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技術 強度、潤滑性および耐摩耗性に優れた自己潤滑性金属複合材料および自己潤滑性金属基複合材料、ならびに当該金属複合材料および金属基複合材料の製造方法

出願人 国立大学法人名古屋工業大学
発明者 佐藤尚小栗一晃山田素子大矢泰正水野亮渡辺義見
出願日 2013年11月7日 (7年7ヶ月経過) 出願番号 2013-231403
公開日 2014年7月10日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2014-129593
状態 特許登録済
技術分野 鋳ぐるみ鋳造 遠心鋳造 非鉄合金の製造 複合金属又は合金の製造
主要キーワード 母材金属中 固体潤滑物質 反射電子組成像 傾斜分散 固体潤滑粒子 遠心力方向 Cu基 重力倍数
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図面 (18)

課題

金属母材の強度を保ちつつ潤滑特性および耐摩耗性を向上させるために適した固体潤滑粒子分布を持つ自己潤滑性金属複合材料および自己潤滑性金属基複合材料を提供する。

解決手段

金属母材に対する固体潤滑粒子が母材体積比で1%〜10%である金属複合材料および金属基複合材料。金属複合材料は、母材金属粉末および固体潤滑粒子からなる混合粉末母材溶湯流し込み、遠心力を利用した混合粉末法にて製造され、また、本発明の金属基複合材料は、母材金属粉末、硬質粒子および固体潤滑粒子からなる混合粉末に母材溶湯を流し込み、遠心力を利用した混合粉末法にて製造される。

概要

背景

軸受における部品の一つに軸受保持器がある。この軸受保持器に用いられる素材には、プラスチックの他、軸受鋼とのなじみ性に優れた高力黄銅が挙げられる。ここで、高力黄銅とは、CuおよびZnを主成分とし、その中に1%程度のFe、AlおよびMnが添加された材料あり、CuおよびZnのみを成分として黄銅に比べて高い強度をもつ材料である。

現在、高力黄銅性の軸受保持器は、遠心鋳造材機械加工によって製造されている。ここで、遠心鋳造とは、円筒などの形状を有する鋳型遠心力を印加し、その鋳型の内部に溶湯流し込むことによって、などの鋳造欠陥のない鋳造材を製造することが可能な技術である。この高力黄銅で製造された軸受保持器は、優れた摩耗特性を必要とする分野に応用されている。特に風力発電発電機用の軸受においては交換の困難さゆえ、軸受保持器の素材として用いられている高力黄銅には、既存の材料に比較して高い耐摩耗性が求められている。

金属材料あるいは金属基複合材料の耐摩耗性や潤滑性を向上させる手段の一つにグラファイト二硫化モリブデンのような固体潤滑物質複合化させる方法がある。ここで、金属材料は硬質粒子を含まない金属材料のこと言い、金属基複合材料は金属母材中に硬質粒子を含む材料を言う。固体潤滑粒子であるグラファイトや二硫化モリブデンは六方晶型の層状結晶構造を有しているため高い潤滑性を持つ。それゆえ、これら固体潤滑粒子を金属母材と複合化することで、その金属材料と相手材料となる異種物質の間における摩擦摩耗において摩擦係数を低下させることにより、金属材料の耐摩耗性を向上させることが可能である。

このような金属母材中に固体潤滑物質が複合化された自己潤滑性金属複合材料の製造手段として、特許文献1および特許文献2に示されている焼結法があげられる。特許文献1にて提案されている自己潤滑性金属複合材料は、質量%でNiが20〜40%、Pが0.1〜0.9%、Cが1〜8%を含有し、かつ5〜25%の気孔率を有する黒鉛分散型Cu基焼結合金である。さらに、特許文献2の発明は、金属母材中に質量%で0.01%〜40%の固体潤滑粒子を含む自己潤滑性焼結体である。しかしながら、この焼結法は、大きな部材の製造が困難であるという欠点を有する。さらに、材料内部における空孔の存在の存在により強度が低いという欠点を有する。

金属母材中に微細固相粒子を複合化させる方法の一つに、特許文献3に示されている遠心力混合粉末法がある。この技術では、まず母材金属粉末と複合化させたい固相粒子を混合して混合粉末1を作製する(図1参照)。そして、該混合粉末1を円筒形金型2に投入した後、前記円筒形状金型2を回転させることによって該混合粉末1に遠心力を印加し、湯道3を通じて溶解炉で溶解された母材金属溶湯4を流し込む(図2参照)。凝固後、微細な固相粒子が母材金属に強固に固定され、母材金属中に微細な固相粒子が均一あるいは傾斜分散した鋳造材を得ることできる(図3参照)。本技術による製品の大きさは鋳型のサイズに依存するため、大きな部材を容易に製造することができる。また、材料内部の空孔の低減が可能であることから、該技術を応用することで前記問題点の解決を期待することができる。

しかしながら、グラファイトなど多くの固体潤滑粒子の強度は、金属材料の強度に比べて低い場合が多い。そのため、特許文献2のように多量の固体潤滑粒子を金属母材中に複合化すると材料強度が低下することが考えられる。よって、金属材料において、金属母材の強度を低下させずに潤滑特性および耐摩耗性を向上させるような固体潤滑粒子の適切な分布見出す必要があるが、まだ見出されていない。

一方、非特許文献1では、金属基複合材料の耐摩耗性を改善する方法として硬質粒子の分布を変化させる方法が提案されている。しかし、この方法は、強度や耐摩耗性を改善することができるが、摩擦係数のような潤滑特性の改善が困難である。よって、金属基複合材料においても、強度、耐摩耗性および潤滑特性を両立するような材料設計が必要とされている。

概要

金属母材の強度を保ちつつ潤滑特性および耐摩耗性を向上させるために適した固体潤滑粒子分布を持つ自己潤滑性金属複合材料および自己潤滑性金属基複合材料を提供する。金属母材に対する固体潤滑粒子が母材体積比で1%〜10%である金属複合材料および金属基複合材料。金属複合材料は、母材金属粉末および固体潤滑粒子からなる混合粉末に母材溶湯流し込み、遠心力を利用した混合粉末法にて製造され、また、本発明の金属基複合材料は、母材金属粉末、硬質粒子および固体潤滑粒子からなる混合粉末に母材溶湯を流し込み、遠心力を利用した混合粉末法にて製造される。

目的

本発明の課題は、上記点に鑑みて、金属母材の強度を保ちつつ、潤滑特性および耐摩耗性を向上させるために適した固体潤滑粒子分布を持つ自己潤滑性金属複合材料および自己潤滑性金属基複合材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

金属母材に対する固体潤滑粒子体積比で1vol%〜10vol%である、金属複合材料および金属基複合材料

請求項2

前記金属母材がCuもしくはCu合金であり、前記固体潤滑粒子がグラファイトである、請求項1に記載の金属複合材料および金属基複合材料。

請求項3

前記金属基複合材料が硬質粒子を含む、請求項1または2に記載の金属基複合材料。

請求項4

固体潤滑粒子が摺動面近傍により多く傾斜分散した、請求項1〜3のいずれかに記載の金属複合材料および金属基複合材料。

請求項5

母材金属粉末および固体潤滑物質を混合して混合粉末を作製し、該混合粉末を金型投入した後、該金型を回転させて該混合粉末に遠心力を作用させながら、鋳造用溶解炉溶融した母材溶融金属流し込み、該母材溶融金属の持つ熱により前記母材金属粉末を溶融させ、凝固させる、固体潤滑物質が金属母材に分散した金属複合材料の製造方法。

請求項6

請求項5に記載の混合粉末がさらに硬質粒子を含む金属基複合材料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、潤滑性および耐摩耗性に優れ、軸受等に使用される金属との複合材料の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

軸受における部品の一つに軸受保持器がある。この軸受保持器に用いられる素材には、プラスチックの他、軸受鋼とのなじみ性に優れた高力黄銅が挙げられる。ここで、高力黄銅とは、CuおよびZnを主成分とし、その中に1%程度のFe、AlおよびMnが添加された材料あり、CuおよびZnのみを成分として黄銅に比べて高い強度をもつ材料である。

0003

現在、高力黄銅性の軸受保持器は、遠心鋳造材機械加工によって製造されている。ここで、遠心鋳造とは、円筒などの形状を有する鋳型遠心力を印加し、その鋳型の内部に溶湯流し込むことによって、などの鋳造欠陥のない鋳造材を製造することが可能な技術である。この高力黄銅で製造された軸受保持器は、優れた摩耗特性を必要とする分野に応用されている。特に風力発電発電機用の軸受においては交換の困難さゆえ、軸受保持器の素材として用いられている高力黄銅には、既存の材料に比較して高い耐摩耗性が求められている。

0004

金属材料あるいは金属基複合材料の耐摩耗性や潤滑性を向上させる手段の一つにグラファイト二硫化モリブデンのような固体潤滑物質複合化させる方法がある。ここで、金属材料は硬質粒子を含まない金属材料のこと言い、金属基複合材料は金属母材中に硬質粒子を含む材料を言う。固体潤滑粒子であるグラファイトや二硫化モリブデンは六方晶型の層状結晶構造を有しているため高い潤滑性を持つ。それゆえ、これら固体潤滑粒子を金属母材と複合化することで、その金属材料と相手材料となる異種物質の間における摩擦摩耗において摩擦係数を低下させることにより、金属材料の耐摩耗性を向上させることが可能である。

0005

このような金属母材中に固体潤滑物質が複合化された自己潤滑性金属複合材料の製造手段として、特許文献1および特許文献2に示されている焼結法があげられる。特許文献1にて提案されている自己潤滑性金属複合材料は、質量%でNiが20〜40%、Pが0.1〜0.9%、Cが1〜8%を含有し、かつ5〜25%の気孔率を有する黒鉛分散型Cu基焼結合金である。さらに、特許文献2の発明は、金属母材中に質量%で0.01%〜40%の固体潤滑粒子を含む自己潤滑性焼結体である。しかしながら、この焼結法は、大きな部材の製造が困難であるという欠点を有する。さらに、材料内部における空孔の存在の存在により強度が低いという欠点を有する。

0006

金属母材中に微細固相粒子を複合化させる方法の一つに、特許文献3に示されている遠心力混合粉末法がある。この技術では、まず母材金属粉末と複合化させたい固相粒子を混合して混合粉末1を作製する(図1参照)。そして、該混合粉末1を円筒形金型2に投入した後、前記円筒形状金型2を回転させることによって該混合粉末1に遠心力を印加し、湯道3を通じて溶解炉で溶解された母材金属溶湯4を流し込む(図2参照)。凝固後、微細な固相粒子が母材金属に強固に固定され、母材金属中に微細な固相粒子が均一あるいは傾斜分散した鋳造材を得ることできる(図3参照)。本技術による製品の大きさは鋳型のサイズに依存するため、大きな部材を容易に製造することができる。また、材料内部の空孔の低減が可能であることから、該技術を応用することで前記問題点の解決を期待することができる。

0007

しかしながら、グラファイトなど多くの固体潤滑粒子の強度は、金属材料の強度に比べて低い場合が多い。そのため、特許文献2のように多量の固体潤滑粒子を金属母材中に複合化すると材料強度が低下することが考えられる。よって、金属材料において、金属母材の強度を低下させずに潤滑特性および耐摩耗性を向上させるような固体潤滑粒子の適切な分布見出す必要があるが、まだ見出されていない。

0008

一方、非特許文献1では、金属基複合材料の耐摩耗性を改善する方法として硬質粒子の分布を変化させる方法が提案されている。しかし、この方法は、強度や耐摩耗性を改善することができるが、摩擦係数のような潤滑特性の改善が困難である。よって、金属基複合材料においても、強度、耐摩耗性および潤滑特性を両立するような材料設計が必要とされている。

0009

特開2002−180162
特開平11−241129
特開2008−284589

先行技術

0010

H. Sato, E. Miura−Fujiwara and Y. Watanabe:Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 51 (2012) 01AK01(6pages)

発明が解決しようとする課題

0011

本発明の課題は、上記点に鑑みて、金属母材の強度を保ちつつ、潤滑特性および耐摩耗性を向上させるために適した固体潤滑粒子分布を持つ自己潤滑性金属複合材料および自己潤滑性金属基複合材料を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、遠心力混合粉末法にてCu等の金属あるいは金属基母材に固体潤滑粒子を適切な体積率で配合して複合化することで、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の自己潤滑性金属複合材料および自己潤滑性金属基複合材料、ならびにそれら金属複合材料および金属基複合材料の製造方法が提供される。

0013

[1]金属母材に対する固体潤滑粒子が体積比で1vol%〜10vol%である、金属複合材料および金属基複合材料。

0014

[2]前記金属母材がCuもしくはCu合金であり、前記固体潤滑粒子がグラファイトである、前記[1]に記載の金属複合材料および金属基複合材料。

0015

[3]前記金属基複合材料が硬質粒子を含む、前記[1]または[2]に記載の金属基複合材料。

0016

[4]固体潤滑粒子が摺動面近傍により多く傾斜分散した、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の金属複合材料および金属基複合材料。

0017

[5]母材金属粉末および固体潤滑物質を混合して混合粉末を作製し、該混合粉末を金型に投入した後、該金型を回転させて該混合粉末に遠心力を作用させながら、鋳造用溶解炉で溶融した母材溶融金属流し込み、該母材溶融金属の持つ熱により前記母材金属粉末を溶融させ、凝固させる、固体潤滑物質が金属母材に分散した金属複合材料の製造方法。

0018

[6][5]に記載の混合粉末がさらに硬質粒子を含む金属基複合材料の製造方法。

図面の簡単な説明

0019

遠心力混合粉末法における母材金属粉末と固相粒子粉末の混合粉末を回転中の円筒形状金型に投入する方法を模式的に描いた図である。
遠心力混合粉末法における母材金属溶湯を回転中の円筒形状金型に流し込む方法を模式的に描いた図である。
遠心力混合粉末法にて作製した円筒形状複合材料を模式的に描いた図である。
摺動面近傍に固体潤滑粒子がより多く傾斜分散した自己潤滑性金属複合材料を模式的に描いた図である。
摺動面近傍に固体潤滑粒子がより多く傾斜分散した自己潤滑性金属基複合材料を模式的に描いた図である。
遠心力にて棒状複合材料を作製する際に用いた真空遠心鋳造装置を模式的に描いた図である。
本発明の第1実施例において、遠心力混合粉末法によって製造したCuとグラファイト粒子から構成されるCu複合材料の断面の走査型電子顕微鏡二次電子像である。
本発明の第1実施例において、遠心力混合粉末法によって製造したCuとグラファイト粒子から構成されるCu複合材料の断面の走査型電子顕微鏡の反射電子組成像である。
本発明の第1実施例において、遠心力混合粉末法によって製造したCuとグラファイト粒子から構成されるCu複合材料および純Cu鋳造材の摩擦摩耗試験中における摩擦係数の変化を示したグラフである。
本発明の第1実施例において、遠心力混合粉末法によって製造したCuとグラファイト粒子から構成されるCu複合材料および純Cu鋳造材の摩擦摩耗試験後における摩耗痕表面を示した光学顕微鏡写真である。
本発明の第1実施例において、Cu複合材料の平均摩擦係数とグラファイト粒子の母材体積比との関係を示すグラフである。
本発明の第1実施例において、摩擦摩耗によって生じたCu複合材料の摩耗痕断面積とグラファイト粒子の母材体積比との関係を示すグラフである。
本発明の第2実施例において、遠心力混合粉末法にて作製したCu基複合材料の組織を模式的に描いた図である。
本発明の第2実施例において、純Cu母材中に母材体積比が15%のSiC粒子および母材体積比2%のグラファイト粒子が複合化されたCu基複合材料における断面微細組織を示す電子顕微鏡写真である。
本発明の第2実施例において、Cu基複合材料の平均摩擦係数とグラファイト粒子の母材体積比との関係を示すグラフである。
本発明の第2実施例において、摩擦摩耗によって損失したCu基複合材料の体積とグラファイト粒子の母材体積比との関係を示すグラフである。
本発明の第2実施例において、平均粒径が150μmのSiC粒子を用いたCu基複合材料の0.2%耐力とグラファイト粒子の母材体積比との関係を示している。

0020

以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

0021

本発明の金属複合材料および金属基複合材料において、金属母材に対する固体潤滑粒子が体積比で1%〜15%であることが好ましく、1%〜10vol%がより好ましい。前記金属母材はCuもしくはCu合金が好ましい。前記固体潤滑粒子はグラファイトあるいは二硫化モリブデンであることが好ましく、グラファイトがより好ましい。金属基複合材料としては、金属母材と固体潤滑材粒子の他に、硬質粒子を含み、硬質粒子としてはSiC、TiC、CBN、AlN、ダイヤモンド等が好ましいが、SiCが特に好ましい。SiCの平均粒子径は50μm以下が好ましい。SiCの母材金属に対する体積比は1〜30%が好ましい。本発明の金属複合材料および金属基複合材料において、固体潤滑粒子が摺動面近傍により多く傾斜分散していることが好ましい(図4および図5参照)。本発明の金属複合材料は、母材金属粉末および固体潤滑粒子からなる混合粉末に母材溶湯を流し込み、遠心力を利用した混合粉末法にて作製されることが好ましい。また、本発明の金属基複合材料は、母材金属粉末、硬質粒子および固体潤滑粒子からなる混合粉末に母材溶湯を流し込み、遠心力を利用した混合粉末法にて作製されることが好ましい。

0022

以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

0023

(実施例1:自己潤滑性金属複合材料の作製と評価)
純Cu母材中にグラファイト粒子が複合化されたCu複合材料を製造する。母材金属粉末である純Cu粉末に対して平均粒子径50ミクロン(μm)のグラファイト粉末を体積比(グラファイト粉末/純Cu粉末)で25%〜55%添加した混合粉末を作製し、該混合粉末を図6に示す真空遠心鋳造装置の鋳造用鋳型10に投入した。また、母材金属11である純Cuインゴット120gを該真空遠心鋳造装置の坩堝装填し、真空中にて該純Cuインゴットを溶解温度1150℃〜1190℃に加熱することで母材溶融純Cuとした。そして、該鋳造用鋳型および母材溶融純Cuを回転させて重力倍数32G(重力倍数1Gが重力場に相当)の遠心力を印加して、該母材溶融純Cuを該鋳造用鋳型10に流し込んだ。この製造工程により、遠心力方向にグラファイト粒子14が傾斜分散したCu複合材料料を得た。その結果、該Cu複合材料料における遠心力方向の先端部には、グラファイト粒子が体積比で0%〜24%分散して複合化される。純Cu粉末7.58gと平均粒子径50μmのグラファイト粉末1.03gからなる混合粉末(グラファイト粉末の、純Cu粉末に対する体積比は54%)を作製し、該混合粉末に純Cuインゴット120gを1170℃に加熱して溶融させ、重力倍数32G(重力倍数1Gが重力場に相当)の遠心力を印加して、該溶融純Cuを流し込むことにより、純Cu母相中にグラファイト粒子が分散して構成されたCu複合材料を得た。図7は、該Cu複合材料(純Cu母材に対するグラファイト粒子の体積比が24%)における断面の走査型電子顕微鏡の二次電子像であり、グラファイト粒子が純Cu母相に複合化されている様子が確認できる。また、図8は、Cu基鋳造材における断面の走査型電子顕微鏡の反射電子組成像であり、この写真からも純Cu母相にグラファイト粒子が複合化されている様子が分かる。以上の結果より、本技術によって純Cu母相にグラファイト粒子が分散して構成されたCu複合材料の製造が可能であることが分かる。

0024

前記Cu複合材料と、同じ真空遠心鋳造装置にて純Cuインゴットを溶解して得られた純Cu鋳造材に対して、ボールオンディスク摩擦摩耗試験機にて摩擦摩耗試験を行った。該摩擦摩耗試験にて用いた相手材は球状の軸受鋼(JIS:SUJ2)であり、荷重は800gとした。図9は、摩擦摩耗試験中における摩擦係数の変化を示したグラフである。Cu複合材料の摩擦係数は、純Cu鋳造材の摩擦係数に比べて小さい。さらに、該Cu複合材料の摩擦摩耗試験中に生じる音は、該純Cu鋳造材に比べて小さいことも分かった。また、図10は、該Cu複合材料の摩耗痕表面および該純Cu鋳造材の摩耗痕表面の組織を示す光学顕微鏡写真である。これより、Cu複合材料の摩耗痕の幅は、該純Cu鋳造材の摩耗痕の幅に比べて小さく、グラファイト粒子との複合化によって耐摩耗性が向上することも分かった。

0025

次に、平均摩擦係数に対して、グラファイト粒子の純Cu母材との体積比の関係を調べた。その結果を、図11に示す。グラファイト粒子を添加することによってCu複合材料の平均摩擦係数は低下する。さらに、Cu母材に対するグラファイト粒子の体積比が15%を超えると平均摩擦係数は変化しない。図12は、摩擦摩耗によってCu複合材料に生じた摩耗痕の断面積とCu母材に対するグラファイト粒子の体積比との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、摩耗痕の断面積が増加することは、耐摩耗性に低下していることを意味する。Cu複合材料の耐摩耗性は、グラファイト粒子の添加にて向上するが、Cu母材に対するグラファイト粒子の体積比が15%を超えると変化しない。グラファイトは純Cuに比べて強度が小さいため、該実施例において、強度、潤滑特性および耐摩耗性を両立するために適したCu母材に対するグラファイト粒子の体積比は1%〜15%であり、1%〜10%がより好ましい。

0026

(実施例2:自己潤滑性金属基複合材料の作製と評価)
純Cu母材中に、硬質粒子としてSiC粒子、さらに固体潤滑粒子としてグラファイト粒子が複合化されたCu基複合材料を遠心力混合粉末法によって製造した。母材金属粉末である純Cu粉末に平均粒子径50μmのグラファイト粉末を母材金属粉末体積比で5%〜20%、さらに平均粒子径150μmと40μmの2種類のSiC粉末同体積比で25%混合した混合粉末を作製し、該混合粉末を図6に示す真空遠心鋳造装置の鋳造用鋳型10に投入した。また、母材金属11である純Cuインゴット100gを該真空遠心鋳造装置の坩堝に装填し、その後、真空中にて該純Cuインゴットを溶解温度1250℃〜1300℃で加熱することで母材溶融純Cuとした。そして、該鋳造用鋳型10および母材溶融純Cuを回転させて重力倍数35Gの遠心力を印加して、該母材溶融純Cuを該鋳造用鋳型10に流し込み、図13の模式図のように遠心力方向にグラファイト粒子14およびSiC粒子16が傾斜分散したCu基複合材料を得た。平均粒径150μmのSiC粒子を用いた場合、純Cu母材中に母材体積比で15%〜19%のSiC粒子、および母材体積比で1%〜5%のグラファイト粒子が複合化されたCu基複合材料を得た。一方、平均粒径40μmのSiC粒子を用いて作製した場合、純Cu母材中に母材体積比で6%〜10%のSiC粒子、および母材体積比で1%〜3%のグラファイト粒子が複合化されたCu基複合材料を得た。図14は、純Cu母材中に母材体積比で15%のSiC粒子(平均粒子径150μm)および2%のグラファイト粒子が複合化されたCu基複合材料における断面組織の走査型電子顕微鏡の反射電子組成像である。これより、遠心力混合粉末法によってCu母材中にSiC粒子およびグラファイト粒子の両方が複合化されている。

実施例

0027

前記Cu基複合材料に対して、ボール・オン・ディスク式摩擦摩耗試験機にて、実施例1と同様に摩擦摩耗試験を行った。該摩擦摩耗試験にて用いた相手材は、球状の軸受鋼(JIS:SUJ2)であり、荷重は800gとした。図15は、Cu基複合材料の平均摩擦係数とグラファイト粒子の母材体積比との関係を示すグラフである。平均粒径150μmのSiC粒子を用いた場合、グラファイト粒子の添加が母材体積比1%を超えるまでCu基複合材料の平均摩擦係数は低下していない。これは、SiC粒子の平均粒径がグラファイト粒子の平均粒径に比べて大きいためである。一方で、グラファイト粒子よりも小さい平均粒径40μmのSiC粒子を用いたCu基複合材料では、グラファイト粒子を添加することでCu基複合材料の平均摩擦係数が低下した。さらに、平均粒径が40μmのSiC粒子を用いたCu基複合材料において、グラファイト粒子の母材体積比が1%を超えると平均摩擦係数は変化しない。図16は、摩擦摩耗によって損失したCu基複合材料の体積とグラファイト粒子の母材体積比との関係を示すグラフである。摩擦摩耗によって損失する体積が増加することは、耐摩耗性に劣ることを意味する。このグラフから、グラファイト粒子の体積比が1%に到達するまで、Cu基複合材料の耐摩耗性はグラファイト粒子の体積率の増加に伴って向上している。しかし、Cu基複合材料の耐摩耗性はグラファイト粒子の母材体積比が1%を超えると飽和する。図17は、平均粒径が150μmのSiC粒子を用いたCu基複合材料の0.2%耐力とグラファイト粒子の母材体積比との関係を示している。Cu基複合材料の0.2%耐力は、グラファイト粒子の体積率の増加に伴い低下しているが、グラファイト粒子の母材体積比が2%を超えるとより顕著に低下している。よって、本Cu基複合材料において、強度、耐摩耗性および潤滑特性を両立するためには、グラファイト粒子の母材体積比は1%〜3%が好ましく、1%〜2%がより好ましい。

0028

本発明は、軸受など摺動部を有する機械部品耐久性が高くかつ低いスラスト力での加工が可能なメタルボンド砥石などに利用できる。

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