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技術 腸管出血性大腸菌検出培地

出願人 栄研化学株式会社
発明者 小松理川口公平
出願日 2013年11月28日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2013-245997
公開日 2014年7月10日 (6年4ヶ月経過) 公開番号 2014-128264
状態 特許登録済
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物、その培養処理
主要キーワード 培養スペース 検出対象外 予防対策 亜テルル酸塩 嘔吐物 pH指示薬 酸化還元色素 ブロモチモールブルー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年7月10日)のものです。
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課題

被験試料中の腸管出血性大腸菌培養法で検出できる検出培地を提供する。

解決手段

本発明に係る腸管出血性大腸菌を検出する検出培地は、大腸菌を検出するための基礎培地に、検出剤として少量の白糖およびpH指示薬並びにガラクトシド誘導体酵素発色基質を添加して大腸菌とその他の腸内細菌科細菌判別し、選択剤として亜テルル酸塩ノボビオシンならびに胆汁酸塩および/またはラウリル硫酸塩を添加して腸管出血性大腸菌とその他の大腸菌を判別することによる、腸管出血性大腸菌の検出培地およびそれを用いた検出方法である。

概要

背景

近年、腸管出血性大腸菌による食中毒が世界各国で報告されており、国内においても腸管出血性大腸菌による食中毒の発生が認められる。この腸管出血性大腸菌は一般の大腸菌と異なり、下痢症溶血性尿毒症性症候群に関わるベロ毒素を産生する特徴がある。そのため、腸管出血性大腸菌による食中毒は大きな社会問題となってきており、その原因究明予防対策確立が急務となっている。

毒素を産生する腸管出血性大腸菌の多くは血清型がO157であるが、O157の他に本毒素を産生する多数の種類の血清型の腸管出血性大腸菌が知られており、国内ではO26、O111、O103、O121、O145等の血清型が下痢患者から検出されている。

これらの血清型の異なる腸管出血性大腸菌を同一の方法で検出するため、変異型を含めたベロ毒素遺伝子を標的とし、オリゴヌクレオチドを用いて検出する方法が開示されている(特許文献1および特許文献2)。また、ベロ毒素を抗原抗体反応によって検出する方法も開示されている(特許文献3)。しかし、これらの検査方法は通常の微生物検査とは異なり、特別な装置や設備を必要とする。

一方、直接培養法により腸管出血性大腸菌を検出する方法として、酸化還元色素および糖を含む培地で培養する検査方法が開示されている(特許文献4)。しかしながら、この培地を用いた培養方法では、検出出来る腸管出血性大腸菌の血清型が限られており、腸管出血性大腸菌とその他の大腸菌との区別が十分に行なえない。

そこで、腸管出血性大腸菌を明確に検出できる培地、すなわち、他の類似菌等の発育を抑制するか、発育してもコロニーの色調や形状が異なる培地の開発が待たれていた。

概要

被験試料中の腸管出血性大腸菌を培養法で検出できる検出培地を提供する。本発明に係る腸管出血性大腸菌を検出する検出培地は、大腸菌を検出するための基礎培地に、検出剤として少量の白糖およびpH指示薬並びにガラクトシド誘導体酵素発色基質を添加して大腸菌とその他の腸内細菌科細菌判別し、選択剤として亜テルル酸塩ノボビオシンならびに胆汁酸塩および/またはラウリル硫酸塩を添加して腸管出血性大腸菌とその他の大腸菌を判別することによる、腸管出血性大腸菌の検出培地およびそれを用いた検出方法である。なし

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

白糖ラムノースpH指示薬酵素発色基質および亜テルル酸塩を含有する培地であって、酵素発色基質がガラクトシド誘導体であることを特徴とする、腸管出血性大腸菌検出培地

請求項2

さらに、胆汁酸塩および/またはラウリル硫酸ナトリウム、並びにノボビオシンを含有することを特徴とする、請求項1記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項3

前記pH指示薬が、フェノールレッドニュートラルレッドブロモクレゾールパープルブロモチモールブルーブロモフェノールレッドクロロフェノールレッドより選ばれるpH指示薬である、請求項1または2記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項4

前記pH指示薬が、ニュートラルレッドである、請求項1または2記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項5

前記ガラクトシド誘導体が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、3−インドリル−β−D−ガラクトシド、4−メチル−ウムベリフリル−β−D−ガラクトシド、p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド、6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドより選ばれる酵素発色基質である、請求項1〜4のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項6

前記ガラクトシド誘導体が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドである、請求項1〜4のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項7

前記白糖の濃度が、1−26g/Lである、請求項1〜6のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項8

前記白糖の濃度が、1−18g/Lである、請求項1〜6のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項9

前記白糖の濃度が、1−6g/Lである、請求項1〜6のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項10

培地1,000mLあたり、ペプトン5−15g、酵母エキス2−5g、塩化ナトリウム0.1−10g、胆汁酸塩0.1−2g、白糖1−26g、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド0.05−0.5g、ラムノース0.1−8g、亜テルル酸カリウム0.5−5mg、ノボビオシン0.05−1mg、ニュートラルレッド0.001−0.01g、寒天10−20gを含有する、腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項11

培地1,000mLあたり、ペプトン5−15g、酵母エキス2−5g、塩化ナトリウム0.1−10g、胆汁酸塩0.1−2g、白糖1−18g、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド0.05−0.5g、ラムノース0.1−8g、亜テルル酸カリウム0.5−5mg、ノボビオシン0.05−1mg、ニュートラルレッド0.001−0.01g、寒天10−20gを含有する、腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項12

培地1,000mLあたり、ペプトン5−15g、酵母エキス2−5g、塩化ナトリウム0.1−10g、胆汁酸塩0.1−2g、白糖1−6g、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド0.05−0.5g、ラムノース0.1−8g、亜テルル酸カリウム0.5−5mg、ノボビオシン0.05−1mg、ニュートラルレッド0.001−0.01g、寒天10−20gを含有する、腸管出血性大腸菌の検出培地。

請求項13

被験試料から腸管出血性大腸菌を検出する方法において、請求項1〜12のいずれかに記載の検出培地を用いて試料を培養する工程を少なくとも含む、腸管出血性大腸菌の検出方法

技術分野

0001

本発明は、食中毒菌である腸管出血性大腸菌を検出できる培地に関するものである。また、本発明は、前記培地を用いた、被検試料からの腸管出血性大腸菌の検出方法に関するものである。

背景技術

0002

近年、腸管出血性大腸菌による食中毒が世界各国で報告されており、国内においても腸管出血性大腸菌による食中毒の発生が認められる。この腸管出血性大腸菌は一般の大腸菌と異なり、下痢症溶血性尿毒症性症候群に関わるベロ毒素を産生する特徴がある。そのため、腸管出血性大腸菌による食中毒は大きな社会問題となってきており、その原因究明予防対策確立が急務となっている。

0003

毒素を産生する腸管出血性大腸菌の多くは血清型がO157であるが、O157の他に本毒素を産生する多数の種類の血清型の腸管出血性大腸菌が知られており、国内ではO26、O111、O103、O121、O145等の血清型が下痢患者から検出されている。

0004

これらの血清型の異なる腸管出血性大腸菌を同一の方法で検出するため、変異型を含めたベロ毒素遺伝子を標的とし、オリゴヌクレオチドを用いて検出する方法が開示されている(特許文献1および特許文献2)。また、ベロ毒素を抗原抗体反応によって検出する方法も開示されている(特許文献3)。しかし、これらの検査方法は通常の微生物検査とは異なり、特別な装置や設備を必要とする。

0005

一方、直接培養法により腸管出血性大腸菌を検出する方法として、酸化還元色素および糖を含む培地で培養する検査方法が開示されている(特許文献4)。しかしながら、この培地を用いた培養方法では、検出出来る腸管出血性大腸菌の血清型が限られており、腸管出血性大腸菌とその他の大腸菌との区別が十分に行なえない。

0006

そこで、腸管出血性大腸菌を明確に検出できる培地、すなわち、他の類似菌等の発育を抑制するか、発育してもコロニーの色調や形状が異なる培地の開発が待たれていた。

先行技術

0007

特開平11−332599号公報
特開2001−95576号公報
特開2003−284588号公報
特開2010−75179号公報

発明が解決しようとする課題

0008

食中毒の原因菌が腸管出血性大腸菌であるか否かにより、その治療法や予後が異なる。そのため、ベロ毒素の産生の有無を遺伝子検査等で調べる、腸管出血性大腸菌の検出法が実施されている。しかし、これらの検査を行うためには特別な装置や設備を必要とする。

0009

また、腸管出血性大腸菌が有する酵素発色基質を添加する培養法では、全ての腸管出血性大腸菌を類似細菌と判別するためには複数の培地を用い、それらを組み合わせる必要がある。それゆえ、比較的簡便な培養法を用い、広い範囲の腸管出血性大腸菌を検出することが出来る方法、すなわち培地が必要とされる。

課題を解決するための手段

0010

大腸菌とその他の腸内細菌科細菌が有している酵素は類似しているため、酵素活性を利用する培養法によってこれらを判別することは困難である。すなわち、大腸菌およびその他の腸内細菌科細菌はガラクトシダーゼを有しており、その発色基質であるガラクトシド誘導体を培地中に添加したとき、その発育に伴い、発色基質が分解したときの色調を呈する。

0011

例えば、発色基質であるガラクトシド誘導体として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを選択して培地中に添加したとき、その発育に伴い、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドが分解してコロニーが緑色を呈する。

0012

また、白糖およびpH指示薬を培地中に添加したとき、大腸菌およびその他の腸内細菌科細菌が白糖を分解することにより生じる酸により、pH指示薬の色が酸性側の色に変色する。

0013

例えば、pH指示薬としてニュートラルレッドを選択して培地中に添加したとき、その発育に伴い、白糖が分解して生じる酸によりコロニーが赤色を呈する。

0014

それゆえ、発色基質であるガラクトシド誘導体の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド並びに白糖およびpH指示薬のニュートラルレッドを添加した培地で大腸菌およびその他の腸内細菌科細菌を培養すると、ともにコロニーが紫色を呈することとなる。

0015

しかしながら、白糖の添加量を減ずることにより、その量にしたがって大腸菌のコロニーの呈色が紫色から緑色に変化する反面、その他の腸内細菌科細菌のコロニーの呈色は紫色のままであった。

0016

すなわち、培地中に5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド並びに白糖およびニュートラルレッドを添加するとき、白糖の添加量を少なくすることにより、大腸菌とその他の腸内細菌科細菌を判別することが可能となった。

0017

次に、腸管出血性大腸菌とその他の大腸菌を判別する方法であるが、培地中に亜テルル酸カリウムを添加しても腸管出血性大腸菌は発育する反面、その他の大腸菌は発育が抑制された。それゆえ、培地中に亜テルル酸カリウムを添加することにより、腸管出血性大腸菌とその他の大腸菌を判別することが可能となる。

0018

これらの結果より、発色基質であるガラクトシド誘導体の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド並びに減じた量の白糖およびpH指示薬のニュートラルレッドを添加した培地中に、さらに亜テルル酸カリウムを添加した培地を用いることにより、腸管出血性大腸菌を判別することが可能となる。

0019

すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)白糖、ラムノース、pH指示薬、酵素発色基質および亜テルル酸塩を含有する培地であって、酵素発色基質がガラクトシド誘導体であることを特徴とする、腸管出血性大腸菌の検出培地
(2)さらに、胆汁酸塩および/またはラウリル硫酸ナトリウム、並びにノボビオシンを含有することを特徴とする、(1)記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。
(3)前記pH指示薬が、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ブロモクレゾールパープルブロモチモールブルーブロモフェノールレッドクロロフェノールレッドより選ばれるpH指示薬である、(1)または(2)記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。
(4)前記pH指示薬が、ニュートラルレッドである、(1)または(2)記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。
(5)前記ガラクトシド誘導体が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、3−インドリル−β−D−ガラクトシド、4−メチル−ウムベリフリル−β−D−ガラクトシド、p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド、6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドより選ばれる酵素発色基質である、(1)〜(4)のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。
(6)前記ガラクトシド誘導体が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドである、(1)〜(4)のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。
(7)前記白糖の濃度が、1−26g/Lである、(1)〜(6)のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。
(8)前記白糖の濃度が、1−18g/Lである、(1)〜(6)のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。
(9)前記白糖の濃度が、1−6g/Lである、(1)〜(6)のいずれかに記載の腸管出血性大腸菌の検出培地。
(10)培地1,000mLあたり、ペプトン5−15g、酵母エキス2−5g、塩化ナトリウム0.1−10g、胆汁酸塩0.1−2g、白糖1−26g、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド0.05−0.5g、ラムノース0.1−8g、亜テルル酸カリウム0.5−5mg、ノボビオシン0.05−1mg、ニュートラルレッド0.001−0.01g、寒天10−20gを含有する、腸管出血性大腸菌の検出培地。
(11)培地1,000mLあたり、ペプトン5−15g、酵母エキス2−5g、塩化ナトリウム0.1−10g、胆汁酸塩0.1−2g、白糖1−18g、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド0.05−0.5g、ラムノース0.1−8g、亜テルル酸カリウム0.5−5mg、ノボビオシン0.05−1mg、ニュートラルレッド0.001−0.01g、寒天10−20gを含有する、腸管出血性大腸菌の検出培地。
(12)培地1,000mLあたり、ペプトン5−15g、酵母エキス2−5g、塩化ナトリウム0.1−10g、胆汁酸塩0.1−2g、白糖1−6g、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド0.05−0.5g、ラムノース0.1−8g、亜テルル酸カリウム0.5−5mg、ノボビオシン0.05−1mg、ニュートラルレッド0.001−0.01g、寒天10−20gを含有する、腸管出血性大腸菌の検出培地。
(13)被験試料から腸管出血性大腸菌を検出する方法において、(1)〜(12)のいずれかに記載の検出培地を用いて試料を培養する工程を少なくとも含む、腸管出血性大腸菌の検出方法。

発明の効果

0020

本発明を実施することにより、被検試料中に含まれる、食中毒菌として重要な腸管出血性大腸菌を、一種類の培地を用いて検出することが可能となる。

0021

細菌の増殖を支持するための栄養素および塩濃度、ならびに平板培地とするためのゲル化剤を含む基礎培地に、細菌を鑑別するための白糖およびpH指示薬並びに酵素発色基質のガラクトシド誘導体、検出対象外の細菌の増殖を抑制する亜テルル酸塩、ノボビオシン、ならびに胆汁酸塩および/またはクエン酸ナトリウムを加えることにより、腸管出血性大腸菌を検出することが出来る。

0022

本発明を、一例としてpH指示薬にニュートラルレッドを、ガラクトシド誘導体に5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを、発育抑制剤に亜テルル酸カリウムを用い、白糖の濃度を6g/Lの条件で説明するが、本例に限定されることはない。

0023

ガラクトシダーゼ酵素を有している大腸菌およびその他の腸内細菌科細菌を、0.1g/Lの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを添加した培地で培養すると、その発育に伴い、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドが分解して、コロニーが緑色を呈する。

0024

また、大腸菌およびその他の腸内細菌科細菌を、6g/Lの白糖および5mg/Lのニュートラルレッドを添加した培地で培養すると、その発育に伴い、白糖が分解されて酸が生じることによりpHが低下し、コロニーが赤色を呈する。

0025

しかし、これらを組み合わせて添加した培地、すなわち、6g/Lの白糖および5mg/Lのニュートラルレッド並びに0.1g/Lの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを添加した培地で大腸菌およびその他の腸内細菌科細菌を培養すると、大腸菌のコロニーは、白糖およびニュートラルレッドを添加しなかったときと同様に緑色〜青緑色を呈するが、その他の腸内細菌科細菌のコロニーは、緑色と赤色の中間色の紫色を呈した。

0026

このことから、白糖およびニュートラルレッド並びに5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを添加した培地において、白糖の濃度を低濃度にすることにより、大腸菌とその他の腸内細菌科細菌を判別することが可能であることが解った。

0027

また、培地中に亜テルル酸カリウムを0.001g/L添加すると、腸管出血性大腸菌は発育する反面、その他の大腸菌の発育が抑制された。このことから、亜テルル酸カリウムを添加した培地において、腸管出血性大腸菌とその他の大腸菌を判別することが可能であることが解った。

0028

すなわち、6g/Lの白糖、5mg/Lのニュートラルレッド、0.1g/Lの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、および0.001g/Lの亜テルル酸カリウムを添加した培地を用いることにより、発育してそのコロニーが緑色〜青緑色を呈色したものについて、腸管出血性大腸菌と判断出来る。

0029

なお、培地に添加するpH指示薬を、ニュートラルレッドからフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、ブロモフェノールレッド、またはクロロフェノールレッドに変更しても、細菌の発育に伴う培地の酸性化を色の変化で捉える機序は同じであるから、同等の結果が得られる。

0030

また、培地に添加する発色基質であるガラクトシド誘導体を、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドから3−インドリル−β−D−ガラクトシド、4−メチル−ウムベリフェリル−β−D−ガラクトシド、p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド、6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、または5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドに変更しても、細菌の発育に伴う酵素活性を色の変化で捉える機序は同じであるから、同等の結果が得られる。

0031

対象細菌を鑑別するための白糖および薬剤の濃度の確認
1.白糖の濃度の違いによる発育コロニーの呈色
白糖の濃度の違いによる白糖の分解性の違いを調べるために、以下の組成の培地に白糖を添加し、白糖の濃度が1、2、6、10、14、18、22、26、および30g/Lとなるように培地を調製した。試験菌として大腸菌およびその他の腸内細菌科細菌を用い、ハートインフュージョンブイヨン培地で1夜培養してその1白金耳を各培地に塗抹接種し、37℃18時間培養した後のコロニーの呈色を確認した。

0032

培地の組成(培地1Lあたり)
ペプトン10g
塩化ナトリウム5g
5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド0.1g
ニュートラルレッド0.03g
寒天15g
pH 7.2±0.2

0033

コロニーの呈色について表1に示すが、白糖濃度が26g/Lで大腸菌が全て青紫色を呈し、その他の腸内細菌科細菌は色または紫色を呈したため、大腸菌の判別が可能となる。また、白糖濃度を18g/Lまで下げると大腸菌が全て青緑色を呈し、その他の腸内細菌科細菌は桃色または紫色を呈したため、より大腸菌の判別が可能となる。さらに、白糖濃度を6g/Lまで下げると大腸菌が青緑色〜緑色を呈し、その他の腸内細菌科細菌は桃色または紫色を呈したため、さらに大腸菌の判別が可能となる。それゆえ、白糖濃度が、好ましくは26g/L以下、より好ましくは18g/L以下、さらに好ましくは6g/L以下の場合に、発育したコロニーの呈色の違いにより、大腸菌とその他の腸内細菌科細菌を判別することが可能であった。

0034

0035

2.亜テルル酸カリウムの濃度の違いによる腸管出血性大腸菌およびその他の大腸菌の発育抑制効果
亜テルル酸カリウムの濃度の違いによる腸管出血性大腸菌およびその他の大腸菌の発育抑制効果を調べるために、実施例1の1.で示した組成の培地に亜テルル酸カリウムを添加し、亜テルル酸カリウムの濃度が0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、および1.4mg/Lとなるように培地を調製した。試験菌として腸管出血性大腸菌およびその他の大腸菌を用い、ハートインフュージョンブイヨン培地で1夜培養してその1白金耳を各培地に塗抹接種し、37℃18時間培養した後のコロニーの呈色を確認した。

0036

腸管出血性大腸菌の発育について表2に、その他の大腸菌の発育について表3に示すが、0.2〜1.0mg/Lの濃度の亜テルル酸カリウムを添加した培地で全ての腸管出血性大腸菌の発育が認められたが、0.8mg/Lの濃度の亜テルル酸カリウムを添加した培地で90%を超えるその他の大腸菌の発育を抑制することが出来た。

0037

0038

0039

腸管出血性大腸菌検出培地を用いた細菌の培養
実施例1の結果を基に、表4に示す組成の培地を用いて、種々の細菌を培養し、腸管出血性大腸菌の検出の可否を調べた。なお、試験菌は、ハートインフュージョンブイヨン培地で1夜培養してその1白金耳を各培地に塗抹接種し、37℃18時間培養した後のコロニーの発育およびその呈色を確認した。

0040

0041

腸管出血性大腸菌およびその他の細菌のコロニーの発育およびその呈色を、各々表5および表6に示すが、腸管出血性大腸菌の他の大腸菌2例(EKN464およびEKN688)を除き、コロニーの発育およびその呈色により、腸管出血性大腸菌およびその他の細菌を判別することが可能であった。

0042

0043

0044

培地の処方中のpH指示薬および発色基質の検討
実施例2の培地の処方中のpH指示薬のニュートラルレッドをフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、ブロモフェノールレッドまたはクロロフェノールレッドに、および発色基質の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−gal)を3−インドリル−β−D−ガラクトシド(Y−gal)、4−メチル−ウムベリフェリル−β−D−ガラクトシド(MUG)、p−ニトフェニール−β−D−ガラクトシド(PNPG)、6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(Sal−gal)または5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−D−ガラクトシド(megenta−gal)に置き換えて、種々のpH指示薬および発色基質を培地の処方として用いたときの腸管出血性大腸菌の検出能を検討した。

0045

表4に示す組成の中、pH指示薬および発色基質を置き換えて作製した培地を用いて、種々の細菌を培養し、腸管出血性大腸菌の検出の可否を調べた。この時のpH指示薬および発色基質の濃度は、実施例2のニュートラルレッドおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドと同量の、各々0.005g/Lおよび0.1g/Lとした。なお、試験菌は、ハートインフュージョンブイヨン培地で1夜培養してその1白金耳を各培地に塗抹接種し、37℃18時間培養した後のコロニーの発育およびその呈色を確認した。

0046

腸管出血性大腸菌およびその他の細菌のコロニーの発育およびその呈色を、pH指示薬として用いたニュートラルレッド(表7−1)、フェノールレッド(表7−2)、ブロモクレゾールパープル(表7−3)、ブロモチモールブルー(表7−4)、ブロモフェノールレッド(表7−5)およびクロロフェノールレッド(表7−6)に分けて示すが、発色基質として5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−D−ガラクトシドを用いたとき、並びにpH指示薬としてフェノールレッドまたはクロロフェノールレッドおよび発色基質としてp−ニトロフェニール−β−D−ガラクトシドを用いたときのEnterobacter cloacae等を除き、コロニーの発育およびその呈色により、腸管出血性大腸菌およびその他の細菌を判別することが可能であった。

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実施例

0053

すなわち、本願発明の培地を用いることにより、腸管出血性大腸菌を、その他の細菌と判別して検出することが可能となった。

0054

従来、腸管出血性大腸菌の検出には、血清型毎に特異的な培地が使用されてきた。すなわち、腸管出血性大腸菌を検出するためには複数の培地を用いる必要があった。

0055

しかし、本願発明の培地では、1枚の平板培地を用いることにより腸内出血性大腸菌の存在を容易に判断できる。それゆえ、食品工業分野においては、原材料製品中の腸管出血性大腸菌の有無を検証するための工程において、接種培地数を減らすことによる培養スペースや作業を簡便化でき、汚染品の排除や製品の出荷を速やかに行うことが可能となり、食品流通経済性に大きく貢献できる。

0056

また、医療分野においては、糞便嘔吐物を被検試料として用いることにより、腸管出血性大腸菌による食中毒患者の早期診断が可能となり、早い段階より有効な治療法の選択に寄与できる。

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