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技術 自動ブレーキシステムの評価プログラム及び評価装置

出願人 独立行政法人交通安全環境研究所
発明者 安藤憲一田中信壽
出願日 2014年3月11日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-047369
公開日 2014年7月17日 (6年0ヶ月経過) 公開番号 2014-131911
状態 特許登録済
技術分野 交通制御システム ブレーキシステム(制動力調整) 特定用途計算機
主要キーワード 各発生確率 識別変数 時未満 基準事象 頭部加速度 ダミー変数 多項式モデル 速度判定処理
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

自動ブレーキシステムの性能を、その方式によらずに画一的に評価する自動ブレーキシステムの評価プログラム評価装置、及び評価方法を提供する。

解決手段

自動ブレーキシステムの評価装置40は、回帰分析実行部40Aと評価部40Bとを備える。回帰分析実行部40Aは、自動ブレーキシステムを搭載した車両が自動ブレーキシステムの作動によって被衝突物衝突するか否かの試験の結果に基づいて回帰分析を行なう。評価部40Bは、回帰分析の結果に基づいて自動ブレーキシステム10を評価する。回帰分析における目的変数は自動ブレーキシステムが作動する前の車両の初期速度viである。

概要

背景

自動ブレーキシステムは、車両に搭載され、走行路上の物との衝突を避けるためのものであり、前方に障害物を検知した場合に、自動でブレーキを作動させる。このような自動ブレーキシステムは、走行路上の物を検知する検知部や、検知部が当該物を検知することによってブレーキを作動させる作動部を有する(例えば、特許文献1)。

概要

自動ブレーキシステムの性能を、その方式によらずに画一的に評価する自動ブレーキシステムの評価プログラム評価装置、及び評価方法を提供する。自動ブレーキシステムの評価装置40は、回帰分析実行部40Aと評価部40Bとを備える。回帰分析実行部40Aは、自動ブレーキシステムを搭載した車両が自動ブレーキシステムの作動によって被衝突物に衝突するか否かの試験の結果に基づいて回帰分析を行なう。評価部40Bは、回帰分析の結果に基づいて自動ブレーキシステム10を評価する。回帰分析における目的変数は自動ブレーキシステムが作動する前の車両の初期速度viである。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

少なくともCPUを備えたコンピュータに実行される自動ブレーキシステム評価プログラムであって、前記CPUは、前記自動ブレーキシステムを搭載した車両が前記自動ブレーキシステムの作動によって障害物衝突するか否かの試験の結果を記憶手段から読み取る読み取り部と、前記読み取り部が読み取った前記試験の結果に基づいてロジスティック回帰分析を行なう回帰分析実行部と、前記ロジスティック回帰分析の結果に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価する評価部と、を構成する部品として機能し、前記ロジスティック回帰分析における説明変数は、前記自動ブレーキシステムが作動する前の前記車両の前記障害物に対する相対速度viであり、前記ロジスティック回帰分析における目的変数は、前記車両が前記障害物に衝突したか否かを表すダミー変数Cdvであり、前記試験の結果には、前記相対速度viと前記ダミー変数Cdvとが含まれ、前記評価部は、前記ロジスティック回帰分析によって得られた回帰線に関し、基準となる前記相対速度viの値に対応する前記ダミー変数Cdvの値が小さくなるにしたがって、当該自動ブレーキシステム全体の性能が高いと評価し、前記自動ブレーキシステムは、前記障害物を検知するための障害物センサと、前記障害物センサからのセンシング信号に基づき前記車両の走行方向にて前記障害物が有るか否かの判定処理を行う判定部と、前記判定処理において前記障害物が有ると判定された場合に、前記車両のブレーキを作動する制御部と、を有することを特徴とする自動ブレーキシステムの評価プログラム。

請求項2

少なくともCPUを備えたコンピュータに実行される自動ブレーキシステムの評価プログラムであって、前記CPUは、前記自動ブレーキシステムを搭載した車両が前記自動ブレーキシステムの作動によって障害物に衝突するか否かの試験の結果を記憶手段から読み取る読み取り部と、前記読み取り部が読み取った前記試験の結果に基づいてロジスティック回帰分析を行なう回帰分析実行部と、前記ロジスティック回帰分析の結果に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価する評価部と、を構成する部品として機能し、前記ロジスティック回帰分析における説明変数は、前記自動ブレーキシステムが作動する前の前記車両の前記障害物に対する相対速度viであり、前記ロジスティック回帰分析における目的変数は、前記車両が前記障害物に衝突したか否かを表すダミー変数Cdvであり、前記試験の結果には、前記相対速度viと前記ダミー変数Cdvとが含まれ、前記評価部は、前記ロジスティック回帰分析によって得られた回帰線に関し、基準となる前記ダミー変数Cdvの値に対応する前記相対速度viの値が小さくなるにしたがって、当該自動ブレーキシステム全体の性能が高いと評価し、前記自動ブレーキシステムは、前記障害物を検知するための障害物センサと、前記障害物センサからのセンシング信号に基づき前記車両の走行方向にて前記障害物が有るか否かの判定処理を行う判定部と、前記判定処理において前記障害物が有ると判定された場合に、前記車両のブレーキを作動する制御部と、を有することを特徴とする自動ブレーキシステムの評価プログラム。

請求項3

前記評価部は、前記回帰線から算出され、前記相対速度viの車両における前記障害物への衝突が発生した事象の発生確率R(vi)に、前記相対速度viの車両が前記障害物である人に衝突したときの死者数を表す分布関数F(vi)を乗じて算出された算出された死者の発生数に基づいて、前記ブレーキシステムの性能を評価することを特徴とする請求項3または4記載の自動ブレーキシステムの評価プログラム。

請求項4

請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の自動ブレーキシステムの評価プログラムを備えたことを特徴とする自動ブレーキシステムの評価装置

技術分野

0001

本発明は自動ブレーキシステム評価プログラム及び評価装置に関する。

背景技術

0002

自動ブレーキシステムは、車両に搭載され、走行路上の物との衝突を避けるためのものであり、前方に障害物を検知した場合に、自動でブレーキを作動させる。このような自動ブレーキシステムは、走行路上の物を検知する検知部や、検知部が当該物を検知することによってブレーキを作動させる作動部を有する(例えば、特許文献1)。

先行技術

0003

特開2007−062604号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、自動ブレーキシステムに採用される検知部としては、CCDを備えたステレオカメラや、ミリ波レーダ超音波レーダを用いたものなどがあり、自動ブレーキシステムに採用される作動部も、制動力が一定であるものや、制動力が車両の速度や、車両から当該物までの距離によって適宜決定されるもの等、多岐にわたる。

0005

一方、自動ブレーキシステムに求められる性能の1つに、衝突の回避能力がある。この衝突の回避能力を評価する場合、前述の検知部や作動部といった構成部品の性能に基づく方法も考えられる。しかしながら、このような評価方法は、同一の方式の自動ブレーキシステム同士には適用できるものの、異なる方式の自動ブレーキシステム同士には適用できない。

0006

したがって、自動ブレーキシステムの性能を、その方式によらずに画一的に評価する方法が求められるが、このような自動ブレーキシステムの性能を評価する方法は確立されていない。

0007

そこで本発明は、斯かる実情に鑑み、自動ブレーキシステムの評価プログラム及び評価装置を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決する手段は、少なくともCPUを備えたコンピュータに実行される自動ブレーキシステムの評価プログラムであって、前記CPUは、前記自動ブレーキシステムを搭載した車両が前記自動ブレーキシステムの作動によって障害物に衝突するか否かの試験の結果を記憶手段から読み取る読み取り部と、前記読み取り部が読み取った前記試験の結果に基づいてロジスティック回帰分析を行なう回帰分析実行部と、前記ロジスティック回帰分析の結果に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価する評価部と、を構成する部品として機能し、前記ロジスティック回帰分析における説明変数は、前記自動ブレーキシステムが作動する前の前記車両の前記障害物に対する相対速度viであり、前記ロジスティック回帰分析における目的変数は、前記車両が前記障害物に衝突したか否かを表すダミー変数Cdvであり、前記試験の結果には、前記相対速度viと前記ダミー変数Cdvとが含まれ、前記評価部は、前記ロジスティック回帰分析によって得られた回帰線に関し、基準となる前記相対速度viの値に対応する前記ダミー変数Cdvの値が小さくなるにしたがって、当該自動ブレーキシステム全体の性能が高いと評価し、前記自動ブレーキシステムは、前記障害物を検知するための障害物センサと、前記障害物センサからのセンシング信号に基づき前記車両の走行方向にて前記障害物が有るか否かの判定処理を行う判定部と、前記判定処理において前記障害物が有ると判定された場合に、前記車両のブレーキを作動する制御部と、を有することを特徴とする。

0009

上記課題を解決する手段は、少なくともCPUを備えたコンピュータに実行される自動ブレーキシステムの評価プログラムであって、前記CPUは、前記自動ブレーキシステムを搭載した車両が前記自動ブレーキシステムの作動によって障害物に衝突するか否かの試験の結果を記憶手段から読み取る読み取り部と、前記読み取り部が読み取った前記試験の結果に基づいてロジスティック回帰分析を行なう回帰分析実行部と、前記ロジスティック回帰分析の結果に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価する評価部と、を構成する部品として機能し、前記ロジスティック回帰分析における説明変数は、前記自動ブレーキシステムが作動する前の前記車両の前記障害物に対する相対速度viであり、前記ロジスティック回帰分析における目的変数は、前記車両が前記障害物に衝突したか否かを表すダミー変数Cdvであり、前記試験の結果には、前記相対速度viと前記ダミー変数Cdvとが含まれ、前記評価部は、前記ロジスティック回帰分析によって得られた回帰線に関し、基準となる前記ダミー変数Cdvの値に対応する前記相対速度viの値が小さくなるにしたがって、当該自動ブレーキシステム全体の性能が高いと評価し、前記自動ブレーキシステムは、前記障害物を検知するための障害物センサと、前記障害物センサからのセンシング信号に基づき前記車両の走行方向にて前記障害物が有るか否かの判定処理を行う判定部と、前記判定処理において前記障害物が有ると判定された場合に、前記車両のブレーキを作動する制御部と、を有することを特徴とする。

0010

前記評価部は、前記回帰線から算出され、前記相対速度viの車両における前記障害物への衝突が発生した事象の発生確率R(vi)に、前記相対速度viの車両が前記障害物である人に衝突したときの死者数を表す分布関数F(vi)を乗じて算出された算出された死者の発生数に基づいて、前記ブレーキシステムの性能を評価することが好ましい。

0011

上記課題を解決する手段は、上記の自動ブレーキシステムの評価プログラムを備えたことを特徴とする自動ブレーキシステムの評価装置である。

発明の効果

0012

上記手段によれば、自動ブレーキシステムの性能を、その方式によらずに画一的に評価することができる。

図面の簡単な説明

0013

自動ブレーキシステムの作動確認を行う様子の概要を示す説明図である。
自動ブレーキシステム、車両、自動ブレーキシステムの評価装置の概要を示す説明図である。
自動ブレーキシステムの作動確認のフロー図である。
自動ブレーキシステムの評価装置の概要を示す構成図である。
作動確認によって得られた実験データと、この実験データの回帰分析によって得られる回帰線との概要を表すグラフであり、横軸初期速度viであり、縦軸は、衝突速度vcである。
作動確認によって得られた実験データの回帰分析によって得られる回帰線の概要を表すグラフであり、横軸は初期速度viであり、縦軸は、衝突ダミー変数Cdvである。
作動確認によって得られた実験データの回帰分析によって得られる回帰線の概要を表すグラフであり、横軸は初期速度viであり、縦軸は、衝突ダミー変数Cdvである。
初期速度viの車両が人に衝突したときの死者数を、初期速度viごとに表す分布関数F(vi)を表すグラフであり、横軸は初期速度viであり、縦軸は死者人数である。
(A)は、式7〜9の概要を示すものであり、縦軸が発生確率P、横軸が初期速度viのグラフである。(B)は、(A)で示した各発生確率Pの積算及びその内訳を示したものであり、縦軸が発生確率P、横軸が初期速度viのグラフである。
(A)は、式7〜9の概要を示すものであり、縦軸が発生確率P、横軸が初期速度viのグラフである。(B)は、(A)で示した各発生確率Pの積算及びその内訳を示したものであり、縦軸が発生確率P、横軸が初期速度viのグラフである。

実施例

0014

以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。

0015

図1に示すように、自動ブレーキシステム10は、障害物30の検知により車両20の制動を自動で行うものであり、車両20に搭載される。ここで、障害物30には、人や動物、植物、その他の物(ガードレールや石等)が含まれる。

0016

図2に示すように、車両20は、車体(図示しない)に搭載されたエンジン21と、エンジン21の出力量を操作するためのアクセルペダル22と、エンジン21の出力によって駆動するタイヤ23と、エンジン21の出力をタイヤ23に伝えるドライブシャフト24と、タイヤ23の回転を抑えるブレーキ機構25と、タイヤ23の向きを調節するためのハンドル27と、を備える。ブレーキ機構25は、ディスクブレーキドラムブレーキなどといったブレーキ部材や、ブレーキ部材を操作するためのブレーキペダルなどがある。

0017

図1〜2に示すように、自動ブレーキシステム10は、車両20と障害物30との距離L1を測定する測距センサ11と、車両20の前方部分に設けられ障害物30との衝突を検知する衝突センサ12と、車両20の速度を検知する速度センサ13と、各部を制御する制御部14と、所定の値を記憶する記憶装置15と、を有する。測距センサ11としては、レーダカメラ単眼カメラやステレオカメラ)、レーザ、レーダとカメラとを組み合わせたもの、レーダとカメラとレーザとを組み合わせたもの等、いずれを用いてもよい。

0018

制御部14は、測距センサ11からのセンシング信号に基づいて車両20の制動を行う。より詳しくは、制御部14は、測距センサ11からのセンシング信号により障害物30の有無の判定を行う。さらに、制御部14は、障害物30が有ると判定された場合、障害物30までの距離L1と、障害物30に対する相対速度vとに基づいて、TTC(Time to Collision)を算出する。ここで、TTCは、L1/vで与えられる。また、制御部14は、算出されたTTCの値に基づいて、ブレーキ機構25の制御を行う。なお、制御部14が、ハンドル27の操作を行ってもよい。

0019

記憶装置15としては、磁気ディスクを内蔵したハードディスク装置などがある。

0020

次に、自動ブレーキシステム10の作動確認(以下、作動確認と称する)の概要を説明する。

0021

車両20は、障害物30に対する車両20の相対速度が一定の値となるように、所定の走行路上を走行する(図3のS10)。このとき、ハンドル操作は、マニュアル、制御部14のいずれによってもよい。以下、自動ブレーキシステム10が作動する前の車両20の相対速度を、初期速度viと称する。

0022

測距センサ11は障害物30までの距離L1を測定する。制御部14は障害物30に対する車両20の相対速度vを連続して算出し、衝突センサ12は衝突の有無を連続して検知する(図3のS20)。

0023

制御部14は、測距センサ11からのセンシング信号に基づき、障害物30の有無を判定する有無判定と、障害物30の属性を判定する、すなわち障害物30が人であるか物であるか等を判定する属性判定を、判定処理にて行う(図3のS30)。判定処理において、障害物30が有ると判定された場合には、車両20から障害物30までの距離L1(図1参照)と、障害物30に対する相対速度vとを算出するとともに、TTC(Time to Collision)を算出する。算出されたTTCが予め設定された閾値以下、または閾値未満である場合、制御部14は、ブレーキ機構25を作動する。これにより、走行状態の車両20の制動が自動ブレーキシステム10によって行われる(図3のS40)。一方、判定処理において、障害物30がない、と判定された場合には、判定処理を繰り返し行う。すなわち、判定処理は、障害物30が有ると判定されるまで連続して行われる。

0024

なお、この閾値は、1つでもよいし、複数でもよい。閾値が複数ある場合、例えば、次のようにしてもよい。まず、算出されたTTCが大きな方の閾値未満である場合に、ブレーキ機構25は作動する。そして、算出されたTTCが大きな方の閾値と小さな方の閾値との間である場合、すなわち、相対速度vの車両20が障害物30に到達するまでの時間が比較的長い場合、ブレーキ機構25は比較的小さな制動力BK1で作動する。また、算出されたTTCが小さな方の閾値よりも小さい場合、すなわち、相対速度vの車両20が障害物30に到達するまでの時間が比較的短い場合、ブレーキ機構25は制動力BK1よりも大きな制動力BK2で作動する。ここで、ブレーキ機構25の制動力は、例えば、ブレーキペダルの踏込量としてもよい。

0025

その後、車両20が停止しているか否か、すなわち、速度センサ13から読み取った車両の速度が「0」であるか否かを判定する速度判定処理が行われる(図3のS50)。速度センサ13から読み取った車両の速度が「0」である場合には、図3のS60に進む。一方、速度センサ13から読み取った車両の速度が「0」でない場合には、図3のS40に進む。

0026

次に、制御部14は、衝突センサ12からの検知信号に基づいて、衝突の有無を判定する衝突判定処理を行う(図3のS60)。そして、障害物30との衝突があったと判定された場合、制御部14は、初期速度viについての衝突ダミー変数Cdv(vi)として、衝突が発生した旨を表す値(例えば、「1」)を記憶装置15へ記憶する(図3のS70)とともに、衝突が検知された時の車両20の相対速度vの値を、初期速度viの車両20の衝突速度vc(vi)として、記憶装置15へ記憶する(図3のS80)。一方、障害物30との衝突がなかったと判定された場合、制御部14は、初期速度viについての衝突ダミー変数Cdv(vi)として、衝突が発生しなかった旨を表す値(例えば、「0」)を記憶装置15へ記憶する(図3のS75)。なお、衝突がなかったと判定された場合、制御部14は、初期速度viの車両20の衝突速度vc(vi)の値を、「0」としてもよいし、「ブランク」としてもよい。ここで、第1の自動ブレーキシステムの評価方法(後述する)において、衝突が発生しなかったデータを回帰分析の対象に含める場合には、初期速度viの車両20の衝突速度vc(vi)の値を「0」とし、衝突が発生しなかったデータを回帰分析の対象に含めない場合には、初期速度viの車両20の衝突速度vc(vi)の値を「ブランク」とすることが好ましい。

0027

こうして、記憶装置15には、他の作動確認結果同士を識別するための結果識別子と、結果識別子と関連付けられた実験データとが含まれる作動確認結果が記憶される。また、実験データには、初期速度viと、初期速度viにおける衝突ダミー変数Cdv(vi)と、初期速度viにおける衝突速度vc(vi)とが含まれる。

0028

次に、図3のS90にて、十分な数の作動確認データが得られた場合には、作動確認を終了し、十分な数の作動確認データが得られていない場合には、図3のS10に戻り、新たな作動確認を行う。なお、新たな作動確認を行う場合、自動ブレーキシステム10の種類によっては、新たな作動確認の前にリセット操作を行う場合がある。このリセット操作としては、例えば、エンジンの再起動がある。

0029

図4に示すように、自動ブレーキシステムの評価装置(以下、評価装置と称する)40は、前述のようにして得られた作動確認データに基づいて、当該自動ブレーキシステム10を評価するものであり、CPU41と、RAM42と、ROM43と、入力装置44と、表示装置45と、入出力インターフェース46と、バス47と、を備えている。

0030

CPU41は、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて評価装置40の各種機能を実現する。RAM42は、いわゆるRAM(ランダムアクセスメモリ)であり、CPU41の作業領域として使用される。ROM43は、いわゆるROM(リードオンリー・メモリ)であり、CPU41で実行される基本OSや各種プログラム(例えば、自動ブレーキシステムの評価プログラム)を記憶する。

0031

入力装置44は、入力キーキーボードマウスであり、各種情報を入力する。表示装置45は、ディスプレイであり、各種動作状態を表示する。入出力インターフェース46は、記憶装置15を動作させる電源および制御信号入出力される。バス47は、CPU41、RAM42、ROM43、入力装置44、表示装置45、入出力インターフェース46などを一体的に接続して通信を行う配線となる。

0032

ROM43に記憶された基本OSや各種プログラムが、CPU41によって実行されると、図2に示すように、評価装置40は、試験結果に基づいて回帰分析を行う回帰分析実行部40Aと、回帰分析の結果に基づいて自動ブレーキシステム10を評価する評価部40Bと、して機能する。さらに、評価装置40は、所定の条件によって、衝突が発生した作動確認結果を複数の群に分ける選別部40Cや所定の条件を設定するための設定部40Dとしても機能する。なお、選別部40Cや設定部40Dの詳細は後述する。

0033

以下、評価装置40によって行われる自動ブレーキシステムの評価方法について説明する。

0034

まず、第1の自動ブレーキシステムの評価方法について説明する。

0035

回帰分析実行部40Aは、複数の作動確認結果が記憶された記憶装置15から、所定の条件で抽出された作動確認結果を読み取る。次に、回帰分析実行部40Aは、読み取った作動確認結果から、初期速度viと、当該初期速度viにおける衝突速度vc(vi)とを抽出する。そして、回帰分析実行部40Aは、目的変数を初期速度viにおける衝突速度vc(vi)とし、説明変数を初期速度viとして、一次元モデルの回帰分析を行う。さらに、回帰分析実行部40Aは、一次元モデルの回帰分析の結果、すなわち回帰線50(図5参照)のデータを表示装置45に出力する。こうして、表示装置45には、一次元モデルの回帰分析により得られた直線状の回帰線50が表示される。なお、回帰分析実行部40Aは、得られた回帰線50のデータを記憶装置15に記憶させてもよい。なお、回帰線50は、実験データの取りうる範囲の値のみならず、初期速度viや衝突速度vc(vi)の一方または両方が負の値となる範囲まで伸びることが好ましい。

0036

この回帰線50において、「衝突速度vc(vi)=0」となる初期速度viの値、すなわちvi切片が正の値である場合、「当該vi切片未満の初期速度の車両は当該自動ブレーキシステムによって障害物の手前で停止する」と予測できる。一方、vi切片が0、または負の値である場合、自動ブレーキシステムによって車両の障害物への衝突を回避することができないと予測できる。したがって、vi切片の値が大きいほど、評価対象である自動ブレーキシステムの衝突回避能力は高くなるといえる。すなわち、評価部40Bがvi切片を評価することにより、自動ブレーキシステムを評価することができる。例えば、次のような基準に基づいてvi切片を評価することにより、自動ブレーキシステムの衝突回避能力をランク付けすることができる。ここで、A〜Cランクは、自動ブレーキシステムとしての性能を有するものを表し、Dランクは、自動ブレーキシステムとしての性能を有さないものを表す。
Aランク:vi切片が、5km/時以上である。
Bランク:vi切片が、1km/時以上5km/時未満である。
Cランク:vi切片が、0km/時以上1km/時未満である。
Dランク:vi切片が、0km/時未満である。

0037

また、衝突速度vc(vi)が正の値をとる範囲において、衝突速度vc(vi)が大きくなるほど、衝突によって障害物に加わる衝撃は大きい。したがって、この回帰線50の傾き(=Δvc(vi)/Δvi)が小さくなるにしたがって、衝突によって障害物へ与える衝撃は小さくなるため、評価対象である自動ブレーキシステムの重大な事故抑制能力は高くなるといえる。このようにして、評価部40Bが回帰線50の傾きを評価することによって、自動ブレーキシステムを評価することができる。例えば、次のような基準に基づいて傾きを評価することにより、自動ブレーキシステムの衝突回避能力をランク付けすることができる。ここで、A〜Cランクは、自動ブレーキシステムとしての性能を有するものを表し、Dランクは、自動ブレーキシステムとしての性能を有さないものを表す。
Aランク:傾きが、1.0未満である。
Bランク:傾きが、1.0以上2.0未満である。
Cランク:傾きが、2.0以上3.0未満である。
Dランク:傾きが、3.0以上である。

0038

評価部40Bは、vi切片に基づいた評価と、傾きに基づいた評価とを組み合わせて行ってもよい。また、評価部40Bは、vi切片に基づいた評価と、傾きに基づいた評価とを組み合わせて行う代わりに、回帰線50と、縦軸と、横軸とで囲まれる面積に基づいて、評価対象である自動ブレーキシステムの性能の評価を行ってもよい。

0039

また、障害物が人である場合には、次のような評価を行うこともできる。

0040

衝突速度vcから、障害物である人(以下、被衝突者と称する)に対する、頭部傷害指標(HIC:Head Injury Criterion)を測定することができる。
ここで、頭部傷害指標HICは、頭部加速度α(衝突によって被衝突者の頭部が受ける加速度)を用いて次のように定義される。
HIC= Max{(t2−t1)−1・∫α2.5dt}

0041

そして、得られた頭部傷害指標HICと、所定の損害リスク曲線とによって、略式傷害尺度AIS:Abbreviated Injury Scale)を得ることができる。ここで、損害リスク曲線としては、Yasuhiro Matsui, Yong Hun, and Koji Mizunoらの、「Performance of Collision Damage Mitigation Braking System and their Effects on Human Injury in the Event of Car-to-Pedestrian accidents, Stapp Car Crash Journal,Vol55(November 2011)」に記載のとおり、Mertz H.J.(2000) Injury risk assessments based on dummy responses, Accidental Injury, Springer-Verlag,pp89-102に記載のものを適用できる。また、この頭部傷害指標HICに基づいて算出され、略式傷害尺度AISのランクが4以上となる確率Q(AIS≧4)の例を、表1に示す。

0042

この略式傷害尺度は、次のようにランク付けされる。
1:軽傷
2:中等傷
3:重症
4:重篤
5:瀕死
6:最も重く、実質的に救命しえない

0043

そして、評価部40Bが、次のような基準に基づいて、確率Qを評価することにより、自動ブレーキシステムの衝突回避能力をランク付けすることができる。ここで、A〜Cランクは、自動ブレーキシステムとしての性能を有するものを表し、Dランクは、自動ブレーキシステムとしての性能を有さないものを表す。
Aランク:確率Qが、0.5%未満である。
Bランク:確率Qが、0.5%以上5%未満である。
Cランク:確率Qが、5%以上10%未満である。
Dランク:確率Qが、10%以上である。

0044

なお、第1の自動ブレーキシステムの評価方法において、一次元モデルの回帰分析を行ったが、本発明はこれに限られず、第1の自動ブレーキシステムの評価方法において、他の多項式モデル(例えば、二次関数を用いたもの、3次関数を用いたものや、指数関数を用いたもの)を用いてもよい。

0045

次に、第2の自動ブレーキシステムの評価方法について説明する。

0046

回帰分析実行部40Aは、複数の作動確認結果が記憶された記憶装置15から、所定の条件で抽出された作動確認結果を読み取る。次に、回帰分析実行部40Aは、読み取った作動確認結果に含まれる実験データ、すなわち、初期速度viと、当該初期速度viにおける衝突ダミー変数Cdv(vi)を抽出する。そして、回帰分析実行部40Aは、目的変数を衝突ダミー変数Cdv(vi)とし、説明変数を初期速度viとして、ロジスティック回帰分析を行う。さらに、回帰分析実行部40Aは、ロジスティック回帰分析の結果、すなわち回帰線60(図6参照)のデータを表示装置45に出力する。ここで、回帰線60は、初期速度viの車両が被衝突物に衝突する確率Rを表す。こうして、表示装置45には、ロジスティック回帰分析により得られた回帰線60が表示される。なお、回帰分析実行部40Aは、得られた回帰線60のデータを記憶装置15に記憶させてもよい。

0047

回帰線60にて、一定の範囲内の初期速度viにて、衝突ダミー変数Cdv(vi)がとる値が小さくなるにしたがって、自動ブレーキシステムの衝突回避能力は高くなるといえる。このようにして、評価部40Bは、一定の範囲内の初期速度viにて、衝突ダミー変数Cdv(vi)がとる値に基づいて自動ブレーキシステムを評価することができる。

0048

例えば、一定の範囲内の初期速度viにて、衝突ダミー変数Cdv(vi)がとる値に基づいて、ブレーキシステムの衝突回避能力をランク付けすることができる。この場合の判定基準の例を次に示す。
Aランク:初期速度viが60km/時未満の範囲にて、衝突ダミー変数Cdv(vi)の最大値が0.01未満である。
Bランク:初期速度viが60km/時未満の範囲にて、衝突ダミー変数Cdv(vi)の最大値が0.01以上0.1未満である。
Cランク:初期速度viが60km/時未満の範囲にて、衝突ダミー変数Cdv(vi)の最大値が0.1以上0.2未満である。
Dランク:初期速度viが60km/時未満の範囲にて、衝突ダミー変数Cdv(vi)の最大値が0.2以上である。

0049

このほか、初期速度viが80km/時未満の範囲における衝突ダミー変数Cdv(vi)の値に基づいて、ブレーキシステムの衝突回避能力をランク付けを行ってもよい。このとき、衝突ダミー変数Cdv(vi)の値は、初期速度viに応じて適宜設定すればよい。

0050

なお、図7に示すように、回帰線60にて、一定の範囲内の衝突ダミー変数Cdv(vi)にて、初期速度viがとる値が小さくなるにしたがって、衝突によって障害物へ与える衝撃は小さくなるため、評価対象である自動ブレーキシステムについて重大な事故の抑制能力は高くなるといえる。このように、一定の範囲内の衝突ダミー変数Cdv(vi)にて、初期速度viがとる値に基づいて自動ブレーキシステムを評価することができる。

0051

例えば、所定の衝突ダミー変数Cdv(vi)に対応する初期速度viの値に基づいて、自動ブレーキシステムの能力をランク付けすることができる。この場合の判定基準の例を次に示す。
Aランク:衝突ダミー変数Cdv(vi)が0.5のとき、初期速度viが50km/時である。
Bランク:衝突ダミー変数Cdv(vi)が0.5のとき、初期速度viが40km/時である。
Cランク:衝突ダミー変数Cdv(vi)が0.5のとき、初期速度viが30km/時である。
Dランク:衝突ダミー変数Cdv(vi)が0.5のとき、初期速度viが20km/時である。

0052

さらに、回帰分析実行部40Aは、一定の期間における死者数Nを車両走行速度ごとに表す関数F(vi)(図8参照)と、回帰線60が表す確率R(vi)と、式A「ΔN=F(1−R)」と、それぞれを記憶装置15から読みとる。次に、回帰分析実行部40Aは、自動ブレーキシステムの搭載によって減少する死者数(以下、死者減少数と称する)ΔNを、式Aに基づいて算出する。そして、評価部40Bは、死者減少数ΔNが小さくなるにしたがって、自動ブレーキシステムについて重大な事故の抑制能力は高い、と判定する。このようにして、自動ブレーキシステムを評価することができる。なお、死者数Nは、例えば、ある年度における死者数としてもよいし、複数年度における死者数としてもよい。

0053

なお、評価部40Bは、例えば、死者減少数ΔNの値に基づいて、自動ブレーキシステムの能力についてランク付けをしてもよい。この場合の判定基準の例を次に示す。
Aランク:死者減少数ΔNは、500人以上である。
Bランク:死者減少数ΔNは、100人以上500人未満である。
Cランク:死者減少数ΔNは、50人以上100人未満である。
Dランク:死者減少数ΔNは、50人未満である。

0054

上記実施形態において、ある道路における制限速度を初期速度viとすることが好ましい。このようにすることで、評価部40Bがしたランク付けは、当該道路に適する自動ブレーキシステムであるか否かを判定することができる。たとえば、初期速度viを40km/時とした場合、Aランクに該当する自動ブレーキシステムは、一般道路に適するものと評価できる。また、初期速度viを80km/時とした場合、Aランクに該当する自動ブレーキシステムは、高速道路に適するものと評価できる。

0055

また、上記実施形態では、回帰分析実行部40Aが、初期速度viと当該初期速度viにおける衝突速度vc(vi)とを記憶装置15から抽出したが、本発明はこれに限られない。例えば、車両20の速度や、障害物との衝突の有無を検知可能なセンサを評価装置40に設け、このセンサが検知した車両20の速度や、障害物との衝突の有無から、初期速度viと、当該初期速度viにおける衝突速度vc(vi)を算出してもよい。評価装置40に設けられるセンサとしては、例えば、測距センサ11等がある。

0056

尚、上述した自動ブレーキシステムの評価プログラム、評価装置、及び評価方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

0057

以上のように、自動ブレーキシステムを所定の確率に基づいて評価することにより、次のメリットがある。

0058

実際の交通事故の態様が複雑であることを考えると、固定された基準に基づいた評価結果を、実際の交通事故の回避能力として取り扱うには、さまざまなファクターを考慮せざるを得ない。この結果、実際の交通事故の回避能力として得られる程度の評価を行うためには、膨大な計算量が必要になってしまう。一方、本発明によれば、自動ブレーキシステムを所定の確率に基づいて評価するため、実際の交通事故の回避能力として取り扱える程度の評価を簡単に行うことができる。このように所定の確率を用いた自動ブレーキシステムの評価方法は、自動車アセスメントでも適用できる。また、自動ブレーキシステムの性能を確率で定義することにより、ドライバーのシステムへの過信を防ぐことができる。

0059

前述の第2の自動ブレーキシステムの評価方法では、衝突が発生した事象(衝突発生事象)に属する作動確認結果と、衝突が発生しなかった事象(衝突未発生事象)に属する作動確認結果とに対して、属する事象ごとに異なる衝突ダミー変数Cdvを付与した上で、説明変数を初期速度viとし、目的変数を衝突ダミー変数Cdvとする二項ロジスティック回帰分析を行なう。そして、このような二項ロジスティック回帰分析の結果を用いることにより、自動ブレーキシステムの衝突回避能力の観点から評価できる。

0060

ところで自動ブレーキシステムの評価の観点としては、衝突回避能力の観点に限られず、衝突による悪影響が大きい高リスク衝突を回避する能力の観点も重要である。しかしながら、前述の二項ロジスティック回帰分析の結果を用いて、高リスク衝突の回避能力の観点から自動ブレーキシステムを評価することができない。そこで、高リスク衝突の回避能力の観点から自動ブレーキシステムを評価する方法もまた、衝突回避能力の観点から自動ブレーキシステムを評価する方法と同様に重要なものといえる。

0061

以下、高リスク衝突の回避能力の観点から自動ブレーキシステムを評価する方法について説明する。

0062

高リスク衝突の回避能力の観点から自動ブレーキシステムを評価する方法は、選別ステップと、分析ステップと、評価ステップとを有する。選別ステップでは、作動確認結果を、衝突発生事象と衝突未発生事象との2つの群に分けるとともに、衝突発生事象を、所定の条件によって、衝突による悪影響が小さい低リスク衝突の事象(軽衝突事象)と、衝突による悪影響が大きい高リスク衝突の事象(重衝突事象)とに分ける。分析ステップでは、これら3つの事象についての多項ロジスティック回帰分析を行ない、各事象の発生確率を得る。評価ステップでは、得られた各事象の発生確率の積分値から、高リスク衝突の回避能力の観点から自動ブレーキシステムを評価する。

0063

以下、各ステップの詳細を説明する。

0064

選別ステップでは、設定部40D(図2参照)が、記憶装置15に記憶された選別条件の中から、制御部14または入力装置44(図4参照)からの出力信号に従って、選別条件を選択する。次に、選別部40C(図2参照)は、作動確認結果を記憶装置15から読み込み、読み込んだ作動確認結果から衝突発生事象に該当するものを抽出する。さらに、選別部40Cは、設定部40Dによって選択された選別条件に従って、抽出した作動確認結果を軽衝突事象と重衝突事象との2つの群に振り分ける。さらに、選別部40Cは、振り分け結果を識別するための識別変数Yを、当該事象に属する各作動確認結果に対して付与する。

0065

例えば、重衝突事象、軽衝突事象、衝突未発生事象を識別するための識別変数Yが次のように定義されている場合、
重衝突事象:Y=0
軽衝突事象:Y=1
衝突未発生事象:Y=2
選別部40Cは、重衝突事象に対しては「0」を、軽衝突事象に対しては「1」を、そして、衝突未発生事象に対しては「2」を、それぞれ変数Yの値として設定する。

0066

次に、選別条件とともに選別ステップの具体例を説明する。

0067

選別条件が表1の「確率Q(AIS≧4)=Qy」である場合、選別部40Cは、あらかじめ記憶装置15に記憶された表1のデータを参照し、抽出した作動確認結果に関する確率Q(AIS≧4)がQy以下であるか否かを判定する。さらに、選別部40Cは、確率Q(AIS≧4)がQy以下である作動確認結果に対して、軽衝突事象を表す「1」を識別変数Yに設定するとともに、確率Q(AIS≧4)がQyより大きい作動確認結果に対して、重衝突事象を表す「0」を識別変数Yに設定する。なお、選別部40Cは、衝突未発生事象に該当する作動確認結果に対して、衝突未発生事象を表す「2」を識別変数Yに設定する。

0068

例えば、確率Q(AIS≧4)の閾値、すなわちQyが「5%」である場合、車種セダン」において、衝突速度vcが30km/時以下の作動確認結果は軽衝突事象に属し、衝突速度vcが40km/時以上の作動確認結果は重衝突事象に属することとなる。また、車種「軽(軽自動車)」や「SUV(Sport Utility Vehicle)」において、衝突速度vcが40km/時以下の作動確認結果は軽衝突事象に属し、衝突速度vcが50km/時以上の作動確認結果は重衝突事象に属することとなる。

0069

また、選別条件として、略式傷害尺度(AIS)に代えて、表1の「頭部傷害指標HIC」を用いてもよい。例えば、選別条件が「HICy=500」の場合、車種「セダン」において、衝突速度vcが20km/時以下の作動確認結果は軽衝突事象に属し、衝突速度vcが30km/時以上の作動確認結果は重衝突事象に属することとなる。また、車種「軽(軽自動車)」や「SUV(Sport Utility Vehicle)」において、衝突速度vcが30km/時以下の作動確認結果は軽衝突事象に属し、衝突速度vcが40km/時以上の作動確認結果は重衝突事象に属することとなる。

0070

なお、略式傷害尺度(AIS)や頭部傷害指標HICに代えて、衝突速度vcを選別条件としてもよいし、車種ごとに定められた衝突速度vcの閾値を選別条件としてもよい。

0071

次に、分析ステップでは、回帰分析実行部40Aが、記憶装置15から作動確認結果を読み取り、所定の多項ロジスティック回帰分析を行なう。分析ステップにて行われる多項ロジスティック回帰分析の説明変数は初期速度viであって、目的変数は、式1〜2の関数を用いて表される発生確率P(式3〜4)である。



ここで、式1におけるパラメータβi0、βi1は、最尤推定を用いて、作動確認結果から算出される。そして、回帰分析実行部40Aは、所定の事象の発生確率Pを、式3〜4から導く。

0072

本実施形態の場合、すなわち、作動確認結果を3つの事象(衝突が発生していない事象、軽衝突事象、及び重衝突事象)に分け、基準事象を重衝突事象とした場合、分析ステップにて多項ロジスティック回帰分析の目的変数は、式5の関数や式6の関数を用いて表される発生確率P(Y=i|x)(但し、i=0、1、2)である(式7〜9参照)。なお、最尤推定を用いた各パラメータβi0、βi1の算出は、回帰分析実行部40Aが行ってもよい。



また、回帰分析実行部40Aは、重衝突事象の発生確率P(Y=0|x)、軽衝突事象の発生確率P(Y=1|x)、及び衝突未発生事象の発生確率P(Y=2|x)を、式7〜9に基づいて算出する。



さらに、回帰分析実行部40Aは、算出された各事象の発生確率P(Y=i|x)を表示装置45に出力する(図9(A)、10(A)参照)。

0073

評価ステップでは、評価部40Bが、式7s〜9sに基づいて、各事象の発生確率Pの積分値S0、S1、S2を、それぞれ算出する。



なお、本実施形態では、積分区間下端を「0」、上端を「70」としているが、積分区間は、自動ブレーキシステムを評価したい初期速度viの範囲に応じて設定すればよい。

0074

次に、評価部40Bは、式7s〜9sによって得られた各事象の発生確率Pの積分値S0、S1、S2を表示装置45に出力する(図9(B)、10(B)参照)。ここで、積分値S0、S1、S2は、それぞれ、図9(B)、10(B)における領域W0、W1、W2の面積として表される。さらに、評価部40Bは、算出した積分値S0、S1、S2を、それぞれ、記憶装置15に記憶する。

0075

そして、評価部40Bは、これらの積分値を用いて、自動ブレーキシステムの評価を行う。具体的には、積分値S1と積分値S2との和が大きくなるにしたがって、または、積分値S0と積分値S1との和が小さくなるにしたがって、自動ブレーキシステムの高リスク衝突の回避能力は高くなると評価する。もちろん、評価部40Bは、積分値S0が小さくなるにしたがって、または、積分値S2が大きくなるにしたがって、自動ブレーキシステムの高リスク衝突の回避能力は高くなると評価してもよい。

0076

このように、衝突発生事象を軽衝突事象と重衝突事象とに分けた上で、多項ロジスティック分析を行うことにより、高リスク衝突を回避する能力の観点から、自動ブレーキシステムを評価することができる。そして、衝突発生事象を軽衝突事象と重衝突事象とに分けて分析することは、衝突発生事象と衝突未発生事象との2つの分類について分析した場合に比べ、高リスク衝突を回避する能力(例えば、死亡事故回避能力)を評価することができる。また、各事象に対する分析方法として、多項ロジスティック回帰分析を行なっているため、衝突発生事象と衝突未発生事象との2つの分類に対する二項ロジスティック回帰分析の結果との整合性を保つことができる。

0077

なお、衝突発生事象を複数の群に分ける条件として、確率Q(AIS≧4)を用いたが、本発明はこれに限られず、確率Q(AIS≧3)のようにすることにより、略式生涯尺度が「重症」以上のものを重衝突事象として評価することができる。

0078

上記実施形態では、作動確認結果を3つの群に分類したものであるが、本発明では4つ以上の群に分類してもよい。例えば、略式生涯尺度は6段階でランク付けされているため、衝突発生事象を6つのランクごとに分け、これらのランクごとに分析を行ってもよい。

0079

上記実施形態では、自動ブレーキシステムの評価を行うために、事象ごとの回帰分析結果を用いたが本発明はこれに限られない。例えば、所定の初期速度vi(例えば、10km/時、20km/時、30km/時、・・・)について、自動ブレーキシステムの作動によって被衝突物に衝突するか否かの作動確認試験を、それぞれ、所定の回数(例えば、10回)だけ行う。そして、作動確認結果を3つの事象(衝突未発生事象、軽衝突事象、及び重衝突事象)に分け、事象ごとのスコア{=該当する事象数×所定の配点(重み)}を算出する。このようにして得られた各事象のスコアの和を同一の初期速度viごとに求め、当該スコアの和に基づいて自動ブレーキシステムの評価を行ってもよい。配点は、衝突のリスクが低くなるにしたがって、大きくする(例えば、衝突未発生事象の配点を「5」、軽衝突事象の配点を「3」、重衝突事象の配点を「0」とする)。この場合には、同一の初期速度viにおける各事象のスコアの和が大きくなるにしたがって、自動ブレーキシステムの衝突回避能力は高く、当該和が小さくなるにしたがって、自動ブレーキシステムの衝突回避能力は低くなるといえる。

0080

なお、本発明には、以下に述べる構成が含まれる。

0081

上記課題を解決する手段は、コンピュータに実行される自動ブレーキシステムの評価プログラムであって、前記実行されるコンピュータは、前記自動ブレーキシステムを搭載した車両が前記自動ブレーキシステムの作動によって被衝突物に衝突するか否かの試験の結果に基づいて回帰分析を行なう回帰分析実行部と、前記回帰分析の結果に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価する評価部と、を備えるように機能し、前記回帰分析における説明変数は、前記自動ブレーキシステムが作動する前の前記車両の前記被衝突物に対する相対速度viであることを特徴とする。

0082

前記回帰分析実行部は、ロジスティック回帰分析を用いて、前記車両が前記被衝突物に衝突した事象と、前記車両が前記被衝突物に衝突しなかった事象との発生確率を算出することが好ましい。また、前記ロジスティック回帰分析における目的変数は前記車両が前記被衝突物に衝突したか否かを表すダミー変数Cdvであることが好ましい。

0083

前記実行されるコンピュータは、前記被衝突物への衝突が発生した事象を、前記衝突のレベルに対応して前記事象を選別する選別部を備えるように機能し、前記回帰分析実行部は、前記衝突のレベルに対応して前記事象の発生確率を算出することが好ましい。また、前記選別部は、前記被衝突物への衝突が発生した事象を、所定の閾値によって、衝突による悪影響が小さい軽衝突事象と、前記軽衝突事象よりも衝突による悪影響が大きい重衝突事象とに選別し、前記回帰分析実行部は、多項ロジスティック回帰分析を用いて、前記衝突が発生していない事象、前記軽衝突事象、及び前記重衝突事象の発生確率を算出することが好ましい。

0084

前記多項ロジスティック回帰分析の目的変数は、前記事象の発生確率であることが好ましい。

0085

前記評価部は、前記選別された事象の発生確率の積分値を用いて、前記自動ブレーキシステムの性能を評価することが好ましい。また、前記所定の閾値は、前記被衝突物にて誘発される現象の発生確率であることが好ましい。さらに、前記所定の閾値は、前記車両が前記被衝突物への衝突したときの前記被衝突物に対する相対速度vcであることが好ましい。前記実行されるコンピュータは、前記閾値を設定する閾値設定部を備えるように機能することが好ましい。

0086

前記評価部は、前記相対速度viの車両における前記被衝突物への衝突が発生した事象の発生確率R(vi)に基づいて、前記ブレーキシステムの性能を評価することが好ましい。また、前記評価部は、前記相対速度viの車両が前記被衝突物である人に衝突したときの死者数を表す分布関数F(vi)に、前記発生確率R(vi)を乗じて算出された死者の発生数に基づいて、前記ブレーキシステムの性能を評価することが好ましい。

0087

前記回帰分析における目的変数は前記車両が前記被衝突物への衝突したときの前記被衝突物に対する相対速度vcであることが好ましい。また、前記回帰分析実行部は一次式モデルを用いた線形回帰分析を行ない、前記評価部は、前記回帰分析によって得られる回帰式の傾きと、前記回帰式において前記目的変数が0であるときの前記説明変数の値とのうち少なくとも一方に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価することが好ましい。

0088

前記評価部では、前記相対速度vcの衝突によって前記被衝突物にて誘発される現象の発生確率を求めるとともに、前記現象の発生確率に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価することが好ましい。また、前記現象は、頭部傷害指標であることが好ましい。さらに、記評価部は、略式傷害尺度に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価することが好ましい。

0089

また、上記課題を解決する手段は、自動ブレーキシステムを搭載した車両が前記自動ブレーキシステムの作動によって被衝突物に衝突するか否かの試験の結果に基づいて回帰分析を行なう回帰分析実行部と、前記回帰分析の結果に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価する評価部とを備え、前記回帰分析における説明変数は、前記自動ブレーキシステムが作動する前の前記車両の前記被衝突物に対する相対速度viであることを特徴とする自動ブレーキシステムの評価装置である。

0090

前記回帰分析実行部は、ロジスティック回帰分析を用いて、前記車両が前記被衝突物に衝突した事象と、前記車両が前記被衝突物に衝突しなかった事象との発生確率を算出することが好ましい。また、前記回帰分析における目的変数は、前記車両が前記被衝突物への衝突したときの前記被衝突物に対する相対速度vcであることが好ましい。

0091

さらに、上記課題を解決する手段は、自動ブレーキシステムを搭載した車両が前記自動ブレーキシステムの作動によって被衝突物に衝突するか否かの試験の結果に基づいて回帰分析を行なう回帰分析実行ステップと、前記回帰分析の結果に基づいて前記自動ブレーキシステムの性能を評価する評価ステップとを有し、前記回帰分析における説明変数は、前記自動ブレーキシステムが作動する前の前記車両の前記被衝突物に対する相対速度viであることを特徴とする自動ブレーキシステムの評価方法である。

0092

上述した自動ブレーキシステムの評価プログラム、評価装置、及び評価方法は、自動ブレーキシステムの性能を、その方式によらずに画一的に評価することができる。

0093

10自動ブレーキシステム
11 測距センサ
12衝突センサ
13速度センサ
14 制御部
15記憶装置
20 車両
21エンジン
22アクセルペダル
23 タイヤ
24ドライブシャフト
25ブレーキ機構
27ハンドル
30障害物
40評価装置
40A回帰分析実行部
40B 評価部
50、60 回帰線

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