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技術 チョウ目害虫の飛来を合成超音波で抑止する方法

出願人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者 中野亮
出願日 2013年12月4日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2013-251035
公開日 2014年8月14日 (6年9ヶ月経過) 公開番号 2014-143997
状態 特許登録済
技術分野 捕獲、駆除
主要キーワード 構成周波数 日照条件下 粘着板 飛来数 単一周波数成分 パルス間間隔 忌避行動 室内条件
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

地域を問わず利用可能な、モモゴマラノメイガの防除に有効な新規技術を提供すること。

解決手段

音波を用いて、ノメイガ類害虫園芸作物栽培圃場への飛来を抑止する方法であって、ノメイガ類害虫のオス成虫が発する超音波に相当する、前記ノメイガ類害虫の行動阻害する超音波を前記園芸作物栽培圃場に適用し、前記ノメイガ類害虫のメス成虫及びオス成虫の飛翔行動を阻害することを含む方法。

概要

背景

概要

地域を問わず利用可能な、モモゴマラノメイガの防除に有効な新規技術を提供すること。超音波を用いて、ノメイガ類害虫園芸作物栽培圃場への飛来を抑止する方法であって、ノメイガ類害虫のオス成虫が発する超音波に相当する、前記ノメイガ類害虫の行動阻害する超音波を前記園芸作物栽培圃場に適用し、前記ノメイガ類害虫のメス成虫及びオス成虫の飛翔行動を阻害することを含む方法。なし

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

音波を用いて、ノメイガ類害虫園芸作物栽培圃場への飛来を抑止する方法であって、モモゴマラノメイガのオス成虫が発する超音波に相当する、前記ノメイガ類害虫の行動阻害する超音波を前記園芸作物栽培圃場に適用し、前記ノメイガ類害虫のメス成虫及びオス成虫の飛翔行動を阻害することを含む方法。

請求項2

ノメイガ類害虫がモモノゴマダラノメイガ、アワノメイガ又はベニフキノメイガである請求項1に記載の方法。

請求項3

さらにノメイガ類害虫のメス成虫の産卵行動が超音波により阻害される、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。

請求項4

超音波が合成超音波であり、該合成超音波の音響パラメータが下記ア)〜エ)に示されるパラメータである請求項1〜3のいずれかに記載の方法:ア)パルス長10〜50 msイ)パルス間間隔パルス間の静音部の長さ)10〜40 msウ)構成周波数10〜100 kHz エ)音圧80 dB SPL以上(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)。

請求項5

超音波が、モモノゴマダラノメイガのオス成虫が発する超音波を用いて得られる、請求項4のア)〜ウ)に示されるパラメータを充足する超音波である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

請求項6

園芸作物栽培圃場においてノメイガ類害虫を防除する方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の方法により前記圃場への前記ノメイガ類害虫の飛来を阻害することを含む方法。

請求項7

ノメイガ類害虫のメス成虫の産卵行動が超音波により阻害される、請求項6に記載の方法。

請求項8

超音波が合成超音波であり、該合成超音波の音響パラメータが下記ア)〜エ)に示されるパラメータである請求項6又は7に記載の方法:ア)パルス長10〜50 msイ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)10〜40 msウ)構成周波数10〜100 kHz エ)音圧80 dB SPL以上(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)。

技術分野

0001

本発明は超音波を用いるチョウ害虫、とくにモモゴマラノメイガ、アワノメイガ及びベニフキノメイガといったノメイガ類害虫の飛来を抑止する方法およびかかる方法を用いて同害虫を防除する方法に関する。

0002

害虫を防除する方法には化学的防除物理的防除及び耕種的防除等による方法が挙げられるところ、殺虫剤を用いる化学的防除が主流である。

0003

例えば、行動制御を利用した害虫防除の方法は、化学合成殺虫剤における普遍的な問題である薬剤抵抗性の問題や、人体、環境および非標的生物に対する悪影響の問題を伴わないといった利点を有する。したがって、かかる方法は、薬剤抵抗性を持つ害虫の出現や、環境・食品の安全・安心志向の高まりから、長年にわたり社会的に求められている、薬剤の代替となる環境調和型の害虫防除技術の開発に資するものである。

0004

園芸作物加害する害虫による経済的な損失も少なくない。このような害虫にはチョウ目害虫が包含されるところ、例えばモモノゴマダラノメイガの幼虫はモモやクリ等の果実に食入し、商品価値を著しく低下させる。また、アワノメイガ及びベニフキノメイガは、それぞれトウモロコシ及びシソを加害する重要害虫である。そのため、このような害虫は園芸作物栽培における防除の対象となるが生物多様性の維持と食の安全の観点から、環境保全型の防除技術を開発する必要にも迫られている。

0005

上記の背景の下、環境に負荷をかけない防除資材が開発されつつあり、合成性フェロモンを利用した交信かく乱剤や黄色LEDライトを用いた防蛾灯はその例である。
しかしながら、高濃度の合成性フェロモンを利用した交信かく乱剤は多大な生産コストのために適用が可能な種は限定される。また黄色LED ライトを用いた防蛾灯は西日本において果樹カメムシツヤアオカメムシ)を誘引してしまうといった問題を有する。

0006

果実を加害するチョウ目害虫に対しては、超音波を利用した防除方法の試みも既に存在する(特許文献1〜5、非特許文献1〜3)。これらのうち特許文献1〜4および非特許文献1〜2は、コウモリが発する超音波を模倣した超音波に関するものである。特許文献4には、果樹園における果実吸蛾類被害を防ぐに当り、果実吸蛾類の飛来の障壁となる超音波網を設けることを特徴とする果実吸蛾類の防除方法が記載されている。

0007

米国においても合成超音波を夜間に提示することでチョウ目害虫による被害を軽減する試みが50年前からなされている(非特許文献4〜6)。
また果実を加害する害虫ではなく貯穀物を加害するチョウ目害虫のノシメマダラメイガに関しては、合成超音波の提示による交尾行動および産卵行動の影響が調査されている(非特許文献7〜8) 。

0008

上記のとおり、超音波を用いてチョウ目害虫、とくに果実を加害するチョウ目害虫を防除する試みがなされているものの、これらの既存技術は十分に実用性充足するものではない。
また、チョウ目害虫はコウモリからの捕食を回避するために聴覚器官を獲得しており、一般に超音波を検知すると飛翔歩行中止飛翔中急旋回等の行動を示す。一方コウモリは捕食効率を上げるため、主要な資源であるチョウ目昆虫が検知しにくい音を発することによって、上記チョウ目害虫の行動に対抗している。したがって、単にコウモリの発する超音波を模倣しただけでは、チョウ目害虫の忌避行動を効果的に誘発できない。

0009

したがって、園芸作物を加害するチョウ目害虫を防除するための別異な方法に対する需要が存在する。

0010

特開2011−205981号公報
特開2008−48717号公報
特開2003−304797号公報
特開昭55−127947号公報
特開昭57−63045号公報

先行技術

0011

小池、「超音波を利用した果樹のヤガ類被害防止技術の開発」、植物防疫、2008年10月、第62巻、第10号、p.549−552
Gillam et al., 2011, Southwest. Nat., 56: 103-133
中野、「チョウ目害虫における超音波を用いた行動制御技術」、植物防疫、2012年6月、第66巻、第6号、p.300−303
Belton & Kempster, 1969, Entomo1. Exp. App1., 5: 281-288
Payne & Shorey, 1968, J. Econ. Entomo1., 61: 3-7
Agee & Webb, 1969, J. Econ. Entomo1., 62: 1322-1326
Huang et al.,2003, J. Stored Prod. Res., 39: 413-422
Svensson et al., 2003, Entomo1. Exp. App1., 106: 187-192
中野ら、「モモノゴマダラノメイガのオスの超音波はメスの交尾行動を引き起こし他オスの交尾行動を阻害する」、日本応用動物昆虫学会第55回大会講演要旨

発明が解決しようとする課題

0012

上記のような背景の下、地域を問わず利用可能な、園芸作物を加害するチョウ目害虫の防除に有効な新規技術の開発が望されている。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これまで用いることが検討されていなかった資材を用いることにより、園芸作物を加害するチョウ目害虫の一種であるモモノゴマダラノメイガ、アワノメイガ及びベニフキノメイガといったノメイガ類害虫の行動を従来より効率的に抑制できる可能性があることを見出し、さらに研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
より具体的には、モモノゴマダラノメイガ、アワノメイガ及びベニフキノメイガといったノメイガ類害虫は、産卵時に栽培圃場園地の外から寄主植物体上へ飛来してくるため、産卵に付随する飛翔行動を阻害すれば、同種による被害を効率よく抑えることが可能となる。一方、モモノゴマダラノメイガのオス成虫は超音波を発し、交尾行動においてメス成虫とコミュニケーションをしている。またこの時、オスの発音がメスを巡る交尾競合相手となる同種オスの接近を阻む。そこで、オスが発する超音波を模倣することにより、メスによる産卵のための飛翔・飛来及びオスによる交尾のための飛翔・飛来を抑制する方法を開発した。

0014

すなわち本発明は、少なくとも以下の発明に関する:
(1)超音波を用いて、ノメイガ類害虫の園芸作物栽培圃場への飛来を抑止する方法であって、モモノゴマダラノメイガのオス成虫が発する超音波に相当する、前記ノメイガ類害虫の行動を阻害する超音波を前記園芸作物栽培圃場に適用し、前記ノメイガ類害虫のメス成虫及びオス成虫の飛翔行動を阻害することを含む方法。
(2)ノメイガ類害虫がモモノゴマダラノメイガ、アワノメイガ又はベニフキノメイガである(1)の方法。
(3)さらにノメイガ類害虫のメス成虫の産卵行動が超音波により阻害される、(1)又は(2)の方法。
(4)超音波が合成超音波であり、該合成超音波の音響パラメータが下記ア)〜エ)に示されるパラメータである(1)〜(3)のいずれかの方法:
ア)パルス長10〜50 ms
イ)パルス間間隔パルス間の静音部の長さ)10〜40 ms
ウ)構成周波数10〜100 kHz
エ)音圧80 dB SPL以上(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)。
(5)超音波が、モモノゴマダラノメイガのオス成虫が発する超音波を用いて得られる、(4)のア)〜ウ)に示されるパラメータを充足する超音波である、(1)〜(4)のいずれかの方法。
(6)園芸作物栽培圃場においてノメイガ類害虫を防除する方法であって、(1)〜(5)のいずれかの方法により前記圃場への前記ノメイガ類害虫の飛来を阻害することを含む方法。
(7)ノメイガ類害虫のメス成虫の産卵行動が超音波により阻害される、(6)の方法。
(8)超音波が合成超音波であり、該合成超音波の音響パラメータが下記ア)〜エ)に示されるパラメータである(6)又は(7)の方法:
ア)パルス長10〜50 ms
イ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)10〜40 ms
ウ)構成周波数10〜100 kHz
エ)音圧80 dB SPL 以上(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)。

発明の効果

0015

本発明の方法によれば、果実等を加害するチョウ目害虫であるノメイガ類害虫を、従来の方法より高い効率により防除することができる。
ノメイガ類害虫の行動を阻害する超音波については、上記各文献のいくつかにも記載のとおりすでに知られている。しかしながら、同各文献に記載されているのはコウモリが発する超音波やオスの超音波により同種のオス個体の行動が阻害されることに留まり、メスによる行動が同種のオスの超音波により阻害されることは知られていない。これに対して本発明の方法は、オスの飛来・侵入行動および交尾行動のみならずメスの行動も阻害する。また、本発明の方法はモモノゴマダラノメイガのオス成虫が発する超音波に相当する超音波により、モモノゴマダラノメイガのみならず他のノメイガ類の防除も可能ならしめるといった特長を有する。そのため、本発明の方法は、従来技術を上回る効果を奏するのである。

図面の簡単な説明

0016

本発明の方法において好適に用いられる合成超音波の例の時間構造を示す図である。
モモノゴマダラノメイガの超音波パルスを示す図である。
本発明の方法により、モモノゴマダラノメイガのオス成虫の交尾のための飛翔行動が抑制されたことを示す図である。
実施例2において示した試験において提示した周波数40 kHzのサイン波の模式図である。
サイン波からなる合成超音波を用いた本発明の方法により、オスに対する性フェロモンへの定位阻害を示す図である。
産卵のためにメスが飛翔する時間帯を示す図である。
本発明の方法により、モモノゴマダラノメイガのメス成虫による産卵のための飛翔行動が抑制されたことを示す図である。
モモノゴマダラノメイガについての、周波数及びパルス長と聴神経応答閾値との関係を示す図である。矢印は、それぞれモモノゴマダラノメイガが検出しやすい周波数及びパルス長を示す。実線及びその周囲の影をつけた領域は、それぞれ平均と95%信頼区間とを示す。
本発明の方法によるモモノゴマダラノメイガ、アワノメイガ及びベニフキノメイガに対する飛来阻害効果を、コウモリの超音波を用いた場合と比較して示す図である。 オスの超音波パルスには、周波数50 kHz、パルス長28 ms、パルス間間隔26 msのサイン波を用い、モモノゴマダラノメイガのオスが交尾行動において発する超音波パルス(図2)を模倣した。コウモリの超音波パルスには、周波数50 kHz、パルス長5 ms、パルス間間隔11 msのサイン波を用い、同所的に分布する食虫コウモリのモモジロコウモリアブラコウモリが捕食時に発する超音波パルスを模倣した。

実施例

0017

本発明は前記のとおり、超音波を用いて、ノメイガ類害虫の園芸作物栽培圃場への飛来を抑止する方法であって、モモノゴマダラノメイガのオス成虫が発する超音波に相当する、前記ノメイガ類害虫の行動を阻害する超音波を前記園芸作物栽培圃場に適用し、前記ノメイガ類害虫のメス成虫及びオス成虫の飛翔行動を阻害することを含む方法である。

0018

本明細書において、超音波が「オス成虫が発する超音波に相当する」とは、同種のオス成虫が自然界において発する超音波の作用と実質的に同一の作用をオス成虫およびメス成虫に与える超音波であることを意味する。
また本明細書において「園芸作物を加害する」の語の意味には、直接加害を受ける対象は果実である場合も包含される。

0019

本発明の方法において用いられる超音波はモモノゴマダラノメイガのオス成虫が発する超音波に相当する、ノメイガ類害虫の行動を阻害する超音波であり、該超音波によりノメイガ類害虫のメス成虫及びオス成虫の飛翔行動が阻害される。この超音波は合成超音波であってよい。

0020

本発明の方法が適用されるノメイガ類害虫はとくに限定されず、モモノゴマダラノメイガ、アワノメイガ、ベニフキノメイガ、ウコンノメイガマメノメイガ、アズキノメイガ、シロオビノメイガが例示される。

0021

超音波のパルス長はとくに限定されないところ、10〜50 msが好ましく、15〜40 msがより好ましく、20〜35 msがとくに好ましい。
超音波のパルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)はとくに限定されないところ、10〜40 msが好ましく、20〜30 msがより好ましい。
なお、ある種の害虫においては、超音波を検知すると生殖に関する行動を一時的に中止するが、超音波の連続的な提示によりその効果は低下することが分かっている。超音波のパルス間間隔を上記のような間隔とすることにより、上記のような「慣れ」が生じるのを回避することができる。

0022

超音波の構成周波数はとくに限定されないところ、10〜100 kHzが好ましく、30〜90 kHzはより好ましく、40〜80 kHzがとくに好ましい。なお、本発明の方法においては、単一周波数成分からなる純音を用いてもよく、あるいは複数の周波数成分からなる超音波を用いてもよい。
超音波の音圧はとくに限定されないところ、80 dB SPL(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)以上が好ましく、100 dB SPL 以上(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)はより好ましい。

0023

超音波の音響パラメータの2つ以上が、上記好ましい範囲の組み合わせである本発明の方法は好ましく、超音波の音響パラメータが下記ア)〜エ)に示されるパラメータである本発明の方法はより好ましい。
ア)パルス長10〜50 ms
イ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)10〜40 ms
ウ)構成周波数10〜100 kHz
エ)音圧80 dB SPL以上(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)。

0024

また、超音波の音響パラメータが下記ア’)〜エ’)に示されるパラメータである本発明の方法は一層より好ましい。
ア’)パルス長15〜40 ms (図1
イ’)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)20〜30 ms(図1)
ウ’)構成周波数30〜90 kHz
エ’)音圧100 dB SPL以上(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)。

0025

また、超音波はモモノゴマダラノメイガのオス成虫が発する超音波(図2)を用いて得られる、上記ア)〜ウ)に示されるパラメータを充足する超音波であってもよい。
さらに、構成周波数のうち高周波部を出力するため、サンプリング周波数が180 kHz以上に設定される本発明の方法は好ましい。

0026

本発明の方法のうち、適用される超音波によりノメイガ類害虫のメス成虫の産卵行動が阻害される方法は、対象害虫の防除により効率的に寄与するため好ましい。

0027

また、本発明は、園芸作物栽培圃場においてノメイガ類害虫を防除する方法であって、上記いずれかの方法により前記栽培園へのノメイガ類害虫の飛来を阻害することを含む方法に関する。この方法は、上記いずれかに記載の方法により圃場へのノメイガ類害虫の飛来を阻害することにより、該圃場に生息するノメイガ類害虫の密度を低減せしめるものである。本防除方法においては、上記飛来を阻害する方法のうち、好ましい方法を好適に用いることができる。

0028

より具体的には、圃場の周囲に、外側に向けて超音波の出力装置を設置し、対象害虫の圃場内への飛来・侵入を阻害することにより、同対象害虫を防除することができる。設置される出力装置の種類はとくに限定されない。
設置される出力装置の個数は、圃場の広さに応じて適宜決定してよい。

0029

ノメイガ類害虫のうち、例えばモモノゴマダラノメイガのメス成虫およびオス成虫は、特定の時間帯に飛来し、モモノゴマダラノメイガの交尾後のメス成虫は、大部分が暗期開始後の1時間のみ果実へ飛来する。したがって、この間時間帯に超音波を出力することは、同種の省力的かつ効率的な防除を可能ならしめるため好ましく、野外日照条件下においては、薄暮から2時間の間にわたり超音波を出力することは好ましい。

0030

メス成虫がオス成虫を誘引するために性フェロモンを放出する時間帯も種特異的である。したがって、この時間帯に超音波を出力することは好ましい。
例えばモモノゴマダラノメイガのメス成虫は、性フェロモンを暗期後半(明期開始前)5時間のうちに放出する。したがって、同種の防除においては、この時間帯に超音波を出力することは好ましい。

0031

一般に、チョウ目害虫に超音波を絶え間なく提示した場合、音に慣れて防除効果は低減する。そのため、ノメイガ類害虫の飛来時にのみ超音波を出力する手法と、ノメイガ類害虫の超音波に対する「慣れ」を生じさせにくい本発明の方法とを組み合わせることは、より好ましい。

0032

本発明を、以下の実施例によりさらに詳細に説明する。これらの実施例は、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。
(実施例1)
24℃、16時間明期:8時間暗期の実験室内にて、モモノゴマダラノメイガのオスによる交尾のための飛翔時間帯を、直径10 cm、長さ60 cmのアクリル製の風洞を用い、市販の合成性フェロモン剤を誘引源にして調べた。この時、風上の誘引源を10 cm四方粘着板の上に設置し、誘引されたオスが粘着板に捕獲されるようにした。その結果、暗期後半3時間にオスが飛翔することが明らかになった。
次に、オスが活発に飛翔する上記時間帯に、オスが交尾時に発する超音波を合成し、測定距離5 cmで100 dB SPLとなるよう、誘引源(フェロモン剤)から5 cmの距離で出力した。その結果、パルス長が28.3 ms、パルス間間隔が24 msの合成超音波を提示することで、粘着板への捕獲率半減することが明らかになった(図3)。

0033

(実施例2)
上記と同様の条件下で、モモノゴマダラノメイガのオスが活発に飛翔する上記時間帯に、周波数40 kHzのサイン波を合成し、測定距離5 cmで100 dB SPLとなるように、誘引源(フェロモン剤)から5 cmの距離で出力した(図4A)。その結果、パルス長が28 ms、パルス間間隔が24 msの合成超音波を連続して提示しても、飛来阻害効果が持続することが明らかになった(図4B)。

0034

(実施例3)
上記と同様の室内条件下で、交尾をしたモモノゴマダラノメイガのメスの産卵時期を、リンゴ実生欠片産卵基質として調べたところ、交尾後2日以降で産卵のピークがあることが分かった。次に、上記の風洞と粘着板を用い、産卵のためにメスが飛翔する時間帯を調べたところ、暗期前半1時間(D1)に飛翔することが明らかになった(図5A)。そこで、オスが交尾時に発する超音波を合成し、測定距離5 cmで100 dB SPLとなるよう、誘引源(リンゴ実生欠片)から5 cmの距離で出力した。その結果、パルス長が28.3 ms、パルス間間隔が24 msの合成超音波を提示することで、粘着板への捕獲率が半減、パルス長が16.2 msでは捕獲率が1/10に減少することが明らかになった(図5B)。

0035

(参考例1)
モモノゴマダラノメイガが検出しやすい周波数帯とパルス長を、聴神経における電気生理学的手法に調べた。その結果、周波数は40 kHz以上、パルス長は25 ms以上が、それぞれ好ましいことが明らかになった(図6)。
統計的手法による計算の結果、周波数は51.1 kHz以上、パルス長は29.0 ms以上が、
それぞれとくに好ましいことが明らかになった。なお、当該とくに好ましい数値範囲は、それぞれ平均値の95%信頼区間より算出したものであり、パルス長に関しては周波数50 kHzの純音を用いた場合の値である。

0036

(実施例4)
上記参考例1の結果を踏まえ、モモノゴマダラノメイガのオスの超音波パルス(パルス長28 ms、パルス間間隔26 ms、測定距離5 cmでの音圧100 dB SPL;0 dB SPL = 20 μPa)を模倣した周波数50 kHzの純音からなる合成超音波を用いて、モモノゴマダラノメイガのオスについて、交尾のための飛翔行動の抑制を試みた。より具体的には、モモノゴマダラノメイガが交尾を活発におこなう暗期後半2時間に、風上に本種メスの性フェロモン物質を設置し、15分間における飛来数計測し、本発明の効果を調べた。
その結果、実験室内中のノイズ、同所的に生息する食虫コウモリのモモジロコウモリおよびアブラコウモリが餌昆虫への接近時に発する超音波パルス(パルス長5 ms、パルス間間隔11 ms、測定距離5 cmでの音圧100 dB SPL)を提示した場合よりも、モモノゴマダラノメイガのオスの超音波パルスは顕著にオスの飛来を抑制した(図7、a))。

0037

(実施例5)
実施例4と同様の手順により、モモノゴマダラノメイガのオスの超音波パルスが、トウモロコシの重要害虫であるアワノメイガのオスについて、交尾のための飛翔行動を抑制することができるかを調べた。
その結果、モモノゴマダラノメイガのオスの超音波パルスは、トウモロコシの重要害虫であるアワノメイガのオスによる交尾のための飛翔行動を抑制することが可能であった(図7、b))。
モモノゴマダラノメイガのオスの場合と同様に、アワノメイガにおいても、ノイズ、コウモリの超音波パルスよりも、モモノゴマダラノメイガのオスの超音波パルスは顕著にオスの飛来を抑制可能であった。

0038

(実施例6)
実施例4と同様の手順により、モモノゴマダラノメイガのオスの超音波パルスが、シソの重要害虫であるベニフキノメイガのオスについて、交尾のための飛翔行動を抑制することができるかを調べた。
その結果、モモノゴマダラノメイガのオスの超音波パルスは顕著にオスの飛来を抑制可能であり、コウモリの超音波パルスによる抑制効果を上回った(図7、c))。

0039

本発明によれば、園芸作物を加害するチョウ目害虫であるノメイガ類害虫、とくにモモノゴマダラノメイガ、アワノメイガ及びベニフキノメイガを、従来の方法より高い効率により防除することができる。したがって、本発明は、害虫防除産業及び園芸作物栽培並びにこれらの関連産業の発展に寄与するところ大である。

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