのメンブレンフィルター試料14の切削しようとする部位が突出する状態で遮蔽板(図示せず)を置き、顕微鏡画像で加工位置の位置決めを行う。そして、図3(B1)及び(B2)に示すように、メンブレンフィルター試料14に対して、そのフィルター面11aの上方からフィルター面11aと交差する方向にアルゴン(Ar)イオンビームを照射することによって断面加工を行う。なお、図3(B1)は、断面加工の様子をメンブレンフィルター試料14の上面から見た図であり、図3(B2)は、断面加工の様子をメンブレンフィルター試料14の斜めから見た図である。

0033

ここで、交差する方向とは、フィルター面11aに対して略垂直な方向(面直方向)であることに限られず、メンブレンフィルター試料14の断面が形成されれば、フィルター面11aに対して若干斜めにArイオンビームを照射して断面加工してもよい。

0034

このような断面加工により、遮蔽板から突出した部分の試料がArイオンビームの照射により削られて断面が表出し、加工断面14aが得られる。すると、フィルター面11aに対して交差する方向に断面を形成させたことにより、その加工断面14aには、後述する図4(A)に示すように、メンブレンフィルター11における粒子捕集領域10Aがその断面に表れることになる。具体的に、この形成された加工断面14aには、上から、樹脂層12’、微細粒子10が捕集された粒子捕集領域10Aに基づく粒子捕集層10A’、メンブレンフィルター層11’、樹脂層12’が表出される。

0035

(薄片試料形成工程)
次に、薄片試料形成工程S3では、図4に示すように、断面加工して得られた試料の加工断面14aから、集束イオンビーム(FIB)装置を用いて薄片試料をマイクロサンプリングする。

0036

ここで、上述した断面加工工程S3にて得られた加工断面14aには、図4(A)の加工断面14aの正面図に示すように、微細粒子10が捕集された粒子捕集領域10Aに基づく粒子捕集層10A’が表出している。そこで、この薄片試料形成工程S4では、図4(B)に示すように、形成された加工断面14aの粒子捕集層10A’が存在する箇所に対して集束イオンビーム装置による加工(FIB加工)を行う。

0037

すると、加工断面14aにFIB加工による加工穴15が形成され、図4(C)に示すように、イオンビームが加工断面14aに対して照射されて掘り込まれ、そのフィルター面11aと略平行な方向に長辺を有する薄片試料20が分離する。そして、その分離した薄片試料20は、図4(C)中の矢印X方向、すなわちフィルター面11aと略平行な方向に引き出されて摘出される。本実施の形態においては、このように、加工断面14aに対してイオンビームを照射するFIB加工を施すことで、摘出される薄片試料20において、微細粒子10が捕集された粒子捕集領域10Aがその薄片試料20の面を構成するようになる。そして、この薄片試料20の面が、電子顕微鏡による観察面30となる。なお、摘出された薄片試料20の上部は、FIB加工の保護膜16で構成される。

0038

このようにして作製された薄片試料20では、メンブレンフィルター11における粒子捕集領域10Aが電子顕微鏡による観察面30を構成しているので、図4(D)の電子顕微鏡観察像の模式図に示すように、捕集した微細粒子10を、その電子顕微鏡による観察可能面40の全面に捉えることができる。すなわち、観察可能面40に非常に多くの微細粒子10が存在した状態で観察することができる。これにより、観察対象である微細粒子10に関して、その結晶構造を明瞭に観察することが可能となり、その微細粒子10の統計的な情報についても的確に得ることができる。

0039

また、本実施の形態においては、加工断面14aに表出した粒子捕集層10A’が存在する箇所に対して、そのフィルター面11aに対してイオンビームを照射してFIB加工を行っているので、そのイオンビームが照射される箇所のほとんどがメンブレンフィルター11における粒子捕集領域10Aとなる。つまり、イオンビームは、繊維質なフィルターのみの部位にはほとんど照射されないことになる。これにより、そのFIB加工に際して、繊維質のフィルターとのエッチングレートの差異に基づく弊害を防止することができ、電子顕微鏡観察における観察不具合を抑制することができる。

0040

なお、加工断面14aに対して照射するイオンビームは、フィルター面11aと真に平行な方向に薄片試料が切り出されるように照射されることに限られない。摘出される薄片試料20においてフィルター11の粒子捕集領域10Aが電子顕微鏡による観察面30を構成するように摘出されれば、加工断面14aに対してイオンビームが僅かに斜めに照射されるようにしてもよい。

0041

ここで、集束イオンビーム(FIB)装置とは、電界によりガリウム(Ga)イオン源液体ガリウム)から引き出したガリウムイオンを細く絞りイオンビームを抽出して5〜10nmに集束させた上で、試料に走査して照射するものである。これによって試料表面上の原子分子真空中にはじき出させ、このスパッタリング現象を利用したエッチングにより、バルク試料からサブミクロンの精度でマイクロサンプル(薄片試料)を摘出することを可能にする。

0042

なお、この集束イオンビーム装置には、イオンビームを走査することによって試料から発生した二次電子を検出する二次電子検出器が備えられており、その二次電子検出器の出力に基づいてイオンビーム走査領域試料像走査イオン顕微鏡像;Scanning Ion Microscope(SIM)像)を表示画面上に表示させることができ、所望とする加工領域を視覚的に探索することができる。ただし、イオンビームを照射すると、観察対象の試料にダメージが導入される可能性がある。そのため、加工に際しては、電子ビームを用いた観察を行いながら加工領域を探索することが好ましい。

0043

また、マイクロサンプリングとは、集束イオンビーム装置内において、試料(バルク試料)から、所望とする観察対象部位を含む数十μm領域にイオンビームを照射することによって微小片試料(薄片試料)を分離して、その分離した薄片試料をプローブ等を用いて摘出することをいう。なお、プローブ等で摘出した薄片試料は、そのまま電子顕微鏡における試料台にデポジション膜を用いて固定される。

0044

より具体的に、この薄片試料形成工程S3における操作の流れを説明する。先ず、断面加工工程S3にて断面加工された試料を、その加工断面14aが集束イオンビーム装置の試料台と平行になるように集束イオンビーム装置に導入する。次に、その集束イオンビーム装置により、加工断面14aにおいて微細粒子10が捕集された粒子捕集層10A’を取り囲むような矩形形状の切削範囲を設定して、その加工断面14aに対して集束イオンビームを走査して照射することでその範囲の外郭を切削する。さらに続いて、切削した空間に集束イオンビームを通過させて照射し、メンブレンフィルター試料14の加工断面14aから、そのフィルター面11aと略平行な方向に薄片試料20を切り離すようにして分離する。そして、分離した薄片試料20を、マニュピュレータの先端に取り付けたプローブ17等を用いて、図4(C)中の矢印X方向に摘出する。なお、摘出する薄片試料20の大きさとしては、特に限定されず、メンブレンフィルター11に設けられた微細粒子10の捕集領域の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。

0045

このようにして作製された薄片試料の電子顕微鏡による観察は、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた一般的な方法により行うことができる。具体的には、先ず、マイクロサンプリングによって摘出された薄片試料20を電子顕微鏡の試料台に固定し、次に、その薄片試料20を載置固定させた試料台を電子顕微鏡の鏡筒内の試料ステージに設置して観察を行う。

0046

なお、薄片試料20を載置固定させる試料台としては、特に限定されるものではなく、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡において一般的に用いられる、例えば半円状、円柱状、三角柱状、四角柱状等の形状を有する試料台を用いることができる。また、薄片試料20の試料台への固定は、集束イオンビーム誘起デポジションによるデポジション膜を用い、試料台表面の所定の位置にそのデポジション膜を堆積させて、プローブ17等でピックアップした薄片試料20をデポジション膜が堆積した試料台表面に載置して固定する。なお、デポジション膜は、集束イオンビーム装置で形成可能な、例えばタングステン白金カーボン、又はシリコン酸化膜等からなるものを用いることができる。

0047

また、電子顕微鏡による観察について、例えば、透過型電子顕微鏡による観察の場合には、作製した薄片試料20に対して電子線を照射し、透過してきた電子による干渉像を拡大して観察対象となる試料の像を得る。また、走査型電子顕微鏡による観察の場合には、作製した薄片試料20に対して電子線を照射し、照射された電子線による2次電子反射電子、又は透過電子を検出して、観察対象となる試料の像を得る。

0048

以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。本実施例及び比較例では、微細粒子を含むスラリーをメンブレンフィルターに通液させて、その微細粒子を捕集させる試験を行い、捕集した微細試料を観察するための薄片試料(電子顕微鏡観察用試料)を作製して電子顕微鏡を用いた観察を行った。

0049

[実施例1]
(薄片試料の作製)
メンブレンフィルター上に微細粒子を捕集する試験を行った後に、そのメンブレンフィルターを取り出して、コンタミネーションの付着がないように乾燥を行ったものを試料として準備し、これをを用いて5mm×5mm程度の大きさに切り取った。次に、スライドガラス表面の両端付近にフッ素樹脂テープ(日東電工株式会社製、ニトフロン粘着テープ)を貼り、その上にエポキシ樹脂(丸本ストルアス株式会社製、スペオフィックス40)を薄く塗布し、切り取ったメンブレンフィルターを接着させた。続いて、もう1枚のスライドガラスにもフッ素樹脂テープを接着させてエポキシ樹脂を塗布した上で、塗布した面でメンブレンフィルターを挟み込んだ状態とした。そして、これを真空脱泡してから、50℃、3.5時間の条件で樹脂を硬化させることによって、フィルターに樹脂を含浸させた。エポキシ樹脂がはじかれることなく(分離することなく)、良好にメンブレンフィルターに含浸させることができた。

0050

続いて、樹脂硬化の後に両スライドガラスを剥離し、さらにフッ素樹脂テープを剥離した。そして、樹脂を含浸させたフィルター(フィルター試料)に対して、クロスセクションポリッシャ(日本電子株式会社製、SM−09010)を用いてフィルターのフィルター面に対して垂直な方向(面直方向)にArイオンビームを照射して断面加工を行った。この断面加工により、上から、エポキシ樹脂層、粒子捕集層、メンブレンフィルター層、エポキシ樹脂層からなる断面を露出させ、平滑化した。

0051

次に、加工した試料断面を集束イオンビーム(FIB)装置(FEI社製、QUANTA 3D)を用いてイオンビーム加工できるように、FIB装置試料台と加工断面が平行となるように装置内に試料を搬入し、固定した。加工すべき粒子捕集層(加工領域)については、電子ビームを用いた観察を行いながら探索し、装置の加工手順に従って粒子捕集層に対して集束イオンビームを照射して、形成された加工断面からフィルター面と平行な方向に、試料を切り出して薄片化させ、薄片試料を形成した。

0052

(電子顕微鏡による観察、並びに評価)
上述のようにして得られた薄片試料を、透過電子顕微鏡(日立ハイテクフィールディング株式会社製、HD−2300A)に導入し、微細粒子の電子顕微鏡観察を実施した。

0053

図5に、この電子顕微鏡観察により得られたTEM像を示す。この図5に示すように、観察可能な領域における粒子の数が非常に多く、その結晶構造を明瞭に観察することが可能であったとともに、微細粒子の統計的な情報も的確に得られることが分かった。

0054

[比較例1]
(薄片試料の作製)
メンブレンフィルター上に微細粒子を捕集するような試験を行った後に、そのメンブレンフィルターを取り出して、コンタミネーションの付着がないように乾燥を行ったものを試料として準備した。そして、このメンブレンフィルターに対して、直接、そのフィルター面に垂直な方向からFIB装置を用いて薄片試料を切り出した。

0055

(電子顕微鏡による観察、並びに評価)
切り出した薄片試料を、実施例1と同様に透過電子顕微鏡に導入して、微細粒子の電子顕微鏡観察を実施した。

実施例

0056

図6に、この電子顕微鏡観察により得られたTEM像を示す。この図6に示すように、微細粒子層の粒子が重なっており、観察可能な領域における粒子の数が非常に少なく、その結晶構造を観察するどころか、微細粒子の統計的な情報も的確に確認することができなかった。

0057

10微細粒子、10A粒子捕集領域、11メンブレンフィルター、11aフィルター面、12樹脂、13ガラス板、14 メンブレンフィルター試料、14a加工断面、15加工穴、16 保護膜、17プローブ、20薄片試料、30観察面、40観察可能面、10A’ 粒子捕集層、11’ メンブレンフィルター層、12’ 樹脂層

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