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技術 モータ制御装置及びモータ制御方法

出願人 株式会社安川電機
発明者 陳振寧川地智洋友原健治東川康児竹之内将志
出願日 2013年1月17日 (7年10ヶ月経過) 出願番号 2013-006767
公開日 2014年7月28日 (6年4ヶ月経過) 公開番号 2014-138520
状態 特許登録済
技術分野 交流電動機の制御一般
主要キーワード 電圧フィードバック値 巻線切替 切り替え指令 振幅演算器 回転位相θ 比例動作 高速回転状態 トルク電圧
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

出力効率の向上を図ることが可能なモータ制御装置及びモータ制御方法を提供する。

解決手段

本発明において、巻線切替信号発生器10は、電流指令演算器2及び定出力制御器8の少なくとも一方から弱め界磁の程度を表す情報を取得し、低速回転状態において弱め界磁の程度が予め定められた条件を超える場合に、低速回転状態から高速回転状態切り替えるための巻線切替信号を生成する。

概要

背景

従来、交流モータにおいて、巻数が比較的多い低速回転用のコイル電力が供給される低速回転状態と、巻数が比較的少ない高速回転用のコイルに電力が供給される高速回転状態と、を切り替え巻線切替技術が知られている。

特許文献1には、交流モータの回転速度が予め定められた閾値を上回る場合又は下回る場合に、低速回転状態と高速回転状態とを切り替えることが記載されている。

概要

出力効率の向上をることが可能なモータ制御装置及びモータ制御方法を提供する。本発明において、巻線切替信号発生器10は、電流指令演算器2及び定出力制御器8の少なくとも一方から弱め界磁の程度を表す情報を取得し、低速回転状態において弱め界磁の程度が予め定められた条件を超える場合に、低速回転状態から高速回転状態へ切り替えるための巻線切替信号を生成する。

目的

本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、出力効率の向上を図ることが可能なモータ制御装置及びモータ制御方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

交流モータに配置される第1の巻数コイル電力が供給される第1の状態と、前記第1の巻数よりも少ない第2の巻数のコイルに電力が供給される第2の状態と、を切り替えモータ制御装置であって、前記交流モータを流れる電流励磁電流成分指令値であるd軸電流指令値を減少させることで弱め界磁を行うd軸電流指令値補正部と、前記弱め界磁の程度を表す情報を取得する弱め界磁情報取得部と、前記第1の状態において前記弱め界磁の程度が予め定められた条件を超える場合に、前記第1の状態から前記第2の状態への切り替え指令を生成する切り替え指令生成部と、備えることを特徴とするモータ制御装置。

請求項2

前記弱め界磁の程度を表す情報は、前記d軸電流指令値を前記弱め界磁を行わない場合の基準値から減少させる量である定出力量を表し、前記切り替え指令生成部は、前記第1の状態において前記定出力量が予め定められた閾値以上である場合に、前記切り替え指令を生成する、請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項3

前記弱め界磁の程度を表す情報は、前記交流モータを流れる電流のトルク電流成分の指令値であるq軸電流指令値と前記d軸電流指令値との合成ベクトルの、q軸からd軸の負の方向への傾きを表し、前記切り替え指令生成部は、前記第1の状態において前記傾きが予め定められた閾値以上である場合に、前記切り替え指令を生成する、請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項4

前記弱め界磁の程度を表す情報は、前記d軸電流指令値を前記弱め界磁を行わない場合の基準値から減少させる量である定出力量を、前記d軸電流指令値で除した商を表し、前記切り替え指令生成部は、前記第1の状態において前記商が予め定められた閾値以上である場合に、前記切り替え指令を生成する、請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項5

前記弱め界磁の程度を表す情報は、前記d軸電流指令値を前記弱め界磁を行わない場合の基準値から減少させる量である定出力量を、前記交流モータを流れる電流のトルク電流成分の指令値であるq軸電流指令値と前記d軸電流指令値との合成ベクトルの大きさで除した商を表し、前記切り替え指令生成部は、前記第1の状態において前記商が予め定められた閾値以上である場合に、前記切り替え指令を生成する、請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項6

前記弱め界磁の程度を表す情報は、前記d軸電流指令値を前記弱め界磁を行わない場合の基準値から減少させる量である定出力量を、前記基準値で除した商を表し、前記切り替え指令生成部は、前記第1の状態において前記商が予め定められた閾値以上である場合に、前記切り替え指令を生成する、請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項7

前記交流モータに印加される電圧トルク電圧成分の指令値であるq軸電圧指令値と、励磁電圧成分の指令値であるd軸電圧指令値と、前記交流モータに電力を供給する電源装置出力電圧検出値と、に基づいて、前記d軸電流指令値を前記弱め界磁を行わない場合の基準値から減少させる量である定出力量を算出する定出力量算出部をさらに備える、請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項8

交流モータに配置される第1の巻数のコイルに電力が供給される第1の状態と、前記第1の巻数よりも少ない第2の巻数のコイルに電力が供給される第2の状態と、を切り替えるモータ制御方法であって、前記交流モータを流れる電流の励磁電流成分の指令値であるd軸電流指令値を減少させることで弱め界磁を行い、前記弱め界磁の程度を表す情報を取得し、前記第1の状態において前記弱め界磁の程度が予め定められた条件を超える場合に、前記第1の状態から前記第2の状態への切り替え指令を生成する、ことを特徴とするモータ制御方法。

技術分野

0001

本発明はモータ制御装置及びモータ制御方法に関し、特には巻線切替技術に関する。

背景技術

0002

従来、交流モータにおいて、巻数が比較的多い低速回転用のコイル電力が供給される低速回転状態と、巻数が比較的少ない高速回転用のコイルに電力が供給される高速回転状態と、を切り替える巻線切替技術が知られている。

0003

特許文献1には、交流モータの回転速度が予め定められた閾値を上回る場合又は下回る場合に、低速回転状態と高速回転状態とを切り替えることが記載されている。

先行技術

0004

特開2010−206925号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、従来技術のように交流モータの回転速度に基づいて低速回転状態と高速回転状態とを切り替える手法は、交流モータの出力効率の面で必ずしも好適であるとは言えない。例えば、入力電源電圧が高く、低速回転状態のまま回転速度を上昇させる方が出力効率の面で好適な状況であっても、回転速度が上昇途中に閾値を超えることで低速回転状態から高速回転状態に切り替わってしまうことがあり得る。

0006

本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、出力効率の向上を図ることが可能なモータ制御装置及びモータ制御方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するため、本発明のモータ制御装置は、交流モータに配置される第1の巻数のコイルに電力が供給される第1の状態と、前記第1の巻数よりも少ない第2の巻数のコイルに電力が供給される第2の状態と、を切り替えるモータ制御装置であって、前記交流モータを流れる電流励磁電流成分指令値であるd軸電流指令値を減少させることで弱め界磁を行うd軸電流指令値補正部と、前記弱め界磁の程度を表す情報を取得する弱め界磁情報取得部と、前記第1の状態において前記弱め界磁の程度が予め定められた条件を超える場合に、前記第1の状態から前記第2の状態への切り替え指令を生成する切り替え指令生成部と、備える。

0008

また、本発明のモータ制御方法は、交流モータに配置される第1の巻数のコイルに電力が供給される第1の状態と、前記第1の巻数よりも少ない第2の巻数のコイルに電力が供給される第2の状態と、を切り替えるモータ制御方法であって、前記交流モータを流れる電流の励磁電流成分の指令値であるd軸電流指令値を減少させることで弱め界磁を行い、前記弱め界磁の程度を表す情報を取得し、前記第1の状態において前記弱め界磁の程度が予め定められた条件を超える場合に、前記第1の状態から前記第2の状態への切り替え指令を生成する。

発明の効果

0009

本発明によると、第1の状態から第2の状態への切り替えを弱め界磁の程度に基づいて判断するため、出力効率の向上を図ることが可能である。

図面の簡単な説明

0010

ドライブシステムの構成例を示すブロック図である。
第1及び第2の切替器の構成例を示す回路図である。
インバータ装置の構成例を示すブロック図である。
電流指令演算器の構成例を示すブロック図である。
電流制御器の構成例を示すブロック図である。
定出力制御器の構成例を示すブロック図である。
弱め界磁を説明するための図である。
巻線切替を説明するための図である。
巻線切替を説明するための図である。

実施例

0011

本発明のモータ制御装置及びモータ制御方法の実施形態を、図面を参照しながら説明する。

0012

図1は、ドライブシステム100の構成例を示すブロック図である。ドライブシステム100は、インバータ装置20と、交流モータ40と、位置検出器41と、第1及び第2の切替器61,62と、直流電圧源80と、を備えている。

0013

インバータ装置20は、モータ制御装置の一例であり、直流電圧源80から供給される直流電力三相交流電力に変換し、交流モータ40に出力する。インバータ装置20の出力端子は、交流モータ40の各相のコイルの一端に設けられた接続端子A1〜A3に接続されている。インバータ装置20の具体的な構成については、図3を用いて後述する。

0014

交流モータ40は、U相、V相及びW相の三相のコイルを含む三相交流モータであり、インバータ装置20から出力される三相交流電力によって回転する。交流モータ40の各相のコイルの他端には接続端子A4〜A6が設けられており、第1の切替器61が接続されている。また、交流モータ40の各相のコイルの中途には接続端子B1〜B3が設けられており、第2の切替器62が接続されている。

0015

位置検出器41は、交流モータ40のロータ回転位相θを検出し、インバータ装置20に出力する。位置検出器41としては、例えば、エンコーダレゾルバなどが適用される。

0016

直流電圧源80は、インバータ装置20の入力端子14a,14bに接続されており、インバータ装置20に直流電力を供給する。直流電圧源80としては、例えば、交流電源整流回路を含む電源装置であってもよいし、バッテリのような整流回路を伴わない電源装置であってもよい。

0017

第1及び第2の切替器61,62は、インバータ装置20から出力される巻線切替信号に基づいて交流モータ40の各相のコイルの結線を切り替えることによって、交流モータ40の出力特性を切り替える。図2は、第1及び第2の切替器61,62の構成例を示す回路図である。

0018

具体的には、第1の切替器61のスイッチSW1がON、第2の切替器62のスイッチSW2がOFFのとき、交流モータ40の各相のコイルの他端に設けられた接続端子A4〜A6が短絡する。このとき、電力が供給されるコイルの巻数が比較的多いため、インピーダンスが比較的高くなる。このときの状態を低速回転状態(第1の状態)と呼ぶ。低速回転状態で運転すると、低速回転域では高効率に高トルクを得られるが、高速回転域では、インバータ装置20の出力電圧が直流電圧源80からの電源電圧により制限される飽和領域にかかるため、トルクを確保しにくい(図8の低速回転状態S1を参照)。

0019

他方、第1の切替器61のスイッチSW1がOFF、第2の切替器62のスイッチSW2がONのとき、交流モータ40の各相のコイルの中途に設けられた接続端子B1〜B3が短絡する。このとき、電力が供給されるコイルの巻数が比較的少ないため、インピーダンスが比較的低くなる。このときの状態を高速回転状態(第2の状態)と呼ぶ。高速回転状態で運転すると、低速回転域では高効率には高トルクを得られないが、高速回転域では、上記飽和領域にかかりにくいため、トルクを確保しやすい(図8の高速回転状態S2を参照)。

0020

[インバータ装置]
図3は、インバータ装置20の構成例を示すブロック図である。インバータ装置20は、トルク指令発生器1と、電流指令演算器2と、電流制御器3と、PWM制御器4と、電流検出器5と、A/D変換器6と、電圧検出器7と、定出力制御器8と、巻線切替信号発生器10と、定数切替器11と、を備えている。

0021

トルク指令発生器1は、交流モータ40が発生するトルク量目標値であるトルク指令T_refを生成し、電流指令演算器2に出力する。トルク指令T_refは、外部装置からインバータ装置20に入力されてもよい。

0022

電流指令演算器2は、トルク指令発生器1からのトルク指令T_refと、定出力制御器8からの定出力量Id_refcと、定数切替器11からの各種パラメータと、に基づいてq軸電流指令Iq_ref及びd軸電流指令Id_refを生成する。q軸電流指令Iq_refは交流モータ40を流れる電流のトルク電流成分(q軸成分)の指令値であり、d軸電流指令Id_refは交流モータ40を流れる電流の励磁電流成分(d軸成分)の指令値である。電流指令演算器2は、生成されたq軸電流指令Iq_ref及びd軸電流指令Id_refを電流制御器3及び巻線切替信号発生器10に出力する。電流指令演算器2の具体的な構成については、図4を用いて後述する。

0023

電流制御器3は、電流指令演算器2からのq軸電流指令Iq_ref及びd軸電流指令Id_refなどに基づいてq軸電圧指令Vq_ref及びd軸電圧指令Vd_refを生成し、定出力制御器8に出力する。q軸電圧指令Vq_refは交流モータ40に印加される電圧トルク電圧成分(q軸成分)の指令値であり、d軸電圧指令Vd_refは交流モータ40に印加される電圧の励磁電圧成分(d軸成分)の指令値である。さらに、電流制御器3は、生成されたq軸電圧指令Vq_ref及びd軸電圧指令Vd_refをUVW各相の電圧指令Vu_ref,Vv_ref,Vw_refに変換して、PWM制御器4に出力する。電流制御器3の具体的な構成については、図5を用いて後述する。

0024

PWM制御器4は、三相ブリッジ回路を含んでおり、電流制御器3からのUVW各相の電圧指令Vu_ref,Vv_ref,Vw_refに基づいてパルス幅変調制御PWM制御)を行うことで直流電圧源80からの直流電力を三相交流電力に変換し、変換された三相交流電力を交流モータ40に出力する。

0025

電流検出器5は、交流モータ40に流れる電流量を検出し、A/D変換器6に出力する。A/D変換器6は、電流検出器5で検出された電流量をデジタル信号へ変換し、電流検出値Iu_fb,Iu_fbとして電流制御器3に出力する。

0026

電圧検出器7は、直流電圧源80の出力電圧、すなわちインバータ装置20の一対の入力端子14a,14bの間に印加される電圧を検出し、検出された電圧をデジタル信号へ変換し、電圧検出値として定出力制御器8に出力する。

0027

定出力制御器8は、定出力量算出部の一例であり、電流指令演算器2に供給される定出力量Id_refcを生成することで弱め界磁を制御する。定出力量Id_refcは、電流指令演算器2が生成するd軸電流指令Id_refを基準値から減少させる量を表し、例えば負の値として算出される。具体的には、定出力制御器8は、電流制御器3からのq軸電圧指令Vq_ref及びd軸電圧指令Vd_refと、電圧検出器7からの電圧検出値と、に基づいて定出力量Id_refcを算出し、電流指令演算器2に出力する。定出力制御器8の具体的な構成については、図6を用いて後述する。

0028

巻線切替信号発生器10は、弱め界磁情報取得部及び切り替え指令生成部の一例であり、電流指令演算器2からのq軸電流指令Iq_ref及びd軸電流指令Id_refや定出力制御器8からの定出力量Id_refcに基づいて、低速回転状態と高速回転状態とを切り替えるか否かを判断し、切り替えのための巻線切替信号(切り替え指令の一例)を第1及び第2の切替器61,62(図1を参照)及び定数切替器11に出力する。低速回転状態と高速回転状態との切り替えの具体的な判断手法については後述する。

0029

定数切替器11は、低速回転状態用のパラメータと高速回転状態用のパラメータとをデータとして保持しており、巻線切替信号発生器10からの巻線切替信号により選択されるパラメータを電流指令演算器2及び電流制御器3に出力する。これにより、交流モータ40の状態に応じたパラメータが各部に供給される。定数切替器11が保持するパラメータとしては、例えば、トルク−電流換算係数(K)、電流位相(β)、電機子巻線インダクタンス値(Ld,Lq)、電機子鎖交磁束(Φ)、電機子巻線抵抗値(R)などがある。

0030

[電流指令演算器]
図4は、電流指令演算器2の構成例を示すブロック図である。電流指令演算器2は、q軸電流指令演算器21と、最大効率制御器22と、加算器23と、を備えている。

0031

q軸電流指令演算器21は、トルク指令発生器1(図3を参照)からのトルク指令T_refと、加算器23からのd軸電流指令Id_refと、に基づいてq軸電流指令Iq_refを算出し、電流制御器3(図3を参照)に出力する。例えば、q軸電流指令演算器21は、定数切替器11から供給される電機子鎖交磁束Φ、d軸の電機子巻線インダクタンス値Ld、q軸の電機子巻線インダクタンス値Lqのパラメータに基づき、q軸電流指令Iq_refを算出する。

0032

最大効率制御器22は、トルク指令発生器1(図3を参照)からのトルク指令T_refに基づいてd軸電流指令の基準値Id_ref1を算出し、加算器23に出力する。例えば、最大効率制御器22は、定数切替器11から供給されるトルク−電流換算係数K、q軸方向を基準とした電流位相βのパラメータに基づき、d軸電流指令の基準値Id_ref1を算出する。

0033

加算器23は、d軸電流指令値補正部の一例であり、最大効率制御器22からのd軸電流指令の基準値Id_ref1と、定出力制御器8からの定出力量Id_refcとを加算し、加算結果をd軸電流指令Id_refとして、電流制御器3(図3を参照)及びq軸電流指令演算器21に出力する。

0034

このようにd軸電流指令の基準値Id_ref1に定出力量Id_refc(負の値)が加算されることで、弱め界磁が実現する。加算器23による弱め界磁のための演算を、図7ベクトル図により説明する。同図において、q軸及びd軸の矢印は正の方向を表している。また、破線矢印は加算前の合成ベクトルI0を表しており、実線矢印は加算後の合成ベクトルI1を表している。

0035

最大効率制御器22から加算器23に出力されるd軸電流指令の基準値Id_ref1は、交流モータ40の出力効率が最大となるように算出される。d軸電流指令の基準値Id_ref1は、弱め界磁を行わない場合にd軸電流指令となる値である。本例において、d軸電流指令の基準値Id_ref1は絶対値が比較的小さい負の値であり、加算前の合成ベクトルI0はq軸からd軸の負の方向にやや傾いている。

0036

加算器23によってd軸電流指令の基準値Id_ref1に定出力量Id_refcが加算されることでd軸電流指令Id_refが減少すると、加算後の合成ベクトルI1のq軸からd軸の負の方向への傾きIθは、加算前の合成ベクトルI0よりも大きくなる。このときの合成ベクトルI1のq軸成分がq軸電流指令Iq_refとなり、d軸成分がId_refとなる。

0037

[電流制御器]
図5は、電流制御器3の構成例を示すブロック図である。電流制御器3は、座標変換器30と、減算器31,32と、q軸電流制御器33と、d軸電流制御器34と、座標変換器39と、を備えている。

0038

座標変換部30は、A/D変換器6からの電流検出値Iu_fb,Iu_fbを回転位相θに基づいてdq変換することでq軸電流フィードバック値Iq_fb及びd軸電流フィードバック値Id_fbを生成し、減算器31,32に出力する。

0039

減算器31は、電流指令演算器2(図3を参照)からのq軸電流指令Iq_refからq軸電流フィードバック値Iq_fbを減算し、減算結果をq軸電流制御器33に出力する。また、減算器32は、電流指令演算器2(図3を参照)からのd軸電流指令Id_refからd軸電流フィードバック値Id_fbを減算し、減算結果をd軸電流制御器34に出力する。

0040

q軸電流制御器33は、減算器31から出力される減算結果、すなわちq軸電流指令Iq_refからq軸電流フィードバック値Iq_fbを減算した値が0に近づくような出力値を生成し、q軸電圧指令Vq_refとして座標変換器39及び定出力制御器8(図3を参照)に出力する。また、d軸電流制御器34は、減算器32から出力される減算結果、すなわちd軸電流指令Id_refからd軸電流フィードバック値Id_fbを減算した値が0に近づくような出力値を生成し、d軸電圧指令Vd_refとして座標変換器39及び定出力制御器8(図3を参照)に出力する。

0041

座標変換器39は、q軸電流制御器33及びd軸電流制御器34からのq軸電圧指令Vq_ref及びd軸電圧指令Vd_refを回転位相θに基づいてUVW変換することでUVW各相の電圧指令Vu_ref,Vv_ref,Vw_refを生成し、PWM制御器4(図3を参照)に出力する。

0042

[定出力制御器]
図6は、定出力制御器8の構成例を示すブロック図である。定出力制御器8は、振幅演算器81と、減算器82と、PI制御器83と、リミッタ84と、フィルタ85と、を備えている。

0043

振幅演算器81は、電流制御器3(図3を参照)からのd軸電圧指令Vd_ref及びq軸電圧指令Vq_refから電圧指令振幅値を電圧フィードバック値Vfbとして算出し、減算器82に出力する。

0044

減算器82は、制限電圧指令から電圧フィードバック値Vfbを減算し、減算結果をPI制御器83に出力する。ここで、制限電圧指令とは、直流電圧源80が出力可能最大電圧に相当し、電圧検出器7(図3を参照)からの電圧検出値に基づいて定められる。例えば、制限電圧指令は、電圧検出値そのものであってもよいし、電圧検出値に所定の係数を乗じた値などであってもよい。

0045

PI制御器83は、比例動作積分動作を組み合わせたPI制御により、減算器82からの減算結果、すなわち制限電圧指令から電圧フィードバック値Vfbを減算した値が0に近づくような出力値を生成し、リミッタ84に出力する。リミッタ84は、電圧フィードバック値Vfbが制限電圧指令を超えないようにPI制御器83の出力値を制限した上でフィルタ85に出力する。

0046

フィルタ85の出力値は、定出力量Id_refcとして電流指令演算器2(図3を参照)に出力される。本例では、定出力量Id_refcは負の値として算出され、電流指令演算器2においてd軸電流指令の基準値Id_ref1に加算されるが、これに限らず、定出力量Id_refcは正の値として算出され、電流指令演算器2においてd軸電流指令の基準値Id_ref1から減算されてもよい。なお、フィルタ85を省略して、リミッタ84の出力を定出力量Id_refcとしてもよい。

0047

具体的には、弱め界磁制御を実施しなくても電圧フィードバック値Vfbが制限電圧指令よりも低い場合には、定出力量Id_refcは0のままであり、弱め界磁制御は開始されない。すなわち、d軸電流指令Id_refは基準値Id_ref1のままとなる。交流モータ40の回転速度が上昇し、電圧フィードバック値Vfbが制限電圧指令を越えると、定出力量Id_refcが増加し、弱め界磁制御が開始される。すなわち、d軸電流指令Id_refは基準値Id_ref1から減少する。

0048

図8の低速回転状態S1で説明すると、弱め界磁制御を実施しなくても電圧フィードバック値Vfbが制限電圧指令より低い場合とは、交流モータ40の回転速度が弱め界磁開始点FWより低い速度領域に対応し、この速度領域では最大トルクを確保することが可能である。他方、交流モータ40の回転速度が弱め界磁開始点FWより高い速度領域では、
回転速度の上昇に伴って確保可能なトルクが徐々に減少する。

0049

なお、制限電圧指令は、直流電圧源80の出力電圧が放電などの要因によって低下すると、それに伴って低下する。この場合、図9に示されるように、弱め界磁開始点FWが低下して、弱め界磁が行われる速度領域が低下することになる。

0050

[切り替えの判断手法]
巻線切替信号発生器10は、定出力制御器8から定出力量Id_refcを取得し、電流指令演算器2からq軸電流指令Iq_ref及びd軸電流指令Id_refを取得する。

0051

このうち、定出力量Id_refcは、上述したように弱め界磁のためにd軸電流指令Id_refを減少させる量を表しており、定出力量Id_refcの絶対値が大きくなるほどd軸電流指令Id_refが減少する(図7を参照)。このことから、定出力量Id_refcは、弱め界磁の程度を表す情報ということができる。

0052

また、q軸電流指令Iq_ref及びd軸電流指令Id_refから算出される合成ベクトルI1のq軸からd軸の負の方向への傾きIθは、弱め界磁のためにd軸電流指令Id_refを減少させる量(すなわち、定出力量Id_refcの絶対値)に対応している(図7を参照)。このことから、合成ベクトルI1の傾きIθも、弱め界磁の程度を表す情報ということができる。

0053

巻線切替信号発生器10は、このような弱め界磁の程度を表す情報を取得して、低速回転状態S1において弱め界磁の程度が予め定められた条件を超える場合に、低速回転状態S1から高速回転状態S2への切り替えのための巻線切替信号を出力する。

0054

例えば、巻線切替信号発生器10は、低速回転状態S1において定出力量Id_refcが予め定められた閾値以上である場合に、低速回転状態S1から高速回転状態S2への切り替えのための巻線切替信号を出力する。

0055

また、巻線切替信号発生器10は、低速回転状態S1において合成ベクトルI1の傾きIθが予め定められた閾値以上である場合に、低速回転状態S1から高速回転状態S2への切り替えのための巻線切替信号を出力してもよい。

0056

このように、弱め界磁の程度に基づいて低速回転状態S1から高速回転状態S2への切り替えを判断することで、切り替え時における交流モータ40の出力効率をほぼ同じ値とすることが可能である。弱め界磁の程度が高まると(すなわち、定出力量Id_refcの絶対値が増加すると)、それに伴って交流モータ40の出力効率が低下する。このため、回転速度ではなく、弱め界磁の程度を巻線切り替えの判断に用いることによって、巻線切り替え時における交流モータ40の出力効率をほぼ同じ値にして、効率の良い状態で運転することが可能な領域を広げることができる。

0057

直流電圧源80の出力電圧が放電などの要因によって低下すると、図9に示されるように、弱め界磁が行われる速度領域が低下する。このため、従来技術のように回転速度を巻線切り替えの判断に用いると、巻線切り替え時における交流モータ40の出力効率が必要以上にばらつくおそれがある。例えば、切り替えの閾値となる回転速度は、直流電圧源80の出力電圧が低下した後の値を考慮して定められると考えられるが、この場合、直流電圧源80の出力電圧が低下する前は弱め界磁が行われる速度領域が比較的高くなる。このため、交流モータ40の出力効率がそれほど低下しないうちに、回転速度が閾値を越えて低速回転状態から高速回転状態へ切り替わるという事態が起こり得る。

0058

これに対し、本実施形態では、弱め界磁の程度に基づいて低速回転状態S1から高速回転状態S2への切り替えを判断するので、直流電圧源80の出力電圧が高くても低くても、切り替え時における交流モータ40の出力効率をほぼ同じにすることができる。この結果、直流電圧源80の出力電圧が低下する前における交流モータ40の回転速度は比較的高く、直流電圧源80の出力電圧が低下した後における交流モータ40の回転速度は比較的低くなる。従って、本実施形態では、交流モータ40の出力効率が閾値に低下するまで低速回転状態での運転が可能である。

0059

なお、以上の実施形態では、定出力量Id_refcや合成ベクトルI1の傾きIθに基づいて切り替えを判断する例を説明したが、これに限らず、次のような手法であってもよい。

0060

例えば、巻線切替信号発生器10は、低速回転状態S1において、定出力量Id_refcをd軸電流指令Id_refで除した商(Id_refc/Id_ref)が予め定められた閾値以上である場合に、低速回転状態S1から高速回転状態S2への切り替えのための巻線切替信号を出力してもよい。

0061

また、巻線切替信号発生器10は、低速回転状態S1において、定出力量Id_refcを合成ベクトルI1の大きさで除した商(Id_refc/I1)が予め定められた閾値以上である場合に、低速回転状態S1から高速回転状態S2への切り替えのための巻線切替信号を出力してもよい。

0062

また、巻線切替信号発生器10は、低速回転状態S1において、定出力量Id_refcをd軸電流指令の基準値Id_ref1の大きさで除した商(Id_refc/Id_ref1)が予め定められた閾値以上である場合に、低速回転状態S1から高速回転状態S2への切り替えのための巻線切替信号を出力してもよい。

0063

なお、高速回転状態S2から低速回転状態S1への切り替えについては、例えば、低速回転状態S1から高速回転状態S2へ切り替えたときの回転速度を一時的に記憶しておき、その回転速度に応じて行ってもよいし、他の判断手法が適用されてもよい。

0064

以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。

0065

1トルク指令発生器、2電流指令演算器、3電流制御器、4PWM制御器、5電流検出器、6 A/D変換器、7電圧検出器、8定出力制御器(定出力量算出部の一例)、10巻線切替信号発生器(弱め界磁情報取得部及び切り替え指令生成部の一例)、11定数切替器、14a,14b入力端子、20インバータ装置(モータ制御装置の一例)、21 q軸電流指令演算器、22最大効率制御器、23加算器(d軸電流指令値補正部の一例)、30座標変換器、31,32減算器、33 q軸電流制御器、34 d軸電流制御器、39 座標変換器、40交流モータ、41位置検出器、61,62 切替器、80直流電圧源、81振幅演算器、82 減算器、83PI制御器、84リミッタ、85フィルタ、100ドライブシステム。

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