図面 (/)

技術 細胞剥離装置

出願人 川崎重工業株式会社
発明者 渡壁慶三飯坂順治蓮沼仁志中嶋勝己
出願日 2012年12月12日 (8年2ヶ月経過) 出願番号 2012-271566
公開日 2014年6月26日 (6年8ヶ月経過) 公開番号 2014-113133
状態 特許登録済
技術分野 微生物・酵素関連装置
主要キーワード 突状物 被衝突部材 剥離具 凹部側壁 往路移動 衝撃回数 振動回数 フラスコ型
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年6月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

培養容器から培養細胞を十分かつ効率的に剥離することを目的とする。

解決手段

細胞剥離装置1に、基台10と、培養容器2を取り付けるための容器ホルダ11と、容器ホルダ11の往復移動を案内する案内機構21と、移動する容器ホルダ11と衝突する被衝突部材33と、培養容器2を被衝突部材33に向けて付勢する付勢部材31と、容器ホルダ11を移動させる動力を容器ホルダ11に付与する動力付与機構41と備える。

概要

背景

近年、細胞を培養する細胞培養技術や、培養した細胞を利用する再生医療技術が注目されている。細胞培養で重要な操作の一つに細胞の継代がある。細胞の継代は、一般に、培養容器内の細胞を洗浄するステップ培養容器から細胞を剥離させるステップ、培養容器から細胞懸濁液を回収するステップ、細胞懸濁液から回収した細胞を新たな培養容器に播種するステップなどからなる。細胞の継代において培養容器から細胞を剥離させるステップは、細胞の回収量、細胞の損傷度、その後の生着率等を左右する大きな要因となるため重要な工程の一つである。培養容器から細胞を剥離させるステップでは、蛋白質分解酵素などで培養容器から細胞を剥がれやすい状態に処理したのち、作業者ピペッティングしたり、培養容器の側面や底を数回叩いたり、培養容器を鋭く振ったりする作業を行う。培養容器の側面や底を叩く作業は、タッピングと呼ばれている。

従来、手作業で行われていたタッピングを機械により自動化することが提案されている。例えば特許文献1には、培養容器に水平方向の衝撃力を繰り返し加えることにより、培養容器から細胞を剥離させる装置が示されている。この装置は、平皿状の培養容器を載置できる載置台と、培養容器にパルス状の衝撃を与える加振装置とを備えている。加振装置は、ソレノイドより進退するプランジャを備えており、プランジャの先に培養容器の側面に当接する叩打部が設けられている。

概要

培養容器から培養細胞を十分かつ効率的に剥離することを目的とする。細胞剥離装置1に、基台10と、培養容器2を取り付けるための容器ホルダ11と、容器ホルダ11の往復移動を案内する案内機構21と、移動する容器ホルダ11と衝突する被衝突部材33と、培養容器2を被衝突部材33に向けて付勢する付勢部材31と、容器ホルダ11を移動させる動力を容器ホルダ11に付与する動力付与機構41と備える。

目的

本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、培養容器を積極的に移動させながら培養容器を振動させることと、培養容器に衝撃を与えることとの両方を行うことにより、培養容器から培養細胞を十分かつ効率的に剥離することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

培養細胞培養容器から剥離するための細胞剥離装置であって、前記培養容器を取り付けるための容器ホルダと、前記容器ホルダの往復移動を案内する案内機構と、前記容器ホルダの往復移動範囲の一方の端側に位置する被衝突部材と、前記容器ホルダを前記被衝突部材へ向けて付勢する付勢部材とを備えている、細胞剥離装置。

請求項2

前記被衝突部材は、前記容器ホルダと衝突可能である、請求項1に記載の細胞剥離装置。

請求項3

前記容器ホルダに当該容器ホルダを移動させる動力を付与する動力付与機構を備えている、請求項1または2に記載の細胞剥離装置。

請求項4

前記動力付与機構は、前記容器ホルダを前記被衝突部材から離れる向きに移動させるための力を当該容器ホルダに付与するように構成されている、請求項3に記載の細胞剥離装置。

請求項5

前記動力付与機構は、モータと、前記モータの回転出力を前記容器ホルダに作用する力へ変えるカムとを備えている、請求項3または4に記載の細胞剥離装置。

請求項6

前記カムは、その回転角度が所定の作用範囲にあるとき前記容器ホルダに作用し、その回転角度が前記作用範囲の余の範囲にあるときに前記容器ホルダに作用しない、請求項5に記載の細胞剥離装置。

請求項7

前記動力付与機構は制御装置を備えており、前記制御装置は前記容器ホルダまたはそれに取り付けられた前記培養容器と被衝突部材との衝突回数が所定の衝撃回数となるように前記動力付与機構の動作を制御する、請求項3〜6のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。

請求項8

前記カムの回転数を検出する回転数センサと、前記回転数センサからの検出出力を受けて前記モータの動作を制御する制御装置とを備えており、前記制御装置は前記カムの回転数が所定の衝撃回数となるように前記モータの動作を制御する、請求項5または6に記載の細胞剥離装置。

請求項9

前記付勢部材がバネである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。

請求項10

前記容器ホルダの往復移動範囲の他方の端に第2の被衝突部材を備えている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。

技術分野

0001

本発明は、細胞培養に使用する機器に関する。より詳細には、培養容器培養面で生育している培養細胞を培養面から剥離するための機器に関する。

背景技術

0002

近年、細胞を培養する細胞培養技術や、培養した細胞を利用する再生医療技術が注目されている。細胞培養で重要な操作の一つに細胞の継代がある。細胞の継代は、一般に、培養容器内の細胞を洗浄するステップ、培養容器から細胞を剥離させるステップ、培養容器から細胞懸濁液を回収するステップ、細胞懸濁液から回収した細胞を新たな培養容器に播種するステップなどからなる。細胞の継代において培養容器から細胞を剥離させるステップは、細胞の回収量、細胞の損傷度、その後の生着率等を左右する大きな要因となるため重要な工程の一つである。培養容器から細胞を剥離させるステップでは、蛋白質分解酵素などで培養容器から細胞を剥がれやすい状態に処理したのち、作業者ピペッティングしたり、培養容器の側面や底を数回叩いたり、培養容器を鋭く振ったりする作業を行う。培養容器の側面や底を叩く作業は、タッピングと呼ばれている。

0003

従来、手作業で行われていたタッピングを機械により自動化することが提案されている。例えば特許文献1には、培養容器に水平方向の衝撃力を繰り返し加えることにより、培養容器から細胞を剥離させる装置が示されている。この装置は、平皿状の培養容器を載置できる載置台と、培養容器にパルス状の衝撃を与える加振装置とを備えている。加振装置は、ソレノイドより進退するプランジャを備えており、プランジャの先に培養容器の側面に当接する叩打部が設けられている。

先行技術

0004

特開昭58−158182号公報

発明が解決しようとする課題

0005

手作業のタッピングでは、作業者の一方の手で培養容器を片持ち支持し、他方の手で培養容器の側面を数回叩く。この動作により、培養容器に衝撃と振動の両方が与えられている。発明者らの実験によれば、培養容器に衝撃および振動のいずれか一方を与えるだけでは、培養容器から培養細胞を十分に剥離させることができなかった。このことから発明者らは、十分且つ効率的な培養細胞の剥離を実現するためには培養容器に衝撃と振動の両方を与えることがよい、という知見を得た。

0006

特許文献1に記載の装置では、載置台の上面に培養容器の底より若干大きな凹部が形成されており、この凹部に培養容器の底が若干の遊びを持って嵌る。よって、加振装置に叩打された培養容器は載置台の凹部内で若干の水平移動許容される。しかし、培養容器を積極的に移動させる機構ではないため、培養容器は叩打の度に凹部側壁に近づいて、やがて振動できなくなる。このように特許文献1に記載の装置では、培養容器の振幅が微量であるため培養容器内の液面の揺れは細胞の剥離を効果的に促進するために十分ではないと推測される。

0007

本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、培養容器を積極的に移動させながら培養容器を振動させることと、培養容器に衝撃を与えることとの両方を行うことにより、培養容器から培養細胞を十分かつ効率的に剥離することを目的とする。ひいては、タッピングの自動化を実現させることを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る細胞剥離装置は、培養細胞を培養容器から剥離するための細胞剥離装置であって、前記培養容器を取り付けるための容器ホルダと、前記容器ホルダの往復移動を案内する案内機構と、前記容器ホルダの往復移動範囲の一方の端側に位置する被衝突部材と、前記容器ホルダを前記被衝突部材へ向けて付勢する付勢部材とを備えているものである。

0009

上記構成によれば、容器ホルダは案内機構により案内されて往復移動することができる。容器ホルダが移動すれば、これに伴い容器ホルダに取り付けられた培養容器も移動する。このようにして培養容器を往復移動させることで、当該培養容器を振動させることができる。また、容器ホルダが勢いをもって被衝突部材へ向けて移動すれば、容器ホルダまたはこれに取り付けられた培養容器は被衝突部材と勢いよく衝突する。このようにして容器ホルダと培養容器に衝撃を与えることができる。培養容器が衝撃を受けると、培養容器の培養面と細胞との間にずれが生じる。さらに、培養容器の振動と培養容器が受けた衝撃および衝撃により生じる振動とにより、培養容器内の液面が揺れて細胞の剥離が促進される。このように培養容器が振動し且つ衝撃を受けるので、十分かつ効率的に細胞を培養容器から剥離させることができる。

0010

また、本発明は、上記細胞剥離装置において、前記被衝突部材が、前記容器ホルダと衝突可能であるものである。

0011

上記構成によれば、容器ホルダが被衝突部材と衝突し、培養容器は被衝突部材と直接に衝突しない。よって、衝撃による培養容器の変形や破損を防止することができる。加えて、培養容器の振動および培養容器が受ける衝撃を当該培養容器にわたって均一化することができるので、細胞の剥離具合のムラが少なくなり、細胞回収率の向上が期待できる。また、培養面がより大きなサイズの培養容器であっても、培養容器全体が偏りなく振動し且つ衝撃を受けるので、細胞の剥離具合のムラが少なくなり、細胞回収率の向上が期待できる。

0012

本発明は、上記細胞剥離装置であって、前記容器ホルダに当該容器ホルダを移動させる動力を付与する動力付与機構を備えているものである。

0013

上記構成によれば、容器ホルダの往復移動を自動化して、タッピングの自動化を実現することができる。そして、容器ホルダが周期的に往復移動することになり、培養容器に規則的な振動と衝撃とを与えることができる。

0014

本発明は、上記細胞剥離装置において、前記動力付与機構が、前記容器ホルダを前記被衝突部材から離れる向きに移動させるための力を当該容器ホルダに付与するように構成されているものである。

0015

上記構成によれば、容器ホルダは動力付与機構に付与された力により被衝突部材から離れる向きに移動し、その力が除かれると容器ホルダは付勢部材の付勢力により被衝突部材へ近づく向きに勢いを持って移動する。このようにして、容器ホルダを往復移動させることができる。そして、容器ホルダまたは培養容器を勢いよく被衝突部材に衝突させることができる。

0016

本発明は、上記細胞剥離装置において、前記動力付与機構が、モータと、前記モータの回転出力を前記容器ホルダに作用する力へ変えるカムとを備えているものである。さらに、前記カムが、その回転角度が所定の作用範囲にあるとき前記容器ホルダに作用する作用部と、その回転角度が前記作用範囲の余の範囲にあるときに前記容器ホルダに作用しない非作用部とを有しているものである。

0017

上記構成によれば、容器ホルダを周期的に往復移動させて、容器ホルダに規則的な振動と衝撃とを与えることができる。

0018

本発明は、上記細胞剥離装置において、前記動力付与機構は制御装置を備えており、前記制御装置は前記容器ホルダまたはそれに取り付けられた前記培養容器と被衝突部材との衝突回数が所定の衝撃回数となるように前記動力付与機構の動作を制御するものである。

0019

また、本発明は、上記細胞剥離装置において、前記カムの回転数を検出する回転数センサと、前記回転数センサからの検出出力を受けて前記モータの動作を制御する制御装置とを備えており、前記制御装置は前記カムの回転数が所定の衝撃回数となるように前記モータの動作を制御するものである。

0020

上記構成によれば、培養容器から細胞を剥離させるために好適な回数の衝撃を培養容器に与えることができる。これにより、細胞の剥離が不十分であったり、細胞の剥離後に過剰に振動させたり衝撃を与えたりすることを防止できる。

0021

本発明は、上記細胞剥離装置において、前記付勢部材がバネであるものである。

0022

上記構成によれば、被衝突部材と衝突したあとの容器ホルダは振動を続けることができる。これにより、容器ホルダに保持されている培養容器に振動を加えることができる。

0023

さらに、本発明は、上記細胞剥離装置において、前記容器ホルダの往復移動範囲の他方の端に第2の被衝突部材を備えているものである。

0024

上記構成によれば、容器ホルダは往復移動の往路および復路の双方で被衝突部材と当接し、衝撃を受けることができる。

発明の効果

0025

本発明によれば、培養容器に衝撃と振動の両方を与えることができる。培養容器の培養細胞の剥離は、培養容器に与えた衝撃と振動による液面の揺れによって促進される。よって、培養容器の培養細胞を十分かつ効率的に剥離することができる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の一実施形態に係る細胞剥離装置の全体的な概略構成を示す平面図である。
容器ホルダが基準位置から移動したあとの状態を示す細胞剥離装置の概略平面図である。
細胞剥離装置の変形例1の概略構成を示す平面図である。
細胞剥離装置の変形例2の概略構成を示す平面図である。

実施例

0027

まず、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る細胞剥離装置1の全体的な概略構成を示す平面図であり、図2は容器ホルダ11が基準位置Pから移動したあとの状態を示す細胞剥離装置1の概略平面図である。図1,2では、二点鎖線フラスコ型の培養容器2を示している。培養容器2で培養された細胞は、培養容器2内の培養面(主に底面)に接着している。細胞剥離装置1は、培養容器2の培養面から細胞を剥離させるための装置である。

0028

図1に示すように、細胞剥離装置1は、基台10と、培養容器2を取り付けるための容器ホルダ11と、容器ホルダ11の往復移動を案内する案内機構21と、移動する容器ホルダ11が衝突する被衝突部材33と、培養容器2を被衝突部材33に向けて付勢する付勢部材31とを備えている。さらに、細胞剥離装置1は、容器ホルダ11を案内機構21で案内されながら移動させるための動力を容器ホルダ11に付与する動力付与機構41を備えている。容器ホルダ11、案内機構21、被衝突部材33、付勢部材31および動力付与機構41は、いずれも基台10上に設けられている。以下では、細胞剥離装置1の各構成要素について詳細に説明する。

0029

(容器ホルダ11)
容器ホルダ11は、板状の基板12と、基板12上に固定された保持枠13とで構成されている。保持枠13は、培養容器2の外形の少なくとも四方縁取るように設けられた1又は複数の突状物である。保持枠13内に置かれた培養容器2は、保持枠13により略水平方向への移動が規制される。上記構成の容器ホルダ11は、培養容器2を略水平方向への相対移動不能に保持し、培養容器2と一体的に略水平方向へ移動する。

0030

容器ホルダ11は複数の異なるサイズや種類の培養容器2に対応できることが望ましい。このために、例えば、複数種類の容器ホルダ11を作製し、培養容器2の形状に応じて容器ホルダ11を取り換えるようにしてよい。また、例えば、保持枠13を基板12に対し着脱可能な複数の構成部材で構成し、培養容器2の形状に応じて保持枠13の各構成部材の装着位置を基板12上で変更するようにしてよい。

0031

(案内機構21)
案内機構21は1又は複数の直動案内装置からなる。本実施の形態に係る案内機構21は、2組の直動案内装置から構成されており、2本のレール22,22と、各レール22,22上を摺動する2つずつのスライダ23,,,23を備えている。2本のレール22,22は、基台10上に略平行に配置されて固定されている。合わせて4つのスライダ23,,,23は、容器ホルダ11をバランスよく支持できるように基板12の下面に配置されて固定されている。上記構成の案内機構21は、容器ホルダ11を基台10に相対して略水平な一方向に滑らかに往復移動できるように案内するとともに、容器ホルダ11を支持している。以下では、容器ホルダ11の往復移動方向を単に「移動方向X」ということとする。

0032

(被衝突部材33)
被衝突部材33は、基準位置Pにある容器ホルダ11と当接可能な部材である。また、被衝突部材33は、往復移動して基準位置Pへ至った容器ホルダ11と衝突可能な部材である。ここで容器ホルダ11が「基準位置P」にあるとは、容器ホルダ11の往復移動範囲のうち移動の起点となる一方の端に容器ホルダ11が位置している状態をいうこととする。被衝突部材33は、容器ホルダ11の往復移動範囲の一方の端側に設けられている。より詳細には、被衝突部材33は、基準位置Pにある容器ホルダ11の側方であって、移動方向Xの一方側且つ往復移動範囲の外側に配置されている。図1に示す被衝突部材33は移動方向Xと略直行する方向に長いブロック状に記載されているが、被衝突部材33はブロック状に限定されることはなく、例えば板状または円柱状であってもよい。

0033

(付勢部材31)
付勢部材31は、容器ホルダ11を被衝突部材33へ向けて付勢するための部材である。本実施の形態に係る付勢部材31は、移動方向Xと略平行に伸縮するように配置された引っ張りバネである。付勢部材31の一方の端部は容器ホルダ11の基板12に固定されており、他方の端部は基台10に固定されている。容器ホルダ11が基準位置Pにあるとき、付勢部材31である引っ張りバネは自然長から伸び弾性変形している。この付勢部材31の作用により、動力付与機構41が動作していない待機状態の容器ホルダ11は、基準位置Pに在って被衝突部材33と当接している。

0034

(動力付与機構41)
動力付与機構41は、容器ホルダ11を移動させるための動力を発生する装置としてモータ43を備えている。モータ43の出力軸から直接的または間接的にカム45へ回転動力を伝達できるように、モータ43からカム45への動力伝達系が構成されている。さらに、動力付与機構41は、モータ43の動作を制御する制御装置42と、カム45の回転数を検出して制御装置42へ出力する接触式または非接触式の回転数センサ46と、制御装置42への入力装置47とを備えている。回転数センサ46として、例えばカウントリミットスイッチを用いることができる。入力装置47には、装置の稼働と停止を切り替え運転スイッチや、容器ホルダ11へ与える衝撃回数の入力部などが設けられている。

0035

カム45は、モータ43の回転出力を容器ホルダ11を移動させるために容器ホルダ11に作用する力へ変えるためのものである。カム45は、モータ43の回転動力を、容器ホルダ11を移動方向Xへ被衝突部材33から離れる向きに押圧する力として出力する。カム45には、容器ホルダ11に作用する作用部45aが形成されている。カム45の回転角度が所定の作用範囲では、カム45の作用部45aが容器ホルダ11の被作用部15を押圧する。これにより、容器ホルダ11を移動方向Xへ被衝突部材33から離れる向きに移動させる力が当該容器ホルダ11へ付与される。一方、カム45の回転角度が作用範囲の余の範囲(非作用範囲)では、カム45の作用部45aは容器ホルダ11に作用しない。よって、カム45が複数回転すると、容器ホルダ11には間欠的に押圧力が付与されることとなる。なお、図1に示されたカム45の作用範囲は90°から180°であるが、カム45の作用範囲は適宜定めることができる。

0036

ここで、細胞剥離装置1の動作について説明する。細胞剥離装置1を動作させるための準備として、基準位置Pにある容器ホルダ11に培養容器2を取り付ける。培養容器2内の細胞は、予め蛋白質分解酵素などで培養容器2から剥がれやすい状態に処理されている。

0037

作業者が入力装置47で衝撃回数を設定したのち運転スイッチをオンに切り替えると、制御装置42は入力装置47より入力された最適な衝撃回数だけカム45を回転させるようにモータ43を動作させる。

0038

モータ43が駆動するとカム45が回転する。カム45の回転角度が作用範囲になると、カム45は容器ホルダ11を被衝突部材33から離れる向きへ押圧する。換言すれば、容器ホルダ11を被衝突部材33から離れる向きへ移動させる力が容器ホルダ11へ付与される。これにより容器ホルダ11は、付勢部材31の付勢力に抗して被衝突部材33から離れる向きに移動する(図2、参照)。なお、本実施例においてカム45に押圧されているときの容器ホルダ11の移動ストロークは10mm程度である。容器ホルダ11の往復移動のストロークは10mmかそれ以上であることが望ましい。

0039

カム45の回転角度が作用範囲から非作用範囲へ移行すると、カム45より容器ホルダ11へ付与されていた押圧力が取り除かれる。すると、付勢部材31の付勢力により容器ホルダ11は移動方向Xへ被衝突部材33に近づく向きに移動する。容器ホルダ11は、移動するうちに被衝突部材33と衝突する。ここで被衝突部材33は、容器ホルダ11に衝撃を与えるとともに、容器ホルダ11の被衝突部材33に近づく向きへの移動を規制する。被衝突部材33に衝突した容器ホルダ11は、反作用により被衝突部材33から一旦離れたのち、付勢部材31の付勢力により再び被衝突部材33へ向けて移動する。このように容器ホルダ11は被衝突部材33と衝突したあとで小さな幅で振動を続ける。この振動が生じるように付勢部材31のバネ定数は適切に選択される。そして、この振動は減衰して最終的に容器ホルダ11は基準位置Pで停止する。

0040

カム45の回転角度が非作用範囲から再び作用範囲へ移行すると、容器ホルダ11は前述の往復移動と被衝突部材33への衝突とを繰り返す。以上の細胞剥離装置1の一連の動作は設定された衝撃回数だけ繰り返され、容器ホルダ11には衝撃回数の規則的な衝撃と振動とが与えられる。最適な衝撃回数は、細胞の種類や培養状況によって異なることから、細胞が培養容器2から剥がれる必要最小数を実験的に求め、これを衝撃回数とすることが望ましい。

0041

上述の通り容器ホルダ11が案内機構21に案内されながら往復移動すると、容器ホルダ11に取り付けられた培養容器2も移動する。このようにして、培養容器2を往復移動させることで、培養容器2を振動させることができる。また、上述の通り容器ホルダ11が被衝突部材33と衝突すると、容器ホルダ11が受けた衝撃が培養容器2に伝わる。さらに、容器ホルダ11が受けた衝撃により培養容器に振動が加わる。このようにして細胞剥離装置1は培養容器2を振動させることと、培養容器2に衝撃を与えることとの両方を行うことができる。培養容器2に与えられた衝撃により、培養容器2の培養面と細胞にずれが生じる。さらに、培養容器2の振動と培養容器2が受けた衝撃および衝撃により生じる振動とにより、培養容器2内の液面が揺れ、この液面の揺れにより細胞の剥離が促進される。したがって、本実施の形態に係る細胞剥離装置1によれば、培養容器2が振動し且つ衝撃を受けるので、培養容器2から細胞を十分かつ効率的に剥離することができる。

0042

以上の細胞剥離装置1の動作において、被衝突部材33は直接に培養容器2と衝突するのではなく、容器ホルダ11と衝突する。これにより、培養容器2の全底面を同一方向に同一量だけ移動(振動)させることができるとともに、培養容器2への衝撃の伝わり具合を均一化することができる。さらに、培養面がより大きなサイズの培養容器2であっても、培養容器2内に均しく衝撃と振動を伝えることができる。このように培養容器2に偏りなく振動と衝撃が伝達される結果、細胞の剥離具合のムラを軽減することができる。ひいては、細胞の回収率を向上させることができる。加えて、被衝突部材33が直接に培養容器2と衝突しないので、培養容器2の変形や破損を防止することができる。なお、従来の手作業によるタッピングでは培養容器を直接に叩くために衝撃の伝わり具合にムラが生じやすく、さらに、培養容器の培養面積が大きくなると複数個所で叩くことになり衝撃の伝わり具合のムラがさらに顕著となるという課題があった。本実施の形態に係る細胞剥離装置1ではこのような課題をも解決している。

0043

以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。

0044

例えば、前述の細胞剥離装置1は動力付与機構41としてモータ43とカム45を備えているが、これらを可動鉄心を備えたソレノイドアクチュエータに変更することができる。このように動力付与機構41の構成は前述の実施の形態に限定されず、容器ホルダ11を往復移動させる力を容器ホルダ11または案内機構21に付与するものであればよい。

0045

また、例えば、前述の細胞剥離装置1では、容器ホルダ11が直接に被衝突部材33と衝突するが、被衝突部材33が直接に培養容器2と衝突するように変更することができる。この場合、培養容器2が衝撃をより均等に受けるようにするために、被衝突部材33の当接面を十分に大きくすることがよい。さらに、被衝突部材33の当接面には緩衝材を設けることがよい。

0046

また、例えば、前述の細胞剥離装置1では、被衝突部材33は容器ホルダ11の往復移動範囲の一方の端側に配置されているが、往復移動範囲の両端側に配置することもできる。図3は細胞剥離装置の変形例1の概略構成を示す平面図である。同図および以下では、前述の実施の形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略している。図3に示す細胞剥離装置1では、容器ホルダ11の往復移動範囲の一方の端の外側に第1の被衝突部材33Aが、他方の端の外側に第2の被衝突部材33Bが、それぞれ配置されている。この構成によれば、容器ホルダ11は基準位置Pから往路移動したのち第1の被衝突部材33Aと衝突し、往路移動したのち第2の被衝突部材33Bと衝突する。つまり、容器ホルダ11は往復移動の往路および復路の各々において被衝突部材33A,33Bと衝突して衝撃を受けることとなる。これにより、容器ホルダ11の振動回数に対する衝撃回数が増えるので、培養容器2からの細胞の剥離を促進することができる。

0047

また、例えば、前述の細胞剥離装置1において、付勢部材31としての引っ張りバネを圧縮バネに変更してもよい。図4は細胞剥離装置の変形例2の概略構成を示す平面図である。同図および以下では、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略している。図4に示すように、圧縮バネである付勢部材31Aは、移動方向Xと略平行に伸縮するように容器ホルダ11を介して被衝突部材33と反対側に配置されている。付勢部材31Aの一端は基台10に固定されており、他端は容器ホルダ11に固定されている。この構成によれば、カム45からの押圧力を受けて容器ホルダ11が被衝突部材33から離れる向きへ移動すると、付勢部材31Aが圧縮される。そしてカム45からの押圧力が容器ホルダ11から除去されると、付勢部材31Aが弾性回復することによって容器ホルダ11は被衝突部材33へ向けて付勢される。なお、前述の細胞剥離装置1では、付勢部材31としてバネを採用しているが、付勢部材31はバネに代えてゴム等の弾性体であってもよい。

0048

1細胞剥離装置
2培養容器
11容器ホルダ
12基板
13保持枠
15 被作用部
21案内機構
22レール
23スライダ
31付勢部材
33被衝突部材
41動力付与機構
42制御装置
43モータ
45カム
45a 作用部
46回転数センサ
47 入力装置

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • ヤマハ発動機株式会社の「 生体対象物処理装置」が 公開されました。( 2021/01/07)

    【課題・解決手段】細胞移動装置(S)は、複数の細胞(C)を収容する容器(2)が載置される基台(1)と、容器(2)の細胞を吸引する吸引チップ(12)が装着されたヘッド(61)と、ヘッド(61)を制御する... 詳細

  • 广州分格食品科技有限公司の「 動植物細胞無菌培養皿」が 公開されました。( 2021/01/07)

    【課題】持続的に無菌培養環境を提供できる実験皿の提供。【解決手段】皿ケース10を含み、該皿ケースの中にはサンプル保存チャンバー700が設置され、該サンプル保存チャンバーの左右両側壁には空気を濾過できる... 詳細

  • 国立大学法人筑波大学の「 改変されたコラーゲンタンパク質およびその用途」が 公開されました。( 2021/01/07)

    【課題・解決手段】コラーゲンタンパク質の改変およびそれを応用した、研究または治療法開発を含む各種用途に有用なツール、方法等の開発等のために、本発明は、形質転換細胞で発現され、当該細胞外にてコラーゲン線... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ