図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
所定の成分に対して特異的に反応する試薬を収容している槽と、所定の成分と試薬とが特異的に反応するように検体と試薬とを接触させるための槽とを有する自動測定用の容器において、容器は、一体成形によって形成されている複数の槽を有するプラスチックの成形体と、成形体に接着して槽を密閉するシートとから構成され、プラスチックの成形体は、非吸水性又は低吸水性の熱可塑性樹脂を真空成形又は圧空成形で成形した成形体であり、かつ光透過性を有する成形体である自動測定用の容器が知られている(特許文献1)。
内容物を充填するチューブ本体と、チューブ本体の先端に開口され、内容物を吐出させるための吐出孔と、チューブ本体の先端部分を被覆して吐出孔を閉塞するキャップとを備えたチューブ容器であって、コアと一次キャビティとの間隙に合成樹脂を射出してチューブ本体を射出成形し、該チューブ本体を残した該コアと二次キャビティとの間隙に合成樹脂を射出してチューブ本体の先端部分にキャップを射出成形する二色成形にて形成されたチューブ容器も知られている(特許文献2)。
概要
検体容器内に収容された検体の濁度分析を行う場合に検体容器側面部からの外光を遮断して正確で精度の高い検体の濁度分析を行うことができる検体容器及びその製造方法を提供する。光透過性の材料で形成され上端に開口部を有する検体収容部と光遮断性の材料で形成され検体収容部を覆う外筒部とからなる容器本体と、光透過性の材料で形成され検体収容部の開口部を着脱可能に密閉する蓋体と、を備え、検体収容部が、検体が収容される貯留空間を形成する筒状側部と底部とからなり、筒状側部の外筒軸線と内筒軸線とが偏心して形成され、検体収容部の内筒軸線と外筒部の軸線とが一致して形成されている。
目的
本発明は、検体容器内に収容された検体の濁度分析を行う場合に検体容器側面部からの外光を遮断して正確で精度の高い検体の濁度分析を行うことができる検体容器及びその製造方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
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請求項1
光透過性の材料で形成され上端に開口部を有する検体収容部と光遮断性の材料で形成され前記検体収容部を覆う外筒部とからなる容器本体と、光透過性の材料で形成され前記検体収容部の前記開口部を着脱可能に密閉する蓋体と、を備え、前記検体収容部が、検体が収容される貯留空間を形成する筒状側部と底部とからなり、前記筒状側部の外筒軸線と内筒軸線とが偏心して形成されている、ことを特徴とする検体容器。
請求項2
前記検体収容部の内筒軸線と前記外筒部の軸線とが一致して形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の検体容器。
請求項3
前記蓋体が、前記開口部に嵌着される筒部の突出側に内底面を有し、前記内底面はテーパ状に傾斜した面で形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の検体容器。
請求項4
請求項5
技術分野
背景技術
0002
所定の成分に対して特異的に反応する試薬を収容している槽と、所定の成分と試薬とが特異的に反応するように検体と試薬とを接触させるための槽とを有する自動測定用の容器において、容器は、一体成形によって形成されている複数の槽を有するプラスチックの成形体と、成形体に接着して槽を密閉するシートとから構成され、プラスチックの成形体は、非吸水性又は低吸水性の熱可塑性樹脂を真空成形又は圧空成形で成形した成形体であり、かつ光透過性を有する成形体である自動測定用の容器が知られている(特許文献1)。
0003
内容物を充填するチューブ本体と、チューブ本体の先端に開口され、内容物を吐出させるための吐出孔と、チューブ本体の先端部分を被覆して吐出孔を閉塞するキャップとを備えたチューブ容器であって、コアと一次キャビティとの間隙に合成樹脂を射出してチューブ本体を射出成形し、該チューブ本体を残した該コアと二次キャビティとの間隙に合成樹脂を射出してチューブ本体の先端部分にキャップを射出成形する二色成形にて形成されたチューブ容器も知られている(特許文献2)。
先行技術
0004
特開2004−251638号公報
特開2012−045834号公報
発明が解決しようとする課題
0005
本発明は、検体容器内に収容された検体の濁度分析を行う場合に検体容器側面部からの外光を遮断して正確で精度の高い検体の濁度分析を行うことができる検体容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0006
前記課題を解決するために、請求項1に記載の検体容器は、
光透過性の材料で形成され上端に開口部を有する検体収容部と光遮断性の材料で形成され前記検体収容部を覆う外筒部とからなる容器本体と、
光透過性の材料で形成され前記検体収容部の前記開口部を着脱可能に密閉する蓋体と、を備え、
前記検体収容部が、検体が収容される貯留空間を形成する筒状側部と底部とからなり、前記筒状側部の外筒軸線と内筒軸線とが偏心して形成されている、
ことを特徴とする。
0007
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検体容器において、
前記検体収容部の内筒軸線と前記外筒部の軸線とが一致して形成されている、
ことを特徴とする。
0008
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の検体容器において、
前記蓋体が、前記開口部に嵌着される筒部の突出側に内底面を有し、前記内底面はテーパ状に傾斜した面で形成されている、
ことを特徴とする。
0010
前記課題を解決するために、請求項5に記載の検体容器の製造方法は、
コアと一次成形用キャビティとの間隙に第1の合成樹脂を射出して検体収容部を射出成形した後、前記検体収容部を残した前記コアと二次成形用キャビティとの間隙に第2の合成樹脂を射出成形する二色成形において、型締め方向における前記コアの中心軸線と前記一次成形キャビティの中心軸線とが偏心して配置され、前記コアの中心軸線と前記二次成形キャビティの中心軸線とが一致して配置されている、
ことを特徴とする。
発明の効果
0011
請求項1記載の発明によれば、検体容器内に収容された検体の濁度分析を行う場合、検体容器底面部に発生するウェルドラインを防止して正確で精度の高い検体の濁度分析を行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、均一な肉厚で強度低下を抑制できる検体容器を提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、検体容器内に収容された検体の濁度分析を行う場合、検体容器内部に封入された残留気体を光の透過軸線上から移動させ、正確で精度の高い検体の濁度分析を行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、検体容器内に収容された検体の濁度分析を行う場合、検体容器内部に封入される残留気体を検体容器の外部へ排出し、正確で精度の高い検体の濁度分析を行うことができる。
請求項5記載の発明によれば、検体容器を射出成形で成形した場合、検体容器底面部に発生するウェルドラインを防止して正確な光透過性を備えた検体容器を製造することができる。
図面の簡単な説明
0012
(a)は検体容器1の平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は縦断面図である。
(a)は蓋体20の要部縦断面図、(b)は容器本体10の要部縦断面図、(c)は容器本体10の要部横断面図である。
容器本体10を成形する一次成形の金型Mを示す断面模式図である。
容器本体10を成形する二次成形の金型Mを示す断面模式図である。
本実施形態の金型Mにおける溶融樹脂の充填パターンを説明するための図である。
自動反応装置100の超音波処理部を示す模式図である。
蓋体20の内底面23における容器本体10内に密封される残留エアの動きを説明する断面模式図である。
比較例の金型MAにおける溶融樹脂の充填パターンを説明するための図である。
実施例
0013
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
0014
(1)検体容器の構成
図1(a)は本実施形態に係る検体容器1の平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は縦断面図である。図2(a)は蓋体20の要部縦断面図、(b)は容器本体10の要部縦断面図、(c)は容器本体10の要部横断面図である。以下、図面を参照しながら、検体容器1の全体構成を説明する。
検体容器1は、上端に開口部11を有し検体が収容される貯留空間を有する容器本体10と、容器本体10の開口部11を着脱可能に密閉する蓋体20と、から構成されている。
0015
(1.1)容器本体
容器本体10は、上端に開口部11を有し、開口部11と対向する下端が底面12で閉塞された円筒状の検体収容部13と、光遮光性の材料で形成された外筒部14とからなる。
そして、円筒状の検体収容部13と光遮光性の材料で形成された外筒部14とは、後述するように二色成形にて一体として形成されている。
0016
検体収容部13は、光透過性を有する合成樹脂によって形成されている。本実施形態における検体収容部13の光透過性とは、後述する自動反応装置100を用いた超音波処理によって検体から誘導された被測定物をその濁度の変化と状態によって検出できる程度の光透過性である。
これらの濁度の変化と状態が検出できる程度は、変化の種類や検出に求められる精度等によって異なるが、本実施形態に係る検体容器1において、検体から誘導された被測定物をその濁度の変化と状態を検出する上では、光透過率が80%であることが好ましい。
尚、検体収容部13の光透過率は、通常の光学的な方法によって成形された容器本体10を測定することによって得られる。
0017
光透過性を有する合成樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート等が挙げられるが、機械的強度、耐熱性、非吸水性等の特性からポリカーボネート(PC)が好適である。
0018
外筒部14は、光遮断性を有する合成樹脂によって形成されている。本実施形態における外筒部14の光遮断性とは、後述する自動反応装置100において超音波処理によって検体から誘導された被測定物をその濁度の変化と状態によって検出する際に、容器本体10の底面12及び後述する蓋体20以外からの外光のうち可視光範囲である波長380nmないし780nmの光を遮断できる程度の光遮断性である。
具体的には、外筒部14は、波長372nmないし800nmの光の透過率が1%未満で、かつ、波長460nmないし680nmの光の透過率が0.4%未満である合成樹脂として、例えば、黒色ポリカーボネート(PC)で形成されている。
0019
図2(c)の横断面図に示すように、検体収容部13と外筒部14とは、後述する二色成形方法によって一体として形成されるが、検体収容部13は、検体が収容される貯留空間を形成する筒状側部13aと底部13bとからなり、筒状側部13aの外筒軸線O1と内筒軸線O2とが偏心量eだけ偏心して形成されている。
そして、外筒部14の軸線O3は、筒状側部13aの内筒軸線O2と一致して形成されている。
その結果、検体収容部13は、検体が収容される貯留空間に対して均一な断面肉厚の壁部が形成されている。
0020
容器本体10は、開口部11の両側に設けられた連結部15によって、複数の容器本体が横方向(X方向)に連接された構造となっている。
連結部15の両端部の下面には、ボス部15aが突出して形成されている。係るボス部15aは、後述する自動反応装置100の処理タンク110に載置される際に用いられる検体容器保持具(F)に形成された穴部に嵌挿されて、検体の濁度分析に供される。
0021
連結部15は、検体収容部13の上端部から検体収容部13と一体的に形成されて、容器本体10が横方向に連接されている。又、外筒部14も、その上端部で連接されて一体として容器本体10を形成している。
0022
(1.2)蓋体
蓋体20は、容器本体10の開口部11を着脱可能に密閉するように、開口部11に嵌着される筒部21を有し、筒部21の突出側にはテーパ状に傾斜した面を有する内底面23が形成されている。
また、筒部21の突出側には小径筒部22を形成しても良い。筒部21より小径とされた小径筒部22は容器本体10の開口部11と周方向に間隙22aを形成する。小径筒部22及びテーパ状に傾斜した内底面23の機能については、後述する。
0023
蓋体20は、キャップ部21の両側に設けられたヒンジ部24によって、複数の蓋体が横方向(X方向)に連接された構造となっている。
ヒンジ部24は、その中央部24aが上側に凸形状のR形状を成して、いわゆるヒンジ特性を有している。係るヒンジ部24のR形状によって、蓋体20は屈曲性を有して、連接されたキャップ部21の容器本体10の開口部11への嵌挿を容易にしている。
0024
蓋体20は、光透過性を有する合成樹脂によって形成されている。本実施形態における蓋体20の光透過性とは、後述する自動反応装置100を用いた超音波処理によって検体から誘導された被測定物をその濁度の変化と状態によって検出できる程度の光透過性である。
これらの濁度の変化と状態が検出できる程度は、変化の種類や検出に求められる精度等によって異なるが、本実施形態に係る検体容器1において、検体から誘導された被測定物をその濁度の変化と状態を検出する上では、光透過率が80%であることが好ましい。
尚、蓋体20の光透過率は、通常の光学的な方法によって成形された蓋体20を測定することによって得られる。
0025
光透過性を有する合成樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート等が挙げられるが、ヒンジ部24のヒンジ特性を有するものとして、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SBC)が好適である。
0026
(2)検体容器の製造方法
図3は検体容器1を構成する容器本体10の検体収容部13を製造するための一次成形の金型Mを示す断面模式図、図4は検体容器1を構成する容器本体10の外筒部14を製造するための二次成形の金型Mを示す断面模式図、図5は本実施形態の金型Mにおける溶融樹脂の充填パターンを説明するための図である。
以下図面を参照しながら検体容器1の製造方法を説明する。
0027
(2・1)容器本体の製造工程
容器本体10は、まず、コア30と一次成形キャビティ40との間隙に第1の合成樹脂を射出して検体収容部13を射出成形する(以下「一次成形」と記す)。
そして、一次成形された検体収容部13を残したコア30と二次成形キャビティ50との間隙に第2の合成樹脂を射出して容器本体10の検体収容部13に外筒部14を射出成形する(以下「二次成形」と記す)。このように、容器本体10は二色成形にて形成される。
0028
(2.2)金型
一次成形の金型Mについて、図3を参照しつつ説明する。
金型Mの可動側M1には、検体収容部13の筒状側部13a及び底部13bを形成するコア30と、連結部15を形成するコア31とが設けられている。
金型の固定側M2には、検体収容部13の筒状側部13aの外筒面を形成する一次成形キャビティ40が設けられている。一次成形キャビティ40には、検体収容部13の筒状側部13aの外筒部を成形する外筒成形部41と、底部13bの外面を成形する底面成形部42と、連結部15の一面を成形する連結部成形部43とが設けられている。また、連結部成形部43には、溶融された樹脂材料が注入されるゲート(不図示)が設けられている。
0029
(2.3)成形工程
コア30と一次成形キャビティ40とを型閉じすると、コア30と外筒成形部41、底面成形部42及び連結部成形部43との間に間隙が形成される。この間隙に第1の合成樹脂の一例として光透過性の合成樹脂を射出することにより、検体収容部13が一次成形される。
0030
コア30と外筒成形部41との間隙は、一例として、検体収容部13の肉厚が0.5〜0.9mmとなるように、0.50〜0.95mmに設定されている。
そして、図3に示すように、コア30の中心軸線C1と一次成形キャビティ40の外筒成形部41の中心軸線C2とは、検体収容部13の肉厚が最小で0.5mm、最大で0.9mmとなるように、偏心量eとして0.2mm偏心して形成されている。
0031
ここで、コア30の中心軸線C1と一次成形キャビティ40の外筒成形部41の中心軸線C2とが一致して形成されている比較例の金型MAの成形作用について、図8を参照しながら説明する。
図8は、比較例の金型MAを用いて検体収容部13を一次成形した場合の溶融樹脂の金型M内の充填パターンを示した模式図である。
0032
金型MAのコア30の中心軸線C1と一次成形キャビティ40の外筒成形部41の中心軸線C2とは一致して形成されているために、コア30と外筒成形部41、底面成形部42及び連結部成形部43との間に形成された間隙は均一となっている。
連結部成形部43に設けられたゲートから、溶融された光透過性の樹脂材料が注入されると、均一な間隙を有するコア30と外筒成形部41との間での溶融樹脂は略同時に流れ込み、注入された溶融樹脂の合流位置が、コア30と底面成形部42との間に形成された間隙の中央部になる。
そして、合流位置における樹脂同士が合わさる時の角度(樹脂会合角)が小さく、検体収容部13の底部13bには、2つ以上の樹脂の流れが合流した部分に発生する線状の模様である、いわゆるウェルドラインが発生する。
0033
検体収容部13の底部13bの中央部にウェルドラインが発生すると、後述する自動反応装置100を用いて被測定物の濁度分析を行う場合に、検体容器1の底面12から入射するレーザー光が、ウェルドラインで散乱されて、正確な濁度分析ができなくなく虞がある。
0034
本実施形態に係る検体容器1の製造方法によれば、コア30の中心軸線C1と一次成形キャビティ40の外筒成形部41の中心軸線C2とは、検体収容部13の肉厚が最小で0.5mm、最大で0.9mmとなるように、偏心量eとして0.2mm偏心して形成されている。
そのために、図5に示すように、注入された溶融樹脂の合流位置が、コア30と底面成形部42との間に形成された間隙の端部及びコア30と外筒成形部41との間に形成された間隙位置になる。
又、コア30と底面成形部42との間に形成された間隙での樹脂会合角が大きくなり、検体収容部13の底面12におけるウェルドラインの発生が抑制される。
0035
このように、コア30の中心軸線C1と一次成形キャビティ40の外筒成形部41の中心軸線C2とが、検体収容部13の肉厚が最小で0.5mm、最大で0.9mmとなるように、偏心して形成されている金型Mを型閉じして高圧型締め後、コア30と一次成形キャビティ40との間隙に合成樹脂を射出して、容器本体10の検体収容部13を成形する。
そして、保圧、冷却等を行い、その後型開きをするが、コア30に胴部13は残したままにする。
0036
次に型開き後、可動側M1が固定されたロータリーテーブルを回転させ、一次成形された検体収容部13を残したコア30と二次成形キャビティ50との間隙に第2の合成樹脂の一例として光遮光性の合成樹脂を射出して容器本体10の検体収容部13に外筒部14を一体に成形する。
ここで、コア30の中心軸線C1と二次成形キャビティ50の外筒成形部51の中心軸線C3とは、一致して形成されている。そのために、金型Mを型閉じしてコア30に残された一次成形後の検体収容部13の外面と外筒成形部51との間に形成された間隙は最小で0.5mm、最大で0.9mmとなるように偏心量eとして0.2mm偏心して形成されている。
0037
この型締めされた状態で、図4に示すように、コア30と二次成形キャビティ50との間隙、具体的には、一次成形された容器本体10の検体収容部13と二次成形キャビティ50との間隙に光遮断性を有する合成樹脂を射出して、検体収容部13及び外筒部14を一体に成形する。
その結果、光透過性を有する合成樹脂によって形成された検体収容部13と、光遮断性を有する合成樹脂によって形成された外筒部14とからなる容器本体10が、均一な肉厚で一体的に成形される。そして、保圧、冷却等を行い、その後型開きをして、コア30から容器本体10を取り出す。
0038
(3)検体容器の作用・効果
本実施形態に係る検体容器1は、検体容器1の容器本体10内に検体を収容して蓋体20で容器本体10の開口部11を密閉した後、超音波発信装置を備えた自動反応装置100内に載置される。そして、超音波処理によって検体の破砕と培養を繰り返し、検体から誘導された被測定物をその濁度の変化と程度によって検出する濁度分析に用いることができる。
以下、超音波発信装置を備えた自動反応装置100を用いた検体の処理と、その後の濁度分析について説明する。
0039
図6に示すように、自動反応装置100は、密閉された検体容器1内に、被破砕体としての検体を溶かした溶液を密閉収容するとともに、検体容器1の容器本体10部分を処理タンク110の液W中に浸漬し、処理タンク110の底面から超音波を放射して検体容器1内の検体分散液中の検体を破砕する。より詳しくは、検体容器1に対して超音波を放射して、検体容器1内の溶液等に加えられる超音波衝撃作用と、検体容器1自体の超音波共振とに基づく検体分散液のキャビテーション作用等によって細胞を破砕する。
0040
検体容器1に対する超音波の放射を、例えば、10秒間発振して1秒間停止するという作動を連続して繰り返すことにより、検体の破砕と培養による相互間の変更を繰り返して検体中に含まれる被測定物質の検出感度が高められていく。
0041
このようにして、検出感度が高められた検体を収容した検体容器1の検体収容部13の底部13bの下方からレーザー光が照射されて、検体中に含まれる被測定物質の検出が行われる。
レーザー光による被測定物質の検知は、被測定物質による反射散乱光を検知して、被測定物質を計測する散乱光方式であっても、また、レーザー光の直接光による被測定物質の影を検知し、被測定物質を計測する遮光方式であっても良い。
0042
係るレーザー光による被測定物質の計測においては、レーザー光の入射面となる検体容器1の検体収容部13の底部13bは予め定められた所定の光透過性を有することが望まれ、例えば光透過性を有する合成樹脂を用いて射出成形によって成形されるときに、ウェルドが発生した場合には、レーザー光がウェルドラインで散乱されて、正確な濁度分析ができなくなく虞がある。
0043
本実施形態に係る検体容器1の製造方法によれば、コア30の中心軸線C1と一次成形キャビティ40の外筒成形部41の中心軸線C2とは、検体収容部13の肉厚が最小で0.5mm、最大で0.9mmとなるように、偏心量eとして0.2mm偏心して形成されている。
そのために、注入された溶融樹脂の合流位置が、コア30と底面成形部42との間に形成された間隙の端部及びコア30と外筒成形部41との間に形成された間隙位置になる。又、コア30と底面成形部42との間に形成された間隙での樹脂会合角が大きくなる。
その結果、検体収容部13の底部13bにおけるウェルドラインの発生が抑制され、レーザー光のウェルドラインでの散乱を抑制することができる。
0044
また、上述した散乱光方式や光遮断方式で被測定物質を計測する場合に、検体容器1の容器本体10部分から入射する外光による散乱光の変化、光遮断性の変化を防止して正確な濁度分析を行うために、検体容器1の容器本体10を光遮断性材料で覆う作業が行われていた。
0045
本実施形態に係る検体容器1は、外筒部14が、光遮断性を有する合成樹脂によって形成されている。具体的には、外筒部14は、波長372nmないし800nmの光の透過率が1%未満で、かつ、波長460nmないし680nmの光の透過率が0.4%未満である合成樹脂として、例えば、黒色ポリカーボネート(PC)で形成されている。
また、容器本体10は、コア30と一次成形キャビティ40との間隙に合成樹脂を射出して検体収容部13を射出成形した後、一次成形された検体収容部13を残したコア30と二次成形キャビティ50との間隙に合成樹脂を射出して容器本体10の胴部13に外筒部14を射出成形する二色成形にて容器本体10として一体に形成されている。
0046
そのために、容器本体10の底面12及び蓋体20以外からの外光を遮断することができる。また、濁度分析を行うに当たって、使用者による遮光部品の取り付け、取り外し作業を行う必要がなく、使用者の負担が軽減され、また検体容器1から内容物の漏洩、人体への付着の危険性が回避される。
0047
また、検体収容部13と外筒部14とは、二色成形方法によって一体として形成されるが、検体が収容される貯留空間に対して均一な断面肉厚の壁部が形成され、上述した超音波を利用した自動反応装置100に均一な強度を備えた検体容器1として提供することができる。
0048
検体容器1の容器本体10内に検体を収容して蓋体20で容器本体10の開口部11を密閉する時に、容器本体10内にエアが密封され残留エアとなることがある。また、検体容器1の容器本体10部分に超音波を放射して検体容器1内の検体分散液中の検体を破砕するときに、容器本体10内でエアが発生することもある。
0049
発生したエアは、容器本体10内で上方へ移動して蓋体20の内底面23に付着して滞留する。蓋体20の内底面23に残留エアが付着して滞留した状態で、容器本体10の底面12からレーザー光を照射して濁度分析を行う場合に、残留エアによってレーザー光が散乱され、正確な濁度分析ができなくなく虞がある。
0050
図7(a)及び(b)は蓋体20の内底面23における容器本体10内に密封される残留エアの動きを説明する断面模式図である。
本実施形態に係る検体容器1の蓋体20の内底面23は、図7(a)示すように、テーパ状に傾斜した面で形成されている。そのために、容器本体10内に密封された残留エアは、蓋体20の内底面23のテーパ面に沿って周囲へ移動して、レーザー光の散乱を防止することができる。
また、図7(b)に示すように、蓋体20には、容器本体10の開口部11に嵌着される筒部21の突出側に小径筒部22を有し開口部11と周方向に間隙22aを形成して、蓋体20の内底面23から移動した残留エアを間隙22a内に確実に留め置いて、正確な濁度分析を行うこともできる。
0051
「変形例」
図7(c)に示すように、蓋体20Aは、容器本体10の開口部11に嵌着される筒部21の側壁に複数の貫通孔21aを形成することもできる。
係る蓋体20Aによれば、検体容器1の容器本体10内に検体を収容して蓋体20Aで容器本体10の開口部11を密閉する時に、容器本体10内に密封される残留エアを筒部21の側壁に設けられた貫通孔21aを介して外部へ排出することができる。
0052
超音波発信装置を備えた自動反応装置100を用いた超音波処理によって検体から誘導された被測定物をその濁度の変化と状態によって検出する濁度分析を行う場合に、本実施形態に係る検体容器1によれば、容器本体10が蓋体20によって密閉されているのでエアゾールが飛散することがなく、かつ、水分が漏れることがない。さらに、容器本体10が密閉されているのでPHの変化が生じることもなく、また、温度や時間によって起こる変化も少なくすることができる。
0053
また、被破砕体としての検体を溶かした溶液を密閉収容した検体容器1に超音波を放射して検体分散液中の検体を破砕した後、検体容器1内に検体を収容したまま濁度分析を行うことができる。
0054
1・・・検体容器
10・・・容器本体
11・・・開口部
12・・・底面
13・・・検体収容部
13a・・・筒状側部
13b・・・底部
14・・・外筒部
15・・・連結部
20、20A・・・蓋体
21・・・筒部
21a・・・貫通孔
22・・・小径筒部
22a・・・間隙
23・・・内底面
24・・・ヒンジ部
M、MA・・・金型
30、31・・・コア
40・・・一次成形キャビティ
41・・・外筒成形部
42・・・底面成形部
43・・・連結部成形部
50・・・二次成形キャビティ
100・・・自動反応装置
110・・・処理タンク
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