図面 (/)

技術 せん断補強部材の定着方法

出願人 鹿島建設株式会社カジマ・リノベイト株式会社
発明者 山野辺慎一永富政司植田政明豊田要
出願日 2012年12月6日 (7年11ヶ月経過) 出願番号 2012-267263
公開日 2014年6月26日 (6年4ヶ月経過) 公開番号 2014-114552
状態 特許登録済
技術分野 現場におけるコンクリートの補強物挿入作業 既存建築物への作業
主要キーワード 充填機器 圧力抜き 拡径孔 部材挿入孔 刷毛状 ドレンコック グラウト液 空気抜き用
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年6月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

上向き施工において、せん断補強部材挿入孔からのグラウト材の流出を軽減し、品質の低下を抑制することが可能なせん補強部材定着方法を提供する。

解決手段

コンクリート構造体1に上向きのせん断補強部材挿入孔2を穿孔し、この挿入孔2の開口部の外側にグラウト材貯留槽9を設置する。貯留槽9には、充填ホース11を介し、ロート状容器15を接続する。ロート状容器15からグラウト材を供給し、貯留槽9及び挿入孔2内にグラウト材を充満させる。ロート状容器15の液面を、せん断補強部材挿入孔2の天端2aより高く設定し、グラウト材貯留槽9とロート状容器15との間にヘッド差を生じさせる。貯留槽9の底板貫通孔9fからのグラウト材の流出がゴム板10によって防止される。貫通孔9fからせん断補強部材3を挿入し、せん断補強部材挿入孔2内に配置し、グラウト材を硬化させて定着させる。

概要

背景

構造物老朽化建築基準の見直し等により、既設構造体に対してせん断補強部材を定着させるせん断補強が行われている。この種のせん断補強は、たとえば次のように行われる。まず、構造体に対してせん断補強部材を挿入するためのせん断補強部材挿入孔を形成する。次に、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入し、続いて、せん断補強部材挿入孔にグラウト材充填する。その後、グラウト材を固化させてせん断補強部材挿入孔に挿入されたせん断補強部材を構造体に定着することにより、構造体のせん断補強を行うというものである。

このせん断補強を行うにあたり、せん断補強部材挿入孔は、略水平方向に沿って形成されることが構造体の補強の観点から好適であることが多い。ここで、せん断補強部材挿入孔に充填されるグラウト材は、充填時には流動性を有しているものが好適に用いられる。このため、せん断補強部材挿入孔が略水平方向に沿って形成されていると、せん断補強部材挿入孔に充填したグラウト材がその入口から漏れてしまい、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を充填することが困難となる問題がある。

この問題に対して、せん断補強部材挿入孔の穿孔位置に箱状のグラウト材貯留手段を設置するせん断補強部材の定着方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。このせん断補強部材の定着方法では、既設のコンクリート構造体の一面側からせん補強部材挿入孔を形成する。

次に、このせん断補強部材挿入孔の穿孔位置に箱状のグラウト材貯留手段を設置する。続いて、グラウト材貯留手段に形成された開口部をせん断補強部材挿入孔の穿孔位置の外周に密着させて、せん断補強部材挿入孔との間に密閉空間を形成するとともに、密閉空間とせん断補強部材挿入孔とを連通するようにする。

それから、せん断補強部材挿入孔に流動性を有するグラウト材を充填し、その際にせん断補強部材挿入孔から流出するグラウト材をグラウト材貯留手段で受ける。その後、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入する。そして、せん断補強部材挿入孔をグラウト材で実質的に充填させ、グラウト材を硬化させることによって、せん断補強部材を定着させるというものである。

概要

上向き施工において、せん断補強部材挿入孔からのグラウト材の流出を軽減し、品質の低下を抑制することが可能なせん補強部材の定着方法を提供する。コンクリート構造体1に上向きのせん断補強部材挿入孔2を穿孔し、この挿入孔2の開口部の外側にグラウト材貯留槽9を設置する。貯留槽9には、充填ホース11を介し、ロート状容器15を接続する。ロート状容器15からグラウト材を供給し、貯留槽9及び挿入孔2内にグラウト材を充満させる。ロート状容器15の液面を、せん断補強部材挿入孔2の天端2aより高く設定し、グラウト材貯留槽9とロート状容器15との間にヘッド差を生じさせる。貯留槽9の底板貫通孔9fからのグラウト材の流出がゴム板10によって防止される。貫通孔9fからせん断補強部材3を挿入し、せん断補強部材挿入孔2内に配置し、グラウト材を硬化させて定着させる。

目的

本発明の課題は、上向きのせん断補強部材挿入孔からグラウト材が流出することを軽減して、品質の低下を抑制することが可能なせん断補強部材の定着方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

既設コンクリート構造体に一面側から有底のせん断補強部材挿入孔を上向きに穿孔し、前記せん断補強部材挿入孔に前記せん断補強部材を挿入して、グラウト材定着させるせん断補強部材の定着方法において、前記既設のコンクリート構造体に、前記せん断補強部材挿入孔を上向きに穿孔し、流動性を有するグラウト材を貯留可能なグラウト材貯留部を、前記せん断補強部材挿入孔の開口部を覆うように設置し、前記グラウト材貯留部にグラウト材を供給可能なグラウト材供給部と、前記グラウト材貯留部とを連絡管を用いて接続し、前記グラウト材供給部からグラウト材を供給して、前記せん断補強部材挿入孔、前記グラウト材貯留部、及び前記連絡管にグラウト材を充満させ、前記グラウト材供給部に貯留されたグラウト材に、前記グラウト材貯留部に貯留されたグラウト材よりも高いヘッドを生じさせ、前記グラウト材貯留部の前記せん断補強部材挿入孔の開口部に対向する面には、せん断補強部材を通過させる第1のせん断補強部材通過孔が形成されており、前記第1のせん断補強部材通過孔には、第1の流体流出防止構造が形成されており、前記せん断補強部材を前記第1のせん断補強部材通過孔を通過させて前記せん断補強部材挿入孔内に挿入し、その後、前記グラウト材を硬化させることにより前記せん断補強部材を前記せん断補強部材挿入孔に定着させることを特徴とするせん断補強部材の定着方法。

請求項2

前記グラウト材貯留部の前記第1のせん断補強部材通過孔を外側から覆うように、密閉容器を配置して、前記グラウト材貯留部と前記密閉容器内を連通可能とし、前記密閉容器の前記第1のせん断補強部材通過孔に対向する面には、前記せん断補強部材を通過させる第2のせん断補強部材通過孔が形成されており、前記第2のせん断補強部材通過孔には、第2の流体流出防止構造が形成されており、前記せん断補強部材を前記第2のせん断補強部材通過孔、及び前記第1のせん断補強部材通過孔を通過させて前記せん断補強部材挿入孔内に挿入することを特徴とする請求項1に記載のせん断補強部材の定着方法。

請求項3

前記密閉容器内に圧縮空気送り込むことによって、容器内の圧力を上昇させ、前記せん断補強部材を前記せん断補強部材挿入孔内に挿入する際に、前記グラウト材貯留部の前記グラウト材が、前記第1のせん断補強部材通過孔を通過して、前記密閉容器内へ漏れ出すことを緩和することを特徴とする請求項2に記載のせん断補強部材の定着方法。

請求項4

前記密閉容器には、当該容器内の圧力の上昇を抑制するリリーフ弁が設けられており、前記密閉容器の内部の圧力が所定値を超えないように、前記リリーフ弁を開放することを特徴とする請求項2又は3に記載のせん断補強部材の定着方法。

請求項5

前記グラウト材供給部を、前記せん断補強部材挿入孔の天端よりも高い位置に配置することで、前記グラウト材供給部に貯留されたグラウト材に、前記グラウト材貯留部に貯留されたグラウト材よりも高いヘッドを生じさせることを特徴とする請求項1または請求項1〜4の何れか一項に記載のせん断補強部材の定着方法。

請求項6

前記グラウト材供給部であるロート状容器と、前記グラウト材貯留部とを前記連絡管であるホースを用いて接続することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のせん断補強部材の定着方法。

請求項7

前記流体流出防止構造は、前記グラウト材の流出を抑制可能な逆止弁刷毛状体、または柔軟性を有する変形体を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のせん断補強部材の定着方法。

技術分野

0001

本発明は、既設コンクリート構造体に形成されたせん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入して、定着させるせん断補強部材の定着方法に関する。

背景技術

0002

構造物老朽化建築基準の見直し等により、既設の構造体に対してせん断補強部材を定着させるせん断補強が行われている。この種のせん断補強は、たとえば次のように行われる。まず、構造体に対してせん断補強部材を挿入するためのせん断補強部材挿入孔を形成する。次に、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入し、続いて、せん断補強部材挿入孔にグラウト材充填する。その後、グラウト材を固化させてせん断補強部材挿入孔に挿入されたせん断補強部材を構造体に定着することにより、構造体のせん断補強を行うというものである。

0003

このせん断補強を行うにあたり、せん断補強部材挿入孔は、略水平方向に沿って形成されることが構造体の補強の観点から好適であることが多い。ここで、せん断補強部材挿入孔に充填されるグラウト材は、充填時には流動性を有しているものが好適に用いられる。このため、せん断補強部材挿入孔が略水平方向に沿って形成されていると、せん断補強部材挿入孔に充填したグラウト材がその入口から漏れてしまい、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を充填することが困難となる問題がある。

0004

この問題に対して、せん断補強部材挿入孔の穿孔位置に箱状のグラウト材貯留手段を設置するせん断補強部材の定着方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。このせん断補強部材の定着方法では、既設のコンクリート構造体の一面側からせん補強部材挿入孔を形成する。

0005

次に、このせん断補強部材挿入孔の穿孔位置に箱状のグラウト材貯留手段を設置する。続いて、グラウト材貯留手段に形成された開口部をせん断補強部材挿入孔の穿孔位置の外周に密着させて、せん断補強部材挿入孔との間に密閉空間を形成するとともに、密閉空間とせん断補強部材挿入孔とを連通するようにする。

0006

それから、せん断補強部材挿入孔に流動性を有するグラウト材を充填し、その際にせん断補強部材挿入孔から流出するグラウト材をグラウト材貯留手段で受ける。その後、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入する。そして、せん断補強部材挿入孔をグラウト材で実質的に充填させ、グラウト材を硬化させることによって、せん断補強部材を定着させるというものである。

先行技術

0007

特開2010−13858号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、上記特許文献1に開示されたせん断補強部材の定着方法では、グラウト材貯留手段を設置し、せん断補強部材挿入孔との間に密閉空間を形成した後、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入している。このため、せん断補強部材をグラウト材貯留手段にいったん投入する必要があるので、グラウト材貯留手段の長さをせん断補強部材の長さよりも長くしなければならず、装置が大型化してしまうとともに、余分なグラウト材は回収されるものの、大量のグラウト材を用意しなければならないという問題があった。

0009

また、グラウト材貯留手段を設置する前にせん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入しておくことも考えられる。しかし、せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入した後にグラウト材をせん断補強部材挿入孔に充填すると、グラウト材がせん断補強部材挿入孔に十分に充満しにくくなるという問題があった。

0010

また、せん断補強部材を上向きで施工する場合には、流動性のあるグラウト材を、上方へ延びるせん断補強部材挿入孔に充填する必要があるので、グラウト材の液面が低下し易くせん断補強部材挿入孔に空気が混入しやすいという問題があった。上向きでの施工は、下向き及び横向きで施工する場合と比較して、施工の難易度が高く、作業員の負担となり、品質が低下するおそれがある。

0011

また、上向きで施工する場合に、流動性の低い可塑性グラウト材を用いることが可能であるが、可塑性グラウト材は、温度変化に応じて性状が変化しやすく、専門的な知識が必要であると共に、取扱いが容易ではないという問題がある。また、可塑性グラウト材は、流動性のあるグラウト材と比較して高価であるため、施工コストを抑制したい場合には、流動性のあるグラウト材を用いて施工することが求められている。

0012

そこで、本発明の課題は、上向きのせん断補強部材挿入孔からグラウト材が流出することを軽減して、品質の低下を抑制することが可能なせん補強部材の定着方法を提供することにある。また、本発明の課題は、装置の大型化や大量のグラウト材を要することなく、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を好適に充満させ、せん断補強部材を十分構造体に定着させることができるせん断補強部材の定着方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明のせん断補強部材の定着方法は、既設のコンクリート構造体に一面側から有底のせん断補強部材挿入孔を上向きに穿孔し、当該せん断補強部材挿入孔にせん断補強部材を挿入して、グラウト材で定着させるせん断補強部材の定着方法において、既設のコンクリート構造体に、せん断補強部材挿入孔を上向きに穿孔し、流動性を有するグラウト材を貯留可能なグラウト材貯留部を、せん断補強部材挿入孔の開口部を覆うように設置し、グラウト材貯留部にグラウト材を供給可能なグラウト材供給部と、グラウト材貯留部とを連絡管を用いて接続し、グラウト材供給部からグラウト材を供給して、せん断補強部材挿入孔、グラウト材貯留部、及び連絡管にグラウト材を充満させ、グラウト材供給部に貯留されたグラウト材に、グラウト材貯留部に貯留されたグラウト材よりも高いヘッドを生じさせ、グラウト材貯留部のせん断補強部材挿入孔の開口部に対向する面には、せん断補強部材を通過させる第1のせん断補強部材通過孔が形成されており、第1のせん断補強部材通過孔には、第1の流体流出防止構造が形成されており、せん断補強部材を第1のせん断補強部材通過孔を通過させてせん断補強部材挿入孔内に挿入し、その後、グラウト材を硬化させることによりせん断補強部材をせん断補強部材挿入孔に定着させることを特徴としている。

0014

本発明に係るせん断補強部材の定着方法においては、上向きに穿孔されたせん断補強部材挿入孔の開口部の外側にグラウト材貯留部を設置し、このグラウト材貯留部におけるせん断補強部材挿入孔の開口部に対向する面に、第1のせん断補強部材通過孔が形成されている。このため、第1のせん断補強部材挿入孔にグラウト材を充満させ、グラウト材貯留部にグラウト材が貯留された状態であっても、第1のせん断補強部材通過孔を通過させることにより、せん断補強部材をせん断補強部材挿入孔に挿入することができる。また、第1のせん断補強部材通過孔には、第1の流体流出防止構造が形成されている。このため、第1のせん断補強部材通過孔にせん断補強部材を通過させた際にも、第1のせん断補強部材通過孔からグラウト材が流出することを抑制できる。したがって、グラウト材貯留手段などの装置の大型化や大量のグラウト材を要することなく、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を好適に充満させ、せん断補強部材を十分構造体に定着させることができる。

0015

また、本発明のせん断補強部材の定着方法では、グラウト材貯留部にグラウト材を供給可能なグラウト材供給部と、グラウト材貯留部とを連絡管を用いて接続し、グラウト材供給部に貯留されたグラウト材に、グラウト材貯留部に貯留されたグラウト材よりも高いヘッドを生じさせている。このため、ヘッド差を用いて、グラウト材貯留部にグラウト材を供給することができるので、せん断補強部材挿入孔に充満されたグラウト材の量を維持しつつ、せん断補強部材をせん断補強部材挿入孔に挿入することができる。そのため、せん断補強部材挿入孔からのグラウト材の流出が抑えられるので、せん断補強部材挿入孔の最上部におけるグラウト材の液面低下が抑制される。

0016

ここで、グラウト材貯留部の第1のせん断補強部材通過孔を外側から覆うように、密閉容器を配置して、グラウト材貯留部と密閉容器内を連通可能とし、密閉容器の第1のせん断補強部材通過孔に対向する面には、せん断補強部材を通過させる第2のせん断補強部材通過孔が形成されており、第2のせん断補強部材通過孔には、第2の流体流出防止構造が形成されており、せん断補強部材を第2のせん断補強部材通過孔、及び第1のせん断補強部材通過孔を通過させてせん断補強部材挿入孔内に挿入することができる。

0017

密閉容器内に圧縮空気送り込むことによって、容器内の圧力を上昇させ、せん断補強部材をせん断補強部材挿入孔内に挿入する際に、グラウト材貯留部のグラウト材が、第1のせん断補強部材通過孔を通過して、密閉容器内へ漏れ出すことを緩和することができる。これにより、グラウト材貯留部のグラウト材の圧力を一定に維持することができ、せん断補強部材挿入孔におけるグラウト材の液面が下がることが抑制される。

0018

密閉容器には、当該容器内の圧力の上昇を抑制するリリーフ弁が設けられており、密閉容器の内部の圧力が所定値を超えないように、リリーフ弁を開放することができる。これにより、密閉容器内の圧力上昇が防止され、容器内の圧力を一定の範囲内に維持することができる。

0019

グラウト材供給部を、せん断補強部材挿入孔の天端よりも高い位置に配置することで、グラウト材供給部に貯留されたグラウト材に、グラウト材貯留部に貯留されたグラウト材よりも高いヘッドを生じさせる態様とすることができる。これにより、グラウト材供給部を、せん断補強部材挿入孔の天端より高く設置するだけで、ヘッド差を利用して、せん断補強部材挿入孔の最上部において、グラウト材の液面低下を抑制することができる。

0020

グラウト材供給部であるロート状容器と、グラウト材貯留部とを連絡管であるホースを用いて接続する態様としてもよい。

0021

流体流出防止構造は、グラウト材の流出を抑制可能な逆止弁刷毛状体、または柔軟性を有する変形体を有する態様とすることができる。

発明の効果

0022

本発明に係るせん断補強部材の定着方法によれば、上向きのせん断補強部材挿入孔からのグラウト材が流出することを軽減して、品質の低下を抑制することができる。また、本発明に係るせん断補強部材の定着方法では、装置の大型化や大量のグラウト材を要することなく、せん断補強部材挿入孔にグラウト材を好適に充満させ、せん断補強部材を十分にコンクリート構造体に定着させることができる。

図面の簡単な説明

0023

コンクリート構造体にグラウト材貯留槽を固定し、このグラウト材貯留槽に、密閉容器、グラウト材充填ホース、及びロート状容器が接続されている状態を示す断面図である。
施工面に取り付けられたグラウト材貯留槽、及び第1の貫通孔内に挿入されているせん断補強部材を示す斜視図である。
コンクリート構造体に穿孔されたせん断補強部材挿入孔、グラウト材貯留槽、グラウト材充填ホース、及びロート状容器にグラウト材が充填された状態を示す断面図である。
せん断補強部材を、密閉容器及びグラウト材貯留槽を通過させて、せん断補強部材挿入孔に挿入している状態を示す断面図である。
せん断補強部材挿入孔に、せん断補強部材を挿入し、シャッターを閉じた状態を示す断面図である。

実施例

0024

以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。

0025

本実施形態のせん断補強部材の定着方法では、図1に示すように、既設のコンクリート構造体1に上向きのせん断補強部材挿入孔2を穿孔し、上向きのせん断補強部材挿入孔2にせん断補強部材3を挿入して、グラウト材Gを用いて定着させる場合について説明する。

0026

コンクリート構造物
既設のコンクリート構造物1としては、ボックスカルバートトンネル、及びその他のコンクリート製の壁体などが挙げられる。図1に示すコンクリート構造物1では、せん断補強部材挿入孔2が穿孔される施工面4の近傍に、施工面4よりも上方に所定の空間が形成されている。コンクリート構造物1は、天井面5より下方に張出す張出部6を有し、張出部6の下面が施工面4となる。

0027

(せん断補強部材挿入孔)
本実施形態では、下方に向く施工面4から有底のせん断補強部材挿入孔2を穿孔する。せん断補強部材挿入孔2は、施工面4から上方に延びるように形成されている。せん断補強部材挿入孔2が延在する方向は、鉛直上向きでもよく、斜め上向きに延在していてもよい。施工面は、斜め下方に向く面でもよい。施工面の法線方向は、鉛直方向と交差していてもよい。せん断補強部材挿入孔2の開口部近傍には、他の部分よりも内径が大きい拡径孔2aが形成されている。

0028

(せん断補強部材)
せん断補強部材挿入孔2に挿入されるせん断補強部材3は、長尺のねじ節鉄筋からなり、全長にわたって雄ねじ部が形成されている。せん断補強部材3を定着する際には、せん断補強部材3の先端部に先端定着体7が取り付けられ、後端部に後端定着体8が取り付けられる。これらの定着体はセラミックス製であり、防錆性を備えている。

0029

(グラウト材貯留槽)
せん断補強部材挿入孔2を穿孔した後、グラウト材Gを貯留するグラウト材貯留槽9(グラウト材貯留部)が設置される。グラウト材貯留槽9は、例えば金属製の箱型の容器である。グラウト材貯留槽9の天板9aには、開口部9bが形成されている。開口部9bは、せん断補強部材挿入孔2の開口部と重なる位置に形成されている。また、グラウト材貯留槽9の容積は、せん断補強部材挿入孔2の容積よりも大きいことが好ましい。

0030

グラウト材貯留槽9は、つば部9cを介して、コンクリート構造体1に固定されている。つば部9cは、グラウト材貯留槽9の上端において、外方に張出すように形成されている。つば部9cが施工面4にネジ止めされ、グラウト材貯留槽9がコンクリート構造体1に固定されている。

0031

図2に示すように、グラウト材貯留槽9の天板9aには、開口部9bを閉止するためのスライド板蓋体)9dが設けられている。図1,2では、スライド板9dが外方に配置されて、開口部9bが開放され、せん断補強部材挿入孔2の内部と、グラウト材貯留槽9の内部とが連通した状態を示している。スライド板9dが内方へ移動し開口部9bが閉止されると、せん断補強部材挿入孔2の開口部が閉止される。図2では、スライド板9dが配置されている側からグラウト材貯留槽9を示している。なお、図2では、後述するグラウト材充填ホース11及び密閉容器12の図示を省略している。

0032

グラウト材貯留槽9の底板9eには、せん断補強部材3を通過させる第1の貫通孔9f(第1のせん断補強部材通過孔)が形成され、第1の貫通孔9fには、流体流出防止構造を構成する弾性部材であるゴム板10が取り付けられている。ゴム板10は、板状をなすとともに、正面視した形状が第1の貫通孔9fと略同一形状をなしている。ゴム部材10は第1の貫通孔9fの全体に配設されており、このゴム板10によって、第1の貫通孔9fが閉塞されている。

0033

ゴム板10における中央位置には、板厚方向に切断された切り込み部(不図示)が形成されている。切り込み部が形成されているので、ゴム板10の変形が容易となっている。この切り込み部に対してせん断補強部材3を押し付けることにより、ゴム板10の切り込み部が変形して開口し、この開口部分を介してせん断補強部材3が通過可能となる。また、せん断補強部材3が通過していない時には、切り込み部が閉口して、グラウト材貯留槽9に貯留されたグラウト材の第1の貫通孔9fからの流出を防止している。

0034

図1に示すように、グラウト材貯留槽9の側板9gには、グラウト材供給口9hが設けられている。このグラウト材供給口9hに、グラウト材充填ホース11(連絡管)が接続されている。グラウト材充填ホース11は、可撓性を有する材質によって構成されている。連絡管としては、金属製の配管を用いてもよい。

0035

また、グラウト材貯留槽9の開口部分には、グラウト材の漏れを防止するために、パッキンが取り付けられている。例えば、パッキンは、グラウト材貯留槽9の天板9aと施工面4との間の隙間に対応して配置されている。また、パッキンは、グラウト材供給口9hとグラウト材充填ホース11との間の隙間に対応して配されている。

0036

(密閉容器)
グラウト材貯留槽9の下方には、密閉容器12が設置されている。密閉容器12は、例えば金属製の箱型の容器である。密閉容器12は、グラウト材貯留槽9の第1の貫通孔9fを外側から覆うように配置され、密閉容器12の内部とグラウト材貯留槽9の内部とが連通可能な状態とされている。

0037

密閉容器12は、グラウト材貯留槽9に対して着脱できるように設けられていることが好ましい。密閉容器12は、グラウト材貯留槽9に対して、例えばネジ止めされている。これにより、施工条件、必要性などに応じて、密閉容器12を着脱することができる。

0038

密閉容器12の底板12aには、せん断補強部材3を通過させる第2の貫通孔12b(第2のせん断補強部材通過孔)が形成され、第2の貫通孔12bには、流体流出防止構造を構成する弾性部材であるゴム板13が取り付けられている。ゴム板13は、板状をなすとともに、正面視した形状が第2の貫通孔12bと略同一形状をなしている。ゴム部材13は第2の貫通孔12bの全体に配設されており、このゴム板13によって、第2の貫通孔12bが閉塞されている。

0039

ゴム板13における中央位置には、板厚方向に切断された切り込み部(不図示)が形成されている。切り込み部が形成されているので、ゴム板13の変形が容易となっている。この切り込み部に対してせん断補強部材3を押し付けることにより、ゴム板13の切り込み部が変形して開口し、この開口部分を介してせん断補強部材3が通過可能となる。また、せん断補強部材3が通過していない時には、切り込み部が閉口して、密閉容器12に貯留されたグラウト材の第2の貫通孔12bからの流出を防止している。

0040

密閉容器12には、通気口12cが設けられている。この通気口12cに、ブロア14が接続されている。ブロア14を用いて密閉容器12内に圧縮空気を送り込むことで、密閉容器12内の圧力を上昇させることができる。密閉容器12には、リリーフ弁(不図示)が設置され、容器12内の圧力が所定値を超えないように構成されている。リリーフ弁としては、ばね式安全弁を用いることができる。リリーフ弁に代えて、所定の圧力で破損する破裂板を用いてもよい。

0041

グラウト充填ホース11の一端側には、グラウト材貯留槽9が接続され、グラウト充填ホース11の他端側には、ロート状容器15(グラウト材供給部)が接続されている。ロート状容器15は、グラウト材貯留槽9に供給されるグラウト材を貯留する容器である。ロート状容器15は、せん断補強部材挿入孔2の天端2aよりも高い位置に配置されることが好ましい。

0042

(せん断補強部材挿入孔、第1の貫通孔、第2の貫通孔の配置)
グラウト材貯留槽9の開口部9b及び第1の貫通孔9fの中心を通る直線と、せん断補強部材挿入孔2の中心を通る直線とが、同一直線上に配置されるように、グラウト材貯留槽9が設置されている。第1の貫通孔9f及び第2の貫通孔12bの中心を通る直線と、せん断補強部材挿入孔2の中心を通る直線とが、同一直線上に配置されるように、密閉容器12が設置されている。また、グラウト材貯留槽9の開口部9b、第1の貫通孔9f、及び密閉容器12の第2の貫通孔12bは、定着体7,8が通過可能な大きさとなっている。

0043

空気抜き用細管の設置)
せん断補強部材挿入孔2内には、空気抜き用の細管16が設置されている。空気抜き用の細管16として、例えばゴム製のチューブを使用することができる。細管16は、せん断補強部材挿入孔2の天端2aから、下方へ延在し、せん断補強部材挿入孔2の全長にわたって配置される。細管16は、グラウト材貯留槽9の開口部9bを通り、グラウト材貯留槽9の内部を通過するように配置される。細管16は、第1の貫通孔9fを通り、密閉容器12の内部を通過し、第2の貫通孔12bを通り、密閉容器12の外部まで連続するように配置される。

0044

(グラウト材の充填)
グラウト材貯留槽9、密閉容器12、グラウト材充填ホース11、ロート状容器15、及び細管16が設置された後、グラウト材Gの充填を行う。図3では、グラウト材Gの充填後、細管16が抜き取られた後の状態を示している。グラウト材Gとして、流動性のあるセメント系材料などを用いることができる。また、グラウト材Gにおける流動性とは、たとえばJAロート流下時間が15〜30秒程度となるものである。さらに、グラウト材Gとしては、グラウト材Gが硬化する際の過程でのせん断補強部材3とグラウト材Gとの一体性を確保するため、グラウト材Gは、無収縮性とし、その膨張縮率が0.14〜0.23%程度であるものが好適に用いられる。

0045

グラウト材Gは、ロート状容器15内に供給される。ロート状容器15に供給されたグラウト材Gは、グラウト材充填ホース11を通り、グラウト材貯留槽9内に流入する。グラウト材Gの充填を続けていくと、グラウト材貯留槽9にグラウト材Gが満たされ、せん断補強部材挿入孔2内にグラウト材Gが充填される。このとき、グラウト材貯留槽9における底面9eに形成された第1の貫通孔9fには、ゴム板10が設けられており、ゴム板10における切り込み部は閉口したままである。このため、グラウト材貯留槽9からのグラウト材Gの流出が防止されている。

0046

ロート状容器15に貯留されたグラウト材Gの液面(L1)が、せん断補強部材挿入孔2の天端2a(L2)よりも高くなるように、グラウト材Gが充填される。これにより、ロート状容器15とグラウト材貯留槽9との間にヘッド差(Δh)を設けることができる。この状態で、グラウト材Gは、せん断補強部材挿入孔2の天端2aまで充填されている。グラウト材の充填の際に、せん断補強部材挿入孔2内の空気は、細管16(図1参照)内を通り、密閉容器12の外部に排気される。せん断補強部材挿入孔2内には、グラウト材Gが実質的に充満し、空気がほとんど残っていない状態となる。

0047

また、グラウト材Gの充填の際には、密閉容器12内は、ブロア14によって圧気されており、所定の圧力に維持されている。グラウト材Gの充填が完了した後、空気抜き用の細管16が、せん断補強部材挿入孔2、グラウト材貯留槽9、及び密閉容器12内から外部へ取り出される。

0048

グラウト材Gの充填が完了したら、せん断補強部材挿入孔2にせん断補強部材3を挿入する。また、せん断補強部材挿入孔2にせん断補強部材3を挿入する際には、せん断補強部材3の先端部を密閉容器12におけるゴム板13の切り込み部に押し付けて、そのまません断補強部材3を押し込む。

0049

せん断補強部材3をさらに押し込むと、せん断補強部材3の先端部が、密閉容器12内を通過し、せん断補強部材3の先端部がグラウト材貯留槽9のゴム板10の切り込み部に押し当てられる。このとき、ゴム板10における切り込み部の変形によりわずかな開口が形成されることがあり、この開口からグラウト材貯留槽9内のグラウト材が若干漏れることがある。しかし、グラウト材貯留槽9に貯留されたグラウト材Gとロート状容器16に貯留されたグラウト材Gとの間にヘッド差(Δh)が生じているので、グラウト材貯留槽9から密閉容器12内の漏れが増加したとしても、グラウト材貯留槽9にグラウト材Gを供給することができる。そのため、せん断補強部材挿入孔2内をグラウト材Gで充満させた状態は十分に維持されるので、せん断補強部材挿入孔2内のグラウト材の液面が低下することがなく、せん断補強部材挿入孔2内への空気の進入を防止することができる。

0050

なお、ロート状容器15のグラウト液面レベルが低下した場合には、ロート状容器15にグラウト材を補充することで、ロート状容器15のグラウト液面レベルを上昇させる。また、第1の貫通孔9fからのグラウト材の漏れ状況などに応じて、ロート状容器15にグラウト材を補充してもよい。

0051

続いて、せん断補強部材3を押し込み、せん断補強部材3の全体をせん断補強部材挿入孔2内に挿入する。このとき、せん断補強部材3における後端部は、せん断補強部材挿入孔2における拡径孔2bに突出した状態としておく。図4では、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2内に挿入している途中の状態を示している。

0052

後端定着体8がせん断補強部材挿入孔2における拡径孔2bに入り込む位置までせん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に挿入する。図5では、せん断補強部材3が、せん断補強部材挿入孔2内に挿入された状態を示している。こうして、せん断補強部材3の後端部に取り付けられた後端定着体8は、拡径孔2bに収容される。それから、スライド板9dを移動させて、グラウト材貯留槽9の天板9aの開口部9bを閉塞し、せん断補強部材挿入孔2の開口部を閉塞する。その後、グラウト材貯留槽9に設けられたドレンコック(不図示)を開放し、グラウト材貯留槽9に溜まったグラウト材をグラウト材貯留槽9から排出する。排出されたグラウト材は、可使用時間内であり、所定の流動性を維持している場合には、他のせん断補強部材挿入孔2に利用することができる。

0053

その後、グラウト材貯留槽9の開口部9bをスライド板9dによって閉塞した状態で、グラウト材貯留槽9は、スライド板9dと案内部材9i(図2)を残して取り外され、せん断補強部材挿入孔2内におけるグラウトを所定期間、たとえば1日程養生する。さらに、養生期間が経過した後、スライド板9dと案内部材9iとを撤去し、適宜コンクリート構造体1の表面を清掃する。こうして、せん断補強部材3の定着が完了する。

0054

このように、本実施形態に係るせん断補強部材の定着方法においては、せん断補強部材挿入孔2の開口部の外側に設置するグラウト材貯留槽9における底板9eに、第1の貫通孔9fが形成されている。このため、せん断補強部材挿入孔2にグラウト材Gを充満させ、グラウト材貯留槽9にグラウト材Gが貯留された状態であっても、第1の貫通孔9fを通過させることにより、せん断補強部材3をせん断補強部材挿入孔2に挿入することができる。また、第1の貫通孔9fには、ゴム板10が設けられている。このため、第1の貫通孔9fにせん断補強部材3を通過させた際にも、第1の貫通孔9fからグラウト材Gが流出することが防止される。したがって、グラウト材貯留槽9などの装置の大型化や大量のグラウト材Gを要することなく、せん断補強部材挿入孔2にグラウト材Gを好適に充満させ、せん断補強部材3をコンクリート構造体1に十分に定着させることができる。

0055

また、第1の貫通孔9fにはゴム板10が設けられており、せん断補強部材3がゴム板10における切り込み部を通過する際に、切り込み部が開口してせん断補強部材3が通過可能となる。このため、グラウト材Gのグラウト材貯留槽9からの流出を好適に防止しながら、せん断補強部材3の挿入を行うことができる。

0056

また、グラウト材貯留槽9のグラウト材と、ロート状容器15のグラウト材との間にヘッド差を設けているので、上向きのせん断補強部材挿入孔2からのグラウト材の流出を抑えることができ、流動性のあるグラウト材Gを用いて、上向きの施工を実現することができる。そのため、流動性のあるグラウト材Gを用いることで、施工コストの低コスト化を図ると共に、作業者の負担を軽減することができる。

0057

また、ロート状容器15をせん断補強部材挿入孔2の天端2aよりも高いに配置し、重力を利用してグラウト材Gを充填し、せん断補強部材挿入孔2内のグラウト材Gの液面(L1)の位置を維持するので、特別なグラウト材充填機器を使用する必要がない。これにより、グラウト材Gの圧力を適正に維持することが容易となるので、グラウト材貯留槽9に設けられたパッキンの損傷を予防することができる。

0058

また、グラウト材貯留槽9の容積が、せん断補強部材挿入孔2の容積よりも大きい場合には、せん断補強部材3を挿入する際に第1の貫通孔9fからのグラウト材Gの流出によって、せん断補強部材挿入孔2のグラウト材Gの液面レベルの低下を緩和することができる。急激なグラウト材Gの液面レベルの低下を防止することで、せん断補強部材挿入孔2内への空気の流入を防止して、品質の低下を防止することができる。

0059

また、本実施形態のせん断補強部材の定着方法によれば、せん断補強部材挿入孔2、開口部9b、第1の貫通孔9f、及び第2の貫通孔12bが同一直線上に配置されるように、グラウト材貯留槽9、及び密閉容器12が位置調整されて配置されるので、グラウト材が充填された後、第2の貫通孔12bの位置が目印となるので、せん断補強部材挿入孔2へせん断補強部材3を挿入する作業が容易となる。

0060

また、せん断補強部材3に取り付けられた定着体7,8の外径が大きい場合には、その大きさに応じて、第1の貫通孔9fの内径を大きくする必要があり、せん断補強部材を挿入する際のグラウト材の漏れ量が増大するおそれがある。本実施形態のせん断補強部材の定着方法によれば、第1の貫通孔9fの外側に密閉容器12が設置され、ブロア14によって送風することで、密閉容器12内の圧力を高く維持することができるので、第1の貫通孔9fからのグラウト材Gの流出量を抑えることができる。そのため、せん断補強部材挿入孔2内のグラウト材Gの液面レベルの低下を好適に抑制することができる。その結果、上向きの施工において、作業者の負担を軽減して、せん断補強部材挿入孔2内への空気の流入を防止して品質の低下を防止することができる。

0061

また、本実施形態のせん断補強部材の定着方法によれば、密閉容器12にリリーフ弁(圧力抜き)を設置しているので、密閉容器12内の圧力が高くなり過ぎることを防止することができる。密閉容器12内の圧力が高くなりすぎると、密閉容器12内の空気が、第1の貫通孔9fを通じてグラウト材貯留槽9内に流入するおそれがあるが、本実施形態の方法では、グラウト材貯留槽9へ空気が流入することが防止され、せん断補強部材挿入孔2への空気の流入も防止される。

0062

以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、定着体7,8としてセラミックス製のものを用いているが、金属製の定着体などを用いることもできる。また、その形状についても種々のものとすることができる。たとえば、ねじ節鉄筋に金属製の定着体などを接合したり、鉄筋の端部にねじ棒摩擦圧接したりして取り付け、ねじ棒に定着体を接合することもできる。あるいは、定着体の形状についても板状の部材や、定着板ナットが一体となったものとすることもできる。金属製の定着体を用いる場合には、防錆のためのかぶり厚が必要となるが、充填したグラウトでかぶり厚を確保することができる。

0063

また、上記実施形態において、せん断補強部材3の両端部に雄ねじ部を設けるとともに、定着体に雌ねじ部を形成している構成でもよい。これに対して、せん断補強部材3の両端部に雌ねじ部を形成し、定着体に雄ねじ部を形成する態様とすることもできる。あるいは、せん断補強部材3の両端部に雄ねじ部と雌ねじ部とをそれぞれ形成し、これらに対応する定着体に雌ねじ部と雄ねじ部とをそれぞれ形成する態様とすることもできる。

0064

さらに、上記実施形態ではグラウト材貯留槽9をネジ止めによって、取り付けているが、吸盤アンカーボルトなどの他の手段によって取り付ける態様とすることもできる。また、上記実施形態においては、第1の貫通孔9h及び第2の貫通孔12bからのグラウト材Gの流出を防止する流体流出防止構造としてゴム板10,13を用いているが、ゴム板を複数枚重ねて使用してもよい。あるいは、ゴム板10に代えて、逆止弁、ブラシ(刷毛状体)、スポンジ(柔軟性のある変形体)等を用いることもできる。流体流出防止構造としては、弾性を有するとともに、止水性を有する素材を好適に用いることができる。ここでの止水性とは、水を止める性質ではなく、グラウト材などのスラリー状の流体を止める性質を有すれば足りるものである。

0065

また、上記各実施形態では、グラウト材貯留槽9の底板9eに第1の貫通孔9fを1つのみ形成しているが、これらを複数形成する態様とすることもできる。貫通孔を複数形成しておくことにより、貫通孔の位置を精度よく形成しなくても、いずれかの貫通孔等がせん断補強部材挿入孔2の延長線上に配置することになる。したがって、貫通孔の形成位置を精度よく形成する必要が小さくなるので、グラウト材貯留槽9の形成を容易にすることができる。

0066

さらに、上記実施形態では、貫通孔9f,12bからのグラウト材Gの流出を防止するために、ゴム板10,13の蓋部材などを用いているが、せん断補強部材3を挿入する前後においては、グラウト材貯留槽9の外側に止水シートを貼り付け、貫通孔9f,12bからのグラウト材Gの流出を防止することもできる。このとき、グラウト材貯留槽を鋼製としておくことにより、止水シートとして磁石付の止水シートを用いることにより、グラウト材貯留槽に止水シートを容易に貼り付けることができる。また、複数の貫通孔を形成する場合などには、せん断補強部材3を貫通させる貫通孔の部分に、この止水シートを貼り付けておくことが好適である。

0067

さらに、上記実施形態では、せん断補強部材挿入孔2に対してせん断補強部材3を1本のみ挿入しているが、複数に分割されたせん断補強部材分割部をカプラによって接続したせん断補強部材をせん断補強部材挿入孔2に挿入する態様とすることもできる。このように、複数の複数のせん断補強部材分割部を接続してせん断補強部材を形成することにより、作業領域が狭隘な場所である場合においても、せん断補強部材を容易にせん断補強部材挿入孔2に挿入することができる。

0068

また、上記実施形態では、グラウト材供給部としてロート状容器15を使用しているが、箱型など、その他の形状の容器を使用してもよい。また、上記実施形態では、グラウト材供給部であるロート状容器15を、せん断補強部材挿入孔2の天端2aより高い位置に配置することで、ヘッド差を生じさせているが、例えば、ポンプなどの昇圧手段を用いて、グラウト材を昇圧することで、グラウト貯留槽9との間にヘッド差を生じさせてもよい。また、アキュムレータ蓄圧器)を用いてグラウト材の圧力を昇圧させて、ヘッド差を生じさせてもよい。施工面4よりも上方に、ロート状容器15を配置することができる所定の空間がない場合には、昇圧手段を用いてヘッド差を生じさせることが好ましい。

0069

上記実施形態では、グラウト材貯留槽9の第1の貫通孔9fを覆うように密閉容器12を設置しているが、密閉容器12を使用しない方法でもよい。密閉容器12の一部は、アクリルなどの透明部材によって形成されていることが好ましい。これにより、密閉容器12の内部を視認することができるので、グラウト材の漏れ状況を容易に確認することができる。

0070

1…コンクリート構造体
2…せん断補強部材挿入孔
2a…天端
2b…拡径孔
3…せん断補強部材
4…施工面
5…天井面
6…張出部
7…先端定着体
8…後端定着体
9…グラウト材貯留槽(グラウト材貯留部)
9a…天板
9b…開口部
9c…つば部
9d…スライド板(蓋体)
9e…底板
9f…第1の貫通孔(第1のせん断補強部材通過孔)
9g…側板
9h…グラウト材供給口
9i…案内部材
10…ゴム板(第1の流体流出防止構造)
11…グラウト材充填ホース(連絡管)
12…密閉容器
12a…底板
12b…第2の貫通孔(第2のせん断補強部材通過孔)
12c…通気口
13…ゴム板(第2の流体流出防止構造)
14…ブロア(圧気部)
15…ロート状容器
16…空気抜き用の細管

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 旭化成ホームズ株式会社の「 壁構造」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】仕上げや機能が損なわれることなく、壁体の反りを矯正・防止することができる壁構造を提供する。【解決手段】上下方向に延びる第1スタッド(下地材)31と、第1スタッド31の壁厚さ方向の両側に配置され... 詳細

  • アーキヤマデ株式会社の「 屋根防水システム、及び、屋根改修方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】金属製の防水下地を備えた屋根を改修するにあたり、確実且つ簡易に機器等を切粉から保護でき、且つ、改修用の資材を繰り返し利用できる屋根防水システム及び屋根改修方法が要望されている。【解決手段】屋根... 詳細

  • センクシア株式会社の「 柱の補強構造」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】 既存柱にも適用が可能であり、効率よく柱を補強することが可能な柱の補強構造を提供する。【解決手段】 柱の補強構造1は、柱3とアングル材11等から構成される。柱3は、縦材5と、縦材5の間に斜... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ