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技術 金型補修溶接材料

出願人 大同特殊鋼株式会社
発明者 安田泰士河野正道
出願日 2013年2月4日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2013-019202
公開日 2014年8月21日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2014-147965
状態 特許登録済
技術分野 アーク溶接一般 溶接材料およびその製造 処理全般、補助装置、継手、開先形状
主要キーワード 寸法単位 補修用材料 秒間エア 加速度試験 不可避的元素 コーティング工具 損傷箇所 ビッカース硬さ試験
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

硬さに優れるとともに、ダイカスト金型補修に使用された際に高い耐ヒートチェック性を発揮し、金型寿命の向上を図ることができる金型補修溶接材料を提供すること。

解決手段

0.30<C≦0.50質量%、0.05≦Si≦0.80質量%、0.50≦Mn≦1.50質量%、4.00≦Cr≦9.00質量%、0.50≦Mo≦3.00質量%、及び、0.30≦V≦0.70質量%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる金型補修溶接材料とする。

概要

背景

アルミニウムマグネシウム亜鉛、鉛等の金属もしくは合金鋳造するためのダイカスト金型として、JISSKD61(以下単にSKD61とすることがある)に代表される熱間工具鋼が広く用いられている。上記金属のダイカストでは、金型への高温溶湯射出及び冷却が繰り返され、金型にヒートチェック等の亀裂や割れなどの損傷が生じる。金型表面にこのような損傷が生じると、その損傷が製品転写されてしまう。そこで、ダイカスト金型の損傷箇所に対して、溶接による補修が行われる。

従来一般に、熱間工具鋼よりなるダイカスト金型の補修用溶接材料として、18.5Ni−4.8Mn−9.0Co−0.1Al−0.6Tiの組成を有するマルエージング鋼が用いられてきた。また、特許文献1には、マルエージング鋼よりも製造コストが低減され、硬さと溶接の効率が向上された補修溶接材料として、質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.20〜1.00%、Mn;0.30〜1.50%、Cr:3.6〜6.0%、Mo:0.8〜1.5%、V:0.10〜0.80%を含み、残部がFe及び不可避的元素からなる補修溶接材料が開示されている。

概要

硬さに優れるとともに、ダイカスト金型の補修に使用された際に高い耐ヒートチェック性を発揮し、金型の寿命の向上をることができる金型補修溶接材料を提供すること。0.30<C≦0.50質量%、0.05≦Si≦0.80質量%、0.50≦Mn≦1.50質量%、4.00≦Cr≦9.00質量%、0.50≦Mo≦3.00質量%、及び、0.30≦V≦0.70質量%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる金型補修溶接材料とする。

目的

本発明が解決しようとする課題は、硬さに優れるとともに、ダイカスト金型の補修に使用された際に高い耐ヒートチェック性を発揮し、金型の寿命の向上を図ることができる金型補修溶接材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

0.30<C≦0.50質量%、0.05≦Si≦0.80質量%、0.50≦Mn≦1.50質量%、4.00≦Cr≦9.00質量%、0.50≦Mo≦3.00質量%、及び、0.30≦V≦0.70質量%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする金型補修溶接材料

請求項2

さらに、0.01≦W≦4.00質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の金型補修溶接材料。

請求項3

さらに、0.30≦Co≦3.00質量%を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金型補修溶接材料。

請求項4

さらに、0.0001≦Nb≦0.100質量%、0.0001≦Ta≦0.100質量%、0.0001≦Ti≦0.100質量%、0.0001≦Zr≦0.100質量%、0.0005≦Al≦0.1000質量%、及び、0.0020≦N≦0.1500質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の金型補修溶接材。

請求項5

さらに、0.0002≦B≦0.0100質量%、0.05≦Cu≦1.50質量%、及び、0.05≦Ni≦1.50質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の金型補修溶接材。

請求項6

さらに、0.001≦S≦0.200質量%、0.0005≦Ca≦0.2000質量%、0.03≦Se≦0.50質量%、0.005≦Te≦0.100質量%、0.01≦Bi≦0.30質量%、及び、0.03≦Pb≦0.50質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の金型補修溶接材料。

技術分野

0001

本発明は、金型補修溶接材料に関し、さらに詳しくは、熱間工具鋼よりなるダイカスト金型補修溶接するための金型補修溶接材料に関する。

背景技術

0002

アルミニウムマグネシウム亜鉛、鉛等の金属もしくは合金鋳造するためのダイカスト金型として、JISSKD61(以下単にSKD61とすることがある)に代表される熱間工具鋼が広く用いられている。上記金属のダイカストでは、金型への高温溶湯射出及び冷却が繰り返され、金型にヒートチェック等の亀裂や割れなどの損傷が生じる。金型表面にこのような損傷が生じると、その損傷が製品転写されてしまう。そこで、ダイカスト金型の損傷箇所に対して、溶接による補修が行われる。

0003

従来一般に、熱間工具鋼よりなるダイカスト金型の補修用溶接材料として、18.5Ni−4.8Mn−9.0Co−0.1Al−0.6Tiの組成を有するマルエージング鋼が用いられてきた。また、特許文献1には、マルエージング鋼よりも製造コストが低減され、硬さと溶接の効率が向上された補修溶接材料として、質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.20〜1.00%、Mn;0.30〜1.50%、Cr:3.6〜6.0%、Mo:0.8〜1.5%、V:0.10〜0.80%を含み、残部がFe及び不可避的元素からなる補修溶接材料が開示されている。

先行技術

0004

特開2011−245488号公報

発明が解決しようとする課題

0005

補修溶接材料を用いて補修を行ったダイカスト金型の耐ヒートチェック性を高めるためには、補修溶接材料が、硬さに優れるとともに、母材である熱間工具鋼と同程度又はそれ以上に高い熱伝導率を有していることが必要である。補修溶接材料の熱伝導率が母材である熱間工具鋼の熱伝導率と隔たった低い値となっていると、金型を使用し続ける間に、補修溶接を施した部位が、ヒートチェックによって母材よりも早く割れてしまい、金型の寿命が短くなってしまう。

0006

マルエージング鋼は十分な硬さを有さないうえ、熱伝導率も低い。一方、特許文献1の補修溶接材料は、硬さにおいては優れているものの、熱伝導率が低い。このため、マルエージング鋼及び特許文献1の補修溶接材料をダイカスト金型の補修に使用する場合には、補修溶接が施された部位の耐ヒートチェック性が低くなってしまう。

0007

本発明が解決しようとする課題は、硬さに優れるとともに、ダイカスト金型の補修に使用された際に高い耐ヒートチェック性を発揮し、金型の寿命の向上を図ることができる金型補修溶接材料を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するために、本発明にかかる金型補修溶接材料は、0.30<C≦0.50質量%、0.05≦Si≦0.80質量%、0.50≦Mn≦1.50質量%、4.00≦Cr≦9.00質量%、0.50≦Mo≦3.00質量%、及び、0.30≦V≦0.70質量%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなることを要旨とする。

0009

ここで、前記金型補修溶接材料は、さらに、0.01≦W≦4.00質量%を含んでもよい。

0010

前記金型補修溶接材料は、さらに、0.30≦Co≦3.00質量%を含んでもよい。

0011

前記金型補修溶接材料は、さらに、0.0001≦Nb≦0.100質量%、0.0001≦Ta≦0.100質量%、0.0001≦Ti≦0.100質量%、0.0001≦Zr≦0.100質量%、0.0005≦Al≦0.1000質量%、及び、0.0020≦N≦0.1500質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含んでもよい。

0012

前記金型補修溶接材料は、さらに、0.0002≦B≦0.0100質量%、0.05≦Cu≦1.50質量%、及び、0.05≦Ni≦1.50質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含んでもよい。

0013

前記金型補修溶接材料は、0.001≦S≦0.200質量%、0.0005≦Ca≦0.2000質量%、0.03≦Se≦0.50質量%、0.005≦Te≦0.100質量%、0.01≦Bi≦0.30質量%、及び、0.03≦Pb≦0.50質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含んでもよい。

発明の効果

0014

上記発明にかかる金型補修溶接用材料によると、特にCとSiの含有量が最適化されていることにより、さらにはMn、Cr、Mo、Vの含有量も最適化されていることにより、優れた硬さに加えて、熱間工具鋼と比較して高い熱伝導率を有している。このため、熱間工具鋼を母材とする補修溶接に用い、加熱、冷却を繰り返した際に、溶接部に亀裂が生じることが防止され、高い耐ヒートチェック性が得られる。

0015

一方で、金型補修溶接材料の熱伝導率が、熱間工具鋼よりなる母材の熱伝導率に比べて高くなりすぎることもないので、溶接時に、母材との熱伝導率の差に起因する溶接割れ(母材と溶接材境界の割れ)が生じることも回避される。このように、金型補修溶接材料が母材と比較して適度に高い熱伝導率を有することで、耐ヒートチェック性の向上と溶接割れの防止の両方の効果により、ダイカスト金型の寿命を向上させることが可能となる。また、上記発明にかかる金型補修用材料は、高い被削性も同時に備える。

0016

ここで、上記発明にかかる金型補修材料が、さらに上記所定量のWを含む場合には、材料の強度を向上させることができる。

0017

また、上記発明にかかる金型補修材料が、さらに上記所定量のCoを含む場合にも、材料の強度を向上させることができる。

0018

上記発明にかかる金型補修材料が、さらに上記所定量のNb、Ta、Ti、Zr、Al、及び、Nからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含んでいる場合には、材料の強度と靱性を向上させることができる。

0019

上記発明にかかる金型補修材料が、さらに上記所定量のB,Cu、及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含んでいる場合には、材料の焼入れ性を向上させることができる。

0020

上記発明にかかる金型補修材料が、さらに上記所定量のS、Ca、Se、Te、Bi、及びPbからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含んでいる場合には、材料の被削性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0021

熱伝導率のC含有量に対する依存性を示すグラフである。
熱伝導率のSi含有量に対する依存性を示すグラフである。
被削性のSi含有量に対する依存性を示すグラフである。
ヒートチェック加速度試験に使用した試験片の形状を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である(図中の寸法単位はmmである)。
ヒートチェック加速度試験の結果を示す写真であり、(a1)、(a2)は実施例A09、(b1)、(b2)は比較例1、(c1)、(c2)は比較例2、(d1)、(d2)は比較例3の試験片のものである。(a1)〜(d1)は5000サイクル実施後の状態を示し、(a2)〜(d2)は10000サイクル実施後の状態を示している。
実施例A09の試験片のヒートチェック加速度試験の結果を示す写真であり、(a)は予後熱なしの場合、(b)は予後熱ありの場合を示している。
溶接割れ評価試験に使用した試験片の形状を示す図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である(図中の寸法単位はmmである)。
溶接割れ評価試験の結果を示す写真であり、(a)は予後熱なしの場合、(b)は予後熱ありの場合を示している。

0022

以下、本発明の一実施形態にかかる金型補修溶接材料について、詳細に説明する。

0023

成分組成
本実施形態にかかる金型補修溶接材料(以下、単に補修溶接材料と称する場合がある)は、C、Si、Mn、Cr、Mo、Vを必須元素として含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。各成分元素の含有量とその限定理由を以下に説明する。

0024

(1)0.30<C≦0.50質量%
Cは、補修溶接材料の熱伝導性を大きく左右し、その含有量が少ないと、熱伝導率が高くなる。Cの含有量が0.30質量%以下である場合には、補修溶接材料の熱伝導率が、母材である熱間工具鋼の熱伝導率よりも高くなりすぎるため、溶接時に補修溶接材料の熱応力が大きくなり、溶接割れが発生する。一方、Cの含有量が0.50質量%を超えると、補修溶接材料の熱伝導率が母材である熱間工具鋼の熱伝導率よりも低くなりすぎ、熱伝導率の差により、ダイカストの工程で加熱、冷却を繰り返された溶接部に亀裂が生じやすくなる。つまり、溶接部の耐ヒートチェック性が低下される。そこで、母材である熱間工具鋼との熱伝導率の差による溶接割れの発生と耐ヒートチェック性の低下の両方を回避するために、Cの含有量は0.30<C≦0.50質量%とされる。Cの含有量は、同時に、補修溶接材料の硬さに大きく影響するが、この含有量の範囲にあれば、金型補修溶接材料として適切な硬さ(410〜550Hv)を達成することができる。

0025

なお、Cの含有量が多い場合には、補修溶接材料の被削性が低下する傾向がある。そこで、熱間工具鋼との比較において十分に高い熱伝導率と、高い被削性とを両立する観点から、Cの含有量は0.30<C≦0.40質量%であることが好ましい。

0026

(2)0.05≦Si≦0.80質量%
Siは補修溶接材料において、軟化抵抗を高めるのに寄与する。補修溶接材料の軟化抵抗が小さいと、溶接部においてヒートチェックが発生しやすくなる。Siの含有量が0.05質量%未満であると、補修溶接材料の軟化抵抗が小さくなり、溶接部の耐ヒートチェック性が低くなる。また、Siの含有量が0.05質量%未満であると、熱間工具鋼と比べて熱伝導率が高くなりすぎ、溶接割れが発生しやすくなる。一方、Siの含有量が多いほど熱伝導率が低くなる傾向があり、0.80質量%を超えると、母材である熱間工具鋼と比較して熱伝導率が低くなりすぎる。すると、母材との熱伝導率の差により、溶接部の耐ヒートチェック性が低くなる。そこで、耐ヒートチェック性を高め、溶接割れを防止する観点から、Siの含有量は、0.05≦Si≦0.80質量%とされる。

0027

なお、Siの含有量が少なくなると、被削性が低下する傾向があるので、熱間工具鋼との比較において十分に高い熱伝導率と、高い被削性とをバランス良く両立する観点から、Siの含有量は、0.30≦Si≦0.60質量%であることが好ましく、0.40≦Si≦0.60質量%であることがさらに好ましい。

0028

(3)0.50≦Mn≦1.50質量%
Mnは、金型補修溶接材料の硬さを向上させる。また、Mnは焼入性を向上させるので、焼入によって一層硬さを向上させることができ、衝撃値も向上させることができる。Mnの含有量が0.50質量%未満では、硬さを確保することが困難になり、焼入性も不足する。一方、Mnの含有量が1.50質量%を超えると、溶接部が硬くなりすぎるうえ、熱伝導率が低下されてしまう。また、衝撃値がかえって低下する。そこで、Mnの含有量は、必要十分な硬さを確保でき、かつ高い熱伝導率が得られるように、0.50≦Mn≦1.50質量%とされる。硬さと熱伝導率のバランスに鑑みると、Mnの含有量は、0.50≦Mn≦0.90質量%であることが好ましい。

0029

(4)4.00≦Cr≦9.00質量%
Crは耐ヒートチェック性を向上させるとともに、焼入れ性と硬さ、衝撃値を向上させるのに寄与する元素である。Crの含有量が4.00質量%未満の場合には、ヒートチェック性が低くなってしまい、十分な硬さを得ることができない。一方、Crを多く含有することで熱伝導率が低下するので、含有量が9.00質量%を超えると、熱伝導率が低くなりすぎてしまう。また、硬さも上昇しすぎてしまう。そこで、Crの含有量は、4.00≦Cr≦9.00質量%とされる。熱伝導率と硬さのバランスの観点から、Crの含有量は、4.5≦Cr≦6.0質量%であることが好ましい。

0030

(5)0.50≦Mo≦3.00質量%
Moは、補修溶接材料の硬さを向上させるとともに、軟化抵抗を高めるのに寄与する。Moの含有量が0.50質量%未満であると、十分な硬さが得られないうえ、軟化抵抗が小さくなり、溶接部の耐ヒートチェック性が低くなる。一方、Moの含有量が3.00質量%を超えると、硬さが上昇しすぎてしまう。そこで、Moの含有量は、0.50≦Mo≦3.00質量%とされる。耐ヒートチェック性と、好ましい硬さのバランスから、Moの含有量は、0.75≦Mo≦1.75質量%であることが好ましい。

0031

(6)0.30≦V≦0.70質量%
Vは、炭化物の形成により、補修溶接材料の硬さ及び衝撃値を向上させる。また、金型の加熱に伴う軟化を抑制することができる。Vの含有量が0.30質量%未満であると、硬さ及び軟化抵抗の向上の効果が得られにくい。一方、Vの含有量が0.70質量%を超えると、硬さが上昇しすぎてしまう。また、高い熱伝導率が得られなくなる。そこで、Vの含有量は、0.30≦V≦0.70質量%とされる。好適な硬さと熱伝導率のバランスに鑑みると、Vの含有量は、0.45≦V≦0.70質量%であることが好ましい。

0032

さらに、本実施形態にかかる金型補修溶接材料は、上記必須元素に加え、下記から選択される選択元素を、下記の含有量の範囲で任意に含有してもよい。

0033

(7)0.01≦W≦4.00質量%
Wは、炭化物の析出によって強度を上げるため(析出硬化)、添加することができる選択元素である。Wの含有量が0.01質量%未満では高強度化の効果が小さい。一方で、Wの含有量が4.00質量%を超えると効果の飽和と著しいコスト増を招く。そこで、Wの含有量は、0.01≦W≦4.00質量%とされる。

0034

(8)0.30≦Co≦3.00質量%
Coは、母材への固溶によって強度を上げるため(固溶硬化)、添加することができる選択元素である。Coの含有量が0.30質量%未満では高強度化の効果が小さい。一方で、Coの含有量が3.00質量%を超えると効果の飽和とコストの著しい増加を招く。そこで、Coの含有量は、0.30≦Co≦3.00質量%とされる。

0035

(9)0.0001≦Nb≦0.100質量%、
0.0001≦Ta≦0.100質量%、
0.0001≦Ti≦0.100質量%、
0.0001≦Zr≦0.100質量%、
0.0005≦Al≦0.1000質量%、及び、
0.0020≦N≦0.1500質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上
Nb、Ta、Ti、Zr、Al、及びNは、結晶粒微細化して強度と靭性を上げるため、添加することができる選択元素である。いずれの元素も、所定量未満では強度と靭性の改善効果が小さい。また、所定量を超えると炭化物や窒化物酸化物過度に生成し、かえって靭性の低下を招く。

0036

(10)0.0002≦B≦0.0100質量%、
0.05≦Cu≦1.50質量%、及び、
0.05≦Ni≦1.50質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上
B、Cu、及びNiは、焼入れ性を向上させるため、添加することができる選択元素である。いずれの元素も、所定量未満では焼入れ性の改善効果が小さい。また、所定量を超えると効果が飽和して実益に乏しい。特に、Cu及びNiは、過度の添加が熱伝導率を低下させる。

0037

(11)0.001≦S≦0.200質量%、
0.0005≦Ca≦0.2000質量%、
0.03≦Se≦0.50質量%、
0.005≦Te≦0.100質量%、
0.01≦Bi≦0.30質量%、及び、
0.03≦Pb≦0.50質量%、からなる群から選ばれる少なくとも1種以上
S、Ca、Se、Te、Bi、及び、Pbは、被削性を向上させるため、添加することができる選択元素である。いずれの元素も、所定量未満では被削性の改善効果が小さい。また、所定量を超えると割れが発生しやすくなる。

0038

(成分組成の効果)
本実施形態にかかる金型補修溶接材料は、上記組成を有することで、SKD61に代表される熱間工具鋼の熱伝導率との比較において、耐ヒートチェック性を向上させるのに十分高く、かつ溶接割れを防止できる程度には低い値に抑制された、適度な高さの熱伝導率を有する。これは特に、Cの含有量とSiの含有量を最適化することによって実現されている。つまり、C及びSiの含有量に所定の下限値を設けることで、熱伝導率が向上され、C及びSiの含有量に所定の上限値を設けることで、熱間工具鋼に比べて過度に熱伝導率が高くなることが防止されている。耐ヒートチェック性、溶接部の割れとも、合金成分組成全体に依存するものであり、熱伝導率の高低だけでその程度が決定されるわけではないが、おおむね、補修溶接材料の熱伝導率が、母材の熱伝導率との比較において、低すぎると高い耐ヒートチェック性が得られず、高すぎると溶接部割れが発生しやすくなる傾向がある。

0039

具体的には、SKD61に代表される熱間工具鋼の熱伝導率は、おおむね23W/m/K以上、24W/m/K未満であり、このような熱伝導率を有する熱間工具鋼を母材として使用する補修溶接材料において、耐ヒートチェック性の向上と溶接割れの防止を効果的に図るためには、補修溶接材料は24〜30W/m/Kの熱伝導率を有することが好ましい。後に実施例において示すように、上記組成を有する補修溶接材料は、このような熱伝導率を実現するものである。補修溶接材料の熱伝導率は、耐ヒートチェック性の向上と溶接割れの防止の両方を一層効果的に達成する観点から、さらに好ましくは25〜28W/m/Kであるとよい。

0040

そして、本実施形態にかかる補修溶接材料は、主にSiの含有量が所定値以上とされていることにより、高い被削性を備える。補修溶接材料を用いて金型の補修溶接を行う際に、肉盛溶接した後に盛り上がった箇所を除去する工程を有するため、補修溶接材料が高い被削性を有していることが好ましい。

0041

さらに、ダイカスト金型用の補修溶接材料としては、一般に、410〜550Hv程度の硬さを有することが好ましいとされる。この範囲よりも低いと、ダイカスト金型としての使用に耐える硬さとして十分ではなく、逆に硬すぎても、溶接後の熱処理等の観点から好ましくないからである。本実施形態にかかる補修溶接材料に含有されるCr、Mo、Vは、硬さを上昇させる効果を有するが、C及びSiの含有量の最適化と合わせて、Cr、Mo、Vの含有量が所定範囲に最適化されていることで、上記の好ましい硬さを実現することができる。また、Cr、Mo、Vは、多量に含有されることで補修溶接材料の熱伝導性を低下させるが、含有量が上記範囲に規定されることで、好ましい硬さを維持しつつ、母材となる熱間工具鋼の熱伝導率との比較において十分に高い熱伝導率を達成している。

0042

(製造方法)
本実施形態にかかる補修溶接材料は、例えば、所定成分を所定の組成比で溶解させた溶湯からインゴットを作製し、900℃から1250℃に加熱して鍛造圧延を行うことで、溶接用線材溶接棒)として製造することができる。また、圧延後の材料に伸線等を行っても良い。

0043

さらに、本補修溶接材料は、焼入れ焼戻しの工程を経て製造することが好適である。焼入れ・焼戻しの条件を調節することで、所望の硬さの補修溶接材料を得ることができる。本実施形態にかかる補修溶接材料の場合、上記のように、410〜550Hvの硬さを有するように、焼入れ・焼戻しの条件を選択すればよい。具体的には、焼入れの条件として、1000〜1050℃で0.5〜5時間保持した後、急冷する方法を例示することができる。また、焼戻しの条件として、500〜650℃で1〜10時間保持する形態を例示することができる。

0044

(ダイカスト金型の補修溶接の方法)
本実施形態にかかる補修溶接材料は、SKD61等の熱間工具鋼よりなるダイカスト金型の補修のための肉盛溶接に好適に使用することができる。本実施形態にかかる補修溶接材料は、TIG溶接及びレーザー溶接のいずれにも好適に適用できる。補修溶接材料は、通常は溶接棒の形状で使用されるが、溶接棒の直径は、02〜4.0mmであることが好ましい。

0045

通常、ダイカスト金型の補修溶接においては、溶接割れを防止するため、予後熱が実施される。つまり、溶接前に金型母材を加熱しておく予熱と、溶接後に溶接部を加熱する後熱が行われる。しかしながら、本実施形態にかかる補修溶接材料は、所定の成分組成を有することの効果により、熱間工具鋼と近い熱伝導率を有しており、熱伝導率の差による溶接割れの発生が効果的に防止される。よって、予後熱を行わなくても、溶接割れの発生を回避することができる。つまり、本実施形態にかかる補修溶接材料を使用すれば、予後熱を行わないことにより、溶接工程を簡素化することができる。

0046

ただし、本実施形態にかかる補修溶接材料においても、従来の材料と同様に、予後熱を行ってもかまわない。すると、溶接割れを一層確実に防止することができる。また、溶接部の耐ヒートチェック性については、予後熱の有無にほとんど影響されず、予後熱がなされる場合にもなされない場合にも、優れた耐ヒートチェック性が得られる。予後熱を行う場合、予熱を350〜450℃で0.5〜5時間、後熱を500〜650℃で1〜10時間、いずれも雰囲気炉中で行う形態を好適なものとして示すことができる。

0047

このように肉盛溶接を行い、必要に応じて予後熱処理を行った後、溶接部の盛り上がった箇所を機械加工によって除去し、補修溶接部を金型表面と面一に仕上げればよい。

0048

以下に本発明の実施例、比較例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。

0049

各実施例、比較例にかかる補修溶接材料は、それぞれに示す組成となるように調製した溶湯からインゴットを作製し、鍛造(900〜1200℃)、圧延を行い、各試験に必要とされる形状の試料片として得た。さらに、焼入れ(1000〜1050℃、0.5〜10時間)と、焼戻し(550〜600℃、1〜10時間)を行った。

0050

<実施例1:Cの含有量の検討>
熱伝導率の観点からCの含有量を最適化するため、熱伝導率のCの含有量に対する依存性を評価した。つまり、C含有量を0.1〜1.0質量%の範囲で0.1質量%ごとに異ならせ、Cと、Si:0.35質量%、Mn:0.83質量%、Cr:5.03質量%、Mo:1.21質量%、V:0.59質量%を含み、残部がFeと不可避的不純物よりなる補修溶接材料を作製し、熱伝導率を測定した。ここで、熱伝導率は、直径20mmの線材からφ20mm×2mmの試料片を作製し、レーザーフラッシュ法を用いて室温にて測定した。

0051

図1に、各C含有量を有する補修溶接材料について測定した熱伝導率を示す。これによると、C含有量が少ないほど、高い熱伝導率が得られている。前述したとおり、熱間工具鋼の熱伝導率との比較において、補修溶接材料の熱伝導率が低すぎることによる耐ヒートチェック性の低下と、逆に補修溶接材料の熱伝導率が高すぎることによる溶接部の割れを回避するためには、補修溶接材料が24〜30W/m/Kの熱伝導率を有することが好ましい。図1において、Cの含有量が0.3〜0.5質量%であれば、熱伝導率がこの範囲にあり、しかも熱伝導率のC含有量に対する依存性が他の含有量領域に比較して非常に緩やかであり、安定して高い熱伝導率を得ることができる。このことから、Cの含有量を0.30<C≦0.50質量%とすればよいことが分かる。なかでも、高い熱伝導率を有し、耐ヒートチェック性を効果的に高めることができるという点において、0.30<C≦0.40質量%であることが好ましい。

0052

<実施例2:Siの含有量の検討>
熱伝導率と被削性の観点から、Siの含有量を最適化するため、熱伝導率と被削性のSi含有量に対する依存性を評価した。つまり、Siの含有量を0.1〜1.0質量%の範囲で0.1質量%刻みで異ならせ、Siと、C:0.35質量%、Mn:0.81質量%、Cr:5.73質量%、Mo:1.23質量%、V:0.61質量%を含み、残部がFeと不可避的不純物よりなる補修溶接材料を作製し、熱伝導率と被削性の評価を行った。熱伝導率は、直径20mmの線材からφ20mm×2mmの試料片を作製し、レーザーフラッシュ法によって室温にて測定した。被削性は、超硬のコーティング工具が寿命となるまでに材料を削った距離として評価した。

0053

図2に、各Si含有量を有する補修溶接材料について測定した熱伝導率を示す。これによると、Siの含有量が少ないほど、熱伝導率が高くなり、0.1〜0.8質量%の領域で、24〜30W/m/Kの熱伝導率を有し、熱間工具鋼の熱伝導率との関係において、高い耐ヒートチェック性と溶接割れの防止を図ることができる。

0054

図3に、Si含有量と被削性との関係を示す。これによると、Si含有量が多いほど、被削性が向上している。おおむね、Si含有量が0.8質量%を超えると、被削性向上の効果が飽和している。

0055

以上の結果に基づき、熱間工具鋼の熱伝導率との関係において所望される熱伝導率と、高い被削性の両方をバランスよく得るために、Siの含有量は0.05≦Si≦0.80質量%とすればよい。より好ましくは、0.40≦Si≦0.60質量%とすればよい。

0056

<実施例3:各種補修溶接材料の特性の比較>
上記のC及びSiの含有量の検討結果に基づき、表1〜3に示す各種組成を有する実施例及び比較例にかかる鋼材を作製し、特性を比較した。実施例A01〜A18は必須元素のみを含むものである。一方、実施例B01〜B04(B群)、C01〜C04(C群)、D01〜D04(D群)、E01〜E06(E群)は、必須元素に加えて選択元素を含むものであり、含有される添加元素の種類に応じて群に分類されている。また、比較例1は特許文献1の実施例1に、比較例2はSKD61に、比較例3はマルエージング鋼にそれぞれ組成が対応する。

0057

0058

0059

0060

上記実施例及び比較例にかかる補修溶接材料について、以下のように特性評価を行った。

0061

(熱伝導率の測定)
直径20mmの線材からφ20mm×2mmの試料片を作製し、レーザーフラッシュ法を用いて、熱伝導率を室温にて測定した。得られた値を表4に示す。

0062

(耐ヒートチェック性の評価)
図4に示すように、SKD61よりなる母材Bの上に、各補修溶接材料よりなる肉盛溶接部Wを形成した試料片S1を作製し、ヒートチェック加速度試験を行った。ここで、母材Bとしては、真空炉にて、1030℃×2時間の焼戻し、ガスファン冷却水冷相当)、600℃×2時間の焼戻し、空冷、を順次行って得た、50HRCの硬さを有するSKD61を使用した。また、肉盛溶接部Wは、各補修溶接材料を直径12mmの線材として用い、溶接電流100AでTIG溶接を行うことによって作製した。

0063

ヒートチェック加速度試験においては、ねじ穴Hを介して試料片S1を試験機に固定し、試料片S1を300rpmの回転速度で回転させながら高周波誘導加熱によって6秒間で500℃まで加熱した後、4秒間水を吹きかけて冷却し、さらに15秒間エアブローするサイクルを連続して行った。5000サイクル実施後と10000サイクル実施後に、試料片S1の表面を観察し、生じた亀裂の数と長さを評価した。長さ5mm以上の亀裂の数が5000サイクルで2本以上、又は10000サイクルで4本以上生じた場合を不良「×」とした。また、「×」以外のもので、10000サイクルで長さ5mm以上の亀裂が3本以下である場合を良好「○」、1本以下である場合を特に良好「◎」とした。溶接に際して予後熱を行なわずに上記試験を行った評価結果を表4に示す。また、実施例A09、比較例1〜3について、5000サイクル経過時(図5の(a1)〜(d1))および10000サイクル経過時(図5の(a2)〜(d2))の試料片表面の写真を図5に示す。

0064

また、予後熱が耐ヒートチェック性に与える影響を評価するため、代表として、実施例A09について、500℃×1時間の予熱及び500℃×1時間の後熱を行った試料片についても、同様のヒートチェック加速度試験を行った。予後熱を行っていない場合(a)と行った場合(b)について、5000サイクル経過時の試料片表面の写真を図6に示す。

0065

(溶接部の硬さの測定)
各補修溶接材料(直径12mmの線材)を用いて、溶接電流100AのTIG溶接によって形成した溶接部の硬さを、JIS Z2233のビッカース硬さ試験方法に準拠して測定した。試験荷重は200gとした。

0066

(溶接割れの評価)
図7に示す試料片S2を作製し、溶接割れの評価を行った。つまり、耐ヒートチェック性評価に用いたのと同様のSKD61よりなる母材Bの中央部に断面略U字状の溝部を形成し、この溝部に、各補修溶接材料(直径12mmの線材)を用いて、溶接電流100AのTIG溶接によって肉盛溶接部Wを形成した。そして、試料片S2を目視にて観察し、肉盛溶接部W上及び肉盛溶接部Wと母材Bとの境界部に亀裂が生じていない場合を良好「○」とし、これらの部位の少なくとも一方に亀裂が生じている場合を不良「×」とした。

0067

表4に評価結果を示す。ここで、各実施例については、溶接の際に予後熱を行っていない。一方、各比較例についてはいずれも、500℃×1時間の予熱及び500℃×1時間の後熱を行った。

0068

また、実施例にかかる補修溶接材料における予後熱の効果を評価するために、実施例A09の試料片について、予後熱を行わない場合に加え、500℃×1時間の予熱及び500℃×1時間の後熱を雰囲気炉中で(雰囲気窒素)行った試料片についても溶接割れの評価を行った。図8に、予後熱を行っていない場合(a)と行った場合(b)の試料片表面の写真を示す。

0069

(評価結果)
表4に、各実施例及び比較例にかかる補修溶接材料の評価結果を示す。

0070

0071

表4によれば、本発明に規定される範囲内の成分組成を有している各実施例にかかる補修溶接材料は、熱伝導率、耐ヒートチェック性、溶接後の硬さ、溶接部の割れのいずれの評価においても、優れた特性を示している。一方、各比較例にかかる補修溶接材料は、本発明に規定される成分組成を有しておらず、一部又は全部の評価項目において、十分な特性が得られていない。以下に、各特性評価の結果についての分析を示す。

0072

各実施例にかかる補修溶接材料は、熱間工具鋼の熱伝導率よりも高く、かつ熱間工具鋼の熱伝導率と比較して高すぎない、24〜30W/m/Kの範囲の熱伝導率を有している。そして、これに対応して、各実施例にかかる補修溶接材料は良好な耐ヒートチェック性と溶接部の割れに対する耐性を有している。

0073

耐ヒートチェック性に関して、図5を見ると、各比較例にかかる試料片では、5000サイクルでも亀裂が見られ、10000サイクルでは亀裂の発生がさらに進行しているのに対し、実施例A09にかかる試料片では、5000サイクルでは亀裂が観測されておらず、10000サイクルでも、比較的ヒートチェックの生じやすい肉盛溶接部の端部(図中左端部)にわずかに2本の亀裂が生じているのみである。これは、表4に示すように、実施例A09にかかる補修溶接材料は、26.9W/m/Kと十分に高い熱伝導率を有するのに対し、各比較例にかかる補修溶接材料は、24W/m/K以上未満の低い熱伝導率しか有していないことと対応している。

0074

このように、本発明の実施例にかかる補修溶接材料は、従来の補修溶接材料に比較して、極めて高い耐ヒートチェック性を有している。これは、各必須元素の含有量の最適化によって、熱伝導率を調整している効果によるものである。とりわけ、CとSiの含有量は、熱伝導率の大きさと、熱伝導率の影響を大きく受ける耐ヒートチェック性とに大きな影響を与える。表4によると、これらの元素の含有量が0.30<C≦0.40質量%かつ0.40≦Si≦0.60質量%の範囲にある、実施例A02、A04〜A10、及びB〜E群の各実施例にかかる補修溶接材料においては、25〜28W/m/Kの熱伝導率が得られ、特に良好な(◎)耐ヒートチェック性が達成されている。

0075

なお、図6によると、溶接時の予後熱の有無によらず、5000サイクル経過時にヒートチェックによる亀裂が観察されておらず、同等に高い耐ヒートチェック性が得られている。つまり、予後熱の有無は、耐ヒートチェック性に特に影響を与えない。

0076

次に、溶接部の割れについて、各実施例にかかる補修溶接材料では、割れが発生していない(表4中で○)のに対し、比較例3にかかる補修溶接材料では、割れが発生している(表4中で×)。ここで、各実施例の評価に使用した試料片においては予後熱を行っていないのに対し、比較例の評価に使用した試料片においては予後熱を行っていることに注意を要する。一般に、溶接時の予後熱は、溶接割れを防止する効果があり、各実施例にかかる補修溶接材料おいては、このような予後熱を行っていないにもかかわらず、予後熱を経た比較例にかかる補修溶接材料よりも溶接割れが高度に防止されている。図8において、実施例A09の補修溶接材料に対して予後熱を行った場合(b)と行っていない場合(a)の溶接部の形態を比較すると、予後熱の有無にかかわらず、肉盛溶接部(写真中央部の横長の不定形部分)上にも肉盛溶接部と母材との境界部にも全く亀裂が観測されていない。つまり、本発明の実施例にかかる補修溶接材料においては、予後熱を行わなくても、溶接割れを高度に防止することができる。

0077

さらに、溶接後の硬さについては、補修溶接材料の製造工程における焼入れ・焼戻しの条件によって、ある程度調整可能なものではあるが、実施例にかかる補修溶接材料ではいずれも、熱間工具鋼よりなるダイカスト金型の補修溶接の用途に適した410〜550Hvの値が達成されている。実施例にかかる補修溶接材料と大きく組成の異なる比較例3のマルエージング鋼においては、この範囲の硬さが得られていない。

0078

最後に、B〜E群の各実施例にかかる補修溶接材料は、実施例A08とほぼ同じ構成の必須元素を含有し、さらに選択元素を添加されたものである。熱伝導率、耐ヒートチェック性、溶接後の硬さ、溶接部の割れの全評価項目において、必須元素の効果によって得られる高い特性が、選択元素の添加によっても維持されている。実施例A08との比較において、選択元素は、主として溶接後の硬さを向上させるのに寄与している。

実施例

0079

以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

0080

S1、S2試料片
B母材
W肉盛溶接部

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