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技術 多管式反応器

出願人 株式会社IHI
発明者 水野昌幸戸田繁幸
出願日 2013年12月19日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2013-262333
公開日 2014年8月21日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2014-147925
状態 未査定
技術分野 ラジエータ、流路群をもつ熱交換装置 流体と固体粒子存在下でのプロセス及び装置
主要キーワード 段流路 振れ止 集合ヘッダ 熱媒供給源 軸心方向一端 分配ヘッダ 流通領域 各節点間
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図面 (6)

課題

熱交換性能を低下させずに熱媒圧力損失を低減させる。

解決手段

多管式反応器は、反応容器1の両端部に、管板2と4により仕切られた反応原料分配ヘッダ3と反応生成物集合ヘッダ5を備える。各管板2と4の間の環状の領域には、各ヘッダ3と5に接続され且つ触媒8が充填された複数の伝熱管7からなる管群6を設けて、その内側と外周側を、それぞれ熱媒分散領域9と熱媒集合領域10とする。熱通過率律速因子となる反応原料15側の熱伝達率は、管内側の熱伝達率として一定にさせる。これにより、熱媒分散領域9から熱媒集合領域10まで管群6を半径方向の内側から外向きに流れる熱媒13の流速の低下や流速の変化が生じても、熱通過率は低下させずに安定させる。

概要

背景

触媒反応により反応原料から反応生成物を連続的に製造するプロセスでは、発熱反応吸熱反応である触媒反応の進行に伴う温度変化を防止するために、触媒反応の実施時に、熱媒との間接的な熱交換並行して行わせることにより、反応温度条件を一定に維持することが行われている。

この種の熱媒と反応原料及び反応生成物との熱交換を用いて反応温度条件をコントロールしながら触媒反応を効率よく実施させるための装置としては、たとえば、アクリル酸の製造や、エチレン酸メタクリル酸、その他の各種化物質の製造プロセスで広く用いられている多管式反応器チューブラーリアクター)がある。

上記多管式反応器は、大別して管内触媒形式と、管外触媒形式のものがある。

管内触媒形式の多管式反応器は、一般に、反応容器の一端部に、管板によって仕切られた反応原料の分配室が設けてあると共に、該反応容器の他端部に、管板によって仕切られた反応生成物の集合室が設けてある。且つ上記各管板同士の間には、平行な複数の伝熱管による管群が配置してあり、各伝熱管の両端部は、上記分配室と集合室の双方にそれぞれ連通するように取り付けて、該各伝熱管の内部に、触媒を充填した構成とされている。

上記のように各伝熱管内に触媒が充填された管内触媒形式の多管式反応器は、上記反応容器内における各管板同士の間で且つ上記各伝熱管の外側の空間が熱媒流通領域とされている。

上記熱媒流通領域には、上記各管板のうちの一方の管板寄りとなる該熱媒流通領域の一方の端部と、他方の管板寄りとなる該熱媒流通領域の他方の端部に、熱媒の入口と出口をそれぞれ設け、更に、該熱媒流通領域内における上記一方の端部から他方の端部までの或る間隔ごとの複数個所に、バッフル邪魔板)を設けた構成が広く採用されている。かかる構成によれば、上記熱媒流通領域に上記熱媒の入口より流入させる熱媒は、上記熱媒の出口へ向けて流通する過程で、上記各バッフルを順次迂回するようになる。これにより、上記熱媒流通領域では、熱媒の流れ方向が、常に管群の各伝熱管の長手方向に直交する方向の流れ(以下、管群直交流と云う)となって該各伝熱管に当たるようにしてある。しかも、上記熱媒流通領域では、上記各バッフルにより熱媒の流通経路断面積を制限することにより、上記熱媒の流速を高めるようにしてある。

したがって、以上の構成を備えた従来の管内触媒形式の多管式反応器では、上記熱媒流通領域にて、上記熱媒の管群直交流を、流速を高めた状態で発生させることで、上記各伝熱管と、その外面に接する熱媒との間の熱伝達率(以下、管外側の熱伝達率と云う)を高めるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。

管外触媒形式の多管式反応器は、一般に、反応容器の内部に、平行な複数の冷却管による管群(冷却管群)が配置してあり、各冷却管の一端側と他端側には、冷却媒体分配管集合管がそれぞれ接続してある。上記反応容器内における上記各冷却管の外側には、触媒を充填した構成としてある。

更に、この種の管外触媒形式の多管式反応器の1つとしては、たとえば、反応容器の外周部と中心部に、反応原料及び反応生成物は通す一方、触媒は通過不可能な孔(開口)を有する触媒保持用仕切板で仕切られた外周部区画と中央部区画をそれぞれ形成し、該各区画のうち、いずれか一方の区画を、ガス入口に連通する反応原料の分散室とし、他方の区画をガス出口に連通する反応生成物の集合室として、上記各冷却管の外側の触媒層に、反応原料を、半径方向に沿う内向き又は外向きに流通させるようにした形式のものがある(たとえば、特許文献2参照)。

なお、通常、多管式反応器では、触媒反応を行わせる際の或る反応温度条件を一定に保持できるようするために、熱媒は、該熱媒の熱容量が大きくなるように、反応原料の供給量に比して大量に供給させるようにしてある。

概要

熱交換性能を低下させずに熱媒の圧力損失を低減させる。多管式反応器は、反応容器1の両端部に、管板2と4により仕切られた反応原料分配ヘッダ3と反応生成物集合ヘッダ5を備える。各管板2と4の間の環状の領域には、各ヘッダ3と5に接続され且つ触媒8が充填された複数の伝熱管7からなる管群6を設けて、その内側と外周側を、それぞれ熱媒分散領域9と熱媒集合領域10とする。熱通過率律速因子となる反応原料15側の熱伝達率は、管内側の熱伝達率として一定にさせる。これにより、熱媒分散領域9から熱媒集合領域10まで管群6を半径方向の内側から外向きに流れる熱媒13の流速の低下や流速の変化が生じても、熱通過率は低下させずに安定させる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

円筒状の反応容器内の軸心方向一端部に管板により仕切って形成した反応原料分配ヘッダと、上記反応容器内の軸心方向他端部に別の管板により仕切って形成した反応生成物集合ヘッダと、上記反応容器内の上記各管板の間の空間における中央部と外周部を除く環状の領域に配置した該反応容器の軸心方向に平行な複数の伝熱管からなり、且つ該各伝熱管の両端部を上記反応原料分配ヘッダと反応生成物集合ヘッダにそれぞれ連通接続させてなる管群と、各伝熱管に充填された触媒とを備え、且つ上記反応容器内の上記各管板同士の間にて、上記管群よりも内側の中心部の空間と、上記管群よりも外側の外周部の空間のいずれか一方の空間を熱媒分散領域、他方の空間を熱媒集合領域とし、更に、上記熱媒分散領域に連通させた熱媒供給管と、上記熱媒集合領域に連通させた熱媒排出管と、上記反応原料分配ヘッダに連通させた反応原料入口と、上記反応生成物集合ヘッダに連通させた反応生成物出口とを設けてなる構成を有することを特徴とする多管式反応器

請求項2

管板同士の間における管群の内周側と外周側位置に、内周部熱媒分散板と外周部熱媒分散板を、該管群と熱媒分散領域や熱媒集合領域とを仕切る配置で設けるようにした請求項1記載の多管式反応器。

請求項3

熱媒供給管を、反応生成物集合ヘッダの内側を通して配置して、各伝熱管を通過した後に反応生成物集合ヘッダに流れる反応生成物の流れと、上記熱媒供給管を流れる熱媒の流れが対向流となるようにした請求項1又は2記載の多管式反応器。

技術分野

0001

本発明は、反応温度条件をコントロールしながら触媒反応を行わせるために用いる多管式反応器に関するものである。

背景技術

0002

触媒反応により反応原料から反応生成物を連続的に製造するプロセスでは、発熱反応吸熱反応である触媒反応の進行に伴う温度変化を防止するために、触媒反応の実施時に、熱媒との間接的な熱交換並行して行わせることにより、反応温度条件を一定に維持することが行われている。

0003

この種の熱媒と反応原料及び反応生成物との熱交換を用いて反応温度条件をコントロールしながら触媒反応を効率よく実施させるための装置としては、たとえば、アクリル酸の製造や、エチレン酸メタクリル酸、その他の各種化物質の製造プロセスで広く用いられている多管式反応器(チューブラーリアクター)がある。

0004

上記多管式反応器は、大別して管内触媒形式と、管外触媒形式のものがある。

0005

管内触媒形式の多管式反応器は、一般に、反応容器の一端部に、管板によって仕切られた反応原料の分配室が設けてあると共に、該反応容器の他端部に、管板によって仕切られた反応生成物の集合室が設けてある。且つ上記各管板同士の間には、平行な複数の伝熱管による管群が配置してあり、各伝熱管の両端部は、上記分配室と集合室の双方にそれぞれ連通するように取り付けて、該各伝熱管の内部に、触媒を充填した構成とされている。

0006

上記のように各伝熱管内に触媒が充填された管内触媒形式の多管式反応器は、上記反応容器内における各管板同士の間で且つ上記各伝熱管の外側の空間が熱媒流通領域とされている。

0007

上記熱媒流通領域には、上記各管板のうちの一方の管板寄りとなる該熱媒流通領域の一方の端部と、他方の管板寄りとなる該熱媒流通領域の他方の端部に、熱媒の入口と出口をそれぞれ設け、更に、該熱媒流通領域内における上記一方の端部から他方の端部までの或る間隔ごとの複数個所に、バッフル邪魔板)を設けた構成が広く採用されている。かかる構成によれば、上記熱媒流通領域に上記熱媒の入口より流入させる熱媒は、上記熱媒の出口へ向けて流通する過程で、上記各バッフルを順次迂回するようになる。これにより、上記熱媒流通領域では、熱媒の流れ方向が、常に管群の各伝熱管の長手方向に直交する方向の流れ(以下、管群直交流と云う)となって該各伝熱管に当たるようにしてある。しかも、上記熱媒流通領域では、上記各バッフルにより熱媒の流通経路断面積を制限することにより、上記熱媒の流速を高めるようにしてある。

0008

したがって、以上の構成を備えた従来の管内触媒形式の多管式反応器では、上記熱媒流通領域にて、上記熱媒の管群直交流を、流速を高めた状態で発生させることで、上記各伝熱管と、その外面に接する熱媒との間の熱伝達率(以下、管外側の熱伝達率と云う)を高めるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。

0009

管外触媒形式の多管式反応器は、一般に、反応容器の内部に、平行な複数の冷却管による管群(冷却管群)が配置してあり、各冷却管の一端側と他端側には、冷却媒体分配管集合管がそれぞれ接続してある。上記反応容器内における上記各冷却管の外側には、触媒を充填した構成としてある。

0010

更に、この種の管外触媒形式の多管式反応器の1つとしては、たとえば、反応容器の外周部と中心部に、反応原料及び反応生成物は通す一方、触媒は通過不可能な孔(開口)を有する触媒保持用仕切板で仕切られた外周部区画と中央部区画をそれぞれ形成し、該各区画のうち、いずれか一方の区画を、ガス入口に連通する反応原料の分散室とし、他方の区画をガス出口に連通する反応生成物の集合室として、上記各冷却管の外側の触媒層に、反応原料を、半径方向に沿う内向き又は外向きに流通させるようにした形式のものがある(たとえば、特許文献2参照)。

0011

なお、通常、多管式反応器では、触媒反応を行わせる際の或る反応温度条件を一定に保持できるようするために、熱媒は、該熱媒の熱容量が大きくなるように、反応原料の供給量に比して大量に供給させるようにしてある。

先行技術

0012

特開2006−510471号公報
特開昭55−149640号公報

発明が解決しようとする課題

0013

ところが、管内触媒形式の多管式反応器のうち、触媒を充填した各伝熱管内に、反応原料及び反応生成物としてガスを流通させる形式や、伝熱管の外側で熱媒が熱交換する際に液体気体との間で蒸発又は凝縮のような相変化を生じる形式、更には、各伝熱管内における反応原料及び反応生成物の流速が遅く設定してある形式の多管式反応器では、各伝熱管と、その内面に接する反応原料や反応生成物との間の熱伝達率(以下、管内側の熱伝達率と云う)が、管外側の熱伝達率に比して小さい場合がある。

0014

この場合、上記反応原料及び反応生成物と、上記熱媒との間の上記各伝熱管の管壁を介した管壁内外方向の熱通過率総括熱伝達係数)は、上記管内側の熱伝達率に大きく依存している。そのために、上記管内側の熱伝達率が、上記管壁内外方向の熱通過率の全体に対して律速となる。

0015

上記のように管内側の熱伝達率が上記管壁内外方向の熱通過率に関して律速となっている場合は、特許文献1に示されたように、熱媒流通領域に複数のバッフルを設けて、該熱媒流通領域内に、熱媒の管群直交流を流速を高めた状態で発生させて、管外側の熱伝達率を増加させても、上記管内外方向の熱通過率の向上化による熱交換性能の改善には、殆ど寄与していない。

0016

しかも、上記特許文献1に示されたものでは、熱媒流通領域内で、各バッフルにより熱媒の流れ方向を何度も折り返すようにしているため、圧力損失が大きくなると共に、各バッフルにより熱媒の流通経路の断面積を制限するようにしてあるために、熱媒供給用のポンプ動力の増加を招いているというのが実状である。

0017

特許文献2に示されたものは、管外触媒形式の多管式反応器であるため、各冷却管と、その内面に接する冷却媒体との間の熱伝達率、すなわち、管内側の熱伝達率は、すべての冷却管でほぼ均一となる。

0018

一方、各冷却管の外側の触媒の層に流通させるのは、ガスである反応原料及び反応生成物であるため、各冷却管と、その外面に接する反応原料や反応生成物との間の熱伝達率である管外側の熱伝達率が、上記管壁内外方向の熱通過率に関して律速となる。

0019

この際、上記特許文献2に示されたものでは、反応容器の中心寄りと、外周寄りでの流路断面積の変化に伴う上記反応原料や反応生成物の流速の変化が、上記管外側の熱伝達率に大きな影響を与えるために、反応容器の中心寄りの冷却管と、反応容器の外周寄りの冷却管では、上記管壁内外方向の熱通過率に大きな差が生じてしまい、そのために、反応容器の中心付近と外周寄りでは、温度条件を均一にすることが難しく、触媒反応に偏りが生じる虞があり、反応容器内での触媒反応を均等に進行させることが難しい。

0020

そこで、本発明は、管内触媒形式であり且つ管内側の熱伝達率の方が管外側の熱伝達率よりも小さい場合について、熱交換性能の低下を招くことなく熱媒の圧力損失を低減させることができて、熱媒用のポンプ動力を削減でき、且つ、反応容器内の各伝熱管について、熱通過率の偏りが生じる虞を抑えることができて、各伝熱管内で均等に触媒反応を進行させることができる多管式反応器を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0021

本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、円筒状の反応容器内の軸心方向一端部に管板により仕切って形成した反応原料分配ヘッダと、上記反応容器内の軸心方向他端部に別の管板により仕切って形成した反応生成物集合ヘッダと、上記反応容器内の上記各管板の間の空間における中央部と外周部を除く環状の領域に配置した該反応容器の軸心方向に平行な複数の伝熱管からなり、且つ該各伝熱管の両端部を上記反応原料分配ヘッダと反応生成物集合ヘッダにそれぞれ連通接続させてなる管群と、各伝熱管に充填された触媒とを備え、且つ上記反応容器内の上記各管板同士の間にて、上記管群よりも内側の中心部の空間と、上記管群よりも外側の外周部の空間のいずれか一方の空間を熱媒分散領域、他方の空間を熱媒集合領域とし、更に、上記熱媒分散領域に連通させた熱媒供給管と、上記熱媒集合領域に連通させた熱媒排出管と、上記反応原料分配ヘッダに連通させた反応原料入口と、上記反応生成物集合ヘッダに連通させた反応生成物出口とを設けてなる構成を有する多管式反応器とする。

0022

又、請求項2に対応して、上記構成において、管板同士の間における管群の内周側と外周側位置に、内周部熱媒分散板と外周部熱媒分散板を、該管群と熱媒分散領域や熱媒集合領域とを仕切る配置で設けるようにした構成とする。

0023

更に、請求項3に対応して、上記各構成において、熱媒供給管を、反応生成物集合ヘッダの内側を通して配置して、各伝熱管を通過した後に反応生成物集合ヘッダに流れる反応生成物の流れと、上記熱媒供給管を流れる熱媒の流れが対向流となるようにした構成とする。

発明の効果

0024

本発明の多管式反応器によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)管内側の熱伝達率が、管外側の熱伝達率に比して小さい場合に、各伝熱管の内外の該各伝熱管の管壁を介した熱交換性能の低下を招くことなく、熱媒の圧力損失を低減させることができて、熱媒供給用のポンプに必要とされるポンプ動力を削減できる。
(2)更に、反応容器内の各伝熱管について、熱通過率の偏りが生じる虞を抑えることができる。よって、各伝熱管内で均等に触媒反応を進行させることができる。

図面の簡単な説明

0025

本発明の多管式反応器の実施の一形態を示すもので、(a)は反応容器軸心位置での断面図、(b)は(a)のA−A方向矢視図である。
本発明の実施の他の形態を示すもので、(a)は反応容器軸心位置での断面図、(b)は(a)のB−B方向矢視図である。
本発明の実施の更に他の形態を示すもので、(a)は反応容器軸心位置での断面図、(b)は(a)のC−C方向矢視図である。
本発明の多管式反応器について行った流動解析に関するもので、(a)は解析に用いた本発明の多管式反応器の解析モデルを示す図、(b)は比較例の解析モデルを示す図である。
本発明の多管式反応器について行った流動解析の結果を示すもので、(a)は本発明の多管式反応器における熱媒側の圧力分布について、比較例と対比して示す図、(b)は本発明の多管式反応器における熱媒側の圧力分布を拡大して示す図である。

0026

以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。

0027

図1(a)(b)は本発明の多管式反応器の実施の一形態を示すものである。

0028

すなわち、本発明の多管式反応器は、図1に示すように、円筒状の反応容器1内の軸心方向の一端部(図では下端部)に、管板2によって仕切られた反応原料分配ヘッダ3が設けてある。又、上記反応容器1内の軸心方向の他端部(図では上端部)には、別の管板4によって仕切られた反応生成物集合ヘッダ5が設けてある。

0029

上記反応容器1内における各管板2と4の間には、反応容器1の中心部と外周部を除く環状の領域に、該反応容器1の軸心方向に平行に配置された複数の伝熱管7よりなる管群6を配置して、該各伝熱管7の両端部を、上記反応原料分配ヘッダ3と上記反応生成物集合ヘッダ5に、それぞれ連通接続してある。更に、各伝熱管7には、触媒8が充填してある。なお、図1(a)では、図示する便宜上、図1(b)に比して伝熱管7の数を減らして記載してある。又、図1(b)では、各伝熱管7内に充填された触媒の記載を省略してある。

0030

上記反応容器1内における各管板2と4同士の間にて、上記管群6よりも内側の中心部の空間は、熱媒分散領域9とし、上記管群6よりも外側の外周部の空間は、熱媒集合領域10としてある。

0031

上記熱媒分散領域9には、反応容器1の軸心方向の他端より上記反応生成物集合ヘッダ5の内側を通して配管した熱媒供給管11の下流側端部が、上記管板4の中央部を貫通させて連通接続してある。一方、上記熱媒集合領域10には、熱媒排出管12が、上記反応容器1の外周壁周方向の1個所を貫通させて連通接続してある。これにより、外部の図示しない熱媒供給源より上記熱媒供給管11の上流側端部へ熱媒(熱媒体)13が供給されると、該熱媒13は、上記熱媒供給管11を経て上記熱媒分散領域9に流入されるようにしてある。上記熱媒分散領域9に流入した熱媒13は、該熱媒分散領域9の周囲に配置されている上記管群6の各伝熱管7の間を通って上記熱媒集合領域10へ向けて流れるようになる。この際、上記熱媒13の流れでは、上記管群6を形成している各伝熱管7が抵抗になって圧力損失が生じることに伴い、該熱媒13の流れは、周方向に一様に分散される状態で、上記各伝熱管7の間を通って外周側へ向かうようにしてある。

0032

その後、上記のようにして周方向に分散された状態で上記管群6を半径方向の内側から外向きに通過した熱媒13は、上記反応容器1内の外周部に設けてある熱媒集合領域10で集合させられた後、上記熱媒排出管12を通して外部に排出されるようにしてある。この外部へ排出される熱媒13は、たとえば、図示しない熱交換器に導いて、本発明の多管式反応器で行わせる触媒反応が発熱反応の場合は放熱熱回収)させ、一方、上記触媒反応が吸熱反応の場合は昇温させてから、上記図示しない熱媒供給源に戻して、再循環させるようにすればよい。よって、上記図示しない熱媒供給源より上記熱媒供給管11へ連続的に熱媒13を供給させることで、本発明の多管式反応器では、上記各伝熱管7の周りに熱媒13を連続して流通させることができるようにしてある。

0033

上記反応容器1の軸心方向の一端部には、上記反応原料分配ヘッダ3に連通する反応原料入口14が設けてある。これにより、上記反応原料入口14より供給される反応原料15は、反応原料分配ヘッダ3に流入すると、該反応原料分配ヘッダ3内で分散された後、上記管群6を形成している各伝熱管7に対して均等に供給されるようにしてある。

0034

上記反応容器1の軸心方向の他端部における上記熱媒供給管11と干渉しない位置には、上記反応生成物集合ヘッダ5に連通する反応生成物出口16が設けてある。これにより、上記反応原料分配ヘッダ3より反応原料15が供給される上記各伝熱管7内で触媒反応により生成される反応生成物17は、上記反応生成物集合ヘッダ5で集合させられた後、上記反応生成物出口16より外部へ取り出されるようにしてある。更に、上記各伝熱管7より反応生成物集合ヘッダ5を経て上記反応生成物出口16へ導かれる反応生成物17の流れと、上記熱媒供給管11を通して上記熱媒分散領域9へ供給される熱媒13の流れが対向流となるようにすることで、該熱媒13の有する加熱能又は冷却能を有効に利用できるようにしてある。

0035

なお、本実施の形態では、上記熱媒13は液体とし、上記反応原料15及び反応生成物17は、上記熱媒13に比して伝熱管7の管壁に対する熱伝達率がより低い(小さい)ガスであるものとする。

0036

又、上記熱媒13は、上記各伝熱管7内で反応原料15より反応生成物17を生じる触媒反応が発熱反応であるか、又は、吸熱反応であるかに応じて、冷却媒体、又は、加熱媒体を用いるようにすればよい。又、該熱媒13は、上記触媒反応に所望される温度条件に対応可能な種類のものを適宜選定して用いるようにすればよい。

0037

以上の構成としてある本発明の多管式反応器を使用する場合は、先ず、上記外部の図示しない熱媒供給源より、後述する触媒反応を行わせる際の反応温度条件として所望する温度に予め温度調整した状態の熱媒13を、熱媒供給管11の上流側端部へ連続的に供給する。

0038

これにより、該熱媒13は、反応容器1内で、熱媒供給管11、熱媒分散領域9を経て、周方向及び各伝熱管7の長手方向に一様に分散された状態で、管群6を形成している各伝熱管7の間を連続的に流通させられるようになる。このため、該各伝熱管7は、その外面側で、上記熱媒13との熱交換が行われる。

0039

その後、上記各伝熱管7との熱交換に供された後の熱媒13は、上記管群6の外周の熱媒集合領域10と、熱媒排出管12を経て外部に排出されるようになる。

0040

この際、上記各伝熱管7の内面やその内側の触媒8は、該各伝熱管7と、その外側を流通する熱媒13との熱交換に伴って、上記所定の反応温度条件に常に保持されるようになる。

0041

この状態で、図示しない反応原料供給手段により、反応原料15を、反応原料入口14より供給すると、該反応原料15は、反応原料分配ヘッダ3内で分散された後、上記各伝熱管7内へ平均して供給される。

0042

上記各伝熱管7内では、該各伝熱管7内に充填されている触媒8の存在により、上記所定の反応温度条件の下で、上記供給された反応原料15より反応生成物17を生成する触媒反応が実施されるようになる。この際、上記触媒反応が発熱反応又は吸熱反応のいずれであるとしても、上記各伝熱管7の外側を連続的に流通させてある上記熱媒13との熱交換により、その発熱又は吸熱による熱の変化分が連続的に吸収されて、上記各伝熱管7内の触媒8を上記所定の反応温度条件に保持することができる。

0043

上記各伝熱管7内での触媒反応によって生成された反応生成物17は、該各伝熱管7より上記反応生成物集合ヘッダ5へ導かれて、該反応生成物集合ヘッダ5内で一旦集合させられた後、反応生成物出口16を通して外部へ回収されるようになる。

0044

このように、本発明の多管式反応器によれば、各伝熱管7の内部に流通させるガスとしての反応原料15及び反応生成物17と、各伝熱管7の外側に流通させる熱媒13との該各伝熱管7の管壁を介した熱交換により、各伝熱管7内における反応温度条件を保持しながら、上記触媒反応によって反応原料15より反応生成物17を連続的に製造することができる。

0045

この際、上記各伝熱管7と熱交換させる熱媒13の流れ方向は、反応容器1の中心部に設けてある上記熱媒分散領域9から、外周部に設けてある上記熱媒集合領域10まで半径方向に沿う外向き(放射方向)であるため、従来の熱媒流通領域にバッフルを備えた管内触媒形式の多管式反応器のように、熱媒13の流れが何度も折り返されることはない。又、上記熱媒分散領域9から上記熱媒集合領域10までの熱媒13の流通経路では、その断面積がバッフルにより制限されることもない。このため、本発明の多管式反応器では、熱媒13供給用のポンプ動力を削減することができる。

0046

なお、本発明の多管式反応器では、上記熱媒13の流通経路が従来のようにバッフルによる断面積の制限を受けないことに伴い、上記管群6の各伝熱管7の周りを流れる熱媒13の平均流速は遅くなり、この熱媒13の流速の減少に伴い、各伝熱管7の管外側の熱伝達率が低下する。

0047

しかし、前述したように、本発明の多管式反応器では、伝熱管7の内部に流通させる反応原料15及び反応生成物17がガスであって、管内側の熱伝達率が、管外側の熱伝達率よりも小さくなっているため、この管内側の熱伝達率が律速の因子となる上記各伝熱管7の管壁内外方向の熱通過率は、上記管外側の熱伝達率の低下の影響を殆ど受けない。よって、本発明の多管式反応器では、熱交換性能の低下を招くことはない。このことは、後述する実施例1の数値解析の結果からも明らかである。

0048

更に、本発明の多管式反応器では、上記したように各伝熱管7には反応原料15が平均して供給される。よって、各伝熱管7内における反応原料15や反応生成物17の流速に差が生じることはないため、伝熱管7ごとに管内側の熱伝達率に差が生じることはない。

0049

一方、管群6を内周側から外周側に向けて流れる熱媒13は、半径方向の外側に行くにしたがって流路断面積が拡大するため、該熱媒13の流速は、管群6の内周部が最大で、半径方向の外側に行くにしたがって低下するようになる。そのために、管群6の半径方向の異なる位置に配置されている伝熱管7同士では、上記熱媒の流速の変化に応じて、管外側の熱伝達率に差が生じる。

0050

しかし、前述したように、本発明の多管式反応器では、管内側の熱伝達率が、各伝熱管7の管壁内外方向の熱通過率に対して律速の因子となっているため、上記管群6の半径方向の異なる位置に配置されている伝熱管7同士で、管外側の熱媒13に大きな流速変化が生じていても、管壁内外方向の熱通過率は、大きな差が生じることなく、全域で安定している。このことは、後述する実施例2の数値解析の結果からも明らかである。

0051

よって、本発明の多管式反応器によれば、反応容器1内のすべての伝熱管7について、上記熱通過率の偏りが生じる虞を抑制することができ、このため、各伝熱管7内で、均等に触媒反応を進行させることが可能になる。

0052

更には、熱伝達特性のよい流体である熱媒13を、伝熱管7の管外側を直交流として流すと、該熱媒13を伝熱管7の管内側に流す場合に比して、熱伝達率の向上化を図ることができる。よって、本発明の多管式反応器は、管外触媒形式で且つ反応容器の半径方向の内外方向に反応原料を流通させる形式の多管式反応器に比して、熱通過率の大幅な向上化を図ることが可能になる。

0053

次に、図2(a)(b)は本発明の実施の他の形態として、図1(a)(b)の実施形態の変形例を示すものである。

0054

すなわち、本実施の形態の多管式反応器は、図1(a)(b)と同様の構成において、熱媒供給管11と熱媒排出管12を入れ替えて、反応容器1内における各管板2と4同士の間にて、管群6よりも外側の外周部の空間を、上記熱媒供給管11に連通する熱媒分散領域9とし、上記管群6よりも内側の中心部の空間を、上記熱媒排出管12に連通する熱媒集合領域10としてある。

0055

その他の構成は図1(a)(b)に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。

0056

以上の構成としてある本実施の形態の多管式反応器を使用する場合は、図1(a)(b)に示したものと同様に、外部の図示しない熱媒供給源より、伝熱管7内で触媒反応を行わせる際の反応温度条件として所望する温度に予め温度調整した状態の熱媒13を、熱媒供給管11の上流側端部へ連続的に供給する。

0057

これにより、上記熱媒13は、反応容器1内で、熱媒供給管11を経て、管群6の外周に設けてある上記熱媒分散領域9に流入する。その後、該熱媒分散領域9に流入した上記熱媒13は、該熱媒分散領域9の内側に配置されている上記管群6の各伝熱管7の間を通って上記熱媒集合領域10へ向けて反応容器1の半径方向に沿う内向きに流れるようになる。この際、上記熱媒13の流れでは、上記管群6を形成している各伝熱管7が抵抗になって圧力損失が生じることに伴い、該熱媒13の流れは、周方向に一様に分散された状態で、該各伝熱管7の間を通って内周側へ向かうようになる。

0058

これにより、上記管群6の各伝熱管7では、その外面側で、上記熱媒13との熱交換が行われるようになる。

0059

その後、上記各伝熱管7との熱交換に供された後の熱媒13は、上記管群6の内側の熱媒集合領域10で集合させられた後に、熱媒排出管12を経て外部に排出されるようになる。

0060

したがって、本実施の形態によっても、上記各伝熱管7の内面やその内側の触媒8は、該各伝熱管7と、その外側を流通する熱媒13との熱交換に伴って、上記所定の反応温度条件に常に保持することができるようになる。

0061

よって、本実施の形態によっても、図1(a)(b)の実施の形態と同様に、各伝熱管7内では、触媒8の存在下で、上記所定の反応温度条件の下で、供給される反応原料15より反応生成物17を生成する触媒反応を実施させることができると共に、図1(a)(b)の実施の形態と同様の効果を得ることができる。

0062

次いで、図3(a)(b)は本発明の実施の更に他の形態として、図1の実施の形態の応用例を示すものである。

0063

すなわち、本実施の形態の多管式反応器は、図1(a)(b)に示したと同様の構成において、各管板2と4の間における管群6の内側(反応容器1の中央寄り)となる個所に、反応容器1の軸心方向に延びる筒状の熱媒分散板としての内周部熱媒分散板18を、熱媒供給管11に連通する熱媒分散領域9と、上記管群6の設置個所とを仕切るよう配置して設けた構成としてある。図3(a)(b)では、上記内周部熱媒分散板18を、熱媒供給管11と同径のものとして、該熱媒供給管11の軸心方向に連なる位置に設けた構成が示してある。

0064

上記内周部熱媒分散板18は、熱媒13を円筒状の周壁の内外方向に通過させることができ、且つ熱媒13が上記周壁を通過するときに或る程度の圧力損失を生じさせて、上記熱媒分散領域9より管群6の設置個所へ流入させる熱媒13の周方向及び各伝熱管7の長手方向への分散を促進させることができるようにしてある。なお、該内周部熱媒分散板18は、上記のような熱媒13の分散機能を備えていれば、たとえば、周壁に図示しないスリットや開口を設けてなる構成、あるいは、周壁をメッシュパンチングメタルにより形成した構成等、任意の構成のものを採用してよい。

0065

更に、本実施の形態では、各管板2と4の間における管群6の外側(反応容器1の外周寄り)となる個所に、反応容器1の軸心方向に延びる筒状の熱媒分散板としての外周部熱媒分散板19を、熱媒排出管12に連通する熱媒集合領域10と、上記管群6の設置個所とを仕切るよう配置して設けた構成としてある。

0066

上記外周部熱媒分散板19は、上記内周部熱媒分散板18と同様の熱媒13の周方向及び各伝熱管7の長手方向への分散を促す構成の周壁を備えるようにしてある。

0067

その他の構成は、図1(a)(b)に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。

0068

以上の構成としてある本実施の形態の多管式反応器によれば、図1(a)(b)に示したものと同様に使用して、同様の効果を得ることができることに加えて、上記内周部熱媒分散板18と外周部熱媒分散板19により、熱媒分散領域9と熱媒集合領域10での熱媒13の流れを円滑に行わせることができると共に、熱媒13の流れの周方向及び伝熱管7の長手方向に関する分散性を向上させることができる。このため、本実施の形態の多管式反応器は、管群6の各伝熱管7に対して、より均等に熱媒13を接触させることができるようになるため、熱交換性能の更なる改善、及び、各伝熱管7内での触媒反応の更なる均一化を図ることができる。なお、上記反応容器1が小さいこと等に伴って上記管群6の半径方向に配列される伝熱管7の本数が少ない場合や、上記管群6における伝熱管7の管ピッチ管径の比(管ピッチ/管径)が大きい場合には、上記熱媒13の管群直交流の流動抵抗が小さくなることが考えられるが、この場合は、上記内周部熱媒分散板18及び外周部熱媒分散板19にて熱媒13が通過する際の抵抗を大きく設定することで、熱媒13の流れの周方向及び伝熱管7の長手方向に関する分散性を保持することができる。

0069

なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、図3(a)(b)の実施の形態と同様の構成において、図2(a)(b)に示したと同様に、熱媒供給管11と熱媒排出管12を入れ替えて、反応容器1内における各管板2と4同士の間にて、外周部熱媒分散板19よりも外側の空間を、上記熱媒供給管11に連通する熱媒分散領域9とし、内周部熱媒分散板18よりも内側の空間を、上記熱媒排出管12に連通する熱媒集合領域10とした構成としてもよい。かかる構成の多管式反応器によっても、図3(a)(b)の実施の形態と同様の効果を得ることができる。

0070

上記各実施の形態では、反応容器1の一端側の管板2により仕切られた空間を、反応原料入口14に連通する反応原料分配ヘッダ3とし、且つ反応容器1の他端側の管板4により仕切られた空間を、反応生成物出口16に連通する反応生成物集合ヘッダ5とした構成を示したが、上記反応原料入口14と反応生成物出口16とを入れ替えて、反応容器1の他端側に上記反応原料入口14に連通する反応原料分配ヘッダ3を備え、且つ反応容器1の一端側に上記反応生成物出口16に連通する反応生成物集合ヘッダ5を備えた構成としてもよい。この場合は、上記各実施の形態に対して反応原料15及び反応生成物17の流れ方向は逆になるが、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。

0071

管群6における各伝熱管7は、該管群6を半径方向の外向き又は内向きに通過する熱媒13の流れに対して圧力損失を生じさせることができて、該熱媒13の周方向及び各伝熱管7の長手方向への分散を促すことができるようにしてあれば、正方配列やその他、図示した以外の任意の配列を採用してもよく、又、各伝熱管7の径や本数、配列ピッチも適宜変更してよい。

0072

反応容器1の軸心方向寸法と径寸法との比、反応容器1内における各管板2と4の設置位置、反応原料分配ヘッダ3と反応生成物集合ヘッダ5の容積、各管板2と4同士の間隔、熱媒分散領域9と熱媒集合領域10の容積(反応容器1の径方向の寸法)、熱媒供給管11と熱媒排出管12と反応原料入口14と反応生成物出口16のサイズや配置は、実施する触媒反応に所望される条件に応じて、図示したものから適宜変更してもよい。

0073

上記反応原料15及び反応生成物17は、ガス以外の液体であってもよい。なお、この場合にも、該反応原料15及び反応生成物17の伝熱管7の内面との熱伝達率、すなわち、管内側の熱伝達率が、管外側の熱伝達率よりも小さくなるようにしてあるものとする。

0074

本発明の多管式反応器は、アクリル酸製造用途以外に、エチレン酸、メタクリル酸や、その他の各種化学物質の製造プロセスにおける触媒反応や、その他の触媒反応を実施させる場合に適用してもよい。

0075

本発明の多管式反応器は、反応容器1の軸心方向を、上下方向以外のいかなる方向に向けた姿勢で用いるようにしてもよい。

0076

各伝熱管7について、長手方向の途中位置で振れ止めのための支持が必要な場合は、ワイヤロッド格子状に組み合わせたロッドバッフル等の管支持材で支持するようにすればよい。

0077

その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。

0078

図1(a)(b)に示した構成の本発明の多管式反応器について、伝熱管7と該伝熱管7内を流通させるガスである反応原料15(及び反応生成物17)との間の熱伝達率(管内側の熱伝達率)hi、及び、伝熱管7と該伝熱管7の外側を流通させる液体の熱媒13との間の熱伝達率(管外側の熱伝達率)hoと、上記熱媒13から反応原料15(及び反応生成物17)までの伝熱管7の管壁を介した熱通過率Kと、反応原料15(及び反応生成物17)側の圧力損失、及び、熱媒13側の圧力損失について数値解析した。

0079

なお、熱通過率Kの算出は、以下の式に基づいて行った。

0080

0081

その解析結果を、以下の表1に示す。

0082

表1における比較例1は、従来の管内触媒式で且つ管群直交流形式の多管式反応器であって、熱媒流通領域に、伝熱管7の長手方向の3個所に熱媒13の流れ方向を変更するためのドーナツ状のバッフル2枚とディスク状のバッフル1枚を設けてなる4段流路構成としたものである。この比較例1の構成について、上記と同様に、反応原料15側の熱伝達率(管内側の熱伝達率)hiと、熱媒13側の熱伝達率(管外側の熱伝達率)hoと、熱通過率Kと、反応原料15の圧力損失と、熱媒13側の圧力損失について数値解析したものである。

0083

この場合、上記比較例1の多管式反応器の構成は、伝熱管7の径、管ピッチ、本数、伝熱管7内の触媒8の充填条件、反応原料15の流量、熱媒13の流量、反応容器1の高さを、上記本発明の多管式反応器と同様に設定した。又、本発明及び比較例1のいずれにおいても、熱媒13の流速について、反応容器1の外周部の流速が、中心部での流速の1/4倍になるように条件を設定した。

0084

又、以下の表1では、熱伝達率hi及びhoと熱通過率Kについては、本発明と比較例1に共通している管内触媒形式の構成に基づく反応原料15側の熱伝達率(管内側の熱伝達率)hiの解析結果の値を基準となる1.0とおいて、本発明と上記比較例1の上記各項目の解析結果を規格化無次元化)している。圧力損失についても同様に、本発明と比較例1に共通している管内触媒形式の構成に基づく上記反応原料15側の圧力損失の解析結果の値を基準となる1.0とおいて、本発明と上記比較例1の上記各項目の解析結果を規格化している。なお、上記比較例1の熱媒13側の圧力損失値(表1の※印)については、各伝熱管7とバッフルとの間の隙間がない条件(隙間リークなし)での値である。実際には各伝熱管7とバッフルの間には微小の隙間を設けている場合が多いので、※印の値はあくまでも参考データとして扱う必要がある。なお、通常は、熱媒13の全流量に対する隙間リーク流量の割合は50%以下に設定することが多いので、隙間リークがある場合であっても、熱媒13側の圧力損失は、表1に示した値4.4に対してオーダーが変わることはない。したがって、熱媒13側の圧力損失は、本発明の多管式反応器の方が、比較例1に比べて十分に小さくなる。

0085

0086

以上の結果から明らかなように、本発明の多管式反応器は、比較例1のバッフルを備えた管内触媒式で且つ管群直交流形式の多管式反応器に比して、伝熱管7と熱媒13側の熱伝達率hoは低下するものの、熱通過率Kに関して律速の因子となる伝熱管7と反応原料15側の熱伝達率hiは変化しないため、本発明の熱通過率Kは0.92となり、比較例1の熱通過率Kの0.97という値に比して熱交換性能は殆ど低下していない。

0087

しかも、本発明では、熱媒13側の圧力損失は0.1となっており、比較例1の熱媒13側の圧力損失の4.4という値に比して、大幅に低減させることができることが判明した。よって、本発明の多管式反応器では、熱媒13用のポンプ動力の削減化を図ることが可能になる。

0088

図1(a)(b)に示した構成の本発明の多管式反応器について、上記実施例1と同様の反応原料15側の熱伝達率(管内側の熱伝達率)hiと、熱媒13側の熱伝達率(管外側の熱伝達率)hoと、熱通過率Kについて、反応容器1の中心部と周辺部のそれぞれの伝熱管7と、それらの平均について数値解析し、その解析結果を、比較例2と比較した。

0089

上記比較例2は、伝熱管内に熱媒を流通させるようにし、該伝熱管の外側に触媒を充填する管外触媒形式の多管式反応器であり、且つ上記触媒の層に半径方向の内向きに反応原料(及び反応生成物)を流通させる形式の多管式反応器の構成について数値解析したものである。

0090

以下の表2は、本発明の多管式反応器について、反応原料15側の熱伝達率(管内側の熱伝達率)hiと、熱媒13側の熱伝達率(管外側の熱伝達率)hoと、熱通過率Kについて、反応容器1の中心部と周辺部の伝熱管7と、それらの平均の解析結果を示すものである。

0091

又、以下の表3は、上記比較例2について、反応原料側の熱伝達率である管外側の熱伝達率hoと、熱媒側の熱伝達率である管内側の熱伝達率hiと、熱通過率Kについて、反応容器1の中心部と周辺部の伝熱管と、それらの平均の解析結果を示すものである。

0092

なお、表2及び表3は、いずれも、反応原料15側の熱伝達率(本発明では管内側、比較例2では管外側の熱伝達率)についての上記平均の値を、基準となる1.0とおいて、本発明と上記比較例2の上記各項目の解析結果を規格化している。

0093

表4は、本発明と、比較例2について、管内側の熱伝達率と、管外側の熱伝達率と、熱通過率Kについての上記平均の値同士を比較した結果を示すものである。なお、表4では、本発明の管内側の熱伝達率(反応原料15側の熱伝達率hi)の解析結果の値を基準となる1.0とおいて、本発明と上記比較例2における上記各項目の解析結果を規格化している。

0094

0095

0096

0097

表2から明らかなように、本発明では、反応容器1の中心部と周辺部の伝熱管7では、内外方向の流路断面積の変化により熱媒13の流速が変化することに伴い、熱媒13側の熱伝達率については、中心部は18.3、周辺部は8.0となり、半径方向の内外で大きな差が生じる。しかし、管内側の反応原料15側の熱伝達率hiは、中心部から周辺部まで一定であるため、この反応原料15の熱伝達率hiが律速因子となる熱通過率Kに関しては、反応容器1の中心部が0.95、周辺部が0.89となり、該熱通過率Kの平均の値0.92に対するばらつきは、−3.8%〜+2.7%と狭い範囲に納まっている。したがって、本発明では、反応容器1内の半径方向の異なる位置に配置されている伝熱管7同士であっても、上記熱通過率Kに大きな差が生じないことが判明した。よって、本発明の多管式反応器では、反応容器1内のすべての伝熱管7について、上記熱通過率Kの偏りが生じる虞を抑制することができるため、各伝熱管7内で、均等に触媒反応を進行させることが可能になる。

0098

一方、表3から明らかなように、上記比較例2では、熱媒側の熱伝達率である管内側の熱伝達率hiは、反応容器の中心部から周辺部までの伝熱管で一定である。これに対し、反応容器1の中心部と周辺部の伝熱管では、内外方向の流路断面積の変化に応じて反応原料の流速が変化することに伴い、該反応原料側の熱伝達率である管外側の熱伝達率hoについては、中心部では1.25、周辺部では0.79となり、半径方向の内外の伝熱管の存在位置に応じて差が生じる。このため、該反応原料側の熱伝達率が律速因子となる熱通過率Kに関しては、反応容器1の中心部では1.13、周辺部では0.74となり、該熱通過率Kの平均の値0.92に対して、−19.5%〜+22.6%と、ずれが大きくなっている。したがって、上記比較例2の場合は、反応容器内の半径方向の異なる位置に配置されている伝熱管同士で、熱通過率Kが平均値に対して±20%と大きなばらつきを生じることが判明した。よって、比較例2では、反応容器内の半径方向の異なる位置では上記熱通過率Kの偏りに起因して、均等な触媒反応を実施させることは難しい。

0099

更に、表4から明らかなように、本発明の反応原料15側の熱伝達率hiを1.0とおいた場合、比較例2の反応原料側の熱伝達率である管外側の熱伝達率は、0.26となっている。以上のことから、本発明の多管式反応器では、伝熱管7の内外方向の熱通過率Kに関する律速因子となる反応原料15の熱伝達率hiを、上記比較例2における反応原料側の熱伝達率に比して向上させることができることが判明した。これにより、本発明の多管式反応器は、上記比較例2のような管外触媒形式の多管式反応器に比して、熱通過率Kの大幅な向上化を図ることが可能になる。

0100

図2(a)(b)に示した構成の本発明の多管式反応器について、図4(a)に示した如き管路網の解析モデルを設定して、熱媒13側の圧力分布について管路網の解析手法による流動解析を行った。

0101

図4(b)は、比較例として、上記実施例1における比較例1と同様の従来の管内触媒式で且つ管群直交流形式の多管式反応器について設定した管路網の解析モデルであり、これについても上記と同様の手法で熱媒13側の圧力分布についての流動解析を行った。

0102

なお、図4(a)(b)は、いずれも、左端が反応容器1(図2参照)の軸心位置を示し、右端側が反応容器1の外周部となっている。

0103

又、図4(a)において、符号9は熱媒分散領域、符号10は熱媒集合領域である。

0104

一方、図4(b)において、符号St1〜St4は、熱媒流通領域の上部と下部に設けられた2枚のドーナツ状のバッフルb1,b3とその間の1枚のディスク状のバッフルb2により仕切られて形成された1段目から4段目の流路を示している。又、符号20は、1段目の流路St1の外周部に設けられた熱媒分散領域となる下部ヘッダ、符号21は、4段目の流路St4の外周部に設けられた熱媒集合領域となる上部ヘッダである。

0105

更に、図4(a)(b)において、図中の破線は管群6(図2参照)の設置領域を示している。又、図中の丸付きの数字は、圧力の観測位置となる節点の番号を示している。図4(a)(b)の図中の数字は、各節点間の流路番号を示している。なお、図4(b)において、流路42〜49、流路50〜57、流路58〜65は、上記管群6の伝熱管7(図2参照)とバッフルb1、バッフルb2、バッフルb3の間に設けられた微小の隙間を通した隙間リークによる流路を示している。

0106

その解析結果を、図5(a)(b)に示す。

0107

図5(a)(b)における「●」は、図4(a)に示した本発明の多管式反応器の解析モデルによる熱媒13側の圧力分布の解析結果を示すものである。

0108

一方、図5(a)における「○」と「△」は、図4(b)に示した比較例の解析モデルによる熱媒13側の圧力分布の解析結果を示すものである。なお、「○」は、上記実施例1の比較例1と同様に、上記流路42〜49、流路50〜57、流路58〜65による隙間リークがないとした条件による結果であり、「△」は、上記流路42〜49、流路50〜57、流路58〜65による隙間リークがあるという条件による結果である。

0109

なお、上記図5(a)(b)のグラフ縦軸は、熱媒13側の圧力の値であり、熱媒13の流路出口側(「○」と「△」は図4(b)の節点41、「●」は図4(a)の節点11)の圧力値基準値(=0)としてある。更に、上記「○」で示した実施例1の比較例1に対応する上記隙間リークなしの条件による圧力損失(=入口圧出口圧)の結果が、上記実施例1の場合と同様の4.4の値を取るように規格化してある。又、横軸は、上記管群6の設置領域を半径方向の0.25〜1.0の範囲となるように設定して無次元化した値である。図5(a)(b)に示した各圧力分布は、熱媒13の流路入口側(「○」と「△」は図4(b)の節点2、「●」は図4(a)の節点2)で最大値をとり、その圧力値は管群6の設置領域(図4(a)(b)の破線内)における圧力損失値を意味する。

0110

図5(a)(b)の「●」の結果から、図2(a)(b)に示した構成の本発明の多管式反応器では、熱媒13側の圧力損失が0.1程度であることが分かる。この結果は、上記表1に示した実施例1による熱媒13側の圧力損失の解析結果ともよく一致している。なお、上記実施例1は、図1(a)(b)に示した本発明の多管式反応器の構成に対応するものであるため、前述の流動解析に用いた図4(a)の解析モデルとは、熱媒13の流動方向が、半径方向の外向きと内向きで逆になっている。したがって、上記実施例1の場合は、図示は省略したが、熱媒13側の圧力分布についての流動解析を行って解析結果を図5(a)(b)と同様にプロットすると、半径が大きくなるにしたがって熱媒13の圧力は低下し、下に凸の傾向を示すことが容易にわかる。更に、上記実施例1の場合は、最大圧力値と最小圧力値との差、すなわち圧力損失の値は、図5(b)に示したものと同様になる。

実施例

0111

更に、図5(a)における「●」と「△」の結果の比較により、図2(a)(b)に示した構成の本発明の多管式反応器は、上記図4(b)に示した比較例にて流路42〜49、流路50〜57、流路58〜65による隙間リークがあるという条件の場合の熱媒13の圧力損失の約1.8という値に対しても、熱媒13側の圧力損失を大幅に低減できることが判明した。

0112

1反応容器、2管板、3反応原料分配ヘッダ、4 管板、5反応生成物集合ヘッダ、6管群、7伝熱管、9熱媒分散領域、10 熱媒集合領域、11 熱媒供給管、12 熱媒排出管、14 反応原料入口、16 反応生成物出口、18内周部熱媒分散板、19 外周部熱媒分散板

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