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図面 (20)

課題

抗NKG2A抗体、及び該抗体のヒト化バージョン、並びに該抗体の作製方法及び使用方法を提供する。

解決手段

マウス抗体Z270に対して実質的に同一の可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)ドメインを有する抗NKG2A抗体のヒト化バージョン。前記抗NKG2A抗体を含む製品、並びに、患者の癌やウイルス疾患などの疾患を治療するための前記製品の使用。

概要

背景

CD94/NKG2Aは、CD94/NKG2A-リガンドHLA-Eを発現する細胞の殺傷を制限する、NK、NKTおよびT細胞のサブセットに見られる細胞障害阻害性レセプターである(例として国際公報99/28748参照)。CD94/NKG2Aを阻害する抗体は、腫瘍細胞に対する腫瘍特異性リンパ球細胞溶解反応を増やしうる。したがって、CD94/NKG2A発現細胞を殺さない癌患者でのCD94/NKG2Aを阻害する治療的抗体は、腫瘍増殖を制御しうる。さらに、特定のリンパ腫、例えばNK-リンパ腫は、CD94/NKG2A発現に特徴がある。このような患者において、CD94/NKG2A発現細胞を標的として殺傷する治療的抗体は腫瘍細胞を全滅しうる。また、抗NKG2A抗体は、自己免疫性疾患又は炎症性疾患の治療での使用が提案されている(米国特許公開20030095965A1を参照、国際公報2006070286)。
CD94/NKG2Aに対する様々な抗体は従来技術において記述されている。例えば、Sivori等 (Eur J Immunol 1996;26:2487-92)はマウスの抗NKG2A抗体Z270に関し、Carretero等 (Eur J Immunol 1997;27:563-7)ではマウスの抗NKG2A抗体Z199(現在Beckman Coulter, Inc., Product No.IM2750, USAから市販される)が記載され、Vance等 (J Exp Med 1999;190: 1801-12)はマウスの抗NKG2-抗体20D5(現在BD Biosciences Pharmingen, Catalog No. 550518, USAから市販される)に関し、そして、米国特許公開20030095965は称するところによればNKG2A、NKG2CおよびNKG2Eに結合するマウスの抗体3S9を記載する。
現在利用可能な抗CD94/NKG2A抗体は非ヒト起源であるため、免疫原性によりほとんどのヒトの治療的適用に適さない。例えばCDR移植などの簡単なヒト化手法が有用であるのに対して、個々のヒト化手法は一般的に、機能的性質を十分に保持するかまたは向上させつつ、免疫原性を最小化する最適ヒト化変異体を得るために必要である。したがって、ヒト患者の治療に適切である抗CD94/NKG2A抗体が必要とされる。

概要

抗NKG2A抗体、及び該抗体のヒト化バージョン、並びに該抗体の作製方法及び使用方法を提供する。マウス抗体Z270に対して実質的に同一の可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)ドメインを有する抗NKG2A抗体のヒト化バージョン。前記抗NKG2A抗体を含む製品、並びに、患者の癌やウイルス疾患などの疾患を治療するための前記製品の使用。なし

目的

本発明は、抗NKG2A抗体並びに該抗体を含有する組成物、および該抗体の作製方法及び使用方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

マウス抗体Z270の相補性決定領域(CDR由来抗原結合残基とヒトアクセプターフレームワーク配列を含み、CDR−H2の少なくとも6のC末端残基が可変重(VH)ドメインヒトアクセプター配列のものと同じである、NKG2Aに特異的に結合する抗体。

請求項2

CD94/NKG2A発現細胞傷害性リンパ球細胞傷害性を増強する点でマウス抗体Z270可変軽(VL)(配列番号1)及びVH(配列番号2)配列を含む抗体よりも効果的である請求項1に記載の抗体。

請求項3

配列番号5の残基31−35に対応するCDR−H1と配列番号5の残基95−102に対応するCDR−H3を含むCDR−H1を含み、CDR−H2が配列番号5の残基50−59を含むに対応する請求項1又は2に記載の抗体。

請求項4

(a)VHドメインの5位のアミノ酸がV又はQであり;(b)VHドメインの69位のアミノ酸がM又はLであり;(c)VHドメインの71位のアミノ酸がT又はVであり;(d)VHドメインの73位のアミノ酸がT又はKであり;あるいは(e)VHドメインの75位のアミノ酸がT又はSである、請求項1から3の何れか一項に記載の抗体。

請求項5

VHドメインヒトアクセプターフレームワーク配列が如何なる逆突然変異も含まない請求項1から4の何れか一項に記載の抗体。

請求項6

VHドメインが配列番号5の配列を含む請求項1から5の何れか一項に記載の抗体。

請求項7

非ヒトCDR残基とヒトVHアクセプターフレームワーク配列を含むVHドメインを含み、配列番号4の残基24−34に対応するCDR−L1、配列番号4の残基50−56に対応するCDR−L2、及び配列番号4の残基89−97に対応するCDR−L3を含む、請求項1から6の何れか一項に記載の抗体。

請求項8

VLドメインヒトアクセプターフレームワークが配列番号4を含む請求項1から7の何れか一項に記載の抗体。

請求項9

(a)配列番号4の残基24−34に対応するCDR−L1;(b)配列番号4の残基50−56に対応するCDR−L2;(c)配列番号4の残基89−97に対応するCDR−L3;(d)配列番号5の残基31−35に対応するCDR−H1;(e)配列番号5の残基95−102に対応するCDR−H3;(f)配列番号5の残基50−59に対応するCDR−H2;(g)ヒトアクセプターフレームワーク配列を含み、CDR−H2の残基60−65がVHヒトアクセプター配列由来であり、ヒト化抗体が、配列番号1に対応する可変軽(VL)配列と配列番号2に対応するVH配列を含む抗体より、CD94/NKG2A発現NK細胞の細胞傷害性を増強する点で、より効果的である、NKG2Aに特異的に結合する抗体。

請求項10

非ヒトCDR残基とヒトVHアクセプターフレームワーク配列を含むVHドメインを含み、VHドメインが配列番号5の残基31−35に対応するCDR−H1、配列番号5の残基50−65に対応するCDR−H2、及び配列番号5の残基95−102に対応するCDR−H3を含む、NKG2Aに特異的に結合する抗体。

請求項11

IgG4抗体である請求項1から10の何れか一項に記載の抗体。

請求項12

抗体断片又は多重特異性抗体である請求項1から11の何れか一項に記載の抗体。

請求項13

抗NKG2A抗体の生産方法において、請求項1から12の何れか一項に記載の抗NKG2A抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、核酸が発現され抗体が生産されるように培養することを含む方法。

請求項14

請求項1から12の何れか一項に記載の抗体と薬学的に許容可能な担体を含有してなる薬学的組成物

請求項15

癌、ウイルス疾患炎症疾患、及び自己免疫疾患から選択される疾患のヒト患者治療方法において、請求項14に記載の薬学的組成物を投与することを含む方法。

技術分野

0001

本発明は、抗NKG2A抗体、特にマウスの抗NKG2A抗体Z270のヒト化バージョン、並びに該抗体の作製方法及び使用方法に関する。

背景技術

0002

CD94/NKG2Aは、CD94/NKG2A-リガンドHLA-Eを発現する細胞の殺傷を制限する、NK、NKTおよびT細胞のサブセットに見られる細胞障害阻害性レセプターである(例として国際公報99/28748参照)。CD94/NKG2Aを阻害する抗体は、腫瘍細胞に対する腫瘍特異性リンパ球細胞溶解反応を増やしうる。したがって、CD94/NKG2A発現細胞を殺さない癌患者でのCD94/NKG2Aを阻害する治療的抗体は、腫瘍増殖を制御しうる。さらに、特定のリンパ腫、例えばNK-リンパ腫は、CD94/NKG2A発現に特徴がある。このような患者において、CD94/NKG2A発現細胞を標的として殺傷する治療的抗体は腫瘍細胞を全滅しうる。また、抗NKG2A抗体は、自己免疫性疾患又は炎症性疾患の治療での使用が提案されている(米国特許公開20030095965A1を参照、国際公報2006070286)。
CD94/NKG2Aに対する様々な抗体は従来技術において記述されている。例えば、Sivori等 (Eur J Immunol 1996;26:2487-92)はマウスの抗NKG2A抗体Z270に関し、Carretero等 (Eur J Immunol 1997;27:563-7)ではマウスの抗NKG2A抗体Z199(現在Beckman Coulter, Inc., Product No.IM2750, USAから市販される)が記載され、Vance等 (J Exp Med 1999;190: 1801-12)はマウスの抗NKG2-抗体20D5(現在BD Biosciences Pharmingen, Catalog No. 550518, USAから市販される)に関し、そして、米国特許公開20030095965は称するところによればNKG2A、NKG2CおよびNKG2Eに結合するマウスの抗体3S9を記載する。
現在利用可能な抗CD94/NKG2A抗体は非ヒト起源であるため、免疫原性によりほとんどのヒトの治療的適用に適さない。例えばCDR移植などの簡単なヒト化手法が有用であるのに対して、個々のヒト化手法は一般的に、機能的性質を十分に保持するかまたは向上させつつ、免疫原性を最小化する最適ヒト化変異体を得るために必要である。したがって、ヒト患者の治療に適切である抗CD94/NKG2A抗体が必要とされる。

0003

本発明は、抗NKG2A抗体並びに該抗体を含有する組成物、および該抗体の作製方法及び使用方法を提供する。一実施態様では、抗体はマウスの抗NKG2A抗体Z270のヒト化バージョンであり、本明細書において「humZ270」を意味する。他の実施態様では、抗体は、Z270に対して実質的に同一の可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)ドメインを有する抗NKG2A抗体のヒト化バージョンである。
例えば免疫原性が低いなどの改善した特性、改善した抗原結合又は他の機能的特性、及び/又は例えば安全性が良好になるなどの改善した生理化学的特性を有する抗体を作製するための、フレームワーク領域(FR)のおよび/または該抗体のアミノ酸置換のための例示的な相補性決定領域(CDR)残基および/または部位が提供される。一態様では、本発明は、カバットCDRの少なくとも一部がヒトのアクセプター配列の対応する部分と同一であるヒト化抗体を提供する。一実施態様では、ヒトのアクセプターフレームワーク配列は、任意のアミノ酸置換も又は逆突然変異を含まない。他の実施態様では、ヒトのフレームワーク配列は少なくとも一のアミノ酸置換を含んでなる。このような例示的なアミノ酸置換のためのカバット位置は、VHドメインのフレームワーク領域内の5、66、67、69、71、73および75、VLドメインのフレームワーク領域内の46および48、及びCDR-H2の60、63、64及び65を含む。

0004

他の態様では、本発明は、前記抗体と担体を含有してなる医薬組成物、及び細胞障害性剤又は検出可能な薬剤コンジュゲートさせた前記抗体を含有してなるイムノコンジュゲートを提供する。
他の態様では、本発明は、前記抗体をコードする核酸およびベクター、及び該核酸および/またはベクターを含む宿主細胞を提供する。また、核酸が生成するように前記宿主細胞を培養することによる抗NKG2A抗体を産生するための組み換え法が提供される。
他の態様では、本発明は、前記抗NKG2A抗体を包含する容器と、患者の癌やウイルス疾患などの疾患を治療するための使用を示す指示書とを具備する製造品を提供する。場合によって、製造品は他の薬剤を包含する他の容器を具備し、この指示書は薬剤と組み合わせた抗体によって疾患を治療するための使用を示すものである。
また、本発明は、患者の癌、ウイルス性疾患、炎症性疾患又は自己免疫性疾患などの疾患の治療に、場合によって他の抗癌剤抗ウイルス疾患剤又は抗炎症剤と組み合わせて、前記抗NKG2A抗体を使用する方法を提供する。

図面の簡単な説明

0005

図1は、選択された生殖系列V−及びJ部位を有するZ270VH及びZ270VLのアラインメント及び典型的なhumZ270VL1(配列番号:4)及びhumZ270VH1(配列番号:5)配列を示し、カバット・スキームに従うアミノ酸残基番号付けを伴っている(Kabat et al, 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, Na-tional Institutes of Health, Bethesda, MD.)。マスク残基は、カバット・スキームにおいて斜線をつけられる;CDR残基は、カバット・スキームにおいてボールドで示される;VKI_02/JK4(配列番号:9)及びVH1_18/JH6(配列番号:10)配列において、マウス/生殖系列の相違点は、斜線をつけられている;及び、humZ270VH/VL配列において、潜在的復帰突然変異残基は斜線をつけられている。VLにおける同定された潜在的復帰突然変異は、L46F及びI48Vであった。重鎖における同定された潜在的復帰突然変異は、V5Q、M69L、T71V、T73K及びT75Sであった。結果として生じるhumZ270VLコンセンサス(「humZ270VL1 cons」;配列番号:6)及びhumZ270VH1(「humZ270VH1 cons」;配列番号:7)コンセンサス配列もまた、示されている。humZ270VL1 consにおいて、位置46のアミノ酸は、LまたはFであり、位置48のアミノ酸は、IまたはVである。humZ270VH1 consにおいて、位置5のアミノ酸はVまたはQである;位置69のアミノ酸はMまたはLである;位置71のアミノ酸はTまたはVである;位置73のアミノ酸はTまたはKである;および/または、位置75のアミノ酸はTまたはSである。別のhumZ270VH1(humZ270VH1cons2(配列番号:8))において、位置5のアミノ酸はVまたはQである;、位置60のアミノ酸はSまたはAである;、位置63のアミノ酸はLまたはFである;、位置64のアミノ酸はQまたはKである;、位置65のアミノ酸はGであるまたはD;、位置66のアミノ酸はRまたはKである;、位置67のアミノ酸はVまたはAである;、位置69のアミノ酸はMまたはLである;、位置71のアミノ酸はTまたはVである;、位置73のアミノ酸はTまたはKである;および/または、位置75のアミノ酸はTまたはSである。
図2は、カバット定義による、典型的なhumZ270抗体のCDRを示す。マウスZ270CDRと比較した相違点は、ボールドで示される。
図3A−Hは、実施例において言及するプラスミドを示す。(A)TAクローニングのための pMD19−Tベクターマップ。(B)一過性発現のためのpJSV002クローニング・ベクターマップ。(C)軽鎖は、マウスカッパ定常領域を有するpJSV002に挿入される。(D)マウスのIgG1定常領域を含むpJSV002−mIgG1変異体。(E)Z270重鎖可変領域及びIgG1重鎖定常領域を含むpJSV002−mIgG1 Z270 H1。(F)軽鎖可変領域及びヒト・カッパ鎖定常領域を含むpJSV002−hKappa Z270 L11。(G)pJSV002−IgG4−S241P。(H)pJSV002−IgG4−S241P Z270H1。
図4は、それぞれZ270(A)から(J)、配列番号:14−23に由来する又は基づく、異なる配列を示す。詳細は実施例2−5を参照。
図5は、ヒト化Z270重鎖の発現のためのベクターの典型的な設計を示す。
図6は、ヒト化Z270軽鎖の発現のためのベクターの典型的な設計を示す。
図7は、HEK293細胞のヒト化Z270抗体の一過性発現のための手法の典型的な概要を示す。
図8は、抗原に対するhumZ270の結合親和性を決定するための典型的なバイアコア分析を示す。
図9は、キメラZ270(A)及びhumZ270VL1/VH1(B)のアフィニティ決定を示す。
図10は、軽鎖または重鎖の異なる復帰突然変異を有するhumZ270VL1/VH1のアフィニティ決定を示す。キメラZ270は、比較として用いられた。
図11は、(humZ270H3)を有さない、又は(humZ270VH4)復帰突然変異体を有するVH1_18/JH6重鎖アクセプタ・フレームワークへのマウスZ270カバットCDR H1−H3の標準的なCDR結合のためのストラテジーを示す。
図12は、異なるヒトアクセプター配列のhumZ270VH構築物(全てCDR−H2の部分的にヒト部分を有する)間のアラインメントを示す。
図13はhumZ270変異体VL1/VH1及びVH3−VH8のバイアコア・アフィニティ評価の結果を示す。全てhZ270VL1/VH1のKDで標準化している。
図14は、Z270 VL及びVHセグメントの重要なパラトープ残基を同定するためのアラニンスキャン突然変異生成の選択された残基を示す。
図15は、キメラZ270の結合性で標準化されたZ270VHアラニン変異体のバイアコア・アフィニティ評価の結果を示す。
図16は、キメラZ270の結合性で標準化されたZ270VLアラニン変異体のバイアコア・アフィニティ評価の結果を示す。
図17は、フローサイトメトリーを用いて、安定してCD94/NKG2AまたはCD94/NKG2Cを過剰発現させていているBa/F3細胞に対する様々な組換え型Z270変異体の結合性を示す。
図18は、組換え型Z270、キメラZ270、humZ270VL1/VH1及びZ199の、CD94/NKG2A+ NKL細胞による51Cr標識化されたLCL 721.221−Cw3細胞の死滅誘導するための能力を評価するアッセイの結果を示しており、humZ270VL1/VH1が死滅の誘導において効率的だったことを示す。
図19は、humZ270VL1/VH1が、濃度依存的にBa/F3CD94/NKG2A細胞に効率よく結合することを示す(ダイヤモンド)。しかしながら、細胞をHLA−Eテトラマーと共にプレイキューベートした場合、humZ270VL1/VH1のBa/F3CD94/NKG2A細胞への結合が阻害された(正方形)。
図20は、humZ270VL1/VH1及びVHのV5Q変異を有するhumZ270変異体の異なる2つの標本が、CD94/NKG2C発現細胞でなくCD94/NKG2A発現細胞に結合するが、V5Q変異体はわずかに効率が悪かったことを示している。

0006

(定義)
明細書中の「抗体」なる用語は、最も広義の意味で用いられ、特に、所望の生物学的活性を表す限り、完全長モノクローナル抗体ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)および抗体断片を包含する。抗体作製に関連する様々な技術は、例えば、Harlow,等, ANTIBODIES: A LABORATORYMANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., (1988).)に提供される。
「抗体断片」は、完全長抗体の一部、好ましくは抗原結合性又はその可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab)2、F(ab')2、F(ab)3、Fv(一般的に抗体の単一アームのVLおよびVHドメイン)、単鎖Fv(scFv)、dsFv、Fd断片(一般的にVHおよびCH1ドメイン)、およびdAb(一般的にVHドメイン)断片;VH、VL、VhHおよびV-NARドメイン;ミニボディダイアボディトリアディテトラボディ、及びカッパボディ(例としてIll等, Protein Eng 1997;10: 949-57を参照);ラクダのIgG;IgNAR;及び、抗体断片から形成した多特異性抗体断片、及び一又は複数の単離されたCDR又は機能的パラトープが含まれ、単離されたCDRないしは抗原結合性残基ないしはポリペプチドは互いに関連又は連結して機能的抗体断片を形成しうる。様々な種類の抗体断片は、例えば、Holliger and Hudson, Nat Biotechnol 2005;23, 1126-1136;国際公報2005040219、及び公開された米国特許公開20050238646および同20020161201に記載されるか、又は概説されている。

0007

本明細書中で使用される場合の「抗体誘導体」なる用語には、完全長抗体又は、好ましくは少なくとも抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む抗体の断片が含まれ、このとき、例えば第二の分子に抗体を連結させるために、例えばアルキル化ペグ化、アシル化エステル形成又はアミド形成などによって一又は複数のアミノ酸が化学的に修飾されているものである。これには、ペグ化抗体、システイン-ペグ化抗体およびその変異体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
「イムノコンジュゲート」には、細胞障害性剤、検出可能試薬などの第二薬剤と結合した又は連結した抗体誘導体が含まれる。

0008

「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンから得られた最小配列を含むヒト/非ヒトのキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエント高頻度可変領域の残基が、マウス、ラットウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、全て又は実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに一致し、全て又は実質的に全てのFR残基がヒト免疫グロブリン配列の残基である、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体はまた、場合によって免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。詳しくは、例えばJones等, Nature 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature 332:323-329 (1988);及び、Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)、国際公報92/02190、米国特許公開20060073137および米国特許第6750325号、同第6632927号、同第6639055号、同第6548640号、同第6407213号、同第6180370号、同第6054297号、同第5929212号、同第5895205号、同第5886152号、同第5877293号、同第5869619号、同第5821337号、同第5821123号、同第5770196号、同第5777085号、同第5766886号、同第5714350号、同第5693762号、同第5693761号、同第5530101号、同第5585089号および同第5225539号を参照のこと。

0009

本明細書中で用いられる「高頻度可変領域」なる用語は抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。高頻度可変領域は一般に、「相補性決定領域」又は「CDR」のアミノ酸残基(軽鎖可変ドメインにおいては残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)、及び重鎖可変ドメインにおいては31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);上掲のKabat等, 1991)及び/又は「高度可変ループ」の残基(軽鎖可変ドメインにおいては残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)、及び重鎖可変ドメインにおいては26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia及びLesk J.Mol.Biol. 196:901-917 (1987))を含んでなる。一般的に、この領域のアミノ酸残基の番号付けは、上掲のカバット等において記述される方法によって行われる。本明細書中の「カバット位置」、「カバット番号付けを使用して」、「カバットに記載の可変ドメイン残基番号付け」、及び「カバットによると」などのは、重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインのためのこの番号付けシステムを指す。カバット番号付けシステムを用いて、実際の直鎖状ペプチドアミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はCDRの短縮又は挿入に応じてアミノ酸が減っていても又は増えていてもよい。例えば、重鎖可変ドメインは、CDR H2の残基52の後に単一アミノ酸挿入(カバットによると残基52a)を含んでいてもよいし、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えばカバットによると残基82a、82bおよび82cなど)を含んでいてもよい。残基のカバット番号付けは、抗体の配列の相同領域に「標準の」カバット番号付けした配列と整列させて所定の抗体について決定してもよい。特に明記しない又は内容に反しない限り、本明細書中に記載したVL又はVH配列中のすべてのアミノ酸残基の位置はカバットに従う。

0010

本明細書において定められるように、「フレームワーク領域」又は「FR」残基はCDR以外のVH又はVL残基である。
ポリペプチドの「変異体」は、参照ポリペプチド、一般的に天然又は「親」ポリペプチドと実質的に同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。ポリペプチド変異体は、天然のアミノ酸配列内の特定の位置に一又は複数のアミノ酸置換、欠失および/または挿入を有してもよい。
「保存的」アミノ酸置換とは、アミノ酸残基が類似の物理化学的特性を有する側鎖を持つアミノ酸残基に置換されているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当分野で公知であり、塩基性の側鎖(例えばリジンアルギニンヒスチジン)、酸性の側鎖(例えばアスパラギン酸グルタミン酸)、無電荷極性の側鎖(例えばグリシンアスパラギングルタミンセリンスレオニンチロシン、システイン、トリプトファン)、無極性の側鎖(例えばアラニン、バリンロイシンイソロイシンプロリンフェニルアラニンメチオニン)、β枝分れ側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。

0011

2つのアミノ酸配列の関係において「実質的に同一の」なる用語は、例えば初期設定ギャップ加重(default gap weights)を用いたプログラムAP又はBESTFITによって、場合によって整列させた場合に、配列が 少なくともおよそ50、少なくともおよそ60、少なくともおよそ70、少なくともおよそ80、少なくともおよそ90、少なくともおよそ95、少なくともおよそ98又は少なくともおよそ99パーセント配列同一性共有することを意味する。一実施態様では、同一でない残基位置保存的アミノ酸置換が異なる。配列同一性は一般的に、配列分析ソフトウェアを使用して測定される。タンパク質分析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む様々な置換、欠失および他の修飾に割り当てられる類似性の値を用いて類似の配列と適合させる。例えば、公的に利用可能なGCGソフトウェアは、異なる種の生物体からの相同なポリペプチドなどの非常に関連したポリペプチド間、又は野生型タンパク質とその変異体との間の配列相同性または配列同一性を決定するために、初期設定のパラメーターを用いられうる「Gap」及び「BestFit」などのプログラムを含む。例としてGCGバージョン6.1を参照のこと。ポリペプチド配列はまた、初期設定又は推奨されたパラメーターを適用したFASTA又はClustalWを用いて比較されてもよい。GCGバージョン6.1のプログラムであるFASTA(例えばFASTA2及びFASTA3)により、クエリー配列サーチ配列が整列され、最も重なり合っている領域のパーセント配列同一性が求められる(Pearson, MethodsEnzymol. 1990;183:63-98;Pearson, Methods Mol. Biol. 2000;132:185-219)。ある配列を様々な生物体の複数の配列を含むデータベースと比較する場合、又はそれを推定する場合の他の好適なアルゴニズムは、初期設定のパラメーターを用いたコンピュータープログラムBLAST、特にblastpである。例としてAltschul等, J. Mol. Biol. 1990;215:403-410;Altschul等, Nucleic Acids Res. 1997;25:3389-402 (1997)を参照。これらは各々出典明記によって本明細書に援用される。2つの実質的に同一のアミノ酸配列の「対応する」アミノ酸位は、典型的には初期設定のパラメーターを用いた、本明細書中で言及したいずれかのタンパク質分析ソフトウェアを用いて整列したものである。

0012

参照抗体の「生物学的特性」を有する抗体(例えばZ270)は、同じ抗原(例えばNKG2A)に結合する他の抗体と区別する一又は複数の抗体の生物学的特性を有するものである。例えば、Z270の生物学的特性を有する抗体は、NKG2Aの活性化をブロックするか、及び/又はNKG2Aの細胞外ドメインを結合する際にZ270と交差競合してもよい。
NKG2A(OMIM 161555、この全体の公開内容は出典明記によって本明細書中に援用される)はNKG2Aグループ転写物メンバーである(Houchins,等 (1991) J. Exp. Med. 173: 1017-1020)。NKG2Aは25kbにわたる7つのエクソンによってコードされ、いくつかの異なるスプライシングを示す。NKG2Aは、NK細胞、α/βT細胞、γ/δT細胞及びNKT細胞のサブセットの表面上に見られる阻害性レセプターである。阻害性KIRレセプターと同様に、その細胞質のドメインにITIMを備えている。本明細書中で用いられる「NKG2A」は、NKG2A遺伝子の任意の変異体、誘導体又はアイソフォーム又はコードされるタンパク質を指す。また、野生型の完全長NKG2Aと一又は複数の生物学的特性ないし機能を共有し、少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸の同一性を共有する任意の核酸又はタンパク質配列も包含する。ヒトNKG2Aは、3つのドメインに233アミノ酸を含み、細胞質ドメインは残基1−70を含み、膜貫通領域は残基71−93を含み、細胞外領域は残基94−233を含む、以下の配列である。
MDNQGVIYSDLNLPPNPKRQQRKPKGNKSSILATEQEITYAELNLQKASQDFQGNDKTYHCKDLPSAPEKLIVGILGIICLILMASVVTIVVIPSTLIQRHNNSSLNTRTQKARHCGHCPEEWITYSNSCYYIGKERRTWEESLLACTSKNSSLLSIDNEEEMKFLSIISPSSWIGVFRNSSHHPWVTMNGLAFKHEIKDSDNAELNCAVLQVNRLKSAQCGSSIIYHCKHKL(配列番号:11)

0013

NKG2C(OMIM 602891、この全体の公開内容は出典明記によって本明細書中に援用される)とNKG2E (OMIM 602892、この全体の公開内容は出典明記によって本明細書中に援用される)は、NKG2Aグループの転写物の他の2つのメンバーである(Gilenke,等 (1998) Immunogenetics 48:163-173)。NKG2C及びNKG2EはNK細胞の表面に見られる活性化レセプターである。
HLA-E(OMIM 143010、この全体の公開内容は出典明記によって本明細書中に援用される)は、細胞表面上に発現され、他のMHCクラスI分子のシグナル配列由来のペプチドの結合によって制御される非古典的MHC分子である。HLA-Eはナチュラルキラー(NK)細胞といくつかのT細胞を結合し、CD94/NKG2A、CD94/NKG2B及びCD94/NKG2Cに特異的に結合する(例としてBraud等 (1998) Nature 391:795-799を参照、この全体の公開内容は出典明記によって本明細書中に援用される)。HLA-Eの表面発現は十分であるので、CD94/NKG2A+ NK、T又はNKT細胞クローンによる溶解から標的細胞を保護する。本明細書中で用いられる「HLA-E」は、HLA-E遺伝子の任意の変異体、誘導体又はアイソフォーム又はコードされるタンパク質を指す。また、野生型の完全長HLA-Eと一又は複数の生物学的特性ないし機能を共有し、少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸の同一性を共有する任意の核酸又はタンパク質配列も包含する。

0014

核酸が他の核酸配列と機能的な関係にある場合、核酸は「作用可能に連結して」いる。例えば、プレシーケンス(presequence)または分泌リーダーのDNAは、あるポリペプチドの分泌に関わっている前駆体タンパク質として発現する場合は、そのポリペプチドのDNAと作用可能に結合している。プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響する場合はその配列と作用可能に連結している。または、リボソーム結合部は、それが翻訳を促す位置にある場合は作用可能にコード配列と連結している。通常、「作用可能に連結した」は、結合したDNA配列が連続しており、分泌リーダーの場合は連続して読み枠内にあることを意味する。しかし、エンハンサーは連続する必要はない。連結は都合のよい制限部位ライゲーションによって達成される。このような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の慣行に従って使用される。

0015

「単離される」分子は、属する分子の種類に関して見られる組成物中の主な種である分子である(すなわち、それは、組成物中の分子の種類の少なくともおよそ50%を占め、一般的に組成物中の分子、例えばペプチドの種類の少なくともおよそ70%、少なくともおよそ80%、少なくともおよそ85%、少なくともおよそ90%、少なくともおよそ95%又はより多くを占める)。一般に、抗体分子の組成物は、組成物中に存在するすべてのペプチド種類の関係において、または、少なくとも提案された使用の関係において実質的に活性なペプチド種類に関して、抗体分子の98%、98%又は99%の均一性を表すであろう。

0016

本発明の前後関係において、前後関係によって否定されない限り、「処置」又は「治療する」は、疾患又は疾病の一又は複数の症状又は臨床的に関連する徴候を予防するか、緩和するか、管理するか、治癒するか、または低減することを指す。例えば、症状又は疾患ないし疾病の臨床的に関連する兆候が同定されていない患者の「処置」は予防又は防止的な治療であるのに対して、症状又は疾患ないし疾病の臨床的に関連する兆候が同定されている患者の「処置」は一般的に予防又は防止的な治療を成さない。

0017

(発明の詳細な説明)
本発明はNKG2Aに結合する抗体に関する。一態様では、抗体は、NKG2Aを特異的に結合するがヒトのNKG2C又はNKG2Eには結合しないマウスモノクローナル抗体である抗体Z270のヒト化バージョンである。Z270はヒトCD94/NKG2Aの機能をブロックし、濃度に依存して、CD94/NKG2A制限リンパ球による細胞の殺傷を特異的に誘導することができる。
本発明は、例えば、CDR-H2などの少なくとも一部のVH CDRがヒトのVHアクセプター配列の対応する部分と同一であり、それによってヒト化抗体の免疫原性が低減されているhumZ270変異体を提供する。驚くべきことに、このようなヒト化変異体は、Z270のマウス又はキメラ型よりも、CD94/NKG2Aを発現する細胞障害性リンパ球の細胞障害能を強化することにより効果を示しうる。他の実施態様では、本発明は、マウス抗体Z270と対応する特定の抗原結合残基とヒトのフレームワーク配列を含むCDRを有する抗体を提供する。これらの、そしてまた他の態様は、以下の項目及び実施例において更に詳細に記述される。

0018

ヒト化抗NKG2A抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は従来技術において記述されている。通常、ヒト化方法では、マウス抗体の相互作用領域をコードするヌクレオチドをヒトIgGをコードするcDNAベクターにクローニングして、マウスCDRを保持するヒトIgG主鎖からなるキメラ抗体が生成されるように行ってもよい。このようなキメラ抗体は、元のマウス抗体と比べて低親和性、低安定性、又は他の望ましくない特徴を表し、免疫原性を持ちうる。したがって、キメラAbの個々のアミノ酸は、ヒトの医療に応用するために品質の高い機能的なmAbを得るために最適化する必要があるかもしれない。
一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトである供与源から導入される一又は複数のアミノ酸残基を有する。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入(import)」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は、基本的に、Winter及び共同研究者(Jones et al, Nature, 321: 522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332: 323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239: 1534-1536 (1988))の方法に従って、高頻度可変領域配列をヒト「アクセプター」抗体の対応する配列と置換することにより行ってもよい。したがって、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的にはいくつかの高頻度可変領域残基及び場合によってはいくつかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位の残基によって置換されたヒト抗体である。

0019

他のヒト化抗体の作製方法は米国特許公開2003/0017534に記載されており、そこではヒト化抗体及び抗体調整物はトランスジェニック非ヒト動物から産生されている。非ヒト動物遺伝的操作を加えて、トランスジェニック非ヒト動物で遺伝子再構成及び遺伝子転換が可能になるように一又は複数のヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含有させて、多様なヒト化免疫グロブリンを生成する。
抗原性を低減するために、ヒト化抗体を生成する際に使用する軽鎖及び重鎖両方のヒト可変ドメインの選択が非常に重要である。いわゆる「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列ライブラリ又はヒト生殖系配列のライブラリに対してスクリーニングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒト配列をヒト化抗体のヒトフレームワーク領域として受け入れる(Sims等, J. Immunol. 1993;151:2296 et seq.;Chothia等, Chothia and Lesk, J. Mol. Biol 1987;196:901-917)。他の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用してもよい(Carter等, PNAS USA, 1992;89:4285 et seq.;Presta等, J Immunol 1993;151:2623 et seq.)。ヒト患者における抗体分子の免疫原性を低減するように設計される他の方法には、ベニヤ抗体(veneered antibody)(例として米国特許第6797492号及び米国特許公開20020034765及び同20040253645を参照)及びT細胞エピトープ分析及び除去によって修飾されている抗体(例として米国特許公開20030153043及び米国特許第5712120号を参照)が含まれる。

0020

さらに、抗体を、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラム購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそう役割の分析、すなわち候補免疫グログリンのその抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原(一又は複数)に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、高頻度可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
以下の実施例1にはNKG2Aを結合する例示的なヒト化抗NKG2A抗体の設定が記載されており、その分析の少なくとも一部は図1に示される。図1に示すように、本発明のあるhumZ270抗体において、CDR-H2のC末端部分(カバット残基61−65に対応する)はヒトのアクセプター配列の対応する部分と同一である。さらに、図説に記載したように、humZ270VL配列(配列番号:4)は場合によって、示されたFR残基L46およびI48の一方または両方に突然変異を含んでもよいし、humZ270VH配列(配列番号:5)は場合によって、示されたFR残基V5、M69、T71、T73およびT75の一又は複数に突然変異を含んでもよい。アミノ酸の番号付けはカバットに従う。表1に、humZ270VHおよびhumZ270VLのFR配列に例示的なヒトからマウスへの逆突然変異、並びにFR突然変異の例示的な組合せを含む例示的なhumZ270VLおよびhumZ270VH変異体を記述する。表1及び本明細書中の他の箇所において、アミノ酸位はカバットに従って設定されており、humZ270VHドメインのアミノ酸V5、M69、T71、T73およびT75は、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:8又は本明細書中に記載の他の例示的なhumZ270VH配列のアミノ酸V5、M70、T72、T74およびT76に対応する。

0021

表1天然又はコンセンサスのhumZ270VL(配列番号:4又は6)および/またはhumZ270VH(配列番号:5、7又は8)配列に例示的なFR逆突然変異を含むhumZ270VLおよびhumZ270VH変異体。

0022

したがって、本発明は、Z270ハイブリドーマによって産生される抗NKG2A抗体のヒト化型、並びにZ270と生物学的特性及び/又は実質的な配列同一性を共有する非ヒト抗体のヒト化バージョンを提供する。他の実施態様では、モノクローナル抗体又はその断片ないし誘導体は非ヒト霊長類のNKG2Aに結合することができる。
本明細書中のヒト化抗体は、ヒトのVHおよびVLドメインに組み込まれる非ヒト高頻度可変領域又はCDR残基を含んでなる。
一態様では、本発明は、ヒトのアクセプターフレームワークにマウス抗体Z270のCDR由来の抗原結合性残基を含むヒト化抗体であって、CDR-H2の少なくとも6つのC末端アミノ酸残基はヒトのアクセプター配列のものと同じであるヒトか抗体を提供する。このようなヒト化抗体は、例えば、CD94/NKG2Aを発現する細胞障害性リンパ球、例えばNK細胞、NKT細胞、α/βT細胞、及び/又はγ/δT細胞などの細胞障害活性、又はCD94/NKG2Aを発現する細胞障害性リンパ球の集団の細胞障害活性を高めるなどの際に、元のマウスZ270抗体ないしそのキメラバージョンよりも有効であるかもしれない。

0023

本発明の典型的な抗体は、配列番号:2又は配列番号:5の残基D52、D54、R94、F99、T(100C)およびW(100F)を含む、Z270CDR-H2およびCDR-H3に対応する抗原結合残基、又はその一部を含む。これらは実施例において抗原結合に重要であることが示されている。また場合によって、抗体はVH残基N35、Y53、E56、D98、V(100A)及びL(100D)を含む。
他の態様では、ヒト化抗体は、配列番号:5の残基31−35に対応するCDR-H1配列と、配列番号:5の残基95−102に対応するCDR-H3配列とを含み、このときCDR-H2配列は配列番号:5の残基50−59を含む。このようなヒト化抗体において、VH領域は、配列番号:5に対して例えば50%以上の配列同一性、例えば少なくとも60%、少なくとも70%又は少なくとも75%の配列同一性を有しうる。このような配列を有する例示的なヒト化VHドメインを、実施例および下記に記載する。
一実施態様では、このようなヒト化抗体では、VH領域の位置5のアミノ酸はV又はQであってもよく、VH領域の位置69のアミノ酸はM又はLであってもよく、VH領域の位置71のアミノ酸はT又はVであってもよく、VH領域の位置73のアミノ酸はT又はKであってもよく、および/または、VH領域の位置75のアミノ酸はT又はSであってもよい。異なる実施態様では、VH領域は、V5又はQ5、M69又はL69、T71又はV71、T73又はK71、および/またはT75又はS75残基を含む。他の実施態様では、位置69のアミノ酸はLである。他の更なる又は代替的な実施態様では、位置71のアミノ酸はVである。

0024

ヒト化抗体は、例えば、VH1_18、VH5_a、VH5_51、VH1_fおよびVH1_46から選択されるヒトアクセプター配列のVHヒトアクセプターフレームワークを含んでもよく、そしてJセグメントは例えばVH1_18、VH5_a、VH5_51又はVH1_fなどのJH6、又は当分野で公知の他のヒトの生殖系VHフレームワーク配列である。一実施態様では、VH部分はVH1_18である。特定の実施態様では、VH領域は配列番号:8の配列を含む。他の具体的な実施態様では、VH領域は配列番号:7の配列を含む。例えば、VH領域は配列番号:5の配列を含んでもよい。
VL領域ヒトアクセプター配列は、例えばVKI_O2/JK4であってもよい。特定の実施態様では、VL領域は配列番号:4を含む。
一態様では、本発明のヒト化抗体は、好適なFR配列を介して配列番号:2の残基95−102からなるCDR-H3に連結される配列番号:2の残基50−59からなるマウス部分を含むCDR-H2を含む。

0025

本明細書中に記載のように、ある実施態様では、ヒト化抗体はVHドメインにFR置換を含まない。他の実施態様では、ヒト化抗体は、カバットによる可変ドメイン番号付けシステムを用いて、5、69、71、73および75から選択される一又は複数の位置にVHドメインFR置換を含む。他の実施態様では、ヒト化抗体は、位置5、69、71、73および75のうちの2以上にVHドメインFR置換を含み、他の実施態様では、これらの3つ、4つ又はすべての位置に置換を含む。異なる独立した実施態様では、ヒト化抗体は、5、69、71、73および75から選択される位置に1つのVHドメインFR置換を含む。他の異なる独立した実施態様では、ヒト化抗体は、位置5および69、又は5および71、又は5および73、又は5および75、又は69および71、69および73、又は69および75、又は71および73、又は71および75、又は73および75、又は5、69および71、又は5、69および73、又は5、69および75、又は69、71および73、又は69、71および75、又は71、73および75、又は5、69、71および73、又は5、69、71および75、又は5、71、73および75、又は69、71、73および75、又は5、69、71、73および75にVHドメインFR置換を含む。より多くであるというよりはむしろより少ないフレームワーク置換により免疫原性が最小化しうるが、結合効果は用途によって重要な考慮すべき点であるかもしれない。ゆえに、好適な置換は逆突然変異、すなわちヒトFRの特定の位置のアミノ酸を非ヒトドナーFRの対応する位置のアミノ酸で置換する突然変異である。ゆえに、異なる独立した実施態様では、位置5のVHドメインアミノ酸置換はV5Qであり、位置69のアミノ酸置換はM69Lであり、位置71のアミノ酸置換はT71Vであり、位置73のアミノ酸置換はT73Kであり、位置75のアミノ酸置換はT75Sである。特定の実施態様では、ヒト化抗体は、位置71にVおよび/または位置69にLを含む。

0026

また、本明細書中のヒト化抗体は、ヒトVLドメインに組み込まれる非ヒト高頻度可変領域残基を含む。ある実施態様では、ヒト化抗体はVLドメインにFR置換を含まない。他の実施態様では、ヒト化抗体は、カバットによる可変ドメイン番号付けシステムを用いて、位置46および48のいずれか一つにVLドメインFR置換を含む。他の実施態様では、ヒト化抗体は、位置46および48の両方にVLドメインFR置換を含む。好適な置換は逆突然変異、すなわちヒトFRの特定の位置のアミノ酸を非ヒトドナーFRの対応する位置のアミノ酸で置換する突然変異である。ゆえに、異なる独立した実施態様では、位置46のVLドメインアミノ酸置換はL46Fであり、位置48のVLドメインアミノ酸置換はI48Vである。

0027

例示的なヒト化抗体は、配列番号:5又は7の残基31−35に対応するCDR-H1配列と、配列番号:5又は7の残基50−66に対応するCDR-H2配列と、配列番号:5又は7の残基95−102に対応するCDR-H3配列とを含むVHドメインを含む。ヒト化抗体はさらに、VHドメインに、V又はQであるカバット位置5のアミノ酸、M又はLであるカバット位置69のアミノ酸、T又はVであるカバット位置71のアミノ酸、T又はKであるカバット位置73のアミノ酸、及び/又はT又はSであるカバット位置75のアミノ酸を含む。一実施態様では、VHドメインは、例えばVH FR置換のいずれかに対応する、5、69、71、73および75か、又は表1に挙げたこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのカバット位置にフレームワーク領域置換を含む。一実施態様では、VHドメインは配列番号:7の配列を含む。他の実施態様では、VHドメインは配列番号:5の配列を含む。
またないしはあるいは、例示的なヒト化抗体は、配列番号:4の残基24−34に対応するCDR-L1配列と、配列番号:4の残基50−56に対応するCDR-L2配列と、配列番号:4の残基89−97に対応するCDR-L3配列とを含むVLドメインを含む。ヒト化抗体は、L又はFであるカバット位置46のアミノ酸および/またはI又はVであるカバット位置48のアミノ酸を更に含んでもよい。一実施態様では、VLドメインは、例えばVL FR置換のいずれかに対応する、46および48か、又は表1に挙げたこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのカバット位置にフレームワーク領域置換を含む。一実施態様では、VLドメインは配列番号:4のアミノ酸配列を含む。他の実施態様では、VLドメインは配列番号:6の配列を含む。

0028

他の態様では、本発明は、ヒトNKG2Aを結合するヒト化抗体であって、場合によってカバット位置5、69、71、73及び/又は75に一又は複数のFR置換を有する配列番号:5のアミノ酸配列を含むVHドメインを含むヒト化抗体を提供する。任意のFR置換は、例えばV5Q、M69L、T71V、T73K及び/又はT75S、並びにそのいずれかの組み合わせから選択されうる。またないしはあるいは、このようなヒト化抗体は、場合によってカバット位置46及び/又は48に一又は複数のFR置換を有する配列番号:4のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。任意のFR置換は例えばL46F及び/又はI48Vから選択されうる。
場合によって、特定の態様では、VHドメインは、例えば修飾が本質的に抗体の親和性を維持するかまたは向上するような、一又は複数のCDR残基のアミノ酸修飾を含む。例えば、抗体変異体は、上記のVHCDR配列に1つ、2つ、3つ又は1からおよそ7つのアミノ酸置換を有しうる。

0029

特定の態様では、非ヒトドナーVHCDRの対応する位置のアミノ酸と異なるヒト化抗体VH CDRのアミノ酸が置換されて、ヒト化抗体の結合特性および/または安定性が改善しうる。例えば、これら一又は複数のアミノ酸は、非ヒトドナーVH CDRの対応する位置(一又は複数)のアミノ酸に置換されてもよい。一実施態様では、変異抗体は、カバットに従うところの、60、63、64および65から選択される一又は複数の位置(配列番号:5又は7の位置61、64、65および66に対応する)に、CDRH2置換を含む。異なる独立した実施態様では、抗体変異体は、60、63、64および65から選択される1つの位置にCDRH2アミノ酸置換を含む。他の異なる独立した実施態様では、抗体変異体は、位置60および63、又は60および64、又は60および65、又は63および64、又は63および65、又は64および65、又は60、63および64、又は60、63および65、又は60、64および65、又は63、64および65、又は60、63、64および65にCDRH2アミノ酸置換を含む。好適な置換は逆突然変異、すなわちヒト化CDRの特定の位置のアミノ酸を非ヒトドナーCDRの対応する位置のアミノ酸で置換する突然変異である。ゆえに、異なる独立した実施態様では、位置60のCDRH2アミノ酸置換はA60Sであり、位置63のアミノ酸置換はL63Fであり、位置64のアミノ酸置換はQ64Kであり、位置65のアミノ酸置換はG65Dである。抗体変異体がCDRH2アミノ酸置換A60S、L63F、Q64KおよびG65Dの一又は複数を含む態様において、抗体変異体は、場合によって既に記載したVH FR置換の一又は複数ともに、カバットによる位置66および67に、VH FRアミノ酸置換を含む。好ましくは、アミノ酸置換はR66KおよびV67Aである。例えば、一実施態様では、抗体変異体は、配列番号:5の残基31−35に対応するCDR-H1配列と、配列番号:5の残基50−66に対応するCDR-H2配列と、配列番号:5の残基95−102に対応するCDR-H3配列を、A60S、L63F、Q64K、G65D、R66KおよびV67Aの「逆突然変異」を有して、場合によって更なるアミノ酸修飾とともに含むVHドメインを含む。

0030

他の特定の態様では、本発明は、ヒトNKG2Aを結合するヒト化抗体であって、ヒトVHドメインに非ヒトCDR残基の組み込みを含むVHドメインを含み、このVHドメインが配列番号:8の残基31−35に対応するCDR-H1配列と、配列番号:8の残基50−66に対応するCDR-H2配列と、配列番号:8の残基95−102に対応するCDR-H3配列とを含み、カバット位置63、64、65、66及び67のアミノ酸がそれぞれF、K、D、K、Aであるヒト化抗体を提供する。一実施態様では、VHドメインは配列番号:8のアミノ酸配列を含む。他の実施態様では、カバット位置60の残基はAである。他の実施態様では、カバット位置60の残基はSであり、ヒト化抗体は、Z270のCDR-H1、-H2、及びH3配列、並びにCDR-H2のC末端端に隣接する2つのアミノ酸にFR逆突然変異を含む。本明細書において記述されるように、本項目に記載のヒト化抗体は、他の残基、例えばカバット位置5、69、71、73および/または75にFR逆突然変異をさらに含んでもよい。
他の態様では、本発明は、VH領域のカバットCDRがすべてマウスZ270VH(配列番号:2)に由来しており、さらにS60A、F63L、K64Qおよび/またはD65G突然変異を含むヒト化抗体を提供する。一実施態様では、ヒト化抗体は、突然変異S60A、F63L、K64Qおよび/またはD65Gのすべてを含む。
また、ヒト化抗体は、例えば上記のVHドメインCDRに加えて、配列番号:6の残基24−34に対応するCDR-L1配列と、配列番号:6の残基50−56に対応するCDR-L2配列と、配列番号:6の残基89−97に対応するCDR-L3とを含むVLドメインを含む。一実施態様では、ヒト化抗体のVLドメインは配列番号:6のアミノ酸配列を含む。他の実施態様では、ヒト化抗体のVLドメインは配列番号:4のアミノ酸配列を含む。場合によって、ヒト化抗体は、例えば修飾によって抗体の親和性が本質的に維持されるか又は改善される、一又は複数のVL CDR残基のアミノ酸修飾を含む。例えば、抗体変異体は、上記のVLCDR配列に1つ、2つ、3つ又は1からおよそ7つのアミノ酸置換を有しうる。

0031

また、本出願では、抗体に対するヒト化抗体の親和性を改善する付加的なCDR又はFRの突然変異を含む、抗NKG2Aを結合する親和性成熟抗体を考慮する。このような親和性成熟された抗体を調製する方法は当分野で公知である。親抗体は、例えば、配列番号:4及び5のVL/VH配列を含むヒト化抗体(場合によって、本明細書中に記載の一又は複数のCDRH2および/またはFR置換を有する)、又は配列番号:6及び7それぞれのコンセンサスVL/VH配列を含むヒト化抗体であってもよい。親和性成熟抗体は、例えば以下に記載の結合アッセイを用いて評価するところの、マウスZ270の親和性と同等ないしはそれより優れた親和性、例えば少なくともおよそ1倍、およそ2倍又はおよそ4倍からおよそ100倍又はおよそ1000倍の改善された親和性でNKG2Aに結合するのが好ましい。
他の態様では、本発明は、Z270、humZ270、humZ270consおよび/またはhumZ270cons2(それぞれ配列番号:2、5、7および8)のVHドメインに対して少なくともおよそ50%、少なくともおよそ70%、少なくともおよそ80%の配列同一性(例えば少なくともおよそ85%、90%、95%、97%又はそれ以上の同一性)を有するVHドメインを含むヒト化抗体を提供する。他の特定の態様では、本発明は、NKG2Aを結合するヒト化抗体であって、ヒトVHドメインに非ヒトCDR残基の組み込みを含むVHドメインを含み、このVHドメインがhumZ270VH1(配列番号:5)に対して少なくともおよそ50%同一であるヒト化抗体を提供する。一実施態様では、VHドメインは配列番号:5に対して少なくとも90%同一である。例えば、ヒト化抗体は、配列番号:5の残基31−35に対応するCDR-H1配列と、配列番号:5の残基50−66に対応するCDR-H2配列と、配列番号:5の残基95−102に対応するCDR-H3配列とを含んでもよい。またないしはあるいは、ヒト化抗体は、VHドメインの、カバット位置5にV又はQ、カバット位置69にM又はL、カバット位置71にT又はV、カバット位置73にT又はK、及びカバット位置75にT又はSを含む。

0032

他の態様では、本発明は、またないしはあるいは、Z270、humZ270、および/またはhumZ270cons(それぞれ配列番号:1、4および6)のVLドメインに対して少なくともおよそ50%、少なくともおよそ70%、少なくともおよそ80%の配列同一性(例えば少なくともおよそ85%、90%、95%、97%又はそれ以上の同一性)を有するVLドメインを含む抗体分子を提供する。他の特定の態様では、本発明は、NKG2Aを結合するヒト化抗体であって、ヒトVLドメインに非ヒトCDR残基の組み込みを含むVLドメインを含み、このVHドメインが配列番号:4に対して少なくともおよそ50%同一であるヒト化抗体を提供する。一実施態様では、VL領域は配列番号:4と少なくとも90%同一である。例えば、ヒト化抗体は、配列番号:4の残基24−34に対応するCDR-L1配列と、配列番号:4の残基50−56に対応するCDR-L2配列と、配列番号:4の残基89−97に対応するCDR-L3配列とを含んでもよい。またないしはあるいは、ヒト化抗体は、VLドメインの、カバット位置46にL又はFおよび/またはカバット位置48にI又はVを含んでもよい。

0033

他の態様では、本発明は、NKG2Aを特異的に結合する単離されたヒト化抗体であって、(a) Z270 VL(配列番号:1)、humZ270 VL(配列番号:4)又はhumZ270 VL cons(配列番号:6)のCDR-L1、CDR-L2及び/又はCDR-L3配列、又は(b) Z270 VH(配列番号:2)、humZ270(配列番号:5)、humZ270 cons(配列番号:7)又はhumZ270 cons2(配列番号:8)のCDR-H1、CDR-H2及び/又はCDR-H3のいずれかを含む単離されたヒト化抗体を提供する。他の態様では、本発明は、Z270、humZ270又はhumZ270con由来のVH CDRの少なくとも一の完全なセットを含む抗体分子であって、6つのC末端アミノ酸がヒトのアクセプター配列のものと同一である抗体分子を提供する。特定の態様では、本発明は、Z270、humZ270又はhumZ270conのCDR-H1、CDR-H2(または、そのN末端部)およびCDR-H3と、Z270、humZ270又はhumZ270conのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3の少なくともいくつかを含む抗体分子を提供する。より特定の態様では、本発明は、CDR-L1、CDR-L2および、Z270、humZ270又はhumZ270conのCDR-L3、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む抗体分子であって、このとき適切なFR配列を介して、CDR-L1はCDR-L2に連結され、CDR-L2はCDR-L3に連結され、CDR-H1はCDR-H2に連結され、CDR-H2はCDR-H3に連結される抗体分子を提供する。
特定の態様では、本発明は、humZ270、humZ270cons又はhumZ270cons2の本質的にすべてのVHおよび/またはVLドメインを含む抗体分子を提供する。

0034

本発明に係るヒト化抗NKG2A抗体は本明細書中に記載のhumZ270VHを含む任意の完全長ないしは部分的な重鎖(HC)を含んでよく、及び/又はhumZ270VHを含む任意の完全長ないしは部分的なHCは本明細書中に記載の任意のhumZ270VLと組み合わせてもよく、結果として生じる抗体ないしは断片は、抗原結合、CD94/NKG2A発現細胞に対する機能的作用、及び/又は免疫原性について試験される。
ヒト化抗体の様々な形状が考慮される。例えば、ヒト化抗体は、抗体断片、例えば本明細書中に記載のFab又は他のタイプの断片であってもよい。あるいは、ヒト化抗体は、完全長ないしはインタクトな抗体、例えば完全長又はインタクトなIgG1又はIgG4抗体であってもよい。一実施態様では、ヒト化抗体は完全長IgG4抗体ないしはその断片である。

0035

一態様では、本発明は、a) NKG2Aに特異的に結合する、b)Fcレセプターに特異的に結合しない、そしてc)ヒトNK細胞上のNKG2Aに結合した場合に、標的細胞がNK細胞と接触すると、該NK細胞に標的細胞表面上にHLA-Eを有する標的ヒト細胞を溶解させる、という特徴を持つヒト化抗体を提供する。一実施態様では、ヒト化抗体は、Fcレセプターへの結合を妨げるように修飾してあるマウス又はヒトのIgG1定常領域、又はヒトのIgG4定常領域を含む。このような抗体並びにFcレセプターを結合しない抗体断片は、抗体依存性細胞障害能によって媒介されうるので、NK細胞自体を減少させることなく、NK細胞を活性化しようとする用途(例えば癌、感染性疾患)に特に有用であり、「減少させない(non-depleting)」抗体と称されうる。
他の態様では、ヒト化抗体は、Fcレセプターを結合するマウス又はヒトのIgG1定常領域、又はFcレセプターを結合するかまたはFcレセプターへの結合を亢進するように修飾されているヒトのIgG1、2、3又は4の定常領域、又はヒトIgG4定常領域を含む。他の実施態様では、モノクローナル抗体ないしその断片は、抗体が結合している細胞に対して毒性がある部分に連結される。このような抗体は、NK細胞を減少させようとする用途に特に有用であり、NK-LDGL(顆粒リンパ球のNK型リンパ球増殖性疾患;NK-LGLとも言う)などの特定の用途に有用であり、「減少させる(depleting)」抗体とも称されうる。

0036

ヒト化抗体の組み換え産生のために、ヒト化VHおよびVL領域ないしはその変異体バージョンを、標準的な組み換え方法に従って、ヒト抗体の完全長ないしは切断型の定常領域をコードする発現ベクターにクローニングすることができる(例としてSambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989を参照)。その結果、選択されたVHおよびVL領域および定常領域を含む対象のヒト化抗体分子を発現して、分泌する形質移入した細胞株となる。ヒト抗体の定常領域をコードするcDNA配列は公知である。例示的なcDNA配列は、例えばGenBankによって利用可能であり、それぞれは出典明記によってその全体に援用させ、以下の通りである。
ヒトIgG1定常重鎖領域:GenBank寄託番号: J00228、
ヒトIgG2定常重鎖領域:GenBank寄託番号: J00230、
ヒトIgG3定常重鎖領域:GenBank寄託番号: X04646、
ヒトIgG4定常重鎖領域:GenBank寄託番号: K01316、そして、
ヒトκ軽鎖定常領域:GenBank寄託番号: J00241。

0037

必要に応じて、ヒト化抗体の分類が公知の方法によって「切り換えられ(switched)」てもよい。例えば、IgM分子として本来産生される抗体はIgG抗体に分類切り替えされてもよい。また、分類の切替え技術を用いて、IgGサブクラスから他へ、例えばIgG1からIgG2に変換してもよい。ゆえに、本発明の抗体のエフェクター機能は、例えば、様々な治療的用途のためにIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgDIgAIgE又はIgM抗体アイソタイプを切り換えることによって変化してもよい。
さらに、定常領域は公知の方法に従って修飾されてもよい。例えば、IgG4定常領域では、残基S241をプロリン(P)残基に突然変異させて、ヒンジで完全なジスルフィド架橋を形成させてもよい(例としてAngal等, Mol Immunol. 1993;30:105-8を参照)。

0038

抗体断片
本発明のヒト化抗体は抗体断片として調製されてもよいし、抗体断片がヒト化完全長抗体から調製されてもよい。
ヒト化抗体の抗体断片を産生するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、完全長抗体のタンパク質分解消化によって誘導された(例としてMorimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods, 24:107-117 (1992);及びBrennan等, Science, 229:81 (1985)を参照のこと)。しかし、これらの断片は、現在は組換え宿主細胞により直接産生することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的にカップリングさせてF(ab')2断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology, 10:163-167 (1992))。他のアプローチ法では、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養物から直接分離することができる。抗体断片を生成するのための他の方法は、当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択する抗体は単鎖Fv断片(scFv)である。国際公開1993/16185号;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587458号を参照のこと。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。そのような直鎖状抗体断片は単一特異性又は二重特異性であってもよい。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。二重特異性抗体を作製する方法は当該分野において既知であり、完全長二重特異性抗体の伝統的な産生は通常2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づいており、ここで2つの鎖は異なる特異性を持つものである(Millstein等, Nature, 305: 537-539 (1983))。本発明に係る二重特異性抗体では、少なくとも一方の結合エピトープはNKG2Aタンパク質上にある。抗NKG2A結合「アーム」は、T細胞レセプター分子(例えばCD2又はCD3)、又はIgGのためのFcレセプター(Fcγ-R)、例としてFc-γ-RI(CD64)、Fc-γ-RII(CD32)及びFc-γ-RIII(CD16)などの白血球上のトリガー分子に結合する「アーム」と組み合わせて、NKG2A発現細胞に対して細胞の防御機構を集中させてもよい。また、二重特異性抗体を用いて細胞障害性剤をNKG2Aを発現する細胞に局在化させてもよい。これら抗体は、NKG2A結合アームと、細胞障害性剤(例えばサポリン、抗インターフェロンαビンカアルカロイドリシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位体ハプテン)を結合するアームとを有する。二重特異性抗体は、完全長抗体ないし抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)として調製されてもよい。2以上の結合価を有する抗体が考慮される。例えば、三重特異性抗体が調製されてもよい。Tutt等, J. Immunol, 147: 60 (1991)。

0039

本発明の典型的な抗体、抗体断片および多特異性抗体は、配列番号:2又は配列番号:5の残基D52、D54、R94、F99、T(100C)およびW(100F)を含むCDR-H3とCDR-H2の部分を含む。これらの領域は抗原結合に重要であることが示されている(実施例を参照)。場合によって、ヒト化抗体断片と二重特異性抗体もZ270重鎖残基N35、Y53、E56、D98、V(100A)及びL(100D)を含む。一態様では、本発明のヒト化抗体断片又は多特異性抗体は、配列番号:2又は配列番号:5のCDR-H2の残基50−59とCDR-H3の残基95−102を含む。一実施態様では、ヒト化抗体断片又は多特異性抗体は、1、2、又はすべてのZ270 CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含まない。更なる又は代替的な実施態様では、抗体断片又は多特異性抗体はZ270 CDR-H1を含まない。

0040

抗体誘導体
本発明の範囲内の抗体誘導体には、第二薬剤にコンジュゲートさせた又は共有結合させたヒト化抗体が含まれる。
例えば、一態様では、本発明は、細胞障害性剤にコンジュゲートさせた又は共有結合させたヒト化抗体を含むイムノコンジュゲートを提供する。本明細書中で用いる「細胞障害性剤」なる用語は、細胞表面上にNKG2Aレセプターを有する細胞を殺傷することができる分子である。細胞障害作用又は細胞抑制作用を有する任意の種類の部分は、本発明の抗体にコンジュゲートさせて、本発明の細胞障害性コンジュゲートを形成させ、特定のNKレセプター発現細胞を阻害ないしは殺傷させることができ、治療用放射同位体毒性タンパク質、毒性小分子、例えば薬剤、毒素免疫調節剤ホルモン、ホルモンアンタゴニスト酵素オリゴヌクレオチド酵素阻害剤治療用放射性核種血管形成阻害剤化学療法剤、ビンカアルカロイド、アントラサイクリンエピフィトキシンタキサン代謝拮抗物質アルキル化剤抗生物質、COX-2阻害剤、SN-38、抗有糸分裂剤、抗血管形成及びアポトーシス剤、特にドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT-11、カンプトテカン、ナイトロジェンマスタードゲムシタビンスルホン酸アルキルニトロソ尿素トリアゼン葉酸類似体ピリミジン類似体プリン類似体、白金配位錯体緑膿菌外毒素、リシン、アブリン、5-フルオロウリジンリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン-A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質ゲロニン(gelonin)、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素、及び緑膿菌内毒素及び他のものが含まれる(例として、Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th Ed. (Mack Publishing Co. 1995);Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (McGraw Hill, 2001);Pastan等 (1986) Cell 47:641;Goldenberg (1994) Cancer Journal for Clinicians 44:43;米国特許第6077499号;その全ての開示が出典明示によりここに援用される)。毒素は、動物、植物、真菌又は微生物由来のものであってよく、又は化学合成により新たに作製することもできると解されるであろう。

0041

他の実施態様では、抗体は、放射性同位体、例えば治療用放射性核種又は検出目的のために適切な放射性核種によって誘導体化される。多くの適切な放射性同位体の任意のものを使用することができ、限定されるものではないが、インジウム-111、ルテチウム-171、ビスマス-212、ビスマス-213、アスタチン-211、銅-62、銅-64、銅-67、イットリウム-90、ヨード-125、ヨード-131、リン-32、リン-33、スカンジウム-47、銀-111、ガリウム-67、プラセオジミウム-142、サマリウム-153、テルビウム-161、ジスプロシウム-166、ホルミウム-166、レニウム-186、レニウム-188、レニウム-189、鉛-212、ラジウム-223、アクチニウム-225、鉄-59、セレン-75、ヒ素-77、ストロンチウム-89モリブデン-99、ロジウム-105、パラジウム-109、プラセオジミウム-143、プロメチウム-149、エルビウム-169、イリジウム-194、金-198、金-199、及び鉛-211が含まれる。一般的に、放射性核種は、オージェエミッターで好ましくは20〜6000KeVの範囲、好ましくは60〜200KeVの範囲、ベータエミッターで100〜2500KeV、アルファエミッターで4000〜6000KeVの崩壊エネルギーを有する。また、アルファ粒子の生成を伴い、実質的に崩壊する放射性核種が好ましい。

0042

他の実施の形態では、第二薬剤は検出可能な部分であり、それは量的ないしは質的に観察されるかまたは測定されうる任意の分子であってもよい。本発明のコンジュゲート抗体に有用な検出可能なマーカーの例は、放射性同位体、蛍光色素、又は相補的に結合する対のいずれか、例えば抗原/抗体(NKG2Aに対する抗体以外)、レクチン糖質アビジンビオチン;レセプター/リガンド;または、分子的にインプリントされたポリマープリント分子システムのいずれか一のいずれかである。
またないしはあるいは、第二薬剤は、例えば、ヒト化抗体の循環半減期を増やすことを目的とするポリマーであってもよい。例示的なポリマーおよび、該ポリマーをペプチドに接着させる方法は、例えば米国特許第4766106号;同第4179337号;同第4495285号;及び同第4609546号に例示される。更なる例示的なポリマーには、ポリオキシエチラートポリオール及びポリエチレングリコール(PEG)部分が含まれる(例えば、完全長抗体ないし抗体断片は、およそ1000〜およそ40000、例えばおよそ2000〜およそ20000、例としておよそ3000〜12000の間の分子量を有する一又は複数のPEG分子にコンジュゲートさせてもよい)。

0043

細胞障害性剤又は他の化合物は、多数の利用可能な方法の任意のものを使用し、直接的又は間接的に、抗体に結合させることができる。例えば、薬剤は、N-スクシニル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)等の架橋剤を使用し、ジスルフィド結合形成を介して、又は抗体のFc領域内の糖質部分を介して、還元された抗体成分のヒンジ領域に接着させることができる(例として、Yu等 (1994) Int. J. Cancer 56: 244;Wong, Chemistry of Protein Conjugation and Cross-linking (CRCPress 1991); Upeslacis等, "Modification of Antibodies by Chemical Methods,", Monoclonal antibodies: principles and applications, Birch等 (eds.), pages 187-230 (Wiley-Liss, Inc. 1995);Price, "Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies,", Monoclonal antibodies: Production, engineering and clinical application, Ritter等 (eds.), pages 60-84 (Cambridge University Press 1995)、Cattel等 (1989) Chemistry today 7:51-58、Delprino等 (1993) J. Pharm. Sci 82:699-704;Arpicco等 (1997) Bioconjugate Chernistry 8:3;Reisfeld等 (1989) Antihody, Immunicon. Radiopharrn. 2:217を参照;それぞれの全ての開示は、出典明示によりここに援用される)。
別法として、抗NKG2A抗体と第二(細胞障害性又は他の)ポリペプチド薬剤を含む融合タンパク質は、例えば組み換え技術又はペプチド合成によって作製されてもよい。

0044

結合アッセイ
本発明は、ヒトNKG2Aを結合する抗体、特にZ270ハイブリドーマによって産生される抗NKG2A抗体のヒト化バージョンを提供する。
多種多様なアッセイのいずれかを用いてヒトNKG2Aに対する抗体の結合を評価することができる。とりわけ、ELISAラジオイムノアッセイウェスタンブロッティング、BIACOREおよび他の競合アッセイに基づくプロトコールが用途に適しており、公知技術である。
例えば、試験抗体標的タンパク質又はエピトープ(例えばNKG2Aないしはその一部)の存在下でインキュベートし、結合しなかった抗体を洗い流し、例えば放射性標識質量分析などの物理学的方法、又は細胞蛍光測定分析法(例えばFACスキャン)などを用いて直接ないし間接的に蛍光標識を検出することによって結合した抗体の存在を評価する、単純結合アッセイを用いることができる。このような方法は当業者にとって周知である。コントロールである非特異的な抗体で見られる量を上回る任意の結合量は、抗体が標的に特異的に結合することを示す。

0045

このようなアッセイでは、試験抗体の標的細胞又はヒトNKG2Aに結合する能力を、(ネガティブ)コントロール抗体、例えば構造的に関係のない抗原に対する抗体又はIgペプチドないしはタンパク質の同じ標的に結合する能力と比較することができる。任意の好適なアッセイを用いたときの抗体ないし断片の標的細胞又はNKG2Aへの結合親和性がコントロールタンパク質よりも25%、50%、100%、200%、1000%ないしそれ以上に増加している場合に、標的「に特異的に結合する」又は「と特異的に相互作用する」と言い、以下に記載の標的方法への使用に好ましい。また、NKG2A、例えばZ270ないしはその誘導体に対する(ポジティブ)コントロール抗体の結合に影響する試験抗体の能力を評価してもよい。
ヒト化抗NKG2A抗体はヒトNKG2Cを結合してもしなくともよく、ヒトNKG2Eを結合してもしなくともよく、ヒトNKG2C及びEのいずれかを結合してもしなくともよい。特定の実施態様では、モノクローナル抗体ないしその断片は、他のヒトNKG2レセプター、特に活性化レセプターNKG2C又はNKG2Eに結合しない。本発明の抗体のNKG2C及びNKG2E結合特性は、単にNKG2Aを他の対象の分子と交換する、上記の類似のアッセイで評価することができる。

0046

一態様では、本発明は、生物学的特徴および/または実質的な配列同一性をZ270と共有している非ヒト抗体のヒト化バージョンを提供する。ある例示的な生物学的特徴は、Z270エピトープ、すなわちZ270抗体が結合するNKG2Aの細胞外ドメインの領域への結合である。Z270エピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、例えばAntibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane (1988)に記載のような常法の交差ブロックアッセイを行うことができる。
例示的な交差ブロックないし競合アッセイでは、Z270(コントロール)抗体と試験抗体は混合され(又は予め吸着され)、NKG2Aを含む試料アプライされる。特定の実施態様では、NKG2A含有試料にアプライする前の一定時間、コントロール抗体を様々な量の試験抗体(例えば1:10又は1:100)と混合してもよい。他の実施態様では、コントロールと様々な量の試験抗体は、抗原/標的試料への曝露の間に単に混合されてもよい。遊離した抗体と結合した抗体(例えば、分離法又は洗浄技術を用いて結合していない抗体を取り除くことによって)、そして、コントロール抗体と試験抗体(例えば、種-ないしはアイソタイプ-特異的な二次抗体を用いることによって、コントロール抗体を検出可能な標識にて特異的に標識することによって、または、異なる化合物を区別するための質量分析のような物理的な方法を用いることによって)を区別することができる限りにおいて、試験抗体が抗原へのコントロール抗体の結合を低減するかどうかを決定することができ、この場合に該試験抗体はコントロールと実質的に同じエピトープを認識することが示されるであろう。このアッセイにおいて、完全に無関係な抗体がある場合で(標識した)コントロール抗体が結合すると、コントロール値は高い。低いコントロール値は、標識した(ポジティブ)コントロール抗体(Z270)を標識していないコントロール抗体とインキュベートし、このとき競合が生じて標識した抗体の結合が低減することによって得られる。

0047

試験アッセイにおいて、試験抗体の存在下で標識した抗体の反応が有意に低減した場合、試験が抗体が同じエピトープを認識する、すなわち標識したコントロール抗体と「交差反応する」ことを表す。およそ1:10からおよそ1:100の間のコントロール:試験抗体ないし化合物のいずれかの比率で、抗原/標的への標識したコントロールの結合を少なくとも50%又はより好ましくは70%低減する任意の試験抗体ないし化合物は、コントロールと実質的に同じエピトープないしは決定基に結合する抗体ないし化合物であると考えられる。好ましくは、このような試験抗体ないし化合物は、抗原/標的へのコントロールの結合を少なくとも90%低減するであろう。にもかかわらず、コントロール抗体ないし化合物の結合を測定可能な程度に低減する任意の化合物ないし抗体が、本発明で用いられてもよい。
また、類似の交差ブロックアッセイを用いて、Z270をHLA-Eの好適な形態と交換して、試験(ヒト化)抗体が、ヒトNKG2Aの天然のリガンドであるHLA-EのNKG2Aへの結合に影響するか否かを評価することができる。例えば、ヒト化抗NKG2A抗体調製物がHLA-EとのCD94/NKG2A相互作用を低減又はブロックするか否かを決定するために、以下の試験を行った。CD94/NKG2A、例としてBa/F3-CD94/NKG2A、NKL又はNK92を発現する細胞株を30分間上でインキュベートし、試験抗NKG2A抗体の濃度を上げる。次いで、細胞を、標準的な方法によって、PE標識したHLA-Eテトラマーと氷上で30分間インキュベートし、再度洗浄して、フローサイトメーター(FACScalibur、Beckton Dickinson)にてHLA-Eテトラマー結合を分析する。試験抗体がない場合、HLA-Eテトラマーは細胞に結合する。HLA-EへのCD94/NKG2A-結合をブロックする抗体調製物がある場合には、細胞へのHLA-Eテトラマーの結合が低減し、このようなmAbは「遮断(ブロッキング)抗体」と称される。

0048

NKG2A発現細胞を殺傷することを望まないなどの本発明のある態様では、本発明のヒト化抗体はFcレセプターに対して実質的に特異的な結合を示さないのが好ましい。このような抗体は、Fcレセプターを結合しないことが分かっている様々な重鎖の定常領域を含んでもよい。IgG4定常領域がその一例である。あるいは、定常領域を含まない抗体断片、例えばFab又はF(ab')2断片を、Fcレセプター結合を避けるために用いてもよい。Fcレセプター結合は、例えばBIACOREアッセイでのFcレセプタータンパク質に対する抗体の結合を試験することを含む当分野で公知の方法に従って評価されてもよい。また、Fc部分がFcレセプターへの結合を最小化する又は避けるように修飾されているいずれか他の抗体タイプも用いられてよい(例として国際公開03101485を参照、その開示内容は出典明記によってここに援用される)。例えばFcレセプター結合を評価するための細胞ベースのアッセイなどのアッセイは当分野で周知であり、例えば、国際公開03101485において記述される。

0049

細胞障害性アッセイ
抗NKG2A抗体がHLA-EとのCD94/NKG2A相互作用を低減又はブロックする場合、CD94/NKG2A制限リンパ球の細胞障害能を亢進しうる。これは、典型的な細胞障害性アッセイによって評価され、その例を以下に記載する。
CD94/NKG2A-媒介性シグナル伝達を低減させる抗体の能力は、例えばCD94/NKG2Aを発現するNKL細胞、及びHLA-Eを発現する標的細胞を使用する、標準的な4時間インビトロ細胞毒性アッセイにおいて試験することができる。CD94/NKG2AがHLA-Eを認識して、リンパ球媒介性細胞溶解を防止する阻害シグナル伝達の開始及び伝播を引き起こすので、このようなNKL細胞は、HLA-Eを発現する標的を効果的に死滅させない。例えば、Coligan等編, Current Protocols in Immunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience, N.Y.,(1992, 1993)に記載されているように、このようなインビトロ細胞毒性アッセイは、当該分野でよく知られている標準的な方法で実施可能である。標的細胞は、NKL細胞の添加前に51Crで標識され、ついで、死滅の結果として、死滅度は、細胞から培地への51Crの放出度合いに対する比率として推定される。CD94/NKG2AのHLA-Eへの結合を阻害する抗体を添加すると、CD94/NKG2Aを介して阻害シグナル伝達の開始及び伝播が阻害される。よって、このような薬剤が添加されると、標的細胞のリンパ球-媒介性死滅度が増加する。この工程により、例えばリガンド結合をブロックすることで、CD94/NKG2A-誘発性ネガティブシグナル伝達を阻害する薬剤が同定される。特定の51Cr-放出細胞障害性アッセイにおいて、CD94/NKG2A-発現NKLエフェクター-細胞は、HLA-E-ネガティブLCL721.221標的細胞を死滅させることが可能であるが、HLA-E-発現LCL721.221-Cw3コントロール細胞に対してはあまり効果的ではない。これに対し、CD94/NKG2Aを欠くYTSエフェクター-細胞は、双方の細胞系を効果的に死滅させる。よって、NKLエフェクター細胞は、CD94/NKG2Aを介したHLA-E-誘発性阻害シグナル伝達のため、HLA-E+LCL721.221-Cw3細胞の死滅にはあまり効果的ではない。このような51Cr-放出細胞障害性アッセイにおいて、NKL細胞が、本発明に係るブロッキング抗CD94/NKG2A抗体とともにプレインキュベートされる場合、HLA-E-発現LCL721.221-Cw3細胞は、抗体-濃度依存的な様式で効果的に死滅される。

0050

本発明の抗体の阻害又は増強活性は、例えばその開示が出典明示によりここに援用される、Sivori等, J. Exp. Med. 1997;186:1129-1136に記載されるような、細胞内の遊離のカルシウムへの影響等による、任意の多くの他の方法で評価することができる。NK、T又はNKT細胞活性もまた、例えばクロム放出ないしは他のパラメーターを測定して、P815細胞、K562細胞、又はその開示が出典明示によりここに援用される、Sivori等, J. Exp. Med. 1997;186:1129-1136;Vitale等, J. Exp. Med. 1998; 187:2065-2072;Pessino等 J. Exp. Med. 1998;188:953-960;Neri等 Clin. Diag. Lab. Immun. 2001;8:1131-1135;Pende等 J. Exp. Med. 1999;190:1505-1516に開示される好適な腫瘍細胞を殺傷するようにNK細胞を刺激する抗体の能力を評価する、細胞ベースの細胞障害性アッセイを用いて評価することができる。
一実施態様では、抗体調製物によって、CD94/NKG2A制限リンパ球の細胞障害能が少なくとも10%増強、好ましくはNK細胞障害能が少なくとも40%又は50%増強、又はより好ましくはNK細胞障害能が少なくとも70%増強する。

0051

また、細胞障害性リンパ球の活性は、NK細胞を抗体とインキュベートしてNK細胞のサイトカイン産生(例えばIFN-yおよびTNF-α産生)を刺激する、サイトカイン-放出アッセイを使用して調べることができる。例示的なプロトコールにおいて、PBMCからのIFN-y産生は、培養の4日後に、フローサイトメトリーによって細胞表面および細胞質内を染色して分析することによって評価される。簡単に述べると、培養の最後4時間に、5μg/mlの最終濃度ブレフェルジンA(Sigma Aldrich)を添加する。次いで、細胞を、透過処理前に、抗CD3及び抗CD56mAb(IntraPrepTM; Beckman Coulter)と共にインキュベートし、PE-抗IFN-y又はPE-IgG1(Pharmingen)にて染色する。ポリクローナル活性化NK細胞からのGM-CSF及びIFN-y生産を、ELISA(GM-CSF: DuoSet Elisa, R&D Systems, Minneapolis, MN, IFN-: OptElA set, Pharmingen)を使用し、上清において測定する。
特定の態様では、本発明は、CD94/NKG2A制限リンパ球の細胞障害能を亢進する、CD94/NKG2A制限リンパ球の細胞障害活性を高める、又はCD94/NKG2A媒介性のシグナル伝達を低減ないし阻害する際に、機能するか、又は元の非ヒト化抗体及び/又はそのキメラ型よりも有効である抗体を提供する。このような抗体は、元の非ヒト化抗体及び/又はそのキメラ型よりも、例えば少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、又は少なくとも20%以上可能か、又は有効である。

0052

組換え方法
また、本発明は、本明細書中に記載の抗NKG2A抗体をコードする単離された核酸、並びに該核酸を含むベクター及び宿主細胞を提供する。また、例えば核酸又はベクターを含む好適な宿主細胞を培養して核酸を発現させ、ヒト化抗体を産生されるなどの、組み換え技術を用いて前記抗NKG2A抗体を生成する方法を提供する。培養する前に、可変重鎖ドメインをコードする核酸を含むベクターと、可変軽鎖ドメインをコードする核酸を含むベクターとを宿主細胞に同時に形質移入してもよい。さらに、公知の技術を用いて抗体を宿主細胞から回収し、及び/又は精製してもよい。有用なベクター、宿主細胞及び技術を以下及び実施例に記載する。さらに、ヒト化抗NKG2A抗体を発現させるための方策を図4〜6に概説する。
一般に、抗体の組換え生産のために、それをコードする核酸は、単離され、さらなるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター中に挿入され、典型的には一又は複数のコントロールエレメントに作用可能に連結される。モノクローナル抗体をコードするDNAは直ぐに単離され、従来の手法を用いて(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドを使用することによって)配列決定される。多くのベクターが公知であり入手可能である。ベクター成分には、一般に、これらに制限されるものではないが、次のものの一又は複数が含まれる:シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列である。

0053

シグナル配列成分
本発明の抗NKG2A抗体は直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生産される。好ましく選択された異種シグナル配列は宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。例えば、ヒト化Z270抗体などの抗NKG2A抗体のヒト化重鎖及び/又は軽鎖の発現のための例示的なシグナル配列については実施例2を参照のこと。
天然抗NKG2A抗体シグナル配列を認識せずプロセシングしない原核生物宿主細胞に対して、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定なエンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列により置換される。酵母での分泌に対して、天然シグナル配列は、例えば酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含む)、又は酸ホスフォターゼリーダー、白体(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー、又は国際公開第1990/13646号に記載されているシグナルにより置換されうる。哺乳動物細胞での発現においては、哺乳動物のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。
このような前駆体領域のDNAは、抗NKG2A抗体をコードするDNAのリーディングフレームライゲートする。

0054

複製起点成分
発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。一般に、クローニングベクターにおいて、この配列は宿主染色体DNAとは独立にベクターが複製することを可能にするものであり、複製開始点又は自律複製配列を含む。そのような配列は多くの細菌、酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40ポリオーマアデノウイルス、VSV、EBV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般には、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は不要である(SV40開始点は典型的にはただ初期プロモーターを有しているために用いられる)。

0055

選択遺伝子成分
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリンネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えばバシリに対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼのような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
選択方法の一例では、宿主細胞の成長を抑止する薬物が用いられる。異種性遺伝子で首尾よく形質転換した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生産し、よって選択工程を生存する。このような優性選択の例は、薬剤ネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンを使用する。
哺乳動物細胞に適切な選択マーカーの他の例は、抗NKG2A抗体をコードする核酸を捕捉することのできる細胞成分を同定することを可能にするもの、例えばDHFR、チミジンキナーゼメタロチオネインI及びII、好ましくは、霊長類メタロチオネイン遺伝子アデノシンデアミナーゼオルニチンデカルボキシラーゼ等々である。
例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された細胞は、先ず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において形質転換物の全てを培養することで同定される。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、DHFR活性に欠陥のあるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)株化細胞である。

0056

あるいは、抗NKG2A抗体をコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択可能マーカーで形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に、内在性DHFRを含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のようなアミノグリコシド抗生物質のような選択可能マーカーの選択剤を含む培地中での細胞増殖により選択することができる。米国特許第4965199号を参照のこと。
酵母中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcomb等, Nature, 282:39(1979))。trp1遺伝子は、例えば、ATCC第44076号あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内で成長する能力に欠ける酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する。Jones, Genetics, 85:12 (1977)。酵母宿主細胞ゲノムにtrp1破壊が存在することは、ついでトリプトファンの不存在下における増殖による形質転換を検出するための有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠陥酵母株(ATCC20622あるいは38626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補完される。
更に、1.6μmの円形プラスミドpKD1由来のベクターは、クルイヴェロマイシス(Kluyveromyces)酵母の形質転換に用いることができる。あるいは、組換え仔ウシキモシン大規模生産のための発現系がK.ラクティス(lactis)に対して報告されている。Van den Berg, Bio/Technology, 8:135 (1990)。クルイヴェロマイシスの工業的な菌株による、組換え体成熟ヒト血清アルブミンの分泌のための安定した複数コピー発現ベクターもまた開示されている。Fleer 等, Bio/Technology,9:968-975 (1991)。

0057

プロモーター成分
発現及びクローニングベクターは通常は宿主生物体によって認識され抗NKG2A抗体をコードする核酸に作用可能に結合しているプロモーターを含む。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターは、phoAプロモーター、βラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーターを含む。しかし、他の既知の細菌プロモーターも好適である。細菌系で使用するプロモータもまた抗NKG2A抗体をコードするDNAと作用可能に結合したシャインダルガーノ(S.D.)配列を有する。
真核生物に対しても様々なプロモーター配列が知られている。実質的に全ての真核生物の遺伝子が、転写開始部位からおよそ25ないし30塩基上流に見出されるATリッチ領域を有している。多数の遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基上流に見出される他の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大部分の真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端へのポリ尾部の付加に対するシグナルであるAATAAA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。

0058

酵母宿主と共に用いて好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ又は他の糖分解酵素、例えばエノラーゼグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼヘキソキナーゼピルビン酸デカルボキシラーゼホスホフルクトキナーゼグルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼピルビン酸キナーゼトリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
他の酵母プロモーターは、成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域である。酵母の発現に好適に用いられるベクターとプロモータは欧州特許73657に更に記載されている。また酵母エンハンサーも酵母プロモーターと共に好適に用いられる。

0059

哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからの抗NKG2A抗体の転写は、例えば、ポリオーマウイルス伝染性上皮腫ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルストリ肉腫ウイルスサイトメガロウイルス(CMV)、レトロウイルスB型肝炎ウイルス及び最も好ましくはサルウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り、調節される。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点を更に含むSV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウイルスを用いて哺乳動物宿主中でDNAを発現させる系が、米国特許第4419446号に開示されている。この系の変形例は米国特許第4601978号に開示されている。また、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの調節下でのマウス細胞中でのヒトβインターフェロンcDNAの発現について、Reyes等, Nature, 297:598-601(1982)を参照のこと。あるいは、ラウス肉腫ウイルス末端反復をプロモーターとして使用することができる。

0060

エンハンサーエレメント成分
より高等の真核生物による本発明の抗NKG2A抗体をコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増強される。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビンエラスターゼアルブミンα-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが含まれる。真核生物プロモーターの活性化のための増強要素については、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)もまた参照のこと。エンハンサーは、抗NKG2A抗体コード配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされうるが、好ましくはプロモーターから5'位に位置している。

0061

転写終結成分
真核生物宿主細胞(例えば酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、また転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含む。このような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5'末端、時には3'末端の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの領域は、抗NKG2A抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。一つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開第94/11026号とそこに開示された発現ベクターを参照のこと。

0062

宿主細胞の選択及び形質転換
ここに記載のベクター中のDNAをクローニングあるいは発現させるために適切な宿主細胞は、上述の原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。この目的にとって適切な原核生物は、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクターエルウィニア(Erwinia)、クレブシエラプロテウスサルモネラ、例えばネズミチフス菌セラチア属、例えばセラチアマルセスキャンス及び赤痢菌属、並びに桿菌、例えば枯草菌及びバシリ・リチェフォルミス(licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266710に開示されたバシリ・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば緑膿菌及びストレプトマイセス属を含む。一つの好適な大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC31446)であるが、他の大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31537)及び大腸菌W3110(ATCC27325)のような株も好適である。これらの例は限定するものではなく例示的なものである。

0063

原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、抗NKG2A抗体をコードするベクターに適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシア、又は一般的なパン酵母下等真核生物宿主微生物のなかで最も一般的に用いられる。しかしながら、多数の他の属、種及び菌株も、一般的に入手可能でここで使用できる、例えば、シゾサッカロマイセスポンベ;クルイベロマイセス宿主、例えばK.ラクティス、K.フラギリス(ATCC12424)、K.ブルガリカス(ATCC16045)、K.ウィケラミイ(ATCC24178)、K.ワルチイ(ATCC56500)、K.ドロソフィラルム(ATCC36906)、K.サーモトレランス、及びK.マルキシアナス;ヤローウィア(EP402226);ピチアパストリス(EP183070);カンジダトリコデルマ・リーシア(EP244234);アカパンカビ;シュワニオマイセス、例えばシュワニオマイセスオクシデンタリス;及び糸状真菌、例えばパンカビ属アオカビ属、トリポクラジウム、及びコウジカビ属宿主、例えば偽巣性コウジ菌及びクロカビが使用できる。

0064

グリコシル化抗NKG2A抗体の発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては植物及び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウイルス株及び変異体及び対応する許容可能な昆虫宿主細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、アエデス・アエジプティ()、アエデス・アルボピクトゥス(蚊)、ドゥロソフィラ・メラガスター(ショウジョウバエ)、及びボンビクス・モリが同定されている。トランスフェクションのための種々のウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカNPVのL-1変異体とボンビクス・モリ NPVのBm-5株が公に利用でき、そのようなウイルスは本発明においてここに記載したウイルスとして使用でき、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞の形質転換に使用できる。綿花コーンジャガイモ大豆ペチュニアトマト、及びタバコのような植物細胞培養を宿主として利用することができる。

0065

しかしながら、脊椎動物細胞におけるものが最も興味深く、培養(組織培養)中での脊椎動物細胞の増殖は常套的な手順になっている。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7,ATCCCRL1651);ヒト胚腎臓(HEK)株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));ハムスター乳児腎細胞(BHK, ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980))、例えばDG44(Urlaub等, Som. Cell and Mol. Gen., 12: 555-566 (1986))及びDP12細胞株;マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));サルの腎細胞 (CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞 (HELA, ATCC CCL2);イヌ腎細胞 (MDCK, ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL3A, ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138, ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2, HB8065);マウス乳房腫瘍細胞(MMT060562, ATCC CCL51);TRI細胞(Mather等, Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(HepG2)である。
宿主細胞は、抗NKG2A抗体生産のために上述の発現又はクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適切に修飾された常套的栄養培地で培養される。

0066

宿主細胞の培養
本発明の抗NKG2A抗体を産生するために用いられる宿主細胞は種々の培地において培養することができる。市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(Sigma)、最小必須培地((MEM),(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、FreeStyleTM(Cibco)及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM), Sigma)が宿主細胞の培養に好適である。また、例えばHam等, Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnes等, Anal. Biochem. 102:255 (1980)、米国特許第4767704号;同4657866号;同4927762号;同4560655号;又は同5122469号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;又は米国再発行特許第30985号に記載された何れの培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地には何れもホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインシュリントランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCINTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は等価なエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について過去に用いられているものであり、当業者には明らかであろう。

0067

抗NKG2A抗体の精製
組換え技術を用いる場合、抗体は細胞内、又は細胞膜周辺腔に生成され、又は培地内に直接分泌される。抗体が細胞内に生成された場合、第1の工程として、宿主細胞か溶解された断片の何れにしても、粒子状細片が、例えば遠心分離又は限外濾過によって除去される。Carter等, Bio/Technology 10: 163-167 (1992)は、大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌された抗体の単離方法を記載している。簡単に述べると、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオリドPMSF)の存在下で約30分間解凍する。細胞細片は遠心分離で除去できる。抗体が培地に分泌された場合は、そのような発現系からの上清を、一般的には先ず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconTM又はPelliconTMの限外濾過装置を用いて濃縮する。フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)などのプロテアーゼ阻害剤を上記の任意の工程に含めて、タンパク質分解を阻害してもよく、また抗生物質を含めて外来性汚染物の成長を防止してもよい。

0068

細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーゲル電気泳動透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製でき、アフィニティクロマトグラフィーが好ましい精製技術である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインA適合性は、抗体中に存在する免疫グロブリンFc領域の種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ、又はγ4重鎖に基づく抗体の精製に用いることができる(Lindmark等, J. immunol. Meth. 62: 1-13 (1983))。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss等,EMBO J. 5: 16571575 (1986))。アフィニティーリガンドが結合されるマトリクスアガロースであることが最も多いが、他の材料も使用可能である。孔制御ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリクスは、アガロースで達成できるものより早い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM樹脂(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画エタノール沈殿逆相HPLCシリカでのクロマトグラフィーヘパリンでのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂上でのSEPHAROSETMクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿法も、回収される多価抗体に応じて利用可能である。
Z270又はそのヒト化バージョンの例示的なプロテインAベース精製方法を実施例6に記載する。

0069

製剤
一実施態様では、本発明は、一又は複数の担体とともに本明細書中に記載の抗体を含有してなる薬学的製剤を提供する。
したがって、本発明の他の目的は、前記の抗体を、1mg/ml〜500mg/mlの濃度で存在しているものを含有する薬学的製剤を提供することであり、該製剤は2.0〜10.0のpHを有する。製剤は、緩衝系保存料(類)、等張化剤(類)、キレート剤(類)、安定剤及び界面活性剤を更に含有する。一実施態様では、薬学的製剤は水性製剤、すなわち水分を含有する製剤である。このような製剤は典型的には溶液又は懸濁液である。本発明のさらなる実施態様では、薬学的製剤は水溶液である。「水性製剤」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している製剤として定義される。同様に、「水溶液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している溶液として定義され、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している懸濁液として定義される。

0070

他の実施態様では、薬学的製剤は凍結乾燥製剤であり、これに医師又は患者が使用前に溶剤及び/又は希釈液を添加する。
他の実施態様では、薬学的製剤は、何ら事前溶解させることのない使用準備が整った乾燥製剤(例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥されたもの)である。
更なる態様では、薬学的製剤は前記抗体の水溶液とバッファを含み、該抗体は1mg/ml又はそれ以上の濃度で存在し、該製剤は約2.0〜約10.0のpHを有する。
他の実施態様では、製剤のpHは、およそ2.0からおよそ10.0、およそ3.0からおよそ9.0、およそ4.0からおよそ8.5、およそ5.0からおよそ8.0、及びおよそ5.5からおよそ7.5からなる列挙から選択される範囲である。
更なる実施態様では、バッファは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウムシトレートグリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウムリン酸水素二ナトリウムリン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタンビシン(bicine)、トリシンリンゴ酸スクシネートマレイン酸フマル酸酒石酸、アスパラギン酸又はそれらの混合物から選択されうる。これらの特定のバッファーがそれぞれ別の態様を構成する。

0071

更なる実施態様では、製剤は、製薬的に許容可能な保存料を更に含有可能である。保存料は、例えばフェノール、o-クレゾールm-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルp-ヒドロキシ安息香酸プロピル2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル2-フェニルエタノールベンジルアルコールクロロブタノール、及びチオロサール、ブロノポール安息香酸イミド尿素クロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウムクロロクレゾールp-ヒドロキシ安息香酸エチル塩化ベンゼトニウムクロルフェネシン(chlorphenesine)(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)又はそれらの混合物からなる群から選択されうる。保存料は、0.1mg/ml〜20mg/ml;0.1mg/ml〜5mg/ml;5mg/ml〜10mg/ml;又は10mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在してよい。これらの特定の保存料の各一が、本発明の別の実施態様を構成する。製薬用組成物に保存料を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。

0072

更なる実施態様では、製剤は等張化剤を更に含有しうる。等張化剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖又は糖アルコール、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、又はそれらの混合物からなる群から選択してよい。任意の糖、例えば単糖類二糖類又は多糖類、又は水溶性グルカン類、例えばフルクトース、グルコース、マンノースソルボースキシロース、マルトース、ラクトース、スクローストレハロースデキストランプルランデキストリンシクロデキストリン可溶性デンプンヒドロキシエチルデンプン、及びカルボキシメチルセルロース-Naを使用することができる。一実施態様では、糖添加剤はスクロースである。糖アルコールは、少なくとも一の-OH基を有するC4-C8炭化水素と定義され、例えばマンニトールソルビトールイノシトールガラクチトール(galactitol)、ズルシトールキシリトール、及びアラビトールを含む。一実施態様では、糖アルコール添加剤はマンニトールである。上述した糖又は糖アルコールは、個々に又は組合せて使用されてよい。使用される量は、糖又は糖アルコールが液状調製物に溶解し、本発明の方法を使用して得られた安定化効果に悪影響を与えない限りは、固定された限界値があるものではない。糖又は糖アルコールの濃度は、例えば約1mg/ml〜約150mg/mlである。等張化剤は1mg/ml〜50mg/ml;1mg/ml〜7mg/ml;8mg/ml〜24mg/ml;又は25mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在してよい。これらの特定の等張化剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。製薬用組成物に等張化剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。

0073

更なる実施態様では、製剤はキレート剤も更に含有しうる。キレート剤は、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、及びアスパラギン酸の塩、及びそれらの混合物から選択されうる。キレート剤は例えば0.1mg/ml〜5mg/ml;0.1mg/ml〜2mg/ml;又は2mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。これらの特定のキレート剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。製薬用組成物にキレート剤を使用することは当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。

0074

本発明の更なる実施態様では、製剤は安定剤を更に含有しうる。製薬用組成物に安定剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。より具体的には、本発明の組成物は安定した液状製薬用組成物であり、その治療的活性化合物は、液状薬学的製剤の保存中に、凝集体の形成を示す可能性のあるポリペプチドを含む。「凝集体形成」とは、オリゴマーを形成するポリペプチド分子間の物理的相互作用を意図しており、これは、可溶性か、又は溶液から沈殿する大きな可視できる凝集体として残る。「保存中」とは、液状製薬用組成物又は調製されて直ぐの製剤が、被験者に直ぐ投与されるものではないことを意図している。むしろ、調製後に、液状の形態、凍結状態液状形態に後で再構成される乾燥した形態、又は被験者への投与に適した他の形態で、包装又は保存されている。「乾燥した形態」とは、液状製薬用組成物又は製剤が、フリーズドライ(すなわち凍結乾燥;例えばWilliams及びPolli(1984)J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59を参照)、噴霧乾燥(Masters(1991) Spray-Drying Handbook(第5版;Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), pp.491-676;Broadheadら, (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206;及びMumenthalerら, (1994) Pharm. Res. 11:12-20)、又は空気乾燥(Carpenter及びCrowe (1988) Cryobiology 25:459-470;及びRoser (1991) Biopharm. 4:47-53)により乾燥されることを意図している。液状製薬用組成物の保存中におけるポリペプチドによる凝集体形成は、ポリペプチドの生物活性に悪影響を及ぼすおそれがあり、製薬用組成物の治療効果が損なわれる。更に凝集体形成は、例えばチューブ、膜、又はポリペプチド含有製薬用組成物が注入システムを使用して投与される場合はポンプ閉塞のような、他の問題を生じさせうる。

0075

本発明の製薬用組成物は、組成物の保存中、ポリペプチドによる凝集体形成を低減させるのに十分な量のアミノ酸塩基を更に含有しうる。「アミノ酸塩基」とは、アミノ酸又はアミノ酸の組合せを意図しており、任意の与えられたアミノ酸が、その遊離塩基の形態又はその塩の形態の何れかで存在している。アミノ酸の組合せを使用する場合、全てのアミノ酸が遊離塩基の形態で存在していてもよく、全てが塩の形態で存在していてもよく、又は幾つかが遊離塩基の形態で存在していてもよく、残りが塩の形態で存在していてもよい。一実施態様では、本発明の組成物の調製に使用されるアミノ酸は、帯電側鎖を担持しているもの、例えばアルギニン、リジン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸である。特定のアミノ酸(例えば、メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン及びそれらの混合物)の任意の立体異性体(すなわち、L、D、又はそれらの混合物)、又はこれらの立体異性体の組合せが、該特定のアミノ酸が遊離塩基の形態又は塩の形態の何れかで存在している限り、本発明の製薬用組成物中に存在していてもよい。一実施態様では、L-立体異性体が使用される。また本発明の組成物は、これらのアミノ酸の類似体と共に製剤化されてもよい。「アミノ酸類似体」とは、本発明の液状製薬用組成物の保存中に、ポリペプチドによる凝集体形成を低減させるという所望の効果をもたらす天然に生じるアミノ酸の誘導体を意図している。適切なアルギニン類似体は、例えばアミノグアニジンオルニチン及びN-モノエチル-L-アルギニンを含み、適切なメチオニン類似体はエチオニン及びブチオニンを含み、適切なシステイン類似体はS-メチル-L-システインを含む。他のアミノ酸と同様、アミノ酸類似体は、遊離塩基の形態又は塩の形態の何れかで組成物中に導入される。本発明の更なる実施態様では、アミノ酸又はアミノ酸類似体は、タンパク質の凝集を防止し又は遅延化させるのに十分な濃度で使用される。

0076

本発明の更なる実施態様では、メチオニン(又は他の硫黄含有アミノ酸又はアミノ酸類似体)は、治療剤として作用するポリペプチドが酸化を受けやすい少なくとも一のメチオニン残基を有するポリペプチドである場合、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害するために添加されうる。「阻害」とは、経時的なメチオニン酸化種蓄積を最小にすることを意図している。メチオニン酸化を阻害すると、適切な分子形態でのポリペプチドの保持が更に高まる。メチオニン(L又はD)の任意の立体異性体又はそれらの任意の組合せを使用することができる。添加される量は、メチオニンスルホキシドの量が規制機関にとって許容可能であるような、メチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量とするべきである。典型的には、これは、組成物が約10%〜約30%を越えるメチオニンスルホキシドを含まないことを意味する。一般的に、これは、メチオニン残基に添加されるメチオニンの比率が、約1:1〜約1000:1、例えば10:1〜約100:1の範囲になるようにメチオニンを添加することで、達成することができる。

0077

更なる実施態様では、本発明の製剤は高分子量ポリマー又は低分子量化合物の群から選択される安定剤を更に含有する。本発明の更なる実施態様では、安定剤は、ポリエチレングリコール(例えばPEG3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドンカルボキシ-/ヒドロキシセルロース又はそれらの誘導体(例えばHPC、HPC-SL、HPC-L及びHPMC)、シクロデキストリン類硫黄含有物質、例えばモノチオグリセロールチオグリコール酸及び2-メチルチオエタノール、及び異なった塩(例えば塩化ナトリウム)から選択される。これらの特定の安定剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。

0078

製薬用組成物は、その中の治療的に活性なポリペプチドの安定性を更に高める、付加的な安定剤をまた含有しうる。本発明にとって特に関心のある安定剤は、限定されるものではないが、メチオニンの酸化に対してポリペプチドを保護するEDTA及びメチオニン、及び凍結-解凍又は機械的剪断に関連する凝集からポリペプチドを保護する非イオン性界面活性剤を含む。
更なる実施態様では、製剤は更に界面活性剤を含有しうる。界面活性剤は、例えば、洗浄剤エトキシル化ヒマシ油ポリグリコール化グリセリドアセチル化モノグリセリドソルビタン脂肪酸エステルポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えばポロキサマー、例えばプルロニック(Pluronic)(登録商標)F68、ポロキサマー188及び407、トリトンX-100)、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン及びポリエチレンの誘導体、例えばアルキル化されアルコキシル化された誘導体(トゥイーン類(tweens)、例えばトゥイーン-20、トゥイーン-40、トゥイーン80及びビリジ(Brij)-35)、モノグリセリド類又はそのエトキシル化誘導体、ジグリセリド類又はそのポリオキシエチレン誘導体アルコール、グリセロール、レシチン及びリン脂質(例えば、ホスファチジルセリンホスファチジルコリンホスファチジルエタノールアミンホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール及びスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(例えばホスファチジン酸ジパルミトイル)及びリゾリン脂質(例えばパルミトイル-リゾホスファチジル-L-セリン、及びエタノールアミンコリン、セリン又はスレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-ホスファートエステル)、及びリゾホスファチジル及びホスファチジルコリンのアルキルアルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)-誘導体、例えばリゾホスファチジルコリンラウロイル及びミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン及び極性頭部基修飾体コリン類エタノールアミン類、ホスファチジン酸、セリン類、スレオニン類、グリセロール、イノシトール、及び正に帯電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリン、及びリゾホスファチジルスレオニン、及びグリセロリン脂質(例えばセファリン類)、グリセロ糖脂質(例えばガラクトピラノシド)、スフィンゴ糖脂質(例えばセラミド類ガングリオシド類)、ドデシルホスホコリン鶏卵リゾレシチンフシジン酸誘導体-(例えばタウロ-ジヒドロジシ酸ナトリウム等)、長鎖脂肪酸及びそれらのC6-C12塩(例えばオレイン酸及びカプリル酸)、アシルカルニチン類及び誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンのNα-アシル化誘導体、又はリジン又はアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンと中性又は酸性アミノ酸の任意の組合せを含有するジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸と2つの帯電したアミノ酸の任意の組合せを含有するトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS(ドキュセートナトリウムCAS登録番号[577-11-7])、ドキュセートカルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム、CAS登録番号[7491-09-0])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウムコール酸又はその誘導体、胆汁酸及びその塩、及びグリシン又はタウリンコンジュゲート、ウルソデオキシコール酸コール酸ナトリウムデオキシコール酸ナトリウムタウロコール酸ナトリウムグリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナートアニオン性(アルキル-アリール-スルホナート類)の一価の界面活性剤、双性イオン性界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、カチオン性界面活性剤(第4級アンモニウム塩基)(例えばセチル-トリメチルアンモニウムブロミドセチルピリジニウムクロリド)、非イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル-β-D-グルコピラノシド)、ポロキサミン類(例えばテトロニックス(Tetronic's))で、エチレンジアミンプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを逐次付加することにより誘導された四官能ブロックコポリマーから選択され、又は界面活性剤は、イミダゾリン誘導体又はそれらの混合物の群から選択されてもよい。これらの特定の界面活性剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。
製薬用組成物に界面活性剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。

0079

更なる実施態様では、製剤は、プロテアーゼインヒビター、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びベンズアミジンHClを更に含有し、他の商業的に入手可能なプロテアーゼインヒビターを使用することもできる。プロテアーゼインヒビターを使用することは、自己触媒を阻害するため、プロテアーゼチモーゲンを含有する製薬用組成物に特に有用である。
他の成分が本発明のペプチド薬学的製剤中に存在していてもよい。このような付加的な成分は、湿潤剤乳化剤酸化防止剤増量剤張力修正剤、キレート剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び双性イオン(例えばアミノ酸、特にベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン及びヒスチジン)を含みうる。もちろん、このような付加的な成分は、本発明の薬学的製剤の全体的な安定性に悪影響がないようにすべきである。

0080

本発明の一又は複数の抗体を含む製薬用組成物は、幾つかの部位、例えば局所的部位、特に皮膚及び粘膜部位動脈静脈心臓への投与等、バイパス吸収がなされる部位、例えば皮膚、皮下、粘膜又は腹部への投与等、吸収に関連する部位において、このような治療が必要とされる患者に投与されうる。
本発明の製薬用組成物は、幾つかの投与経路、例えば皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、、舌下、、口、経口、、及び腸、を介して、例えば細気管支及び肺胞及び/又はそれらを組合せたもの、表皮真皮経皮直腸眼球を介して、例えば結膜尿管、及び非経口を介して、このような治療を必要としている患者に投与されうる。
本発明の組成物は、幾つかの投与形態、例えば溶液、懸濁液、エマルションマイクロエマルション多相エマルション、フォーム膏薬ペーストプラスター軟膏錠剤被覆錠剤リンスカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル坐薬、直腸用カプセル、ドロップゲルスプレーパウダーエアゾール吸入剤点眼剤、眼球用軟膏、眼球用リンス、膣用ペッサリー、膣用リング、膣用軟膏、注入溶液インサイツ形質転換溶液、例えばインサイツゲル化、インサイツセット用、インサイツ沈殿化、インサイツ結晶化のもの、注入液、及び移植片として投与されうる。

0081

本発明の組成物は、更に、抗体の安定性を更に高め、生物学的利用能を増加させ、溶解度を高め、副作用を低減させ、当業者によく知られている時間療法を達成し、患者のコンプライアンスを高め、又はそれらの任意の組合せのために、例えば共有的疎水的及び静電気的相互作用を介して、薬剤担体薬剤送達系、及び進化した薬剤送達系において配合し、又は付加させてもよい。担体、薬剤送達系及び進化した薬剤送達系の例は、限定されるものではないが、ポリマー、例えばセルロース及び誘導体、多糖類、例えばデキストラン及び誘導体、デンプン及び誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリラート及びメタクリラートポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸、及びそれらのブロックコ-ポリマー、ポリエチレングリコール、担体タンパク質、例えばアルブミン、ゲル、例えば熱ゲル化系、例えば当業者によく知られているブロックコポリマー系、ミセルリポソームミクロスフィアナノ粒子液晶、及びそれらの分散液、L2相、及び脂質-水系における相挙動が当業者によく知られているそこでの分散液、ポリマー性ミセル、多相エマルション、自己乳化剤自己-マイクロ乳化剤、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、及びデンドリマーを含む。
本発明の組成物は、全て当業者によく知られたデバイスである、定量吸入器乾燥パウダー吸入器、及び噴霧器等を使用し、抗体を肺に投与するための、固形、半固形、パウダー及び溶液の製剤に有用である。

0082

本発明の組成物はまた、制御、徐放性持続性遅延性及び低速放出性の薬剤送達系の製剤に有用である。特に限定されるものではないが、組成物は、当業者によく知られている非経口用の制御放出性及び徐放性系(双方の系とも、投与の数が何倍も低下する)製剤に有用である。更に好ましいのは、皮下投与される制御放出性及び徐放性系のものである。本発明の範囲を限定することなく、有用な制御放出性及び組成物の例は、ヒドロゲル油性ゲル、液晶、ポリマー性ミセル、ミクロスフィア、ナノ粒子である。
本発明の組成物に有用な制御放出性系の作製方法は、限定されるものではないが、結晶化、凝縮共結晶化、沈殿、共沈殿乳化、分散、高圧ホモジナイズカプセル化、噴霧乾燥、マイクロカプセル化コアセルベーション相分離、ミクロスフィアを製造するための溶媒蒸発押出及び超臨界流体プロセスを含む。一般的には、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release(Wise, D.L.編. Marcel Dekker, New York, 2000)及びDrug and the Pharmaceutical Sciences vol.99:Protein Formulation and Delivery(MacNally, E.J.編. Marcel Dekker, New York, 2000)を参照。

0083

非経口投与は、シリンジ、場合によってはペン様シリンジにより、皮下、筋肉内、腹膜内又は静脈内注射によって実施されうる。あるいは、非経口投与は、注入ポンプにより実施することもできる。更なる選択肢は、鼻用又は肺用スプレーの形態で抗体化合物を投与するための溶液又は懸濁液であってよい組成物にある。更なる選択肢としては、本発明の抗体を含む製薬用組成物を、例えば針のない注射、又はイオン導入パッチであってよいパッチによる経皮投与用、又は頬等の経粘膜投与用に適合させることもできる。
抗体は、肺薬剤送達系に適した任意の既知のタイプのデバイスを使用し、ビヒクル、例えば溶液、懸濁液又は乾燥パウダーとして、肺経路を介して投与することができる。これらの例には、限定されるものではないが、肺薬剤送達用の3種類のエアゾール発生の一般的タイプが含まれ、ジェット又は超音波噴霧器、定量吸入器、又は乾燥パウダー吸入器が含まれうる(Yu J, Chien YW. Pulmonary drug delivery:Physiologic and mechanistic aspects. Crit Rev Ther Drug Carr Sys 14(4)(1997)395-453を参照)。

0084

標準化された試験法に基づき、粒子空気動力学的直径(da)を、単位密度(1g/cm3)の参照基準球形粒子幾何学的相当直径として定義する。最も単純な場合、球形粒子に対して、daは:

に記載されるような密度比平方根関数として、参照直径(d)に関連している。

0085

この関係は非球形粒子に対しては修正される(EdwardsDA, Ben-Jebria A, Langer R. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2)(1998)379-385を参照)。「MMAD」及び「MMEAD」なる用語は、詳しく記載されており、当該分野で知られている(Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R、及び空気動力学的粒子分布中央値測定値を表す。Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385を参照)。空気動力学的中央粒子径(MMAD)及び有効空気動力学的中央粒子径(MMEAD)(mass median effective aerodynamic diameter)は、交換可能に使用され、統計パラメータであり、実際の形状、サイズ又は密度に無関係に、肺中沈着するそれらの可能性に関連して、エアゾール粒子のサイズが経験的に記載されている(Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2)(1998)379-385を参照)。通常、MMADは、空気中における粒子の慣性挙動を測定する装置、衝突体を用いてなされる測定から算出される。

0086

更なる実施態様では、製剤は、10μm、好ましくは1−5μm、最も好ましくは1−3μm未満のエアゾール粒子のMMADを達成するために、任意の既知のエアゾール化技術、例えばネブライゼーションによりエアゾール化することができる。好ましい粒子径は、肺の奥深くまで薬剤を送達せしめるのに最も効果的なサイズに基づいており、タンパク質が最適に吸収されるようになされる (例えば、EdwardsDA, Ben-Jebria A, Langer A, Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2)(1998)379-385を参照)。抗体を含有する肺用製剤を肺の奥深くに付着させることは、吸入技術、例えば限定されるものではないが:低吸入速度(例えば30L/分)、呼吸停止及び作動のタイミングを修正して最適化されうる。

0087

「安定化された製剤」なる用語は、物理的安定性が増した、化学的安定性が増した、又は物理的及び化学的安定性が増した製剤を意味する。
ここで使用される場合、タンパク質製剤の「物理的安定性」なる用語は、タンパク質が熱-機械的ストレス暴露され、及び/又は不安定な表面及び界面、例えば疎水性表面及び界面と相互作用する結果として、タンパク質が生物学的に不活性になり及び/又は不溶性の凝集体が形成されるというタンパク質の傾向を意味する。水性タンパク質製剤の物理的安定性は、適切な容器(例えばカートリッジ又はバイアル)に充填された製剤を、様々な時間、異なる温度で機械的/物理的ストレス(例えば攪拌)に暴露した後に、視覚検査及び/又は濁度測定することで評価される。製剤の視覚検査は、暗色背景で、鋭く集光されたライト下において実施される。製剤の濁度は、例えば0〜3のスケールで、濁りの程度をランク付けする視覚スコア(濁りのない製剤は視覚スコア0に相当し、日光下で視覚的に濁りのある製剤は視覚スコア3に相当する)により特徴付ける。製剤は、日光下で視覚的濁りを示す場合に、タンパク質会合に関して物理的に不安定であると分類される。また製剤の濁度は、当業者によく知られている簡単な濁度測定法により評価することもできる。また水性タンパク質製剤の物理的安定性は、タンパク質の構造状態プローブ又は分光剤を使用して評価することもできる。プローブは、好ましくはタンパク質の非天然配座異性体に結合する小分子である。タンパク質構造の小分子分光プローブの一例はチオフラビンTである。チオフラビンTは、アミロイド原繊維の検出に広範囲に使用されている蛍光染料である。原繊維おそらく他のタンパク質立体配置が存在すると、チオフラビンTが約450nmで新たな励起極大を引き起こし、原繊維タンパク質形態に結合した時に、約482nmで増強発光する。未結合のチオフラビンTは、本質的にはその波長非蛍光性である。

0088

天然から非天然状態までのタンパク質構造における変化のプローブとして、他の小分子を使用することができる。例えば、タンパク質の暴露された疎水性パッチ優先的に結合する「疎水性パッチ」プローブである。疎水性パッチは、その天然状態にあるタンパク質の3次構造内に一般的に埋められているが、タンパク質の展開及び変性が始まると、暴露されるようになる。これらの小分子の例、分光プローブは、芳香族疎水性染料、例えばアントラセンアクリジンフェナントロリン等である。他の分光プローブは金属-アミノ酸錯体、例えば疎水性アミノ酸、例えばフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、及びバリン等のコバルト金属錯体である。

0089

ここで使用される場合、タンパク質製剤の「化学的安定性」なる用語は、天然のタンパク質構造と比較して、免疫原性の潜在的増加及び/又は生物学的有効性の潜在的低下を伴う、化学的な分解産物の形成に至るタンパク質構造における化学的共有変化を意味する。種々の化学的な分解産物は、天然タンパク質性質及び種類、及びタンパク質が暴露される環境に応じて形成されうる。化学的分解の排除は、多くの場合、完全に回避することはできず、当業者によく知られているように、タンパク質製剤の保存及び使用中に、化学的な分解産物の量の増加が見られる。殆どのタンパク質は、脱アミド化する傾向にあり、グルタミニル又はアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解されて、遊離カルボン酸を形成する。他の分解経路高分子量の形質転換産物の形成に関与しており、2又はそれ以上のタンパク質分子は、アミド転移及び/又はジスルフィド相互作用を介して互いに共有結合し、共有結合した二量体、オリゴマー及びポリマーの分解産物の形成に至る(Stability of Protein Phramaceuticals, Ahern. T. J. & Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。(例えばメチオニン残基の)酸化も、化学的分解の他の変形例として挙げることができる。タンパク質製剤の化学的安定性は、異なる環境条件に暴露させた後、種々の時点での化学的な分解産物の量を測定することにより評価することができる(分解産物の形成は、多くの場合、例えば温度上昇により促進される)。個々の分解産物の各々の量は、多くの場合、様々なクロマトグラフィー技術(例えばSEC-HPLC及び/又はRP-HPLC)を使用し、分子サイズ及び/又は電荷に応じて、分解産物を分離することにより測定される。

0090

よって、上に概要を述べたように、「安定化された製剤」とは、物理的安定性が増加、化学的安定性が増加、又は物理的及び化学的安定性が増加した製剤を意味する。一般的に、製剤は、有効期限に到達するまで、使用及び保存中に(推奨される用途及び保存条件で)安定していなければならない。

0091

本発明の一実施態様では、抗体を含有する薬学的製剤は、6週間以上の使用と、3年以上の保存に対して安定している。
本発明の他の実施態様では、抗体を含有する薬学的製剤は、4週間以上の使用と、3年以上の保存に対して安定している。
本発明の更なる実施態様では、抗体を含有する薬学的製剤は、4週間以上の使用と、2年以上の保存に対して安定している。
本発明の更なる実施態様では、該化合物を含有する製剤組成物は、2週間以上の使用と、2年以上の保存に対して安定している。

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